(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】白色感光性樹脂組成物、これを用いて製造されたカラーフィルターおよび画像表示装置
(51)【国際特許分類】
G03F 7/033 20060101AFI20241121BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20241121BHJP
C08F 220/18 20060101ALI20241121BHJP
C08F 2/44 20060101ALI20241121BHJP
C08F 2/50 20060101ALI20241121BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20241121BHJP
C08F 290/12 20060101ALN20241121BHJP
【FI】
G03F7/033
G03F7/004 501
C08F220/18
C08F2/44 Z
C08F2/50
G02B5/20 101
C08F290/12
(21)【出願番号】P 2020202048
(22)【出願日】2020-12-04
【審査請求日】2023-02-08
(31)【優先権主張番号】10-2019-0160864
(32)【優先日】2019-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】朴 ▲スル▼ ▲ギ▼
(72)【発明者】
【氏名】金 勳 植
(72)【発明者】
【氏名】安 基 燻
(72)【発明者】
【氏名】李 在 乙
【審査官】福田 由紀
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0106791(KR,A)
【文献】特開2014-157265(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0045778(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0111444(KR,A)
【文献】国際公開第2017/018392(WO,A1)
【文献】特開2018-009059(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103917000(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/00-7/42
C08F 220/18
C08F 2/44
C08F 2/50
G02B 5/20
C08F 290/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色感光性樹脂組成物を用いて製造された散乱ピクセルを含む、カラーフィルターであって、
前記白色感光性樹脂組成物は、(A)散乱粒子、(B)アルカリ可溶性樹脂、(C)重合性化合物、(D)光重合開始剤および(E)溶剤を含み、
前記(B)アルカリ可溶性樹脂は、下記化学式1で表される単位および下記化学式2で表される単位を含
み、
前記散乱ピクセルは、青色光源により青色を示す散乱ピクセ
ルである、
カラーフィルター(ただし、(F)着色剤が含まれるものを除く)。
【化1】
(前記化学式1において、
R
1は、直接連結、または炭素数1ないし6の直鎖または分岐鎖の2価の有機基であり、
*は、結合手である。)
【化2】
(前記化学式2において、
R
2は、直接連結、炭素数1ないし20のヘテロ原子が含まれるか、含まれない直鎖または分岐鎖の2価の有機基であり、
*は、結合手である。)
【請求項2】
請求項1に記載のカラーフィルターを含む、画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白色感光性樹脂組成物、これを用いて製造されたカラーフィルター、および画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カラーフィルターは、白色光から赤色、緑色、青色の3つの色を抽出して微細な画素単位にすることができる薄膜フィルム型光学部品であって、一画素の大きさが数十から数百マイクロメートル程度である。このようなカラーフィルターは、それぞれの画素間の境界部分を遮光するために、透明基板上に所定のパターンで形成されたブラックマトリクス層およびそれぞれの画素を形成するために、複数の色(通常、赤色(R)、緑色(G)および青色(B))の3原色を所定の順に配列した画素部が順次に積層された構造を取っている。
【0003】
最近では、カラーフィルターを実現する方法の一つとして、顔料分散型の感光性樹脂を用いた顔料分散法が適用されているが、光源から照射された光がカラーフィルターを透過する過程で、光の一部がカラーフィルターに吸収されて光効率が低下し、また、色フィルターに含まれている顔料の特性に起因して色再現が低下するという問題が生じている。
【0004】
特に、カラーフィルターが各種画像表示装置をはじめとする様々な分野に用いられるにつれて、優れたパターン特性だけでなく、高い色再現率と共に優れた高輝度、高コントラスト比のような性能が求められているため、このような問題を解決するために、量子ドットを含む自発光感光性樹脂組成物を用いたカラーフィルターの製造方法が提案されている。
【0005】
例えば、韓国登録特許第10-1906279号は、量子ドット、バインダー樹脂、光重合性単量体、光重合開始剤、拡散剤、重合抑制剤、チオール系添加剤および溶媒を含む感光性樹脂組成物、並びに、これを用いたカラーフィルターに関する技術を開示している。
【0006】
しかし、前記特許文献のように、量子ドットを含むカラーフィルターの場合、量子ドットの効率、特に青色の量子ドットの効率が低下するに伴い、色変換パネルの性能が多少低下することがあり、青色の量子ドットの場合、高価であるため、全体的な製造コストが上昇する問題がある。
【0007】
青色光源を用いる色変換パネルを含むディスプレイの場合、緑色と赤色の画素は、それぞれ緑色と赤色の量子ドットを用いて色を示す。しかし、青色の場合、前記言及したように、青色の量子ドットの性能の問題により用い難いため、青色光源を透過させて色を示す。このような理由で、緑色と赤色とは、量子ドットによって散乱された光が生じることになり、青色の場合、直射光が生じて色混合時に鮮明な混合が難しくなる。このような問題点を解決するために、青色の画素に散乱を目的とする散乱層を導入する技術が開発されている。
【0008】
したがって、青色の画素の効率低下を防止し、残渣の防止および優れた信頼性を提供すると同時に、製造単価を下げることができる感光性樹脂組成物の開発が求められている実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の一課題は、青色の画素の効率低下を防止しながら、残渣の問題が発生することなく、優れた信頼性を提供できる画素層の製造に適した白色感光性樹脂組成物を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、前記白色感光性樹脂組成物を使用して製造された塗膜を含むカラーフィルターおよび前記カラーフィルターを含む画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、(A)散乱粒子、(B)アルカリ可溶性樹脂、(C)重合性化合物、(D)光重合開始剤および(E)溶剤を含み、
前記(B)アルカリ可溶性樹脂は、下記化学式1で表される単位および下記化学式(2)で表される単位を含む、白色感光性樹脂組成物を提供する:
【0013】
【0014】
前記化学式1において、R1は、直接連結、または炭素数1~6の直鎖または分岐鎖の2価の有機基であり、
*は、結合手である。
【0015】
【0016】
前記化学式2において、R2は、直接連結、炭素数1~20のヘテロ原子が含まれるか、含まれない2価の有機基であり、
*は、結合手である。
【0017】
また、本発明は、前記白色感光性樹脂組成物で製造された塗膜を含むカラーフィルターを提供する。
【0018】
また、本発明は、前記カラーフィルターを含む画像表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る白色感光性樹脂組成物は、特定のアルカリ可溶性樹脂を含むことによって、塗膜の製造時に非露光部に残渣が発生することを防止し、優れた耐熱性の効果を提供できるだけでなく、青色の画素の効率低下を防止し、製造単価を下げることができる。また、本発明に係る白色感光性樹脂組成物を用いる場合、透過強度を向上させることができる。
【0020】
したがって、前述した白色感光性樹脂組成物を用いて製造された塗膜を含むカラーフィルターおよび前記カラーフィルターを含む画像表示装置は、画質、視野角、耐久性、信頼性などに優れた効果を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実験例では、残渣を評価する基準を示す図である。
【
図2】本発明の一実現によるカラーフィルターの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、(A)散乱粒子、(B)アルカリ可溶性樹脂、(C)重合性化合物、(D)光重合開始剤および(E)溶剤を含み、前記(B)アルカリ可溶性樹脂は、特定の化学式の構造単位を含むことを特徴とする白色感光性樹脂組成物、これを用いて製造された塗膜を含むカラーフィルターおよび画像表示装置を提供する。
【0023】
本明細書において、有機基とは、炭素原子を必須とする基を意味し、飽和基であるか、不飽和基であるものをいずれも包括する意味として用いることができる。
【0024】
以下、本発明の白色感光性樹脂組成物を構成する各成分について詳細に説明する。しかし、本発明は、これらの成分に限定されるものではない。
【0025】
<白色感光性樹脂組成物>
本発明に係る白色感光性樹脂組成物は、散乱粒子、アルカリ可溶性樹脂、重合性化合物、光重合開始剤および溶媒を含み、必要に応じて、選択的に添加剤をさらに含んでもよい。
【0026】
(A)散乱粒子
本発明に係る白色感光性樹脂組成物は、光散乱の効果を提供するために、散乱粒子を含む。
【0027】
前記散乱粒子を含む本発明の白色感光性樹脂組成物は、青色光源を用いる青色の画素を製造するのに好適に用いることができる。
【0028】
本発明において、前記散乱粒子は、金属酸化物を含む。
前記金属酸化物は、Li、Be、B、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Rb、Sr、Y、Mo、Cs、Ba、La、Hf、W、Tl、Pb、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Ti、Sb、Sn、Zr、Nb、Ce、Ta、Inおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される1以上の酸化物を含むものであってもよい。
【0029】
例えば、前記金属酸化物は、Al2O3、SiO2、ZnO、ZrO2、BaTiO3、TiO2、Ta2O5、Ti3O5、ITO、IZO、ATO、ZnO-Al、Nb2O3、SnO、MgOおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される1以上を含んでもよいし、必要に応じて、アクリレートのような不飽和結合を有する化合物で表面処理された材料も使用可能である。
【0030】
前記散乱粒子は、カラーフィルターの発光強度を極大化できるように、平均粒径および全組成物内での含有量が限定されたものが用いられてもよい。
【0031】
本発明において、「平均粒径」とは、数平均粒径であってもよく、例えば、電界放出走査電子顕微鏡(FE-SEM)または透過電子顕微鏡(TEM)によって観察した像から求めることができる。具体的には、FE-SEMまたはTEMの観察画像からいくつかのサンプルを抽出し、これらのサンプルの直径を測定して算術平均した値から得られる。
【0032】
例えば、本発明の散乱粒子に含まれた前記金属酸化物は、平均粒径が30~500nmであり、好ましくは、30~300nmであってもよい。前記金属酸化物の平均粒径が前記範囲を満たす場合、散乱効果が増大し、前記散乱粒子を含む白色感光性樹脂組成物が青色光源により青色の画素の役割を行うことができるので好ましい。また、組成物内に沈む現象を防止して均一な品質の表面が得られるので、前記範囲内で平均粒径を適宜調節して用いることができる。
【0033】
前記散乱粒子は、前記感光性樹脂組成物の全体100重量部に対して、0.1~50重量部で含まれてもよいし、好ましくは、0.5~30重量部で含まれてもよいし、より好ましくは、0.5~20重量部で含まれてもよい。前記散乱粒子が前記範囲内で含まれる場合、優れた発光強度を有する散乱ピクセルの製造が可能なメリットがある。具体的には、前記散乱粒子が前記範囲内で含まれる場合、得ようとする発光強度の確保が容易にでき、組成物の安定性の低下を抑制できるというメリットがある。
【0034】
一方、本発明の白色感光性樹脂組成物は、青色光源がそのまま透過できる青色の画素、すなわち、散乱ピクセルの製造に用いられるものであり、本発明の白色感光性樹脂組成物は、青色光の透過効率を向上させるために着色剤を実質的に含まないことが好ましいが、組成物に求められる他の特性を考慮して、必要に応じて、前述した散乱粒子の他に着色剤を少量含むことも可能である。
【0035】
本発明の白色感光性樹脂組成物が着色剤を少量含む場合、前記着色剤は、青色着色剤であってもよい。前記青色着色剤としては、例えば、C.I.ピグメント15:6などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
(B)アルカリ可溶性樹脂
前記アルカリ可溶性樹脂(B)は、光や熱の作用による反応性およびアルカリ溶解性を有し、散乱粒子をはじめとする固形分の分散媒としても作用することができ、結着樹脂の機能を行うことを選択して用いることができる。
【0037】
本発明において、前記アルカリ可溶性樹脂(B)は、下記化学式1で表される単位および下記化学式(2)で表される単位を含む。
【0038】
【0039】
前記化学式1において、R1は、直接連結、または炭素数1~6の直鎖または分岐鎖の2価の有機基であってもよいし、*は、結合手である。
【0040】
前記R1の炭素数1~6の直鎖または分岐鎖の2価の有機基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などのアルキレン基が挙げられる。
【0041】
【0042】
前記化学式2において、R2は、直接連結、炭素数1~20のヘテロ原子が含まれるか、含まれない直鎖または分岐鎖の2価の有機基であってもよいし、*は、結合手である。
【0043】
前記R2の炭素数1~20のヘテロ原子が含まれるか、含まれない直鎖または分岐鎖の2価の有機基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基などのアルキレン基、フェニレン基、ビフェニレン基などの芳香族炭化水素基などに含まれた少なくとも一つの炭素がヘテロ原子に置換または非置換されたものが挙げられる。このとき、ヘテロ原子に置換されたアルキレン基は、少なくとも炭素数2以上である場合を意味する。
【0044】
本発明に係るアルカリ可溶性樹脂(B)は、前記化学式1で表される構造単位および前記化学式(2)で表される構造単位を含むことによって、残渣の改善に有利であり、耐光性、耐久性および耐熱性の信頼性を確保することができるメリットがある。
【0045】
前記化学式1で表される単位は、N-ベンジルマレイミドに由来するものであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0046】
前記化学式2で表される単位としては、シクロヘキシル(メタ)クリレートに由来するものであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0047】
本発明のアルカリ可溶性樹脂(B)は、前記化学式1で表される構造および前記化学式(2)で表される構造を含み、必要に応じて、共重合が可能な他の共単量体をさらに含んで形成されてもよい。
【0048】
このような共単量体としては、不飽和カルボキシル基含有単量体およびこれと光重合可能な他の単量体が挙げられる。
【0049】
前記不飽和カルボキシル基含有単量体としては、例えば、不飽和モノカルボン酸や、不飽和ジカルボン酸、不飽和トリカルボン酸などの分子中に1つ以上のカルボキシル基を有する不飽和カルボン酸などが挙げられる。
【0050】
前記不飽和モノカルボン酸には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α-クロロアクリル酸、ケイ皮酸 などが挙げられる
前記不飽和ジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸などが挙げられる。
【0051】
前記不飽和多価カルボン酸は、酸無水物であってもよいし、具体的には、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物などが挙げられる。また、前記不飽和多価カルボン酸は、それらのモノ(2-メタクリロイルオキシアルキル)エステルであってもよいし、例えば、コハク酸モノ(2-アクリロイルオキシエチル)、コハク酸モノ(2-メタクリロイルオキシエチル)、フタル酸モノ(2-アクリロイルオキシエチル)、フタル酸モノ(2-メタクリロイルオキシエチル)などであってもよい。前記不飽和多価カルボン酸は、その両末端ジカルボキシ重合体のモノ(メタ)アクリレートであってもよいし、例えば、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノメタクリレートなどが挙げられる。
【0052】
前記カルボキシル基含有単量体は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0053】
前記カルボキシル基含有単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、o-ビニルトルエン、m-ビニルトルエン、p-ビニルトルエン、p-クロロスチレン、o-メトキシスチレン、m-メトキシスチレン、p-メトキシスチレン、o-ビニルベンジルメチルエーテル、m-ビニルベンジルメチルエーテル、p-ビニルベンジルメチルエーテル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、インデンなどの芳香族ビニル化合物;メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルアクリレート、n-プロピルメタクリレート、i-プロピルアクリレート、i-プロピルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、i-ブチルアクリレート、i-ブチルメタクリレート、sec-ブチルアクリレート、sec-ブチルメタクリレート、t-ブチルアクリレート、t-ブチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシブチルメタクリレート、3-ヒドロキシブチルアクリレート、3-ヒドロキシブチルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、2-メトキシエチルメタクリレート、2-フェノキエチルアクリレート、2-フェノキシエチルメタクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールメタクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンタジエニルアクリレート、ジシクロペンタジエチルメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタクリレート、グリセロールモノアクリレート、グリセロールモノメタクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル類;2-アミノエチルアクリレート、2-アミノエチルメタクリレート、2-ジメチルアミノエチルアクリレート、2-ジメチルアミノエチルメタクリレート、2-アミノプロピルアクリレート、2-アミノプロピルメタクリレート、2-ジメチルアミノプロピルアクリレート、2-ジメチルアミノプロピルメタクリレート、3-アミノプロピルアクリレート、3-アミノプロピルメタクリレート、3-ジメチルアミノプロピルアクリレート、3-ジメチルアミノプロピルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル類;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどの不飽和エーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデンなどのシアン化ビニル化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、α-クロロアクリルアミド、N-2-ヒドロキシエチルアクリルアミド、N-2-ヒドロキシエチルメタクリルアミドなどの不飽和アミド類;マレイミド、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミドなどの不飽和イミド類;1,3-ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどの脂肪族共役ジエン類;及びポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリ-n-ブチルアクリレート、ポリ-n-ブチルメタクリレート、ポリシロキサンの重合体分子鎖の末端にモノアクリロイル基またはモノメタクリロイル基を有する巨大単量体類などが挙げられる。これらの単量体は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0054】
また、本発明に係る白色感光性樹脂組成物は、前述したアルカリ可溶性樹脂(B)の外に、他のアルカリ可溶性樹脂(B-2)をさらに含んでもよい。
【0055】
他のアルカリ可溶性樹脂(B-2)は、前記アルカリ可溶性樹脂(B)と組み合わせて使用するときに、本発明が目的とする効果を低下させないものであれば、特に制限されない。
【0056】
例えば、前記の他のアルカリ可溶性樹脂(B-2)は、ビニルトルエン、メトキシスチレン、8-トリシクロデカニルメタクリレート、メチルメタクリレートなどから選ばれた1種以上の単量体を含んで共重合された共重合体であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0057】
本発明の白色感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂(B)と、他のアルカリ可溶性樹脂(B-2)とを共に用いる場合、現像液を用いてパターンを形成する現像工程の変化でも同一な線幅のパターンを形成し易いメリットがある。ただし、本発明の白色感光性樹脂組成物は、パターン形成時に、線幅の変化が小さいだけでなく、残渣発生の防止、透過強度の向上、耐熱性の向上においても優れた効果を提供するための面で、前記アルカリ可溶性樹脂(B)のみを単独で含むことがより好ましい。
【0058】
本発明において、アルカリ可溶性樹脂(B)は、白色感光性樹脂組成物中の固形分全体100重量部に対して、20~70重量部、好ましくは、25~65重量部、より好ましくは、30~60重量部含まれてもよい。
【0059】
前記アルカリ可溶性樹脂(B)が前記範囲内で含まれる場合、現像液に対する溶解性が十分で、硬化膜の形成が容易であり、現像時に露光部の画素部分の膜の減少が防止され、非画素部分の欠け性が良好なメリットがある。
【0060】
また、本発明に係るアルカリ可溶性樹脂(B)を含む場合、現像液を用いてパターンを形成する現像工程の変化でも同一な線幅のパターンを形成しやすいメリットがある。
【0061】
(C)重合性化合物
本発明の白色感光性樹脂組成物に含有される重合性化合物は、光および熱によって重合できる化合物として、光および熱によって重合できるものであれば、この分野における公知の重合性化合物を特に制限なく選択して用いることができ、具体的には、単官能単量体、2官能単量体、その他の多官能単量体などが挙げられる。
【0062】
前記単官能単量体、前記2官能単量体、前記多官能単量体の種類は、特に限定されず、例えば、前記多官能単量体としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エトキシ化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどを用いることができる。
【0063】
前記二重結合単量体の市販の例としては、Miwon Commercial のMiramer M600などがあるが、これに限定されない。
【0064】
前記重合性化合物は、白色感光性樹脂組成物の固形分全体の100重量部に対して、5~50重量部、好ましくは、10~40重量部で含まれてもよいし、前記範囲内で含まれる場合、画素部の強度や平滑性の面で好ましいメリットがている。
【0065】
前記二重結合単量体が、前記範囲の未満で含まれる場合、塗膜の強度が多少低下することがあり、前記二重結合単量体が、前記範囲を超えて含まれる場合、平滑性が多少低下することがあるので、前記範囲内で含まれることが好ましい。
【0066】
(D)光重合開始剤
本発明に係る白色感光性樹脂組成物は、光重合開始剤を含んでもよい。
【0067】
前記光重合開始剤は、感光性樹脂組成物に一般的に用いられる光重合開始剤を用いてもよいし、この分野における公知の光重合開始剤を特に制限なく選択して用いることができる。例えば、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、トリアジン系、チオキサントン系、オキシム系、ベンゾイン系、非イミダゾール系化合物などを用いることができる。
【0068】
例えば、オキシム系化合物としては、o-エトキシカルボニル-α-オキシアミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどを用いてもよいし、市販品としてCiba社のOXE-01、OXE-02が代表的である。
【0069】
前記光重合開始剤は、単独または2種以上を混合して用いることができる。
前記光重合開始剤は、白色感光性樹脂組成物の固形分全体100重量部に対して、0.01~10重量部、好ましくは、0.01~5重量部で用いることができる。前記含有量の範囲は、重合性化合物の光重合速度および最終的に得られる塗膜の物性を考慮したものであり、前記範囲の未満であれば、重合速度が低く、全体的な工程時間が長くなり、逆に前記範囲を超過する場合、過度の反応により架橋反応し過ぎてむしろ塗膜の物性が低下することがあるので、前記範囲内で適宜用いることが好ましい。
【0070】
また、光重合開始剤と共に光重合開始助剤を用いることができるが、前記光重合開始剤と共に光重合開始助剤を用いる場合、白色感光性樹脂組成物がさらに高感度になり、生産性が向上するので、好ましい。
【0071】
前記光重合開始助剤としては、アミンおよびカルボン酸化合物からなる群から選択される1種以上の化合物が好ましく用いることができる。
【0072】
このような光重合開始助剤は、光重合開始剤1モル当りに、通常、10モル以下、好ましくは、0.01~5モルの範囲内で用いることが好ましい。前記範囲内で光重合開始助剤を用いる場合は、重合効率を高め、生産性向上の効果を期待することができる。
【0073】
(E)溶剤
本発明の白色感光性樹脂組成物に含有される溶剤は、特に制限されず、感光性樹脂組成物の分野における公知の各種の有機溶剤を用いることができる。
【0074】
前記溶剤は、塗布性、乾燥性面で、好ましくは、前記溶剤中で、沸点が100℃~200℃である有機溶剤を用いてもよいし、より好ましくは、アルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、ケトン類、3-エトキシプロピオン酸エチルや、3-メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類を用いてもよいし、より好ましくは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチルなどを用いることができる。前記溶剤は、それぞれ単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。
【0075】
前記溶剤の含有量は、それらを含む白色感光性樹脂組成物の全体100重量部に対して、通常、60~90重量部、好ましくは、70~85重量部で含まれてもよい。前記溶剤の含有量が前記範囲を満たす場合、ロールコーター、スピンコーター、スリットアンドスピンコーター、スリットコーター(ダイコーターともいう場合がある)、インクジェットなどの塗布装置で塗布したときに、塗布性が良好になる傾向にあるため、好ましい。
【0076】
添加剤
本発明の一実施形態に係る白色感光性樹脂組成物は、必要に応じて、添加剤をさらに含んでもよい。
【0077】
前記添加剤の種類は、ユーザーの必要に応じて決められるものであるので、本発明で特に限定するものではないが、例えば、他の高分子化合物、熱硬化剤、界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、凝集防止剤、分散剤などをが挙げられる。前記例示した添加剤は、単独または2種以上混合して用いることができる。
【0078】
前記他の高分子化合物としては、具体的には、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂などの硬化性樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリフルオロアルキルアクリレート、ポリエステル、ポリウレタンなどの熱可塑性樹脂などが挙げられる。
【0079】
前記酸化防止剤は、例えば、リン系酸化防止剤、硫系酸化防止剤およびフェノール系酸化防止剤からなる群から選択される1以上を含んでもよいし、この場合、工程中、高温で生じ得る色変現象またはディスプレイの製作後に光源により誘起され得る黄変の発生を抑制することができる。前記酸化防止剤は、フェノール系化合物、リン系化合物および硫系化合物からなる群から選択された1種以上を含んでもよいし、これらはフェノール系-リン系化合物、フェノール系-硫系化合物、リン系-硫系化合物、またはフェノール系-リン系-硫系化合物の組み合わせで用いることができる。
【0080】
前記酸化防止剤は、本発明の白色感光性樹脂組成物の固形分全体100重量部を基準として、0.1~30重量部、好ましくは、0.5~20重量部で含まれてもよい。前記酸化防止剤の含有量が前記範囲を満たす場合、発光強度の低下問題を解決する面で有利である。
【0081】
前記分散剤は、顔料の分散安定性を維持するために添加されるものであり、当該分野において一般的に用いられることを制限なく用いることができる。
【0082】
本発明の白色感光性樹脂組成物の製造方法は、当業界で知られている通常の方法で製造することができるものであり、本発明で特に限定されるものではないが、一例を挙げると、下記のような方法で製造することができる。
【0083】
散乱粒子を予め溶剤と混合して平均粒径が30~300nmになるまでビーズミルなどを用いて分散させる。このとき、必要に応じて、分散剤をさらに用いてもよいし、アルカリ可溶性樹脂の一部または全部が配合されてもよい。得られた分散液(以下、ミルベースという場合もある)に、アルカリ可溶性樹脂の残り、重合性化合物、光重合開始剤、必要に応じて用いられるその他の成分と、必要に応じて追加の溶剤を所定の濃度になるようにさらに添加して目的とする白色感光性樹脂組成物を得てもよい。
【0084】
また、散乱粒子を除く前記成分を混合して予備組成物を製造した後、前記予備組成物に散乱粒子を添加して白色感光性樹脂組成物を製造することができる。
【0085】
<散乱ピクセル>
本発明は、前述した白色感光性樹脂組成物を用いて製造された散乱ピクセルを提供する。
【0086】
前記散乱ピクセルは、基板上に、前述した白色感光性樹脂組成物を塗布し、所定のパターンで露光および現像して形成される塗膜である。前記塗膜の形成に用いられる本発明の白色感光性樹脂組成物は、量子ドットを含まず、青色光の透過効率を向上させるために、前述した散乱粒子の外に、他の着色剤を実質的に含まないことが好ましい。ただし、本発明の散乱ピクセルを製造するための白色感光性樹脂組成物は、散乱ピクセルに求められる特性に応じて着色剤を少量含むものであってもよい。
【0087】
本発明の散乱ピクセルは、画像表示装置により好適に適用でき、青色光源により青色光がそのまま透過して青色を示す青色の画素層を意味するものでもあり得る。
【0088】
本発明の散乱ピクセルは、青色光源を用いるクァンタムドットディスプレイにより好適に適用できる。例えば、赤色および緑色の画素層は、各画素に位置した量子ドットが青色光によってそれぞれの赤色および緑色に変換され、散乱された光で映像を実現することになるが、青色の画素層は、青色光源をそのまま用いることになる。このとき、青色光源は、直射光に透過するようになり、所望の色を実現し難く、青色も散乱された光が必要となるが、そのために青色の画素層に本発明に係る白色感光性樹脂組成物を用いて散乱効果を付与する。
【0089】
本発明に係る散乱ピクセルは、前述した白色感光性樹脂組成物で製造されるため、製造単価を下げることができ、透過光強度が向上し、優れた視野角を有するメリットがある。
【0090】
<カラーフィルター>
本発明は、前述した散乱ピクセルを含むカラーフィルターを提供する。
【0091】
本発明のカラーフィルターは、画像表示装置に適用される場合に、表示装置の光源の光によって発光するので、より優れた光効率を実現することができる。また、色相を有する光が放出されるものであるので、色再現性により優れており、光ルミネッセンスによって全方向に光が放出されるため、視野角が改善され、輝度特性に優れている。
【0092】
図2を参照すると、本発明に係るカラーフィルターは、基板および前記基板の一面に形成された画素層を含む。画素層は、散乱ピクセルと赤色および緑色パターン層を含んで形成されてもよい。
【0093】
本発明の場合、青色光を放出する光源を用いることによって、赤色パターン層または緑色パターン層は、青色光を放出する光源によりそれぞれ赤色光または緑色光を放出することができ、散乱ピクセルは、従来の白色光源を用いるものとは異なり、色変換なく、青色光がそのまま透過して青色を示すことができる。
【0094】
基板は、カラーフィルター自体の基板であってもよいし、またはディスプレイ装置などのカラーフィルターが位置する部位であってもよいもので、特に制限されない。前記基板は、ガラス、シリコン(Si)、シリコン酸化物(SiOx)または高分子基板であってもよいし、前記高分子基板は、ポリエーテルスルホン(polyethersulfone、PES)またはポリカーボネート(polycarbonate、PC)などであってもよい。
【0095】
本発明において、前記散乱ピクセルは、量子ドットを含有しておらず、前記赤色および緑色パターン層は、量子ドットを含有するものであってもよい。
【0096】
前記パターン層は、本発明の技術分野における公知の着色感光性樹脂組成物を塗布し、所定のパターンで露光、現像、熱硬化して形成された塗膜であってもよいし、前記パターン層は、当業界における通常知られている方法を行うことによって形成することができる。
【0097】
本発明に係るカラーフィルターを含む画像表示装置の光源としては、青色光を放出する光源を用いることができる。このとき、赤色パターン層は赤色光を、緑色パターン層は、緑色光を放出し、散乱ピクセルは、青色光がそのまま透過して青色を示す。
【0098】
<画像表示装置>
本発明は、本発明に係る散乱層を含む画像表示装置を提供する。
【0099】
例えば、前記画像表示装置では、液晶ディスプレイ(液晶表示装置;LCD)、有機ELディスプレイ(有機EL表示装置)、クァンタムドットディスプレイ、液晶プロジェクター、ゲーム機用表示装置、携帯電話などの携帯端末用表示装置、デジタルカメラ用の表示装置、カーナビゲーション用表示装置などの表示装置などが挙げられ、本発明の一実施形態に係る画像表示装置は、クァンタムドットディスプレイであってもよい。
【0100】
前記画像表示装置は、光源などのような発光装置、導光板、カラーフィルターを含む液晶表示部などのように、通常、画像表示装置に含まれるその他の構成を含んでもよいし、本発明ではこれを限定しない。
【0101】
本発明では、画像表示装置に適用される光源の放出光が特に限定されないが、より優れた色再現性の面で、好ましくは、青色光を放出する光源を用いることができる。
【0102】
以下、本発明を実施例に基づいて、さらに詳細に説明するが、下記に開示される本発明の実施の形態はどこまでも例示であって、本発明の範囲はこれらの実施形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲に表示されており、さらに特許請求の範囲の記録と均等な意味および範囲内でのすべての変更を含有している。なお、以下の実施例、比較例では、含有量を示す「%」および「部」は、特に言及しない限り、重量基準である。
【実施例】
【0103】
<合成例>
合成例1:アルカリ可溶性樹脂の合成(B-1)
攪拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えたフラスコを用意し、一方、N-ベンジルマレイミド15重量部、アクリル酸30重量部、シクロヘキシルメタクリレート50重量部、メチルメタクリレート5重量部、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート4重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAともいう)40重量部を投入した後、攪拌混合してモノマーの滴下ロートを用意し、n-ドデカンジオール6重量部、PGMEA24重量部を入れて撹拌混合し、連鎖移動剤の滴下ロートを用意した。
【0104】
以後、フラスコにPGMEA395重量部を導入し、フラスコ内の雰囲気を空気から窒素に置換した後、撹拌しながらフラスコの温度を90℃まで昇温した。続いて、滴下ロートからモノマーおよび連鎖移動剤の滴下を開始した。滴下は、90℃を維持しながら、それぞれ2時間の間行い、1時間後に110℃に昇温して3時間維持した後、ガス導入管を導入させ、酸素/窒素=5/95(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。
【0105】
続いて、グリシジルメタクリレート20重量部、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)0.4重量部、トリエチルアミン0.8重量部をフラスコ内に投入し、110℃で6時間反応を続け、その後、室温まで冷却しながら、重量平均分子量3,800、固形分基準酸価が83mgKOH/gであるアルカリ可溶性樹脂(B-1)を得た。
【0106】
合成例2
攪拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えたフラスコを用意し、一方、N-ベンジルマレイミド5重量部、アクリル酸50重量部、シクロヘキシルメタクリレート40重量部、メチルメタクリレート5重量部、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート4重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAともいう)40重量部を投入した後、攪拌混合してモノマーの滴下ロートを用意し、n-ドデカンジオール6重量部、PGMEA24重量部を入れて撹拌混合し、連鎖移動剤の滴下ロートを用意した。
【0107】
以後、フラスコにPGMEA395重量部を導入し、フラスコ内の雰囲気を空気から窒素に置換した後、撹拌しながらフラスコの温度を90℃まで昇温した。続いて、滴下ロートからモノマーおよび連鎖移動剤の滴下を開始した。滴下は、90℃を維持しながら、それぞれ2時間の間行い、1時間後に110℃に昇温して3時間維持した後、ガス導入管を導入させ、酸素/窒素=5/95(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。
【0108】
続いて、グリシジルメタクリレート30重量部、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)0.4重量部、トリエチルアミン0.8重量部をフラスコ内に投入し、110℃で8時間反応を続け、その後、室温まで冷却しながら固形分29.1重量%、重量平均分子量6,700、固形分基準酸価が130mgKOH/gであるアルカリ可溶性樹脂(B-2)を得た。
【0109】
合成例3
ビニルトルエン20重量部、メチルメタクリレート5重量部、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート4重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAともいう)40重量部を投入した後に、攪拌混合してモノマーの滴下ロートを用意し、n-ドデカンジオール6重量部、PGMEA24重量部を入れて撹拌混合し、連鎖移動剤の滴下ロートを用意した。
【0110】
以後、フラスコにPGMEA395重量部を導入し、フラスコ内の雰囲気を空気から窒素に置換した後、撹拌しながらフラスコの温度を90℃まで昇温した。続いて、滴下ロートからモノマーおよび連鎖移動剤の滴下を開始した。滴下は、90℃を維持しながら、それぞれ2時間の間行い、1時間後に110℃に昇温して3時間維持した後、ガス導入管を導入させ、酸素/窒素=5/95(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。
【0111】
続いて、グリシジルメタクリレート50重量部、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)0.4重量部、トリエチルアミン0.8重量部をフラスコ内に投入し、110℃で8時間反応を続け、その後、室温まで冷却しながら固形分33.2重量%、重量平均分子量8,000、固形分基準酸価が135mgKOH/gであるアルカリ可溶性樹脂(B-3)を得た。
【0112】
合成例4
攪拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えたフラスコを用意し、一方、8-トリシクロデカニルメタクリレート10重量部、アクリル酸40重量部、シクロヘキシルメタクリレート40重量部、メチルメタクリレート10重量部、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート4重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAともいう)40重量部を投入した後、攪拌混合してモノマーの滴下ロートを用意し、n-ドデカンジオール6重量部、PGMEA24重量部を入れて撹拌混合し、連鎖移動剤の滴下ロートを用意した。
【0113】
以後、フラスコにPGMEA395重量部を導入し、フラスコ内の雰囲気を空気から窒素に置換した後、撹拌しながらフラスコの温度を90℃まで昇温した。続いて、滴下ロートからモノマーおよび連鎖移動剤の滴下を開始した。滴下は、90℃を維持しながら、それぞれ2時間の間行い、1時間後に110℃に昇温して3時間維持した後、ガス導入管を導入させ、酸素/窒素=5/95(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。
【0114】
続いて、グリシジルメタクリレート30重量部、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)0.4重量部、トリエチルアミン0.8重量部をフラスコ内に投入し、110℃で8時間反応を続け、その後、室温まで冷却しながら固形分30.1重量%、重量平均分子量6,900、固形分基準酸価が90mgKOH/gであるアルカリ可溶性樹脂(B-4)を得た。
【0115】
合成例5
攪拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えたフラスコを用意し、一方、8-トリシクロデカニルメタクリレート10重量部、アクリル酸40重量部、ビニルトルエン30重量部、メチルメタクリルレート20重量部、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート4重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAともいう)40重量部を投入した後、攪拌混合してモノマーの滴下ロートを用意し、n-ドデカンジオール6重量部、PGMEA24重量部を入れて撹拌混合し、連鎖移動剤の滴下ロートを用意した。
【0116】
以後、フラスコにPGMEA395重量部を導入し、フラスコ内の雰囲気を空気から窒素に置換した後、撹拌しながらフラスコの温度を90℃まで昇温した。続いて、滴下ロートからモノマーおよび連鎖移動剤の滴下を開始した。滴下は、90℃を維持しながら、それぞれ2時間の間行い、1時間後に110℃に昇温して3時間維持した後、ガス導入管を導入させ、酸素/窒素=5/95(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。
【0117】
続いて、グリシジルメタクリレート30重量部、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)0.4重量部、トリエチルアミン0.8重量部をフラスコ内に投入し、110℃で8時間反応を続け、その後、室温まで冷却しながら固形分29.8重量%、重量平均分子量6,200、固形分基準酸価が90mgKOH/gであるアルカリ可溶性樹脂(B-5)を得た。
【0118】
製造例1~5:予備組成物の製造
下記表1により、アルカリ可溶性樹脂、重合性化合物、光重合開始剤、分散剤、酸化防止剤、エポキシ樹脂を含む予備組成物を製造例1~5で製造した。
【0119】
【0120】
-アルカリ可溶性樹脂B-1~B-5:合成例1~5
-重合性化合物:ジペンタエリトリトールヘキサアクリレート(Kayarad DPHA、日本化学製)
-光重合開始剤:Irgacure OXE01(Basf社製)
-分散剤:DISPERBYK-110(BYK社製)
-酸化防止剤:Sumilizer GP(住友化学製)
-エポキシ樹脂:ESCN 195XL(住友化学製)
-溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
実施例1~6および比較例1~3:白色感光性樹脂組成物の製造
表2により、散乱粒子と製造例1~5の予備組成物とを混合し、実施例1~6および比較例1~3の白色感光性樹脂組成物を製造した。
【0121】
【0122】
<散乱ピクセルの製造>
前記実施例および比較例によって製造された白色感光性樹脂組成物を用いて散乱ピクセルを製造した。すなわち、前記それぞれの白色感光性樹脂組成物をスピンコーティング法でガラス基板上に塗布した後、加熱板の上に置き、100℃の温度で3分間維持して溶剤を除去し、塗膜を形成した。
【0123】
続いて、前記塗膜の上に、横×縦20mm×20mmの正方形の透過パターンと1~100μmのラインパターンとを有する試験フォトマスクを載置して試験フォトマスクとの間隔を100μmにして紫外線を照射した。
【0124】
このとき、紫外線光源は、ウシオ電機株式会社製の超高圧水銀ランプ(商品名:USH-250D)を用いて、大気雰囲気下で、200mJ/cm2の露光量(365nm基準)で光照射し、特別な光学フィルターは使用しなかった。
【0125】
前記紫外線が照射された塗膜を、pH10.5のKOH水溶液現象溶液に所定の時間の間浸して現象した(80秒と160秒とで、それぞれ行う)。この塗膜が形成されたガラス基板を蒸留水を用いて洗浄した後、窒素ガスを吹き込んで乾燥し、230℃の加熱オーブンで20分間加熱し、散乱ピクセルパターンの硬化膜を製造した。前記で製造された散乱ピクセルのフィルムの厚さは10μmであった。
【0126】
<実験例>
実験例1:残渣の測定
前記実施例および比較例によって製造された白色感光性樹脂組成物を用いて製造された散乱ピクセルのうち、ラインパターンで形成された部分を光学顕微鏡(ECLIPSE LV100POL、ニコン社)を用いて測定した。
図1を基準として、非露光部の樹脂組成物の残渣の有無によって、残渣水準を○(残渣無し)、×(残渣有り)と表記した。残渣測定の判断基準は、
図1に示しており、その結果を表3に表記した。
【0127】
実験例2:透過強度の測定
前記実施例1~6および比較例1~3によって製造された白色感光性樹脂組成物を用いて製造された散乱ピクセルのうち、20×20mm正方形のパターンで形成された部分に365nmのTube型4W UV照射機(VL-4LC、VILBER LOURMAT)を通じて光変換された領域を測定し、450nmの領域での発光強度(すなわち、透過強度)をSpectrum meter(Ocean Optics社)を用いて測定した。測定結果は、表3に記載した。このとき、透過強度は、測定された値が高いほど、優れた青色光透過効率を示す。
【0128】
実験例3:耐熱性の評価
前記実施例1~6および比較例1~3によって製造された白色感光性樹脂組成物を用いて製造された散乱ピクセルを230℃の加熱オーブンで2時間の間加熱した後、加熱前後の色変化を測定するために、数学式(1)によって計算して表3に示した。数学式1によって計算された値が大きいほど、加熱前後の色変化が大きいため、使用するには不適合であることを意味する。
【0129】
数学式(1)ΔEab*=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2
実験例4:線幅の変化の測定
前記散乱ピクセルの製造において、現像時間を80秒行った基板と、現像時間を160秒行った基板を光学顕微鏡(ECLIPSE LV100POL、ニコン社)を用いて100μmのラインマスクパターンの線幅を測定した。80秒行った基板のパターン線幅と160秒行った基板のパターン線幅の変化を測定し、その結果を下記表3に示した。
【0130】
【0131】
前記表3を参照すると、実施例1~6の白色感光性樹脂組成物で製造された散乱ピクセルは、全体として残渣が生じておらず、優れた耐熱性効果を奏することを確認した。また、線幅の変化においても優れた効果を奏することを確認した。
【0132】
一方、比較例1~3の白色感光性樹脂組成物で製造された散乱ピクセルは、本願実施例1~6と比較して相対的に残渣の防止、透過強度および/または耐熱性の効果が顕著に低下していることを確認した。また、線幅の変化においても、本発明に係る実施形態に比べて少なくとも2倍以上、より大きな変化を示すことを確認した。
【0133】
より具体的には、実施例1~6による白色感光性樹脂組成物を用いて製造された散乱ピクセルの硬化膜は、実験例1の実験の結果、パターン形成後、非露光部に樹脂組成物の残留物がなく、追加の熱工程でも色変化がなく、耐熱性を有することを確認できる。そこで、本発明に係る白色感光性樹脂組成物を用いて光源として青色光源を用いる表示装置において、本発明に係る散乱ピクセルは、光源を歪曲せず、均一な性能を発揮できることがわかる。
【0134】
一方、比較例1~3による白色感光性樹脂組成物を用いて製造された散乱ピクセルの硬化膜は、パターン形成後、非露光部に樹脂組成物の残留物が存在し、追加の熱工程による色変化が大きいため、光源を歪曲させ、追加の工程による性能劣化が激しいことが確認できた。