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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】吸気制御装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 9/10 20060101AFI20241121BHJP
   F02D 9/02 20060101ALI20241121BHJP
   F02M 63/00 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
F02D9/10 H
F02D9/02 351G
F02M63/00 G
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021057655
(22)【出願日】2021-03-30
(65)【公開番号】P2022154559
(43)【公開日】2022-10-13
【審査請求日】2023-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】丹野 明宏
(72)【発明者】
【氏名】三浦 竜也
【審査官】戸田 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-183493(JP,A)
【文献】特開2011-001927(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 9/10
F02D 9/02
F02M 63/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両における内燃機関の上方かつ収納スペースの下部の空間に配置され、該内燃機関の燃焼室内に続く吸気管の少なくとも一部を構成する吸気制御装置組立体であって、
前記吸気管の一部を構成する第1吸気通路を内部に備えるボディと、該第1吸気通路の内部に回動可能に支持されて該第1吸気通路内に流れる吸気の量を調整する弁体と、該弁体が固定されて該ボディに回動可能に支持され、かつ該ボディの外部に突出した端部を有する弁軸と、該端部に固定されて該弁軸を回動させる操作力を受けるレバー部とを備える吸気制御装置と、
前記第1吸気通路よりも下流側で前記吸気管の一部を構成する第2吸気通路を内部に有して前記ボディに接続されるインレットパイプとを備え、
前記レバー部は、前記操作力をケーブルの引っ張り力によって得るものであり、
前記ケーブルは、ボーデンケーブルのインナケーブルであり、
前記インレットパイプには、前記第2吸気通路内に燃料を噴射する燃料噴射弁が、該燃料噴射弁に繋がる燃料通路を内部に備える燃料ジョイントによって固定され、
前記燃料ジョイントは、前記燃料通路を外部に接続するコネクタ部を備え、
前記コネクタ部は、前記車両の燃料タンクに接続された燃料通路の少なくとも一部を構成する燃料ホースに接続される吸気制御装置組立体において、
前記インレットパイプは、前記ボーデンケーブルのアウターケーブルを固定するケーブルステーを前記レバー部よりも前記吸気管の下流側であって前記燃料噴射弁よりも上流側に備え、
前記ケーブルステーと前記レバー部は、前記弁軸の回転中心軸線と前記第1吸気通路が延在する方向である吸気通路方向との双方に直交する方向から見た上面視において前記第1吸気通路の中心線を延長した中心直線で分けられる一方の側に共に配置され、
前記上面視で前記コネクタ部は、前記中心直線で分けられる他方の側又は該中心直線の直上に配置されるとともに前記燃料ジョイントから前記第2吸気通路の上流側に向かって突出し、
前記吸気制御装置を前記第1吸気通路に沿った方向に見たときに、前記回転中心軸線と平行で前記ボディの縁部と接するボディ接線と前記ボディとの間の空間であって、前記回転中心軸線と直交して前記レバー部の縁部と接するレバー接線と前記ボディとの間の空間は、前記燃料ホースの少なくとも一部が配置されるホース空間であることを特徴とする吸気制御装置組立体。
【請求項2】
請求項1の吸気制御装置組立体を備え、該吸気制御装置組立体のコネクタ部に接続される燃料ホースが、該吸気制御装置組立体のホース空間の少なくとも一部に配置されることを特徴とする請求項1に記載の吸気制御装置組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両における内燃機関の上方かつ収納スペースの下部の空間に配置される吸気制御装置組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スクータ型車両などの車両における内燃機関の上方かつ収納スペースの下部の空間に配置され、内燃機関の燃焼室内に続く吸気管の少なくとも一部を構成する吸気制御装置組立体が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の吸気制御装置組立体は、前記吸気管の一部を構成する第1吸気通路を有するボディを備える吸気制御装置と、第1吸気通路よりも下流側で前記吸気管の一部を構成する第2吸気通路を有してボディに接続されるインレットパイプとを備える。吸気制御装置は、第1吸気通路内で吸気量を調整する弁体と、この弁体が固定されてボディにより支持され、ボディの外部に突出した端部を有する弁軸と、該端部に固定されて弁軸を回動させるレバー部とを備える。
【0004】
吸気制御装置のレバー部は、前記操作力を、ボーデンケーブルを介して得るものであり、そのアウタケーブルは、吸気制御装置のボディに設けられたケーブルステーに固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-001927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の吸気制御装置組立体では、吸気制御装置のカプラの向きを下方に傾斜させることによって車両の収納スペースの容量を減少させないように工夫されているが、今日では、車両に要求される機能の増加に伴い、収納ボックス下方の空間は混雑を極めており、さらなるレイアウト自由度の向上を達成できる吸気制御装置組立体が求められている。
【0007】
本発明の目的は、かかる従来技術の課題に鑑み、車両における吸気制御装置組立体の周辺構成のレイアウト性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の吸気制御装置組立体は、車両における内燃機関の上方かつ収納スペースの下部の空間に配置され、該内燃機関の燃焼室内に続く吸気管の少なくとも一部を構成する吸気制御装置組立体であって、
前記吸気管の一部を構成する第1吸気通路を内部に備えるボディと、該第1吸気通路の内部に回動可能に支持されて該第1吸気通路内に流れる吸気の量を調整する弁体と、該弁体が固定されて該ボディに回動可能に支持され、かつ該ボディの外部に突出した端部を有する弁軸と、該端部に固定されて該弁軸を回動させる操作力を受けるレバー部とを備える吸気制御装置と、
前記第1吸気通路よりも下流側で前記吸気管の一部を構成する第2吸気通路を内部に有して前記ボディに接続されるインレットパイプとを備え、
前記レバー部は、前記操作力をケーブルの引っ張り力によって得るものであり、
前記ケーブルは、ボーデンケーブルのインナケーブルであり、
前記インレットパイプには、前記第2吸気通路内に燃料を噴射する燃料噴射弁が、該燃料噴射弁に繋がる燃料通路を内部に備える燃料ジョイントによって固定され、
前記燃料ジョイントは、前記燃料通路を外部に接続するコネクタ部を備え、
前記コネクタ部は、前記車両の燃料タンクに接続された燃料通路の少なくとも一部を構成する燃料ホースに接続される吸気制御装置組立体において、
前記インレットパイプは、前記ボーデンケーブルのアウタケーブルを固定するケーブルステーを前記レバー部よりも下流側であって前記燃料噴射弁よりも上流側に備え、
前記ケーブルステーと前記レバー部は、前記弁軸の回転中心軸線と前記第1吸気通路が延在する方向である吸気通路方向との双方に直交する方向から見た上面視において前記第1吸気通路の中心線を延長した中心直線で分けられる一方の側に共に配置され、
前記上面視で前記コネクタ部は、前記中心直線で分けられる他方の側又は該中心直線の直上に配置されるとともに前記燃料ジョイントから前記第2吸気通路の上流側に向かって突出し、
前記吸気制御装置を前記第1吸気通路に沿った方向に見たときに、前記回転中心軸線と平行で前記ボディの縁部と接するボディ接線と前記ボディとの間の空間であって、前記回転中心軸線と直交して前記レバー部の縁部と接するレバー接線と前記ボディとの間の空間は、前記燃料ホースの少なくとも一部が配置されるホース空間であることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、ケーブルステーをレバー部よりも下流側であって燃料噴射弁よりも上流側のインレットパイプ部分に設けてホース空間を形成し、ケーブルステーとレバー部を第1吸気通路の中心直線の一方の側に配置し、上流側に向かって突出するコネクタ部を他方の側又は該中心直線の直上に配置したので、燃料ホースを容易にホース空間に通過させ、吸気制御装置組立体をコンパクトに形成することができる。
【0010】
その際に、コネクタ部を前記他方の側又は該中心直線の直上に配置したので、コネクタ部とホース空間までの間の距離を極力大きくし、また、燃料ホースを屈曲させる角度も小さくできるので、燃料ホースをより容易に配置することができる。
【0011】
このようにしてコンパクトに形成される吸気制御装置組立体を車両の内燃機関の上方かつ収納スペースの下部の空間に搭載することにより、燃料ホースが吸気制御装置組立体と車両の収納スペースとの間の少ない空間に収納スペースを圧迫することなく配置されるので、収納スペースの大型化や吸気制御装置組立体の周辺空間のレイアウト性を向上させることができる。
【0012】
本発明の車両は、上記の吸気制御装置組立体を備え、該吸気制御装置組立体のコネクタ部に接続される燃料ホースが、該吸気制御装置組立体のホース空間の少なくとも一部に配置されることを特徴とする。
【0013】
これによれば、燃料ホースを含む燃料配管を、吸気制御装置組立体と収納スペースとの間の少ない空間にコンパクトに配置できるので、収納スペースの大型化や吸気制御装置組立体の周辺空間のレイアウト性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る吸気制御装置組立体を示す斜視図である。
図2図1の吸気制御装置組立体の吸気制御装置を第1吸気通路の中心軸線に沿った方向に見た場合の様子を示す図である。
図3図1の吸気制御装置組立体を、弁軸の回転中心軸線RAと第1吸気通路2が延在する方向である吸気通路方向との双方に直交する方向から見た平面図である。
図4図1の吸気制御装置組立体の吸気制御装置における燃料ホースの位置と、収納スペースとの関係を示す図である。
図5図4と同様の関係を従来の場合について示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る吸気制御装置組立体を示す。この吸気制御装置組立体1は、スクータ型車両等の車両における内燃機関の上方かつ収納スペースの下部の空間に配置され、該内燃機関の燃焼室内に続く吸気管の少なくとも一部を構成する。
【0016】
図1に示すように、吸気制御装置組立体1は、前記吸気管の一部を構成する第1吸気通路2を内部に有するボディ3を備える吸気制御装置4と、第1吸気通路2よりも下流側で前記吸気管の一部を構成する第2吸気通路5を内部に有してボディ3に接続されるインレットパイプ6とを備える。
【0017】
図2は、吸気制御装置4を第1吸気通路2の中心軸線に沿った方向に見た場合の様子を示す。図2に示すように、吸気制御装置4は、第1吸気通路2の内部に回動可能に支持されて第1吸気通路2内に流れる吸気の量を調整する弁体7と、弁体7が固定されてボディ3に回動可能に支持され、かつボディ3の外部に突出した端部を有する弁軸8と、該端部に固定されて弁軸8を回動させる操作力を受けるレバー部9とを備える。
【0018】
図3は、弁軸8の回転中心軸線RAと第1吸気通路2が延在する方向である吸気通路方向との双方に直交する方向から見た平面図である。図3に示すように、レバー部9は、前記操作力をケーブル10の引っ張り力によって得るものである。ケーブル10は、ボーデンケーブル11のインナケーブルである。
【0019】
インレットパイプ6には、第2吸気通路5内に燃料を噴射する燃料噴射弁12が、該燃料噴射弁12に繋がる燃料通路を内部に備える燃料ジョイント13によって固定される。燃料ジョイント13は、前記燃料通路を外部に接続するコネクタ部14を備える。コネクタ部14は、前記車両の燃料タンクに接続された前記燃料通路の少なくとも一部を構成する燃料ホース15に接続される。
【0020】
インレットパイプ6は、ボーデンケーブル11のアウタケーブル16を固定するケーブルステー17をレバー部9よりも前記吸気管の下流側であって燃料噴射弁12よりも上流側に備える。
【0021】
ケーブルステー17とレバー部9は、弁軸8の回転中心軸線RAと第1吸気通路2が延在する方向である吸気通路方向との双方に直交する方向から見た図3で示される上面視において、第1吸気通路2の中心線を延長した中心直線CLで分けられる一方の側に共に配置される。
【0022】
前記上面視において、コネクタ部14は、中心直線CLで分けられる他方の側又は該中心直線CLの直上に配置されるとともに、燃料ジョイント13から第2吸気通路5の上流側に向かって突出する。
【0023】
図2に示すように、吸気制御装置4を第1吸気通路2に沿った方向に見た場合、回転中心軸線RAと平行でボディ3の縁部と接するボディ接線BLとボディ3との間の空間であって、回転中心軸線RAと直交してレバー部9の縁部と接するレバー接線LLとボディ3との間の空間は、燃料ホース15の少なくとも一部が配置されるホース空間HSとなっている。
【0024】
この構成において、燃料ホース15を燃料ジョイント13に接続する際には、燃料ホース15の一端が燃料ジョイント13に連結され、他端が車両の燃料タンク又は燃料配管を構成する他の管部に接続される。この接続は、燃料ホース15をボディ3の外側を通して燃料タンクの方に導いて行われるが、ボディ3の外側を通す燃料ホース15の部分は、上述のホース空間HSを通過するように配置される。
【0025】
このとき、ボーデンケーブル11のケーブルステー17が、レバー部9よりも下流側であって燃料噴射弁12よりも上流側のインレットパイプ6部分に位置し、かつ燃料ジョイント13のコネクタ部14は、中心直線CLについてケーブルステー17と反対側又は中心直線CLの直上に位置するので、燃料ホース15は容易にケーブルステー17の中心直線CL側を通過し、ホース空間HSを通るように配置される。
【0026】
一方、吸気制御装置組立体1が、スクータ型車両等の車両において、内燃機関の上方かつ収納スペースの下部の空間に配置される際には、上記のように燃料ホース15がホース空間HSを通過させてコンパクトに形成された状態で、従来よりも収納スペースを狭めることのない状態で配置される。このことは、図4図5を用いて次のように示される。
【0027】
すなわち、図4は、本実施形態の吸気制御装置4における燃料ホース15の位置と、収納スペース18との関係を示す。図5は、同様の関係を従来の場合について示す。図4に示すように、吸気制御装置4の外側を通過する燃料ホース15の部分は、ホース空間HS内に位置するので、収納スペース18の下端は、比較的平面状になっており、燃料ホース15により収納スペース18が狭められていないことがわかる。
【0028】
これに対し、図4の従来の場合には、ケーブルステー17が吸気制御装置に設けられているため、燃料ホース15が吸気制御装置の上を通過している。このため、燃料ホース15により収納スペース18がかなり狭められている。
【0029】
以上のように、本実施形態によれば、ケーブルステー17をインレットパイプ6部分に設けてホース空間HSを形成し、ケーブルステー17とレバー部9を第1吸気通路2の中心直線CLの一方の側に配置し、上流側に向かって突出するコネクタ部14を他方の側又は中心直線CLの直上に配置したので、燃料ホース15を容易にホース空間HSを通過させ、吸気制御装置組立体1をコンパクトに形成することができる。
【0030】
その際に、コネクタ部14を該他方の側又は中心直線CLの直上に配置したので、コネクタ部14とホース空間HSまでの間の距離を極力大きくし、燃料ホース15を屈曲させる際の角度も小さくすることができるので、燃料ホース15をより容易に配置することができる。
【0031】
このようにしてコンパクトに形成される吸気制御装置組立体1を車両の内燃機関の上方かつ収納スペース18の下部の空間に搭載することにより、燃料ホース15が吸気制御装置組立体1と車両の収納スペース18との間の少ない空間に収納スペース18を圧迫することなく配置されるので、収納スペース18の大型化や吸気制御装置組立体1の周辺空間のレイアウト性を向上させることができる。
【0032】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、レバー部9に操作力を付与するケーブル10は2本に限らず1本であってもよい。この場合、該1本のケーブル10は、レバー部9に開弁方向の操作力を付与するために用いられ、閉弁方向の操作力は、ばねにより付与されてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1…吸気制御装置組立体、2…第1吸気通路、3…ボディ、4…吸気制御装置、5…第2吸気通路、6…インレットパイプ、7…弁体、8…弁軸、9…レバー部、10…ケーブル(インナケーブル)、11…ボーデンケーブル、12…燃料噴射弁、13…燃料ジョイント、14…コネクタ部、15…燃料ホース、16…アウタケーブル、17…ケーブルステー、18…収納スペース、BL…ボディ接線、CL…中心直線、LL…レバー接線、HS…ホース空間、RA…回転中心軸線。
図1
図2
図3
図4
図5