(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】アナモルフィック効果を生成するアタッチメント
(51)【国際特許分類】
G03B 11/00 20210101AFI20241121BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20241121BHJP
G02B 13/08 20060101ALI20241121BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20241121BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20241121BHJP
G03B 17/14 20210101ALI20241121BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20241121BHJP
G03B 37/00 20210101ALI20241121BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20241121BHJP
【FI】
G03B11/00
G02B7/02 A
G02B7/02 C
G02B13/08
G02B13/18
G03B15/00 W
G03B17/14
G03B17/56 F
G03B37/00 A
G03B37/00 B
H04N23/55
(21)【出願番号】P 2020543010
(86)(22)【出願日】2019-02-11
(86)【国際出願番号】 US2019017555
(87)【国際公開番号】W WO2019157474
(87)【国際公開日】2019-08-15
【審査請求日】2021-12-09
(32)【優先日】2018-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517102248
【氏名又は名称】パナビジョン インターナショナル,エル.ピー.
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル キース ササキ
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン グラント ミルズ
(72)【発明者】
【氏名】リック タケシ イシオカ
【審査官】登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-118057(JP,A)
【文献】特開平05-288987(JP,A)
【文献】特公昭35-011376(JP,B1)
【文献】特開2005-221597(JP,A)
【文献】特表2003-508816(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0374253(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 11/00
G02B 7/02
G02B 13/08
G02B 13/18
G03B 15/00
G03B 17/14
G03B 17/56
G03B 37/00
H04N 23/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラシステムで使用するための着脱可能なアタッチメント(10)であって、
少なくとも2つの円形のシリンドリカルレンズ素子(16、18)を含むレンズ群(12)であって、
いずれの軸方向に対して
も1.09を超える画像圧縮を生成することなく、該カメラシステムのレンズ内に非回転対称光学収差を誘起
し、非アナモルフィックである該カメラシステムのカメラによる画像撮影を提供するように構成されている、前記レンズ群(12)と、
該レンズ素子(16、18)が相互に回転不能に固定されるように、該レンズ群(12)に結合され
たハウジング(14)であって、オブジェクト空間と該カメラシステムの該レンズとの間に配置される該レンズ群(12)と共に該カメラシステムの該レンズに着脱可能に取り付けられるように構成されている
、円筒形状の
前記ハウジング(14)
と、
を備え、
該ハウジング(14)と該レンズ群(12)は、該ハウジング(14)が該カメラシステムの該レンズに取り付けられているときに、該カメラシステムの該レンズに対して回転不能である、
前記アタッチメント(10)。
【請求項2】
前記カメラシステムの前記レンズが球形である、請求項1に記載のアタッチメント(10)。
【請求項3】
前記レンズ素子(16、18)が第1のレンズ素子(16)及び第2のレンズ素子(18)を含み、かつ該第1のレンズ素子(16)が正のレンズ面(20)を有し、該第2のレンズ素子(18)が負のレンズ面(24)を有する、請求項1に記載のアタッチメント(10)。
【請求項4】
前記第2のレンズ素子(18)の負のレンズ面(24)が、前記第1のレンズ素子(16)の正のレンズ面(20)とは反対に向いている、請求項3に記載のアタッチメント(10)。
【請求項5】
前記第1及び第2のレンズ素子(16、18)の各々が、互いに対向して配置されている平面レンズ面(22、26)を含む、請求項3に記載のアタッチメント(10)。
【請求項6】
前記第1のレンズ素子(16)の正のレンズ面(20)が前記オブジェクト空間に向き、前記第2のレンズ素子(18)の負のレンズ面(24)が前記カメラシステムの前記レンズに向いている、請求項3に記載のアタッチメント(10)。
【請求項7】
非アナモルフィックであるカメラレンズと、
該カメラレンズに着脱可能なアタッチメント(10)と、を備えるカメラレンズシステムであって、
該着脱可能なアタッチメント(10)が、
少なくとも2つの円形のシリンドリカルレンズ素子(16、18)を含むレンズ群(12)であって、
該カメラレンズシステムのカメラにより非アナモルフィック画像撮影を提供するときに、いずれの軸方向に対して
も1.09を超える画像圧縮を生成することなく、該カメラレンズ内に非回転対称光学収差を誘起するように構成されている、前記レンズ群(12)と、
該レンズ素子(16、18)がハウジング内で相互に回転不能となるように、該レンズ群(12)に結合され
た円筒形状のハウジング(14)であって、
オブジェクト空間と該カメラレンズとの間に配置される該レンズ群(12)と共に該カメラレンズに着脱可能に取り付けられるように構成されている、前記ハウジング(14)と、
を含む、前記カメラレンズシステム。
【請求項8】
前記カメラレンズが球形である、請求項7に記載のカメラレンズシステム。
【請求項9】
カメラレンズ内に光学効果を誘起するための方法であって、
円筒形状のハウジング(14)と結合されたレンズ群(12)を含むアタッチメント(10)であって、該レンズ群(12)が少なくとも2つの円形のシリンドリカルレンズ素子(16、18)を備え、
該レンズ素子(16、18)が該ハウジング内で相互に回転不能に固定され、かつ該ハウジング(14)が、該レンズ群(12)がオブジェクト空間と該カメラレンズとの間に配置されるように、該カメラレンズに取り付けられるように構成されている、前記アタッチメント(10)を提供するステップと、
該レンズ群(12)によって、
いずれの軸方向に対して
も1.09を超える画像圧縮を生成することなく、該カメラレンズ内に非回転対称光学収差を誘起
し、かつ該カメラレンズと接続されたカメラ内に非アナモルフィック画像撮影を生成するステップと、
を含む、前記方法。
【請求項10】
前記カメラレンズが球形である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記レンズ素子(16、18)が第1のレンズ素子(16)及び第2のレンズ素子(18)を含み、かつ該第1のレンズ素子(16)が正のレンズ面(20)を有し、該第2のレンズ素子(18)が負のレンズ面(24)を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記非回転対称光学収差がアナモルフィック光学効果を生成する、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(背景)
映画産業などで使用されているカメライメージングシステムでは、従来からアナモルフィックフォーマットで画像を撮影している。アナモルフィックフォーマットでは、大きなアスペクト比を持つ大きな視野を、より小さな面積で撮影できるように、撮影されている光学画像を圧縮している。これにより、大きな画像フォーマットを使用しなくても、高画質を維持しつつも、コストとスペースの節約を実現している。撮影されたアナモルフィック画像は、後にアナモルフィック投影レンズを介して、ディスプレイ用のより大きなアスペクト比で非圧縮画像に投影される。
【0002】
しかし、アナモルフィック画像の撮影プロセスでは、独特の映画的な見た目を有する撮影された画像内に収差が発生する。このような収差には、光学フレア、コマ、およびアナモルフィック撮影の見た目を特徴づけるその他の収差が含まれる。
【0003】
デジタルイメージ撮影システムの出現により、アナモルフィックフォーマットやアナモルフィックレンズを個人で使用したいとの要望が増えている。しかしながら、球面レンズ撮影システムが、一般的に、アナモルフィックシステムよりも複雑でなく、構築および維持のためのコストが安いため、アナモルフィックシステムの利用可能性を低下させている。
【0004】
しかし、アナモルフィック撮影システムによるノスタルジーは、多くの監督や撮影監督、その他の人々の心に残っている。多くの個人は、アナモルフィック画像撮影プロセスに存在する収差を評価し、そのような収差を画像撮影に導入しようとしている。他の非映画産業の人々も、このような収差を画像に導入しようとしている(アマチュア写真家、カメラ付き携帯電話のユーザなど)。
【0005】
このような収差を撮影した画像にデジタル的に導入するために、デジタルおよびポストプロダクションプロセスが開発されてきた。しかし、このようなデジタル収差は多くの人に不快感を与えるものであり、アナモルフィック撮影システムに存在する収差を再現しようとする真の努力を表すものではない。
【発明の概要】
【0006】
(概要)
本開示は、非回転対称光学収差を生成するための装置、システム、および方法に向けられている。このような収差は、球面レンズのような別のレンズに取り付けられる着脱可能なアタッチメントによって生成されてもよい。このように、アナモルフィック効果を再現しているように見える収差が発生することがあるが、基礎となるカメラシステムは球面カメラシステムのままであってもよく、撮影モードは非アナモルフィックのままであってもよい。また、カメラシステムは、映画用カメラシステムに限らず、様々な種類のカメラシステム(例えば、静止画撮影用カメラシステム、モバイルデバイス等)に拡張することができる。
【0007】
本明細書では、カメラシステムのための着脱可能なアタッチメントが開示されている。着脱可能なアタッチメントは、少なくとも2つのシリンドリカルレンズ素子を含むレンズ群を備えてもよい。レンズ群は、光学収差を有さない球面レンズ内に非回転対称光学収差を誘起するように構成されてもよい。ハウジングは、レンズ群に結合されていてもよく、ハウジングがカメラレンズに取り付けられたときにレンズ群がオブジェクト空間とカメラレンズとの間に配置されるように、カメラレンズに着脱可能に取り付けらえるように構成されてもよい。
【0008】
本明細書には、カメラレンズ系が開示されている。カメラレンズ系は、球面レンズと着脱可能なアタッチメントとを含んでもよい。着脱可能なアタッチメントは、少なくとも2つのシリンドリカルレンズ素子を含むレンズ群を含んでもよく、レンズ群は、球面レンズ内に非回転対称光学収差を誘起するように構成されている。ハウジングは、レンズ群に結合されていてもよく、ハウジングが球面レンズに取り付けられたときにレンズ群がオブジェクト空間と球面レンズとの間に配置されるように、球面レンズに着脱可能に取り付けられるように構成されてもよい。
【0009】
方法が本明細書に開示されている。方法は、着脱可能なアタッチメントを提供するステップを含んでもよい。着脱可能なアタッチメントは、少なくとも2つのシリンドリカルレンズ素子を含むレンズ群を備えてもよい。着脱可能なアタッチメントはレンズ群に結合されたハウジングを含み、ハウジングがレンズに取り付けられたときにレンズ群がオブジェクト空間とレンズとの間に配置されるように、レンズに着脱可能に取り付けられるように構成されてもよい。方法は、レンズ群によって、レンズの非回転対称光学収差を誘起するステップを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
(図面の簡単な説明)
本明細書で開示されるシステム、装置、及び方法の特徴及び利点は、明細書、特許請求の範囲、及び添付図面を参照することによりさらに深く理解されることが分かるであろう。
【0011】
【
図1】本開示の実施形態に係るカメラシステム用の着脱可能なアタッチメントの分解斜視図を示す。
【0012】
【
図2】
図1に示す着脱可能なアタッチメントの正面図を示す。
【0013】
【
図3】
図1に示す着脱可能なアタッチメントの、
図2のA-A線に沿った側断面図を示す。
【0014】
【
図4】
図1に示す着脱可能なアタッチメントの側面図を示す。
【0015】
【
図5】本開示の実施形態に係るシリンドリカルレンズ素子の側面図を示す。
【0016】
【
図6】
図5に示すシリンドリカルレンズ素子の背面図を示す。
【0017】
【0018】
【
図8】本開示の実施形態に係るシリンドリカルレンズ素子の側面図を示す。
【0019】
【
図9】
図8に示すシリンドリカルレンズ素子の背面図を示す。
【0020】
【0021】
【
図11】本開示の実施形態に係る球面レンズに取り付けられた、
図1に示す着脱可能なアタッチメントを示す。
【0022】
【
図12】本開示の実施形態に係るモバイルデバイスの背面図を示す。
【0023】
【
図13】
図12のモバイルデバイス上に取り付けられた
図1の着脱可能なアタッチメントを含むモバイルデバイスのカメラシステムの詳細図を示す。
【0024】
【
図14】本開示の実施形態に係る球面レンズの概略図を示す。
【0025】
【
図15】
図14に示す球面レンズのスポットダイアグラム解析を示す。
【0026】
【0027】
【
図17】本開示の実施形態に係る、
図14に示された球面レンズと組み合わせて利用されるレンズ群の概略図を示す。
【0028】
【
図18】本開示の実施形態に係る、
図17の球面レンズと組み合わせて利用されるレンズ群のスポットダイアグラム解析を示す。
【0029】
【
図19】本開示の実施形態に係る、
図17の球面レンズと組み合わせて利用されるレンズ群のレイトレース解析を示す。
【0030】
【
図20】本開示の実施形態に係る、
図14に示された球面レンズと組み合わせて利用されるレンズ群の概略図を示す。
【0031】
【
図21】本開示の実施形態に係る、
図20の球面レンズと組み合わせて利用されるレンズ群のスポットダイアグラム解析を示す。
【0032】
【
図22】本開示の実施形態に係る、
図20の球面レンズと組み合わせて利用されるレンズ群のレイトレース解析を示す。
【0033】
【
図23】本開示の実施形態に係る、
図14に示された球面レンズと組み合わせて利用されるレンズ群の概略図を示す。
【0034】
【
図24】本開示の実施形態に係る、
図20の球面レンズと組み合わせて利用されるレンズ群のスポットダイアグラム解析を示す。
【0035】
【
図25】本開示の実施形態に係る、
図20の球面レンズと組み合わせて利用されるレンズ群のレイトレース解析を示す。
【0036】
【
図26】本開示の実施形態に係る、
図14に示された球面レンズと組み合わせて利用されるレンズ群の概略図を示す。
【0037】
【
図27】本開示の実施形態に係る、
図26の球面レンズと組み合わせて利用されるレンズ群のスポットダイアグラム解析を示す。
【0038】
【
図28】本開示の実施形態に係る、
図26の球面レンズと組み合わせて利用されるレンズ群のレイトレース解析を示す。
【0039】
【0040】
【
図30】
図30Aおよび30Bは、本開示の実施形態に係るレンズ群の一実施形態の分解斜視図を示す。
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【発明を実施するための形態】
【0045】
(詳細な説明)
図1は、本開示の実施形態に係るカメラシステム用の着脱可能なアタッチメント10の分解斜視図を示す。着脱可能なアタッチメント10は、レンズ群12を含んでいる。着脱可能なアタッチメント10は、ハウジング14を含んでいる。
【0046】
レンズ群12は、シリンドリカルレンズ素子16、18を含んでいる。シリンドリカルレンズ素子16は、正(レンズ素子16の本体について凸)で、オブジェクト空間に向いているシリンドリカルレンズ面20を含んでもよい。オブジェクト空間とは、着脱可能なアタッチメント10を通して撮像されるオブジェクトまたは領域を含む空間である。シリンドリカルレンズ素子16は、平面状のレンズ面22(
図5に図示される)を含んでもよい。シリンドリカルレンズ面20とレンズ面22は反対の方向を向いている。
【0047】
ハウジング14との嵌合を可能にするために、凹部21が、シリンドリカルレンズ素子16に設けられてもよい。凹部21は、シリンドリカルレンズ素子16の周りを周方向に延びていてもよく、ハウジング14の縁部23と嵌合するように構成されていてもよい。
【0048】
シリンドリカルレンズ素子16は、位置決め機能25を含んでもよい。位置決め機能25は、
図6に示すように、切り欠きを有してもよい。
【0049】
シリンドリカルレンズ素子18は、負(レンズ素子18の本体について凹)でオブジェクト空間と反対の方向を向いているシリンドリカルレンズ面24(
図3および
図8において可視)を含んでもよい。また、シリンドリカルレンズ素子18は、平面状のレンズ面26を含んでもよい。レンズ面24とレンズ面26は互いに反対の方向を向いている。
【0050】
ハウジング14との嵌合を可能にするために、凹部27が、シリンドリカルレンズ素子18に設けられてもよい。凹部27は、シリンドリカルレンズ素子18の周りを周方向に延びていてもよい。
【0051】
シリンドリカルレンズ素子18は、位置決め機能29を含んでもよい。位置決め機能29は、
図9に示すように、切り欠きを有してもよい。
【0052】
シリンドリカルレンズ素子16およびシリンドリカルレンズ素子18は、ハウジング14内で互いに近接して配置されてもよい。シリンドリカルレンズ素子16、18は、平面レンズ面22、26が互いに対向するように配置されてもよい。シム30は、シリンドリカルレンズ素子16、18が互いに接触しないように分離させることができる。シム30は、シリンドリカルレンズ素子16、18の外周部において、レンズ素子16、18の間に配置され、挟み込まれていてもよい。シム30は、レンズ群12によって誘起される光学フレアの存在を増大させ、レンズ群12によって誘起される非回転対称光学収差の強度を増大させる役割を果たしてもよい。シム30の厚さを増加させることで、レンズ群12によって誘起される光学フレアの強度を増加させ、レンズ群12によって誘起される非回転対称光学収差の強度を増加させてもよい。シム30の厚さは、光軸に沿った寸法である。1つの実施形態では、シム30は、0.012ミリメートルの厚さを有してもよい。1つの実施形態では、シム30は、少なくとも0.012ミリメートルの厚さを有してもよい。他の実施形態では、厚さは、所望の光学的結果が生じるように変化させてもよい。厚みを増すと、経路長の正弦差が大きくなり、システムの非点収差が大きくなる可能性がある。より大きなシム30の厚み、およびレンズ素子16と18の間の隙間は、光がそれ自身に反射することができる距離を増加させ、より多くのフレアを生じさせる可能性がある。
【0053】
ハウジング14は、ハウジング本体31と、固定リング32とを含んでもよい。ハウジング14は、レンズ群12及びシム30の周囲に延びていてもよい。ハウジング14は、レンズ群12及びシム30の周りを周方向に延びていてもよい。ハウジング14は、シリンドリカルレンズ素子16をシリンドリカルレンズ素子18に保持する役割を果たしてもよい。ハウジング本体31は、
図1に示すように、円筒形状を有していてもよい。他の実施形態では、その形状は、
図1に示したものとは異なるものであってもよい。
【0054】
ハウジング14は、カメラレンズを有する別の構造物に着脱可能に取り付けられるように構成されていてもよい。ハウジング14は、アタッチメント装置を含んでもよく、これは、
図1においては、クランプ34および可撓部またはアーム44の形態で示されている。クランプ34は、
図1に示すような形態であってもよく、クランプ34は、アイレット36a、b、ねじ38、軸40、および締付カムレバー42を含んでもよい。クランプ34は、
図1に示すように、ハウジング14と一体的に構成されてもよい。ハウジング本体31は、クランプ34によって移動される可撓部またはアーム44を含んでもよい。可撓部は、カメラレンズのように他の構造物に取り付けられ、他の構造物に対して圧縮されていてもよい。アタッチメント装置は、ユーザ操作による求めに応じて、着脱可能なアタッチメント10を別の構造物に着脱されてもよい。
【0055】
固定リング32は、ネジ41やリベット等を介してハウジング本体31に取り付けられている。固定リング32は、レンズ群12を所定の位置に保持するために、レンズ群12に押し付けられてもよい。固定リング32は、シリンドリカルレンズ素子18の凹部27(
図8に図示)と嵌合する縁部46を含んでもよい。
【0056】
図2は、着脱可能なアタッチメント10の正面図を示す。ハウジング14の外径は、シリンドリカルレンズ素子16、18のいずれかの外径よりも大きい。
【0057】
図3は、着脱可能なアタッチメント10の、
図2のA-A線に沿った側断面図を示す。シリンドリカルレンズ素子16、18は、それぞれの平面レンズ面が互いに対向して互いに近接して配置されていることが視認できる。シリンドリカルレンズ素子16の正のシリンドリカルレンズ面20は、ハウジング本体31の前面48から延びている。シリンドリカルレンズ素子18の負のシリンドリカルレンズ面24は、固定リング32に対して窪んでいる。ハウジング本体31の前面48は、着脱可能なアタッチメント10が面上に置かれているときに、シリンドリカルレンズ素子16の正のシリンドリカルレンズ面20が接触することを防止するために、前方に延びるリム50を有してもよい。内壁52は、前面48から後方に延びており、シリンドリカルレンズ素子16、18を包囲している。ハウジング本体31の外壁54は、前面48の外周部から後方に延びており、ハウジング本体31の外周面を形成している。内壁52と外壁54は、キャビティ56によって互いに分離されている。さらに、外壁54には、着脱可能なアタッチメント10を取り付ける構造物、例えばカメラレンズなどを受けるための空洞58を形成してもよい。カメラレンズのハウジングは、キャビティ58内に挿入されてもよい。ハウジング14のアタッチメント装置は、カメラレンズのハウジングがキャビティ58内に挿入されたときに、カメラレンズのハウジングに取り付けられてもよい。
【0058】
図4は、着脱可能アタッチメント10のハウジング14を示す側面図を示す。
【0059】
図5は、正(レンズ素子16の本体について凸)のシリンドリカルレンズ面20を含むシリンドリカルレンズ素子16の側面図を示す。本明細書においては、シリンドリカルレンズ素子16の例示的な寸法が提供される。他の実施形態では、寸法が変わってもよいことを理解されたい。例えば、本明細書に開示されている寸法は、モバイルデバイス(例えば、携帯電話)や静止画撮影用カメラシステムなどで複数のフォーマットで撮影するために変更してもよい。
図5に示す実施形態では、正のシリンドリカルレンズ面20は、1ディオプターに対応する曲率半径60を有していてもよい。曲率半径60は、約515mmであってもよい。正のシリンドリカルレンズ面20の直径62は、約76mmであってもよい。平面レンズ面22の直径64は、約81mmであってもよい。シリンドリカルレンズ素子16の厚さ66は、約9.5mmであってもよい。正のシリンドリカルレンズ面20から凹部21の端部までのシリンドリカルレンズ素子16の厚さ68は、約3.8mmであってもよい。
【0060】
図6は、シリンドリカルレンズ素子16の背面図を示す。位置決め機能25は、シリンドリカルレンズ素子16の外縁に示されている。
【0061】
図7は、
図6に示す位置決め機能25の詳細図を示す。本明細書においては、位置決め機能25の例示的な寸法が提供される。他の実施形態では、寸法が変わってもよいことを理解されたい。位置決め機能25の幅70は、約1.6mmであってもよい。位置決め機能25の深さ72は、約2mmであってもよい。
【0062】
図8は、負(レンズ素子18の本体について凹)のシリンドリカルレンズ面24を含むシリンドリカルレンズ素子18の側面図を示す。本明細書においては、シリンドリカルレンズ素子18の例示的な寸法が提供される。他の実施形態では、寸法が変わってもよいことを理解されたい。負のシリンドリカルレンズ面24は、1ディオプターに対応する曲率半径74を有していてもよい。曲率半径74は、約515mmであってもよい。負のシリンドリカルレンズ素子18の曲率半径74は、シリンドリカルレンズ素子16の曲率半径60と同じであることに留意されたい。負のシリンドリカルレンズ面24の直径76は、約76mmであってもよい。平面レンズ面26の直径78は、約81mmであってもよい。シリンドリカルレンズ素子18の厚さ80は、約9.5mmであってもよい。正のシリンドリカルレンズ面24から凹部27の端部までのシリンドリカルレンズ素子18の厚さ82は、約3.8mmであってもよい。負のシリンドリカルレンズ面24の最下部から平面レンズ面26までの厚さ83は、約8mmであってもよい。シリンドリカルレンズ素子18の寸法は、2つの実施形態において異なるそれぞれの曲率半径60、74の方向を除いて、シリンドリカルレンズ素子16の寸法と同じであってもよいことに留意されたい。レンズ群12によって生成される倍率は、有意なアナモルフィック圧縮を生じないように構成されてもよい。1つの実施形態では、圧縮は、
いずれの軸方向に対して
も1.09を超えない。他の実施形態では、さらに少ない圧縮が生成されてもよい。シリンドリカルレンズ素子16、18は、同じ半径、厚さ、基材など、互いに同じ構造的特性を有するように構成されてもよい。他の実施形態では、シリンドリカルレンズ素子16、18の構造的特性は、
図1~8に示したものとは異なるものであってもよい。しかし、レンズ素子16、18の構造的特性は、同じ半径、厚さ、基材など、互いに同じままであってもよい。
【0063】
図9は、シリンドリカルレンズ素子18の背面図を示す。位置決め機能29は、シリンドリカルレンズ素子18の外縁に示されている。
図10は、
図9に示す位置決め機能29の詳細図を示す。本明細書においては、位置決め機能29の例示的な寸法が提供される。他の実施形態では、寸法が変わってもよいことを理解されたい。位置決め機能29の幅84は、約1.6mmであってもよい。位置決め機能29の深さ86は、約2mmであってもよい。位置決め機能29の寸法は、位置決め機能25の寸法と同じであってもよいことに留意されたい。
図1に戻って、位置決め機能25、29のそれぞれは、シリンドリカルレンズ素子16、18を互いに相対的な回転位置に固定する役割を果たしてもよい。シリンドリカルレンズ素子16、18は、シリンドリカルレンズ素子16、18のパワー軸が同一平面内に延びるように、互いに相対的な位置に保持されていてもよい。
【0064】
着脱可能なアタッチメント10、特にレンズ群12は、非回転対称光学収差を誘起する役割を果たす。このような設計の利点は、標準的なアナモルフィックレンズの配置によって生成されるものと類似して見える光学収差を提供することである。しかしながら、着脱可能なアタッチメント10は、アナモルフィック撮影に伴う画像圧縮を生成せず、非アナモルフィックモードでの映画撮影、または他の画像撮影、または視聴を可能にしてもよい。このような機能は、映画撮影者、または写真家、または他のユーザによって望まれ得る非回転対称光学収差を生じさせながら、非アナモルフィックモードでの映画撮影、または他の画像撮影、または視聴を可能にしてもよい。例えば、1つの実施形態では、圧縮は、いずれの軸方向に対しても1.09を超えない。他の実施形態では、さらに少ない圧縮が生成されてもよい。倍率はわずかであり、大きなアナモルフィック圧縮を生じさせない。
【0065】
着脱可能なアタッチメント10、特にレンズ群12は、光学収差を有さない球面レンズ内に、非回転対称光学収差を誘起してもよい。このようなレンズは理想的なものであってもよいが、球面レンズに光学収差がない場合には、その球面レンズに沿って配置されたレンズ群12が、その球面レンズ内に非回転対称光学収差を誘起するように構成される。このように、着脱可能なアタッチメント10は、球面レンズ内に非回転対称光学収差を誘起するために、球面レンズのオーバーレイとして使用してもよい。ユーザは、既に所有している球面レンズを利用することができ、非回転対称光学収差を生成するために、レンズ群12を球面レンズと光学的に並べて配置してもよい。ユーザは、レンズ群12によって誘起される非回転対称光学収差を除去するために、着脱可能なアタッチメント10を球面レンズから取り外すことができる。
【0066】
図11は、着脱可能なアタッチメント10が球面レンズ88に着脱可能に取り付けられたときの配置を示している。球面レンズ88は、画像を撮像するためにカメラ本体90に結合されていてもよい。カメラ本体90は、フィルムに撮影してもよいし、デジタルで撮影してもよいし、他の方法で撮影してもよい。着脱可能なアタッチメント10、球面レンズ88、およびカメラ本体90は、共にカメラシステム92を構成している。球面レンズ88は、ズームおよびフォーカスを含むレンズの標準的な機能を果たすように構成されてもよい。球面レンズ88は、名目上の写真用対物レンズであってもよく、カメラ本体90によって光学的に撮影するためのフォーカスされた画像を生成するように構成されていてもよい。
【0067】
着脱可能なアタッチメント10は、球面レンズ88の端部、特に球面レンズ88のハウジングの周囲にクランプされてもよい。着脱可能なアタッチメント10、特にレンズ群12(
図1に図示)は、球面レンズ88内に
非回転対称光学収差を誘起し得る。結果として得られる画像は、このような
非回転対称光学収差を含んでもよく、カメラ本体90が非アナモルフィックモードで撮像を続けても、アナモルフィックな見た目を有することができる。着脱可能なアタッチメント10は、レンズ群12によって誘起される
非回転対称光学収差を除去するために、球面レンズ88から取り外されてもよい。したがって、カメラシステム92のユーザは、レンズ群12によって誘起されるこのような
非回転対称光学収差を含ませるか否かを選択することができる。
【0068】
図12は、携帯電話、モバイルWebブラウザ、全地球測位システムユニット、パーソナルデジタルアシスタント、またはそれらの組み合わせで構成され得る、モバイルデバイス94の背面図を示す。このようなデバイスは、iPhone(登録商標)やSamsung Galaxy(登録商標)などと呼ばれることがある。このような装置は、現在、一般的にカメラシステム96を含み、このカメラシステム96は、球面レンズ98などを含んでもよい。
【0069】
図13は、球面レンズ98の上に配置された着脱可能なアタッチメント10を含むカメラシステム96の詳細図を示す。着脱可能なアタッチメント10は、球面レンズ98に適合するように、適宜サイズが調整されてもよい。
図11において論じた実施形態と同様に、着脱可能なアタッチメント10は、球面レンズ98上に選択的に配置されてもよい。結果として得られる画像は、レンズ群12によって誘起される
非回転対称光学収差を含んでもよく、カメラシステム96が非アナモルフィックモードで撮像を続けても、アナモルフィックな見た目を有することができる。着脱可能なアタッチメント10は、レンズ群12によって誘起される
非回転対称光学収差を除去するために、球面レンズ98から取り外されてもよい。着脱可能なアタッチメントは、一時的な接着剤、またはモバイルデバイス94の本体の形状に取り付けられた、または固定された構造物を含むアタッチメント装置、または他の形態のアタッチメント装置を介して、モバイルデバイス94または球面レンズ98に結合するように構成されてもよい。他の実施形態では、モバイルデバイスのレンズは、球面レンズではなく、アナモルフィックレンズであってもよい。着脱可能なアタッチメントは、球面レンズへの結合と同様に、アナモルフィックレンズに結合されてもよい。着脱可能なアタッチメントは、アナモルフィックレンズの効果を高める役割を果たしてもよい。着脱可能なアタッチメントは、90度回転させると、アナモルフィックレンズの効果を逆に低下させ、アナモルフィックレンズの効果を否定してしまうことがある。
【0070】
図14は、球面レンズ100の概略図を示す。球面レンズ100は、本願に開示された着脱可能なアタッチメントおよびレンズ群を用いて利用されるタイプのものであってもよい。球面レンズ100は、例えば、
図11において開示された球面レンズ88と同様に構成されてもよい。他の実施形態では、球面レンズ100の構成は異なるものであってもよい。本明細書で使用されるレンズという用語は、組み合わせて使用される複数のレンズ素子を指す場合がある。
【0071】
図15は、球面レンズ100のスポットダイアグラム解析を示す。
図16は、
図14の球面レンズ100のレイトレース解析を示す。本明細書に開示された着脱可能なアタッチメント、特に本明細書に開示されたレンズ群は、球面レンズ100のような球面レンズ内に
非回転対称光学収差を誘起するように構成されている。レンズ群は、非点収差、コマ、フレアを含む
非回転対称光学収差を誘起するように構成されている。レンズ群は、周辺光線上に球面レンズ収差の過小補正状態を生じさせることによって、
非回転対称光学収差を誘起させてもよい。過剰に補正されたシリンドリカル収差は、楕円形状の焦点外特性を生じさせてもよく、また水平フレア特性を生じさせてもよい(このような特性は、アナモルフィック写真または撮像に関連している)。レンズ群は、球面レンズに存在する補正を分解してもよいし、名目上の写真用対物レンズに存在する補正を無効化してもよい。
【0072】
本明細書に開示された着脱可能なアタッチメント、特に本明細書に開示されたレンズ群は、アナモルフィックレンズ内に非回転対称光学収差を誘起するように構成されてもよい。球面レンズに関して本明細書に開示されているのと同じアタッチメントおよびレンズ群は、アナモルフィックレンズでも利用することができる。着脱可能なアタッチメント、特にレンズ群は、アナモルフィックレンズの効果を高める役割を果たしてもよい。着脱可能なアタッチメントは、90度回転させると、アナモルフィックレンズの効果を逆に低下させ、アナモルフィックレンズの効果を否定してしまうことがある。
【0073】
図17は、球面レンズ100と組み合わせて利用されるレンズ群102の概略図を示す。レンズ群102は、レンズ群12と同様に構成されていてもよいが、レンズ群102は、負のシリンドリカルレンズ面24がオブジェクト空間103を向き、正のシリンドリカルレンズ面20がオブジェクト空間103から離れて球面レンズ100を向くように、オブジェクト空間103に対して180度回転している。レンズ群102は、本明細書に開示された方法で、例えば、球面レンズ100に着脱可能に取り付けられる着脱可能なアタッチメントの一部であることによって、球面レンズ100に取り付けられてもよい。そのような着脱可能なアタッチメントは、球面レンズ100のハウジングへのクランプを含んでもよい。レンズ群102は、球面レンズ100とオブジェクト空間103との間に配置されている。
【0074】
図18は、
図17に示すようなレンズ群102と組み合わせて利用される球面レンズ100のスポットダイアグラム解析を示す。球面レンズ100は、
図14に示す球面レンズ100と同じ構造を有している。しかしながら、レンズ群102は、球面レンズ100内に
非回転対称光学収差を誘起している。
【0075】
図19は、
図17に示すレンズ群102と組み合わせて利用される球面レンズ100のレイトレース解析を示す。示されているように、レンズ群102は、球面レンズ100内に非回転対称光学収差を誘起している。
図15および
図16の比較と
図18および
図19の比較との間で示されるように、非回転対称光学収差の度合いが増加している。コマ、非点収差、フレアが強調された結果となる。アナモルフィック圧縮は、
いずれの軸方向に対して
も1.09を超えない。他の実施形態では、さらに少ない圧縮が生成されてもよい。
【0076】
図20は、球面レンズ100と組み合わせて利用されるレンズ群104の概略図を示す。レンズ群104は、シリンドリカルレンズ素子106とシリンドリカルレンズ素子108を含んでもよい。シリンドリカルレンズ素子106は、オブジェクト空間103に向く負のシリンドリカルレンズ面110と、オブジェクト空間103とは反対に向く正のシリンドリカルレンズ面112とを含んでもよい。シリンドリカルレンズ素子106は、円筒状のメニスカスレンズからなる。シリンドリカルレンズ素子108は、オブジェクト空間103に向く負のシリンドリカルレンズ面114と、オブジェクト空間103とは反対に向く正のシリンドリカルレンズ面116とを含んでもよい。シリンドリカルレンズ素子108は、円筒状のメニスカスレンズからなる。レンズ素子106、108の曲率半径は異なっていてもよく、レンズ素子106、108は異なる厚さを有していてもよい。しかしながら、レンズ素子106、108は、互いに同じ倍率/ディオプティックパワーを有するように構成されていてもよい。他の実施形態では、レンズ素子106、108は、
図20に示すものとは異なる寸法のものが提供されてもよい。
【0077】
レンズ群104は、本明細書に開示された方法で、例えば、球面レンズ100に着脱可能に取り付けられる着脱可能なアタッチメントの一部であることによって、球面レンズ100に取り付けられてもよい。そのような着脱可能なアタッチメントは、球面レンズ100のハウジングへのクランプを含んでもよい。レンズ群104は、球面レンズ100とオブジェクト空間103との間に配置されている。
【0078】
図21は、
図20に示すようなレンズ群104と組み合わせて利用される球面レンズ100のスポットダイアグラム解析を示す。球面レンズ100は、
図14に示す球面レンズ100と同じ構造を有している。しかしながら、レンズ群104は、球面レンズ100内に
非回転対称光学収差を誘起している。
【0079】
図22は、
図20に示すレンズ群104と組み合わせて利用される球面レンズ100のレイトレース解析を示す。示されているように、レンズ群104は、球面レンズ100内に非回転対称光学収差を誘起している。
図15および
図16の比較と
図21および
図22の比較との間で示されるように、非回転対称光学収差の度合いが増加している。コマ、非点収差、フレアが強調された結果となる。アナモルフィック圧縮は、
いずれの軸方向に対して
も1.09を超えない。他の実施形態では、さらに少ない圧縮が生成されてもよい。
【0080】
図23は、球面レンズ100と組み合わせて利用されるレンズ群118の概略図を示す。レンズ群118は、シリンドリカルレンズ素子120と、シリンドリカルレンズ素子122と、球面レンズ素子124と、を含んでもよい。シリンドリカルレンズ素子120は、オブジェクト空間103に向く負のシリンドリカルレンズ面126と、オブジェクト空間103とは反対に向く正のシリンドリカルレンズ面128とを含んでもよい。シリンドリカルレンズ素子120は、円筒状のメニスカスレンズからなる。シリンドリカルレンズ素子122は、オブジェクト空間103に向く負のシリンドリカルレンズ面125と、オブジェクト空間103とは反対に向く正のシリンドリカルレンズ面127とを含んでもよい。シリンドリカルレンズ素子122は、円筒状のメニスカスレンズからなる。レンズ素子120、122の曲率半径は同じである。レンズ素子120、122の半径および厚さは、互いに同じであってもよい。基材も同じであってもよい。球面レンズ素子124は、オブジェクト空間103に向く正のシリンドリカルレンズ面129と、オブジェクト空間103とは反対に向く平面レンズ面131とを含んでもよい。シリンドリカルレンズ素子122は、シリンドリカルレンズ素子120と球面レンズ素子124との間に配置されてもよい。
【0081】
レンズ群118は、本明細書に開示された方法で、例えば、球面レンズ100に着脱可能に取り付けられる着脱可能なアタッチメントの一部であることによって、球面レンズ100に取り付けられてもよい。そのような着脱可能なアタッチメントは、球面レンズ100のハウジングへのクランプを含んでもよい。レンズ群118は、球面レンズ100とオブジェクト空間103との間に配置されている。
【0082】
図24は、
図23に示すようなレンズ群118と組み合わせて利用される球面レンズ100のスポットダイアグラム解析を示す。球面レンズ100は、
図14に示す球面レンズ100と同じ構造を有している。しかしながら、レンズ群118は、球面レンズ100内に
非回転対称光学収差を誘起している。
【0083】
図25は、
図23に示すようなレンズ群118と組み合わせて利用される球面レンズ100のレイトレース解析を示す。示されているように、レンズ群118は、球面レンズ100内に非回転対称光学収差を誘起している。
図15および
図16の比較と
図24および
図25の比較との間で示されるように、非回転対称光学収差の度合いが増加している。コマ、非点収差、フレアが強調された結果となる。アナモルフィック圧縮は、
いずれの軸方向に対して
も1.09を超えない。他の実施形態では、さらに少ない圧縮が生成されてもよい。
【0084】
図26は、球面レンズ100と組み合わせて利用されるレンズ群132の概略図を示す。レンズ群132は、シリンドリカルレンズ素子134と、シリンドリカルレンズ素子136と、球面レンズ素子138と、を含んでもよい。シリンドリカルレンズ素子134は、オブジェクト空間103に向く正のシリンドリカルレンズ面140と、オブジェクト空間103とは反対に向く負のシリンドリカルレンズ面142とを含んでもよい。シリンドリカルレンズ素子134は、円筒状のメニスカスレンズからなる。シリンドリカルレンズ素子136は、オブジェクト空間103に向く正のシリンドリカルレンズ面144と、オブジェクト空間103とは反対に向く負のシリンドリカルレンズ面146とを含んでもよい。シリンドリカルレンズ素子136は、円筒状のメニスカスレンズからなる。レンズ素子134、136の曲率半径は同じである。レンズ素子134、136の半径および厚さは、互いに同じであってもよい。基材も同じであってもよい。球面レンズ素子138は、オブジェクト空間103に向く平面球面レンズ面148と、オブジェクト空間103とは反対に向く負のレンズ面150とを含んでもよい。シリンドリカルレンズ素子134は、シリンドリカルレンズ素子136と球面レンズ素子138との間に配置されてもよい。
【0085】
レンズ群132は、本明細書に開示された方法で、例えば、球面レンズ100に着脱可能に取り付けられる着脱可能なアタッチメントの一部であることによって、球面レンズ100に取り付けられてもよい。そのような着脱可能なアタッチメントは、球面レンズ100のハウジングへのクランプを含んでもよい。レンズ群132は、球面レンズ100とオブジェクト空間103との間に配置されている。
【0086】
図27は、
図26に示すようなレンズ群132と組み合わせて利用される球面レンズ100のスポットダイアグラム解析を示す。球面レンズ100は、
図14に示す球面レンズ100と同じ構造を有している。しかしながら、レンズ群132は、球面レンズ100内に
非回転対称光学収差を誘起している。
【0087】
図28は、
図26に示すようなレンズ群132と組み合わせて利用される球面レンズ100のレイトレース解析を示す。示されているように、レンズ群132は、球面レンズ100内に非回転対称光学収差を誘起している。
図15および
図16の比較と
図27および
図28の比較との間で示されるように、非回転対称光学収差の度合いが増加している。コマ、非点収差、フレアが強調された結果となる。アナモルフィック圧縮は、
いずれの軸方向に対して
も1.09を超えない。他の実施形態では、さらに少ない圧縮が生成されてもよい。
【0088】
レンズ群102、104、118、132は、それぞれ、
図1~4において開示されたハウジング14のようなハウジングと共に利用されてもよい。レンズ群12、102、104、118、132のいずれかは、着脱可能なアタッチメントの一部であってもよい。着脱可能なアタッチメントは、それが取り付けられているレンズに対して相対的に回転するように構成されていてもよい。着脱可能なアタッチメントの回転により、各レンズ群12、102、104、118、132を、それが装着されたレンズに対して相対的に回転させ、
非回転対称光学収差の方向を変化させてもよい。例えば、
図18、
図21、
図24、
図27に示す
非回転対称光学収差の方向は、必要に応じて変化させてもよいし、回転させてもよい。
図1~4に示すハウジング14のようなハウジングの場合、クランプ34を緩めて、装着されているレンズに対してハウジング14を相対的に回転させるだけで回転が許容され得る。
【0089】
図18、19、21、22、24、25、27、および28において示され、説明されている
非回転対称光学収差は、例示的なものであり、他の実施形態では異なっていてもよい。
非回転対称光学収差は、光学収差を持たない球面レンズ内に誘起されてもよい。
非回転対称光学収差は、
図14に示す球面レンズ100のような、光学収差を有する球面レンズ内に誘起されてもよい。
【0090】
本明細書に開示されているレンズ群は、光学条件を満たしていてもよい。光学条件は、
図29に示す参照図において議論される。レンズ群は、それぞれ以下の式を満たしていてもよく、ここで、「x
e」、「y
e」、「z
e」は、それぞれイメージ空間におけるx、y、z座標であり、「x
o」、「y
o」、「z
o」は、それぞれオブジェクト空間におけるx、y、z座標であり、「m」は、横倍率であり、「M」は、角倍率である。f
0は対物レンズの焦点距離、f
eは接眼レンズの焦点距離、u
peは像高、u
poは主光線角、SFは対物レンズの前焦点(F
0)の基準点(RO)と接眼レンズの後焦点(F
e')の基準点(RE)との間の間隔である。式は以下の通りである。
(1) x
e=mx
o=(x
0/M)
(2) y
e=my
o=(y
0/M)
(3) z
e=m
2z
o=(z
0/M
2)
(4) m=-(f
e/f
0)
(5) M=-(f
0/f
e)=(tan(u
pe))/(tan(u
po))
(6) SF=2f
e+2f
0=2(1-M)f
e=2(1-m)f
0
【0091】
図30A、Bは、シリンドリカルレンズ素子154およびシリンドリカルレンズ素子156を含むレンズ群152の実施形態を示す図を示す。シリンドリカルレンズ素子154、156は、レンズ群12、102、104、118、132に関して開示されているシリンドリカルレンズ素子に対応していてもよく、シリンドリカルレンズ素子154は、それらのレンズ群のオブジェクト空間に近いシリンドリカルレンズ素子に対応し、シリンドリカルレンズ素子156は、それらのレンズ群のオブジェクト空間から遠いシリンドリカルレンズ素子に対応している。
図30a、bに示す実施形態では、レンズ群152は、レンズ群12、102、104、118、132に関して開示されているように、同様の
非回転対称光学収差を生成するように構成されてもよい。しかしながら、シリンドリカルレンズ素子154、156は、互いに固定されておらず、光軸を中心に互いに相対的に回転してもよく、互いに相対的に光軸に沿って移動してもよい。回転していない状態のシリンドリカルレンズ素子154、156が、
図31A、Bに示され、軸方向に移動し回転した状態のシリンドリカルレンズ素子154、156が、
図32A、Bに示されている。
【0092】
回転および軸方向の移動は、レンズ群152によって生成される画像の拡大を誘起するために利用されてもよい。さらに、非回転対称光学収差の形状および性質は、回転および軸方向の移動に応じて変化してもよい。
【0093】
1つの実施形態では、シリンドリカルレンズ素子154、156の軸方向の移動は利用されず、シリンドリカルレンズ素子154、156の回転のみが生じてもよい。回転が、軸方向の移動を伴わずに倍率変化を生じさせてもよい。
【0094】
1つの実施形態では、本明細書に開示されたレンズ群は、球面レンズ内の非回転対称光学収差を誘起しないように利用されてもよいが、球面レンズ内に存在する収差を補正するために使用されてもよい。球面レンズが非回転対称光学収差を含む実施形態では、レンズ群は、これらの非回転対称光学収差の影響を低減し、それによってレンズを補正するために、その上に適用されてもよい。
【0095】
1つの実施形態では、本明細書に開示されたレンズ群のレンズ素子のいずれか、または全てが、レンズ群によって生じる非回転対称光学収差を変化させるコーティングを備えていてもよい。
【0096】
1つの実施形態では、本明細書に開示されたレンズ群は、着脱可能なアタッチメントの一部として提供されない場合がある。むしろ、レンズ群は、球面レンズのようなレンズと一体化されていてもよく、そのようなレンズのハウジング内に配置されていてもよい。レンズ群は、このようなレンズの永久素子を構成してもよい。
【0097】
1つの実施形態では、本明細書に開示されたレンズ群は、球面レンズではなく、シリンドリカルレンズまたはアナモルフィックレンズ系と組み合わせて利用されてもよい。シリンドリカルレンズまたはアナモルフィックレンズ系は、非回転対称光学収差を含んでもよく、本明細書のレンズ群の使用によって、非回転対称光学収差を誘起し、非回転対称光学収差の程度を増加、または増強してもよい。したがって、アナモルフィックレンズに関連して増強された収差が提供されてもよい。
【0098】
本明細書に開示されたレンズ群または着脱可能なアタッチメントのいずれかが、システムに利用されてもよい。システムは、レンズを含んでもよく、このレンズは、球面レンズまたはアナモルフィックレンズであってもよい。レンズは、カメラシステムの一部として使用されてもよく、カメラレンズを構成してもよい。カメラシステムは、映画用カメラシステム(例えば、フィルムまたはデジタル)、静止画撮影用カメラシステム、モバイルデバイス用カメラシステム(例えば、電話カメラ)、または他の形態のカメラシステムを含むことができる。本明細書に開示された装置または方法のいずれかは、システムの一部として利用してもよい。
【0099】
本開示は、レンズ内に非回転対称光学収差を誘起する方法を含む。本開示はまた、本明細書に開示されたレンズ群または着脱可能なアタッチメントのいずれかを利用する方法を含む。本明細書に開示されたプロセスまたはステップのいずれかは、本開示の範囲内の方法を構成してもよい。例えば、方法は、少なくとも2つのシリンドリカルレンズ素子を含むレンズ群と、レンズ群に結合されたハウジングであって、ハウジングがレンズに取付けられたときにレンズ群がオブジェクト空間とレンズとの間に配置されるように、レンズに着脱可能に取り付けられるように構成されたハウジングと、を含む、着脱可能なアタッチメントを提供すること、を含んでもよい。方法は、レンズ群を用いて、レンズ内に非回転対称光学収差を誘起すること、を含んでもよい。
【0100】
締めくくりとして、本明細書の態様は具体的な実施態様を参照して強調されているが、当業者であれば、これらの開示されている実施態様は、本明細書に開示されている主題の原理の単に例示であることが容易に分かるであろうことを理解すべきである。従って、開示されている主題は、決して本明細書に記載されている特定の方法論、手順、及び/又は試薬などに限定されないことを理解すべきである。従って、本明細書の趣旨から逸脱することなく、本明細書中の教示に従って、開示されている主題に対する様々な修正又は変更又はそれらの他の構成が可能である。最後に、本明細書中で使用されている専門用語は、単に特定の実施態様を記述するためのものであり、本明細書に開示されているシステム、装置、及び方法の範囲を限定するものではく、特許請求の範囲によってのみ定義される。従って、システム、装置、及び方法は、詳細に図示及び記載されているものに限定されない。
【0101】
本発明者らに知られている本発明を実施するための最良の形態を含むシステム、装置、及び方法の特定の実施態様が、本明細書に記載されている。当然のことながら、これらの記載されている実施態様の変形形態は、上記記載を読めば当業者には明らかである。本発明者は、当業者がそのような変形形態を適宜用いることを想定しており、本発明者らは、本明細書に具体的に記載されているものとは異なる方法でシステム、装置、及び方法が実施されることを企図している。従って、システム、装置、及び方法は、本明細書に添付されている特許請求の範囲に列挙されている主題の全ての変形形態及び均等物を適用法により認められるものとして含むものである。さらに、本明細書に特に明記しない限り、あるいは文脈に明らかに矛盾しない限り、その全ての可能な変形形態における上記実施態様の任意の組み合わせがシステム、装置、及び方法により包含される。
【0102】
システム、装置、及び方法の他の実施態様、要素、又は工程のグループ化は、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。各グループの構成要素は、個々に、あるいは本明細書に開示されている他のグループの構成要素との任意の組み合わせで参照及び特許請求することができる。グループの1つ以上の構成要素は、利便性及び/又は特許性を理由に、グループに含めたり、そこから削除したりすることができるものと想定される。任意のそのような包含又は削除が生じた場合、本明細書は、そのグループを修正されたものとして含めるものとし、従って、添付の特許請求の範囲に使用されている全てのマーカッシュ群の記載を満たすものとする。
【0103】
特に明記しない限り、本明細書及び特許請求の範囲に使用されている特性、項目、量、パラメータ、性質、用語などを表わす全ての数は、「約」という用語により、全ての場合に修正されるものとして理解されるべきである。本明細書で使用される「約」という用語は、そのように定量された特性、項目、量、パラメータ、性質又は用語が、変動し得るが、本明細書で論じられている所望の操作またはプロセスを実行し得る近似値を包含することを意味する。「同じ」という用語は、そのように定量された特性、項目、量、パラメータ、性質又は用語が、わずかに変動し得るが、本明細書で論じられている所望の操作またはプロセスを実行し得る近似値を包含することを意味する。
【0104】
システム、装置、及び方法を記載する文脈(特に、以下の特許請求の範囲の文脈)に使用される「1つの(a)」「1つの(an)」「その(前記)(the)」という用語及び同様の指示物は、本明細書に特に明記しない限り、あるいは文脈に明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方を包含するものと解釈されるべきである。本明細書に記載されている全ての方法は、本明細書に特に明記しない限り、あるいは文脈に明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実施することができる。本明細書に提供されているありとあらゆる例又は例を表わす言葉(例えば、「など」)の使用は、システム、装置、及び方法を単により良く理解するためのものであり、特許請求の範囲に別段の記載がない限り、システム、装置、及び方法の範囲に限定を課すものではない。本明細書中のいずれの言葉も、システム、装置、及び方法の実施に必須なあらゆる特許請求されていない要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0105】
本明細書で参照及び特定されている全ての特許、特許公開公報、及び他の刊行物の開示内容全体が、例えば、システム、装置、及び方法に関して使用され得るそのような刊行物に記載されている組成物及び方法論を記載及び開示するために、個々に、かつ明確に参照により本明細書に組み込まれる。これらの刊行物は単に、本出願の出願日より前のそれらの開示のために提供されている。この点に関してはいずれも、本発明者らが、先願発明により、あるいはあらゆる他の理由のために、そのような開示に先行する権利がないということを認めるものとして解釈されるべきではない。これらの文献の日付に関する全ての記載又は内容に関する表現は、本出願人に利用可能な情報に基づくものであり、これらの文献の日付又は内容の正確性に関するいかなる承認も構成するものではない。
本件出願は、以下の態様の発明を提供する。
(態様1)
少なくとも2つのシリンドリカルレンズ素子を含み、光学収差を有さない球面レンズ内に非回転対称光学収差を誘起するように構成されているレンズ群と、
該レンズ群に結合され、カメラレンズに着脱可能に取付けられるように構成されたハウジングであって、該ハウジングが該カメラレンズに取り付けられたときに、該レンズ群がオブジェクト空間と該カメラレンズとの間に配置されるように構成された、前記ハウジングと、
を備える、カメラシステムのための着脱可能なアタッチメント。
(態様2)
前記少なくとも2つのシリンドリカルレンズ素子は、第1のシリンドリカルレンズ素子と第2のシリンドリカルレンズ素子とを含み、該第1のシリンドリカルレンズ素子が正のシリンドリカルレンズ面を有し、該第2のシリンドリカルレンズ素子は該正のシリンドリカルレンズ面とは反対に向く負のシリンドリカルレンズ面を有する、態様1に記載の着脱可能なアタッチメント。
(態様3)
前記第1のシリンドリカルレンズ素子は、前記正のシリンドリカルレンズ面とは反対に向く平面レンズ面を含み、前記第2のシリンドリカルレンズ素子は、前記負のシリンドリカルレンズ面とは反対に向く平面レンズ面を含む、態様2に記載の着脱可能なアタッチメント。
(態様4)
前記ハウジングは、前記正のシリンドリカルレンズ面が前記オブジェクト空間に向き、前記負のシリンドリカルレンズ面が前記オブジェクト空間とは反対に向くように、前記カメラレンズに着脱可能に取り付けられるように構成されている、態様3に記載の着脱可能なアタッチメント。
(態様5)
前記ハウジングは、前記負のシリンドリカルレンズ面が前記オブジェクト空間に向き、前記正のシリンドリカルレンズ面が前記オブジェクト空間とは反対に向くように、前記カメラレンズに着脱可能に取り付けられるように構成されている、態様3に記載の着脱可能なアタッチメント。
(態様6)
前記正のシリンドリカルレンズ面は曲率半径を有し、前記第2のシリンドリカルレンズ素子は前記正のシリンドリカルレンズ面の曲率半径と同じ曲率半径を有している、態様2に記載の着脱可能なアタッチメント。
(態様7)
前記第1のシリンドリカルレンズ素子は、前記第1のシリンドリカルレンズ素子の正のシリンドリカルレンズ面とは反対に向く負のシリンドリカルレンズ面を含み、前記第2のシリンドリカルレンズ素子は、前記第2のシリンドリカルレンズ素子の負のシリンドリカルレンズ面とは反対に向く正のシリンドリカルレンズ面を含む、態様2に記載の着脱可能なアタッチメント。
(態様8)
前記ハウジングは、前記第2のシリンドリカルレンズ素子の負のシリンドリカルレンズ面が前記オブジェクト空間に向き、前記第1のシリンドリカルレンズ素子の正のシリンドリカルレンズ面が前記オブジェクト空間とは反対に向くように、前記カメラレンズに着脱可能に取り付けられるように構成されている、態様7に記載の着脱可能なアタッチメント。
(態様9)
前記レンズ群は、正の球面レンズ素子を含み、前記第1のシリンドリカルレンズ素子が該正の球面レンズ素子と前記第2のシリンドリカルレンズ素子との間に配置されている、態様8に記載の着脱可能なアタッチメント。
(態様10)
前記ハウジングは、前記第1のシリンドリカルレンズ素子の正のシリンドリカルレンズが前記オブジェクト空間に向き、前記第2のシリンドリカルレンズ素子の負のシリンドリカルレンズ面が前記オブジェクト空間とは反対に向くように、前記カメラレンズに着脱可能に取り付けられるように構成されている、態様7に記載の着脱可能なアタッチメント。
(態様11)
前記レンズ群は、負の球面レンズ素子を含み、前記第1のシリンドリカルレンズ素子が該負の球面レンズ素子と前記第2のシリンドリカルレンズ素子との間に配置されている、態様10に記載の着脱可能なアタッチメント。
(態様12)
前記ハウジングは、前記レンズ群が前記カメラレンズに対して相対的に回転するように、前記カメラレンズに着脱可能に取り付けられるように構成されている、態様1に記載の着脱可能なアタッチメント。
(態様13)
前記非回転対称光学収差が光学フレアを含む、態様1に記載の着脱可能なアタッチメント。
(態様14)
前記レンズ群は、周辺光線上の球面レンズ収差の過小補正状態を誘起するように構成されている、態様1に記載の着脱可能なアタッチメント。
(態様15)
球面レンズと、
着脱可能なアタッチメントと、を備えるカメラレンズシステムであって、
該着脱可能なアタッチメントは、
少なくとも2つのシリンドリカルレンズ素子を含み、該球面レンズ内に非回転対称光学収差を誘起するように構成されているレンズ群と、
該レンズ群に結合され、該球面レンズに着脱可能に取付けられるように構成されたハウジングであって、該ハウジングが該球面レンズに取り付けられたときに、該レンズ群がオブジェクト空間と該球面レンズとの間に配置されるように構成された、前記ハウジングと、を含む、カメラレンズシステム。
(態様16)
前記少なくとも2つのシリンドリカルレンズ素子が、第1のシリンドリカルレンズ素子と第2のシリンドリカルレンズ素子とを含み、該第1のシリンドリカルレンズ素子が正のシリンドリカルレンズ面を有し、該第2のシリンドリカルレンズ素子が該正のシリンドリカルレンズ面とは反対に向く負のシリンドリカルレンズ面を有する、態様15に記載のシステム。
(態様17)
前記正のシリンドリカルレンズ面が曲率半径を有し、前記負のシリンドリカルレンズ素子が前記正のシリンドリカルレンズ面の曲率半径と同じ曲率半径を有している、態様16に記載のシステム。
(態様18)
少なくとも2つのシリンドリカルレンズ素子を含むレンズ群と、該レンズ群に結合され、レンズに着脱可能に取付けられるように構成されたハウジングであって、該ハウジングが該レンズに取り付けられたときに、該レンズ群がオブジェクト空間と該レンズとの間に配置されるように構成された、前記ハウジングと、を含む着脱可能なアタッチメントを提供するステップと、
該レンズ群によって、該レンズ内に非回転対称光学収差を誘起するステップと、
を含む方法。
(態様19)
前記誘起するステップが、前記ハウジングを前記レンズに取り付けるステップを含む、態様18に記載の方法。
(態様20)
前記レンズが球面レンズである、態様18に記載の方法。