(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】基地局及び通信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 28/04 20090101AFI20241121BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20241121BHJP
H04W 28/18 20090101ALI20241121BHJP
H04L 1/18 20230101ALI20241121BHJP
【FI】
H04W28/04 110
H04W84/12
H04W28/18 110
H04L1/18
(21)【出願番号】P 2021515794
(86)(22)【出願日】2020-01-22
(86)【国際出願番号】 JP2020002162
(87)【国際公開番号】W WO2020217612
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2022-12-12
(31)【優先権主張番号】P 2019081799
(32)【優先日】2019-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】浦部 嘉夫
(72)【発明者】
【氏名】岩井 敬
(72)【発明者】
【氏名】高田 智史
【審査官】石原 由晴
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-509177(JP,A)
【文献】特開2009-290393(JP,A)
【文献】特表2011-507424(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0056202(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
H04L 1/18
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信品質に応じて設定される通信パラメータを、再送制御の動作に基づいて決定する制御回路と、
決定された前記通信パラメータに基づいて端末と通信を行う通信回路と、
を具備し、
前記通信パラメータは、通信モードの設定を示
し、
前記通信モードは、DCM(Dual Carrier Modulation)方式である、
基地局。
【請求項2】
前記再送制御の動作は、HARQ(Hybrid Automatic Repeat Request)制御である、
請求項1に記載の基地局。
【請求項3】
前記端末へ通知する情報が割り当てられるビットに対して、前記再送制御の動作が設定される場合に定義される前記通信パラメータと、前記再送制御の動作が設定されない場合に定義される前記通信パラメータとは異なる、
請求項1又は2に記載の基地局。
【請求項4】
前記制御回路は、前記端末に要求する前記通信パラメータに、前記再送制御に関する情報を含める、
請求項1又は2に記載の基地局。
【請求項5】
基地局が、
通信品質に応じて設定される通信パラメータを、再送制御の動作に基づいて決定し、
決定された前記通信パラメータに基づいて端末と通信を行い、
前記通信パラメータは、通信モードの設定を示
し、
前記通信モードは、DCM(Dual Carrier Modulation)方式である、
通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基地局、端末及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
The Institute of Electrical and Electronics Engineers(IEEE)802.11の規格IEEE 802.11axの後継規格にあたる次世代無線ローカルエリアネットワーク(Local Area Network:LAN)向けの規格IEEE 802.11beの検討が進められている。IEEE 802.beは、例えば、Extream High Throughput(EHT)とも呼ばれる。
【0003】
IEEE 802.11beにおいて、再送制御(例えば、Hybrid Automatic Repeat Request(HARQ))の導入が議論されている(例えば、非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】IEEE 802.11-18/2029r1, HARQ in EHT
【文献】IEEE P802.11axTM/D4.0
【発明の概要】
【0005】
しかしながら、無線LAN等の無線通信における通信品質に応じた再送制御の方法については十分に検討されていない。
【0006】
本開示の非限定的な実施例は、通信品質に応じて再送制御の効率を向上できる基地局、端末及び通信方法の提供に資する。
【0007】
本開示の一実施例に係る基地局は、通信品質に応じて設定される通信パラメータと、再送制御の動作との何れか一方に基づいて、他方を決定する制御回路と、決定された前記通信パラメータ又は前記再送制御の動作に基づいて端末と通信を行う通信回路と、を具備する。
【0008】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0009】
本開示の一実施例によれば、通信品質に応じて再送制御の効率を向上できる。
【0010】
本開示の一実施例における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】PHY Protocol Data Unit(PPDU)の構成例を示す図
【
図2】Extended Range動作時のプリアンブルの構成例を示す図
【
図3】HE-SIG-Aシンボルのコンスタレーションの一例を示す図
【
図4】Dual Carrier Modulation(DCM)の動作例を示す図
【
図5】Extended Range及びDCMと通信領域との関係の一例を示す図
【
図6】実施の形態1に係るアクセスポイント(access point(AP)又は基地局とも呼ばれる)の一部の構成例を示すブロック図
【
図7】実施の形態1に係る端末(又はstation(STA)とも呼ばれる)の一部の構成例を示すブロック図
【
図8】実施の形態1に係るAPの構成例を示すブロック図
【
図9】実施の形態1に係るSTAの構成例を示すブロック図
【
図10】実施の形態1に係る通信モードとHARQ動作との関連付けの一例を示す図
【
図11】実施の形態1に係る通信モードとHARQ動作との関連付けの一例を示す図
【
図12】実施の形態1に係る通信モードとHARQ動作との関連付けの一例を示す図
【
図13】実施の形態1に係るMCSとHARQ動作との関連付けの一例を示す図
【
図14】実施の形態1に係る空間時間ストリーム数とHARQ動作との関連付けの一例を示す図
【
図15】実施の形態1に係る帯域幅とHARQ動作との関連付けの一例を示す図
【
図16】実施の形態1に係るResource Unit(RU)割当とHARQ動作との関連付けの一例を示す図
【
図17】実施の形態1に係る無線通信システムの動作例を示すシーケンス図
【
図18】実施の形態1に係るSIG-Aの構成例を示す図
【
図19】実施の形態1に係る無線通信システムの動作例を示すシーケンス図
【
図20】実施の形態1に係るSIG-Aの構成例を示す図
【
図21】実施の形態1に係るSIG-Aの構成例を示す図
【
図22】実施の形態1に係るSIG-Aのコンスタレーションの設定例を示す図
【
図23】実施の形態2に係るAPの構成例を示すブロック図
【
図24】実施の形態2に係るSTAの構成例を示すブロック図
【
図25】実施の形態2に係るHARQ動作と通信モードとの関連付けの一例を示す図
【
図26】実施の形態2に係るHARQ動作と通信モードとの関連付けの一例を示す図
【
図27】実施の形態2に係るHARQ動作と通信モードとの関連付けの一例を示す図
【
図28】実施の形態2に係る無線通信システムの動作例を示すシーケンス図
【
図29】実施の形態2に係る通信パラメータの設定例を示す図
【
図30】実施の形態2に係る通信パラメータの設定例を示す図
【
図31】実施の形態3に係る無線通信システムの動作例を示すシーケンス図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の各実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
[HARQ制御]
HARQは、物理(PHY)レイヤにおける再送制御であり、Medium Access Control(MAC)レイヤにおける再送制御と異なる。HARQでは、例えば、端末(又はstation(STA)とも呼ばれる)は、アクセスポイント(access point(AP)又は基地局とも呼ばれる)から送信されるパケットデータのうち、誤りの有る物理レイヤのパケットデータを保持して再送を要求する。STAは、例えば、APから再送された物理レイヤのパケットデータと、保持しているパケットデータとを合成する。HARQにより、STAにおける受信性能を向上し、スループットを向上できる。
【0014】
HARQにおける再送方式(又は、HARQタイプとも呼ぶ)には、例えば、Chase combining(CC)及びIncremental redundancy(IR)の2つの方式がある。CCは、新規送信(又は初送と呼ぶ)と同一のパケットを再送する方式である。また、IRは、再送時に新たなパリティビットを付加し、符号化利得を向上する方式である。
【0015】
例えば、IEEE 802.11beでは、上記HARQタイプの何れか一方又は双方を採用するか否か、又は、無線LANシステムにどのようにHARQの仕組みを組み込むか等についての検討が進められている。
【0016】
また、IEEE 802.11beにおいて、HARQ制御に関するシグナリング通知方法について検討の余地がある。例えば、
図1に示すように、HARQ制御に関するシグナリングを割り当てるフィールド(例えば、「HARQ-SIG」と表す)をSIG-A又は他の領域に追加した場合、オーバーヘッドが増加し、スループットが低下する。
【0017】
そこで、本開示の一実施例では、通信品質に応じてHARQ制御の効率を向上する方法について説明する。
【0018】
[Extended Range及びDCM]
IEEE 802.11axでは、Extended Range(ER)及びDual Carrier Modulation(DCM)変調方式等の通信モードが導入されている(例えば、非特許文献2を参照)。Extended Rangeにより、例えば、通信距離を延長できる。また、DCMにより、例えば、ロバスト性を向上できる。
【0019】
Extended Rangeは、例えば、以下の方法(1)及び(2)により通信距離の延長を実現する。
【0020】
(1)Extended Rangeでは、例えば、PPDUフォーマットにおいて、Legacy-Short Training Field(L-STF)及びLegacy-Long Training Field(L-LTF)の少なくとも一方に対するパワーブースト(例えば、3dBパワーブースト)が行われる(例えば、
図2を参照)。又は、Extended Rangeでは、例えば、PPDUフォーマットにおいて、Legacy-SIGNAL(L-SIG)及びHigh Efficiency-SIGNAL-A(HE-SIG-A)の少なくとも一方に対する繰り返し送信(換言すると、repetition)が行われる(例えば、
図2を参照)。パワーブースト及び繰り返し送信により、受信側におけるプリアンブルの受信品質(例えば、プリアンブル性能とも呼ぶ)を向上(換言すると、緩和)できる。
【0021】
(2)Extended Range動作時には、通信に使用可能なパラメータのうちの一部のパラメータが設定される。換言すると、Extended Range動作時には、設定可能なパラメータが一部に制限される。例えば、Extended Range動作時には、使用チャネルはプライマリ20MHzチャネルに設定され、Modulation and Coding Scheme(MCS)はMCS0,1,2の何れかに設定され、空間時間ストリーム(Space Time Streams(STS))数は1 STSに設定され、Resource Unit(RU)サイズは242トーン又は106トーンに設定される。これにより、通信の信頼性を向上できる。
【0022】
また、IEEE 802.11axでは、Extended Range専用のPPDUのフォーマット(例えば、「HE ER SU PPDU」)が規定されている。
【0023】
HE ER SU PPDUでは、例えば、
図2に示すように、HE-SIG-Aフィールドは、HE-SIG-A1、HE-SIG-A2、HE-SIG-A3及びHE-SIG-A4の4つを含んで構成される。
図2において、HE-SIG-A1とHE-SIG-A2とには同じデータが含まれ(換言すると、繰り返し送信が適用され)、HE-SIG-A3とHE-SIG-A4とには同じデータが含まれる(換言すると、繰り返し送信が適用される)。
【0024】
また、例えば、
図3に示すように、HE ER SU PPDUフォーマットにおいて、HE-SIG-A2のコンスタレーションは、他のHE-SIG-A(例えば、HE-SIG-A1、HE-SIG-A3及びHE-SIG-A4)のコンスタレーション(例えば、Binary Phase Shift Keying(BPSK))を90度位相回転したQuadrature BPSK(QBPSK)である。これにより、STAは、HE-SIG-A2のコンスタレーションに基づいて、HE ER SU PPDUフォーマットと他のフォーマットとを区別できる。このため、例えば、STAは、HE-SIG-Aの復号前に、HE ER-SU PPDUと他のフォーマットとの識別が可能となる。
【0025】
DCMは、例えば、
図4に示すように、送信側が、同じ情報ビットを互いに異なるマッピング(
図4ではマッピング1及び2)によって異なるサブキャリア(
図4ではサブキャリアn及びm)において送信する方式である。DCMにより、受信側において合成して復号するダイバーシチ効果によって通信品質を向上できる。
【0026】
DCM動作時には、通信に使用可能なパラメータのうちの一部のパラメータが設定される。換言すると、DCM動作時には、設定可能なパラメータが一部に制限される。例えば、DCM動作時には、MCSはMCS0,1,3,4の何れかに設定され、STS数は1~2 STSの何れかに設定され、DCMとSpace-Time Block Coding(STBC)とを組み合わせた動作は設定されない(換言すると、STBCの動作無しが設定される)。
【0027】
IEEE 802.11beでも、Extended Range及びDCMの導入が検討されている。
【0028】
ここで、
図5に示すように、STAにおける通信品質は、例えば、APからの距離に応じて決定される。また、例えば、STAに対するExtended Range及びDCMの設定(例えば、ON及びOFFの何れか)は、STAの通信品質に基づいて制御され得る。例えば、APにより近いSTA(
図5では、STA1)ほど、通信品質が良いため、Extended Range及びDCMは設定されにくい。一方、APからより遠い端末(
図5では、STA2)ほど、通信品質が悪いため、Extended Range及びDCMは設定されやすい。
【0029】
また、STAの通信品質が悪いほど、HARQによるスループットの向上効果は高い。換言すると、HARQ動作(例えば、ON及びOFFの何れか)は、STAの通信品質に基づいて制御され得る。
【0030】
このように、Extended Range及びDCM等の通信モードの設定、及び、HARQ制御の動作の双方とも、STAの通信品質に応じて制御され得る。
【0031】
そこで、本開示の一実施例では、通信品質に応じて設定されるパラメータ(例えば、通信モード)と、HARQ制御の動作とを関連付ける方法について説明する。
【0032】
なお、通信モードは、Extended Range及びDCMに限らず、通信品質に応じて設定される他のパラメータでもよい。他のパラメータは、例えば、MCS、Signal-to-Noise Ratio(SNR)、STS数、帯域幅、又はRU割り当てでもよい。
【0033】
また、通信品質は、
図5に示すようなAPとSTAとの間の距離(換言すると、通信距離)に限らず、他のパラメータによって表されてもよい。例えば、通信品質は、通信距離、干渉量、SNR、及び、誤り率等のパラメータの少なくとも1つによって表されてもよい。
【0034】
(実施の形態1)
[無線通信システムの構成]
本実施の形態に係る無線通信システムは、少なくとも1つのAP100、及び、少なくとも1つのSTA200を含む。
【0035】
図6は、本開示の一実施例に係るAP100の一部の構成例を示すブロック図である。
図6に示すAP100において、HARQ制御部108(例えば、制御回路に相当)は、通信品質に応じて設定される通信パラメータ(例えば、通信モード)と、再送制御の動作(例えば、HARQ動作)との何れか一方に基づいて、他方を決定する。無線送受信部103(例えば、通信回路に相当)は、決定された通信パラメータ又は再送制御の動作に基づいてSTA200(例えば、端末)と通信を行う。
【0036】
図7は、本開示の一実施例に係るSTA200の一部の構成例を示すブロック図である。
図7に示すSTA200において、受信パケット復号部206(例えば、制御回路に相当)は、通信品質に応じて設定される通信パラメータと、再送制御の動作との何れか一方に基づいて、他方を決定する。無線送受信部203(通信回路に相当)は、決定された通信パラメータ又は再送制御の動作に基づいてAP100(例えば、基地局)と通信を行う。
【0037】
<AP100の構成例>
図8は、AP100の構成例を示すブロック図である。
図8に示すAP100は、例えば、送信パケット生成部101と、変調部102と、無線送受信部103と、アンテナ104と、復調部105と、受信パケット復号部106と、通信モード判定部107と、HARQ制御部108と、を含む。
【0038】
送信パケット生成部101は、入力される送信データに基づいて、例えば、プリアンブル及びデータを含んで構成される送信パケットを生成する。例えば、送信パケットには、通信モード判定部107から入力される通信モード(例えば、Extended Range及びDCM等)に関する通信モード情報、及び、HARQ制御部108から入力されるHARQ制御に関するHARQ制御情報が含まれてよい。送信パケット生成部101は、生成した送信パケットを変調部102に出力する。
【0039】
変調部102は、送信パケット生成部101から入力される送信パケットに対して変調処理を行う。変調部102は、通信モード判定部107から入力される情報がExtended Range動作を示す場合、例えば、
図3に示すように、SIG-A2のコンスタレーションをQBPSKに設定してよい。また、例えば、HARQ制御情報とSIG-A2~SIG-A4の少なくとも一つのコンスタレーションとが関連付けられて定義されている場合、変調部102は、HARQ制御情報に関連付けてSIG-A2~SIG-A4のコンスタレーションを設定してもよい。変調部102は、変調後の信号を無線送受信部103に出力する。
【0040】
無線送受信部103は、例えば、STA200との通信を行う。例えば、無線送受信部103は、変調部102から入力される信号に対して無線送信処理を行い、アンテナ104から無線信号を送信する。また、無線送受信部103は、アンテナ104で受信した無線信号に対して無線受信処理を行い、無線受信処理後の受信信号を復調部105に出力する。
【0041】
復調部105は、無線送受信部103から入力される受信信号に対して復調処理を行い、復調後の信号を受信パケット復号部106に出力する。
【0042】
受信パケット復号部106は、復調部105から入力される信号(例えば、STA200から送信されたプリアンブル及びデータを含む)に対して復号処理を行う。受信パケット復号部106は、例えば、復号後の信号に含まれる、STA200の通信品質を示す情報を通信モード判定部107に出力する。また、受信パケット復号部106は、STA200から送信された送信パケットに対する応答を示す信号(例えば、HARQ応答、HARQ-ACK又はACK/NACKとも呼ぶ)をHARQ制御部108に出力する。また、受信パケット復号部106は、復号後の信号に含まれるデータ(換言すると、受信データ)を出力する。
【0043】
通信モード判定部107は、受信パケット復号部106から入力される情報に示されるSTA200の通信品質に基づいて、通信モードを判定する。通信モードは、例えば、Extended Range及びDCMの少なくとも一つでもよく、Extended Range、DCM、MCS、STS数、帯域幅、及び、RU割り当て情報等の通信品質によって決定されるパラメータの少なくとも一つでもよい。通信モード判定部107は、判定した通信モードを示す通信モード情報を、送信パケット生成部101、変調部102及びHARQ制御部108に出力する。
【0044】
HARQ制御部108は、受信パケット復号部106から入力される情報(例えば、HARQ応答)に基づいて、送信パケットの送信処理(例えば、初送又は再送)を制御する。例えば、HARQ制御部108は、HARQ応答がAcknowledgement(ACK)を示す場合には送信パケットの初送制御を行い、HARQ応答がNon-Acknowledgement(NACK)を示す場合には送信パケットの再送制御を行う。例えば、送信パケットの再送では、HARQ制御部108は、再送指示又は再送を示すNew Data Indicator(NDI)の値を設定する。また、HARQ応答がACKの場合、又は、AP100がACK及びNACKの何れも受信しない場合、HARQ制御部108は、初送指示又は初送を示すトグルしたNDI値を設定する。
【0045】
また、HARQ制御部108は、通信モード判定部107から入力される通信モード情報に基づいて、HARQ動作を決定する。なお、HARQ制御部108における通信モードに基づくHARQ動作の決定方法の一例については後述する。
【0046】
HARQ制御部108は、HARQ制御の内容を示すHARQ制御情報を、例えば、送信パケット生成部101、及び、変調部102へ出力する。
【0047】
<STA200の構成例>
図9は、STA200の構成例を示すブロック図である。
図9に示すSTA200は、例えば、送信パケット生成部201と、変調部202と、無線送受信部203と、アンテナ204と、復調部205と、受信パケット復号部206と、通信品質測定部207と、を含む。
【0048】
送信パケット生成部201は、入力される送信データに基づいて、例えば、プリアンブル及びデータを含んで構成される送信パケットを生成する。例えば、送信パケットには、通信品質測定部207から入力される通信品質に関する通信品質情報、及び、受信パケット復号部206から入力されるACK/NACK情報が含まれてよい。送信パケット生成部201は、生成した送信パケットを変調部202に出力する。
【0049】
変調部202は、送信パケット生成部201から入力される送信パケットに対して変調処理を行う。変調部202は、変調後の信号を無線送受信部203に出力する。
【0050】
無線送受信部203は、例えば、AP100との通信を行う。例えば、無線送受信部203は、変調部202から入力される信号に対して無線送信処理を行い、アンテナ204から無線信号を送信する。また、無線送受信部203は、アンテナ204で受信した無線信号に対して無線受信処理を行い、無線受信処理後の受信信号を復調部205に出力する。
【0051】
復調部205は、無線送受信部203から入力される受信信号に対して復調処理を行い、復調後の信号を受信パケット復号部206及び通信品質測定部207に出力する。
【0052】
受信パケット復号部206は、復調部205から入力される信号(例えば、AP100から送信されたプリアンブル及びデータを含む)に対して復号処理を行う。受信パケット復号部206は、例えば、復号後の信号に含まれる受信データ(換言すると、受信パケットデータ)を出力する。
【0053】
また、受信パケット復号部206は、例えば、受信パケットに含まれる制御信号によって設定される通信モードに基づいて、AP100のHARQ制御部108と同様、HARQ動作を決定する。なお、受信パケット復号部206における通信モードに基づくHARQ動作の決定方法の一例については後述する。
【0054】
例えば、受信パケット復号部206は、HARQ動作を行う場合、受信データに対して誤り検出を行い、誤り検出結果に基づくACK/NACK情報(ACK又はNACK)を送信パケット生成部201に出力する。例えば、受信パケット復号部206は、受信データに誤りが有る場合、当該受信データを保持して、再送(NACK)を要求するACK/NACK情報を生成し、再送されたパケットデータと、保持している受信データとを合成する。これにより、受信性能を向上できる。また、受信パケット復号部206は、受信データに誤りが無い場合、ACKを示すACK/NACK情報を生成する。
【0055】
通信品質測定部207は、復調部205から入力される復調信号に基づいて、例えば、AP100とSTA200との間の通信品質を測定する。通信品質は、例えば、SNRでもよく、通信距離、伝搬損失、干渉量、誤り率、又は、Channel Quality Information(CQI)等の品質を示す情報でもよい。通信品質測定部207は、測定した通信品質を示す通信品質情報を送信パケット生成部201に出力する。
【0056】
なお、本開示の一実施例では、ACK/NACK情報のフィードバックには、MACレイヤ及び物理レイヤの何れか一方が使用されてよい。例えば、ACK/NACK情報のフォーマットには、IEEE 802.11axのMACフレームフォーマットの1つとして定義されている「ACKフレームフォーマット」と同様に、MACフレームフォーマットの1つとしてACK/NACKを明示的に通知する「ACK/NACKフレームフォーマット」が定義されてよい。または、ACK/NACK情報のフォーマットは、物理レイヤのシグナリングに含めて定義されてもよい。また、本開示の一実施例では、IEEE 802.11axにおけるMACレイヤレベルの再送制御と、物理レイヤレベルのHARQ再送制御とを切り替えてもよい。
【0057】
また、複数のMAC Protocol Data Unit(MPDU)に対する確認応答のフォーマットの一つに、「ブロックACKフレームフォーマット」がある。本開示の一実施例では、HARQ再送の場合、ACK情報に加え、NACK情報も含む「ブロックACK/NACKフレームフォーマット」が定義されてもよい。ブロックACK/NACKの対象は、MPDUに対応するACK/NACKでもよく、PPDUを複数に分割したそれぞれに対応するACK/NACKでもよい。また、本開示の一実施例では、ブロックACKフレームフォーマットと、HARQ用のブロックACK/NACKフレームフォーマットとを切り替えてもよい。
【0058】
[通信モードとHARQ動作との関連付け]
次に、本実施の形態に係る通信モードと、HARQ動作との関連付けについて説明する。
【0059】
ここでは、一例として、Extended Range及びDCMの少なくとも一つが設定される通信モードとHARQ動作との関連付けについて説明する。
【0060】
以下、通信モードとHARQ動作との関連付けの設定例1~3についてそれぞれ説明する。
【0061】
<設定例1>
設定例1では、Extended Rangeの設定に基づいて、HARQ動作、又は、HARQタイプが切り替えられる。
【0062】
図10は、Extended Rangeの設定と、HARQ動作との関連付けの一例を示す。
【0063】
Extended Rangeが動作する環境(例えば、Extended Range動作:ONと表す)では、例えば、STA200の通信品質が低品質(例えば、通信品質が閾値未満の状態)である可能性が高く、HARQ動作による通信品質の向上効果が大きく、HARQの動作によってスループットを向上しやすい。
【0064】
一方、Extended Rangeが動作しない環境(例えば、Extended Range動作:OFFと表す)では、例えば、STA200の通信品質が高品質(例えば、通信品質が閾値以上の状態)である可能性が高く、HARQ動作による通信品質の向上効果が小さい。よって、Extended Rangeが動作しない場合には、HARQの動作によってスループットを向上しにくい。
【0065】
そこで、例えば、
図10に示すHARQ動作規定例1では、Extended Rangeが設定される場合には、HARQ動作が設定され、Extended Rangeが設定されない場合には、HARQ動作が設定されない。なお、HARQ動作又は通信モード(例えば、Extended Range及びDCM)の設定の有無は、例えば、動作/非動作、ON/OFF、有効/無効、適用/非適用、activate/deactivate、又は、enable/disable等と表されてよい。
【0066】
また、Extended Rangeが動作するような低品質の環境では、IRによる符号化利得とCCによる最大比合成利得とが同等になり得る。また、HARQタイプのうち、CCの制御情報量は、IRの制御情報量よりも少ない。よって、
図10に示すHARQ動作規定例2のように、Extended Rangeが設定される場合(ONの場合)には、HARQタイプをCCに設定することにより、オーバーヘッドを削減し、スループットを向上できる。
【0067】
一方、Extended Rangeが設定されないような高品質の環境では、IRによる符号化利得は、CCによる最大比合成利得よりも大きい。よって、
図10に示すHARQ動作規定例2のように、Extended Rangeが設定されない場合(OFFの場合)には、HARQタイプはIRに設定される。
【0068】
<設定例2>
設定例2では、DCMの設定に基づいて、HARQ動作、又は、HARQタイプが切り替えられる。
【0069】
図11は、DCMの設定と、HARQ動作との関連付けの一例を示す。
【0070】
DCMが動作する環境(例えば、DCM動作:ONと表す)では、例えば、STA200の通信品質が低品質(例えば、通信品質が閾値未満の状態)である可能性が高く、HARQ動作による通信品質の向上効果が大きく、HARQの動作によってスループットを向上しやすい。
【0071】
一方、DCMが動作しない環境(例えば、DCM動作:OFFと表す)では、例えば、STA200の通信品質が高品質(例えば、通信品質が閾値以上の状態)である可能性が高く、HARQ動作による通信品質の向上効果が小さい。よって、DCMが動作しない場合には、HARQの動作によってスループットを向上しにくい。
【0072】
そこで、例えば、
図11に示すHARQ動作規定例1では、DCMが設定される場合(ONの場合)には、HARQ動作が設定され、DCMが設定されない場合(OFFの場合)には、HARQ動作が設定されない(非動作)。
【0073】
また、DCMが動作するような低品質の環境では、IRによる符号化利得とCCによる最大比合成利得とが同等になり得る。また、HARQタイプのうち、CCの制御情報量は、IRの制御情報量よりも少ない。よって、
図11に示すHARQ動作規定例2のように、DCMが設定される場合(ONの場合)には、HARQのタイプをCCに設定することにより、オーバーヘッドを削減し、スループットを向上できる。
【0074】
一方、DCMが設定されないような高品質の環境では、IRによる符号化利得は、CCによる最大比合成利得よりも大きい。よって、
図11に示すHARQ動作規定例2のように、DCMが設定されない場合(OFFの場合)には、HARQタイプはIRに設定される。
【0075】
<設定例3>
設定例3では、Extended Range設定及びDCM設定の組み合わせに基づいて、HARQ動作、又は、HARQタイプが切り替えられる。
【0076】
図12は、Extended Range設定及びDCM設定の組み合わせと、HARQ動作との関連付けの一例を示す。
【0077】
例えば、Extended Range及びDCMの双方が動作する環境では、Extended Range及びDCMの何れか一方が動作する環境又は何れも動作しない環境と比較して、STA200の通信品質が低品質(例えば、通信品質が閾値未満の状態)である可能性が高い。よって、Extended Range及びDCMの双方が動作する場合には、Extended Range及びDCMの何れか一方が動作する環境又は何れも動作しない環境と比較して、HARQ動作による通信品質の向上効果が大きく、HARQの動作によってスループットを向上しやすい。
【0078】
そこで、例えば、
図12に示すHARQ動作規定例1では、Extended Range及びDCMの双方が設定される場合(Extended Range動作:ONかつDCM動作:ONの場合)には、HARQ動作が設定される。また、
図12に示すHARQ動作規定例1では、Extended Range及びDCMの何れか一方が設定される場合、又は、Extended Range及びDCMの双方が設定されない場合には、HARQ動作が設定されない(非動作)。
【0079】
また、Extended Range及びDCMの双方が動作するような低品質の環境では、IRによる符号化利得とCCによる最大比合成利得とが同等になり得る。また、HARQタイプのうち、CCの制御情報量は、IRの制御情報量よりも少ない。よって、
図12に示すHARQ動作規定例2のように、Extended Range及びDCMの双方が設定される場合には、HARQタイプをCCに設定することにより、オーバーヘッドを削減し、スループットを向上できる。
【0080】
一方、Extended Range及びDCMの少なくとも一つが動作しないような通信品質の環境では、Extended Range及びDCMの双方が動作する環境と比較して、IRによる符号化利得は、CCによる最大比合成利得よりも大きい。よって、
図12に示すHARQ動作規定例2のように、Extended Range及びDCMの何れか一方が設定される場合、又は、Extended Range及びDCMの双方が設定されない場合には、HARQタイプはIRに設定される。
【0081】
以上、設定例1~3について説明した。
【0082】
なお、通信モードの設定は、Extended Range及びDCMの設定に限定されず、他の通信パラメータの設定でもよい。以下では、一例として、通信モードの設定において、MCS、STS数、帯域幅、及び、RU割り当てがそれぞれ設定される場合における、通信モードとHARQ動作との関連付けの設定例4~7についてそれぞれ説明する。
【0083】
<設定例4>
設定例4では、STA200に設定されるMCSの値に基づいて、HARQ動作、又は、HARQタイプが切り替えられる。
【0084】
図13は、STA200に設定されるMCSの値と、HARQ動作との関連付けの一例を示す。
【0085】
例えば、STA200の通信品質が低いほど、当該STA200に設定されるMCSの値は小さくなり得る。よって、MCSの値がより小さいほど、HARQ動作によって通信品質を向上し、スループットを向上しやすい。
【0086】
そこで、例えば、
図13に示すHARQ動作規定例1では、MCSの値が小さい場合(例えば、MCS0~4の何れかの場合)には、HARQ動作が設定され、MCSの値が大きい場合(例えば、MCS5~11の何れかの場合)には、HARQ動作が設定されない(非動作)。換言すると、STA200に設定されるMCSに基づいて、HARQの動作及び非動作が切り替えられる。
【0087】
また、MCSの値が小さく設定され得るような環境では、IRによる符号化利得とCCによる最大比合成利得とが同等になり得る。また、HARQタイプのうち、CCの制御情報量は、IRの制御情報量よりも少ない。よって、
図13に示すHARQ動作規定例2のように、MCSの値が小さい場合(例えば、MCSの値が閾値以下の場合)には、HARQタイプをCCに設定することにより、オーバーヘッドを削減し、スループットを向上できる。
【0088】
一方、設定されるMCSの値がより大きい環境では、IRによる符号化利得は、CCによる最大比合成利得よりも大きい。よって、
図13に示すHARQ動作規定例2のように、MCSの値が大きい場合(例えば、MCS5~11の何れかの場合)には、HARQタイプはIRに設定される。
【0089】
<設定例5>
設定例5では、STA200に設定されるSTS数に基づいて、HARQ動作、又は、HARQタイプが切り替えられる。
【0090】
図14は、STA200に設定されるSTS数と、HARQ動作との関連付けの一例を示す。
【0091】
例えば、STA200の通信品質が低いほど、当該STA200に設定されるSTS数は少なくなり得る。よって、STS数がより少ないほど、HARQ動作によって通信品質を向上し、スループットを向上しやすい。
【0092】
そこで、例えば、
図14に示すHARQ動作規定例1では、STS数が少ない場合(例えば、STS数が1~4の何れかの場合)には、HARQ動作が設定され、STS数が多い場合(例えば、STS数が5~16の何れかの場合)には、HARQ動作が設定されない(非動作)。
【0093】
また、STS数が少なく設定され得るような環境では、IRによる符号化利得とCCによる最大比合成利得とが同等になり得る。また、HARQタイプのうち、CCの制御情報量は、IRの制御情報量よりも少ない。よって、
図14に示すHARQ動作規定例2のように、STS数が少ない場合(例えば、STS数が閾値以下の場合)には、HARQタイプをCCに設定することにより、オーバーヘッドを削減し、スループットを向上できる。
【0094】
一方、STS数がより多く設定され得るような環境では、IRによる符号化利得は、CCによる最大比合成利得よりも大きい。よって、
図14に示すHARQ動作規定例2のように、STS数が多い場合(例えば、STS数が5~16の何れかの場合)には、HARQタイプはIRに設定される。
【0095】
<設定例6>
設定例6では、STA200に設定される帯域幅に基づいて、HARQ動作、又は、HARQタイプが切り替えられる。
【0096】
図15は、STA200に設定される帯域幅と、HARQ動作との関連付けの一例を示す。
【0097】
例えば、STA200の通信品質が低いほど、当該STA200に設定される帯域幅は狭くなり得る。よって、帯域幅がより狭いほど、HARQ動作によって通信品質を向上し、スループットを向上しやすい。
【0098】
そこで、例えば、
図15に示すHARQ動作規定例1では、帯域幅が狭い場合(例えば、帯域幅が20MHz又は40MHzの場合)には、HARQ動作が設定され、帯域幅が広い場合(例えば、帯域幅が80MHz以上の場合)には、HARQ動作が設定されない(非動作)。
【0099】
また、帯域幅が狭く設定され得るような環境では、IRによる符号化利得とCCによる最大比合成利得とが同等になり得る。また、HARQタイプのうち、CCの制御情報量は、IRの制御情報量よりも少ない。よって、
図15に示すHARQ動作規定例2のように、帯域幅が狭い場合(例えば、帯域幅が閾値以下の場合)には、HARQタイプをCCに設定することにより、オーバーヘッドを削減し、スループットを向上できる。
【0100】
一方、帯域幅がより広く設定され得るような高品質の環境では、低品質の環境と比較して、IRによる符号化利得は、CCによる最大比合成利得よりも大きい。よって、
図15に示すHARQ動作規定例2のように、帯域幅が広い場合(例えば、帯域幅が80MHz以上の場合)には、HARQのタイプはIRに設定される。
【0101】
<設定例7>
設定例7では、STA200に割り当てられるRUサイズに基づいて、HARQ動作、又は、HARQタイプが切り替えられる。
【0102】
図16は、STA200に割り当てられるRUサイズ(例えば、トーン数)と、HARQ動作との関連付けの一例を示す。
【0103】
例えば、STA200の通信品質が低いほど、当該STA200に割り当てられるRUサイズは小さくなり得る。よって、RUサイズが小さいほど、HARQ動作によって通信品質を向上し、スループットを向上しやすい。
【0104】
そこで、例えば、
図16に示すHARQ動作規定例1では、RUサイズが小さい場合(例えば、トーン数が242トーン以下の場合)には、HARQ動作が設定され、RUサイズが大きい場合(例えば、トーン数が484トーン以上の場合)には、HARQ動作が設定されない(非動作)。
【0105】
また、RUサイズが小さく設定され得るような環境では、IRによる符号化利得とCCによる最大比合成利得とが同等になり得る。また、HARQタイプのうち、CCの制御情報量は、IRの制御情報量よりも少ない。よって、
図16に示すHARQ動作規定例2のように、RUサイズが小さい場合(例えば、RUサイズが閾値以下の場合)には、HARQのタイプをCCに設定することにより、オーバーヘッドを削減し、スループットを向上できる。
【0106】
一方、RUサイズがより大きく設定され得るような環境では、IRによる符号化利得は、CCによる最大比合成利得よりも大きい。よって、
図16に示すHARQ動作規定例2のように、RUサイズが大きい場合(例えば、トーン数が484トーン以上の場合)には、HARQタイプはIRに設定される。
【0107】
以上、通信モードの設定とHARQ動作との関連付けの設定例について説明した。
【0108】
なお、上述した通信モードに関するパラメータ(例えば、通信モードの種別、値、又は範囲等)、及び、通信モードに関するパラメータとHARQ動作との関連付けは一例であり、これらに限定されない。例えば、通信モードに関するパラメータは、STA200における通信品質に応じて変動する他のパラメータでもよい。
【0109】
[AP及びSTAの動作例]
図17は、無線通信システムの動作の一例を示すシーケンス図である。なお、
図17では、一例として、STA200における通信品質が高品質(例えば、通信品質が閾値以上の状態)の場合について説明する。
【0110】
図17において、STA200は、STA200における通信品質(
図17では高品質)を示す通信品質情報をAP100へ送信する(ST101a)。
【0111】
AP100は、STA200の通信品質に基づいて、STA200に対する通信モード(例えば、Extended Range及びDCMの少なくとも一方の設定)を判定する(ST102a)。例えば、
図17では、STA200の通信品質は高品質であるので、AP100は、Extended Range及びDCMの双方を設定しない(換言すると、ER及びDCMの動作:OFF)と判定する。
【0112】
また、AP100は、STA200に対する通信モードの判定結果(例えば、通信モードの設定)に基づいて、HARQ動作を決定(換言すると、動作判定)する(ST103a)。例えば、
図17では、通信モードの一つであるExtended Range及びDCMが設定されないと判定されているので、AP100は、HARQ動作を設定しない(換言すると、HARQ動作:OFF)と判定する(例えば、
図10、
図11又は
図12を参照)。
【0113】
なお、HARQ動作が設定されない状態は、例えば、HARQ制御情報を含まないPPDUフォーマット、又は、HARQ動作が設定されないことを明示した情報を含むPPDUフォーマットによって送信パケットが送受信される状態を示す。
【0114】
また、HARQ制御情報には、例えば、初送及び再送の何れかを示す情報、HARQタイプ(例えば、CC又はIR)を示す情報、Redundancy Version(RV)を示す情報、HARQプロセス番号、又は、NDIが含まれてよい。
【0115】
図17において、AP100は、STA200に対して、例えば、ER PPDUフォーマット以外のPPDUフォーマットに基づいて送信パケットを送信する(ST104a)。例えば、ER PPDUフォーマット以外のPPDUフォーマットの送信パケットには、DCMがOFFであることを示すDCM設定情報が含まれてよい。また、例えば、ER PPDUフォーマット以外のPPDUフォーマットの送信パケットには、HARQ制御情報は含まれない。
【0116】
図17には、ER PPDUフォーマット以外のPPDUフォーマットの一例として、Single User(SU) PPDUフォーマットを示す。SU PPDUフォーマット内のEHT-SIG-Aは、例えば、SIG-A1とSIG-A2とを含んで構成される。
【0117】
SIG-A1及びSIG-A2は、例えば、
図18に示すように、MCS、DCM、帯域幅、NSTS(空間時間ストリーム数)とMidamble周期、及び、STBCに関するパラメータを含むフィールド等を含んで構成されている。
【0118】
図18に示すように、ER PPDUフォーマット以外のPPDUフォーマットにおいて、DCMの非動作時(
図18に示す「DCMフィールド:0設定」の場合)には、PPDUフォーマット内の各フィールドに割り当てられたビットはそれぞれ使用されている。換言すると、DCMの非動作時には、ER PPDUフォーマット以外のPPDUフォーマット内の各フィールドにおいて未使用ビットは無い。
【0119】
なお、ここでは、Extended Range及びDCMの双方が設定されない場合(非動作である場合)について説明するが、これに限定されない。例えば、Extended Range及びDCMのそれぞれの設定は、通信品質に基づいて独立に決定されてもよく、連動して決定されてもよい。また、
図17では、Extended Range及びDCMの設定に基づいてHARQ動作が決定される場合について説明するが、これに限らない。AP100は、通信品質に関するパラメータ(例えば、MCS、STS数、帯域幅、又は、RU割当に基づいて、HARQ動作を決定してもよい(例えば、
図13~
図16の何れかを参照)。
【0120】
図17において、STA200は、例えば、AP100から送信された送信パケットのPPDUフォーマット種別(例えば、SIG-A2のコンスタレーション)、又は、送信パケットに含まれるDCM設定情報等に基づいて、通信モード及びHARQ動作を決定する(ST105a)。
図17では、例えば、STA200は、Extended Range及びDCMの非動作を決定する。また、
図17では、例えば、STA200は、Extended Range及びDCMの非動作に基づいて、HARQ動作をOFFに決定する。
【0121】
AP100及びSTA200は、通信モード(例えば、Extended Range及びDCM)及びHARQ動作に関して決定した動作に従って通信を行う(図示せず)。
【0122】
次に、
図19は、無線通信システムの動作の他の例を示すシーケンス図である。なお、
図19では、一例として、STA200における通信品質が低品質(例えば、通信品質が閾値未満の状態)の場合について説明する。
【0123】
図19において、STA200は、STA200における通信品質(
図19では低品質)を示す通信品質情報をAP100へ送信する(ST101b)。
【0124】
AP100は、STA200の通信品質に基づいて、STA200に対する通信モード(例えば、Extended Range及びDCMの少なくとも一方の設定(ON又はOFF))を判定する(ST102b)。例えば、
図19では、STA200の通信品質は低品質であるので、AP100は、Extended Range及びDCMの双方を設定する(換言すると、ER及びDCMの動作:ON)と判定する。
【0125】
また、AP100は、STA200に対する通信モードの判定結果(例えば、通信モードの設定(ON又はOFF))に基づいて、HARQ動作を決定(換言すると、動作判定)する(ST103b)。例えば、
図19では、通信モードの一つであるExtended Range及びDCMを設定すると判定されているので、AP100は、HARQ動作を設定する(換言すると、HARQ動作:ON)と判定する(例えば、
図10、
図11又は
図12を参照)。
【0126】
なお、HARQ動作が設定される状態は、例えば、HARQ制御情報を含むPPDUフォーマット、又は、HARQ動作が有ることを明示した情報を含むPPDUフォーマットによって送信パケットが送受信される状態を示す。
【0127】
また、HARQ動作は、Extended Range及びDCMの双方の設定に関連付けられる場合に限定されず、例えば、Extended Range及びDCMの何れか一方の設定に関連付けられてもよく、通信品質に関する他のパラメータに関連付けられてもよい。
【0128】
図19において、AP100は、STA200に対して、例えば、ER PPDUフォーマット(例えば、ER-HARQ PPDUフォーマットとも呼ぶ)に基づいて送信パケットを送信する(ST104b)。例えば、ER PPDUフォーマットの送信パケットには、DCMがONであることを示すDCM設定情報が含まれてよい。また、例えば、ER PPDUフォーマットの送信パケットには、HARQ制御情報が含まれる。
【0129】
図19には、Extended Range動作を示し、かつ、HARQ制御情報を含むPPDUフォーマットの一例として、ER-HARQ PPDUフォーマットを示す。ER-HARQ PPDUフォーマット内のEHT-SIG-Aは、例えば、SIG-A1、SIG-A2、SIG-A3及びSIG-A4を含んで構成される。例えば、SIG-A2は、SIG-A1の繰り返しであり、SIG-A4は、SIG-A3の繰り返しである。
【0130】
SIG-A1(又はSIG-A2)及びSIG-A3(又はSIG-A4)は、例えば、
図20に示すように、MCS、帯域幅、及び、NSTS(空間時間ストリーム数)とMidamble周期に関するパラメータを含むフィールド等を含んで構成されている。
【0131】
図20に示すように、Extended Rangeの動作時には、MCSはMCS0,1,2の何れかに設定され、帯域幅は242トーン又は106トーンに設定され、STS数は1に設定される。よって、
図20では、Extended Rangeの動作時には、各パラメータ(例えば、MCS、帯域幅又はNSTSとMidamble周期)のフィールドに割り当てられたビットの一部のビットが使用される。換言すると、Extended Rangeの動作時には、ER PPDUフォーマット内の各フィールドにおいて未使用ビットが存在する。
【0132】
そこで、本実施の形態では、例えば、ER PPDUフォーマット内の各フィールドにおいてExtended Rangeの動作時に未使用のビットの一部又は全てに、HARQ関連のシグナリング(例えば、HARQ制御情報)が定義されてよい。
【0133】
例えば、
図20に示すように、MCSフィールドにおいて、Extended Rangeの動作時に帯域幅フィールドのB19が0の場合(換言すると、242-tone RUが割り当てられる場合)、B3-B6の4ビットのうち、B3-B4の2ビットにMCSが定義され、残りのB5-B6の2ビットにHARQ関連のシグナリングが定義されてよい。また、例えば、
図20に示すように、MCSフィールドにおいて、Extended Rangeの動作時に帯域幅フィールドのB19が1の場合(換言すると、upper frequency 106-tone RUが割り当てられる場合)、B3-B6の4ビットのうち、B3の1ビットにMCSが定義され、残りのB4-B6の3ビットにHARQ関連のシグナリングが定義されてよい。
【0134】
また、例えば、
図20に示すように、帯域幅フィールドにおいて、Extended Rangeの動作時に、B19-B20の2ビットのうち、B19の1ビットに帯域幅(242トーン又は106トーン)が定義され、残りのB20の1ビットにHARQ関連のシグナリングが定義されてよい。
【0135】
また、例えば、
図20に示すように、NSTSとMidamble周期フィールドにおいて、Extended Rangeの動作時に、Doppler fieldが0の場合、B23-B25の3ビットのうち、B23の1ビットにSTS数が定義され、残りのB24-B25の2ビットにHARQ関連のシグナリングが定義されてよい。また、例えば、
図20に示すように、NSTSとMidamble周期フィールドにおいて、Extended Rangeの動作時に、Doppler fieldが1の場合、B23-B25の3ビットのうち、B23の1ビットにSTS数が定義され、B25の1ビットにMidamble周期が定義され、残りのB24の1ビットにHARQ関連のシグナリングが定義されてよい。
【0136】
なお、
図19において、ER-HARQ PPDUフォーマットの代わりに、例えば、DCM動作を示し、かつ、HARQ制御情報を含むPPDUフォーマット(例えば、DCM-HARQ PPDUフォーマット)が適用されてもよい。例えば、
図19に示すように、DCM-HARQ PPDUフォーマット内のEHT-SIG-Aは、例えば、SIG-A1及びSIG-A2を含んで構成される。
【0137】
SIG-A1及びSIG-A2は、例えば、
図21に示すように、MCS、DCM、帯域幅、NSTSとMidamble周期、及び、STBCに関するパラメータを含むフィールド等を含んで構成されている。
【0138】
図21に示すように、DCMの動作時には、MCSはMCS0,1,3,4の何れかに設定され、STS数は1又は2に設定される。また、DCMの動作時には、DCMとSTBCとの組み合わせは適用されない。よって、
図21では、DCMの動作時には、各パラメータ(例えば、MCS、NSTSとMidamble周期、及びSTBC)のフィールドに割り当てられたビットの一部のビットが使用される。換言すると、Extended Rangeの動作時には、PPDUフォーマット内の各フィールドにおいて未使用ビットが存在する。
【0139】
そこで、本実施の形態では、例えば、PPDUフォーマット内の各フィールドにおいてDCMの動作時に未使用のビットの一部又は全てに、HARQ関連のシグナリング(例えば、HARQ制御情報)が定義されてよい。
【0140】
例えば、
図21に示すように、MCSフィールドにおいて、DCMの動作時に、B3-B6の4ビットのうち、B3-B5の3ビットにMCSが定義され、残りのB6の1ビットにHARQ関連のシグナリングが定義されてよい。
【0141】
また、例えば、
図21に示すように、NSTSとMidamble周期フィールドにおいて、DCMの動作時に、B23-B25の3ビットのうち、B23の1ビットにSTS数が定義され、残りのB24-B25の2ビットにHARQ関連のシグナリングが定義されてよい。
【0142】
また、例えば、
図21に示すように、STBCフィールドにおいて、DCMの動作時に、DCM動作時には使用されないB9の1ビットにHARQ関連のシグナリングが定義されてよい。
【0143】
図19において、STA200は、例えば、AP100から送信された送信パケットのPPDUフォーマット種別(例えば、SIG-A2のコンスタレーション)、又は、送信パケットに含まれるDCM設定情報等に基づいて、通信モード及びHARQ動作を決定する(ST105b)。
図19では、例えば、STA200は、Extended Range及びDCMの動作(ON)を決定する。また、
図19では、例えば、STA200は、Extended Range及びDCMの動作(ON)に基づいて、HARQ動作をONに決定する。
【0144】
AP100及びSTA200は、通信モード(例えば、Extended Range及びDCM)及びHARQ動作に関して決定した動作に従って通信を行う(図示せず)。
【0145】
以上、AP100及びSTA200の動作例について説明した。
【0146】
なお、
図17及び
図19では、Extended Range及びDCMの双方の設定と、HARQ動作とを関連付ける場合について説明したが、これに限らず、Extended Range及びDCMの何れか一方の設定とHARQ動作とが関連付けられてもよい。
【0147】
また、
図17及び
図19では、通信モード(換言すると、通信品質)に基づいて、HARQ動作のON及びOFFを決定する場合について説明した。しかし、HARQ動作の決定内容は、HARQの動作又は非動作に限らず、例えば、HARQタイプ(例えば、CC又はIR)でもよい。
【0148】
以上のように、本実施の形態によれば、AP100は、STA200の通信品質に応じて設定される通信モード(換言すると、通信パラメータ)に基づいて、HARQの動作を決定する。例えば、AP100は、通信モード(例えば、Extended Range及びDCMの少なくとも一方)の設定に基づいて、HARQ動作及びHARQタイプ(例えば、CC又はIR)の少なくとも一方を決定する。また、STA200は、例えば、STA200の通信モードに基づいて決定されるHARQ動作を行う。
【0149】
これにより、STA200は、STA200の通信品質に応じたHARQ動作を行うことができるので、スループットを向上できる。よって、本実施の形態によれば、通信品質に応じてHARQ制御の効率を向上できる。
【0150】
また、本実施の形態では、HARQ制御情報は、例えば、Extended Range又はDCMの動作時(換言すると、通信モードの設定が有る場合)に使用されないビットに定義される。これにより、AP100からSTA200へのシグナリングの増加を抑制して、HARQ制御関連のシグナリングが可能になる。
【0151】
なお、本実施の形態では、通信品質を高品質及び低品質の2種類に分類する場合について説明したが、通信品質は、3つ以上に分類されてもよい。例えば、3つ以上の通信品質に対して、HARQ動作(例えば、動作又は非動作、若しくはHARQタイプ)が関連付けられてもよい。
【0152】
また、例えば、Extended Range動作時には、
図2に示すように、SIG-A2のコンスタレーションにおいて、BPSK信号を90度位相回転したQBPSK信号とすることにより、STA200がSIG-Aの復号前にExtended RangeのPPDUフォーマット(例えば、ER SU PPDU)であるか否かを識別できる。本実施の形態では、更に、SIG-A3及びSIG-A4の少なくとも一つのコンスタレーションにおいて、QBPSK信号を適用してもよい。これにより、AP100は、例えば、HARQ制御情報をSTA200へ暗黙的に(implicitに)通知できる。
【0153】
例えば、
図22に示すように、SIG-A3及びSIG-A4の少なくとも一方のコンスタレーションをQBPSKとする組み合わせは3通りある。よって、例えば、AP100は、STA200へ通知するSIG-A3及びSIG-A4のコンスタレーションを、新規送信と再送とで異ならせてよい。これにより、STA200は、SIG-A3及びSIG-A4のコンスタレーションにおけるQBPSKの有無に基づいて、HARQの初送と再送とを識別してもよい。
【0154】
また、例えば、STA200へ通知する情報が割り当てられる複数の領域(例えば、SIG-A3及びSIG-A4フィールド)におけるコンスタレーションの組み合わせと、HARQ制御情報(例えば、HARQタイプ(CC又はIR)、RV、HARQプロセス番号、又はNDI)とが関連付けられてもよい。例えば、STA200は、SIG-A3及びSIG-A4のコンスタレーションにおけるQBPSKの組み合わせ(
図22に示す例1~例3の何れか)に基づいて、例えば、HARQタイプ(CC又はIR)、RV、HARQプロセス番号、又はNDIを識別してもよい。
【0155】
図22に示すように、SIG-AのコンスタレーションとHARQ制御情報とを関連付けることにより、HARQ制御情報の通知のためのシグナリングを低減できる。
【0156】
また、
図17のST104aの処理又は
図19のST104bの処理において、Extended Range動作時とDCM動作時とでは、HARQ関連シグナリング(又はHARQ制御情報)に利用可能なビット数は異なる(例えば、
図20及び
図21を参照)。そこで、例えば、Extended Range動作時とDCM動作時とで、HARQ関連シグナリングの内容(例えば、RVのパターン及びHARQプロセス数等)を異ならせてもよい。
【0157】
また、HARQ動作を決定する基準である通信モードは、Extended Range及びDCMに限らず、例えば、MCS、STS数、帯域幅、STBCが制限されるか否かを示す通信モードでもよい。
【0158】
また、
図17及び
図19では、一例として、IEEE 802.11axにおいて定義されたHE-SIG-Aの構成について説明したが、送信パケットのフォーマットは、この構成に限らず、他のシグナリングの構成でもよい。
【0159】
(実施の形態2)
実施の形態1では、通信モード(換言すると、通信パラメータ)に基づいて、HARQ動作を決定する方法について説明した。これに対して、本実施の形態では、HARQ動作に基づいて、通信モード(又は通信パラメータ)を決定する方法について説明する。
【0160】
本実施の形態に係る無線通信システムは、少なくとも1つのAP300、及び、少なくとも1つのSTA400を含む。
【0161】
図23は、本実施の形態に係るAP300の構成例を示すブロック図である。なお、
図23において、実施の形態1(
図8)と同一構成には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0162】
図23において、制御部301は、例えば、STA400に対するHARQ動作(ON又はOFF)を決定する。制御部301は、例えば、受信パケット復号部106から入力されるSTA400の通信品質に関する情報に基づいて、HARQ動作を決定してもよい。制御部301は、HARQ動作(例えば、ON又はOFF)に関する情報を送信パケット生成部101に出力する。
【0163】
これにより、HARQ動作を示す情報は、AP300からSTA400へ通知される。なお、HARQ動作の決定に関する情報は、例えば、MACフレームによってAP300とSTA400との間で送受信されてもよい。
【0164】
また、制御部301は、HARQ動作に基づいて、STA400に対する通信モード(例えば、Extended Range及びDCMの少なくとも一つ)を決定する。なお、HARQ動作に基づく通信モードの決定方法の一例については後述する。
【0165】
また、制御部301は、例えば、受信パケット復号部106から入力される、STA400からフィードバックされた通信パラメータ(又は推奨通信パラメータとも呼ぶ)に関する情報に基づいて、STA400に設定する通信パラメータを決定する。制御部301は、決定した通信パラメータを送信パケット生成部101に出力する。これにより、送信パケット生成部101は、決定された通信パラメータに基づいて送信パケットを生成する。
【0166】
通信パラメータ要求部302は、STA400に対して通信パラメータを要求するメッセージを生成する。通信パラメータ要求部302は、生成した通信パラメータ要求メッセージを送信パケット生成部101へ出力する。
【0167】
これにより、通信パラメータ要求メッセージは、AP300からSTA400へ通知される。なお、通信パラメータは、例えば、MCS、STS数(例えば、NSTS)、帯域幅又はSTBC動作が含まれてよい。
【0168】
図24は、本実施の形態に係るSTA400の構成例を示すブロック図である。なお、
図24において、実施の形態1(
図9)と同一構成には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0169】
制御部401は、例えば、STA400に対するHARQ動作(例えば、ON又はOFF)を決定する。制御部401は、例えば、受信パケット復号部206から入力される、AP300からのシグナリングに基づいて、HARQ動作を決定してもよい。制御部401は、決定したHARQ動作(例えば、ON又はOFF)に関する情報を送信パケット生成部201に出力する。
【0170】
また、制御部401は、HARQ動作に基づいて、STA400に対する通信モード(例えば、Extended Range及びDCMの少なくとも一つ)を決定する。なお、HARQ動作に基づく通信モードの決定方法の一例については後述する。
【0171】
通信パラメータ決定部402は、受信パケット復号部206から通信パラメータ要求メッセージが入力される場合、例えば、AP300とSTA400との間の通信品質に基づいて、通信パラメータ(換言すると、推奨通信パラメータ)を決定する。通信パラメータ決定部402は、決定した推奨通信パラメータを送信パケット生成部201へ出力する。
【0172】
これにより、通信パラメータは、STA400からAP300へフィードバックされる。
【0173】
なお、通信パラメータ決定部402は、例えば、復調部205から入力される復調信号に基づいて、通信品質を測定してもよい。また、通信品質に関する情報には、例えば、SNR、AP300とSTA400との間の通信距離、伝搬損失、干渉量、又は、誤り率等がある。
【0174】
[HARQ動作と通信モードとの関連付け]
次に、本実施の形態に係るHARQ動作と、通信モードとの関連付けについて説明する。
【0175】
ここでは、一例として、Extended Range及びDCMの少なくとも一つが設定される通信モードとHARQ動作との関連付けについて説明する。AP300及びSTA400は、通信モードとHARQ動作との関連付け、及び、STA400に設定されるHARQ動作(例えば、ON又はOFF)に基づいて、STA400に対する通信モードを決定する。
【0176】
以下、HARQ動作と通信モードとの関連付けの設定例1~3についてそれぞれ説明する。
【0177】
<設定例1>
図25は、設定例1に係るHARQ動作(ON又はOFF)と、Extended Range又はDCMの設定(例えば、動作又は非動作)との関連付けの一例を示す。
【0178】
図25では、HARQが動作する場合(例えば、ONの場合)、Extended Range及びDCMが設定され(Extended Range及びDCM:動作)、HARQが動作しない場合(例えば、OFFの場合)、Extended Range及びDCMが設定されない(Extended Range及びDCM:非動作)。
【0179】
これにより、例えば、STA400の通信環境が悪く(例えば、通信品質が閾値以下の場合)、HARQを動作させると判断された場合には、Extended Range及びDCMの双方が動作する。このため、HARQ動作に加え、Extended Range及びDCMの動作によって、STA400の通信品質を向上でき、スループットを向上できる。
【0180】
<設定例2>
図26は、設定例2に係るHARQ動作(ON又はOFF)と、Extended Range又はDCMの設定(例えば、動作又は非動作)との関連付けの一例を示す。
【0181】
図26では、HARQが動作する場合(例えば、ONの場合)、Extended Rangeが設定され(Extended Range:動作)、DCMが設定されない(DCM:非動作)。また、
図26では、HARQが動作しない場合(例えば、OFFの場合)、Extended Range及びDCMが設定されない(Extended Range及びDCM:非動作)。
【0182】
これにより、例えば、STA400の通信環境が悪く(例えば、通信品質が閾値以下の場合)、HARQを動作させると判断された場合には、Extended Rangeが動作する。このため、HARQ動作に加え、Extended Rangeの動作によって、STA400の通信品質を向上でき、スループットを向上できる。
【0183】
なお、設定例2は、例えば、DCMによる通信品質の向上を要しない場合、又は、STA400がDCMに対応していない場合に適用されてよい。
【0184】
<設定例3>
図27は、設定例3に係るHARQ動作(ON又はOFF)と、Extended Range又はDCMの設定(例えば、動作又は非動作)との関連付けの一例を示す。
【0185】
図27では、HARQが動作する場合(例えば、ONの場合)、DCMが設定され(DCM:動作)、Extended Rangeが設定されない(Extended Range:非動作)。また、
図27では、HARQが動作しない場合(例えば、OFFの場合)、Extended Range及びDCMが設定されない(Extended Range及びDCM:非動作)。
【0186】
これにより、例えば、STA400の通信環境が悪く(例えば、通信品質が閾値以下の場合)、HARQを動作させると判断された場合には、DCMが動作する。このため、HARQ動作に加え、DCM動作によって、STA400の通信品質を向上でき、スループットを向上できる。
【0187】
なお、設定例3は、例えば、Extended Rangeによる通信品質の向上を要しない場合、又は、STA400がExtended Rangeに対応していない場合に適用されてよい。
【0188】
以上、設定例1~3について説明した。
【0189】
このように、HARQ動作と通信モードとの関連付けが規定されることにより、例えば、HARQ動作(例えば、動作又は非動作)に応じて、Extended Range及びDCM等の通信モードの設定(動作又は非動作)が一意に決定される。このため、通信モードの決定に関するシグナリングを低減できる。
【0190】
なお、
図25~
図27では、HARQ動作と、Extended Range及びDCMの設定との関連付けについて説明したが、HARQ動作に関連付けられる通信モード(又は通信パラメータ)はこれに限定されない。例えば、HARQ動作と、他の通信パラメータ(例えば、MCS、STS数、帯域幅及びRU割当等)が関連付けられてもよい。
【0191】
また、HARQの動作内容は、HARQ動作に限らず、HARQタイプ(例えば、CC及びIRの何れか)でもよく、例えば、HARQタイプと通信モード(例えば、Extended Range、DCM、MCS、STS数、帯域幅及びRU割当等)とが関連付けられてよい。例えば、HARQタイプがCCの場合にExtended Range及びDCMの少なくとも一方を動作させ、HARQタイプがIRの場合にExtended Range及びDCMを動作させなくてもよい。
【0192】
[AP及びSTAの動作例]
次に、本実施の形態のAP300及びSTA400の動作例について説明する。
【0193】
図28は、無線通信システムの動作の一例を示すシーケンス図である。
【0194】
図28において、AP300及びSTA400は、HARQ動作(例えば、ON又はOFF)を決定する(ST201)。AP300及びSTA400は、例えば、MACフレームにおけるシグナリングによってHARQ動作を決定してもよい。
【0195】
例えば、アソシエーション(換言すると、接続要求応答)時において、AP300及びSTA400は、STA400に関する情報(例えば、Capability(能力)情報)のやり取りを行う。例えば、AP300は、STA400に関する情報、及び、通信品質に基づいて、HARQ動作(ON/OFF)を決定してもよい。
【0196】
HARQ動作を決定する方法の一例は、AP300に接続するSTA数に基づく方法でもよい。例えば、AP300に接続するSTA数が多いほど、Orthogonal Frequency Division Multiple Access(OFDMA)又はMulti User - Multiple Input Multiple Output(MU-MIMO)の多重数が増加する。このため、AP300に接続するSTA数が多いほど、多重されるSTA毎のHARQ情報をまとめて通知する際に、一つのパケットにおいて送信されるシグナリング量が増加する。よって、例えば、AP300は、AP300に接続するSTA数が少ない場合(例えば、閾値未満の場合)にはHARQの動作有りと判断し、AP300に接続するSTA数が多い場合(例えば、閾値以上の場合)にはHARQの動作無しと判断してよい。この方法では、AP300に接続するSTA数が多い場合にはHARQの動作無しと判断することにより、シグナリング量の増加を抑制できる。
【0197】
また、HARQ動作を決定する方法の他の例は、受信パケットの誤り率に基づく方法である。例えば、AP300は、受信パケットの誤り率が閾値未満の場合、HARQの動作無しと判断し、受信パケットの誤り率が閾値以上の場合、HARQの動作有りと判断してもよい。受信パケットの誤り率が低いほど、HARQ動作による通信品質を向上効果は少ないので、HARQの動作無しと判断することにより、シグナリング量の増加を抑制できる。
【0198】
なお、HARQ動作を決定する方法は、これらの方法に限定されず、他の方法でもよい。
【0199】
図28において、AP300及びSTA400は、HARQ動作に基づいて、STA400の通信モードを決定する(ST202及びST203)。例えば、AP300及びSTA400は、
図25、
図26及び
図27の何れかに示すHARQ動作と通信モード(ここでは、Extended Range及びDCM)の設定との関連付け、及び、決定したHARQ動作(ON又はOFF)に基づいて、通信モードの設定を決定してもよい。
【0200】
AP300は、STA400に対して、通信パラメータを要求するメッセージを送信する(ST204)。
【0201】
STA400は、AP300から送信された通信パラメータ要求に対応して、推奨通信パラメータをAP300にフィードバックする(ST205)。
【0202】
AP300は、STA400からフィードバックされた推奨通信パラメータに基づいて、STA400との通信に設定する通信パラメータを決定し、決定した通信パラメータに基づいて、STA400に対してデータを送信する(ST206)。
【0203】
なお、AP300は、STA400へ通知する通信パラメータを決定する際、HARQ動作(ON又はOFF)に基づいて、通信パラメータの定義を変更してもよい。
【0204】
ここでは、一例として、通信パラメータに、MCS、STS数、帯域幅、及びSTBC動作が含まれる場合について説明する。
図29は、HARQ動作が設定されない場合(HARQ動作:OFF)の通信パラメータの定義の一例を示し、
図30は、HARQ動作が設定される場合(HARQ動作:ON)の通信パラメータの定義の一例を示す。
【0205】
図29に示すように、HARQ動作が設定されない場合、MCS、STS数、帯域幅、及び、STBCに割り当てられるビットはそれぞれ使用(又は、予約)されている。換言すると、HARQ動作が設定されない場合、MCS、STS数、帯域幅、及び、STBCに割り当てられるビットにおいて未使用のビット(又は予約されていないビット)は無い。
【0206】
一方、例えば、HARQが動作するような通信品質が悪い環境(例えば、通信品質が閾値以下の環境)では、通信パラメータの設定範囲の全てにおいて、要求される通信品質を確保できない可能性がある。そのため、例えば、HARQ動作が有る場合には、STA400に設定される通信パラメータは、設定範囲内において、要求される通信品質を確保し得る一部の値となり得る。換言すると、HARQ動作が有る場合には、通信パラメータの設定範囲は一部に制限され得る。
【0207】
例えば、
図30に示すように、HARQ動作が設定される場合、MCS、STS数、帯域幅、及び、STBCに設定されるパラメータの範囲は、HARQ動作が設定されない場合と比較して、狭くなる場合がある。そこで、
図30に示すように、HARQ動作が設定される場合、MCS、STS数、帯域幅、及び、STBCに割り当てられるビット数は削減され、残りのビットによってHARQ関連のシグナリングが定義されてよい。
【0208】
換言すると、STA400へ通知する情報が割り当てられるビットに対して、HARQ動作が設定される場合に定義されるパラメータ(例えば、
図30を参照)と、HARQ動作が設定されない場合に定義されるパラメータ(例えば、
図29を参照)とは異なる。
【0209】
例えば、
図30では、MCSの4ビットのうち、2ビットによってHARQ関連のシグナリングが定義され、STS数(例えば、NSTS-1)の4ビットのうち、3ビットによってHARQ関連のシグナリングが定義され、帯域幅の3ビットのうち、2ビットによってHARQ関連のシグナリングが定義され、STBCの1ビットによってHARQ関連のシグナリングが定義される。
【0210】
なお、
図30に示す各通信パラメータとHARQ関連シグナリングの内容(例えば、送信種別、HARQタイプ、RV、HARQプロセス番号等)との組み合わせ(定義の組み合わせ)は一例であり、これに限定されない。また、各通信パラメータに関連付けられるHARQ関連シグナリングの内容は、
図30に示すパラメータに限定されない。
【0211】
以上のように、本実施の形態によれば、AP300及びSTA400は、STA400に対するHARQ動作に基づいて、STA400に対する通信モードの設定を決定する。これにより、STA400は、STA400の通信品質に応じたHARQ動作を行うことができるので、スループットを向上できる。よって、本実施の形態によれば、通信品質に応じてHARQ制御の効率を向上できる。
【0212】
また、本実施の形態では、AP300からSTA400へ通知されるシグナリング内の各ビットにおいて定義される通信パラメータは、HARQ動作に基づいて切り替えられる。この際、例えば、HARQ制御情報(換言すると、HARQ関連シグナリング)は、HARQ動作時において使用されないビットによって定義される。これにより、AP300からSTA400へのシグナリングの増加を抑制して、HARQ制御関連のシグナリングが可能になる。
【0213】
(実施の形態3)
例えば、STAの通信環境に応じて、MCS等の通信パラメータを適応的に変更するリンクアダプテーション(Link Adaptation)機能がある。
【0214】
リンクアダプテーションでは、例えば、APは、STAに対してMCS(換言すると、推奨MCS)を要求するメッセージ(例えば、MCS Request(MRQ))を送信する。STAは、MRQに基づいて、例えば、通信品質に応じたMCS(例えば、推奨MCSと呼ぶ)を含むメッセージ(例えば、MCS Feedback(MFB))をAPへフィードバックする。
【0215】
本実施の形態では、リンクアダプテーションによって適応的に変更する通信パラメータの一つに、HARQ制御に関する情報を含める場合について説明する。
【0216】
本実施の形態に係る無線通信システムは、少なくとも1つのAP、及び、少なくとも1つのSTAを含む。
【0217】
図31は、無線通信システムの動作(例えば、リンクアダプテーション)の一例を示すシーケンス図である。
【0218】
図31において、APは、STAに対して、通信パラメータを要求するメッセージを送信する(ST301)。通信パラメータを要求するメッセージは、例えば、MCSを要求するメッセージ(MRQ)でもよく、他のメッセージでもよい。
【0219】
要求する通信パラメータは、例えば、MCSでもよく、他の通信パラメータ(例えば、STS数、帯域幅、RU割り当て、DCM動作等)でもよい(例えば、非特許文献2を参照)。また、AP及びSTAの双方がHARQ動作に対応可能である場合、例えば、要求する通信パラメータには、HARQ制御に関する情報が含まれてよい。
【0220】
STAは、APから送信された通信パラメータ要求に基づいて、推奨通信パラメータをAPにフィードバックする(ST302)。推奨通信パラメータをフィードバックするメッセージは、例えば、推奨MCSをフィードバックするメッセージ(例えば、MFB)でもよく、他のメッセージでもよい。STAは、例えば、APとSTAとの間の通信品質に基づいて推奨通信パラメータを決定してもよい。
【0221】
また、AP及びSTAの双方がHARQ動作に対応可能である場合、例えば、推奨通信パラメータには、HARQ動作に関するパラメータが含まれてよい。HARQ動作に関するパラメータは、例えば、HARQ動作(ON又はOFF)でもよく、HARQのタイプ(例えば、CC又はIR)でもよい。
【0222】
APは、STAからフィードバックされた推奨通信パラメータに基づいて、STAに設定する通信パラメータ(例えば、MCS及びHARQ動作)を決定する(ST303)。
【0223】
そして、APは、決定した通信動作に基づいて、STAに対してデータを送信する(ST304)。
【0224】
以上のように、本実施の形態では、APは、STAに要求する通信パラメータに、HARQ動作に関する情報を含める。これにより、APは、STAの通信品質に応じてHARQ動作を適応的に変更できる。よって、本実施の形態によれば、APは、STAの通信品質に対応して過不足の無い適切な通信パラメータに基づくHARQ制御を行うことができる。
【0225】
また、本実施の形態では、例えば、推奨MCSを要求するメッセージ(例えば、MRQ)において、HARQ動作を要求するメッセージを含めることにより、シグナリングの増加を抑制できる。
【0226】
なお、本実施の形態は、実施の形態1及び実施の形態2の何れかと組み合わせてもよい。例えば、APは、本実施の形態で説明したように、STAからフィードバックされる推奨通信パラメータに示されるHARQ動作又は他のパラメータ(例えば、DCM動作、MCS、STS数、帯域幅又はRU割当等)に基づいて、実施の形態1のようにHARQ動作を決定してもよい。または、APは、本実施の形態で説明したように、STAからフィードバックされる推奨通信パラメータに示されるHARQ動作に基づいてHARQ動作を決定し、更に、実施の形態2のようにHARQ動作に基づいて、通信モード(例えば、Extended Range及びDCMの少なくとも一方)を決定してもよい。
【0227】
また、APとSTAとの間において、リンクアダプテーションに関する情報(例えば、シグナリング)は、例えば、MACレイヤにおいて送受信されてもよい。換言すると、HARQ動作を要求するメッセージ、及び、HARQ動作を示す推奨通信パラメータは、MACレイヤにおける信号(例えば、MPDU又はMACフレーム等とも呼ばれる)に含まれてよい。
【0228】
なお、HARQ動作を要求するメッセージ、及び、HARQ動作を示す推奨通信パラメータは、MACレイヤに限らず、他のレイヤ(例えば、物理レイヤ)において送受信されてもよい。また、リンクアダプテーションに関する情報のうち、一部の情報がMACレイヤにおいて送受信され、他の情報が物理レイヤにおいて送受信されてもよい。
【0229】
以上、本開示の各実施の形態について説明した。
【0230】
(他の実施の形態)
上記実施の形態では、一例として、IEEE 802.11axのフォーマットに基づいて説明したが、本開示の一実施例を適用するフォーマットは、11axのフォーマットに限定されない。本開示の一実施例は、例えば、IEEE 802.11axの次世代向け規格であるIEEE 802.11be (EHT)向け、車載向け規格である802.11pの次世代規格であるIEEE 802.11bd(NGV(Next Generation V2X))向けにも適用できる。
【0231】
また、実施の形態1、実施の形態2及び実施の形態3のうち少なくとも2つを組み合わせて適用してもよい。
【0232】
また、上記実施の形態では、APからSTAへの下り回線についてのHARQ動作について説明したが、STAからAPへの上り回線に適用してもよい。
【0233】
本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部または全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0234】
本開示は、通信機能を持つあらゆる種類の装置、デバイス、システム(通信装置と総称)において実施可能である。通信装置は無線送受信機(トランシーバー)と処理/制御回路を含んでもよい。無線送受信機は受信部と送信部、またはそれらを機能として、含んでもよい。無線送受信機(送信部、受信部)は、RF(Radio Frequency)モジュールと1または複数のアンテナを含んでもよい。RFモジュールは、増幅器、RF変調器/復調器、またはそれらに類するものを含んでもよい。通信装置の、非限定的な例としては、電話機(携帯電話、スマートフォン等)、タブレット、パーソナル・コンピューター(PC)(ラップトップ、デスクトップ、ノートブック等)、カメラ(デジタル・スチル/ビデオ・カメラ等)、デジタル・プレーヤー(デジタル・オーディオ/ビデオ・プレーヤー等)、着用可能なデバイス(ウェアラブル・カメラ、スマートウオッチ、トラッキングデバイス等)、ゲーム・コンソール、デジタル・ブック・リーダー、テレヘルス・テレメディシン(遠隔ヘルスケア・メディシン処方)デバイス、通信機能付きの乗り物又は移動輸送機関(自動車、飛行機、船等)、及び上述の各種装置の組み合わせがあげられる。
【0235】
通信装置は、持ち運び可能又は移動可能なものに限定されず、持ち運びできない又は固定されている、あらゆる種類の装置、デバイス、システム、例えば、スマート・ホーム・デバイス(家電機器、照明機器、スマートメーター又は計測機器、コントロール・パネル等)、自動販売機、その他IoT(Internet of Things)ネットワーク上に存在し得るあらゆる「モノ(Things)」をも含む。
【0236】
通信には、セルラーシステム、無線LANシステム、通信衛星システム等によるデータ通信に加え、これらの組み合わせによるデータ通信も含まれる。
【0237】
また、通信装置には、本開示に記載される通信機能を実行する通信デバイスに接続又は連結される、コントローラやセンサー等のデバイスも含まれる。例えば、通信装置の通信機能を実行する通信デバイスが使用する制御信号やデータ信号を生成するような、コントローラやセンサーが含まれる。
【0238】
また、通信装置には、上記の非限定的な各種装置と通信を行う、あるいはこれら各種装置を制御する、インフラストラクチャ設備、例えば、基地局、アクセスポイント、その他あらゆる装置、デバイス、システムが含まれる。
【0239】
本開示の一実施例に係る基地局は、通信品質に応じて設定される通信パラメータと、再送制御の動作との何れか一方に基づいて、他方を決定する制御回路と、決定された前記通信パラメータ又は前記再送制御の動作に基づいて端末と通信を行う通信回路と、を具備する。
【0240】
本開示の一実施例において、前記制御回路は、前記通信パラメータに基づいて、前記再送制御の動作を決定する。
【0241】
本開示の一実施例において、前記通信パラメータは、通信モードの設定を示し、前記制御回路は、前記通信モードの設定に基づいて、前記再送制御の動作及び前記再送制御のタイプの少なくとも一方を決定する。
【0242】
本開示の一実施例において、前記再送制御に関する情報は、前記端末へ通知する情報を割り当てる複数のビットのうち、前記通信モードが設定される場合に使用されないビットに定義される。
【0243】
本開示の一実施例において、前記通信モードが設定される場合において、前記制御回路は、前記端末へ通知する情報のコンスタレーションを、新規送信と再送とで異ならせる。
【0244】
本開示の一実施例において、前記端末へ通知する情報が割り当てられる複数の領域におけるコンスタレーションの組み合わせと、前記再送制御に関する情報とが関連付けられる。
【0245】
本開示の一実施例において、前記制御回路は、前記再送制御の動作に基づいて、前記通信パラメータを決定する。
【0246】
本開示の一実施例において、前記通信パラメータは、通信モードの設定を示し、前記制御回路は、前記再送制御の動作に基づいて、前記通信モードの設定を決定する。
【0247】
本開示の一実施例において、前記端末へ通知する情報が割り当てられるビットに対して、前記再送制御の動作が設定される場合に定義される前記通信パラメータと、前記再送制御の動作が設定されない場合に定義される前記通信パラメータとは異なる。
【0248】
本開示の一実施例において、前記制御回路は、前記端末に要求する前記通信パラメータに、前記再送制御に関する情報を含める。
【0249】
本開示の一実施例に係る端末は、通信品質に応じて設定される通信パラメータと、再送制御の動作との何れか一方に基づいて、他方を決定する制御回路と、決定された前記通信パラメータ又は前記再送制御の動作に基づいて基地局と通信を行う通信回路と、を具備する。
【0250】
本開示の一実施例において、前記制御回路は、前記基地局に要求する前記通信パラメータに、前記再送制御に関する情報を含める。
【0251】
本開示の一実施例に係る通信方法は、基地局が、通信品質に応じて設定される通信パラメータと、再送制御の動作との何れか一方に基づいて、他方を決定し、決定された前記通信パラメータ又は前記再送制御の動作に基づいて端末と通信を行う。
【0252】
本開示の一実施例に係る通信方法は、端末が、通信品質に応じて設定される通信パラメータと、再送制御の動作との何れか一方に基づいて、他方を決定し、決定された前記通信パラメータ又は前記再送制御の動作に基づいて基地局と通信を行う。
【0253】
2019年4月23日出願の特願2019-081799の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0254】
本開示の一実施例は、無線通信システムに有用である。
【符号の説明】
【0255】
100,300 AP
101,201 送信パケット生成部
102,202 変調部
103,203 無線送受信部
104,204 アンテナ
105,205 復調部
106,206 受信パケット復号部
107 通信モード判定部
108 HARQ制御部
200,400 STA
207 通信品質測定部
301,401 制御部
302 通信パラメータ要求部
402 通信パラメータ決定部