(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】農作業機
(51)【国際特許分類】
A01C 11/02 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
A01C11/02 330L
A01C11/02 311G
A01C11/02 350H
(21)【出願番号】P 2021107233
(22)【出願日】2021-06-29
【審査請求日】2024-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100187562
【氏名又は名称】沼田 義成
(72)【発明者】
【氏名】黒田 智之
(72)【発明者】
【氏名】大西 健太
(72)【発明者】
【氏名】宮井 謙一
(72)【発明者】
【氏名】疋田 康貴
(72)【発明者】
【氏名】尾▲崎▼ 愼右
【審査官】小林 直暉
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-165719(JP,A)
【文献】特開2020-000199(JP,A)
【文献】特開2005-014771(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンを備えた農作業機であって、
表示装置と、
前記表示装置を保持する保持装置と、
前記エンジン
の動力を利用してオルタネータによって発電を行って生成された電力を前記表示装置へ供給する供給装置
と、
前記エンジンから前記供給装置へと電力を供給する第1配線部と、
作業者の足場となるステップと、を備え、
前記第1配線部は、前記供給装置から下方に延びて前記ステップの下方を通って前記エンジンに接続されることを特徴とする農作業機。
【請求項2】
前記ステップに隣接して設けられる予備苗台を支持する予備苗台フレームを備え、
前記供給装置は、前記ステップよりも上方で前記予備苗台フレームに支持されていることを特徴とする請求項1に記載の農作業機。
【請求項3】
前記予備苗台フレームは、複数の前記予備苗台を支持可能に構成され、
前記供給装置は、複数の前記予備苗台のうち、最下方の前記予備苗台よりも下方で前記予備苗台フレームに支持されていることを特徴とする請求項2に記載の農作業機。
【請求項4】
前記予備苗台フレームは、立設された前後一対の予備苗台フレームからなり、
前記供給装置は、前記一対の予備苗台フレームに支持されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の農作業機。
【請求項5】
運転操作具を備え、
前記保持装置及び前記供給装置は、前記運転操作具に対して左右方向の一方側に配置されていることを特徴とする請求項2ないし
4の何れか1項に記載の農作業機。
【請求項6】
前記保持装置及び前記供給装置は、前記運転操作具に対して左右方向の一方側に設けられた前記予備苗台フレームに支持されていることを特徴とする請求項
5に記載の農作業機。
【請求項7】
前記エンジンを覆うボンネットと、
運転操作具と、を備え、
前記供給装置は、前記ボンネットの側方に配置され、
前記保持装置は、前記運転操作具の側方に配置されて、前記表示装置を前記運転操作具の側方で保持することを特徴とする請求項1に記載の農作業機。
【請求項8】
前記保持装置及び前記供給装置は、前記運転操作具に対して左右方向の一方側に配置されていることを特徴とする請求項
7に記載の農作業機。
【請求項9】
エンジンを備えた農作業機であって、
表示装置と、
前記表示装置を保持する保持装置と、
前記エンジンの動力を利用してオルタネータによって発電を行って生成された電力を前記表示装置へ供給する供給装置と、
前記供給装置から前記表示装置へと電力を供給する第2配線部
と、を備え、
前記供給装置は、本体と、前記本体の上部を覆う蓋体と、前記第2配線部が接続される接続部とを備え、
前記接続部は、前記蓋体の下方に配置されることを特徴とする農作業機。
【請求項10】
前記接続部は、前記本体の底面に配置され、
前記本体の底面は、前記接続部の周りを縁取る周縁部を有して構成されることを特徴とする請求項9に記載の農作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置を備えた田植機等の農作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、田植機やトラクタ、コンバイン等の農作業機には、農作業に関する各種情報を表示する表示装置を備えたものがある。また、自律走行や自動作業を可能とする農作業機では、表示装置は、自律走行や自動作業に係る各種機能の情報を表示するだけでなく、各種機能の設定操作を可能にするように構成される。
【0003】
例えば、特許文献1には、操向ハンドル近傍に表示装置を配置する水田作業機が開示されていて、表示装置は、ボンネットと予備苗載台の間の空間に支持構造を介して設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の水田作業機のような従来の農作業機では、表示装置が後付けされることがある。後付けされる表示装置は、使い切りの電池やバッテリー等の電源部を内蔵して電源部から各部へ電力を供給している。しかしながら、農作業は、圃場の大きさや数に応じて長時間に及ぶことがあり、この場合、表示装置の電源部の電力が不足すると、表示装置を使用不能になるという問題が生じる。そのため、農作業機本体から表示装置へと電力を供給することが求められている。なお、農作業機に備わるバッテリーから表示装置へ電力を供給すると、農作業機へ供給する電力が低下して作業が低下する恐れがある。
【0006】
本発明は、機能を低下させることなく表示装置へと電力を供給可能な農作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の農作業機は、エンジンを備えた農作業機であって、表示装置と、前記表示装置を保持する保持装置と、前記エンジンから配電された電力を前記表示装置へ供給する供給装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、機能を低下させることなく表示装置へと電力を供給可能な農作業機を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の農作業機の一実施形態に係る田植機を示す左側面図である。
【
図2】本発明の農作業機の一実施形態に係る田植機を示す正面図である。
【
図3】本発明の農作業機の一実施形態に係る田植機において、走行機体を後上方から示す斜視図である。
【
図4】本発明の農作業機の一実施形態に係る田植機において、走行機体を前上方から示す斜視図である。
【
図5】本発明の農作業機の一実施形態に係る田植機において、供給装置を上方から示す斜視図である。
【
図6】本発明の農作業機の一実施形態に係る田植機において、供給装置を下方から示す斜視図である。
【
図7】本発明の農作業機の他の実施形態に係る田植機において、走行機体を後上方から示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の農作業機の一実施形態である田植機1について図面を参照して説明する。
図1に示すように、田植機1は、走行機体2と、走行機体2の後部に取り付けられる植付作業機3とを備え、走行機体2によって走行しながら植付作業機3によって苗の植付作業を行うように構成される。
【0011】
走行機体2は、
図1や
図2等に示すように、機体フレーム10と、左右方向中央付近で機体フレーム10の前部に取り付けられるエンジン11及びトランスミッション12と、左右方向両端で機体フレーム10の前部に回転可能に取り付けられる一対の前輪13と、左右方向両端で機体フレーム10の後部に回転可能に取り付けられる一対の後輪14とを備える。走行機体2は、機体フレーム10上の中央付近に運転席15を備えていて、
図3や
図4等に示すように、運転席15の周囲に、操向ハンドル16や主変速レバー等の運転操作具や、表示装置18を備えている。走行機体2は、機体フレーム10上にステップ19や予備苗台20を備えている。走行機体2は、ライトやイグニッションに電力を供給するためのバッテリー17を機体フレーム10に搭載している。
【0012】
エンジン11は、各部を駆動する回転動力を発生させるもので、ボンネット21によって上方から覆われていて、ボンネット21は、エンジン11を覆いつつ機体フレーム10の上方に取り付けられる。また、エンジン11に対して、オルタネータ22等の発電機が接続されていて、オルタネータ22は、エンジン11の動力を利用して発電を行って電力を生成する。オルタネータ22は、例えば、表示装置18へ電力を供給するための供給装置23に対して第1配線部24を介して接続されていて、供給装置23へ電力を供給する。
【0013】
トランスミッション12は、エンジン11に接続されていて、エンジン11の動力を変速して一対の前輪13及び一対の後輪14へ伝達する。一対の前輪13及び一対の後輪14は、エンジン11及びトランスミッション12から伝達される動力に応じて回転駆動して走行機体2を前方又は後方へ走行させる。また、一対の前輪13は、操向ハンドル16の操作に応じて操舵駆動して走行機体2の操向を行う。
【0014】
操向ハンドル16は、運転席15の前方でボンネット21の後方に配置され、作業者による操向ハンドル16の回転操作を一対の前輪13へ伝達可能に構成される。主変速レバーは、操向ハンドル16の左側に配置され、作業者による変速操作をトランスミッション12に伝達して、田植機1の走行の設定速度を切り替える。
【0015】
表示装置18は、田植機1の走行や作業に関する各種情報を表示し、また、田植機1の走行や作業に関する各種機能の設定操作を可能にするように構成される。表示装置18は、例えば、タッチパネル等からなるタブレット端末で構成される。表示装置18は、保持装置25に対して着脱可能に保持され、保持装置25に保持された状態で操作可能になっている。
【0016】
保持装置25は、例えば、機体フレーム10に対して予備苗台20を支持する予備苗台フレーム27に支持されていて、運転席15に近い位置で表示装置18を保持する。保持装置25は、例えば、前後一対の予備苗台フレーム27に亘って支持される梁部25aと、梁部25aから運転席15に向かって延びている腕部25bと、腕部25bに取り付けられて表示装置18を保持する保持部25cとから構成される。なお、腕部25bは、上下方向に延びる回転軸を有して梁部25aに対して回転可能に設けられ、また、保持部25cは、上下方向に延びる回転軸を有して腕部25bに対して回転可能に設けられ、これにより、保持装置25は、運転席15に対する表示装置18の位置及び向きを調整可能にしている。
【0017】
表示装置18は、充電可能なバッテリー等からなる電源部を備えていて、電源部から供給される電力によって稼動する。表示装置18の電源部は、外部電源と接続可能になっていて、外部電源から供給される電力によって表示装置18を稼働することができ、また、外部電源から供給される電力によって電源部を充電することもできる。表示装置18は、外部電源として上記の供給装置23に第2配線部26を介して接続されていて、供給装置23から電力供給を受ける。
【0018】
ステップ19は、作業者の足場となる平面状に形成されていて、ボンネット21及び運転席15の左右両側で機体フレーム10上に設けられる。すなわち、左側のステップ19と右側のステップ19とが設けられている。
【0019】
予備苗台20は、ステップ19に隣接して設けられ、予備苗台20を支持する予備苗台フレーム27は、左右両側のステップ19よりも更に左右方向外側にそれぞれ配置されて機体フレーム10又はステップ19に取り付けられる。すなわち、左側の予備苗台フレーム27と右側の予備苗台フレーム27とが設けられている。
【0020】
左右の予備苗台フレーム27は、それぞれ、機体フレーム10からステップ19の上方に延びるように立設された前後一対の予備苗台フレーム27で構成される。一対の予備苗台フレーム27は、複数の予備苗台20を支持可能に構成されている。複数の予備苗台20は、それぞれ上下方向に間隔を空けて一対の予備苗台フレーム27に取り付けられ、一対の予備苗台フレーム27から左右方向外側に延びるように設けられ、各予備苗台20の上に苗マットを載置可能になっている。
【0021】
供給装置23は、ステップ19よりも上方で左側及び右側の何れか一方側、好ましくは表示装置18と同じ側の予備苗台フレーム27に支持されている。供給装置23は、複数の予備苗台20のうち、最下方の予備苗台20よりも下方で予備苗台フレーム27に支持されている。供給装置23の前端が前側の予備苗台フレーム27に取り付けられ、供給装置23の後端が後側の予備苗台フレーム27に取り付けられることで、供給装置23は、前後一対の予備苗台フレーム27の間に支持される。供給装置23は、予備苗台フレーム27に対して予備苗台20とは反対側に配置されるとよい。
【0022】
供給装置23は、
図5や
図6等に示すように、上部を開口した中空状の本体28と、本体28の上部を覆う蓋体29とを備えた箱状に形成され、蓋体29は、本体28に対して開閉可能になっている。供給装置23は、中空部分に物を収納することができるツールボックスの機能を有する。例えば、供給装置23は、工具等を収納してもよく、あるいは、GPS等の衛星測位システムで取得した田植機1の位置情報を利用するスマートフォン等の通信機器を収納してもよい。供給装置23の底面には、スポンジ等の衝撃吸収部材が配置され、収納物を振動等の衝撃から保護している。
【0023】
供給装置23は、下方から本体28の下面に対して、エンジン11から電力を供給する第1配線部24と、表示装置18へ電力を供給する第2配線部26とが接続されている。
【0024】
第1配線部24の一方の端部は、供給装置23から下方に延びてステップ19の下方を通ってエンジン11に接続されている。第1配線部24の他方の端部は、本体28の下面から本体28の内部へ引き込まれ、第1配線部24の接続端子が蓋体29の下方で本体28の内部に配置されている。例えば、第1配線部24は、本体28の下板を上下方向に貫通した引込孔を介して本体28の内部へ引き込まれ、本体28の引込孔には、グロメット等のシール部材が密嵌合されていて、第1配線部24の周りにシール部材が密着することで防塵、防水されている。シール部材は、第1配線部24の周りを縁取るように構成され、本体28の下側で第1配線部24の周りに水滴等が溜まらないように形成されている。
【0025】
また、本体28の底面には、第2配線部26と接続可能な接続部30が、蓋体29の下方で本体28の内部に配置されている。本体28の底面は、接続部30の周りを縁取るように構成され、本体28の下側で接続部30及び第2配線部26の周りに水滴等が溜まらないように形成されている。例えば、本体28の底面に周縁部28aが形成されていて、周縁部28aが接続部30の周りを縁取ることで、周縁部28aが本体28の底面と接続部30とを隔てている。
【0026】
接続部30は、本体28の下方に露出していて、第2配線部26は、本体28の下方から接続部30に接続される。例えば、接続部30は、シガーソケット等で構成され、本体28の下板を上下方向に貫通した嵌合孔に密嵌合され、本体28の内側に接続端子を備えると共に、本体28の外側(下側)に第2配線部26との接続用の差込口を備える。接続部30は、差込口に差し込まれた第2配線部26が接続端子と通電するように構成されている。
【0027】
第1配線部24の接続端子と接続部30の接続端子とが本体28の内部で接続され、これにより、接続部30の差込口に差し込まれた第2配線部26は、第1配線部24と接続されることになる。
【0028】
第2配線部26は、接続部30の差込口に差し込まれるシガープラグ等の差込端子を備えて構成される。第2配線部26は、第1配線部24から接続部30を介して供給される電力を、表示装置18に適した電流及び電圧の電力となるように変換するアダプター31を備えるとよい。例えば、第2配線部26は、アダプター31から差込端子へと延びる配線部分と、アダプター31から表示装置18へと延びる配線部分とを有する。
【0029】
アダプター31は、左側及び右側の何れか一方側、好ましくは表示装置18及び供給装置23と同じ側の予備苗台フレーム27に支持されていて、前後一対の予備苗台フレーム27のうち、後側の予備苗台フレーム27に支持されるとよい。アダプター31は、表示装置18と供給装置23との位置関係に基づく第2配線部26の配線を考慮して予備苗台フレーム27に取り付けられる。アダプター31から差込端子へと延びる配線部分及び表示装置18へと延びる配線部分は、アダプター31の下面から下方に延びるように配置されるとよい。
【0030】
上記のように、本実施形態によれば、農作業機の例である田植機1は、エンジン11を備えた農作業機であって、表示装置18と、表示装置18を保持する保持装置25と、エンジン11から配電された電力を表示装置18へ供給する供給装置23を備える。
【0031】
これにより、田植機1は、エンジン11の動力を利用して表示装置18に電力を供給しながら作業を行うことができる。表示装置18は、使い切りの電池を使用しないので、電力が低下することがなく、表示装置18を長時間に亘って使用することができ、また、田植機1に備わるバッテリー17を使用しないので、田植機1の作業が低下することがない。このように、本発明によれば、機能を低下させることなく表示装置18へと電力を供給することができる。
【0032】
本実施形態によれば、田植機1は、作業者の足場となるステップ19と、ステップ19に隣接して設けられる予備苗台20を支持する予備苗台フレーム27とを備える。供給装置23は、ステップ19よりも上方で予備苗台フレーム27に支持されている。
【0033】
これにより、田植機1では、作業者の足場となるステップ19は、圃場で沈没しないような高さに配置されるので、供給装置23を十分な高さに配置して圃場に沈没することを抑制することができる。
【0034】
本実施形態によれば、田植機1において、予備苗台フレーム27は、複数の予備苗台20を支持可能に構成される。供給装置23は、複数の予備苗台20のうち、最下方の予備苗台20よりも下方で予備苗台フレーム27に支持されている。
【0035】
これにより、雨天時に田植機1を使用した場合でも、供給装置23の上方に配置された複数の予備苗台20を雨よけにすることができ、供給装置23が雨水等で濡れることを抑制することができる。
【0036】
本実施形態によれば、田植機1において、予備苗台フレーム27は、立設された前後一対の予備苗台フレーム27からなり、供給装置23は、一対の予備苗台フレーム27に支持されている。
【0037】
これにより、雨天時に田植機1を使用した場合でも、供給装置23の前後に配置された一対の予備苗台フレーム27を雨よけにすることができ、供給装置23が雨水等で濡れることを抑制することができる。また、一対の予備苗台フレーム27で供給装置23を前後に支持することにより、供給装置23を両持ち支持することで予備苗台フレーム27に堅固に支持することができる。
【0038】
本実施形態によれば、田植機1は、エンジン11から供給装置23へと電力を供給する第1配線部24を備え、第1配線部24は、供給装置23から下方に延びてステップ19の下方を通ってエンジン11に接続される。
【0039】
これにより、ステップ19上の第1配線部24の配線を少なくすることができ、第1配線部24が作業の邪魔になることを抑制することができる。
【0040】
本実施形態によれば、田植機1は、操向ハンドル16等の運転操作具を備え、保持装置25及び供給装置23は、運転操作具に対して左右方向の一方側に配置されている。
【0041】
これにより、供給装置23と保持装置25に保持される表示装置18との距離を短くすることができ、供給装置23から保持装置25に保持される表示装置18までの配線を容易にすることができる。
【0042】
本実施形態によれば、田植機1において、保持装置25及び供給装置23は、運転操作具に対して左右方向の一方側に設けられた予備苗台フレーム27に支持されている。
【0043】
これにより、田植機1は、既存の予備苗台フレーム27を利用して、供給装置23と表示装置18を保持する保持装置25とを効率よく支持することができる。
【0044】
本実施形態によれば、田植機1は、供給装置23から表示装置18へと電力を供給する第2配線部26を備える。供給装置23は、本体28と、本体28の上部を覆う蓋体29と、第2配線部26が接続される接続部30とを備え、接続部30は、蓋体29の下方に配置される。
【0045】
これにより、供給装置23と第2配線部26との接続部30を防水することができ、雨水や、予備苗台20に載置される苗マットに含まれる水分から保護することができる。
【0046】
本実施形態によれば、田植機1において、接続部30は、本体28の底面に配置され、本体28の底面は、接続部30の周りを縁取る周縁部28aを有して構成される。
【0047】
これにより、供給装置23の表面に付着した雨水等の水滴が接続部30に伝っても、第2配線部26と接続部30との接続部分の周りに施される縁取りによって、水滴が接続部分に伝うことを抑制して、接続部分の浸水を防ぐことができる。
【0048】
なお、上記した実施形態では、田植機1において、予備苗台20を支持する予備苗台フレーム27が、単に機体フレーム10又はステップ19に取り付けられる例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。他の例では、
図2に示すように、予備苗台フレーム27のステップ19に対する支持を補強するための補強ステー33を備えてもよい。補強ステー33は、例えば、円弧状に湾曲して形成され、予備苗台フレーム27とステップ19とに取り付けられる。
【0049】
あるいは、他の例では、
図2に示すように、予備苗台フレーム27の機体フレーム10に対する支持を補強するための補強フレーム34を備えてもよい。補強フレーム34は、L字状に形成されて、垂直部分が予備苗台フレーム27と同軸になるように予備苗台フレーム27に取り付けられ、水平部分が機体フレーム10に取り付けられる。前後一対の予備苗台フレーム27の間に田植機1のバッテリー17が配置される場合、バッテリー17は、予備苗台フレーム27によって保護されるだけでなく、予備苗台フレーム27に対して取り付けられる補強フレーム34によって保護されることになる。
【0050】
なお、予備苗台フレーム27の支持を補強する部材として、補強ステー33及び補強フレーム34の何れか一方が設けられればよいが、両方が設けられていてもよい。
【0051】
なお、上記した実施形態では、田植機1は、エンジン11から表示装置18へと電力を供給する供給装置23を予備苗台フレーム27に支持する例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、他の実施形態では、
図7に示すように、田植機1は、供給装置23を支持する支持柱40を備えてもよい。
【0052】
支持柱40は、ボンネット21及び操向ハンドル16等の運転操作具の側方、すなわち左右方向の一方側に配置され、例えば、
図7に示す例では、支持柱40は、ボンネット21の右側に配置されている。支持柱40は、機体フレーム10又はステップ19に取り付けられ、ステップ19の上方に延びるように立設される。支持柱40は、ボンネット21の側方に沿って上方に延びるような形状で形成されてよく、ボンネット21に対して固定されてもよい。支持柱40は、供給装置23を支持する専用部材に限らず、田植機1に既存のアンテナが支持柱40として利用されてもよい。
【0053】
供給装置23は、支持柱40の下部に取り付けられ、支持柱40に対してボンネット21とは反対側でステップ19の上方に配置されるとよい。なお、供給装置23は、支持柱40だけに取り付けられてもよいが、供給装置23の後端が支持柱40に取り付けられ、供給装置23の前端又は側部がボンネット21に取り付けられてもよい。
【0054】
また、表示装置18を保持する保持装置25や、表示装置18に供給される電力を変換するアダプター31も支持柱40に取り付けられる。保持装置25は、表示装置18を運転操作具の側方で保持するように、支持柱40の上部に取り付けられ、操向ハンドル16等の運転操作具の側方に配置されるとよい。アダプター31は、表示装置18と供給装置23との位置関係に基づく第2配線部26の配線を考慮して、支持柱40の下部に取り付けられる。
【0055】
上記のように、他の実施形態によれば、田植機1は、エンジン11を覆うボンネット21と、操向ハンドル16等の運転操作具とを備え、供給装置23は、ボンネット21の側方に配置され、保持装置25は、運転操作具の側方に配置されて、表示装置18を運転操作具の側方で保持する。
【0056】
これにより、供給装置23は、エンジン11から第1配線部24を介して電力供給を受けるため、エンジン11を覆うボンネット21の側方に供給装置23を配置することで第1配線部24の配線を容易にすることができる。また、ボンネット21の側方に供給装置23を配置することで、供給装置23から電力供給を受ける表示装置18を運転操作具の側方に配置し易くなり、運転操作具及び表示装置18を操作する作業者の操作性を向上することができる。
【0057】
また、他の実施形態によれば、田植機1において、保持装置25及び供給装置23は、運転操作具に対して左右方向の一方側に配置されている。
【0058】
これにより、供給装置23と保持装置25に保持される表示装置18との距離を短くすることができ、供給装置23から保持装置25に保持される表示装置18までの配線を容易にすることができる。
【0059】
なお、上記した実施形態では、田植機1は、ステップ19の上方に供給装置23を備える例を説明したが、本発明はこの例に限定されず、他の例では、供給装置23は、防水機能を確保できれば、ステップ19の下方や、運転席15の側方や下方に設けられてもよい。
【0060】
上記した実施形態では、本発明の農作業機が、田植機1で構成される例を説明したが、本発明はこの例に限定されず、本発明は、エンジン及び表示装置を備えていれば、コンバインやトラクタ等の他の農作業機で構成されてもよい。
【0061】
なお、本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う農作業機もまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
1 田植機(農作業機)
2 走行機体
11 エンジン
16 操向ハンドル(運転操作具)
18 表示装置
19 ステップ
20 予備苗台
21 ボンネット
22 オルタネータ
23 供給装置
24 第1配線部
25 保持装置
26 第2配線部
27 予備苗台フレーム
28 本体
29 蓋体
30 接続部
40 支持柱