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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】健康寿命延長用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/747 20150101AFI20241121BHJP
   A61K 35/745 20150101ALI20241121BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241121BHJP
   A61K 31/7016 20060101ALI20241121BHJP
   A61K 31/715 20060101ALI20241121BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20241121BHJP
   A61P 1/14 20060101ALI20241121BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20241121BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20241121BHJP
【FI】
A61K35/747
A61K35/745
A61P43/00 121
A61K31/7016
A61K31/715
A61P21/00
A61P1/14
A61P25/00
A23L33/135
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020119977
(22)【出願日】2020-07-13
(65)【公開番号】P2022016960
(43)【公開日】2022-01-25
【審査請求日】2023-06-16
【微生物の受託番号】NPMD  NITE BP-02621
【微生物の受託番号】NPMD  NITE BP-01633
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006127
【氏名又は名称】森永乳業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新井 聡
(72)【発明者】
【氏名】平工 明里
(72)【発明者】
【氏名】下野 智弘
【審査官】川合 理恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-116423(JP,A)
【文献】鈴木 駿太 他,健康維持の鍵を握る腸内フローラ,化学と教育,2017年,65巻, 12号,Pages 644-645
【文献】”長寿菌“がいのちを守る!~大切な腸内環境コントロール~,PREVE,公益財団法人兵庫県健康財団,2017年,No.82,Pages 2-4
【文献】清水(肖) 金忠 他,中高年者におけるビフィズス菌配合カルシウム強化ミルクの継続摂取と健康状態に関する横断研究,ミルクサイエンス,2016年,65巻, 1号,Pages 1-9
【文献】前畑 葉月, 村田 麻衣,Lactobacillus paracasei MCC1849の免疫賦活作用と食品への応用,ミルクサイエンス,68巻, 3号,2019年,Pages 180-187
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 35/745
A61K 35/747
A61P 21/00
A61P 1/00
A61P 25/00
A61P 43/00
A61K 31/00
A23L 33/135
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)NITE BP-02621の生菌、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lacticaseibacillus paracasei)NITE BP-01633の死菌、及びプレバイオティクスを含有する、フレイルの予防及び/又は改善用組成物。
【請求項2】
前記プレバイオティクスがラクチュロースである、請求項に記載の組成物。
【請求項3】
飲食品である、請求項1又は2に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康寿命を延長させるための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、腸内細菌と健康との関連性に注目が集まり、世界中で研究が行われている。腸内環境改善に関連する用語として知られる「プロバイオティクス」は、一般に腸内フローラのバランスを改善することにより人に有益な作用をもたらす生きた微生物を指す。
また、かかるプロバイオティクスが資化するものとして「プレバイオティクス」があり、これは、消化管上部で分解・吸収されず、大腸に共生する有益な細菌の選択的な栄養源となりそれらの増殖を促進し、大腸の腸内フローラ構成を健康的なバランスに改善し維持し、ヒトの健康の増進維持に役立つものを一般に意味する。
【0003】
主要なプロバイオティクスとしては、ビフィドバクテリウム属細菌(いわゆるビフィズス菌)や乳酸菌が知られている。
ビフィドバクテリウム属細菌は、下痢の防止、有害細菌や毒性化合物の減少、免疫調節、及び抗発癌性活性等の、ヒト等の宿主に様々な有益な作用をもたらすことが報告されている(非特許文献1~3)。
一部の乳酸菌は、宿主の細胞性免疫を賦活化させたり、腸管や呼吸器の粘膜からの免疫物質の分泌を亢進させたりすることにより、様々な感染症に対する予防・防御作用を示すことが報告されている(非特許文献4~7)。また、それらの作用に優れた菌株も見出されている(特許文献1~2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開2012/133827号
【文献】国際公開2015/004949号
【非特許文献】
【0005】
【文献】S. Fukuda et al., Nature, 2011, 469, 543-547.
【文献】S. Fanning et al., PNAS, 2012, 109 (6), 2108-2113.
【文献】Sivan A. et al., Science. 2015, 350 (6264), 1084-1089.
【文献】Delcenserie, V. et al., Curr. Issues Mol. Biol. (2008) 10: 37-54.
【文献】Hori, T. et al., Clin. Diagn. Lab. Immunol. (2002) 9: 105-108.
【文献】Takeda, K. et al., Clin. Exp. Immunol. (2006) 146: 109-115.
【文献】Ogawa, T., Clin. Exp. Immunol. (2006) 143: 103-109.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
プロバイオティクスの機能性については未知な部分が多く、また、複数種類のプロバイオティクスを組み合わせたときの機能性の変化については研究途上である。
かかる状況において、本発明は、プロバイオティクスの新たな健康機能性を見出し、提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、ビフィドバクテリウム
属細菌とラクチカゼイバチルス属細菌とを組み合わせて含有する組成物が、健康寿命を延長させる作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属細菌、及びラクチ
カゼイバチルス(Lacticaseibacillus)属細菌を含有する、健康寿命延長用組成物である。
本発明におけるビフィドバクテリウム属細菌は、好ましくはビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)である。さらに、本発明におけるビフィドバクテリウム・ロンガムは、好ましくはビフィドバクテリウム・ロンガム NITE BP-026
21である。
本発明におけるラクチカゼイバチルス属細菌は、好ましくはラクチカゼイバチルス・パラカゼイ(Lacticaseibacillus paracasei)である。さらに、本発明におけるラクチカゼイバチルス・パラカゼイは、ラクトバチルス・パラカゼイ NITE BP-01633
である。
本発明におけるビフィドバクテリウム属細菌及び/又はラクチカゼイバチルス属細菌は、それぞれ生菌及び/又は死菌であってよい。
本発明の組成物は、さらにプレバイオティクスを含有することが好ましい。
前記プレバイオティクスは、好ましくはラクチュロースである。
本発明における健康寿命延長は、フレイルの予防及び/又は改善によるものであることが好ましい。
本発明の組成物は、好ましくは、飲食品である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、フレイルを予防したり改善したりすることにより、健康寿命延長効果を得ることができる。そのため、高齢化社会において心身の健康状態を保ちながら社会生活を営むことに寄与しうる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されず、本発明の範囲内で自由に変更することができるものである。
【0011】
本発明の組成物は、ビフィドバクテリウム属細菌、及びラクチカゼイバチルス属細菌を含有する。本発明において、ビフィドバクテリウム属細菌は一種又は二種以上を、ラクチカゼイバチルス属細菌は一種又は二種以上を、それぞれ組み合わせて含有されてもよい。
【0012】
ビフィドバクテリウム属細菌としては、特に制限されないが、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis、
ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティスに再分類されている)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバ
クテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・カテヌラータム(Bifidobacterium catenulatum)、ビフィドバクテリウム・シュー
ドカテヌラータム(Bifidobacterium pseudocatenulatum)、ビフィドバクテリウム・ア
ニマリス(Bifidobacterium animalis)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)、及びビフィドバクテリウム・シュードロンガム(Bifidobacterium pseudolongum)が挙げられる。
【0013】
ビフィドバクテリウム・ロンガムとしてより具体的には、ビフィドバクテリウム・ロンガムBB536が挙げられる。ビフィドバクテリウム・ロンガム BB536は、独立行
政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(NPMD)(〒292-0818
千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室)に、2018年1月26日にNITE BP-02621の受託番号で、ブダペスト条約に基づく国際寄託がなされたもので
ある。これと同一の細菌であるBifidobacterium longum subsp. longum ATCC BAA-999(番号:ATCC BAA-999)は、A
merican Type Culture Collection(ATCC;米国、2
0110、ヴァージニア州、マナサス、ユニバーシティ ブルバード10801(108
01 University Boulevard, Manassas, VA 2011
0, United States of America))から、ATCC BAA-9
99として入手可能である(例えば、特開2012-223134号公報等参照)。
【0014】
ビフィドバクテリウム・ブレーベとしてより具体的には、ビフィドバクテリウム・ブレーベ M-16Vが挙げられる。ビフィドバクテリウム・ブレーベ M-16Vは、2018年1月26日付で、NPMDに、受託番号NITE BP-02622で、ブダペスト
条約に基づく国際寄託がなされている。市販品として入手可能な、例えば、森永乳業社製の「ビフィドバクテリウム・ブレーベ M-16V」を用いてもよい。
また、ビフィドバクテリウム・ブレーベとしてより具体的には、ビフィドバクテリウム・ブレーベ MCC1274も挙げられる。ビフィドバクテリウム・ブレーベ MCC1274は、2009年8月25日付で、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(現・独立行政法人製品評価技術基盤機構特許生物寄託センター(IPOD)(〒292-0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 120号室)に、受託番号FERM BP-11175で、ブダペスト条約に基づく国際寄託がなされている。
【0015】
ビフィドバクテリウム・インファンティスとしてより具体的には、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティス M-63が挙げられる。ビフィド
バクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティス M-63は、2018
年1月26日付で、NPMDに、受託番号NITE BP-02623で、ブダペスト条
約に基づく国際寄託がなされている、ビフィドバクテリウム・インファンティス M-63と同義である。
【0016】
これらのビフィドバクテリウム属細菌のうち、ビフィドバクテリウム・ロンガムがより好ましく、そのうちビフィドバクテリウム・ロンガムBB536(受託番号:NITE
BP-02621)が特に好ましい。
【0017】
ラクチカゼイバチルス(Lacticaseibacillus)属細菌は、従来ラクトバチルス(Lactobacillus)属に分類されていたが、2020年に国際原核生物命名委員会(ICSP)に
よる規則(ICNP)に則りInternational Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology(IJSEM)誌においてラクチカゼイバチルス属に再分類された細菌を指す。
新たな分類であるラクチカゼイバチルス属に含まれるものとしては、ラクチカゼイバチルス・カゼイ(Lacticaseibacillus casei)、ラクチカゼイバチルス・パラカゼイ(Lacticaseibacillus paracasei)、ラクチカゼイバチルス・ラムノーサス(Lacticaseibacillus rhamnosus)が挙げられる。
【0018】
ラクチカゼイバチルス・カゼイとしてより具体的には、ラクトバチルス・カゼイ YI
T9029(FERM BP-1366)、ラクトバチルス・カゼイ ATCC393等が挙げられる。
ラクトバチルス・カゼイ YIT9029は、旧分類であるラクトバチルス属細菌とし
て、IPODにFERM BP-01366の受託番号でブダペスト条約に基づく国際寄
託がなされている。
ラクトバチルス・カゼイ ATCC393は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレ
クション(ATCC;住所 12301 Parklawn Drive, Rockville, Maryland 20852, United States of America)から入手することができる。
【0019】
ラクチカゼイバチルス・パラカゼイとしてより具体的には、ラクトバチルス・パラカゼイ MCC1849、ラクトバチルス・パラカゼイ MCC1375、ラクトバチルス・パラカゼイ KW3110、ラクトバチルス・パラカゼイ WON0604等が挙げられる。
ラクトバチルス・パラカゼイ MCC1849は、旧分類であるラクトバチルス属細菌
として、NPMDに、2013年6月6日にNITE P-01633の受託番号で寄託
がなされ、2014年1月31日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、NITE BP-01633の受託番号が付与されたものである。
ラクトバチルス・パラカゼイ MCC1375は、旧分類であるラクトバチルス属細菌
として、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(現IPOD)に、2010年11月5日にFERM BP-11313の受託番号でブダペスト条約に基づく国
際寄託がなされたものである。
ラクトバチルス・パラカゼイ KW3110は、IPODにFERM BP-08634の受託番号でブダペスト条約に基づく国際寄託がなされているが、L.casei L1
4株として日本乳業技術協会から入手することもできる。
ラクトバチルス・パラカゼイ WON0604は、IPODにFERM BP-11468の受託番号でブダペスト条約に基づく国際寄託がなされている。
【0020】
ラクチカゼイバチルス・ラムノーサスとしてより具体的には、ラクトバチルス・ラムノーサス LCS742、ラクトバチルス・ラムノーサス ATCC53103等が挙げられる。
ラクトバチルス・ラムノーサス LCS742は、森永乳業株式会社よりLactobacillus
rhamnosus LCS-742として、販売されているものを入手することができる(例えば、特表第2009-522280号公報参照)。
ラクトバチルス・ラムノーサス ATCC53103は、アメリカン・タイプ・カルチ
ャー・コレクションから入手することができる。
これらのラクチカゼイバチルス属細菌のうち、ラクチカゼイバチルス・パラカゼイがより好ましく、そのうちラクトバチルス・パラカゼイ MCC1849(受託番号:NIT
E BP-01633)が特に好ましい。
【0021】
なお、前述したビフィドバクテリウム属細菌やラクチカゼイバチルス属細菌の各菌株には、当該細菌名で所定の機関に寄託や登録がなされている株そのもの(以下、説明の便宜上、「寄託株」ともいう)に限られず、それと実質的に同等な株(「派生株」又は「誘導株」ともいう)も包含される。すなわち、上記受託番号で上記寄託機関に寄託されている株そのものに限られず、それと実質的に同等な株も包含される。細菌について、「上記寄託株と実質的に同等の株」とは、上記寄託株と同一の種に属し、さらに上記寄託株とのゲノム配列の類似度(Average Nucleotide Identity値)が、好ましくは99.0%以上、
より好ましくは99.5%以上、さらに好ましくは100%の同一性を有し、かつ、好ましくは上記寄託株と同一の菌学的性質を有する株をいう。細菌について、上記寄託株と実質的に同等の株は、例えば、当該寄託株を親株とする派生株であってよい。派生株としては、寄託株から育種された株や寄託株から自然に生じた株が挙げられる。育種方法としては、遺伝子工学的手法による改変や、突然変異処理による改変が挙げられる。突然変異処理としては、X線の照射、紫外線の照射、ならびにN-メチル-N'-ニトロ-N-ニト
ロソグアニジン、エチルメタンスルフォネート、及びメチルメタンスルフォネート等の変異剤による処理が挙げられる。寄託株から自然に生じた株としては、寄託株の使用の際に自然に生じた株が挙げられる。そのような株としては、寄託株の培養(例えば継代培養)により自然に生じた変異株が挙げられる。派生株は、一種の改変により構築されてもよく、二種又はそれ以上の改変により構築されてもよい。
【0022】
本発明の組成物に含有させるビフィドバクテリウム属細菌及びラクチカゼイバチルス属細菌は、市販品を用いてもよく、適宜製造して取得したものを用いてもよいし、前述の細菌を培養することにより取得したものを用いてもよい。
培養方法は、ビフィドバクテリウム属細菌又はラクチカゼイバチルス属細菌がそれぞれ増殖できる限り、特に制限されない。培養方法としては、例えば、ビフィドバクテリウム属細菌又はラクチカゼイバチルス属細菌の培養にそれぞれ通常用いられる方法を、そのまま、あるいは適宜修正して、用いることができる。培養温度は、例えば、25~50℃であってよく、35~42℃であることが好ましい。培養は、好ましくは嫌気条件下で実施することができ、例えば、炭酸ガス等の嫌気ガスを通気しながら実施することができる。また、培養は、液体静置培養等の微好気条件下で実施することもできる。培養は、例えば、前記細菌が所望の程度に増殖するまで実施することができる。
【0023】
培養に用いる培地は、ビフィドバクテリウム属細菌又はラクチカゼイバチルス属細菌がそれぞれ増殖できる限り、特に制限されない。培地としては、例えば、前記細菌の培養にそれぞれ通常用いられる培地を、そのまま、あるいは適宜修正して、用いることができる。すなわち、炭素源としては、例えば、ガラクトース、グルコース、フルクトース、マンノース、セロビオース、マルトース、ラクトース、スクロース、トレハロース、デンプン、デンプン加水分解物、廃糖蜜等の糖類を資化性に応じて用いることができる。窒素源としては、例えば、アンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム等のアンモニウム塩類や硝酸塩類を用いることができる。また、無機塩類としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸カリウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化マンガン、硫酸第一鉄等を用いることができる。また、ペプトン、大豆粉、脱脂大豆粕、肉エキス、酵母エキス等の有機成分を用いてもよい。また、前記細菌の培養にそれぞれ通常用いられる培地として、具体的には、強化クロストリジア培地(Reinforced Clostridial medium)、MRS培地(de Man, Rogosa, and Sharpe medium)、mMRS培地(modified MRS medium)、TOSP培地(TOS propionate medium)、TOSP Mup培地(TOS propionate mupirocin medium)、GAM(Gifu Anaerobic
Medium)培地、YCFA(Yeast Extract-casein Hydrolysate Acid)培地等が挙げられる。
【0024】
本発明の組成物に含有させるビフィドバクテリウム属細菌及びラクチカゼイバチルス属細菌の形態は、それぞれ独立して菌体、細菌の培養物、細菌の処理物のいずれでもよい。
菌体は、例えば、生菌体であってもよく、死菌体(損傷菌体を含む)であってもよく、生菌体と死菌体の混合物であってもよい。なお、ビフィドバクテリウム属細菌とラクチカゼイバチルス属細菌とで、それぞれ独立して、生菌体、死菌体及びそれらの混合物から選択されてよい。好ましい態様において、ビフィドバクテリウム属細菌は生菌体として、ラクチカゼイバチルス属細菌は死菌体として、本発明の組成物に含有される。
細菌の培養物としては、例えば、培養により得られた培養物をそのまま用いてもよく、培養物を希釈又は濃縮して用いてもよく、培養物から回収した菌体を用いてもよい。また、培養物として、培養上清や培養画分を用いてもよい。培養上清を用いる場合は、例えばGAM培地で37℃、16時間の条件で培養した時の培養液の上清を好ましく使用できる。
細菌の処理物としては、菌体又は培養物に対して、破砕、加熱、凍結乾燥、又は噴霧乾燥処理を施した物及びそれらの希釈物、乾燥物又は画分を用いることができる。
【0025】
本発明の組成物におけるビフィドバクテリウム属細菌及びラクチカゼイバチルス属細菌の各含有量としては特に限定されないが、例えば前記細菌の菌体量として、それぞれ組成物1g当たり1.0×10cfu以上とすることが好ましく、より好ましくは1.0×10cfu以上の菌体を含有するとしてよい。なお、cfuはコロニー形成単位(Co
lony forming unit)を指す。本明細書においては、例えば、還元脱脂粉乳10質量%を含む固体培地にて38℃で培養したときの値とすることができる。また、菌体が死菌体である場合、cfuは個細胞(cells)と置き換えることができる。
また、前記細菌の培養物として培養上清を用いる場合は、組成物全体の0.1~100質量%とすることが好ましく、より好ましくは1~90質量%、さらに好ましくは10~80質量%とすることができる。
また、本発明の組成物におけるビフィドバクテリウム属細菌及びラクチカゼイバチルス属細菌の各含有量の比は、特に限定されないが、例えばcfuで表される前記細菌の菌体量として、0.1:99.9~99.9:0.1とすることが好ましく、1:99~99:1とすることがより好ましく、10:90~90:10とすることがより好ましく、30:70~70:30とすることが更に好ましい。
これらは、通常、経口組成物として流通するときの含有量の範囲であってよい。
【0026】
本発明の組成物は、さらにプレバイオティクスを含有することが好ましい。プレバイオティクスは、主に腸内においてプロバイオティクスの増殖を促進させたり、その減少を抑制したりする作用を示すものを指す。本発明においては、特にビフィドバクテリウム属細菌の増殖促進及び/又は減少抑制の作用を示すものが好ましい。
プレバイオティクスとしては、オリゴ糖(ラクチュロース、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、ラフィノース、ラクトスクロース、大豆オリゴ糖、コーヒーオリゴ糖、ヒトミルクオリゴ糖等)、単糖(ガラクトース、マンノース等)、食物繊維(イヌリン、アルギン酸等)などが好ましく挙げられ、これらのうちオリゴ糖がより好ましく、ラクチュロースがさらに好ましい。
【0027】
本発明の組成物におけるプレバイオティクスの含有量としては、特に限定されないが、例えば組成物全体の0.1~90質量%とすることができる。あるいは、組成物1g当たり1~900mgとすることができる。
【0028】
本発明の組成物は、健康寿命を延長させることができる。「健康寿命(healthy longevity)」とは、世界保健機関(WHO)が提唱した指標であり、平均寿命から寝たきりや
認知症などの要介護状態の期間を差し引いた期間を指す。健康寿命を延長させることは、単に長生きするのではなく、精神、身体ともが健康な状態で生きる期間を長くすることをいう。要介護状態の期間を短くさせること、と言い換えることもでき、寝たきりや認知症などの発生や進行を遅延させることにより概期間を短くさせることであってよい。
【0029】
本発明の組成物が発揮する健康寿命延長作用は、フレイルの予防及び/又は改善によるものであることが好ましい。ここで、フレイルの予防とはフレイルの防止、フレイルの発生の遅延を含み、フレイルの改善とはフレイルの抑制、フレイルの進行の遅延を含む。
「フレイル」とは、高齢期に生理的予備能が低下することでストレスに対する脆弱性が亢進し、健常な状態と生活機能に障害がある状態又は要介護状態との中間にある虚弱化状態を指す語である(参照:日本老年医学会によるステートメント https://jpn-geriat-soc.or.jp/info/topics/pdf/20140513_01_01.pdf)。かかる虚弱化状態は、筋力の低下により動作の俊敏性が失われて転倒しやすくなるような身体的問題のみならず、認知機能障害やうつなどの精神・心理的問題、独居や経済的困窮などの社会的問題を含む概念である。通常、フレイルの状態は不可逆的ではなく、しかるべき介入により健常な状態に戻りうる可逆的なものであると考えられている。
【0030】
フレイルの診断方法には統一された基準がないが、表現型モデルに基づくCardiovascular Health Study基準(CHS基準)と、欠損累積モデルに基づくFrailty Indexが主要な方法として知られており、それらのスコアが改
善することによりフレイルが改善したと判断されてよい。また、簡易評価法として妥当性
が示されている、FRAIL scale、Edmonton Frail Scale(
EFS)、Tilburg Frailty Indicator(TFI)、基本チェックリスト(KCL)、簡易フレイル・インデックスなどで、フレイルの改善が判断されてもよい。
【0031】
日本版のCHS基準(J-CHS)は、「体重減少」、「筋力低下」、「疲労」、「歩行速度の低下」、「身体活動の低下」の5項目を評価基準としている。
後述の実施例で示されるように、本発明の組成物を摂取することにより食欲改善効果が認められることから、「体重減少」の評価向上が見込まれる。また、本発明の組成物を摂取することにより睡眠改善効果および疲労回復効果が認められることから、「疲労」の評価向上が見込まれる。また、本発明の組成物を摂取することにより筋肉量増加効果が認められることから、「筋力低下」、「歩行速度の低下」、又は「身体活動の低下」の評価向上が見込まれる。
したがって本発明の組成物は、身体的側面及び/又は精神・心理的側面から、フレイルを予防及び/又は改善することができ、その結果として健康寿命を延長しうる。
かかる効果は、ビフィドバクテリウム属細菌及びラクチカゼイバチルス属細菌を組み合わせることにより、相加的あるいは相乗的に得られるものと推察される。
【0032】
本発明の別の側面は、健康寿命延長用組成物の製造における、ビフィドバクテリウム属細菌及びラクチカゼイバチルス属細菌の使用である。
本発明の別の側面は、健康寿命延長における、ビフィドバクテリウム属細菌及びラクチカゼイバチルス属細菌の使用である。
本発明の別の側面は、健康寿命延長のために用いられる、ビフィドバクテリウム属細菌及びラクチカゼイバチルス属細菌である。
本発明の別の側面は、ビフィドバクテリウム属細菌及びラクチカゼイバチルス属細菌を対象に投与することを含む、健康寿命延長方法である。
【0033】
本発明の組成物を投与する対象(被投与者)及び摂取させる対象(摂取者)は、動物であれば特に限定されないが、通常はヒトである。また、成人、小児、乳児、新生児等のいずれであってもよいが、通常は成人であり、好ましくは高齢者(65歳以上)である。また、性別は特に限定されない。
【0034】
なお、本明細書において「ビフィドバクテリウム属細菌及びラクチカゼイバチルス属細菌を動物に投与すること」は、「ビフィドバクテリウム属細菌及びラクチカゼイバチルス属細菌を動物に摂取させること」と同義であってよい。摂取は、通常は自発的なもの(自由摂取)であるが、強制的なもの(強制摂取)であってもよい。すなわち、投与工程は、具体的には、例えば、ビフィドバクテリウム属細菌及びラクチカゼイバチルス属細菌を飲食品や飼料に配合して対象に供給し、以て対象にそれを自由摂取させる工程であってもよい。
【0035】
本発明の組成物の摂取(投与)時期は、特に限定されず、摂取(投与)対象の状態に応じて適宜選択することが可能である。
【0036】
本発明の組成物の摂取(投与)量は、摂取(投与)対象の年齢、性別、状態、その他の条件等により適宜選択される。
本発明の組成物の摂取(投与)量は、本発明に係るビフィドバクテリウム属細菌の菌体の摂取(投与)量として、例えば、成人において1×10~1×1012cfu/日の範囲が好ましく、1×10~1×1011cfu/日の範囲がより好ましく、1×10~1×1011cfu/日がさらに好ましい。また、ラクチカゼイバチルス属細菌の菌体の摂取(投与)量として、例えば、成人において1×10~1×1012cfu/日
の範囲が好ましく、1×10~1×1011cfu/日の範囲がより好ましく、1×10~1×1011cfu/日がさらに好ましい。
あるいは、ビフィドバクテリウム属細菌の培養上清の摂取(投与)量として、例えば、成人において0.5~5g/日の範囲が好ましく、1~4g/日の範囲がより好ましく、2~3g/日がさらに好ましい。ラクチカゼイバチルス属細菌の培養上清の摂取(投与)量として、例えば、成人において0.5~5g/日の範囲が好ましく、1~4g/日の範囲がより好ましく、2~3g/日がさらに好ましい。
なお、摂取(投与)の量や期間にかかわらず、本発明の組成物は1日1回又は複数回に分けて摂取(投与)することができる。
【0037】
本発明の組成物の摂取(投与)期間は、特に限定されない。また、摂取(投与)期間の上限は特に設けられず、継続的な、長期の摂取(投与)が可能である。
【0038】
本発明の組成物の摂取(投与)経路は、経口又は非経口のいずれでもよいが経口が好ましい。また、非経口摂取(投与)としては、経皮、静注、直腸投与、吸入等が挙げられる。
【0039】
本発明の組成物を経口摂取(投与)される組成物とする場合は、飲食品の態様とすることが好ましい。
【0040】
飲食品としては、本発明の効果を損なわず、経口摂取(投与)できるものであれば形態や性状は特に制限されず、ビフィドバクテリウム属細菌及びラクチカゼイバチルス属細菌を含有させること以外は、通常飲食品に用いられる原料を用いて通常の方法によって製造することができる。
【0041】
飲食品としては、液状、ペースト状、ゲル状固体、粉末等の形態を問わず、例えば、栄養補助食品(サプリメント)、錠菓;流動食(経管摂取用栄養食);パン、マカロニ、スパゲッティ、めん類、ケーキミックス、から揚げ粉、パン粉等の小麦粉製品;即席めん、カップめん、レトルト・調理食品、調理缶詰め、電子レンジ食品、即席スープ・シチュー、即席みそ汁・吸い物、スープ缶詰め、フリーズ・ドライ食品、その他の即席食品等の即席食品類;農産缶詰め、果実缶詰め、ジャム・マーマレード類、漬物、煮豆類、農産乾物類、シリアル(穀物加工品)等の農産加工品;水産缶詰め、魚肉ハム・ソーセージ、水産練り製品、水産珍味類、つくだ煮類等の水産加工品;畜産缶詰め・ペースト類、畜肉ハム・ソーセージ等の畜産加工品;加工乳、乳飲料、ヨーグルト類、乳酸菌飲料類、チーズ、アイスクリーム類、調製粉乳類、クリーム、その他の乳製品等の乳・乳製品;バター、マーガリン類、植物油等の油脂類;しょうゆ、みそ、ソース類、トマト加工調味料、みりん類、食酢類等の基礎調味料;調理ミックス、カレーの素類、たれ類、ドレッシング類、めんつゆ類、スパイス類、その他の複合調味料等の複合調味料・食品類;素材冷凍食品、半調理冷凍食品、調理済冷凍食品等の冷凍食品;キャラメル、キャンディー、チューインガム、チョコレート、クッキー、ビスケット、ケーキ、パイ、スナック、クラッカー、和菓子、米菓子、豆菓子、デザート菓子、ゼリー、その他の菓子などの菓子類;炭酸飲料、天然果汁、果汁飲料、果汁入り清涼飲料、果肉飲料、果粒入り果実飲料、野菜系飲料、豆乳、豆乳飲料、コーヒー飲料、お茶飲料、粉末飲料、濃縮飲料、スポーツ飲料、栄養飲料、アルコール飲料、その他の嗜好飲料等の嗜好飲料類、ベビーフード、ふりかけ、お茶漬けのり等のその他の市販食品等;育児用調製粉乳;経腸栄養食;機能性食品(特定保健用食品、栄養機能食品)等が挙げられる。
【0042】
また、飲食品の一態様として飼料とすることもできる。飼料としては、ペットフード、家畜飼料、養魚飼料等が挙げられる。
飼料の形態としては特に制限されず、ビフィドバクテリウム属細菌及びラクチカゼイバ
チルス属細菌の他に例えば、トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦、マイロ等の穀類;大豆油粕、ナタネ油粕、ヤシ油粕、アマニ油粕等の植物性油粕類;フスマ、麦糠、米糠、脱脂米糠等の糠類;コーングルテンミール、コーンジャムミール等の製造粕類;魚粉、脱脂粉乳、カゼイン、イエローグリース、タロー等の動物性飼料類;トルラ酵母、ビール酵母等の酵母類;第三リン酸カルシウム、炭酸カルシウム等の鉱物質飼料;油脂類;単体アミノ酸;糖類等を含有するものであってよい。
【0043】
本発明の組成物が飲食品(飼料を含む)の態様である場合、健康寿命延長に関する用途が表示された飲食品として提供・販売されることが可能である。
【0044】
かかる「表示」行為には、需要者に対して前記用途を知らしめるための全ての行為が含まれ、前記用途を想起・類推させうるような表現であれば、表示の目的、表示の内容、表示する対象物・媒体等の如何に拘わらず、全て本発明における「表示」行為に該当する。
また、「表示」は、需要者が上記用途を直接的に認識できるような表現により行われることが好ましい。具体的には、飲食品に係る商品又は商品の包装に前記用途を記載したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引き渡しのために展示し、輸入する行為、商品に関する広告、価格表若しくは取引書類に上記用途を記載して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に上記用途を記載して電磁気的(インターネット等)方法により提供する行為等が挙げられる。
【0045】
一方、表示内容としては、行政等によって認可された表示(例えば、行政が定める各種制度に基づいて認可を受け、そのような認可に基づいた態様で行う表示等)であることが好ましい。また、そのような表示内容を、包装、容器、カタログ、パンフレット、POP等の販売現場における宣伝材、その他の書類等へ付することが好ましい。
【0046】
また、「表示」には、健康食品、機能性食品、経腸栄養食品、特別用途食品、保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品、医薬部外品等としての表示も挙げられる。この中でも特に、消費者庁によって認可される表示、例えば、特定保健用食品、栄養機能食品、若しくは機能性表示食品に係る制度、又はこれらに類似する制度にて認可される表示等が挙げられる。具体的には、特定保健用食品としての表示、条件付き特定保健用食品としての表示、身体の構造や機能に影響を与える旨の表示、疾病リスク減少表示、科学的根拠に基づいた機能性の表示等を挙げることができ、より具体的には、健康増進法に規定する特別用途表示の許可等に関する内閣府令(平成二十一年八月三十一日内閣府令第五十七号)に定められた特定保健用食品としての表示(特に保健の用途の表示)及びこれに類する表示が典型的な例である。
【0047】
かかる表示としては、例えば、「健康寿命を延ばしたい方に」、「心身の老いの予防・改善のために」、「フレイル対策」、「フレイル予防」等が挙げられる。
【実施例
【0048】
以下に、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0049】
[試験例1]健康寿命延長作用の検討
(1)試験方法
以下の手順で本発明の組成物のヒトへの投与試験を行った。なお、本試験は、医療法人社団盛心会タカラクリニックにおいて、同クリニックの倫理委員会の承認のもと、ヘルシンキ宣言の趣旨に則り行われた。
投与対象者は、65歳以上の在宅の日本人男女で,1週間あたりの排便回数が2~5回
の者とし、試験内容を十分に説明してインフォームドコンセントを得た。試験参加にあた
り次の条件を除外基準とした。(a)悪性腫瘍で治療中もしくは既往歴がある者、(b)自己免疫疾患で治療中もしくは既往歴がある者、(c)炎症性腸疾患で治療中もしくは既往歴があ
る者、(d)入院中の者、(e)特定保健用食品や機能性表示食品を日頃から摂取している者、(f)納豆、ヨーグルト、乳酸菌含有食品/飲料を日頃から摂取している者、(g)喫煙者、(h)抗アレルギー薬を常用している者、(i)下剤を常用している者、(j)特定保健用食品、機
能性表示食品以外の機能性が考えられるサプリメントを常用している者、(k)アレルギー
(医薬品・試験食品関連食品)がある者、(l)妊娠中、授乳中、あるいは試験期間中に妊
娠する意思のある者、(m)同意書取得日以前の3か月間において他の臨床試験に参加して
いた者、(n)その他、試験責任医師が本試験の対象として不適切と判断した者。
解析対象となった摂取群は、28名(男性10名、女性18名、71.0±4.5歳)であった。
【0050】
投与対象者に、被験組成物を1日1回朝食後に4週間毎日摂取してもらった。並行して被験組成物を摂取しない非摂取群(29名)も設けた。
被験組成物は粉末状で、1回分(1.5g)はビフィドバクテリウム・ロンガム NI
TE BP-02621の生菌体 100億個、ラクトバチルス・パラカゼイ NITE BP-01633の死菌体 100億個、ラクチュロース 300mg、食物繊維0.15gを含有した。
摂取開始前及び摂取開始4週間後に、種々の自覚症状をアンケート(リッカートスケール法)にて評価した。評価は、1:まったくあてはまらない、2:ほとんどあてはまらない、3:あまりあてはまらない、4:少しあてはまる、5:かなりあてはまる、6:非常にあてはまる、の6段階とした。
また、摂取開始前及び摂取開始4週間後に、身体測定・理学検査を行った。その1つとして、筋肉量をZEUS 9.9(株式会社神戸メディケア製)を用いて測定した。
【0051】
(2)結果
「眠れなくて悩んでいる」、「食欲がない」、及び「2日休んでも疲れが取れない」の項目において、被験組成物の摂取前に対して摂取後に有意な改善が認められた(表1)。また、非摂取群との比較においても、「2日休んでも疲れが取れない」の項目は、有意な改善が認められた(P<0.008)。
被験組成物の摂取前に対して摂取後に筋肉量の有意な増加が認められた(表2)。また、非摂取群との比較においても、筋肉量の有意な増加が認められた(P<0.017)。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】