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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】シューズ
(51)【国際特許分類】
   A43B 23/02 20060101AFI20241121BHJP
   A43B 5/06 20220101ALI20241121BHJP
【FI】
A43B23/02 101B
A43B5/06
A43B23/02 101Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020520336
(86)(22)【出願日】2019-09-27
(86)【国際出願番号】 JP2019038264
(87)【国際公開番号】W WO2020067476
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-09-05
(31)【優先権主張番号】P 2018183686
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005935
【氏名又は名称】美津濃株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 陽平
(72)【発明者】
【氏名】清水 雄一
(72)【発明者】
【氏名】中村 勉
(72)【発明者】
【氏名】本多 家将
(72)【発明者】
【氏名】梶原 遥
(72)【発明者】
【氏名】須藤 眞吾
【審査官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-118033(JP,U)
【文献】特開2009-041162(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0319215(US,A1)
【文献】国際公開第2011/090191(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/090193(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/115445(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0247415(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0081836(US,A1)
【文献】特開2020-116409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 23/02
A41B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソールおよびアッパーを備えたシューズであって、
前記アッパーは、アッパー本体を有しており、
前記アッパー本体は、
前記シューズに着用者の足を挿入させるための足挿入部と、
伸縮性を有する素材からなる伸縮部と、
前記伸縮部よりも伸縮しにくい材料からなる非伸縮部と、を有し、
前記足挿入部は、側面視において、着用者の足の踵骨上部と、腓骨および頸骨における内踝および外踝の各々の上部とを結んだ仮想線に対応する位置よりも上方に配置されており、
前記伸縮部は、前記アッパー本体において、着用者の足の内踝および外踝の各々の中心に対応する位置を含みかつ前記足挿入部の位置を含む領域に配置されており、
前記伸縮部は、前記アッパー本体において、着用者の足の内踝に対応する位置から、足の踵部後側に対応する位置を経由して足の外踝に対応する位置まで連続するように配置されており、
前記非伸縮部は、前記アッパー本体において前記伸縮部が占める領域以外の領域に配置されかつ前記アッパー本体において少なくとも着用者の足の爪先部分から踵骨よりも前側の位置に亘る領域に配置されており、
前記伸縮部における上側の周縁部は、前記足挿入部の開口に対応する位置に配置されかつ前記足挿入部における開口の周方向に沿って延びるように構成されており、
前記伸縮部は、前記足挿入部が足長方向の後方に開口しているときに、非伸長状態となるように構成されており、
前記伸縮部は、着用者の足関節底屈状態から背屈状態に移行するに伴って、前記足挿入部の開口が相対的に狭いときの前記非伸長状態から伸長状態に変形し、かつ、該伸長状態から該非伸長状態に弾性的に復元することにより着用者の足関節背屈状態から底屈状態に移行するように構成されている、シューズ。
【請求項2】
請求項1に記載のシューズにおいて、
前記足挿入部は、側面視において前記仮想線に対応する位置の上側近傍に配置されている、シューズ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシューズにおいて、
前記アッパーは、前記伸縮部の外表面および内表面の少なくともいずれか一方に設けられた補強部をさらに有している、シューズ。
【請求項4】
請求項1~のいずれか1項に記載のシューズにおいて、
前記伸縮部は、着用者の足関節底屈状態から背屈状態に移行するに伴い、非伸長状態から伸長状態に変形するように構成されている、シューズ。
【請求項5】
請求項4に記載のシューズにおいて、
前記伸縮部の内表面には、着用者の足の踵部周りを側方および後方から覆うように形成された踵拡張部が設けられており、
前記踵拡張部は、足長方向に沿って切断したときの断面視において、着用者の足の踵部後側に対応する位置から後方に向かって突出している、シューズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シューズに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、シューズを着用した者(以下「着用者」という)の歩行および走行などの各動作を補助するためのシューズとして、例えば特許文献1のようなシューズが提案されている。
【0003】
この特許文献1には、ソールと、足挿入部を有するアッパー本体と、足挿入部の近傍においてアッパー本体の外表面に設けられた弾性材からなる上層部材と、を備えたシューズが開示されている。上層部材は、アッパー本体の後部に配置された弾性領域と、アッパー本体において弾性部よりも前方の位置に配置された回転領域と、を有している。弾性領域および回転領域の各々は、アッパー本体において着用者の足の足首部分に対応して配置されている。弾性領域は、着用者の足のアキレス腱が延びる方向(上下方向)に沿って延びている。回転領域は、着用者の足の距腿関節の位置に対応して配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2010/0319215号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般的に、日常的な歩行動作およびスポーツ時の走行動作では、まず始めに着用者の足の距腿関節を中心とする足関節(以下、単に「足関節」という)により、足の甲部と脛部が互いに接近しかつアキレス腱と腓腹筋とが互いに反対方向に引き伸ばされるような動作(いわゆる背屈)が行われる。その後、足関節により着用者の足の足首部分を足裏の方向に向かって回転させることにより、足の甲部と脛部が互いに離間しかつアキレス腱と腓腹筋とが互いに接近するような動作(いわゆる底屈)が行われる。そして、底屈は、特に走行による移動速度を十分に得るために重要な動作となる。
【0006】
これに対し、特許文献1のシューズにおいて、弾性領域は、回転領域を足幅方向に延びる仮想的な軸心として該軸心回りに上下方向に回動しかつ上下方向に伸長および収縮するように構成されている。かかる構成により、弾性領域は、例えば歩行時または走行時において背屈に応じて上下方向に伸長する。弾性領域には、該伸長によりひずみエネルギーが蓄積される。背屈の後に底屈が行われると、弾性領域に蓄積された上記ひずみエネルギーが解放される。そして、弾性領域は、非伸長状態に復元するように収縮する。このように、特許文献1のシューズでは、特に底屈を補助するための機能を有している。このため、歩行動作および走行動作が容易になるとともに、走行時において移動速度を十分に得ることが可能となる。
【0007】
しかしながら、特許文献1のシューズでは、弾性領域および回転領域が着用者の足に対して適切に位置決めされるように構成されていない。このため、弾性領域および回転領域の各位置が、着用者の足関節を中心とする各部位の位置からずれてしまう場合があった。特に、回転領域の位置が着用者の足関節の位置に適合しない場合には、弾性領域を適切な位置で伸長および収縮させることが困難となる。その結果、特許文献1のシューズでは、背屈および底屈を適切に補助することができないおそれがあった。
【0008】
また、一般的に、人体の足は、足関節により背屈および底屈以外の動作(すなわち、外転、内転、内反、外反、内がえし、外がえし等)も行うことが可能である。しかしながら、特許文献1のシューズでは、背屈および底屈を補助するための構成を有している反面、上述のような背屈および底屈以外の動作に対して適切に補助するための構成を有していなかった。すなわち、特許文献1のシューズでは、背屈および底屈以外の動作を適切に補助することができなかった。
【0009】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、着用者の足関節による様々な動作を適切に補助することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の形態はソールおよびアッパーを備えたシューズに係るものであり、アッパーは、アッパー本体を有している。アッパー本体は、シューズに着用者の足を挿入させるための足挿入部と、伸縮性を有する素材からなる伸縮部と、伸縮部よりも伸縮しにくい材料からなる非伸縮部と、を有している。足挿入部は、側面視において、着用者の足の踵骨上部と、腓骨および頸骨における内踝および外踝の各々の上部とを結んだ仮想線に対応する位置よりも上方に配置されている。伸縮部は、アッパー本体において、着用者の足の内踝および外踝の各々の中心に対応する位置を含みかつ足挿入部の位置を含む領域に配置されている。伸縮部は、アッパー本体において、着用者の足の内踝に対応する位置から、足の踵部後側に対応する位置を経由して足の外踝に対応する位置まで連続するように配置されている。非伸縮部は、アッパー本体において伸縮部が占める領域以外の領域に配置されかつアッパー本体において少なくとも着用者の足の爪先部分から踵骨よりも前側の位置に亘る領域に配置されている。伸縮部における上側の周縁部は、足挿入部の開口に対応する位置に配置されかつ足挿入部における開口の周方向に沿って延びるように構成されている。伸縮部は、足挿入部が足長方向の後方に開口しているときに、非伸長状態となるように構成されている。そして、伸縮部は、着用者の足関節が底屈状態から背屈状態に移行するに伴って、足挿入部の開口が相対的に狭いときの非伸長状態から伸長状態に変形し、かつ、該伸長状態から該非伸長状態に弾性的に復元することにより着用者の足関節が背屈状態から底屈状態に移行するように構成されていることを特徴とする。
【0011】
この第1の形態のように、伸縮部は、アッパー本体において、着用者の足の内踝および外踝の各々の中心に対応する位置を含みかつ足挿入部の位置を含む領域に配置されている。すなわち、伸縮部は、着用者の足関節に対応する位置に配置されている。これにより、伸縮部は、着用者の足関節による様々な動作(すなわち、背屈、底屈、外転、内転、内反、外反、内がえし、外がえし等)に対応して伸長および収縮することが可能となる。
【0012】
そして、伸縮部は、非伸長状態から伸長状態に変形しかつ伸長状態から非伸長状態に弾性的に復元するように構成されている。具体的に、着用者の足関節が所定の方向に向かって動作した場合には、伸縮部が、該所定の方向に向かって伸長するように変形する。すなわち、伸縮部は、非伸長状態から伸長状態に変形するようになる。このとき、伸縮部には、伸長によりひずみエネルギーが蓄積される。次に、着用者の足関節が上記所定の方向に動作した後に足関節が該所定の方向と反対方向に動作すると、伸縮部に蓄積された上記ひずみエネルギーが解放される。これにより、伸縮部には、弾性的な復元力が上記反対方向に向かって生じるようになる。すなわち、伸縮部は、伸長状態から非伸長状態に弾性的に復元するように収縮する。かかる構成により、着用者の足において特に足関節よりも下側に位置する部位が元の状態に戻りやすくなる。このように、第1の形態では、着用者の足関節による様々な動作を適切に補助することが可能となる。そして、着用者の足関節の様々な動作を、特に各種目の運動競技に求められる動作に適合するようにコントロールすることができる。したがって、第1の形態では、着用者の足関節による様々な動作を適切に補助することができる。
【0013】
さらに、第1の形態では、伸縮部が、着用者の足の内踝に対応する位置から、足の踵部後側に対応する位置を経由して足の外踝に対応する位置まで連続している。すなわち、伸縮部は、着用者の足関節に対応する位置を側方および後方から覆うように構成されている。かかる構成により、着用者の足関節による様々な動作を適切に補助することができる。
【0014】
第2の形態は、第1の形態において、足挿入部は、側面視において仮想線に対応する位置の上側近傍に配置されていることを特徴とする。
【0015】
第2の形態では、足挿入部が、側面視において仮想線に対応する位置の上側近傍に配置されている。このように、伸縮部を最小限の領域に抑えた形態であっても、伸縮部を、アッパー本体において着用者の足の内踝および外踝の各々に対応する位置に配置することが可能となる。その結果、第2の形態では、上記第1の形態と同様に、着用者の足関節による様々な動作を適切に補助することができる。また、第2の形態では、軽量化できるとともに、履きやすさを担保することができる。
【0016】
第3の形態は、第1または第2の形態において、アッパーは、伸縮部の外表面および内表面の少なくともいずれか一方に設けられた補強部をさらに有していることを特徴とする。
【0017】
この第3の形態では、伸縮部の内表面に設けられた補強部により、伸縮部とともに、着用者の足の足関節による動作(特に背屈および底屈)を補助することができる。
【0018】
第4の形態は、第1~第3のいずれか1つの形態において、伸縮部は、着用者の足関節が底屈状態から背屈状態に移行するに伴い、非伸長状態から伸長状態に変形するように構成されていることを特徴とする。
【0019】
第4の形態では、伸縮部は、着用者の足関節が底屈状態から背屈状態に移行するに伴い、非伸長状態から伸長状態に変形するように構成されている。かかる構成により、伸縮部には、着用者の足の足関節が底屈した状態から背屈動作に移行するに伴って上記ひずみエネルギーが生じる。そして、このひずみエネルギーが伸縮部に蓄積される。その結果、主に着用者の足関節が底屈した状態から背屈動作に移行する動作を適切に補助することができる。
【0020】
第5の形態は、第4の形態において、伸縮部の内表面には、着用者の足の踵部周りを側方および後方から覆うように形成された踵拡張部が設けられており、踵拡張部は、足長方向に沿って切断したときの断面視において、着用者の足の踵部後側に対応する位置から後方に向かって突出していることを特徴とする。
【0021】
第5の形態では、踵拡張部を伸縮部の内表面に設けたことにより、着用者の足における足長方向の長さが相対的に拡張される。その結果、伸縮部における内表面の総面積が、踵拡張部を備えない構成と比較して、足長方向において相対的に大きく確保される。すなわち、踵拡張部を備えた構成では、伸縮部における足長方向の伸長範囲が相対的に大きくなる。このため、伸縮部が非伸長状態から伸長状態に変形するときに、伸縮部に大きなひずみエネルギーが蓄積されやすくなる。したがって、着用者の足関節における底屈を補助するという伸縮部のサポート性を高めることができる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明によると、着用者の足関節による様々な動作を適切に補助することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、第1実施形態に係るシューズを、足の骨格構造と併せて外甲側から見て示す側面図である。
図2図2は、第1実施形態に係るシューズを、足の骨格構造と併せて内甲側から見て示す側面図である。
図3図3は、第1実施形態に係るシューズを、後方から見て示す斜視図である。
図4図4は、着用者の足が後傾状態から直立状態に移行したときの第1実施形態に係るシューズを示す図2相当図である。
図5図5は、第1実施形態の変形例1に係るシューズを、足の骨格構造と併せて外甲側から見て示す側面図である。
図6図6は、第1実施形態の変形例1に係るシューズを、後方から見て示す斜視図である。
図7図7は、第1実施形態の変形例2に係るシューズを、足の骨格構造と併せて外甲側から見て示す側面図である。
図8図8は、第2実施形態に係るシューズを示す平面図である。
図9図9は、第2実施形態に係るシューズを、足の骨格構造と併せて外甲側から見て示す側面図である。
図10図10は、第2実施形態に係るシューズを、足の骨格構造と併せて内甲側から見て示す側面図である。
図11図11は、図8のXI-XI線断面図である。
図12図12は、図8のXII-XII線断面図である。
図13図13は、第3実施形態に係るシューズを外甲側から見て示す側面図である。
図14図14は、第3実施形態に係るシューズを内甲側から見て示す側面図である。
図15図15は、第4実施形態に係るシューズを外甲側から見て示す側面図である。
図16図16は、第4実施形態に係るシューズを内甲側から見て示す側面図である。
図17図17は、第4実施形態に係るシューズの縦断面構成を示す図11相当図である。
図18図18は、第5実施形態に係るシューズを外甲側から見て示す側面図である。
図19図19は、図18に示したアンカー部をアッパー本体から取り外した状態を概略的に示す側面図である。
図20図20は、第6実施形態に係るシューズを外甲側から見て示す側面図である。
図21図21は、第6実施形態に係るシューズの縦断面構成を示す図11相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の各実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0025】
[第1実施形態]
図1図4は、本発明の第1実施形態に係るシューズ1の全体を示している。このシューズ1は、主にランニング用や各種競技用のスポーツシューズとして使用される。なお、シューズ1を、日常使用のシューズおよびリハビリ用シューズとして使用してもよい。
【0026】
ここで、シューズ1は、左足用シューズのみを例示している。右足用シューズは、左足用シューズと左右対称になるように構成されているので、以下の説明では左足用シューズのみについて説明し、右足用シューズの説明は省略する。
【0027】
また、以下の説明において、上側および下側とはシューズ1の上下方向の位置関係を表し、前方(前側)および後方(後側)とはシューズ1の足長方向の位置関係を表し、内甲側および外甲側とはシューズ1の足幅方向の位置関係を表すものとする。
【0028】
(ソール)
図1図4に示すように、シューズ1は、ソール2を備えている。この実施形態において、ソール2は、アウトソール3およびクリーツ部4,4,…により構成されている。
【0029】
アウトソール3は、着用者の足の前足部から後足部に亘る範囲に対応して配設されている。アウトソール3は、比較的高い硬度を有する硬質弾性部材で構成されており、例えばポリエーテルブロックアミド(PEBA)やポリアミド等の熱可塑性樹脂が適している。
【0030】
なお、この実施形態では、着用者の足の踵骨HLの位置に対応するソール2の接地面を、地面または路面に水平な基準面S(図1および図2の一点鎖線を参照)として定めるものとする。
【0031】
(アッパー)
次に、図1図4に示すように、シューズ1は、着用者の足を覆うためのアッパー10を備えている。
【0032】
(アッパー本体)
アッパー10は、アッパー本体11を有している。アッパー本体11は、着用者の足の爪先部分から少なくとも着用者の足の腓骨および頸骨において内踝MMおよび外踝LMよりも上方に位置する足首部分(以下「足首部分」という)に亘る範囲を覆うように構成されている。
【0033】
(足挿入部)
図1および図2に示すように、アッパー本体11は、足挿入部12を含む。足挿入部12は、側面視において、着用者の足における踵骨HLの上部と、腓骨および頸骨における内踝MMおよび外踝LMの各々の上部とを結んだ仮想線Cに対応する位置よりも上方に配置されている。この実施形態において、足挿入部12は、側面視において仮想線Cに対応する位置の上側近傍に配置されている。
【0034】
ここで、仮想線Cは、踵骨HLの上部と、内踝MMおよび外踝LMの各々の中心Aから約2cmだけ離れた位置までの距離を半径とする仮想的な円(図1および図2に示した符号Bを参照)の上部とを結んだ線として定義される。なお、図1および図2に示した円Bの大きさは、一般的な成人男性における足の内踝MMおよび外踝LMを基準として規定している。
【0035】
(伸縮部)
図1図4に示すように、アッパー本体11は、伸縮部15および非伸縮部16を含む。伸縮部15は、伸縮性を有する素材からなる。具体的に、伸縮部15は、例えば伸縮性を有するテキスタイル材からなる。一方、非伸縮部16は、伸縮部15よりも伸縮しにくい材料からなる。具体的に、アッパー本体11は、例えば編物や織物等のテキスタイル、不織布、合成皮革、人工皮革、天然皮革により構成されている。なお、図1図4では、伸縮部15が配置された領域を強調して示すために、当該領域にドットによるハッチングを付している。
【0036】
伸縮部15は、アッパー本体11において、着用者の足の内踝MMおよび外踝LMの各々の中心Aに対応する位置を含みかつ足挿入部12の位置を含む領域に配置されている。また、伸縮部15は、着用者の足の内踝MMに対応する位置から、足の踵部HL後側に対応する位置を経由して足の外踝LMに対応する位置まで連続している。一方、非伸縮部16は、アッパー本体11において伸縮部15が占める領域以外の領域に配置されている。そして、伸縮部15および非伸縮部16は、縫製などにより一体に形成されている。
【0037】
ここで、図1図3に示すように、着用者がシューズ1を履いていないとき又は着用者が脱力した状態でシューズ1を履いているときには、足挿入部12が足長方向の後方に開口し(図3参照)かつ伸縮部15が非伸長状態となる。すなわち、アッパー本体11は、着用者が脱力した状態でシューズ1を履いたときに、着用者の足の距腿関節を中心とする足関節(以下、単に「足関節」という)が底屈した状態となるように構成されている。
【0038】
なお、上記「底屈した状態」とは、着用者が脱力した状態でシューズ1を履いたときに、着用者の足の足首部分がソール2の基準面Sに直交する鉛直上下方向に対し後方に5~50°の範囲(図1および図2に示した角度θを参照)で傾いた方向に沿うようになるのが好ましい。
【0039】
そして、伸縮部15は、非伸長状態から伸長状態に変形しかつ伸長状態から非伸長状態に弾性的に復元するように構成されている。具体的に、図4に示すように、伸縮部15は、着用者の足が後傾状態から直立状態に移行するに伴い、非伸長状態から伸長状態に変形するように構成されている。
【0040】
[第1実施形態の作用効果]
以上のように、伸縮部15は、アッパー本体11において、着用者の足の内踝MMおよび外踝LMの各々の中心Aに対応する位置を含みかつ足挿入部12の位置を含む領域に配置されている。すなわち、伸縮部15は、着用者の足関節に対応する位置に配置されている。これにより、伸縮部15は、着用者の足関節による様々な動作(すなわち、背屈、底屈、外転、内転、内反、外反、内がえし、外がえし等)に対応して伸長および収縮することが可能となる。
【0041】
そして、伸縮部15は、非伸長状態から伸長状態に変形しかつ伸長状態から非伸長状態に弾性的に復元するように構成されている。具体的に、着用者の足関節が所定の方向に向かって動作した場合には、伸縮部15が、該所定の方向に向かって伸長するように変形する。すなわち、伸縮部15は、非伸長状態から伸長状態に変形するようになる。このとき、伸縮部15には、伸長によりひずみエネルギーが蓄積される。次に、着用者の足関節が上記所定の方向に動作した後に足関節が該所定の方向と反対方向に動作すると、伸縮部15に蓄積された上記ひずみエネルギーが解放される。これにより、伸縮部15には、弾性的な復元力が上記反対方向に向かって生じるようになる。すなわち、伸縮部15は、伸長状態から非伸長状態に弾性的に復元するように収縮する。かかる構成により、着用者の足において特に足関節よりも下側に位置する部位が元の状態に戻りやすくなる。このように、第1実施形態に係るシューズ1では、着用者の足関節による様々な動作を適切に補助することが可能となる。そして、着用者の足関節の様々な動作を、特に各種目の運動競技に求められる動作に適合するようにコントロールすることができる。
【0042】
したがって、第1実施形態に係るシューズ1では、着用者の足関節による様々な動作を適切に補助することができる。
【0043】
また、第1実施形態に係るシューズ1では、足挿入部12が、側面視において仮想線Cに対応する位置の上側近傍に配置されている。このように、伸縮部15を最小限の領域に抑えた形態であっても、伸縮部15を、アッパー本体11において着用者の足の内踝MMおよび外踝LMの各々に対応する位置に配置することが可能となる。その結果、シューズ1では、上述のように、着用者の足関節による様々な動作を適切に補助することができる。
【0044】
ところで、例えば上述した特許文献1のシューズには、着用者の足の内踝および外踝よりも上方に位置しかつ着用者の足を覆う部材(特許文献1の図1に示されたカラーヨーク104を参照)が設けられている。これに対し、第1実施形態に係るシューズ1では、足挿入部12が側面視において仮想線Cに対応する位置の上側近傍に配置されていることから、着用者の足の内踝MMおよび外踝LMよりも上方に足首を覆う部材が存在しない。このため、第1実施形態に係るシューズ1では、上記特許文献1のシューズとの対比において、軽量化できるとともに、履きやすさを担保することができる。
【0045】
また、伸縮部15は、着用者の足の内踝MMに対応する位置から、足の踵部HL後側に対応する位置を経由して足の外踝LMに対応する位置まで連続している。すなわち、伸縮部15は、着用者の足関節に対応する位置を側方および後方から覆うように構成されている。かかる構成により、着用者の足関節による様々な動作を適切に補助することができる。
【0046】
また、伸縮部15は、着用者の足関節が底屈状態から背屈状態に移行するに伴い、非伸長状態から伸長状態に変形するように構成されている。かかる構成により、伸縮部15には、着用者の足の足関節が底屈した状態から背屈動作に移行するに伴って上記ひずみエネルギーが生じる。そして、このひずみエネルギーが伸縮部15に蓄積される。その結果、シューズ1では、主に着用者の足関節が底屈した状態から背屈動作に移行する動作を適切に補助することができる。
【0047】
(第1実施形態の変形例1)
上記第1実施形態に係るシューズ1の変形例として、図5および図6に示すように、アッパー10は、伸縮部15の外表面および内表面の少なくともいずれか一方に設けられた補強部17をさらに有していてもよい。この変形例1では、伸縮部15の内表面に設けられた補強部17を例示している。
【0048】
この変形例1において、補強部17は、例えばシート状に形成されている。補強部17は、伸縮性を有する材料からなる。第1補強部の材料としては、熱硬化性ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、スチレン系エラストマーなどの樹脂材、ラバー材、伸縮性を有するテキスタイル材などが適している。
【0049】
補強部17は、主に着用者の足の踵部HL、内踝MM、および外踝LMに対応する位置に配置されている。また、補強部17は、外甲側から見た側面視において、着用者の足の踵部HLに対応する位置から上方に向かって2つの方向に分岐するように延びている。具体的に、補強部17における一方の分岐部は、伸縮部15において足挿入部12の近傍に配置されていて、着用者の足の踵部HLに対応する位置から外踝LMに対応する位置に向かって延びている。また、補強部17における他方の分岐部は、伸縮部15の下側に位置する非伸縮部16に配置されている。そして、補強部17は、例えば、縫製、接着剤による接着、熱融着、含侵などの方法により伸縮部15および非伸縮部16の内表面に対して固着されている。なお、図示しないが、補強部17は、内甲側から見た側面視においても、上記と同様に構成されている。
【0050】
このような変形例1に係るシューズ1では、伸縮部15の内表面に設けられた補強部17により、伸縮部15とともに、着用者の足の足関節による動作(特に背屈および底屈)を補助することができる。また、補強部17は、伸縮部15および非伸縮部16の双方に跨がって配置されていることから、伸縮部15および非伸縮部16の双方において、着用者の足(特に、踵部HL、内踝MM、および外踝LMに対応する位置)に対するフィット性およびホールド性を高めることもできる。
【0051】
(第1実施形態の変形例2)
また、上記第1実施形態では、伸縮部15が、着用者の足の内踝MMに対応する位置から、足の踵部HL後側に対応する位置を経由して足の外踝LMに対応する位置まで連続している形態を示したが、この形態に限られない。
【0052】
例えば、図7に示した変形例2のように、2つに分離された各伸縮部15が、足の踵部HL後側に対応する位置を経由せずに、着用者の足の内踝MMおよび外踝LMに対応する位置にそれぞれ配置されていてもよい。このような変形例2であっても、伸縮部15を、アッパー本体11において着用者の足の内踝MMおよび外踝LMの各々に対応する位置に配置させることが可能となる。したがって、変形例2に係るシューズ1であっても、上記第1実施形態と同様に、着用者の足関節による様々な動作を適切に補助することができる。
【0053】
なお、この変形例2に係るシューズ1のように、アッパー10は、舌状部9および靴紐50を有していてもよい。また、伸縮部15の外表面には、線状に形成された複数の補強部18,18,・・・が設けられていてもよい。
【0054】
[第2実施形態]
図8図12は、本発明の第2実施形態に係るシューズ1を示す。この実施形態では、第1実施形態と比較して、アッパー10の構成が異なっている。なお、この実施形態に係るシューズ1の他の構成は、第1実施形態に係るシューズ1の構成と同様である。このため、以下の説明では、図1図4と同じ部分について同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0055】
アッパー本体11は、第1~第3位置11a~11cを含む。第1位置11aは、着用者の足首部分の位置に対応している。第2位置11bは、着用者の足の距腿関節の位置に対応している。第3位置11cは、着用者の足の横足根関節(いわゆるショパール関節)の位置に対応している。
【0056】
(足挿入部)
図8図10に示すように、アッパー本体11は、足挿入部12を含む。この実施形態において、足挿入部12は、アッパー本体11の第1位置11aに設けられている。足挿入部12は、第2位置11bから第1位置11aに向かって上方に開口している。なお、足挿入部12は、アッパー本体11の第1位置11aよりも上方に配置されていてもよい。
【0057】
(開口部)
アッパー本体11は、開口部13を含む。開口部13は、足挿入部12の開口領域を拡げるためのものである。開口部13は、足挿入部12と連続している。開口部13は、アッパー本体11において着用者の足の内甲側に対応する位置に配置されている。開口部13は、アッパー本体11の一部が第1位置11aから下方に向かって線状に切り込まれるように形成されている。具体的に、開口部13は、長手方向が着用者の足の内側縦アーチに対応する位置から内踝MMに対応する位置よりも前方の位置を通って第1位置11aに向かうように延びている。
【0058】
なお、一般的に、内側縦アーチは、拇趾中足骨MT1、内側楔状骨CM、舟状骨NB、距骨TB、および踵骨HLにより構成される部位(いわゆる土踏まず)に相当する(図10参照)。
【0059】
(開閉部)
図8および図10に示すように、アッパー本体11は、開閉部14を含む。開閉部14は、開口部13を閉鎖または開放するためのものである。この実施形態において、開閉部14は、線ファスナ機構により構成されている。
【0060】
線ファスナ機構は、一対の務歯部14a,14aおよびスライダ部14bを有している。務歯部14a,14aは、開口部13に位置しかつ互いに向かい合うように配置されている。スライダ部14bは、スライド動作により務歯部14a,14aが互いに接近および離反するように操作可能となっている。
【0061】
線ファスナ機構は、アッパー本体11において着用者の足の内甲側に対応する位置に配置されている。線ファスナ機構は、アッパー本体11において、長手方向が着用者の足の内側縦アーチに対応する位置から内踝MMに対応する位置よりも前方の位置を通って第1位置11aに向かうように延びている。
【0062】
(アンカー部)
図11および図12に示すように、アッパー10は、アンカー部20を有している。アンカー部20の材料としては、熱硬化性ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、スチレン系エラストマーなどの樹脂材、ラバー材、伸縮性を有するテキスタイル材などが適している。
【0063】
アンカー部20は、例えばシート状に形成されている。アンカー部20は、アッパー本体11の内表面に配置されている。アンカー部20は、例えば、縫製、接着剤による接着、熱融着、含侵などの方法によりアッパー本体11の内表面に対して固着されている。
【0064】
アンカー部20は、アッパー本体11の第1位置11aを含む位置に配置されている。すなわち、アンカー部20は、アッパー本体11(後述する伸縮部15)において着用者の足首部分に対応する位置に配置されている。そして、シューズ1を履いた着用者が開閉部14により開口部13を閉鎖した状態では、アンカー部20が着用者の足首部分の周囲に巻き付いた状態となる。すなわち、着用者がシューズ1を履いた状態において、アンカー部20は、アッパー本体11の第1位置11aが着用者の足首部分に対して位置決めされるように構成されている。
【0065】
(第1補強部)
図11および図12に示すように、アッパー10は、第1補強部21を有している。第1補強部21は、伸縮性を有する材料からなる。具体的に、第1補強部21の材料としては、熱硬化性ポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、スチレン系エラストマーなどの樹脂材、ラバー材、伸縮性を有するテキスタイル材などが適している。なお、第1補強部21は、アンカー部20と同じ材料により構成されていてもよく、アンカー部20と異なる材料により構成されていてもよい。
【0066】
第1補強部21は、例えばシート状に形成されている。第1補強部21は、アッパー本体11(後述する伸縮部15)の内表面に配置されている。具体的に、第1補強部21は、例えば、縫製、接着剤による接着、熱融着、含侵などの方法によりアッパー本体11(後述する伸縮部15)の内表面に対して固着されている。
【0067】
第1補強部21は、アッパー本体11において第1位置11aよりも下方に位置するように配置されている。また、第1補強部21は、アッパー本体11において着用者の足の内踝MMおよび外踝LMよりも後方の領域に対応して配置されている。具体的に、第1補強部21は、アッパー本体11において着用者の足の内踝MMおよび外踝LMよりも後方に位置する踵骨HLの後端部から着用者の足のアキレス腱(図示せず)に亘る範囲を含む位置に対応して配置されている。
【0068】
(第2補強部および第3補強部)
図11および図12に示すように、アッパー10は、第2補強部22および第3補強部23を有している。第2補強部22および第3補強部23の各々は、第1補強部21と同様に、伸縮性を有する材料からなり、例えばシート状に形成されている。また、第2補強部22および第3補強部23の各々は、第1補強部21と同様に、アッパー本体11(後述する伸縮部15)の内表面に設けられている。
【0069】
第2補強部22は、アッパー本体11の内甲側において第1位置11aよりも下方に配置されている。第2補強部22は、着用者の足の内踝MMおよび踵骨HLから横足根関節に亘る範囲を含む位置に対応して配置されている。
【0070】
第3補強部23は、アッパー本体11の外甲側において第1位置11aよりも下方に配置されている。第3補強部23は、アッパー本体11の外甲側において着用者の足の外踝LMおよび踵骨HLから横足根関節に亘る範囲を含む位置に対応して配置されている。
【0071】
(伸縮部)
図8図12に示すように、伸縮部15は、着用者の足関節を含む位置を覆うように構成されている。具体的に、この第2実施形態の伸縮部15は、アッパー本体11の足関節対応領域に配置されている。一方、非伸縮部16は、アッパー本体11において足関節対応領域以外の領域に配置されている。
【0072】
足関節対応領域は、アッパー本体11において、着用者の足の踵骨HLおよび距骨TBに対応する領域を含みかつ第1位置11aから第2位置11bを経て第3位置11cに亘る領域に相当する。すなわち、アッパー本体11は、伸縮部15が足関節対応領域に位置する着用者の足の各関節の動きに対して柔軟に追従するように構成されている。
【0073】
伸縮部15は、第1位置11aに対応する部分の周囲長が着用者の足首部分の周囲長よりも小さい略筒状に形成されている。そして、伸縮部15は、第1位置11aに対応する部分が着用者の足首部分と密着したときに非伸長状態から周方向に拡張するように構成されている。具体的に、着用者がシューズ1を履いた状態において、伸縮部15は、第1位置11aに対応する部分が着用者の足首部分と密着したときに非伸長状態から少なくとも3%以上伸長するように構成されているのが好ましい。
【0074】
図9図12に示すように、伸縮部15は、第2位置11bから第1位置11aに延びる部分が、ソール2の基準面Sに対する鉛直上下方向に対し後方に傾いた方向に沿うように構成されている。すなわち、着用者がシューズ1を履いたときに、アッパー本体11は、着用者の足関節が底屈した状態となるように構成されている。
【0075】
ところで、人体の足が底屈する場合には、通常の接地時において中立位となる足の腓骨および頸骨の長手方向(すなわち鉛直上下方向)に対し5~50°の範囲で後方に傾くようになるのが一般的である。このことから、伸縮部15は、第2位置11bから第1位置11aに延びる部分が、鉛直上下方向に対し後方に5~50°の範囲(図9に示した角度θを参照)で傾いた方向に沿うように構成されているのが好ましい。
【0076】
そして、アンカー部20によりアッパー本体11の第1位置11aが着用者の足首部分に位置決めされた状態において、伸縮部15は、足関節対応領域で非伸長状態から伸長状態に変形しかつ伸長状態から非伸長状態に弾性的に復元するように構成されている。
【0077】
[第2実施形態の作用効果]
以上のように、この第2実施形態に係るシューズ1において、伸縮部15は、伸縮性を有する素材からなり、アッパー本体11の足関節対応領域に配置されている。すなわち、伸縮部15は、着用者の足関節の全体を覆うように構成されている。かかる構成により、伸縮部15は、着用者の足関節による様々な動作(すなわち、背屈、底屈、外転、内転、内反、外反、内がえし、外がえし等)に対応して伸長および収縮するようになる。
【0078】
また、アンカー部20は、アッパー本体11の第1位置11aが着用者の足首部分に対して位置決めされるように構成されている。かかる構成により、特にアッパー本体11の足関節対応領域に配置した伸縮部15を、着用者の足関節を中心とする各部位に対して適切にフィットさせることが可能となる。すなわち、伸縮部15の位置を、アンカー部20により着用者の足関節を中心とする各部位の位置からずれないように安定させることが可能となる。
【0079】
そして、アンカー部20によりアッパー本体11の第1位置11aが着用者の足首部分に位置決めされた状態において、伸縮部15は、非伸長状態から伸長状態に変形しかつ伸長状態から非伸長状態に弾性的に復元するように構成されている。具体的に、着用者の足関節が所定の方向に向かって動作した場合には、伸縮部15が、該所定の方向に向かって伸長するように変形する。すなわち、伸縮部15は、非伸長状態から伸長状態に変形するようになる。このとき、伸縮部15には、伸長によりひずみエネルギーが蓄積される。次に、着用者の足関節が上記所定の方向に動作した後に足関節が該所定の方向と反対方向に動作すると、伸縮部15に蓄積された上記ひずみエネルギーが解放される。これにより、伸縮部15には、アンカー部20の位置(第1位置11a)を起点として弾性的な復元力が上記反対方向に向かって生じるようになる。すなわち、伸縮部15は、伸長状態から非伸長状態に弾性的に復元するように収縮する。かかる構成により、着用者の足において特に足関節よりも下側に位置する部位が元の状態に戻りやすくなる。このように、第2実施形態に係るシューズ1では、着用者の足関節による様々な動作を適切に補助することが可能となる。そして、着用者の足関節の様々な動作を、特に各種目の運動競技に求められる動作に適合するようにコントロールすることができる。
【0080】
したがって、第2実施形態に係るシューズ1では、着用者の足関節による様々な動作を適切に補助することができる。
【0081】
ところで、上述した特許文献1のシューズでは、足挿入部の近傍において弾性領域および回転領域により上記回動が行われるように構成されているため、特に足挿入部の近傍において応力が集中しやすくなり、シューズが破損しやすくなっていた。また、上述した特許文献1のシューズでは、弾性領域および回転領域が比較的細長となるように形成されているため、シューズ自体の製造が複雑となり、生産効率が低下するという問題もあった。これに対し、第2実施形態に係るシューズ1では、伸縮部15をアッパー本体11の足関節対応領域に配置した構成により、足挿入部12の近傍において応力が集中しにくくなり、シューズ1が破損しにくくなるとともに、シューズ1自体の製造が容易となり、生産効率を向上させることができる。
【0082】
また、第2実施形態に係るシューズ1では、第1補強部21により、特に着用者の足の内踝MMおよび外踝LMよりも後方に位置するアキレス腱による動作(すなわち、背屈および底屈)を補助することが可能となる。具体的に、第1補強部21は、背屈に応じて上下方向に伸長する。第1補強部21には、伸長によりひずみエネルギーが蓄積される。次に、背屈の後に底屈が行われると、第1補強部21に蓄積された上記ひずみエネルギーが解放される。そして、第1補強部21は、非伸長状態に復元するように収縮する。かかる構成によれば、特に底屈が行われるときに、着用者の足のアキレス腱が元の状態に戻りやすくなる。したがって、伸縮部15および第1補強部21により、特に着用者の足のアキレス腱による動作を適切に補助することができる。
【0083】
また、第2実施形態に係るシューズ1では、第2補強部22により、特に着用者の足関節の外反を補助することが可能となる。具体的に、第2補強部22は、外反に応じて主に上下方向に反るように伸長する。第2補強部22には、伸長によりひずみエネルギーが蓄積される。次に、外反が行われた後に足関節が元の状態に戻ろうとすると、第2補強部22に蓄積された上記ひずみエネルギーが解放される。そして、第2補強部22は、非伸長状態に復元するように収縮する。かかる構成によれば、特に外反が行われるときに、着用者の足関節が元の状態に戻りやすくなる。したがって、伸縮部15および第2補強部22により、特に着用者の足関節の外反を適切に補助することができる。
【0084】
また、第2実施形態に係るシューズ1では、第3補強部23により、特に着用者の足関節の内反を補助することが可能となる。具体的に、第3補強部23は、内反に応じて主に上下方向に反るように伸長する。第3補強部23には、伸長によりひずみエネルギーが蓄積される。次に、内反が行われた後に足関節が元の状態に戻ろうとすると、第3補強部23に蓄積された上記ひずみエネルギーが解放される。そして、第3補強部23は、非伸長状態に復元するように収縮する。かかる構成によれば、特に内反が行われるときに、着用者の足関節が元の状態に戻りやすくなる。したがって、伸縮部15および第3補強部23により、特に着用者の足関節の内反を適切に補助することができる。
【0085】
また、伸縮部15は、第1位置11aに対応する部分が着用者の足首部分と密着したときに非伸長状態から周方向に拡張するように構成されている。かかる構成により、伸縮部15の第1位置11aに対応する部分が、着用者の足首部分にフィットした状態となりかつ着用者の足首部分に対応する位置に固定されるようになる。その結果、伸縮部15の位置を、アンカー部20による上記作用とともに、着用者の足関節を中心とする各部位の位置からずれないように安定させることができる。
【0086】
また、第2実施形態に係るシューズ1では、伸縮部15の第1位置11aに対応する部分が着用者の足首部分に密着した状態であっても、開閉部14により開口部13を開放することにより、着用者はシューズ1を容易に脱ぐことができる。また、開閉部14により開口部13を閉鎖することにより、伸縮部15の第1位置11aに対応する部分を、着用者の足首部分に対して容易に密着させることができる。
【0087】
また、線ファスナ機構は、アッパー本体11の内甲側において、長手方向が着用者の足の内側縦アーチに対応する位置から内踝MMに対応する位置よりも前方の位置を通って第1位置11aに向かうように延びている。これにより、線ファスナ機構が着用者の足の内踝MMに直接的に接触しないようになる。その結果、開閉部14として線ファスナ機構を適用した場合であっても、線ファスナ機構を操作したときに着用者の足に痛みが生じるおそれが減少する。また、線ファスナ機構を、着用者の足関節の可動域が比較的少ない位置に対応して配置することにより、着用者の足関節の様々な動きを妨げないようにすることができる。
【0088】
ところで、例えば陸上競技において、スプリント系種目あるいは跳躍種目では、着用者の足の爪先部分を下げた姿勢(すなわち、足関節により底屈させた姿勢)を維持しながらシューズ1のソール2が地面に接地するような走行動作あるいは踏切動作が行われる場合がある。このような走行動作あるいは踏切動作では、シューズ1のソール2において着用者の足の踵骨HLに対応する位置の接地面が全く地面に接地しない、あるいは当該接地面が地面に接地したとしても当該接地面と地面との接地領域が極めて狭小の範囲に留まるようになる。このような走行動作あるいは踏切動作において、着用者の足関節の背屈動作に伴って生じる上記ひずみエネルギーをより効果的に伸縮部15に蓄積するためには、着用者の足関節が底屈した状態を基準の姿勢とするのが望ましい。
【0089】
このような背景に基づき、第2実施形態に係るシューズ1において、伸縮部15は、第2位置11bから第1位置11aに延びる部分が、基準面Sに対する鉛直上下方向に対し後方に傾いた方向に沿うように構成されている。かかる構成により、着用者の足を、足関節が底屈した状態を基準の姿勢とすることができる。そして、着用者の足関節の背屈動作に伴って生じる上記ひずみエネルギーをより効果的に伸縮部15に蓄積することができる。その結果、第2実施形態に係るシューズ1では、上述のスプリント系種目あるいは跳躍種目に適した走行動作あるいは踏切動作を行うことができる。
【0090】
[第3実施形態]
図13および図14は、本発明の第2実施形態に係るシューズ1を示す。この実施形態では、第2実施形態と比較して、アッパー10の構成が一部異なっている。なお、この実施形態に係るシューズ1の他の構成は、第2実施形態に係るシューズ1の構成と同様である。このため、以下の説明では、図8図12と同じ部分について同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0091】
図13および図14に示すように、アッパー本体11の外表面全体には、第1外側補強部31が設けられている。第1外側補強部31は、例えばポリウレタンからなり、含浸などによりアッパー本体11の外表面に積層配置されている。第1外側補強部31は、複数の六角形状の部分が互いに隙間なく並べられたハニカム構造となるように構成されている。
【0092】
第3実施形態に係るシューズ1では、第1外側補強部31によりアッパー本体11の耐久性を高めることができる。そして、第1外側補強部31は、アッパー本体11(伸縮部15)においてアンカー部20および第1~第3補強部21~23の各々と対向する位置を含むように配置されている。これにより、上記第2実施形態で示したアンカー部20および第1~第3補強部21~23の各々による作用効果をより一層高めることができる。
【0093】
[第4実施形態]
図15図17は、本発明の第3実施形態に係るシューズ1を示す。この実施形態では、第2実施形態と比較して、アッパー10の構成が異なっている。なお、この実施形態に係るシューズ1の他の構成は、第2実施形態に係るシューズ1の構成と同様である。このため、以下の説明では、図8図12と同じ部分について同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0094】
上記第2および第3実施形態では、伸縮部15がアッパー本体11の足関節対応領域に配置された形態を示したが、このような形態に限られない。すなわち、第4実施形態のように、伸縮部15は、足関節対応領域を含むアッパー本体11の全域に配置されていてもよい。このように伸縮部15を配置しても、上記第1実施形態で示した伸縮部15と同様の作用効果を奏し得る。なお、この第4実施形態ではアッパー本体11が伸縮部15に相当することから、図15図17では上記第2実施形態で示したようなドットハッチングの図示を省略している。
【0095】
また、図17に示すように、第4実施形態に係るシューズ1において、アッパー本体11の内表面には、内側補強部40が設けられている。内側補強部40は、例えばポリウレタンからなり、シート状に形成されている。内側補強部40は、例えば含浸によりアッパー本体11の内表面に積層配置されている。内側補強部40は、複数の帯状部が足長方向および上下方向に互いに交差するように構成されている。なお、内側補強部40は、シート状に限られず、ソリッド状の構造体、発泡体、フィルム、印刷体などに形成されていてもよい。
【0096】
この内側補強部40により、アッパー本体11の耐久性を高めることができる。そして、内側補強部40は、アッパー本体11(伸縮部15)において、上記第1実施形態におけるアンカー部20および第1~第3補強部21~23の各々の位置に対応して配置されている。これにより、上記第2実施形態で示したアンカー部20および第1~第3補強部21~23の各々による作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【0097】
さらに、図15および図16に示すように、第4実施形態に係るシューズ1において、アッパー本体11の外表面には、第2および第3外側補強部32,33が設けられている。第2および第3外側補強部32,33の各々は、例えばポリウレタンからなり、ソリッド状の構造体に形成されている。第2および第3外側補強部32,33の各々は、例えば含浸によりアッパー本体11の外表面に積層配置されている。第2外側補強部32は、複数の針状部が足長方向に間隔をあけて配置されるように構成されている。第3外側補強部33は、足長方向に延びる略帯状に形成されている。なお、第2および第3外側補強部32,33の各々は、ソリッド状の構造体に限られず、シート状の構造体、発泡体、フィルム、印刷体などにより形成されていてもよい。
【0098】
この第2および第3外側補強部33により、アッパー本体11の耐久性を高めることができる。そして、第2および第3外側補強部33は、アッパー本体11(伸縮部15)の外表面において、上記第2実施形態で示した第1~第3補強部21~23の各々の位置に対向するように配置されている。これにより、内側補強部40による作用効果をより一層高めることができる。すなわち、第4実施形態に係るシューズ1のように、複数の補強部を適宜組み合わせることにより、着用者の足関節による様々な動作を補助する効果を高めることができる。
【0099】
[第5実施形態]
図18および図19は、本発明の第5実施形態に係るシューズ1を示す。この実施形態では、第2実施形態と比較して、アッパー10の構成が異なっている。なお、この実施形態に係るシューズ1の他の構成は、第2実施形態に係るシューズ1の構成と同様である。このため、以下の説明では、図8図12と同じ部分について同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。第5実施形態に係るシューズ1では、上記第2実施形態で示した開口部13および開閉部14を備えていない。
【0100】
図18および図19に示すように、第4実施形態に係るアッパー10は、靴紐50と、ハトメ補強51と、支持部52,52,…を有している。
【0101】
ハトメ補強51は、アッパー本体11の外表面に設けられている。ハトメ補強51は、アッパー本体11の第3位置11cの手前側に配置されている。ハトメ補強51は、靴紐50を通すための複数の孔部を有している。
【0102】
支持部52,52,…は、アッパー本体11の外表面に設けられている。各支持部52は、ソール2の周縁部から上方に向かって延びるように配置されている。支持部52,52,…は、足長方向に間隔をあけて配置されている。支持部52は、図示しないが正面から見たときに略輪状となるように形成されていて、靴紐50を通すことが可能となるように構成されている。
【0103】
靴紐50は、各支持部52およびハトメ補強51の各孔部に通された状態でアッパー本体11を緊締するように構成されている。かかる構成により、アッパー本体11を、着用者の足の形状に沿うようにフィットさせることが可能となる。
【0104】
また、第5実施形態に係るシューズ1において、アンカー部20および第1~第3補強部21~23は、アッパー本体11の外表面に設けられている。
【0105】
アンカー部20および第1~第3補強部21~23は、互いに一体に形成されていて、シート状に形成されている。なお、アンカー部20および第1~第3補強部21~23の各々は、ソリッド状の構造体、発泡体、フィルム、印刷体などにより形成されていてもよい。
【0106】
アンカー部20および第1補強部21の上部は、アッパー本体11の外表面に対して浮いた状態となるように配置されている。第1補強部21の下部は、アッパー本体11の外表面に対して固着されている。第2および第3補強部22,23の各々は、アッパー本体11の外表面に対して固着されている。なお、図示しないが、第2補強部22は、図18および図19に示した第3補強部23と略同じ構成となるように形成されている。
【0107】
第5実施形態のアンカー部20は、略帯状に形成されている。また、アンカー部20と第1補強部21との境界となる位置(図18および図19の二点鎖線を参照)において、アンカー部20は、後端部が第1補強部21の前端部と連続するように形成されている。
【0108】
アンカー部20は、アッパー本体11(伸縮部15)に対して着脱可能となるように構成されている。具体的に、アッパー本体11の第1位置11aを含む位置には、面ファスナを構成する第1係合部20aが固着されている。また、アンカー部20の裏面には、面ファスナを構成する第2係合部20bが固着されている。
【0109】
アンカー部20は、第1係合部20aと第2係合部20bとが互いに係合することにより、アッパー本体11(伸縮部15)に対して取り付けられるようになる(図19の矢印を参照)。そして、アンカー部20は、第1係合部20aと第2係合部20bとの係合位置を変えることにより、アッパー本体11の第1位置11aにおける緊締力を調整することも可能となっている。
【0110】
このように、第5実施形態に係るシューズ1であっても、上記第2実施形態に係るシューズ1と同様に、伸縮部15の位置を、アンカー部20により着用者の足関節を中心とする各部位の位置からずれないように安定させることができる。
【0111】
[第6実施形態]
図20および図21は、本発明の第6実施形態に係るシューズ1を示す。この実施形態は、第2実施形態と比較して、伸縮部15の内表面に別部材が付加される点が異なっている。なお、この実施形態に係るシューズ1の他の構成は、第2実施形態に係るシューズ1の構成と同様である。このため、以下の説明では、図8図12と同じ部分について同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。なお、第6実施形態に係るシューズ1は、上記第2実施形態で示した開口部13および開閉部14を備えていない。
【0112】
図20に示すように、伸縮部15の内表面には、着用者の足の踵部HL周りを側方(内甲側および外甲側)および後方から覆うように形成された踵拡張部60が設けられている。図21に示すように、踵拡張部60は、足長方向に沿って切断したときの断面視において、着用者の足の踵部HL後側に対応する位置から後方に向かって突出している。具体的に、踵拡張部60は、上記断面視において、着用者の足の踵部HLに対抗する面から伸縮部の内表面に対抗する面までの距離(厚み)が5mm以上となるのが好ましい。より好ましくは、上記距離が10mm以上である。
【0113】
このように踵拡張部60を伸縮部15の内表面に設けたことにより、着用者の足における足長方向の長さが相対的に拡張される。その結果、伸縮部15における内表面の総面積が、踵拡張部60を備えない構成と比較して、足長方向において相対的に大きく確保される。すなわち、踵拡張部60を備えた構成では、伸縮部15における足長方向の伸長範囲が相対的に大きくなる。このため、伸縮部15が非伸長状態から伸長状態に変形するときに、伸縮部15に大きなひずみエネルギーが蓄積されやすくなる。したがって、第6実施形態に係るシューズ1では、着用者の足関節における底屈を補助するという伸縮部15のサポート性を高めることができる。
【0114】
なお、この実施形態では、着用者の足の踵部HLを保護するためのカウンター(図示せず)をアッパー本体11に設けない形態を示しているが、上記カウンターを設ける場合には、踵拡張部60を上記カウンターと一体に形成した状態で伸縮部15の内表面に設けてもよい。
【0115】
[その他の実施形態]
上記第1実施形態では、ソール2がアウトソール3およびクリーツ部4,4,…により構成された形態を示したが、この形態に限られない。例えば、クリーツ部4,4,…を省略しかつミッドソール(図示せず)をアウトソール3の上側に積層配置した形態としてもよい。上記第2~第6実施形態についてもこれと同様である。
【0116】
また、上記第2実施形態では、開閉部14として線ファスナ機構を適用した形態を示したが、この形態に限られない。例えば、開閉部14として、線ファスナ機構に代えて、靴紐(図示せず)を適用してもよい。なお、開閉部14として靴紐を適用する場合には、靴紐を、上記第1実施形態で示した線ファスナ機構の位置以外の位置に配置してもよい。
【0117】
また、上記第2実施形態では、伸縮部15を、第2位置11bから第1位置11aに延びる部分が基準面Sに対する鉛直上下方向に対し後方に傾いた方向に沿うように構成した形態を示したが、この形態に限られない。例えば、上記第2実施形態に係るシューズ1を上述したスプリント系種目あるいは跳躍種目に用いない場合には、伸縮部15を上記第2実施形態で示したように構成しなくてもよい。すなわち、伸縮部15は、第2位置11bから第1位置11aに延びる部分が、基準面Sに対する鉛直上下方向に沿うように構成されていてもよい。
【0118】
また、上記第2実施形態では、アンカー部20および第1~第3補強部21~23の各々をシート状に形成した形態を示したが、この形態に限られない。例えば、アンカー部20および第1~第3補強部21~23の各々は、ソリッド状の構造体、発泡体、フィルム、印刷体などにより形成されていてもよい。上記第3実施形態についてもこれと同様である。
【0119】
また、上記第2実施形態では、アンカー部20および第1~第3補強部21~23の各々を互いに分離した形態を示したが、この形態に限られない。すなわち、アンカー部20および第1~第3補強部21~23を一体に形成してもよい。上記第3実施形態についてもこれと同様である。
【0120】
また、上記第2実施形態では、着用者の足の踵部を保護するためのカウンターをアッパー本体11に設けない形態を示したが、カウンター(図示せず)を設ける場合には、伸縮部15を、該カウンターが配置された位置を避けるように配置するのが好ましい。
【0121】
なお、上記第1~第6実施形態では特に図示しなかったが、アッパー本体11の後端部においてアッパー本体11の継ぎ目を設けてもよい。
【0122】
以上、本発明についての実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態のみに限定されず、発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明は、例えばランニング用や各種競技用のスポーツシューズ、日常使用のスニーカーおよびリハビリ用シューズとして産業上の利用が可能である。
【符号の説明】
【0124】
1:シューズ
2:ソール
10:アッパー
11:アッパー本体
11a:第1位置
11b:第2位置
11c:第3位置
12:足挿入部
13:開口部
14:開閉部
15:伸縮部
16:非伸縮部
17,18:補強部
20:アンカー部
21:第1補強部
22:第2補強部
23:第3補強部
31:第1外側補強部
32:第2外側補強部
33:第3外側補強部
40:内側補強部
50:靴紐
51:ハトメ補強
52:支持部
60:踵拡張部
S:基準面
MM:内踝
LM:外踝
TB:距骨
HL:踵骨
図1
図2
図3
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図5
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図9
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図19
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図21