(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】インターフェロン遺伝子刺激因子依存性シグナル伝達のアゴニストとしての環状ジヌクレオチド
(51)【国際特許分類】
C07H 21/02 20060101AFI20241121BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20241121BHJP
A61K 9/127 20060101ALI20241121BHJP
A61K 9/51 20060101ALI20241121BHJP
A61K 31/7084 20060101ALI20241121BHJP
A61K 31/712 20060101ALI20241121BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20241121BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20241121BHJP
A61K 47/54 20170101ALI20241121BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20241121BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20241121BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20241121BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20241121BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20241121BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20241121BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241121BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20241121BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20241121BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20241121BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20241121BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20241121BHJP
A61K 39/39 20060101ALN20241121BHJP
A61K 47/64 20170101ALN20241121BHJP
A61K 47/69 20170101ALN20241121BHJP
【FI】
C07H21/02 CSP
A61K9/107
A61K9/127
A61K9/51
A61K31/7084
A61K31/712
A61K39/00 A
A61K47/24
A61K47/54
A61K47/68
A61P11/02
A61P11/06
A61P31/00
A61P31/04
A61P31/12
A61P35/00
A61P35/04
A61P37/02
A61P37/04
A61P37/08
A61P43/00 111
A61P43/00 121
A61K39/39
A61K47/64
A61K47/69
(21)【出願番号】P 2019544894
(86)(22)【出願日】2018-02-21
(86)【国際出願番号】 US2018019015
(87)【国際公開番号】W WO2018156625
(87)【国際公開日】2018-08-30
【審査請求日】2021-02-22
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-25
(32)【優先日】2017-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518000729
【氏名又は名称】ボード オブ レジェンツ,ザ ユニバーシティ オブ テキサス システム
【氏名又は名称原語表記】BOARD OF REGENTS,THE UNIVERSITY OF TEXAS SYSTEM
【住所又は居所原語表記】210 W. 7th Street,Austin,TX 78701,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100117422
【氏名又は名称】堀川 かおり
(72)【発明者】
【氏名】マイケル エー.カラン
(72)【発明者】
【氏名】マリア ディ フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ジョーンズ
【合議体】
【審判長】井上 典之
【審判官】冨永 保
【審判官】小石 真弓
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/027646(WO,A1)
【文献】特表2020-503303(JP,A)
【文献】特表2019-509339(JP,A)
【文献】特表2018-516903(JP,A)
【文献】特表2018-534295(JP,A)
【文献】特開2023-22165(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07H21/02,A61K31/7084,31/712,47/54,47/68,9/51,9/127,9/107,47/24,47/69,39/39
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式(I)の化合物又はその塩もしくは互変異性体。
【化1】
(式中、
A
1はCHでありかつA
2はNであるか、又はA
1はNでありかつA
2はCHであるか、又はA
1はCHでありかつA
2はCHであり;
R
1a及びR
1bは、H及びNH
2から独立して選択され;
R
2は、OH、F、Cl、N
3、及びNH
2から選択され;
R
3は、OH、F、Cl、N
3、及びNH
2から選択され;
R
4a及びR
4bは、NH
2及びNHR
5から独立して選択され;
R
5は、メチル、エチル、及びプロピルから独立して選択され;
但し、ここで、
A
1がCHであるとき、R
4aはNHR
5ではなく;
A
2がCHであるとき、R
4bはNHR
5ではない。)
【請求項2】
A
1がCHであり、A
2がNである請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
A
1がNであり、A
2がCHである請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
A
1がCHであり、A
2がCHである請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
R
2が、F及びClから選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
前記化合物が、構造式(II)を有するか、又はその塩もしくは互変異性体である請求項1に記載の化合物。
【化2】
(式中、
A
1はCHでありかつA
2はNであるか、又はA
1はNでありかつA
2はCHであるか、又はA
1はCHでありかつA
2はCHであり;
R
1a及びR
1bは、H及びNH
2から独立して選択され;
R
2は、OH、F、及びClから選択され;
R
3は、OHであり;
R
4a及びR
4bは、NH
2である。)
【請求項7】
A
1がCHであり、A
2はNである請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
A
1がNであり、A
2がCHである請求項6に記載の化合物。
【請求項9】
A
1がCHであり、A
2がCHである請求項6に記載の化合物。
【請求項10】
R
2が、F及びClから選択される請求項6に記載の化合物。
【請求項11】
前記化合物が、以下の化合物又は、その塩もしくは互変異性体である請求項1に記載の化合物。
【化3】
【請求項12】
前記化合物が、以下の化合物又は、その塩もしくは互変異性体である請求項1に記載の化合物。
【化4】
【請求項13】
前記化合物が、以下の化合物から選択されるか、又はそのいずれかの塩もしくは互変異性体である請求項1に記載の化合物。
【化5】
【請求項14】
前記化合物が、以下の化合物又は、その塩もしくは互変異性体である請求項1に記載の化合物。
【化6】
【請求項15】
薬剤として使用する請求項1に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項16】
癌の治療に使用する請求項1に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項17】
STINGの受容体活性化によって改善される疾患又は病状の予防又は治療のための医薬組成物であって、請求項1に記載の化合物を含み、前記疾患又は病状が、自己免疫疾患又は障害、免疫不全又は欠損、炎症疾患又は障害及び癌からなる群から選択される医薬組成物。
【請求項18】
ターゲティング部分に共役した請求項1に記載の化合物を含む薬物送達ビヒクルであって、前記ターゲティング部分は請求項1に記載の化合物に共有結合しており、前記ターゲティング部分は、ペプチド、ビオチンまたはビオチン類似体、タンパク質、トランスフェリン及び抗体からなる群から選択される、薬物送達ビヒクル。
【請求項19】
前記ターゲティング部分が、ペプチドである請求項18に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項20】
前記ターゲティング部分が、ビオチン又はビオチン類似体である請求項18に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項21】
前記ターゲティング部分が、タンパク質である請求項18に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項22】
前記ターゲティング部分が、トランスフェリンである請求項18に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項23】
前記ターゲティング部分が、抗体である請求項18に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項24】
前記ターゲティング部分が、モノクローナル抗体である請求項23に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項25】
ナノ粒子、リポソーム、ミセル及び小胞から選択されるコンテナ部分内に収容された請求項1に記載の化合物を含み、前記コンテナ部分が請求項1に記載の化合物を部分的または完全に収容する薬物送達ビヒクル。
【請求項26】
前記コンテナ部分が、ナノ粒子である請求項
25に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項27】
前記コンテナ部分が、リポソームである請求項
25に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項28】
前記コンテナ部分が、ミセルである請求項
25に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項29】
前記コンテナ部分が、小胞である請求項
25に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項30】
前記コンテナ部分が、リン脂質を含む請求項
25~29のいずれか1項に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項31】
選択性部分をさらに含み、前記選択性部分が、
被験者の身体の特定の領域への前記薬物送達ビヒクルの選択的送達を付与する、
被験者の身体の器官の特定の部位への前記薬物送達ビヒクルの選択的送達を付与する、
腫瘍への前記薬物送達ビヒクルの選択的な送達を付与する、
生体膜を通過する輸送を改善する、
消化管から血流への輸送を改善する又は
血液脳関門を通過する輸送を改善する請求項18~
30のいずれか1項に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項32】
前記選択性部分が、被検体の身体の特定の器官への前記薬物送達ビヒクルの選択的送達を可能にする請求項
31に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項33】
前記選択性部分が、腫瘍への前記薬物送達ビヒクルの選択的送達を可能にする請求項
31に記載の薬物送達ビヒクル。
【請求項34】
請求項1に記載の化合物を、薬学的に許容可能な担体と共に含む医薬組成物。
【請求項35】
請求項18に記載の薬物送達ビヒクルを、薬学的に許容される担体と一緒に含む、医薬組成物。
【請求項36】
請求項
25に記載の薬物送達ビヒクルを、薬学的に許容される担体と一緒に含む、医薬組成物。
【請求項37】
治療的に有効な量の請求項1に記載の化合物を含む、STING介在性疾患の治療用の医薬組成物であって、前記疾患が、自己免疫疾患又は障害、免疫欠損又は欠陥、炎症疾患又は障害及び癌からなる群から選択される医薬組成物。
【請求項38】
治療有効量の請求項18に記載の薬物送達ビヒクルを含む、STING介在性疾患の治療用の医薬組成物であって、前記疾患が、自己免疫疾患又は障害、免疫欠損又は欠陥、炎症性疾患又は障害及び癌からなる群から選択される医薬組成物。
【請求項39】
治療有効量の請求項
25に記載の薬物送達ビヒクルを含む、STING介在性疾患の治療用の医薬組成物であって、前記疾患が、自己免疫疾患又は障害、免疫欠損又は欠陥、炎症疾患又は障害及び癌からなる群から選択される医薬組成物。
【請求項40】
前記疾患が、癌である請求項
37~39のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項41】
前記癌が、化学療法耐性癌である請求項
40に記載の医薬組成物。
【請求項42】
前記癌が、放射線療法耐性癌である請求項
40に記載の医薬組成物。
【請求項43】
前記癌が、黒色腫、子宮頸癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、尿路上皮癌、膀胱癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肉腫、大腸腺癌、1つ又は複数の消化管間質腫瘍、胃食道癌、大腸癌、膵臓癌、腎臓癌、肝細胞癌、悪性中皮腫、白血病、リンパ腫、骨髄異形成症候群、多発性黒色腫、移行上皮癌、神経芽腫及び1つ又は複数の形質細胞腫瘍から選択される請求項
40に記載の医薬組成物。
【請求項44】
前記癌が、黒色腫である請求項
40記載の医薬組成物。
【請求項45】
前記癌が、転移性である請求項
40に記載の医薬組成物。
【請求項46】
前記癌が、リンパ腫である請求項
40に記載の医薬組成物。
【請求項47】
前記疾患が、自己免疫疾患又は障害である請求項
37~39のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項48】
前記疾患が、免疫不全又は免疫欠損である請求項
37~39のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項49】
前記疾患が、アレルギー性疾患である請求項
37~39のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項50】
前記アレルギー性疾患が、アレルギー性鼻炎及び喘息から選択される請求項
49に記載の医薬組成物。
【請求項51】
前記疾患が、感染症である請求項
37~39のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項52】
前記感染症が、細菌感染に起因する請求項
51に記載の医薬組成物。
【請求項53】
前記感染症が、ウイルス感染に起因する請求項
51に記載の医薬組成物。
【請求項54】
以下:
a.請求項
37~39のいずれか1項に記載の医薬組成物並びに
b.別の治療薬を含む、STING媒介性疾患の治療用の医薬組成物であって、
前記疾患が、自己免疫疾患又は障害、免疫欠損又は欠陥、炎症疾患又は障害及び癌からなる群から選択される医薬組成物。
【請求項55】
治療有効量の請求項1に記載の化合物を含み、宿主防御遺伝子の転写の誘導、サイトカインの産生、ケモカインの放出、抗原特異的T細胞のプライミングから選択される効果を達成するための医薬組成物。
【請求項56】
前記効果が、I型インターフェロンの産生である請求項
55に記載の医薬組成物。
【請求項57】
前記I型インターフェロンが、インターフェロンαである請求項
56に記載の医薬組成物。
【請求項58】
前記I型インターフェロンが、インターフェロンβである請求項
56に記載の医薬組成物。
【請求項59】
個体においてSTING依存性I型インターフェロン産生を誘導するための、十分な量の請求項1に記載の化合物を含む医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年2月21日に出願された米国仮特許出願第62/461,642号の利益を主張し、その内容は、あたかもその全体が本明細書中に記載されたかのように参照によって本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
新規の環状ジヌクレオチド化合物及び組成物、及び疾患の処置のための医薬品としてのその適用、並びに疾患に対する免疫応答を調節して、インターフェロン遺伝子刺激因子(STING)依存性I型インターフェロン産生及び同時に調節される遺伝子を誘導する方法が本明細書に開示される。ヒト又は動物被検体におけるSTING活性の調節方法はまた、癌、特に、転移性固形腫瘍及びリンパ腫、炎症、アレルギー性及び自己免疫疾患、感染症などの疾患の処置、並びにワクチンアジュバントとしての使用のためにも提供される。
【0003】
無脊椎動物は、微生物の侵入に常に脅かされており、感染性病原体を排除するための免疫防御のメカニズムを進化させてきた。哺乳動物の場合、この免疫系は、2つの分枝:先天性免疫及び適応免疫を含む。先天性免疫系は、病原体からのリガンド、さらにはダメージ関連分子パターンを検出するパターン認識受容体(PRR)によって開始される防御の最前線である(Tokeuchi,O.et al.,Cell 2010,140,805-820)。これらの受容体は、益々多く同定されており、そうしたものとして、Toll様受容体(TLR)、C型レクチン受容体、レチノイン酸誘導性遺伝子I(RIG-1)様受容体及びNOD様受容体(NLR)さらにまた二本鎖DNAセンサーが挙げられる。PRRの活性化によって、免疫応答に関与する遺伝子の上方制御が起こる。この応答は、1型インターフェロン、炎症性サイトカイン及びケモカインなどの因子を利用し、これらの因子は、病原体の複製を抑制すると共に、適応免疫を促進する。
【0004】
TMEM 173、MPYS、MITA及びERISとしても知られるアダプタータンパク質のSTING(インターフェロン遺伝子刺激因子)は、サイトゾル核酸に対する先天性免疫応答において中心的なシグナル伝達分子として同定されている(Ishikawa,H.;Barber,G.N.Nature 2008,455,674-678;国際公開第2013/1666000号パンフレット)。STINGの活性化によって、IRF3及びNFKB経路の上方制御が起こり、これが、インターフェロン-β及びその他のサイトカインの誘導を招く。STINGは、病原体又は宿主由来の、さらには環状ジヌクレオチド(CDN)と呼ばれる特異な核酸のサイトゾルDNAに対する応答にとって重要である。初め、遍在性細菌二次メッセンジャーとして特性決定され、CDN[環状ジ-GMP(グアノシン5’-一リン酸)(CDG)、環状ジ-AMP(アデノシン5’-一リン酸)(CDA)、及び環状GMP-AMP(cGAMP)]は、1クラスの病原体関連分子パターン分子(PAMP)を構成し、これは、細胞質パターン認識受容体のインターフェロン遺伝子刺激因子(STING)を介して、TBK1/インターフェロン調節因子3(IRF3)/1型インターフェロン(IFN)シグナル伝達軸を活性化する。CDGなどの細菌性CDNは、2つの3’,5’リン酸ジエステル結合を特徴とする対称分子である。
【0005】
X線結晶学によって、細胞性CDNによるSTINGの直接活性化が近年確認された(Burdette,D.L.;Vance,R.E.Nature Immunology 2013,14,19-26;Cai,X.et al.Molecular Cell 2014,54,289-296)。さらに最近では、サイトゾルDNAに対する応答が解明され、これは、環状GMP-AMPシンターゼ(cGAS、旧名C6orf150若しくはMB21D1)と呼ばれる酵素によって、cGAMPとして同定された新規の哺乳動物CDNシグナル伝達分子の産生に関与することが証明され、これが、ひいてはSTINGを活性化する。細菌性CDNとは異なり、cGAMPは、その混合型2’,5’及び3’,5’リン酸ジエステル結合を特徴とする非対称分子である。(Gao,P. et al.Cell 2013,153,1-14)。
【0006】
インターフェロンは、ウイルス感染から細胞を保護することができる物質として初めて記載された(Isaacs,A.;Lindemann,J.Proc.Royal Soc.Lon.Ser.B.Biol.Sci.1957,147,258-267)。インターフェロンは、サイトカインとして知られる小タンパク質のクラスに属し、これは、細胞間シグナル伝達に関与している。ヒトの場合、I型インターフェロンは、染色体9上の遺伝子で、インターフェロンアルファ(IFNα)の少なくとも13のイソ型とインターフェロンベータ(IFNβ)の1つのイソ型をコードする遺伝子によりコードされる関連タンパク質のファミリーである。組換えIFNαは、初めて承認された生物治療薬であり、ウイルス感染症及び癌において重要な治療法となっている。細胞に対する直接抗ウイルス活性と同様に、インターフェロンは、免疫系の細胞に作用する免疫応答の強力なアゴニストであることがわかっている。
【0007】
I型インターフェロン及びその他のサイトカインの活性化を含め、先天性免疫応答を刺激することができる小分子化合物の投与は、ウイルス感染をはじめとするヒト疾患の処置又は予防のための重要な戦略となり得る。免疫応答を刺激することができる化合物は、感染症だけではなく、癌(Krieg,Curr.Oncol.Rep.2004,6(2),88-95)、アレルギー疾患(Moisan J.et al.Am.J.Physiol.Lung Cell Mol.Physiol.2006,290,1987-1995)、過敏性腸疾患などの他の炎症性疾患(Rakoff-Nahoum,S.et al.Cell 2004,23,118(2),229-241)において、並びにワクチンアジュバントとして(Persing,D.H.et al.Trends Microbiol.2002,10(10 Suppl),S32-S37)も有用である。
【0008】
STINGの活性化による1型インターフェロンの誘導は、喘息及びアレルギー性鼻炎などのアレルギー性疾患の処置に利益をもたらし得る(Huber,J.P.et al.J.Immunol.2010,185,813-817)。近年のエビデンスが蓄積されて、アレルゲン反応性2型ヘルパーT細胞(Th2)が、全てアレルギー性炎症に関与するIgE抗体産生B細胞、肥満細胞及び好酸球の活性化及び/又は動員をトリガーする役割を果たすことが示唆される。Th2応答は、増大したレベルのIgEと関連し、これは、肥満細胞に対するその作用を介して、アレルゲンに対する過敏性を促進し、その結果、例えば、アレルギー性鼻炎及び喘息に見られる症状を引き起こす。健康な個体では、アレルゲンに対する免疫応答は、混合型Th2/Th1及び調節T細胞応答と、より均衡がとれている。1型インターフェロンの誘導は、局所環境においてTh型サイトカインの低減を引き起こし、Th1/Treg応答を促進することがわかっている。
【0009】
インターフェロン遺伝子刺激因子(STING)経路の活性化は、インビボでの自発的T細胞応答の生成における重要な決定因子の1つとして同定されている。STING経路は、樹状細胞(DC)のサイトゾルの腫瘍由来のDNAにより活性化され、これがひいてはcGAMPのレベル増大を引き起こす。DCなどの抗原提示細胞(APC)は、抗腫瘍T細胞応答経路に関与する。免疫危険シグナルへの曝露時に、DCは、cGASの誘導を介して、強力なT細胞刺激因子として作用し、続いて、cGAMPの産生が起こり、次にこれがSTINGに結合する。この経路は、DCの表現型成熟を誘導し、続いて、I型インターフェロン及び他のサイトカインの産生が起こる。STINGの活性化は、多数の宿主防御遺伝子の転写を誘導し、その結果、インターフェロンベータの産生、ケモカイン放出、そして最後に抗原特異的T細胞のプライミングが起こり、このようにして自発的な抗腫瘍T細胞応答を誘発する。腫瘍微小環境におけるSTINGアゴニストによる先天性免疫活性化は、血管破裂及び急速な腫瘍崩壊を招き、これに続いて、残存疾患に対するT細胞介在性適応免疫が起こる。化学的に修飾された環状ジヌクレオチドによるSTING経路の薬理学的刺激は、関連インビボモデルの腫瘍に対して発症前に治療有効性であることが証明され、臨床現場に大きな見込みをもたらしており、現在、転移性固形腫瘍又はリンパ腫を有する患者のI相試験で、最初のSTINGアゴニストが用いられている。最適化STINGアゴニストの腫瘍内注射が、進行癌患者のI相試験において現在臨床試験中である(NCT02675439)。
【0010】
リステリア(Listeria)感染細胞におけるIFNの誘導は、STING依存性であり、突然変異型STING対立遺伝子を保有するゴールデンチケット(goldenticket)マウスでは消失する。CDG-STING共結晶構造を含め、他の観察結果は、サイトゾル微生物CDNが、STINGに結合して、IFN及び炎症性シグナル伝達カスケードを誘発することを明らかにした。STINGシグナル伝達経路は、細菌由来の外性CDNの直接結合、又はサイトゾル二本鎖DNA(dsDNA)に応答して宿主cGASにより産生された構造の異なるCDNの結合のいずれかを介して、サイトゾル核酸により刺激された宿主の先天性防御の中心的TLR-非依存性メディエータとして出現した。STING経路は、転写応答に対する中心リンパ節結合サイトゾル核酸を示し、その結果、I型IFNのMyD88非依存性産生が起こる。
【0011】
STINGの調節は、抗ウイルス活性を有する化合物の開発について有望である。病原体の認識は、主として、TLR、RIG-I様受容体(RLR)及びNOD様受容体(NLR)をはじめとするPRRにより媒介され(Takeuchi,O.et al.Cell 2010,140,805-820)、これらが、シグナルカスケードをトリガーして、様々なサイトカインの発現を上方制御する。ウイルス感染の場合には、エンドソームTLR及び細胞質RLRが、ウイルスDNA又はRNAを検出して、ウイルス複製の強力な阻害因子であるI型IFNの産生を誘導する(Gitlin,L.et al.PNAS USA 2006,103,8459-8464;Kato,H.et al.Nature Immunol.2005,23,19-28;Kato,H.et al.Nature 2006,441,101-105)。STINGは、TBK1を通して下流の転写因子STAT6及びIRF3を活性化することがわかっているが、これらは、抗ウイルス応答及び細胞内病原体に対する先天性免疫応答を担う。近年、ウイルス感染に応答して、STINGは、STAT6(シグナル伝達因子及び転写活性化因子6)を活性化して、ケモカインCCL2、CCL20、及びCCL26をはじめとする様々なサイトカインの産生を誘導(Th2型)、増加(IL-2)又は低減(IL-10)することが報告されている(Chen,H. et al.Cell 2011,147,436-446)。
【0012】
化合物及び医薬組成物(そのいくつかは、STING活性を調節することが判明した)が、化合物を合成し、使用する方法と一緒に見出され、そうした方法には、化合物の投与による患者のSTING介在性疾患の処置方法が含まれる。
【0013】
本発明はまた、新規のアジュバント、並びにワクチンなどの医薬組成物におけるそれらの使用にも関する。特に、本発明は、感染症、炎症性疾患、自己免疫疾患、腫瘍、アレルギーの処置における、並びにヒト又は動物集団の妊孕性の管理を目的とする、予防及び/若しくは治療ワクチン用のアジュバント及び/又は免疫調節剤として有用な新規の化合物を提供する。
【0014】
ワクチン接種は、感染を予防するための最も費用効果の高い手段となっている。しかし、ワクチンがまだ利用できないか、又は利用可能なワクチンが、低い効果、高い反応原性、不安定性及び/若しくは高い費用のために、完全には満足のいくものではない、まだ多くの疾患が存在する。従って、新規且つ改善されたワクチンが依然として早急に求められている。
【0015】
近年の知見は、伝染性疾患の免疫療法にもワクチンを使用できることを示唆している。さらに、ワクチンは、自己免疫疾患、炎症性疾患、腫瘍、アレルギーの予防又は免疫療法、並びにヒト及び/若しくは動物集団の妊孕性の管理のためにも使用することができる。
【0016】
最適なアジュバントの使用は、ワクチン接種に重要な役割を果たす。アジュバントなしで投与された抗原は、稀にしか適切な免疫応答を媒介しない。加えて、誘発された免疫応答の強度だけではなく、質も重要である。不適切な免疫パターンの刺激は、免疫病理学的反応及び感染症の症状の悪化を引き起こし得る。これに関連して、アジュバントは、所望の免疫応答を促進する助けとなり得る。言い換えれば、アジュバントは、免疫応答を調節する、又は所望の方向に免疫応答を均衡させるように免疫応答を向け直すことができる。
【0017】
「アジュバント」と呼ばれる物質は、体液性及び/又は細胞性免疫応答を増強するために、実際の抗原(すなわち、所望の免疫応答を誘発する物質)に対する免疫付与に添加及び/又は共配合されるものである(”Lexikon der Biochemie und Molekularbiologie”,1.Band,Spektrum,Akademischer Verlag 1995)。すなわち、アジュバントは、特に抗原と一緒に共投与されると、免疫強化特性を有する化合物である。多くのアジュバントの使用は、経験のみに基づいており、効果を正確に説明することも、予測することもできない。とりわけ、以下に挙げるアジュバントの群が伝統的に使用されている:水酸化アルミニウム、鉱油のエマルジョン、サポニン、デタージェント、ケイ素化合物、チオ尿素、グラム陰性菌の内毒素、グラム陽性菌の内毒素、死滅細菌若しくは弱毒化生菌又はそれらの部分。
【0018】
粘膜ワクチン接種に有用と考えられるアジュバントとして、下記のものが記載されている:MALP-2分子及びそのビスアシルオキシプロピルシステイン-コンジュゲート、例えば、ビスパルミトイルオキシプロピルシステイン-PEG分子が、マクロファージの強力な刺激因子を示すことがわかっている。アジュバントとしてのMALP-2の有用性は、以前証明されており、例えば、国際公開第2004/009125号パンフレット及び国際公開第2003/084568号パンフレットを参照されたい。特に、MALP-2は、粘膜免疫応答を増強する、例えば、抗原特異的IgA抗体の発現増大を促進する有効な粘膜アジュバントとして作用し得ることが実証された。
【0019】
さらには、MALP-2は、樹状細胞及びB細胞を活性化することができ、これらはいずれも、特定の体液性免疫応答の誘導に重要な役割を果たすことが示された。加えて、予備研究は、生物学的に活性のHIV-1 tatタンパク質と合成MALP-2の組合せが、有効な粘膜アジュバントとしてMALP-2成分を含む有望なワクチンとなり得ることを実証している。
【0020】
粘膜投与経路用のものを含め、新規のアジュバントについての集中的な研究が近年なされている。粘膜応答を増強する能力があることを見出されているのは少数の物質だけである。これらのうち、いくつかは、担体として作用し、そこに抗原を結合又は融合させなければならない。上に概説したように、抗原と混合させて、普遍的に使用できるはるかに少ない「真の」アジュバントが見出された。
【0021】
真核細胞同様、原核細胞も、細胞シグナル伝達並びに細胞内及び細胞間連絡のために様々な小分子を使用する。例えば、cGMP、cAMPなどの環状ヌクレオチドは、原核及び真核細胞において調節及び開始活性を有することがわかっている。真核細胞の場合、cAMP及びcGMPは、シグナル伝達分子として使用されるが、原核細胞は、cAMP以外に、環状ジヌクレオシド一リン酸分子、とりわけCDGを使用する。
【0022】
2つのGTP分子の縮合は、酵素ジグアニル酸シクラーゼ(DGC)により触媒されて、CDGを賦与するが、これは、抗微生物活性を実証しており、病原体を予防又はそれに対抗するために使用することができる。さらに、CDGは、重要な細菌調節因子として作用し:細菌細胞において、CDGは、遺伝子の発現及び菌体外多糖の生合成を調節する。さらに、CDGは、真核生物の生化学経路には関与していない。CDGの相互作用リガンドは、多様な細菌属全体を通して発現されることから、ほとんどの細菌は、調節分子としてCDGを使用することが想定される。
【0023】
そのため、細菌性CDN及びそれらの類似体は、有望なワクチンアジュバントとして関心を集めている(Libanova R.et al.Microbial Biotechnology 2012,5,168-176;国際公開第2007/054279号パンフレット、国際公開第2005/087238号パンフレット)。国際公開第2005/087238号パンフレットには、CDG又はその類似体が、患者の免疫若しくは炎症性応答を刺激又は増強し得る、あるいは、アジュバントとして作用することにより、ワクチンに対する免疫応答を増強し得ると推測されている。さらに、CDG又はその類似体は、神経変性を引き起こす傷害、疾患、障害及び病状を処置するための組成物の活性成分として使用され得ることも推測されている。そこには、環状ジGMPは、DC細胞内活性を調節しないが、共刺激分子の発現の誘導により、樹状細胞を活性化し得ることを示すデータが提供されている。さらに、CDGが、時として、樹状細胞の免疫刺激能力を上方制御し得ることを示すデータも提供されている。さらにまた、高用量のCDGは、樹状細胞と混合されると、T細胞をインビトロで活性化し得ることを示すデータも提供されている。しかし、患者の免疫若しくは炎症性応答の増強、又はアジュバントとして作用することによる、ワクチンに対する免疫応答の増強は全く示されず、それどころか、HLA-DRの刺激による抗原の提示増加を示し得る一部のデータが存在することがそこに推測される。さらには、前記の文献に環状ジGMPの免疫調節作用は一切示されていない。従って、この文献は、単に、アジュバントとして作用することによる何らかの免疫調節応答、特に、何らかの増強された免疫応答について推測するに過ぎない。既述したように、アジュバントは、活性抗原に対する体液性及び/又は細胞性免疫応答を誘発又は増強することができる化合物である。国際公開第2005/087238号パンフレットには、前記免疫応答を増強又は誘発又は調節するためのアジュバントとしてCDGを用いて、活性抗原に対する免疫応答を示すデータは提供されていない。加えて、前記文献は、CDGに関する情報しか提供しておらず、環状ジGMPの他の類似体に関するものは一切ないことに注目されたい。
【0024】
STING経路、並びにそれを活性化するCDNの発見は、ワクチンアジュバントの開発のためにいくつかの新たな可能性を切り開いた。STINGアゴニストは、アジュバントとして、及び抗癌免疫活性の刺激因子として臨床試験の候補となり得る。先天性免疫応答を活性化することによってマウスモデル系の癌を著しく縮小させるDMXAAは、マウスSTING(mSTING)を活性化するが、hSTINGは活性化しないSTINGアゴニストである。STINGアゴニストが、癌の処置に、又はワクチンアジュバントとして有効であるという治療学的仮定を検証するためには、ヒトにおいて活性の分子が必要になる。その活性に対して抵抗性のcGAMPの類似体が、ワクチンアジュバントとしての使用について検証されている(Li,L.et al.Nature Chem.Biol.2014,10,1043-1048)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
ワクチンと一緒に使用するためのアジュバントとして有用な新規の化合物を提供する必要がある。とりわけ、体液性及び細胞成分の両方を含め、均衡された、又は調節された免疫応答を呈示する強力な免疫応答を誘発することができ、これによって、多種多様な疾患及び病状、特に感染症若しくは癌の有効な予防又は処置を可能にするアジュバントが求められる、
【0026】
従って、本発明の目的は、個体又は被検体の(既存の)免疫応答を誘導、増強、又は調節することができるアジュバントの提供である。とりわけ、本開示は、様々な新規の、高度に活性のアジュバント、特に、限定はされないが、ヒトに対して非毒性であり、しかも、従来若しくは新規のワクチン、例えば、特に、癌及びDNAワクチンを含め、予防又は治療ワクチンなどの従来若しくは新規のワクチンにおいて促進しようとする多種多様な活性成分と一緒に使用することができる粘膜アジュバントの開発に関する。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明の特定の実施形態において、化合物は、構造式Ia:
【化1】
(式中、
A
1及びA
2は、CH及びNから独立して選択され;
R
1a及びR
1bは、H及びNH
2から独立して選択され;
R
2は、OH、F、Cl、N
3、及びNH
2から選択され;
R
3は、OH、F、Cl、N
3、及びNH
2から選択され;
R
4a及びR
4bは、NH
2、OH、NHR
5、及びOR
5から独立して選択され;
R
5は、メチル、エチル、及びプロピルから独立して選択され;
但し、ここで、
A
1がCHであるとき、R
4aはNHR
5又はOR
5ではなく;
A
2がCHであるとき、R
4bはNHR
5又はOR
5ではなく;
A
1及びA
2が共にNであるとき、R
2及びR
3の少なくとも1つはOHではない)
を有するか、又はその塩、エステル、互変異性体、若しくはプロドラッグである。
【0028】
さらに、式Iaの化合物のあらゆる立体異性体(鏡像体及びジアステレオマーなど)も提供される。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の特定の実施形態において、化合物は、構造式I:
【化2】
(式中、
A
1及びA
2は、CH及びNから独立して選択され;
R
1a及びR
1bは、H及びNH
2から独立して選択され;
R
2は、OH、F、Cl、N
3、及びNH
2から選択され;
R
3は、OH、F、Cl、N
3、及びNH
2から選択され;
R
4a及びR
4bは、NH
2、OH、NHR
5、及びOR
5から独立して選択され;
R
5は、メチル、エチル、及びプロピルから独立して選択され;
但し、ここで、
A
1がCHであるとき、R
4aはNHR
5又はOR
5ではなく;
A
2がCHであるとき、R
4bはNHR
5又はOR
5ではなく;
A
1及びA
2が共にNであるとき、R
2及びR
3の少なくとも1つはOHではない)
を有するか、又はその塩、エステル、互変異性体、若しくはプロドラッグである。
【0030】
本明細書に開示される特定の化合物は、有用なSTING調節活性を備えると考えられ得るため、STINGが能動的役割を果たす疾患若しくは病状の処置又は予防に使用され得る。従って、広範な態様において、特定の実施形態は、薬学的に許容される担体と共に本明細書に開示される1つ若しくは複数の化合物を含む医薬組成物、さらには、それらの化合物及び組成物を作製する方法並びに使用する方法も提供する。特定の実施形態は、STINGを調節する方法を提供する。他の実施形態は、こうした処置が必要な患者のSTING介在性障害を処置する方法を提供し、これらの方法は、治療有効量の本発明の化合物又は組成物を前記患者に投与するステップを含む。また、STINGの受容体活性化により改善される疾患又は病状を処置するための薬剤の製造での使用を目的とする、本明細書に開示される特定の化合物の使用も提供される。
【0031】
化学分野の当業者には、式(Ia)の化合物が、数個の不斉四面体形原子を有することは理解されよう。式(Ia)は、様々な不斉四面体形原子に、考えられるあらゆる絶対立体化学の組合せを有する化合物を包含する。2つの四面体形リン原子における非同一置換のために、各々の原子がキラル中心となる。式(Ia)は、2つの不斉四面体形リン原子に、考えられるあらゆる絶対立体化学の組合せを有する化合物を包含する。
【0032】
本発明の特定の実施形態において、化合物は、構造式IIa:
【化3】
(式中、
A
1及びA
2は、CH及びNから独立して選択され;
R
1a及びR
1bは、H及びNH
2から独立して選択され;
R
2は、OH、F、及びClから選択され;
R
3は、OHであり;
R
4a及びR
4bは、NH
2及びOHから独立して選択され;
A
1及びA
2が共にNであるとき、R
2はOHではない)
を有するか、又はその塩、エステル、互変異性体、若しくはプロドラッグである。
【0033】
また、式IIaに示されるリンが、R絶対立体化学を有する鏡像体及びジアステレオマーをはじめとする、式IIaの立体異性体も提供される。
【0034】
本発明の特定の実施形態では、化合物は、構造式II:
【化4】
(式中、
A
1及びA
2は、CH及びNから独立して選択され;
R
1a及びR
1bは、H及びNH
2から独立して選択され;
R
2は、OH、F、及びClから選択され;
R
3は、OHであり;
R
4a及びR
4bは、NH
2及びOHから独立して選択され;
A
1及びA
2が共にNであるとき、R
2はOHではない)
を有するか、又はその塩、エステル、互変異性体、若しくはプロドラッグである。
【0035】
式I、Ia、2、及び2aのいずれかの特定の実施形態において、A1はCHであり、A2はNである。
【0036】
式I、Ia、2、及び2aのいずれかの特定の実施形態において、A1はNであり、A2はCHである。
【0037】
式I、Ia、2、及び2aのいずれかの特定の実施形態において、A1及びA2は共にCHである。
【0038】
式I、Ia、2、及び2aのいずれかの特定の実施形態において、A1及びA2は共にNである。
【0039】
式I、Ia、2、及び2aのいずれかの特定の実施形態において、A1及びA2は共にNであり、且つ、R2はF及びClから選択される。
【0040】
式I、Ia、2、及び2aのいずれかの特定の実施形態において、R1a及びR1bは共にHである。
【0041】
式I、Ia、2、及び2aのいずれかの特定の実施形態において、R4a及びR4bは、NH2及びNHR5から独立して選択される。
【0042】
式I、Ia、2、及び2aのいずれかの特定の実施形態において、R4a及びR4bはNH2及びNHR5から独立して選択され、且つ、R1a及びR1bは共にHである。
【0043】
式I、Ia、2、及び2aのいずれかの特定の実施形態において、R4a及びR4bは共にNH2である。
【0044】
式I、Ia、2、及び2aのいずれかの特定の実施形態において、R4a及びR4bは共にNH2であり、且つ、R1a及びR1bは共にHである。
【0045】
さらに、本明細書に記載される種、例えば、以下:
【化5】
【化6】
から選択される化合物、又はその塩、エステル、互変異性体、若しくはプロドラッグも提供される。
【0046】
特定の実施形態では、化合物は、以下:
【化7】
から選択されるか、又はその塩、エステル、互変異性体、若しくはプロドラッグである。
【0047】
特定の実施形態では、化合物は、以下:
【化8】
から選択されるか、又はその塩、エステル、互変異性体、若しくはプロドラッグである。
【0048】
特定の実施形態では、化合物は、以下:
【化9】
から選択されるか、又はその塩、エステル、互変異性体、若しくはプロドラッグである。
【0049】
特定の実施形態では、化合物は、以下:
【化10】
から選択されるか、又はその塩、エステル、互変異性体、若しくはプロドラッグである。
【0050】
特定の実施形態では、化合物は、以下:
【化11】
から選択されるか、又はその塩、エステル、互変異性体、若しくはプロドラッグである。
【0051】
特定の実施形態では、化合物は、以下:
【化12】
から選択されるか、又はその塩、エステル、互変異性体、若しくはプロドラッグである。
【0052】
特定の実施形態では、化合物は、以下:
【化13】
から選択されるか、又はその塩、エステル、互変異性体、若しくはプロドラッグである。
【0053】
また、本明細書に開示する実施例から選択される化合物、又はその塩、エステル、互変異性体、若しくはプロドラッグも提供される。
【0054】
さらには、式Iaの化合物が、標的送達のためのターゲティング部分に共役されている実施形態も提供される。
【0055】
特定の実施形態では、ターゲティング部分は、ビオチン又はビオチン類似体である。
【0056】
特定の実施形態では、ターゲティング部分は、ペプチドである。
【0057】
特定の実施形態では、ターゲティング部分は、タンパク質である。
【0058】
特定の実施形態では、タンパク質は、トランスフェリンである。
【0059】
特定の実施形態では、ターゲティング部分は、抗体である。
【0060】
さらに、式Iaの化合物が、標的送達のための抗体に共役されている実施形態も提供される。
【0061】
特定の実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体である。
【0062】
さらには、式Iaの化合物が、標的送達のための抗体と結合させるためのハプテンに共役されている実施形態も提供される。
【0063】
さらにまた、式Iaの化合物が、標的送達のためのナノ粒子に共役されている実施形態も提供される。
【0064】
特定の実施形態では、ナノ粒子は、1つ又は複数のα-ヒドロキシカルボン酸のポリマーから構成される。
【0065】
また、式Iaの化合物が、ポリマー送達ビヒクル内に含まれる実施形態も提供される。
【0066】
さらに、式Iaの化合物が、リポソーム内に含まれる実施形態も提供される。
【0067】
さらにまた、式Iaの化合物が、ミセル内に含まれる実施形態も提供される。
【0068】
さらには、式Iaの化合物が、小胞内に含まれる実施形態も提供される。
【0069】
特定の実施形態では、小胞は、リン脂質から構成される。
【0070】
また、上記の任意の実施形態がこれらの実施形態のうちの任意の1つ又は複数と結合され得る実施形態も提供されるが、組合せは相互に排他的でないものとする。
【0071】
本明細書で使用される場合、2つの実施形態は、一方が他方とは異なるものであると定義される場合に「相互に排他的である」。例えば、2つの基が結合してシクロアルキルを形成する実施形態は、一方の基がエチルであり、他方の基が水素である実施形態とは相互に排他的である。同様に、一方の基がCH2である実施形態は、同じ基がNHである実施形態とは相互に排他的である。
【0072】
本発明はまた、本明細書に記載される化合物とSTINGを接触させるステップを含む、少なくとも1つのSTING機能を阻害する方法にも関する。細胞表現型、細胞増殖、STINGの活性、活性STINGにより産生される生化学的出力の変化、STINGの発現、又はSTINGと天然結合パートナーとの結合をモニターすることができる。このような方法は、疾患の処置様式、生物学的アッセイ、細胞アッセイ、生化学的アッセイなどであってよい。
【0073】
また、本明細書では、治療的に有効な量の本明細書に開示される化合物又はその塩を、それを必要としている患者に投与することを含む、STING介在性疾患の処置方法も提供される。
【0074】
特定の実施形態では、STING介在性疾患は、自己免疫疾患又は障害である。
【0075】
特定の実施形態では、STING介在性疾患は、免疫不全又は欠損である。
【0076】
特定の実施形態では、STING介在性疾患は、免疫疾患又は障害である。
【0077】
特定の実施形態では、STING介在性疾患は、癌である。
【0078】
特定の実施形態では、癌は、転移性固形腫瘍及びリンパ腫から選択される。また、本明細書には、薬剤として使用するための本明細書に開示される化合物も提供される。
【0079】
また、本明細書では、STING介在性疾患の処置のための薬剤として使用するための、本明細書に開示される化合物も提供される。
【0080】
また、薬剤としての、本明細書に開示される化合物の使用も提供される。
【0081】
また、STING介在性疾患の処置のための薬剤としての、本明細書に開示される化合物の使用も提供される。
【0082】
また、STING介在性疾患を処置するための薬剤の製造において使用するための、本明細書に開示される化合物も提供される。
【0083】
また、STING介在性疾患の処置のための、本明細書に開示される化合物の使用も提供される。
【0084】
また、本明細書には、本明細書に開示される化合物又はその塩とSTINGを接触させるステップを含む、STINGの受容体活性化方法も提供される。
【0085】
さらに、本明細書では、治療有効量の本明細書に開示される化合物又はその塩を患者に投与するステップを含む、患者においてある効果を達成するための方法も提供され、効果は、宿主防御遺伝子の転写の誘導、インターフェロンβの産生、ケモカインの放出、抗原特異的T細胞のプラミイングから選択される。
【0086】
特定の実施形態では、STING介在性疾患は、自己免疫疾患又は障害である。
【0087】
特定の実施形態では、STING介在性疾患は、免疫不全又は欠損である。
【0088】
特定の実施形態では、STING介在性疾患は、炎症性疾患である。
【0089】
特定の実施形態では、STING介在性疾患は、癌である。
【0090】
特定の実施形態では、癌は、転移性固形腫瘍及びリンパ腫から選択される。
【0091】
また、治療的に有効な量の本明細書に開示される化合物を投与することを含む、対象におけるSTING介在性機能の調節方法も提供される。
【0092】
また、本明細書に開示される化合物を薬学的に許容可能な担体と共に含む医薬組成物も提供される。
【0093】
特定の実施形態では、医薬組成物は、経口投与のために処方される。
【0094】
特定の実施形態では、経口医薬組成物は、錠剤及びカプセルから選択される。
【0095】
特定の実施形態では、医薬組成物は、非経口投与のために製剤化される。特定の実施形態では、非経口投与は、皮下、静脈内、筋肉内、動脈内、皮内、髄腔内、及び硬膜外から選択される。
【0096】
特定の実施形態では、医薬組成物は、腫瘍内投与のために製剤化される。
【0097】
用語
本明細書で使用される場合、以下の用語は指示される意味を有する。
【0098】
値の範囲が開示され、「n1・・・~n2」又は「n1・・・とn2との間」(ここで、n1及びn2は数である)という表記が使用される場合、他に規定されない限り、この表記は、これらの数自体及びこれらの数の間の範囲を含むことが意図される。この範囲は、両端の値の間で、整数であっても連続していてもよく、両端の値を含む。例として、「2~6個の炭素」という範囲は、炭素が整数単位になるので、2つ、3つ、4つ、5つ、及び6つの炭素を含むことが意図される。例として、1μM、3μM、及びその間の任意の有効桁数の全て(例えば、1.255μM、2.1μM、2.9999μMなど)を含むことが意図される「1~3μM(マイクロモル)」という範囲と比較されたい。
【0099】
本明細書で使用される「約(about)」という用語は、この用語が修飾する数値がこのような値を誤差の範囲内の変数として示すものとすることが意図される。データのチャート又は表で与えられる平均値に対する標準偏差などの特定の誤差の範囲が記載されていない場合、「約」という用語は、記載される値を包含し得る範囲を意味し、そして有効数字を考慮に入れて、その数字への切り上げ又は切り捨てによって含まれ得る範囲も意味すると理解されるべきである。
【0100】
本明細書で使用される「アシル」という用語は単独又は組み合わせで、アルケニル、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、複素環、又は任意の他の部分に結合したカルボニルを指し、カルボニルに結合される原子は炭素である。「アセチル」基は、-C(O)CH3基を指す。「アルキルカルボニル」又は「アルカノイル」基は、カルボニル基を介して親分子部分に結合したアルキル基を指す。このような基の例としては、メチルカルボニル及びエチルカルボニルが挙げられる。アシル基の例としては、ホルミル、アルカノイル及びアロイルが挙げられる。
【0101】
本明細書で使用される「アルケニル」という用語は単独又は組み合わせで、1つ又は複数の二重結合を有し、且つ2~20個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝鎖炭化水素ラジカルを指す。特定の実施形態では、前記アルケニルは2~6個の炭素原子を含み得る。「アルケニレン」という用語は、エテニレン[(-CH=CH-),(-C::C-)]などの、2つ以上の位置で結合される炭素-炭素二重結合系を指す。適切なアルケニルラジカルの例としては、エテニル、プロペニル、2-メチルプロペニル、1,4-ブタジエニルなどが挙げられる。他に規定されない限り、「アルケニル」という用語は、「アルケニレン」基を含み得る。
【0102】
本明細書で使用される「アルコキシ」という用語は単独又は組み合わせで、アルキルエーテルラジカルを指し、ここで、アルキルという用語は以下に定義される通りである。適切なアルキルエーテルラジカルの例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、iso-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシなどが挙げられる。
【0103】
本明細書で使用される「アルキル」という用語は単独又は組み合わせで、1~20個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝鎖アルキルラジカルを指す。特定の実施形態では、前記アルキルは、1~10個の炭素原子を含み得る。さらなる実施形態では、前記アルキルは、1~8個の炭素原子を含み得る。アルキル基は、任意に、以下に定義されるように置換され得る。アルキルラジカルの例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、iso-アミル、ヘキシル、オクチル、ノニルなどが挙げられる。本明細書で使用される「アルキレン」という用語は、単独又は組み合わせで、メチレン(-CH2-)などの、2つ以上の位置で結合される直鎖又は分枝鎖飽和炭化水素から誘導される飽和脂肪族基を指す。他に規定されない限り、「アルキル」という用語は、「アルキレン」基を含み得る。
【0104】
本明細書で使用される「アルキルアミノ」という用語は単独又は組み合わせで、アミノ基を介して親分子部分に結合されたアルキル基を指す。適切なアルキルアミノ基は、モノ-又はジアルキル化形成基、例えば、N-メチルアミノ、N-エチルアミノ、N,N-ジメチルアミノ、N,N-エチルメチルアミノなどであり得る。
【0105】
本明細書で使用される「アルキリデン」という用語は単独又は組み合わせで、炭素-炭素二重結合の1個の炭素原子が、アルケニル基が結合する部分に属するアルケニル基を指す。
【0106】
本明細書で使用される「アルキルチオ」という用語は単独又は組み合わせで、アルキルチオエーテル(R-S-)ラジカルを指し、ここで、アルキルという用語は上記の通りであり、硫黄は単一又は二重に酸化され得る。適切なアルキルチオエーテルラジカルの例としては、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、イソプロピルチオ、n-ブチルチオ、iso-ブチルチオ、sec-ブチルチオ、tert-ブチルチオ、メタンスルホニル、エタンスルフィニルなどが挙げられる。
【0107】
本明細書で使用される「アルキニル」という用語は単独又は組み合わせで、1つ又は複数の三重結合を有し、且つ2~20個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝鎖炭化水素ラジカルを指す。特定の実施形態では、前記アルキニルは2~6個の炭素原子を含む。さらなる実施形態では、前記アルキニルは、2~4個の炭素原子を含む。「アルキニレン」という用語は、エチニレン(-C:::C-、-C≡C-)などの、2つの位置で結合される炭素-炭素三重結合を指す。アルキニルラジカルの例としては、エチニル、プロピニル、ヒドロキシプロピニル、ブチン-1-イル、ブチン-2-イル、ペンチン-1-イル、3-メチルブチン-1-イル、ヘキシン-2-イルなどが挙げられる。他に規定されない限り、「アルキニル」という用語は、「アルキニレン」基を含み得る。
【0108】
本明細書で使用される「アミド」及び「カルバモイル」という用語は単独又は組み合わせで、カルボニル基を介して親分子部分に結合された、以下に記載されるようなアミノ基(又はその逆も同様)を指す。本明細書で使用される「C-アミド」という用語は単独又は組み合わせで、-C(O)N(RR’)基を指し、R及びR’は本明細書中で定義される通りであるか、あるいは特に列挙された指定の「R」基によって定義される通りである。本明細書で使用される「N-アミド」という用語は単独又は組み合わせで、RC(O)N(R’)-基を指し、R及びR’は本明細書中で定義される通りであるか、あるいは特に列挙された指定の「R」基によって定義される通りである。本明細書で使用される「アシルアミノ」という用語は単独又は組み合わせで、アミノ基を介して親部分に結合したアシル基を包含する。「アシルアミノ」基の一例は、アセチルアミノ(CH3C(O)NH-)である。
【0109】
本明細書で使用される「アミノ」という用語は単独又は組み合わせで、-NRR’を指し、ここで、R及びR’は、水素、アルキル、アシル、ヘテロアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、及びヘテロシクロアルキルから独立して選択され、これらはどれも、任意選択的に、それ自体が置換されていてもよい。さらに、R及びR’は結合して、ヘテロシクロアルキルを形成してもよく、そのいずれかは任意選択的に置換され得る。
【0110】
本明細書で使用される「アリール」という用語は単独又は組み合わせで、1つ、2つ又は3つの環を含有する炭素環式芳香族系を意味し、ここで、このような多環式環系は縮合される。「アリール」という用語は、フェニル、ナフチル、アントラセニル、及びフェナントリルなどの芳香族基を包含する。
【0111】
本明細書で使用される「アリールアルコキシ」又は「アラルコキシ」という用語は単独又は組み合わせで、アルコキシ基を介して親分子部分に結合されたアリール基を指す。
【0112】
本明細書で使用される「アリールアルキル」又は「アラルキル」という用語は単独又は組み合わせで、アルキル基を介して親分子部分に結合されたアリール基を指す。
【0113】
本明細書で使用される「アリールアルカノイル」又は「アラルカノイル」又は「アロイル」という用語は、単独又は組み合わせで、ベンゾイル、ナフトイル、フェニルアセチル、3-フェニルプロピオニル(ヒドロシンナモイル)、4-フェニルブチリル、(2-ナフチル)アセチル、4-クロロヒドロシンナモイルなどのアリール置換アルカンカルボン酸から誘導されるアシルラジカルを指す。
【0114】
本明細書で使用されるアリールオキシという用語は単独又は組み合わせで、オキシを介して親分子部分に結合されたアリール基を指す。
【0115】
本明細書で使用される「ベンゾ」及び「ベンズ」という用語は単独又は組み合わせで、ベンゼンから誘導される二価のラジカルC6H4=を指す。例としては、ベンゾチオフェン及びベンゾイミダゾールが挙げられる。
【0116】
本明細書で使用される「カルバマート」という用語は単独又は組み合わせで、窒素又は酸末端のいずれかから親分子部分に結合され得るカルバミン酸のエステル(-NHCOO-)を指し、本明細書中で定義されるように任意選択的に置換され得る。
【0117】
本明細書で使用される「O-カルバミル」という用語は単独又は組み合わせで、-OC(O)NRR’基を指し、R及びR’は本明細書中で定義される通りである。
【0118】
本明細書で使用される「N-カルバミル」という用語は単独又は組み合わせで、ROC(O)NR’-基を指し、R及びR’は本明細書中で定義される通りである。
【0119】
本明細書で使用される「カルボニル」という用語は、単独の場合はホルミル[-C(O)H]を含み、組み合わせられる場合は-C(O)-基である。
【0120】
本明細書で使用される「カルボキシル」又は「カルボキシ」という用語は、-C(O)OH又は対応する「カルボキシラート」アニオン(カルボン酸塩における場合など)を指す。「O-カルボキシ」基はRC(O)O-基を指し、ここでRは、本明細書中で定義される通りである。「C-カルボキシ」基は-C(O)OR基を指し、ここでRは、本明細書中で定義される通りである。
【0121】
本明細書で使用される「シアノ」という用語は単独又は組み合わせで、-CNを指す。
【0122】
本明細書で使用される「シクロアルキル」、又は代替的に「炭素環」という用語は、単独又は組み合わせで、飽和又は部分飽和の単環式、二環式又は三環式アルキル基を指し、ここで、各環状部分は3~12個の炭素原子環員を含有し、任意に、本明細書中で定義されるように任意に置換されたベンゾ縮合環系であってもよい。特定の実施形態では、前記シクロアルキルは、5~7個の炭素原子を含み得る。このようなシクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、オクタヒドロナフチル、2,3-ジヒドロ-1H-インデニル、アダマンチルなどが挙げられる。本明細書で使用される「二環式環系」及び「三環式環系」は、デカヒドロナフタレン、オクタヒドロナフタレンなどの、双方が融合された環系、並びに多環式(多中心)飽和若しくは部分飽和タイプを含むことが意図される。後者のタイプの異性体の例として、一般に、ビシクロ[1.1.1]ペンタン、カンファー、アダマンタン、及びビシクロ[3.2.1]オクタンが挙げられる。
【0123】
本明細書で使用される「エステル」という用語は単独又は組み合わせで、炭素原子で結合される2つの部分を架橋するカルボキシ基を指す。
【0124】
本明細書で使用される「エーテル」という用語は単独又は組み合わせで、炭素原子で結合される2つの部分を架橋するオキシ基を指す。
【0125】
本明細書で使用される「ハロ」、又は「ハロゲン」という用語は単独又は組み合わせで、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素を指す。
【0126】
本明細書で使用される「ハロアルコキシ」という用語は単独又は組み合わせで、酸素原子を介して親分子部分に結合されたハロアルキル基を指す。
【0127】
本明細書で使用される「ハロアルキル」という用語は単独又は組み合わせで、1つ又は複数の水素がハロゲンによって置換された上記で定義されるような意味を有するアルキルラジカルを指す。特に、モノハロアルキル、ジハロアルキル及びポリハロアルキルラジカルが包含される。一例として、モノハロアルキルラジカルは、ラジカル内にヨード、ブロモ、クロロ又はフルオロ原子を有し得る。ジハロ及びポリハロアルキルラジカルは、2つ以上の同じハロ原子又は異なるハロラジカルの組み合わせを有し得る。ハロアルキルラジカルの例としては、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ジフルオロクロロメチル、ジクロロフルオロメチル、ジフルオロエチル、ジフルオロプロピル、ジクロロエチル及びジクロロプロピルが挙げられる。「ハロアルキレン」は、2つ以上の位置で結合されるハロアルキル基を指す。例としては、フルオロメチレン(-CFH-)、ジフルオロメチレン(-CF2-)、クロロメチレン(-CHCl-)などが挙げられる。
【0128】
本明細書で使用される「ヘテロアルキル」という用語は単独又は組み合わせで、完全飽和であるか又は1~3度の不飽和を含有し、規定の数の炭素原子と、N、O、及びSから選択される1~3個のヘテロ原子とからなる、安定した直鎖、分枝鎖、又はこれらの組み合わせを指し、ここで、N及びS原子は任意選択的に酸化されていてもよいし、Nヘテロ原子は任意選択的に四級化されていてもよい。ヘテロ原子は、ヘテロアルキル基の任意の内部位置に配置され得る。例えば-CH2-NH-OCH3など、最大2つのヘテロ原子が連続し得る。
【0129】
本明細書で使用される「ヘテロアリール」という用語は単独又は組み合わせで、3~15員不飽和ヘテロ単環式環、又は縮合単環式、二環式、若しくは三環式環系を指し、ここで、縮合環の少なくとも1つは、N、O、及びSから選択される少なくとも1つの原子を含有する芳香族である。特定の実施形態では、前記ヘテロアリールは、環員として1~4個のヘテロ原子を含み得る。さらなる実施形態では、前記ヘテロアリールは、環員として1~2個のヘテロ原子を含み得る。特定の実施形態では、前記ヘテロアリールは、5~7個の原子を含み得る。またこの用語は、複素環式環がアリール環と縮合されるか、ヘテロアリール環が他のヘテロアリール環と縮合されるか、ヘテロアリール環がヘテロシクロアルキル環と縮合されるか、あるいはヘテロアリール環がシクロアルキル環と縮合された縮合多環式基も包含する。ヘテロアリール基の例としては、ピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアゾリル、ピラニル、フリル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、ベンゾイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、キノキサリニル、キナゾリニル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾピラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、クロモニル、クマリニル、ベンゾピラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラゾロピリダジニル、テトラヒドロイソキノリニル、チエノピリジニル、フロピリジニル、ピロロピリジニルなどが挙げられる。例示的な三環式複素環基としては、カルバゾリル、ベンジドリル、フェナントロリニル、ジベンゾフラニル、アクリジニル、フェナントリジニル、キサンテニルなどが挙げられる。
【0130】
本明細書で使用される「ヘテロシクロアルキル」及び互換的に「複素環」という用語は、単独又は組み合わせで、それぞれ、環員として少なくとも1つのヘテロ原子を含有する飽和、部分不飽和、又は完全不飽和(しかし非芳香族)の単環式、二環式、又は三環式複素環基を指し、ここで、前記ヘテロ原子の各々は、窒素、酸素、及び硫黄から独立して選択され得る。特定の実施形態では、前記ヘテロシクロアルキルは、環員として1~4個のヘテロ原子を含み得る。さらなる実施形態では、前記ヘテロシクロアルキルは、環員として1~2個のヘテロ原子を含み得る。特定の実施形態では、前記ヘテロシクロアルキルは、各環内に3~8個の環員を含み得る。さらなる実施形態では、前記ヘテロシクロアルキルは、各環内に3~7個の環員を含み得る。またさらなる実施形態では、前記ヘテロシクロアルキルは、各環内に5~6個の環員を含み得る。「ヘテロシクロアルキル」及び「複素環」は、スルホン、スルホキシド、第3級窒素環員のN-オキシド、並びに炭素環式縮合及びベンゾ縮合環系を含むことが意図され、さらに、両方の用語とも、本明細書中で定義されるようなアリール基、又は付加的な複素環基に複素環が縮合された系も含む。複素環基の例としては、アジリジニル、アゼチジニル、1,3-ベンゾジオキソリル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロイソキノリニル、ジヒドロシンノリニル、ジヒドロベンゾジオキシニル、ジヒドロ[1,3]オキサゾロ[4,5-b]ピリジニル、ベンゾチアゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロピリジニル、1,3-ジオキサニル、1,4-ジオキサニル、1,3-ジオキソラニル、イソインドリニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピロリジニル、テトラヒドロピリジニル、ピペリジニル、チオモルホリニルなどが挙げられる。特に禁止されない限り、複素環基は、任意選択的に置換され得る。
【0131】
本明細書で使用される「ヒドロキシ」という用語は単独又は組み合わせで、-OHを指す。
【0132】
本明細書で使用される「ヒドロキシアルキル」という用語は単独又は組み合わせで、アルキル基を介して親分子部分に結合されたヒドロキシ基を指す。
【0133】
本明細書で使用される「イミノ」という用語は単独又は組み合わせで、=N-を指す。
【0134】
本明細書で使用される「イミノヒドロキシ」という用語は単独又は組み合わせで、=N(OH)及び=N-O-を指す。
【0135】
「主鎖中で」という語句は、本明細書に開示される式のいずれか1つの化合物に対する基の結合点から始まる最も長い近接又は隣接する炭素原子の鎖を指す。
【0136】
「イソシアナト」という用語は、-NCO基を指す。
【0137】
「イソチオシアナト」という用語は、-NCS基を指す。
【0138】
「原子の直鎖」という語句は、炭素、窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される原子の最も長い直鎖を指す。
【0139】
本明細書で使用される「低級」という用語は単独又は組み合わせで、他で特に定義されない場合には1~6個の炭素原子(すなわち、C1~C6アルキル)を含有することを意味する。
【0140】
本明細書で使用される「低級アリール」という用語は単独又は組み合わせで、フェニル又はナフチルを意味し、これらはいずれも規定されるように任意選択的に置換され得る。
【0141】
本明細書で使用される「低級ヘテロアリール」という用語は単独又は組み合わせで、1)5個又は6個の環員を含み、そのうちの1~4個の前記環員がN、O、及びSから選択されるヘテロ原子であり得る単環式ヘテロアリール、あるいは2)縮合環のいずれかが5個又は6個の環員を含み、これらの間に、N、O、及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含む二環式ヘテロアリールのいずれかを意味する。
【0142】
本明細書で使用される「低級シクロアルキル」という用語は単独又は組み合わせで、3~6個の環員を有する単環式シクロアルキル(すなわち、C3~C6シクロアルキル)を意味する。低級シクロアルキルは不飽和であってもよい。低級シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルが挙げられる。
【0143】
本明細書で使用される「低級ヘテロシクロアルキル」という用語は単独又は組み合わせで、3~6個の環員を有し、そのうちの1~4個がN、O、及びSから選択されるヘテロ原子であり得る単環式ヘテロシクロアルキル(すなわち、C3~C6ヘテロシクロアルキル)を意味する。低級ヘテロシクロアルキルの例としては、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、及びモルホリニルが挙げられる。低級ヘテロシクロアルキルは不飽和であってもよい。
【0144】
本明細書で使用される「低級アミノ」という用語は単独又は組み合わせで、-NRR’を指し、ここで、R及びR’は、水素及び低級アルキルから独立して選択され、これらのいずれかは、任意選択的に置換され得る。
【0145】
本明細書で使用される「メルカプチル」という用語は単独又は組み合わせで、RS-基を指し、ここで、Rは本明細書において定義される通りである。
【0146】
本明細書で使用される「メルカプト」という用語は、単独又は組み合わせで、SH-基を指す。
【0147】
本明細書で使用される「リン酸エステル」という用語は、単独又は組み合わせで、官能基P(=O)(ORX)(ORY)(ORZ)を指し、式中、RX、RY、及びRZは、水素及び有機基から独立して選択される。この用語はまた、この官能基を含む化合物を指す場合もある。
【0148】
本明細書で使用される「リン酸ジエステル」という用語は、単独又は組み合わせで、官能基P(=X)(ORX)(ORY)(OH)を指し、式中、RX、及びRYは、有機基であり、Xは、酸素及び硫黄から選択される。
【0149】
本明細書で使用される「チオリン酸エステル」という用語は、単独又は組み合わせで、1つ又は複数の酸素原子が、硫黄で置換されたリン酸官能基を指す。また、この用語は、この官能基を含む化合物を指す場合もある。
【0150】
本明細書で使用される「チオロリン酸エステル」という用語は、単独又は組み合わせで、P-O-R部分の代わりにP-S-R部分を含むリン酸官能基を指す。また、この用語は、この官能基を含む化合物を指す場合もある。
【0151】
本明細書で使用される「チオノリン酸エステル」という用語は、単独又は組み合わせで、P=O部分が、P=S部分で置換されたリン酸官能基を指す。また、この用語は、この官能基を含む化合物を指す場合もある。
【0152】
特定のチオロリン酸エステル及びチオノリン酸エステルについて、下記の互変異性平衡が起こり得る:
P(=S)(ORX)(ORY)(OH)←→P(=O)(ORX)(ORY)(SH)
【0153】
本明細書で使用される「チオノ」という用語は、単独又は組み合わせで、=Sを指す。
【0154】
本明細書で使用される「ニトロ」という用語は単独又は組み合わせで、-NO2を指す。
【0155】
本明細書で使用される「オキシ」又は「オキサ」という用語は単独又は組み合わせで、-O-を指す。
【0156】
本明細書で使用される「オキソ」という用語は単独又は組み合わせで、=Oを指す。
【0157】
「ペルハロアルコキシ」という用語は、水素原子が全てハロゲン原子によって置換されたアルコキシ基を指す。
【0158】
本明細書で使用される「ペルハロアルキル」という用語は単独又は組み合わせで、水素原子が全てハロゲン原子によって置換されたアルキル基を指す。
【0159】
本明細書で使用される「スルホナート」、「スルホン酸」、及び「スルホニック」という用語は単独又は組み合わせで、-SO3H基及びそのアニオン(スルホン酸が塩の形態で使用される場合)を指す。
【0160】
本明細書で使用される「スルファニル」という用語は単独又は組み合わせで、-S-を指す。
【0161】
本明細書で使用される「スルフィニル」という用語は単独又は組み合わせで、-S(O)-を指す。
【0162】
本明細書で使用される「スルホニル」という用語は単独又は組み合わせで、-S(O)2-を指す。
【0163】
本明細書で使用される「互変異性体」という用語は、単独又は組み合わせで、急速に相互変換する2つ以上の異性体の1つを指す。一般に、この相互変換は、十分に高速であるため、1つの個別の互変異性体は、もう1つの互変異性体の非存在下で単離されない。互変異性体の量の割合は、溶媒組成、イオン強度、及びpH、並びに他の溶液パラメータに応じて変動し得る。互変異性体の量の割合は、特定の溶液中及び前記溶液中の生物分子結合部位の微生物環境で異なり得る。当技術分野で公知の互変異性体の例としては、ケト/エノール、エナミン/イミン、及びラクタム/ラクチム互変異性体が挙げられる。また、当技術分野で公知の互変異性体の例として、2-ヒドロキシピリジン/2(1H)-ピリドン及び2-アミノピリジン/2(1H)-イミノピリドン互変異性体も挙げられる。
【0164】
本明細書で使用される「主として1つの異性体」という用語は、ある化合物が、1異性体(例えば、鏡像体又はジアステレオマー)の少なくとも約85%を含むことを意味する。例えば、特定の実施形態では、化合物は、1異性体の少なくとも約90%を含み得る。特定の実施形態では、化合物は、1異性体の少なくとも約95%を含み得る。特定の実施形態では、化合物は、1異性体の少なくとも約98%を含み得る。特定の実施形態では、化合物は、1異性体の少なくとも約99%を含み得る。同様に、「他の異性体を実質的に含まない」という語句は、化合物が、多くとも約15%の別の異性体を含むことを意味する。例えば、特定の実施形態では、化合物は、多くとも約10%の別の異性体を含む。特定の実施形態では、化合物は、多くとも約5%の別の異性体を含む。特定の実施形態では、化合物は、多くとも約2%の別の異性体を含む。特定の実施形態では、化合物は、多くとも約1%の別の異性体を含む。
【0165】
本明細書に具体的に記載されるものを含む環状ジヌクレオチド、並びに本明細書に具体的に記載されるもののイソ型(例えば、互変異性体)は、本発明の実施に使用することができる。環状ジヌクレオチドは、任意の好適な方法を用いて取得することができる。例えば、環状ジヌクレオチドは、出発材料としてヌクレオシド誘導体を用いる化学合成により作製され得る。環状ジヌクレオチドはまた、組換え精製cGAMPシンターゼを用いて、インビトロ合成により生成することもできる。さらに、こうした環状ジヌクレオチドの構造は、分析化学技術を用いて確認することができる。これらの技術として、限定はされないが、核磁気共鳴(プロトン及び他の核、並びに1D及び2Dの両方)、X線結晶学、電磁スペクトル分析(限定はされないが、電磁スペクトルの可視、赤外、光領域を含み、また、限定はされないが、吸光、発光、及び旋光法を含む)及び質量分析法が挙げられる。
【0166】
本明細書に提供される環状ジヌクレオチドは、次の命名法:環状[X
1(A-5’)pX
2(B-5’)p]により表すことができ、式中、X
1及びX
2は、第1及び第2ヌクレオシドであり、Aは、リン酸ジエステル結合を介して第2ヌクレオシドの5’炭素に連結された第1ヌクレオシド(例えば、2’若しくは3’)の結合点であり、Bは、第1ヌクレオシドの5’炭素に連結された第2ヌクレオシド(例えば、2’若しくは3’)の結合点である。例えば、この命名法によれば、環状(A(2’-5’)pG(3’-5’)p]は、以下の式:
【化14】
を有する。
【0167】
本明細書で使用される「チア」及び「チオ」という用語は単独又は組み合わせで、-S-基又は酸素が硫黄で置換されたエーテルを指す。チオ基の酸化誘導体、すなわちスルフィニル及びスルホニルは、チア及びチオの定義に含まれる。
【0168】
本明細書で使用される「チオール」という用語は単独又は組み合わせで、-SH基を指す。
【0169】
本明細書で使用される「スルフヒドリル」という用語は、単独又は組み合わせで、-SH基を指す。
【0170】
本明細書で使用される「チオノ」という用語は、単独又は組み合わせで、親原子に二重結合した硫黄を指す。
【0171】
本明細書で使用される「チオカルボニル」という用語は、単独の場合はチオホルミル-C(S)Hを含み、組み合わせられる場合は-C(S)-基である。
【0172】
「N-チオカルバミル」という用語はROC(S)NR’-基を指し、R及びR’は本明細書中で定義される通りである。
【0173】
「O-チオカルバミル」という用語は-OC(S)NRR’基を指し、R及びR’は本明細書中で定義される通りである。
【0174】
「チオシアナト」という用語は-CNS基を指す。
【0175】
「トリハロメタンスルホンアミド」という用語は、X3CS(O)2NR-基を指し、Xはハロゲンであり、Rは本明細書中で定義される通りである。
【0176】
「トリハロメタンスルホニル」という用語は、X3CS(O)2-基を指し、ここで、Xはハロゲンである。
【0177】
「トリハロメトキシ」という用語は、X3CO-基を指し、ここで、Xはハロゲンである。
【0178】
本明細書中の任意の定義は、任意の他の定義と組み合わせて使用されて、複合構造基を記述することができる。慣例により、任意のこのような定義の後方要素は、親部分に結合される要素である。例えば、複合基アルキルアミドは、アミド基を介して親分子に結合されたアルキル基を表し、アルコキシアルキルという用語は、アルキル基を介して親分子に結合されたアルコキシ基を表し得る。
【0179】
基が「null(無)である」と定義される場合、この基が存在しないことが意味される。
【0180】
「任意選択的に置換された」という用語は、先行する基が置換されていても、非置換であってもよいことを意味する。置換される場合、「任意選択的に置換された」基の置換基は、以下の基又は特定の指定された基のセットから独立して選択される1つ又は複数の置換基を単独又は組み合わせで含み得るが、これらに限定されない:低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルカノイル、低級ヘテロアルキル、低級ヘテロシクロアルキル、低級ハロアルキル、低級ハロアルケニル、低級ハロアルキニル、低級ペルハロアルキル、低級ペルハロアルコキシ、低級シクロアルキル、フェニル、アリール、アリールオキシ、低級アルコキシ、低級ハロアルコキシ、オキソ、低級アシルオキシ、カルボニル、カルボキシル、低級アルキルカルボニル、低級カルボキシエステル、低級カルボキサミド、シアノ、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、低級アルキルアミノ、アリールアミノ、アミド、ニトロ、チオール、低級アルキルチオ、低級ハロアルキルチオ、低級ペルハロアルキルチオ、アリールチオ、スルホナート、スルホン酸、三置換シリル、N3、SH、SCH3、C(O)CH3、CO2CH3、CO2H、ピリジニル、チオフェン、フラニル、低級カルバマート、及び低級尿素。構造的に実現可能である場合、2つの置換基が一緒に連結されて、0~3個のヘテロ原子からなる縮合された5員、6員、又は7員炭素環式環又は複素環式環を形成してもよく、例えば、メチレンジオキシ又はエチレンジオキシが形成される。任意選択的に置換された基は、非置換であっても(例えば、-CH2CH3)、完全に置換されていても(例えば、-CF2CF3)、一置換されていても(例えば、-CH2CH2F)、あるいは完全置換と一置換との間のいずれかのレベルで置換されていてもよい(例えば、-CH2CF3)。置換についての限定なしに置換基が記載される場合、置換形態及び非置換形態の両方が包含される。置換基が「置換された」と限定される場合、置換形態が特に意図される。さらに、必要に応じて、特定の部分に対して異なる任意選択的な置換基セットが定義されてもよく、これらの場合、任意選択的な置換は、多くの場合、「optionally substituted with(~によって任意選択的に置換された)」という語句の直後に定義される通りであろう。
【0181】
単独で、且つ番号の指定なしに現れるR又はR’という用語は、他に定義されない限り、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール及びヘテロシクロアルキルから選択される部分を指し、これらはいずれも、任意選択的に置換される。このようなR及びR’基は、本明細書中で定義されるように任意選択的に置換されると理解されるべきである。R基が番号の指定を有するかどうかにかかわらず、R、R’及びRn(ここで、n=(1、2、3、…n)である)を含む全てのR基、全ての置換基、並びに全ての用語は、群からの選択に関して他の全てから独立していると理解されるべきである。任意の変数、置換基、又は用語(例えば、アリール、複素環、Rなど)が式又は一般構造中に2回以上出現すれば、各出現におけるその定義は、他の全ての出現における定義から独立している。当業者はさらに、特定の基が親分子に結合され得ること、あるいは記載されるようないずれかの端部からの元素鎖中の位置を占有し得ることを認識するであろう。例えば、-C(O)N(R)-などの非対称基は、炭素又は窒素のいずれかにおいて親部分に結合され得る。
【0182】
本明細書に開示される化合物中には不斉中心が存在する。これらの中心は、キラル原子のまわりの置換基の立体配置に応じて記号「R」又は「S」で表される。当業者には、非同一の置換基を有する任意の四面体形原子が、キラル中心を有し得ることは理解されよう。こうした原子の群として、限定はされないが、炭素及びリンが挙げられる。本発明が、ジアステレオマー、エナンチオマー、及びエピマー形態、並びにd-異性体及びl-異性体、そしてこれらの混合物を含む全ての立体化学的異性体を包含することは理解されるべきである。化合物の個々の立体異性体は、キラル中心を含有する市販の出発材料から合成により調製することもできるし、あるいは、エナンチオマー生成物の混合物の調製に続いて、ジアステレオマー混合物への変換などの分離を行い、その後、分離又は再結晶、クロマトグラフィ技術、キラルクロマトグラフィカラムでのエナンチオマーの直接分離、又は当該技術分野で知られている任意の他の適切な方法を行うことによって調製することもできる。特定の立体化学の出発化合物は、市販されているか、又は当該技術分野で知られている技術によって作製及び分割することができる。さらに、本明細書に開示される化合物は、幾何異性体として存在し得る。本発明は、全てのシス、トランス、シン、アンチ、entgegen(反対側)(E)、及びzusammen(同じ側)(Z)異性体、並びにこれらの適切な混合物を含む。さらに、化合物は互変異性体として存在することができ;あらゆる互変異性体が本発明によって提供される。加えて、本明細書に開示される化合物は、非溶媒和形態、並びに水、エタノールなどの薬学的に許容される溶媒との溶媒和形態で存在することができる。一般に、溶媒和形態は、非溶媒和形態と同等であると考えられる。
【0183】
「R」及び「S」という用語は、化学分野の当業者には、カーン・インゴルド・プレローグ(Cahn-Ingold-Prelog)順位則を用いた、所与の不斉四面体形原子における絶対立体化学を指すことは理解されよう。不斉四面体形原子を有する本明細書に提供される化学構造は、絶対立体化学を示す目的で、化学分野の当業者には理解される通りの、(a)前記原子における構造に明瞭な「R」若しくは「S」名称、又は(b)前記原子に対する結合の明瞭なウェッジ及びダッシュ表記のいずれかが存在しない場合に、前記原子における「R」又は「S」絶対立体化学のいずれかを有する化合物を包含する。
【0184】
「RP」及び「SP」という用語は、リン原子における絶対立体化学を指す。2個以上のリン原子を含み、従って、2個以上のこうした用語を必要とする化合物の場合、これらの用語は、付与される名称でリン原子について与えられるのと同じ順序で列挙される。
【0185】
「結合」という用語は、2つの原子の間、又は結合によって結合された原子がより大きい部分構造の一部であると考えられる場合には2つの部分の間の共有結合を指す。結合は、他に規定されない限り、単結合、二重結合、又は三重結合であり得る。分子の図における2つの原子間の破線は、その位置に付加的な結合が存在してもしなくてもよいことを示す。
【0186】
本明細書で使用される場合、単独又は組み合わせで、「超分子集合体」という用語は、非共有結合相互作用によって互いに保持される分子の集合体を指す。一部の実施形態では、非共有結合相互作用は、疎水性相互作用である。一部の実施形態では、非共有結合相互作用は、水素結合相互作用である。一部の実施形態では、非共有結合相互作用は、イオン同士の静電相互作用である。一部の実施形態では、分子は、本質的に両親媒性である。一部の実施形態では、超分子集合体は、疎水性及び親水性領域の両方を含む。一部の実施形態では、超分子集合体は、脂質二重層を含む。
【0187】
本明細書で使用される場合、単独又は組み合わせで、「ナノ粒子」という用語は、通常の合成有機分子より大きい粒子を指す。一部の実施形態では、ナノ粒子は、粒径約100ピコメートル超である。一部の実施形態では、ナノ粒子は、粒径約1ナノメートル超である。一部の実施形態では、ナノ粒子は、粒径約10ナノメートル超である。一部の実施形態では、ナノ粒子は、粒径約100ナノメートル超である。一部の実施形態では、ナノ粒子は、粒径約1マイクロメートル超である。一部の実施形態では、ナノ粒子は、粒径約10マイクロメートル超である。一部の実施形態では、ナノ粒子は、主として金属から構成され、そうしたものとして、限定はされないが、金、鉛、及び亜鉛が挙げられる。一部の実施形態では、ナノ粒子は、無機塩から構成され、そうしたものとして、限定はされないが、セレン化カドミウム、テルル化亜鉛、及び窒化ケイ素が挙げられる。一部の実施形態では、ナノ粒子は、組成が均一である。一部の実施形態では、ナノ粒子は、異なる組成のコア及びシェル領域の両方を含む。
【0188】
本明細書で使用される「疾患」という用語は「障害」、「症候群」、及び「状態」(病状などの場合)という用語と通常同義であることが意図され、そして互換的に使用され、ここで、これらは全て、正常な機能を損なうヒト又は動物の身体又はその器官の1つの異常な状態を示し、通常、際立った徴候及び症状によって顕在化され、ヒト又は動物に寿命又は生活の質の低下を引き起こす。
【0189】
「併用療法」という用語は、本開示において記載される治療状態又は障害を処置するための2つ以上の治療薬の投与を意味する。このような投与は、実質的に同時的な(例えば、固定された比率の活性成分を有する単一のカプセル、又は各活性成分用の複数の別々のカプセルにおける)、これらの治療薬の同時投与を包含する。さらに、このような投与は、各タイプの治療薬の連続的な使用も包含する。いずれの場合も、処置計画は、本明細書に記載される状態又は障害の処置において、薬物併用の有益な効果を提供するであろう。
【0190】
化合物がSTINGアゴニストであるか否かを決定する典型的な検証は、野生型ヒト又は動物細胞株、及びSTINGコード遺伝子が遺伝子的に不活性化された対応する細胞株(例えば、同型接合STINGノックアウト細胞株)に、化合物を付与することである。STINGアゴニストは、野生型細胞においてI型インターフェロンを誘導するが、STINGコード遺伝子が不活性化された細胞ではI型インターフェロンを誘導しないであろう。
【0191】
本明細書で使用される場合、「STINGアゴニスト」という用語は、STING依存性経路の活性化を、ビス-3’,5’c-ジGMPと少なくとも同じくらい有効に誘導する化合物を指すために用いられる。一部の実施形態では、STINGアゴニストは、STING依存性経路の活性化を、ビス-3’,5’c-ジGMPの少なくとも2倍有効に誘導する。一部の実施形態では、STINGアゴニストは、STING依存性経路の活性化を、ビス-3’,5’c-ジGMPの少なくとも5倍有効に誘導する。一部の実施形態では、STINGアゴニストは、STING依存性経路の活性化を、ビス-3’,5’c-ジGMPの少なくとも10倍有効に誘導する。一部の実施形態では、STINGアゴニストは、STING依存性経路の活性化を、ビス-3’,5’c-ジGMPの少なくとも20倍有効に誘導する。一部の実施形態では、STINGアゴニストは、STING依存性経路の活性化を、ビス-3’,5’c-ジGMPの少なくとも50倍有効に誘導する。一部の実施形態では、STINGアゴニストは、STING依存性経路の活性化を、ビス-3’,5’c-ジGMPの少なくとも100倍有効に誘導する。
【0192】
「治療的に有効な」という語句は、疾患又は障害の処置において、又は臨床的エンドポイントの達成において使用される活性成分の量を制限することが意図される。
【0193】
「治療的に許容可能」という用語は、過度の毒性、刺激、アレルギー反応なしに患者の組織と接触させて使用するのに適しており、合理的な利益/リスク比とつり合い、且つその意図される使用に対して効果的である化合物(又は塩、プロドラッグ、互変異性体、両性イオン形態など)を指す。
【0194】
本明細書で使用される場合、「処置する(こと)」、「処置」などの用語は、疾患を改善して、疾患の原因、その進行、その重症度、又は1つ若しくは複数のその症状を軽減、改善、若しくは排除するか、あるいは被検体の疾患を有益に改変することを意味する。患者を「処置する(こと)」又は患者の「処置」への言及は、予防を含むことが意図される。処置は本質的に先行的であってもよく、すなわち疾患に曝露された、又はそのリスクがある被検体における疾患の防止を含み得る。疾患の防止は、例えば、病原体による感染の防止の場合など、疾患からの完全な保護を含むこともあるし、又は疾患の進行、例えば、境界型糖尿病から糖尿病への進行の防止を含むこともある。例えば、疾患の防止は、任意のレベルの疾患に関連するあらゆる作用の完全な排除を意味するわけではなく、その代わりに、臨床的に有意なレベル又は検出可能なレベルまで疾患の症状を防止することを意味し得る。また疾患の防止は、疾患が疾患の後期まで進行するのを防止することも意味し得る。
【0195】
「患者」という用語は、一般に、「被検体」という用語と同義であり、ヒトを含む全ての哺乳類が含まれる。患者の例としては、ヒト、雌ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、及びウサギなどの家畜、並びにイヌ、ネコ、ウサギ、及びウマなどのコンパニオンアニマルが挙げられる。好ましくは、患者はヒトである。
【0196】
「プロドラッグ」という用語は、インビボでより活性化される化合物を指す。本明細書に開示される特定の化合物は、「薬物及びプロドラッグ代謝における加水分解:化学、生化学、及び酵素学(Hydrolysis in Drug and Prodrug Metabolism:Chemistry,Biochemistry,and Enzymology)」(Testa,Bernard and Mayer,Joachim M.Wiley-VHCA,Zurich,Switzerland 2003)に記載されるように、プロドラッグとして存在することもできる。本明細書に記載される化合物のプロドラッグはその化合物の構造的に修飾された形態であり、生理的条件下で容易に化学変化を受けてその化合物を提供する。さらに、プロドラッグは、エキソビボ環境において、化学的又は生化学的な方法によって化合物に変換され得る。例えば、プロドラッグは、適切な酵素又は化学試薬と共に経皮パッチリザーバー内に配置されたときに、化合物にゆっくり変換され得る。プロドラッグは、いくつかの状況では、化合物、又は親薬物よりも投与するのが容易であり得るので、有用であることが多い。プロドラッグは、例えば、親薬物はそうではないが、経口投与により生体利用可能であり得る。またプロドラッグは、親薬物と比較して、医薬組成物中で改善された溶解性を有し得る。プロドラッグの加水分解切断又は酸化的活性化に依存するものなどの様々な種類のプロドラッグ誘導体が当該技術分野において知られている。プロドラッグの一例(限定はされない)は、エステル(「プロドラッグ」)として投与されるが、その後、活性の実体であるカルボン酸に代謝的に加水分解される化合物であり得る。付加的な例としては、化合物のペプチジル誘導体が挙げられる。
【0197】
本明細書に開示される化合物は、薬物送達ビヒクルを使用して投与することができる。
【0198】
本明細書で使用される場合、単独又は組み合わせで、「薬物送達ビヒクル」という用語は、薬学的に活性の化合物と、薬物動態利益を付与する第2成分とを含む分子集合体を指す。
【0199】
一部の実施形態では、薬物送達ビヒクルは、薬学的に活性の化合物及びターゲティング部分を含む。
【0200】
本明細書で使用される場合、単独又は組み合わせで、「ターゲティング部分」という用語は、生化学的標的への薬学的に活性の化合物の送達を補助する部分を表すために使用される。一部の実施形態では、薬学的に活性の化合物は、ターゲティング部分と共有結合される。一部の実施形態では、薬学的に活性の化合物は、化学的に不安定な結合によりターゲティング部分と共有結合される。この目的で用いられる化学的に不安定な結合の非限定的な例としては、アセタール、ケタール、エステル、及びアミドが挙げられる。一部の実施形態では、薬学的に活性の化合物は、ターゲティング部分に非共有結合される。
【0201】
一部の実施形態では、ターゲティング部分は、生体分子である。ターゲティング部分として用いることができる生体分子として、限定はされないが、ペプチド、タンパク質、抗体、核酸、及び天然に存在するホルモン、補因子、シグナル伝達分子、及び酵素基質が挙げられる。一部の実施形態では、ターゲティング部分は、生体分子の合成類似体である。一部の実施形態では、ターゲティング部分は、合成分子である。一部の実施形態では、ターゲティング部分は、ナノ粒子である。
【0202】
一部の実施形態では、薬物送達ビヒクルは、薬学的に活性の化合物とコンテナ部分(container moiety)とを含む。
【0203】
本明細書で使用される場合、単独又は組み合わせで、「コンテナ部分」という用語は、薬学的に活性の化合物を部分的若しくは完全に収容する分子又は超分子構造を指す。
【0204】
一部の実施形態では、コンテナ部分は、単一分子である。一部の実施形態では、コンテナ部分は、ナノ粒子である。
【0205】
一部の実施形態では、コンテナ部分は、非共有結合した分子の超分子集合体である。一部の実施形態では、コンテナ部分は、リポソームである。一部の実施形態では、コンテナ部分は、ミセルである。一部の実施形態では、コンテナ部分は、小胞である。一部の実施形態では、コンテナ部分は、リン脂質を含む。
【0206】
一部の実施形態では、薬学的に活性の化合物は、コンテナ部分内に完全に含まれる。一部の実施形態では、薬学的に活性の化合物は、コンテナ部分内に部分的に含まれる。一部の実施形態では、薬学的に活性の化合物は、コンテナ部分と非共有結合している。
【0207】
一部の実施形態では、薬物送達ビヒクルは、選択性部分を含む。
【0208】
本明細書で使用される場合、単独又は組み合わせで、「選択性部分」という用語は、被検体の身体の特定の領域への選択的送達を可能にする分子を指す。一部の実施形態では、選択性部分は、目的の器官に薬物送達ビヒクルを選択的に送達する。一部の実施形態では、選択性部分は、腫瘍に薬物送達ビヒクルを選択的に送達する。一部の実施形態では、選択性部分は、生体膜を介した輸送を改善する。一部の実施形態では、選択性部分は、胃腸管から血流への輸送を改善する。一部の実施形態では、選択性部分は、血液脳関門を介した輸送を改善する。選択性部分は、ターゲティング部分であってもよいし、その逆も可能である。
【0209】
本明細書に開示される化合物は、治療的に許容可能な塩として存在することができる。本発明は、酸付加塩を含む塩の形態での上記の化合物を含む。適切な塩としては、有機酸及び無機酸の両方によって形成される塩が挙げられる。このような酸付加塩は、通常、薬学的に許容可能であろう。しかしながら、問題の化合物の調製及び精製において薬学的に許容可能でない塩の塩が有用であることもある。塩基付加塩も形成され、薬学的に許容可能であり得る。塩の調製及び選択のより完全な議論については、「薬学的な塩:特性、選択、及び使用(Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use)」(Stahl,P.Heinrich.Wiley-VCHA,Zurich,Switzerland,2002)を参照されたい。
【0210】
本明細書で使用される「治療的に許容可能な塩」という用語は、水溶性又は油溶性又は分散性であり、本明細書で定義されるように治療的に許容可能である、本明細書に開示される化合物の塩又は両性イオン形態を表す。塩は、化合物の最終の単離及び精製の間に、あるいは別途、遊離塩基の形態の適切な化合物を適切な酸と反応させることによって調製され得る。代表的な酸付加塩には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、L-アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、重硫酸塩、酪酸塩、カンファー酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、ジグルコン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、ゲンチジン酸塩、グルタル酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩(イセチオン酸)、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、DL-マンデル酸塩、メシチレンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフチレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、ホスホン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ピログルタミン酸塩、コハク酸塩、スルホン酸塩、酒石酸塩、L-酒石酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、重炭酸塩、パラ-トルエンスルホン酸塩(p-トシル酸塩)、及びウンデカン酸塩が含まれる。また本明細書に開示される化合物中の塩基性基は、塩化、臭化、及びヨウ化メチル、エチル、プロピル、及びブチル;硫酸ジメチル、ジエチル、ジブチル、及びジアミル;塩化、臭化、及びヨウ化デシル、ラウリル、ミリスチル、及びステリル(steryl);並びに臭化ベンジル及びフェネチルによって四級化することができる。治療的に許容可能な付加塩を形成するために使用可能な酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、及びリン酸などの無機酸と、シュウ酸、マレイン酸、コハク酸、及びクエン酸などの有機酸とが挙げられる。また塩は、化合物と、アルカリ金属又はアルカリ土類金属イオンとの配位によって形成することもできる。従って、本発明は、本明細書に開示される化合物のナトリウム、カリウム、マグネシウム、及びカルシウム塩などを企図する。
【0211】
塩基付加塩は、カルボキシ基を、金属カチオンの水酸化物、炭酸塩、又は重炭酸塩などの適切な塩基と、あるいはアンモニア又は有機第1級、第2級、若しくは第3級アミンと反応させることによって、化合物の最終の単離及び精製の間に調製され得る。治療的に許容可能な塩のカチオンには、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、及びアルミニウム、並びにアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N,N-ジメチルアニリン、N-メチルピペリジン、N-メチルモルホリン、ジシクロヘキシルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N,N-ジベンジルフェネチルアミン、1-エフェンアミン、及びN,N’-ジベンジルエチレンジアミンなどの非毒性第4級アミンカチオンが含まれる。塩基付加塩の形成のために有用な他の代表的な有機アミンには、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、及びピペラジンが含まれる。
【0212】
主題の発明の化合物をそのままの化学物質として投与することが可能であり得るが、医薬製剤として提供することも可能である。従って、本明細書に開示される特定の化合物の1つ又は複数、又はその1つ又は複数の薬学的に許容可能な塩、エステル、プロドラッグ、アミド、若しくは溶媒和物を、その1つ又は複数の薬学的に許容可能な担体及び任意選択的に1つ又は複数の他の治療成分と一緒に含む医薬製剤が本明細書において提供される。担体(単数又は複数)は、製剤の他の成分と適合性であり、且つそのレシピエントに対して有害でないという意味において「許容可能」でなければならない。適切な製剤は、選択される投与経路によって決まる。適切であり、且つ当該技術分野において理解されるような周知の技術、担体、及び賦形剤はどれも使用することができる。本明細書に開示される医薬組成物は、当該技術分野において知られている任意の方法、例えば、従来の混合、溶解、顆粒化、糖衣錠作製、糊状化(levigating)、乳化、カプセル化、封入又は圧縮プロセスによって製造され得る。
【0213】
製剤には、経口、非経口(皮下、皮内、筋肉内、静脈内、関節内、及び髄内を含む)、腹腔内、経粘膜、経皮、直腸及び局所(真皮、頬側、舌下及び眼内を含む)投与に適したものが含まれるが、最も適切な経路は、例えば、レシピエントの状態及び障害に依存し得る。製剤は、都合よく、単位剤形で提供することができ、製薬の技術分野で周知の方法のいずれかによって調製することができる。通常、これらの方法は、主題の発明の化合物又はその薬学的に許容可能な塩、エステル、互変異性体、アミド、プロドラッグ又は溶媒和物(「活性成分」)と、1つ又は複数の補助的な成分を構成する担体とを関連させるステップを含む。一般に、製剤は、活性成分と、液体担体又は微粉化した固体担体又はその両方とを均一且つ密接に関連させ、次に必要に応じて生成物を所望の製剤に成形することによって調製される。
【0214】
経口投与に適した本明細書に開示される化合物の製剤は、所定の量の活性成分をそれぞれが含有するカプセル、カシェ剤若しくは錠剤などの個別の単位として;粉末若しくは顆粒として;水性液体若しくは非水性液体中の溶液若しくは懸濁液として;又は水中油液体エマルション若しくは油水中液体エマルションとして提供され得る。また活性成分は、ボーラス、舐剤又はペーストとして提供されてもよい。
【0215】
経口的に使用することができる医薬調製物には、錠剤、ゼラチン製の押し込み型カプセル、並びにゼラチン及び可塑剤(グリセロール又はソルビトールなど)で製造された密封ソフトカプセルが含まれる。錠剤は、任意選択的に1つ又は複数の補助成分と共に、圧縮又は成形により製造され得る。圧縮錠剤は、結合剤、不活性希釈剤、又は潤滑剤、界面活性剤若しくは分散剤と任意選択的に混合された、粉末又は顆粒などの自由に流動する形態の活性成分を適切な機械で圧縮することによって調製され得る。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を適切な機械で成形することによって製造され得る。錠剤は、任意選択的に、コーティングしたり、又は割線を付けたりすることができ、そしてその中の活性成分の持続又は制御放出を提供するように処方することもできる。経口投与のための全ての製剤は、このような投与に適した投薬量でなければならない。押し込み型カプセルは、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、及び/又はタルク若しくはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、並びに任意選択的に、安定剤と混合して、活性成分を含有することができる。ソフトカプセルにおいて、活性化合物は、脂肪油、流動パラフィン、又は液体ポリエチレングリコールなどの適切な液体中に溶解又は懸濁され得る。さらに、安定剤が添加され得る。糖衣錠コアには適切なコーティングが提供される。この目的のために、濃縮糖溶液を使用することができ、これは、任意選択的に、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カーボポール(carbopol)ゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、及び適切な有機溶媒又は溶媒混合物を含有し得る。識別のため、又は活性化合物用量の種々の組み合わせを特徴付けるために、染料又は顔料を錠剤又は糖衣錠コーティングに添加することができる。
【0216】
化合物は、注射により、例えばボーラス注入又は持続注入により、非経口投与のために処方され得る。注射用製剤は、保存料が添加された単位剤形、例えば、アンプル又は複数回投与容器において提供され得る。組成物は、油性又は水性媒体中の懸濁液、溶液又はエマルションのような形態をとることができ、懸濁化剤、安定剤及び/又は分散剤などの製剤化剤(formulatory agent)を含有することができる。製剤は、単回投与又は複数回投与容器、例えば、密封アンプル及びバイアルで提供することができ、使用の直前に無菌液体担体、例えば、生理食塩水又は無菌のパイロジェンフリー水の添加だけを必要とする、粉末形態又はフリーズドライ(凍結乾燥した)状態で貯蔵することができる。即時注射溶液及び懸濁液は、上記の種類の無菌粉末、顆粒及び錠剤から調製され得る。
【0217】
非経口投与のための製剤には、酸化防止剤、緩衝剤、静菌薬、及び対象とするレシピエントの血液と製剤を等張にする溶質を含有し得る活性化合物の水性及び非水性(油性)無菌注射溶液、並びに懸濁化剤及び増粘剤を含み得る水性及び非水性無菌懸濁液が含まれる。適切な親油性溶媒又は媒体には、ゴマ油などの脂肪油、又はオレイン酸エチル若しくはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、又はリポソームが含まれる。水性注射懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、又はデキストランなどの、懸濁液の粘度を増大させる物質を含有し得る。任意選択的に、懸濁液は、適切な安定剤、又は化合物の溶解度を増大させて非常に濃縮された溶液の調製を可能にする薬剤も含有し得る。
【0218】
特定の実施形態では、非経口投与は、リポソームを用いて促進される。リポソームは、1又は複数層のリン脂質から形成される小胞である。リポソームは、親水性及び疎水性領域の両方を含み、製剤の薬物動態特性を改善するために使用することができる。一部の実施形態では、リポソームは、ペプチドグリカン、リポペプチド、リポ多糖、リン酸化脂質A、アシル化ホスファチジルコリン、アシル化グリセロール、オリゴヌクレオチド、セラミド、レチノイン酸、第4級アンモニウム塩、アニオン、カチオン、及びノニオン性界面活性剤、リポタイコ酸、レシキモド、イミキモド、及びフラゲリンなどの1又は複数種の追加成分を含み得る。
【0219】
前述の製剤に加えて、化合物は、デポー製剤として処方されてもよい。このような長時間作用型製剤は、移植(例えば、皮下又は筋肉内)によって、あるいは筋肉内注射によって投与され得る。従って、例えば、化合物は、適切な高分子又は疎水性材料(例えば、許容可能な油中のエマルションとして)又はイオン交換樹脂と共に、又は難溶性誘導体として、例えば、難溶性の塩として処方され得る。
【0220】
頬側又は舌下投与の場合、組成物は、従来の方法で処方される錠剤、ロゼンジ、トローチ、又はゲルの形態をとることができる。このような組成物は、スクロース及びアカシア又はトラガカントなどの風味付けされた基剤中に活性成分を含み得る。
【0221】
化合物は、例えば、ココアバター、ポリエチレングリコール、又は他のグリセリドなどの従来の坐薬基剤を含有する、坐薬又は停留浣腸などの直腸組成物において処方されてもよい。
【0222】
本明細書に開示される特定の化合物は、局所的に、すなわち非全身性投与により投与され得る。これには、化合物が血流中にあまり入らないように、本明細書に開示される化合物の上皮又は頬側口腔への外側からの適用、並びにこのような化合物の耳、眼及び鼻への滴下が含まれる。対照的に、全身性の投与は、経口、静脈内、腹腔内及び筋肉内投与を指す。
【0223】
局所投与に適した製剤には、ゲル、リニメント、ローション、クリーム、軟膏又はペーストなどの、皮膚を通した炎症部位への浸透に適した液体又は半液体調製物、並びに眼、耳又は鼻への投与に適した点滴剤が含まれる。局所投与のための活性成分は、例えば、製剤の0.001%~10%w/w(重量による)を含み得る。特定の実施形態では、活性成分は、10%w/wを含み得る。他の実施形態では、5%w/w未満を含み得る。特定の実施形態では、活性成分は、2%w/w~5%w/wを含み得る。他の実施形態では、製剤の0.1%~1%w/wを含み得る。
【0224】
吸入による投与の場合、化合物は、都合よく、注入器、ネブライザー加圧パック、又はエアロゾルスプレーを送達するのに便利な他の手段から送達され得る。加圧パックは、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の適切なガスなどの適切な噴射剤を含み得る。加圧エアロゾルの場合、投薬単位は、計量された量を送達するためのバルブを提供することにより決定することができる。あるいは、吸入又は注入による投与の場合、本発明に従う化合物は、乾燥粉末組成物、例えば、化合物と、ラクトース又はデンプンなどの適切な粉末基剤との粉末混合物の形態をとることができる。粉末組成物は、単位剤形、例えば、カプセル、カートリッジ、ゼラチン又はブリスターパックにおいて提供することができ、吸入器又は注入器を用いて、単位剤形から粉末が投与され得る。
【0225】
好ましい単位剤形は、本明細書中で以下に記載されるような有効用量又はその適切な画分の活性成分を含有するものである。
【0226】
特に上記で挙げた成分に加えて、上記の製剤が、問題の製剤のタイプを考慮して当該技術分野で慣習的な他の薬剤を含み得ることは理解されるべきであり、例えば、経口投与に適したものは風味剤を含み得る。
【0227】
化合物は、1日当たり0.1~500mg/kgの用量で、経口的に又は注射により投与され得る。成人の用量範囲は、一般に、5mg~2g/日である。個別の単位で提供される錠剤又は他の提示の形態は、このような投薬量又はその複数回で有効である量の1つ又は複数の化合物を都合よく含有することができ、例えば、単位は、5mg~500mg、通常約10mg~200mgを含有する。
【0228】
単一の剤形を製造するために担体材料と組み合わせることができる活性成分の量は、処置される宿主及び特定の投与モードに応じて異なるであろう。
【0229】
化合物は、種々のモードで、例えば、経口的に、局所的に、又は注射により投与され得る。患者に投与される化合物の正確な量は、主治医の責任であり得る。任意の特定の患者に対する特定の用量レベルは、使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、全体的な健康、性別、食事、投与の時間、投与経路、排出速度、複合薬、処置中の正確な障害、及び処置中の徴候又は状態の重症度を含む様々な因子に依存し得る。また、投与経路は、状態及びその重症度に応じて異なり得る。
【0230】
特定の例では、本明細書に記載される化合物(又はその薬学的に許容可能な塩、エステル、互変異性体、又はプロドラッグ)の少なくとも1つを、別の治療薬と組み合わせて投与することが適切であり得る。ほんの一例として、本明細書の化合物の1つを受けるときに患者が経験する副作用の1つが高血圧である場合、降圧薬を最初の治療薬と組み合わせて投与することが適切であり得る。あるいは、ほんの一例として、本明細書に記載される化合物の1つの治療有効性は、補助剤の投与によって増強され得る(すなわち、補助剤は、それ自体では、最小の治療利益しか有さないかもしれないが、別の治療薬と組み合わせて、患者に対する全体の治療利益が増強される)。あるいは、ほんの一例として、患者が経験する利益は、本明細書に記載される化合物の1つを、同様に治療利益を有する別の治療薬(治療レジメンも含む)と共に投与することにより増大され得る。ほんの一例として、本明細書に記載される化合物の1つを投与することを含む糖尿病の処置において、患者に糖尿病のための別の治療薬も提供することにより、治療利益の増大が生じ得る。いずれの場合も、処置される疾患、障害又は状態にかかわらず、患者が経験する全体の利益は、単に2つの治療薬の相加利益であることもあり、又は患者は相乗利益を経験することもある。
【0231】
いずれの場合も、複数の治療薬(そのうちの少なくとも1つは、本明細書に開示される化合物である)は、任意の順序で、又はさらには同時に投与され得る。同時の場合、複数の治療薬は、単一の統合形態又は複数の形態で(ほんの一例として、単一の丸薬又は2つの別々の丸薬として)提供され得る。治療薬の1つが複数回投与で与えられることもあり、又は両方が複数回投与で与えられることもある。同時ではない場合、複数回投与の間のタイミングは、数分から4週までの範囲の任意の期間であり得る。
【0232】
従って、別の態様では、特定の実施形態は、このような処置を必要としているヒト又は動物対象においてSTING介在性障害を処置するための方法を提供し、本方法は、当該技術分野で知られている前記障害の処置のための少なくとも1つの付加的な薬剤と組み合わせて、前記対象における障害を低減又は予防するのに有効な量の本明細書に開示される化合物を前記対象に投与することを含む。関連の態様では、特定の実施形態は、STING介在性障害の処置のための1つ又は複数の付加的な薬剤と組み合わせて、少なくとも1つの本明細書に開示される化合物を含む治療組成物を提供する。
【0233】
ヒトの処置に有用であることに加えて、本明細書に開示される特定の化合物及び製剤は、コンパニオンアニマル、エキゾチックアニマル及び家畜(哺乳類、げっ歯類などを含む)の獣医学処置のためにも有用であり得る。より好ましい動物は、ウマ、イヌ、及びネコを含む。
【0234】
自己免疫障害
一部の実施形態では、本開示の化合物及び医薬組成物は、自己免疫疾患及び障害の処置に有用となり得る。一部の実施形態では、自己免疫障害は、全身性エリテマトーデス、乾癬、インスリン依存性糖尿病、皮膚筋炎、及びシェーグレン症候群から選択される。一部の実施形態では、自己免疫障害は、多発性硬化症である。
【0235】
一部の実施形態では、本開示の化合物及び医薬組成物は、免疫系不全又は欠損の処置に有用となり得る。
【0236】
一部の実施形態では、本開示の化合物及び医薬組成物は、微生物又はウイルス感染の処置に有用となり得る。一部の実施形態では、ウイルス感染は、肝炎である。
【0237】
炎症及び炎症性疾患
一部の実施形態では、本開示の化合物及び医薬組成物は、炎症又は炎症性疾患若しくは障害の処置に有用となり得る。一部の実施形態では、炎症性疾患又は障害は、骨格筋炎症、血管炎症、神経炎症、消化系炎症、生殖系炎症、及び眼炎症から選択される。
【0238】
一部の実施形態では、炎症性疾患又は障害は、以下:関節炎、腱炎、滑膜炎、腱滑膜炎、滑液包炎、結合組織炎(線維筋痛症)、外上顆炎、筋炎、骨炎、眼瞼炎、眼瞼皮膚弛緩症、結膜炎、涙腺炎、角膜炎、乾性角結膜炎(ドライアイ)、強膜炎、睫毛乱生、ぶどう膜炎、脳炎、ギラン・バレー症候群、髄膜炎、ニューロミオトニア、ナルコレプシー、多発性硬化症、脊髄炎、統合失調症、関節硬化症、関節炎、静脈炎、血管炎、リンパ管炎、胆道炎、胆嚢炎、腸炎、小腸結腸炎、胃炎、胃腸炎、炎症性腸疾患(クローン病及び潰瘍性大腸炎など)、回腸炎、直腸炎、子宮頚炎、絨毛羊膜炎、内膜炎、精巣上体炎、臍炎、卵巣炎、睾丸炎、卵管炎、卵管卵巣膿瘍、尿道炎、膣炎、外陰炎、及び外陰部痛から選択される。
【0239】
一部の実施形態では、炎症性疾患又は障害は、以下:虫垂炎、皮膚炎、皮膚筋炎、心内膜炎、結合組織炎、歯肉炎、舌炎、肝炎、化膿性汗腺炎、虹彩炎、喉頭炎、乳腺炎、心筋炎、腎炎、耳炎、膵炎、耳下腺炎、心膜炎、腹膜炎、咽頭炎、胸膜炎、肺臓炎、前立腺炎、腎盂腎炎、及び口内炎、移植による拒絶反応(腎臓、肝臓、心臓、肺、膵臓(例えば、膵島細胞)、骨髄、角膜、小腸などの臓器、皮膚同種異系移植片、皮膚同種移植片、及び心臓弁異種移植片、血清病(sewrum sickness)、及び移植片対宿主病に関する)、急性膵炎、慢性膵炎、急性呼吸窮迫症候群、セクザリー症候群(Sexary’s syndrome)、先天性副腎過形成症、非化濃性甲状腺炎、癌に伴う高カルシウム血症、天疱瘡、水疱性疱疹状皮膚炎、重症多形性紅斑、剥脱性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、季節性又は通年性アレルギー性鼻炎、気管支喘息、接触皮膚炎、アトピー性(astopic)皮膚炎、薬物過敏(hypersensistivity)反応、アレルギー性結膜炎、角膜炎、眼部帯状疱疹、虹彩炎及び虹彩毛様体炎(oiridocyclitis)、網脈絡膜炎、視神経炎、症候性サルコイドーシス、劇症又は播種性肺結核化学療法、成人における特発性血小板減少性紫斑病、成人における続発性血小板減少症、後天性(自己免疫性)溶血性貧血、成人における白血病及びリンパ腫、小児の急性白血病、限局性腸炎、自己免疫性血管炎、多発性硬化症、慢性閉塞性肺疾患、固形臓器移植拒絶反応、敗血症から選択される。好ましい処置は、移植による拒絶反応、リウマチ様関節炎、乾癬性関節炎、多発性硬化症、1型糖尿病、喘息、炎症性腸疾患、全身性エリテマトーデス、乾癬、慢性肺疾患、及び感染性の病状(例えば敗血症)に伴う炎症の処置を含む。
【0240】
一部の実施形態では、本開示の化合物及び医薬組成物は、炎症性の構成要素を有する自己免疫疾患又は障害の処置に有用となり得る。一部の実施形態では、自己免疫疾患又は障害は、以下:急性汎発性全身性脱毛症、ベーチェット病、シャーガス病、慢性疲労症候群、自律神経失調症、脳脊髄炎、強直性脊椎炎、再生不良性貧血、化膿性汗腺炎、自己免疫性肝炎、自己免疫性卵巣炎、セリアック病、クローン病、1型糖尿病、巨細胞性動脈炎、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、橋本病、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病、川崎病、エリテマトーデス、顕微鏡的大腸炎、顕微鏡的多発動脈炎、混合結合組織病、多発性硬化症、重症筋無力症、オプソクローヌスミオクローヌス症候群(opsoclonus myoclonus syndrome)、視神経炎、オード甲状腺炎(ord’s thyroiditis)、天疱瘡、結節性多発動脈炎、多発筋痛症、リウマチ様関節炎、ライター症候群、シェーグレン症候群、側頭動脈炎、ウェゲナー肉芽腫症、温式自己免疫性溶血性貧血、間質性膀胱炎、ライム病、斑状強皮症、乾癬、サルコイドーシス、硬皮症、潰瘍性大腸炎、及び白斑から選択される。
【0241】
一部の実施形態では、本開示の化合物及び医薬組成物は、神経変性疾患又は障害の処置に有用となり得る。一部の実施形態では、神経変性疾患又は障害は以下:パーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病、及び筋萎縮性側索硬化症から選択される。
【0242】
一部の実施形態では、本開示の化合物及び医薬組成物は、ワクチン投与の前、最中、又は後に投与することができる。共投与によりもたらされる利益としては、ワクチンの効果増大、ワクチンの毒性低減、又はワクチンの副作用の低減が挙げられる。一部の実施形態では、ワクチンは、不活性化又は弱毒化細菌若しくはウイルスを含むことができる。一部の実施形態では、ワクチンは、精製済抗原を含んでもよい。一部の実施形態では、ワクチンは、抗原を発現又は分泌するように組換え操作された生ウイルス若しくは細菌送達ベクターを含んでもよい。一部の実施形態では、ワクチンは、抗原と一緒にロードされた抗原提示細胞を含んでもよい。一部の実施形態では、ワクチンは、不活性化腫瘍細胞を含んでもよい。
【0243】
癌
一部の実施形態では、本開示の化合物は、癌を予防又は処置するために使用され得る。
【0244】
一部の実施形態では、本開示の化合物及び医薬組成物は、癌の処置又は予防に有用となり得、ここで、癌は、以下:急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、副腎皮質癌、AIDS関連癌(カポジ肉腫及びリンパ腫)、肛門癌、虫垂癌、非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍、基底細胞癌、胆管癌(肝外を含む)、膀胱癌、骨癌(骨肉腫及び悪性線維性組織球腫を含む)、脳腫瘍(例えば、星細胞腫、脳腫瘍及び脊髄腫瘍、脳幹グリオーマ、中枢神経系非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍、中枢神経系肺芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣芽腫、上衣腫、髄芽腫、髄上皮腫、中間型松果体実質腫瘍、テント上原始神経外胚葉腫瘍及び松果体腫瘍など)、乳癌、気管支腫瘍、バーキットリンパ腫、基底細胞癌、胆管癌(肝外を含む)、膀胱癌、骨癌(骨肉腫及び悪性線維性組織球腫を含む)、カルチノイド腫瘍、原発不明癌、中枢神経系(例えば、非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍、胎児性腫瘍及びリンパ腫など)、子宮頸癌、小児癌、脊索腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄増殖性障害、結腸癌、大腸癌、頭蓋咽頭腫、皮膚T細胞リンパ腫(菌状息肉症及びセザリー症候群)、胆管(肝外)、非浸潤性乳管癌(DCIS)、胎児性癌(中枢神経系)、子宮内膜癌、上衣芽腫、上衣腫、食道癌、鼻腔神経芽細胞腫、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管癌、眼の癌(眼内黒色腫、網膜芽細胞腫など)、骨の線維性組織球腫(悪性及び骨肉腫を含む)、膀胱癌、胃(Gastric)(胃(Stomach))癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、胚細胞腫瘍(頭蓋外、性腺外、卵巣)、妊娠性絨毛腫瘍、神経膠腫、有毛細胞白血病、頭部及び頸部癌、心臓癌、肝細胞(肝)癌、ヒスチオサイトーシス、ランゲルハンス細胞、ホジキンリンパ腫、下咽頭癌、眼内黒色腫、膵島細胞腫瘍(内分泌、膵臓)、カポジ肉腫、腎臓(腎細胞を含む)、ランゲルハンス細胞組織球症、喉頭癌、白血病(急性リンパ性(ALL)、急性骨髄性(AML)、慢性リンパ性(CLL)、慢性骨髄性(CML)、有毛細胞白血病を含む)、口唇癌及び口腔癌、腎臓癌(原発性)、非浸潤性小葉癌(LCIS)、肺癌(非小細胞及び小細胞)、リンパ腫(AIDS関連、バーキット、皮膚T細胞(菌状息肉症及びセザリー症候群)、ホジキン、非ホジキン、原発性中枢神経系(CNS)、マクログロブリン血症、ワルデンシュトレーム、男性乳癌、骨の悪性線維性組織球腫及び骨肉腫、髄芽腫、髄上皮腫、黒色腫(眼内(眼)を含む)、メルケル細胞癌、中皮腫(悪性)、原発不明転移性扁平上皮性頸部癌、NUT遺伝子正中線癌、口腔癌(Mouth Cancer)、多発性内分泌腺腫瘍症候群、多発性黒色腫/形質細胞腫瘍、菌状息肉症、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍、骨髄性白血病、慢性(CML)、骨髄性白血病、急性(AML)、骨髄腫及び多発性骨髄腫、骨髄増殖性障害(慢性)、鼻腔及び副鼻腔癌、鼻咽頭癌、神経芽腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺癌、口腔癌(Oral Cancer)、口腔癌(Oral Cavity Cancer)、口唇及び、口腔咽頭癌、骨肉腫及び骨の悪性線維性組織球腫、卵巣癌(例えば、上皮、胚細胞腫瘍、及び低悪性度腫瘍など)、膵臓癌(膵島細胞腫瘍を含む)、乳頭腫症、傍神経節腫、副鼻腔及び鼻腔癌、副甲状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、褐色細胞腫、中間型松果体実質腫瘍、松果体芽腫及びテント上原始神経外胚葉腫瘍、下垂体腫瘍、形質細胞腫瘍/多発性黒色腫、胸膜肺芽腫、妊娠及び乳癌、原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫、前立腺癌、直腸癌、腎細胞(腎臓)癌、腎盂及び尿管、移行上皮癌、網膜芽腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、肉腫(ユーイング肉腫ファミリー腫瘍、カポジ、軟組織、子宮肉腫など)、セザリー症候群、皮膚癌(例えば、黒色腫、メルケル細胞癌、非黒色腫など)、小細胞肺癌、小腸癌、軟組織肉腫、扁平上皮癌、原発不明扁平上皮頸部癌、転移性、胃(Stomach)(胃(Gastric))癌、テント上原始神経外胚葉腫瘍、T細胞リンパ腫(皮膚、菌状息肉症及びセザリー症候群)、精巣癌、咽頭癌、胸腺腫及び胸腺癌、甲状腺癌、腎盂及び尿管の移行上皮癌、絨毛腫瘍(妊娠性)、原発不明、特殊型小児癌、尿管及び腎盂、移行上皮癌、尿道癌、子宮癌、子宮内膜、子宮肉腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、若しくはウィルムス腫瘍のうちの1つ又は変異型である。
【0245】
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法は、病状を処置するために使用され、これは、それが必要な被検体に、治療有効量の式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩を投与するステップを含み、ここで、上記の病状は、化学療法薬及び/又は電離放射線に対して耐性を形成している癌である。
【0246】
ワクチンのアジュバント
本発明の一部の実施形態では、ワクチンアジュバントとして使用するための式(Ia)の化合物、又はその薬学的に許容される塩が提供される。
【0247】
一部の実施形態では、さらに、式(Ia)の化合物、又はその薬学的に許容される塩を含むワクチンアジュバントが提供される。
【0248】
一部の実施形態では、さらに、抗原若しくは抗原組成物と、式(Ia)の化合物、又はその薬学的に許容される塩とを含む免疫原性組成物が提供される。
【0249】
一部の実施形態では、さらに、疾患の処置又は予防に使用するための、抗原若しくは抗原組成物と、式(Ia)の化合物、又はその薬学的に許容される塩とを含む免疫原性組成物が提供される。
【0250】
一部の実施形態では、さらに、疾患の処置又は予防を目的とする、抗原若しくは抗原組成物を含む免疫原性組成物を製造するための、式(Ia)の化合物、又はその薬学的に許容される塩の使用が提供される。一部の実施形態では、さらに、疾患を処置又は予防する方法が提供され、これは、疾患に罹患しているか、又はその疑いがあるヒト被検体に対する、抗原若しくは抗原組成物と、式(Ia)の化合物、又はその薬学的に許容される塩とを含む免疫原性組成物の投与を含む。
【0251】
一部の実施形態では、さらに、疾患の処置又は予防に使用するための、抗原若しくは抗原組成物と、式(Ia)の化合物、又はその薬学的に許容される塩とを含むワクチン組成物が提供される。一部の実施形態では、さらに、疾患の処置又は予防に使用するための、抗原若しくは抗原組成物と、式(Ia)の化合物、又はその薬学的に許容される塩とを含むワクチン組成物が提供される。
【0252】
一部の実施形態では、さらに、疾患の処置又は予防を目的とする、抗原若しくは抗原組成物を含むワクチン組成物の製造のための、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩の使用が提供される。
【0253】
一部の実施形態では、さらに、疾患を処置又は予防する方法が提供され、これは、疾患に罹患しているか、又はその疑いがあるヒト被検体に対する、抗原若しくは抗原組成物と、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩とを含むワクチン組成物の投与を含む。
【0254】
また、式(Ia)の化合物、及びその薬学的に許容される塩は、ワクチンと一緒に、その活性を調節するためのアジュバントとして製剤化することもできる。このような組成物は、1つ若しくは複数の抗体、又は1つ若しくは複数の抗体フラグメント又は抗原成分を含有してもよく、そうしたものとして、限定はされないが、タンパク質、DNA、生存若しくは死滅細菌及び/又はウイルス若しくはウイルス様粒子が挙げられる。このような組成物はまた、アジュバント活性を備えた1つ又は複数の成分を含有してもよく、そうしたものとして、限定はされないが、アルミニウム塩、油及び水エマルジョン、熱ショックタンパク質、脂質A調製物及び誘導体、糖脂質、CpG DNA若しくは類似薬剤などの他のTLRアゴニスト、GM-CSF若しくはIL-12若しくは類似薬剤などのサイトカインが挙げられる。
【0255】
組合せ及び併用療法
本発明の化合物は、単独で、又は他の薬学的に活性の化合物と組み合わせて、前述したものなどの病状を処置するために使用することができる。本発明の化合物及び他の薬学的に活性の化合物は、同時に(同じ投与形態若しくは個別の投与形態のいずれかで)又は順次投与することができる。従って、一実施形態では、本発明は、治療有効量の1つ又は複数の本発明の化合物及び1つ又は複数の薬学的に活性の追加化合物を被検体に投与することによって、病状を処置する方法を含む。
【0256】
別の実施形態では、本発明の1つ又は複数の化合物と、1つ又は複数の薬学的に活性の追加化合物と、薬学的に許容される担体と、を含む医薬組成物が提供される。
【0257】
別の実施形態では、1つ又は複数の薬学的に活性の追加化合物は、抗癌薬、増殖抑制薬、及び抗炎症薬から選択される。
【0258】
本明細書に記載のSTINGアゴニスト組成物は、また、処置しようとする病状に関するそれらの治療薬価について選択される他の治療薬と組み合わせて任意に使用される。一般に、本明細書に記載の化合物と、併用療法が使用される実施形態では、他の薬剤は、同じ医薬組成物で投与する必要はなく、物理的及び化学的特性が異なるために、任意に、別の経路により投与される。初期投与を、一般に、確立されたプロトコルに従って実施した後に、観察される効果に基づいて、用量、投与の様式及び投与時間を変更する。特定の例では、本明細書に記載のように、別の治療薬と組み合わせて、STINGアゴニスト化合物を投与するのが適切である。あくまでも例として、STINGアゴニストの治療有効性は、やはり治療利益を有する別の治療薬の投与(これも治療レジメンを含む)によって増大される。処置対象の疾患、障害若しくは病状とは関係なく、患者が被る総合的利益は、単純に2つの治療薬の相加であるか、又は患者は、増大した(すなわち、相乗的)利益を被る。あるいは、本明細書に開示される化合物が副作用を有する場合、その副作用を軽減する薬剤を投与するのが適切である場合もある;又は、アジュバントの投与によって、本明細書に記載される化合物の治療有効性を増大することも可能である。
【0259】
治療有効量は、薬剤をいつ併用療法に使用するかに応じて変動する。併用療法レジメンに使用するための薬物及び他の薬剤の治療有効用量を実験により決定する方法は、立証された方法である。併用療法は、さらに、患者の臨床管理を補助するために、様々な時間で開始及び停止する定期的処置も含む。いずれの場合にも、複数の治療薬(そのうちの1つは、本明細書に記載のSTINGアゴニストである)を任意の順序で、又は同時に投与することができる。同時の場合、複数の治療薬は、任意に、単一の、統一された形態、又は複数の形態(あくまでも例として、単一丸薬若しくは2つの個別の丸薬のいずれかとして)で提供される。
【0260】
一部の実施形態では、治療薬の一方を複数用量で投与するか、又は両方を複数用量として投与する。同時でない場合、複数用量の間のタイミングは、任意に、0週超から12週未満まで変動する。
【0261】
加えて、併用方法、組成物及び製剤は、2種の薬剤の使用に限定するべきではなく、複数の治療薬組合せの使用も考慮される。軽減が求められる病状を処置、予防又は改善するための投薬レジメンは、多様な要因に応じて任意に変更される。これらの要因としては、被検体が罹患している障害、並びに被検体の年齢、体重、性別、食餌、及び健康状態が挙げられる。従って、実際に使用される投薬レジメンは、一部の実施形態において、大幅に変化し、そのため、本明細書に記載される投薬レジメンから逸脱する。
【0262】
本明細書に開示される併用療法を構成する医薬剤は、任意に、組み合わせた投与形態、又はほぼ同時投与のために意図される個別の投与形態である。併用療法を構成する医薬剤は、任意に、順次投与され、どちらかの薬剤は、2ステップ投与を必要とするレジメンにより投与される。2ステップ投与レジメンは、任意に、活性剤の連続的投与又は個別の活性剤の間隔をあけた投与を必要とする。複数の投与ステップの間に置く時間は、医薬剤の効力、溶解度、バイオアベイラビリティ、血漿中半減期及び速度論的プロフィールなど、各医薬剤の特性に応じて、数分から数時間まで変動する。
【0263】
別の実施形態では、STINGアゴニストは、患者に追加利益をもたらす措置と任意に組み合わせて使用される。STINGアゴニスト及び任意の追加治療薬は、疾患若しくは病状の発生の前、最中若しくは後に任意に投与され、STINGアゴニストを含む組成物の投与のタイミングは、一部の実施形態において変動する。従って、例えば、STINGアゴニストは、予防薬として使用され、疾患又は病状の発生を予防するために、病状又は疾患を発現する傾向がある被検体に連続的に投与される。STINGアゴニスト及び組成物は、任意に、症状の発症中、又は発症後可能な限り早期に被検体に投与される。本発明の実施形態を本明細書に示し、説明してきたが、当業者には、そうした実施形態は、例として提供されるに過ぎないことは明らかであろう。当業者は、本発明から逸脱することなく、多数の変形、変更、及び代替を想起されるであろう。本発明の一部の実施形態では、本発明を実施する際、本明細書に記載の実施形態に対して様々な代替物が使用されることは理解すべきである。
【0264】
STINGアゴニストは、抗癌剤と組み合わせて使用することができ、こうした抗癌剤として、限定はされないが、下記のクラス:アルキル化剤、抗代謝剤、植物アルカロイド及びテルペノイド類、トポイソメラーゼ阻害剤、細胞傷害性抗生物質、血管新生阻害剤及びチロシンキナーゼ阻害剤が挙げられる。
【0265】
癌及び腫瘍性疾患に使用するために、STINGアゴニストは、以下に挙げる非限定的な抗癌剤の例の1つ又は複数と一緒に使用するのが最適であり得る:
1)限定はされないが、カルムスチン、クロラムブシル(LEUKERAN)、シスプラチン(PLATIN)、カルボプラチン(PARAPLATIN)、オキサリプラチン(ELOXATIN)、ストレプトゾシン(ZANOSAR)、ブスルファン(MYLERAN)、ダカルバジン、イソスファミド、ロムスチン(CCNU)、メルファラン(ALKERAN)、プロカルバジン(MATULAN)、テモゾロミド(TEMODAR)、チオテパ、及びシクロホスファミド(ENDOXAN)を含むアルキル化剤;
2)限定はされないが、クラドリビン(LEUSTATIN)、メルカプトプリン(PURINETHOL)、チオグアニン、ペントスタチン(NIPENT)、シトシンアラビノシド(シタラビン、ARA-C)、ゲムシタビン(GEMZAR)、フルオロウラシル(5-FU、CARAC)、カペシタビン(XELODA)、ロイコボリン(FUSILEV)、メトトレキサート(RHEUMATREX)、ラルチトレキセドを含む抗代謝剤;
3)限定はされないが、ドセタキセル(TAXITERE)及びパクリタキセル(ABRAXANE、TAXOL)などのタキサン;ビンクリスチン(ONCOVIN)、ビンブラスチン、ビンデシン、及びビノレルビン(NAVELBINE)などのビンカアルカロイドを含む抗分裂剤(往々にして、植物アルカロイド及びテルペノイドである)、又はそれらの誘導体;
4)限定はされないが、カンプトテシン(CTP)、イリノテカン(CAMPTOSAR)、トポテカン(HYCAMTIN)、テニポシド(VUMON)、及びエトポシド(EPOSIN)を含むトポイソメラーゼ阻害剤;
5)限定はされないが、アクチノマイシンD(ダクチノマイシン、COSMEGEN)、ブレオマイシン(BLENOXANE)、ドキソルビシン(ADRIAMYCIN)、ダウノルビシン(CERUBIDINE)、エピルビシン(ELLENCE)、フルダラビン(FLUDARA)、イダルビシン、マイトマイシン(MITOSOL)、ミトキサントロン(NOVANTRONE)、プリカマイシンを含む細胞傷害性抗生物質;
6)限定はされないが、アミノグルテチミド、アナストロゾール(ARIMIDEX)、レトロゾール(FEMARA)、ボロゾール(RIVIZOR)、エキセメスタン(AROMASIN)を含むアロマターゼ阻害剤;
7)限定はされないが、ゲニステイン、スニチニブ(SUTENT)及びベバシズマブ(AVASTIN)を含む血管新生阻害剤;
8)アミノグルテチミド(CYTADREN)、ビカルタミド(CASODEX)、シプロテロン、フルタミド(EULEXIN)、ニルタミド(NILANDRON)などの抗ステロイド及び抗アンドロゲン;
9)限定はされないが、イマチニブ(GLEEVEC)、エルロチニブ(TARCEVA)、ラパチニブ(TYKERB)、ソラフェニブ(NEXAVAR)、及びアキシチニブ(INLYTA)を含むチロシンキナーゼ阻害剤;
10)エベロリムス、テミシロリムス(TORISEL)、及びシロリムスなどのmTOR阻害剤;
11)トラスツズマブ(HERCEPTIN)及びリツキシマブ(RITUXAN)などのモノクローナル抗体;
12)アマサクリン;バチルス・カルメット・ゲラン桿菌(Bacillus Calmette-Guerin)(B-C-G)ワクチン;ブセレリン(ETILAMIDE);クロロキン(ARALEN);クロドロン酸塩、パミドロン酸塩、及びその他のビスホスホネート;コルヒチン;デメトキシビリジン;ジクロロ酢酸塩;エストラムスチン;フィルグラスチム(NEUPOGEN);フルドロコルチゾン(FLORINEF);ゴセレリン(ZOLADEX);インターフェロン;ロイコボリン;ロイプロリド(LUPRON);レバミソール;ロニダミン;メスナ;メトホルミン;ミトタン(o,p’-DDD、LYSODREN);ノコダゾール;オクトレオチド(SANDOSTATIN);ペリホシン;ポルフィマー(特に、光線及び放射線療法と組み合わせて);スラミン;タモキシフェン;二塩化チタノセン;トレチノイン;フルオキシメステロン(HALOTESTIN)などのアナボリックステロイド;エストラジオール、ジエチルスチルベストロール(DES)、及びジエネストロールなどのエストロゲン;メドロキシプロゲステロン酢酸エステル(MPA)及びメゲストロールなどのプロゲスチン;並びにテストステロンなどの他の薬剤。
【0266】
多発性硬化症の処置に使用する場合、STINGアゴニストは、以下に挙げる非限定的な薬剤の例の1つ又は複数と一緒に使用するのが最適であり得る:グラチラマー、コルチコステロイド、チザニジン(ZANAFLEX)又はバクロフェン(LIORESAL)などの筋肉弛緩剤、アマンタジン(SYMMETREL)、モダフィニル(PROVIGIL)などの疲労を軽減する薬剤、並びにうつ病、疼痛、及び膀胱又は腸調節障害を緩和する薬剤。
【0267】
一部の実施形態では、STINGアゴニストは、以下に挙げる非限定的な免疫チェックポイント阻害剤の例の1つ又は複数と一緒に使用するのが最適であり得る:CTLA-4、PD-1、Tim-3、Vista、BTLA、LAG-3及びTIGIT経路アンタゴニスト;PD-1経路遮断剤;限定はされないが、抗PD-1抗体ニボルマブ、ペムブロリズマブ若しくはピジリズマブを含む、PD-1阻害剤;PD-1阻害剤のAMP-224;抗CTLA-4抗体イピリムマブ;並びに抗PD-L1抗体のBMS-936559、MPDL3280A、MEDI4736、及びアベルマブ。
【0268】
一部の実施形態では、STINGアゴニストは、以下に挙げる非限定的な抗体治療薬例の1つ又は複数と一緒に使用するのが最適であり得る:ムロモナブ-CD3、インフリキシマブ(REMICADE)、アダリムマブ(HUMIRA)、オマリズマブ(XOLAIR)、ダクリズマブ(ZENAPAX)、リツキシマブ(RITUXAN)、イブリツモマブ(ZEVALIN)、トシツモマブ(BEXXAR)、セツキシマブ(ERBITUX)、トラスツズマブ(HERCEPTIN)、ADCETRIS、アレムツズマブ(CAMPATH-1H)、Lym-1(ONCOLYM)、イピリムマブ(YERVOY)、ビタキシン、ベバシズマブ(AVASTIN)、及びアブシキシマブ(REOPRO)。
【0269】
被検体が、炎症性疾患に罹患しているか、又は罹患のリスクがある場合には、本明細書に記載のSTINGアゴニスト化合物を、任意に、炎症性状態を処置するための1つ又は複数の薬剤又は方法と一緒に任意の組合せで使用する。自己免疫及び/又は炎症性症状を処置するための治療薬/処置は、限定はされないが、下記の例のいずれかを含む:
1)限定はされないが、コルチゾン、デキサメタゾン、及びメチルプレドニゾロンを含むコルチコステロイド;
2)限定はされないが、イブプロフェン、ナプロキセン、アセトアミノフェン、アスピリン、フェノプロフェン(NALFON)、フルルビプロフェン(ANSAID)、ケトプロフェン、オキサプロジン(DAYPRO)、ジクロフェナクナトリウム(VOLTAREN)、ジクロフェナクカリウム(CATAFLAM)、エトドラク(LODINE)、インドメタシン(INDOCIN)、ケトロラク(TORADOL)、スリンダク(CLINORIL)、トルメチン(TOLECTIN)、メクロフェナメイト(MECLOMEN)、メフェナム酸(PONSTEL)、ナブメトン(RELAFEN)及びピロキシカム(FELDENE)を含む非ステロイド性抗炎症薬(NSAID);
3)限定はされないが、メトトレキサート(RHEUMATREX)、レフルノミド(ARAVA)、アザチオプリン(IMURAN)、シクロスポリン(NEORAL、SANDIMMUNE)、タクロリムス及びシクロホスファミド(CYTOXAN)を含む免疫抑制剤;
4)限定はされないが、リツキシマブ(RITUXAN)を含むCD20遮断薬;
5)限定はされないが、エタネルセプト(ENBREL)、インフリキシマブ(REMICADE)及びアダリムマブ(HUMIRA)を含む腫瘍壊死因子(TNF)遮断薬;
6)限定はされないが、アナキンラ(KINERET)を含むインターロイキン-1受容体アンタゴニスト;
7)限定はされないが、トシリズマブ(ACTEMRA)を含むインターロイキン-6阻害剤;
8)限定はされないが、AIN457を含むインターロイキン-17阻害剤;
9)限定はされないが、タソシチニブを含むヤーヌスキナーゼ阻害剤;並びに
10)限定はされないが、フォスタマチニブを含むsyk阻害剤。
【0270】
また、組成物は、放射線療法、手術療法、免疫療法、凍結治療、遺伝子療法、又は当業者による使用のために公知の他のいずれかの療法と組み合わせて投与してもよい。
【0271】
併用療法は、同じ期間中、又は連続的に、又は重複する間隔で適用してもよい。非連続的併用療法は、2つ以上の療法の間に交互に行ってもよい。一部の実施形態では、特定の療法の投与の期間を延長することが望ましい場合もある。一部の状況では、療法同士の期間を短縮又は延長することが望ましい場合もある。
【0272】
略語のリスト
DCI=4,5-ジシアノイミダゾール;DDTT=3-((ジメチルアミノメチリデン)アミノ)-3H-1,2,4-ジチアゾール-5-チオン;DMAP=4-ジメチルアミノピリジン;DMOCP=2-クロロ-5,5-ジメチル-2-オキソ-1,3,2-ジオキサホスホリナン;DMTr=ジメトキシトリチル=(4-メトキシフェニル)2(フェニル)メチル;Piv=ピバロイル=(CH3)3C-C(=O)-;NaOH=水酸化ナトリウム;M=モル;mL=ミリリットル;h=時間;min=分;HCl=塩化水素;H2O=水、MS=質量分析法;ES+=エレクトロスプレー正イオン化法;1H-NMR=プロトン核磁気共鳴;31P-NMR=リン核磁気共鳴;MHz=メガヘルツ;H=水素;RT=室温;℃=摂氏;Br2=臭素;NaHSO3=亜硫酸水素ナトリウム;NMP=N-メチル-2-ピロリドン;MW=マイクロ波;KF=フッ化カリウム;Pd(dppf)Cl2=[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド;PE=石油エーテル;EtOAc=酢酸エチル;EA=酢酸エチル;CDCl3=重水素化クロロホルム;DMSO-d6=重水素化-6ジメチルスルホキシド;CD3CN=重水素化アセトニトリル;MeOH=メタノール;D2O=重水;prep-HPLC=分取高速液体クロマトグラフィ(Preparative high pressure liquid chromatography)、また、分取高速液体クロマトグラフィ(Preparative high performance liquid chromatography)としても知られる);DMSO=ジメチルスルホキシド;MeCN=アセトニトリル;NH3=アンモニア;NH4OH=水酸化アンモニウム;NIS=N-ヨードスクシンイミド;DMF=ジメチルホルムアミド;K3PO4=第三リン酸カリウム;N2=窒素;Py=ピリジン;THF=テトラヒドロフラン;TEA=トリエチルアミン;TBSCl=tert-ブチルジメチルシリルクロリド;TEAB=重炭酸テトラエチルアンモニウム;TMSCl=クロロトリメチルシラン;
【0273】
TFA=トリフルオロ酢酸;DCM=ジクロロメタン;K2CO3=炭酸カリウム;ul=マイクロリットル。
【0274】
化合物を調製するための一般的な合成方法
以下のスキームは、本発明を実施するために使用することができる。
【0275】
【化15】
本明細書に開示される化合物は、当業者には明らかである変形を使用して、スキームIに示される一般的な合成手順を用いることにより合成することができる。非保護5’ヒドロキシルを有するヌクレオチド又はヌクレオチド類似体101と、その2’ヒドロキシルにホスホロアミダイト部分を有するヌクレオチド又はヌクレオチド類似体102を、フッ化ピリジニウムを用いてカップリングする。DDTTを用いた中間亜リン酸塩の酸化的硫化により、ホスホロチオエート中心にR
P及びS
Pジアステレオ異性体の混合物を付与する。
【0276】
第3ステップで、ジクロロ酢酸を用いて、102から得られた断片上のDMTr基を除去する。次に、中間体103をDMOCPで環状化した後、ビューケージ(Beaucage)試薬(3H-1,2-ベンゾジチオール-3-オン1,1-ジオキシド)を用いて、酸化的硫化に付した。新たに形成されたホスホロチオエート中心での立体化学によって、RP及びSP立体異性体の混合物を得ることができる。以前の文献(Gaffney,B.L.et al.Org.Lett.2010,12(14),3269-3271;Zhao,J.et al.Nucleosides Nucleotides Nucl Acids 2009,28,352-378;Battistini,C.et al.Tetrahedron 1993,49,1115-1132.)に基づいて、この中心における立体化学は、多くの場合、しかし常にではないが、RPとして割り当てられ、スキーム1では、(R)と示される。アンモニアによる104のシアノエチル基の除去、続いて、フッ化物を用いた105のシリル保護基の除去によって、合成が完了する。環状ジヌクレオチド106は、ジアステレオ異性体の混合物として得られ、典型的には、前述の文献に基づいて、ホスホロチオエート中心におけるRPRP及びSPRPとして割り当てられる。また、いくつかのケースでは、3つ以上のジアステレオ異性体を取得することも可能である。逆相HPLC精製により、ジアステレオ異性体を分離して、実質的に純粋な形態で取得することができる。所望であれば、イオン交換樹脂を用いた処理により、アニオン形態を取得することができる。限定はされないが、このようにして、二ナトリウム塩を得ることができる。
【実施例】
【0277】
以下の実施例により本発明をさらに説明する。
【0278】
中間体A
(2R,3R,4R,5R)-2-(4-ベンズアミド-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)テトラヒドロフラン-3-イル(2-シアノエチル)ジイソプロピルホスホロアミダイト
【化16】
ステップ1
【化17】
(2R,3R,4S,5R)-2-(4-アミノ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-3,4-ジオール
圧力安全スチール製容器内で、(2R,3R,4S,5R)-2-(4-クロロ-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-3,4-ジオール(7.0g、24.5mmol)及び7N NH
3のMeOH(70mL)中の混合物を110℃で16時間攪拌した。混合物をRTに冷却させ、揮発物を減圧下で除去した。この反応の10のバッチを並行して実施した。残渣を合わせて、MeOH(500ml)で滴定することにより、表題化合物をオフホワイトの固体として得た。
【0279】
ステップ2
【化18】
N-(7((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)ベンズアミド
前のステップからの生成物(65.2g、245mmol)のピリジン(1.14L)中の0℃の溶液に、TMSCl(119.8g、1.10mol、4.5eq)を30分かけて滴下しながら添加した。混合物を0℃でさらに30分間攪拌した後、BzCl(6g、34.9mmol、1.5eq)を滴下しながら添加した。得られた混合物をRTで16時間攪拌し、0℃まで冷却してからH
2O(200mL)、続いて25%aq.NH
4OH(500mL)でクエンチした。揮発物を減圧下で除去し、残渣をH
2O(1.5L)で希釈してから、EtOAc(3×2.0L)で抽出した。有機層を無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮した。残渣をSiO
2ゲルクロマトグラフィ(DCM:MeOH=20:1)により精製して、表題化合物を得た(2ステップで、60.7g、0.164mmol、67%)。
MS(ES
+)C
18H
19N
4O
5 理論値:371,実測値:370.8[M+H]
+;
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ ppm 11.15(s,1H),8.61(s,1H),8.07(d,J=7.4Hz,2H),7.74(d,J=3.8Hz,1H),7.61-7.67(m,1H),7.52-7.58(m,2H),6.69(d,J=3.6Hz,1H),6.24(d,J=6.4Hz,1H),5.38(d,J=6.4Hz,1H),5.18(d,J=4.8Hz,1H),5.08(t,J=5.5Hz,1H),4.43(q,J=6.1Hz,1H),4.09-4.15(m,1H),3.93(q,J=3.6Hz,1H),3.52-3.68(m,2H).
【0280】
ステップ3
【化19】
N-(7((2R,3R,4S,5R)-5-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)ベンズアミド
前のステップからの生成物(60.0g、162.0mmol)のピリジン(420mL)中の溶液に、DMTrCl(65.87g、194.4mol、1.2eq)を添加した。混合物をRT℃で16時間攪拌し、CH
2Cl
2(1.0L)で希釈してから、NaHCO
3(2×500mL)、H
2O(500mL)及び塩水(500mL)で洗浄した。有機層を無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮した。残渣をSiO
2ゲルクロマトグラフィ(5/1石油エーテル/EtOAcから100%EtOAc)により精製して、表題化合物(89.3g、132.8mmol、82%)を白色フォームとして得た。
【0281】
ステップ4
【化20】
N-(7((2R,3R,4S,5R)-5-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-4-ヒドロキシ-テトラヒドロフラン-2-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)ベンズアミド(A-4a)及びN-(7((2R,3R,4S,5R)-5-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-3-ヒドロキシ-4-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-テトラヒドロフラン-2-イル)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)ベンズアミド(A-4b)
前のステップからの生成物(55g、81.76mmol)及びAgNO
3(22.92g、134.9mmol、22.7mL、1.65eq)のTHF(400mL)中の混合物に、TBSCl(78.75g、522.48mmol、1.76eq)を添加した。反応混合物をRTで5時間攪拌し、濾過した後、減圧下で濃縮した。残渣をSiO
2ゲルクロマトグラフィ(石油エーテル/EtOAc=10/1から2/1)により精製して、A-4a(70g、88.9mmol、54.4%)及びA-4b(7g、8.89mmol、5.4%)を得た。
A-4a:
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ ppm 11.16(br s,1H),8.58(s,1H),8.07(d,J=7.7Hz,2H),7.52-7.67(m,4H),7.42(d,J=7.7Hz,2H),7.22-7.32(m,7H),6.88(d,J=8.8Hz,4H),6.69(d,J=3.8Hz,1H),6.30(d,J=5.4Hz,1H),5.12(d,J=5.8Hz,1H),4.59(t,J=5.3Hz,1H),4.07-4.21(m,2H),3.73(s,6H),3.28(br s,2H),0.75(s,9H),-0.04(s,3H),-0.16(s,3H).
A-4b:
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ ppm 11.76(brs,1H),8.59(s,1H),8.07(d,J=7.8Hz,2H),7.61-7.66(m,2H),7.52-7.57(m,2H),7.38(br d,J=7.8Hz,2H),7.19-7.32(m,7H),6.86(d,J=8.7Hz,4H),6.68(d,J=3.6Hz,1H),6.21(d,J=5.6Hz,1H),5.38(br d,J=5.9Hz,1H),4.57(br d,J=5.1Hz,1H),4.34(t,J=4.4Hz,1H),4.00(br d,J=4.1Hz,1H),3.72(s,6H),3.30-3.39(m,1H),3.12-3.16(m,1H),3.14(br dd,J=4.7,10.4Hz,1H),0.84(s,9H),0.08(s,3H),0.03(s,3H).
【0282】
ステップ5
【化21】
(2R,3R,4R,5R)-2-(4-ベンズアミド-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-5-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)テトラヒドロフラン-3-イル(2-シアノエチル)ジイソプロピルホスホロアミダイト
A-4b(10.0g、12.71mmol)のCH
2Cl
2(100mL)中の溶液に、3-((ビス(ジイソプロピルアミノ)ホスファニル)-オキシ)プロパンニトリル(4.21g、14mmol、1.1eq)及びDCI(2.25g、19.07mmol、1,5eq)を添加した。混合物をRTで5時間攪拌し、CH
2Cl
2(100mL)で希釈した後、飽和NaHCO
3(3×100mL)で洗浄した。有機層をNa
2SO
4上で乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮した。残渣をSiO
2ゲルクロマトグラフィ(石油エーテル/EtOAc=10/1から3/1;0.5TEA)により精製して、表題化合物(10.0g、9.72mmol、76%)を白色フォームとして得た。
1H-NMR(400MHz,CD
3CN)δ ppm 9.23(br s,1H),8.52(br s,1H),8.01(br d,J=5.8Hz,2H),7.60-7.68(m,1H),7.51-7.58(m,2H),7.40-7.50(m,3H),7.18-7.34(m,7H),6.79-6.92(m,5H),6.34-6.48(m,1H),4.97-4.70(m,1H),4.63-4.48(m,1H),4.13(br d,J=3.9Hz,1H),3.84-3.69(m,7H),3.62-3.41(m,4H),3.27-3.15(m,1H),2.58(t,J=6.2Hz,1H),2.41(t,J=6.2Hz,1H),1.12-1.03(m,9H),0.91-0.84(m,12H),0.13(d,J=16.2Hz,3H),0.05(s,3H);
31P NMR(162MHz,CD
3CN)δ ppm 149.92,149.53.
【0283】
中間体B
(2R,3R,4R,5R)-5-(4-ベンズアミド-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-3-イルホスホン酸水素
【化22】
ステップ1
【化23】
(2R,3R,4R,5R)-5-(4-ベンズアミド-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-2-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)テトラヒドロフラン-3-イルホスホン酸水素
亜リン酸(15.63g、190.6mmol、15eq)を無水ピリジン(5mL)と一緒に3回同時蒸発させた後、約45℃まで加熱しながら無水ピリジン(75mL)に溶解させた。混合物をRTまで冷却させた。A-4a(10.0g、12.7mmol)を添加し、混合物を0℃まで冷却した。塩化ピバロイル(15.32g、127.07mmol、10.0eq)を0℃でゆっくりと添加して、得られた混合物をRTまで昇温させてから、16時間攪拌した。次に、反応混合物を1Maq.TEAB(100mL)によりクエンチした後、EtOAc(3×1000mL)で抽出した。合わせた有機層を0.5Maq.TEAB(100mL)、及び塩水(1000mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮した。残渣をSiO
2ゲルクロマトグラフィ(CH
2Cl
2/MeOH=50/1)により精製して、表題化合物を白色フォームとして得た(8.0g、8.38mmol、66%)。
【0284】
ステップ2
【化24】
(2R,3R,4R,5R)-5-(4-ベンズアミド-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-3-イルホスホン酸水素
前のステップからの生成物(40.0g、42.01mmol)及びH
2O(4.0g、222mmol、4.0mL、5.3eq)をCl
2CHCOOHのCH
2Cl
2(6%v/v、400mL)中の溶液に添加し、反応混合物をRTで0.5時間攪拌してから、H
2O(4×200mL)で洗浄した。有機層を無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過した。SiO
2ゲル(80g、事前にTEAで処理した)を濾過物と合わせて、混合物を減圧下で濃縮することにより、さらさらのSiO
2ゲル粉末を得た。残渣をSiO
2ゲルカラムクロマトグラフィ(CH
2Cl
2/MeOH=50/1から30/1)により精製して、表題化合物を白色固体として得た(15.0g、23.08mmol、55%)。
MS(ES
+)C
24H
34N
4O
7PSi 理論値:549,実測値:549.1 [M+H]
+;
1H-NMR(400MHz,400MHz,DMSO-d
6)δ ppm 11.15(br s,1H),8.49-8.74(m,1H),8.08(d,J=7.6Hz,2H),7.78(d,J=3.6Hz,1H),7.60-7.67(m,1H),7.51-7.57(m,2H),6.74(d,J=3.6Hz,1H),6.28(d,J=6.2Hz,1H),5.75(s,1H),4.56-4.74(m,2H),4.16(br s,1H),3.61-3.76(m,2H),3.03(q,J=7.2Hz,5H),1.19(t,J=7.4Hz,7H),0.69(s,9H),-0.09(s,3H),-0.27(s,3H);
31P NMR(162MHz,DMSO-d
6)δ ppm 0.72.
【0285】
中間体C
(2R,3R,4R,5R)-5-(6-ベンズアミド-9H-プリン-9-イル)-4-フルオロ-2-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-3-イルホスホン酸水素
【化25】
ステップ1
【化26】
N-(9-((2R,3R,4R,5R)-5-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-3-フルオロ-4-ヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)-9H-プリン-6-イル)ベンズアミド
N-(9-((2R,3R,4R,5R)-3-フルオロ-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-9H-プリン-6-イル)ベンズアミド(35g、93.7mmol)のピリジン(180mL)中の溶液に、DMTrCl(38.12g、112.5mmol、1.2eq)を添加し、得られた混合物をRTで16時間攪拌した。次に、混合物をCH
2Cl
2(800mL)で希釈した後、飽和NaHCO
3(2×400mL)及び塩水(400mL)で洗浄した。有機層を無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮した。残渣をSiO
2ゲルクロマトグラフィ(石油エーテル/EtOAc=10/1から1/4)により精製して、表題化合物(53.0g、78.4mmol、84%)を白色の固体として得た。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ ppm 11.26(br s,1H),8.74(s,1H),8.62(s,1H),8.05(d,J=7.4Hz,2H),7.60-7.72(m,1H),7.48-7.58(m,2H),7.32(d,J=7.2Hz,2H),7.14-7.24(m,7H),6.80(dd,J=6.2,8.7Hz,4H),6.43(d,J=20.0Hz,1H),5.73-5.85(m,1H),5.61(d,J=4.4Hz,1H),4.76-4.99(m,1H),4.14(br d,J=5.4Hz,1H),3.64-3.79(m,7H),3.19-3.33(m,2H).
【0286】
ステップ2
【化27】
(2R,3R,4R,5R)-5-(6-ベンズアミド-9H-プリン-9-イル)-2-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-4-フルオロテトラヒドロフラン-3-イルホスホン酸水素
亜リン酸(18.2g、222mmol、15eq)を無水ピリジン(15mL)と一緒に3回同時蒸発させた後、加熱しながら無水ピリジン(150mL)中に溶解させた。混合物をRTまで冷却させた。前のステップからの生成物(10g、14.8mmol)を添加し、得られた混合物を0℃まで冷却した。塩化ピバロイル(17.85g、148mmol、10eq)を0℃でゆっくりと添加して、得られた混合物をRTまで昇温させてから、16時間攪拌した。次に、反応混合物を1M水性TEAB(150mL)でクエンチしてから、EtOAc(3×900mL)で抽出した。合わせた有機層を0.5M水性TEAB(900mL)、塩水(900mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮した。残渣をSiO
2ゲルクロマトグラフィ(CH
2Cl
2/MeOH=50/1から20/1;1%TEA)により精製して、表題化合物を白色フォームとして得た(38g)。
【0287】
ステップ3
【化28】
(2R,3R,4R,5R)-5-(6-ベンズアミド-9H-プリン-9-イル)-4-フルオロ-2-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-3-イルホスホン酸水素
前のステップからの生成物(38g、45.19mmol)及びH
2O(4.0g、222mmol、4.0mL、5eq)をCl
2CHCOOHのCH
2Cl
2(6%v/v、380mL)中の溶液に添加し、反応混合物をRTで0.5時間攪拌した。反応混合物を濾過して、赤色固体を取得し、これをCH
2Cl
2(2×20mL)で洗浄することにより、表題化合物を白色固体として得た(15g、30.87mmol、68%)。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ ppm 11.24(br s,1H),8.78(s,1H),8.73(s,1H),8.02-8.08(m,2H),7.76(d,J=1.2Hz,0.5H),7.62-7.68(m,1H),7.53-7.59(m,2H),6.69(s,1H),6.46(dd,J=3.2,16.6Hz,1H),6.07(d,J=1.4Hz,0.5H),5.87-5.91(m,1H),5.73-5.78(m,1H),5.17-5.28(m,1H),4.22-4.28(m,1H),3.64-3.84(m,2H).
【0288】
中間体D
(2R,3R,4R,5R)-2-(6-ベンズアミド-9H-プリン-9-イル)-5-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)テトラヒドロフラン-3-イル(2-シアノエチル)ジイソプロピルホスホロアミダイト
【化29】
ステップ1
【化30】
N-(9-((2R,3R,4S,5R)-5-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)-9H-プリン-6-イル)ベンズアミド
N-(9-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-9H-プリン-6-イル)ベンズアミド(100g、269.3mmol)のピリジン(500mL)中の0℃の溶液に、DMAP(1.64g、13.46mmol、0.05eq)及びDMTrCl(100.4g、296.2mmol、1.1eq)を添加した。反応混合物をRTで16時間攪拌した後、MeOH(500mL)の添加によりクエンチした。揮発物を減圧下で除去してから、残渣をSiO
2ゲルクロマトグラフィ(1/1石油エーテル/EtOAcから100%EtOAc)により精製して、表題化合物を白色フォームとして得た(150g、223mmol、83%)。
【0289】
ステップ2
【化31】
N-(9-((2R,3R,4S,5R)-5-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-3-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-4-ヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)-9H-プリン-6-イル)ベンズアミド(D-2a)及びN-(9((2R,3R,4S,5R)-5-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-4-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)-3-ヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)-9H-プリン-6-イル)ベンズアミド(D-2b)
前のステップからの生成物(200g、296.9mmol)のTHF(800mL)及びピリジン(15mL)中の溶液に、AgNO
3(83.2g、489.8mmol、82mL、1.65eq)及びTBSCl(78.7g、522.5mmol、1.76eq)を添加し、混合物をRTで16時間攪拌した。反応混合物を濾過し、H
2O(1.0L)で希釈してから、EtOAc(3×1.0L)で抽出した。合わせた有機層を塩水(2×1.0L)で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させた後、減圧下で濃縮した。残渣をSiO
2ゲルクロマトグラフィ(石油エーテル/EtOAc=3/1から1/1)により精製して、D-2a(114g、145mmol、49%)及びD-2b(53g、68mmol、23%)を得た。
【0290】
ステップ3
【化32】
(2R,3R,4R,5R)-2-(6-ベンズアミド-9H-プリン-9-イル)-5-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)テトラヒドロフラン-3-イル(2-シアノエチル)ジイソプロピルホスホロアミダイト
D-2b(19.0g、24.1mmol)のMeCN(200mL)中の0℃の溶液に、3-((ビス(ジイソプロピルアミノ)ホスファニル)-オキシ)プロパンニトリル(7.99g、26.5mmol、1.1eq)及びDCI(3.42g、28.9mmol、1.2eq)を添加し、得られた混合物をN
2雰囲気下、RTで3時間攪拌した。揮発物を減圧下で除去した後、残渣をSiO
2ゲルクロマトグラフィ(石油エーテル/EtOAc=4/1から1.5/1;1%TEA)により精製して、表題化合物を白色フォームとして得た(20.5g、20.74mmol、86%)。
MS(ES
+)C
53H
67N
7O
8PSi 理論値:988,実測値:987.8 [M+H]
+;
1H-NMR(400MHz,CD
3CN)δ ppm 8.57(s,1H),8.26(s,1H),7.91(br d,J=7.6Hz,2H),7.57(m,1H),7.47-7.49(m,2H),7.17-7.21(m,9H),6.73-6.76(m,4H),6.10-6.19(m,1H),5.10-5.14(m,1H),4.64-4.68(m,1H),4.10-4.14(m,1H),3.25-3.75(m,7H),3.40-3.51(m,4H),3.15-3.18(m,1H),2.58(t,J=6.0Hz,1H),2.41(t,J=6.0Hz,1H),1.03-1.06(m,9H),0.76-0.86(m,12H),0.00-0.93(m,6H);
31P NMR(162MHz,CD
3CN)δ ppm 150.32,149.58.
【0291】
中間体E
(2R,3R,4R,5R)-5-(6-ベンズアミド-9H-プリン-9-イル)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-3-イルホスホン酸水素トリエチルアンモニウム塩
【化33】
ステップ1
【化34】
(2R,3R,4R,5R)-5-(6-ベンズアミド-9H-プリン-9-イル)-2-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-4-(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)テトラヒドロフラン-3-イル(2-シアノエチル)ホスホン酸水素
(2R,3R,4R,5R)-5-(6-ベンズアミド-9H-プリン-9-イル)-2-((ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)メチル)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)テトラヒドロフラン-3-イル(2-シアノエチル)ジイソプロピルホスホロアミダイト(25g、25.3mmol)のMeCN(12mL)中の溶液に、H
2O(912mg、50.6mmol、2.0eq)及びトリフルオロ酢酸ピリジニウム(5.86g、30.36mmol、1.2eq)を添加し、得られた混合物をRTで5分間攪拌した。tert-ブチルアミン(1.85g、25.3mmol、1.0eq)を添加し、得られた混合物をRTでさらに25分間攪拌した後、減圧下で濃縮することにより、表題化合物(23.4g)を白色のフォームとして取得し、これをそれ以上精製せずに次のステップで使用した。
【0292】
ステップ2
【化35】
(2R,3R,4R,5R)-5-(6-ベンズアミド-9H-プリン-9-イル)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-3-イルホスホン酸水素
前のステップからの粗生成物(23.4g、25.3mmol)をCl
2CHCOOHのCH
2Cl
2(6%v/v、200mL)中の溶液に添加した。H
2O(2.28g、126mmol、5.0eq)を添加し、得られた混合物をRTで20分間攪拌した。RTでピリジン(30mL)の添加により反応混合物をクエンチした後、減圧下で濃縮した。残渣をSiO
2ゲルクロマトグラフィ(CH
2Cl
2/MeOH=20/1から5/1)により精製して、表題化合物を得た(15g、24.1mmol)。
【0293】
ステップ3
【化36】
(2R,3R,4R,5R)-5-(6-ベンズアミド-9H-プリン-9-イル)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-3-イルホスホン酸水素テトラエチルアンモニウム塩
前のステップからの生成物をMeOH(100mL)に溶解させ、TEA樹脂(50g;DOWEX(登録商標)50WX2-H
+から、pH=7までの脱イオン水;次に1Naq.TEA;続いて、再度pH=7までの脱イオン水;次にMeOHで洗浄することにより調製した)を添加し、混合物をRTで0.5時間攪拌した。反応混合物を濾過し、濾過物を減圧下で濃縮して、表題化合物をTEA塩として得た(黄色の固体;15g、23mmol、95%)。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ ppm 8.57(s,1H),8.26(s,1H),7.91(br d,J=7.6Hz,2H),7.57(m,1H),7.47-7.49(m,2H),7.17-7.21(m,9H),6.73-6.76(m,4H),6.10-6.19(m,1H),5.10-5.14(m,1H),4.64-4.68(m,1H),4.10-4.14(m,1H),3.25-3.75(m,7H),3.40-3.51(m,4H),3.15-3.18(m,1H),2.58(t,J=6.0Hz,1H),2.41(t,J=6.0Hz,1H),1.03-1.06(m,9H),0.76-0.86(m,12H),0.00-0.93(m,6H).
【0294】
中間体F
(2R,3R,4R,5R)-5-(6-ベンズアミド-9H-プリン-9-イル)-4-クロロ-2-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-3-イルホスホン酸水素
【化37】
ステップ1
【化38】
(2R,3S,4R,5R)-2-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)テトラヒドロフラン-3-イルトリフルオロメタンスルホネート(69.0g、0.11mol、1.0eq)及びLiCl(51.2g、1.21mol、11.0eq)のDMF(600mL)中の混合物を50℃で1.5時間加熱した。反応混合物をDCM(500mL)で希釈して、H
2O(300mL×3)で洗浄した。有機層をNa
2SO
4上で乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮した。残渣をSiO
2ゲルクロマトグラフィ(PE/EtOAc=1:1)により精製して、表題の化合物(46.0g、89.5mmol、81.4%収率)を黄色の固体として得た。
1H NMR(400MHz CDCl
3)δ ppm 8.30-8.38(m,1H),8.06(s,1H),6.20(d,J=5.9Hz,1H),5.82-5.95(m,2H),4.96-5.04(m,1H),4.56-4.63(m,1H),4.17(q,J=3.5Hz,1H),3.96(dd,J=11.4,4.3Hz,1H),3.77(dd,J=11.4,3.0Hz,1H),0.92(d,J=13.9Hz,18H),0.14(d,J=8.8Hz,6H),0.08(s,6H).
【0295】
ステップ2
【化39】
前のステップからの生成物(46.0g、89.4mmol、1.0eq)のPy(460mL)中の0℃の溶液に、N
2下、BzCl(25.2g、179mmol、20.5mL、2.0eq)を滴下しながら添加し、得られた混合物を25℃で16時間攪拌した。反応物をH
2O(200mL)で希釈し、EtOAc(200mL×3)で抽出した。合わせた有機層をNa
2SO
4上で乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮して、N-ベンゾイル-N-(9-((2R,3R,4R,5R)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)-3-クロロテトラヒドロフラン-2-イル)-9H-プリン-6-イル)ベンズアミド(60.0g)を黄色の油として取得し、これをそれ以上精製せず次のステップに使用した。MS(ES
+)C
36H
48ClN
5O
5Si
2 理論値:721,実測値:722[M+H]
+;
【0296】
ステップ3
【化40】
前のステップからの生成物(60.0g、97mmol、1.0eq)のTHF(600mL)中の溶液に、TBAF(THF中1M、290mL、3.0eq)を添加した。次に、混合物を25℃で16時間攪拌した。揮発物を減圧下で除去することにより、N-ベンゾイル-N(9-((2R,3R,4R,5R)-3-クロロ-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-9H-プリン-6-イル)ベンズアミド(48.0g)を黄色の油として取得し、これをそれ以上精製せず次のステップに使用した。MS(ES
+)C
24H
20ClN
5O
5 理論値:493,実測値:494[M+H]
+;
【0297】
ステップ4
【化41】
前のステップからの生成物(48.0g、97.2mmol、1.0eq)のTHF(500mL)中の溶液に、NH
3.H
2O(28%水溶液、8.0mL、7.28g、54.0mmol、0.5eq)を添加した。得られた混合物を25℃で1時間攪拌し、その間に固体生成物が形成された。懸濁液を濾過し、濾過ケークをTHF(300mL×3)で洗浄した。濾過物を減圧下で濃縮して、N(9-((2R,3R,4R,5R)-3-クロロ-4-ヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-9H-プリン-6-イル)ベンズアミド(36g、92.3mmol、95%収率)を白色の固体生成物として取得した;MS(ES
+)C
17H
16ClN
5O
4 理論値:389,実測値:390[M+H]
+;
【0298】
ステップ5~7
【化42】
上のスキームに描かれる形質転換は、中間体Cの合成について既述した手順、ステップ1~3に従って実施した。
【0299】
(2R,3R,4R,5R)-5-(6-ベンズアミド-9H-プリン-9-イル)-4-クロロ-2(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-3-イルホスホン酸水素(中間体F):白色固体(13.0g、27.8mmol、3ステップで30%);1H NMR:(400MHz DMSO-d6)δ ppm 11.28(br s,1H),8.78(br d,J=4.0Hz,2H),8.05(br d,J=7.4Hz,2H),7.60-7.68(m,1H),7.55(br t,J=7.5Hz,2H),6.34(br d,J=5.9Hz,1H),5.27(br d,J=5.1Hz,1H),5.02(br s,1H),4.30(br s,1H),3.74(br s,2H),3.01-3.11(m,2H);31P NMR:(162MHz DMSO-d6)δ 0.63 ppm.
【0300】
実施例1a及び実施例1b
環状ジヌクレオチドRR-CD-A-7dA及びSR-CD-A-7dA
ジチオ-[R
p,R
p]-環状-[A(2’,5’)p-7dA(3’,5’)p]
ジチオ-[S
p,R
p]-環状-[A(2’,5’)p-7dA(3’,5’)p]
【化43】
ステップ1
【化44】
化合物1-1
中間体B(4.00g、6.16mmol)のCH
3CN(50mL)中の溶液に、ピリジン-TFA(2.38g、12.3mmol、2.0eq)、続いて、中間体D(6.70g、6.78mmol、1.10eq)と3Å分子篩(1.0g、24.6mmol、4.0eq)のCH
3CN(50mL)中の混合物を添加し、得られた混合物をRTで30分間攪拌した。DDTT(1.52g、7.39mmol、1.20eq)を添加し、混合物をRTでさらに30分間攪拌した。揮発物を減圧下で除去して、粗生成物1-1(9.04g)を取得し、これをそれ以上精製せずに次のステップで使用した。
【0301】
ステップ2
【化45】
化合物1-2
Cl
2CHCOOHのCH
2Cl
2(6%v/v、200mL)中の溶液に、H
2O(2.0g、111mmol、2.0mL、18.0eq)及び前のステップからの化合物1-1(9.04g、6.16mmolと推定)を添加した。反応混合物をRTで0.5時間攪拌した後、ピリジン(120mL)でクエンチし、減圧下で濃縮して、粗化合物1-2(7.18g)を取得し、これをそれ以上精製せずに次のステップで使用した。
MS(ES
+)C
50H
67N
10O
13P
2SSi
2 理論値:1165,実測値:1165.3[M+H]+。
【0302】
ステップ3
【化46】
化合物1-3
前のステップからの化合物1-2(7.18g、6.16mmolと推定)のピリジン(50mL)中の溶液に、DMOCP(3.98g、21.6mmol、3.5eq)を添加した。混合物をRTで0.5時間攪拌した。次に、この混合物に、ビューケージ試薬(3H-1,2-ベンゾジチオール-3-オン1,1-ジオキシド、1.85g、9.24mmol、1.5eq)を添加し、得られた混合物をRTでさらに30分間攪拌した。3.4%aq.NaHCO
3(1.0L)の添加により反応混合物をクエンチした後、EtOAc(2×500mL)で抽出した。合わせた有機層を塩水(300mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮した。残渣をSiO
2ゲルクロマトグラフィ(CH
2Cl
2/MeOH=30/1から15/1)により精製して、ジアステレオ異性体の混合物として化合物1-3(3.0g、2.04mmol)を取得し、これをそのまま次のステップで使用した。
【0303】
ステップ4
【化47】
化合物1-4
前のステップからの化合物1-3(3.0g、2.04mmol)のMeOH(30mL)中の溶液に、NH
4OH(32.8g、935mmol、458eq)を添加した。圧力安全スチール容器内で混合物を50℃にて12時間攪拌した後、減圧下で濃縮した。残渣をprep-HPLC(PHENOMENEX(登録商標)LUNA(登録商標)C18 250*50 10um;移動相:A:H
2O(10mM NH
4HCO
3);B:MeCN;A%-B%=20%~50%、20分)により精製して、2つの生成物:化合物1-4a(R
pR
p又はS
pR
pジアステレオ異性体;380mg、0.391mmol)及び化合物1-4b(S
pR
p又はR
pR
pジアステレオ異性体;350mg、0.349mmol)を白色固体として得た。
【0304】
ステップ5
【化48】
化合物1-5
化合物1-4a(200mg、218umol)のMeOH(5.0mL)中の溶液に、NH
4F(80.7mg、2.18mmol、10.0eq)を添加し、得られた混合物を60℃で16時間攪拌した。揮発物を減圧下で除去した後、残渣をprep-HPLC[Waters Xbridge 150*25 5um;移動相:A:H
2O(10mM NH
4HCO
3);B:MeCN;A%-B%=1%~20%、10.5分]により精製して、化合物1-5a(30mg、40umol)を白色固体として得た。
【0305】
類似の方法で化合物1-4bの反応によって、化合物1-5b(30mg、40umol)を白色固体として得た。
【0306】
ステップ6
【化49】
(1R,6R,8R,9R,10R,12R,15R,17R,18R)-17-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-8-(4-アミノ-7H-ピロロ-[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-9,18-ジヒドロキシ-3,12-ジメルカプト-2,4,7,11,13,16-ヘキサオキサ-3λ
5,12λ
5-ジホスファトリシクロ[13.2.1.0
6,10]オクタデカン-3,12-ジオン(1-5)、二ナトリウム塩(実施例1a及び実施例1b)
化合物1-5a(30.0mg、41.5umol)のH
2O(5.0mL)中の溶液に、DOWEX(登録商標)-50WX8(Na
+形態;300mg)を添加し、混合物をRTで0.5時間攪拌した。次に、反応物を濾過し、濾過物を凍結乾燥して、実施例1a(R
p,R
p又はS
p,R
p 28.0mg、38.1umol)を白色固体として得た。
MS(ES
+)C
21H
26N
9O
10P
2S
2 理論値:690,実測値:690.0 [M+H]
+;
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ ppm 8.52(s,1H),8.26(s,1H),8.19(s,1H),7.50(d,J=3.6Hz 1H),6.85(d,J=3.6Hz,1H),6.09-6.13(m,2H),5.46(d,J=8.8Hz,1H),5.28-5.30(m,1H)4.63(d,J=4Hz,1H),4.03-4.27(m,5H),3.64-3.69(m,2H);
31P NMR(162MHz,DMSO-d
6)δ ppm 60.19,56.77;
R
t=1.797分[Waters XBridge Shield RP18 2.1*50mm、5um;移動相:A:H
2O+10mM NH
4HCO
3;B:MeCN;A%-B%=0%-30%,5.2分]
【0307】
同様にして化合物1-5bの反応により、実施例1b(Sp,Rp又はRp,Rp 30.0mg、39.6umol)を白色固体として得た。
MS(ES+)C21H26N9O10P2S2 理論値:690,実測値:690.0 [M+H]+;1H-NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 8.50(s,1H),8.29(s,1H),8.19(s,1H),7.62(d,J=3.2Hz 1H),6.85(d,J=4.0Hz,1H),6.09-6.14(m,2H),5.19-5.29(m,2H),4.68(dd,J=7.6Hz,1H),4.37(d,J=4.0Hz,1H),4.11-4.20(m,3H),3.95-3.99(m,1H),3.69-3.81(m,2H);31P NMR(162MHz,CD3OD)δ ppm 59.29,51.96;Rt=2.101分[Waters XBridge Shield RP18 2.1*50mm,5um;移動相:A:H2O+10mM NH4HCO3;B:MeCN;A%-B%=0%-30%,5.2分].
【0308】
実施例2a及び実施例2b
環状ジヌクレオチドRR-CD-A-2’F-A及びSR-CD-A-2’F-A;
ジチオ-[R
p,R
p]-環状-[A(2’,5’)p-2’F-A(3’,5’)p]
ジチオ-[S
p,R
p]-環状-[A(2’,5’)p-2’F-A(3’,5’)p]
【化50】
ステップ1
【化51】
化合物2-1
中間体C(4.0g、9.15mmol)のCH
2C1
2(40mL)中の溶液に、TEA(463mg、4.58mmol、0.50eq)を添加した。混合物をRTで5分間攪拌し、揮発物を減圧下で除去した。残渣をCH
3CN(40.00mL)に溶解させ、ピリジン-TFA(3.53g、18.3mmol、2.0eq)、続いて、中間体D(9.04g、9.15mmol、1.0eq)と3Å分子篩(1.48g、36.6mmol、4.0eq)のCH
3CN(40mL)中の混合物を添加し、得られた混合物をRTで30分間攪拌した。DDTT(2.25g、10.98mmol、1.2eq)を添加し、混合物をRTでさらに30分間攪拌した。揮発物を減圧下で除去して、粗生成物2-1(12.4g)を取得し、これをそれ以上精製せずに次のステップで使用した。
【0309】
ステップ2
【化52】
化合物2-2
Cl
2CHCOOHのCH
2Cl
2(6%v/v、200mL)中の溶液に、前のステップからの化合物2-1(12.4g、9.15mmolと推定)及びH
2O(2.00g、111mmol、2.0mL、12.1eq)を添加した。反応混合物をRTで0.5時間攪拌し、ピリジン(100mL)でクエンチした後、減圧下で濃縮することにより、化合物2-2(9.64g)を取得し、これをそれ以上精製せずに次のステップで使用した。
【0310】
ステップ3
【化53】
化合物2-3
前のステップからの化合物2-2(9.63g、9.15mmolと推定)のピリジン(200mL)中の溶液に、DMOCP(5.90g、32.0mmol、3.5eq)を添加し、混合物をRTで0.5時間攪拌した。次に、3H-1,2-ベンゾジチオール-3-オン1,1-ジオキシド(2.75g、13.7mmol、1.5eq)を添加し、得られた混合物をRTでさらに30分間攪拌した。3.4%aq.NaHCO
3(1.0L)の添加により反応混合物をクエンチした後、EtOAc(2×500mL)で抽出した。合わせた有機層を塩水(300mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮した。残渣をSiO
2ゲルクロマトグラフィ(CH
2Cl
2/MeOH=30/1から10/1)により精製して、ジアステレオ異性体の混合物として化合物2-3(3.2g、2.1mmol)を取得し、これをそのまま次のステップで使用した。
【0311】
ステップ4
【化54】
化合物2-4
前のステップからの化合物2-3(2.0g、1.87mmol)のMeOH(10mL)中の溶液に、NH
4OH(18.2g、519mmol、277eq)を添加した。圧力安全スチール容器内で混合物を50℃にて16時間攪拌した後、減圧下で濃縮した。残渣をprep-HPLC(PHENOMENEX(登録商標)LUNA(登録商標)C18 250*50 10um;移動相:A:H
2O(10mM NH
4HCO
3);B:MeCN;A%-B%=10%-40%、20分]により精製して、2つの生成物:化合物2-4a(R
pR
p又はS
pR
pジアステレオ異性体;180mg、0.209mmol)及び化合物2-4b(S
pR
p又はR
pR
pジアステレオ異性体;200mg、0.228mmol)を白色固体として得た。
【0312】
ステップ5
【化55】
化合物2-5
化合物2-4a(100mg、119umol)のMeOH(3.0mL)中の溶液に、NH
4F(44.1mg、1.19mmol、10eq)を添加し、得られた混合物を60℃で16時間攪拌した。次に、反応混合物をRTまで冷却させてから、減圧下で濃縮した。残渣をH
2O(0.5mL)に溶解させ、10℃に冷却し、30分間攪拌を維持した後、濾過し、濾過ケークを収集して、化合物2-5a(30.0mg、41.3umol)を白色固体として得た。
MS(ES
+)C
20H
24FN
10O
9P
2S
2 理論値:693,実測値:693.2 [M+H]
+;
1H-NMR(400MHz,CD
3OD)δ ppm 8.98(s,1H),8.22(s,2H),7.82(s,1H),6.45(d,J=14.4Hz,1H),6.33(d,J=8.0Hz,1H),5.62(d,J=53.8Hz,1H),5.32(m,1H),5.07-5.13(m,1H),4.36-4.46(m,5H),4.06(d,J=11.2Hz,1H),3.86-3.90(m,1H).
【0313】
同様にして化合物2-4bの反応によって、化合物2-5b(30.0mg、41.3umol)を白色固体として得た。
MS(ES+)C20H24FN10O9P2S2 理論値:693,実測値:693.2[M+H]+;1H-NMR(400MHz,CD3OD)δ ppm 8.76(s,1H),8.49(s,1H),8.24(s,1H),8.18(s,1H),6.34-6.41(m,2H),5.70(dd,J=51.8Hz,1H),5.22-5.239(m,2H),4.50-4.59(m,4H),4.32(s,1H),4.03-4.07(m,1H).
【0314】
ステップ6
【化56】
(1R,6R,8R,9R,10R,12R,15R,17R,18R)-8,17-ジ(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-9-フルオロ-18-ヒドロキシ-3,12-ジメルカプト-2,4,7,11,13,16-ヘキサオキサ-3λ
5,12λ
5-ジホスファトリシクロ-[13.2.1.0
6,10]オクタデカン-3,12-ジオン(2-5)、二ナトリウム塩(実施例2a及び実施例2b)
化合物2-5a(30.0mg、41.3umol)のH
2O(10.0mL)中の溶液に、Dowex(登録商標)-50WX8(Na
+形態;300mg)を添加し、混合物をRTで4時間攪拌した。次に、反応物を濾過し、濾過物を凍結乾燥して、実施例2a(R
pR
p又はS
pR
p;30.0mg、40.6umol)を白色固体として得た。
MS(ES
+)C
20H
24FN
10O
9P
2S
2 理論値:693,実測値:693.0 [M+H]
+;
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6)δ ppm 8.56(s,1H),8.40(s,1H),8.17(s,1H),8.13(s,1H),7.34(s,2H),7.22(s,2H),6.23(m,1H),6.09(d,J=8.4Hz 1H),5.71(d,J=52.8Hz,1H),5.54(s,1H),5.15-5.30(m,2H),3.91-4.37(m,5H),3.67-3.70(m,1H);
31P NMR(162MHz,CD
3OD)δ ppm 55.97,53.66;R
t=1.384分[Waters XBridge Shield RP18 2.1*50mm,5um;移動相:A:H
2O+10mM NH
4HCO
3;B:MeCN;A%-B%=0%-30%,5.2分].
【0315】
同様にして化合物2-5bの反応により、実施例2b(SpRp又はRpRp、28.0mg、40.6umol)を白色固体として得た。
MS(ES+)C20H24FN10O9P2S2 理論値:693,実測値:693.0 [M+H]+;1H-NMR(400MHz,CD3OD)δ ppm 8.86(br s,1H),8.39(s,1H),8.19(s,1H),8.02(br s,1H),6.35-6.41(m,2H),5.70(d,J=51.8Hz,1H),5.22-5.27(m,2H),4.35-4.60(m,5H),4.05-4.08(m,2H);31P NMR(162MHz,CD3OD)δ ppm 57.39,52.28;Rt=1.644分[Waters XBridge Shield RP18 2.1*50mm,5um;移動相:A:H2O+10mM NH4HCO3;B:MeCN;A%-B%=0%-30%,5.2分].
【0316】
実施例3a及び実施例3b
環状ジヌクレオチドRR-CD-7dA-A及びSR-CD-7dA-A
ジチオ-[R
p,R
p]-環状-[7dA(2’,5’)p-A(3’,5’)p]
ジチオ-[S
p,R
p]-環状-[7dA(2’,5’)p-A(3’,5’)p]
【化57】
ステップ1
【化58】
化合物3-1
中間体E(3.0g、4.61mmol)のCH
3CN(30mL)中の溶液に、ピリジン-TFA(1.78g、9.22mmol、2.0eq)、続いて、中間体A(5.0g、5.07mmol、1.1eq)と分子篩(0.8g、18.4mmol、4.00eq)のCH
3CN(30mL)中の混合物を添加し、得られた混合物をRTで30分間攪拌した。DDTT(1.14g、5.53mmol、1.2eq)を添加し、混合物をRTでさらに30分間攪拌した。揮発物を減圧下で除去して、粗化合物3-1(6.77g)を取得し、これをそれ以上精製せずに次のステップで使用した。
【0317】
ステップ2
【化59】
化合物3-2
Cl
2CHCOOH酸のCH
2Cl
2(6%v/v、100mL)中の溶液に、H
2O(83.1mg、4.61mmol、83.12uL、1.00eq)及び前のステップからの化合物3-1(6.77g、4.61mmolと推定)を添加した。反応混合物をRTで0.5時間攪拌した後、ピリジン(80mL)でクエンチし、減圧下で濃縮して、化合物3-2(5.48g)を取得し、これをそれ以上精製せずに次のステップで使用した。
【0318】
ステップ3
【化60】
化合物3-3
前のステップからの化合物3-2(5.48g、4.61mmolと推定)のピリジン(150mL)中の溶液に、DMOCP(4.77g、25.8mmol、5.5eq)を添加し、混合物をRTで0.5時間攪拌した。次に、3H-1,2-ベンゾジチオール-3-オン1,1-ジオキシド(1.41g、7.05mmol、1.5eq)を添加し、得られた混合物をRTでさらに30分間攪拌した。3.4%aq.NaHCO
3(600mL)の添加により反応混合物をクエンチした後、EtOAc(2×300mL)で抽出した。合わせた有機層を塩水(200mL)で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮した。残渣をSiO
2ゲルクロマトグラフィ(CH
2Cl
2/MeOH=30/1から15/1)により精製して、ジアステレオ異性体の混合物として化合物3-3(3.0g、1.53mmol)を取得し、これをそのまま次のステップで使用した。
【0319】
ステップ4
【化61】
化合物3-4
前のステップからの化合物3-3(3.0g、1.53mmol)のMeOH(30mL)中の溶液に、NH
4OH(16.4g、468mmol、307eq)を添加した。圧力安全スチール容器内で混合物を50℃にて16時間攪拌した後、減圧下で濃縮した。残渣をprep-HPLC[PHENOMENEX(登録商標)LUNA(登録商標)C18 250*50 10um;移動相:A:H
2O(10mM NH
4HCO
3);B:MeCN;A%-B%=20%-45%、20分]により精製して、化合物3-4a(R
pR
p又はS
pR
pジアステレオ異性体、220mg、208umol)及び化合物3-4b(S
pR
p又はR
pR
pジアステレオ異性体、220mg、208mmol)を白色の固体として得た。
【0320】
ステップ5
【化62】
化合物3-5
化合物3-4a(100mg、105umol)のMeOH(3.0mL)中の溶液に、NH
4F(38.9mg、1.05mmol、10eq)を添加し、得られた混合物を60℃で12時間攪拌した。次に、反応混合物をRTまで到達させてから、減圧下で濃縮した。残渣をH
2O(1mL)に40℃で溶解させ、5℃に冷却してから、30分間攪拌を維持した後、濾過し、フィルターケークを収集して、化合物3-5a(20.0mg、26.3umol)を白色固体として得た。
【0321】
同様にして化合物3-4bの反応により、化合物3-5b(33.0mg、45.6umol)を白色固体として得た。
【0322】
ステップ6
【化63】
(1R,6R,8R,9R,10R,12R,15R,17R,18R)-17-(4-アミノ-7H-ピロロ-[2,3-d]ピリミジン-7-イル)-8-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-9,18-ジヒドロキシ-3,12-ジメルカプト-2,4,7,11,13,16-ヘキサオキサ-3λ
5,12λ
5-ジホスファトリシクロ[13.2.1.0
6,10]オクタデカン-3,12-ジオン、二ナトリウム塩(実施例3a及び実施例3b)
化合物3-5a(20.0mg、27.6umol)のH
2O(5mL)中の溶液に、DOWEX(登録商標)50WX8(Na
+形態;300mg)を添加し、混合物をRTで3時間攪拌した。次に、反応物を濾過し、濾過物を凍結乾燥して、実施例3aを白色固体として得た(R
pR
p又はS
pR
p、18.0mg、24.5umol)。
MS(ES
+)C
21H
26N
9O
10P
2S
2 理論値:690,実測値:690.0 [M+H]
+;
1H-NMR(400MHz,CD
3OD)δ ppm 8.33(s,1H),8.20(s,1H),8.05(s,1H),7.84(d,J=4.0Hz 1H),6.62(d,J=3.6Hz,1H),6.51(d,J=8.4Hz,1H),6.12(d,J=6.8Hz,1H),5.59-5.60(m,1H),5.35-5.59(m,1H),5.21-5.24(m,1H),4.25-4.45(m,4H),3.99(d,J=12.0Hz,1H),3.90-3.92(m,1H);
31P NMR(162MHz,CD
3OD)δ ppm 60.36,60.28;R
t=1.497分[Waters XBridge Shield RP18 2.1*50mm,5um;移動相:A:H
2O+10mM NH
4HCO
3;B:MeCN;A%-B%=0%-30%,5.2分].
【0323】
同様にして化合物3-5bの反応により、実施例3b(SpRp又はRpRp、33.0mg、44.9umol)を白色固体として得た。
MS(ES+)C21H26N9O10P2S2 理論値:690,実測値:690.0 [M+H]+;1H-NMR(400MHz,CD3OD)δ ppm 8.34(s,1H),8.21(s,1H),8.07(s,1H),7.97(d,J=3.6Hz 1H),6.72(d,J=4Hz,1H),6.56(d,J=8.0Hz,1H),6.12(d,J=3.2Hz,1H),5.20-5.31(m,2H),4.98-5.01(m,1H),4.71(d,J=4Hz,1H),4.33-4.49(m,1H),4.25-4.30(m,3H),4.07-4.12(m,1H);31P NMR(162MHz,CD3OD)δ ppm 57.30,53.90;Rt=1.647分[Waters XBridge Shield RP18 2.1*50mm,5um;移動相:A:H2O+10mM NH4HCO3;B:MeCN;A%-B%=0%-30%,5.2分].
【0324】
実施例4a、4b、4c及び4b
環状ジヌクレオチドRR-CD-A-2’Cl-A、RS-CD-A-2’Cl-A、SS-CD-A-2’Cl-A、及びSR-CD-A-2’Cl-A
ジチオ-[R
p,R
p]-環状-[A(2’,5’)p-2’Cl-A(3’,5’)p]、ジチオ-[R
p,S
p]-環状-[A(2’,5’)p-2’Cl-A(3’,5’)p]、ジチオ-[S
p,S
p]-環状[A(2’,5’)p-2’Cl-A(3’,5’)p]
ジチオ-[S
p,R
p]-環状-[A(2’,5’)p-2’Cl-A(3’,5’)p]
【化64】
ステップ1
【化65】
化合物4-1
Int F(3.00g、6.61mmol、1.0eq)のDCM(60mL)中の溶液に、TEA(0.334g、3.31mmol、0.46uL、0.5eq)を添加した。揮発物を減圧下で除去し、ピリジン-TFA(2.55g、13.2mmol、2.0eq)を残渣に添加した後、混合物を無水CH
3CN(40mL)と一緒に3回同時蒸発させた。残渣を無水CH
3CN(30mL)中に溶解させ、3Å分子篩(3.00g、6.61mmol、1.0eq)と一緒に5分間攪拌した。個別の容器内で、Int D(6.53g、6.61mmol、1.0eq)を無水CH
3CN(20mL)と一緒に3回同時蒸発させた後、無水CH
3CN(30mL)に溶解させた。得られたInt Dの溶液にInt F、ピリジン-TFA及び3Å分子篩の混合物、続いて、DDTT(1.63g、7.93mmol、1.2eq)を添加し、得られた混合物を25℃で30分間攪拌した。次に、混合物を減圧下で濃縮して、化合物4-1(9.0g)を黄色の固体として取得し、これをそれ以上精製せずに次のステップで使用した。
【0325】
ステップ2
【化66】
化合物4-2
化合物4-1(9.0g、6.56mmol、1.0eq)のDCM(90mL)中の溶液に、Cl
2CHCOOH酸(2.7mL)を添加した。混合物を25℃で1時間攪拌した後、トリエチルシラン(4.57g、39.3mmol、6.28mL、6.0eq)、続いてピリジン(45.0mL)を添加した。得られた混合物をRTで30分間攪拌した後、減圧下で濃縮した。残渣をSiO
2ゲルクロマトグラフィ(DCM:MeOH=10:1から3:1)により精製して、化合物4-2(2.12g、1.98mmol、30%収率)を淡い黄色の固体として得た。MS(ES
+) C
43H
50ClN
11O
12P
2SSi 理論値:1069,実測値:1070[M+H]
+.
【0326】
ステップ3
【化67】
化合物4-3a及び化合物4-3b
化合物4-2(2.12g、1.98mmol、1.0eq)を無水ピリジン(40.0mL)と一緒に3回同時蒸発させ、無水ピリジン(40.0mL)に溶解させた後、この溶液を0℃まで冷却した。DMOCP(1.28g、6.93mmol、3.5eq)を添加し、混合物をRTで0.5時間攪拌した。次に、3H-1,2-ベンゾジチオール-3-オン1,1-ジオキシド(0.595g、2.97mmol、1.5eq)を添加し、得られた混合物をRTでさらに30分間攪拌した。3.4%aq.NaHCO
3(600mL)の添加により反応混合物をクエンチした後、EtOAc(2×300mL)で抽出した。合わせた有機層を塩水(200mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過した後、減圧下で濃縮した。残渣をSiO
2ゲルクロマトグラフィ(CH
2Cl
2/MeOH=30/1から10/1)により精製して、各々ホスホロチオエート中心における立体化学が不明確なジアステレオ異性体の混合物として、化合物4-3a(0.470g、0.348mmol、17%収率)及び化合物4-3b(0.380g、0.28mmol、14%収率)を得た。
【0327】
ステップ4
【化68】
化合物4-4a、4-4b、4-4c、4-4d
化合物4-3a(0.47g、0.43mmol、1.0eq)のMeOH(3mL)中の溶液に、NH
4OH(4.2g、519mmol、277eq)を添加した。圧力安全スチール容器内で混合物を50℃にて16時間攪拌した後、RTまで冷却してから、減圧下で濃縮した。残渣をprep-HPLC[Agela Durashell(登録商標)C18 150×25 5um;移動相:A:H
2O(10mM NH
4HCO
3);B:MeCN;A%-B%=10%-40%、10.5分]により精製して、各々ホスホロチオエート中心における立体化学が不明確な2つの立体異性体生成物;化合物4-4a(93.0mg、0.11mmol、25%収率)及び化合物4-4c(105mg、0.13mmol、29%収率)をいずれも白色固体として得た。
【0328】
化合物4-3b(0.380g、0.28mmol)を同様に反応させることにより、ホロチオエート中心における立体化学が不明確な2つの立体異性体生成物の化合物4-4b(82.0mg、99.6umol、28%収率)及び化合物4-4d(82.0mg、99.6umol、28%収率)をいずれも白色固体として得た。
【0329】
ステップ5
【化69】
化合物4-5a、4-5b、4-5c、4-5d
化合物4-4a(93.0mg、0.11mmol、1.0eq)のMeOH(3.0mL)中の溶液に、NH
4F(80mg、2.17mmol、20eq)を添加し、得られた混合物を65℃で16時間攪拌した。次に、反応混合物をRTまで冷却させてから、減圧下で濃縮した。残渣をprep-HPLC[Agela Durashell(登録商標)C18 150×25 5um;移動相:A:H
2O(10mM NH
4HCO
3);B:MeCN;A%-B%=10%-40%、10.5分]により精製して、化合物4-5a(50.0mg、65.1umol、60%)を白色固体として得た;化合物4-4b、4-4c及び4-4dを同様に反応させて、次の化合物:4-5b(40.0mg、56.4umol、56%収率);4-5c(58.0mg、78.1umol、64%収率);及び4-5d(20.0mg、22.6umol、23%収率)を得た。
【0330】
ステップ6
【化9】
実施例4a、4b、4c及び4d
化合物4-5a(50.0mg、67.3umol、1.0eq)のH
2O(20.0mL)中の溶液に、Dowex(登録商標)-50WX8(Na
+形態;500mg)を添加し、混合物をRTで4時間攪拌した。次に、反応物を濾過し、濾過物を凍結乾燥して、実施例4a(36.5mg、46.6umol、69%収率)を白色固体として得た;単一立体異性体、ホスホロチオエート中心における不明確な立体化学;MS(ES
+)C
20H
23ClN
10O
9P
2S
2 理論値:708,実測値:709 [M+H]
+;
1H-NMR(400MHz D
2O)δ ppm 8.68(s,1H),8.13(s,1H),8.07(s,1H),8.01(s,1H),6.28(d,J=2.0Hz,1H),6.17(d,J=8.4Hz,1H),5.29-5.40(m,2H),5.18-5.26(m,1H),4.62(d,J=4.0Hz,1H),4.57(br s,1H),4.42-4.51(m,2H),4.14-4.25(m,2H),4.09(br d,J=12.8Hz,1H);
31P NMR(162MHz,D
2O)δ ppm 55.69,54.83;R
t=1.64分[Waters XBridge Shield RP18 2.1*50mm,5um;移動相:A:H
2O+10mM NH
4HCO
3;B:MeCN;A%-B%=0%-30%,5.2分].
【0331】
化合物4-5b、4-5c及び4-5dを同様に反応させて、以下の化合物を取得したが、全て単一立体異性体であり、ホロチオエート中心における立体化学は不明確であった。
【0332】
実施例4b(40.0mg、48.2umol、89.6%収率);MS(ES+)C20H23ClN10O9P2S2 理論値:708,実測値:709 [M+H]+;1H-NMR(400MHz D2O)δ ppm 8.42(s,1H),8.16(s,1H),8.04(s,1H),7.94(s,1H),6.26(d,J=3.1Hz,1H),6.20(d,J=8.3Hz,1H),5.33-5.43(m,2H),5.09-5.13(m,1H),4.55-4.61(m,2H),4.42-4.49(m,3H),4.34-4.41(m,1H),4.05-4.14(m,2H);31P NMR(162MHz,D2O)δ ppm 56.58,54.75;Rt=1.74分[Waters XBridge Shield RP18 2.1*50mm,5um;移動相:A:H2O+10mM NH4HCO3;B:MeCN;A%-B%=0%-30%,5.2分].
【0333】
実施例4c(35.2mg、46.6umol、59.7%収率);MS(ES+)C20H23ClN10O9P2S2 理論値:708,実測値:709 [M+H]+;1H-NMR(400MHz D2O)δ ppm 8.65(s,1H),8.19(s,1H),8.08(s,1H),8.05(s,1H),6.37(s,1H),6.17(d,J=8.3Hz,1H),5.42(d,J=4.8Hz,1H),5.33(m,1H),5.08-5.16(m,1H),4.93(d,J=3.9Hz,1H),4.62(br d,J=9.0Hz,1H),4.44-4.51(m,2H),4.27(m,1H),4.18(br s,2H);31P NMR(162MHz,D2O)δ ppm 53.99,51.92;Rt=2.09分[Waters XBridge Shield RP18 2.1*50mm,5um;移動相:A:H2O+10mM NH4HCO3;B:MeCN;A%-B%=0%-30%,5.2分].
【0334】
実施例4d(17.0mg、24.0umol、89.1%収率);MS(ES+)C20H23ClN10O9P2S2 理論値:708,実測値:709 [M+H]+;1H-NMR(400MHz D2O)δ ppm 8.34(s,1H),8.10(s,1H),8.04(s,1H),7.86(s,1H),6.30(s,1H),6.14(d,J=8.4Hz,1H),5.36(m,1H),5.24(m,1H),5.05(d,J=4.4Hz,1H),4.80(d,J=4.0Hz,1H),4.55(br d,J=8.0Hz,1H),4.36-4.44(m,2H),4.32(ddd,J=12.0,6.4,2.0Hz,1H),4.20(m,1H),4.02(dd,J=11.2,3.6Hz,1H);31P NMR(162MHz,D2O)δ ppm 54.64,52.01;Rt=2.03分[Waters XBridge Shield RP18 2.1*50mm,5um;移動相:A:H2O+10mM NH4HCO3;B:MeCN;A%-B%=0%-30%,5.2分].
【0335】
以下の化合物、又はそれらの塩、エステル、プロドラッグ、若しくは互変異性体は、概して、前述した方法を用いて作製することができる。これらの化合物は、作製されると、調製されているものと同様の活性を有するであろうことが予測される。
【化71】
【0336】
生物活性アッセイ
THP-1デュアルアッセイ
INVIVOGEN(登録商標)THP-1 Dual(商標)アッセイ(カタログコード:thpd-nfis)を用いて、STING受容体のアゴニストとして列挙した化合物を評価した。THP-1 Dual(商標)細胞は、2つの誘導性リポータ構築物の安定な組込みによって、ヒト単球細胞株THP-1から得られる。このアッセイは、STINGについての2つの主要なシグナル伝達経路の同時研究を:(a)NF-κB経路は、分泌胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)の活性のモニタリングにより;及び(b)インターフェロン調節因子(IRF)経路は、分泌型ルシフェラーゼ(Lucia(商標))の活性の評価により、可能にする。
【0337】
製造者により記載される手順に従ったが、これは、下記の修正事項を含む:(1)細胞懸濁液の添加から18時間後にプレートをインキュベートし、(2)任意の分化ステップは使用しない。
【0338】
【0339】
【0340】
マウス膵管癌アッセイ
マウスオルガノイドを使用する、Boj et al.(Cell 2015,160,324-338)の手順に従った。2.5×105個のMT4-2D細胞を雄6週齢C57BL/6Jマウスの右脇腹に皮下注射した。15日目に、5ugの表示したSTINGアゴニストを50ulの容積で腫瘍内に注射した。
【0341】
【0342】
本出願において引用される全ての参考文献、特許又は特許出願(米国又は海外)は、あたかもその全体が本明細書中に記載されたかのように本明細書に援用される。何か矛盾が生じる場合、本明細書に文字通り開示される材料が優先される。
【0343】
前述の説明から、当業者は本発明の本質的な特徴を容易に確認することができ、その趣旨及び範囲から逸脱することなく、種々の使用及び条件に適応させるように本発明の種々の変化及び修飾をもたらすことができる。