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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】制御弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 11/07 20060101AFI20241121BHJP
   F15B 11/02 20060101ALI20241121BHJP
   E02F 9/22 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
F16K11/07 N
F15B11/02 M
E02F9/22 K
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020173871
(22)【出願日】2020-10-15
(65)【公開番号】P2022065351
(43)【公開日】2022-04-27
【審査請求日】2023-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 仁
(72)【発明者】
【氏名】志垣 富雄
(72)【発明者】
【氏名】正谷 龍馬
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-220409(JP,A)
【文献】特開2018-128103(JP,A)
【文献】特開平06-193604(JP,A)
【文献】特開2001-304202(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0362084(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/22
F15B 11/02
F16K 11/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ポンプに通じる第1メータイン流路を有する第1メータインスプールと、
第2ポンプに通じる第2メータイン流路を有する第2メータインスプールと、
前記第1メータイン流路及び前記第2メータイン流路に通じるとともに、アクチュエータの給排ポートに通じる供給流路と、
前記第1メータインスプール及び前記第2メータインスプールをまとめて収容するメータインスプール収容部と、
を備え
前記メータインスプール収容部は、前記第1メータインスプールと前記第2メータインスプールとが各メータインスプールの軸方向で対向する間に設けられタンクに通じる中間部を有する
制御弁。
【請求項2】
前記供給流路及び前記アクチュエータの前記給排ポートに通じる流路を有するメータアウトスプールを備える
請求項1記載の制御弁。
【請求項3】
第1ポンプに通じる第1メータイン流路を有する第1メータインスプールと、
第2ポンプに通じる第2メータイン流路を有する第2メータインスプールと、
前記第1メータイン流路及び前記第2メータイン流路に通じるとともに、アクチュエータの給排ポートに通じる供給流路と、
前記供給流路及び前記アクチュエータの前記給排ポートに通じる流路を有するメータアウトスプールと、
を備え
前記第1メータインスプールは、前記アクチュエータの前記給排ポートに前記供給流路を通じさせる、又はタンクに前記アクチュエータの前記給排ポートを通じさせる凹部を有する
制御弁。
【請求項4】
前記第2メータインスプールは、前記アクチュエータの前記給排ポートに前記供給流路を通じさせる、又はタンクに前記アクチュエータの前記給排ポートを通じさせる他の凹部を有する
請求項に記載の制御弁。
【請求項5】
前記第1メータインスプール、前記第2メータインスプール、及び前記メータアウトスプールをまとめて設けるブロック体を備える
請求項3又は請求項4に記載の制御弁。
【請求項6】
第1ポンプに通じる第1メータイン流路を有する第1メータインスプールと、
第2ポンプに通じる第2メータイン流路を有する第2メータインスプールと、
前記第1メータイン流路及び前記第2メータイン流路に通じるとともに、アクチュエータの給排ポートに通じる供給流路と、
前記供給流路及び前記アクチュエータの前記給排ポートに通じる流路を有するメータアウトスプールと、
前記第1メータインスプール、前記第2メータインスプール、及び前記メータアウトスプールをまとめて設けるブロック体と、
前記ブロック体に設けられて前記第1メータインスプール及び前記第2メータインスプールをまとめて収容し、かつ、前記第1メータインスプールと前記第2メータインスプールとが各メータインスプールの軸方向で対向する間にタンクに通じる中間部を有するメータインスプール収容部と、
を備える
制御弁。
【請求項7】
第1ポンプに通じる第1メータイン流路を有する第1メータインスプールと、
第2ポンプに通じる第2メータイン流路を有する第2メータインスプールと、
前記第1メータイン流路及び前記第2メータイン流路に通じるとともに、アクチュエータの給排ポートに通じる供給流路と、
前記供給流路及び前記アクチュエータの前記給排ポートに通じる流路を有するメータアウトスプールと、
前記第1メータインスプール、前記第2メータインスプール、及び前記メータアウトスプールをまとめて設けるブロック体と、
前記ブロック体に設けられて前記第1メータインスプール及び前記第2メータインスプールをまとめて収容し、かつ、前記第1メータインスプールと前記第2メータインスプールとが各メータインスプールの軸方向で対向する間にタンクに通じる中間部を有するメータインスプール収容部と、
を備え、
前記第1メータインスプールは、前記アクチュエータの前記給排ポートに前記供給流路を通じさせる、又はタンクに前記アクチュエータの前記給排ポートを通じさせる凹部を有し、
前記第2メータインスプールは、前記アクチュエータの前記給排ポートに前記供給流路を通じさせる、又はタンクに前記アクチュエータの前記給排ポートを通じさせる他の凹部を有する
制御弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御弁関する。
【背景技術】
【0002】
例えば油圧ショベル等の建設機械は、さまざまなアクチュエータによって駆動される。アクチュエータは、ポンプ(油圧ポンプ)から吐出される作動油(流体)によって駆動される。アクチュエータの駆動制御は、作動油の流量を調整する流体システムによって行われる。流体システムは、例えばスプールが設けられた制御弁等を備える。制御弁は、スプールを移動することによって作動油の流れる流路の幅(形状)を調整できる。これによって、アクチュエータに供給される作動油の流量が調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-193604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の従来技術のような制御弁や流体システムでは、建設機械の作業に対応させて、アクチュエータに供給される作動油の流量を高性能に調整することが困難である可能性があった。
【0005】
本発明は、アクチュエータに供給される流体の流量を高性能に調整できる制御弁提供する。

【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る制御弁は、第1ポンプに通じる第1メータイン流路を有する第1メータインスプールと、第2ポンプに通じる第2メータイン流路を有する第2メータインスプールと、前記第1メータイン流路及び前記第2メータイン流路に通じるとともに、アクチュエータの給排ポートに通じる供給流路と、を備える。
【0007】
このように構成することで、第1メータインスプールを駆動制御して第1ポンプに第1メータイン流路を通じさせる。また、第2メータインスプールを駆動制御して第2ポンプに第2メータイン流路を通じさせる。これにより、例えば、第1ポンプによる流体の吐出量を0~100%で調整し、第2ポンプによる流体の吐出量を0~100%で調整したうえで、第1ポンプ及び第2ポンプの少なくとも一方から吐出された流体を供給流路で合流させることができる。この結果、第1ポンプ及び第2ポンプからアクチュエータに供給される流体の割合を、各ポンプの吐出量の2倍の範囲で任意(自由)に変えることができる。このため、アクチュエータに供給される流体の流量を高性能に調整できる。
【0008】
上記構成で、前記第1メータインスプール及び前記第2メータインスプールをまとめて収容するメータインスプール収容部を備えてもよい。
【0009】
上記構成で、前記メータインスプール収容部は、前記第1メータインスプールと前記第2メータインスプールとが各メータインスプールの軸方向で対向する間に設けられタンクに通じる中間部を有してもよい。
【0010】
上記構成で、前記供給流路及び前記アクチュエータの前記給排ポートに通じる流路を有するメータアウトスプールを備えてもよい。
【0011】
上記構成で、前記第1メータインスプールは、前記アクチュエータの前記給排ポートに前記供給流路を通じさせる、又はタンクに前記アクチュエータの前記給排ポートを通じさせる凹部を有してもよい。
【0012】
上記構成で、前記第2メータインスプールは、前記アクチュエータの前記給排ポートに前記供給流路を通じさせる、又はタンクに前記アクチュエータの前記給排ポートを通じさせる他の凹部を有してもよい。
【0013】
上記構成で、前記第1メータインスプール、前記第2メータインスプール、及び前記メータアウトスプールをまとめて設けるブロック体を備えてもよい。
【0014】
本発明の他の態様に係る制御弁は、第1ポンプに通じる第1メータイン流路を有する第1メータインスプールと、第2ポンプに通じる第2メータイン流路を有する第2メータインスプールと、前記第1メータイン流路及び前記第2メータイン流路に通じるとともに、アクチュエータの給排ポートに通じる供給流路と、前記供給流路及び前記アクチュエータの前記給排ポートに通じる流路を有するメータアウトスプールと、前記第1メータインスプール、前記第2メータインスプール、及び前記メータアウトスプールをまとめて設けるブロック体と、前記ブロック体に設けられて前記第1メータインスプール及び前記第2メータインスプールをまとめて収容し、かつ、前記第1メータインスプールと前記第2メータインスプールとが各メータインスプールの軸方向で対向する間にタンクに通じる中間部を有するメータインスプール収容部と、を備える。
【0015】
このように構成することで、第1メータインスプールを駆動制御して第1ポンプに第1メータイン流路を通じさせる。また、第2メータインスプールを駆動制御して第2ポンプに第2メータイン流路を通じさせる。これにより、例えば、第1ポンプによる流体の吐出量を0~100%で調整し、第2ポンプによる流体の吐出量を0~100%で調整して、第1ポンプ及び第2ポンプの少なくとも一方から吐出された流体を供給流路で合流できる。この結果、第1ポンプ及び第2ポンプからアクチュエータに供給される流体の割合を、各ポンプの吐出量の2倍の範囲で任意(自由)に変えることができる。このため、アクチュエータに供給される流体の流量を高性能に調整できる。
【0016】
また、メータアウトスプールの流路を、供給流路に通じさせるとともにアクチュエータの給排ポートに通じさせた。ここで、供給流路には、第1メータインスプールの第1メータイン流路と第2メータインスプールの第2メータイン流路とが通じる。このため、メータアウトスプールを、第1メータインスプールと第2メータインスプールとに対して共通に対応させることができる。よって、メータアウトスプールを1つに減らすことができ、制御弁の構成を簡素化できる。
【0017】
さらに、第1メータインスプール、第2メータインスプール、及びメータアウトスプールをまとめてブロック体に設けるようにした。これにより、ブロック体を減らすことができ、制御弁を簡素化してコンパクトに構成できる。
【0018】
加えて、第1メータインスプール及び第2メータインスプールの2つのスプールをまとめてメータインスプール収容部に収容するようにした。これにより、メータインスプール収容部を減らすことができ、制御弁の構成を簡素化できる。
また、メータインスプール収容部の第1メータインスプールと第2メータインスプールとが軸方向で対向する間に、中間部を形成した。この中間部にタンクを通じさせた。このため、例えば中間部の体積が小さくなるように第1メータインスプール、第2メータインスプールが移動した場合、中間部の流体をタンクに排出させることができる。この結果、中間部の流体の圧力が高まって各メータインスプールが移動しにくくなることを防止できる。よって、第1メータインスプールと第2メータインスプールとをメータインスプール収容部の内部で円滑に移動できる。
【0019】
本発明の他の態様に係る制御弁は、第1ポンプに通じる第1メータイン流路を有する第1メータインスプールと、第2ポンプに通じる第2メータイン流路を有する第2メータインスプールと、前記第1メータイン流路及び前記第2メータイン流路に通じるとともに、アクチュエータの給排ポートに通じる供給流路と、前記供給流路及び前記アクチュエータの前記給排ポートに通じる流路を有するメータアウトスプールと、前記第1メータインスプール、前記第2メータインスプール、及び前記メータアウトスプールをまとめて設けるブロック体と、前記ブロック体に設けられて前記第1メータインスプール及び前記第2メータインスプールをまとめて収容し、かつ、前記第1メータインスプールと前記第2メータインスプールとが各メータインスプールの軸方向で対向する間にタンクに通じる中間部を有するメータインスプール収容部と、備え、前記第1メータインスプールは、前記アクチュエータの前記給排ポートに前記供給流路を通じさせる、又はタンクに前記アクチュエータの前記給排ポートを通じさせる凹部を有し、前記第2メータインスプールは、前記アクチュエータの前記給排ポートに前記供給流路を通じさせる、又はタンクに前記アクチュエータの前記給排ポートを通じさせる他の凹部を有する。
【0020】
このように構成することで、第1メータインスプールを駆動制御して第1ポンプに第1メータイン流路を通じさせる。また、第2メータインスプールを駆動制御して第2ポンプに第2メータイン流路を通じさせる。これにより、例えば、第1ポンプによる流体の吐出量を0~100%で調整し、第2ポンプによる流体の吐出量を0~100%で調整して、第1ポンプ及び第2ポンプの少なくとも一方から吐出された流体を供給流路で合流できる。この結果、第1ポンプ及び第2ポンプからアクチュエータに供給される流体の割合を、各ポンプの吐出量の2倍の範囲で任意(自由)に変えることができる。このため、アクチュエータに供給される流体の流量を高性能に調整できる。
【0021】
また、メータアウトスプールの流路を、供給流路に通じさせるとともにアクチュエータの給排ポートに通じさせた。ここで、供給流路には、第1メータインスプールの第1メータイン流路と第2メータインスプールの第2メータイン流路とが通じる。このため、メータアウトスプールを、第1メータインスプールと第2メータインスプールとに対して共通に対応させることができる。よって、メータアウトスプールを1つに減らすことができ、制御弁の構成を簡素化できる。
【0022】
さらに、第1メータインスプール、第2メータインスプール、及びメータアウトスプールをまとめてブロック体に設けるようにした。これにより、ブロック体を減らすことができ、制御弁を簡素化してコンパクトに構成できる。
【0023】
加えて、第1メータインスプール及び第2メータインスプールの2つのスプールをまとめてメータインスプール収容部に収容するようにした。これにより、メータインスプール収容部を減らすことができ、制御弁の構成を簡素化できる。
また、メータインスプール収容部の第1メータインスプールと第2メータインスプールとが軸方向で対向する間に、中間部を形成した。この中間部にタンクを通じさせた。このため、例えば中間部の体積が小さくなるように第1メータインスプール、第2メータインスプールが移動した場合、中間部の流体をタンクに排出させることができる。この結果、中間部の流体の圧力が高まって各メータインスプールが移動しにくくなることを防止できる。よって、第1メータインスプールと第2メータインスプールとをメータインスプール収容部の内部で円滑に移動できる。
【0024】
さらに、第1メータインスプールは凹部を有し、供給流路とアクチュエータの給排ポートとの間に凹部を介在させるようにした。このため、供給流路を、凹部を経てアクチュエータの給排ポートに通じさせることができる。よって、供給流路からアクチュエータへ供給する流体の圧力損失(圧損)を低減できる。
また、アクチュエータの給排ポートとタンクとの間に凹部を介在させるようにした。このため、アクチュエータを、凹部を経てタンクに通じさせることができる。よって、アクチュエータからタンクに戻る流体の流量を増加できる。
【0025】
加えて、第2メータインスプールは他の凹部を有し、アクチュエータの給排ポートとタンクとの間に他の凹部を介在させるようにした。このため、アクチュエータを、他の凹部を経てタンクに通じさせることができる。よって、アクチュエータからタンクに戻る流体の流量を増加できる。
さらに、供給流路とアクチュエータの給排ポートとの間に他の凹部を介在させるようにした。このため、供給流路を、他の凹部を経てアクチュエータに通じさせることができる。よって、供給流路からアクチュエータへ供給する流体の圧力損失(圧損)を低減できる。
【0026】
本発明の他の態様に係る流体システムは、第1ポンプ及び第2ポンプと、前記第1ポンプ及び前記第2ポンプから吐出される流体によって駆動されるアクチュエータと、前記第1ポンプ及び前記第2ポンプと前記アクチュエータとの間に設けられ、前記アクチュエータへ供給される前記流体の流量又は前記アクチュエータから排出される前記流体の流量を調整する制御弁と、を備え、前記制御弁は、第1ポンプに通じる第1メータイン流路を有する第1メータインスプールと、第2ポンプに通じる第2メータイン流路を有する第2メータインスプールと、前記第1メータイン流路及び前記第2メータイン流路に通じるとともに、アクチュエータの給排ポートに通じる供給流路と、前記供給流路及び前記アクチュエータの前記給排ポートに通じる流路を有するメータアウトスプールと、を備える。
【0027】
このような流体システムとすることで、第1メータインスプールを駆動制御して第1ポンプに第1メータイン流路を通じさせる。また、第2メータインスプールを駆動制御して第2ポンプに第2メータイン流路を通じさせる。これにより、例えば、第1ポンプによる流体の吐出量を0~100%で調整し、第2ポンプによる流体の吐出量を0~100%で調整して、第1ポンプ及び第2ポンプの少なくとも一方から吐出された流体を供給流路で合流できる。この結果、第1ポンプ及び第2ポンプからアクチュエータに供給される流体の割合を、各ポンプの吐出量の2倍の範囲で任意(自由)に変えることができる。このため、アクチュエータに供給される流体の流量を高性能に調整できる。
【0028】
本発明の他の態様に係る建設機械は、流体システムと、前記流体システムが搭載され、前記流体システムによって駆動制御される車体と、を備え、前記流体システムは、第1ポンプ及び第2ポンプと、前記第1ポンプ及び前記第2ポンプから吐出される流体によって駆動され前記車体を動作させるアクチュエータと、前記第1ポンプ及び前記第2ポンプと前記アクチュエータとの間に設けられ、前記アクチュエータへ供給される前記流体の流量又は前記アクチュエータから排出される前記流体の流量を調整する制御弁と、を備え、前記制御弁は、第1ポンプに通じる第1メータイン流路を有する第1メータインスプールと、第2ポンプに通じる第2メータイン流路を有する第2メータインスプールと、前記第1メータイン流路及び前記第2メータイン流路に通じるとともに、アクチュエータの給排ポートに通じる供給流路と、前記供給流路及び前記アクチュエータの前記給排ポートに通じる流路を有するメータアウトスプールと、を備える。
【0029】
このように構成することで、建設機械の駆動制御を高精度に行うことができる。
【0030】
本発明の他の態様に係るアクチュエータ駆動制御方法は、2つのメータインスプールの駆動制御を行うことによって各々前記メータインスプールに別々に通じる2つのポンプから吐出される流体の合流流量を調整する流量調整工程と、前記流量調整工程によって前記合流流量の調整された前記流体をアクチュエータに供給し、前記アクチュエータを駆動する流体供給工程と、を有する。
【0031】
このような制御方法とすることで、アクチュエータに供給される流体の流量を高性能に調整できる。このため、アクチュエータの駆動制御を高精度に行うことができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、アクチュエータに供給される流体の流量を高性能に調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の第1実施形態における建設機械の模式図。
図2】本発明の第1実施形態における油圧システムの模式図。
図3】本発明の第1実施形態における第1メータインスプール及び第2メータインスプールが第1中立位置及び第2中立位置に位置するときの油圧システムの動作の一例の説明図。
図4】本発明の第1実施形態における油圧システムでブームを上げるときの動作の一例を示す説明図。
図5】本発明の第1実施形態における油圧システムでブームを下げるときの動作の一例を示す説明図。
図6】本発明の第2実施形態における独立メータリングバルブでブームを静止状態に保持したときの油圧システムの一例を示す説明図。
図7】本発明の第2実施形態における油圧システムでブームを上げるときの動作の一例を示す説明図。
図8】本発明の第2実施形態における油圧システムでブームを下げるときの動作の一例を示す説明図。
図9】本発明の第3実施形態における独立メータリングバルブでブームを静止状態に保持したときの油圧システムの一例を示す説明図。
図10】本発明の第3実施形態における油圧システムでブームを上げるときの動作の一例を示す説明図。
図11】本発明の第4実施形態における独立メータリングバルブでアームを静止状態に保持したときの油圧システムの一例を示す説明図。
図12】本発明の第4実施形態における油圧システムでアームを押すときの動作の一例を示す説明図。
図13】本発明の第5実施形態における独立メータリングバルブでアームを静止状態に保持したときの油圧システムの一例を示す説明図。
図14】本発明の第5実施形態における油圧システムでアームを引くときの移動の一例を示す説明図。
図15】本発明の第5実施形態における独立メータリングバルブでアームを引くときの掘削の一例を示す説明図。
図16】本発明の第5実施形態における油圧システムでアームを押すときの動作の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の実施形態では、建設機械として油圧システムを備えた油圧ショベルを例に挙げて説明する。以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0035】
[第1実施形態]
<建設機械>
図1は、第1実施形態の建設機械100の模式図である。
図1に示すように、建設機械100は、例えば油圧ショベルである。建設機械100は、旋回体(請求項の車体の一例)101と、走行体(請求項の車体の一例)102と、これら旋回体101や走行体102に搭載され、旋回体や走行体102の駆動制御を行う油圧システム109と、を備える。
旋回体101は、走行体102の上に旋回可能に設けられている。旋回体101には、油圧ポンプ110と、油圧ポンプ110から吐出される作動油(請求項の流体の一例)の流量制御を行う油圧制御装置1と、が搭載されている。
【0036】
旋回体101は、操作者が搭乗可能なキャブ103と、旋回体101に一端が揺動自在に連結されているブーム104と、ブーム104の旋回体101とは反対側の他端(先端)に揺動自在に一端が連結されているアーム105と、アーム105のブーム104とは反対側の他端(先端)に揺動自在に連結されているバケット106と、キャブ103に設けられた操作部107と、を備える。走行体102、旋回体101、ブーム104、アーム105、及びバケット106は、種々の油圧アクチュエータ111によって駆動される。油圧アクチュエータ111は、油圧制御装置1を介して供給される油圧ポンプ110からの作動油によって駆動される建設機械100の作業機部である。
【0037】
<油圧システム>
図2は、第1実施形態の油圧システム109の模式図である。図2は、油圧制御装置1の断面を含む模式図である。図2では、第1実施形態の第1メータインスプール5及び第2メータインスプール6が、それぞれ第1中立位置及び第2中立位置に位置した状態が示されている。また、第1実施形態のメータアウトスプール15が中央位置に位置した状態が示されている。
【0038】
図2に示すように、油圧システム(請求項の流体システムの一例)109は、油圧制御装置1と、油圧制御装置1に作動油を供給する油圧ポンプ110と、油圧制御装置1によって駆動制御される油圧アクチュエータ(請求項のアクチュエータの一例)111と、を備える。なお、図2以下では、方向についての説明を簡素化するために、一方又は一端をその図中の右方向を指すものとし、他方又は他端をその図中の左方向を指すものとして説明する。各図中には、一方及び他方を矢印で示す。
【0039】
油圧アクチュエータ111は、例えば走行体102を走行させたり旋回体101を旋回させたりする油圧モータ112と、ブーム104、アーム105、及びバケット106を駆動させるための種々の油圧シリンダ(請求項のアクチュエータの一例)113と、により構成されている(図1参照)。
以下、種々の油圧シリンダ113のうち、一つの油圧シリンダ113を代表例として説明する。代表例の油圧シリンダ113は、ブーム104、アーム105、及びバケット106から選択したブーム104を駆動するブーム駆動用のシリンダである。
【0040】
油圧シリンダ113は、シリンダ114と、シリンダ114内にスライド移動自在に設けられたピストンロッド115と、シリンダ114に設けられたヘッドポート(請求項の給排ポートの一例)Hp、及びロッドポート(請求項の給排ポートの一例)Rpと、を有している。
ヘッドポートHpは、シリンダ114のうちシリンダヘッド側の部位114aに設けられている。ロッドポートRpは、シリンダ114のうちピストンロッド115側の部位114bに設けられている。
【0041】
油圧ポンプ110は、例えば図示しない原動機によって駆動する。油圧ポンプ110は、キャブ103に設けられた操作部107の操作信号に基づいて、作動油の吐出量を可変させる(図1参照)。また、操作部107の操作信号に基づいて、油圧制御装置1も駆動制御される(図1参照)。
【0042】
油圧ポンプ110は、2つ設けられている。以下、2つの油圧ポンプ110の一方を「第1ポンプ110A」という。また、2つの油圧ポンプ110の他方を「第2ポンプ110B」という。
第1ポンプ110Aは、例えば1回転当たりの作動油の吐出量を0~100%の範囲で調整可能な可変容量形ポンプである。第2ポンプ110Bは、例えば第1ポンプ110Aと同様に、1回転当たりの作動油の吐出量を0~100%の範囲で調整可能な可変容量形ポンプである。また、第1ポンプ110A及び第2ポンプ110Bは、例えばポンプ容量が同一である。
【0043】
<油圧制御装置>
油圧制御装置1は、種々のIMV(Independent Metering Valve)2(以下「独立メータリングバルブ」ともいう)を備える。種々の独立メータリングバルブ(請求項の制御弁の一例)2は、ブーム104、アーム105、及びバケット106を駆動させる種々の油圧シリンダ113を制御する。
以下、種々の独立メータリングバルブ2のうち、ブーム104の独立メータリングバルブ2を代表例として説明する。代表例の独立メータリングバルブ2は、ブーム104、アーム105、及びバケット106から選択したブーム104を駆動する油圧シリンダ113を制御するバルブである。
【0044】
<独立メータリングバルブ(IMV)>
独立メータリングバルブ2は、バルブボディ(請求項のブロック体の一例)3と、バルブボディ3に収納された丸棒状の第1メータインスプール5と、第1メータインスプール5を駆動制御する第1メータイン電磁比例弁7と、バルブボディ3に収納された丸棒状の第2メータインスプール6と、第2メータインスプール6を駆動制御する第2メータイン電磁比例弁8と、を主構成としている。すなわち、独立メータリングバルブ2は、メータインスプールとして、2つの独立した第1メータインスプール5と、第2メータインスプール6と、を備える。
【0045】
また、独立メータリングバルブ2は、バルブボディ3に収納された丸棒状のメータアウトスプール15と、メータアウトスプール15を駆動制御する第1メータアウト電磁比例弁16及び第2メータアウト電磁比例弁17と、を主構成としている。
さらに、独立メータリングバルブ2は、電磁比例弁7,8,16,17を制御する制御部25を備える。
【0046】
制御部25は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサがプログラムメモリに格納されたプログラムを実行することにより実現される。制御部25は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアにより実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアが協働することで実現されてもよい。
【0047】
バルブボディ3は、第1メータインスプール5及び第2メータインスプール6を収納する第1スプール孔(請求項のメータインスプール収容部の一例)10と、この第1スプール孔10に開口する第1ポンプポートP1、第2ポンプポートP2、第1供給ポートS1及び第2供給ポートS2と、メータアウトスプール15を収納する第2スプール孔20と、この第2スプール孔20に開口する第1タンクポートT1、第2タンクポートT2、第1排出ポートD1及び第2排出ポートD2と、を有する。
すなわち、1つのバルブボディ3に、第1メータインスプール5、第2メータインスプール6、及びメータアウトスプール15がまとめて共通に設けられている。
【0048】
また、バルブボディ3は、バルブボディ3の一方向(すなわち、第1メータインスプール5、第2メータインスプール6、及びメータアウトスプール15の軸方向、以下、この軸方向を単に軸方向という場合がある)に沿う断面がU字状に形成されたブリッジ流路(請求項の供給流路の一例)30と、ブリッジ流路30の一側方に位置する第1ロッド流路31と、第1ロッド流路31に通じる第2ロッド流路32と、ブリッジ流路30の他側方に位置する第1ヘッド流路33と、第1ヘッド流路33に通じる第2ヘッド流路34と、第1ロッド流路31の側方に位置する第1タンク流路35と、第2ヘッド流路34の側方に位置する第2タンク流路36と、軸方向に沿う断面がU字状に形成されたバイパス流路37と、を有する。
【0049】
第1スプール孔10及び第2スプール孔20は、バルブボディ3の一方向に沿って形成されている。第1スプール孔10及び第2スプール孔20は、軸方向に沿う断面が円形状である。第1スプール孔10及び第2スプール孔20は、例えば各スプール孔10,20の長手方向(すなわち、軸方向)に対して直交する方向に間隔をあけて、並列に形成されている。
【0050】
第1スプール孔10の1つの孔に、第1メータインスプール5及び第2メータインスプール6がまとめて収容されている。また、第1スプール孔10は、軸方向の中央に中間部13を有する。中間部13は、第1メータインスプール5と第2メータインスプール6とが対向する間に形成される部屋である。中間部13には、第3排出流路137を経てタンク120が通じている(図3参照)。
【0051】
第1ポンプポートP1は、第1供給流路131を介して第1ポンプ110Aに通じる。第2ポンプポートP2は、第2供給流路132を介して第2ポンプ110Bに通じる。第1供給ポートS1は、第1チェックバルブ41を介してブリッジ流路30に通じる。第2供給ポートS2は、第2チェックバルブ42を介してブリッジ流路30に通じる。なお、通じる(あるいは、後述の通じさせる)とは、作動油(すなわち、流体)が流れるようにすることをいう。例えば、「第1ポンプポートP1は、第1供給流路131を介して第1ポンプ110Aに通じる。」とは、第1ポンプポートP1と第1ポンプ110Aとが第1供給流路131を介して接続されて作動油を流れるようにすることである。
【0052】
第1タンクポートT1は、第1排出流路135を介してタンク120に通じる。第2タンクポートT2は、第2排出流路136を介してタンク120に通じる。第1排出ポートD1は、各ロッド流路31,32及びロッド側流路133を経てロッドポートRpに通じる。第2排出ポートD2は、各ヘッド流路33,34及びヘッド側流路134を経てヘッドポートHpに通じる。
【0053】
ブリッジ流路30の両端は、第1スプール孔10に通じる。ブリッジ流路30は、軸方向で第1供給ポートS1及び第2供給ポートS2の外方に配置されている。
第1ロッド流路31は、軸方向でブリッジ流路30の一端と第1タンク流路35との間に配置されている。第1ロッド流路31は、軸方向に対して直交する方向に延びている。第1ロッド流路31は、過度の高圧を逃がすための第1リリーフバルブ45を介して第1タンク流路35に通じる。
第2ロッド流路32は、第1スプール孔10と第2スプール孔20との間に配置されている。第2ロッド流路32は、第1ロッド流路31の延長線上に配置されている。
【0054】
第1ヘッド流路33は、軸方向でブリッジ流路30の他端と第2タンク流路36との間に配置されている。第1ヘッド流路33は、軸方向に対して交差する方向に延びている。第1ヘッド流路33は、過度の高圧を逃がすための第2リリーフバルブ46を介して第2タンク流路36に通じる。第1ヘッド流路33には、リーク低減のためのロックバルブ47(ブーム104が慣性で下がることを抑制するための保持弁)が設けられている。
第2ヘッド流路34は、第1スプール孔10と第2スプール孔20との間に配置されている。第2ヘッド流路34は、軸方向に対して直交する方向に延びている。
【0055】
第1タンク流路35は、第1ロッド流路31の外方で軸方向に対して直交する方向に延びている。第2タンク流路36は、第1ヘッド流路33の外方で軸方向に対して直交する方向に延びている。バイパス流路37の両端は、第2スプール孔20に通じる。バイパス流路37は、第3チェックバルブ43を介してバイパスポートG1に通じる。
【0056】
バルブボディ3の軸方向の一端には、第1位置決め機構50が設けられている。第1位置決め機構50は、第1スプール孔10及び第2スプール孔20の各々一端を塞ぐようにバルブボディ3の軸方向の一端に取り付けられた第1ケーシング51を備える。第1ケーシング51は、第1スプール孔10の一端に連なり第1コイルバネ52を収容する第1収容室53と、第2スプール孔20の一端に連なり第2コイルバネ54を収容する第2収容室55と、を有する。また、第1ケーシング51は、第1収容室53及び第2収容室55の外方で軸方向に対して直交する方向に延びる第1ポンプ流路56と、第1ポンプ流路56の外方で軸方向に対して直交する方向に延びる第1ドレン流路57と、を有する。
【0057】
バルブボディ3の軸方向の他端には、第2位置決め機構60が設けられている。第2位置決め機構60は、第1スプール孔10及び第2スプール孔20のそれぞれの他端を塞ぐようにバルブボディ3の軸方向の他端に取り付けられた第2ケーシング61を備える。第2ケーシング61は、第1スプール孔10の他端に連なり第3コイルバネ62を収容する第3収容室63と、第2スプール孔20の他端に連なり作動油が導かれる空間としての第4収容室65と、を有する。また、第2ケーシング61は、第3収容室63及び第4収容室65の外方で軸方向に対して直交する方向に延びる第2ポンプ流路66と、第2ポンプ流路66の外方で軸方向に対して直交する方向に延びる第2ドレン流路67と、を有する。
【0058】
バルブボディ3の第1スプール孔10のうち一方側には、第1メータインスプール5が軸方向にスライド移動自在に収容されている。第1メータインスプール5は、第1中立位置(図2に示す位置)と、第1供給位置(図4に示す位置)と、第1中立位置及び第1供給位置の間の任意供給位置と、に位置決めされるように収容されている。
第1中立位置は、中間部13が軸方向に最も大きく広げられた状態で、中間部13の一方側に第1メータインスプール5が配置される位置である。第1供給位置は中間部13が軸方向に最も小さく狭められた状態で、中間部13の一方側に第1メータインスプール5が配置される位置である。第1供給位置は、第1ポンプ110Aをブリッジ流路30に通じさせて、第1ポンプ110Aから吐出された作動油をブリッジ流路30に供給する第1メータインスプール5のフルストローク位置である。
【0059】
また、バルブボディ3の第1スプール孔10のうち他方側には、第2メータインスプール6が軸方向にスライド移動自在に収容されている。第2メータインスプール6は、第2中立位置(図2に示す位置)と、第2供給位置(図4に示す位置)と、第2中立位置及び第2供給位置の間の任意供給位置と、に位置決めされるように収容されている。
【0060】
第2中立位置は中間部13が軸方向に最も大きく広げられた状態で、中間部13の他方側に第2メータインスプール6が配置される位置である。第2供給位置は、中間部13が軸方向に最も小さく狭められた状態で、中間部13の他方側に第2メータインスプール6が配置される位置である。第2供給位置は、第2ポンプ110Bをブリッジ流路30に通じさせて、第2ポンプ110Bから吐出された作動油をブリッジ流路30に供給する第2メータインスプール6のフルストローク位置である。
第1スプール孔10、第1メータインスプール5、及び第2メータインスプール6等でメータインバルブ4が構成されている。
【0061】
第1メータインスプール5は、例えば環状に形成された第1凹部5a、第1凹部5aの軸方向両側(一方側と他方側)に形成された複数の第1ランド5bを有する。第1メータインスプール5は、第1凹部5a、第1ランド5b等により、流路を塞いだり流量を調整したりすることが可能である。また、第1メータインスプール5は、例えば第1凹部5a等で形成された第1メータイン流路11を有する。
【0062】
第2メータインスプール6は、例えば環状に形成された第2凹部6a、第2凹部6aの軸方向両側(一方側と他方側)に形成された複数の第2ランド6bを有する。第2メータインスプール6は、第2凹部6a、第2ランド6b等により、流路を塞いだり流量を調整したりすることが可能である。また、第2メータインスプール6は、例えば第2凹部6a等で形成された第2メータイン流路12を有する。
【0063】
図3は、第1実施形態の第1メータインスプール5及び第2メータインスプール6が第1中立位置及び第2中立位置に位置するときの油圧システム109の動作の一例の説明図である。
図3に示すように、第1メータインスプール5は、第1中立位置に配置された状態で、第1ランド5b等により、例えば第1ポンプポートP1、及び第1供給ポートS1を閉塞する。第2メータインスプール6は、第2中立位置に配置された状態で、第2ランド6b等により、例えば第2ポンプポートP2、及び第2供給ポートS2を閉塞する。
【0064】
図4は、第1実施形態の油圧システム109でブーム104(図1参照)を上げるときの動作の一例を示す説明図である。図4は、油圧シリンダ113のピストンロッド115を押し出す作用の説明図に相当する。
図4に示すように、第1メータインスプール5は、第1供給位置に配置された状態で、第1ポンプポートP1と第1供給ポートS1とを第1メータイン流路11により通じさせる。また、第2メータインスプール6は、第2供給位置に配置された状態で、第2ポンプポートP2と第2供給ポートS2とを第2メータイン流路12により通じさせる。この結果、第1ポンプポートP1及び第2ポンプポートP2は、それぞれ第1供給ポートS1及び第2供給ポートS2等を経てブリッジ流路30に通じる。
ブリッジ流路30は、後述するメータアウトスプール15が第2排出位置(図5に示す位置)に配置されたとき、後述する第1切欠き流路21、第2ロッド流路32、及び第1ロッド流路31等を経てロッドポートRpに通じる。
【0065】
図2に示すように、第1メータインスプール5の軸方向の一端側には、第1メータイン電磁比例弁7が設けられている。第2メータインスプール6の軸方向の他端側に、第2メータイン電磁比例弁8が設けられている。第1メータイン電磁比例弁7及び第2メータイン電磁比例弁8は、一般に使用されているバルブであり、構成の詳しい説明を省略する。
【0066】
第1メータイン電磁比例弁7の非通電時に、第1メータインスプール5が第1中立位置(図2図3に示す位置)に配置される。また、第1メータイン電磁比例弁7が通電されることにより、第1メータインスプール5が電気信号に基づいて駆動され、第1供給位置(図4図5に示す位置)に配置される。ここで、第1メータイン電磁比例弁7は、通電される電気信号の「電流値」に応じて(比例させて)、第1メータインスプール5を第1中立位置と第1供給位置との範囲で任意の供給位置に無段階に制御(調整)できる。
【0067】
第2メータイン電磁比例弁8の非通電時に、第2メータインスプール6が第2中立位置(図2図3に示す位置)に配置される。また、第2メータイン電磁比例弁8が通電されることにより、第2メータインスプール6が電気信号に基づいて駆動され、第2供給位置(図4図5に示す位置)に配置される。ここで、第2メータイン電磁比例弁8は、通電される電気信号の「電流値」に応じて(比例させて)、第2メータインスプール6を第2供給位置と第2供給位置との範囲で任意の供給位置に無段階に制御(調整)できる。
【0068】
バルブボディ3の第2スプール孔20に、メータアウトスプール15が軸方向にスライド移動自在に収納されている。メータアウトスプール15は、第2スプール孔20の軸方向の中央位置(図2図3に示す位置)、第2スプール孔20の軸方向の一端側の位置、及び第2スプール孔20の軸方向の他端側の位置の3つの位置に位置決めされるように収納されている。
以下、第2スプール孔20の軸方向の一端側の位置を第1排出位置(図4に示す位置)、第2スプール孔20の軸方向の他端側の位置を第2排出位置(図5に示す位置)という。
第2スプール孔20及びメータアウトスプール15等でメータアウトバルブ14が構成されている。
【0069】
メータアウトスプール15は、例えば環状に形成された複数の凹部15a、凹部15a間に形成された複数のランド15b、及びランド15bに形成された複数のノッチ15cを有する。メータアウトスプール15は、凹部15a、ランド15b、ノッチ15c等により、流路を塞いだり流量を調整したりすることが可能である。また、メータアウトスプール15は、例えば、凹部15a等で形成された第1切欠き流路(請求項の流路の一例)21(図5も参照)と、凹部15a等で形成された第2切欠き流路(請求項の流路の一例)22(図4も参照)と、を有する。
【0070】
図3は、第1実施形態のメータアウトスプール15が中立位置に位置するときの油圧システム109の動作の一例の説明図である。
図3に示すように、メータアウトスプール15は、中央位置に配置された状態で、例えば第1タンクポートT1、第2タンクポートT2、第1排出ポートD1、及び第2排出ポートD2等をランド15b等により閉塞する。すなわち、中央位置は、第1タンクポートT1、第2タンクポートT2、第1排出ポートD1、及び第2排出ポートD2等をランド15b等で閉塞する中立位置である。
【0071】
図4に示すように、メータアウトスプール15は、第1排出位置に配置された状態で、第1排出ポートD1と第1タンクポートT1とを第1切欠き流路21により通じさせる。この結果、第1タンクポートT1に、第1切欠き流路21、第1排出ポートD1、第2ロッド流路32、及び第1ロッド流路31等を経てロッドポートRpが通じる。
【0072】
また、メータアウトスプール15は、第1排出位置に配置された状態で、ブリッジ流路30と第2排出ポートD2とを第2切欠き流路22により通じさせる。このため、ブリッジ流路30に、第2切欠き流路22、第2排出ポートD2、第2ヘッド流路34、及び第1ヘッド流路33等を経てヘッドポートHpが通じる。
さらに、メータアウトスプール15は、第1排出位置に配置された状態で、第2タンクポートT2をランド15b等により閉塞させる。
【0073】
図5は、第1実施形態の油圧システム109でブーム104(図1参照)を下げるときの動作の一例を示す説明図である。図5は、油圧シリンダ113のピストンロッド115を引き込む作用の説明図に相当する。
図5に示すように、メータアウトスプール15は、第2排出位置に配置された状態で、第2排出ポートD2と第2タンクポートT2とを第2切欠き流路22により通じさせる。この結果、第2タンクポートT2に、第2切欠き流路22、第2排出ポートD2、第2ヘッド流路34、及び第1ヘッド流路33等を経てヘッドポートHpが通じる。
【0074】
また、メータアウトスプール15は、第2排出位置に配置された状態で、ブリッジ流路30と第1排出ポートD1とを第1切欠き流路21により通じさせる。このため、ブリッジ流路30に、第1切欠き流路21、第1排出ポートD1、第2ロッド流路32、及び第1ロッド流路31等を経てロッドポートRpが通じる。
さらに、メータアウトスプール15は、第2排出位置に配置された状態では、第1タンクポートT1をランド15b等により閉塞される。
【0075】
メータアウトスプール15は、ヘッドポートHp、ロッドポートRpから油圧シリンダ113の内部の作動油を、タンクポート等を経てタンク120に排出するためのスプールである。また、メータアウトスプール15は、タンク120に作動油を排出する際に、油圧シリンダ113からの作動油の排出量の制御を行う。
【0076】
図2に示すように、メータアウトスプール15の一端側には、第1メータアウト電磁比例弁16が設けられている。また、メータアウトスプール15の他端側には、第2メータアウト電磁比例弁17が設けられている。第1メータアウト電磁比例弁16及び第2メータアウト電磁比例弁17は、第1メータイン電磁比例弁7及び第2メータイン電磁比例弁8と同様に、一般に使用されているバルブであり、構成の詳しい説明を省略する。
【0077】
第1メータアウト電磁比例弁16及び第2メータアウト電磁比例弁17は、両方のメータアウト電磁比例弁16,17の非通電時に、中央位置にメータアウトスプール15を配置する。
第1メータアウト電磁比例弁16は、第2メータアウト電磁比例弁17の非通電状態で通電されることにより、電気信号に基づいてメータアウトスプール15を駆動して第2排出位置(図5に示す位置)に配置する。ここで、第1メータアウト電磁比例弁16は、通電される電気信号の「電流値」に応じて(比例させて)第2排出位置を無段階に制御(調整)できる。
【0078】
第2メータアウト電磁比例弁17は、第1メータアウト電磁比例弁16の非通電状態で通電されることにより、電気信号に基づいてメータアウトスプール15を駆動して第1排出位置(図4に示す位置)に配置する。ここで、第2メータアウト電磁比例弁17は、通電される電気信号の「電流値」に応じて(比例させて)第2排出位置を無段階に制御(調整)できる。
【0079】
<独立メータリングバルブ、油圧システムによる油圧アクチュエータの駆動制御方法>
次に、独立メータリングバルブ2、油圧システム109による油圧アクチュエータ111の駆動制御方法を図2から図5に基づいて説明する。
先ず、独立メータリングバルブ2で建設機械100のブーム104(図1参照)を静止状態に保持する例を図2図3に基づいて説明する。
【0080】
図2図3に示すように、第1メータイン電磁比例弁7を非通電状態として、第1メータインスプール5を第1中立位置に配置する。第1中立位置の第1メータインスプール5で、第1ポンプポートP1及び第1供給ポートS1を閉塞する。
また、第2メータイン電磁比例弁8を非通電状態として、第2メータインスプール6を第2中立位置に配置する。第2中立位置の第2メータインスプール6で、第2ポンプポートP2、及び第2供給ポートS2を閉塞する。
【0081】
また、第1メータアウト電磁比例弁16及び第2メータアウト電磁比例弁17を非通電状態として、メータアウトスプール15を中央位置(すなわち、中立位置)に配置する。中央位置のメータアウトスプール15で、第1タンクポートT1、第2タンクポートT2、第1排出ポートD1、及び第2排出ポートD2を閉塞する。
第1ポンプ110A及び第2ポンプ110Bが図示しない原動機によって駆動されると、各ポンプ110A,110Bの吐出ポートから所定流量の作動油が吐出される。例えば、吐出された作動油は、不図示のリターン回路を経てタンク120に戻されてもよい。
この状態で、ブーム104(図1参照)が静止状態に保持される。
【0082】
次に、独立メータリングバルブ2でブーム104を上げる例を図2図4に基づいて説明する。
図2図4に示すように、第1メータインスプール5を矢印A1方向に移動して第1供給位置に配置する。この場合、第1メータイン電磁比例弁7を通電状態に切り換えることにより、第1メータインスプール5を、中間部13を狭める方向に移動して第1供給位置に配置する。第1メータインスプール5を第1供給位置に配置することにより、第1ポンプポートP1と第1供給ポートS1とが第1メータイン流路11により通じる。
【0083】
また、第2メータインスプール6を矢印A2方向に移動して第2供給位置に配置する。この場合、第2メータイン電磁比例弁8を通電状態に切り換えることにより、第2メータインスプール6を、中間部13を狭める方向に移動して第2供給位置に配置する。第2メータインスプール6を第2供給位置に配置することにより、第2ポンプポートP2と第2供給ポートS2とが第2メータイン流路12により通じる。
この結果、第1ポンプポートP1及び第2ポンプポートP2が、それぞれ第1供給ポートS1及び第2供給ポートS2等を経てブリッジ流路30に通じる。
【0084】
さらに、メータアウトスプール15を矢印A3方向に移動して第1排出位置に配置する。この場合、第1メータアウト電磁比例弁16を非通電状態で、第2メータアウト電磁比例弁17を通電状態に切り換えることにより、メータアウトスプール15を第1メータアウト電磁比例弁16側の方向に移動して第1排出位置に配置する。
メータアウトスプール15を第1排出位置に配置することにより、第1排出ポートD1と第1タンクポートT1とが第1切欠き流路21により通じる。この結果、第2タンクポートT1に、第1切欠き流路21、第2排出ポートD1、第2ロッド流路32、第1ロッド流路31、及びロッド側流路133等を経てロッドポートRpが通じる。
【0085】
また、メータアウトスプール15を第1排出位置に配置することにより、ブリッジ流路30と第2排出ポートD2とが第2切欠き流路22により通じる。具体的には、ブリッジ流路30に、第2切欠き流路22、第2排出ポートD2、第2ヘッド流路34、第1ヘッド流路33、及びヘッド側流路134等を経てヘッドポートHpが通じる。換言すれば、第2切欠き流路22は、ブリッジ流路30に通じ、第2排出ポートD2等を経てヘッドポートHpに通じる。
さらに、メータアウトスプール15を第1排出位置に配置することにより、第2タンクポートT2をメータアウトスプール15のランド15b等で閉塞する。
【0086】
この状態では、第1ポンプ110Aの吐出ポートから吐出された作動油が、第1ポンプポートP1、第1メータイン流路11、第1供給ポートS1、及び第1チェックバルブ41を経てブリッジ流路30に矢印V1の如く導かれる。また、第2ポンプ110Bの吐出ポートから吐出された作動油が、第2ポンプポートP2、第2メータイン流路12、第2供給ポートS2、及び第2チェックバルブ42を経てブリッジ流路30に矢印V2の如く導かれる。
【0087】
このため、第1ポンプ110Aから吐出された作動油と、第2ポンプ110Bから吐出された作動油とが、ブリッジ流路30で合流する。ブリッジ流路30で合流した作動油は、第2切欠き流路22、及び第2排出ポートD2を経て第2ヘッド流路34に矢印V3の如く導かれる。第2ヘッド流路34に導かれた作動油は、第1ヘッド流路33、ヘッド側流路134、及びヘッドポートHpを経てシリンダ114のうちシリンダヘッド側に矢印V3の如く流入する。
【0088】
一方、シリンダ114のうちロッドエンド側の作動油が、ロッドポートRp、ロッド側流路133、及び第1ロッド流路31を経て第2ロッド流路32に矢印V4の如く導かれる。第2ロッド流路32に導かれた作動油は、第1排出ポートD1、第1切欠き流路21、第1タンクポートT1、及び第1排出流路135を経てタンク120に矢印V4の如く排出される(戻される)。すなわち、第1実施形態では、ブーム104を上げる場合、第1排出ポートD1からの作動油をタンク120に還流する。
このため、油圧シリンダ113のピストンロッド115がシリンダ114から突出するように矢印E1の如く押し出され、ブーム104(図1参照)が上げられる。
【0089】
このように、独立メータリングバルブ2は、メータインスプールとして、独立した2つの第1メータインスプール5と第2メータインスプール6とを備える。第1メータインスプール5は、第1ポンプ110Aに通じる第1メータイン流路11を有する。第2メータインスプール6は、第2ポンプ110Bに通じる第2メータイン流路12を有する。第1メータイン流路11及び第2メータイン流路12には、ブリッジ流路30が通じている。ブリッジ流路30は、第1ポンプ110A及び第2ポンプ110Bの少なくとも一方から吐出された作動油を、シリンダ114のシリンダヘッド側、又はロッドエンド側に供給する流路である。
【0090】
このため、第1メータインスプール5と第2メータインスプール6とを個別に制御して、例えば1つの第1ポンプ110Aから吐出された作動油をブリッジ流路30に導くことができる。また、各メータインスプール5,6を個別に制御して、例えば1つの第2ポンプ110Bから吐出された作動油をブリッジ流路30に導くことができる。さらに、各メータインスプール5,6を個別に制御して、例えば2つの第1ポンプ110A及び第2ポンプ110Bから吐出された作動油をブリッジ流路30に導くことができる。
【0091】
ここで、第1ポンプ110A及び第2ポンプ110Bは、例えば、ポンプ容量が同一であり、1回転当たりの吐出量を0~100%の範囲で調整可能である。このため、独立メータリングバルブ2によれば、第1ポンプ110A及び第2ポンプ110Bのそれぞれの吐出量の2倍の吐出量の調整が可能になる。すなわち、第1ポンプ110A及び第2ポンプ110Bからシリンダ114のロッドエンド側に供給される作動油の割合を、各ポンプ110A,110Bの吐出量の2倍の範囲で任意(自由)に変えることが可能になる。これにより、ブーム104を上げる際に、シリンダ114のロッドエンド側に流入する作動油の流量を高性能に調整できる。
【0092】
次いで、独立メータリングバルブ2でブーム104を下げる例を図2図5に基づいて説明する。
図2図5に示すように、第1メータインスプール5及び第2メータインスプール6を、ブーム104を上げる場合と同様に、それぞれ第1供給位置及び第2供給位置に保持する。この状態では、メータアウトスプール15を矢印A4方向に移動して第2排出位置に配置する。この場合、第2メータアウト電磁比例弁17を非通電状態で、第1メータアウト電磁比例弁16を通電状態に切り換えることにより、メータアウトスプール15を第2メータアウト電磁比例弁17側の方向に移動して第2排出位置に配置する。
【0093】
メータアウトスプール15を第2排出位置に配置することにより、第2排出ポートD2と第2タンクポートT2とが第2切欠き流路22により通じる。この結果、第2タンクポートT2に、第2切欠き流路22、第2排出ポートD2、第2ヘッド流路34、第1ヘッド流路33、及びヘッド側流路134等を経てヘッドポートHpが通じる。
【0094】
また、メータアウトスプール15を第2排出位置に配置することにより、ブリッジ流路30と第1排出ポートD1とが第1切欠き流路21により通じる。具体的には、ブリッジ流路30に、第1切欠き流路21、第1排出ポートD1、第2ロッド流路32、第1ロッド流路31、及びロッド側流路133等を経てロッドポートRpが通じる。換言すれば、第1切欠き流路21は、ブリッジ流路30に通じ、第1排出ポートD1等を経てロッドポートRpに通じる。
さらに、メータアウトスプール15を第2排出位置に配置することにより、第1タンクポートT1をメータアウトスプール15のランド15b等で閉塞する。
【0095】
この状態では、ブーム104を上げる場合と同様に、第1ポンプ110Aから吐出された作動油が、第1ポンプポートP1、第1メータイン流路11、第1供給ポートS1、及び第1チェックバルブ41を経てブリッジ流路30に矢印V1の如く導かれる。また、第2ポンプ110Bから吐出された作動油が、第2ポンプポートP2、第2メータイン流路12、第2供給ポートS2、及び第2チェックバルブ42を経てブリッジ流路30に矢印V2の如く導かれる。
【0096】
このため、第1ポンプ110Aから吐出された作動油と、第2ポンプ110Bから吐出された作動油とが、ブリッジ流路30で合流する。ブリッジ流路30で合流した作動油は、第1切欠き流路21、第1排出ポートD1を経て第2ロッド流路32に矢印V5の如く導かれる。第2ロッド流路32に導かれた作動油は、第1ロッド流路31、ロッド側流路133、及びロッドポートRpを経てシリンダ114のうちロッドエンド側に矢印V5の如く流入する。
【0097】
一方、シリンダ114のうちシリンダヘッド側の作動油が、ヘッドポートHp、ヘッド側流路134、及び第1ヘッド流路33を経て第2ヘッド流路34に矢印V6の如く導かれる。第2ヘッド流路34に導かれた作動油は、第2排出ポートD2、第2切欠き流路22、第2タンクポートT2、及び第2排出流路136を経てタンク120に矢印V6の如く排出される(戻される)。すなわち、第1実施形態では、ブーム104(図1参照)を下げる場合、第2排出ポートD2からの作動油をタンク120に還流する。
これにより、油圧シリンダ113のピストンロッド115がシリンダ114に押し込まれるように矢印E2の如く引き込まれ、ブーム104(図1参照)が下げられる。
【0098】
ここで、独立メータリングバルブ2は、ブーム104を上げる場合と同様に、第1メータインスプール5と第2メータインスプール6とを個別に制御できる。各メータインスプール5,6を個別に制御することにより、例えば第1ポンプ110A及び第2ポンプ110Bの少なくとも一方から吐出された作動油をブリッジ流路30に導くことができる。
このため、第1ポンプ110A及び第2ポンプ110Bのそれぞれの吐出量の2倍の吐出量の調整が可能になる。すなわち、第1ポンプ110A及び第2ポンプ110Bからシリンダ114のシリンダヘッド側に供給される作動油の割合を、各ポンプ110A,110Bの吐出量の2倍の範囲で任意(自由)に変えることが可能になる。これにより、ブーム104を下げる際に、シリンダ114のシリンダヘッド側に流入する作動油の流量を高性能に調整できる。
【0099】
このように、油圧アクチュエータ111の駆動制御方法では、2つのメータインスプール5,6の駆動制御を行うことによって2つのポンプ110A,110Bから吐出される作動油の合流流量を調整する流量調整工程と、流量調整工程によって合流流量の調整された作動油を油圧アクチュエータ111に供給し、油圧1アクチュエータ111を駆動する流体供給工程と、を有する。以下の実施形態でも同様の工程を有するので、以下の実施形態では、流量調整工程及び流体供給工程の文言は割愛して説明する。
【0100】
以上説明したように、第1実施形態に係る油圧システム109の独立メータリングバルブ2は、メータインスプールとして、独立した2つの第1メータインスプール5と第2メータインスプール6とを備える。第1メータインスプール5は、第1ポンプ110Aに通じる第1メータイン流路11を有する。第2メータインスプール6は、第2ポンプ110Bに通じる第2メータイン流路12を有する。第1メータイン流路11及び第2メータイン流路12には、ブリッジ流路30が通じている。ブリッジ流路30は、第1ポンプ110A及び第2ポンプ110Bの少なくとも一方から吐出された作動油を、シリンダ114のロッドエンド側、又はシリンダヘッド側に供給する流路である。
【0101】
このため、独立メータリングバルブ2、油圧システム109及び油圧アクチュエータ111の駆動制御方法によれば、第1ポンプ110A及び第2ポンプ110Bのそれぞれの吐出量の2倍の吐出量の調整が可能になる。すなわち、第1ポンプ110A及び第2ポンプ110Bからシリンダ114のロッドエンド側に供給される作動油の割合を、各ポンプ110A,110Bの吐出量の2倍の範囲で任意(自由)に変えることが可能になる。これにより、ブーム104を上げたり下げたりする際に、シリンダ114のロッドエンド側、又はシリンダヘッド側に流入する作動油の流量を高性能に調整できる。
【0102】
また、第1メータインスプール5及び第2メータインスプール6は、第1スプール孔10の1つの孔にまとめて収容されている。これにより、第1スプール孔10を減らすことができ、油圧システム109や独立メータリングバルブ2の構成を簡素化できる。
【0103】
さらに、第1スプール孔10は、軸方向の中央に中間部13を有する。すなわち、中間部13は、第1メータインスプール5と第2メータインスプール6とが対向する間に形成される。中間部13には、第3排出流路137を経てタンク120が通じている。このため、第1メータインスプール5、第2メータインスプール6の移動による中間部13の体積変化に対応させて、中間部13とタンク120との間で作動油を移動させることができる。
【0104】
具体的には、中間部13の体積が小さくなるように第1メータインスプール5、第2メータインスプール6が移動した場合には、中間部13の作動油をタンク120に排出させることができる。この結果、中間部13の作動油の圧力が高まって各メータインスプール5,6が移動しにくくなることを防止できる。これにより、第1メータインスプール5と第2メータインスプール6とを第1スプール孔10の内部で円滑に移動できる。
【0105】
加えて、メータアウトスプール15を第1排出位置(図4に示す位置)に配置することにより、第2切欠き流路22を、ブリッジ流路30に通じさせるとともに、ヘッドポートHpに第2排出ポートD2等を通じさせることができる。
また、メータアウトスプール15を第2排出位置(図5に示す位置)に配置することにより、第1切欠き流路21を、ブリッジ流路30に通じさせるとともに、ロッドポートRpに第1排出ポートD1等を経て通じさせることができる。
【0106】
ここで、ブリッジ流路30には、第1メータインスプール5の第1メータイン流路11と、第2メータインスプール6の第2メータイン流路12とが通じる。このため、メータアウトスプール15を、2つの第1メータインスプール5と第2メータインスプール6とに対して共通に対応させることができる。これにより、メータアウトスプール15を1つに減らすことができ、油圧システム109や独立メータリングバルブ2の構成を簡素化できる。
【0107】
また、第1メータインスプール5、第2メータインスプール6、及びメータアウトスプール15は、1つのバルブボディ3にまとめて設けられている。これにより、バルブボディ3を減らすことができ、油圧システム109や独立メータリングバルブ2を簡素化してコンパクトに構成できる。
【0108】
以下、第2実施形態から第4実施形態の独立メータリングバルブ、油圧システム、及び油圧アクチュエータの駆動制御方法を図6から図16に基づいて説明する。なお、第2実施形態から第4実施形態で、第1実施形態と同一、類似の構成については、同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0109】
[第2実施形態]
<独立メータリングバルブ>
図6は、第2実施形態の独立メータリングバルブ(請求項の制御弁の一例)151でブーム104を静止状態に保持したときの油圧システム(請求項の流体システムの一例)150の一例を示す説明図である。図6は、油圧シリンダ113のピストンロッド115を静止させる説明図に相当する。
図6に示すように、第2実施形態の独立メータリングバルブ151は、第1メータインスプール153と、第2メータインスプール154と、を備える。第2実施形態の独立メータリングバルブ151の他の構成は、前述の第1実施形態の独立メータリングバルブ2と同様である。
【0110】
第1メータインスプール153は、第1ショートカット凹部(請求項の凹部の一例)153aを有し、その他の構成は第1実施形態の第1メータインスプール5と同様である。第1ショートカット凹部153aは、例えば第1ランド153bに対して全周に凹む段部で形成されている。なお、第1ショートカット凹部153aを、例えば段部とノッチとで形成してもよい。
第1ショートカット凹部153aは、ブリッジ流路30の一端より一方側に形成されている。第1ショートカット凹部153aは、第1メータインスプール153が第1中立位置(図6に示す位置)に配置されたとき、第1ロッド流路31と第2ロッド流路32との間に全体が配置される。
【0111】
図7は、第2実施形態の油圧システム150でブーム104(図1参照)を上げるときの動作の一例を示す説明図である。図7は、油圧シリンダ113のピストンロッド115を押し出す作用の説明図に相当する。
図8は、第2実施形態の油圧システム150でブーム104(図1参照)を下げるときの動作の一例を示す説明図である。図8は、油圧シリンダ113のピストンロッド115を引き込む作用の説明図に相当する。
【0112】
図7図8に示すように、第1ショートカット凹部153aは、第1メータインスプール153が第1供給位置(図7図8に示す位置)に配置されたとき、第1ロッド流路31と第2ロッド流路32との間に一部が配置(介在)される。このため、第1ショートカット凹部153aで、第1ロッド流路31と第2ロッド流路32との間に介在する流路の断面積が大きく確保される。
【0113】
また、第1ショートカット凹部153aは、メータアウトスプール15が第2排出位置(図8に示す位置)に配置された状態で、第2ロッド流路32、第1排出ポートD1、及び第1切欠き流路21を経てブリッジ流路30に通じる。さらに、第1ショートカット凹部153aは、メータアウトスプール15が第2排出位置に配置された状態で、第1ロッド流路31、及びロッド側流路133を経てロッドポートRpに通じる。
すなわち、第1ショートカット凹部153aは、メータアウトスプール15が第2排出位置に配置された状態で、ブリッジ流路30をロッドポートRp(具体的には、シリンダ114のロッドエンド側)に通じる。
【0114】
一方、第1ショートカット凹部153aは、メータアウトスプール15が第1排出位置(図7に示す位置)に配置された状態で、第2ロッド流路32、第1排出ポートD1、第1切欠き流路21、第1タンクポートT1、及び第1排出流路135を経てタンク120に通じる。さらに、第1ショートカット凹部153aは、メータアウトスプール15が第1排出位置に配置された状態で、第1ロッド流路31、及びロッド側流路133を経てロッドポートRpに通じる。
すなわち、第1ショートカット凹部153aは、メータアウトスプール15が第1排出位置に配置された状態で、ロッドポートRp(具体的には、シリンダ114のロッドエンド側)をタンク120に通じる。
【0115】
図6に示すように、第2メータインスプール154は、第2ショートカット凹部(請求項の他の凹部の一例)154aを有し、その他の構成は第1実施形態の第2メータインスプール6と同様である。第2ショートカット凹部154aは、例えば第2ランド154bに対して全周に凹む段部で形成されている。なお、第2ショートカット凹部154aを段部とノッチとで形成してもよい。
第2ショートカット凹部154aは、ブリッジ流路30の他端より他方側に形成されている。第2ショートカット凹部154aは、第2メータインスプール154が第2中立位置(図6に示す位置)に配置されたとき、第1ヘッド流路33と第2ヘッド流路34との間に全体が配置される。
【0116】
図7図8に示すように、第2ショートカット凹部154aは、第2メータインスプール154が第2供給位置(図7図8に示す位置)に配置されたとき、第1ヘッド流路33と第2ヘッド流路34との間に一部が配置(介在)される。このため、第2ショートカット凹部154aで、第1ヘッド流路33と第2ヘッド流路34との間に介在する流路の断面積が大きく確保される。
【0117】
また、第2ショートカット凹部154aは、メータアウトスプール15が第2排出位置(図8に示す位置)に配置された状態で、第2ヘッド流路34、第2排出ポートD2、第2切欠き流路22、第2タンクポートT2、及び第2排出流路136を経てタンク120に通じる。さらに、第2ショートカット凹部154aは、メータアウトスプール15が第2排出位置に配置された状態で、第1ヘッド流路33、及びヘッド側流路134を経てヘッドポートHpに通じる。
すなわち、第2ショートカット凹部154aは、メータアウトスプール15が第2排出位置に配置された状態で、ヘッドポートHp(具体的には、シリンダ114のシリンダヘッド側)をタンク120に通じさせる。
【0118】
さらに、第2ショートカット凹部154aは、メータアウトスプール15が第1排出位置(図7に示す位置)に配置された状態で、第2ヘッド流路34、第2排出ポートD2、及び第2切欠き流路22を経てブリッジ流路30に通じる。さらに、第2ショートカット凹部154aは、メータアウトスプール15が第1排出位置に配置された状態で、第1ヘッド流路33、及びヘッド側流路134を経てヘッドポートHpに通じる。
すなわち、第2ショートカット凹部154aは、メータアウトスプール15が第1排出位置に配置された状態で、ブリッジ流路30をヘッドポートHp(具体的には、シリンダ114のシリンダヘッド側)に通じさせる。
【0119】
<独立メータリングバルブ、油圧システムによる油圧アクチュエータの駆動制御方法>
次に、独立メータリングバルブ151、油圧システム150による油圧アクチュエータ111(油圧シリンダ113)の駆動制御方法を図6から図8に基づいて説明する。
先ず、独立メータリングバルブ151で建設機械100のブーム104(図1参照)を静止状態に保持する例を図6に基づいて説明する。
図6に示すように、第1メータインスプール153を第1中立位置に配置して、第1ポンプポートP1及び第1供給ポートS1を第1メータインスプール153で閉塞する。また、第2メータインスプール154を第2中立位置に配置して、第2ポンプポートP2及び第2供給ポートS2を第2メータインスプール154で閉塞する。
【0120】
さらに、メータアウトスプール15を中央位置に配置して、第1タンクポートT1、第2タンクポートT2、第1排出ポートD1、及び第2排出ポートD2をメータアウトスプール15で閉塞する。
この状態で、第1ポンプ110A及び第2ポンプ110Bの各吐出ポートから吐出された作動油は、例えば、不図示のリターン回路を経てタンク120に戻され、ブーム104(図1参照)が静止状態に保持される。
【0121】
次に、独立メータリングバルブ151でブーム104を上げる例を図7に基づいて説明する。
図7に示すように、第1メータインスプール153を矢印A5方向に移動して第1供給位置に配置することにより、第1ポンプポートP1と第1供給ポートS1とを第1メータイン流路11で通じさせる。また、第2メータインスプール6を矢印A6方向に移動して第2供給位置に配置することにより、第2ポンプポートP2と第2供給ポートS2とを第2メータイン流路12で通じさせる。
この結果、第1ポンプポートP1及び第2ポンプポートP2が、それぞれ第1供給ポートS1及び第2供給ポートS2等を経てブリッジ流路30に通じる。
【0122】
さらに、メータアウトスプール15を矢印A7方向に移動して第1排出位置に配置する。メータアウトスプール15を第1排出位置に配置することにより、第1排出ポートD1と第1タンクポートT1とが第1切欠き流路21により通じる。この結果、第1タンクポートT1に、第1切欠き流路21、第1排出ポートD1、第2ロッド流路32、第1ロッド流路31、及びロッド側流路133等を経てロッドポートRpが通じる。
【0123】
また、メータアウトスプール15を第1排出位置に配置することにより、第2切欠き流路22を、ブリッジ流路30に通じさせるとともに、第2排出ポートD2等を経てヘッドポートHpに通じさせる。具体的には、ブリッジ流路30に、第2切欠き流路22、第2排出ポートD2、第2ヘッド流路34、第1ヘッド流路33、及びヘッド側流路134等を経てヘッドポートHpが通じる。
さらに、第2排出位置に配置したメータアウトスプール15で、第2タンクポートT2を閉塞する。
【0124】
この状態では、第1ポンプ110Aの吐出ポートから吐出された作動油が、第1ポンプポートP1、第1メータイン流路11、第1供給ポートS1、及び第1チェックバルブ41を経てブリッジ流路30に矢印V7の如く導かれる。また、第2ポンプ110Bの吐出ポートから吐出された作動油が、第2ポンプポートP2、第2メータイン流路12、第2供給ポートS2、及び第2チェックバルブ42を経てブリッジ流路30に矢印V8の如く導かれる。このため、第1ポンプ110A及び第2ポンプ110Bから吐出された作動油が、ブリッジ流路30で合流する。
【0125】
合流した作動油は、第2切欠き流路22、第2排出ポートD2を経て第2ヘッド流路34に矢印V9の如く導かれる。第2ヘッド流路34に導かれた作動油は、第1ヘッド流路33、ヘッド側流路134、及びヘッドポートHpを経てシリンダ114のうちシリンダヘッド側に矢印V9の如く流入する。
ここで、第1ヘッド流路33と第2ヘッド流路34との間に第2ショートカット凹部154aが介在される。このため、第1ヘッド流路33と第2ヘッド流路34との間に介在する流路の断面積を大きく確保できる。これにより、ブリッジ流路30からシリンダ114のシリンダヘッド側に供給する作動油の圧力損失(圧損)を低減できる。すなわち、シリンダ114のシリンダヘッド側に作動油を効率よく供給できる。
【0126】
一方、シリンダ114のうちロッドエンド側の作動油が、ロッドポートRp、ロッド側流路133、及び第1ロッド流路31を経て第2ロッド流路32に矢印V10の如く導かれる。第2ロッド流路32に導かれた作動油は、第1排出ポートD1、第1切欠き流路21、第1タンクポートT1、及び第1排出流路135を経てタンク120に矢印V10の如く排出される(戻される)。
ここで、第1ロッド流路31と第2ロッド流路32との間に第1ショートカット凹部153aが介在される。このため、第1ロッド流路31と第2ロッド流路32との間に介在する流路の断面積を大きく確保できる。これにより、シリンダ114のロッドエンド側からタンク120に戻る作動油の流量を増加でき、作動油をロッドエンド側からタンク120に効率よく戻すことができる。
【0127】
シリンダ114のシリンダヘッド側に作動油を供給し、ロッドエンド側からタンク120に作動油を戻すことにより、ピストンロッド115がシリンダ114から矢印E3の如く押し出され、ブーム104(図1参照)が上げられる。
【0128】
次いで、独立メータリングバルブ151でブーム104を下げる例を図8に基づいて説明する。
図8に示すように、第1メータインスプール153及び第2メータインスプール154を、ブーム104を上げる場合と同様に、それぞれ第1供給位置及び第2供給位置に保持する。この状態では、メータアウトスプール15を矢印A8方向に移動して第2排出位置に配置することにより、第2排出ポートD2と第2タンクポートT2とが第2切欠き流路22により通じる。この結果、第2タンクポートT2に、第2切欠き流路22、第2排出ポートD2、第2ヘッド流路34、第1ヘッド流路33、及びヘッド側流路134等を経てヘッドポートHpが通じる。
【0129】
また、メータアウトスプール15を第2排出位置に配置することにより、第1切欠き流路21が、ブリッジ流路30に通じ、第1排出ポートD1等を経てロッドポートRpに通じる。具体的には、ブリッジ流路30に、第1切欠き流路21、第1排出ポートD1、第2ロッド流路32、第1ロッド流路31、及びロッド側流路133等を経てロッドポートRpが通じる。
さらに、第2排出位置に配置したメータアウトスプール15で、第1タンクポートT1を閉塞する。
【0130】
この状態では、ブーム104を上げる場合と同様に、第1ポンプ110A及び第2ポンプ110Bから吐出された作動油が、ブリッジ流路30で合流する。合流した作動油は、第1切欠き流路21、及び第1排出ポートD1を経て第2ロッド流路32に矢印V11の如く導かれる。第2ロッド流路32に導かれた作動油は、第1ロッド流路31、ロッド側流路133、及びロッドポートRpを経てシリンダ114のロッドエンド側に矢印V11の如く流入する。
【0131】
ここで、第1ロッド流路31と第2ロッド流路32との間に、第1ショートカット凹部153aが介在される。このため、第1ロッド流路31と第2ロッド流路32との間に、介在する流路の断面積を大きく確保できる。これにより、ブリッジ流路30からシリンダ114のロッドエンド側に供給する作動油の圧力損失(圧損)を低減できる。すなわち、シリンダ114のロッドエンド側に作動油を効率よく供給できる。
【0132】
一方、シリンダ114のうちシリンダヘッド側の作動油が、ヘッドポートHp、ヘッド側流路134、及び第1ヘッド流路33を経て第2ヘッド流路34に矢印V12の如く導かれる。第2ヘッド流路34に導かれた作動油は、第2排出ポートD2、第2切欠き流路22、第2タンクポートT2、及び第2排出流路136を経てタンク120に矢印V12の如く排出される(戻される)。
ここで、第1ヘッド流路33と第2ヘッド流路34との間に、第2ショートカット凹部154aが介在される。このため、第1ヘッド流路33と第2ヘッド流路34との間に介在する流路の断面積を大きく確保できる。これにより、シリンダ114のシリンダヘッド側からタンク120に戻る作動油の流量を増加でき、作動油をシリンダヘッド側からタンク120に効率よく戻すことができる。
【0133】
このように、シリンダ114のロッドエンド側に作動油を供給し、シリンダヘッド側からタンク120に作動油を戻すことにより、ピストンロッド115がシリンダ114に矢印E4の如く引き込まれ、ブーム104(図1参照)が下げられる。
【0134】
以上説明したように、第2実施形態に係る油圧システム150の独立メータリングバルブ151は、第1実施形態と同様に、メータインスプールとして、独立した2つの第1メータインスプール153と第2メータインスプール154とを備える。これにより、独立メータリングバルブ151、油圧システム150及び油圧アクチュエータ111(油圧シリンダ113)の駆動制御方法によれば、ブーム104を上げたり下げたりする際に、第1実施形態と同様に、シリンダ114のロッドエンド側、又はシリンダヘッド側に流入する作動油の流量を高性能に調整できる。
また、第2実施形態に係る独立メータリングバルブ151、油圧システム150及び油圧アクチュエータ111(油圧シリンダ113)の駆動制御方法は、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0135】
さらに、第2実施形態に係る油圧システム150の独立メータリングバルブ151は、第1メータインスプール153に第1ショートカット凹部153aを有し、第2メータインスプール154に第2ショートカット凹部154aを有する。これにより、独立メータリングバルブ151、油圧システム150及び油圧アクチュエータ111(油圧シリンダ113)の駆動制御方法によれば、上述したように、油圧シリンダ113に流入する作動油の圧力損失を低減でき、油圧シリンダ113から排出する作動油の流量を増加できる。
【0136】
[第3実施形態]
<独立メータリングバルブ>
図9は、第3実施形態の独立メータリングバルブ(請求項の制御弁の一例)171でブーム104を静止状態に保持したときの油圧システム(請求項の流体システムの一例)170の一例を示す説明図である。図9は、油圧シリンダ113のピストンロッド115を静止させる説明図に相当する。
図9に示すように、第3実施形態の独立メータリングバルブ171は、バルブボディ(請求項のブロック体の一例)173と、第1メータインスプール174と、第2メータインスプール175と、を備える。第3実施形態の独立メータリングバルブ171の他の構成は、第1実施形態の独立メータリングバルブ2と同様である。
【0137】
バルブボディ173は、第3タンクポートT3と、第4タンクポートT4と、を有し、その他の構成は第1実施形態のバルブボディ3と同様である。第3タンクポートT3は、第2ロッド流路32の一方側に位置し、第1スプール孔10(図2参照)に開口している。第3タンクポートT3は、第4排出流路177を経てタンク120に通じる。第4タンクポートT4は、第2ヘッド流路34の他方側に位置し、第1スプール孔10に開口している。第4タンクポートT4は、第5排出流路178を経てタンク120に通じる。
【0138】
第1メータインスプール174は、第1ショートカット凹部(請求項の凹部の一例)174aを有し、その他の構成は第1実施形態の第1メータインスプール5と同様である。第1ショートカット凹部174aは、例えば第1ランド174bに対して全周に凹む段部で形成されている。なお、第1ショートカット凹部174aを、例えば段部とノッチとで形成してもよい。
第1ショートカット凹部174aは、ブリッジ流路30の一端より一方側に形成されている。第1ショートカット凹部174aは、第1メータインスプール174が第1中立位置(図9に示す位置)に配置されたとき、第3タンクポートT3に通じる。
【0139】
図10は、第3実施形態の油圧システム170でブーム104(図1参照)を上げるときの動作の一例を示す説明図である。図10は、油圧シリンダ113のピストンロッド115を押し出す作用の説明図に相当する。
図10に示すように、第1ショートカット凹部174aは、第1メータインスプール174が第1供給位置(図10に示す位置)に配置されたとき、第1ロッド流路31と第2ロッド流路32との間に、他方側の一部が配置(介在)される。このとき、第1ショートカット凹部174aは、第3タンクポートT3に、一方側の一部が通じている。
このため、第1ショートカット凹部174aは、第1ロッド流路31を第3タンクポートT3に通じる。これにより、ロッドポートRp(具体的には、シリンダ114のロッドエンド側)は、ロッド側流路133、及び第1ロッド流路31、第1ショートカット凹部174a、第3タンクポートT3、及び第4排出流路177を経てタンク120に通じる。
【0140】
また、メータアウトスプール15が第1排出位置(図10に示す位置)に配置された状態で、ロッドポートRpは、ロッド側流路133、及び第1ロッド流路31を経て第2ロッド流路32に通じる。さらに、第2ロッド流路32は、第1排出ポートD1、第1切欠き流路21、第1タンクポートT1、及び第1排出流路135を経てタンク120に通じる。すなわち、ロッドポートRp(具体的には、シリンダ114のロッドエンド側)は、メータアウトスプール15が第1排出位置に配置された状態で、メータアウトスプール15の第1切欠き流路21を経てタンク120に通じる。
【0141】
第2メータインスプール175は、第2ショートカット凹部(請求項の他の凹部の一例)175aを有する。第2メータインスプール175の他の構成は、第1実施形態の第2メータインスプール6と同様である。第2ショートカット凹部175aは、例えば第2ランド175bに対して全周に凹む段部で形成されている。なお、第2ショートカット凹部175aを、例えば段部とノッチとで形成してもよい。
第2ショートカット凹部175aは、ブリッジ流路30の他端より他方側に形成されている。第2ショートカット凹部175aは、第2メータインスプール175が第2中立位置(図9に示す位置)に配置されたとき、第1ヘッド流路33と第2ヘッド流路34との間に配置(介在)される。
【0142】
図10に示すように、第2ショートカット凹部175aは、第2メータインスプール175が第2供給位置(図10に示す位置)に配置されたとき、ブリッジ流路30に、一方側の一部が通じる。このとき、第1ショートカット凹部174aは、第1ヘッド流路33に、他方側の一部が通じる。このため、第2ショートカット凹部175aは、ブリッジ流路30を第1ヘッド流路33に通じさせる。これにより、ブリッジ流路30は、第2ショートカット凹部175a、第1ヘッド流路33、及びヘッド側流路134を経てヘッドポートHp(具体的には、シリンダ114のシリンダヘッド側)に通じる。
【0143】
また、メータアウトスプール15が第1排出位置(図10に示す位置)に配置された状態で、ブリッジ流路30は、第2切欠き流路22、及び第2排出ポートD2を経て第2ヘッド流路34に通じる。第2ヘッド流路34は、第1ヘッド流路33、及びヘッド側流路134を経てヘッドポートHpに通じる。すなわち、ブリッジ流路30は、メータアウトスプール15が第1排出位置に配置された状態で、第2切欠き流路22を経てヘッドポートHp(具体的には、シリンダ114のシリンダヘッド側)に通じる。
【0144】
<独立メータリングバルブ、油圧システムによる油圧アクチュエータの駆動制御方法>
次に、独立メータリングバルブ171、油圧システム170による油圧アクチュエータ111(油圧シリンダ113)の駆動制御方法を図9図10に基づいて説明する。
先ず、独立メータリングバルブ171で建設機械100のブーム104(図1参照)を静止状態に保持する例を図9に基づいて説明する。
図9に示すように、第1メータインスプール174を第1中立位置に配置して、第1ポンプポートP1及び第1供給ポートS1を第1メータインスプール174で閉塞する。また、第2メータインスプール175を第2中立位置に配置して、第2ポンプポートP2及び第2供給ポートS2を第2メータインスプール175で閉塞する。
【0145】
さらに、メータアウトスプール15を中央位置(図9に示す位置)に配置して、第1タンクポートT1、第2タンクポートT2、第1排出ポートD1、及び第2排出ポートD2をメータアウトスプール15で閉塞する。
この状態で、第1ポンプ110A及び第2ポンプ110Bの各吐出ポートから吐出された作動油は、例えば、不図示のリターン回路を経てタンク120に戻され、ブーム104(図1参照)が静止状態に保持される。
【0146】
次に、独立メータリングバルブ171でブーム104を上げる例を図10に基づいて説明する。
図10に示すように、第1メータインスプール174を矢印A9方向に移動して第1供給位置に配置することにより、第1ポンプポートP1と第1供給ポートS1とを第1メータイン流路11で通じさせる。
さらに、第1メータインスプール174を第1供給位置に配置することにより、第1ショートカット凹部174aで、第1ロッド流路31と第3タンクポートT3とが通じる。この結果、第3タンクポートT3に、第1ショートカット凹部174a、第1ロッド流路31、及びロッド側流路133等を経てロッドポートRpが通じる。
【0147】
また、第2メータインスプール175を矢印A10方向に移動して第2供給位置に配置することにより、第2ポンプポートP2と第2供給ポートS2とを第2メータイン流路12で通じさせる。この結果、第1ポンプポートP1及び第2ポンプポートP2が、それぞれ第1供給ポートS1及び第2供給ポートS2等を経てブリッジ流路30に通じる。
さらに、第2メータインスプール6を第2供給位置に配置することにより、第2ショートカット凹部175aで、ブリッジ流路30と第1ヘッド流路33とを通じさせる。この結果、ブリッジ流路30に、第2ショートカット凹部175a、第1ヘッド流路33、及びヘッド側流路134等を経てヘッドポートHpが通じる。
【0148】
また、メータアウトスプール15を矢印A11方向に移動して第1排出位置に配置する。メータアウトスプール15を第1排出位置に配置することにより、第1排出ポートD1と第1タンクポートT1とが第1切欠き流路21により通じる。この結果、第1タンクポートT1に、第1切欠き流路21、第1排出ポートD1、第2ロッド流路32、第1ロッド流路31、及びロッド側流路133等を経てロッドポートRpが通じる。
【0149】
さらに、メータアウトスプール15を第1排出位置に配置することにより、第2切欠き流路22を、ブリッジ流路30に通じさせるとともに、第2排出ポートD2等を経てヘッドポートHpに通じさせる。具体的には、ブリッジ流路30に、第2切欠き流路22、第2排出ポートD2、第2ヘッド流路34、第1ヘッド流路33、及びヘッド側流路134等を経てヘッドポートHpが通じる。
加えて、第1排出位置に配置したメータアウトスプール15で、第2タンクポートT2を閉塞する。
【0150】
この状態では、第1ポンプ110Aの吐出ポートから吐出された作動油が、第1ポンプポートP1、第1メータイン流路11、第1供給ポートS1、及び第1チェックバルブ41を経てブリッジ流路30に矢印V13の如く導かれる。また、第2ポンプ110Bの吐出ポートから吐出された作動油が、第2ポンプポートP2、第2メータイン流路12、第2供給ポートS2、及び第2チェックバルブ42を経てブリッジ流路30に矢印V14の如く導かれる。このため、第1ポンプ110A及び第2ポンプ110Bから吐出された作動油が、ブリッジ流路30で合流する。
【0151】
合流した作動油の一部は、第2ショートカット凹部175aを経て第1ヘッド流路33に矢印V15の如く導かれる。また、合流した作動油の残りは、第2切欠き流路22、第2排出ポートD2、第2ヘッド流路34を経て第1ヘッド流路33に矢印V16の如く導かれる。以下、合流した作動油の一部を「第1作動油」、合流した作動油の残りを「第2作動油」という。
第1ヘッド流路33に導かれた第1作動油及び第2作動油は、ヘッド側流路134、及びヘッドポートHpを経てシリンダ114のうちシリンダヘッド側に矢印V17の如く流入する。
【0152】
このように、ブリッジ流路30で合流された作動油のうち第1作動油を、メータアウトスプール15の第2切欠き流路22を通すことなく、第2ショートカット凹部175aを経て第1ヘッド流路33に導くことができる。これにより、ブリッジ流路30からシリンダ114のシリンダヘッド側に供給する作動油の圧力損失(圧損)を低減できる。すなわち、シリンダ114のシリンダヘッド側に作動油を効率よく供給できる。
【0153】
一方、シリンダ114のうちロッドエンド側の作動油が、ロッドポートRp、及びロッド側流路133を経て第1ロッド流路31に矢印V18の如く導かれる。第1ロッド流路31に導かれた作動油の一部は、第1ショートカット凹部174a、及び第4排出流路177を経てタンク120に矢印V19の如く排出される(戻される)。
また、第1ロッド流路31に導かれた作動油の残りは、第2ロッド流路32、第1排出ポートD1、第1切欠き流路21、第1タンクポートT1、及び第1排出流路135を経てタンク120に矢印V20の如く排出される(戻される)。以下、第1ロッド流路31に導かれた作動油の一部を「第3作動油」、導かれた作動油の残りを「第4作動油」という。
【0154】
このように、第1ロッド流路31に導かれた作動油のうち第3作動油を、メータアウトスプール15の第1切欠き流路21を通すことなく、第1ショートカット凹部174aを経てタンク120に導くことができる。これにより、シリンダ114のロッドエンド側からタンク120に戻る作動油の流量を増加でき、作動油をロッドエンド側からタンク120に効率よく戻すことができる。
【0155】
シリンダ114のシリンダヘッド側に作動油を供給し、ロッドエンド側からタンク120に作動油を戻すことにより、ピストンロッド115がシリンダ114から矢印E5の如く押し出され、ブーム104(図1参照)が上げられる。
【0156】
以上説明したように、第3実施形態に係る油圧システム170の独立メータリングバルブ171は、第1実施形態と同様に、メータインスプールとして、独立した2つの第1メータインスプール174と第2メータインスプール175とを備える。これにより、独立メータリングバルブ171、油圧システム170及び油圧アクチュエータ111(油圧シリンダ113)の駆動制御方法によれば、ブーム104を上げたり下げたりする際に、第1実施形態と同様に、シリンダ114のロッドエンド側、又はシリンダヘッド側に流入する作動油の流量を高性能に調整できる。
また、第3実施形態に係る独立メータリングバルブ171、油圧システム170及び油圧アクチュエータ111(油圧シリンダ113)の駆動制御方法は、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0157】
さらに、第3実施形態に係る油圧システム170の独立メータリングバルブ171は、第1メータインスプール174に第1ショートカット凹部174aを有し、第2メータインスプール175に第2ショートカット凹部175aを有する。これにより、独立メータリングバルブ171、油圧システム170及び油圧アクチュエータ111(油圧シリンダ113)の駆動制御方法によれば、上述したように、油圧シリンダ113に流入する作動油の圧力損失を低減でき、油圧シリンダ113から排出する作動油の流量を増加できる。
【0158】
[第4実施形態]
<独立メータリングバルブ>
図11は、第4実施形態の独立メータリングバルブ(請求項の制御弁の一例)181でアーム105(図1参照)を静止状態に保持したときの油圧システム(請求項の流体システムの一例)180の一例を示す説明図である。図11は、油圧シリンダ116のピストンロッド118を静止させる説明図に相当する。
図1図11に示すように、第4実施形態の独立メータリングバルブ181は、建設機械100のアーム105を駆動する油圧シリンダ(請求項のアクチュエータの一例)116を制御するバルブである。なお、アーム105を作動する油圧シリンダ116は、例えば一般にアーム105の近傍に配置されるが、図1では、油圧シリンダ116は、便宜上、ブーム104の油圧シリンダ113と同じ位置に配置されているとして説明する。
【0159】
図11に示すように、油圧シリンダ116は、シリンダ117と、シリンダ117内にスライド移動自在に設けられたピストンロッド118と、シリンダ117に設けられたヘッドポートHp、及びロッドポートRpと、を有している。
ヘッドポートHpは、シリンダ117のうちシリンダヘッド側の部位117aに設けられている。ロッドポートRpは、シリンダ117のうちピストンロッド118側の部位117bに設けられている。
【0160】
独立メータリングバルブ181は、バルブボディ(請求項のブロック体の一例)183と、第1メータインスプール184と、第2メータインスプール185と、メータアウトスプール186と、を備える。独立メータリングバルブ181の他の構成は、第3実施形態の独立メータリングバルブ171と同様である。
【0161】
バルブボディ183は、第3実施形態のバルブボディ173と同じ構成であり、各構成にバルブボディ173と同じ符号を付して説明する。
メータアウトスプール186は、第1実施形態のメータアウトスプール15と同様に形成されている。以下、メータアウトスプール186の各構成に、第1実施形態のメータアウトスプール15と同じ符号を付して説明する。
【0162】
第1メータインスプール184は、第3実施形態の第1メータインスプール174の第1ショートカット凹部174aに代えて第1ショートカット凹部(請求項の凹部の一例)184aを有する。第1メータインスプール184の他の構成は、第1メータインスプール174と同じである。
第1ショートカット凹部184aは、例えば第1ランド184bに対して全周に凹む段部で形成されている。なお、第1ショートカット凹部184aを、例えば段部とノッチとで形成してもよい。
第1ショートカット凹部184aは、ブリッジ流路30の一端より一方側に形成されている。第1ショートカット凹部184aは、第1メータインスプール184が第1中立位置(図11に示す位置)に配置されたとき、第1ロッド流路31と第2ロッド流路32との間に配置される。
【0163】
図12は、第4実施形態の油圧システム180でアーム105を押すときの動作の一例を示す説明図である。図12は、油圧シリンダ116のピストンロッド118がシリンダ117に引き込まれる作用の説明図に相当する。
図12に示すように、第1ショートカット凹部184aは、第1メータインスプール184が第1供給位置(図12に示す位置)に配置されたとき、ブリッジ流路30に、他方側の一部が通じる。このとき、第1ショートカット凹部184aは、第1ロッド流路31と第2ロッド流路32との間に、一方側の一部が配置(介在)されている。
このため、第1ショートカット凹部184aは、ブリッジ流路30を第1ロッド流路31に通じさせる。これにより、ブリッジ流路30は、第1ショートカット凹部184a、第1ロッド流路31、及びロッド側流路133を経てロッドポートRp(具体的には、シリンダ117のロッドエンド側)に通じる。
【0164】
また、メータアウトスプール186が第2排出位置(図12に示す位置)に配置された状態で、ブリッジ流路30は、第1切欠き流路21、及び第1排出ポートD1を経て第2ロッド流路32に通じる。第2ロッド流路32は、第1ロッド流路31、及びロッド側流路133を経てロッドポートRpに通じる。すなわち、ブリッジ流路30は、メータアウトスプール186が第2排出位置に配置された状態で、第1切欠き流路21を経てロッドポートHp(具体的には、シリンダ117のロッドエンド側)に通じる。
【0165】
第2メータインスプール185は、第3実施形態の第2メータインスプール175の第2ショートカット凹部175aに代えて第2ショートカット凹部(請求項の他の凹部の一例)185aを有する。第2メータインスプール185の他の構成は、第2メータインスプール175と同じである。第2ショートカット凹部175aは、例えば第2ランド185bに対して全周に凹む段部で形成されている。なお、第2ショートカット凹部185aを、例えば段部とノッチとで形成してもよい。
第2ショートカット凹部185aは、ブリッジ流路30の他端より他方側に形成されている。第2ショートカット凹部185aは、第2メータインスプール185が第2中立位置(図11に示す位置)に配置されたとき、第4タンクポートT4に通じている。
【0166】
図12に示すように、第2ショートカット凹部185aは、第2メータインスプール185が第2供給位置(図12に示す位置)に配置されたとき、第1ヘッド流路33と第2ヘッド流路34との間に、一方側の一部が配置(介在)される。このとき、第1ショートカット凹部184aは、第4タンクポートT4に、他方側の一部が通じている。
このため、第2ショートカット凹部185aは、第1ヘッド流路33を第4タンクポートT4に通じる。これにより、ヘッドポートHp(具体的には、シリンダ117のシリンダヘッド側)は、ヘッド側流路134、及び第1ヘッド流路33、第2ショートカット凹部185a、第4タンクポートT4、及び第5排出流路178を経てタンク120に通じる。
【0167】
また、メータアウトスプール186が第2排出位置(図12に示す位置)に配置された状態で、ヘッドポートHpは、ヘッド側流路134、及び第1ヘッド流路33を経て第2ヘッド流路34に通じる。さらに、第2ヘッド流路34は、第2排出ポートD2、第2切欠き流路22、第2タンクポートT2、及び第2排出流路136を経てタンク120に通じる。すなわち、ヘッドポートRp(具体的には、シリンダ117のシリンダヘッド側)は、メータアウトスプール186が第2排出位置に配置された状態で、メータアウトスプール186の第2切欠き流路22を経てタンク120に通じる。
【0168】
<独立メータリングバルブ、油圧システムによる油圧アクチュエータの駆動制御方法>
次に、独立メータリングバルブ181、油圧システム180による油圧アクチュエータ111の駆動制御方法を図11図12に基づいて説明する。
先ず、独立メータリングバルブ181で建設機械100のアーム105(図1参照)を静止状態に保持する例を図11に基づいて説明する。
図11に示すように、第1メータインスプール184を第1中立位置に配置して、第1ポンプポートP1及び第1供給ポートS1を第1メータインスプール184で閉塞する。また、第2メータインスプール185を第2中立位置に配置して、第2ポンプポートP2及び第2供給ポートS2を第2メータインスプール185で閉塞する。
【0169】
さらに、メータアウトスプール186を中央位置(図11に示す位置)に配置して、メータアウトスプール186で、第1タンクポートT1及び第1排出ポートD1を閉塞するとともに、第2タンクポートT2及び第2排出ポートD2を閉塞する。
この状態で、第1ポンプ110A及び第2ポンプ110Bの各吐出ポートから吐出された作動油は、例えば、不図示のリターン回路を経てタンク120に戻され、アーム105(図1参照)が静止状態に保持される。
【0170】
次に、独立メータリングバルブ181でアーム105を押す例を図12に基づいて説明する。
図12に示すように、第1メータインスプール184を矢印A12方向に移動して第1供給位置に配置することにより、第1ポンプポートP1と第1供給ポートS1とを第1メータイン流路11で通じさせる。
さらに、第1メータインスプール184を第1供給位置に配置することにより、第1ショートカット凹部184aで、ブリッジ流路30と第1ロッド流路31とを通じさせる。この結果、ブリッジ流路30に、第1ショートカット凹部184a、第1ロッド流路31、及びロッド側流路133等を経てロッドポートRpが通じる。
【0171】
また、第2メータインスプール185を矢印A13方向に移動して第2供給位置に配置することにより、第2ポンプポートP2と第2供給ポートS2とを第2メータイン流路12で通じさせる。この結果、第1ポンプポートP1及び第2ポンプポートP2が、それぞれ第1供給ポートS1及び第2供給ポートS2等を経てブリッジ流路30に通じる。
さらに、第2メータインスプール6を第2供給位置に配置することにより、第2ショートカット凹部185aで、第1ヘッド流路33と第4タンクポートT4とが通じる。この結果、第4タンクポートT4に、第2ショートカット凹部185a、第1ヘッド流路33、及びヘッド側流路134等を経てヘッドポートHpが通じる。
【0172】
また、メータアウトスプール186を矢印A14方向に移動して第2排出位置に配置する。メータアウトスプール186を第2排出位置に配置することにより、第1切欠き流路21を、ブリッジ流路30に通じさせるとともに、第1排出ポートD1等を経てロッドポートRpに通じさせる。具体的には、ブリッジ流路30に、第1切欠き流路21、第1排出ポートD1、第2ロッド流路32、第1ロッド流路31、及びロッド側流路133等を経てロッドポートRpが通じる。
加えて、第2排出位置に配置したメータアウトスプール186で、第1タンクポートT1を閉塞する。
【0173】
さらに、メータアウトスプール186を第2排出位置に配置することにより、第2排出ポートD2と第2タンクポートT2とが第2切欠き流路22により通じる。この結果、第2タンクポートT2に、第2切欠き流路22、第2排出ポートD2、第2ヘッド流路34、第1ヘッド流路33、及びヘッド側流路134等を経てヘッドポートHpが通じる。
【0174】
この状態では、第1ポンプ110Aの吐出ポートから吐出された作動油が、第1ポンプポートP1、第1メータイン流路11、第1供給ポートS1、及び第1チェックバルブ41を経てブリッジ流路30に矢印V21の如く導かれる。また、第2ポンプ110Bの吐出ポートから吐出された作動油が、第2ポンプポートP2、第2メータイン流路12、第2供給ポートS2、及び第2チェックバルブ42を経てブリッジ流路30に矢印V22の如く導かれる。このため、第1ポンプ110A及び第2ポンプ110Bから吐出された作動油が、ブリッジ流路30で合流する。
【0175】
合流した作動油の一部は、第1ショートカット凹部184aを経て第1ロッド流路31に矢印V23の如く導かれる。また、合流した作動油の残りは、第1切欠き流路21、第1排出ポートD1、第2ロッド流路32を経て第1ロッド流路31に矢印V24の如く導かれる。以下、合流した作動油の一部を「第1作動油」、合流した作動油の残りを「第2作動油」という。
第1ロッド流路31に導かれた第1作動油及び第2作動油は、ロッド側流路133、及びロッドポートRpを経てシリンダ117のうちロッドエンド側に矢印V25の如く流入する。
【0176】
このように、ブリッジ流路30で合流された作動油のうち第1作動油を、メータアウトスプール186の第1切欠き流路21を通すことなく、第1ショートカット凹部184aを経て第1ロッド流路31に導くことができる。これにより、ブリッジ流路30からシリンダ117のロッドエンド側に供給する作動油の圧力損失(圧損)を低減できる。すなわち、シリンダ117のロッドエンド側に作動油を効率よく供給できる。
【0177】
一方、シリンダ117のうちシリンダヘッド側の作動油が、ヘッドポートHp、及びヘッド側流路134を経て第1ヘッド流路33に矢印V26の如く導かれる。第1ヘッド流路33に導かれた作動油の一部は、第2ショートカット凹部185a、及び第5排出流路178を経てタンク120に矢印V27の如く排出される(戻される)。
また、第1ヘッド流路33に導かれた作動油の残りは、第2ヘッド流路34、第2排出ポートD2、第2切欠き流路22、第2タンクポートT2、及び第2排出流路136を経てタンク120に矢印V28の如く排出される(戻される)。以下、第1ヘッド流路33に導かれた作動油の一部を「第3作動油」、導かれた作動油の残りを「第4作動油」という。
【0178】
このように、第1ヘッド流路33に導かれた作動油のうち第3作動油を、メータアウトスプール186の第2切欠き流路22を通すことなく、第2ショートカット凹部185aを経てタンク120に導くことができる。これにより、シリンダ117のシリンダヘッド側からタンク120に戻る作動油の流量を増加でき、作動油をシリンダヘッド側からタンク120に効率よく戻すことができる。
【0179】
シリンダ117のロッドエンド側に作動油を供給し、シリンダヘッド側からタンク120に作動油を戻すことにより、ピストンロッド118がシリンダ117に矢印E6の如く引き込まれ、アーム105(図1参照)が押される。
【0180】
以上説明したように、第4実施形態に係る油圧システム180の独立メータリングバルブ181は、第1実施形態と同様に、メータインスプールとして、独立した2つの第1メータインスプール184と第2メータインスプール185とを備える。これにより、独立メータリングバルブ181、油圧システム180及び油圧アクチュエータ111の駆動制御方法によれば、アーム105を押す際に、第1実施形態と同様に、シリンダ117のロッドエンド側に流入する作動油の流量を高性能に調整できる。
また、第4実施形態に係る独立メータリングバルブ181、油圧システム180及び油圧アクチュエータ111の駆動制御方法は、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0181】
さらに、第4実施形態に係る油圧システム180の独立メータリングバルブ181は、第1メータインスプール184に第1ショートカット凹部184aを有し、第2メータインスプール185に第2ショートカット凹部を有する。これにより、独立メータリングバルブ181、油圧システム180及び油圧アクチュエータ111の駆動制御方法によれば、上述したように、油圧シリンダ116に流入する作動油の圧力損失を低減でき、油圧シリンダ116から排出する作動油の流量を増加できる。
【0182】
[第5実施形態]
<独立メータリングバルブ>
図13は、第5実施形態の独立メータリングバルブ(請求項の制御弁の一例)191でアーム105(図1参照)を静止状態に保持したときの油圧システム(請求項の流体システムの一例)190の一例を示す説明図である。図13は、油圧シリンダ116のピストンロッド118を静止させる説明図に相当する。
図1図13に示すように、第5実施形態の独立メータリングバルブ191は、建設機械100のアーム105を駆動する油圧シリンダ116を制御するバルブである。
独立メータリングバルブ191は、バルブボディ(請求項のブロック体の一例)193と、第1メータインスプール194と、第2メータインスプール195と、メータアウトスプール196と、を備える。独立メータリングバルブ191の他の構成は、第4実施形態の独立メータリングバルブ181と同様である。
【0183】
バルブボディ193は、軸方向に沿う断面がU字状に形成されたバイパス流路197と、バイパス流路197の途中に設けられた第3チェックバルブ198と、バイパスポートG2と、を有する。バルブボディ193の他の構成は、第4実施形態のバルブボディ183と同様である。以下、バルブボディ193の各構成に、第4実施形態のバルブボディ183の各構成と同じ符号を付して説明する。
バイパス流路197は、第3チェックバルブ198を介して第1切欠き流路21をバイパスポートG2に通じている。バイパスポートG2は、メータアウトスプール196が中央位置(図13に示す位置)に配置された状態で、後述する第3切欠き流路199より軸方向の内方に配置されている。
【0184】
第1メータインスプール194は、第4実施形態の第1メータインスプール184から第1ショートカット凹部184aが除去され、第1ポンプポートP1が第1供給ポートS1より軸方向の一端側(外方)に形成されている。第1メータインスプール194の他の構成は、第1メータインスプール184と同じである。
第2メータインスプール195は、第4実施形態の第2メータインスプール185から第2ショートカット凹部185aが除去され、第2ポンプポートP2が第2供給ポートS2より軸方向の他端側(外方)に形成されている。第2メータインスプール195の他の構成は、第2メータインスプール185と同じである。
【0185】
メータアウトスプール196には、第3切欠き流路199が形成されている。メータアウトスプール196の他の構成は、第4実施形態のメータアウトスプール186と同様に形成されている。以下、メータアウトスプール196の各構成に、第4実施形態のメータアウトスプール186と同じ符号を付して説明する。
第3切欠き流路199は、第2切欠き流路22より軸方向の内方に形成されている。第3切欠き流路199は、メータアウトスプール196が中央位置に配置されたとき、バイパスポートG2より軸方向の外方に配置され、接続ポートG3に通じる。接続ポートG3は、ブリッジ流路30の他方の端部に通じる。
【0186】
図14は、第5実施形態の油圧システム190でアーム105(図1参照)を引くときの移動の一例を示す説明図である。図14は、油圧シリンダ116のピストンロッド118を押し出す作用の説明図に相当する。
図14に示すように、第3切欠き流路199は、メータアウトスプール196が再生位置(図14に示す位置)に配置されたとき、接続ポートG3通じた状態で、バイパスポートG2に通じる。
【0187】
図15は、第5実施形態の油圧システム190でアーム105を引くときの掘削の一例を示す説明図である。図15は、油圧シリンダ116のピストンロッド118を押し出す作用の説明図に相当する。
図15に示すように、第3切欠き流路199は、メータアウトスプール196が第1排出位置(図15に示す位置)に配置されたとき、バイパスポートG2に通じた状態で、接続ポートG3より軸方向の内方に配置される。
【0188】
図16は、第5実施形態の油圧システム190でアーム105を押すときの動作の一例を示す説明図である。図16は、油圧シリンダ116のピストンロッド118がシリンダ117に引き込まれる作用の説明図に相当する。
図16に示すように、第3切欠き流路199は、メータアウトスプール196が第2排出位置(図16に示す位置)に配置されたとき、接続ポートG3に通じた状態で、バイパスポートG2より軸方向の外方に配置される。
【0189】
<独立メータリングバルブ、油圧システムによる油圧アクチュエータの駆動制御方法>
次に、独立メータリングバルブ191、油圧システム190の油圧アクチュエータ111の駆動制御方法を図13から図16に基づいて説明する。
先ず、独立メータリングバルブ191で建設機械100のアーム105(図1参照)を静止状態に保持する例を図13に基づいて説明する。
図13に示すように、第1メータインスプール194を第1中立位置(図13に示す位置)に配置して、第1ポンプポートP1及び第1供給ポートS1を第1メータインスプール194で閉塞する。また、第2メータインスプール195を第2中立位置(図13に示す位置)に配置して、第2ポンプポートP2及び第2供給ポートS2を第2メータインスプール195で閉塞する。
【0190】
さらに、メータアウトスプール196を中央位置に配置して、メータアウトスプール196で、第1タンクポートT1及び第1排出ポートD1を閉塞するとともに、第2タンクポートT2及び第2排出ポートD2を閉塞する。
この状態で、第1ポンプ110A及び第2ポンプ110Bの各吐出ポートから吐出された作動油は、例えば、不図示のリターン回路を経てタンク120に戻され、アーム105(図1参照)が静止状態に保持される。
【0191】
次に、独立メータリングバルブ191でアーム105を引くときの移動例を図14に基づいて説明する。なお、アーム105を引くときの移動とは、バケット106(図1参照)で土壌等を掘削しない状態でアーム105を引くときの動作をいう。
図14に示すように、第1メータインスプール194を矢印A15方向に移動して第1供給位置(図14に示す位置)に配置することにより、第1ポンプポートP1と第1供給ポートS1とを第1メータイン流路11で通じさせる。
また、第2メータインスプール195を矢印A16方向に移動して第2供給位置(図14に示す位置)に配置することにより、第2ポンプポートP2と第2供給ポートS2とを第2メータイン流路12で通じさせる。この結果、第1ポンプポートP1及び第2ポンプポートP2が、それぞれ第1供給ポートS1及び第2供給ポートS2等を経てブリッジ流路30に通じる。
【0192】
さらに、メータアウトスプール196を矢印A17方向に移動して再生位置に配置する。メータアウトスプール196を再生位置に配置することにより、第2切欠き流路22を、ブリッジ流路30に通じさせるとともに、第2排出ポートD2等を経てヘッドポートHpに通じさせする。具体的には、ブリッジ流路30に、接続ポートG3、第2切欠き流路22、第2排出ポートD2、第2ヘッド流路34、第1ヘッド流路33、及びヘッド側流路134等を経てヘッドポートHpが通じる。
【0193】
また、メータアウトスプール196を再生位置に配置することにより、第3切欠き流路199を、第2切欠き流路22通じさせるとともに、バイパスポートG2等を経てロッドポートRpに通じさせる。具体的には、第2切欠き流路22に、接続ポートG3、第3切欠き流路199、バイパスポートG2、バイパス流路197、第1排出ポートD1、第2ロッド流路32、第1ロッド流路31、及びロッド側流路133等を経てロッドポートRpが通じる。
さらに、再生位置に配置したメータアウトスプール196で、第1タンクポートT1及び第2タンクポートT2を閉塞する。
【0194】
この状態では、第1ポンプ110Aの吐出ポートから吐出された作動油が、第1ポンプポートP1、第1メータイン流路11、第1供給ポートS1、及び第1チェックバルブ41を経てブリッジ流路30に矢印V30の如く導かれる。また、第2ポンプ110Bの吐出ポートから吐出された作動油が、第2ポンプポートP2、第2メータイン流路12、第2供給ポートS2、及び第2チェックバルブ42を経てブリッジ流路30に矢印V31の如く導かれる。このため、第1ポンプ110A及び第2ポンプ110Bから吐出された作動油が、ブリッジ流路30で合流する。
合流した作動油は、第2切欠き流路22、第2排出ポートD2、第2ヘッド流路34を経て第1ヘッド流路33に矢印V32の如く導かれる。第1ロッド流路31に導かれた作動油は、ヘッド側流路134、及びヘッドポートHpを経てシリンダ117のうちシリンダヘッド側に矢印V33の如く流入する。
【0195】
一方、シリンダ117のうちロッドエンド側の作動油は、ロッドポートRp、ロッド側流路133、第1ロッド流路31、及び第2ロッド流路32を経てバイパス流路197に矢印V34の如く導かれる。バイパス流路197に導かれた作動油は、第3チェックバルブ198、バイパスポートG2、第3切欠き流路199、及び接続ポートG3等を経て第2切欠き流路22に矢印V34の如く流入する。
第2切欠き流路22に導かれた作動油は、第2排出ポートD2、第2ヘッド流路34を経て第1ヘッド流路33に導かれる。第1ヘッド流路33に導かれた作動油は、ヘッド側流路134、及びヘッドポートHpを経てシリンダ117のうちシリンダヘッド側に流入する。
【0196】
このように、アーム105を引いて移動するときには、シリンダ117のロッドポートRpをヘッドポートHpに通じさせて、シリンダ117のうちロッドエンド側の作動油を、シリンダヘッド側に流入させて再生できる。
ロッドエンド側の作動を再生することにより、ピストンロッド118をシリンダ117から迅速に少ないエネルギーで矢印E7の如く押し出すことができる。これにより、アーム105を引くときの移動を少ないエネルギーで迅速に操作でき、アーム105の移動を高めるとともに省エネルギー化を図ることができる。
【0197】
次いで、独立メータリングバルブ191でアーム105を引いて掘削する例を図15に基づいて説明する。なお、アーム105を引いて掘削するとは、アーム105を引きながらバケット106(図1参照)で土壌等を掘削するときの動作をいう。
図15に示すように、第1メータインスプール194及び第2メータインスプール195を、アーム105を引くときの移動例と同様に、それぞれ第1供給位置及び第2供給位置に保持する。この状態では、メータアウトスプール196を再生位置(図14に示す位置)から矢印A18方向に移動して第1排出位置(図15に示す位置)に配置する。第2切欠き流路22は、メータアウトスプール196を再生位置に配置したときと同様に、ブリッジ流路30に通じさせるとともに、第2排出ポートD2等を経てヘッドポートHpに通じた状態に保たれている。
【0198】
また、メータアウトスプール196を第1排出位置に配置することにより、第3切欠き流路199を、第2排出ポートD2に対して閉塞した状態に保つ。
さらに、メータアウトスプール196を第1排出位置に配置することにより、第1排出ポートD1と第1タンクポートT1とが第1切欠き流路21により通じる。この結果、第1タンクポートT1に、第1切欠き流路21、第1排出ポートD1、第2ロッド流路32、第1ロッド流路31、及びロッド側流路133等を経てロッドポートRpが通じる。
【0199】
この状態では、第1ポンプ110Aの吐出ポートから吐出された作動油が、第1ポンプポートP1、第1メータイン流路11、第1供給ポートS1、及び第1チェックバルブ41を経てブリッジ流路30に矢印V30の如く導かれる。また、第2ポンプ110Bの吐出ポートから吐出された作動油が、第2ポンプポートP2、第2メータイン流路12、第2供給ポートS2、及び第2チェックバルブ42を経てブリッジ流路30に矢印V31の如く導かれる。このため、第1ポンプ110A及び第2ポンプ110Bから吐出された作動油が、ブリッジ流路30で合流する。
合流した作動油は、第2切欠き流路22、第2排出ポートD2、第2ヘッド流路34を経て第1ヘッド流路33に矢印V32の如く導かれる。第1ロッド流路31に導かれた作動油は、ヘッド側流路134、及びヘッドポートHpを経てシリンダ117のうちシリンダヘッド側に矢印V33の如く流入する。
【0200】
一方、シリンダ117のうちロッドエンド側の作動油は、ロッドポートRp、ロッド側流路133、第1ロッド流路31、第2ロッド流路32を経て第1排出ポートD1に矢印V35の如く導かれる。第1排出ポートD1に導かれた作動油は、第1切欠き流路21、第1タンクポートT1、及び第1排出流路135を経てタンク120に矢印V35の如く排出される(戻される)。
【0201】
このように、アーム105を引きながらバケット106で掘削するときには、シリンダ117のうちロッドエンド側の作動油を、ロッドポートRpからタンク120に戻すことができる。
このため、第1ポンプ110A及び第2ポンプ110Bの各吐出ポートから吐出された作動油で、ピストンロッド118をシリンダ117から矢印E7の如く押し出すことができる。これにより、アーム105を引きながらバケット106で掘削の際に、バケット106の掘削力を確保して建設機械100(図1参照)による掘削作業を効率よく実施できる。
【0202】
次に、独立メータリングバルブ191でアーム105を押す例を図16に基づいて説明する。
図16に示すように、第1メータインスプール194及び第2メータインスプール195を、アーム105を引くときと同様に、それぞれ第1供給位置及び第2供給位置に保持する。この状態では、メータアウトスプール196を矢印A19方向に移動して第2排出位置(図16に示す位置)に配置する。
メータアウトスプール196を第2排出位置に配置することにより、第1切欠き流路21を、ブリッジ流路30に通じさせるとともに、第1排出ポートD1等を経てロッドポートRpに通じさせる。具体的には、ブリッジ流路30に、第1切欠き流路21、第1排出ポートD1、第2ロッド流路32、第1ロッド流路31、及びロッド側流路133等を経てロッドポートRpが通じる。
さらに、第2排出位置に配置したメータアウトスプール196で、第1タンクポートT1を閉塞する。
【0203】
加えて、メータアウトスプール126を第2排出位置に配置することにより、第2排出ポートD2と第2タンクポートT2とが第2切欠き流路22により通じる。この結果、第2タンクポートT2に、第2切欠き流路22、第2排出ポートD2、第2ヘッド流路34、第1ヘッド流路33、及びヘッド側流路134等を経てヘッドポートHpが通じる。
【0204】
この状態では、第1ポンプ110Aの吐出ポートから吐出された作動油が、第1ポンプポートP1、第1メータイン流路11、第1供給ポートS1、及び第1チェックバルブ41を経てブリッジ流路30に矢印V30の如く導かれる。また、第2ポンプ110Bの吐出ポートから吐出された作動油が、第2ポンプポートP2、第2メータイン流路12、第2供給ポートS2、及び第2チェックバルブ42を経てブリッジ流路30に矢印V31の如く導かれる。このため、第1ポンプ110A及び第2ポンプ110Bから吐出された作動油が、ブリッジ流路30で合流する。
【0205】
合流した作動油は、第1切欠き流路21、第1排出ポートD1、第2ロッド流路32を経て第1ロッド流路31に矢印V36の如く導かれる。第1ロッド流路31に導かれた作動油は、ロッド側流路133、及びロッドポートRpを経てシリンダ117のうちロッドエンド側に矢印V36の如く流入する。
【0206】
一方、シリンダ117のうちシリンダヘッド側の作動油が、ヘッドポートHp、及びヘッド側流路134を経て第1ヘッド流路33に矢印V37の如く導かれる。第1ヘッド流路33に導かれた作動油は、第2ヘッド流路34、第2排出ポートD2、第2切欠き流路22、第2タンクポートT2、及び第2排出流路136を経てタンク120に矢印V37の如く排出される(戻される)。
このように、シリンダ117のロッドエンド側に作動油を供給し、シリンダヘッド側からタンク120に作動油を戻すことにより、ピストンロッド118がシリンダ117に矢印E8の如く引き込まれ、アーム105(図1参照)が押される。
【0207】
以上説明したように、第5実施形態に係る油圧システム190の独立メータリングバルブ191は、第4実施形態と同様に、メータインスプールとして、独立した2つの第1メータインスプール194と第2メータインスプール195とを備える。これにより、独立メータリングバルブ191、油圧システム190及び油圧アクチュエータ111の駆動制御方法によれば、第1実施形態と同様に、アーム105を引きながら移動する際や、掘削する際に、シリンダ117のヘッドエンド側に流入する作動油の流量を高性能に調整できる。
さらに、独立メータリングバルブ191、油圧システム190及び油圧アクチュエータ111の駆動制御方法によれば、アーム105を押す際に、第1実施形態と同様に、シリンダ117のロッドエンド側に流入する作動油の流量を高性能に調整できる。
加えて、第5実施形態に係る独立メータリングバルブ191、油圧システム190及び油圧アクチュエータ111の駆動制御方法は、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0208】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
例えば上述した実施形態では、建設機械100が油圧ショベルである例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、油圧クレーン等、油圧ショベル以外の建設機械に本発明を適用してもよい。
【0209】
上述した実施形態では、流体システムが油圧制御装置を備える油圧システムである例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば流体システムは、空気圧制御装置や水圧制御装置等、油圧制御装置以外の流体制御装置を備えていてもよい。
【0210】
上述した実施形態では、アクチュエータとして油圧シリンダ113,116を例に説明したが、これに限らない。例えば油圧モータ等のアクチュエータに本発明を適用してもよい。
【0211】
上述した実施形態では、各電磁弁として電磁比例弁7,8,16,17を例に説明したが、これに限らない。例えば電気信号に基づいて駆動するさまざまな電磁弁に本発明を適用してもよい。あるいは、電磁比例弁7,8,16,17に代えて、油圧のパイロット圧で第1メータインスプール5,153,174,184,194、第2メータインスプール6,154,175,185,195、及びメータアウトスプール15,186,196を制御してもよい。
【0212】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態の構成要素を周知の構成要素に置き換えることは可能である。また、上述した各変形例を組み合わせても構わない。
例えば、上述の実施形態では、流体システムとして作動油を用いた油圧システム109,150,170,180,190について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、さまざまな流体を用いた流体システムに上述の実施形態の構成を適用することができる。流体システムとしては、例えば、流体として作動油に代わって水や空気を用いたシステムが挙げられる。
【0213】
上述の実施形態では、第1メータインスプール5及び第2メータインスプール6を収納するメータインスプール収容部として、第1スプール孔10を例に説明した。しかしながらメータインスプール収容部の構造は、孔に限られるものではない。メータインスプール収容部は、第1メータインスプール5及び第2メータインスプール6を収容できる空間を有する構造であればよい。
【符号の説明】
【0214】
2,151,171,181,191…独立メータリングバルブ(制御弁)、3,173,183,193…バルブボディ(ブロック体)、5,153,174,184,194…第1メータインスプール、6,154,175,185,195…第2メータインスプール、10…第1スプール孔(メータインスプール収容部)、11…第1メータイン流路、12…第2メータイン流路、13…中間部、15,186,196…メータアウトスプール、21,22…第1、第2の切欠き流路(流路)、30…ブリッジ流路(供給流路)、100…建設機械、109,150,170,180,190…油圧システム(流体システム)、110A…第1ポンプ、110B…第2ポンプ、111…油圧アクチュエータ(アクチュエータ)、113,116…油圧シリンダ(アクチュエータ)、120…タンク、153a,174a,184a…第1ショートカット凹部(凹部)、154a,175a,185a…第2ショートカット凹部(他の凹部)、Hp…ヘッドポート(給排ポート)、Rp…ロッドポート(給排ポート)
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