(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】電圧制御発振回路
(51)【国際特許分類】
H03B 5/12 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
H03B5/12 E
H03B5/12 B
(21)【出願番号】P 2019219023
(22)【出願日】2019-12-03
【審査請求日】2022-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 毅
(72)【発明者】
【氏名】吉増 敏彦
(72)【発明者】
【氏名】丹治 康紀
【審査官】福田 正悟
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-172470(JP,A)
【文献】特開2010-278658(JP,A)
【文献】特開2019-080281(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03B 5/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソースに第1の電源が接続される第1のトランジスタと、
ソースに前記第1の電源が供給され、ドレインが前記第1のトランジスタのゲートに接続され、ゲートが前記第1のトランジスタのドレインに接続される第2のトランジスタと、
一方の端子が前記第1のトランジスタのドレインに接続され、他方の端子が前記第2のトランジスタのドレインに接続され、共通接続端子に第2の電源が供給される誘導性インピーダンス素子と、
前記第1のトランジスタのドレインに一方の端子が接続され、他方の端子に周波数制御電圧が与えられる第1の可変容量性インピーダンス素子と、
前記第2のトランジスタのドレインに一方の端子が接続され、他方の端子に周波数制御電圧が与えられる第2の可変容量性インピーダンス素子と、を有し、
前記第1の可変容量性インピーダンス素子及び前記第2の可変容量性インピーダンス素子は、それぞれ、
ソースが前記第2の電源に接続される容量トランジスタと、
前記容量トランジスタのゲートに一方の端子が接続され、他方の端子に前記周波数制御電圧が与えられる抵抗と、
一方の端子が前記第1の可変容量性インピーダンス素子と前記第2の可変容量性インピーダンス素子のうち対応する側の可変容量性インピーダンス素子の前記一方の端子となり、他方の端子が前記容量トランジスタのゲートに接続される第1のコンデンサと、
前記容量トランジスタのゲートとドレインとの間に接続される第2のコンデンサと、を有する電圧制御発振回路。
【請求項2】
前記容量トランジスタのドレインに、バイアス電流を供給するバイアス回路を更に有する請求項1に記載の電圧制御発振回路。
【請求項3】
前記バイアス回路は、
ソースにバイアス電圧が与えられ、ゲートとドレインが共通接続される第1のミラートランジスタと、
ソースに前記バイアス電圧が与えられ、ゲートが前記第1のミラートランジスタのゲートと共通接続され、ドレインが前記容量トランジスタのドレインに接続される第2のミラートランジスタと、
前記第1のミラートランジスタのドレインと前記第2の電源との間に接続されるミラー抵抗と、
を有する請求項2に記載の電圧制御発振回路。
【請求項4】
前記容量トランジスタは、MOSトランジスタである請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電圧制御発振回路。
【請求項5】
前記第1、第2のコンデンサは、配線間容量を用いて形成される請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電圧制御発振回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電圧制御発振回路に関し、特に可変容量にトランジスタを用いた電圧制御発振回路に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信機の局部発振信号を発生させる手段として電圧により局部発振信号の周波数を可変出来る電圧制御発振回路が広く使用されている。この電圧制御発振回路では、制御電圧の可変量に対する出力信号の可変範囲を広くすることが求められる。そこで、特許文献1、2に電圧制御発振回路に関する技術が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の電圧制御発振器は、同一の制御電圧により容量が制御される1対の可変容量コンデンサと、前記1対の可変容量コンデンサに接続された1対のインダクタと、前記1対のインダクタに電流を供給する定電流源と、前記1対のインダクタの電流が流れる部分の長さを切り替える切替手段と、を有する。
【0004】
特許文献2には電圧制御発振器に用いる可変容量コンデンサであって、可変容量コンデンサとしてMOSトランジスタを用いる例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-229718号公報
【文献】特開2004-56818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2に記載の可変容量コンデンサは、MOSトランジスタの容量変化の範囲に制限があり、出力信号の発振周波数の可変範囲には制限がある問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる電圧制御発振回路の一態様は、ソースに第1の電源が接続される第1のトランジスタと、ソースに前記第1の電源が供給され、ドレインが前記第1のトランジスタのゲートに接続され、ゲートが前記第1のトランジスタのドレインに接続される第2のトランジスタと、一方の端子が前記第1のトランジスタのドレインに接続され、他方の端子が前記第2のトランジスタのドレインに接続され、共通接続端子に第2の電源が供給される誘導性インピーダンス素子と、前記第1のトランジスタのドレインに一方の端子が接続され、他方の端子に周波数制御電圧が与えられる第1の可変容量性インピーダンス素子と、前記第2のトランジスタのドレインに一方の端子が接続され、他方の端子に周波数制御電圧が与えられる第2の可変容量性インピーダンス素子と、を有し、前記第1の可変容量性インピーダンス素子及び前記第2の可変容量性インピーダンス素子は、それぞれ、ソースが前記第2の電源に接続される容量トランジスタと、前記容量トランジスタのゲートに一方の端子が接続され、他方の端子に前記周波数制御電圧が与えられる抵抗と、一方の端子が自素子の前記一方の端子となり、他方の端子が前記容量トランジスタのゲートに接続される第1のコンデンサと、前記容量トランジスタのゲートとドレインとの間に接続される第2のコンデンサと、を有する。
【0008】
これにより、本発明にかかる電圧制御発振回路の一態様では、第2のコンデンサを容量トランジスタの寄生容量に加えた容量値に基づき容量値の可変範囲が決定される。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかる電圧制御発振回路によれば、周波数可変範囲を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1にかかる電圧制御発振回路の回路図である。
【
図2】実施の形態1にかかる可変容量性インピーダンス素子の詳細な回路図を説明する電圧制御発振回路の回路図である。
【
図3】実施の形態1にかかる可変容量性インピーダンス素子の等価回路図である。
【
図4】実施の形態1にかかる可変容量性インピーダンス素子の容量可変範囲を説明するグラフである。
【
図5】実施の形態1にかかる電圧制御発振回路の周波数可変範囲を説明するグラフである。
【
図6】実施の形態2にかかる可変容量性インピーダンス素子の詳細な回路図を説明する電圧制御発振回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。まず、
図1に実施の形態1にかかる電圧制御発振回路1のブロック図を示す。
図1に示すように、実施の形態1にかかる電圧制御発振回路1は、第1のトランジスタ(例えば、トランジスタTr1)、第2のトランジスタ(例えば、トランジスタTr2)、抵抗R1、R2、第1の可変容量性インピーダンス素子(例えば、可変容量性インピーダンス素子Cv1)、第2の可変容量性インピーダンス素子(例えば、可変容量性インピーダンス素子Cv2)、誘導性インピーダンス素子L1を有する。また、実施の形態1にかかる電圧制御発振回路1は、電圧制御発振回路1に付随する回路として、バッファ回路BUF1、BUF2、負荷抵抗RLを有する。また、電圧制御発振回路1では、第1の電源として電源電圧VDDが供給され、第2の電源として接地電圧が供給される。また、電圧制御発振回路1の出力信号Voutの周波数を制御する周波数制御電圧VCTRLが与えられる。
【0012】
トランジスタTr1は、ソースに電源電圧VDDが与えられ、ゲートがトランジスタTr2のドレインに接続され、ドレインがトランジスタTr2のゲートに接続される。また、トランジスタTr2は、ソースに電源電圧VDDが与えられ、ゲートがトランジスタTr2のドレインに接続され、ドレインがトランジスタTr2のゲートに接続される。なお、
図1に示す例では、トランジスタTr1のドレインには抵抗R1の一方の端子が接続され、トランジスタTr2のドレインには抵抗R2の一方の端子が接続される。そして、トランジスタTr1のゲートは、抵抗R2の他方の端子に接続され、トランジスタTr2のゲートは、抵抗R1の他方の端子に接続される。この抵抗R1、R2は、トランジスタTr1、Tr2の負荷抵抗となるものであり、抵抗R1、R2を用いない回路構成も考えられる。
【0013】
誘導性インピーダンス素子L1の一方の端子は、抵抗R1を介してトランジスタTr1のドレインに接続される。ここで、誘導性インピーダンス素子L1の一方の端子と、抵抗R1の他方の端子とを接続するノードを以下では第1の出力ノードN1と称す。誘導性インピーダンス素子L1の他方の端子は、抵抗R2を介してトランジスタTr2のドレインに接続される。ここで、誘導性インピーダンス素子L1の他方の端子と、抵抗R2の他方の端子とを接続するノードを以下では第2の出力ノードN2と称す。
【0014】
可変容量性インピーダンス素子Cv1は、一方の端子が抵抗R1を介してトランジスタTr1のドレイン(例えば、第1の出力ノードN1)に接続され、他方の端子に周波数制御電圧VCTRLが与えられる。可変容量性インピーダンス素子Cv2は、一方の端子が抵抗R2を介してトランジスタTr2のドレイン(例えば、第1の出力ノードN1)に接続され、他方の端子に周波数制御電圧VCTRLが与えられる。
【0015】
電圧制御発振回路1では、抵抗R2の他方の端子と誘導性インピーダンス素子L1の他方の端子とを接続する第2の出力ノードN2からバッファ回路BUF2を介して出力信号Voutを出力する。バッファ回路BUF2は、電圧制御発振回路1で生成される発信信号を増幅する。また、電圧制御発振回路1では、抵抗R1の他方の端子と誘導性インピーダンス素子L1の一方の端子とを接続する第1の出力ノードN1に接続されるバッファ回路BUF1により負荷抵抗RLを駆動する。バッファ回路BUF1は、電圧制御発振回路1で生成される発信信号を増幅するとともに、第1の出力ノードN1と第2の出力ノードN2のインピーダンスを揃える。
【0016】
ここで、実施の形態1にかかる電圧制御発振回路1では、可変容量性インピーダンス素子Cv1、Cv2の構成に特徴の1つを有する。そこで、可変容量性インピーダンス素子Cv1、Cv2の構成について詳細に説明する。
図2に実施の形態1にかかる可変容量性インピーダンス素子Cv1、Cv2の詳細な回路図を説明する電圧制御発振回路1の回路図を示す。
【0017】
図2に示すように、可変容量性インピーダンス素子Cv1、可変容量性インピーダンス素子Cv2は同一の構成を有する。具体的には、可変容量性インピーダンス素子Cv1は、コンデンサC11、コンデンサC12、容量トランジスタTr11、抵抗R11を有する。コンデンサC11は、一方の端子が可変容量性インピーダンス素子Cv1の一方の端子となり、他方の端子が容量トランジスタTr11のゲートに接続される。抵抗R11は、一方の端子に周波数制御電圧VCTRLが与えられ、他方の端子が容量トランジスタTr11のゲートに接続される。容量トランジスタTr11は、ソースに接地電圧が与えられる、コンデンサC12は、容量トランジスタTr11のドレインとゲートとの間に接続される。
【0018】
また、可変容量性インピーダンス素子Cv2は、コンデンサC21、コンデンサC22、容量トランジスタTr21、抵抗R21を有する。コンデンサC21は、一方の端子が可変容量性インピーダンス素子Cv2の一方の端子となり、他方の端子が容量トランジスタTr21のゲートに接続される。抵抗R21は、一方の端子に周波数制御電圧VCTRLが与えられ、他方の端子が容量トランジスタTr21のゲートに接続される。容量トランジスタTr21は、ソースに接地電圧が与えられる、コンデンサC22は、容量トランジスタTr21のドレインとゲートとの間に接続される。
【0019】
なお、コンデンサC11、C12、C21、C22は、配線層の間に形成される層間絶縁膜と、層間絶縁膜を挟む金属配線と、を用いた層間容量で形成される。
【0020】
ここで、可変容量性インピーダンス素子Cv1、Cv2では、容量トランジスタと、容量トランジスタのドレインとゲートとの間に接続されるコンデンサと、により決定される容量値が可変する。そこで、可変容量性インピーダンス素子Cv1の容量トランジスタTr12及びコンデンサC12の等価回路を例に、可変容量性インピーダンス素子Cv1の容量値について説明する。
【0021】
そこで、
図3に実施の形態1にかかる可変容量性インピーダンス素子Cv1の等価回路図を示す。
図3に示す等価回路図では、容量トランジスタTr11のゲートを端子G、容量トランジスタTr11のドレインを端子D、容量トランジスタTr11のソースを端子Sとして示した。可変容量性インピーダンス素子Cv1の等価回路は、端子Gと端子Sとの間に周波数制御電圧VCTRLにより容量値が変化するゲート・ソース間容量Cgsが設けられ、端子Sと端子Dとの間に周波数制御電圧VCTRLにより抵抗値が変化するソース・ドレイン間抵抗Rdsが設けられる。また、端子Gと端子Dとの間にコンデンサC12が接続される。
【0022】
図3に示す等価回路図を用いて可変容量性インピーダンス素子Cv1のアドミッタンスYを考えると、アドミッタンスYは(1)式で表される。なお、以下の式ではコンデンサC11を500fF程度の容量値を有するものとして考える。
【数1】
(1)式において、周波数制御電圧VCTRLの電圧が0Vであった場合、ソース・ドレイン間抵抗Rdsが十分大きくなり、1<<ω
2C12
2Rds
2になるため、アドミッタンスYは、(2)式で表される。なお、(2)式において、Cgs0は、周波数制御電圧VCTRLが0Vの時のゲート・ドレイン間容量である。
【数2】
したがって、周波数制御電圧VCTRLの電圧が0Vであった場合、コンデンサC12の影響は見えなくなり、コンデンサC12が無い場合の容量値と同じとなる。
【0023】
一方、周波数制御電圧VCTRLの電圧が1Vであった場合、ソース・ドレイン間抵抗Rdsがゼロとなり、1>>ω
2C12
2Rds
2となるため、アドミッタンスYは、(3)式のように表せる。なお、(3)式において、Cgs1は、周波数制御電圧VCTRLが1Vの時のゲート・ドレイン間容量である。
【数3】
従って、可変容量性インピーダンス素子Cv1の容量値としてコンデンサC12が並列成分として加算されることになり、可変容量性インピーダンス素子Cv1はコンデンサC12分増加する。
【0024】
つまり、実施の形態1にかかる可変容量性インピーダンス素子は、周波数制御電圧VCTRLの電圧が0VではコンデンサC12がない回路と同等の容量値となり、周波数制御電圧VCTRLの電圧が1Vではゲート・ソース間容量CgsにコンデンサC12分の容量が加算された容量値となる。従って、実施の形態1にかかる可変容量性インピーダンス素子は、コンデンサC12がない回路と比べて容量値の可変範囲が広くなる。また、可変容量性インピーダンス素子Cv1、Cv2を有する電圧制御発振回路1は、発振周波数の可変範囲が広くなる。
【0025】
そこで、実施の形態1にかかる可変容量性インピーダンス素子Cv1、Cv2の特性、及び、可変容量性インピーダンス素子Cv1、Cv2を有する電圧制御発振回路1の特性について説明する。なお、以下の説明では、可変容量性インピーダンス素子の容量トランジスタのゲートとドレインとの間に設けられるコンデンサを削除した可変容量性インピーダンス素子及び当該可変容量性インピーダンス素子を含む電圧制御発振回路を比較例として参照する。
【0026】
図4に実施の形態1にかかる可変容量性インピーダンス素子の容量可変範囲を説明するグラフを示す。
図4では、上図に比較例にかかる可変容量性インピーダンス素子の容量値の可変範囲を説明するグラフを示し、下図に実施の形態1にかかる可変容量性インピーダンス素子の容量値の可変範囲を説明するグラフを示した。また、
図4に示したグラフでは、周波数制御電圧VCTRLを0Vから1Vに変化させた場合の容量値の変化を示した。
【0027】
図4に示すように、比較例にかかる可変容量性インピーダンス素子では、容量値の可変範囲は、50fF程度から100fF程度の範囲で可変する。一方、実施の形態1にかかる可変容量性インピーダンス素子は、50fF程度から600fF以上の容量値まで容量値を可変させることができる。つまり、実施の形態1にかかる可変容量性インピーダンス素子は、容量トランジスタのゲートとドレインとの間に接続されるコンデンサがない比較例にかかる可変容量性インピーダンス素子に比べて広い容量値の可変範囲を有する。
【0028】
また、
図5に実施の形態1にかかる電圧制御発振回路1の周波数可変範囲を説明するグラフを示す。
図5では、上図に比較例にかかる電圧制御発振回路の周波数の可変範囲を説明するグラフを示し、下図に実施の形態1にかかる電圧制御発振回路の周波数の可変範囲を説明するグラフを示した。また、
図5に示したグラフでは、周波数制御電圧VCTRLを0Vから1Vに変化させた場合の発振周波数の周波数の変化を示した。
【0029】
図5に示すように、比較例にかかる電圧制御発振回路では、周波数の可変範囲が6.5GHzから7.1GHz程度となる。一方、実施の形態1にかかる電圧制御発振回路1では、周波数の可変範囲が4.0GHz程度から6.7GHz程度となる。つまり、実施の形態1にかかる電圧制御発振回路1では、比較例にかかる電圧制御発振回路よりも明らかに周波数の可変範囲が拡大する。
【0030】
上記説明より、実施の形態1にかかる電圧制御発振回路1では、可変容量性インピーダンス素子を構成する容量トランジスタのゲートとドレイン間にコンデンサを設けることで可変容量性インピーダンス素子の容量値の可変範囲を拡大することができる。また、実施の形態1にかかる可変容量性インピーダンス素子を有する電圧制御発振回路1は、出力信号の周波数可変範囲を、容量トランジスタのゲートとドレイン間にコンデンサがない可変容量性インピーダンス素子を有する電圧制御発振回路よりも大幅に広くすることができる。
【0031】
実施の形態2
実施の形態2では、実施の形態1にかかる可変容量性インピーダンス素子Cv1、Cv2の別の形態となる可変容量性インピーダンス素子Cv1a、Cv2aについて説明する。なお、実施の形態2の説明では、実施の形態1と同じ構成要素については、実施の形態1と同じ符号を付して説明を省略する。
【0032】
図6に実施の形態2にかかる可変容量性インピーダンス素子Cv1a、Cv2aの詳細な回路図を説明する電圧制御発振回路の回路図を示す。
図6に示すように、可変容量性インピーダンス素子Cv1aは、可変容量性インピーダンス素子Cv1に第1のミラートランジスタ(例えば、ミラートランジスタTr31)、第2のミラートランジスタ(例えば、ミラートランジスタTr32)、ミラー抵抗R31により構成されるバイアス回路を追加したものである。当該バイアス回路は、容量トランジスタTr11のドレインに、バイアス電流を供給する。
【0033】
ミラートランジスタTr31は、ソースにバイアス電圧Vdが与えられ、ゲートとドレインが共通接続される。ミラートランジスタTr32は、ソースにバイアス電圧Vdが与えられ、ゲートがミラートランジスタTr31のゲートと共通接続され、ドレインが容量トランジスタTr11のドレインに接続される。ミラー抵抗R31は、ミラートランジスタTr31のドレインと接地電圧を供給する接地端子との間に接続される。
【0034】
可変容量性インピーダンス素子Cv2aは、可変容量性インピーダンス素子Cv1aと実質的に同じ構成である。つまり、可変容量性インピーダンス素子Cv2aは、可変容量性インピーダンス素子Cv2に第1のミラートランジスタ(例えば、ミラートランジスタTr41)、第2のミラートランジスタ(例えば、ミラートランジスタTr42)、ミラー抵抗R41により構成されるバイアス回路を追加したものである。当該バイアス回路は、容量トランジスタTr21のドレインに、バイアス電流を供給する。
【0035】
ミラートランジスタTr41は、ソースにバイアス電圧Vdが与えられ、ゲートとドレインが共通接続される。ミラートランジスタTr42は、ソースにバイアス電圧Vdが与えられ、ゲートがミラートランジスタTr41のゲートと共通接続され、ドレインが容量トランジスタTr21のドレインに接続される。ミラー抵抗R41は、ミラートランジスタTr41のドレインと接地電圧を供給する接地端子との間に接続される。
【0036】
上記実施の形態2にかかる可変容量性インピーダンス素子Cv1a、Cv2aでは、ミラー抵抗R31、R41の値を適切に設定することで、バイアス電圧Vdの値の変動に対して、容量トランジスタに流れる電流値の変動が非常に少ない回路が達成できる。
【0037】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0038】
1、2 電圧制御発振回路
Tr1、Tr2 トランジスタ
Tr11、Tr21 容量トランジスタ
Tr31、Tr32、Tr41、Tr42 ミラートランジスタ
R1、R2、R11、R21 抵抗
R31、R41 ミラー抵抗
L1 誘導性インピーダンス素子
Cv1、Cv2、Cv1a、Cv2a 可変容量性インピーダンス素子
C11、C12、C21、C22 コンデンサ
BUF1、BUF2 バッファ回路
RL 負荷抵抗
Vout 出力信号
VCTRL 周波数制御電圧