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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/275 20180101AFI20241121BHJP
   F21S 41/29 20180101ALI20241121BHJP
   F21S 41/19 20180101ALI20241121BHJP
   F21S 45/47 20180101ALI20241121BHJP
   F21S 41/153 20180101ALI20241121BHJP
   F21S 41/147 20180101ALI20241121BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20241121BHJP
   F21V 17/00 20060101ALI20241121BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20241121BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20241121BHJP
   F21V 29/76 20150101ALI20241121BHJP
   F21W 102/155 20180101ALN20241121BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241121BHJP
   F21W 102/30 20180101ALN20241121BHJP
   F21W 102/19 20180101ALN20241121BHJP
【FI】
F21S41/275
F21S41/29
F21S41/19
F21S45/47
F21S41/153
F21S41/147
F21V5/00 610
F21V17/00 200
F21V19/00 450
F21V29/503
F21V29/76
F21W102:155
F21Y115:10
F21W102:30
F21W102:19
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021033901
(22)【出願日】2021-03-03
(65)【公開番号】P2022134641
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2024-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100099999
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 隆
(72)【発明者】
【氏名】藤村 俊之
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-170783(JP,A)
【文献】特開2012-204168(JP,A)
【文献】特開2014-175102(JP,A)
【文献】特開2020-098726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/275
F21S 41/29
F21S 41/19
F21S 45/47
F21S 41/153
F21S 41/147
F21V 5/00
F21V 17/00
F21V 19/00
F21V 29/503
F21V 29/76
F21W 102/155
F21Y 115/10
F21W 102/30
F21W 102/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と投影レンズとを備え、上記光源からの光を上記投影レンズを介して灯具前方へ向けて照射するように構成された車両用灯具において、
上記光源を支持する光源支持部材を備えており、
上記投影レンズは、光学機能を果たすレンズ本体部と上記レンズ本体部から灯具後方へ向けて延びる筒状部とが一体成形品として構成されており、
上記投影レンズは、上記筒状部の後端部において上記光源支持部材に支持されており、
上記筒状部における少なくとも上部領域に遮光処理が施されている、ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
上記遮光処理は、上記筒状部の外周面に施されている、ことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具。
【請求項3】
上記光源支持部材はヒートシンクで構成されており、
上記光源は、基板に搭載された発光素子で構成されており、
上記基板は上記ヒートシンクに支持されている、ことを特徴とする請求項1または2記載の車両用灯具。
【請求項4】
上記筒状部の後端部に環状突起部が形成されており、
上記ヒートシンクに、上記環状突起部と係合する環状凹部が形成されている、ことを特徴とする請求項3記載の車両用灯具。
【請求項5】
上記ヒートシンクに、灯具前方へ向けて延びる突起部が形成されており、
上記投影レンズに、上記突起部と係合する係合部が形成されている、ことを特徴とする請求項3または4記載の車両用灯具。
【請求項6】
上記車両用灯具は二輪車用前照灯として構成されている、ことを特徴とする請求項1~5いずれか記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、投影レンズを備えた車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両用灯具の構成として、例えば「特許文献1」に記載されているように、光源からの光を投影レンズを介して灯具前方へ向けて照射するように構成されたものが知られている。
【0003】
「特許文献1」に記載された車両用灯具においては、投影レンズがブラケットユニットを介して光源支持部材に支持されており、その灯具前方側にはエクステンションが投影レンズを囲むようにして配置された構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2013/153964号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両用灯具として上記「特許文献1」に記載されているようなエクステンションを備えた構成とすることにより、投影レンズを支持するブラケットユニットや光源等が灯具外部から見えてしまわないようにすることが可能となり、これにより灯具の見映えが損なわれないようにすることが可能となる。
【0006】
しかしながら、上記「特許文献1」に記載された車両用灯具においては、その見映えを確保するためのカバー部材としてエクステンションが必要となるので、部品点数の増大によるコストが掛かってしまい、また、エクステンションを配置するためのスペースを確保することも必要となる。
【0007】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、投影レンズを備えた車両用灯具において、安価でコンパクトな構成により、灯具の見映えを確保することができる車両用灯具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、投影レンズの構成に工夫を施すことにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【0009】
すなわち、本願発明に係る車両用灯具は、
光源と投影レンズとを備え、上記光源からの光を上記投影レンズを介して灯具前方へ向けて照射するように構成された車両用灯具において、
上記光源を支持する光源支持部材を備えており、
上記投影レンズは、光学機能を果たすレンズ本体部と上記レンズ本体部から灯具後方へ向けて延びる筒状部とが一体成形品として構成されており、
上記投影レンズは、上記筒状部の後端部において上記光源支持部材に支持されており、
上記筒状部における少なくとも上部領域に遮光処理が施されている、ことを特徴とするものである。
【0010】
上記「光源支持部材」は、車両用灯具の構成要素であれば、特定の部材に限定されるものではない。
【0011】
上記「筒状部」は、灯具後方へ向けて延びるように形成されていれば、その具体的な形状は特に限定されるものではない。
【0012】
上記「遮光処理」は、灯具外部から筒状部の内部空間が見えないようにし得るものであれば、特定の処理に限定されるものではなく、例えば、筒状部の表面に施された黒色塗装や金属蒸着等の表面処理が採用可能であり、また、投影レンズを2色成形品とした上で筒状部を遮光材料で構成したものとする処理等を採用することも可能である。
【0013】
上記「遮光処理」は、筒状部における上部領域に施されていれば、それ以外の領域には施されていてもよいし施されていなくてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本願発明に係る車両用灯具は、光源からの光を投影レンズを介して灯具前方へ向けて照射する構成となっているが、投影レンズは灯具後方へ向けて延びる筒状部を備えており、その後端部において光源支持部材に支持されており、かつ、筒状部における少なくとも上部領域には遮光処理が施されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0015】
すなわち、投影レンズはその筒状部の後端部において光源支持部材に支持されているので、上記従来技術のブラケットユニットのような投影レンズを支持するための部材が不要となり、これにより部品点数の削減を図ることができる。
【0016】
また、投影レンズの筒状部における少なくとも上部領域には遮光処理が施されているので、灯具を斜め上方から(すなわち一般的な観察方向から)観察したときに筒状部の内部空間が見えてしまわないようにすることができる。したがって、上記従来技術のエクステンションのようなカバー部材を配置することを必要とせずに、灯具の見映えを確保することができる。
【0017】
このように本願発明によれば、投影レンズを備えた車両用灯具において、安価でコンパクトな構成により、灯具の見映えを確保することができる。
【0018】
上記構成において、さらに、遮光処理が筒状部の外周面に施された構成とすれば、遮光処理を施す作業を容易に行うことができる。
【0019】
上記構成において、さらに、光源支持部材がヒートシンクで構成されたものとした上で、光源が基板に搭載された発光素子で構成され、かつ、その基板がヒートシンクに支持された構成とすれば、部品点数を最小限に抑えた上で上記作用効果を得ることができる。
【0020】
このような構成を採用した場合において、筒状部の後端部に環状突起部が形成されるとともに、ヒートシンクに環状突起部と係合する環状凹部が形成された構成とすれば、ヒートシンクによる投影レンズの支持を確実に行うことができ、かつ、筒状部の内部空間の気密性を容易に確保することができる。
【0021】
その際、ヒートシンクに灯具前方へ向けて延びる突起部が形成されるとともに、この突起部と係合する係合部が投影レンズに形成された構成とすれば、ヒートシンクと投影レンズとの位置決めを確実に行うことができる。
【0022】
上記構成において、さらに、車両用灯具が二輪車用前照灯として構成されている場合には、車両用灯具としてアウターカバー等を設けることなく投影レンズをそのまま外部空間に露出させた構成を採用することも容易に可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本願発明の一実施形態に係る車両用灯具を示す斜視図
図2図1のII方向矢視図
図3図2のIII-III線断面図
図4図2のIV-IV線断面図
図5図2の要部詳細図
図6図3の要部詳細図
図7図6の要部詳細図
図8】上記車両用灯具を、投影レンズとその以外の灯具構成部材とに分離して示す分解斜視図
図9】上記灯具構成部材を、リフレクタと基板アッシーおよびヒートシンクとに分離した状態で示す分解斜視図
図10】上記灯具構成部材を、リフレクタと基板アッシーとヒートシンクとに分離した状態で示す分解斜視図
図11図8のXI-XI線断面図
図12】上記車両用灯具からの照射光によって形成される配光パターンを透視的に示す図
図13】上記実施形態の第1変形例を示す、図2と同様の図
図14】上記実施形態の第2変形例を示す、図3と同様の図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を用いて本願発明の実施の形態について説明する。
【0025】
図1は、本願発明の一実施形態に係る車両用灯具10を示す斜視図である。また、図2図1のII方向矢視図であり、図3図2のIII-III線断面図であり、図4図2のIV-IV線断面図である。
【0026】
これらの図において、Xで示す方向が「灯具前方」であり、Yで示す方向が「灯具前方」と直交する「左方向」(灯具正面視では「右方向」)であり、Zで示す方向が「上方向」である。これら以外の図においても同様である。
【0027】
車両用灯具10は、二輪車の前端部に装着された状態で用いられる二輪車用前照灯であって、ロービーム照射とハイビーム照射とを選択的に行い得る構成となっている。
【0028】
まず、車両用灯具10の構成の概要について説明する。
【0029】
図3に示すように、車両用灯具10は、光源20とリフレクタ30と投影レンズ40とを備えたプロジェクタ型の灯具であって、リフレクタ30で反射した光源20からの光を投影レンズ40を介して灯具前方(すなわち車両前方)へ向けて照射するように構成されている。
【0030】
図2に示すように、光源20は、ロービーム照射時に点灯する4つの第1発光素子20Aと、ハイビーム照射時に追加点灯する4つの第2発光素子20Bとで構成されている。
【0031】
4つの第1発光素子20Aおよび4つの第2発光素子20Bは、共通の基板22に搭載されており、これにより基板アッシー60が構成されている。
【0032】
基板アッシー60は、基板22においてヒートシンク50に支持されている。また、リフレクタ30および投影レンズ40もヒートシンク50に支持されている。
【0033】
車両用灯具10は、投影レンズ40とヒートシンク50とによって形成される灯室12内に、基板アッシー60とリフレクタ30とが収容された構成となっている。
【0034】
図5図2の要部詳細図であり、図6図3の要部詳細図であり、図7図6の要部詳細図である。
【0035】
図5~7にも示すように、基板22は、4つの第1発光素子20Aおよび4つの第2発光素子20Bの各々の発光面20Aa、20Baが灯具前方へ向けて斜め上向きとなるように傾斜した状態(すなわち水平面に対して後上がりに傾斜した状態)で配置されている。
【0036】
図5に示すように、4つの第1発光素子20Aは左右方向に並んだ状態で配置されており、4つの第2発光素子20Bは、4つの第1発光素子20Aから灯具前方側に離れた位置(具体的には基板22の上面に沿って灯具前方斜め下方側に離れた位置)において左右方向に並んだ状態で配置されている。
【0037】
リフレクタ30は、4つの第1発光素子20Aからの出射光を投影レンズ40へ向けて反射させる第1リフレクタ30Aと、4つの第2発光素子20Bからの出射光を投影レンズ40へ向けて反射させる第2リフレクタ30Bとが一体的に形成された構成となっている。
【0038】
第1リフレクタ30Aは、4つの第1発光素子20Aを上方側から覆うように配置されており、第2リフレクタ30Bは、第1リフレクタ30Aの下方において、4つの第2発光素子20Bを上方側から覆うように配置されている。その際、第2リフレクタ30Bは、4つの第1発光素子20Aと4つの第2発光素子20Bとの間に位置するように配置されている。
【0039】
これを実現するため、リフレクタ30には、左右方向に細長く延びる開口部32が、第1リフレクタ30Aと第2リフレクタ30Bとの間に位置するようにした状態で形成されている。また、第1リフレクタ30Aの反射面30Aaは、第2リフレクタ30Bの反射面30Baよりも大きいサイズで形成されている。そして、4つの第1発光素子20Aからの出射光は、開口部32を介して第1リフレクタ30Aに入射し、4つの第2発光素子20Bからの出射光は、開口部32の下方において第2リフレクタ30Bに入射するようになっている。
【0040】
なお、図3、4、6、7においては、第1発光素子20Aからの出射光の光路を実線で示しており、第2発光素子20Bからの出射光の光路を破線で示している。
【0041】
投影レンズ40は、灯具前後方向に延びる光軸Axを有しており、その後側焦点Fを含む仮想鉛直面上に形成される投影用画像を反転投影することによりロービーム用配光パターンおよびハイビーム用配光パターン(これらについては後述する)を形成するようになっている。この投影レンズ40の後側焦点Fの位置は、4つの第1発光素子20Aの左右方向の中心位置でかつ発光面20Aaに対してやや下方の位置(すなわち第2発光素子20Bの発光面20Baよりも上方の位置)に設定されている。
【0042】
次に、車両用灯具10の構成の詳細について説明する。
【0043】
図8は、車両用灯具10を、投影レンズ40とその以外の灯具構成部材とに分離して示す分解斜視図である。また、図9は、上記灯具構成部材を、リフレクタ30と基板アッシー60およびヒートシンク50とに分離した状態で示す分解斜視図であり、図10は、上記灯具構成部材を、リフレクタ30と基板アッシー60とヒートシンク50とに分離した状態で示す分解斜視図である。
【0044】
まず、投影レンズ40の構成について説明する。
【0045】
図8にも示すように、投影レンズ40は、無色透明の部材(例えばアクリル樹脂製部材)であって、投影レンズ40としての光学的な機能を果たすレンズ本体部42と、このレンズ本体部42の外周縁部から灯具後方へ向けて延びる筒状部44とを備えている。
【0046】
レンズ本体部42は、前面が凸面状に形成された平凸非球面レンズとして構成されており、灯具正面視において円形の外形形状を有している。
【0047】
筒状部44は、その前端部がレンズ本体部42よりもひと回り大きい円形の外形形状を有しており、その前端面44aは円環状に形成されている。筒状部44は、灯具後方へ向けて徐々に径が大きくなるように形成されており、その後端部は略八角形の外形形状を有している。なお、筒状部44は、その上端部から下端部にかけて徐々に肉厚が増大するように形成されている。
【0048】
筒状部44の後端部には、その全周にわたって外周フランジ部44Aが形成されている。外周フランジ部44Aは、略八角形の外形形状を有しており、略一定幅で形成されているが、下部領域においてはその幅が狭くなっている。また、外周フランジ部44Aは、外周側へ向けて徐々に肉厚が減少するように形成されている。外周フランジ部44Aの後面は光軸Axと直交する鉛直面に沿って延びており、この後面には灯具後方へ向けて延びる環状突起部44Bが形成されている。
【0049】
外周フランジ部44Aには、その左右2箇所に平坦部44Aaが形成されている。各平坦部44Aaは、外周フランジ部44Aの前面を部分的に平面状に凹ませることによって形成されている。
【0050】
図2に示すように、左右1対の外周フランジ部44Aには、光軸Axと略同じ高さ位置に、水平方向に延びるU字形の切欠き部44Ab、44Acがそれぞれ形成されている。また、左側(灯具正面視では右側)の切欠き部44Abの下方には、円形の貫通孔44Adが形成されており、右側の切欠き部44Acの下方には、水平方向に延びるU字形の切欠き部44Aeが形成されている。
【0051】
投影レンズ40には、そのレンズ本体部42の前面にハードコートによる表面処理が施されており、また、その筒状部44の外周面には遮光処理が施されている。この遮光処理は、前端面44aとの接続位置から外周フランジ部44Aとの接続位置までの範囲の全周にわたって黒色塗装膜46を形成することによって行われている。
【0052】
次に、ヒートシンク50の構成について説明する。
【0053】
図3、4に示すように、ヒートシンク50は、灯具後方へ延びる複数の放熱フィン56を備えた金属製部材(例えばアルミダイカスト成形品)として構成されている。
【0054】
ヒートシンク50には、投影レンズ40の環状突起部44Bに対応する位置にU溝状の環状凹部52が形成されている。そして、この環状凹部52に接着剤等のシール剤62が充填された状態で、灯具前方側から投影レンズ40の環状突起部44Bが環状凹部52に挿入されることにより、灯室12内の気密性を維持し得る状態でヒートシンク50に対して投影レンズ40が支持されるようになっている。
【0055】
図8に示すように、環状凹部52は、その外周壁部52aの左右両側部が厚肉で形成されている。この外周壁部52aの前端面には、光軸Axと略同じ高さ位置に左右1対のネジ穴52b、52cが形成されており、その下方には左右1対の位置決めピン52d、52eが形成されている。また、外周壁部52aの前端面には、左右1対のネジ穴52b、52cの周縁領域に円環状の突出面52fが形成されており、4箇所のコーナ部にも突出面52gがそれぞれ形成されている。
【0056】
投影レンズ40は、その左右2箇所においてヒートシンク50に対してネジ締め固定されている。
【0057】
具体的には、投影レンズ40は、その外周フランジ部44Aの後面がヒートシンク50の外周壁部52aに形成された複数の突出面52f、52gに押し当てられた状態で、左右1対の切欠き部44Ab、44Acを介してヒートシンク50の左右1対のネジ穴52b、52cに挿入されたネジ48が締め付けられることによって固定されている。
【0058】
その際、投影レンズ40の外周フランジ部44Aに形成された貫通孔44Adおよび切欠き部44Aeに対して、ヒートシンク50に形成された左右1対の位置決めピン52d、52eが挿入されることにより、光軸Axと直交する鉛直面に沿った方向に関して投影レンズ40とヒートシンク50との位置決めが行われるようになっている。
【0059】
次に、基板アッシー60の構成について説明する。
【0060】
図5に示すように、4つの第2発光素子20Bは、投影レンズ40の光軸Axを含む鉛直面を中心にして互いに僅かな間隔をおいて配置されている。一方、4つの第1発光素子20Aも、光軸Axを含む鉛直面を中心にして配置されているが、中央部に位置する2つの第1発光素子20Aは、第2発光素子20B相互の間隔よりも多少広い間隔をおいて配置されており、両端部に位置する2つの第1発光素子20Aは、その内側に隣接する第1発光素子20Aに対して中央部に位置する2つの第1発光素子20A相互の間隔よりもさらに広い間隔をおいて配置されている。
【0061】
各第1および第2発光素子20A、20Bは、いずれも同様の構成を有しており、その発光面20Aa、20Baは横長矩形状に形成されているが、両者は前後逆向きに配置されている。すなわち、各第1発光素子20Aは、その発光面20Aaが前端縁寄りに位置するように配置されており、各第2発光素子20Bは、その発光面20Baが後端縁寄りに位置するように配置されている。
【0062】
基板22は、金属板(例えばアルミニウム板)の上面に絶縁層(図示せず)を介して導電層24が所定の配線パターンで形成された構成となっている。各第1および第2発光素子20A、20Bは、2つの導電層24に跨るように配置された状態で、その灯具後方側において基板22の上面に搭載されたコネクタ26と電気的に接続されている。そして、このコネクタ26に対して電源側コネクタ70が装着されることにより、各第1および第2発光素子20A、20Bに対して電力が供給されるようになっている。
【0063】
次に、リフレクタ30の構成について説明する。
【0064】
図5、9に示すように、リフレクタ30は、金属製部材(例えばアルミダイカスト成形品)であって、第1および第2リフレクタ30A、30Bと共にこれらを繋ぐように形成された周辺構造部34を備えた構成となっている。
【0065】
第1リフレクタ30Aは、その反射面30Aaとして4つの反射領域を備えている。すなわち、反射面30Aaは、開口部32の上方に位置する2つの反射領域30Aa1、30Aa2と、開口部32の左右両側に位置する1対の反射領域30Aa3とを備えている。
【0066】
反射領域30Aa1は、その下端縁において開口部32に臨むように形成されている。反射領域30Aa2は、反射領域30Aa1を上方側から囲むようにして形成されており、灯具正面視において略扇形の外形形状を有している。左右1対の反射領域30Aa3は、その内側縁において開口部32に臨むように形成されている。
【0067】
反射領域30Aa2には、4つの第1発光素子20Aからの出射光を拡散反射させるための光拡散処理が施されている。この光拡散処理は、反射領域30aAにシボ加工Eを施すことによって行われている。
【0068】
第2リフレクタ30Bは、その反射面30Baとして3つの反射領域を備えている。すなわち、反射面30Baは、開口部32の下方に位置する反射領域30Ba1と、この反射領域30Ba1の左右両側に位置する1対の反射領域30Ba2とを備えている。反射領域30Ba1は、4つの第2発光素子20Bの左右両側において4つの第2発光素子20Bよりも下方側の位置まで回り込んで延びるように形成されている。左右1対の反射領域30Ba2は、反射領域30Ba1の左右1対の回り込み部分に対して隣接するように形成されている。
【0069】
第2リフレクタ30Bは、その上端面が水平面に対してやや上向きに湾曲した凸曲面として形成されている。具体的には、第2リフレクタ30Bの上端面は、灯具前方へ向けて僅かに下向きで直線状に延びるとともに光軸Axを含む鉛直面を中心にして左右両側に垂れ下がるように形成されており、その後端縁が開口部32の下端縁形状を規定している。
【0070】
次に、ヒートシンク50による基板アッシー60およびリフレクタ30の支持構造について説明する。
【0071】
図3に示すように、ヒートシンク50は、基板アッシー60の基板22を支持するための基板支持部54を備えている。
【0072】
基板支持部54は、基板22を後上がりに傾斜させた状態で支持するように斜面状に形成された基板支持面54aを備えている。この基板支持面54aの水平面に対する上向き傾斜角度は、20~50°程度(より好ましくは25~45°程度(例えば35°程度))の値に設定されている。
【0073】
図9、10に示すように、基板22は、リフレクタ30の周辺構造部34によって灯具前方側から基板支持面54aに押し付けられた状態でヒートシンク50に支持されている。その際、基板支持面54aはその周辺領域よりも僅かに突出した平面で構成されており、これにより基板22が基板支持面54aに対して確実に面接触するようになっている。
【0074】
図8に示すように、リフレクタ30は、その周辺構造部34の2箇所においてヒートシンク50に対してネジ締め固定されている。
【0075】
具体的には、図9に示すように、ヒートシンク50には、その右下コーナ部および左上コーナ部にボス部58が形成されている。また、リフレクタ30には、その周辺構造部34の右下部および左上部にネジ挿通孔34aが形成されている。そして、リフレクタ30は、その周辺構造部34が基板22および2箇所のボス部58の先端面に押し当てられた状態で、各ネジ挿通孔34aを介して各ボス部58のネジ穴にネジ38が挿入されて締め付けられることによってヒートシンク50に固定されている。
【0076】
図10に示すように、ヒートシンク50の基板支持部54には、基板支持面54aの左右両側に1対の位置決め用突起部54b、54cが形成されている。また、基板支持部54の灯具後方側には、左右1対の位置決め用突起部54b、54cに対応する位置に、上下方向に延びる左右1対の位置決め用梁部54d(右側のみ図示)が形成されている。
【0077】
左右1対の位置決め用突起部54b、54cおよび左右1対の位置決め用梁部54dは、基板22が基板支持面54aに載置される際、基板22の前端面22aおよび後端面22bと係合することによりガイド機能を果たすとともに、基板支持面54aに載置されたときに基板22を車両方向に関して略位置決めし得るようになっている。
【0078】
さらに、ヒートシンク50の基板支持部54には、ヒートシンク50に対して基板アッシー60およびリフレクタ30を位置決めするための位置決めピン54eが形成されている。
【0079】
図11は、図8のXI-XI線断面図である。
【0080】
図10、11に示すように、位置決めピン54eは、右側に位置する位置決め用突起部54cおよび位置決め用梁部54dよりもさらに右側において、灯具前方へ向けて延びるように形成されている。
【0081】
位置決めピン54eの下端部には鉛直リブ54fが形成されている。この鉛直リブ54fは、位置決めピン54eに沿って灯具前方へ向けて延びており、その前端縁は位置決めピン54eの先端面よりも灯具後方側に位置している。
【0082】
基板22には、位置決めピン54eおよび鉛直リブ54fを挿通させるための挿通孔22cが形成されている。この挿通孔22cは、傾斜した基板22に沿って灯具前後方向に延びる長孔で構成されており、その左右幅は位置決めピン54eの外径よりも僅かに大きい値に設定されている。
【0083】
リフレクタ30の周辺構造部34には、位置決めピン54eと係合する係合部としてのピン挿通孔34bが形成されている。このピン挿通孔34bは、位置決めピン54eより僅かに大径の円形孔で構成されている。
【0084】
また、リフレクタ30の周辺構造部34には、基板支持面54aに載置された基板22に対して灯具前方側から当接する基板当接部34cが形成されている。この基板当接部34cは、ピン挿通孔34bの下方側に位置するように形成されている。
【0085】
このように、ヒートシンク50の位置決めピン54eが基板22の挿通孔22cおよびリフレクタ30のピン挿通孔34bに灯具後方側から挿通された状態で、ヒートシンク50の基板支持面54aに載置されている基板22に対してリフレクタ30の基板当接部34cが灯具前方側から当接することにより、ヒートシンク50に対して基板アッシー60およびリフレクタ30が灯具前後方向およびこれと直交する鉛直面に沿った方向に関して位置決めされるようなっている。
【0086】
その際、基板22は、リフレクタ30の基板当接部34cが灯具前方側から当接することによって、ヒートシンク50の基板支持面54aに面接触した状態で基板支持面54aに沿って灯具後方側に変位し、その後端面22bがヒートシンク50の位置決め用梁部54dに当接するようなっている。そしてこれにより、灯具前後方向に関する基板アッシー60の位置決め精度が十分に確保されるようなっている。さらにその際、基板22は、その挿通孔22cの後端壁が位置決めピン54eと係合した状態となり、これにより灯具前後方向の位置決めがより一層確実に行われるようになっている。
【0087】
図10に示すように、基板22の前端面22aは、左右方向の中心位置へ向けて灯具前方側に階段状に変位するように形成されている。一方、リフレクタ30の周辺構造部34には、基板22の前端面22aの左右方向の中心部を灯具前方側に突出させるための開口部34dが形成されている。
【0088】
図3に示すように、電源側コネクタ70には、車体側の電源(図示せず)まで延びるコード72が接続されており、このコード72の途中部分にはブッシング74が装着されている。
【0089】
ヒートシンク50の基板支持部54の下端部には、コード72を挿通させて灯室12の外部空間まで引き回すためのコード挿通部54gが形成されており、このコード挿通部54gには貫通孔(図示せず)が形成されている。そして、コード72に装着されたブッシング74が灯具前方側から上記貫通孔に圧入されることによって、灯室12内の気密性が維持されるようになっている。
【0090】
図3において2点鎖線で示すように、車両用灯具10は、ヒートシンク50においてボルト等の取付具102を介して車体側ブラケット100に取り付けられ得る構成となっている。また、この車体側ブラケット100に対して、投影レンズ40の筒状部44の外周フランジ部44Aを灯具前方側から覆うためのカバー部材104が、取付具106を介して取り付けられ得る構成となっている。
【0091】
次に、車両用灯具10の具体的な配光制御機能について説明する。
【0092】
図12は、車両用灯具10から灯具前方(すなわち車両前方)へ照射される光により、灯具前方25mの位置に配置された仮想鉛直スクリーン上に形成される配光パターンを二輪車2と共に透視的に示す図であって、(a)はロービーム用配光パターンPLを示しており、(b)はハイビーム用配光パターンPHを示している。
【0093】
図12(a)に示すロービーム用配光パターンPLは、4つの第1発光素子20Aが点灯したときに形成される配光パターンであって、第1リフレクタ30Aで反射した4つの第1発光素子20Aから光が投影レンズ40を介して灯具前方へ向けて照射されることによって形成されるようになっている。
【0094】
ロービーム用配光パターンPLは、基本配光パターンPL0と近距離用配光パターンPLaとの合成配光パターンとして形成されている。
【0095】
基本配光パターンPL0は、第1リフレクタ30Aの反射面30Aaのうち反射領域30Aa1および左右1対の反射領域30Aa3からの反射光によって形成される配光パターンであって、H-Vを通る水平線であるH-H線よりも下方側においてH-Vを通る鉛直線であるV-V線を中心にして左右両側に大きく拡がる横長の配光パターンとして形成されている。
【0096】
なお、このように基本配光パターンPL0が横長の配光パターンとして形成されるのは、4つの第1発光素子20Aが互いに間隔をおいて配置されており、かつ、第1リフレクタ30Aが左右1対の反射領域30Aa3を備えていることによるものである。
【0097】
基本配光パターンPL0は、その上端縁がH-H線の下方近傍において略水平方向に延びるカットオフラインCLとして形成されており、また、V-V線を中心とする高光度領域HZLがカットオフラインCLに沿って形成されている。
【0098】
近距離用配光パターンPLaは、第1リフレクタ30Aの反射面30Aaのうち反射領域30Aa2からの反射光によって形成される配光パターンであって、基本配光パターンPL0の手前側に位置した状態で灯具前方5m以内の近距離路面を照射する横長の配光パターンとして形成されている。その際、反射領域30Aa2にはシボ加工による光拡散処理が施されているので、近距離用配光パターンPLaは略均一な明るさを有する配光パターンとして形成される。なお、近距離用配光パターンPLaが比較的横長の配光パターンとして形成されるのは、主として4つの第1発光素子20Aが互いに間隔をおいて配置されていることによるものである。
【0099】
図12(b)に示すように、ハイビーム用配光パターンPHは、4つの第1発光素子20Aが点灯している状態で4つの第2発光素子20Bが追加点灯したときに形成される配光パターンであって、ロービーム用配光パターンPLに対して、そのカットオフラインCLを跨ぐようにして上方側まで拡がる付加配光パターンPAが付加されたものとなっている。
【0100】
付加配光パターンPAは、第2リフレクタ30Bで反射した4つの第2発光素子20Bから光が投影レンズ40を介して灯具前方へ向けて照射されることによって形成される配光パターンであって、H-V付近を中心にして左右両側に大きく拡がるとともに上下方向にも多少拡がる横長の配光パターンとして形成されており、H-V付近を中心とする高光度領域を有している。
【0101】
なお、この付加配光パターンPAは、ロービーム用配光パターンPLの基本配光パターンPL0よりも小さい左右拡散角で比較的明るい配光パターンとして形成されるが、これは主として4つの第2発光素子20Bが互いに近接した状態で配置されていることによるものである。
【0102】
そして、このようにしてロービーム用配光パターンPLと付加配光パターンPAとが重畳されることにより、H-V付近を中心とする高光度領域HZHを有する横長のハイビーム用配光パターンPHが形成されるようになっている。
【0103】
次に本実施形態の作用について説明する。
【0104】
本実施形態に係る車両用灯具10は、光源20からの光を投影レンズ40を介して灯具前方へ向けて照射する構成となっているが、投影レンズ40は灯具後方へ向けて延びる筒状部44を備えており、その後端部において光源支持部材としてのヒートシンク50に支持されており、かつ、筒状部44の外周面には黒色塗装膜46の形成による遮光処理が施されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0105】
すなわち、投影レンズ40はその筒状部44の後端部においてヒートシンク50に支持されているので、上記従来技術のブラケットユニットのような投影レンズ40を支持するための部材が不要となり、これにより部品点数の削減を図ることができる。
【0106】
また、投影レンズ40の筒状部44には遮光処理が施されているので、車両用灯具10を観察したときに筒状部44の内部空間(すなわち灯室12)が見えてしまわないようにすることができる。したがって、上記従来技術のエクステンションのようなカバー部材を配置することを必要とせずに、灯具の見映えを確保することができる。
【0107】
このように本実施形態によれば、投影レンズ40を備えた車両用灯具10において、安価でコンパクトな構成により、灯具の見映えを確保することができる。
【0108】
しかも本実施形態においては、筒状部44の全周にわたって遮光処理が施されているので、車両用灯具10をいずれの方向から観察した場合においても、筒状部44の内部空間が見えてしまわないようにすることができる。
【0109】
また本実施形態においては、遮光処理が筒状部44の外周面に施されているので、遮光処理を施す作業を容易に行うことができる。
【0110】
さらに本実施形態においては、光源20としてロービーム照射時に点灯する4つの第1発光素子20Aとハイビーム照射時に追加点灯する4つの第2発光素子20Bとを備えており、これらが共通の基板22に搭載された状態でヒートシンク50に支持されているので、部品点数を最小限に抑えた上で上記作用効果を得ることができる。
【0111】
そして本実施形態においては、筒状部44の後端部に環状突起部44Bが形成されるとともに、ヒートシンク50に環状突起部44Bと係合する環状凹部52が形成されているので、ヒートシンク50による投影レンズ40の支持を確実に行うことができ、かつ、灯室12内の気密性を容易に確保することができる。
【0112】
その際、本実施形態においては、ヒートシンク50に灯具前方へ向けて延びる突起部として左右1対の位置決めピン52d、52eが形成されるとともに、これらと係合する係合部としての切欠き部44Abおよび貫通孔44Adが投影レンズ40に形成されているので、ヒートシンク50と投影レンズ40との位置決めを確実に行うことができる。
【0113】
また、車両用灯具10は二輪車用前照灯として構成されているので、本実施形態のように、アウターカバー等を設けることなく投影レンズ40をそのまま外部空間に露出させた灯具構成を採用することも容易に可能となる。
【0114】
本実施形態に係る車両用灯具10においては、上記従来技術のエクステンションのような投影レンズ40をその灯具前方側において囲むカバー部材は配置されていないが、図3に示すように、投影レンズ40の筒状部44の外周フランジ部44Aを灯具前方側から覆うためのカバー部材104が装着され得る構成となっているので、これにより投影レンズ40の左右2箇所におけるヒートシンク50へのネジ締め固定構造が灯具外部から見えてしまわないようにすることが可能である。
【0115】
なお、車両用灯具10を観察したとき筒状部44の内部空間が見えてしまわないようにするという本来的な目的のみを重視する観点からは、このようなカバー部材104が装着されない構成とすることにより部品点数の削減を図ることも可能である。
【0116】
上記実施形態においては、遮光処理が黒色塗装膜46を形成することによって行われているものとして説明したが、黒色塗装膜46の代わりに黒色以外の色の塗装膜やメッキ、金属蒸着膜等を形成することによって行われる構成とすることも可能である。
【0117】
上記実施形態においては、遮光処理が筒状部44の外周面に施されているものとして説明したが、筒状部44の内周面に遮光処理が施された構成とすることも可能である。
【0118】
上記実施形態においては、光源20として4つの第1発光素子20Aと4つの第2発光素子20Bとがそれぞれ左右方向に配置されているものとして説明したが、その以外の個数や配置を採用することも可能である。
【0119】
上記実施形態においては、リフレクタ30で反射した光源20からの光および光源20からの直射光が投影レンズ40に入射するものとして説明したが、そのいずれか一方のみが投影レンズ40に入射する構成とすることも可能である。
【0120】
上記実施形態においては、車両用灯具10が二輪車用前照灯として構成されているものとして説明したが、ワンボックスカーやトラック等の四輪車用前照灯として構成されている場合においても、上記実施形態と同様の構成を採用することにより上記実施形態と略同様の作用効果を得ることができる。また、ヘッドランプ以外にも、車両前方を照射するフォグランプや車両の斜め前方や側方を照射するコーナリングランプ等において、上記実施形態と同様の構成を採用することも可能である。
【0121】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0122】
まず、上記実施形態の第1変形例について説明する。
【0123】
図13は、本変形例に係る車両用灯具110を示す、図2と同様の図である。
【0124】
図13に示すように、本変形例の基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、投影レンズ140の構成が上記実施形態の場合と一部異なっている。
【0125】
すなわち本変形例においても、投影レンズ140はレンズ本体部142と筒状部144とを備えており、その筒状部144の外周面にはその前端面144aとの接続位置から外周フランジ部144Aとの接続位置までの範囲に上記実施形態の場合と同様の黒色塗装膜146が形成されている。
【0126】
しかしながら本変形例においては、黒色塗装膜146の形成範囲が、筒状部144の外周面の全周ではなく、その上部領域(具体的には光軸Axを含む水平面より上方側に位置する領域)に限定されている。
【0127】
本変形例の構成を採用することにより、次のような作用効果を得ることができる。
【0128】
すなわち、黒色塗装膜146が筒状部144の外周面の上部領域にのみ形成された構成とすることにより、遮光処理を施す作業をより一層容易に行うことができる。
【0129】
なお、本変形例の構成を採用した場合においても、車両用灯具110を斜め上方から(すなわち一般的な観察方向から)観察したときには、筒状部144の外周面の上部領域に形成された黒色塗装膜146によって筒状部144の内部空間が見えてしまわないようにすることができる。
【0130】
次に、上記実施形態の第2変形例について説明する。
【0131】
図14は、本変形例に係る車両用灯具210を示す、図3と同様の図である。
【0132】
図14に示すように、本変形例の基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、投影レンズ240の構成が上記実施形態の場合と一部異なっている。
【0133】
すなわち、本変形例の投影レンズ240も、レンズ本体部142と筒状部244とを備えているが、2色成形品として構成されている点で上記実施形態の場合と異なっている。
【0134】
具体的には、投影レンズ240は、レンズ本体部242の略全領域が透明樹脂製(例えば無色透明のPC樹脂製等)の1次成形品240Pとして構成されており、筒状部244の略全領域(すなわち外周フランジ部244Aおよび環状突起部244Bをも含む領域)が不透明樹脂製(例えば黒色のPC樹脂製やABS樹脂製等)の2次成形品240Sとによって構成されている。そして、投影レンズ240は、レンズ本体部242の外周縁部および筒状部244の前端部が1次成形品240Pと2次成形品240Sとの重複部分として構成されている。
【0135】
本変形例においては、筒状部244の略全領域が不透明樹脂製の2次成形品240Sで構成されているので、その外周面に上記実施形態の場合のような黒色塗装膜46等による遮光処理が施されてはいない。
【0136】
本変形例の構成を採用することにより、次のような作用効果を得ることができる。
【0137】
すなわち、本変形例の投影レンズ240は、筒状部244の略全領域が不透明な2色成形品として構成されることによって筒状部244に遮光処理が施された構成となっているので、筒状部244の外周面に上記実施形態のような黒色塗装膜46等による遮光処理を施すことを必要とせずに上記実施形態の場合と同様の作用効果を得ることができる。
【0138】
なお、上記実施形態およびその変形例において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。
【0139】
また本願発明は、上記実施形態およびその変形例に記載された構成に限定されるものではなく、これ以外の種々の変更を加えた構成が採用可能である。
【符号の説明】
【0140】
2 二輪車
10、110、210 車両用灯具
12 灯室(筒状部の内部空間)
20 光源
20A 第1発光素子
20Aa、20Ba 発光面
20B 第2発光素子
22 基板
22a 前端面
22b 後端面
22c 挿通孔
24 導電層
26 コネクタ
30 リフレクタ
30A 第1リフレクタ
30Aa、30Ba 反射面
30Aa1、30Aa2、30Aa3、30Ba1、30Ba2 反射領域
30B 第2リフレクタ
32 開口部
34 周辺構造部
34a ネジ挿通孔
34b ピン挿通孔
34c 基板当接部
34d 開口部
38 ネジ
40、140、240 投影レンズ
42、142、242 レンズ本体部
44、144、244 筒状部
44a、144a 前端面
44A、144A、244A 外周フランジ部
44Aa 平坦部
44Ab、44Ac 切欠き部
44Ae 切欠き部(係合部)
44Ad 貫通孔(係合部)
44B、244B 環状突起部
46、146 黒色塗装膜(遮光処理)
48 ネジ
50 ヒートシンク(光源支持部材)
52 環状凹部
52a 外周壁部
52b、52c ネジ穴
52d、52e 位置決めピン(突起部)
52f、52g 突出面
54 基板支持部
54a 基板支持面
54b、54c 位置決め用突起部
54d 位置決め用梁部
54e 位置決めピン
54f 鉛直リブ
54g コード挿通部
56 放熱フィン
58 ボス部
60 基板アッシー
62 シール剤
70 電源側コネクタ
72 コード
74 ブッシング
100 車体側ブラケット
102、106 取付具
104 カバー部材
240P 1次成形品
240S 2次成形品(遮光処理)
Ax 光軸
CL カットオフライン
E シボ加工
F 後側焦点
HZH、HZL 高光度領域
PA 付加配光パターン
PH ハイビーム用配光パターン
PL ロービーム用配光パターン
PL0 基本配光パターン
PLa 近距離用配光パターン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14