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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】スイッチング回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
H02M3/155 H
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021525844
(86)(22)【出願日】2019-11-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(86)【国際出願番号】 CN2019117276
(87)【国際公開番号】W WO2020098615
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2021-05-28
【審判番号】
【審判請求日】2023-10-18
(31)【優先権主張番号】201811349612.6
(32)【優先日】2018-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】コン、ティエンシュン
(72)【発明者】
【氏名】リャン、チンタオ
(72)【発明者】
【氏名】シルバン、イボン
(72)【発明者】
【氏名】ユアン、ペイリャン
(72)【発明者】
【氏名】ファン、シャンイェ
(72)【発明者】
【氏名】チャン、チェンユ
【合議体】
【審判長】林 毅
【審判官】山崎 慎一
【審判官】脇岡 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-175503(JP,A)
【文献】特開2006-157132(JP,A)
【文献】特開2008-193282(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0033793(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0073082(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1入力端子および出力端子を有する充電副回路と、
第1端子、第2端子、および制御端子を有するスイッチング副回路であって、前記制御端子は前記充電副回路の前記出力端子に接続され、前記出力端子から出力に基づいて制御されるスイッチング副回路と、
前記スイッチング副回路の前記第1端子と前記第2端子のうちの一方に接続され、第1ノードを有する機能副回路であって、前記第1ノードの動作電圧は入力電源の入力電圧より高い、SEPIC回路である機能副回路と、
第1コンデンサと、
を含むスイッチング回路であって、
前記スイッチング副回路は1つまたは複数のNMOSスイッチを含み、
前記第1コンデンサの一方の端子は前記機能副回路に接続される前記スイッチング副回路の前記第1端子と前記第2端子のうちの前記一方に接続されるとともに、前記1つまたは複数のNMOSスイッチのボディダイオードに接続され、前記第1コンデンサの別の端子は接地され、
前記充電副回路の前記第1入力端子は前記第1ノードに接続されるものであり、
前記スイッチング副回路の前記第1端子と前記第2端子のうちの他方は前記入力電源に接続され、前記充電副回路は前記入力電源に接続される第2入力端子をさらに含むものであり、
前記充電副回路は第1ダイオード、第2ダイオード、および第2コンデンサを含み、 前記第1ダイオードのアノードは前記充電副回路の前記第2入力端子として前記入力電源に接続され、カソードは前記スイッチング副回路の前記制御端子に接続され、
前記第2コンデンサの一方の端子は前記スイッチング副回路の前記制御端子に接続されて他方の端子は接地され、
前記第2ダイオードのアノードは前記充電副回路の前記第1入力端子として前記第1ノードに接続されて、前記第2ダイオードのカソードは前記スイッチング副回路の前記制御端子に接続される、スイッチング回路。
【請求項2】
複数の入力電源が存在する場合の、スイッチング回路であって、
第1入力端子および出力端子を有する充電副回路と、
前記複数の入力電源に一対一に接続された複数のスイッチング副回路であって、第1端子、第2端子、および制御端子を有するスイッチング副回路であって、前記制御端子は前記充電副回路の前記出力端子に接続され、前記出力端子から出力に基づいてオン又はオフに制御されるスイッチング副回路と、
前記スイッチング副回路の前記第1端子と前記第2端子のうちの一方に接続され、第1ノードを有する機能副回路であって、前記第1ノードの動作電圧は前記複数の入力電源の入力電圧より高い、SEPIC回路である機能副回路と、
第1コンデンサと、
を含むスイッチング回路であって、
前記スイッチング副回路は1つまたは複数のNMOSスイッチを含み、
前記第1コンデンサの一方の端子は前記機能副回路に接続される前記スイッチング副回路の前記第1端子と前記第2端子のうちの前記一方に接続されるとともに、前記1つまたは複数のNMOSスイッチのボディダイオードに接続され、前記第1コンデンサの別の端子は接地され、
前記充電副回路の前記第1入力端子は前記第1ノードに接続されるものであり、
前記スイッチング副回路の前記第1端子と前記第2端子のうちの他方は前記入力電源に接続され、前記充電副回路は前記入力電源に接続される第2入力端子をさらに含むものであり、
前記充電副回路は第1ダイオード群、第2ダイオード、および第2コンデンサを含み、
前記第1ダイオード群の各ダイオードのアノードは前記複数の入力電源に一対一に接続された前記複数の第2入力端子のうちの一つとしての機能を果たし、カソードは前記スイッチング副回路の前記制御端子に接続され、
前記第2コンデンサの一方の端子は前記スイッチング副回路の前記制御端子に接続されて他方の端子は接地され、
前記第2ダイオードのアノードは前記充電副回路の前記第1入力端子として前記第1ノードに接続されて、前記第2ダイオードのカソードは前記スイッチング副回路の前記制御端子に接続され、
前記複数のスイッチング副回路のそれぞれに対して、前記スイッチング副回路の前記第1端子と前記第2端子のうちの一方は前記機能副回路に接続され、前記第1端子と前記第2端子のうちの他方は前記対応する入力電源に接続され、前記制御端子は前記充電副回路の前記出力端子に接続され、
前記充電副回路は前記複数の入力電源に一対一に接続された複数の第2入力端子をさらに含む、スイッチング回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は電子デバイスの分野に関し、特にスイッチング回路に関する。
【背景技術】
【0002】
PチャネルMOSFETは、容易に駆動できるという事実から大電流用途での逆保護スイッチ、例えば入力保護スイッチや出力スイッチとして電子回路でしばしば使用される。しかし、PチャネルMOSFETは比較的高価で性能が低く、選択できる種類は多くないため、PMOSの入力保護スイッチおよび出力スイッチの開発は限定的であった。
【発明の概要】
【0003】
本開示はスイッチング回路を提供し、単純な構成でスイッチング回路を駆動することができる。
【0004】
本開示の例示の実施形態の一側面によれば、
第1入力端子および出力端子を有する充電副回路と、
第1端子、第2端子、および制御端子を有するスイッチング副回路であって、制御端子は充電副回路の出力端子に接続される、スイッチング副回路と、
スイッチング副回路の第1端子と第2端子のうちの一方に接続され、第1ノードを有する機能副回路であって、第1ノードの動作電圧は入力電源の入力電圧より高い、機能副回路と、
を含むスイッチング回路であって、
スイッチング副回路は1つまたは複数のNMOSスイッチを含み、
充電副回路の第1入力端子は第1ノードに接続される、
スイッチング回路が提供される。
【0005】
一例として、スイッチング副回路の第1端子と第2端子のうちの他方は入力電源に接続され、充電副回路は入力電源に接続される第2入力端子をさらに含む。
【0006】
別の例として、スイッチング回路は第1コンデンサをさらに含み、第1コンデンサの一方の端子は機能副回路に接続されるスイッチング副回路の第1端子と第2端子のうちの前記一方に接続され、第1コンデンサの別の端子は接地される。
【0007】
別の例として、充電副回路は第1ダイオード、第2ダイオード、および第2コンデンサを含み、第1ダイオードのアノードは充電副回路の第2入力端子として入力電源に接続され、カソードはスイッチング副回路の制御端子に接続され、第2コンデンサの一方の端子はスイッチング副回路の制御端子に接続されて他方の端子は接地され、第2ダイオードのアノードは充電副回路の第1入力端子として第1ノードに接続されて、第2ダイオードのカソードはスイッチング副回路の制御端子に接続される。
【0008】
別の例として、機能副回路の出力端子はスイッチング副回路の第1端子と第2端子のうちの一方に接続され、スイッチング副回路の第1端子と第2端子のうちの他方は機能副回路の出力信号を出力するように出力端子として使用される。
【0009】
別の例として、多数の入力電源が存在する場合に、スイッチング回路は多数の入力電源にそれぞれ対応する多数のスイッチング副回路を含み、多数のスイッチング副回路のそれぞれに対して、スイッチング副回路の第1端子と第2端子のうちの一方は機能副回路に接続され、第1端子と第2端子のうちの他方は対応する入力電源に接続され、制御端子は充電副回路の出力端子に接続され、充電副回路は多数の入力電源に接続される多数の第2入力端子をさらに含む。
【0010】
別の例として、多数のスイッチング副回路のそれぞれは鏡像状に接続される一対のNチャネルMOSFETを含み、多数のスイッチング副回路の制御端子は充電副回路の出力端子に接続される。
【0011】
別の例として、充電副回路は第1ダイオード群、第2ダイオード、および第2コンデンサを含み、第1ダイオード群の各ダイオードのアノードは多数の入力電源に接続される多数の第2入力端子のうちの一つとしての機能を果たし、カソードはスイッチング副回路の制御端子に接続され、第2コンデンサの一方の端子はスイッチング副回路の制御端子に接続されて他方の端子は接地され、第2ダイオードのアノードは充電副回路の第1入力端子として第1ノードに接続されて、第2ダイオードのカソードはスイッチング副回路の制御端子に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本開示およびその利点のより完全な理解を得るために、以下の説明が図面と共に参照される。
図1】本開示の例示の実施形態に係るスイッチング回路のブロック図を示す。
図2A】本開示の例示の実施形態に係るスイッチング回路が入力スイッチング回路として使用される場合の、回路のブロック図を示す。
図2B】本開示の例示の実施形態に係るスイッチング回路が入力スイッチング回路として使用される場合の、回路の基本回路図を示す。
図3A】本開示の例示の実施形態に係るスイッチング回路が出力スイッチング回路として使用される場合の、回路のブロック図を示す。
図3B】本開示の例示の実施形態に係るスイッチング回路が出力スイッチング回路として使用される場合の、回路の基本回路図を示す。
図4】本開示の例示の実施形態に係るスイッチング回路の特定の実装方法を示す。
図5A】本開示の例示の実施形態に係るスイッチング回路が多入力スイッチへ適用される場合の、回路のブロック図を示す。
図5B】本開示の例示の実施形態に係るスイッチング回路が多入力スイッチへ適用される場合の、回路の基本回路図を示す。
図6】本開示の例示の実施形態に係るスイッチング回路が多入力スイッチの経路のうちの一つへ適用される場合の、回路の特定の実装方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の実施形態を図面を参照して以下で説明する。ただし、これらの説明は例示に過ぎず、本開示の範囲を制限する必要はないことを理解されたい。さらに、以下の説明では、周知の構造および技術の説明は、本開示の概念を不必要に複雑にすることを避けるため、割愛される。
【0014】
本明細書で使用される用語は特定の実施形態を説明することを目的としているに過ぎず、本開示を制限することは意図していない。また、本明細書で使用される「a」や「the」といった単語は、文脈の中で特に明確に示されない限り、「多数の」という意味も含むべきである。さらに、本明細書で使用される「含む(comprise)」や「含む(include)」といった用語は、言及された特徴、ステップ、動作、および/または部品の存在を示すが、1つまたは複数の他の特徴、ステップ、動作、および/または部品の存在または追加を排除しない。さらに、本明細書では、明確に示されない限り、「バイポーラ接合トランジスタ」および「トランジスタ」という用語は区別せずに使用できる。
【0015】
本明細書で使用される用語(専門用語および科学用語を含む)のすべては、特に規定されない限り、当業者により一般に理解されている意味を有する。本明細書で使用される用語は、本明細書の文脈に沿った意味を有すると解釈されるべきであり、理想化された意味で、あるいは過度に堅苦しく解釈されるべきではないということに留意されたい。
【0016】
いくつかのブロック図および/またはフローチャートが図面に示されている。ブロック図および/またはフローチャートにおけるいくつかのブロックまたはその組み合わせはコンピュータプログラム命令により実装できることを理解されたい。こうしたコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラム可能なデータ処理手段の処理装置へ提供することができて、その結果、こうした命令は、処理装置により実行された場合にこれらのブロック図および/またはフローチャートに示される機能/動作を実現する手段を作り出すことができる。
【0017】
したがって、本開示の技術は、ハードウェアおよび/またはソフトウェア(ファームウェア、マイクロコードなどを含む)の形態で実現することができる。さらに、本開示の技術は、命令が記憶されたコンピュータ可読媒体上のコンピュータプログラム製品の形を取ることができて、このコンピュータプログラム製品は命令実行システムにより使用される、または命令実行システムと共に使用することができる。本開示の文脈では、コンピュータ可読媒体は、命令を含む、記憶する、伝達する、伝搬させる、または送信することができる任意の媒体とすることができる。例えば、コンピュータ可読媒体には、制限されないが、電気式、磁気式、光学式、電磁式、赤外線式、または半導体のシステム、装置、デバイス、または伝搬媒質を含みうる。コンピュータ可読媒体の具体的な例としては、磁気テープやハードディスク(HDD)などの磁気式記憶手段、光ディスク(CD-ROM)などの光学式記憶手段、ランダムアクセスメモリ(RAM)やフラッシュメモリなどのメモリ、および/または有線/無線通信リンクが挙げられる。
【0018】
本開示の実施形態は、単純な構成でNMOSスイッチを駆動することができるスイッチング回路を提供する。
【0019】
図1は、本開示の例示の実施形態に係るスイッチング回路100のブロック図を示す。図1に示されるように、スイッチング回路100は、充電副回路110、スイッチング副回路120、および機能副回路130を含みうる。具体的には、スイッチング副回路120は1つまたは複数のNMOSスイッチを含みうる。機能副回路130は特定の機能を実行するように構成されている回路とすることができて、この回路の特徴は、第1ノード、すなわち、入力電源電圧より高い電圧を有するノードAの存在である。充電副回路110の第1入力端子は機能副回路130のノードAに接続され、充電副回路110の出力端子はスイッチのオン/オフ切替を制御する目的でスイッチング副回路120の制御端子に接続される。つまり、充電副回路はノードAの電圧を用いて充電され、機能副回路に接続されるスイッチのオン/オフ切替はこれにより制御される。
【0020】
図1は本開示の例示の実施形態に係るスイッチング回路の構造ブロック図を模式的に示すに過ぎず、本開示の例示の実施形態に係るスイッチング回路は、使用される状況に応じてより多くの、またはより少ないデバイスを含みうることに留意されたい。本開示の例示の実施形態に係るスイッチング回路が入力スイッチング回路、出力スイッチング回路、多入力スイッチング回路として使用される場合のスイッチング回路の特定の構成の具体的な説明が以下で与えられる。
【0021】
図2Aおよび図2Bは、本開示の例示の実施形態に係るスイッチング回路が入力スイッチング回路として使用される場合の、回路のブロック図および基本回路図を示す。
【0022】
図2Aに示されるように、本開示の例示の実施形態に係るスイッチング回路が入力スイッチング回路として使用される場合、回路200は充電副回路210、入力スイッチング副回路220、および機能副回路230を含みうる。入力スイッチング副回路220は、入力電源Vinに接続される入力端子と機能副回路230に接続される出力端子とを有し、入力スイッチング副回路220は1つまたは複数のNMOSトランジスタを含みうる。さらに、充電副回路210は、機能副回路のノードAに接続される第1入力端子、入力電源に接続される第2入力端子、および入力スイッチング副回路220の制御端子に接続される出力端子を有し、ノードAの動作電圧は入力電源電圧より高い。充電副回路210は、入力スイッチング副回路220がオンにされる場合に入力スイッチング副回路220を駆動する補助電源として機能するように、入力スイッチング副回路220がオンになるより前に予備充電を実行するよう構成されうる。入力スイッチング副回路220の入力端子は入力電源Vinに接続され、入力スイッチング副回路220の出力端子は、機能副回路230に対して入力逆保護を行うために機能副回路230に接続される。入力スイッチング副回路220は、充電副回路210からの出力の制御に従ってオン、またはオフにされるように構成されうる。さらに、スイッチング回路200はあるいは第1コンデンサC1も含みうる。第1コンデンサC1の一方の端子は入力スイッチング副回路220の出力端子に接続され、他方の端子は接地される。機能副回路230はノードAと示される第1ノードを有し、第1ノードの動作電圧は入力電源の入力電圧Vinより高い。上記の動作電圧を有するノードは、スイッチモード電源内に容易に見つけられる。例えば、SEPIC回路を例にすると、MOSFETドレイン(SEPIC_MOS_Drain)の電圧はそのような特徴を持っている。具体的には、MOSFETドレインの電圧は入力電圧と出力電圧の合計に等しい。したがって、SEPIC回路では、MOSFETのドレインを第1ノードに選ぶことができる。
【0023】
本開示の例示の実施形態に係る入力スイッチング回路200の具体的な構造について、図2Bを参照して詳細に説明する。図2Bに示されるように、充電副回路210は第1ダイオードD1、第2ダイオードD2、および第2コンデンサC2を含みうる。第1ダイオードD1のアノードは第2入力端子として入力電源Vinに接続することができて、カソードは入力スイッチング副回路220の制御端子に接続される。第2コンデンサC2の一方の端子は入力スイッチング副回路220の制御端子に接続することができて、他方の端子は接地される。さらに、第2ダイオードD2のアノードは充電副回路の前記第1入力端子として機能副回路230の第1ノードに接続されて、第2ダイオードD2のカソードは入力スイッチング副回路220の制御端子に接続される。
【0024】
入力スイッチング副回路220は、Nチャネル金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)Q1として実現することができる。図中のトランジスタQ1は内在するボディダイオードも有し、その結果、Q1がオンとなる前に順方向電流路が提供されることに留意されたい。
【0025】
さらに、入力コンデンサとして、第1コンデンサC1は大きな静電容量を持つコンデンサであってもよい。
【0026】
図3Aおよび図3Bは、本開示の例示の実施形態に係るスイッチング回路が出力スイッチング回路300として使用される場合の、回路のブロック図および基本回路図を示す。
【0027】
図3Aに示されるように、本開示の例示の実施形態に係るスイッチング回路が出力スイッチング回路として使用される場合、出力スイッチング回路300は充電副回路310、出力スイッチング副回路320、および機能副回路330を含みうる。出力スイッチング副回路320の入力端子は機能副回路330の出力端子に接続され、別の端子が出力スイッチング回路300の出力として使用される。出力スイッチング副回路320は1つまたは複数のNMOSトランジスタを含みうる。上述したように、充電副回路310は、機能副回路のノードAに接続される第1入力端子、および出力スイッチング副回路320の制御端子に接続される出力端子を有することができて、ノードAの動作電圧は入力電源電圧より高い。充電副回路310は、出力スイッチング副回路320がオンにされる場合に出力スイッチング副回路320を駆動する補助電源として機能するように、出力スイッチング副回路320がオンになるより前に予備充電を実行するよう構成されうる。出力スイッチング副回路320は、機能副回路330に対して出力逆保護を行う。出力スイッチング副回路320は、機能副回路330の出力結果を出力する、または出力しないように、充電副回路310からの出力の制御に従ってオン、またはオフにされるように構成されうる。本開示の例示の実施形態に係る入力スイッチング回路200の具体的な構造について、図3Bを参照して詳細に説明する。図3Bに示されるように、出力スイッチング副回路320はNMOSトランジスタQ3として実現されうる。充電副回路310はダイオードD2およびコンデンサC2を含みうる。ダイオードD2のアノードは充電副回路の第1入力端子として機能副回路330の第1ノードに接続されて、ダイオードD2のカソードは出力スイッチング副回路320の制御端子に接続される。コンデンサC2の一方の端子は出力スイッチング副回路320の制御端子に接続することができて、他方の端子は接地される。
【0028】
図4は、本開示の例示の実施形態に係るスイッチング回路の特定の実装方法を示す。図4に示されるように、SEPIC回路430を機能副回路の例として、本開示の例示の実施形態に係るスイッチング回路の実装方法が示されている。図に示されるように、スイッチング回路は充電副回路410、入力スイッチング副回路420、機能副回路430、および出力スイッチング副回路440を含む。さらに、スイッチング回路は追加でMCU制御副回路250も含みうる。この例ではスイッチング回路は入力スイッチング副回路420および出力スイッチング副回路430を両方含むものとして示されているが、本開示はこれに制限されず、あるいは入力スイッチング副回路420と出力スイッチング副回路430のうちの一つを含むことがある、ということに留意されたい。つまり、充電副回路410および機能副回路430に加えて、スイッチング回路は入力スイッチング副回路420と出力スイッチング副回路430のうちの一方のスイッチング副回路のみを含むことがある。
【0029】
図4に示されるように、充電副回路410は第1ダイオードD1、第2ダイオードD2、および第2コンデンサC2を含むことができて、第1ダイオードD1のアノードは入力電源に接続され、第2ダイオードD2のアノードはSEPIC回路内のMOSFETのドレイン、SEPIC_MOS_Drainに接続される(つまり、機能副回路の第1ノードとして機能する)。さらに、充電副回路410は第1ダイオードD1と直列に接続される抵抗器R3を追加で含みうることで、第2コンデンサC2への突入電流を制御することが可能となる。スイッチング機能を実行するためのN型MOSFET Q1を含むことに加えて、入力スイッチング副回路420は、トランジスタQ1のベースがあまりに高い電圧となるのを防ぐデバイスと、抵抗マッチングおよび電流保護のためのデバイス(つまり、ダイオードD3、コンデンサC3、および抵抗器R1)も含みうる。
【0030】
N型MOSFET Q1がオンになっていない(つまり、入力電源VinがダイオードD1、コンデンサR3、およびコンデンサC2に印加されたばかりであり、C2に蓄積される電圧がまだQ1をオンにしていない)場合、入力電源Vinは第1ダイオードD1を介して第2コンデンサC2を充電し、その結果、N型MOSFET Q1は第2コンデンサC2の電圧の作用下で部分的にオンになる。さらに、入力電源はN型MOSFET Q1に内在するボディダイオードを介して第1コンデンサC1を充電する。第1コンデンサC1の電圧がSEPICコンバータ230をオンにするのに充分である場合、第1コンデンサC1はSEPICへ電力を急速に供給し、その結果、SEPICコンバータ230の第1ノードの電圧、すなわち、SEPICコンバータのドレイン(SEPIC_MOS_Drain)の電圧は入力電圧Vinより高く、その結果、第1ノードは第2ダイオードD2を介して第2コンデンサC2を充電する。その後、第2コンデンサC2の電位がN型MOSFET Q1を完全にオンにするのに充分である場合、充電サブモジュールは補助電源としてN型MOSFET Q1を完全にオンにする。
【0031】
したがって、充電副回路を追加し、機能副回路の(入力電圧より高い)高電位を有するノードを引き出して充電サブモジュールを充電することで、追加の補助電源を必要とすることなく、NMOSスイッチを制御できる入力スイッチング回路が実現される。このソリューションでは、入力スイッチの制御は単純な回路構造を用いて実現される。
【0032】
上述したように、上記の様々な副回路に加えて、スイッチング回路は出力スイッチング副回路440も含みうる。図4に示されるように、入力スイッチング副回路420と同様に、出力スイッチング副回路440は機能部品(すなわちNMOSトランジスタQ3)および他の部品(抵抗器R4、コンデンサC4、およびツェナーダイオードD4)を含むものとして実現されうる。出力スイッチング副回路440の制御端子は、充電副回路410により切替制御されるように、充電副回路410の出力端子に接続される。
【0033】
さらに、スイッチング回路はあるいはトランジスタQ4、Q6および抵抗器R7、R6を含みうるMCU出力制御副回路450も含みうる。MCU出力制御副回路450は出力側にMCU制御を導入するよう構成することができて、その結果、ソフトウェアを用いて追加の制御を受けることができる。例えば、MCUを用いて別の追加ロジック条件が導入されて、その結果、追加ロジック条件が真でコンデンサC2の電圧が出力スイッチQ3をオンにするのに充分な場合のみ出力スイッチQ3をオンにすることができて、そうでなければ出力スイッチQ3はオフにされる。
【0034】
上記のスイッチング回路に含まれるデバイスは例示に過ぎず、スイッチング回路は、その機能性が影響されないという条件で、より多くの、またはより少ないデバイスを含みうることに留意されたい。例えば、スイッチング回路は追加で他のデバイスまたは副回路を含むことができる、または、本開示で特許請求される保護範囲を逸脱することなく図面に示される特定のデバイスまたは副回路を省くことができる。
【0035】
さらに、本開示の別の側面によれば、多入力スイッチング回路も提供される。図5Aおよび図5Bは、本開示の例示の実施形態に係るスイッチング回路が多入力スイッチへ適用される場合の、回路500のブロック図および基本回路図を示す。
【0036】
図5Aに示されるように、多入力用のスイッチング回路500は、多数の入力スイッチング副回路520(例えば入力スイッチング副回路520-1、520-2、...520-n)、充電副回路510、および機能副回路530を含みうる。多数の入力スイッチング副回路520は多数の入力Vin(例えばVin-1、Vin-2、...、Vin-n)にそれぞれ対応することができて、多数の入力スイッチング副回路520のそれぞれは対応する入力電源に接続される入力端子と、機能副回路530に対して入力逆保護を行うために機能副回路530に接続される出力端子とを有する。充電副回路510の第1入力端子は機能副回路530の第1ノードに接続され、第2入力端子の対応する各ポートは多数の入力のそれぞれに接続され、充電副回路の出力端子は多数の入力スイッチング副回路520の各制御端子に接続される。さらに、多入力スイッチング回路500はあるいは第1コンデンサC1も含みうる。第1コンデンサC1の一方の端子は入力スイッチング副回路520の各出力端子に接続され、他方の端子は接地される。第1ノードはどの入力電源の入力電圧よりも高い動作電圧を有する、機能副回路530のノードである。
【0037】
本開示の例示の実施形態に係る多入力スイッチング回路500の具体的な構造について、図5Bを参照して詳細に説明する。図5Bに示されるように、多数の入力スイッチング副回路520のそれぞれは、鏡像状に接続される(すなわち、逆並列に接続される)NチャネルMOSFETのペア、例えばNMOSトランジスタのペアQ11とQ21、Q12とQ22、...、Q1nとQ2nを含み、多数の入力スイッチング副回路の制御端子は充電副回路510の出力端子に接続される。また、各MOSトランジスタは、ドレインとソースの間に内在するボディダイオードを有する。MOSトランジスタの各ペアにおいて、第1MOSトランジスタのボディダイオード(i=1、2、...、nとしてQ1iと示される)はそのMOSチャネルがオンになる前に順方向電流経路を提供し、第2MOSトランジスタのボディダイオード(i=1、2、...、nとしてQ2iと示される)は、順方向電流が第2MOSトランジスタのNチャネルを介するのではなく第1MOSトランジスタのボディダイオードを介して直接後続の回路へ達するのを防ぐ。
【0038】
充電副回路510は、第1ダイオード群(すなわち、ダイオードD11、D12、...、D1n)、第2ダイオードD2、および第2コンデンサC2を含みうる。第2ダイオードD2のアノードは充電副回路510の第1入力端子として機能副回路530の第1ノードに接続されて、第2ダイオードD2のカソードは入力スイッチング副回路520の制御端子に接続される。第1ダイオード群D11、D12、...、D1nの各ダイオードのアノードは充電副回路の第2入力端子として対応する入力電源に接続され、カソードは入力スイッチング副回路520の制御端子に接続される。第2コンデンサC2の一方の端子は入力スイッチング副回路520の制御端子に接続され、他方の端子は接地される。
【0039】
一例では、多数の入力を有するスイッチが図5Bに示される骨格構造に従って構成される場合、多入力スイッチはあるいはMCUからの制御を導入するように構成されているMCU入力制御副回路を含むこともできて、その結果、特定の一つの入力電源または多数の入力電源をMCUからの追加論理制御に従って選択し、オンにするすることができる。例えば、第1入力電源Vin-1が必要な場合、MOSトランジスタのペアQ11とQ21のチャネルのみがオンにされて、一方で、第1入力電源Vin-1が確実に選択されてオンとなるように、MOSトランジスタのペアQ12とQ22~MOSトランジスタのペアQ1nとQ2nのチャネルはMCUと充電副回路の共同制御によりオフとされる。したがって、第1入力電源Vin-1以外の入力電源に対してはMOSトランジスタのペアのチャネルはすべてオフにされてMOSトランジスタのペア(より詳細には、MOSトランジスタのペアのボディダイオード)は逆並列に接続されているので、対応する入力電源は、MOSトランジスタのチャネルを介してSEPICコンバータへ伝達することはできず、MOSトランジスタのボディダイオードを介してSEPICコンバータへ伝達することもできない。本開示は一つの入力電源がMCU入力制御副回路を用いて選択されてオンとなる場合を示しているが、本開示はこれに制限されないことを当業者は理解するであろう。本開示は、多数の入力電源、または入力電源のすべてが同時にオンにするように選択する、またはどの入力電源もオンにならないように選択しないことができる。
【0040】
特定の一つの入力電源(例えば第1入力電源Vin-1)がMCU入力制御副回路を用いて選択されてオンとなる場合、図6のスイッチング回路構造図が得られる。図6は、本開示の例示の実施形態に係るスイッチング回路が多入力スイッチの経路のうちの一つへ適用されて、第1入力電源Vin-1が選択されてオンとなる場合の回路の特定の実装方法を示す。図4と同様に、図6は本開示の例示の実施形態に係る多入力スイッチング回路の実装方法を示し、SEPIC回路を機能副回路630の例としている。図に示されるように、図6のスイッチング回路は入力スイッチング副回路620、充電副回路610、機能副回路630、出力スイッチング副回路640、および第1コンデンサC1を含みうる。さらに、図6のスイッチング回路は追加でMCU出力制御副回路650-1およびMCU入力制御副回路650-2も含む。MCU出力制御副回路650-1およびMCU入力制御副回路650-2は、それぞれ出力側と入力側にMCU制御を導入することができて、その結果、ソフトウェアを用いて追加の制御を行うことができる。
【0041】
図6の充電副回路610は図4に示される充電副回路410と類似しており、充電副回路410は第1ダイオードD1、第2ダイオードD2、および第2コンデンサC2を含みうる。しかし、図4とは異なり、図6の入力スイッチング副回路620は、前述したように多数の入力電源を選択してオンにするために鏡像状に接続される一対のMOSトランジスタQ1およびQ2を含みうる。さらに、入力スイッチング副回路620に含まれるツェナーダイオードD3、コンデンサC3、および抵抗器R1の機能は図4と同じであり、具体的には、これらはトランジスタQ1およびQ1のベースが過度に高い電圧となるのを防ぐため、ならびに抵抗マッチングおよび電流保護のために使用される。
【0042】
第1入力電源Vin-1がMCU入力制御副回路650-2の制御により選択されてオンとなるが、入力スイッチング副回路620はオンにならない場合、第1入力電源Vin-1は第1ダイオードD1を介して第2コンデンサC2を充電し、その結果、入力スイッチング副回路620はコンデンサC1の電圧の作用下で部分的にオンになり、部分的にオンにされるトランジスタQ2およびQ1のボディダイオードを介して第1コンデンサC1が充電される。第1コンデンサC1がSEPICコンバータ630をオンにするのに充分な場合に、第1コンデンサC1はSEPICへ電力を急速に供給し、その結果、SEPICコンバータ630の第1ノードの電圧、すなわち、SEPICコンバータのドレイン(SEPIC_MOS_Drain)の電圧は急速にVin-1+Voutに達することで、補助電源としての充電サブモジュール610により入力スイッチング副回路620が完全にオンになる。
【0043】
上述した様々な副回路に加えて、スイッチング回路600はあるいは出力スイッチング副回路640も含みうる。図4の出力スイッチング副回路440と同様に、出力スイッチング副回路640の制御端子は、充電副回路610により切替制御されるように、充電副回路610の出力端子に接続される。
【0044】
したがって、多数の電源を単一の電源変換器に接続することができる多入力スイッチング回路が実現され、さらに、充電副回路を追加し、機能副回路の(入力電圧より高い)高電位を有するノードを引き出して充電サブモジュールを充電することで、追加の補助電源を必要とすることなく、NMOSスイッチの制御が実現される。このソリューションでは、多入力スイッチング回路は単純な回路構造を用いて実現される。
【0045】
以上のように、本開示の例示の実施形態によれば、単純な構成でNMOSスイッチを駆動することができて入力スイッチング回路、出力スイッチング回路、または多入力スイッチング回路へ適用可能なスイッチング回路がハードウェアにより実現される。
【0046】
本開示の例示の実施形態に係る方法の実装の様式について個別に上で説明されたが、上述した実装の様々な様式で記載された特徴は、本開示の概念を逸脱することなく、単一の実装様式に任意の形で統合することもできて、また、単一の実装様式で記載された特徴を多数の実装様式で別々に実現することもできることに留意されたい。
【0047】
本開示は、本開示の特定の例示の実施形態を参照して示され説明されたが、形態および詳細において、添付の請求項およびその均等物により規定される本開示の趣旨および範囲を逸脱することなく、様々な変更を本開示に対して行うことができることを当業者は理解すべきである。したがって、本開示の範囲は上記の実施形態により制限されるべきではなく、添付の請求項により決定され、添付の請求項の均等物により規定されるべきである。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6