(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】ホットランナー装置
(51)【国際特許分類】
B29C 45/27 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
B29C45/27
(21)【出願番号】P 2021057568
(22)【出願日】2021-03-30
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】松島 央
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-319747(JP,A)
【文献】特開2020-029010(JP,A)
【文献】特開2020-189488(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0206396(US,A1)
【文献】特表2015-500154(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビティを有した固定型と、該固定型に固定されるランナーブロックと、先端部が前記キャビティに臨むように前記固定型及び前記ランナーブロックに固定される筒状のノズルと、前記ノズルの内部に軸方向に沿って移動自在に設けられ前記ノズルの先端部に開口したゲートを開閉するステムとを備え、射出された溶融樹脂を前記ランナーブロックを通じて前記ゲートから前記キャビティに充填するホットランナー装置であって、
前記ランナーブロックは、前記ステムの移動方向と略直交する長手方向に沿った長手方向一端に前記溶融樹脂の供給される供給口が接続されると共に、該供給口と連通して前記溶融樹脂の流通する第1供給流路を内部に有した第1ブロックと、
前記第1ブロックに接続されると共に、前記溶融樹脂の流通する第2供給流路を内部に有し、前記長手方向に沿った長手方向他端が前記ノズルに接続される第2ブロックと、
前記第1ブロックの長手方向他端と前記第2ブロックの長手方向一端とを互いに前記長手方向に沿って摺動自在に接続し、前記第1供給流路と前記第2供給流路とを連通させる接続部と、
前記長手方向において前記接続部と重なる位置に設けられ、前記接続部を固定する固定機構と、
複数の位置決め部材と、
を備え、
前記第2ブロックには、前記固定型側となる面に
複数の前記位置決め部材の係合される複数の孔部を有し、
複数の前記孔部は、
前記長手方向において
、前記ノズルから最も離間し
て配置された第1の孔部
と、
前記長手方向において、前記ノズルに最も近接し
て配置された第2の孔部
と、
を備え、
前記長手方向において、前記第1の孔部は、前記第2の孔部よりも大きく形成され、
複数の前記位置決め部材は、
前記第1の孔部において前記第2ブロックの前記長手方向の移動を許容するように前記第1の孔部に挿入される第1位置決めピンと、
前記第2の孔部において前記第2ブロックの前記長手方向の移動を規制するように前記第2の孔部に嵌合される第2位置決めピンと、
を有する、ホットランナー装置。
【請求項2】
請求項1記載のホットランナー装置において、
前記
第1位置決めピンは
、前記固定型側となる面に複数設けられ、
且つ前記長手方向において前記接続部に臨む位置に設けら
れ、
前記
第2位置決めピンは、前記長手方向において前記接続部と前記ノズルとの間に設けられ
る、ホットランナー装置。
【請求項3】
請求項1
又は2記載のホットランナー装置において、
前記固定機構は、前記接続部を挟持する一組の挟持部材を有し、
前記挟持部材の一方は、前記接続部における前記固定型側となる面に設けられる
前記第1位置決めピン
であり、前記挟持部材の他方は、前記第1ブロックにおける前記第2ブロック側とは反対側の面に設けられる固定部材である、ホットランナー装置。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか1項に記載のホットランナー装置において、
前記
第1の孔部は、前記第2ブロックの長手方向に長尺な長孔からなる、ホットランナー装置。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか1項に記載のホットランナー装置において、
前記供給口は、前記第1ブロックに対して螺合されることで固定され、前記ノズルは、前記第2ブロックに対して螺合されることで固定される、ホットランナー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融した樹脂材を射出することで成形品を成形するホットランナー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、溶融した樹脂材を金型内へ流し込むことで樹脂成形品を得る射出成形が知られている。この射出成形では、樹脂流路を通じて溶融した樹脂材を金型へと流し込む構成としているため、樹脂成形品を金型から取り出す際に、樹脂流路内の溶融樹脂が固まったランナーが生じてしまう。そのため、不要となるランナーを廃止すべく、樹脂流路内における溶融した樹脂をヒータ等によって加熱して流動状態を保つことで、樹脂成形品だけを取り出せるようにしたホットランナー装置が知られている。
【0003】
このようなホットランナー装置は、例えば、特許文献1に開示されるように、長手方向に延在するホットランナブロックと、該ホットランナブロックの長手方向端部に前記長手方向と直交するように連結されたスプルブッシュとを備え、前記ホットランナブロックの内部で長手方向に延在したランナと、前記スプルブッシュの内部で上下方向に延在したランナとが連通している。
【0004】
また、ホットランナブロックの中央底部に嵌合される位置決めピンと、該位置決めピンに対してスプルブッシュ側に形成される溝とを備え、この溝は、ホットランナブロック長手方向に延在して固定側金型の上部に設けられたピンが係合されている。
【0005】
そして、内部に供給された溶融樹脂の熱によってホットランナブロックが長手方向に熱膨張した際、固定側金型に対してホットランナブロックがピンの係合された溝を介して長手方向へ移動することで、熱膨張に伴う曲げモーメントの発生を回避している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したホットランナー装置では、熱膨張した際のホットランナブロックの長手方向における変形の基準を溶融樹脂の供給口側としているため、溶融樹脂の熱によってホットランナブロックが長手方向に熱膨張して変形する際、前記供給口とは反対側となるホットランナブロックのスプルブッシュ側の変形量が大きくなり、それに伴って、前記ホットランナブロックに連結された前記スプルブッシュの上端が長手方向へずれることで下端に対して傾いてしまう。これにより、スプルブッシュを介して固定側金型側への溶融樹脂の供給を円滑に行うことができないことが懸念される。
【0008】
本発明は、前記の課題を考慮してなされたものであり、ランナーブロックのノズル側への熱膨張によるノズルの傾きの発生を抑制することが可能なホットランナー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するために、本発明の態様は、キャビティを有した固定型と、固定型に固定されるランナーブロックと、先端部がキャビティに臨むように固定型及びランナーブロックに固定される筒状のノズルと、ノズルの内部に軸方向に沿って移動自在に設けられノズルの先端部に開口したゲートを開閉するステムとを備え、射出された溶融樹脂をランナーブロックを通じてゲートからキャビティに充填するホットランナー装置であって、
ランナーブロックは、ステムの移動方向と略直交する長手方向に沿った長手方向一端に溶融樹脂の供給される供給口が接続されると共に、供給口と連通して溶融樹脂の流通する第1供給流路を内部に有した第1ブロックと、
第1ブロックに接続されると共に、溶融樹脂の流通する第2供給流路を内部に有し、長手方向に沿った長手方向他端がノズルに接続される第2ブロックと、
第1ブロックの長手方向他端と第2ブロックの長手方向一端とを互いに長手方向に沿って摺動自在に接続し、第1供給流路と第2供給流路とを連通させる接続部と、
長手方向において接続部と重なる位置に設けられ、接続部を固定する固定機構と、
を備え、
第2ブロックには、固定型側となる面に位置決め部材の係合される複数の孔部を有し、長手方向において、複数の孔部のうちノズルから最も離間した第1の孔部を、ノズルに最も近接した第2の孔部よりも大きく形成する。
【0010】
本発明によれば、ホットランナー装置を構成するランナーブロックは、溶融樹脂の供給される供給口及び供給口と連通して溶融樹脂の流通する第1供給流路を有した第1ブロックと、第1ブロックに接続されると共に溶融樹脂の流通する第2供給流路を内部に有し長手方向に沿った長手方向他端にノズルが接続される第2ブロックとを備え、接続部によって第1供給流路と第2供給流路とを連通させると共に、第1ブロックの長手方向他端と第2ブロックの長手方向一端とを互いに長手方向に沿って摺動自在に接続し、長手方向において接続部と重なる位置に接続部を固定する固定機構を設けている。そして、第2ブロックには、固定型側となる面に位置決め部材の係合される複数の孔部を有し、長手方向において、複数の孔部のうちノズルから最も離間した第1の孔部を、ノズルに最も近接した第2の孔部よりも大きく形成している。
【0011】
従って、ランナーブロックが熱膨張し、その熱膨張応力が第1及び第2ブロックに対して付与された際、長手方向に摺動自在に接続された第1ブロックと第2ブロックとが相対的に移動することで、熱膨張により付与される応力を好適に吸収して変形を抑制することが可能となる。
【0012】
また、第2ブロックが熱膨張した際、ノズル側に設けられた第2の孔部に係合される位置決めピンを変形基準とすることで、第2ブロックのノズル側における変形量を抑制してノズルの傾きを好適に抑制すると共に、ノズルとは反対側となる供給口側において熱膨張応力を吸収して変形を好適に抑制することができる。
【0013】
その結果、ホットランナー装置において、ホットランナーの熱膨張に起因してランナーブロックに対して熱膨張応力が付与された場合であってもノズルの傾きの発生を抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0015】
すなわち、ホットランナー装置を構成するランナーブロックの第1及び第2ブロックが熱膨張し、その熱膨張応力が第1及び第2ブロックに対して付与された際であっても、長手方向に摺動自在に接続された第1ブロックと第2ブロックとが相対的に移動することで、熱膨張により付与される応力を好適に吸収して変形を抑制することができると共に、ノズル側に設けられた第2の孔部に係合される位置決めピンを第2ブロックの変形基準とすることで、ノズル側における変形を抑制してノズルの傾きを好適に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態に係るホットランナー装置の外観斜視図である。
【
図3】
図2のホットランナー装置におけるホットランナーブロック近傍の拡大断面図である。
【
図5】
図2のホットランナー装置のステムが上昇して射出成形型のキャビティ内に溶融樹脂が供給された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係るホットランナー装置について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0018】
このホットランナー装置10は、例えば、
図1及び
図2に示されるように、固定型12及び可動型14からなる射出成形型16と、前記固定型12の上方(矢印A1方向)に設けられるホットランナーブロック(ランナーブロック)18と、該ホットランナーブロック18の長手方向端部(長手方向他端)に接続されるノズルユニット(ノズル)20とを備える。なお、以下の説明では、便宜上、
図2における左右方向を長手方向(矢印B1、B2方向)と称し、左側を長手方向一方側(矢印B1方向)と称し、右側を長手方向他方側(矢印B2方向)と称する。
【0019】
射出成形型16は、固定型12と、該固定型12の下方(矢印A2方向)に設けられ上下方向(矢印A1、A2方向)に相対変位可能な可動型14とを有し、前記可動型14が型締め時において、前記固定型12に接近するように上昇して該固定型12の下面との間にキャビティ22を形成する。そして、キャビティ22に、高温で溶融した溶融樹脂Rを供給して冷却することで、キャビティ22の形状に応じた所望の樹脂成形品が成形される(
図5参照)。また、成形が完了して型開きを行う際には、可動型14が固定型12から離れるように下降し、キャビティ22から樹脂成形品を取り出せる状態となる。
【0020】
また、固定型12には、
図2及び
図3に示されるように、その上面の中央部に後述するホットランナーブロック18の第1ブロック42を支持するための支台24が設けられる。支台24は、上下方向(矢印A1、A2方向)に所定長さを有した軸状に形成され、下端の外周面には第1ねじ部26が形成される。そして、支台24は、その下端の第1ねじ部26が固定型12の上面に開口した第1ねじ孔28へと挿入され螺合されることで、前記上面に対して上方(矢印A1方向)へ向けて直立した状態で固定される。また、支台24の上端には、水平方向(矢印B1、B2方向)に延在する板状の支持板30が設けられ、後述する第1ブロック42の下面に当接することで支持可能に形成される。
【0021】
さらに、固定型12には、支台24の設けられる中央部に対して所定距離だけ長手方向他方側(矢印B2方向)へと離間した位置に、上下方向(矢印A1、A2方向)に延在する設置孔32が形成される。設置孔32は、固定型12の上面からキャビティ22に臨む下面まで一直線状に貫通し、その下端がキャビティ22と連通すると共に、内部には後述するノズルユニット20のゲートバルブ110が上下方向に沿って収容される。
【0022】
さらにまた、固定型12の上面には、支台24と設置孔32との間となる位置に一組の第1及び第2嵌合孔34、36が形成される。第1及び第2嵌合孔34、36は、上面に対して下方(矢印A2方向)へと所定深さだけ窪んだ略同一形状でそれぞれ形成される。第1嵌合孔34が、固定型12において長手方向一方側となる支台24側(矢印B1方向)に設けられ、第2嵌合孔36が長手方向他方側となる設置孔32側(矢印B2方向)に設けられる。すなわち、第1嵌合孔34と第2嵌合孔36とが長手方向(矢印B1、B2方向)に所定距離だけ離間して形成されている。
【0023】
そして、第1及び第2嵌合孔34、36には、それぞれ第1及び第2位置決めピン(位置決め部材)38、40が嵌合される。この第1及び第2位置決めピン38、40は、軸方向に一定径に形成されたピンであり、その軸方向に沿った下半分が第1及び第2嵌合孔34、36に嵌合され、上半分がそれぞれ固定型12の上面に対して所定長さだけ上方(矢印A1方向)へ突出した状態で固定される。
【0024】
ホットランナーブロック18は、ホットランナー装置10の略中央部に設けられる第1ブロック42と、該第1ブロック42の下方(矢印A2方向)に設けられ長手方向他方側(矢印B2方向)にオフセットして配置される複数の第2ブロック44と、前記第1ブロック42と前記第2ブロック44とを上下方向(矢印A1、A2方向)に固定するための固定機構46とを備える。そして、複数の第2ブロック44は、
図1に示されるように、第1ブロック42を中心として互いに離間するように放射状に配置されたマニホールド状に形成される。なお、ここでは、
図1に示されるように、4つの第2ブロック44を備える場合について説明する。
【0025】
第1ブロック42は、金属製材料から形成され、その上面及び下面が長手方向に沿って略平面状に形成されると共に、前記下面の略中央部には、上方(矢印A1方向)に向けて窪んで支台24の当接する凹部48が形成される。凹部48は、第1ブロック42の上面及び下面と略平行に形成されると共に、
図2に示されるように、支台24の支持板30よりも長手方向(矢印B1、B2方向)に沿って大きく形成されている。また、第1ブロック42の下面には、凹部48に対して長手方向他端側(矢印B2方向)に形成され第2ブロック44の上面に当接して摺動可能な第1摺動面50を有している。
【0026】
この第1ブロック42は、その略中央上面に開口した供給孔52と、該供給孔52と連通して長手方向他方側(矢印B2方向)へ向けて略水平方向に延在する第1供給流路54とを有し、前記供給孔52は、第1ブロック42の上面から下方(矢印A2方向)に向けて延在して第1供給流路54と接続されると共に、上方(矢印A1方向)へ突出するように供給ノズル56が接続されている。すなわち、供給孔52と第1供給流路54とが略直交するように接続されている。
【0027】
供給ノズル56は、その中心に軸方向(矢印A1、A2方向)に貫通して溶融樹脂Rの供給される供給ポート58を有した円筒状に形成され、その下端の外周面には第2ねじ部60が形成されている。そして、供給ノズル56は、その第2ねじ部60が第1ブロック42の供給孔52へと挿入され、該供給孔52の内周面に形成された第2ねじ孔62に螺合される。これにより、供給ノズル56は、第1ブロック42の上面から上方へと所定高さだけ突出した状態で固定されると共に、供給ポート58が供給孔52を介して第1供給流路54と連通する。
【0028】
第1供給流路54は、第2ブロック44(第2供給流路84)の数量に対応して4本設けられ、その長手方向一端が第1ブロック42の略中央で供給孔52と接続されて連通すると共に、該長手方向一端から長手方向他端へ向けて一直線状、且つ、各第2ブロック44側へ向かうように放射状に形成される。また、第1ブロック42には、その外形に沿うように溝部を介してヒータHが設けられている。このヒータHは、例えば、シーズヒーターからなり、第1供給流路54を流れる溶融樹脂Rを該ヒータHによって加熱することで硬化させることなく流動可能な状態に維持する。
【0029】
そして、第1供給流路54の長手方向他端(接続部)には、下方(矢印A2方向)へ向けて略直角に屈曲して第1ブロック42の下面に開口する第1接続路64を有している。この第1接続路64には、第1供給流路54の内壁に対して外側へ窪んだ第1拡幅部66に流路の一部を構成する第1流路構成部材68が設けられている。第1拡幅部66は、第1接続路64に対して上方(矢印A1方向)、長手方向一方側(矢印B1方向)及び他方側(矢印B2方向)に拡幅して形成される。
【0030】
第1流路構成部材68は、内側に断面L字状に屈曲した第1流路70を有し、第1接続路64の第1拡幅部66に装着されることで前記第1流路70が第1供給流路54と連続するように形成される。すなわち、第1流路70が第1接続路64に沿うように内部に形成される。また、第1ブロック42の長手方向他端には、長手方向に貫通して第1調整ねじ72の螺合される第1調整ねじ孔74が形成されており、前記第1調整ねじ孔74が第1接続路64と連通すると共に、前記第1調整ねじ72の長手方向一端が前記第1流路構成部材68の長手方向他端に接触可能に設けられている。
【0031】
そして、第1調整ねじ72を螺回させて長手方向(矢印B1、B2方向)に進退動作させることで、第1拡幅部66(第1接続路64)における第1流路構成部材68の長手方向に沿った位置を調整して固定することが可能となる。
【0032】
なお、上述した第1流路構成部材68は、第1ブロック42と同一の材質から形成されていてもよいし別の材質から形成されていてもよい。このように、第1流路構成部材68を第1ブロック42と別部材として構成することで、第1接続路64の流路形状を容易且つ自在に形成することが可能となる。
【0033】
第2ブロック44は、金属製材料から形成され、ホットランナー装置10の長手方向において、第1ブロック42の長手方向他端と一部が重なるように長手方向にオフセットして設けられると共に、その上面及び下面44aが長手方向に沿って略平面状に形成されている。そして、第2ブロック44の長手方向他端には、第3ねじ孔76を介して後述するノズルユニット20が直交するように連結されている。
【0034】
この第2ブロック44の上面には、その長手方向一方側(矢印B1方向)において第1ブロック42の第1摺動面50に当接して摺動可能な第2摺動面78を有し、この第2摺動面78は、第1ブロック42の第1摺動面50に対して面接触している。また、第2ブロック44の上面には、溝部を介してヒータHが装着されている。このヒータHは、第1ブロック42に設けられるヒータと同様に、例えば、シーズヒーターからなり、第2供給流路84を流れる溶融樹脂Rを該ヒータHによって加熱することで硬化させることなく流動可能な状態に維持する。
【0035】
一方、第2ブロック44の下面(固定型12側となる面)44aには、その長手方向一端と長手方向他端との間となる位置に、固定型12に嵌合された第1及び第2位置決めピン38、40の挿入される第1及び第2挿入孔80、82が形成される。第1及び第2挿入孔80、82は、
図2~
図5に示されるように、下面44aに対して上方(矢印A1方向)へと略同一深さで窪んで形成され、第1挿入孔(第1の孔部)80が長手方向一方側(矢印B1方向)に設けられ、第2挿入孔(第2の孔部)82が長手方向他方側(矢印B2方向)に設けられる。すなわち、第1及び第2挿入孔80、82は長手方向に所定距離だけ離間し、固定型12における第1及び第2嵌合孔34、36に臨むように形成されている。
【0036】
また、第1挿入孔80は、
図4に示されるように、長手方向(矢印B1、B2方向)に長尺な長孔で形成され、第2挿入孔82は、第2位置決めピン40と同一の断面円形状に形成される。換言すれば、第1挿入孔80の長手方向に沿った大きさは、第2挿入孔82の長手方向に沿った大きさに対して大きく形成されている。
【0037】
そして、
図2~
図5に示されるように、第1及び第2挿入孔80、82には、それぞれ第1及び第2位置決めピン38、40の上端側が挿入されると共に、前記第1位置決めピン(挟持部材)38には、第2ブロック44の下面44aと固定型12の上面との間に設けられるワッシャ部材104が挿通されると共に、第1位置決めピン38の上端が第1挿入孔80の上面に対して当接して支持している。このワッシャ部材104は、円環状に形成され第2ブロック44の下面44aと固定型12の上面との間に挟持されている。
【0038】
また、第2ブロック44の内部には、長手方向一端から長手方向他端まで略水平方向に延在する第2供給流路84を有し、第2供給流路84の長手方向一端には、上方(矢印A1方向)へ向けて略直角に屈曲して第2ブロック44の上面に開口する第2接続路86が形成される。
【0039】
第2接続路86は、第1ブロック42の第1接続路64と上下方向(矢印A1、A2方向)に対向するように配置されて連通すると共に、その内部には、第2供給流路84の内壁に対して外側へ窪んだ第2拡幅部88に流路の一部を構成する第2流路構成部材90が設けられている。第2拡幅部88は、第2接続路86に対して下方(矢印A2方向)、長手方向一方側(矢印B1方向)及び他方側(矢印B2方向)に拡幅して形成される。
【0040】
第2流路構成部材90は、内側に断面L字状に屈曲した第2流路92を有し、第2接続路86の第2拡幅部88に装着されることで前記第2流路92が第2供給流路84と連続するように形成されると共に、前記第2流路92と第1流路構成部材68の第1流路70とが上下方向(矢印A1、A2方向)に略一直線状に接続されて連通する。すなわち、第2流路92が第2接続路86に沿うように内部に形成される。
【0041】
また、第2ブロック44の長手方向一端には、長手方向に貫通して第2調整ねじ94の螺合される第2調整ねじ孔96が形成されており、前記第2調整ねじ孔96が第2接続路86と連通すると共に、前記第2調整ねじ94の長手方向他端が前記第2流路構成部材90の長手方向一端に接触可能に設けられている。
【0042】
そして、第2調整ねじ94を螺回させて長手方向(矢印B1、B2方向)に進退動作させることで、第2拡幅部88(第2接続路86)における第2流路構成部材90の長手方向に沿った位置を調整して固定することが可能となる。
【0043】
なお、上述した第2流路構成部材90は、第2ブロック44と同一の材質から形成されていてもよいし、別の材質から形成されていてもよい。このように、第2流路構成部材90を第2ブロック44と別部材として構成することで、第2接続路86の流路形状を容易且つ自在に形成することが可能となる。
【0044】
また、第2供給流路84の長手方向他端には、下方(矢印A2方向)へ向けて略直角に屈曲して第2ブロック44の下面44aに開口した第3接続路98が形成され、該第3接続路98は第3ねじ孔76と連通することで、第3ねじ孔76に連結されるノズルユニット20のケーシング116の内部と連通している。
【0045】
すなわち、第2供給流路84は、その長手方向一端側が第2接続路86によって上方へ向けて屈曲し、長手方向他端側が第3接続路98によって下方(矢印A2方向)へ向けて屈曲したクランク状に形成される。
【0046】
固定機構46は、
図1~
図3に示されるように、例えば、第1ブロック42の上方に設けられる固定ベース100と、該固定ベース100の下部に設けられ前記第1ブロック42の上面に当接するナット部材(固定部材、挟持部材)102と、前記ナット部材102と上下方向に一直線状に配置され第2ブロック44と固定型12との間に設けられるワッシャ部材104とを備える。そして、固定機構46は、第1ブロック42における長手方向他端の近傍及び第2ブロック44の長手方向一端近傍に臨むように設けられる。
【0047】
固定ベース100には、上下方向(矢印A1、A2方向)に貫通したボルト孔106に固定ボルト108が挿通されると共に、その下面に形成され上方へと窪んだ収容孔109が、ボルト孔106の下端と連通すると共に、第1ブロック42の上面との間に配置されたナット部材102の一部が収容される。
【0048】
そして、固定ベース100は、そのボルト孔106が第1及び第2ブロック42、44における第1及び第2接続路64、86の上方(矢印A1方向)となるように略一直線状となるように配置された状態で、前記ボルト孔106に挿通された固定ボルト108がナット部材102に螺合されることで、該ナット部材102の一部が収容孔109に収容されると共に固定ベース100の下面から下方へと突出した状態で、前記ナット部材102が前記第1ブロック42の上面に当接することで保持する。
【0049】
すなわち、ホットランナーブロック18は、
図3に示されるように、第1ブロック42の第1摺動面50と第2ブロック44の第2摺動面78とが接触した状態において、上下方向に延在する第1及び第2接続路64、86に臨む位置に、第1位置決めピン38、ワッシャ部材104、ナット部材102及び固定ボルト108が配置されて第1ブロック42と第2ブロック44とが上下方向(矢印A1、A2方向)に挟持されることで固定される。
【0050】
ノズルユニット20は、筒状に形成され固定型12の内部に収容されるゲートバルブ110と、該ゲートバルブ110のステム112を上下方向(矢印A1、A2方向)に進退動作させるためのシリンダ機構114とを有している。
【0051】
ゲートバルブ110は、
図1~
図3に示されるように、固定型12における設置孔32に同軸状となるように上下方向(矢印A1、A2方向)に沿って収容され、円筒状に形成されるケーシング(ノズル)116と、該ケーシング116の内部に進退自在に設けられるステム112とを備えている。そして、ケーシング116の上端の外周面には第3ねじ部118が形成され、この第3ねじ部118が、第2ブロック44の第3ねじ孔76へ挿入され螺合されることで、ゲートバルブ110が、第2ブロック44の長手方向他端に対して直交するように連結される。
【0052】
これにより、ケーシング116の内部が、第3接続路98を通じて第2供給流路84、第1供給流路54及び供給孔52と連通し、内部に溶融樹脂Rの流通可能な流路として機能する。
【0053】
一方、ケーシング116の下端には、その外周面に形成される第4ねじ部120を介して円筒状のアダプタ122が外周側に螺合され連結される。そして、アダプタ122が、設置孔32の下端に挿入されることで、ケーシング116を含むゲートバルブ110の下端が設置孔32と同軸状に保持された状態で固定型12の所定位置に位置決めされ固定される。なお、アダプタ122は、その下端が固定型12の下端と略同一面となるように配置される。
【0054】
ステム112は、略一定径で軸方向(矢印A1、A2方向)に沿って長尺に形成される軸体からなり、その上端が、ケーシング116の上端から上方(矢印A1方向)へと突出して第2ブロック44の孔部に挿通されて上方へと露呈すると共に、下端が、ケーシング116の下端から下方(矢印A2方向)へと突出してアダプタ122のゲート孔(ゲート)124(
図2参照)へと挿入可能に設けられる。
【0055】
シリンダ機構114は、シリンダ本体126と、該シリンダ本体126の内部に進退自在に設けられるピストン128と、該ピストン128の下端に接続されるロッド130とを備え、前記ロッド130がシリンダ本体126に対して下方(矢印A2方向)へ突出するように配置された状態で、該シリンダ本体126の下端がベース部材132に固定されると共に、前記ロッド130の下端がステム112の上端に接続されている。
【0056】
そして、シリンダ本体126の第1ポート134を通じて内部に圧力流体が供給された状態では、
図2及び
図3に示されるように、ピストン128及びロッド130が下降してステム112が下方(矢印A2方向)へと移動することで、該ステム112の下端がアダプタ122のゲート孔124へと挿入され、ケーシング116の内部とキャビティ22との連通が遮断される。
【0057】
本発明の実施の形態に係るホットランナー装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。
【0058】
先ず、
図2及び
図3に示されるように、ノズルユニット20のステム112によってゲート孔124が塞がれた状態で、樹脂材が加熱され流動状態となった溶融樹脂Rを供給ノズル56の供給ポート58へと供給する。この溶融樹脂Rは、供給ポート58から供給孔52を通じて第1供給流路54へと流通し、放射状に形成される前記第1供給流路54の長手方向他端側(矢印B2方向)へ向けて略水平方向に流れる。この溶融樹脂Rは、第1接続路64に設けられた第1流路構成部材68の第1流路70から第2接続路86に設けられた第2流路構成部材90の第2流路92を通じて第2ブロック44の第2供給流路84へと流れる。
【0059】
そして、第2供給流路84に沿って長手方向他端まで流れた後に、第3接続路98を通じて下方に配置されたノズルユニット20のケーシング116の内部へと流通することで、溶融樹脂Rによってケーシング116、第1及び第2供給流路54、84の内部が満たされた状態となる。
【0060】
この際、ヒータHによる加熱によって第1及び第2ブロック42、44に熱膨張が生じ、該熱膨張による熱膨張応力が第1及び第2供給流路54、84を有した第1及び第2ブロック42、44に対して付与されることになるが、第1ブロック42と第2ブロック44とが第1及び第2摺動面50、78を介して互いに長手方向(矢印B1、B2方向)へ相対移動することで、前記熱膨張応力を吸収して変形が抑制される。
【0061】
また、第1ブロック42と第2ブロック44との接続部位では、溶融樹脂Rの流路となる第1及び第2接続路64、86が上下方向(矢印A1、A2方向)に延在し、この接続部位に対して図示しない射出成型機からの樹脂圧力が上下方向へ付与されることとなる。詳細には、第1ブロック42と第2ブロック44とを上下方向へ離間させる方向に樹脂圧力が付与される。
【0062】
この場合でも、第1及び第2接続路64、86を上下から挟むように、ナット部材102及びワッシャ部材104を含む固定機構46を設けて固定ボルト108で軸方向に固定しているため、第1ブロック42と第2ブロック44とが上下方向へ働く圧力によって互いに離間してしまうことが防止される。そのため、第1ブロック42と第2ブロック44とが上下方向に離間し、両者の間から前記溶融樹脂Rが漏出してしまうことが防止される。
【0063】
さらに、第2ブロック44は、熱膨張応力によって長手方向に移動した場合であっても、第1及び第2位置決めピン38、40との係合作用下にその長手方向の変形量(移動量)が規制されると共に、ノズルユニット20側(矢印B2方向)となる第2位置決めピン40が第2ブロック44の変形基準となるように嵌合され、該ノズルユニット20とは反対側となる長手方向一方側(矢印B1方向)となる第1位置決めピン38が、長孔状の第1挿入孔80へと係合されているため、長手方向への移動が許容されている。
【0064】
そのため、第2ブロック44が変形に伴って長手方向に沿って移動する際、ノズルユニット20側となる長手方向他方側の移動を規制する一方、前記ノズルユニット20と反対側となる長手方向一方側の移動を許容することで、前記長手方向他方側に連結されたノズルユニット20の上端が長手方向に押圧され所定位置からずれてしまうことが防止される。その結果、ノズルユニット20の上端が、第2ブロック44を含むホットランナーブロック18の変形によって固定型12に保持された下端に対して傾いてしまうことが防止される。
【0065】
そして、上述したように溶融樹脂Rで満たされたホットランナー装置10において、
図5に示されるように、図示しない圧力流体供給源からシリンダ機構114の第1ポート134へと供給されていた圧力流体を、第2ポート136へと供給することで、内部へ導入された圧力流体によってピストン128及びロッド130が上方(矢印A1方向)へと押圧されて移動し、それに伴って、ステム112がケーシング116の内部で上方へと移動する。これにより、ステム112の下端がアダプタ122のゲート孔124から離間して開放することで、ケーシング116の内部の溶融樹脂Rが、前記ゲート孔124を通じてキャビティ22の内部に満たされていく。
【0066】
そして、キャビティ22が溶融樹脂Rで満たされた状態で、所定時間冷却することで前記溶融樹脂Rが固化し、前記キャビティ22の形状に対応した樹脂成形品が得られる。
【0067】
最後に、図示しない駆動装置を駆動させ可動型14を下降させることで固定型12から所定距離だけ離間させた型開き状態とした後に、樹脂成形品を前記固定型12又は前記可動型14から離型させることで前記樹脂成形品が取り出される。
【0068】
以上のように、本実施の形態では、ホットランナー装置10が、キャビティ22を有した固定型12に固定されるホットランナーブロック18を有し、このホットランナーブロック18は、溶融樹脂Rの供給される供給ノズル56が接続されると共に該供給ノズル56の供給ポート58と連通して溶融樹脂Rの流通する第1供給流路54を内部に有した第1ブロック42と、前記第1ブロック42に接続され溶融樹脂Rの流通する第2供給流路84を内部に有しノズルユニット20の接続される第2ブロック44とを有し、前記第1ブロック42の長手方向他端と前記第2ブロック44の長手方向一端とが長手方向(矢印B1、B2方向)に沿って摺動自在に接続されると共に、この接続部位を上下方向(矢印A1、A2方向)に固定する固定機構46とを備える。
【0069】
そして、第2ブロック44には、固定型12に臨む下面44aに第1及び第2位置決めピン38、40が挿入される第1及び第2挿入孔80、82を有し、供給ノズル56側となる第1挿入孔80が、ノズルユニット20側となる第2挿入孔82よりも長手方向に大きく形成されている。
【0070】
従って、ホットランナーブロック18が熱膨張し、その熱膨張応力が第1及び第2ブロック42、44に対して付与された際、長手方向(矢印B1、B2方向)に摺動自在に接続された前記第1ブロック42と前記第2ブロック44とが相対的に移動することで、前記熱膨張応力を好適に吸収して変形を抑制することが可能となる。
【0071】
また、第2ブロック44が熱膨張応力によって変形する際、ノズルユニット20側に設けられ第1挿入孔80よりも小さな第2挿入孔82に挿入された第2位置決めピン40を変形基準とすることで、第2ブロック44におけるノズルユニット20側(長手方向他端側、矢印B2方向)の変形量を抑制し、且つ、供給ノズル56側となる長手方向一端側の変形を許容することで、前記ノズルユニット20の傾きを好適に抑制しつつ、第2ブロック44へ付与される熱膨張応力を長手方向一端側で好適に吸収することができる。
【0072】
その結果、ホットランナー装置10において、熱膨張応力によるノズルユニット20の傾きの発生を抑制することができ、該ノズルユニット20のステム112を確実に上下方向に動作させキャビティ22に対する溶融樹脂Rの供給状態を確実に切り換えることが可能となる。
【0073】
また、固定型12に臨む第2ブロック44の下面44aに、第1及び第2位置決めピン38、40を設け、該第1位置決めピン38を、前記第2ブロック44の長手方向において第1及び第2接続路64、86に臨む第1ブロック42と第2ブロック44との接続部位に設け、一方、前記第2位置決めピン40を、前記長手方向において前記第1及び第2接続路64、86とノズルユニット20との間に設けると共に、前記第1位置決めピン38を第1挿入孔80へ挿入し、前記第2位置決めピン40を第2挿入孔82へと挿入している。
【0074】
これにより、第1及び第2ブロック42、44において、樹脂の樹脂圧力が上下方向へ向けて付与される第1及び第2接続路64、86に臨む位置に設けられた第1位置決めピン38によって第2ブロック44を支持することで、前記第1及び第2ブロック42、44の固定型12側への撓み(変形)が抑制されるため、前記第1ブロック42と前記第2ブロック44との間からの溶融樹脂Rの外部への漏出を確実に防止することが可能となる。
【0075】
さらに、第2位置決めピン40が、第2ブロック44の第2挿入孔82に対して嵌合されているため、ノズルユニット20側となる第2ブロック44の長手方向他端側を、熱膨張応力によって変形する際の変形基準とすることが可能となり、それに伴って、前記長手方向他端に接続されるノズルユニット20の上端側の長手方向への移動を抑制することができる。その結果、熱膨張応力によって第2ブロック44が変形した場合であってもノズルユニット20の傾きを好適に抑制することができる。
【0076】
さらにまた、固定機構46を、第1ブロック42と第2ブロック44との接続部位を上下方向に挟持するように配置し、第2ブロック44の固定型12側となる下面44aに設けられ第1挿入孔80の上面に当接する第1位置決めピン38と、前記第1ブロック42の上面に当接するナット部材102とから構成することで、前記第1位置決めピン38によって固定型12と第2ブロック44を含むホットランナーブロック18との長手方向の位置決めを行うと同時に、第1及び第2ブロック42、44の接続部位を上下方向へ強固に固定することができる。
【0077】
その結果、上下方向に樹脂の樹脂圧力が付与される第1及び第2接続路64、86を内部に有した第1及び第2ブロック42、44の接続部位を第1位置決めピン38を利用して挟持することで、前記第1ブロック42と前記第2ブロック44との間からの溶融樹脂Rの外部への漏出を確実に防止することが可能となるため、別の固定部材を設ける場合と比較して部品点数及び製造コストの削減を図ることができる。
【0078】
またさらに、第1挿入孔80を、第2ブロック44の長手方向に沿って長尺な長孔から構成することで、熱膨張応力に起因して第2ブロック44に対して圧力が付与された場合であっても、第1挿入孔80を介して第2ブロック44の長手方向一端側が第1位置決めピン38に対して長手方向(矢印B1、B2方向)に移動可能であるため、前記熱膨張応力を好適に吸収することができ、それに伴って、ノズルユニット20に対する前記熱膨張応力の影響を抑制して傾きが生じることをより一層確実に抑制することができる。
【0079】
また、供給ノズル56が、第1ブロック42の上面に開口した供給孔52に対して螺合されて固定され、ノズルユニット20を構成するケーシング116の上端が、第2ブロック44の長手方向他端に開口した第3ねじ孔76に対して螺合されて固定される構成としている。そのため、供給ノズル56と第1ブロック42とをねじ締結によって強固に連結することができ、ノズルユニット20と第2ブロック44とをねじ締結によって強固に連結することが可能となり、溶融樹脂Rが、供給ノズル56と第1ブロック42との間、ノズルユニット20と第2ブロック44との間を通じて外部へ漏出することが確実に防止される。
【0080】
なお、本発明に係るホットランナー装置は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0081】
10…ホットランナー装置 12…固定型
18…ホットランナーブロック 20…ノズルユニット
22…キャビティ 38…第1位置決めピン
40…第2位置決めピン 42…第1ブロック
44…第2ブロック 46…固定機構
50…第1摺動面 54…第1供給流路
56…供給ノズル 78…第2摺動面
84…第2供給流路 100…固定ベース
102…ナット部材 104…ワッシャ部材
112…ステム 116…ケーシング
R…溶融樹脂