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▶ 8 リバーズ キャピタル,エルエルシーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】高効率発電方法、組立体、及びシステム
(51)【国際特許分類】
   F01D 5/18 20060101AFI20241121BHJP
   F01D 5/28 20060101ALI20241121BHJP
   F01D 9/02 20060101ALI20241121BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20241121BHJP
   F02C 1/08 20060101ALI20241121BHJP
   F02C 3/30 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
F01D5/18
F01D5/28
F01D9/02 102
F01D25/00 R
F02C1/08
F02C3/30 D
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020213694
(22)【出願日】2020-12-23
(62)【分割の表示】P 2018107601の分割
【原出願日】2011-09-20
(65)【公開番号】P2021050741
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2021-01-19
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-09
(31)【優先権主張番号】13/236,240
(32)【優先日】2011-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/437,330
(32)【優先日】2011-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/385,047
(32)【優先日】2010-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/385,039
(32)【優先日】2010-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】312000387
【氏名又は名称】8 リバーズ キャピタル,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(72)【発明者】
【氏名】パルマー,マイルス アール.
(72)【発明者】
【氏名】アラム,ロドニー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】フェットベット,ジェレミー エロン
【合議体】
【審判長】河端 賢
【審判官】山本 信平
【審判官】北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第4498289(US,A)
【文献】特開2004-353676(JP,A)
【文献】特開2002-89202(JP,A)
【文献】特開平7-233704(JP,A)
【文献】特表2006-506568(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 5/18
F01D 5/28
F01D 9/02
F01D 25/00
F02C 1/08
F02C 3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電システムであって、
燃焼生成物ストリームを提供するように構成された燃焼器と、
前記燃焼器と流体連通する入口、及びタービン排気ストリームの放出のための出口を画定するケーシングを備えるタービン組立体であって、前記ケーシングは、ロータ、及び前記ロータから半径方向外向きに延びる複数のブレードをその中に含み、前記タービン組立体は、粒子衝突がもはや前記複数のブレードの侵食を引き起こさない臨界速度よりも低くブレード速度を減少させる1つ以上の特徴を有し、前記1つ以上の特徴は、前記入口における100バールと500バールとの間の入口圧を含み、前記タービンの入口における入口圧と前記タービンの出口における出口圧との圧力比は12未満であり、前記タービン組立体は、前記タービン組立体の長さと前記ブレードの平均直径との比を有し、前記比は3.5乃至7であり、前記タービン組立体の長さは、前記複数のブレードのうち前記入口のすぐ傍に隣接するブレードと、前記複数のブレードのうち前記出口のすぐ傍に隣接するブレードとの間の距離として定義され、前記ブレードの平均直径は、前記ブレードの平均半径の2倍として定義される、タービン組立体と、
前記タービン組立体と接続している発電機と、
を備える、発電システム。
【請求項2】
前記複数のブレードのブレード高さは、0.275m未満であり、前記ブレード高さは、前記ロータの外面にある前記複数のブレードの各ブレードの根元から、前記複数のブレードの各ブレードの先端までの距離として定義される、請求項1に記載の発電システム。
【請求項3】
前記タービン組立体は、2,000枚未満のブレードを備える、請求項1に記載の発電システム。
【請求項4】
前記タービン組立体の長さは、11メートル未満である、請求項1に記載の発電システム。
【請求項5】
前記タービン組立体の長さは、6メートル乃至10メートルである、請求項1に記載の発電システム。
【請求項6】
前記ブレードの平均直径は、0.25メートル乃至3メートルである、請求項1に記載の発電システム。
【請求項7】
精製されたストリームを提供するべく前記タービン排気ストリームを処理するように構成された1つ以上の構成部品をさらに備える、請求項1に記載の発電システム。
【請求項8】
前記タービン排気ストリームを処理するように構成された1つ以上の構成部品は、精製された二酸化炭素のストリームを形成するのに効果的である、請求項7に記載の発電システム。
【請求項9】
未処理の再循環ストリームを生成するべく、前記タービン排気ストリームを受け入れてそこから熱を除去するように構成された少なくとも1つの熱交換器ユニットをさらに備える、請求項1に記載の発電システム。
【請求項10】
前記未処理の再循環ストリームを受け入れ、そこから不純物を除去し、精製された循環ストリームを提供するように構成された少なくとも1つの反応器をさらに備える、請求項9に記載の発電システム。
【請求項11】
前記精製された循環ストリームを加圧するように構成された、圧縮機、ポンプ、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される1つ以上の加圧ユニットをさらに備える、請求項10に記載の発電システム。
【請求項12】
前記平均半径は、前記複数のブレードの平均内側半径及び前記複数のブレードの平均外側半径の平均であり、前記平均内側半径は、前記ロータの中心から前記複数のブレードの各ブレードの根元までの距離の平均として定義され、前記平均外側半径は、前記ロータの中心から前記複数のブレードの各ブレードの先端までの距離の平均として定義される、請求項1に記載の発電システム。
【請求項13】
発電方法であって、
燃焼生成物ストリームを形成するべく、燃焼器内で酸素をもって燃料を燃焼させることと、
タービン組立体内で前記燃焼生成物ストリームを膨張させることであって、前記タービン組立体は、前記燃焼生成物ストリームを受け入れるための入口、及びタービン排気ストリームの放出のための出口を画定するケーシングを備え、前記ケーシングは、ロータ、及び前記ロータから半径方向外向きに延びる複数のブレードをその中に含み、前記タービン組立体は、粒子衝突がもはや前記複数のブレードの侵食を引き起こさない臨界速度よりも低くブレード速度を減少させる1つ以上の特徴を有し、前記1つ以上の特徴は、前記入口における100バールと500バールとの間の入口圧を含み、前記タービンの入口における入口圧と前記タービンの出口における出口圧との圧力比は12未満であり、前記タービン組立体は、前記タービン組立体の長さと前記ブレードの平均直径との比を有し、前記比は3.5乃至7であり、前記タービン組立体の長さは、前記複数のブレードのうち前記入口のすぐ傍に隣接するブレードと、前記複数のブレードのうち前記出口のすぐ傍に隣接するブレードとの間の距離として定義され、前記ブレードの平均直径は、前記ブレードの平均半径の2倍として定義されることと、
前記タービン組立体と接続している発電機をもって電力を発生させることと、
精製されたストリームを提供するべく前記タービン排気ストリームを処理することと、
を備える、方法。
【請求項14】
前記処理することが、
冷却されたストリームを提供するべく、少なくとも1つの熱交換器ユニット内で前記タービン排気ストリームから熱を除去することと、
前記精製されたストリームを提供するべく、分離ユニットに前記冷却されたストリームを通すことと、
をさらに備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
圧縮機、ポンプ、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される1つ以上の加圧ユニット内で前記精製されたストリームを加圧することをさらに備える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記加圧することの後に、前記精製されたストリームの少なくとも一部は前記燃焼器に再循環される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記精製されたストリームは、二酸化炭素を備える、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記燃焼器内で前記酸素をもって前記燃料を燃焼させることは、加圧された二酸化炭素の存在下で行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記加圧された二酸化炭素は、少なくとも7.5MPaの圧力にある、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記平均半径は、前記複数のブレードの平均内側半径及び前記複数のブレードの平均外側半径の平均であり、前記平均内側半径は、前記ロータの中心から前記複数のブレードの各ブレードの根元までの距離の平均として定義され、前記平均外側半径は、前記ロータの中心から前記複数のブレードの各ブレードの先端までの距離の平均として定義される、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発電方法及びシステムで用いられてもよいタービン構成部品及び燃焼器構成部品を提供する。本開示はまた、こうしたタービン及び燃焼器構成部品を発電に用いる方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンは、タービンに存在するブレードにわたって誘導されてタービンシャフトを回す燃焼ガスの流れからエネルギーを抽出するために発電システム及び方法において日常的に用いられる。エネルギーは、電気の形態の動力を提供するために発電機によって回転しているシャフトから抽出されてもよい。典型的な発電所(例えば、石炭焚き発電所)においてその下でガスタービンが作動される極端な条件(例えば、高温及び侵食性材料及び/又は腐食性材料の存在)に起因して、ガスタービン構成部品は、典型的に高性能材料で形成される。したがって、ガスタービンは、しばしば発電設備の高コストの構成部品である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
既存のタービンは、約900℃から約1000℃までのブレード温度のとき約1200℃から約1400℃までの入口温度で作動する可能性がある。したがって、発電設備で作動するガスタービンは、典型的に、高温に耐えるために超合金材料の使用を必要とする。さらに、最も進歩した用途に関して、一方向凝固材料及びさらには単結晶ブレード技術のような進歩した製作技術の使用と併せてブレード冷却も必要とされる。ブレード冷却は、タービン温度許容範囲、したがって効率を改善する一助として用いられるが、このプロセスは、空気、又は幾つかの場合には蒸気だけが冷却に利用可能であるという事実によって制限されている。冷却に利用可能な空気の品質は、タービン翼を通して空気及び時には蒸気を圧縮し及びポンプで送るのに利用可能なエネルギーの量によって制限される。さらに、空気は典型的に、制限された圧力、例えば、大気圧に近い圧力で提供され、したがって、高流量であっても制限された熱伝達能力を有する。さらに、空気は高温で反応性の高い大量の酸素を含有し、これが、タービン翼冶金が超合金のような耐酸化性の高い材料に制約されることを必要とする傾向がある別の要因である。したがって、進歩した材料及び冷却の使用にもかかわらず、ガスタービン翼は、酸化劣化及び幾つかの場合には蒸気劣化によって依然として悩まされる。
【0004】
化石燃料源は枯渇しつつあり、発電に使用できる可能性がある莫大な埋蔵量の石炭が依然として残ってはいるが、こうした固体燃料の燃焼は、結果的に汚染だけでなく発電システムの構成部品、特にタービン翼への損傷を引き起こすことがある微粒子も生じる。こうした損傷は、特に、高い速度、例えば、600mph(268m/秒)に至る及びこれを超過する速度でタービン翼に衝突する燃焼生成物の流れの中の粒子から生じる。こうした損傷を緩和するための以前の試みは、上記のようにタービンを通過する前に燃焼生成物の流れから微粒子を除去するためのろ過システム、並びにブレード建造の際の高性能材料の使用に関する要件を含んでいた。こうした要件は、しかしながら、発電システムのコストを増加させる。さらに、こうした要件は、発電システムの複雑さを増加させ、発電方法の効率を低下させることがある。したがって、少なくとも当該技術分野での上記の制限を克服する、改善されたガスタービン翼技術に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、空気及び蒸気によるタービン翼の化学的劣化及び燃焼生成物の流れの中の微粒子による機械的侵食を制御し、減少させ、又はなくすことで、増加した効率及びより低コストの構成部品をもたらすことを可能にする、発電のための方法、組立体、及びシステムを提供する。方法、組立体、及びシステムは、ブレード速度及びブレード温度が実質的に低減された状態で必要とされる発電を可能にする、より高圧の流体の流れ及び/又は増加した全ブレード面積をもつタービン翼の使用を含むことができる。本開示は、特に、従来の発電システムで用いられるタービンと比較して少なくとも1つの寸法において顕著により小さく且つより低温のブレードをもつタービンを提供する。こうしたタービンは、特に、発電方法又はシステムに組み込むことができる。例えば、方法又はシステムは、CO循環流体のような高圧、高再循環比の循環又は作動流体の使用を組み込んだものとすることができる。さらに、ブレード冷却技術は、タービン翼の粒子衝突から生じる侵食又は化学的劣化を制御し、減少させ、又はなくす温度、圧力、及び速度の範囲内のタービン作動のカスタマイゼーションを可能にするために、ブレード設計、作動圧、及び作動速度と組み合わせることができる。特に、タービン翼は、タービン翼にトランスピレーション流体(例えば、再循環された作動流体)を通すことによるトランスピレーション保護を組み込むことができる。こうしたトランスピレーション保護は、用いられるトランスピレーション流体の温度に応じてブレード冷却を含むことができる。タービン翼は、従来の発電システムにおけるタービン翼に対して顕著に低減された速度で作動することができるので、本開示は、侵食の減少、増加したブレード寿命、及びブレード強度要件の低減を提供する可能性がある。さらに、発明的なタービンは、より高効率及びより低温で作動する可能性があり、これは、より低い作動コスト、より長い稼働時間、及びより低い燃料使用を可能にする。
【0006】
1つの特定の実施形態では、発電方法が提供される。方法は、燃料、O、及び循環流体を燃焼器の中に導入すること、燃焼器の中で燃料を燃焼させて、循環流体と微粒子成分とを含む燃焼生成物ストリームであり、定められた速度で流れる燃焼生成物ストリームを提供すること、燃焼生成物ストリームが複数のタービン翼を備えるタービンを横切って膨張して電力を発生させ、且つタービン排気ストリームを出力することを含んでもよく、タービンは、タービン翼が約500mph未満のブレード速度で回転するように回転させられる。
【0007】
方法は、タービン排気ストリーム中に含まれる実質的にすべての微粒子を除去するように構成されたフィルタにタービン排気ストリームを通し、フィルタされたタービン排気ストリームを生成することをさらに含んでもよい。方法はまた、フィルタされたタービン排気ストリームを熱交換器に通して冷却されたタービン排気ストリームを提供すること、冷却されたタービン排気ストリームを処理してタービン排気ストリームの1つ又は複数の構成成分を取り出すこと、及び処理されたタービン排気ストリームを熱交換器に戻して通過させて、加熱され再循環される循環流体ストリームを提供することを含んでもよい。方法は、加熱され再循環される循環流体ストリームの少なくとも一部を燃焼器に誘導することをさらに含んでもよい。さらに、方法は、加熱され再循環される循環流体ストリームの少なくとも一部をタービンに誘導することを含んでもよい。また、方法は、加熱され再循環される循環流体ストリームの少なくとも一部をクリーニング物質ユニットに誘導することを含んでもよく、加熱され再循環される循環流体ストリームは、クリーニング物質と組み合わされてクリーニング物質ストリームを生成し、クリーニング物質ストリーム中のクリーニング物質は、燃焼生成物ストリーム中に存在する微粒子成分から生じるタービン翼上の堆積物を除去するように構成される。
【0008】
クリーニング物質ストリームは、タービンの中に直接投入されてもよい。さらに、クリーニング物質ストリームは、燃焼生成物ストリームと組み合わされて、タービンの中に誘導されてもよい組み合わされた燃焼生成物及びクリーニング物質ストリームを生成してもよい。循環流体はCOを含んでもよく、これは超臨界状態で提供されてもよい。さらに、方法は、フィルタされたタービン排気ストリームを微粒子固体燃料と組み合わせてスラリーの形態の付加的な燃料を生成すること、及び付加的な燃料を燃焼器に導入することを含んでもよい。また、方法は、再循環される循環流体の少なくとも一部をトランスピレーション流体として用いることを含んでもよい。再循環される循環流体をトランスピレーション流体として用いることは、トランスピレーション流体をタービン翼の外面に発散させることを含んでもよい。トランスピレーション流体をタービン翼の外面に発散させることは、トランスピレーション流体を多孔質焼結材料を通して発散させることを含んでもよい。
【0009】
別の実施形態では、発電システムが提供される。発電システムは、燃料、O、及び循環流体を受け入れる、及び燃料を燃焼させ且つ循環流体と微粒子成分とを含む燃焼生成物ストリームを提供する少なくとも1つの燃焼段を有するように構成された燃焼器と、燃焼器と流体連通するタービンであり、燃焼生成物ストリームを受け入れるための入口、タービン排気ストリームを放出するための出口、及びタービンが約500mph未満のブレード速度で作動するのに十分な寸法の複数のタービン翼を有するタービンと、タービンの出口と流体連通し、フィルタされたタービン排気ストリームをもたらすように構成されたフィルタとを備えてもよい。
【0010】
発電システムは、フィルタと流体連通し、且つフィルタされたタービン排気ストリームを受け入れるように構成された熱交換器をさらに備えてもよい。発電システムはまた、熱交換器と流体連通するクリーニング物質ユニットを備えてもよく、クリーニング物質ユニットは、クリーニング物質を熱交換器から受け入れた流体ストリームと組み合わせてクリーニング物質ストリームを生成するように構成される。発電システムは、クリーニング物質ストリームを燃焼生成物ストリームと組み合わせて組み合わされた燃焼生成物及びクリーニング物質ストリームを生成し、且つ組み合わされた燃焼生成物及びクリーニング物質ストリームをタービンに誘導するように構成されたフロー・コンバイナ・スイッチをさらに含んでもよい。
【0011】
ブレードは多孔質焼結材料を含んでいてもよく、多孔質焼結材料は、トランスピレーション流体をブレードの外面に誘導するように構成されてもよい。多孔質焼結材料は、ブレードの外面の全体を画定してもよい。さらに、タービンはロータを備えてもよく、ロータは多孔質焼結材料を含んでいてもよく、多孔質焼結材料は、トランスピレーション流体をロータの外面に誘導するように構成されてもよい。
【0012】
別の実施形態では、発電方法が提供される。方法は、燃料、O、及びCO循環流体を燃焼器の中に導入すること、燃料を燃焼させてCOを含む燃焼生成物ストリームを提供すること、燃焼生成物ストリームがタービンを横切って膨張して電力を発生させ、且つタービン排気ストリームを出力すること、タービン排気ストリームを処理してCO循環流体の少なくとも一部を燃焼器の中に再循環させること、再循環されるCO循環流体の一部を取り出すこと、及び再循環されるCO循環流体をトランスピレーション流体として用いることを含んでもよい。
【0013】
再循環されるCO循環流体をトランスピレーション流体として用いることは、再循環されるCO循環流体をタービンの中に発散させることを含んでもよい。再循環されるCO循環流体をトランスピレーション流体として用いることは、再循環されるCO循環流体を燃焼器の中に発散させることを含んでもよい。方法は、燃焼生成物ストリームを燃焼器から導管を通してタービンに誘導することをさらに含んでもよく、再循環されるCO循環流体をトランスピレーション流体として用いることは、再循環されるCO循環流体を導管の中に発散させることを含んでもよい。方法はまた、再循環されるCO循環流体を燃焼生成物ストリームの温度よりも低い温度に調整することを含んでもよい。方法は、再循環されるCO循環流体を燃焼生成物ストリームの温度に実質的に等しい温度に調整することをさらに含んでもよい。また、方法は、再循環されるCO循環流体を燃焼生成物ストリームの温度よりも高い温度に調整することを含んでもよい。
【0014】
別の実施形態では、発電システムが提供される。システムは、燃料、O、及びCO循環流体ストリームを受け入れ、且つCO循環流体ストリームが存在する状態でCOを含む燃焼生成物ストリームを提供するように燃料を燃焼させる少なくとも1つの燃焼段を有するように構成された燃焼器と、燃焼器と流体連通するタービンであり、燃焼生成物ストリームを受け入れるための入口、COを含むタービン排気ストリームを放出するための出口、及び複数のタービン翼を有し、燃焼生成物ストリームがタービンを回転させるようにタービン翼に対して作用し及び電力を発生させるタービンと、タービン排気ストリームを処理して再循環されるCO循環流体ストリームを生成するように構成された1つ又は複数の構成部品とを備えてもよく、システムの1つ又は複数の構成部品は、再循環されるCO循環流体ストリームの一部をトランスピレーション流体として用いるように構成される。
【0015】
タービン排気ストリームを処理して再循環されるCO循環流体ストリームを生成するように構成された1つ又は複数の構成部品は、フィルタ、熱交換器、セパレータ、及び/又は圧縮機を含んでもよい。再循環されるCO循環流体ストリームの一部をトランスピレーション流体として用いるように構成された1つ又は複数の構成部品は、それを通してトランスピレーション流体を受け入れるように構成された多孔質焼結材料を含んでいてもよく、タービン翼は、約0.275m未満のブレード高さを有してもよい。タービンは2000未満のタービン翼を備えてもよい。タービンの長さとブレードの平均直径との比は4よりも大きくてもよい。
【0016】
別の実施形態では、タービン組立体が提供される。組立体は、燃焼生成物ストリームを受け入れるように構成された入口と出口とを画定するケーシングを含む複数の構成部品を備えてもよい。構成部品は、ケーシングの中に配置されるロータと、ロータから延びる複数のブレードとをさらに含んでもよく、構成部品のうちの1つ又は複数は多孔質焼結材料を含み、多孔質焼結材料は、それを通してトランスピレーション流体を誘導するように構成される。
【0017】
多孔質焼結材料は、ブレードの外面の全体を画定してもよい。ケーシングは多孔質焼結材料を含んでいてもよく、多孔質焼結材料は、トランスピレーション流体をケーシングの内面に誘導するように構成されてもよい。ロータは多孔質焼結材料を含んでいてもよく、多孔質焼結材料は、トランスピレーション流体をロータの外面に誘導するように構成されてもよい。ロータは、ロータの周りに燃焼生成物ストリームを分流させるように構成された環状分流器を備えてもよい。組立体は、ケーシングの入口に結合され、燃焼器組立体の出口につながり且つそこから燃焼生成物ストリームを受け入れるように構成された入口導管をさらに備えてもよく、入口導管は多孔質焼結材料を含んでいてもよく、多孔質焼結材料は、トランスピレーション流体を入口導管の内面に誘導するように構成されてもよい。ケーシングの入口は、燃焼器組立体の出口に直接つながるように構成されてもよい。ケーシングの入口は、ロータによって画定される主軸に関して半径方向に配置される複数の燃焼器から燃焼生成物ストリームを受け入れるように構成されてもよい。
【0018】
ブレードは多孔質焼結材料を含んでいてもよく、多孔質焼結材料は、トランスピレーション流体をブレードの外面に誘導するように構成されてもよい。ブレードは、それぞれ、少なくとも1つの補強部材をさらに備えてもよい。補強部材は、ブレードのそれぞれにおける多孔質焼結材料を通して延びるロッドを備えてもよい。補強部材はコアを備えてもよく、多孔質焼結材料はコアの周りに延びてもよい。コアは、トランスピレーション流体を受け入れ、且つトランスピレーション流体を多孔質焼結材料の中に誘導するように構成された1つ又は複数のチャネルを画定してもよい。ブレードの中に1つ又は複数のチャネルが画定されてもよく、チャネルは、トランスピレーション流体を受け入れ、且つトランスピレーション流体を多孔質焼結材料の中に誘導するように構成されてもよい。ブレードのそれぞれは前縁から後縁に延びてもよく、ブレードは、後縁におけるトランスピレーション流体の流れよりも大きい前縁におけるトランスピレーション流体の流れを画定するように構成されてもよい。ブレードのそれぞれは、後縁におけるトランスピレーション流体入口面積よりも大きい前縁におけるトランスピレーション流体入口面積を画定してもよい。ブレードのそれぞれは、前縁よりも後縁においてより大きい壁厚を画定してもよい。ブレードのそれぞれは、ロータの根元から先端に延びてもよく、多孔質焼結材料は、根元と先端との間で変化する多孔率を画定してもよい。多孔質焼結材料の多孔率は、根元におけるトランスピレーション流体の流れよりも大きい先端におけるトランスピレーション流体の流れを画定するように構成されてもよい。多孔質焼結材料の多孔率は、根元におけるトランスピレーション流体の流れに実質的に等しい先端におけるトランスピレーション流体の流れを画定するように構成されてもよい。多孔質焼結材料は、複数の層を画定してもよく、層の多孔率は根元から先端にかけて増加する。各ブレードは、複数の内部リブを備える一体構造をそれぞれ画定してもよい。
【0019】
タービン組立体の構成部品は複数のステータをさらに含んでもよく、ステータは多孔質焼結材料を含み、多孔質焼結材料は、トランスピレーション流体をステータの外面に誘導するように構成されてもよい。タービン組立体は、1つ又は複数のシールをさらに備えてもよく、構成部品のうちの1つ又は複数はトランスピレーション流体をシールに誘導するように構成される。シールは多孔質焼結材料を含んでいてもよい。
【0020】
別の実施形態では、タービン組立体が提供される。タービン組立体は、燃焼生成物ストリームを受け入れるように構成された入口と出口とを画定するケーシングを備えてもよい。組立体は、ケーシングの中に配置されるロータと、ロータから延びる複数のブレードとをさらに含んでもよく、タービン組立体の長さと複数のブレードの平均直径との比は4よりも大きい。
【0021】
タービン翼は、約0.275m未満のブレード高さを有してもよい。タービン組立体は2000未満のブレードを備えてもよい。ブレードはトランスピレーション保護されてもよい。さらに、ブレードは、トランスピレーション流体をブレードの外面に誘導するように構成された多孔質焼結材料を含む。
【0022】
本発明の他の態様及び利点は、以下から明らかとなるであろう。
【0023】
以上、本開示を一般的な用語で説明したが、ここで添付の図面への参照を行う。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】一例となる実施形態に係る燃焼サイクル及びシステムの流れ図である。
図2】さらなる例となる実施形態に係る燃焼サイクル及びシステムの流れ図である。
図3】一例となる実施形態に係る燃焼器の断面図である。
図4】一例となる実施形態に係る入口導管を含むタービンの断面図である。
図5】一例となる実施形態に係るタービン及び複数の半径方向に配置された燃焼器の長手方向の断面図である。
図6図5のタービン及び燃焼器システムの断面図である。
図7】一例となる実施形態に係るコアを含むタービンの断面図である。
図8】一例となる実施形態に係る第1の層及び第2の層を備える入口導管の部分断面図である。
図9】一例となる実施形態に係る4つの層を備える入口導管の部分断面図である。
図10】一例となる実施形態に係る補強ロッドとトランスピレーション流体を受け入れるように構成されたチャネルとを備えるタービン翼の前縁と後縁との間の断面図である。
図11】一例となる実施形態に係るトランスピレーション流体を受け入れるように構成されたチャネルを画定する一体の内部リブを含むタービン翼の前縁と後縁との間の断面図である。
図12図11のタービン翼の先端部材とベース部材との間の断面図である。
図13図11のタービン翼の斜視図である。
図14】一例となる実施形態に係る前縁と後縁との間の異なる材料厚さを画定するタービン翼の前縁と後縁との間の断面図である。
図15A】一例となる実施形態に係る根元と先端との間で異なる多孔率を画定する材料の層を含むタービン翼の根元と先端との間の部分断面図である。
図15B】一例となる実施形態に係る根元と先端との間の多孔率勾配を画定するタービン翼の根元と先端との間の部分断面図である。
図16】一例となる実施形態に係るタービンの中の粒子に関する計算された粒子軌道を例証する図である。
図17】一例となる実施形態に係る軸方向の移動距離の関数としての燃焼器中の燃焼生成物の流れの中の微粒子の半径方向の移動距離のグラフ図である。
図18】従来の天然ガス発電所で用いられる従来のタービンの長手方向の断面を例証する図である。
図19】従来のタービンよりも概して小さいサイズの例となる実施形態に係るタービンの長手方向の断面を例証する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示は、ここで種々の実施形態への参照を通じて以下でより十分に説明される。これらの実施形態は、この開示が十分且つ完全なものとなり、且つ本開示の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。実際は、本開示は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載された実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、この開示が適用可能な法的要件を満足させることになるように提供される。本明細書及び付属の請求項で用いられる場合の単数形の冠詞(「a」、「an」、「the」)は、文脈上他の意味に明白に規定される場合を除き複数の指示対象を含む。
【0026】
本開示は、一実施形態では、空気又は蒸気による又は粒子衝突による化学的劣化から生じるタービン翼侵食を減少させ又はさらにはなくすことができるタービン翼設計及び使用方法に関する。本開示はまた、タービンを通過する前のろ過の必要なしに燃焼生成物の流れの中の微粒子から生じるタービン翼侵食を減少させ又はさらにはなくしながら高効率作動を提供することができる発電方法及びシステムを提供する。ブレード侵食の減少及び/又は排除は、そのことがタービンがより高い全微粒子濃度をもつ燃焼生成物の流れを処理することを可能にするため、発電システムを簡略化させ、且つ可能な供給原料を増加させることができ、したがって燃焼生成物中に比較的高濃度の微粒子を含む石炭のような供給原料を用いる燃焼プロセスにおいて特に有益である。
【0027】
燃焼生成物ストリームの構成成分に対して用いられる場合の「微粒子」及び「粒子」(単数形のこうした用語を含む)という用語は、具体的には燃焼生成物ストリームの全体積に関係した粒子の特徴であるように典型的に理解される、具体的には比較的小さい単位サイズで燃焼生成物ストリーム中に存在する固体物質及び液体物質を包含する。幾つかの実施形態では、粒子又は微粒子は、燃焼生成物ストリーム中の気体状態でないあらゆる物質を含む可能性がある。液体微粒子は、具体的には、燃焼生成物ストリームの温度では液体であるが、燃焼生成物ストリームの温度よりも低い温度、例えば燃焼生成物ストリームの温度よりも少なくとも10℃、少なくとも15℃、少なくとも20℃、少なくとも30℃、少なくとも50℃、又は少なくとも100℃低い温度では固体である物質を包含してもよい。こうした液体微粒子は、少なくとも周囲温度、少なくとも約40℃、少なくとも約50℃、少なくとも約60℃、少なくとも約80℃、少なくとも約100℃、又は少なくとも約200℃の凍結点を有してもよい。具体的な実施形態では、液体粒子は、上記に挙げた温度のあらゆる組合せの範囲内(例えば、燃焼生成物ストリームの温度よりも少なくとも10℃低く且つ少なくとも周囲温度の範囲内)にある凍結点を有してもよい。
【0028】
特定の実施形態では、本開示は、タービン翼上の粒子衝突損傷がブレード速度に関係することを示す。特に、粒子衝突から生じる損傷率は、粒子速度に対するブレード速度のおよそ3乗として変化することがある。これに関して、米国で採用される標準交流周波数は60Hzである。さらに、米国における発電システムは、典型的に1,800rpm(30×60Hz)又は3,600rpm(60×60Hz)のいずれかで作動する同期交流発生器を駆動させるが、タービンは他のrpm範囲内で回転してもよいことを理解されたい。これに関して、他の国々は、異なる標準交流周波数を採用する可能性がある。例えば、英国は、50Hzの周波数で作動させる。さらに、発生器システムは、直流が所望の周波数を有する交流に変換されるようにあらゆる速度で駆動される永久磁石直流発生器を使用する可能性がある。したがって、本明細書で述べられる周波数は、単なる例として提供されることを理解されたい。
【0029】
しかしながら、同期交流発生器を含む発電システム及び方法で用いられる公知のガスタービンは、典型的に600mph(268m/秒)以上のブレード速度で作動する。既存の蒸気タービン及びガスタービンにおける典型的なブレード速度では、燃焼生成物の流れの中の非常に小さい微粒子の存在でさえもブレード侵食を引き起こすことがある。本開示は、しかしながら、減少されたブレード速度を可能にするブレード構造及び作動の変更を通じてブレード侵食を克服できることを認識した。具体的な実施形態では、本開示に係るブレード速度は、ブレード先端で約20m/秒から約340m/秒までであってもよい。より具体的には、ブレード速度は、200m/秒を下回る、100m/秒を下回る、又は約50m/秒から約75m/秒までであってもよい。一実施形態では、本開示は、典型的な速度の約1/3である低いブレード速度(すなわち、200mph(89m/秒))でのタービン作動を提供することができ、これは結果的にブレード侵食率をその1/27以下に減少させる可能性がある。一実施形態では、150mph(67m/秒)のブレード速度、すなわち、典型的なブレード速度の1/4の速度への減少は、ブレード損傷率をおよそ1/64に減少させることができる。
【0030】
発電システムにおけるタービンがより低速で作動できることは、単独で又は複数の組合せで具体化される可能性がある種々の因子から生じることがある。例えば、タービン翼は、粒子衝突がもはやタービン翼の侵食を引き起こさない速度にブレード速度を減速できるようにする寸法をもつように設計することができる。より詳細には、ブレード作動速度は、侵食が起こる臨界速度よりも低く減少させることができる。これに関して、ブレード上のあらゆる所与の点でのブレード速度は次式によって提供される。
v=(rpm/60)πr(式1)
式中、
v=ブレード速度(m/秒)、
rpm=1分間当たりのブレードの回転数、
π=pi、及び
r=ロータの中心とブレード速度が求められるブレード上の点との間の距離(m)(例えば、半径)。
【0031】
さらに、ブレードの先端でのブレード速度は、次式によって提供されることに留意されたい。
=(rpm/60)π(a+b)(式2)
式中、
=ブレードの先端でのブレード速度(m/秒)
rpm=1分間当たりのブレードの回転数、
π=pi、
a=ブレードにおけるロータの半径(m)、及び
b=ブレード高さ(m)。
【0032】
したがって、各ブレードに関する最高ブレード速度は、ブレードがロータの中心から延びる距離を減少させることによって低減される可能性がある。以下で述べるように、比較的より小さい半径に延びるブレードを有するタービンの使用は、本開示のタービンに適度な流速で比較的高い流体密度及び高い圧力を有する超臨界流体を使用することによっておそらく可能となるであろう。さらに、タービンに高密度作動流体を使用することは、ブレードを冷却するトランスピレーションの能力を改善することによって顕著に低減されたタービン翼温度を提供する可能性がある。
【0033】
ブレード高さ(すなわち、タービンシャフト(例えばロータ)の外面における根元からブレード先端までの距離)は、好ましくは約0.275m未満である。具体的な実施形態では、平均ブレード高さは、約0.05m~約0.25m、約0.075m~約0.225m、約0.1m~約0.2m、又は約0.125m~約0.175mとすることができる。具体的な実施形態では、実際のブレード高さは、タービン入口からタービン出口にかけて変化する可能性がある。例えば、入口でのブレード高さは、平均よりも低く、且つ出口でのブレード高さが平均よりも高いように出口の方に増加する可能性がある。平均ブレード幅は、約0.025m~約0.125m、約0.04m~約0.11m、約0.05m~約0.1m、又は約0.06m~約0.09mとすることができる。他の実施形態では、ブレード高さ及び幅は、本明細書で説明される場合の速度での動作を可能にするさらなる寸法とすることができる。
【0034】
発明的なタービン及び作動方法はまた、全タービン寸法によって特徴付けることができる。例えば、本開示に係るタービンは、約11m未満、約10m未満、又は約9m未満の全長を有することができる。さらなる実施形態では、全タービン長さは、約6m~約10m、約6.5m~約9.5m、約7m~約9m、又は約7.5m~約8.5mとすることができる。本開示に係るタービンは、約3.5m未満、約3m未満、又は約2.5m未満の平均直径を有することができる。さらなる実施形態では、平均タービン直径は、約0.25m~約3m、約0.5m~約2m、又は約0.5m~約1.5mとすることができる。タービン長さとタービン平均直径(すなわち、タービン翼の直径)との比は、約3.5よりも大きい、約4よりも大きい、約4.5よりも大きい、又は約5よりも大きい値とすることができる。具体的な実施形態では、タービン長さとタービン平均直径との比は、約3.5~約7.5、約4~約7、約4.5~約6.5、又は約5~約6とすることができる。上記の比は、具体的にはタービンの全長と関係付けることができる。幾つかの実施形態では、全長は、入口から出口までのケーシングの長さを指す場合がある。或る実施形態では、全長は、入口のすぐ傍に隣接するタービン翼から出口のすぐ傍に隣接するタービン翼までのケーシング内の距離を指す場合がある。
【0035】
発明的なタービン及び作動方法は、平均ブレード半径(ロータの中心からタービン翼の先端まで)によって同様に特徴付けることができる。好ましくは、タービンは、約1.2m未満、約1.1m未満、約1m未満、約0.9m未満、約0.8m未満、約0.7m未満、又は約0.6m未満の平均ブレード半径で作動する。タービン翼半径は、具体的には、約0.25m~約1m、約0.275m~約0.8m、約0.3m~約0.7m、約0.325m~約0.6m、約0.35m~約0.5m、又は約0.375m~約0.475mとすることができる。
【0036】
或る実施形態では、本開示に係る有用なタービンは、典型的なガスタービンシステムに存在するよりも顕著に少ないタービン翼の総数を有することができる。具体的には、発明的なタービンは、約3,000未満のブレード、約2,500未満のブレード、又は約2,000未満のブレードを有してもよい。さらなる実施形態では、タービンにおけるブレードの数は、約500~約2,500、約750~約2,250、約1,000~約2,000、又は約1,250~約1,750とすることができる。
【0037】
幾つかの実施形態では、本開示に係るタービンは、特に、典型的なガスタービン発電システムに対して顕著に増加した入口圧、及び/又は顕著に増加した出口圧、及び/又は入口から出口にかけて顕著に増加した圧力低下での作動を通じて低減されたブレード速度による高効率発電を提供することができる。具体的な実施形態では、タービンは、少なくとも約25バール(2.5MPa)、少なくとも約50バール(5MPa)、少なくとも約100バール(10MPa)、少なくとも約150バール(15MPa)、少なくとも約200バール(20MPa)、又は少なくとも約250バール(25MPa)の入口圧で作動することができる。さらなる実施形態では、入口圧は、約50バール(5MPa)~約500バール(50MPa)、約100バール(10MPa)~約450バール(45MPa)、約150バール(15MPa)~約400バール(40MPa)、約200バール(20MPa)~約400バール(40MPa)、又は約250バール(25MPa)~約350バール(35MPa)とすることができる。
【0038】
さらなる実施形態では、タービンは、少なくとも約5バール(0.5MPa)、少なくとも約10バール(1MPa)、少なくとも約15バール(1.5MPa)、少なくとも約20バール(2MPa)、又は少なくとも約25バール(2.5MPa)の出口圧で作動することができる。出口圧は、特に、約10バール(1MPa)~約50バール(5MPa)、約15バール(1.5MPa)~約45バール(4.5MPa)、約20バール(2MPa)~約40バール(4MPa)、又は約25バール(2.5MPa)~約35バール(3.5MPa)であってもよい。
【0039】
他の実施形態では、タービン入口圧とタービン出口圧との比は、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9、又は少なくとも約10とすることができる。具体的な実施形態では、タービン入口圧とタービン出口圧との比は、約6~約15、約7~約14、約8~約12、又は約9~約11とすることができる。
【0040】
さらに他の実施形態では、本開示に係るタービンは、典型的な発電システムでのタービンの作動に対して顕著に増加した流れ密度で発電システムにおいて作動することができる。例えば、発明的なタービンは、少なくとも約20kg/m、少なくとも約50kg/m、少なくとも約100kg/m、少なくとも約150kg/m、少なくとも約200kg/m、又は少なくとも約300kg/m、少なくとも約400kg/m、少なくとも約500kg/m、又は少なくとも約600kg/mの流れ密度で作動することができる。
【0041】
本開示に係るタービンとは対照的に、既存のガスタービン圧縮機は、圧縮機区域でのガス密度が1kg/mから約15kg/mまでの範囲にわたる(断熱圧縮加熱と仮定する)とき約1バール(0.1MPa)から約15バール(1.5MPa)までの出口圧で作動する可能性がある。侵食及び他の問題は、その中の比較的低い温度に起因して圧縮機においては深刻ではない場合がある。しかしながら、高温区域では、ガス温度は、およそ1727℃のピークから約527℃まで変化する可能性がある。高温区域でのガスの密度は、高くは約5kg/mから低くは約0.5kg/mまで変化する可能性がある。したがって、既存のタービンの内部の条件は、本開示に係るタービン内の条件からかなり変化する可能性がある。
【0042】
より低い流量及びより高い温度でのより高い圧力の使用は、タービン翼上のトルクを増加させる可能性がある。したがって、タービンは、ブレードにかかるトルクを減少させるように構成された機能部を含んでもよい。特に、タービンは、従来のタービンよりも多い数のブレード、ディスク、及び/又は段を含んでもよく、これはそれらの間にトルクを分散させて個々のブレードにかかるトルクを減少させる。さらに、ブレードは、ブレード上に及ぼされる力及びトルクがより小さくなるように構成された迎え角を画定してもよい。特に、ブレードは、タービンを通した流れに対して減少した角度を画定してもよく、これはより小さいドラッグを誘起し、且つリフト対ドラッグ比を増加させる。したがって、これらの機能部は、それらが比較的あまり強くない及び比較的あまり高価でない材料から形成されてもよいようにブレードのそれぞれに及ぼされるトルクを減少させる可能性がある。
【0043】
幾つかの実施形態では、ブレード侵食はまた、上記で説明された特徴のうちのいずれかを1つ又は複数のブレード冷却方法と組み合わせることによって制御され、減少され、又はなくされてもよい。あらゆるタービン翼冷却方法を、以下でより十分に説明されるようにトランスピレーションブレード冷却を含む本開示と組み合わせることができる可能性がある。これに関して、トランスピレーション冷却は、本明細書で開示されるタービン、燃焼器、及び関係する装置の種々の構成部品のいずれかを冷却するために使用されてもよい。特にタービンに関して、例えば、本明細書で開示された多孔質材料の使用を通じてケース、ステータ(例えば、ステータブレード)、シール、ブレード(例えば、タービン翼)、ロータ、及び種々の他の内部構成部品がトランスピレーション冷却されてもよい。これに関して、ステータは多孔質焼結材料を含んでいてもよく、多孔質焼結材料は、トランスピレーション流体をステータの外面に誘導するように構成されてもよい。さらに、タービン組立体の構成部品のうちの1つ又は複数は、トランスピレーション流体をシールに誘導するように構成されてもよい。シールは、幾つかの実施形態では多孔質焼結材料を含んでいてもよい。本開示の幾つかの実施形態に従ってトランスピレーション冷却されてもよいシール及びステータの例となる実施形態は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2009/0142187号で説明される。しかしながら、タービン、燃焼器、及び関係する装置の構成部品の種々の他の実施形態もまた、本開示に従ってトランスピレーション冷却されてもよい。
【0044】
さらに、本明細書で開示されるトランスピレーション冷却技術は、既存のトランスピレーション冷却技術に対して改善された冷却を提供してもよい。現在のブレード冷却は、典型的に、タービンの圧縮機からの抽気で行われる。この空気は、上記で説明されたように既存のタービンにおけるタービン高温区域の比較的低い作動圧によって設定されるその比較的低い密度(例えば、0.5~5kg/m)に起因して限られた熱容量を有する。これは熱伝達率を制限する。対照的に、以下で述べるように、本開示は、COの使用を通じてトランスピレーション冷却を提供し、これは改善された熱伝達を提供する可能性がある。
【0045】
タービンの既存の実施形態に関する熱伝達率はまた、その回転中に結果的に高い遠心力をもたらすブレードの長い長さに起因してタービン翼上に生じる比較的大きい応力によって制限される。既存のタービンの冷却通路は、したがって比較的小さく保たれなければならず、冷却通路によって引き起こされるブレードの長手方向の強度の低下を制限するために、それらはブレード全断面積のうちの比較的小さい部分である以上に大きく画定されるべきではない。
【0046】
発明的なタービンは、該タービンが減少したブレード侵食だけでなく顕著に減少した総タービン・コストも提供することができるという点で、発電のためのシステム及び方法に特に有用である。具体的な実施形態では、総タービン・コストを、典型的な発電システムで用いられるタービンに対して、電力出力の如何なる顕著な損失もなしに(すなわち、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、又は0.8%未満の損失で)少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、又は少なくとも75%だけ減少させることができる。コストの減少は、例えば、それにかかる遠心力の減少に起因して、ブレードにおける超合金及び/又は他の高価な材料に対する必要性が回避されることで生じる可能性がある。さらに、タービンの既存の実施形態に対してタービンにおける高い入口温度並びに高い作動圧を使用することによって、回転速度が減少されるにもかかわらず電力出力の減少が最小限となる可能性がある。
【0047】
具体的な実施形態では、本開示は、本発明のタービン翼設計及び作動モードを組み込むことができる発電のためのシステム及び方法を含むことができる。例えば、発明的なシステム及び方法は、随意的に関連する循環流体(CO循環流体のような)を伴う高効率燃料燃焼器(トランスピレーション冷却される燃焼器のような)の使用を通じた発電を可能にする。具体的には、高いCO再循環比を有する高圧循環流体(又は作動流体)の使用は、トランスピレーション冷却のためにCO循環流体の一部をタービン翼に誘導する能力を提供する。
【0048】
本開示のトランスピレーション冷却とブレード設計及び作動モードとの組合せは、侵食をタービン翼温度及びブレード材料組成の関数とすることができるので、特に有用である可能性がある。タービン翼設計及び作動とブレード作動温度との組合せは、ブレード侵食を制御し、減少させ、又はなくすことができる、広範囲の可能なブレード作動速度及びブレード作動温度を提供することができる。より低いブレード温度では、侵食はより低く、侵食が始まるブレード速度はより高い可能性がある。作動条件を選べることは、より高いブレード速度での侵食に耐えることができるがその他の点ではより高い作動温度での使用に利用可能とはならないであろう金属合金を使用できるようにするという点で有益である。これに関して、より低い温度では、高強度鋼は比較的衝突損傷を受けない。例として、軍事車両上で用いられる均質圧延鋼装甲は、400mph(179m/秒)までの速度で移動する固体鋼弾丸によって損傷されない。
【0049】
他の実施形態では、しかしながら、以下でより十分に説明されるように、トランスピレーションは、燃焼生成物ストリーム構成成分(例えば、液状灰)の固化を防ぐことによってブレード保護をもたらす可能性がある。こうした実施形態では、トランスピレーション冷却は、燃焼生成物ストリームの温度を下回る温度へのブレード(及び/又は他の構成部品)の冷却として定義されてもよい。より詳細には、こうした冷却は、燃焼生成物ストリームの構成成分(例えば、液状灰)が凍結(又は固化)することになり、したがってタービン翼上に堆積されることになる温度よりも高い下限を有するように構成されてもよい。例えば、590℃で灰軟化が始まる可能性があり、870℃で溶解が起こる可能性がある。トランスピレーション冷却がないと、タービンはブレード上の灰の蓄積を回避するために590℃よりも下で良好に作動する必要があり、これは効率的な作動にとって低過ぎる可能性がある。トランスピレーション保護があれば、タービンは、タービンの内部にあり、したがってタービン(例えば、タービンハウジングの内部表面、タービン内のタービン翼の外部表面など)を通して流れるストリームの構成成分との接触の対象となる実質的にすべての表面を覆うトランスピレーション蒸気層により、灰が液体であるが液滴は表面に触れない又は付着しない870℃よりも上で作動することができる。したがって、トランスピレーション保護は、粒子衝突による機械的侵食に起因する劣化だけでなく、ブレードをより低温に保つことによって、及び冷却材としての空気又は空気/蒸気をトランスピレーション流体の形態の冷却材としてのCOと交換することによって、化学的劣化も減少させ又はなくす可能性がある。
【0050】
幾つかの実施形態では、タービンが燃焼生成物の流れの速度に対するブレード速度で作動することが有用である可能性がある。こうした実施形態では、流れの速度が典型的な燃焼プロセスにおける流れの速度よりも顕著に低いことが特に有益となる可能性がある。例えば、本開示に係る流れの速度は、約400mph(179m/秒)未満、約350mph(156m/秒)未満、約300mph(134m/秒)未満、約250mph(112m/秒)未満、約200mph(89m/秒)未満、約150mph(67m/秒)未満、又は約100mph(45m/秒)未満とすることができる。ブレード先端速度と流れの速度との比は、好ましくは1よりも大きい、1.5よりも大きい、2よりも大きい、2.5よりも大きい、又は3よりも大きい。具体的には、ブレード先端速度と流れの速度との比は、約1~約5、約1.5~約4.75、約1.75~約4.5、約2~約4.25、又は約2.5~約4とすることができる。
【0051】
侵食の結果として、タービンは、経時的な性能の劣化を経験する可能性がある(例えば、低下した効率及び/又は電力出力を通じて)。例えば、従来のタービンは、2~3年の期間にわたって10%電力損失の作動上の劣化を経験する可能性がある。タービンを修復するためのオーバーホールは、タービンの購入価格のおよそ50%の費用がかかる可能性がある。したがって、20年の寿命にわたり、既存のタービンは、合計8回オーバーホールされる場合があり、これはタービンの最初の購入価格の合計4倍の費用がかかる可能性がある。
【0052】
この劣化は、燃焼器とタービンとの間に配置される空気ろ過システムを通り抜ける残留粉塵粒子によって引き起こされる侵食に起因する可能性がある。フィルタの微粒子除去効果を増加させることは、空気の流れを制約し且つタービンの効率を低下させる可能性があるため、実行可能な選択肢ではない可能性がある。したがって、本開示のタービンは、侵食からの損傷を最小にする又はなくすことでオーバーホールの必要性を最小にする又はなくすことによって顕著なコスト節減を提供する可能性がある。これに関して、粒子とブレードとの間の衝突に関連する衝突エネルギーの散逸率は、それらの間の相対速度の3乗にほぼ比例する。これに関して、タービン翼の侵食は、以下で例証されるように衝突エネルギー散逸率(「衝突パワー」)にほぼ比例する傾向がある。
IP=kV/X(式3)
式中、
IP=衝突パワー、
k=粒子材料、ブレード材料、周囲温度、及び衝突角に基づく変動因子、
v=タービン翼と粒子との間の相対速度、及び
X=衝突相互作用の特性長。
【0053】
ブレードの速度を低下させ、且つトランスピレーション保護を提供することで、衝突が最小になり又は侵食が起こる閾値よりも低く減少する可能性があり、化学的損傷もまた減少する又はなくされる可能性がある。したがって、侵食に起因するオーバーホールに関連する支出が減少する又はなくされる可能性があり、したがって本明細書で提供されるタービンの幾つかの実施形態は、顕著なコスト節減を提供する可能性がある。さらに、上述のように、高価な超合金の使用に対する必要性をなくすことで、本開示に係るタービンは既存のタービンよりも比較的あまり高価でない可能性がある。
【0054】
発電所の種々の公知の実施形態では、効率は、タービン入口温度に決定的に依存する。例えば、約1,350℃ほどもの高い入口温度を可能にするタービン技術を達成するために大きなコストをかけて大がかりな研究がなされている。タービン入口温度がより高ければ、プラント効率がより高くなるが、タービンがより高価にもなり、潜在的にはその寿命がより短くなる。燃焼生成物ストリームの比較的高い温度のために、タービンがこうした温度に耐えることができる材料で形成されることが有益となる可能性がある。タービンが燃焼生成物ストリーム中に存在する可能性があるタイプの二次材料への良好な化学抵抗性を提供する材料を含んでいることも有用な場合がある。
【0055】
或る実施形態では、本開示は、特に、タービン構成部品と共に冷却材の使用を提供することができる。以下でより十分に説明されるように、例えば、発明的なシステム及び方法は、高効率燃料燃焼器(例えば、トランスピレーション冷却される燃焼器)及び関連する循環流体(CO循環流体のような)の使用を通じて発電を可能にする。具体的には、トランスピレーション冷却などを通じたタービン冷却に用いられるべき循環流体の一部を、タービン構成部品、特にタービン翼に誘導することができる。
【0056】
例えば、幾つかの実施形態では、CO循環流体の一部をサイクルから(例えば、循環流体がトランスピレーション冷却材に有用な条件下にあるサイクルの一部から)取り出し、構成部品、特にタービン翼の冷却のためにタービンに誘導することができる。ブレード冷却材は、タービン翼の穴(又は穿孔)から排気し、タービンの流れに直接投入することができる。したがって、トランスピレーション冷却材(その冷却能力が上記で説明されたように制限され、安全上の懸念によって阻まれる)として空気を用いるのではなく、本開示の方法及びシステムは、タービン翼冷媒としての非常に大量の高圧CO、超臨界CO、さらには液体COの使用を提供する。これは公知のブレード冷却方法に対して大きな比率でタービン翼のために利用可能な冷却能力を増加させるので非常に有用である。本開示はまた、CO循環流体はシステムに非常に大量に存在することができ、これは非常に大量の冷却材がタービン翼を通して動かされることを可能にするため、特に有用である。タービン翼を通したCO冷却材のこの高い体積及び/又は高い質量流量は、高効率発電方法に有用な極度の熱からタービン翼を保護するだけでなく、ブレードの表面全体を通り抜けるCO冷却材のトランスピレーションによってタービンを通して流れる高温ガス及びフィルタされなかった微粒子物質の腐食効果及び侵食効果からタービン翼を保護することも支援する。一実施形態では、トランスピレーション冷却は、上記で説明された顕著により高いタービン入口温度(例えば、1350℃)にもかかわらず約200℃から約700℃までの作動ブレード温度を提供する可能性があり、これはしたがって現在使用されるよりも比較的あまり高価でない材料を含むタービン翼を使用できるようにする可能性があり、及び/又はより高いタービン入口温度が使用されてもよく、これはより高い効率につながる可能性がある。上記のトランスピレーション冷却されるタービン構成部品は、高圧CO(若しくは空気又はNのような蒸気よりも腐食性の低い他の流体)が高再循環比の循環流体として利用可能となる可能性があるあらゆる発電方法及びシステムで用いることができる。
【0057】
具体的な実施形態では、CO冷媒の使用が、本開示でのブレードが周囲の燃焼生成物の流れの極端な温度に加熱されることを防ぎ、且つ燃焼生成物の流れの腐食効果及び侵食効果を低減させるので、タービン翼冷媒としてのCO循環流体の使用は、タービン翼が高効率発電方法で用いられる公知のタービン翼よりもかなり低コストの材料から製作されることを可能にする。例えば、本開示によれば、タービン翼は、多様な高強度鋼又はさらには比較的低コストの鋼から製作することができる可能性がある。同様に、ブレードは、炭素複合材又はさらにはアルミニウムのような低温材料から製作することができる可能性がある。低温条件及び/又は低侵食性又は低腐食性条件で用いられるガスタービン構成部品のために、さらにはタービンのために、当該技術分野で有用と認識されるあらゆる材料を本開示に係るタービン構成部品を製作するのに用いることができる可能性がある。
【0058】
本開示に係るCO循環流体の一部でのタービン翼のトランスピレーション冷却はさらに、介在するろ過ステップ及び構成部品の必要なしにタービンを通した灰(又は他の粒子状物質及び/又は不燃物)を含有する燃焼ガスの安全な通過を容易にすることができるので有用である。これは、発電設備の設計を大いに簡略化させ、燃焼のための燃料源として用いられてもよい材料のタイプを増加させることができる。
【0059】
本開示に係るタービン構成部品のトランスピレーション冷却におけるCO循環流体の使用はまた、発電サイクルの熱力学に対して有利である。タービン翼に関する公知のトランスピレーション媒体に対して大いに改善されたCO循環流体の冷却能力により、タービンの熱許容範囲の制限なしに燃焼器を高められた温度で作動させることができる。したがって、燃焼生成物の流れはタービン構成部品への損傷なしにCO冷却されるタービンを通過することができるので、極度に高い温度で作動することができる燃焼器(例えば、トランスピレーション冷却される燃焼器)は、本開示によれば最高付近の作動温度で作動することができる。これは、発電サイクルの潜在的な熱力学的効率を100%近くに増加させる。
【0060】
タービン翼の設計と、タービン全体の設計と、タービン翼のトランスピレーション冷却とのあらゆる組合せを、燃焼が結果的に粒子の生成をもたらす方法及びシステムのようなタービン翼寿命が望ましくは延長されるあらゆる発電方法で用いることができる。幾つかの実施形態では、方法及びシステムは、特に、循環流体を用いることができるものとすることができる。例えば、高圧COは、高再循環比の循環流体として利用可能となる可能性がある。
【0061】
例えば、本明細書で説明される場合のタービンは、効率的な燃焼に有用な場合がある適切な燃料、あらゆる必要な酸化剤、及びあらゆる関連する材料と共に燃焼器の中にCO循環流体が提供される方法及びシステムで用いられてもよい。こうしたシステム及び方法は、非常に高い温度(例えば、約1,600℃から約3,300℃又はより一層高い温度の範囲内)で作動する燃焼器を備えることができ、循環流体の存在は、流体ストリームを発電のためのエネルギー伝達に使用できるように、燃焼器を出ていく流体ストリームの温度を加減するように機能することができる。具体的には、燃焼生成物ストリームは、少なくとも1つのタービンを横切って膨張して電力を発生させることができる。膨張したガスストリームは、ストリームから水のような種々の構成成分を除去するために冷却することができ、膨張したガスストリームから取り出された熱は、CO循環流体を加熱するのに用いることができる。精製された循環流体ストリームは、次いで、燃焼器を通して再循環するために加圧し及び加熱することができる。本開示のタービン翼設計(関連するブレードトランスピレーション冷却を伴う又は伴わない)を組み込んでもよい例示的な発電システム及び方法は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2011/0179799号で説明される。
【0062】
燃焼電力サイクルにおける本開示に係るタービンの組み込みは、結果的に微粒子成分を生じる燃料の燃焼に対して特に有用である。種々のタイプの石炭は、例えば、灰分及び/又は他の微粒子成分を有する燃焼ストリームをもたらすために発電サイクルで燃焼させることができる。有益なことに、本開示に係るタービンが燃焼サイクルに組み込まれるときに、予備的なフィルタリングステップの必要なしに全燃焼生成物ストリーム(すなわち、微粒子の全成分を含む)をタービンの中に導入することができる。これは、より高いタービン入口温度の使用を可能にし、これは次に、タービンを通過する前に燃焼生成物のろ過を必要とするプロセスに対して燃焼効率を増加させる。これは、発明的なタービンが顕著な侵食なしに粒子衝突を受ける可能性があるため、本開示によれば可能である。微粒子物質は、次いで、タービンを出ていくストリームからフィルタすることができる。
【0063】
本開示に従って提供される燃焼サイクルの一実施形態が図1の流れ図で例証される。例証された実施形態では、周囲空気10を取り込み、且つ富化酸素ストリーム120を出力するために、空気分離ユニット100が提供される。酸素ストリーム120は、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%のモル純度を有する酸素を含んでいてもよい。酸素ストリーム120は、例えば、実装できる可能性がある低温空気分離プロセス又は高温イオン輸送膜酸素分離プロセス(空気から)といった、例えば、当該技術分野では公知のあらゆる空気分離システム/技術によって供給されてもよい。具体的な実施形態では、富化酸素ストリームは、低温空気分離プロセスの作動によってもたらされてもよく、冷凍を保つ周囲温度に効率よく加熱される液体酸素をポンプで送ることによって該プロセスにおいて酸素が加圧される。こうした低温のポンプで送られる酸素プラントは、2つの空気圧縮機を有することができ、その両方は中間段冷却なしに断熱的に作動することができる。具体的な実施形態では、空気分離ユニットによって生じた熱を回収し、且つ熱の投入が望ましい場合がある目下説明したシステムの構成部品に熱を伝達するのに有用な構成部品を含むことが有用な場合がある。
【0064】
図1で例証されるサイクルは、燃焼生成物の構成成分として粒子状物質(例えば、灰)を含むあらゆる燃料源の燃焼に有用である可能性がある。本開示に係る有用な燃料の限定ではない例は、種々のグレード及びタイプの石炭、木材、オイル、タールサンドからのタール、ビチューメン、バイオマス、藻類、等級別の(graded)可燃性固体廃棄物ごみ、アスファルト、及び使用済みタイヤを含む。特に、あらゆる固体燃料材料が本開示で用いられてもよく、こうした燃料は、特に、適宜粒径を減少させるために粉にされ、細断され、又は他の方法で処理されてもよい。適切な形態を達成するため及び高圧ポンピングに関する流れ要件を満たすために、必要に応じて流動化又はスラリー化媒体を加えることができる。例えば、図1を参照すると、固体燃料15は、粉末化された燃料を提供するためにミル装置200を通過することができる。他の実施形態では、固体燃料15は、オンサイト・ミリングの必要性に先立ち粒子化された状態で提供することができる可能性がある。具体的な実施形態では、固体燃料15は、約10μm~約500μm、約25μm~約400μm、又は約50μm~約200μmの平均粒径を有してもよい。他の実施形態では、固体燃料15は、固体燃料粒子の50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は99%以上が約500μm、400μm、300μm、200μm、又は100μm未満の平均粒径を有することで説明されてもよい。
【0065】
固体燃料15は、十分な速度で及び燃焼チャンバ内の圧力を上回る圧力での燃焼装置への噴射を可能にするために適切に処理することができる。こうした特徴を提供するために、固体燃料15は、周囲温度又は高められた温度で適切な流動性及び粘度をもつ液体、スラリー、ゲル、又はペーストの形態であってもよい。例えば、固体燃料15は、約30℃~約500℃、約40℃~約450℃、約50℃~約425℃、又は約75℃~約400℃の温度で提供されてもよい。粒径が適切に減少するように固体燃料15が粉にされ、細断され、又は他の方法で処理された状態にあるときに、適切な形態を達成し及び高圧ポンピングに関する流れ要件を満たすために必要に応じて流動化又はスラリー化媒体を加えることができる。図1の実施形態で例証されるように、ミル装置200によって固体燃料15から生じた微粒子固体燃料220は、スラリーの形態の石炭を提供するために流動化物質と混合することができる。特に、微粒子固体燃料220は、再循環されるCO循環流体ストリーム561からのCOサイドドロー562とミキサ250の中で組み合わされる。COサイドドロー562は、超臨界、高密度状態で提供されてもよい。具体的な実施形態では、スラリーを生成するのに用いられるCOは、約450kg/m~約1,100kg/mの密度を有することができる。より詳細には、COサイドドロー562は、例えば、約10重量%から約75重量%まで又は約25重量%から約55重量%までの微粒子石炭を有するスラリー255を生成するために微粒子固体燃料220と協働してもよい。さらに、スラリー255を生成するのに用いられるサイドドロー562からのCOは、約0℃未満、約-10℃未満、約-20℃未満、又は約-30℃未満の温度であってもよい。さらなる実施形態では、スラリーを生成するのに用いられるサイドドロー562からのCOは、約0℃~約-60℃、約-10℃~約-50℃、又は約-18℃~約-40℃の温度であってもよい。スラリー化ステップはスラリー媒体としてCOを用いることに関して説明されるが、他のスラリー化媒体を用いることができる可能性があることが理解される。
【0066】
スラリー255は、ミキサ250からポンプ270を介して燃焼装置300に移送することができる。具体的な実施形態では、燃焼装置300は、比較的高い燃焼温度で燃料の実質的に完全燃焼を提供することができる高効率燃焼器とすることができる。高温燃焼は、燃料のすべての可燃性成分の実質的に完全燃焼を提供し、したがって効率を最大にするのに特に有用である可能性がある。種々の実施形態では、高温燃焼は、少なくとも約1,000℃、少なくとも約1,200℃、少なくとも約1,500℃、少なくとも約2,000℃、又は少なくとも約3,000℃の温度での燃焼を意味することができる。さらなる実施形態では、高温燃焼は、約1,000℃~約5,000℃又は約1,200℃~約3,000℃の温度での燃焼を意味することができる。
【0067】
或る実施形態では、燃焼装置300は、トランスピレーション冷却される燃焼器であってもよい。本開示で用いられてもよいトランスピレーション冷却される燃焼器の一例は、その開示内容の全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2010/0300063号及び米国特許出願公開第2011/0083435号で説明される。幾つかの実施形態では、本開示に係る有用なトランスピレーション冷却される燃焼器は、1つ又は複数の熱交換ゾーン、1つ又は複数の冷却材、及び1つ又は複数のトランスピレーション流体を含んでもよい。
【0068】
本開示に係るトランスピレーション冷却される燃焼器の使用は、発電のための燃料燃焼に関する公知の技術よりも特に有利である。例えば、トランスピレーション冷却の使用は、燃焼器における腐食、ファウリング、及び侵食を防ぐのに有用である可能性がある。これはさらに、用いられる燃料の完全な又は少なくとも実質的に完全な燃焼をもたらすのに十分に高い温度範囲内で燃焼器が機能することを可能にする。これらの及びさらなる利点が本明細書でさらに説明される。
【0069】
1つの特定の態様では、本開示に係る有用なトランスピレーション冷却される燃焼器は、トランスピレーション部材によって少なくとも部分的に画定される燃焼チャンバを含むことができ、トランスピレーション部材は、圧力閉じ込め部材によって少なくとも部分的に取り囲まれる。燃焼チャンバは、入口部分と反対の出口部分とを有することができる。燃焼チャンバの入口部分は、燃焼生成物を生成する燃焼温度で燃焼チャンバ内で燃焼させられるべき炭素を含有する燃料を受け入れるように構成することができる。燃焼チャンバはさらに、出口部分の方に燃焼生成物を誘導するように構成することができる。トランスピレーション部材は、燃焼生成物とトランスピレーション部材との間の相互作用を緩和するためにそれを通してトランスピレーション物質を燃焼チャンバの方に誘導するように構成することができる。さらに、トランスピレーション物質は、燃焼生成物の所望の出口温度を達成するために燃焼チャンバの中に導入されてもよい。特定の実施形態では、トランスピレーション物質は、少なくとも部分的に循環流体を含むことができる。燃焼チャンバの壁は、それを通してCO及び/又はHOのようなトランスピレーション物質が誘導され及び流れる多孔質材料の層で裏打ちされてもよい。
【0070】
この多孔質トランスピレーション層を通した、随意的に付加的な設備を通したトランスピレーション物質の流れは、燃焼装置300からの所望の全出口流体ストリーム出口温度を達成するように構成することができる。幾つかの実施形態では、本明細書でさらに説明されるように、こうした温度は、約500℃~約2,000℃の範囲内とすることができる。この流れはまた、トランスピレーション部材を形成する材料の最高許容可能作動温度よりも低い温度にトランスピレーション部材を冷却するのに役立つ可能性がある。トランスピレーション物質はまた、壁を腐食する、ファウリングする、又は他の方法で損傷する可能性がある燃料中のあらゆる液状又は固体状灰材料又は他の汚染物質の衝突を防ぐのに役立つ可能性がある。こうした状況では、入射放射熱が多孔質トランスピレーション部材を通して半径方向外向きに伝導され、次いでトランスピレーション層を通した多孔質層構造体の表面から半径方向内向きに通過する流体への対流熱伝達によって遮られるように妥当な熱伝導率をもつトランスピレーション部材のための材料を用いることが望ましい場合がある。こうした構成は、多孔質トランスピレーション部材の温度をそのために用いられる材料の設計範囲内に同時に維持しながら、トランスピレーション部材を通して誘導されるストリームの後続する部分が約500℃~約1,000℃又は約200℃~約700℃といった望ましい範囲内の温度に加熱されることを可能にしてもよい。多孔質トランスピレーション部材に適した材料は、例えば、多孔質セラミックス、耐火性金属ファイバマット、ドリルで穴があけられた円筒形の区域、及び/又は焼結金属層又は焼結金属粉を含んでもよい。トランスピレーション部材の第2の機能は、燃焼チャンバの長さに沿った均等な軸方向の流れを促進させながらトランスピレーション流体ストリームと燃焼生成物との間の良好な混合を達成するために、実質的に均等な半径方向内向きの、並びに燃焼器に長手方向に沿ったトランスピレーション流体の流れを保証することであってもよい。トランスピレーション部材の第3の機能は、燃焼生成物内の灰又は他の汚染物質の固体及び/又は液体粒子がトランスピレーション層の表面に衝突すること及び閉塞、侵食、腐食、又は他の損傷を引き起こすことの緩和を提供し又は他の方法で阻止するように半径方向内向きの希釈剤流体の速度を達成することとすることができる。こうした因子は、例えば、残留不活性不燃性残留物を有する石炭のような燃料を燃焼させるときにだけ重要である可能性がある。トランスピレーション部材を取り囲む燃焼器圧力容器の内壁はまた、燃焼器内の高温トランスピレーション流体ストリームを隔離するために断熱されてもよい。
【0071】
或る実施形態では、こうした導入の前に燃焼装置300の中に導入されるべき材料を組み合わせるために混合設備(例証されない)が提供されてもよい。具体的には、燃料、O、及び循環流体(例えば、CO循環流体)のうちの2つのあらゆる組合せ又は3つすべてが、燃焼装置300の中への導入の前に随意的な混合設備の中で組み合わされてもよい。
【0072】
120及び再循環される循環流体503と共に(スラリーストリーム255として)燃焼装置300に導入される燃料15は、燃焼して燃焼生成物ストリーム320を提供する。具体的な実施形態では、燃焼装置300は、上記で説明されたようなトランスピレーション冷却される燃焼器である。燃焼温度は、具体的なプロセス・パラメータ、例えば、用いられる燃料のタイプ、燃焼器の中に導入される際の循環流体と燃料中の炭素とのモル比、及び/又は燃焼器の中に導入されるCOとOのモル比に応じて変化する可能性がある。具体的な実施形態では、燃焼温度は、トランスピレーション冷却される燃焼器の説明に関係して上記で説明されたような温度である。特に好ましい実施形態では、本明細書で説明される場合の約1,000℃を超える燃焼温度が有利な場合がある。
【0073】
燃焼器を出る燃焼生成物ストリームが所望の温度を有するように燃焼温度を制御することが有用である可能性もある。例えば、燃焼器を出ていく燃焼生成物ストリームが少なくとも約700℃、少なくとも約900℃、少なくとも約1,200℃、又は少なくとも約1,600℃の温度を有することが有用である可能性がある。幾つかの実施形態では、燃焼生成物ストリームは、約700℃~約1,600℃又は約1,000℃~約1,500℃の温度を有してもよい。
【0074】
具体的には、燃焼生成物ストリーム320の圧力は、燃焼装置300の中に導入される循環流体の圧力と関係付けることができる。具体的な実施形態では、燃焼生成物ストリーム320の圧力は、燃焼装置300の中に導入される循環流体の圧力の少なくとも約90%とすることができる。
【0075】
燃焼装置300を出ていく燃焼生成物ストリーム320の化学組成は、用いられる燃料のタイプに応じて変化することができる。重要なことに、燃焼生成物ストリームは、燃焼装置300又はさらなるサイクルに再循環され又は再導入されることになる循環流体の主成分(例えば、CO)を含むであろう。さらなる実施形態では、燃焼生成物ストリーム320は、水蒸気、SO、SO、HCl、NO、NO、Hg、過剰O、N、Ar、不燃物、及び/又は他の粒子状物質、及び燃焼される燃料中に潜在的に存在する場合がある他の汚染物質のうちの1つ又は複数を含む可能性がある。燃焼生成物ストリーム中に存在するこれらの物質は、本明細書で説明されるプロセスなどによって除去されない限り、CO循環流体ストリーム中に存在し続ける可能性がある。
【0076】
有利なことに、本開示によれば、燃焼生成物ストリーム320は、燃焼生成物ストリーム320中の如何なる微粒子物質も最初にフィルタで除去する必要なしにタービン400に誘導することができる。タービン400の中で、燃焼生成物ストリーム320は、膨張して電力を発生させる(例えば、発生器400aを介して電気を生じる)。タービン400は、燃焼生成物ストリーム320を受け入れるための入口とタービン排気ストリーム410を放出するための出口とを有することができる。図1では単一のタービン400が示されるが、1つよりも多いタービンが用いられてもよいことが理解され、複数のタービンが直列に結合され、又は随意的にさらなる燃焼構成部品、圧縮構成部品、セパレータ構成部品などのような1つ又は複数のさらなる構成部品によって分離される。
【0077】
タービン400は、具体的には、本明細書で別途説明される場合のブレード設計及び/又は全体設計を有するタービンとすることができる。さらに、タービンは、本明細書で説明される場合のトランスピレーション冷却又は他の冷却技術を組み込んでもよい。特に、タービン設計は、タービンが顕著な侵食なしに衝突に耐えることを可能にするような低いブレード速度及び灰粒子衝突速度をもつものとすることができる。タービンのトランスピレーション冷却はさらに、ブレード表面とタービンを通過する微粒子物質との間にトランスピレーション流体の連続する流れ障壁層をもたらすことによって粒子侵食に対して保護することができる。
【0078】
図1に戻ると、例示的なシステム及びサイクルは、タービン400から下流のフィルタ5をさらに備える。タービン排気ストリーム410は、そこから微粒子物質を除去するためにフィルタ5を通過することができる。タービンの上流ではなくタービン400の下流のフィルタ5の位置は、燃焼生成物ストリーム320が燃焼器装置300を出てすぐにより高い温度及び圧力でタービンを横切って膨張することができるので本開示の有利な特徴であり、したがって発電が最大化される可能性がある。より低圧及びより低温のタービン排気ストリーム410は、次いで、そこから微粒子ストリーム7として微粒子物質を除去するためにフィルタ5でフィルタすることができる。したがって、燃焼サイクルにおけるさらなる処理のために微粒子物質を実質的に含まないフィルタされたタービン排気ストリーム420が提供される。
【0079】
具体的な実施形態では、フィルタ5は、好ましくは、燃焼生成物ストリーム320中に存在する微粒子物質の実質的にすべてを除去するのに効果的な構成を含むことができる。フィルタ5は、幾つかの実施形態ではサイクロンフィルタ及び/又はキャンドルフィルタを含んでもよく、ろ過は幾つかの実施形態では約300℃から約775℃までで起こる可能性がある。特定の実施形態では、実質的にすべての微粒子の除去は、燃焼生成物ストリーム中に存在する微粒子の体積の少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、又は少なくとも99.8%の除去を包含することができる。こうしたフィルタの微粒子除去効率は、粒径と関係付けることができる。例えば、除去された粒子の言及したパーセンテージは、少なくとも約0.1μm、少なくとも約0.5μm、少なくとも約1μm、少なくとも約5μm、少なくとも約10μm、少なくとも約25μm、少なくとも約50μm、少なくとも約100μm、又は少なくとも約500μmの直径を有する粒子を保持するフィルタの能力と関係付けることができる。一実施形態では、燃焼によって生じた粒子は、約0.1μmから約100μmまでの範囲内である可能性があり、フィルタは、約1μmを上回る、約5μmを上回る、約10μmを上回る、約15μmを上回る、又は約20μmを上回る実質的にすべての粒子を除去し、且つ全微粒子レベルを約10mg/m未満、約5mg/m未満、約1mg/m未満、又は約0.5mg/m未満に減少させるように構成されてもよい。
【0080】
特定の実施形態(すなわち、COが循環流体として用いられる)では、フィルタされたタービン排気ストリーム420は、熱交換器ユニット500(一連の熱交換器であってもよい)を通過して未処理の再循環ストリーム501を生成することができる。この未処理の再循環ストリーム501は、冷水熱交換器520を通過してストリーム521を生成することができ、これは二次成分(例えば、HO、SO、SO、NO、NO、及びHg)の除去のためにストリーム542としてセパレータ540を通過する。具体的な実施形態では、セパレータ540は、不純物が水と反応して容易に除去される物質(例えば、酸)を生成することができるように十分な滞留時間をもつ接触器を提供する反応器を含むことができる。セパレータ540からの精製された循環流体ストリーム541は、圧縮機550を通過してストリーム551を生成することができ、これは冷水熱交換器560でさらに冷却されて超臨界高密度CO循環流体561を提供することができる。或る実施形態では、精製されたCO循環流体541は、少なくとも約7.5MPa又は少なくとも約8MPaの圧力に圧縮することができる。ストリーム561の一部は、スラリーストリーム255を生成するためにミキサ250の中で流動化媒体として用いられるストリーム562として取り出すことができる。超臨界高密度CO循環流体ストリーム561の他の部分は圧縮機570の中でさらに加圧されて加圧された超臨界高密度CO循環流体ストリーム571を生成する。ストリーム571中のCOの一部は、COパイプライン又は他の隔離手段へのストリーム572として取り出されてもよい。COの残りの部分は、加圧された超臨界高密度CO循環流体ストリーム573として進むことができ、これはストリームを加熱するために熱交換器500(又は一連の熱交換器)に戻して通過させることができる。具体的な実施形態では、CO循環流体は、冷水熱交換器560からの排気後に(及び加熱のために熱交換器ユニット500を通過する前に)少なくとも約200kg/m、少なくとも約300kg/m、少なくとも約500kg/m、少なくとも約750kg/m、又は少なくとも約1,000kg/mの密度で提供することができる。さらなる実施形態では、密度は約150kg/m~約1,100kg/mであってもよい。冷水熱交換器560を通したストリーム551の通過は、CO循環流体を約60℃未満、約50℃未満、又は約30℃未満の温度に冷却することができる。第2の圧縮機570に入るストリーム561中のCO循環流体は、少なくとも約12MPaの圧力で提供することができる。幾つかの実施形態では、ストリームは、約15MPa~約50MPaの圧力に加圧することができる。言及した温度の下で作動することができ、且つ説明した圧力を達成することができる、高圧多段ポンプのようなあらゆるタイプの圧縮機を用いることができる。
【0081】
加熱され加圧された超臨界高密度CO循環流体は、再循環される循環流体として提供されるべき第1のストリーム503として熱交換器500を出ることができる。幾つかの実施形態では、加熱され加圧された超臨界高密度CO循環流体は、タービン翼に関するトランスピレーション流体として提供されるべき第2の再循環される循環流体ストリーム504として熱交換器500を出ることができる。好ましくは、第2の再循環される循環流体ストリーム504は、トランスピレーション流体によって提供される保護の増加又は減少を必要とする要望通りにストリーム中の循環流体の総重量又は体積を増加させ又は減少させることができるように制御可能とすることができる。具体的には、本開示に係るシステムは、所望されるときに第2の再循環される循環流体ストリーム504を完全に止めることができるように流量制御手段を含むことができる。幾つかの実施形態では、タービン400に提供される再循環される循環流体(例えば、CO)は、タービンに提供される前に熱交換器500をバイパスしてもよいことに留意されたい。これに関して、再循環されるCOは、圧縮機570によって圧縮されてもよく、次いで、循環流体ストリーム571の一部は、熱交換器500をバイパスし、タービン400に入ってもよい。これにより、CO(又は他の再循環される循環流体)は、熱交換器500によって温められることなくタービン400の中に導入されてもよい。したがって、CO(又は他の再循環される循環流体)は、熱交換器によって温められた流体の温度よりも低い温度でタービンの中に導入されてもよい。これに関して、CO(又は他の再循環される循環流体)は、約300℃未満、約200℃未満、約100℃未満、約55℃未満、又は約25℃未満の温度でタービンの中に導入されてもよく、したがって、CO(又は他の再循環される循環流体)は、タービン400を冷却するために使用されてもよい。比較的より低温の循環流体をタービン400に加えることを補償するために、Oは、Oを温めるために熱交換器500を通して移動してもよく、次いで、Oは、他の方法では起こる可能性がある効率の損失を補償するために燃焼器300に誘導される再循環される循環流体503と組み合わされてもよい。或る実施形態では、熱交換器(又は2つ以上の熱交換器が用いられるときの列の最後の熱交換器)の低温端を出る循環流体は、約200℃未満、約100℃未満、約75℃未満、又は約40℃未満の温度を有することができる。
【0082】
或る実施形態では、したがって、タービン排気ストリームを受け入れる熱交換器が極端な条件に耐えるように設計される高性能材料から形成されることが有用な場合がある。例えば、熱交換器は、INCONEL(登録商標)合金又は類似の材料を含んでいてもよい。好ましくは、熱交換器は、少なくとも約700℃、少なくとも約900℃、又は少なくとも約1,200℃の一貫した作動温度に耐えることができる材料を含む。熱交換器のうちの1つ又は複数が燃焼生成物ストリーム中に存在する場合がある類の二次材料への良好な化学抵抗性を提供する材料を含むこともまた有用な場合がある。INCONEL(登録商標)合金は、Special Metals Corporationから入手可能であり、幾つかの実施形態は、オーステナイトニッケル-クロムベースの合金を含むことができる。適切な熱交換器は、商標名HEATRIC(登録商標)(テキサス州ヒューストンのMeggitt USAから入手可能)の下で入手可能な熱交換器を含むことができる。
【0083】
上述のように、水に加えて、CO循環流体は、燃料由来の、燃焼由来の、及び酸素由来の不純物のような他の二次成分を含有する可能性がある。CO循環流体のこれらの二次成分(しばしば不純物又は汚染物質として認識される)は、適切な方法(例えば、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2008/0226515号及び欧州特許出願番号EP1952874及びEP1953486で定義された方法)を用いて、冷却されるCO循環流体からすべて除去することができる。例えば、SO及びSOは、100%を硫酸に変換することができ、一方、>95%のNO及びNOは硝酸に変換することができる。CO循環流体中に存在するあらゆる過剰Oは、燃焼器への随意的な再循環のために富化ストリームとして分離することができる。存在するあらゆる不活性ガス(例えば、N及びAr)は、低圧で大気に排出することができる。
【0084】
上記で説明されたように、本開示に従って構成されるタービンを組み込んでいる発電サイクルは、燃焼生成物ストリーム中に存在する微粒子物質を最初にフィルタで除去する必要なしに燃焼生成物ストリーム(例えば、石炭のような固体燃料の燃焼から生じる)をタービンの中に直接投入することができるので、或る程度高効率で作動することができる。特に、発明的なタービン構成は、燃焼しなかった材料の衝突から生じるブレード侵食をなくす又は大いに低減させる。本開示は、タービン材料のこうした価値ある保護を提供するにもかかわらず、タービン構成部品と燃焼生成物ストリームの微粒子成分との相互作用からタービン障害が生じる機会が依然として存在する可能性がある。
【0085】
例えば、タービン翼上への液状灰固着及び凍結(又は固化)は、スラッギング、効率の損失、及び/又はロータバランスの損失を引き起こすことがある。したがって、或る実施形態では、本開示は、タービン構成部品、特にタービン翼からの蓄積又は化学堆積を軽減し及び/又は少なくとも部分的に除去するための燃焼サイクルへの特異的な構成部品の組み込みを提供する。灰の蓄積が本明細書で例示されるが、本開示の幾つかの実施形態によって提供されるクリーニングは、燃焼生成物ストリーム中に存在する物質、特に微粒子物質から生じるタービン構成部品上のあらゆるタイプの堆積を少なくとも部分的に除去する又は完全に除去するのに効果的となることが期待されることが理解される。したがって、種々のタイプの灰、灰由来の物質、及び炭素が、本明細書で提供されるクリーニングによって除去される可能性がある。
【0086】
タービン翼のようなタービン構成部品上の化学堆積物の蓄積は、トランスピレーション保護技術を使用することによって防がれてもよい。例えば、図1で見られるように、高温の再循環された作動流体(例えば、CO)は、熱交換器500の高温端からストリーム504として取り出し、タービン400に送達することができる。例えば、高温の再循環された作動流体をタービンロータに送達し、次いで、タービン翼を通してタービン翼のトランスピレーション保護を提供することができる。こうした実施形態では、タービン翼は、高温の再循環された作動流体が実質的にブレードの表面全体又はタービンに入る燃焼生成物ストリームの直接的経路内にある少なくともブレードの前面に沿ってブレードを出るように必要に応じて穿孔することができる。具体的な実施形態では、ブレードの外への最も大きいトランスピレーション流体の流れはブレードの前縁でのものであろう。
【0087】
トランスピレーション流体は、種々の温度で提供されてもよい。幾つかの実施形態では、タービンに関するトランスピレーション流体は、タービンに入る燃焼生成物ストリームの温度の約10%以内、約8%以内、約5%以内、又は約2%以内の温度であってもよい。こうした実施形態では、タービンに関するトランスピレーション流体の温度は、タービンに入る燃焼生成物ストリームの温度と実質的に類似しているものとして特徴付けられてもよい。他の実施形態では、トランスピレーション保護のためにタービンに誘導されるトランスピレーション流体は、タービンに入る燃焼生成物ストリームの温度の15%~約90%未満、約15%~約60%未満、約15%~約50%未満、又は約20%~約40%未満であってもよい。こうした実施形態では、タービンに関するトランスピレーション流体の温度は、タービンに入る燃焼生成物ストリームの温度よりも実質的に低いものとして特徴付けられてもよい。
【0088】
幾つかの実施形態では、タービン翼と併せたトランスピレーション流体の使用は、複数の機能を果たすことができる。例えば、トランスピレーション流体は、燃焼生成物ストリーム中の微粒子物質がブレード表面に実際に接触するのを本質的に防ぐことができるのでタービン翼を保護するのに効果的となる可能性がある。むしろ、トランスピレーション流体によって形成される保護障壁は、微粒子物質をタービン翼の周りに偏向させ又は他の方法で再誘導することができる。高温の再循環された作動流体はまた、ブレード、特に、タービンの出口側のブレード表面を加熱するように機能することができる。この付加的な加熱は、液状灰(又は燃焼生成物ストリームの温度では液体であり、燃焼生成物ストリームの温度よりも低いが周囲温度よりも高い凍結(又は固化)点を有する他の物質)が固化することになる温度(すなわち、物質の凍結温度)に出口側及び/又は入口側のブレード表面が冷却されるのを防ぐことができる。これは、タービン翼の表面に実際に接触する液体粒子が凍結(又は固化)し、したがってブレード表面上に堆積するのを防ぐ。
【0089】
トランスピレーション保護は、幾つかの実施形態では粒子の凍結(又は固化)をなくすことができる。これに関して、すべての灰は、幾つかの実施形態ではおよそ870℃~980℃よりも上では溶解したままである可能性がある。他の実施形態では、粒子の凍結は、トランスピレーション保護を組み込んでいない同一のサイクル及びシステムに対して低減させることができる。粒子の凍結が減少されるが無くされはしない程度に、タービン構成部品の定期的クリーニングが必要な場合がある。具体的な実施形態では、タービン翼のようなタービン構成部品のクリーニングは、燃焼サイクル又はシステムへのクリーニング構成部品の組み込みを通じてもたらされてもよい。
【0090】
図2に示されたサイクルは、タービン翼のクリーニングをもたらすためにタービンを通してタービン翼クリーニング物質を誘導することができるシステムを例証する。有益なことに、クリーニング物質は、タービンを通して燃焼生成物ストリームと並行して誘導されてもよい。したがって、クリーニングは、発電燃焼サイクルを中断させずにもたらすことができる。幾つかの実施形態では、クリーニングプロセスを容易にするために(例えば、燃焼生成物ストリームの温度を変えるために、再循環流体と燃料との比を増加させるなどのために)本明細書で述べられるサイクルパラメータのうちの1つ又は複数を変更することが望ましい場合がある。タービン翼がトランスピレーション保護される幾つかの実施形態では、クリーニング物質とタービン翼との接触を容易にするためにトランスピレーション流体の流れを止めることが望ましい場合がある。しかしながら、燃焼及び発電は、クリーニングプロセス中に続行してもよい。図1に対して。本実施形態では、しかしながら、第3の再循環される循環流体ストリーム506は、熱交換器500を出て、クリーニング物質合流部600を通過することができ、クリーニング物質は、第3の再循環される循環流体ストリーム506と組み合わされてクリーニング物質ストリーム610を生成する。クリーニング物質合流部600は、第3の再循環される循環流体ストリーム506をクリーニング物質と組み合わせるのに適したあらゆる構造体、ユニット、又はデバイスを含むことができ、クリーニング物質は、連続流れで提供され、又はバッチ式に提供される。好ましくは、クリーニング物質合流部は、クリーニング物質が第3の再循環される循環流体ストリーム506と組み合わされ及び共に流れるように構成される。第2の再循環される循環流体ストリーム504に関係して同じく上記で説明されたように、第3の再循環される循環流体ストリーム506は、流量をゼロとすることができ、又はクリーニング物質をタービンに効果的に移送するのに必要なあらゆる流量とすることができるように制御することができる。
【0091】
クリーニング物質は、タービン翼の表面に接触し、且つそこから固体堆積物を物理的に又は化学的に除去するのに効果的なあらゆる物質とすることができる。好ましくは、クリーニング物質は、ブレード表面自体の最小限の侵食から侵食なしで堆積物を除去するのに効果的な物質を含む。固体クリーニング物質は、流れの温度では溶解しないように構成される炭素粒子、アルミナ粒子、又は他の硬い粒子を含んでもよい。灰はブレードよりも低い破壊応力を画定する可能性があるため、低い衝突速度ではブレードではなく灰の侵食が起こる可能性がある。液体クリーニング物質は、酸化カリウム、炭酸カリウム、又は水酸化カリウムのようなカリウム化合物を含んでもよい。カリウム化合物は、灰がブレードを溶融させる可能性があるので灰の融点を下げるためにフラックスとして作用する可能性がある。気体クリーニング物質は、炭素のような堆積物を酸化させる可能性がある酸素を含んでもよい。クリーニング物質合流部600で第3の再循環される循環流体ストリーム506と組み合わされた固体又は液体クリーニング物質は、クリーニング物質ストリーム610の総質量流量の約0.5%未満、約0.1%未満、又は約0.01%未満、及びクリーニング物質ストリームの総質量流量の約0.001%から約0.1%まで、約0.1%から約1%まで、又は約0.0001%から約0.01%までを画定してもよい。クリーニング物質合流部600で第3の再循環される循環流体ストリーム506と組み合わされた気体クリーニング物質は、クリーニング物質ストリーム610の総質量流量の約5%未満、約2%未満、又は約1%未満、及びクリーニング物質ストリームの総質量流量の約0.1%から約2%まで、約0.01%から約1%まで、又は約0.01%から約5%までを画定してもよい。一実施形態では、クリーニングサイクルは、発生器400aによる電力出力が約2%~約5%に、約5%~約10%に、又は約1%~約2%に下がるときにはいつでも開始されてもよい。例えば、クリーニング動作は、週に約1回から約3年おきに行われてもよい。クリーニングサイクルは、幾つかの実施形態では約5分から約1時間まで持続してもよい。
【0092】
クリーニング物質ストリーム610は、タービン400の中に直接流れてもよい。こうした実施形態では、クリーニング物質ストリームは、タービン400への共通の入口において燃焼生成物ストリーム320と混合してもよく、又はクリーニング物質ストリーム610及び燃焼生成物ストリーム320は、ストリームがタービン400の内部の点で混合されるようにタービンへの個々の入口を有してもよい。例証された実施形態では、クリーニング物質ストリーム610は、フロー・コンバイナ・スイッチ650において燃焼生成物ストリーム320と最初に混合される。したがって、クリーニングサイクルでは、組み合わされた燃焼生成物及びクリーニング物質ストリーム326は、フロー・コンバイナ・スイッチ650を出てタービン400に入る。
【0093】
幾つかの実施形態では、連続的なクリーニングが用いられてもよく、この場合、或る量のクリーニング物質がタービンの中に連続的に導入されるように第3の再循環される循環流体ストリーム506の幾らかの最小限の流れを維持することができる。第3の再循環される循環流体ストリーム506の流れは、サイクルのクリーニング能力を増加又は減少させるために周期的に加減調節できる可能性がある。他の実施形態では、第3の再循環される循環流体ストリーム506は、クリーニング物質合流部600からフロー・コンバイナ・スイッチ650へのクリーニング物質の通過がないように閉じることができる。この作動モードでは、燃焼生成物ストリーム320は、図1に例証されるようにフロー・コンバイナ・スイッチ650をバイパスし、タービンに直接流れてもよい。或いは、燃焼生成物ストリーム320は、コンバイナ・スイッチ650を通して流れ続けてもよいが、入ってくるクリーニング物質ストリーム610のない状態では、コンバイナ・スイッチ650を出ていくストリームは、組み合わされた燃焼生成物及びクリーニング物質ストリーム326ではなく本質的に燃焼生成物ストリーム320となるであろう。
【0094】
クリーニングサイクルがアクティブである幾つかの実施形態では、タービン翼からの堆積物又は残留物は、図1に関係して説明した方法でフィルタ5を介してサイクルから除去することができる。同様に、固体クリーニング物質が用いられるときに、固体クリーニング物質は、フィルタ5を介してサイクルから除去することができる。幾つかの実施形態では、フィルタ5はマルチユニットフィルタであってもよく、第1のフィルタ媒体又はユニットは燃焼サイクルの通常の過程で用いられ、第2のフィルタ媒体又はユニットは、通常の燃焼サイクルで用いられるフィルタを不必要にファウリングすることなくクリーニング物質及び除去されたブレード堆積物を収集するためにクリーニングサイクル中に用いることができる。発明的なシステムは、フィルタ間のこうした切り替えを容易にするために適切なデバイスを組み込むことができる可能性がある。
【0095】
例となる実施形態
ここで、本開示を限定するものとなることを意図されず、むしろ例示的な実施形態を示すために提供される、以下の実施例を具体的に参照して本開示が説明されることになる。
【0096】
図3は、本明細書で開示されるシステム及び方法に従って使用されてもよい燃焼器1000の例となる実施形態を例証する。燃焼器1000は、燃料入口1004及びO入口1006を通してその中に燃料及びOが誘導される燃焼チャンバ1002を画定してもよい。したがって、燃料は、燃焼して燃焼生成物ストリーム1008を生成してもよい。燃焼器1000は、外側ケーシング1010と内側ケーシング1012とを備えるケーシングを備えてもよい。内側ケーシング1012は、ケーシング上に入射する熱を減らすように構成されるトランスピレーション層1016を画定するために、トランスピレーション流体1014を受け入れ、且つそれを通して流体を発散させるように構成される多孔質焼結材料(例えば、多孔質焼結金属材料)のようなトランスピレーション材料を含んでいてもよい。トランスピレーション流体1014は、幾つかの実施形態では入口1026を通して受け入れられる場合があるが、トランスピレーション流体は、以下で説明されるように幾つかの実施形態では燃焼器に取り付けられたタービンから受け入れられる場合がある。したがって、燃焼器1000は、超合金のような高価な耐熱材料を使用することなく燃焼チャンバ1002の中で生じた熱に耐えるように構成されてもよく、及び/又は、燃焼器は、増加した燃焼温度で作動してもよい。
【0097】
上記で説明されたように、燃焼器によって生じる燃焼生成物ストリームは、タービンを駆動するのに使用されてもよい。これに関して、図4は、タービン2000の例となる実施形態を例証する。一実施形態では、タービン2000は、燃焼器(例えば、燃焼器1000)の出口につながり且つ燃焼生成物ストリーム(例えば、燃焼生成物ストリーム1008)をタービンのケーシング2004の入口に誘導するように構成された入口導管2002を含んでもよい。タービン2000は、複数のブレード2008が取り付けられるロータ2006を備えてもよい。ロータ2006は、ロータの周りに燃焼生成物ストリームを分流させるように構成された環状分流器2010を備えてもよい。したがって、燃焼生成物ストリーム1008は、タービン2000を通して移動する間に膨張して、タービン排気ストリーム2012が1つ又は複数の出口2014を通して排気される前にブレード2008にロータ2006及びパワーシャフト2011(これはロータと一体であってもよく、又はロータに結合されてもよい)を回転させてもよい。したがって、タービン2000は、発生器又は他のデバイスを駆動してもよい。
【0098】
図4でさらに例証されるように、入口導管2002は、内側ケーシング2016及び外側ケーシング2018を備えてもよい。さらに、タービン2000のケーシング2004は、内側ケーシング2020及び外側ケーシング2022を備えてもよい。トランスピレーション流体2024は、入口2026から入口導管2002及びタービン2000の内側ケーシング2016、2020と外側ケーシング2018、2022との間に誘導されてもよい。内側ケーシング2016、2020は、トランスピレーション流体2024を受け入れ、且つそれを通して流体を発散させるように構成される多孔質焼結材料(例えば、多孔質焼結金属材料)のようなトランスピレーション材料を含んでいてもよい。これにより、燃焼生成物ストリーム1008と入口導管2002の内面との間にトランスピレーション層2028が画定されてもよく、ブレード2008と内側ケーシング2020の内面との間にトランスピレーション層2030が画定されてもよく、内側ケーシングは、トランスピレーション流体2024によって冷却され又は他の方法で保護されてもよい。幾つかの実施形態では、タービンに提供されるトランスピレーション流体はまた、トランスピレーション冷却のために燃焼器に提供されてもよい。これに関して、例えば、入口導管は、幾つかの実施形態ではそれにトランスピレーション流体が提供されるように燃焼器に嵌合してもよい。しかしながら、燃焼器に提供されるトランスピレーション流体は、幾つかの実施形態では付加的に又は代替的に別個の入口1026から提供されてもよい。
【0099】
さらに、トランスピレーション流体2024はまた、幾つかの実施形態ではパワーシャフト2011の中に画定されてもよい第2の入口2032を通してタービン2000の中に導入されてもよい。したがって、トランスピレーション流体2024は、パワーシャフト2011を通してロータ2006の中に移動してもよい。ロータ2006及び/又はブレード2008は、トランスピレーション流体2024を受け入れ、且つそれを通してその外面に流体を発散させるように構成される多孔質焼結材料(例えば、多孔質焼結金属材料)のようなトランスピレーション材料を含んでいてもよい。したがって、ロータ2006及び/又はブレード2008は、トランスピレーション流体2024によって冷却され又は他の方法で燃焼生成物ストリーム1008及びその中の微粒子から保護されてもよい。
【0100】
図5及び図6は、タービン2000’の代替的実施形態を例証する。例証されるように、複数の燃焼器1000’は、タービン2000’を駆動するように構成されてもよい。特に、燃焼器2000’は、図6で例証されるようにロータ2006’によって画定される主軸に関して半径方向に配置されてもよい。図5に示すように、タービン2000’は、燃焼器1000’がロータ2006’の周縁の周りに燃焼生成物ストリーム1008’を供給する可能性があること以外は図4で例証されるタービン2000の実施形態と実質的に類似している場合がある。したがって、ロータ2006’の周りに燃焼生成物ストリーム1008’を分流させるのに環状分流器は必要とされなくてもよい。燃焼器1000’のそれぞれは、ロータ2006’の周りの燃焼器の位置以外は上記で説明された燃焼器1000と実質的に類似していてもよい。
【0101】
図7は、本明細書で開示されるタービンに使用されてもよいタービン翼2008Aの一実施形態の横方向の断面図を例証する。タービン翼2008Aは外側層3002及びコア3004を備えてもよい。コア3004は、補強部材として構成される比較的強い金属又は他の材料を画定してもよい。本明細書で用いられる場合の強い金属とは、適切な高い温度で約10,000PSIを超える、約20,000PSIを超える、又は約30,000PSIを超える強度をもち、且つ適切な温度で化学的耐久性のある金属を指す。例は、Inconelなどのようなステンレス鋼合金及び高ニッケル合金を含む。したがって、本開示は、比較的非常に高いニッケル及びコバルトの含有量を有し、したがって非常に高価である典型的な超合金の代わりに、より低いニッケル及びコバルトの含有量をもつステンレス鋼(例えば、316ステンレス鋼)又は他の合金のようなより低コストの合金が用いられることを可能にする。これに関して、多結晶316ステンレス鋼は、多結晶超合金よりも1ポンドあたり20倍ほども安価であり、単結晶超合金ブレードよりも1ポンドあたり2000倍安い可能性がある。
【0102】
さらに、コア3004は、1つ又は複数のチャネル3006を画定してもよい。チャネル3006は、トランスピレーション流体を受け入れ、且つトランスピレーション流体を外側層3002の中に誘導するように構成されてもよい。外側層3002は、幾つかの実施形態ではブレード2008Aの外面3008の一部又は全体を画定してもよい。さらに、外側層3002は、多孔質焼結金属材料のような多孔質材料を含んでいてもよい。したがって、コア3004の中のチャネル3006は、トランスピレーション流体を受け入れ、且つトランスピレーション流体を外側層3002の中に誘導するように構成されてもよい。したがって、トランスピレーション流体は、タービン翼2008Aの外側層3002を通して流れ、熱及び/又は微粒子との衝突からタービン翼を保護してもよいトランスピレーション層をタービン翼の外面3008の周りに提供してもよい。これに関して、本明細書で開示されるシステムのタービン翼及び/又は他の構成部品は、トランスピレーション保護されてもよく、これはトランスピレーションが構成部品を冷却するかどうかに関係なくトランスピレーション流体がその表面の少なくとも一部に誘導されることを意味することを理解されたい。例えば、構成部品は、トランスピレーション流体の温度に関係なく微粒子又は他の物質との衝突から構成部品の表面を保護するトランスピレーション流体によってトランスピレーション保護されてもよい。逆に、構成部品は、構成部品を冷却する又は構成部品の加熱を低減させる障壁として作用するトランスピレーション流体によって付加的に又は代替的にトランスピレーション保護されてもよい。
【0103】
上記で説明されたように、トランスピレーション流体は、本明細書で説明されるシステム及び組立体に関連する他の構成部品に付加的に又は代替的に使用されてもよい。これに関して、図8は、燃焼器からタービンに燃焼生成物ストリームを送達するように構成される入口導管2002Aの一部の断面図を例証する。入口導管2002Aは、内側層4002及び外側層4004を備えてもよい。外側層4004はシェルを含んでもよく、シェルは、入口導管2002Aに強度を提供するように構成される上記で説明されたように強い金属を含んでいてもよい。さらに、外側層4004は、1つ又は複数のチャネル4006を画定してもよい。チャネル4006は、トランスピレーション流体を受け入れ、且つトランスピレーション流体を内側層4002の中に誘導するように構成されてもよい。内側層4002は、幾つかの実施形態では入口導管2002Aの内面4008の一部又は全体を画定してもよい。さらに、内側層4002は、多孔質焼結金属材料のような多孔質材料を含んでいてもよい。したがって、外側層4004の中のチャネル4006は、トランスピレーション流体を受け入れ、且つトランスピレーション流体を内側層4002の中に誘導するように構成されてもよい。したがって、トランスピレーション流体は、入口導管2002Aの内側層4002を通して流れてもよく、熱及び/又は微粒子との衝突から入口導管を保護してもよいトランスピレーション層を入口導管の内面4008に提供する。
【0104】
図9で例証されるように、入口導管2002Bの一実施形態では、断熱層4010及び第2の外側層4012が付加的に提供されてもよい。断熱層4010及び第2の外側層4012は、幾つかの実施形態では内側層4002及び外側層4004を取り囲んでもよい。断熱層4010は、その中により多くの熱を保持するように入口導管2002Bを断熱してもよく、これは、使用されるシステムの効率を増加させる可能性がある。さらに、第2の外側層4012は、入口導管2002Bに付加的な強度を提供してもよい。しかしながら、上記で説明された種々の材料層及び機能部は、燃焼器のような本明細書で説明されるシステム及び組立体の他の構成部品に付加的に又は代替的に使用されてもよい。
【0105】
図10は、代替的実施形態に係るタービン翼2008Bの長手方向の断面図を例証する。タービン翼2008Bは、1つ又は複数のロッド5014のような1つ又は複数の補強部材を備えてもよい。ロッド5014は、タービン翼2008Bに強度を提供するように構成される金属材料又は他の材料を含んでいてもよい。
【0106】
タービン翼2008Bは、1つ又は複数のチャネル5006をさらに画定してもよい。チャネル5006は、トランスピレーション流体を受け入れ、且つトランスピレーション流体をタービン翼2008Bを画定する材料の中に誘導するように構成されてもよい。これに関して、タービン翼2008Bは、多孔質焼結金属材料のような多孔質材料を含んでいてもよい。したがって、タービン翼2008Bの中のチャネル5006は、熱及び/又は微粒子との衝突からタービン翼を保護してもよいトランスピレーション層をタービン翼の外面5008に提供するために、トランスピレーション流体を受け入れ、且つタービン翼を通してトランスピレーション流体を誘導するように構成されてもよい。
【0107】
幾つかの実施形態では、タービン翼2008Bは、タービン翼の後縁5018におけるトランスピレーション流体の流れよりも大きいタービン翼の前縁5016におけるトランスピレーション流体の流れを画定するように構成されてもよい。これは、前縁により大きい保護を提供する可能性があり、これは前縁がそうでなければタービン翼の残りの部分よりも粒子とより衝突しやすい傾向があるので望ましい場合がある。これに関して、タービン翼2008Bの中の1つ又は複数のチャネル5006は、後縁5018(例えば、チャネル5006B参照)における1つ又は複数のチャネルのトランスピレーション流体入口面積よりも大きい前縁5016(例えば、チャネル5006A参照)におけるトランスピレーション流体入口面積を画定してもよい。代替的に、後縁よりも前縁においてより多くの数のチャネルが画定されてもよい。
【0108】
図11図13は、タービン翼2008Cの代替的実施形態を例証する。例証されるように、タービン翼2008Cは、1つ又は複数の内部リブ6020を備える一体構造を画定してもよい。内部リブ6020は、タービン翼2008Cに強度を提供するように構成される補強部材として機能してもよい。内部リブ6020は、タービン翼2008Cの外側層6002及び/又はベース部材6022と一体に形成されてもよい。
【0109】
タービン翼2008Cは、内部リブ6020によって分離されてもよい1つ又は複数のチャネル6006を含んでもよい。チャネル6006は、トランスピレーション流体を受け入れ(例えば、それにベース部材6022を取り付けるロータから)、且つ外側層6002を通してトランスピレーション流体を誘導するように構成されてもよい。これに関して、タービン翼2008Cは、多孔質焼結金属材料のような多孔質材料を含んでいてもよい。したがって、タービン翼2008Cの中のチャネル6006は、熱及び/又は微粒子との衝突からタービン翼を保護してもよいトランスピレーション層をタービン翼の外面6008に提供するために、トランスピレーション流体を受け入れ、且つタービン翼の外側層6002を通してトランスピレーション流体を誘導するように構成されてもよい。さらに例証されるように、タービン翼2008Cの中のチャネル6006は、後縁6018(例えば、チャネル6006B参照)における1つ又は複数のチャネルのトランスピレーション流体入口面積よりも大きい前縁6016(例えば、チャネル6006A参照)におけるトランスピレーション流体入口面積を画定してもよい。したがって、幾つかの実施形態では、タービン翼2008Cは、タービン翼の後縁6018におけるトランスピレーション流体の流れよりも大きいタービン翼の前縁6016におけるトランスピレーション流体の流れを画定するように構成されてもよい。
【0110】
図14は、タービン翼2008Dの付加的な実施形態の横方向の断面図を例証する。例証されるように、タービン翼2008Dは、前縁7016における壁厚よりも大きい後縁7018における壁厚を画定する外側層7002を備えてもよい。これに関して、タービン翼2008Dは、多孔質焼結金属材料のような多孔質材料を含んでいてもよい。したがって、トランスピレーション流体は、熱及び/又は微粒子との衝突からタービン翼を保護してもよいトランスピレーション層をタービン翼の外面7008に提供するために、外側層7002を通して移動するようにタービン翼2008Dを通して誘導されてもよい。外側層7002の壁厚は前縁7016よりも後縁7018においてより大きいので、タービン翼2008Dは、後縁におけるトランスピレーション流体の流れよりも大きい前縁におけるトランスピレーション流体の流れを画定してもよい。
【0111】
さらに、本明細書で開示される種々の実施形態に係るタービン翼は、タービン翼の根元と先端(例えば、図13で例証されるタービン翼2008Cの根元6026と先端6028参照)との間で変化する多孔率を画定してもよい。これに関して、幾つかの実施形態では、本明細書で開示されるタービン翼は、タービン翼の根元におけるトランスピレーション流体の流れよりも大きいタービン翼の先端におけるトランスピレーション流体の流れを画定するように構成されてもよい。これは、タービン翼に付加的な保護を提供してもよく、これは、タービン翼の先端がタービン翼上のあらゆる他の点よりも高い速度で動くので望ましい場合がある。
【0112】
例えば、図15Aは、タービン翼2008Eの長手方向の断面図を概略的に例証する。例証されるように、タービン翼2008Eは、根元8026と先端8028との間で異なる多孔率を画定する。特に、タービン翼2008Eは、比較的より多くのトランスピレーション流体がタービン翼の根元ではなくタービン翼の先端で流出してもよいように根元8026よりも先端8028においてより多孔質である。これに関して、タービン翼2008Eは、上述のようにそれを通してトランスピレーション流体を発散させるように構成される多孔質焼結金属材料のような多孔質材料を含んでいてもよい。例証されるように、幾つかの実施形態では、多孔質材料は、複数の層8030A~Dを画定してもよく、この場合、層の多孔率は根元から先端にかけて増加する。層8030A~Dは、異なる材料によって又は種々の程度に焼結されている同じ材料によって画定されてもよく、したがって、その多孔率は変化する。幾つかの実施形態では、層は一緒にラミネートされてもよいが、層は種々の他の方法で取り付けられてもよい。
【0113】
別の実施形態では、図15Bで例証されるように、タービン翼2008E’は、図15Bに関して上記で説明されたように根元8026’と先端8028’との間で異なる多孔率を画定する。しかしながら、例証されるように、幾つかの実施形態では、多孔質材料は、多孔率勾配を画定してもよく、例えば、材料の多孔率は、8026’から先端8028’にかけて増加する。これに関して、材料の多孔率は、幾つかの実施形態では異なる多孔率を画定する別個の層が存在しない状態で種々の場所で変化してもよい。
【0114】
タービン翼に関する種々の他の構成が使用されてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、タービン翼は、タービン翼の後縁におけるトランスピレーション流体の流れに実質的に等しい又はこれよりも少ない前縁におけるトランスピレーション流体の流れを画定するように構成されてもよい。さらに、幾つかの実施形態では、タービン翼は、タービン翼の根元におけるトランスピレーション流体の流れに実質的に等しい又はこれよりも少ない先端におけるトランスピレーション流体の流れを画定するように構成されてもよい。さらに、前縁と後縁との間の多孔率の変化はまた、根元と先端との間のトランスピレーション流れを制御することに関して説明したのと類似した方法でブレードの外へのトランスピレーション流体の流れを制御するのに用いられてもよい。
【0115】
したがって、例えば、タービン翼(又は他の構成部品)を画定する材料の多孔率は、根元と先端との間で増加する、根元と先端との間で減少する、ブレードの外側部分に対して中央において比較的より高く又はより低くなる、前縁から後縁にかけて増加又は減少するなどであってもよい。多孔率勾配又は多孔率層は、約10%多孔率から約90%多孔率まで、約25%多孔率から約75%多孔率まで、又は約1%多孔率から約25%多孔率まで増加又は減少してもよい。
【0116】
したがって、トランスピレーション流体は、本明細書で開示されるシステム及び組立体の種々の構成部品を冷却する及び/又は他の方法で保護するように構成されてもよい。これに関して、図16は、タービン翼906の外面904に対する100μm灰粒子902に関する計算された軌道900を例証する。灰粒子軌道900は、タービン翼の外面904から2m/秒で発散するCOトランスピレーション流体の流れ908と共にタービン翼906の方に75m/秒で最初に移動する灰粒子902に基づいてモデル化される。タービンの中の循環流体は、300バール(30MPa)及び700℃であってもよい。例証されるように、トランスピレーション流体908は、灰粒子902がタービン翼906に接触してくるのを防ぐ。特に、灰粒子902は、タービン翼の外面904から約0.2mmに来るように計算される。したがって、タービン翼906の侵食が回避される可能性がある。
【0117】
同様に、図17は、燃焼器1006の内面1004に対する50μm灰粒子1002に関する計算された粒子軌道1000の本開示に係る一例を例証する。灰粒子軌道1000は、約3メートル毎秒の燃焼ガスの軸方向の流速、約90%を超えるCOの燃焼ガス組成、約1,500℃の燃焼ガス温度、約300バール(30MPa)の圧力、及び半径方向(例えば、軸方向の燃焼ガスの流れに垂直)に約1メートル毎秒のトランスピレーション流体1008の半径方向のトランスピレーション流量のときの燃焼器1006の内面1004に対して垂直に50m/秒の速度で最初に移動する灰粒子1002に基づいてモデル化される。例証されるように、トランスピレーション流体1008は、灰粒子1002が燃焼器1006の内面1004に接触してくるのを防ぐ。灰粒子1002は、燃焼器1006の内面1004から約0.2mmにだけ来るように計算される。したがって、燃焼器1006の内面1004の侵食が回避される可能性がある。
【0118】
以下の表1は、従来の発電所天然ガスタービン設計の作動に関する種々のパラメータを提供する。こうした典型的なタービン1100の断面が図18に示される。比較として、以下の表2は、本開示に係る高圧低速タービンの作動に関する同じパラメータを提供する。本開示に係る例示的なタービン1200の断面が図19に示される。従来のタービン1100を本開示のタービン1200と比較することでおそらく分かるように、本開示のタービンは、幾つかの実施形態では本開示のタービンが従来のタービンのタービン翼1108に比べて比較的より短いタービン翼2008Fを使用することに起因して比較的より小さい直径を画定する可能性がある。これに関して、以下の表に示されるように、本開示のタービン1200のタービン翼2008Fは、幾つかの実施形態では従来のタービン1100のタービン翼1108に比べて比較的より小さい平均内側半径(すなわち、ロータの中心2006Fからタービン翼の根元まで)、平均外側半径(すなわち、ロータの中心からタービン翼の先端まで)、及び平均半径(内側半径及び外側半径の平均)を画定する可能性がある。また、本開示のタービン1200は、従来のタービン1100に比べて比較的より大きい長さ対直径比を画定する可能性がある。さらに、本開示のタービン1200は、従来のタービン1100よりも比較的多い数のタービン翼2008Fを含む可能性がある。加えて、本開示のタービン1200のロータ2006Fの直径は、従来のタービン1100のロータ1106の直径よりも小さい可能性がある。
【表1】
【表2】
【0119】
上記の説明で提示される教示の恩恵を有する本開示に関係する当業者には、本明細書に記載された本開示の多くの修正及び他の実施形態が想起されるであろう。したがって、本開示は開示された具体的な実施形態に限定されず、修正及び他の実施形態が付属の請求項の範囲内に含まれることが意図されることが理解される。本明細書で特定の用語が使用されるが、それらは限定する目的でではなく単に一般的及び記述的な意味で用いられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19