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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】電気車両用充電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20241121BHJP
   B60L 53/302 20190101ALI20241121BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20241121BHJP
【FI】
H02J7/00 301A
H02J7/00 P
B60L53/302
B60L53/14
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021001582
(22)【出願日】2021-01-07
(65)【公開番号】P2022106524
(43)【公開日】2022-07-20
【審査請求日】2023-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平島 光
(72)【発明者】
【氏名】木村 勇作
(72)【発明者】
【氏名】藤井 佐和
(72)【発明者】
【氏名】山田 賢胤
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-233417(JP,A)
【文献】特開2018-050380(JP,A)
【文献】特開2019-187145(JP,A)
【文献】特開2020-036456(JP,A)
【文献】特開平05-260671(JP,A)
【文献】特開2012-223033(JP,A)
【文献】特開2018-164250(JP,A)
【文献】国際公開第2012/075413(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
B60L 53/302
B60L 53/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源から入力される電力を、電気車両を充電するための電力に変換する充電ユニットを内部に収容する筐体を備える電気車両用充電装置であって、
前記筐体に設けられた第一吸気口及び第二吸気口と、
前記筐体に設けられた排気口と、
前記第一吸気口から前記筐体の内部に導入された空気を、前記充電ユニットの一端側から前記充電ユニットの内部を通って前記充電ユニットの他端側へ通過させ、前記排気口から前記筐体の外部に排出させる第一流路と、
前記第二吸気口から前記筐体の内部に導入された空気を、前記充電ユニットの他端側から前記充電ユニットの側方を通って前記充電ユニットの一端側に導き、前記第一流路に合流させる第二流路と、を備える電気車両用充電装置。
【請求項2】
前記第二吸気口は、前記筐体において前記充電ユニットを間に挟んで対向する両側の位置にそれぞれ設けられ、
前記第二流路は、前記充電ユニットの一端側に設けられた一つの導入口を有し、前記充電ユニットの側方を通った空気を前記導入口を介して前記第一流路に合流させるようになっており、
前記導入口は、前記筐体の両側に設けられた前記第二吸気口のうち一方側の前記第二吸気口と同じ方向に開口するように、前記充電ユニットの一端側に設けられている請求項1に記載の電気車両用充電装置。
【請求項3】
前記筐体の前記第二吸気口が設けられる壁部は、外側壁部と当該外側壁部の内側に配置された内側壁部とを有する二重構造になっており、
第二流路は、前記第二吸気口から導入された空気を、前記外側壁部と前記内側壁部との間を通って前記充電ユニットの他端側に導くようになっている請求項1又は2に記載の電気車両用充電装置。
【請求項4】
前記充電ユニットの他端には前記第一及び第二吸気口から前記筐体の内部に空気を導入するための吸気ファンが設けられている請求項1~3のいずれかに記載の電気車両用充電装置。
【請求項5】
前記筐体の内部は、前記吸気ファンと一体的に設けられた仕切り部によって第1空間部と第2空間部に仕切られており、
前記第1空間部には、前記充電ユニットが収容されると共に、前記第一及び第二吸気口から前記筐体の外部の空気が導入され、
前記第2空間部には、前記吸気ファンから排出された空気が導入され、前記排気口から前記筐体の外部に排出される、請求項4に記載の電気車両用充電装置。
【請求項6】
前記筐体の内部には、複数の前記充電ユニットが、前記筐体の上下方向を長手方向とする姿勢で一方向に一列に並んだ状態で収容されている請求項1~5のいずれかに記載の電気車両用充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気車両用充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電気自動車のバッテリを充電するための急速充電器が開示されている。この急速充電器は、筐体と、筐体の内部で縦方向に延びる筒状のダクトと、ダクトに固定された充電ユニットと、を備えている。充電ユニットは、作動時に発熱する複数の電気機器を有しており、これらの電気機器は、ダクトの側面部を兼ねたベースプレートに固定されている。筐体の下部には、外部の空気を取り込む吸気口が設けられており、吸気口を通って取り込まれた空気は、ダクトを通じて筐体の上部に設けられた排気口から排出される。これにより、充電ユニットで発生する熱が、ダクト内の空気流れによって放熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-85398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、屋外に設置される充電装置の充電ユニットでは、防塵性能や防水性能を確保するために、放熱用のダクトと充電用の電気機器とが保護用の筐体の内部に収容される場合がある。
【0005】
このような充電ユニットに上記特許文献1に記載の急速充電器の構造を適用した場合、充電ユニットの内部(保護用の筐体の内部)の熱は、ダクト内の空気流れによって放熱が可能である。しかし、充電ユニットの外部(保護用の筐体の外部)の熱は、筐体との間の空気が滞留するため、放熱することが困難になるという課題がある。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、筐体の内部に充電ユニットを備えた電気車両用充電装置において、充電ユニットの内部及び外部の熱を効率よく放熱させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る電気車両用充電装置は、外部電源から入力される電力を、電気車両を充電するための電力に変換する充電ユニットを内部に収容する筐体を備える電気車両用充電装置であって、前記筐体に設けられた第一吸気口及び第二吸気口と、前記筐体に設けられた排気口と、前記第一吸気口から前記筐体の内部に導入された空気を、前記充電ユニットの一端側から前記充電ユニットの内部を通って前記充電ユニットの他端側へ通過させ、前記排気口から前記筐体の外部に排出させる第一流路と、前記第二吸気口から前記筐体の内部に導入された空気を、前記充電ユニットの他端側から前記充電ユニットの側方を通って前記充電ユニットの一端側に導き、前記第一流路に合流させる第二流路と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る電気車両用充電装置によれば、筐体の内部に長尺状の充電ユニットが収容されている。筐体は、第一吸気口及び第二吸気口から外部の空気を導入し、排気口から排出する。充電ユニットの内部には、筐体の第一吸気口から内部に導入された空気を、充電ユニットの一端側から充電ユニットの内部を通って他端側へ通過させ、排気口から筐体の外部に排出させる第一流路を備えている。この第一流路の空気流れによって、充電ユニットの内部の熱が放熱される。また、筐体は、筐体の第二吸気口から筐体の内部に導入された空気を、充電ユニットの他端側から充電ユニットの側方を通って充電ユニットの一端側に導き、第一流路へ合流させる第二流路を備えている。この第二流路の空気流れによって、充電ユニットの外部の熱が放熱される。従って、充電ユニットの内部及び外部の熱を効率よく放熱させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る電気車両用充電装置の構成を示す斜視図である。
図2】同電気車両用充電装置のブロック図である。
図3】同電気車両用充電装置が備える筐体の部分的な構成を示す斜視図である。
図4】同電気車両用充電装置が備える架台部と、架台部に設けられた吸気口の構造を部分的に示す斜視図である。
図5】同電気車両用充電装置が備える筐体の下部と、筐体の側面に設けられた吸気口の構造を概略的に示す縦断面図である。
図6】同電気車両用充電装置が備える筐体の上部と、筐体に設けられた排気口の構造を概略的に示す縦断面図である。
図7】同電気車両用充電装置が備える充電ユニットの分解斜視図である。
図8】同電気車両用充電装置が備える筐体の内部を概略的に示す平面図であって、筐体の内部に導入された空気の流路を説明するための図である。
図9】同電気車両用充電装置を概略的に示す縦断面図であって、筐体の内部に導入された空気の流路を説明するための図である。
図10】第2実施形態に係る電気車両用充電装置を示す図であって、図9に対応する縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1図9を参照して本発明の第1実施形態に係る電気車両用充電装置1(以下、単に「充電装置1」と称する)について説明する。説明の便宜上、各図中に適宜記す前後左右上下方向の方向を充電装置1の前後左右上下の方向と定義して構成要素の位置や向き等を説明する。また、各図においては図面を見易くするため、一部の符号を省略している場合がある。
【0011】
図1には、本実施形態に係る充電装置1が斜視図にて示されている。この充電装置1は、電気自動車やプラグインハイブリッド車等の電気車両を充電するための装置である。この充電装置1は、例えば公道沿いの民間施設内や公共施設内等に設置され、利用者によって利用される充電器である。この充電装置1は、一例として2台の電気車両に対して同時に充電を行うことが可能な2台充電タイプとされている。この充電装置1の充電方式としては、急速充電方式が採用されている。なおこの充電装置1が、例えば集合住宅の駐車場等に設置される場合、普通充電方式が採用される構成にしても良い。また、上記の電気車両は、自動車に限らず、自動二輪車であっても良い。
【0012】
この充電装置1では、外部電源である交流電源200から入力される電力を、電気車両に充電するための電力に変換する充電ユニット30を内部に収容する筐体2を備えている。筐体2は、前後方向の寸法が左右方向の寸法及び上下方向の寸法に比して十分に小さく設定された奥行薄型の箱状をなしている。この筐体2では、一例として、左右方向の寸法と上下方向の寸法とが略同等に設定されており、前後方向の寸法が左右方向及び上下方向の各寸法の数分の一(例えば四分の一程度)に設定されている。なお、前後方向と、左右方向と、上下方向とは、互いに直交している。この筐体2の内部には、複数の空間部S1~S4が形成されている。空間部S1~S4には、電気車両の充電に必要な電気機器が所定の機能ごとに分かれて収容されている。
【0013】
筐体2における左右方向の両側面の上部には、それぞれ操作ボックス4R,4Lが取り付けられている。これらの操作ボックス4は、箱状に形成されており、充電装置1の操作に必要な機器を収容している。各操作ボックス4における左右方向の外側の面には、充電装置1の利用状況等を表示する表示パネルP1や、充電装置1を操作する手順を説明する操作説明の絵P2、充電装置1を操作するための操作ボタンP3、支払い用のカードリーダP4等が設けられている。これらは、充電装置1の後述する操作部15を構成している。また、筐体2の上部における左右方向の両側面において、各操作ボックス4R,4Lの下方側には、それぞれ充電コネクタ5を保持する図示しないホルダが取り付けられている。左右の充電コネクタ5(図1では片方の充電コネクタ5のみ図示)には、充電ケーブル6の一端部が接続されており、充電ケーブル6の他端部は、操作ボックス4R,4Lの下面にそれぞれ接続されている。
【0014】
図2には、充電装置1のブロック図が示されている。充電装置1は、一例として、急速充電方式により電気車両の充電を行う充電器であり、商用電源等の交流電源200から入力される交流の電力を高出力、且つ、直流の電力に変換する電力変換部3を有している。充電装置1は、充電コネクタ5を介して、電力変換部3から出力される高出力、且つ、直流の電力を電気車両に搭載されたバッテリ(不図示)に供給する。これにより、充電装置1は、商用電源等と同じ出力で充電を行う普通充電方式と比較して、充電時間を短縮させることができる構成となっている。
【0015】
本実施形態の電力変換部3は、並列に接続された四つの充電ユニット30で構成されている。各充電ユニット30は、整流回路30A、昇圧回路30B、コンバータ回路30Cを有している。整流回路30Aは、交流電源200から供給される交流の電力を整流して出力する。昇圧回路30Bは、整流回路30Aから出力される電力を昇圧して出力する。コンバータ回路30Cは、昇圧回路30Bから出力される電力を充電電圧に変換、制御する。このようにして、各充電ユニットでは、入力側から入力された電力を高出力、且つ、直流の電力に変換する。各充電ユニット30は、作動時に、整流回路30A、昇圧回路30B及びコンバータ回路30Cを構成する半導体素子やコイル等の回路部品が発熱するため、筐体2の内部に設けられた第1空間部S1に配置されている。第1空間部S1は、筐体2の中央に設けられた第一筐体部210の内部に形成されている。
【0016】
充電装置1には、充電ユニット30から出力される電力を制御する出力制御部8と、充電ユニット30から出力される電力の充電を制御する充電制御部9とを備えている。これらの制御部は、少なくとも一つのプロセッサ(CPU)を備える制御装置を有しており、CAN通信等の所定の通信規格を用いて相互に通信可能に構成されている。
【0017】
充電ユニット30の入力側には、広義において、交流電源200から供給(入力)された電力を制御する制御装置が接続されている。一例として、交流電源200と充電ユニット30との間には、漏電遮蔽部10Aが設けられている。漏電遮蔽部10Aは、公知の漏電遮蔽器で構成されている。漏電遮蔽部10Aは、通常、一次側回路を開放するON状態とされているが、一次側回路で過電流又は漏電が検知された場合に、OFF状態となって一次側回路を閉じる機能を有する。また、交流電源200と漏電遮蔽部10Aとの間には、ノイズカット用の図示しないコンデンサが接続されている。さらに、漏電遮蔽部10Aと充電ユニット30との間には、チョークコイルやLC回路で構成されたノイズを除去するためのフィルタ装置10Bが接続されている。
【0018】
漏電遮蔽部10Aを含む入力側の制御装置は、筐体2の内部において、第1空間部S1に対して左右方向に隣接して設けられた第3空間部S3に配置されている。この第3空間部S3は、第一筐体部210に対して左右方向の一方側(ここでは右側)に配置された第二筐体部211Rの内部に形成されている。第3空間部S3には、漏電遮蔽部10A、コンデンサ、フィルタ装置10Bの他に、DB部11が配置されている。DB部11は、充電ユニット30の出力側(二次側)において、充電ユニット30と筐体2の右側の操作ボックス4Rの充電コネクタ5との間に接続されている。DB部11は、複数のダイオードを備える逆流防止回路で構成されており、充電ユニット30と電気車両のバッテリ間で電流が逆流することを防止する機能を有する。
【0019】
出力制御部8は、充電ユニット30の出力側に接続され、充電ユニット30から出力される電力を制御する。例えば、出力制御部8は、充電制御部9からの信号に基づいてリレー部12のON/OFFを制御することにより、各充電ユニット30から出力された電力を左右の操作ボックス4R,4Lの充電コネクタ5へ供給する。リレー部12は、ON状態とされることで、対応する充電ユニット30からの電力供給を継電する。リレー部12は、OFF状態とされることで、対応する充電ユニット30による電力供給を遮蔽する。このように、出力制御部8の制御によって左右の充電コネクタ5にそれぞれ供給される電力を制御することができる。これらの出力制御部8及びリレー部12は、複数の充電ユニット30から電気自動車に出力する電力を制御する出力制御装置13を構成している。また、出力制御部8は、充電ユニット30に搭載された各種センサからの信号に基づいて、充電ユニット30の内部温度や、吸気ファンの動作を監視する。この出力制御部8及びリレー部12は、筐体2の内部において、第1空間部S1に対して第3空間部S3の反対側で左右方向に隣接して設けられた第4空間部S4に配置されている。第4空間部S4は、第一筐体部210に対して左右方向の他方側(ここでは左側)に配置された第三筐体部211Lの内部に形成されている。この第4空間部S4には、出力制御部8の他にDB部11が収容されている。第4空間部S4のDB部11は、充電ユニット30の出力側において、充電ユニット30と筐体2の左側の操作ボックス4Lの充電コネクタ5との間に接続され、充電ユニット30と電気車両のバッテリ間で電流が逆流することを防止する。
【0020】
また、第4空間部S4のリレー部12と第3空間部S3に配置されたDB部11は、配線14によって電気的に接続されており、第4空間部S4のリレー部12で出力された電流が配線14を介して第3空間部S3のDB部11に入力される。この配線14は、通電によって発熱することから、第一筐体部210の内部において第1空間部S1の上方側に設けられた第2空間部S2を通って第3空間部S3まで配線されている。
【0021】
筐体2の第3空間部S3及び第4空間部S4から出力された電力は、左右の操作ボックス4R,4Lに接続された充電ケーブル6を介して充電コネクタ5に供給される。これらの操作ボックス4R,4Lには、充電制御部9と操作部15がそれぞれ配置されている。充電制御部9は、CAN通信等の所定の通信手段を用いて電気車両と相互に通信可能に構成されている。充電制御部9は、電気車両の充電プラグと接続された充電コネクタ5を介して、電気車両から制御信号を受信する。電気車両から受信する信号には、充電電流の指令値や、充電を開始又は終了に関する信号が含まれる。充電制御部9は、電気車両から送信された信号を受信し、受信した信号に基づいて充電装置1から出力される電力を決定し、充電の開始及び終了を制御する。この充電制御部9には、操作部15が接続されている。操作部15は、上述した表示パネルP1、操作説明の絵P2、操作ボタンP3、及びカードリーダP4等を含んで構成されている(図1参照)。充電制御部9及び操作部15は、操作ボックス4R,4L内に配置されることで、DB部11が収容される第3空間部S3及び第4空間部S4と区画される。これにより、DB部11を構成するダイオードで発生する熱が充電制御部9及び操作部15に伝達されることを抑制することができる。
【0022】
以上説明したとおり、筐体2の内部には、複数の空間部S1~S4に分割して充電に必要な電気機器が収容されており、筐体2の内部の中央に設けられた第1空間部S1には、電力変換部3を構成する充電ユニット30が配置されている。充電装置1では、作動時に充電ユニット30で発生する熱を効率よく放熱するために、筐体2の内部に空冷用の複数の流路を設ける構造とした。以下、筐体2及び充電ユニット30の構造を詳細に説明する。
【0023】
(筐体2)
図3に示されるように、筐体2は、前後方向から見て略Uの字状(上方側が開放されたコの字状)をなす骨格部21を備えている。この骨格部21には、図1に示されるように、筐体2の意匠面を形成する複数枚の意匠パネル22~28が取り付けられている。これらの意匠パネル22~28は、例えば板金材料がNC加工やベンダ加工を経て成型されたものである。これらの意匠パネル22~28は、例えばビス止めによって骨格部21に固定されている。なお図1では、筐体2の前面(正面)側が図示されているが、筐体2の背面側には、意匠パネル24~28と同様の意匠パネル24~28が設けられている。
【0024】
上記の骨格部21は、第二及び第三筐体部211R,211Lと、架台部212と、前後一対の上方補強部213と、前後一対のパネル支持部214と、上パネル支持部215と、左右一対の据付部216とを備えている。第二及び第三筐体部211R,211L、架台部212、前後の上方補強部213、前後のパネル支持部214、上パネル支持部215及び左右の据付部216は、何れも例えば板金材料によって構成されている。骨格部21は、意匠パネル22~28で覆われることで、筐体2の内部に空間部を形成している。当該空間部は、後述する仕切り部39(図6及び図7参照)によって上下に区画されており、仕切り部39の下側の空間部が第1空間部S1とされ、上側の空間部が第2空間部S2とされている。第1空間部S1には、四つの充電ユニット30が配置されている。第2空間部S2は、配線14が収容(配線)され、配線収容部とされている。
【0025】
第二及び第三筐体部211R,211Lは、それぞれ上下方向に延在する中空の角柱状(長尺な箱状)に形成されており、筐体2の左右方向の両側部を構成している。第二及び第三筐体部211R,211Lは、NC加工やベンダ加工を経て成型された複数枚の板金パネルが溶接やボルト締結等の手段で互いに結合されることで構成されている。第二及び第三筐体部211R,211Lは、左右方向において対称の形状に形成される以外は基本的に同様の構成とされている。
【0026】
第二及び第三筐体部211R,211Lは、互いに前後方向に対向して配置された前壁2111及び後壁2112(図3及び図4参照)と、互いに左右方向に対向して配置された外壁2113及び内壁2114と、互いに上下方向に対向して配置された上壁2115及び下壁(不図示)と、を有している。本実施形態では、筐体2の右側部を構成する第二筐体部211Rの内部空間が第3空間部S3とされており、筐体2の左側部を構成する第三筐体部211Lの内部空間が第4空間部S4とされている。第3空間部S3には、上述した漏電遮蔽部10A等が配置されている。第4空間部S4には、上述した出力制御部8等が配置されている。なお、第二及び第三筐体部211R,211Lの内壁2114には、第一筐体部210の内部に配置される側面に、上述したDB部11のヒートシンクが設けられている。
【0027】
本実施形態では、第二及び第三筐体部211R,211Lの上部は、前後一対の上方補強部213によって左右方向に繋がれている。前後の上方補強部213は、板金材料がNC加工やベンダ加工を経て成型されたものであり、左右方向を長手とする長尺状をなしている。前後の上方補強部213は、左右方向から見て前後方向の外側が開放された断面略コの字状をなしている。各上方補強部213における左右方向の両端部は、第二及び第三筐体部211R,211Lにおける前後方向の外側の端部にボルト締結等の手段で固定されている。
【0028】
各上方補強部213における左右方向の中央部と、架台部212における左右方向の中央部との間には、前後のパネル支持部214がそれぞれ架け渡されている。前後のパネル支持部214は、板金材料がNC加工やベンダ加工を経て成型されたものであり、上下方向を長手とする長尺状をなしている。前後のパネル支持部214は、上下方向から見て前後方向の外側が開放された断面略コの字状をなしている。各パネル支持部214の上端部は、ボルト締結等の手段で前後の上方補強部213にそれぞれ固定されている。各パネル支持部214の上端部は、ボルト締結等の手段で架台部212における前後方向の両端部にそれぞれ固定されている。前後のパネル支持部214と前後の上方補強部213とには、図1に示される意匠パネル24,25がそれぞれビス止めされている。
【0029】
第二及び第三筐体部211R,211Lの上端部間には、上パネル支持部215が架け渡されている。上パネル支持部215は、板金材料がNC加工やベンダ加工を経て成型されたものであり、左右方向を長手とする長尺状をなしている。上パネル支持部215は、左右方向から見て上方側が開放された断面略コの字状をなしている。上パネル支持部215における左右方向の両端部は、ボルト締結等の手段で第二及び第三筐体部211R,211Lの上端面にそれぞれ固定されている。この第二及び第三筐体部211R,211Lには、図1に示される意匠パネル22,23がそれぞれビス止めされている。
【0030】
(架台部)
骨格部21を構成する架台部212は、左右方向に延在する長尺な略枠箱状に形成されている。架台部212は、第二及び第三筐体部211R,211Lの下端部を左右方向に繋いでおり、筐体2の下端部(底部)を構成している。具体的には、架台部212の左右方向の両端部は、第二及び第三筐体部211R,211Lの下端部と、板金製のブラケットで構成された据付部216を介して相互に固定されている。また、据付部216は装着状態で筐体2の前後方向の外側に突出する突出部216Aを有しており、この突出部216Aが図示しないボルトを用いて設置面に締結されている。これにより、筐体2が設置面に固定されている。
【0031】
架台部212は、NC加工やベンダ加工を経て成型された複数枚の板金パネルが溶接やボルト締結等の手段で互いに結合されることで構成されている。この架台部212は、前後方向に互いに対向して配置された前壁2121及び後壁2122と、前壁2121及び後壁2122の各上端部を前後方向に繋いだ上壁2123と、前壁2121及び後壁2122の各下端部から前後方向の内側(中央側)へ延びる前後一対の下壁2124とを有している。なお本実施形態では、下壁2124が前後に分割されているが、前後の下壁2124が一体に繋がった構成にしてもよい。
【0032】
図4に示されるように、前壁2121及び後壁2122には、多数の円形の貫通孔TH1が一方向(左右方向)に並んで形成されており、上壁2123には、複数の矩形の貫通孔TH2が一方向に並んで形成されている。上壁2123は、複数(ここでは四つ)の充電ユニット30の載置面とされており、上壁2123に形成された複数の貫通孔TH2は、各充電ユニット30の下方にそれぞれ配置されている。即ち、複数の充電ユニット30は、上下方向を長手方向とする姿勢で一方向に一列に並んだ状態で収容されている。
【0033】
また、前壁2121及び後壁2122には、左右一対の切欠部NTが左右方向に並んで形成されている。左右の切欠部NTは、下方側から切り欠かれており、前後方向から見て矩形状をなしている。左右の切欠部NTは、架台部212の左右方向の中央を介して左右対称に配置されている。これらの切欠部NTは、充電装置1をフォークリフトで運搬する際に、フォークリフトの左右のフォークを挿入するための切欠きである。
【0034】
前壁2121に形成された左右の切欠部NTと、後壁2122に形成された左右の切欠部NTとの間には、上記左右のフォークの当接面となるフォーク当接板2125がそれぞれ架け渡されている。左右のフォーク当接板2125は、板金が断面コの字状に曲げ加工されたものである。これらのフォーク当接板2125は、前後方向から見て下方側が開放された姿勢で配置されており、溶接等の手段で前壁2121及び後壁2122と結合されている。各フォーク当接板2125には、各フォーク当接板2125を上下方向に貫通する複数の円形の貫通孔TH3が前後方向に並んで形成されている。上記の貫通孔TH1、TH2、TH3は、筐体2の内部に外気(冷却風)を導入するための第一吸気口20を構成している。
【0035】
また、架台部212の各下壁2124には、各下壁2124を上下方向に貫通する複数のボルト挿通孔BH2が左右方向に並んで形成されており、各下壁2124は、ボルト挿通孔BH2に挿通される図示しないボルトを用いて、突出部216A同様に設置面に固定可能になっている。ボルト挿通孔BH2は、充電ユニット30を架台部212に設置する前の状態では、前壁2121及び後壁2122に形成された複数の貫通孔TH1を通じてボルトの締結作業が可能とされている。一方、充電ユニット30を架台部212に設置した後の状態では、貫通孔TH1が意匠パネル28等に覆われるため、架台部212の外側からボルト挿通孔BH2及びボルトへのアクセスが不能になるように構成されている。
【0036】
図1に示されるように、筐体2の前側部及び後側部には、左右方向に並んだ意匠パネル24,25がそれぞれ配置されている。これらの意匠パネル24,25は、筐体2の壁部を構成している。より具体的に、意匠パネル24,25は、筐体2の前壁と後壁を構成し、第1空間部S1に収容される四つの充電ユニット30と前後方向に対向して配置されている。意匠パネル24,25は、それぞれ前後方向から見て矩形状をなす板状部材で構成されており、例えば板金材料がNC加工やベンダ加工を経て成型されたものである。意匠パネル24,25の周縁部は、例えばビス止めによって骨格部21と、一対の上方補強部213と、一対のパネル支持部214と、にそれぞれ固定されている。
【0037】
図5には、第1空間部S1を左右方向から見た状態が、筐体2の縦断面図で示されている。意匠パネル24,25は、それぞれ筐体2の表面を構成する外側壁部41と外側壁部の内側に配置された内側壁部42とを有する二重構造部40になっている。
【0038】
外側壁部41は、前後方向を板厚方向とする矩形状の板状部材で構成されており、上下方向を長手方向として長尺状に形成されている。外側壁部41の下端部には、外側壁部41を貫通する複数のスリットによって構成された第二吸気口45が設けられている。この第二吸気口45は、筐体2の前後方向の両側面部から、外部の空気を取り込むための吸気口である。
【0039】
内側壁部42は、筐体2の内部において外側壁部41の内側に配置されている。内側壁部42は、外側壁部41と平行に延在する縦壁部421と、縦壁部421の外周から外側壁部41に向かって立設された横壁部422と、横壁部422における前後方向の外側端部から外側壁部41に沿って延在されたフランジ部423を備えている。内側壁部42は、これらの縦壁部421、横壁部422、フランジ部423によって底浅のバスタブ形状に形成されている。内側壁部42のフランジ部423は、外側壁部41の内側面に、例えばビス止めによって接合されている。この状態では、外側壁部41と内側壁部42の間に空間部(ダクト)が形成されており、当該空間部に外側壁部41の第二吸気口45を通って筐体2の外部の空気が導入される。第二吸気口45から空間部に導入された空気は、縦壁部421の上端部に形成された上部開口46を通って第1空間部S1に供給される。上部開口は、一例として、縦壁部421を貫通する複数のスリットによって構成されている。
【0040】
このようにして、第二吸気口45から導入される空気は、二重構造部40を通って上昇し、上部開口46を通過して第1空間部S1へ導入される。二重構造部40によって、第二吸気口45の内側に内側壁部42が配置されるため、第二吸気口45から雨水等が侵入することが抑制される構造になっている。また、第二吸気口45から導入された空気を第二吸気口45よりも上方側に位置する上部開口46から筐体2の内部に供給するため、第1空間部S1の上部空間における空気の滞留を抑制することができる。
【0041】
図6には、第2空間部S2を左右方向から見た状態が、筐体2の縦断面図で示されている。筐体2の上部には、筐体2を前後方向の両側及び上方側から覆う前後一対の意匠パネル22,23が配置されている。一対の意匠パネル22,23は、筐体2の第2空間部S2の前壁と後壁、並びに上壁を構成している。各意匠パネル22,23は、左右方向から見てL字状をなす板状部材で構成されており、例えば板金材料がNC加工やベンダ加工を経て成型されたものである。意匠パネル22,23は、周縁部が例えばビス止めによって骨格部21(第二及び第三筐体部211R,211L)と、一対の上方補強部213と、上パネル支持部215と、にそれぞれ固定されている。
【0042】
意匠パネル22,23は、それぞれ、上下方向に延在する外側縦壁部221,231と外側縦壁部221,231の上端部から前後方向の内側に延在する外側横壁部222,232とを備えている。外側縦壁部221,231には、排気口48が設けられている。排気口48は、例えば、外側縦壁部221,231を貫通する複数のスリットによって構成されている。この排気口48は、第1空間部S1から第2空間部S2へ導入された空気を筐体2の外部へ排出するための排気口である。
【0043】
外側縦壁部221,231の内側には、ダクト部29が配置されている。ダクト部29は、排気口48からの雨水等の侵入を抑制すると共に、第2空間部S2における空気の滞留を抑制する。ダクト部29は、外側縦壁部221,231と平行に延在する内側縦壁部291と、内側縦壁部291の外周から外側縦壁部221,231に向かって延びる内側横壁部292と、内側横壁部292における前後方向の外側端部から外側縦壁部221,231に沿って延在された内側フランジ部293と、を備えている。ダクト部29は、これらの内側縦壁部291、内側横壁部292、内側フランジ部293によって前後方向の外側に開放されたバスタブ形状に形成されている。なお、内側横壁部292のうち、内側縦壁部291の上端部及び下端部から延在する上横壁部2921と下横壁部2922は、前後方向の外側に向かうにつれて互いに離間するように傾斜されている。上横壁部2921には、上横壁部2921を板厚方向に貫通するダクト開口部50が形成されている。ダクト部29は、内側フランジ部293が外側縦壁部221,231にビス止め等によって接合されている。この状態では、外側縦壁部221,231とダクト部29によってダクトが形成され、排気口48とダクト開口部50によって筐体2の第2空間部S2と外部空間とが連通されている。
【0044】
上記第2空間部S2には、充電ユニット30の後述する吸気ファン52を通過した空気が導入される。第2空間部S2に導入された空気は、ダクト開口部50の高さまで上昇し、ダクト開口部50からダクト部29の内部を通って排気口48から排出される。この際、第2空間部S2に導入された空気がDB部11のヒートシンクにも吹き付けられる。本実施形態では、排気口48の内側にダクト部29を設けることにより、雨水の侵入が抑制される。また、ダクト開口部50を排気口48よりも上方側の位置に設けることにより、第2空間部S2の上部空間に空気流れを作り、熱の滞留を抑制するように構成されている。また、この第2空間部S2は、各種配線の配線収容部となっている。例えば、充電ユニット30の出力電力を配電する配線14は、図示しないブラケット又はクリップ等で、上方補強部213に沿って配線されている。
【0045】
次に、図7を参照して充電ユニット30について説明する。充電ユニット30は、外側筒部32と、内側筒部34と、天板部38と、台座部36を備えている。充電ユニット30は、これらの外側筒部32、内側筒部34、天板部38及び台座部36によって、上下方向を長手方向とする略直方体形状をなしている。
【0046】
外側筒部32は、上下方向を軸方向(長手方向)とする角筒状に形成されており、長手方向と直交する直交方向の断面が矩形枠状に形成されている。外側筒部32は、筐体2の前面側と対向する前側面321と、筐体2の後面側と対向する後側面322と、隣り合って配置された他の充電ユニット30と対向する右側面323及び左側面324とを備えている。外側筒部32は、一例として、NC加工やベンダ加工を経て成型された複数枚の板金パネルが溶接やボルト締結等の手段で互いに結合されることで構成されている。外側筒部32は、内側に収容される充電に必要な電気機器を雨水や粉塵から防護する。
【0047】
外側筒部32の内側には、内側筒部34が配置されている。この内側筒部34は、外側筒部32よりも一回り小さな外形の角筒状に形成されており、直交方向の断面が矩形枠状をなしている。内側筒部34は、前側面341、後側面342、右側面343及び左側面344と、を備えている。内側筒部34は、外側筒部32の後側面322に対し、後側面342を溶接やボルト締結等の手段で接合することで外側筒部32と一体に形成されている。この状態では、外側筒部32の内側において内側筒部34との間に収容空間が形成される。この収容空間には、図2に示す整流回路30A、昇圧回路30B及びコンバータ回路30C等、充電ユニット30を構成する電気機器が配置されている。これらの電気機器は、一例として、外側筒部32の内側面及び内側筒部の外側面に固定されている。
【0048】
上記外側筒部32及び内側筒部34は、台座部36に載置されている。台座部36は、略矩形箱状に形成されており、充電ユニット30の下端部を構成している。台座部36は、NC加工やベンダ加工を経て成型された複数枚の板金パネルが溶接やボルト締結等の手段で互いに結合されることで構成されている。この台座部36は、上面を構成する上壁361と、前後方向の後端部に配置された後壁362と、左右方向に対向して配置された右壁363及び左壁364と、右壁363及び左壁364の各下端部から左右方向の内側(中央側)へ延びる左右一対の下壁365とを有している。つまり、台座部36は、上下方向の下方側と前後方向の前方側(一方側)に開放されている。
【0049】
台座部36の上壁361には、矩形の貫通孔TH4が形成されている。この貫通孔TH4の下方には架台部212の上壁2123に形成された貫通孔TH2が配置されており、貫通孔TH4の上方には、内側筒部34が配置されている。
【0050】
充電ユニット30の上端部は、天板部38で構成されている。天板部38は、上下方向から見て略矩形の蓋状部材で構成されており、外側筒部32及び内側筒部34の上端開口部を塞いでいる。この天板部38は一例としてNC加工やベンダ加工を経て成型された板金パネルで構成されており、溶接やボルト締結等の手段で外側筒部32の上端開口部に固定されている。天板部38の中央部には、吸気ファン52が設けられている。吸気ファン52は、内側筒部34の上端開口部の真上に配置されている。吸気ファン52は、所定のハウジングに収容された図示しないファンを備えており、電動モータ等の駆動力でファンが回転することにより作動する。この吸気ファン52には、充電ユニット30の上方側に配置される仕切り部39が一体的に設けられている。仕切り部39は、上下方向を板厚方向とし、左右方向に長尺な矩形状の板状部材で構成されている。仕切り部39は、例えば樹脂製とされている。仕切り部39には、複数(ここでは四つ)の貫通孔TH5が形成されており、これらの貫通孔TH5は、各充電ユニット30の吸気ファン52のハウジングに挿通する。これにより、吸気ファン52と仕切り部39とが一体的に設けられている。この仕切り部39は、筐体2において、第二及び第三筐体部211R,211Lの間に設けられた内部空間を上下に区画しており、第1空間部S1の上方側に、仕切り部39によって区画された第2空間部S2を形成している。
【0051】
吸気ファン52が作動すると、内側筒部34の内側の空気が吸い上げられて、吸気ファン52の上方側に排出される。従って、架台部212の第一吸気口20(貫通孔TH2)及び筐体2の側面部に設けられた第二吸気口45から第1空間部S1に導入された外気は、台座部36の導入口37と貫通孔TH4を通って内側筒部34の内側に導入され、充電ユニット30の上端部から、第2空間部S2に排出される。
【0052】
以上説明した本実施形態に係る充電装置1では、吸気ファン52が作動することにより第1空間部S1に三つの流路(空気流れ)を形成し、充電ユニット30で発生した熱を効率的に放熱する。以下、三つの流路について、図8及び図9を参照して具体的に説明する。
【0053】
第1空間部S1に形成される第一流路R1は、第一吸気口20から筐体2の内部に導入された空気を、充電ユニット30の一端側(下端側)から充電ユニット30の内部を通って充電ユニット30の他端側(上端側)へ通過させ、排気口48から筐体2の外部に排出させる流路である。より具体的に、第一流路R1は、充電ユニット30の内側筒部34を通過する流路であり、第一吸気口20から導入された空気が、内側筒部34の長手方向の下端(一端)から上端(他端)へと通過する空気流れを形成している。この第一流路R1の空気流れによって、充電ユニット30の内部で発生する熱を放熱する。
【0054】
第二流路R2は、第二吸気口45から筐体2の内部に導入された空気を、充電ユニット30の他端側(上端側)から充電ユニット30の側方を通って充電ユニット30の一端側(下端側)に導き、第一流路R1に合流させる流路である。より具体的に、第二流路R2は、第二吸気口45から導入された空気を、外側壁部41と内側壁部42との間を通って充電ユニット30の他端側(上端側)に導くようになっている。第二流路R2は、充電ユニット30の一端側(下端側)に設けられた一つの導入口37を有し、充電ユニット30の側方を通った空気を、導入口を介して第一流路R1に合流させるようになっている。また、前記導入口は、筐体2の前後両側に設けられた第二吸気口45のうち一方側の第二吸気口45と同じ方向に開口するように、充電ユニット30の一端側に設けられている。本実施形態の導入口37は、筐体2の前壁側に設けられた第二吸気口45と同じ方向に開口している。
【0055】
第三流路R3は、第二吸気口45を通って筐体2の内部に導入された空気が、複数の充電ユニット30の間を通過して筐体2の後方側から前方側へ流れる流路である。この第三流路R3は、筐体2の後壁側の第二流路R2から導入された空気が分岐されて発生する。すなわち、筐体2の後壁側の第二吸気口45から筐体2の内部へ導入された空気は、筐体2の前壁側に開口された導入口37に導かれ、第一流路R1と合流する。この第三流路R3は、筐体2の内部を充電ユニット30の上端側から下端側へ移動しながら、充電ユニット30の間を前後方向の後方側から前方側へ通過する空気流れを形成する。この第三流路R3の空気流れによって、各充電ユニット30の間に発生する熱を放熱する。
【0056】
以上、第一流路R1、第二流路R2及び第三流路R3について説明したが、充電装置1では、充電ユニット30の内部温度の上昇を効果的に抑制するため、第一吸気口20と第二吸気口45から導入される空気が、何れも第一流路R1を通過するように構成されている。すなわち、第一吸気口20から導入された空気は、第二流路R2を介さずに直接第一流路R1を通過するように構成されており、第二吸気口45から導入された空気は、第二流路R2及び第三流路R3を介して第一流路R1に合流する。
【0057】
(作用並びに効果)
以上説明したように、本実施形態に係る充電装置1によれば、筐体2の内部に長尺状の充電ユニット30が収容されている。筐体2は、第一吸気口20及び第二吸気口45から筐体2の内部に空気を導入し、排気口48から排出する。充電ユニット30の内部には、筐体2の第一吸気口20から内部に導入された空気を、充電ユニット30の一端側から充電ユニット30の内部を通って他端側へ通過させ、排気口48から筐体2の外部に排出させる第一流路R1を備えている。この第一流路R1の空気流れによって、充電ユニット30の内部の熱を筐体2の外部へ放熱することができる。また、筐体2は、筐体2の第二吸気口45から筐体2の内部に導入された空気を、充電ユニット30の他端側から充電ユニット30の側方を通って充電ユニット30の一端側に導き、第一流路R1へ合流させる第二流路R2を備えている。この第二流路R2の空気流れによって、充電ユニット30の外部の熱が筐体2の外部へ放熱される。従って、充電ユニット30の内部及び外部の熱を筐体2の外部へ効率よく放熱させることができる。
【0058】
本実施形態では、筐体2の内部に複数の充電ユニット30が収容されており、これらの充電ユニット30は、筐体2の上下方向を長手方向とする姿勢で平行に配置され、且つ、一方向(左右方向)に並べられている。そして、第二吸気口45は、筐体2において充電ユニット30を間に挟んで対向する両側の位置にそれぞれ設けられ、第二流路R2は、充電ユニット30の一端側に設けられた一つの導入口37を有し、充電ユニット30の側方を通った空気を、導入口37を介して第一流路R1に合流させるようになっている。ここで、導入口37は、筐体2の両側に設けられた第二吸気口45のうち一方側(前方側)の第二吸気口45と同じ方向に開口するように、充電ユニット30の一端側に設けられている。従って、筐体2の後壁側の第二吸気口45から導入された空気の一部が第二流路R2から分岐して、充電ユニット30間を通り前方側に向かって流れる第3流路R3を形成する。これにより、一方向に並んだ複数の充電ユニット30の間に発生する熱が、第三流路R3の空気流れによって筐体2の外部へ放熱可能に構成されている。
【0059】
本実施形態では、第一吸気口20から導入された空気は、第二流路R2を介さずに直接第一流路R1を通過するのに対し、第二吸気口45から導入された空気は、第二流路R2を介して第一流路R1に合流する。従って、第一流路R1を通過する空気量が第二流路R2を通過する空気量よりも多くなるため、充電ユニット30の外部よりも高温になる充電ユニット30の内部を優先して空冷することができる。なお、第二流路R2を通過した空気は、第一流路R1に合流して充電ユニット30の内部に導入されるため、第二流路R2を通過した空気の温度が高くなり過ぎると、充電ユニット30の内部の冷却に影響する。そのため、第二流路R2を通過した後の温度上昇の程度を考慮して、第二吸気口45から第二流路R2に導入する空気量が設定されている。
【0060】
ところで、筐体2の内部空間のように閉じられた空間では、内部で発生した熱が上部空間に滞留されやすい。従って、筐体の内部において複数の充電ユニットを横置きの姿勢で上下に重ねて収容すると、上方側の充電ユニットの放熱効率が低下する虞がある。
【0061】
これに対して、本実施形態では、筐体2の下端部を構成する架台部212に第一吸気口20が設けられており、充電ユニット30は、筐体2の上下方向を長手方向とする縦置きの姿勢で架台部212に載置されている。そして、第一吸気口20及び第二吸気口45から導入された空気は、第一流路R1で合流して充電ユニット30の内部を下端から上端に向かって通過するように構成されている。従って、複数の充電ユニットを横置きの姿勢で上下に重ねて収容する構成と比較して、各充電ユニットの熱を均等に放熱することができるため、筐体2の内部において、上部空間に熱が滞留することを抑制することができる。
【0062】
本実施形態では、第二吸気口45が設けられた筐体2の前壁部及び後壁部の意匠パネル24,25が二重構造部40になっている。そして、第二流路R2は、第二吸気口45から導入された空気を、外側壁部41と内側壁部42との間を通って充電ユニット30の他端側(上端側)に導くようになっている。従って、悪天時の暴風雨などにより、第二吸気口45から筐体2の内部に雨水や粉塵が侵入することを防止することができる。また、上記二重構造部40によって防水、防塵性能を高めることにより、筐体2の奥行方向(前後方向)の薄型化を図ることができる。
【0063】
本実施形態では、各充電ユニット30の上端(他端)に、第一吸気口20及び第二吸気口45から導入した空気を吸引する吸気ファン52が設けられているため、筐体2の側面等に吸気ファン52を設ける構成と比較して、第一流路R1内に確実に吸気することができる。従って、充電ユニット30の内部の熱を効率よく放熱することができる。
【0064】
本実施形態では、吸気ファン52と仕切り部39が一体に設けられており、仕切り部39によって筐体2の内部が第1空間部S1と第2空間部S2に仕切られている。充電ユニット30が収容された第1空間部S1には、第一吸気口20及び第二吸気口45から筐体の外部の空気が導入される。第2空間部S2には、吸気ファン52から排出された空気が導入され、排気口48から筐体2の外部に排出される。このように、第1空間部S1と第2空間部S2で筐体2の内部を区画することにより、排気が第1空間部S1に逆流することを防ぐことができる。このような逆流防止により、放熱効率を高めることができる。
【0065】
また、本実施形態では、第2空間部S2に配線収容部が設けられており、充電ユニット30と電気車両の充電に必要な他の電気機器とを接続する配線14等が収容されている。従って、作動時に高温状態になる配線14と充電ユニット30とを仕切り部39で隔てることにより、充電ユニット30が配線14で発生する熱の影響を受けにくい構造となっている。
【0066】
続いて、図10を参照して、本発明の第2実施形態に係る電気車両用充電装置600について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。電気車両用充電装置600は、筐体2の架台部602が吸気口を備えない点において、第1実施形態に係る充電装置1と異なる。筐体2は、充電ユニット30と前後方向に対向する側面に設けられた前後一対の第二吸気口45から外部の空気を導入するように構成されている。
【0067】
上記電気車両用充電装置600の構成によれば、第二吸気口45から導入された空気は、第二流路R2を通過して、台座部36の前方側の導入口37から第一流路R1に合流する。さらに、筐体2の後面側の第二流路R2の空気流れが分岐して、充電ユニット30の間を後方側から前方側に通過する第三流路R3が形成される。このように、第2実施形態に係る電気車両用充電装置600は、基本的には第1実施形態に係る充電装置1の構成を踏襲しているため、充電ユニット30の熱を効率的に放熱するという点において同様の作用及び効果を得ることができる。また、本実施形態では、筐体2の側面にのみ吸気口を設ける構成としたため、筐体2の架台部の構造を簡単にすることができ、製造時のコスト低減を図ることができる。
【0068】
上記各実施形態では、筐体2の左右方向の側面が第二及び第三筐体部211R,211Lで構成されたが本発明はこれに限らない。筐体2の左右方向の側面が必ずしも柱状に形成される必要はなく、左右方向視で矩形状をなす板状部材で構成してもよい。この場合、上記実施形態において、第二及び第三筐体部211R,211Lの内側に配置された電気機器を、充電ユニット30と同一の内部空間に配置してもよい。又は、筐体2の左右方向の一方の側面のみを筐体部で構成して、充電ユニット30(電力変換部3)の入力側と出力側に接続された電気機器を一つの筐体部に収容する構成としてもよい。
【0069】
上記各実施形態では、複数の充電ユニット30が上下方向を長手方向とする縦置きの姿勢で配置される構成としたが、本発明はこれに限らない。充電ユニットを例えば左右方向を長手方向とする横置きの姿勢で配置する構成としてもよい。この場合、筐体の前後方向の両側面における左右方向の一端側に第二吸気口45に相当する吸気口を配置することにより、筐体の内部に第一流路、第二流路及び第3流路を形成することができる。
【0070】
上記各実施形態では、外側筒部32の後側面322に内側筒部34の後側面342が接合される構成としたが、本発明はこれに限らない。外側筒部32と内側筒部34において、互いに対向する一つ又は二つの側面同士を接合すればよい。若しくは、内側筒部34を外側筒部32の内部において、外側筒部32と離間して配置してもよい。例えば、内側筒部34を外側筒部32と同軸的に配置してもよい。
【0071】
上記各実施形態では、吸気ファン52を各充電ユニット30の上端部に設ける構成としたが、本発明はこれに限らず、吸気ファン52が充電ユニット30から離間した位置に配置される構成としてもよい。例えば、筐体2の上部に設けられた排気口48の近傍に吸気ファンを配置して、充電ユニット30の内側筒部34の上端開口部と吸気ファンとをダクト等で連結する構成としてもよい。
【0072】
その他、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記実施形態に限定されないことは勿論である。
【符号の説明】
【0073】
1 電気車両用充電装置(充電装置)
2 筐体
212 架台部
14 配線
20 第一吸気口(吸気口)
30 充電ユニット
39 仕切り部
40 二重構造部
45 第二吸気口(吸気口)
48 排気口
52 吸気ファン
600 電気車両用充電装置
R1 第一流路
R2 第二流路
R3 第三流路
S1 第1空間部
S2 第2空間部(配線収容部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10