(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】水溶性イミドポリマーを含むポリマーフィラメント、及び積層造形における犠牲印刷材料としてのその使用
(51)【国際特許分類】
B29C 64/40 20170101AFI20241121BHJP
B29C 64/118 20170101ALI20241121BHJP
B29C 64/209 20170101ALI20241121BHJP
B29C 64/314 20170101ALI20241121BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20241121BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20241121BHJP
B33Y 40/00 20200101ALI20241121BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20241121BHJP
C08G 73/10 20060101ALI20241121BHJP
D01F 6/74 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
B29C64/40
B29C64/118
B29C64/209
B29C64/314
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y40/00
B33Y70/00
C08G73/10
D01F6/74 A
(21)【出願番号】P 2021135406
(22)【出願日】2021-08-23
【審査請求日】2024-08-15
(32)【優先日】2020-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】キンバーリー・ディー.・ノセラ
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・フィリップ・ネルソン・ヴェレジン
(72)【発明者】
【氏名】ナヴィーン・チョプラ
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0248015(US,A1)
【文献】特表平08-500632(JP,A)
【文献】特開平07-181738(JP,A)
【文献】特開平07-333907(JP,A)
【文献】米国特許第5601689(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
67/00-67/08
67/24-69/02
73/00-73/34
B29D 1/00-29/10
33/00
99/00
B33Y 10/00-99/00
C08G 73/00-73/26
D01F 1/00-6/96
9/00-9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
除去可能な支持体を調製するための溶融フィラメント製造に適合するポリマーフィラメントであって、
水性流体への少なくとも部分的な溶解度を有する
少なくとも1種のイミドポリマーを含
み、
前記少なくとも1種のイミドポリマーが、
i)ジオール及びジアミンから形成された少なくとも1種のポリエステルイミドであって、以下で表される構造を有する、少なくとも1種のポリエステルイミド、
(式中、Aは、5員又は6員イミド環B3内に位置する一対のカルボニル基とエステル結合で結合したカルボニル基とを有する、ヒドロカルビル基であり、
Rは、アルキレン基、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、アリーレン基、オキシアリーレン基、ポリオキシアリーレン基、ビス(フェニレン)メタン基、オキシ(ビス(フェニレン))メタン基、若しくはポリオキシ(ビス(フェニレン))メタン基、又はこれらの架橋性変異体であり、R’は、アルキレン基、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、アリーレン基、オキシアリーレン基、ポリオキシアリーレン基、ビス(フェニレン)メタン基、オキシ(ビス(フェニレン))メタン基、若しくはポリオキシ(ビス(フェニレン))メタン基、又はこれらの架橋性変異体であり、ただし、出現するR及び/又はR’の少なくとも一部が、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、オキシアリーレン基、ポリオキシアリーレン基、オキシ(ビス(フェニレン))メタン基、又はポリオキシ(ビス(フェニレン))メタン基であり、
Zは、約5~約100,000の範囲の正の整数である)
ii)アミノアルコールから形成された少なくとも1種のポリエステルイミドであって、以下で表される構造を有する、少なくとも1種のポリエステルイミド、
(式中、Aは、5員又は6員イミド環B3内に位置する一対のカルボニル基とエステル結合で結合したカルボニル基とを有する、ヒドロカルビル基であり、
Rは、アルキレン基、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、アリーレン基、オキシアリーレン基、ポリオキシアリーレン基、ビス(フェニレン)メタン基、オキシ(ビス(フェニレン))メタン基、若しくはポリオキシ(ビス(フェニレン))メタン基、又はこれらの架橋性変異体であり、ただし、出現するRの少なくとも一部が、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、オキシアリーレン基、ポリオキシアリーレン基、オキシ(ビス(フェニレン))メタン基、又はポリオキシ(ビス(フェニレン))メタン基であり、
Zは、約5~約100,000の範囲の正の整数である)、又は
iii)少なくとも1種のポリアミドイミドであって、以下で表される構造を有する、少なくとも1種のポリアミドイミド、
(式中、Aは、5員又は6員イミド環B3内に位置する一対のカルボニル基とアミド結合で結合したカルボニル基とを有する、ヒドロカルビル基であり、
Rは、アルキレン基、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、アリーレン基、オキシアリーレン基、ポリオキシアリーレン基、ビス(フェニレン)メタン基、オキシ(ビス(フェニレン))メタン基、若しくはポリオキシ(ビス(フェニレン))メタン基、又はこれらの架橋性変異体であり、ただし、出現するRの少なくとも一部が、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、オキシアリーレン基、ポリオキシアリーレン基、オキシ(ビス(フェニレン))メタン基、又はポリオキシ(ビス(フェニレン))メタン基であり、
Zは、約5~約100,000の範囲の正の整数である)
を含み、前記ポリマーフィラメントが、0.5mm~5.0mmの直径を有する、ポリマーフィラメント。
【請求項2】
前記ポリオキシアルキレン基、前記ポリオキシアリーレン基、又は前記ポリオキシ(ビス(フェニレン))メタン基は、エチレンオキシドオリゴマー、プロピレンオキシドオリゴマー、又はエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコオリゴマーを含む、請求項
1に記載のポリマーフィラメント。
【請求項3】
前記水性流体は、塩基、界面活性剤、塩、
又はこれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含む、請求項1に記載のポリマーフィラメント。
【請求項4】
積層造形プロセスであって、
ビルド材料及び除去可能な支持体を堆積させることによって支持された部品を形成することであって、前記ビルド材料の少なくとも一部は前記除去可能な支持体上に堆積され、前記除去可能な支持体は、
請求項1に記載のポリマーフィラメントから堆積される、ことと、
前記少なくとも1種のイミドポリマーが少なくとも部分的に可溶性である水性流体に、前記支持された部品の少なくとも一部を曝露することと、
前記ビルド材料から前記除去可能な支持体を排除した後に、支持されていない部品を得ることと、
を含む、積層造形プロセス。
【請求項5】
前記除去可能な支持体の排除は、前記支持された部品の前記水性流体への曝露中の前記除去可能な支持体の崩壊、溶解、分離、発泡、又はこれらの任意の組み合わせによって行われる、請求項
4に記載の積層造形プロセス。
【請求項6】
前記ビルド材料及び前記除去可能な支持体は、二重押出印刷ヘッドから堆積される、請求項
4に記載の積層造形プロセス。
【請求項7】
前記ビルド材料は、1つ以上の張り出し位置で前記除去可能な支持体上に堆積される、請求項
4に記載の積層造形プロセス。
【請求項8】
前記水性流体は、塩基、界面活性剤、塩、
又はこれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含む、請求項
4に記載の積層造形プロセス。
【請求項9】
1.5mm~3.0mmの直径を有する、請求項1に記載のポリマーフィラメント。
【請求項10】
前記イミドポリマーと混合されたガス発生物質を更に含む、請求項1に記載のポリマーフィラメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
該当なし。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、概して積層造形に関し、より詳細には、製造中に1つ以上の張り出し部、又は一時的な支持を必要とする他の構造を有する複雑な部品を製造するために用いられ得る、犠牲印刷材料を利用する積層造形プロセスに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
三次元(three-dimensional、3-D)印刷としても知られる積層造形は、急速に成長している技術分野である。積層造形は、伝統的にラピッドプロトタイピング活動に使用されてきたが、この技術は、任意の数の複雑な形状の商業部品及び工業部品を製造するためにますます採用されている。積層造形プロセスは、1)溶融印刷材料の流れ、又は2)印刷材料の粉粒体のいずれかを一層ずつ堆積させることによって行われる。一層ずつの堆積は、通常、コンピュータの制御下で行われて、製造される部品のデジタル三次元「設計図」に基づいて、正確な位置に印刷材料を堆積させ、堆積と併せて行われる印刷材料の圧密化によって印刷部品を形成する。印刷部品の本体を形成する印刷材料は、本明細書において「ビルド材料」と呼ぶことがある。
【0004】
部品形成に溶融印刷材料の流れを用いる積層造形プロセスは、典型的には、溶融印刷材料の供給源として熱可塑性ポリマーフィラメントを利用する。かかる積層造形プロセスは、「溶融積層法」又は「溶融フィラメント製造」プロセスと呼ばれることがある。本明細書の以下では、後者の用語を使用する。
【0005】
印刷材料の粉粒体を用いる積層造形プロセスは、印刷材料の堆積後に粒体床の選択した位置で更に加熱することにより、圧密化された部品への粉粒体の融合を促進する。粉粒体の圧密化を促進して圧密化された部品を形成するのに好適な技術としては、例えば、粉体床溶融(Powder Bed Fusion、PBF)、選択的レーザー焼結(Selective Laser Sintering、SLS)、電子ビーム溶解(Electron Beam Melting、EBM)、バインダージェッティング、及びマルチジェット溶融(Multi-Jet Fusion、MJF)が挙げられる。
【0006】
様々な形状を有する幅広い部品は、両タイプの積層造形プロセスを使用して製造され得る。両タイプの積層造形プロセスに関連する1つの制限は、部品が「付加的に」製造されるためには、当該部品を層ごとに蓄積させるために印刷材料を堆積させる基底構造の存在が必要なことである。印刷される部品の初期層は、三次元プリンタの印刷床(ステージ)上に堆積されてよく、次いで、以降の層は、最初に堆積された層上に堆積されてよい。粉体堆積プロセスの場合、以降の層は、圧密化されて部品の一部を形成するか、又は圧密化されないままであるのいずれかであり得る、粉体床の下位層によって支持されてよい。対照的に、溶融印刷材料の堆積、例えば溶融フィラメントの製造などによって製造された部品は、印刷材料から形成された、対応する支持構造を有さない。溶融フィラメント製造プロセスにおいて、印刷床から印刷部品が成長するにつれて、印刷床と、又は印刷材料の以前に堆積された層と直接接触しなくなった部品の形状により、張り出し部及び類似の構造が存在することがある。張り出し部及び類似の構造を有する部品は、その結果として、溶融フィラメント製造によって直接印刷されないことがある。これは、下に支持体が存在しない自由空間に、印刷材料を堆積させることができないためである。
【0007】
積層造形中、特に溶融フィラメント製造プロセス中に支持体を必要とする張り出し部及び類似の構造の問題に対する解決策として、一般的な戦略は、ビルド材料及び犠牲印刷材料を同時に堆積させることであり、犠牲印刷材料は、ビルド材料を堆積させるための除去可能な支持体として形成されてよい。ビルド材料及び犠牲印刷材料は、ビルド材料及び犠牲印刷材料を別々に提供するために2つの押出機を備える印刷ヘッドから堆積されてよい、又はあまり一般的ではないが、別個の印刷ヘッドが使用されてよい。部品の印刷が完了すると、犠牲印刷材料は、分解、崩壊、又は溶解されて、印刷部品から除去可能な支持体を排除し、又は分離し、支持されていない部品を得てよい。非限定的な例では、除去可能な支持体は、犠牲印刷材料は可溶性又は分解性であるが、ビルド材料は安定かつ不溶性である溶媒と、支持された部品とを接触させることによって排除されてよい。三次元印刷によって堆積され、続いて溶媒接触によって除去されることができる一般的な犠牲印刷材料はかなり限定されており、例えば、ポリビニルアルコール及び耐衝撃性ポリスチレンが挙げられるが、前者は水溶性であり、後者はD-リモネンなどの有機溶媒に溶解する。犠牲印刷材料を除去するための前述のアプローチは通常有効であるが、除去可能な支持体を排除するために必要な時間は、望ましい時間よりもかなり長いことが多く、場合によっては、ビルド材料からの除去可能な支持体の分離が不完全であり得る。加えて、除去可能な支持体の排除を促進するために使用される有機溶媒は高価であり得、場合によっては、ビルド材料の膨張を促進する。
【0008】
本開示は、積層造形で使用するのに好適なポリマーフィラメント、特に、除去可能な支持体を調製するための溶融フィラメント製造に適合するポリマーフィラメントを提供する。ポリマーフィラメントは、水性流体への少なくとも部分的な溶解度を有する、少なくとも1種のイミドポリマーを含む。
【0009】
本開示はまた、1つ以上の張り出し位置を有する部品の積層造形のためのプロセスを提供する。このプロセスは、ビルド材料及び除去可能な支持体を堆積させることによって支持された部品を形成することであって、ビルド材料の少なくとも一部は除去可能な支持体上に堆積され、除去可能な支持体は、水性流体への溶解度を有する、少なくとも1種のイミドポリマーを含む、ことと、少なくとも1種のイミドポリマーが少なくとも部分的に可溶性である水性流体に、支持された部品の少なくとも一部を曝露することと、ビルド材料から除去可能な支持体を排除した後に、支持されていない部品を得ることと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
以下の図は、本開示の特定の態様を例示するために含まれ、排他的な実施形態として見られるべきではない。開示される主題には、その形態及び機能において、当業者が想到し、しかも本開示の利益を有するような、相当な修正、変更、組み合わせ、及び等価物を考えることができる。
【0011】
【
図1A】
図1Aは、1つ以上の張り出し部を有する例示的な部品の概略図を示す。
【
図1B】
図1Bは、除去可能な支持体と接触している、1つ以上の張り出し部を有する例示的な被支持部品の概略図を示す。
【0012】
【
図2】
図2は、張り出し部を有する部品を製造するための例示的な溶融フィラメント製造プロセスの概略図を示す。
【0013】
【
図3】
図3は、部品と印刷床との間に介在する第1の除去可能な支持体及び部品の2つの部分の間に介在する第2の除去可能な支持体を有する、例示的な部品の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、概して積層造形に関し、より詳細には、水性流体に少なくとも部分的に可溶性である犠牲印刷材料を利用する、積層造形プロセスに関する。犠牲印刷材料は、特に溶融フィラメント製造積層造形プロセス中に、1つ以上の張り出し部を有する複雑な部品を製造する際に、除去可能な支持体を形成するために用いられてよい。上述したように、溶融フィラメント製造プロセスなど積層造形プロセスは、広範囲の複雑な形状の部品を生み出すための強力なツールである。場合によっては、積層造形によって生み出される部品の形状は、除去可能な支持体を提供して、ビルド材料を部品の張り出し領域などその上に堆積させるために、犠牲印刷材料の使用を必要とし得る。場合によっては、印刷部品からの除去可能な支持体の排除に時間がかかるか、又は不完全であり得、これにより、処理量を制限するか、又は部品の品質を低下させることがある。特定タイプのポリマーを含む除去可能な支持体を排除するために有機溶媒が必要とされることがあるが、このことは、様々な点で問題となり得る。
【0015】
溶融フィラメント製造及び他の積層造形プロセスにおいて犠牲印刷材料の除去に時間がかかること、又はその除去が不完全であることの解決法として、本開示は、水溶性ポリマーを含むポリマーフィラメント及びそれを使用して実施される積層造形プロセスを提供し、その結果、水溶性ポリマーを含む除去可能な支持体の排除が容易に実現され得る。具体的には、水溶性基を有するイミドポリマーは、溶融フィラメント製造プロセスでの使用に適合するガラス転移温度を有するポリマーフィラメントに押出可能であることが見出されており、特に、イミドポリマーは、支持構造に形成されて、1つ以上の張り出し部を有する部品の形成を促進してよい。本明細書の開示において、用語「イミドポリマー」は、ポリマーの繰り返し単位で少なくとも1つのイミド官能基を有する任意のポリマーを指す。イミド官能基は、一般に、式1:
【化1】
(式中、R及びR’は、独立して選択されたヒドロカルビル基であり、R’基は、好ましくは環中で結合されて環状イミドを形成し得る)で表され得る。好適なヒドロカルビル基としては、以下で更に指定するように、アルキル、アルキレン、アリール、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。本明細書の開示で使用するのに好適なイミドポリマーとしては、ポリイミド、ポリエステルイミド、及びポリアミドイミド、特にポリイミド、ポリエステルイミド、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられてよいが、これらに限定されない。かかるイミドポリマーは、重縮合反応により容易に生成され得る。本明細書の開示で使用するのに好適なイミドポリマーは、以下で更に詳細に論じており、米国特許第5,348,830号、同第5,348,831号、同第5,411,829号、及び同第5,601,689号に記載されるものが挙げられ、これらのそれぞれは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。イミドポリマーは、有益なガラス転移温度及び可溶化官能性を迅速に導入できることに加えて、積層造形で使用するのに好適なポリマーフィラメントの形成を促進するために良好な機械的強度を示してよい。イミドポリマーの良好な機械的強度は、部品製造中の構造的に安定した除去可能な支持体の形成を同様に促進し得る。イミドポリマーに可溶化官能性を組み込むことにより、除去可能な支持体は、短期の接触時間にわたって水性流体、特にアルカリ性pH値を有する水性流体に支持された部品を曝露することにより、容易に排除されてよい。イミドポリマーの溶解を促進するのに好適なアルカリ性pH値としては、例えば、約9以上、約10以上、約11以上、約12以上、約13以上、又は約14以上のpH値が挙げられる。重縮合後に残存する残留酸基の量は、特定のイミドポリマーが可溶性であるpH値を決定し得、追加の可溶化官能性は、イミドポリマーの溶解を更に促進し得る。イミドポリマーを含む除去可能な支持体の排除を促進するのに好適な接触時間は、約10分~約24時間、又は約1時間~約6時間の範囲であってよい。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「水溶性」は、水の存在下で、溶解する、吸収する、膨張する、ないしは別の方法で構造的一体性を失う任意の材料を指す。したがって、本明細書の開示に従って形成された犠牲材料及び除去可能な支持体は、水のみに対して、あるいは酸若しくは塩基、界面活性剤、又は水分散性若しくは水溶性である他の添加剤を添加すると、軟化し、可溶性であってよい。イミドポリマーは、本明細書の開示において完全に又は部分的に溶解してよい。部分的溶解の場合、イミドポリマーから形成された除去可能な支持体は、除去可能な支持体が当該部品を画定するビルド材料から分離可能であれば、十分に水溶性であると考えられる。したがって、印刷部品を水性流体に浸漬させることにより、除去可能な支持体を少なくとも部分的に水に溶解させるか、さもなければ、何らかの方法で破壊することができ、それによって、支持材料の本質的に全てが、部品のビルド材料から離脱する。いくつかの実施形態では、除去可能な支持体の一部は、水性流体に溶解せずに、当該部品から除去されてよい。
【0017】
本明細書の開示による溶解を促進するのに好適な水性流体としては、界面活性剤、腐食剤(塩基)、イオン性塩、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられ得る。好適な界面活性剤は、イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤から選択されてよい。アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び双性界面活性剤は、用語「イオン性界面活性剤」に包含される。様々な実施形態では、界面活性剤は、水性流体の約0.01重量%~5重量%、例えば、約0.75重量%~約4重量%、又は約1重量%~約5重量%の量で存在するように利用されてよい。場合によっては、最大約10重量%の界面活性剤が存在してよい。したがって、界面活性剤は、不在であってよい、又は約0~約10pph(百分率)、又は約0~約4pph、又は約4~約8pph、又は約4~約6pphの量で存在してよい。
【0018】
本明細書の開示で利用され得る非イオン性界面活性剤の例としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、メタロース、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ジアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、Rhone-Poulenacから入手可能なIGEPAL CA-210(商標)、IGEPAL CA-520(商標)、IGEPAL CA-720(商標)、IGEPAL CO-890(商標)、IGEPAL CO-720(商標)、IGEPAL CO-290(商標)、IGEPAL CA-210(商標)、ANTAROX 890(商標)、及びRhone-Poulencから入手可能なANTAROX 897(商標)、及びジアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、及びTRITON X-l00(商標)が挙げられる。好適な非イオン性界面活性剤の他の例としては、SYNPERONIC PE/F、(例えばSYNPERONIC PE/F 108)として市販されているものなど、ポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシドのブロックコポリマーが挙げられる。更に他の好適な非イオン性界面活性剤としては、((CH3)3SiO2)2Si-(CH3)(CH2)3(OCH2CH2)nOH(n=4~12)などトリシロキサン、オキシエチル化アルコール、C14(EO)8、C12(EO)5、及びC10(EO)4(EO=エチレンオキシド)、並びに3M(商標)からのNOVEC(商標)FC-4430、FC-4432、FC-4434非イオン性高分子界面活性剤が挙げられる。
【0019】
本明細書の開示で利用され得るアニオン性界面活性剤の例としては、硫酸塩及びスルホン酸塩、ラウレス硫酸ナトリウム(SLES)、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ラウレス硫酸アンモニウム(ALS)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルナフタレン硫酸ナトリウム、ジアルキルベンゼンアルキル硫酸塩及びジアルキルベンゼンアルキルスルホン酸、Aldrichから入手可能なアビエチン酸(abeitic acid)などの酸、Daiichi Kogyo Seiyakuから入手可能なNEOGEN R(商標)、NEOGEN SC(商標)、これらの組み合わせなどが挙げられる。他の好適なアニオン性界面活性剤としては、例えば、DOWFAX(商標)2A1、Dow Chemical Companyからのアルキルジフェニルオキシドジスルホネート、及び/又はTayca Corporation (Japan)からのTAYCA POWER BN2060が挙げられてよく、これらは分枝状ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。更に他の好適なアニオン性界面活性剤としては、ペルフルオロカルボン酸及びその塩、例えば、C6F13COOLi、C7F15COOH、C7F15COONa、C8F17COOH、C8F17COOLi、C8F17COONa、C8F17COONH4、C8F17COONH3C2H4OH、C10F21COOLi、C10F21COONH4、C10F21COONH3C2H4OH、C12F25COOLiなど、ペルフルオロアルカンスルホン酸の塩、C8F17SO3Li、C8F17SO3Na、C8F17SO3NH4、C8F17SO3NH3C2H4OH、及びFC-5120アニオン性フルオロアルキルスルホン酸アンモニウム、特に3M(商標)からのノナフルオロブチル[スルホニル]アミノ-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸、アンモニア塩が挙げられる。加えて、高分岐炭化水素界面活性剤、例えば、イソステアリル硫酸Na塩、イソステアリル硫酸テトラプロピルアンモニウム塩、及び(CH3)3CCH2CH(CH3)CH2PO4Naも選択され得る。これらの界面活性剤と前述のアニオン性界面活性剤のいずれかとの組み合わせが、様々な実施形態で利用されてよい。
【0020】
通常正に帯電しているカチオン性界面活性剤の例としては、例えば、塩化アルキルベンジルジメチルアンモニウム、塩化ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルベンジルメチルアンモニウム、臭化アルキルベンジルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、臭化セチルピリジニウム、臭化C12、C15、C17トリメチルアンモニウム、四級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハロゲン化物塩、Alkaril Chemical Companyから入手可能なMIRAPOL(商標)及びALKAQUAT(商標)、Kao Chemicalsから収取可能なSANIZOL(商標)(塩化ベンザルコニウム)など、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0021】
本明細書の開示において利用され得るイオン性塩の例としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、塩化マグネシウム、塩化ベリリウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩、エチレンジアミン四酢酸二カリウム塩、エチレンジアミン四酢酸テトラナトリウム塩、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、及びこれらの混合物が挙げられる。好適な塩濃度は、水性流体の約1重量%~約10重量%の範囲であってよい。
【0022】
選択され得る腐食剤の例としては、重炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、カリ、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化リチウム、重炭酸リチウム、炭酸リチウム、アンモニア、水酸化アンモニウム、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、及びこれらの任意の混合物が挙げられる。好適な量の腐食剤(塩基)は、水性流体の約0.1重量%~約5重量%の範囲であってよい。
【0023】
本明細書に開示するイミドポリマーはまた、積層造形プロセス、特に溶融フィラメント製造プロセスにおいて、従来からビルド材料として使用される多くの熱可塑性ポリマーと適合する。このため、本明細書に記載のイミドポリマーを含む除去可能な支持体は、ビルド材料を著しく変更することなく容易に排除され得、それにより、支持されていない部品の形成を容易に実現することができる。
【0024】
イミドポリマーが水性流体に容易に溶解すること及び上記の利点に加えて、イミドポリマーを含むポリマーフィラメント及びそれから形成された除去可能な支持体は、イミドポリマーと混合された重炭酸塩又は炭酸塩など任意のガス発生物質を含むことによって溶解を促進するように更に構成されてよい。発泡中にガス発生物質から発生した気泡は、除去可能な支持体を弱体化させる膨張力をもたらしてよく、また、イミドポリマーの溶解、崩壊、及び/又はビルド材料からのイミドポリマーの分離を促進することによって、相乗的に支持体の除去を促進する。
【0025】
イミドポリマーが水性流体に容易に溶解すること及び上記の利点に加えて、イミドポリマーを含むポリマーフィラメント及びそれから形成された除去可能な支持体は、特にイミドポリマーと混合されたガス発生物質を含むことによって溶解を促進するように更に構成されてよい。ガス発生物質は、水又は水性酸と接触したときにガスを発生させてよく、これは、発泡として知られるプロセスである。ガス発生物質から発生した気泡は、除去可能な支持体を弱体化させる膨張力をもたらしてよく、また、イミドポリマーの溶解、崩壊、及び/又はビルド材料からのイミドポリマーの分離を促進することによって、相乗的に支持体の除去を促進する。発泡及びイミドポリマーの溶解は、様々なpH条件下で生じてよく、その場合、第1の水性溶媒は発泡を促進してよく、第2の水性溶媒は、イミドポリマーの溶解を促進してよいか、又はその逆であってよい。除去可能な支持体の排除を促進する際、気泡は、非限定的な例として、除去可能な支持体の剥離、層間剥離、及び/又は溶解の増進、機械的一体性の低下に伴う除去可能な支持体片の分離、除去可能な支持体の多孔性の増大による水性溶媒との接触の増加の促進、機械的撹拌の提供、又はこれらの任意の組み合わせをもたらしてよい。発泡は、前記のことを達成する、イミドポリマーの大部分の溶解の前又は後に促進され得る。有利には、ガス発生物質は、ポリマーフィラメントが除去可能な支持体を形成する能力を著しく損なうことなく、積層造形で使用するのに好適なポリマーフィラメント内で混合されてよい。
【0026】
本開示の様々な態様を更に詳細に論じる前に、本開示の特徴がより良く理解され得るように、除去可能な支持体を利用して複雑な部品の製造を促進する積層造形プロセス、特に溶融フィラメント製造プロセスの簡単な考察について最初に説明する。
図1Aは、除去可能な支持体を使用した積層造形によって製造され得る例示的な部品100の概略図を示す。
図1Aに示すように、部品100は、溶融フィラメント製造プロセス中に印刷床と直接接触することができない、張り出し部102を含む。製造中の印刷床に対する部分100の位置は、
図1Aの破線で示す。印刷床は、
図1Aに示していない。張り出し部102は、除去可能な支持体を用いない溶融フィラメント製造プロセス中には製造されないことがある。これは、支持体を用いなければ、ビルド材料を堆積させて部品100の張り出し部分を付加的に生成する表面が存在しないためである。対照的に、部分100の非張り出し部104は、ビルド材料を一層ずつ堆積させることにより印刷床から直接構成されてよい。
【0027】
図1Bは、例示的な部品100の概略図を示し、張り出し部分112において、除去可能な支持体106が部品100と接触している。除去可能な支持体106は、印刷床108と部品100の張り出し部分112との間に介在する。部品100の製造中に、本明細書に更に記載するように、部品100及び除去可能な支持体106を製造するために別個の印刷材料が使用されてよい。具体的には、本明細書の開示において、除去可能な支持体106は、犠牲印刷材料としてのイミドポリマーから形成されてよい。部分100の非張り出し部分104は、印刷床108上に第1の印刷材料(ビルド材料)を一層ずつ直接堆積させることによって形成されてよい。非張り出し領域104の形成と同時に、除去可能な支持体106は、第1の印刷材料の堆積が実行されて部品100の張り出し部分112を形成し続けるまで、印刷床108上に第2の印刷材料(犠牲印刷材料)を一層ずつ直接堆積させることによって形成されてよい。除去可能な支持体106は、部品100と連続していてよく、第1の印刷材料と第2の印刷材料との間の境界面において、これらの材料は最小限に混在するか、又は全く混在しない。部品100が所望の形状に製造されると、部品100は印刷床108から分離されてよく、除去可能な支持体106は排除されて、
図1Aに示す部品など支持されていない部品を得ることができる。除去可能な支持体106の排除の促進に関連する具体的な詳細は、以下に記載する。
【0028】
図2は、張り出し部を有する部品を製造するための例示的な溶融フィラメント製造プロセスの概略図を示す。
図2に示すように、印刷ヘッド200は、第1の押出機202aと、第2の押出機202bとを含み、これらはそれぞれ、繊維状印刷材料を受容するように構成されている。具体的には、第1の押出機202aは、第1の払出リール206aから第1のフィラメント204aを受容し、第1の印刷材料の溶融流208aを提供するように構成されており、第2の押出機202bは、第2の払出リール206bから第2のフィラメント204bを受容し、第2の印刷材料の溶融流208bを提供するように構成されている。いずれの溶融流も、最初に印刷床(
図2に示さず)上に堆積され、支持された部品220の一層ずつの成長を促進する。第1の押出機202aによって供給される第1の印刷材料は、部品210の製造に使用されるビルド材料であってよく、第2の押出機202bによって供給される第2の印刷材料は、張り出し部214の下での除去可能な支持体212の製造に使用される、イミドポリマーを含む犠牲印刷材料であってよい。
図2に示す部品構成では、除去可能な支持体212は、張り出し部214と印刷床との間に介在するが、代替的に構成された部品では、除去可能な支持体214は、部分210の2つ以上の部分の間に介在してよいことを理解されたい。
図3は、例えば、例示的な部品300を示しており、除去可能な支持体302が、部品300と印刷床304との間に画定された張り出し部の間に介在し、除去可能な支持体306は、部品300の2つの部分の間に介在する。
【0029】
再び
図2を参照すると、部品210及び除去可能な支持体212の印刷が完了すると、アセンブリ220は、除去可能な支持体212の排除(例えば、溶解、崩壊、剥離、発泡などによる)をもたらし、張り出し部214が支持体212上で支持されていない状態で部品210を残す、支持体除去条件225を支援するようにされてよい。支持体除去条件225は、アセンブリ220と水性流体、特にアルカリ性pH値を有する水性流体との接触を含んでよい。特定のアルカリ性pH値は、重縮合後にイミドポリマー中に存在する残留カルボン酸基の量に応じて異なり得る。好適な支持体除去条件225は、除去可能な支持体212でのガスの発生をもたらす条件を更に含んでよい。
【0030】
アルカリ性pH値の水など水性流体への、少なくともある程度の溶解度を有するイミドポリマーは、ガラス転移温度(Tg)を超えるポリマーフィラメントに効果的に押し出されてもよく、これは、溶融フィラメント製造プロセスなど積層造形プロセスにおいて、特に犠牲印刷材料として利用されてよい。イミドポリマーを含むポリマーフィラメントを形成することができる押出システムは、特に限定されるとは考えられない。少量の水混和性有機共溶媒(例えば、メタノール、エタノール、又はイソプロパノールなどの1種以上のアルコール)を含有する水は、イミドポリマー又はそれから形成された、除去可能な支持体の溶解を促進するために、本明細書の開示において効果的に使用されてよい。好適な水混和性有機溶媒は、ビルド材料の溶解又は歪みを促進しないように選択されてよい。
【0031】
イミドポリマーの溶解は、室温(~25℃)、又は約95℃まで、若しくは更には約100℃まで、例えば約40℃~約85℃、若しくは約40℃~約60℃の高温で生じ得る。溶解時間は、約10分~約24時間、又は約1時間~約8時間の範囲であってよく、イミドポリマーの溶解を促進し、それから形成された除去可能な支持体からのビルド材料の放出を促進する。イミドポリマーから形成された除去可能な支持体は、実質的に100%のイミドポリマーを溶解することによって効果的に除去される、つまり、約25%以下、又は約10%以下、又は約5%以下、又は約1%以下のイミドポリマーが除去可能な支持体を含んでよい。唯一の要件は、イミドポリマーが十分な溶解、膨張、分散、及び/又は分解を受けて、ビルド材料からの除去可能な支持体の解放及び分離を促進することである。残留イミドポリマーが残っている場合には、除去可能な支持体の分離後に、それに続いての洗浄が用いられてよい。溶解後、必要に応じて、イミドポリマーは、水性流体から回収され、再利用されてよい。
【0032】
したがって、本開示は、積層造形、特に、除去可能な支持体の形成を必要とする溶融フィラメント製造プロセスで使用するのに好適なポリマーフィラメントを提供し、ポリマーフィラメントは、水性流体への少なくとも部分的な溶解度を有する、少なくとも1種のイミドポリマーを含む。好適なイミドポリマーは、少なくとも1種のポリイミド、少なくとも1種のポリエステルイミド、少なくとも1種のポリアミドイミド、又はこれらの任意の組み合わせを含んでよい。好適な水溶性を有するイミドポリマーの構造例を以下に記載する。
【0033】
本明細書に開示するイミドポリマーの溶解を促進するために好適な水性流体としては、水又はアルカリ性水溶液(任意選択的に、その乳化した変種など水混和性有機溶媒を更に含有する)が挙げられてよいが、これらに限定されない。好適なアルカリ性水溶液は、約9以上のpH値を有してよく、前述の範囲のpH値を提供することができる塩を含有してよい。イミドポリマーの溶解を促進するために前述のpH範囲でアルカリ性水溶液を形成するのに特に好適な塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムなどアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウム又は水酸化バリウムなどアルカリ土類金属水酸化物;水酸化アンモニウム;炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムなどアルカリ金属炭酸塩;炭酸アンモニウム;重炭酸ナトリウム又は重炭酸カリウムなどアルカリ金属重炭酸塩;及び炭酸カルシウム又は重炭酸マグネシウムなどアルカリ土類金属重炭酸塩が挙げられてよい。存在する場合、水混和性有機共溶媒は、約25%以下、又は約10%以下、又は約5%以下、又は約1%以下の体積/体積基準で含まれてよい。任意選択的に、界面活性剤が水性流体中に存在して、イミドポリマーの溶解の促進を支援してよい。
【0034】
本明細書に開示するポリマーフィラメントを利用した溶融フィラメント製造プロセスでは、印刷ヘッドは二重押出機を含んでよく、したがって、ビルド材料を含む第1のポリマーフィラメントが第1の押出機から堆積されてよく、犠牲印刷材料を含む第2のポリマーフィラメントが第2の押出機から堆積されて、ビルド材料から形成された部品のために除去可能な支持体を形成してよい。本明細書の開示において、少なくとも1種のイミドポリマーを含むポリマーフィラメントが、犠牲印刷材料として利用されてよい。一般に、犠牲印刷材料を含む各ポリマーフィラメントは、直径約0.5mm~約5mm、特に直径約1.5mm~約3.5mmの範囲であってよい。溶融フィラメント製造技術を用いる多くの三次元プリンタの標準的なフィラメント径は、1.75mm又は3.0mmである。ポリマーフィラメントがユーザの特定の印刷システムに適合することを条件として、任意の好適なポリマーフィラメント径が本明細書の開示に従って使用され得ることを認識されたい。同様に、本明細書に開示するプロセスにおいて、ポリマーフィラメントの長さ及び/又は色が特に制限されるとは考えられない。ビルド材料を含むポリマーフィラメントは、同様に、特に限定されるとは考えられない。
【0035】
いくつかの実施形態では、少なくとも1種のイミドポリマーは、水性流体への少なくとも部分的な溶解度を有する、少なくとも1種のポリイミドを含んでよい。本明細書の開示において使用するのに好適なポリイミドは、式2によって表される構造を有してよい。
【化2】
)を有するヒドロカルビル基であり、第1の対のカルボニル基は、5員又は6員イミド環B1内に位置するようにAに配設され、第2の対のカルボニル基は、5員又は6員イミド環B2内に位置するようにAに配設される。イミド環B1及びイミド環B2のサイズは、互いに独立して異なっていてよい。好ましくは、イミド環B1及びB2は、5員イミド環であり、Aは環状ヒドロカルビル基である。本明細書の開示によると、式2における十分な数のR基が、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、オキシアリーレン基、ポリオキシアリーレン基、オキシ(ビス(フェニレン))メタン基、又はポリオキシ(ビス(フェニレン))メタン基であって、水性流体への溶解度を付与することを条件として、各Rは、独立して、アルキレン基、アリーレン基、ビス(フェニレン)メタン基、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、オキシアリーレン基、ポリオキシアリーレン基、オキシ(ビス(フェニレン))メタン基、又はポリオキシ(ビス(フェニレン))メタン基である。すなわち、式2において出現するRの少なくとも一部は、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、オキシアリーレン基、ポリオキシアリーレン基、オキシ(ビス(フェニレン))メタン基、又はポリオキシ(ビス(フェニレン)メタン基であり、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、オキシアリーレン基、ポリオキシアリーレン基、オキシ(ビス(フェニレン))メタン基、又はポリオキシ(ビス(フェニレン))メタン基であるRの出現が必要な数は、イミドポリマーが可溶性になる方法、必要な溶解度の程度、及びイミドポリマーの除去を促進するために完全な溶解、膨張、又は剥離が必要であるかどうかに依存する。好ましくは、R基の少なくとも一部は、オキシアルキレン基又はポリオキシアルキレン基である。任意選択的に、Rの選択肢は、いずれも架橋性でもあってよい。変数xは、約5~約100,000、約5~約50,000、又は約5~約1000など正の整数である。
【0036】
好適なアリーレン基の例としては、例えば、1,2-フェニレン、1,3-フェニレン、1,4-フェニレン、又は更に置換された、これらの任意の変異体が挙げられる。ビス(フェニレン)メタン基の例としては、以下の構造:
【化3】
(式中、
Ra及びR
bは、独立して、H又はアルキル基から選択される)を有する部分が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、R
a及びR
bは、いずれもHである、又はいずれもメチル基である。ビスフェノールAのヒドロカルビル主鎖は、好適なビス(フェニレン)メタン基の代表的な例である。フェニレン部分間のCR
aR
bに対する代替的なスペーサ基としては、C(=O)、O、S、C(CF
3)
2、SO
2などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
式2のヒドロカルビルスペーサAの具体例としては、以下:
【化4】
(式中、Dは、2つのフェニル環間に延在するスペーサ基であり、R
1は、H、又はメチル基などアルキル基である)が挙げられるが、これらに限定されない。スペーサ基Dの好適な例としては、C(=O)、O、S、C(CF
3)
2、CR
cR
d(R
c及びR
dは、H及びアルキルから独立して選択され、好ましくはいずれもHである、又はいずれもメチルである)、SO
2などが挙げられるが、これらに限定されない。前述の式中の波形の結合は、イミド環に組み込まれたカルボニル基への結合を表す。
【0038】
式1のRによって表されるオキシアルキレン基は、エチレングリコール、プロピレングリコール、又はこれらの任意の組み合わせの二量化形態を含んでよい。同様に、式1のRによって表されるポリオキシアルキレン基は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、又はこれらの任意の組み合わせをオリゴマー化することによって形成され得る、エチレングリコール、プロピレングリコール、又はこれらの任意の組み合わせのより分子量が大きいオリゴマーを含んでよい。オキシアルキレン基又はポリオキシアルキレン基は、以下で更に詳細に論じるように、反応を経てポリイミドを形成するジアミン中の2つのアミノ基の間に介在してよい。式1のオキシアルキレン基又はポリオキシアルキレン基は、以下の式3:
【化5】
(式中、出現するR’はそれぞれ独立してH又はメチルであり、yは、約1~約100、又は約1~約50、又は約1~約10、又は約1~約5、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9若しくは10の範囲の整数である)によって表される構造を有してよい。式3の波形の結合は、ポリイミド中の窒素又はポリイミドの形成に使用されるジアミンとの結合を表す。式1のオキシアリーレン基、ポリオキシアリーレン基、オキシ(ビス(フェニレン))メタン基、及びポリオキシ(ビス(フェニレン))メタン基は、以下の式3A及び式3Bによって同様に定義されてよく、式中、y及びR’は同様に指定される。
【化6】
【0039】
以下のスキーム1Aは、二無水物及びジアミンからポリイミドを形成するための例示的な重縮合反応を示し、ポリイミドは水性流体への溶解度を示し、本明細書の開示において使用するのに好適であり得る。
【化7】
当然のことながら、スキーム1Aに従って形成されたポリイミドは例示であり、関連構造を有する他のポリイミドは、他の二無水物及び/又は他のジアミンを互いに反応させることによって生成されてもよい。ただし、ここでも、水性流体への溶解度を促進するために十分な可溶化基が存在することを条件とする。例えば、スキーム1Bは、エトキシ化ジアミンとの対応する反応を示す。
【化8】
これもまた当然のことながら、同様に配設された二塩基を有する化合物は、重縮合を同様に経て、適切な反応条件下でポリイミドを生成し得る。スキーム1A及びスキーム1Bは、両無水物からイミド基が完全に形成されていることを示すが、場合によっては不完全な縮合が生じて、残留酸基がポリイミド主鎖から垂れ下がったままであり得ることを理解されたい。
【0040】
本明細書の開示によるポリイミドの形成で使用するのに好適な二無水物又はテトラカルボン酸の具体例としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、ピロメリット酸テトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタ-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.2]オクタ-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、エチレンジアミンテトラアセト二無水物、エチレンジアミン四酢酸、ベンゾフェノン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸、4,4’-オキシジフタル酸無水物、4,4’-オキシジフタル酸、4,4’-オキシジ安息香酸無水物、4,4’-オキシジ安息香酸、テトラヒドロフラン-2,3,4,5-テトラカルボン酸二無水物、テトラヒドロフラン-2,3,4,5-テトラカルボン酸、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。二無水物とテトラカルボン酸との混合物は、本明細書の開示に従ってポリイミドを形成する際に存在し得る。例示的な実施形態では、二無水物又はテトラカルボン酸は、ポリイミド1モル当たり約0.45~約0.55モル当量の範囲の量で存在してよい。
【0041】
本明細書の開示で使用するのに好適なジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、シクロペンタジアミン、シクロヘキサンジアミン、ジアミノトリメチルヘキサン、1,7-ヘプタジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカン二アミンなどが挙げられる。これらのジアミンはいずれも、後に論じるジアミンのような、オキシアルキレン基又はポリオキシアルキレン基を含有する十分な量のジアミンと組み合わせて存在してよい。
【0042】
オキシアルキレン基又はポリオキシアルキレン基を含有する、本明細書の開示で使用するのに好適なジアミンとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシドのオリゴマー、又はエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコオリゴマーを特徴とするものが挙げられてよく、オリゴマーは第1級アミン基で終端し、ジアミンの分子量は、約100~約5000、又は約200~約4000の範囲である。2つのアミノ基間を架橋するポリオキシアルキレン基を含有するジアミンの例示的な例としては、Huntsman Chemicalsから入手可能なJEFFAMINESが挙げられる。好適なJEFFAMINESとしては、JEFFAMINE D-230、JEFFAMINE D-400、JEFFAMINE D-700、JEFFAMINE D-2000、JEFFAMINE D-4000、JEFFAMINE ED-600、JEFFAMINE ED-900、JEFFAMINE ED-2003、JEFFAMINE EDR-148、JEFFAMINE EDR-192(商標)など、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な実施形態では、JEFFAMINES又はポリオキシアルキレン基を含有する類似のジアミンは、ポリイミド1モル当たり約0.45~約0.55モル当量の範囲の量で存在してよい。
【0043】
本明細書に開示するポリイミド中に存在するアルキレン基、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、ビス(フェニレン)メタン基、オキシ(ビス(フェニレン))メタン基、又はポリオキシ(ビス(フェニレン))メタン基は、1つ以上の架橋が隣接するポリマー鎖間に形成され得るように、任意選択的に架橋性であり得る。かかる架橋基は、アルキレン基、アリーレン基、又はビス(フェニレン)メタン基によって架橋された2つのアミンに加えて更なるアミンを含有してよい。すなわち、架橋をポリイミドに導入するのに好適なアミン成分は、トリアミン又は更に多くのアミノ基を有するポリアミンであってよい。本明細書の開示で使用するのに好適であり得るトリアミンの好適な例としては、例えば、JEFFAMINE T-403、JEFFAMINE T-3000、JEFFAMINE T-5000、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。トリアミンが架橋剤として使用される場合、トリアミンの量は、ポリイミド1モル当たり約0.001モル当量~約0.1モル当量の範囲であってよい。
【0044】
本明細書の開示で使用するのに好適なポリイミドは、気相浸透圧測定法により測定したときに、約2500~約100,000の数平均分子量(Mn)を示してよい。加えて、ポリイミドは、示差走査熱量測定によって測定したときに、約45℃~約65℃、又は約50℃~約75℃、又は約50℃~約65℃、又は約60℃~約100℃、又は約60℃~約150℃、又は約50℃~約180℃のガラス転移温度を有してよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、少なくとも1種のイミドポリマーは、ジオール及びジアミンから形成され、水性流体への少なくとも部分的な溶解度を有する、少なくとも1種のポリエステルイミドポリイミドを含んでよい。本明細書の開示で使用するのに好適なポリエステルイミドは、式4によって表される構造を有してよい。
【化9】
式4を参照すると、Aは、Aに結合した3つのカルボニル基を有するヒドロカルビルスペーサであり、1対のカルボニル基は、5員又は6員イミド環B3内に位置するようにAに配設され、第3のカルボニル基はイミド環B3から離れてAに配設され、それによって第3のカルボニル基は、エステル結合での結合に使用可能となる。好ましくは、イミド環B3は、5員イミド環である。各Rは、独立して、アルキレン、アリーレン、ビス(フェニレン)メタン、オキシアルキレン、ポリオキシアルキレン、オキシアリーレン、ポリオキシアリーレン、オキシ(ビス(フェニレン))メタン、又はポリオキシ(ビス(フェニレン))メタンである。各R’は、独立して、アルキレン、アリーレン、ビス(フェニレン)メタン、オキシアルキレン、ポリオキシアルキレン、オキシアリーレン、ポリオキシアリーレン、オキシ(ビス(フェニレン))メタン、又はポリオキシ(ビス(フェニレン))メタンである。式4における十分な数のR基及び/又はR’は、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、オキシアリーレン基、ポリオキシアリーレン基、オキシ(ビス(フェニレン))メタン基、又はポリオキシ(ビス(フェニレン))メタン基であって、本明細書の開示に従って水性流体への少なくとも部分的な溶解度を付与する。すなわち、式4のR基及び/又はR’基の少なくとも一部は、アリールオキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、オキシアリーレン基、ポリオキシアリーレン基、オキシ(ビス(フェニレン))メタン基、又はポリオキシ(ビス(フェニレン))メタン基である。好ましくは、式4のR基及び/又はR’基の少なくとも一部は、オキシアルキレン基又はポリオキシアルキレン基である。任意選択的に、R及びR’の選択肢は、いずれも、架橋性でもあってよい。変数zは、約5~約100,000、約5~約50,000、又は約5~約1000など正の整数である。
【0046】
式4のヒドロカルビルスペーサAの具体例としては、以下:
【化10】
(式中、Dは、2つのフェニル環間に延在するスペーサ基であり、R’は、H又はメチル基などアルキル基である)が挙げられるが、これらに限定されない。スペーサ基Dの好適な例としては、C(=O)、O、S、C(CF
3)
2、CR
cR
d(R
c及びR
dは、H及びアルキルから独立して選択され、好ましくはいずれもHである、又はいずれもメチルである)、SO
2などが挙げられるが、これらに限定されない。前述の式中の波形の結合は、イミド環に組み込まれた2つのカルボニル基又はカルボン酸エステル内のカルボニル基のいずれかであるカルボニル基への結合を表す。
【0047】
本明細書の開示によるポリエステルイミドの形成で使用するのに好適なモノカルボン酸無水物又はトリカルボン酸の具体例としては、例えば、4-カルボキシ-1,2-ベンゼンジカルボン酸無水物、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、4-カルボキシ-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4-シクロペンタントリカルボン酸、4-カルボキシ-1,2-シクロペンタンジカルボン酸無水物、1,4,5-ナフタレントリカルボン酸、シス-プロペン-1,2,3-トリカルボン酸無水物、シス-プロペン-1,2,3-トリカルボン酸、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。モノカルボン酸無水物とトリカルボン酸との混合物は、本明細書の開示に従ってポリエステルイミドを形成する際に存在し得る。例示的な実施形態では、モノカルボン酸無水物又はトリカルボン酸は、ポリイミド1モル当たり約0.45~約0.55モル当量の範囲の量で存在してよい。
【0048】
式4のRによって表されるオキシアルキレン基は、エチレングリコール、プロピレングリコール、又はこれらの任意の組み合わせの二量化形態を含んでよい。同様に、式4のRによって表されるポリオキシアルキレン基は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、又はこれらの任意の組み合わせをオリゴマー化することによって形成され得る、エチレングリコール、プロピレングリコール、又はこれらの任意の組み合わせのより分子量が大きいオリゴマーを含んでよい。オキシアルキレン基又はポリオキシアルキレン基は、以下で更に詳細に論じるように、反応を経て、本開示のポリエステルイミドで2つの結合イミド部分を形成するジアミン中の2つのアミノ基の間に介在してよい。式4のR部分のオキシアルキレン基又はポリオキシアルキレン基は、式3に示す基と同一であり、更に上記で特定する。同様に、式4のR部分のオキシアリーレン基、ポリオキシアリーレン基、オキシ(ビス(フェニレン))メタン基、及びポリオキシ(ビス(フェニレン))メタン基は、式3A及び式3Bに示す基と同一である。好適なジアミン(又は架橋を導入するためのトリアミン)としては、ポリイミドの形成に使用するのに好適なものとして上記に指定されたもののいずれかが挙げられる。
【0049】
式4のR’によって表されるオキシアルキレン基は、エチレングリコール、プロピレングリコール、又はこれらの任意の組み合わせの二量化形態を含んでよい。同様に、式4のR’によって表されるポリオキシアルキレン基は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、又はこれらの任意の組み合わせをオリゴマー化することによって形成され得る、エチレングリコール、プロピレングリコール、又はこれらの任意の組み合わせのより分子量が大きいオリゴマーを含んでよい。オキシアルキレン基又はポリオキシアルキレン基は、以下で更に詳細に論じるように、反応を経てポリエステルイミドを形成するジオール中の2つのアルコール基の間に介在してよい。式4のR’部分の好適なオキシアルキレン基又はポリオキシアルキレン基は、以下の式5:
【化11】
(式中、出現するR”はそれぞれ独立してH又はメチルであり、aは、約1~約100、又は約1~約50、又は約1~約10の範囲の整数である)によって表される構造を有してよい。式5において、波状の結合は、ポリエステルイミド中の酸素又はポリエステルイミドの形成に使用されるジオールとの結合を表す。式4のオキシアリーレン基、ポリオキシアリーレン基、オキシ(ビス(フェニレン))メタン基、及びポリオキシ(ビス(フェニレン))メタン基は、下記の式5A及び式5Bによって同様に定義され得、式中、a及びR”は同様に指定される。
【化12】
【0050】
本明細書の開示において使用するのに好適なジオールとしては、例えば、エチレングリコール;プロピレングリコール;エチレングリコール及び/又はプロピレングリコールとエチレンオキシドとの反応生成物、プロピレンオキシド;又はこれらの任意の組み合わせ;又はこれらの任意の組み合わせが挙げられてよい。エチレングリコール及び/又はプロピレングリコールとエチレンオキシドとの反応生成物、プロピレンオキシド、又はこれらの任意の組み合わせは、ポリオキシアルキレン基であってもよく、存在する場合、ポリオキシアルキレン基は、水性流体へのポリエステルイミドの溶解度の促進を支援し得る。ポリオキシアリーレン基及びポリオキシ(ビス(フェニレン)メタン基は、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドと2つのフェノール性ヒドロキシル基との反応生成物を介して同様に形成されてよい。本開示では、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、オキシアリーレン基、ポリオキシアリーレン基、オキシ(ビス(フェニレン))メタン基、及び/又はポリオキシ(ビス(フェニレン))メタン基は、ポリエステルイミドのR部分及びR’部分のいずれか又は両方に独立して存在してよい。例示的な実施形態では、ポリエステルイミドを形成するためのジオールは、ポリエステルイミド1モル当たり約0.45~約0.55モル当量の範囲の量で存在してよい。
【0051】
トリオール、より分子量の多いポリオールなどを同様に反応させて、本明細書に開示するポリエステルイミドのR’部分を形成してよい。1つ以上の追加のアルコール基が存在する場合、架橋アミンについて上述したのと同様に、隣接するポリマー鎖間で架橋が生じ得る。トリオール以上のポリオールが架橋剤として使用される場合、その量は、ポリエステルイミド1モル当たり約0.001モル当量~約0.1モル当量の範囲であってよい。
【0052】
以下のスキーム2Aは、モノカルボン酸無水物、ジアミン、及びジオールからポリエステルイミドを形成するための例示的な重縮合反応を示し、ポリエステルイミドは水性流体への少なくとも部分的な溶解度を示し、本明細書の開示で使用するのに好適であり得る。
【化13】
当然のことながら、スキーム2Aに従って形成されたポリエステルイミドは例示であり、関連構造を有するポリエステルイミドは、他のモノカルボン酸無水物、及び/又は他のジアミン、及び/又は他のジオールを互いに反応させることによって生成されてもよい。ただし、ここでも、水性流体への溶解度を促進するために十分な可溶化基が存在することを条件とする。例えば、スキーム2Bは、エチレングリコール及びエトキシ化ジアミンとの対応する反応を示す。
【化14】
スキーム2では、ジオール成分としてモノマージオールを示しているが、当然のことながら、オキシアルキレン基又はポリオキシアルキレン基を含むジオールは、示した反応に類似の反応を経てよい。スキーム2A及びスキーム2Bは、無水物からイミド基が完全に形成されていることを示すが、場合によっては不完全な縮合が生じて、残留酸基がポリエステルイミド主鎖から垂れ下がったままであり得ることを理解されたい。
【0053】
いくつかの実施形態では、少なくとも1種のイミドポリマーは、アミノアルコールから形成された、少なくとも1種のポリエステルイミドを含んでよい。本明細書の開示に従って水性流体への少なくとも部分的な溶解度を有するかかるポリエステルイミドは、式6によって表される構造を有してよい。
【化15】
式6を参照すると、Aは、Aに結合した3つのカルボニル基を有するヒドロカルビルスペーサであり、1対のカルボニル基は、5員又は6員イミド環B3内に位置するようにAに配設され、第3のカルボニル基はイミド環B3から離れてAに配設され、それによって第3のカルボニル基は、エステル結合での結合に使用可能となる。好ましくは、イミド環B3は、5員イミド環である。各Rは、独立して、アルキレン基、アリーレン基、ビス(フェニレン)メタン基、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、オキシアリーレン基、ポリオキシアリーレン基、オキシ(ビス(フェニレン))メタン基、又はポリオキシ(ビス(フェニレン))メタン基である。水性流体への溶解度を付与するために、式6の十分な数のR基は、オキシアルキレン、ポリオキシアルキレン、オキシアリーレン、ポリオキシアリーレン、オキシ(ビス(フェニレン))メタン、又はポリオキシ(ビス(フェニレン))メタンである。すなわち、式6のR基の少なくとも一部は、オキシアルキレン、ポリオキシアルキレン、オキシアリーレン、ポリオキシアリーレン、オキシ(ビス(フェニレン))メタン、又はポリオキシ(ビス(フェニレン))メタンである。好ましくは、式6のR基の少なくとも一部は、オキシアルキレン又はポリオキシアルキレンである。任意選択的に、Rの選択肢は、いずれも架橋性でもあってよい。変数zは、約5~約100,000、約5~約50,000、又は約5~約1000など正の整数である。
【0054】
モノカルボン酸無水物又はトリカルボン酸及びアミノアルコールからポリエステルイミドを形成するのに好適なヒドロカルビルスペーサとしては、ジアミン及びジオールからポリエステルイミドを形成するために上述したモノカルボン酸無水物及びトリカルボン酸が挙げられる。
【0055】
式6のRによって表されるオキシアルキレン基は、エチレングリコール、プロピレングリコール、又はこれらの任意の組み合わせの二量化形態を含んでよい。同様に、式6のRによって表されるポリオキシアルキレン基は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、又はこれらの任意の組み合わせをオリゴマー化することによって形成され得る、エチレングリコール、プロピレングリコール、又はこれらの任意の組み合わせのより分子量が大きいオリゴマーを含んでよい。オキシアルキレン基又はポリオキシアルキレン基は、以下で更に詳細に論じるように、反応を経てポリエステルイミドを形成するアミノアルコール中のアミノ基とヒドロキシル基との間に介在してよい。式6のR部分の好適なオキシアルキレン基又はポリオキシアルキレン基は、以下の式7:
【化16】
(式中、出現するR”はそれぞれ独立してH又はメチルであり、bは、約1~約100、又は約1~約50、又は約1~約10の範囲の整数である)によって表される構造を有してよい。式7において、波形の結合のうちの1つは、ポリエステルイミド又は反応を経てポリエステルイミドを形成するアミノアルコール中のアミノ基の窒素との結合を表し、他の波形の結合は、ポリエステルイミドのエステル基又は反応を経てポリエステルイミドを形成するアミノアルコール中のヒドロキシル基の酸素との結合を表す。式6のオキシアリーレン基、ポリオキシアリーレン基、オキシ(ビス(フェニレン))メタン基、及びポリオキシ(ビス(フェニレン))メタン基は、下記の式7A及び式7Bによって同様に定義され得、式中、b及びR”は同様に指定される。
【化17】
【0056】
本明細書の開示で使用するのに好適なアミノアルコールとしては、例えば、エタノールアミン、プロパノールアミン、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、若しくはこれらの任意の組み合わせとのエタノールアミン及び/若しくはプロパノールアミンのヒドロキシル基の反応生成物;又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。ポリオキシアリーレン基及びポリオキシ(ビス(フェニレン)メタン基は、アミノフェノールのフェノール性ヒドロキシル基又はアミノ置換ビス(フェニレン)メタンのフェノール性ヒドロキシル基と、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドとの反応を経て同様に形成されてよい。例示的な実施形態では、ポリエステルイミドを形成するのに好適なアミノアルコールは、ポリエステルイミド1モル当たり約0.45~約0.55モル当量の範囲の量で存在してよい。
【0057】
複数のアルコール基及び/又は複数のアミノ基を含有するアミノアルコールを同様に反応させて、式6によって定義されるポリエステルイミド中で1つ以上のR部分を形成してよい。複数のアルコール基及び/又はアミノ基が存在する場合、架橋アミン又は架橋ジオールについて上述したのと同様に、隣接するポリマー鎖間で架橋が生じ得る。架橋アミノアルコールが存在する場合、その量は、ポリエステルイミド1モル当たり約0.001モル当量~約0.1モル当量の範囲であってよい。
【0058】
以下のスキーム3Aは、モノカルボン酸無水物及びアミノアルコールからポリエステルイミドを形成するための例示的な重縮合反応を示し、ポリエステルイミドは水性流体への少なくとも部分的な溶解度を示し、本明細書の開示で使用するのに好適であり得る。
【化18】
当然のことながら、スキーム3Aに従って形成されたポリエステルイミドは例示であり、関連構造を有するポリエステルイミドは、他のモノカルボン酸無水物、及び/又は他のアミノアルコールを互いに反応させることによって生成されてもよい。ただし、ここでも、水性流体への少なくとも部分的な溶解性を促進するために十分な可溶化基が存在することを条件とする。例えば、スキーム3Bは、エトキシ化アミノアルコールとの対応する反応を示す。スキーム3A及びスキーム3Bは、無水物からイミド基が完全に形成されていることを示すが、場合によっては不完全な縮合が生じて、残留酸基がポリエステルイミド主鎖から垂れ下がったままであり得ることを理解されたい。
【0059】
いくつかの実施形態では、少なくとも1種のイミドポリマーは、モノカルボン酸無水物をジアミンと反応させることによって形成され得る、少なくとも1種のポリアミドイミドを含んでよい。モノカルボン酸無水物の活性化カルボン酸形態も同様に使用されてよい。本明細書の開示に従って水性流体への少なくとも部分的な溶解度を有するかかるポリアミドイミドは、式8によって表される構造を有してよい。
【化19】
式8を参照すると、Aは、Aに結合した3つのカルボニル基を有するヒドロカルビルスペーサであり、1対のカルボニル基は、5員又は6員イミド環B3内に位置するようにAに配設され、第3のカルボニル基はイミド環B3から離れてAに配設され、それによって第3のカルボニル基は、エステル結合での結合に使用可能となる。好ましくは、イミド環B3は、5員イミド環である。各Rは、独立して、アルキレン基、アリーレン基、ビス(フェニレン)メタン基、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、オキシアリーレン基、ポリオキシアリーレン基、オキシ(ビス(フェニレン))メタン基、又はポリオキシ(ビス(フェニレン))メタン基である。水性流体への溶解度を付与するために、式8の十分な数のR基は、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、オキシアリーレン基、ポリオキシアリーレン基、オキシ(ビス(フェニレン))メタン基、又はポリオキシ(ビス(フェニレン))メタン基である。すなわち、式8のR基の少なくとも一部は、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、オキシアリーレン基、ポリオキシアリーレン基、オキシ(ビス(フェニレン))メタン基、又はポリオキシ(ビス(フェニレン))メタン基である。好ましくは、式8のR基の少なくとも一部は、オキシアルキレン基又はポリオキシアルキレン基である。任意選択的に、Rの選択肢は、いずれも架橋性でもあってよい。変数zは、約5~約100,000、約5~約50,000、又は約5~約1000など正の整数である。
【0060】
ポリエステルイミドの形成に使用されるヒドロカルビルスペーサAは、いずれも本明細書の開示でのポリアミドイミドの形成に用いられてよい。同様に、ポリイミドの形成に使用される任意のジアミンは、いずれも本明細書の開示でのポリアミドイミドの形成に使用されてよい。以下のスキーム4Aは、モノカルボン酸無水物及びジアミンからポリアミドイミドを形成するための例示的な重縮合反応を示し、ポリアミドイミドは水性流体への少なくとも部分的な溶解度を示し、本明細書の開示で使用するのに好適であり得る。
【化20】
当然のことながら、スキーム4Aに従って形成されたポリアミドイミドは例示であり、関連構造を有するポリアミドイミドは、他のモノカルボン酸無水物及び/又は他のジアミンを互いに反応させることによって生成されてもよい。ただし、ここでも、水性流体への溶解度を促進するために十分な可溶化基が存在することを条件とする。例えば、スキーム4Bは、エトキシ化ジアミンとの対応する反応を示す。スキーム4A及びスキーム4Bは、無水物からイミド基が完全に形成されていることを示すが、場合によっては不完全な縮合が生じて、残留酸基がポリアミドイミド主鎖から垂れ下がったままであり得ることを理解されたい。
【0061】
本開示で犠牲印刷材料として使用されるイミドポリマーは、押出を促進するのに十分である融点又は軟化温度を特徴としてよい。好適なイミドポリマーは、約50℃~約300℃、又は約70℃~約275℃、又は約100℃~約200℃、又は約175℃~約250℃の範囲の温度での押出の実行を可能にするのに十分な軟化温度又は融点を示してよい。融点は、10℃のランプレート及び冷却速度でASTM E794-06(2018)を使用して決定され得、軟化温度は、ASTM D6090-17を使用して決定され得る。
【0062】
任意選択的に、積層造形中に除去可能な支持体の形成に使用されるポリマーフィラメントは、イミドポリマーと混合されたガス発生物質を含んでよく、ガス発生物質は、活性化されて酸性水の存在下でガスを発生させる。更なる詳細は、本明細書と同時に出願され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「Polymer Filaments Comprising a Gas Forming Compound and Additive Manufacturing Therewith」と題された、同一所有者の米国特許出願第______号に提供されている。ガス発生物質は、部品のビルド材料からの除去可能な支持体の除去、崩壊、溶解、及び/又は分離を促進するために、除去可能な支持体全体に分散してよい。特定のプロセス構成では、ガス発生物質は、水など水性流体又は水性酸と接触すると活性化されて、除去可能な支持体内でガスを発生させてよい。ガスの発生を促進する水又は水性酸の場合、ガス発生プロセスは発泡と呼ばれることがある。ポリマーフィラメント又は除去可能な支持体内には固体酸も存在してよく、固体酸は、水性流体の存在下でガス発生物質を活性化して、ガスを放出してよい。ガス発生物質及び任意の固体酸は、除去可能な支持体を排除するために特定の条件下で発泡を促進するのに十分な量で存在してよい。
【0063】
したがって、本開示はまた、積層造形によって部品を形成するためのプロセスを提供し、このプロセスでは、除去可能な支持体が使用されて、部品内での張り出し部又は類似の特徴の形成を促進し、次いで、除去可能な支持体は、任意選択的に、その場でのガス発生が促進される状況下で、続いての溶解及び/又は部品をからの分離を受ける。部分及び除去可能な支持体は、別個の印刷材料、つまり、ビルド材料及び水性溶媒への溶解度を有するイミドポリマーからそれぞれ形成されてよい。より詳細には、かかる方法は、ビルド材料及び除去可能な支持体を堆積させることによって支持された部品を形成することであって、ビルド材料の少なくとも一部は除去可能な支持体上に堆積され、除去可能な支持体は、水性流体への溶解度を有する、少なくとも1種のイミドポリマーを含む、ことと、イミドポリマーが可溶性である水性流体に、支持された部品の少なくとも一部を曝露することと、ビルド材料から除去可能な支持体を排除した後に、支持されていない部品を得ることと、を含んでよい。ビルド材料からの除去可能な支持体の排除は、支持された部品の水性溶媒への曝露中に、除去可能な支持体の崩壊、溶解、分離、又はそれらの任意の組み合わせによって行われてよい。除去可能な支持体の排除を促進するのに好適な水性溶媒については、上述している。任意選択的に、水性溶媒は、除去可能な支持体内に存在するガス発生物質と反応して発泡を促進してよく、その結果、発泡は、この部品からの除去可能な支持体の排除を促進する。
【0064】
より具体的な実施例では、本開示の積層造形プロセスは、
図2に図示した二重押出印刷加熱及び印刷プロセスを使用するなど溶融フィラメント製造技術を使用して、ビルド材料及び除去可能な支持体が堆積されるように実施されてよい。かかる溶融フィラメント製造プロセスは、ポリマーフィラメントを利用して、除去可能な支持体に材料を提供してよく、ポリマーフィラメントは、本開示で指定するように、イミドポリマーを含む。以下に例を示すビルド材料もまた、かかるプロセスにおいて、フィラメント形態で二重押出印刷ヘッドに供給される。
【0065】
本明細書で開示する積層造形プロセス、特に溶融フィラメント製造プロセスでは、ビルド材料は、印刷ヘッドを用いて、典型的には、フィラメント形態でも提供されるイミドポリマーを含む犠牲印刷材料も分配する、二重押出印刷ヘッドを用いて、押し出されるのに好適なポリマーフィラメントに形成されてよい。好適なビルド材料としては、溶融フィラメント製造プロセスにおいて典型的に使用されるものが挙げられてよく、除去可能な支持体を含むイミドポリマーの溶解を促進する条件にビルド材料が曝露されても、著しい崩壊、分解などを受けないことを条件として、特に限定されるとは考えられない。本明細書の開示で使用するのに好適なビルド材料としては、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、高衝撃ポリスチレン(HIPS)、ポリ乳酸(PLA)、ポリウレタン(PU)、ポリビニルピロリドン-co-ポリビニルアセテート(PVP-co-PVA)、これらの任意のコポリマー、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられてよいが、これらに限定されない。これらは、積層造形に現在用いられている、最も一般的な熱可塑性ポリマービルド材料である。他の好適なビルド材料としては、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、及びこれらの様々なコポリマーが挙げられる。場合によっては、ポリマー複合材が、好適なビルド材料として使用されてよい。好適なビルド材料は、本明細書に記載のASTM法で決定したときに、約150℃~約300℃、又は約175℃~約275℃、又は約180℃~約250℃の範囲の温度でビルド材料の押出を可能にするのに十分な軟化温度又は融点を示してよい。
【0066】
ポリマーフィラメント中のイミドポリマーと組み合わされるとき、好適なガス発生物質は、水又は酸、特に水性酸と反応して気体を形成する物質を含んでよい。ガス発生物質が水又は水性酸と反応する場合、ガス発生物質は発泡性化合物を含んでよい。発泡性である、特に好適なガス発生物質は、炭酸塩、重炭酸塩、又はこれらの任意の組み合わせである少なくとも1種の化合物を含んでよく、発生するガスは二酸化炭素である。本明細書の開示によるガス発生を促進するのに好適な炭酸塩及び重炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、重炭酸マグネシウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられてよいが、これらに限定されない。
【0067】
使用される場合、ガス発生物質は、除去可能な支持体又は除去可能な支持体の製造に使用されるポリマーフィラメント中に、水又は水性酸と接触すると除去可能な支持体の崩壊又は同様の排除を促進するのに十分な量で存在してよい。好適な量としては、ポリマーフィラメントの約1重量%以上が挙げられてよい。加えて、ガス発生物質は、ポリマーフィラメントの機械的一体性が損なわれず、犠牲印刷材料は依然として押出可能である量で存在してよい。使用される場合、ポリマーフィラメント及び押出性を維持するために好適な量のガス発生物質としては、ポリマーフィラメントの約10重量%以下が挙げられてよい。したがって、ガス発生物質及びポリマーフィラメントから形成される除去可能な支持体を含むポリマーフィラメントは、約1重量%~約10%重量%のガス発生物質を含んでよい。より具体的な例では、ポリマーフィラメント及び/又は除去可能な支持体は、約1重量%~約2重量%のガス発生物質、又は2重量%~約4重量%のガス発生物質、又は3重量%~約5重量%のガス発生物質、又は4重量%~約6重量%のガス発生物質、又は5重量%~約7重量%のガス発生物質、又は6重量%~約8重量%のガス発生物質、又は7重量%~約10%重量%のガス発生物質を含んでよい。固体酸はまた、ポリマーフィラメント又は除去可能な支持体中のイミドポリマーとも混合されてよい。
【0068】
ガス発生物質からのガス発生の促進に使用される酸は、酸性水溶液であってよい。ガス発生を促進するために、鉱酸水溶液、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸などが使用されてよい。ガス発生を促進するために、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、メタンスルホン酸など有機酸、又はこれらの水溶液が同様に使用されてよい。酸の濃度は、ガス発生物質との反応を促進するのに少なくとも十分であってよい。必要に応じて、より高い酸濃度が使用されて、除去可能な支持体を形成する犠牲印刷材料の少なくとも部分的な分解も促進してよい。
【0069】
イミドポリマーの更なる溶解の促進が必要である場合、除去可能な支持体が、ガス発生物質の活性化後に、アルカリ性水溶液と接触させられてよい。すなわち、第1の水溶液(例えば、水、鉱酸水溶液、又は有機酸水溶液)が用いられてガス発生を促進してよく、必要に応じて、アルカリ性pHを有する第2の水溶液が用いられてイミドポリマーの溶解を完了させてよい。第1の水溶液又は第2の水溶液のいずれかとの接触は、特定の部品からの除去可能な支持体の排除を促進するのに十分な長さの時間にわたって行われてよい。
【0070】
ポリマーフィラメント及び/又は除去可能な支持体は、加工性添加剤も更に含んでよい。1つの非限定的な例では、グリセロールが、好適な加工性添加剤であってよい。任意選択的に存在し得る他の加工性添加剤としては、例えば、フタル酸塩(例えば、フタル酸ジブチル)又は十分に低い分子量、例えば、約5000未満、約2000未満、又は約1000未満、又は約500未満を有するポリエチレングリコールなど可塑剤が挙げられるが、これらに限定されない。好適な可塑剤は、国際特許出願公開第WO 2017/100447号に記載されるように、ガラス転移温度(Tg)を低下させることによって、積層造形プロセス中の層間接着性を改善してよい。
【0071】
本明細書に開示される実施形態は以下を含む。
【0072】
A.積層造形中に除去可能な支持体を形成するのに好適なポリマーフィラメント。ポリマーフィラメントは、水性流体への少なくとも部分的な溶解度を有する、少なくとも1種のイミドポリマーを含む。
【0073】
B.少なくとも1種のイミドポリマーを利用して、除去可能な支持体を形成する積層造形法。この方法は、ビルド材料及び除去可能な支持体を堆積させることによって支持された部品を形成することであって、ビルド材料の少なくとも一部は除去可能な支持体上に堆積され、除去可能な支持体は、水性流体への溶解度を有する、少なくとも1種のイミドポリマーを含む、ことと、少なくとも1種のイミドポリマーが少なくとも部分的に可溶性である水性流体に、支持された部品の少なくとも一部を曝露することと、ビルド材料から除去可能な支持体を排除した後に、支持されていない部品を得ることと、を含む。
【0074】
実施形態A及び実施形態Bのそれぞれは、以下の追加要素のうちの1つ以上を任意の組み合わせで有してよい。
【0075】
要素1:少なくとも1種のイミドポリマーは、少なくとも1種のポリイミドを含む。
【0076】
要素2:少なくとも1種のポリイミドは、以下で表される構造を有する、1種以上のポリイミドを含み、
【化21】
式中、Aは、Aに結合した2対のカルボニル基を有するヒドロカルビル基であり、第1の対のカルボニル基は、5員又は6員イミド環B1内に位置し、第2の対のカルボニル基は、5員又は6員イミド環B2内に位置し、Rは、アルキレン基、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、アリーレン基、オキシアリーレン基、ポリオキシアリーレン基、ビス(フェニレン)メタン基、オキシ(ビス(フェニレン))メタン基、若しくはポリオキシ(ビス(フェニレン))メタン基、又はこれらの架橋性変異体であり、ただし、出現するRの少なくとも一部は、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、オキシアリーレン基、ポリオキシアリーレン基、オキシ(ビス(フェニレン))メタン基、又はポリオキシ(ビス(フェニレン))メタン基であり、xは約5~約100,000の範囲の正の整数である。
【0077】
要素3:ポリオキシアルキレン基、ポリオキシアリーレン基、又はポリオキシ(ビス(フェニレン))メタン基は、エチレンオキシドオリゴマー、プロピレンオキシドオリゴマー、又はエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコオリゴマーを含む。
【0078】
要素4:少なくとも1種のイミドポリマーは、ジオール及びジアミンから形成された、少なくとも1種のポリエステルイミドを含む。
【0079】
要素5:少なくとも1種のポリエステルイミドは、以下で表される構造を有する、1種以上のポリエステルイミドを含み、
【化22】
式中、Aは、5員又は6員イミド環B3内に位置する一対のカルボニル基とエステル結合で結合したカルボニル基とを有する、ヒドロカルビル基であり、Rは、アルキレン基、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、アリーレン基、オキシアリーレン基、ポリオキシアリーレン基、ビス(フェニレン)メタン基、オキシ(ビス(フェニレン))メタン基、若しくはポリオキシ(ビス(フェニレン))メタン基、又はこれらの架橋性変異体であり、R’は、アルキレン基、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、アリーレン基、オキシアリーレン基、ポリオキシアリーレン基、ビス(フェニレン)メタン基、オキシ(ビス(フェニレン))メタン基、若しくはポリオキシ(ビス(フェニレン))メタン基、又はこれらの架橋性変異体であり、ただし、出現するR及び/又はR’の少なくとも一部が、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、オキシアリーレン基、ポリオキシアリーレン基、オキシ(ビス(フェニレン))メタン基、又はポリオキシ(ビス(フェニレン))メタン基であり、zは約5~約100,000の範囲の正の整数である。
【0080】
要素6:水性流体は、塩基、界面活性剤、塩、及びこれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含む。
【0081】
要素7:除去可能な支持体の排除は、支持された部品の水性流体への曝露中の除去可能な支持体の崩壊、溶解、分離、発泡、又はそれらの任意の組み合わせによって行われる。
【0082】
要素8:ビルド材料及び除去可能な支持体は、溶融フィラメント製造技術を使用して堆積され、除去可能な支持体は、少なくとも1種のイミドポリマーを含むポリマーフィラメントから堆積される。
【0083】
要素9:ビルド材料及び除去可能な支持体は、二重押出印刷ヘッドから堆積される。
【0084】
要素10:ビルド材料は、1つ以上の張り出し位置で除去可能な支持体上に堆積される。
【0085】
要素11:ポリマーフィラメント又は除去可能な支持体は、イミドポリマーと混合されたガス発生物質を更に含み、ガス発生物質は活性化されて、水又は酸の存在下でガスを発生する。
【0086】
要素12:ガス発生物質は、約1重量%~約10%のポリマーフィラメント又は除去可能な支持体を含む。
【0087】
非限定的な例として、A及びBに適用可能な例示的な組み合わせとしては、1及び2;1~3;4及び5;3~5;1及び6;1、2、及び6;1~3、及び6;4及び6;4~6;並びに11及び/又は12と更に組み合わされ得る、3~6のいずれかが挙げられるが、これらに限定されない。Bに適用可能な追加の例示的な組み合わせとしては、7、8、9、又は10と組み合わせた前述のもののいずれかが挙げられるが、これらの組み合わせは、いずれも11及び/又は12と更に組み合わされ得る。Bに適用可能な更なる例示的な組み合わせとしては、1及び6;1及び7;1及び8;1及び9;1及び10;4及び6;4及び7;4及び8;4及び9;4及び10;7及び8;7及び9;7及び10;8及び9;8及び10;9及び10;7~10;並びに11及び/又は12と更に組み合わされ得る、8~10のいずれかが挙げられるが、これらに限定されない。
【0088】
本明細書に記載される全ての文書は、そのような実施が許可される全ての法域の目的のために、参照により本明細書に組み込まれ、このテキストと矛盾しない範囲で、任意の優先文書及び/又は試験手順を含む。前述の一般的な説明及び具体的な実施形態から明らかなように、本開示の形態が例示及び説明されてきたが、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な修正を行うことができる。したがって、本開示はそれにより限定されることは意図されていない。例えば、本明細書に記載される組成物は、本明細書に明示的に列挙又は開示されていない任意の構成成分、又は組成物を含まなくてもよい。任意の方法は、本明細書に列挙又は開示されていないいかなる工程を欠いてもよい。同様に、用語「備える、含む(comprising)」は、用語「含む(including)」と同義であると考えられる。方法、組成物、要素又は要素の群が移行句「備える、含む(comprising)」で先行する場合はいつでも、本発明者らがまた、組成物、要素、又は複数の要素の列挙に先行する移行句「から本質的になる」、「からなる」、「からなる群から選択される」、又は「である」で同じ組成物又は要素の群を企図すること、及びその逆もまた同様であることは理解される。
【0089】
別途記載のない限り、本明細書及び関連する特許請求の範囲で使用される成分、分子量などの特性、反応条件などの量を表す全ての数は、全ての場合において、用語「約」によって修飾されているものとして理解されるべきである。したがって、反対の指示がない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明の実施形態によって得ることが求められる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、請求項の範囲への均等論の適用を制限しようとするものではなく、それぞれの数値パラメータは、報告された有効数字の数に照らして、通常の四捨五入法を適用することによって解釈されるべきである。
【0090】
下限及び上限を有する数値範囲が開示されるときはいつでも、その範囲内にある任意の数及び任意の含まれる範囲が具体的に開示される。とりわけ、本明細書に開示される(「約a~約b(from about a to about b)」、又は等しく「約a~b(approximately a to b)」、又は等しく「約a~b(from approximately a-b)」という形態の)値の全ての範囲は、広範な値の範囲内に包含される全ての数及び範囲を記載するものと理解されるべきである。また、特許請求の範囲における用語は、特許権所有者によって明示的かつ明確に定義されない限り、平易な通常の意味を有する。加えて、請求項で使用するとき、不定冠詞「a」又は「an」は、本明細書において、それが導入する要素のうちの1つ又は1つ以上を意味するように定義される。
【0091】
1つ以上の例示的な実施形態が本明細書に提示される。明確にするために、物理的実装の全ての特徴は、本出願に記載又は表示されていない。本開示の物理的な実施形態の開発では、システム関連、ビジネス関連、政府関連、及び他の制約によるコンプライアンスなど、実装によって及び随時に変化する開発者の目標を達成するために、数多くの実装固有の決定がなされなければならないことは理解される。開発者の努力に多くの時間が費やされる可能性があるが、それでも、そのような努力は、本開示の利益を有する当業者にとって日常的な仕事であろう。
【0092】
したがって、本開示は、言及された目標及び利点、並びにそれに固有の目標及び利点を達成するように十分に適合されている。上述の具体的な実施形態は例示的なものに過ぎず、本明細書に教示の利益を有する当業者にとって明らかである、異なるが同等の方法で本開示が修正及び実施され得る。更に、以下の特許請求の範囲に記載されるもの以外の、本明細書に示される構造又は設計の詳細に限定することを意図するものではない。したがって、上記に開示された具体的な例示的実施形態が、変更され、組み合わされ、又は修正され得、全てのそのような変形が、本開示の範囲及び趣旨内で考慮されることは明らかである。好適に本明細書に例示的に開示される実施形態は、本明細書に具体的に開示されない任意の要素、及び/又は本明細書に開示される任意の任意選択の要素の不在下で実施されてもよい。
本発明の好ましい態様は、下記の通りである。
〔1〕除去可能な支持体を調製するための溶融フィラメント製造に適合するポリマーフィラメントであって、
水性流体への少なくとも部分的な溶解度を有する、少なくとも1種のイミドポリマーを含む、ポリマーフィラメント。
〔2〕前記少なくとも1種のイミドポリマーは、少なくとも1種のポリイミドを含む、前記〔1〕に記載のポリマーフィラメント。
〔3〕前記少なくとも1種のポリイミドは、以下で表される構造を有する、1種以上のポリイミドを含み、
式中、Aは、Aに結合した2対のカルボニル基を有するヒドロカルビル基であり、第1の対のカルボニル基は、5員又は6員イミド環B1内に位置し、第2の対のカルボニル基は、5員又は6員イミド環B2内に位置し、
Rは、アルキレン基、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、アリーレン基、オキシアリーレン基、ポリオキシアリーレン基、ビス(フェニレン)メタン基、オキシ(ビス(フェニレン))メタン基、若しくはポリオキシ(ビス(フェニレン))メタン基、又はこれらの架橋性変異体であり、ただし、出現するRの少なくとも一部は、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、オキシアリーレン基、ポリオキシアリーレン基、オキシ(ビス(フェニレン))メタン基、又はポリオキシ(ビス(フェニレン))メタン基であり、
xは約5~約100,000の範囲の正の整数である、前記〔2〕に記載のポリマーフィラメント。
〔4〕前記ポリオキシアルキレン基、前記ポリオキシアリーレン基、又は前記ポリオキシ(ビス(フェニレン))メタン基は、エチレンオキシドオリゴマー、プロピレンオキシドオリゴマー、又はエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコオリゴマーを含む、前記〔3〕に記載のポリマーフィラメント。
〔5〕前記少なくとも1種のイミドポリマーは、ジオール及びジアミンから形成された、少なくとも1種のポリエステルイミドを含む、前記〔1〕に記載のポリマーフィラメント。
〔6〕前記少なくとも1種のポリエステルイミドは、以下で表される構造を有する、1種以上のポリエステルイミドを含み、
式中、Aは、5員又は6員イミド環B3内に位置する一対のカルボニル基とエステル結合で結合したカルボニル基とを有する、ヒドロカルビル基であり、
Rは、アルキレン基、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、アリーレン基、オキシアリーレン基、ポリオキシアリーレン基、ビス(フェニレン)メタン基、オキシ(ビス(フェニレン))メタン基、若しくはポリオキシ(ビス(フェニレン))メタン基、又はこれらの架橋性変異体であり、R’は、アルキレン基、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、アリーレン基、オキシアリーレン基、ポリオキシアリーレン基、ビス(フェニレン)メタン基、オキシ(ビス(フェニレン))メタン基、若しくはポリオキシ(ビス(フェニレン))メタン基、又はこれらの架橋性変異体であり、ただし、出現するR及び/又はR’の少なくとも一部が、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、オキシアリーレン基、ポリオキシアリーレン基、オキシ(ビス(フェニレン))メタン基、又はポリオキシ(ビス(フェニレン))メタン基であり、
Zは、約5~約100,000の範囲の正の整数である、前記〔5〕に記載のポリマーフィラメント。
〔7〕前記ポリオキシアルキレン基、前記ポリオキシアリーレン基、又は前記ポリオキシ(ビス(フェニレン))メタン基は、エチレンオキシドオリゴマー、プロピレンオキシドオリゴマー、又はエチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコオリゴマーを含む、前記〔6〕に記載のポリマーフィラメント。
〔8〕前記水性流体は、塩基、界面活性剤、塩、及びこれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含む、前記〔1〕に記載のポリマーフィラメント。
〔9〕積層造形プロセスであって、
ビルド材料及び除去可能な支持体を堆積させることによって支持された部品を形成することであって、前記ビルド材料の少なくとも一部は前記除去可能な支持体上に堆積され、
前記除去可能な支持体は、水性流体への溶解度を有する、少なくとも1種のイミドポリマーを含む、ことと、
前記少なくとも1種のイミドポリマーが少なくとも部分的に可溶性である水性流体に、前記支持された部品の少なくとも一部を曝露することと、
前記ビルド材料から前記除去可能な支持体を排除した後に、支持されていない部品を得ることと、を含む、積層造形プロセス。
〔10〕前記除去可能な支持体の排除は、前記支持された部品の前記水性流体への曝露中の前記除去可能な支持体の崩壊、溶解、分離、発泡、又はこれらの任意の組み合わせによって行われる、前記〔9〕に記載の積層造形プロセス。
〔11〕前記ビルド材料及び前記除去可能な支持体は、溶融フィラメント製造技術を使用して堆積され、前記除去可能な支持体は、前記少なくとも1種のイミドポリマーを含むポリマーフィラメントから堆積される、前記〔9〕に記載の積層造形プロセス。
〔12〕前記少なくとも1種のイミドポリマーは、少なくとも1種のポリイミドを含む、前記〔9〕に記載の積層造形プロセス。
〔13〕前記少なくとも1種のポリイミドは、以下で表される構造を有する、1種以上のポリイミドを含み、
式中、Aは、Aに結合した2対のカルボニル基を有するヒドロカルビル基であり、第1の対のカルボニル基は、5員又は6員イミド環B1内に位置し、第2の対のカルボニル基は、5員又は6員イミド環B2内に位置し、
Rは、アルキレン基、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、アリーレン基、オキシアリーレン基、ポリオキシアリーレン基、ビス(フェニレン)メタン基、オキシ(ビス(フェニレン))メタン基、若しくはポリオキシ(ビス(フェニレン))メタン基、又はこれらの架橋性変異体であり、ただし、出現するRの少なくとも一部は、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、オキシアリーレン基、ポリオキシアリーレン基、オキシ(ビス(フェニレン))メタン基、又はポリオキシ(ビス(フェニレン))メタン基であり、
xは約5~約100,000の範囲の正の整数である、前記〔12〕に記載の積層造形プロセス。
〔14〕前記少なくとも1種のイミドポリマーは、ジオール及びジアミンから形成された、少なくとも1種のポリエステルイミドを含む、前記〔9〕に記載の積層造形プロセス。
〔15〕前記少なくとも1種のポリエステルイミドは、以下で表される構造を有する、1種以上のポリエステルイミドを含み、
式中、Aは、5員又は6員イミド環B3内に位置する一対のカルボニル基とエステル結合で結合したカルボニル基とを有する、ヒドロカルビル基であり、
Rは、アルキレン基、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、アリーレン基、オキシアリーレン基、ポリオキシアリーレン基、ビス(フェニレン)メタン基、オキシ(ビス(フェニレン))メタン基、若しくはポリオキシ(ビス(フェニレン))メタン基、又はこれらの架橋性変異体であり、R’は、アルキレン基、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、アリーレン基、オキシアリーレン基、ポリオキシアリーレン基、ビス(フェニレン)メタン基、オキシ(ビス(フェニレン))メタン基、若しくはポリオキシ(ビス(フェニレン))メタン基、又はこれらの架橋性変異体であり、ただし、出現するR及び/又はR’の少なくとも一部が、オキシアルキレン基、ポリオキシアルキレン基、オキシアリーレン基、ポリオキシアリーレン基、オキシ(ビス(フェニレン))メタン基、又はポリオキシ(ビス(フェニレン))メタン基であり、
Zは、約5~約100,000の範囲の正の整数である、前記〔14〕に記載の積層造形プロセス。
〔16〕前記ビルド材料及び前記除去可能な支持体は、二重押出印刷ヘッドから堆積される、前記〔9〕に記載の積層造形プロセス。
〔17〕前記ビルド材料は、1つ以上の張り出し位置で前記除去可能な支持体上に堆積される、前記〔9〕に記載の積層造形プロセス。
〔18〕前記水性流体は、塩基、界面活性剤、塩、及びこれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上を含む、前記〔9〕に記載の積層造形プロセス。