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特許7591367作業管理システム、作業管理方法及び作業管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】作業管理システム、作業管理方法及び作業管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/02 20240101AFI20241121BHJP
   A01G 7/00 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
G06Q50/02
A01G7/00 603
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020135154
(22)【出願日】2020-08-07
(65)【公開番号】P2022030856
(43)【公開日】2022-02-18
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100167830
【弁理士】
【氏名又は名称】仲石 晴樹
(72)【発明者】
【氏名】三谷 英樹
【審査官】田上 隆一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/026080(WO,A1)
【文献】特開2019-128741(JP,A)
【文献】特開2020-054315(JP,A)
【文献】特開2020-113121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
A01G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場に対応する作業領域を設定する領域設定部と、
前記領域設定部で設定される前記作業領域に、大区画及び前記大区画よりも小さい小区画をそれぞれ複数含む複数の区画を設定する区画設定部と、を備え
前記小区画は、前記大区画を2以上に分割した際の個々の分割後の領域である、
作業管理システム。
【請求項2】
圃場に対応する作業領域を設定する領域設定部と、
前記領域設定部で設定される前記作業領域に、大区画及び前記大区画よりも小さい小区画をそれぞれ複数含む複数の区画を設定する区画設定部と、を備え、
前記区画設定部は、前記作業領域を前記作業領域の外周側の範囲と中央側の範囲とに二分したときに、前記外周側の範囲に前記小区画を設定し、前記中央側の範囲に前記大区画を設定する、
作業管理システム。
【請求項3】
圃場に対応する作業領域を設定する領域設定部と、
前記領域設定部で設定される前記作業領域に、大区画及び前記大区画よりも小さい小区画をそれぞれ複数含む複数の区画を設定する区画設定部と、を備え、
ユーザの操作を受け付ける操作受付部を更に備え、
前記区画設定部は、前記ユーザの操作に従って、前記大区画及び前記小区画をそれぞれ含む前記複数の区画を設定する第1モードと、前記大区画及び前記小区画のいずれかのみを含む前記複数の区画を設定する第2モードと、を切替可能である、
作業管理システム。
【請求項4】
圃場に対応する作業領域を設定する領域設定部と、
前記領域設定部で設定される前記作業領域に、大区画及び前記大区画よりも小さい小区画をそれぞれ複数含む複数の区画を設定する区画設定部と、を備え、
ユーザの操作を受け付ける操作受付部を更に備え、
前記区画設定部は、前記ユーザの操作に従って、前記作業領域のうち前記大区画又は前記小区画を設定する範囲を指定する、
作業管理システム。
【請求項5】
作業期間における作業機械の位置毎の作業に関連する複数の作業情報を取得する作業取得部と、
前記複数の作業情報に基づく作業データを前記複数の区画に対応付けてなるマップを前記作業領域毎に生成するマップ生成部と、を更に備える、
請求項1~4のいずれか1項に記載の作業管理システム。
【請求項6】
1以上のプロセッサにより実行される作業管理方法であって、
圃場に対応する作業領域を設定する領域設定処理と、
前記作業領域に、大区画及び前記大区画よりも小さい小区画をそれぞれ複数含む複数の区画を設定する区画設定処理と、を有し、
前記小区画は、前記大区画を2以上に分割した際の個々の分割後の領域である、
作業管理方法。
【請求項7】
1以上のプロセッサにより実行される作業管理方法であって、
圃場に対応する作業領域を設定する領域設定処理と、
前記作業領域に、大区画及び前記大区画よりも小さい小区画をそれぞれ複数含む複数の区画を設定する区画設定処理と、を有し、
前記区画設定処理では、前記作業領域を前記作業領域の外周側の範囲と中央側の範囲とに二分したときに、前記外周側の範囲に前記小区画を設定し、前記中央側の範囲に前記大区画を設定する、
作業管理方法。
【請求項8】
1以上のプロセッサにより実行される作業管理方法であって、
圃場に対応する作業領域を設定する領域設定処理と、
前記作業領域に、大区画及び前記大区画よりも小さい小区画をそれぞれ複数含む複数の区画を設定する区画設定処理と、を有し、
前記区画設定処理では、操作受付部が受け付けるユーザの操作に従って、前記大区画及び前記小区画をそれぞれ含む前記複数の区画を設定する第1モードと、前記大区画及び前記小区画のいずれかのみを含む前記複数の区画を設定する第2モードと、を切替可能である、
作業管理方法。
【請求項9】
1以上のプロセッサにより実行される作業管理方法であって、
圃場に対応する作業領域を設定する領域設定処理と、
前記作業領域に、大区画及び前記大区画よりも小さい小区画をそれぞれ複数含む複数の区画を設定する区画設定処理と、を有し、
前記区画設定処理では、操作受付部が受け付けるユーザの操作に従って、前記作業領域のうち前記大区画又は前記小区画を設定する範囲を指定する、
作業管理方法。
【請求項10】
請求項6~9のいずれか1項に記載の作業管理方法を、1以上のプロセッサに実行させるための作業管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場での作業の管理に用いられる作業管理システム、作業管理方法及び作業管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術として、圃場での農作物の生育状況を小領域毎に把握するために、圃場の領域を、例えば、複数の区画(管理領域)に分割し、区画毎に作業状況等の管理を図ることを可能とする圃場管理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。関連技術に係る圃場管理装置は、圃場内を作業機械(作業車両)が走行している間に測定された作業機械の時刻毎の位置情報に基づいて、各位置での作業機械の移動方向を算出し、作業機械の主たる移動方向である主移動方向を決定する。そして、この圃場管理装置は、主移動方向に平行な第1仮想直線と第1仮想直線に直交する第2仮想直線とを用いて、圃場の領域(作業領域)を複数の矩形状の区画に分割する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-165649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記関連技術の構成では、作業領域の全域にわたって均一の形状及びサイズの区画が設定される。しかし、同一の圃場内であっても、例えば、作業領域の外周部と中央部とで、作業状況等の管理に求められる粒度(細かさ)が異なるケースがある。このようなケースにおいて、外周部に合わせて複数の区画が設定されると中央部での作業状況等の管理に不適切となり、反対に、中央部に合わせて複数の区画が設定されると外周部での作業状況等の管理に不適切となる場合がある。
【0005】
本発明の目的は、作業領域の全域の管理により適した複数の区画を設定しやすい作業管理システム、作業管理方法及び作業管理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の局面に係る作業管理システムは、領域設定部と、区画設定部と、を備える。前記領域設定部は、圃場に対応する作業領域を設定する。前記区画設定部は、前記領域設定部で設定される前記作業領域に、大区画及び前記大区画よりも小さい小区画をそれぞれ複数含む複数の区画を設定する。
【0007】
本発明の他の局面に係る作業管理方法は、圃場に対応する作業領域を設定することと、前記作業領域に、大区画及び前記大区画よりも小さい小区画をそれぞれ複数含む複数の区画を設定することと、を有する。
【0008】
本発明の他の局面に係る作業管理プログラムは、圃場に対応する作業領域を設定することと、前記作業領域に、大区画及び前記大区画よりも小さい小区画をそれぞれ複数含む複数の区画を設定することと、を1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、作業領域の全域の管理により適した複数の区画を設定しやすい作業管理システム、作業管理方法及び作業管理プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態1に係る作業管理システムのシステム構成を示す図である。
図2図2は、実施形態1に係るコンバインの一例を示す側面図である。
図3図3は、実施形態1に係るコンバインの一例を示す平面図である。
図4図4は、実施形態1に係るコンバインの圃場における移動軌跡の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態1に係る作業管理システムが取得する作業情報の一例を示す図である。
図6図6は、実施形態1に係る作業管理システムで位置情報から作業領域を自動設定する様子を模式的に示す図である。
図7図7は、実施形態1に係る作業管理システムで作業領域を手動設定するための登録画面の一例を示す図である。
図8図8は、実施形態1に係る作業管理システムで作業領域を複数の区画に分割した状態を模式的に示す図である。
図9図9は、実施形態1に係る作業管理システムにおいて作成されるマップの一例を示す図である。
図10図10は、実施形態1に係る作業管理システムで設定される大区画及び小区画が混在する区画の一例を示す図である。
図11図11は、実施形態1に係る作業管理システムで設定される大区画及び小区画が混在する区画を設定する手順を模式的に示す図である。
図12図12は、実施形態1に係る作業管理システムで同一の圃場に対して複数の作業領域が設定される様子を模式的に示す図である。
図13図13は、実施形態1に係る作業管理システムで領域群から重複領域及び基準領域を抽出する様子を模式的に示す図である。
図14図14は、実施形態1に係る作業管理システムで複数の作業領域に共通の区画を設定する様子を模式的に示す図である。
図15図15は、実施形態1に係る作業管理システムにおいて生成される表示画面の一例を示す図である。
図16図16は、実施形態1に係る作業管理システムで用いられるデータテーブルの一例を示す図である。
図17図17は、実施形態1に係る作業管理システムにおいて生成される表示画面の一例を示す図である。
図18図18は、実施形態1に係る作業管理方法の一連の処理の一例を示すフローチャートである。
図19図19は、実施形態2に係る作業管理システムのシステム構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する趣旨ではない。
【0012】
(実施形態1)
[1]全体構成
本実施形態に係る作業管理システム1は、図1に示すように、管理サーバ2と、ユーザ端末3と、コンバイン4と、を備えている。コンバイン4は、作業管理システム1による作業の管理対象となる作業機械の一例である。
【0013】
本開示でいう「作業機械」は、圃場F1を移動する各種の作業用の機械を意味し、一例として、コンバイン4、トラクタ、田植機及び播種機等の作業車両である。つまり、作業機械は作業車両を含む。作業機械は、コンバイン4、トラクタ、田植機及び播種機等の「車両」に限らず、例えば、農薬散布用又は施肥用のドローン又はマルチコプター等の作業飛翔体等であってもよい。さらに、作業機械は農業機械(農機)に限らず、例えば、建設機械(建機)等であってもよい。
【0014】
また、本開示でいう「圃場」は、作業機械が移動しながら、例えば、収穫、植付け(田植え)又は施肥等の各種の作業を行う作業対象領域であって、農産物を育成する田、畑、果樹園及び牧草地等を含む。さらに、植木畑で植木を育成している場合には植木畑が圃場F1となり、林業のように森林にて木材となる樹木を育成する場合には森林が圃場F1となる。このような圃場F1は、実空間(実在する空間)中の特定の場所であるので、例えば、緯度及び経度等をもって、位置、形状及び大きさ等が表される。本実施形態では、このように実空間中において作業機械が移動しながら各種の作業を行う作業対象領域が圃場F1である場合について説明するが、作業対象領域は、圃場F1以外であってもよい。例えば、作業機械が建設機械であれば、建設機械が作業を行う現場が、作業対象領域となる。
【0015】
本実施形態では、作業管理システム1による作業の管理対象となる作業機械(コンバイン4)は、作業管理システム1の構成要素に含まれることとするが、作業機械が作業管理システム1の構成要素に含まれることは必須ではない。同様に、本実施形態では、ユーザ端末3は、作業管理システム1の構成要素に含まれることとするが、ユーザ端末3が作業管理システム1の構成要素に含まれることは必須ではない。つまり、作業管理システム1は、作業機械(コンバイン4)及びユーザ端末3の少なくとも一方を、構成要素に含まなくてもよい。作業管理システム1が作業機械及びユーザ端末3の両方を構成要素に含まない場合には、作業管理システム1は、管理サーバ2のみを構成要素に含むことになる。
【0016】
管理サーバ2、ユーザ端末3及びコンバイン4(作業機械)は、互いに通信可能である。本開示でいう「通信可能」とは、有線通信又は無線通信(電波又は光を媒体とする通信)の適宜の通信方式により、直接的、又は通信網(ネットワーク)N1若しくは中継器等を介して間接的に、情報を授受できることを意味する。例えば、管理サーバ2及びコンバイン4は、携帯電話回線網、パケット回線網又は無線LAN(Local Area Network)等を介して通信可能である。また、管理サーバ2及びユーザ端末3は、インターネット、LAN、WAN(Wide Area Network)又は公衆電話回線等を介して通信可能である。管理サーバ2、ユーザ端末3及びコンバイン4間の通信手段は、上記の例に限らず、適宜の通信手段によって実現される。また、管理サーバ2、ユーザ端末3及び作業機械(コンバイン4)が互いに通信可能であることは、作業管理システム1において必須の構成ではない。例えば、管理サーバ2と作業機械(コンバイン4)との間の通信機能がない場合でも、作業機械にてコンピュータ読取可能な非一時的記録媒体に情報を記録し、管理サーバ2にて記録媒体から情報を読み取ることで、オフラインでの情報の授受が可能となる。
【0017】
管理サーバ2と通信可能な作業機械(コンバイン4)、つまり、作業管理システム1での作業の管理対象となる作業機械は、1台であってもよいし、複数台であってもよい。作業管理システム1による作業の管理対象となる作業機械が、複数台のコンバイン4を含む場合、これら複数台のコンバイン4は、例えば、同一の圃場F1において作物を収穫する収穫作業を協働して実行する。さらに、作業管理システム1による作業の管理対象となる複数台の作業機械は、例えば、コンバイン4、トラクタ、田植機及び播種機等の、互いに異なる種類の作業機械を含んでいてもよい。
【0018】
本実施形態では、管理サーバ2は、作業管理システム1の中核となる機能を有している。つまり、管理サーバ2は、作業機械(ここではコンバイン4)の作業を管理する機能を有している。ユーザ端末3は、ユーザにて使用される通信端末である。例えば、ユーザは、ユーザ端末3にて、管理サーバ2が提供する作業支援サービスのウェブサイト(一例として「作業支援サイト」)にアクセスして、コンバイン4の稼働状況及び収穫量等の情報を含むウェブページを表示させることが可能である。
【0019】
[2]作業機械
次に、作業機械の一例であるコンバイン4の構成について、図1図2及び図3を参照して詳細に説明する。コンバイン4は、走行装置41、刈取装置42、脱穀装置43、選別装置44、貯留装置45、動力装置46、運転部47、車両制御装置48及び搭載端末49等を備える。
【0020】
車両制御装置48は、1以上のプロセッサと、不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)等の1以上のメモリとを有するコンピュータシステムである。そして、車両制御装置48は、コンバイン4に対する各種のユーザ操作に応じてコンバイン4の動作を制御する。
【0021】
走行装置41は、コンバイン4を前後方向及び左右方向に移動させることができる。例えば、コンバイン4は、図4に示すように、圃場F1内を蛇行しながら収穫作業を実施する。図4では一例として、作業機械であるコンバイン4が作業を行う圃場F1として、第1圃場F11及び第2圃場F12の2つの圃場F1を示している。また、図4では、上段に圃場F1を含む概略地図を示し、下段(吹き出し内)に圃場F1(第1圃場F11)の概略拡大図を示す。コンバイン4の移動軌跡R1は図4に示す経路に限定されない。一例として、コンバイン4等の作業機械は、圃場F1内を外側から内側に向かって右(又は左)に旋回しながら移動してもよく、この場合、移動軌跡R1は渦巻き状の経路となる。
【0022】
刈取装置42は、圃場F1の穀稈を刈り取る。刈取装置42は、リール421、カッター422、オーガ423、搬送コンベア424及びロータ425等を有する。リール421は、回転することによって圃場F1の穀稈をカッター422へ案内する。カッター422は、リール421によって案内された穀稈を切断する。オーガ423は、カッター422によって切断された穀稈を所定の位置に集合させる横送りスクリューである。
【0023】
搬送コンベア424は、オーガ423によって集められた穀稈を、ロータ425まで搬送する。ロータ425は、搬送コンベア424により搬送されてくる穀稈を脱穀装置43へ送り込む。
【0024】
脱穀装置43は、刈取装置42により刈り取られた穀稈に対する脱穀処理を実行する。脱穀処理は、穀稈から穀粒を含む脱穀物を分離する。脱穀物は脱穀装置43から下方の選別装置44へ落下する。
【0025】
選別装置44は、脱穀装置43から落下する脱穀物から、穀粒を選別する選別処理を実行する。選別装置44は、例えば、脱穀物に対して斜め下方から風を当てつつ脱穀物をふるいにかけることにより、脱穀物から穀粒を選別する。
【0026】
脱穀装置43は、例えば、穀稈を脱穀装置43の前部から後方へ搬送しつつ穀稈に対する脱穀処理を実行する。同様に、選別装置44は、例えば、脱穀物を選別装置44の前部から後方へ搬送しつつ脱穀物に対する選別処理を実行する。
【0027】
貯留装置45は、縦搬送ダクト451、縦搬送コンベア452、グレンタンク453及び排出オーガ454等を有する。縦搬送ダクト451は、選別装置44とグレンタンク453の上部の入口とをつなぐダクトである。縦搬送コンベア452は、縦搬送ダクト451内で回転することにより穀粒を選別装置44からグレンタンク453内へ搬送するスクリューコンベアである。排出オーガ454は、グレンタンク453内の穀粒をコンバイン4の周囲の任意の場所へ排出する。
【0028】
動力装置46は、走行装置41、刈取装置42、脱穀装置43、選別装置44、及び貯留装置45の駆動源である。動力装置46は、動力源として、例えばディーゼルエンジン等のエンジンを有する。また、動力装置46は、動力源としてモータ(電動機)を有していてもよいし、エンジンとモータとを含むハイブリッド式の動力源を有していてもよい。
【0029】
運転部47には、操作者が着席する運転座席、並びに、操作者により操作されるハンドル、各種の操作レバー及び各種の操作スイッチ等の操作装置が設けられている。例えば、操作装置には、エンジンON/OFFキーが含まれる。エンジンON/OFFキーは、コンバイン4に搭載されるエンジンの始動及び停止を切り替えるためのキースイッチ又はボタンスイッチ等である。車両制御装置48は、エンジンON/OFFキーがオンに切り替えられた場合にエンジンを始動させ、エンジンON/OFFキーがオフに切り替えられた場合にエンジンを停止させる。
【0030】
搭載端末49は、作業機械(コンバイン4)に搭載されている通信端末である。搭載端末49は、制御部491、記憶部492、通信部493、位置検出部494及び実績検出部495等の機能部を有する。搭載端末49に含まれる、これら複数の機能部は、複数の筐体に分散して設けられていてもよいし、1つの筐体に設けられていてもよい。本実施形態では一例として、位置検出部494及び実績検出部495は、他の機能部(制御部491等)とは別の筐体に設けられる。
【0031】
制御部491は、1以上のプロセッサと、不揮発性メモリ及びRAM等の1以上の記憶メモリとを有するコンピュータシステムである。記憶部492は、制御部491に所定の処理を実行させるための制御プログラム、及び後述の作業情報D1(図5参照)等のデータを記憶する不揮発性メモリ等である。
【0032】
通信部493は、近距離無線通信又は有線通信により車両制御装置48との間で各種のデータの送受信が可能である。具体的に、制御部491は、通信部493により車両制御装置48からコンバイン4の各種の稼働状態を示す稼働情報を取得することが可能である。稼働情報は、作業機械(コンバイン4)の作業に関連する作業情報D1に含まれる。
【0033】
稼働情報は、作業機械(コンバイン4)自体の稼働状況のうちの少なくとも1項目に関する情報を含んでいる。例えば、稼働情報には、ハンドルの操作角度(操舵角)を示すハンドル操作情報、及びシフトレバーの操作状態を示すシフト情報等が含まれる。また、稼働情報には、コンバイン4のエンジンON/OFFキーのON/OFF状態を示すエンジン情報も含まれる。さらに、稼働情報には、エンジンの回転数を示す回転数情報、車速情報、燃料消費率を示す燃費情報、エンジン負荷を示す負荷情報等が含まれる。また、稼働情報には、スリップ率を示すスリップ率情報、クラッチの操作状態を示すクラッチ情報、ブレーキの操作状態を示すブレーキ情報、作業機械に搭載されている各種センサーの状態等が含まれていてもよい。
【0034】
ここでいう「作業情報」は、稼働情報の他に、作業機械の位置を示す位置情報D2、及び作業機械による作業の実績を示す実績情報等を含んでいる。制御部491は、作業情報D1のうちの位置情報D2については、位置検出部494から取得することが可能である。制御部491は、作業情報D1のうちの実績情報については、実績検出部495から取得することが可能である。ここでいう「実績情報」は、作業機械にて行われた作業の結果(実績)に係る情報であって、例えば、作業機械が作物の収穫を行う収穫機(コンバイン4を含む)である場合、収穫量(収量)に関する収穫量情報(収量データ)等を含む。つまり、この場合、作業情報D1は、作業機械の位置毎の作業機械での作物の収穫量情報を含む。その他、実績情報には、作業平均速度、作業速度のばらつき、作業時間、作業効率(面積/作業時間)、施肥量、植付け深さ、耕耘深さ及びリフト角等の情報が含まれてもよい。
【0035】
また、通信部493は、通信網N1を介して管理サーバ2との間で各種のデータの送受信が可能である。そのため、コンバイン4(作業機械)に搭載された搭載端末49は、例えば、作業情報D1等を通信網N1経由で管理サーバ2に送信することが可能である。
【0036】
位置検出部494は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)等の衛星測位システムを用いて、搭載端末49の位置、つまり搭載端末49が搭載されたコンバイン4の位置を示す位置情報D2を検出する。位置情報D2には、コンバイン4の位置を示す緯度及び経度の情報が含まれる。位置検出部494によるコンバイン4の位置情報D2の取得手法は特に限定されない。また、位置情報D2は、緯度及び経度を用いる形式に限らず、作業機械(ここではコンバイン4)の位置を特定可能な形式であればよく、緯度及び経度以外の形式であってもよい。
【0037】
ここで、管理サーバ2での処理等を考慮すると、位置検出部494は、極力、高精度に位置情報D2を検出することが好ましい。一例として、位置検出部494は、RKT(Real Time Kinematic)測位のように、比較的高精度で位置情報D2を検出可能な手法を採用することが好ましい。これにより、例えば、後述するように管理サーバ2にて作業領域A1(図6参照)を自動的に設定する際に、作業領域A1を精度よく設定できるといった利点がある。
【0038】
実績検出部495は、作業情報D1に含まれる実績情報を検出する。ここでは、作業機械が作物の収穫を行う収穫機(コンバイン4)であるので、実績情報は、収穫量に関する収穫量情報(収量データ)を含む。そのため、実績検出部495は、コンバイン4で収穫された作物の収穫量(穀粒量)を検出するセンサー(穀粒センサー)を有している。実績検出部495は、一例として、グレンタンク453の上面に取り付けられている(図3参照)。脱穀装置43及び選別装置44によって得られた穀粒は、縦搬送コンベア452によってグレンタンク453へ向けて搬送される。実績検出部495の穀粒センサーは、一例として、歪みゲージ又は圧電素子等の衝撃検出部を含み、搬送された穀粒が衝撃検出部に衝突した際の衝撃力を検出する。実績検出部495は、この衝撃力に基づいて、収穫量(検出値)を検出する。実績検出部495によるコンバイン4の収穫量の取得手法は特に限定されない。
【0039】
制御部491は、以下の種々の処理を実行する。具体的には、制御部491は、現在の時刻を計時するための計時処理を実行する。ここでいう「時刻」には、年、月、日、時、分及び秒が含まれる。搭載端末49は、バッテリーに接続されており、制御部491は、コンバイン4のエンジンがOFF状態でも、バッテリーから供給される電力により計時処理等の処理を実行することが可能である。
【0040】
また、制御部491は、作業機械(コンバイン4)の位置情報D2、実績情報(収穫量情報等)及び稼働情報を取得する情報取得処理を実行する。具体的には、制御部491は、計時処理で計時される時刻に基づいて、所定の時間間隔若しくは所定のタイミング(時刻)で定期的に、又は不定期に、位置情報D2、実績情報及び稼働情報を取得する。本実施形態では一例として、制御部491は、予め設定された(所定の)サンプリング間隔で、定期的に、位置情報D2、実績情報及び稼働情報を取得する。
【0041】
制御部491は、取得する位置情報D2、実績情報及び稼働情報を記憶部492に記録する。ここで、制御部491は、位置情報D2、実績情報及び稼働情報を、これらを取得した時刻を表す時刻情報に対応付けて記憶部492に記憶する。そのため、同時に取得された位置情報D2、実績情報及び稼働情報は、記憶部492においても、取得された時刻情報をキーにして互いに対応付けられた状態を維持する。サンプリング間隔は、少なくともマップM1(図9参照)の作成に必要となる実績情報(収穫量情報)の取得間隔(例えば1秒以上5秒以下の時間間隔)に基づいて設定される。また、サンプリング間隔は、例えば、コンバイン4の移動軌跡R1の特定に必要となる位置情報D2の取得間隔(例えば1分間隔)よりも短い時間間隔に設定される。本実施形態では一例として、制御部491は、サンプリング間隔である「5秒間隔」で、位置情報D2、実績情報及び稼働情報を取得することとする。
【0042】
図5は、記憶部492に記録される位置情報D2、実績情報(収穫量情報)、稼働情報及び時刻情報を含む作業情報D1の一例を示す図である。作業情報D1は、サンプリング間隔(ここでは5秒間隔)で取得されるので、図5に示す表の各行に表記される情報が作業情報D1である。つまり、図5に示す表全体では、複数の作業情報D1が含まれている。位置情報D2についても、図5に示す表の「位置情報」の欄の各行に表記される情報が位置情報D2である。つまり、図5に示す表全体では、複数の位置情報D2が含まれている。ただし、図5では、複数の位置情報D2に対して1つの参照符号「D2」を付している。
【0043】
図5では、位置情報D2がX1~X17及びY1~Y17で示されているが、実際の位置情報D2には、X1~X17及びY1~Y17に代えてコンバイン4の位置を示す数値(緯度及び経度)等が含まれる。また、図5では、実績情報としての収穫量情報がE1~E17で示されているが、実際の収穫量情報には、E1~E17に代えて実績検出部495が検出した検出値を示す数値(重量)等が含まれる。また、図5では、車速情報(稼働情報の一例)がV1~V17で示されているが、実際の車速情報には、V1~V17に代えて車速センサーが検出した検出値を示す数値(速度)等が含まれる。
【0044】
本実施形態では一例として、制御部491は、コンバイン4のエンジンON/OFFキーがONでエンジンがON状態である間、位置情報D2、実績情報(収穫量情報)及び稼働情報を定期的に取得して、記憶部492に記録する情報記録処理を繰り返し実行する。そのため、制御部491では、作業機械であるコンバイン4が使用されている「作業期間」においては、作業機械の位置毎の作業に関連する複数の作業情報D1を取得できる。
【0045】
また、本実施形態では一例として、制御部491は、コンバイン4のエンジンON/OFFキーがオフに切り替えられ、エンジンがオフ状態になる(つまり停止する)と、情報記録処理を終了する。つまり、エンジンがオフ状態にあれば、記憶部492には、新たな作業情報D1(位置情報D2、実績情報、稼働情報及び時刻情報)は記憶されない。さらに、制御部491は、情報記録処理を終了する時点で、記憶部492に記録されている1以上の作業情報D1を、管理サーバ2に送信する。ここで、制御部491は、管理サーバ2から作業情報D1の受信確認信号を受信すると、作業情報D1を記憶部492から消去する。つまり、コンバイン4(作業機械)から管理サーバ2に作業情報D1が正常に送信されると、記憶部492内の作業情報D1は消去される。
【0046】
このように、コンバイン4は、搭載端末49を備え、作業に応じた位置情報D2、実績情報(収穫量情報)及び稼働情報を含む作業情報D1を記憶部492に記録し、記憶部492に蓄積された1以上の作業情報D1を、管理サーバ2へと送信する。本実施形態では、作業機械としてのコンバイン4のエンジンがオン状態からオフ状態に切り替わること(つまり停止)をトリガにして、作業機械から管理サーバ2に作業情報D1が送信されるが、管理サーバ2への作業情報D1の送信タイミングはこの例に限らない。例えば、コンバイン4は、エンジンがオフ状態からオン状態に切り替わること(つまり始動)をトリガに、前回の作業期間に得られた作業情報D1を管理サーバ2に送信してもよいし、定期的又は不定期に作業情報D1を管理サーバ2に送信してもよい。
【0047】
また、作業管理システム1による作業の管理対象となる作業機械は、コンバイン4に限らず、例えば、トラクタ、田植機又は播種機等であってもよい。そして、作業機械が変われば、当然ながら、作業機械における刈取装置42等の各部の機能は、作業機械に合わせて変更される。一方、作業機械に搭載される搭載端末49の基本的な機能については、作業機械によらずに共通である。
【0048】
すなわち、作業機械によらず、搭載端末49は、制御部491、記憶部492、通信部493、位置検出部494及び実績検出部495等を有する。ただし、例えば、作業機械がトラクタである場合、作業機械の作業に関連する作業情報中の実績情報は、収穫量情報に加えて又は代えて、土壌特性に関する土壌情報、及び施肥量に関する施肥情報等のデータを含み得る。この場合、実績検出部495は、収穫量情報(収量データ)に加えて又は代えて、土壌データ及び施肥データ等を検出する。同様に、例えば、作業機械が田植機である場合、作業機械の作業に関連する作業情報中の実績情報は、施肥量に関する施肥情報等のデータを含み得る。この場合、実績検出部495は施肥データ等を検出する。同様に、例えば、作業機械が播種機である場合、作業機械の作業に関連する作業情報中の実績情報は、播種量に関する播種情報等のデータを含み得る。この場合、実績検出部495は播種データ等を検出する。
【0049】
また、作業機械がトラクタである場合には、トラクタ本体に装着されるインプルメントの変更により、作業機械は、耕耘、草刈り、又は、肥料、農薬若しくは種の散布等の、複数種類の作業を実行可能である。トラクタ本体に装着されるインプルメントが変更される等、作業機械で実行可能な作業の種類(内容)が変更される場合には、変更の前後の作業機械は、互いに異なる作業機械であることとする。つまり、本開示でいう「互いに異なる作業機械」は、例えば、コンバイン4と田植機とのように異なる種別の作業機械、及び、実行可能な作業の種類が異なる作業機械を含む。
【0050】
[3]管理サーバ
次に、管理サーバ2の構成について、図1を参照して詳細に説明する。管理サーバ2は、情報処理部21、データ格納部22、操作受付部23及び(サーバ側)通信部24等を備えるサーバである。管理サーバ2は、1台のコンピュータに限らず、複数台のコンピュータが協働して動作するコンピュータシステムであってもよい。また、管理サーバ2で実行される各種の処理は、複数のプロセッサによって分散して実行されてもよい。
【0051】
通信部24は、1以上の作業機械(コンバイン4)及びユーザ端末3等の外部機器との通信機能を有する通信インターフェースである。具体的には、通信部24は、管理サーバ2を有線又は無線で通信網N1に接続し、通信網N1を介して1以上の作業機械(コンバイン4)及びユーザ端末3等との間で、所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行する。
【0052】
操作受付部23は、ユーザの操作を受け付ける。具体的には、管理サーバ2はユーザ端末3と通信可能であるので、操作受付部23は、ユーザ端末3に対するユーザの操作に応じた操作信号がユーザ端末3から送信されることで、ユーザの操作を間接的に受け付ける。つまり、ユーザ端末3をユーザが操作すると、ユーザ端末3では、ユーザの操作に応じた操作信号が発生し、操作信号がユーザ端末3から管理サーバ2に送信される。したがって、操作受付部23は、管理サーバ2がユーザ端末3から受信する操作信号によって、ユーザの操作を受け付けることができる。また、操作受付部23は、ユーザ端末3に対するユーザの操作に限らず、ユーザ端末3以外の操作部に対するユーザ(管理サーバ2の管理者等)の操作を受け付けてもよい。この場合、操作部は、例えば、管理サーバ2に設けられる、又は管理サーバ2に付随する、タッチパネル、マウス若しくはキーボード等で実現される。
【0053】
データ格納部22は、各種の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の不揮発性のストレージデバイスを含む。データ格納部22には、情報処理部21に後述の作業管理方法を実行させるための作業管理プログラム等の制御プログラムが格納(記憶)されている。作業管理プログラムは、例えば、コンピュータ読取可能な非一時的記録媒体に記録されて提供され、管理サーバ2の読取装置で非一時的記録媒体から読み取られて、データ格納部22に記憶される。作業管理プログラムは、管理サーバ2以外のサーバから電気通信回線(通信網N1)を介して管理サーバ2に提供(ダウンロード)されて、データ格納部22に記憶されてもよい。
【0054】
また、データ格納部22は、作業情報格納部221と作業領域格納部222とを含む。作業情報格納部221は、コンバイン4(作業機械)から送信される作業情報D1を記憶する。作業領域格納部222は、後述する作業領域A1に関する情報を記憶する。
【0055】
情報処理部21は、1以上のプロセッサと、不揮発性メモリ及びRAM等の1以上のメモリとを有するコンピュータシステムであって、種々の処理(情報処理)を実行する。情報処理部21は、位置取得部211、作業取得部212、領域設定部213、区画設定部214、データ算出処理部215、マップ生成部216及び表示処理部217等の機能部を有する。情報処理部21に含まれる、これら複数の機能部は、複数の筐体に分散して設けられていてもよいし、1つの筐体に設けられていてもよい。
【0056】
位置取得部211は、圃場F1を移動する作業機械(コンバイン4)の作業期間における複数の位置情報D2を取得する。ここでいう「作業期間」は、作業機械にて作業が行われている期間であって、作業期間においては作業機械に搭載された搭載端末49(制御部491)にて作業情報D1が取得されている。本実施形態では一例として、コンバイン4のエンジンON/OFFキーがオンに切り替えられてからオフに切り替えられるまで、つまりエンジンがオン状態にある期間を「作業期間」とする。そして、作業期間においては、作業機械は圃場F1内を移動するので、作業機械の移動に伴って複数の位置情報D2が取得される。また、「作業期間」は、作業機械が圃場F1内を移動する期間だけでなく、例えば、作業機械が農道を走行中の期間等を含んでもよい。要するに、本実施形態のようにエンジンがオン状態にある期間を「作業期間」とする場合には、例えば農道等、作業機械が圃場F1以外の場所に存在する期間も作業期間に含まれ得る。ただし、作業期間における複数の位置情報D2のうち、作業機械が圃場F1以外の場所に存在するときの位置情報D2については、例えば、稼働情報中の車速情報及びクラッチ情報等を参照することで、不要情報として識別可能である。
【0057】
作業取得部212は、作業期間における作業機械(コンバイン4)の位置毎の作業に関連する複数の作業情報D1を取得する。つまり、作業期間においては、作業機械は圃場F1内を移動するので、作業機械の移動に伴って、作業機械の位置毎の作業に関連する複数の作業情報D1を取得できる。本実施形態では、作業期間が終了する(作業機械としてのコンバイン4のエンジンがオン状態からオフ状態に切り替わる)毎に、作業期間における複数の作業情報D1が作業機械から管理サーバ2に作業情報D1が送信される。これにより、作業取得部212は、作業期間における複数の作業情報D1を取得する。
【0058】
また、本実施形態では、複数の作業情報D1に含まれる作業機械(コンバイン4)の位置の情報は、複数の位置情報D2と共通である。つまり、本実施形態では、作業情報D1は位置情報D2を含む情報であるので、作業情報D1中の位置情報D2(作業機械の位置の情報)を、位置取得部211が取得する位置情報D2と共通化する。よって、情報処理部21は、位置情報D2を取得する位置取得部211と、作業情報D1を取得する作業取得部212とを有しつつも、位置取得部211は、作業取得部212で取得される作業情報D1から位置情報D2を抽出することで、位置情報D2を取得する。これにより、作業機械における同一の位置検出部494で検出された位置情報D2が、位置取得部211で取得される位置情報D2と、作業取得部212で取得される作業情報D1中の位置情報D2とに兼用される。
【0059】
上記のように位置取得部211及び作業取得部212を備えることにより、管理サーバ2は、コンバイン4(搭載端末49)から通信網N1を介して受信する作業情報D1等を、データ格納部22の作業情報格納部221に蓄積して記憶する。
【0060】
領域設定部213は、圃場F1を移動する作業機械(コンバイン4)の作業毎に、圃場F1に対応する作業領域A1を設定する。本開示でいう「作業領域」は、作業機械が移動する圃場F1に対応して仮想空間に設定される二次元領域であって、マップM1の作成に用いられる。つまり、実空間上に存在する圃場F1に対応して、マップM1の作成用に仮想空間上に設定される領域が作業領域A1である。本実施形態では、領域設定部213は、複数の位置情報D2に基づいて、圃場F1に対応する作業領域A1を設定する。つまり、位置取得部211にて取得される、作業機械(コンバイン4)の作業期間における複数の位置情報D2に基づいて、作業領域A1が自動的に設定される。
【0061】
本実施形態では、領域設定部213は、作業期間の終了後に、複数の位置情報D2に基づいて作業領域A1の設定を行う。つまり、領域設定部213は、作業期間中にリアルタイムで作業領域A1を設定するのではなく、作業期間の終了後に、当該作業期間での作業機械の位置に対応する複数の位置情報D2に基づいて、作業領域A1を設定する。領域設定部213で設定された作業領域A1に関する情報は、作業領域格納部222に記憶される。
【0062】
区画設定部214は、領域設定部213で設定される作業領域A1に、複数の区画K(図8参照)を設定する。本開示でいう「区画」は、仮想空間上の作業領域A1を複数に分割したときの、分割後の個々の領域を意味する。つまり、区画設定部214は、作業領域A1を複数の区画Kに分割(区分)することによって、複数の区画Kを設定する。本実施形態では、管理サーバ2は、ユーザの操作を受け付ける操作受付部23を備えている。そして、区画設定部214は、ユーザの操作に従って、複数の区画Kを設定する。
【0063】
区画設定部214は、領域設定部213で設定される作業領域A1を複数有する領域群A100(図12参照)について、互いに重複する重複領域Ax1(図13参照)を含む基準領域As1(図13参照)で共通となる複数の区画Kを作業領域A1毎に設定する。つまり、同一の圃場F1について、複数の作業領域A1が設定されるような場合において、少なくともこれら複数の作業領域A1において互いに重複する重複領域Ax1については、共通の複数の区画Kが設定されることになる。
【0064】
さらに、本実施形態では、区画設定部214は、領域設定部213で設定される作業領域A1に、大区画Kl(図10参照)及び大区画Klよりも小さい小区画Ks(図10参照)をそれぞれ複数含む複数の区画Kを設定する。ここで、区画設定部214は、作業領域A1を作業領域A1の外周側の範囲A101と中央側の範囲A102とに二分したときに、外周側の範囲A101に小区画Ksを設定し、中央側の範囲A102に大区画Klを設定する。また、区画設定部214は、ユーザの操作に従って、第1モードと、第2モードと、を切替可能である。第1モードは、大区画Kl及び小区画Ksをそれぞれ含む複数の区画Kを設定するモードである。第2モードは、大区画Kl及び小区画Ksのいずれかのみを含む複数の区画Kを設定するモードである。さらに、区画設定部214は、ユーザの操作に従って、作業領域A1のうち大区画Kl又は小区画Ksを設定する範囲を指定する。
【0065】
データ算出処理部215は、作業取得部212により取得される作業情報D1に基づいて、作業領域A1内の複数の区画Kのそれぞれの作業データを算出する。データ算出処理部215は、区画Kごとに、区画K内の複数のサンプリング位置に対応する実績情報(収穫量情報)を取得して、例えば、単位面積当たりの収穫量(g/m2)を作業データとして算出する。データ算出処理部215は、サンプリング間隔(例えば5秒間隔)で取得された作業情報D1に基づいて区画Kごとの作業データ(単位面積当たりの収穫量)を算出する。
【0066】
マップ生成部216は、複数の作業情報D1に基づく作業データを複数の区画Kに対応付けてなるマップM1を作業領域A1毎に生成する。本開示でいう「マップ」は、作業領域A1に設定された複数の区画Kに、それぞれ収量データ(収穫量情報)等の作業データを割り当てたデータである。本実施形態では、マップ生成部216は、データ算出処理部215にて算出された作業データ(単位面積当たりの収穫量)を複数の区画Kに対応付けることで、マップM1を生成する。つまり、例えば、マップ生成部216は、圃場F1内の収穫量の分布を表すマップM1(収量マップ)を生成する。このようなマップM1によれば、ユーザは、マップM1を確認することにより圃場F1全体の収穫状態を把握することが可能になる。このようなマップM1は、例えば、圃場F1の収穫状態を評価したり、次年度の収穫作業の計画を立てたりする目的で利用される。
【0067】
表示処理部217は、マップ生成部216で生成されたマップM1等を表示させる処理を実行する。本実施形態では、表示処理部217は、表示部に表示させる表示画面Im1(図15参照)を生成し、例えば、ユーザ端末3の表示部(操作表示部33)に表示画面Im1を表示させる。本開示でいう表示画面Im1等の「画面」は、表示部に表示される映像(画像)を意味し、図像、図形、写真、テキスト及び動画等を含む。そのため、情報処理部21は、例えば、操作受付部23に対するユーザによる操作に応じて、データ格納部22に記憶されている作業情報D1等を表示又は送信することが可能である。
【0068】
本実施形態では一例として、表示処理部217は、各種のウェブページを生成してそのウェブページの情報をユーザ端末3に送信することにより、ユーザ端末3に各種のウェブページを表示させることが可能である。また、他の態様として、表示処理部217は、ユーザ端末3に各種のウェブページを表示するために必要なデータを送信することにより、ユーザ端末3の制御部31に各種のウェブページの表示を実行させてもよい。
【0069】
情報処理部21は、CPU(Central Processing Unit)で作業管理プログラムに従った各種の処理を実行することによって、上記各種の機能部(処理部)として機能する。また、情報処理部21における上記各種の機能部の少なくとも一部は、電子回路で構成されていてもよい。さらに、作業管理プログラムは、複数のプロセッサを機能部として機能させるためのプログラムであってもよい。各機能部の動作について詳しくは、「[5]作業管理方法」の欄で説明する。
【0070】
[4]ユーザ端末
次に、ユーザ端末3の構成について、図1を参照して詳細に説明する。ユーザ端末3は、制御部31、記憶部32、操作表示部33及び通信部34等を備える。ユーザ端末3は、例えば、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末又はパーソナルコンピュータ等の情報処理装置(通信端末)である。
【0071】
通信部34は、管理サーバ2等の外部機器との通信機能を有する通信インターフェースである。具体的には、通信部34は、ユーザ端末3を有線又は無線で通信網N1に接続し、通信網N1を介して管理サーバ2等との間で、所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行する。
【0072】
操作表示部33は、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイのような表示部と、タッチパネル、マウス又はキーボードのような操作部と、を含むユーザインターフェースである。操作表示部33は、例えば、ユーザに対して各種の情報を表示し、かつユーザによる各種の操作を受け付ける。特に本実施形態では、ユーザ端末3は、ブラウザ機能を有しており、操作表示部33には、各種のウェブページ等の情報を表示可能である。
【0073】
記憶部32は、各種の情報を記憶するHDD、SSD又はフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶部である。例えば、記憶部32には、ブラウザプログラム等の制御プログラムが記憶される。具体的に、ブラウザプログラムは、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)等の通信プロトコルに従って、管理サーバ2等の外部装置との間で通信処理を制御部31に実行させるための制御プログラムである。また、制御プログラムは、管理サーバ2との間で予め定められた通信プロトコルに従って通信処理を実行するための専用アプリケーションであってもよい。
【0074】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)等の1以上のプロセッサと、ROM(Read Only Memory)及びRAM等の1以上のメモリとを有するコンピュータシステムである。CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサである。ROMは、CPUに各種の処理を実行させるためのBIOS(Basic Input Output System)及びOS(Operating System)等の制御プログラムが予め記憶された不揮発性のメモリである。RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性のメモリであり、CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリ(作業領域)として使用される。そして、制御部31は、ROM又は記憶部32に予め記憶された各種の制御プログラムをCPUで実行することによりユーザ端末3を制御する。
【0075】
具体的には、制御部31は、記憶部32に記憶されているブラウザプログラムに従って各種の処理を実行することによりブラウザ処理部311として機能する。ブラウザ処理部311は、管理サーバ2から通信網N1を介して提供されるウェブページを操作表示部33に表示させ、操作表示部33に対する操作を管理サーバ2に入力するブラウザ処理を実行することが可能である。すなわち、ユーザ端末3は、制御部31によってブラウザプログラムが実行されることにより、管理サーバ2の操作用端末として機能することが可能である。
【0076】
より詳細に説明すると、ユーザ端末3では、管理サーバ2で提供される作業支援サービスのウェブサイト(作業支援サイト)に対応する所定のURLへのアクセス要求を行うためのユーザによる操作が行われることで、以下の動作を開始する。すなわち、ユーザ端末3は、上記操作が行われた場合に、制御部31にて、管理サーバ2から作業支援サイトのウェブページのデータを取得する。このとき、例えば、ユーザが、ユーザ端末3に表示される作業支援サイトにおいて、各種画面(表示画面Im1及び登録画面Im2等)の表示指示を行うことで、ユーザ端末3は、指示された各種画面を操作表示部33に表示させる。各種画面は、ユーザ端末3において作業支援サイトにログインすることによりユーザ端末3にて表示可能となる。
【0077】
ここで、上記所定のURLへのアクセス要求のための操作は、例えば、ユーザによる、予め登録されたウェブサイトの一覧からの選択操作、又はテキスト入力操作等によって実現される。また、ユーザ端末3に管理サーバ2に対応する専用アプリケーションがインストールされている場合には、ユーザが専用アプリケーションを起動する操作を行うことで、所定のURLへのアクセス要求がなされ、操作表示部33に作業支援サイトが表示される。
【0078】
ユーザ端末3が管理サーバ2と通信可能である限り、ユーザは、どこからでもユーザ端末3にて作業支援サイトを確認することができ、作業機械による作業に関する情報を確認することが可能である。
【0079】
ここにおいて、ユーザ端末3を使用するユーザは、作業機械(コンバイン4)を操作(運転)する操作者と同一人であってもよいし、同一人でなくてもよい。また、ユーザ端末3を使用するユーザに関して、例えば、圃場F1のオーナのように1つの圃場F1に対して単一のユーザが設定されてもよいし、1つの圃場F1に対して複数のユーザが設定されてもよい。後者の場合、例えば、1つの圃場F1であっても、作業毎に異なるユーザを設定することも可能である。さらに、ユーザは、個人と法人とのいずれであってもよいし、複数の個人又は法人の集合からなる団体(組織)であってもよい。また、ユーザ端末3は、1ユーザに対して1台設けられてもよいし、複数のユーザに対して1台設けられてもよいし、1ユーザに対して複数台設けられてもよい。複数のユーザに対して1台のユーザ端末3が設けられる場合、例えば、ユーザID等によって、複数のユーザの各々を識別可能である。
【0080】
[5]作業管理方法
以下、図6図18を参照しつつ、主として管理サーバ2の情報処理部21によって実行される作業管理方法の一例について説明する。以下、特に断りがない限り、作業機械であるコンバイン4による収穫作業を、作業管理方法による管理の対象とする場合を想定する。
【0081】
また、本実施形態に係る作業管理方法は、コンピュータシステムを主構成とする情報処理部21にて実行されるので、言い換えれば、作業管理プログラムにて具現化される。つまり、本実施形態に係る作業管理プログラムは、作業管理方法に係る各処理を1以上のプロセッサに実行させるためのコンピュータプログラムである。このような作業管理プログラムは、例えば、管理サーバ2の情報処理部21及びコンバイン4の制御部491によって協働して実行されてもよい。
【0082】
[5.1]作業領域の設定処理
まず、作業領域A1を設定するための「作業領域の設定処理」について説明する。本実施形態では、領域設定部213の動作モードとして、自動で作業領域A1を設定(特定)する第1動作モードと、手動で作業領域A1を設定する第2動作モードと、の2種類の動作モードがある。そして、領域設定部213は、操作受付部23が受け付けるユーザの操作に従って、第1動作モードと、第2動作モードと、を切替可能である。つまり、本実施形態では、作業領域A1の設定に関して、自動設定と手動設定との2種類の設定方法がある。そこで、以下では、第1動作モード(自動設定)と第2動作モード(手動設定)とに分けて、領域設定部213による作業領域A1の設定処理について説明する。
【0083】
[5.1.1]作業領域の自動設定
まず、領域設定部213の動作モードが第1動作モードにある場合、つまり作業領域A1を自動設定する場合における、作業領域A1の設定処理について説明する。
【0084】
第1動作モードにおいては、領域設定部213は、例えば、図6に示すように、複数の位置情報D2に基づいて、圃場F1に対応する作業領域A1を設定する。図6では、サンプリング間隔で取得される作業機械(コンバイン4)の位置情報D2に対応する仮想空間上の各位置を、黒点の印で示しており、当該黒点の位置(サンプリング位置)に参照符号「D2」を付している。また、図6では、図4に例示した第1圃場F11及び第2圃場F12の2つの圃場F1にそれぞれ対応する2つの作業領域A1を設定する様子を示している。すなわち、図6において、第1作業領域A11が第1圃場F11に対応し、第2作業領域A12が第2圃場F12に対応する。
【0085】
ここでは一例として、コンバイン4が移動軌跡R1に沿って移動する際に、サンプリング間隔で取得される位置情報D2が作業期間中に得られる場合を想定する。領域設定部213は、このような複数の位置情報D2に基づいて、作業領域A1を自動的に設定する。
【0086】
作業領域A1を設定するに際し、情報処理部21は、作業領域A1の設定に用いられる複数の位置情報D2を位置取得部211にて取得する。本実施形態では、位置取得部211は、作業取得部212で取得される作業情報D1から位置情報D2を抽出することで、位置情報D2を取得する。
【0087】
本実施形態では、領域設定部213は、複数の位置情報D2について、まずは稼働情報中の車速情報及びクラッチ情報等を参照して、作業(例えば収穫作業)に関連しない作業機械の位置情報D2を不要情報として除外する。さらに、領域設定部213は、K近傍又は点密度等により、作業に関連しない作業機械の位置情報D2を不要情報として除外する。そして、不要情報を除外して残った複数の位置情報D2について、領域設定部213は、時間的及び/又は空間的な間隔が所定値以下である位置情報D2をグループ化し、複数の位置情報D2の集合を抽出する。このような処理により、作業を実行中、つまり作業期間中の作業機械の位置に係る複数の位置情報D2の集合が抽出される。このような集合に含まれる複数の位置情報D2は、圃場F1内での作業機械の移動軌跡R1上に点在する。
【0088】
領域設定部213は、抽出された複数の位置情報D2の集合を用いて、作業機械が実際に作業を行ったと推定される圃場F1に対応する作業領域A1を設定(特定)する。本実施形態では、領域設定部213は、位置情報D2にて特定される作業機械(コンバイン4)の各位置に対応する仮想空間上の点群についての凸包処理を用いて、作業領域A1を設定する。これにより、複数の位置情報D2に対応する仮想空間上の点群を凹みのないように覆った図形である凸包(convex hull)、つまり仮想空間上の点群を包む最小の凸多角形が、作業領域A1として設定される。要するに、圃場F1内の作業機械の移動軌跡R1上の点群を包囲する最小の凸多角形が、作業領域A1として自動的に設定される。
【0089】
ここで、図6の例では、第1圃場F11内の位置情報D2の取得元である作業機械と、第2圃場F12内の位置情報D2の取得元である作業機械とは、別の作業機械である。そのため、領域設定部213は、第1圃場F11内の位置情報D2に対応する点群からは凸包処理にて1つの作業領域A1を設定し、第2圃場F12内の位置情報D2に対応する点群からは凸包処理にて1つの作業領域A1を設定する。このような凸包処理により、図6の例では、第1圃場F11内の位置情報D2に対応する点群からは、第1圃場F11の外形と略同一形状の第1作業領域A11が設定される。同様に、第2圃場F12内の位置情報D2に対応する点群からは、第2圃場F11の外形と略同一形状の第2作業領域A12が設定される。
【0090】
作業領域A1の設定が完了すると、領域設定部213は、設定した作業領域A1に関する情報を、作業領域格納部222に記憶することをもって、作業領域A1の登録を行う。具体的には、仮想空間に作業領域A1を再現するために必要な情報を、作業領域格納部222に記憶することで、作業領域A1の登録が行われる。本実施形態では、仮想空間に設定される座標上での、作業領域A1の位置及び形状を特定する情報、つまり作業領域A1の外形線の座標情報が、作業領域A1に関する情報として、作業領域格納部222に記憶される。本実施形態では一例として、仮想空間上の座標は、実空間上の緯度及び経度と対応付けられている。そのため、作業領域格納部222には、対応する圃場F1の緯度及び経度を用いて、作業領域A1が登録されることになる。
【0091】
さらに、本実施形態では、領域設定部213は、設定した作業領域A1に関する情報として、例えば、作業の種類(内容)を特定するための作業名、及び作業に関する時刻情報(一例として開始日時及び終了日時)等についても、作業領域格納部222に記憶する。これにより、作業領域A1の登録に際しては、作業領域格納部222には、作業領域A1が、この作業領域A1に対応する圃場F1で行われた作業の作業名及び時刻情報等と紐づけて、格納されることになる。そのため、例えば、同一の圃場F1についても、作業名又は年度等によって、個別の作業領域A1を設定することが可能となる。
【0092】
[5.1.2]作業領域の手動設定
次に、領域設定部213の動作モードが第2動作モードにある場合、つまり作業領域A1を手動設定する場合における、作業領域A1の設定処理について説明する。
【0093】
第2動作モードにおいては、領域設定部213は、例えば、操作受付部23が受け付けるユーザの操作に従って、圃場F1に対応する作業領域A1を設定する。一例として、領域設定部213は、図7に示すような登録画面Im2上での作業領域A1を設定するユーザの操作に従って、圃場F1に対応する作業領域A1を設定する。登録画面Im2は、少なくとも1つの圃場F1を含んでいる。登録画面Im2は、例えば、表示処理部217にて、ユーザ端末3の表示部(操作表示部33)に表示される。この登録画面Im2上で、ユーザは、例えば、カーソル等により任意の範囲を指定する操作を行うことで、当該任意の範囲を作業領域A1に設定する。
【0094】
すなわち、図7の例において、ユーザが登録画面Im2上で第1圃場F11に相当する範囲を指定する操作を行うことで、第1圃場F11と略同一形状の第1作業領域A11が設定される。同様に、ユーザが登録画面Im2上で第2圃場F12に相当する範囲を指定する操作を行うことで、第2圃場F11の外形と略同一形状の第2作業領域A12が設定される。また、登録画面Im2においては、ユーザの操作に従って、例えば、スクロール、拡大/縮小及びページ切替等の動作も可能である。さらに、登録画面Im2上での作業領域A1の指定は、例えば、緯度及び経度を入力することによって実現されてもよい。
【0095】
第2動作モードにおいても、作業領域A1の設定が完了すると、領域設定部213は、設定した作業領域A1に関する情報を、作業領域格納部222に記憶することをもって、作業領域A1の登録を行う。
【0096】
[5.2]マップの生成処理
次に、複数の作業情報D1に基づく作業データを複数の区画Kに対応付けてなるマップM1を生成(作成)するための「マップの生成処理」について説明する。本実施形態では、区画設定部214による区画Kの設定の手法として種々の手法があるが、ここでは単純に複数の区画Kが設定されている場合を例に、マップM1の生成処理について説明する。
【0097】
マップ生成部216は、複数の作業情報D1に基づく作業データを、複数の区画Kに対応付けることによりマップM1を生成する。すなわち、マップ生成部216は、作業領域A1を複数の区画Kに分割した上で、区画K毎に、作業データ(例えば単位面積当たりの収穫量)に関するマップ情報のデータを生成する。本実施形態では、マップ生成部216は、複数の作業情報D1に基づいてデータ算出処理部215にて算出された作業データを、各区画Kに対応付けることにより、マップM1を具現化するためのマップ情報のデータを生成する。生成されたマップ情報は、例えば、データテーブルTa1(図16参照)に含めてデータ格納部22に記憶されてもよい。
【0098】
マップM1は、一例として、図8に示すように、作業領域A1全体をメッシュ状に複数の区画Kに分割し、各区画Kの収穫量(平均収穫量等)を算出して作成される。図8には、作業領域A1を複数の区画Kに分割した状態を模式的に示している。例えば、各区画Kは、対応する圃場F1における実寸換算で5m×5mの正方形の領域である。ただし、各区画Kの形状及び大きさ等は特に限定されない。図8には、各区画Kの識別情報として、X座標(X軸)及びY座標(Y軸)の座標情報(区画番号)を付している。
【0099】
具体的には、マップ生成部216は、作業領域A1の区画K毎に、対応する「区画番号」及び「作業データ」等の情報を含むマップ情報を生成する。区画番号は、区画Kの識別情報である。これにより、データ算出処理部215にて算出される作業データ(例えば単位面積当たりの収穫量)は、区画K毎に登録されることになる。情報処理部21は、区画K毎に、区画K内の複数のサンプリング位置に対応する複数の作業情報D1を取得して、例えば、単位面積当たりの収穫量(g/m2)を算出してマップ情報の作業データとして記録する。マップ情報に登録される各作業データは、各区画Kにおける作業情報の代表値であればよく、単位面積当たりの収穫量のような平均値に限らず、各区画Kにおける合計値、中央値、最頻値、最大値又は最小値等の代表値であってもよい。一例として、作業情報D1が実績情報として収穫量情報を含む場合、作業データは、各区画Kにおける収穫量の合計値(累積値)等であってもよい。
【0100】
ここで、1つの区画Kに含まれるサンプリング位置の数は区画Kによって異なることがあるので、作業データは、区画Kに含まれるサンプリング位置の数によらずに、複数の区画K間で平等に算出されることが好ましい。例えば、作業データが各区画Kにおける収穫量の合計値(累積値)である場合、単純に区画K内の複数の作業情報D1を累積すると、サンプリング位置の数が多い区画Kほど作業データが大きくなり、複数の区画K間での不平等が生じる。そこで、データ算出処理部215は、区画Kに対応する複数の作業情報D1について、例えば、サンプリング位置の数に応じた係数を乗じて正規化したり、サンプリング位置の数が少ない区画Kについては作業情報D1を補間したりすることが好ましい。単位面積当たりの収穫量を作業データとする場合も同様に、データ算出処理部215は、区画K毎に正規化又は補間された累積収量を算出した上で、当該累積収量を区画Kの面積で除することにより作業データを算出することが好ましい。
【0101】
このようにして、マップ生成部216は、図9に示すような、データ算出処理部215にて算出される各区画Kの作業データに基づいてマップM1を作成する。図9には、マップM1の一例を示している。マップ生成部216は、データ算出処理部215にて算出される作業データに基づいて、作業データの値に対して、例えば、多階調の灰色濃淡(グレースケール)を対応付けることで、マップM1を作成する。図9に示す例では、各区画Kについて、色が淡い程、収穫量が少なく、色が濃い程、収穫量が多いことを表している。これにより、圃場F1全体に対応する収穫量の分布を表すマップM1を作成することができる。また、圃場F1内の区画Kの数(分割数)を多くして、高精細なマップM1を作成することができる。マップ生成部216は、マップM1の各区画Kに、作業データの「数値」を表示してもよいし、表示しなくてもよい。
【0102】
[5.3]区画の設定処理
次に、作業領域A1に複数の区画Kを設定するための「区画の設定処理」について説明する。以下に説明するような処理で設定された複数の区画Kを用いて、上述のマップM1が生成される。本実施形態では、区画設定部214のモードとして、大区画Kl及び小区画Ksをそれぞれ含む複数の区画Kを設定する第1モードと、大区画Kl及び小区画Ksのいずれかのみを含む複数の区画Kを設定する第2モードと、の2種類のモードがある。そして、区画設定部214は、操作受付部23が受け付けるユーザの操作に従って、第1モードと、第2モードと、を切替可能である。つまり、本実施形態では、区画Kの設定に関して、2種類の設定方法がある。そこで、以下では、第1モードと第2モードとに分けて、区画設定部214による区画Kの設定処理について説明する。
【0103】
[5.3.1]大区画及び小区画が混在する区画の設定
まず、区画設定部214のモードが第1モードにある場合、つまり大区画Kl及び小区画Ksが混在する複数の区画Kを設定する場合における、区画Kの設定処理について説明する。
【0104】
第1モードにおいては、区画設定部214は、例えば、図10に示すように、均一な区画Kではなく、大きさの異なる少なくとも2種類の区画Kを設定する。図10の例では、複数の区画Kは、大区画Kl(図10では点線で示す)及び小区画Ks(図10では実線で示す)を複数ずつ含んでいる。本実施形態では一例として、大区画Kl及び小区画Ksはいずれも正方形の領域であって、小区画Ksは大区画Klを更に9分割したときの各領域である。そのため、一辺の長さにおいては、大区画Klは小区画Ksの3倍の長さを有する。このように、区画設定部214は、メッシュの粗さを作業領域A1内で変化させることにより、作業領域A1の中でも特定の範囲については、マップM1上で、より細かく作業データの分布を示すことが可能となる。
【0105】
本実施形態では、図10に例示するように、区画設定部214は、作業領域A1を作業領域A1の外周側の範囲A101と中央側の範囲A102とに二分したときに、外周側の範囲A101に小区画Ksを設定し、中央側の範囲A102に大区画Klを設定する。一例として、作業領域A1の外周から一定距離となる境界線L1を想定した場合に、境界線L1よりも外側(外周側)の範囲A101には小区画Ksが設定され、境界線L1の内側(外周とは反対側)の範囲A102には大区画Klが設定される。これにより、作業領域A1の外周部、つまり外周から一定距離の範囲A101については、その他の範囲A102に比較して、メッシュ(区画K)の粒度が細かく設定され、マップM1上でより細かく作業データの分布を示すことができる。
【0106】
このように、作業機械による作業が行ないやすい圃場F1の中央付近では、大区画Klのように粒度の粗いメッシュを設定でき、反対に、細かな作業が行ない難い圃場F1の外周付近では、小区画Ksのように粒度の細かいメッシュを設定できる。よって、圃場F1の外周付近において、正確に作業が実行されているか否かを、マップM1にて詳細に分析しやすくなる。また、本実施形態では、小区画Ksは、大区画Klを2以上に分割(図10の例では9分割)した際の個々の分割後の領域である。そのため、複数の小区画Ksを大区画Klと同一座標系で設定でき、小区画Ksの設定が比較的容易である。
【0107】
ところで、大区画Kl及び小区画Ksが混在する複数の区画Kが設定される場合には、作業機械による作業は耕耘作業を含み、複数の作業情報D1は耕耘深さ(耕深)に関する情報を含むことが好ましい。つまり、上記構成によれば、圃場F1の外周付近での作業データが詳細に分析できるので、耕耘作業のように圃場F1の全域について行うべき作業についても、圃場F1の隅々まで作業状況を分析しやすくなる。
【0108】
同様に、大区画Kl及び小区画Ksが混在する複数の区画Kが設定される場合には、作業機械による作業は施肥作業を含み、複数の作業情報は施肥量に関する情報を含むことが好ましい。つまり、上記構成によれば、圃場F1の外周付近での作業データが詳細に分析できるので、施肥作業のように圃場F1の全域について行うべき作業についても、圃場F1の隅々まで作業状況を分析しやすくなる。
【0109】
また、本実施形態では、区画設定部214は、ユーザの操作に従って、作業領域A1のうち大区画Kl又は小区画Ksを設定する範囲を指定するので、作業領域A1のうちの任意の箇所について、小区画Ksを設定することができる。例えば、圃場F1において、スプリンクラー等の障害物が存在する範囲等、より細かく作業データの分布をとりたい範囲については、小区画Ksを設定する範囲としてユーザが指定することができる。上述した境界線L1の位置、つまり外周から境界線L1までの距離が、ユーザの操作に従って指定できてもよい。
【0110】
図11は、図10に例示するような、大区画Kl及び小区画Ksが混在する複数の区画Kを設定する手順の一例を示す。すなわち、区画設定部214は、図11の左側に示すように、まず作業領域A1の全域をカバーする複数の大区画Klからなる粒度の粗いメッシュを設定する。次に、区画設定部214は、図11の右側に示すように、作業領域A1の外周から一定距離に境界線L1を設定し、作業領域A1のうち境界線L1の外側の範囲A101をカバーする複数の小区画Ksからなる粒度の細かいメッシュを設定する。そして、区画設定部214は、複数の大区画Klからなる粗いメッシュ上に、複数の小区画Ksからなる細かいメッシュを重ね合わせることにより、図10のような複数の区画Kを設定する。
【0111】
また、図10及び図11では、作業領域A1の向きによらずに、例えば、東西方向に延びる直線をX軸とし、南北方向に延びる直線をY軸とした上で、X軸及びY軸に沿って、作業領域A1を複数の区画Kを設定する場合を例示する。ただし、これに限らず、例えば、図8及び図9で示したように、作業領域A1の各辺に沿ったX軸及びY軸を規定し、X軸及びY軸に沿って、作業領域A1を複数の区画Kを設定してもよい。
【0112】
[5.3.2]均一な区画の設定
次に、区画設定部214のモードが第2モードにある場合、つまり大区画Kl及び小区画Ksのいずれかのみを含む均一な複数の区画Kを設定する場合における、区画Kの設定処理について説明する。
【0113】
第2モードにおいては、区画設定部214は、領域設定部213で設定される作業領域A1を複数有する領域群A100について、互いに重複する重複領域Ax1を含む基準領域As1で共通となる複数の区画Kを作業領域A1毎に設定する。本開示でいう「領域群」は、例えば、同一の圃場F1に対応して設定される複数の作業領域A1の集合である。すなわち、例えば、耕耘、植付け(田植え)、施肥及び収穫のように、同一の圃場F1においても様々な作業がなされるため、これら作業毎に作業領域A1が設定されることがある。あるいは、同一の圃場F1についても、例えば、年度毎に作業領域A1が設定されることがある。これらの場合においては、作業領域A1が設定される毎に、同一の圃場F1に対しても、位置及び形状が異なる複数の作業領域A1が設定されることがある。特に「[5.1.1]作業領域の自動設定」欄で説明したように、複数の位置情報D2に基づいて、圃場F1に対応する作業領域A1が自動的に設定される場合には、複数の作業領域A1で位置及び形状が異なりやすい。
【0114】
そこで、本実施形態では、区画設定部214は、このように位置及び形状が異なる複数の作業領域A1が設定された場合でも、少なくともこれら複数の作業領域A1において互いに重複する重複領域Ax1については、共通の複数の区画Kを設定する機能を持つ。これにより、同一の圃場F1での異なる作業、又は異なる年度の同一作業間で、マップM1同士を対比しやすくなる。
【0115】
ここでは、図12に示すように、同一の圃場F1に対して、4つの作業領域A11~A14が設定されている場合を想定する。この場合に、区画設定部214は、4つの作業領域A11~A14を含む領域群A100について、少なくとも重複領域Ax1を含む基準領域As1で共通となる複数の区画Kを、作業領域A1毎に設定する。具体的には、図13に示すように、領域群A100に含まれる4つの作業領域A11~A14を同一座標系で重ね合わせた場合に、互いに重複する領域が重複領域Ax1となる。そして、この重複領域Ax1の全域を含む基準領域As1において、共通となる複数の区画Kを区画設定部214にて設定する。
【0116】
本実施形態では一例として、基準領域As1は、領域群A100における複数の作業領域A1の和集合を含む。すなわち、区画設定部214は、図13に示すように、4つの作業領域A11~A14の和集合となる領域を基準領域As1として抽出する。このような基準領域As1は、複数の作業領域A11~A14のうち最外郭に位置する外周の集合にて規定される領域であって、当然に重複領域Ax1を含む。言い換えれば、領域群A100における4つの作業領域A11~A14は、全て和集合からなる基準領域As1内に含まれることになる。
【0117】
そして、区画設定部214は、図14に示すように、この領域群A100について、基準領域As1で共通となる複数の区画Kを作業領域A1毎に設定する。具体的には、区画設定部214は、基準領域As1に対して複数の区画Kを設定し、これらの複数の区画Kを複数の作業領域A11~A14で利用可能とする。つまり、複数の区画Kは、複数の作業領域A11~A14の各々について設定されるものの、これら複数の作業領域A11~A14の重複領域Ax1を含む基準領域As1には、共通となる複数の区画Kが設定される。したがって、少なくとも重複領域Ax1においては、複数の作業領域A11~A14では共通の区画Kが用いられる。本実施形態では特に、和集合からなる基準領域As1に共通の区画Kが設定されるので、複数の作業領域A11~A14では、その全域において共通の区画Kが用いられる。
【0118】
上記構成によれば、同一の圃場F1に対して複数の作業領域A1が設定される場合でも、これら複数の作業領域A1においては、少なくとも重複領域Ax1に対して同一の位置及び形状(サイズを含む)の区画Kが設定される。言い換えれば、位置及び形状が異なる複数の作業領域A1が設定された場合でも、少なくともこれら複数の作業領域A1において互いに重複する重複領域Ax1については、メッシュの位置及びサイズを揃えることが可能である。そのため、同一の圃場F1での異なる作業、又は異なる年度の同一作業間で、マップM1同士を対比しやすくなる。
【0119】
ところで、領域群A100は、互いに異なる作業機械での作業に係る2以上の作業領域A1を含むことが好ましい。これにより、異なる作業機械での作業についても、区画Kを共通化した上で、同一区画Kで異なる作業に関する情報(作業データ)を対比しやすくなる。
【0120】
また、複数の作業領域A1間で区画Kを共通化する機能は、区画設定部214のモードが第1モードにある場合、つまり大区画Kl及び小区画Ksが混在する複数の区画Kを設定する場合にも、利用可能である。この場合、区画設定部214は、4つの作業領域A11~A14を含む領域群A100について、少なくとも重複領域Ax1を含む基準領域As1で共通であって、かつ大区画Kl及び小区画Ksが混在する複数の区画Kを、作業領域A1毎に設定する。
【0121】
[5.4]表示処理
次に、生成されたマップM1等を表示させるための「表示処理」について説明する。本実施形態では、表示処理部217のモードとして、1つのマップM1のみを表示させる第1表示モードと、複数のマップM1を並べて表示させる第2表示モードと、の2種類のモードがある。そして、表示処理部217は、操作受付部23が受け付けるユーザの操作に従って、第1表示モードと、第2表示モードと、を切替可能である。つまり、本実施形態では、表示処理部217によるマップM1の表示態様として、マップM1を単独で表示する単独表示と、複数のマップM1を並べて表示する対比表示と、の2種類の表示態様がある。そこで、以下では、第1表示モードと第2表示モードとに分けて、表示処理部217による表示処理について説明する。表示画面Im1を示す図15及び図17において、領域を表す一点鎖線、引出線及び参照符号は、説明のために付しているに過ぎず、実際に表示部に表示される訳ではない。
【0122】
[5.4.1]単独表示
まず、表示処理部217のモードが第1表示モードにある場合、つまり表示画面Im1中にマップM1を1つのみ表示させる場合における、表示処理について説明する。
【0123】
第1表示モードにおいては、表示処理部217は、図15に例示するように、マップM1を1つのみ含む表示画面Im1を、例えば、ユーザ端末3の表示部(操作表示部33)に表示させる。図15における表示画面Im1は、地図画像Im10と、第1入力欄C1と、第2入力欄C2と、第3入力欄C3と、解説情報C4と、を含んでいる。
【0124】
地図画像Im10は、圃場F1を含む地図を示す画像であって、航空写真又はコンピュータグラフィックス等で実現されてもよい。本実施形態では、表示処理部217は、地図画像Im10中の圃場F1に対応する作業領域A1に、マップM1を表示させる。つまり、マップ生成部216で生成されたマップM1は、表示画面Im1の地図画像Im10中であって、対応する圃場F1に重ねて表示される。これにより、表示画面Im1においては、圃場F1での作業状況が、地図上での複数の区画K毎の作業データ(例えば単位面積当たりの収穫量)を表すマップM1として可視化される。地図画像Im10内の地図は、ユーザの操作に従って、例えば、スクロール、拡大/縮小及びページ切替等が可能である。
【0125】
また、本実施形態では、表示処理部217は、圃場F1を含む地図画像Im10上で作業領域A1を選択するユーザの操作に従って、表示画面Im1に表示させるマップM1を決定する。つまり、複数の圃場F1に対応する作業領域A1がある場合には、いずれの圃場F1に対応する作業領域A1のマップM1を表示させるかが、操作受付部23が受け付ける、地図画像Im10上での作業領域A1を選択するユーザの操作により決定される。図15に例示する表示画面Im1では、第1圃場F11に対応する第1作業領域A11と、第2圃場F12に対応する第2作業領域A12とが、地図画像Im10に含まれている。そのため、この表示画面Im1において、ユーザが地図画像Im10上で、第1圃場F11に対応する第1作業領域A11を選択することで、第1作業領域A11のマップM1が表示されることになる。
【0126】
第1入力欄C1は、表示画面Im1に表示させるマップM1の第1項目を入力するための入力欄である。第1項目は、一例として年度(又は年)であって、第1入力欄C1に入力される年度(又は年)によって、マップM1として表示されるデータの年度(又は年)が特定される。第2入力欄C2は、表示画面Im1に表示させるマップM1の第2項目を入力するための入力欄である。第2項目は、一例として作業名であって、第2入力欄C2に入力される作業名によって、マップM1として表示されるデータの作業名が特定される。第3入力欄C3は、表示画面Im1に表示させるマップM1の第3項目を入力するための入力欄である。第3項目は、一例として作業データを特定する属性情報であって、第3入力欄C3に入力される作業によって、マップM1として表示される作業データが特定される。すなわち、第1項目及び第2項目は、作業領域A1の選択と共に、マップ化される作業を特定するための項目であって、第3項目は、マップ化される作業データそのものを特定するための項目である。図15の例では、第1入力欄C1、第2入力欄C2及び第3入力欄C3の入力形式は、いずれも既定値の中から選択する選択入力形式であるが、これに限らず、自由入力形式であってもよい。
【0127】
解説情報C4は、マップM1における作業データの解説を含む情報である。具体的には、解説情報C4は、マップM1中の、多階調の灰色濃淡(グレースケール)が、作業データの値に対してどのように対応付けられているかを示す凡例である。図15の例では、解説情報C4は、単位面積当たりの収穫量からなる作業データに関して、最小値(最淡色)が50.00(kg/a)であって、最大値(最濃色)が110.00(kg/a)であることを示している。すなわち、本実施形態では、表示処理部217は、作業データの解説を含む解説情報C4を表示画面Im1に表示する。これにより、ユーザにとっては、マップM1の意味を容易に把握できる。
【0128】
このように、本実施形態では、表示処理部217は、表示画面Im1上でのユーザの操作に従って、マップ化する作業領域A1、第1項目、第2項目及び第3項目を決定し、マップM1の表示を行う。そのため、表示画面Im1において、例えば、第1入力欄C1で選択される年度(又は年)が変更されると、地図画像Im10中のマップM1がリアルタイムで変更されることになる。作業領域A1のみが選択された状態では、一例として、最新(直近)の作業のマップM1等、初期表示条件に応じた表示がされることが好ましい。また、表示画面Im1では、年度(又は年)及び作業名に加えて又は代えて、例えば、使用する作業機械、作業者及び作物等の属性情報の入力を受け付けてもよい。
【0129】
ここで、表示画面Im1に表示されるマップM1を表示するためのマップ情報は、都度、マップ生成部216で生成されてもよいし、予め生成されていてもよい。マップ生成部216にて予め生成されたマップ情報は、例えば、図16に示すようなデータテーブルTa1に含めて、データ格納部22に記憶される。データテーブルTa1は、例えば、「作業領域」、「作業名」、「開始日時」、「終了日時」、「緯度経度ポリゴン」及び「属性情報」の欄を含んでいる。「属性情報」の欄には、作業データとしての単位面積当たりの収穫量等の項目が含まれており、マップ生成部216で生成されるマップ情報は「属性情報」の欄に格納される。データテーブルTa1は、マップ情報を含むデータが作業毎に格納されたテーブルであって、図16の例では各行が個別の作業に対応する。
【0130】
このようなデータテーブルTa1によれば、例えば、作業領域A1が選択され、かつ第1項目(年度又は年)及び第2項目(作業名)が指定されることで、いずれかの作業に関するマップ情報を呼び出すことができる。つまり、例えば、作業領域A1、年度又は年、及び作業名をキーにして、データテーブルTa1上で任意の作業に係るマップ情報を検索することが可能である。よって、表示処理部217は、表示画面Im1上で指定された作業領域A1、第1項目、第2項目及び第3項目に従って、データテーブルTa1からデータを呼び出すことで、表示画面Im1上にマップM1を表示することが可能である。
【0131】
また、図15に示す表示画面Im1では、作業領域A1を複数の区画Kに分割した上で、各区画Kについての作業データを示すマップM1を表示しているが、この例に限らない。すなわち、例えば、使用した作業機械、作業平均速度、作業速度のばらつき、及び作業時間等の情報については、1つの作業領域A1に対して1つの作業データが、表示画面Im1上で表示されてもよい。この場合、例えば、地図画像Im10中の作業領域A1を一様に塗り潰した「ベタ塗」にて、当該作業領域A1についての作業データが表示されてもよい。
【0132】
[5.4.2]対比表示
次に、表示処理部217のモードが第2表示モードにある場合、つまり表示画面Im1中に複数のマップM1を並べて表示させる場合における、表示処理について説明する。
【0133】
第2表示モードにおいては、表示処理部217は、図17に例示するように、複数(ここでは2つ)のマップM1を含む表示画面Im1を、例えば、ユーザ端末3の表示部(操作表示部33)に表示させる。図17における表示画面Im1は、単独表示の場合と同様の画面を、横方向(左右方向)に2つ並べて表示する。つまり、この表示画面Im1は、地図画像Im10と、第1入力欄C1と、第2入力欄C2と、第3入力欄C3と、解説情報C4と、の組み合わせを、2組含む画面である。そのため、表示処理部217は、表示画面Im1における左側の地図画像Im10、及び右側の図画像Im10の各々にマップM1を表示させる。
【0134】
ここで、表示画面Im1の左半分と右半分とは、それぞれ個別に、単独表示の場合と同様、任意の作業に係るマップM1を呼び出して表示することが可能である。すなわち、例えば、地図画像Im10上での作業領域A1の選択について、ユーザは、表示画面Im1の左側と右側とで、別々の作業領域A1を選択することが可能である。また、例えば、第1入力欄C1、第2入力欄C2及び第3入力欄C3の各々についても、ユーザは、表示画面Im1の左側と右側とで、別々の情報を入力することが可能である。
【0135】
ここで、表示処理部217は、第1表示モードと同様に、図16に例示するようなデータテーブルTa1を用いて、任意の作業に関するマップ情報を呼び出してもよい。これにより、体系的に作業をデータベース化することなく、例えば、作業領域A1を起点にして任意のマップM1を呼び出して並べて表示することが可能となる。
【0136】
結果的に、本実施形態では、表示処理部217は、互いに異なる項目についての作業データを含む複数のマップM1を、表示画面Im1に並べて表示させる。したがって、ユーザは、表示画面Im1において、互いに異なる項目についての複数のマップM1を比較することによって、当該項目の違いによる作業の違いを見出すことができ、例えば、作業に関する改善ポイントを見出しやすくなる。
【0137】
特に、本実施形態では、表示処理部217は、複数のマップM1を含む表示画面Im1を、単一の表示部に同時に表示させる。そのため、ユーザにおいては、画面を切り替えたりすることなく、表示画面Im1において複数のマップM1を比較することができ、複数のマップM1の比較がしやすいという利点がある。ただし、本開示でいう「並べて表示」は、単一の表示部に同時に表示される態様だけでなく、例えば、表示画面Im1のスクロール、拡大/縮小又はページ切替等の操作によって表示される態様、さらに、別ウインドウに表示される態様等も含む。
【0138】
図17の例では、表示画面Im1の左側には、第1作業領域A11について「2019年度」の収穫(Harvesting)の作業に係る単位面積当たりの収穫量を表すマップM1が表示されている。一方、表示画面Im1の右側には、第1作業領域A11について「2018年度」の収穫(Harvesting)の作業に係る単位面積当たりの収穫量を表すマップM1が表示されている。
【0139】
すなわち、図17の例では、表示画面Im1に並べて表示される複数のマップM1は、作業データについて共通項を含む。この共通項は、作業領域A1に係る項目を含む。つまり、図17の例では、複数のマップM1において、作業領域A1は共通であって、さらに、第2項目(作業名)及び第3項目(作業データ)についても共通である。このように、並べて表示される複数のマップM1間で共通項があることで、当該共通項以外の項目の差異による作業の違いを見出しやすくなる。特に、共通項が作業領域A1に係る項目を含むことで、同一の圃場F1についてのマップM1同士の比較から、作業の違いを見出しやすくなる。
【0140】
一方で、図17の例では、複数のマップM1において、第1項目(年度)のみが異なっている。つまり、表示画面Im1に並べて表示される複数のマップM1は、互いに作業機械の作業の時間軸に係る項目(ここでは「年度」)が異なる。これにより、ユーザにとっては、年度が異なる同一又は異なる作業対象のマップM1から、年度をまたぐ作業の比較が可能になる。
【0141】
また、例えば、年度(又は年)だけでなく、第2入力欄C2及び第3入力欄C3の各々についても、ユーザは、表示画面Im1の左側と右側とで、別々の情報を入力できることから、種々のマップM1の対比が可能である。対比される複数のマップM1の一例として、同一年度の異なる作業のマップM1がある。例えば、同一年度の施肥作業のマップM1と収穫作業のマップM1とを並べて表示することで、施肥量と収穫量との相関を見ること等が可能である。別の例として、同一年度の耕耘深さのマップM1と生育状態のマップM1とを並べて表示することで、耕耘深さと生育状態との相関を見ることも可能である。
【0142】
また、例えば、表示画面Im1に並べて表示される複数のマップM1は、互いに異なる作物の収穫量に関する作業データを含んでもよい。これにより、ユーザにとっては、例えば、同一の圃場F1において、年度によって異なる作物を栽培した場合の収穫量の比較を容易に行うことができる。一例として、2018年度における「稲」の収穫量と、2019年度における「麦」の収穫量との比較等が可能となる。あるいは、表示画面Im1に並べて表示される複数のマップM1は、同一作物の収穫量に関する作業データを含んでもよい。これにより、ユーザにとっては、例えば、同一の圃場F1において、年度による収穫量の比較を容易に行うことができる。
【0143】
また、表示画面Im1に並べて表示される複数のマップM1においては、「[5.3.2]均一な区画の設定」にて説明したように、複数の作業領域A1間で区画Kが共通化されてもよいし、共通化されていなくてもよい。共通化されない場合には、例えば、一方のマップM1についてのみ、大区画Kl及び小区画Ksが混在する複数の区画Kが設定されてもよい。
【0144】
[5.5]フローチャート
図18は、上述した作業管理方法の流れの一例を示すフローチャートである。当該フローチャートに示す各処理は、主として管理サーバ2の情報処理部21によって実行される。ここでは、領域設定部213の動作モードが第1動作モードにある場合、つまり領域設定部213が作業領域A1を自動設定する場合について説明する。例えば、作業管理方法に係る一連の処理は、管理サーバ2が作業機械(コンバイン4)から作業情報D1を取得した場合に、情報処理部21によって開始される。また、作業管理方法に係る一連の処理は、管理サーバ2に対する所定のユーザ操作に応じて開始されてもよい。
【0145】
まず、ステップS1において、情報処理部21は、作業機械であるコンバイン4から、位置情報D2を含む作業情報D1を取得したか否かを判定する。作業期間における作業情報D1が取得されたと判定された場合(S1:Yes)、処理がステップS2に移行する。情報処理部21は、作業情報D1を取得するまで待機する(S1:No)。情報処理部21(作業取得部212)は、コンバイン4から作業情報D1を取得すると、作業情報D1を作業情報格納部221に記憶する(図5参照)。
【0146】
ステップS2において、情報処理部21は、作業情報D1から位置情報D2を抽出する。これにより、情報処理部21(位置取得部211)は、作業期間における位置情報D2を取得する。
【0147】
次にステップS3において、情報処理部21は、取得した位置情報D2に基づいて、作業領域A1を設定する。つまり、領域設定部213の動作モードは第1動作モードにあるので、情報処理部21(領域設定部213)は、複数の位置情報D2に基づいて作業領域A1を自動設定する。情報処理部21(領域設定部213)は、設定した作業領域A1に関する情報を、作業領域格納部222に記憶し、作業領域A1の登録を行う。
【0148】
次にステップS4において、情報処理部21は、ユーザからマップM1の表示指示を取得したか否かを判定する。情報処理部21がユーザからマップM1の表示指示を取得した場合(S4:Yes)、処理はステップS5に移行する。情報処理部21は、ユーザからマップM1の表示指示を取得するまで待機する(S4:No)。
【0149】
ステップS5では、情報処理部21は、区画設定部214のモードが第1モードか否かを判定する。区画設定部214のモードが第1モードである場合(S5:Yes)、処理はステップS6に移行する。一方、区画設定部214のモードが第2モードである場合(S5:No)、処理はステップS7に移行する。
【0150】
ステップS6では、情報処理部21(区画設定部214)は、大区画Kl及び小区画Ksが混在する複数の区画Kを設定する。このとき、ユーザの操作に従って、作業領域A1のうち大区画Kl又は小区画Ksを設定する範囲が指定される。
【0151】
ステップS7では、情報処理部21(区画設定部214)は、大区画Kl及び小区画Ksのいずれかのみを含む均一な複数の区画Kを設定する。このとき、区画設定部214は、同一の圃場F1に対して位置及び形状が異なる複数の作業領域A1が設定されていると、少なくともこれら複数の作業領域A1において互いに重複する重複領域Ax1については、共通の複数の区画Kを設定する。
【0152】
次にステップS8において、情報処理部21(データ算出処理部215)は、ステップS1で取得した作業情報D1に基づいて、区画K毎に、区画K内の複数のサンプリング位置に対応する収穫量を取得して、例えば単位面積当たりの収穫量(g/m2)を算出する。情報処理部21は、算出した作業データ(収穫量)をマップ情報として登録する。これにより、圃場F1全体の収穫量が算出される。
【0153】
次にステップS9において、情報処理部21(マップ生成部216)は、算出した作業データ(収穫量)に基づいて圃場F1内の複数の区画Kに応じたマップM1を作成する。具体的には、情報処理部21は、マップ情報に登録された各区画Kの作業データ(単位面積当たりの収穫量)に基づいて作業領域A1のマップM1を生成する。これにより、圃場F1全体の作業データを示すマップM1を作成することができる。
【0154】
次にステップS10において、情報処理部21は、表示処理部217のモードが第1表示モードか否かを判定する。表示処理部217のモードが第1表示モードである場合(S10:Yes)、処理はステップS11に移行する。一方、表示処理部217のモードが第2表示モードである場合(S10:No)、処理はステップS12に移行する。
【0155】
ステップS11では、情報処理部21(表示処理部217)は、マップM1を1つのみ含む表示画面Im1を、ユーザ端末3の表示部(操作表示部33)に表示させる。このとき、表示画面Im1に表示させるマップM1は、地図画像Im10上で作業領域A1を選択するユーザの操作に従って決定される。また、情報処理部21(表示処理部217)は、表示画面Im1上で、第1項目、第2項目及び第3項目の入力を受け付ける。
【0156】
ステップS12では、情報処理部21(表示処理部217)は、並べて配置される複数のマップM1を含む表示画面Im1を、ユーザ端末3の表示部(操作表示部33)に表示させる。このとき、表示画面Im1に表示させる複数のマップM1は、それぞれ地図画像Im10上で作業領域A1を選択するユーザの操作に従って決定される。また、情報処理部21(表示処理部217)は、表示画面Im1上で、複数のマップM1の各々について、第1項目、第2項目及び第3項目の入力を受け付ける。
【0157】
ステップS13において、情報処理部21は、ユーザから終了指示を受け付けたか否かを判定する。ユーザがユーザ端末3において作業支援サイトの利用を終了する操作を行うと、情報処理部21は終了指示を受け付けて(S13:Yes)、作業管理方法に係る一連の処理を終了する。情報処理部21が終了指示を受け付けない場合(S13:No)、処理はステップS4に移行して上述の処理を繰り返す。
【0158】
以上のようにして、情報処理部21は、作業管理方法に係る一連の処理を実行する。ただし、図18に示すフローチャートは一例に過ぎず、処理が適宜追加又は省略されてもよいし、処理の順番が適宜入れ替わってもよい。
【0159】
[6]変形例
以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0160】
本開示における作業管理システム1は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしての1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における作業管理システム1としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0161】
また、管理サーバ2、ユーザ端末3又は搭載端末49に含まれる一部又は全部の機能部は電子回路で構成されていてもよい。
【0162】
また、作業管理システム1の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていることは作業管理システム1に必須の構成ではなく、作業管理システム1の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。例えば、情報処理部21のうちの一部の機能が、管理サーバ2とは別の筐体に設けられていてもよい。さらに、作業管理システム1の少なくとも一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0163】
反対に、実施形態1において、複数の装置に分散されている作業管理システム1の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。例えば、管理サーバ2とコンバイン4(搭載端末49)とに分散して設けられている機能の少なくとも一部が、管理サーバ2に集約されていてもよいし、作業機械(コンバイン4)に集約されていてもよい。
【0164】
また、位置検出部494は、GNSS等の衛星測位システムに限らず、衛星測位システムと共に、又は代えて、例えば、複数の発信器から電波で送信されるビーコン信号を受信する受信機を用いてもよい。この場合、複数の発信器は、作業機械が移動する圃場F1周辺の複数箇所に配置され、位置検出部494は、複数の発信器の位置と、受信機でのビーコン信号の受信電波強度とに基づいて、作業機械の位置情報を検出する。
【0165】
また、位置検出部494は、例えば、速度センサー、加速度センサー又はジャイロセンサー等のセンサーを含み、これらのセンサーにて作業機械の挙動を検知してもよい。さらに、位置検出部494は、例えば、イメージセンサー(カメラ)、ソナーセンサー、レーダ、及びLiDAR(Light Detection and Ranging)等のセンサーを含み、これらのセンサーにて作業機械の周辺状況を検知してもよい。そして、位置検出部494は、作業機械の挙動及び/又は周辺状況を用いて、作業機械の位置情報を検出してもよい。
【0166】
また、ユーザ端末3の操作表示部33は、ユーザインターフェースとしての機能を有していればよく、情報の出力の態様及び情報の入力(操作)の態様は、上述した態様に限らない。一例として、操作表示部33は、情報の出力の態様として、プロジェクタによる投影、音声出力又は印刷等の態様を採用してもよい。この場合、表示画面Im1は、例えば、プロジェクタによる投影されてもよいし、印刷によってシートに表示されてもよい。また、操作表示部33は、情報の入力の態様として、音声入力、ジェスチャ入力又は他の端末からの操作信号の入力等の態様を採用してもよい。さらに、ユーザ端末3以外の操作部に関しても、音声入力、ジェスチャ入力又は他の端末からの操作信号の入力等の態様を採用してもよい。つまり、操作受付部23は、タッチパネル等の操作に限らず、例えば、音声入力による操作(音声操作)等であっても、ユーザの操作を受け付けることができる。
【0167】
また、作業領域A1は、経緯度座標系(地理座標系)に限らず、例えば、仮想空間中の基準点(原点)を基準として、基準点に対する相対的な座標系で表されてもよい。すなわち、例えば、作業機械(コンバイン4)の作業開始位置又はエンジン始動位置等の特定の位置を基準点として、基準点に対する相対的な位置により作業領域A1が規定されてもよい。この場合、作業領域A1に設定される複数の区画Kについても同様に、基準点に対する相対的な座標系で表されることになる。
【0168】
また、区画設定部214は、第1モードにおいて、大きさの異なる少なくとも2種類の区画Kを設定すればよく、3種類以上の区画Kを設定してもよい。さらに、小区画Ksは大区画Klを分割してなる領域に限らず、例えば、1つの小区画Ksが複数の大区画Klにまたがって設定されてもよい。
【0169】
また、複数の区画Kは、正方形状に限らず、例えば、台形状、ひし形状又は三角形状等であってもよい。
【0170】
また、作業領域A1の自動設定に際して、領域設定部213は、凸包処理以外の処理にて作業領域A1を設定してもよい。
【0171】
また、表示画面Im1に並べて表示される複数のマップM1は、2つに限らず、3つ以上であってもよい。さらに、表示処理部217は、複数のマップM1を横方向(左右方向)に並べて配置する構成に限らず、縦方向(上下方向)若しくは斜め方向に並べて配置してもよいし、一部が重複する形で複数のマップM1を並べて配置してもよい。
【0172】
また、作業領域A1を自動設定する機能は、作業管理システム1に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【0173】
また、複数の作業領域A1に共通の区画Kを設定する機能は、作業管理システム1に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【0174】
また、大区画Kl及び小区画Ksを含む複数の区画Kを設定する機能は、作業管理システム1に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【0175】
また、表示画面Im1に複数のマップM1を並べて表示する機能は、作業管理システム1に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【0176】
(実施形態2)
本実施形態に係る作業管理システム1Aは、図19に示すように、管理サーバ2に加えて、管理サーバ2と連携する別サーバ5を備える点で、実施形態1に係る作業管理システム1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0177】
本開示でいう「別サーバ」は、管理サーバ2とは別のサーバであって、例えば、別サーバ5の運用主体(管理主体)が管理サーバ2とは別である。別サーバ5は、通信網N1に接続され、管理サーバ2とは通信網N1を介して通信可能である。本実施形態では、領域設定部213のうち、作業領域A1を自動設定する機能が、管理サーバ2に代えて別サーバ5に実装されている。
【0178】
本実施形態では一例として、別サーバ5は、API(Application Programming Interface)を有している。別サーバ5は、管理サーバ2から通信網N1を介してAPIが呼び出されることにより、作業領域A1の自動設定の機能を、管理サーバ2に提供する。このように、管理サーバ2は、別サーバ5と連携して、作業管理システム1Aとしての機能を具現化する。
【0179】
すなわち、本実施形態に係る別サーバ5は、作業機械(コンバイン4)の位置情報D2を取得する位置取得部51と、作業領域A1を自動設定する領域設定部52と、管理サーバ2からの情報の入力を受け付けるインターフェース部53と、を備えている。別サーバ5は、インターフェース部53に対して特定の情報が入力されると、位置取得部51で取得した位置情報D2に基づいて、領域設定部52にて作業領域A1を自動的に設定する。別サーバ5は、設定した作業領域A1をインターフェース部53から管理サーバ2に出力する。ここで、インターフェース部53は、特定の入力情報を受けると、作業領域A1を自動的に設定してインターフェース部53から出力するように、予め定義されている。インターフェース部53は、例えば、APIにて実現される。
【0180】
実施形態2の変形例として、別サーバ5における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは必須の構成ではなく、別サーバ5の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、別サーバ5の少なくとも一部の機能は、クラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【符号の説明】
【0181】
1,1A 作業管理システム
2 管理サーバ
3 ユーザ端末
4 コンバイン(作業機械)
23 操作受付部
212 作業取得部
213,52 領域設定部
214 区画設定部
216 マップ生成部
A1 作業領域
D1 作業情報
F1 圃場
K 区画
Kl 大区画
Ks 小区画
M1 マップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19