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特許75915161,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エンを生成するためのプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エンを生成するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   C07C 17/20 20060101AFI20241121BHJP
   C07C 21/18 20060101ALI20241121BHJP
   C07C 17/354 20060101ALI20241121BHJP
   C09K 3/30 20060101ALI20241121BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20241121BHJP
【FI】
C07C17/20
C07C21/18
C07C17/354
C09K3/30 J
C07B61/00 300
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021559368
(86)(22)【出願日】2020-04-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-25
(86)【国際出願番号】 US2020026570
(87)【国際公開番号】W WO2020206247
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-04-03
(31)【優先権主張番号】62/829,832
(32)【優先日】2019-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515269383
【氏名又は名称】ザ ケマーズ カンパニー エフシー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ション ペン
(72)【発明者】
【氏名】アレン カプロン シーベルト
【審査官】安藤 倫世
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-040965(JP,A)
【文献】特開平06-256236(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105218296(CN,A)
【文献】国際公開第2015/142981(WO,A1)
【文献】スイス国特許発明第00224117(CH,A)
【文献】特公昭49-003502(JP,B1)
【文献】国際公開第2019/023572(WO,A1)
【文献】特表2015-530417(JP,A)
【文献】国際公開第2017/174890(WO,A1)
【文献】特表2017-523174(JP,A)
【文献】Magnetic Resonance in Chemistry,,1998年,36(12),885-891
【文献】Chem.Ber.,1981年,114(2),684-698
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エンを生成するためのプロセスであって、トリクロロエチレン(TCE)を、鉄を含む二量体化触媒及びペンタクロロエタンと接触させて、1,1,2,4,4-ペンタクロロブタ-1,3-ジエン(HCC-2320az)を含む生成物混合物を生成することによって1,1,2,4,4-ペンタクロロブタ-1,3-ジエン(HCC-2320az)を生成する工程と、フッ素化触媒の存在下において気相中で、1,1,2,4,4-ペンタクロロブタ-1,3-ジエン(HCC-2320az)をHFと接触させて、E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン(E-HFO-1336mzz)を含む生成物混合物を生成する工程と、を含む、プロセス。
【請求項2】
前記フッ素化触媒が、炭素;グラファイト;アルミナ;フッ素化アルミナ;フッ化アルミニウム;炭素に担持されたアルミナ;炭素に担持されたフッ化アルミニウム;炭素に担持されたフッ素化アルミナ;フッ化アルミニウムに担持されたフッ化マグネシウム;金属(元素状金属、金属酸化物、金属ハロゲン化物、及び/又は他の金属塩を含む);フッ化アルミニウムに担持された金属;フッ素化アルミナに担持された金属;アルミナに担持された金属;及び炭素に担持された金属;金属の混合物から選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
HFが、1,1,2,4,4-ペンタクロロブタ-1,3-ジエン1モル当たり10~30モルの量で添加される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
300~350℃の範囲の温度で行われる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
0~200psi(0~1.4MPa)の範囲の圧力で行われる、請求項1に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書における開示は、特に1,1,2,4,4-ペンタクロロブタ-1,3-ジエンを含む出発物質からE-及びZ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを生成するためのプロセスに関する。本開示は、更に、1,1,2,4,4-ペンタクロロブタ-1,3-ジエンを生成するためのプロセスを提供する。
【背景技術】
【0002】
過去数十年間にわたり、多くの産業でオゾン層破壊性のクロロフルオロカーボン(ozone depleting chlorofluorocarbon、CFC)類及びヒドロクロロフルオロカーボン(hydrochlorofluorocarbon、HCFC)類に代わる代替物を見つける取り組みがなされてきた。CFC及びHCFCは、冷媒、洗浄剤、熱可塑性及び熱硬化性発泡体用の膨張剤、伝熱媒体、気体誘電体、エアゾール噴射剤、消火剤及び抑火剤、動力サイクル作動流体、重合媒体、微粒子除去流体、キャリア流体、バフ磨き研磨剤、並びに置換乾燥剤としての使用を含む、幅広い用途において使用されてきた。これら多用途の化合物に代わる代替物の探索において、多くの産業でヒドロフルオロカーボン(HFC)の使用が注目されている。HFCは、オゾン層破壊係数がゼロであり、したがって、モントリオール議定書の結果としての現在の規制による段階的廃止によって影響を受けない。
【0003】
オゾン層破壊の問題に加えて、これら用途の多くに関する別の環境問題は、地球温暖化である。したがって、低オゾン層破壊規格を満たし、かつ低地球温暖化係数を有する組成物が必要とされている。特定のヒドロフルオロオレフィンが、これら両目標を満たすと考えられる。したがって、ヒドロフルオロオレフィンを生成するのに有用な中間体及び塩素を含有しないヒドロフルオロオレフィンを提供する製造プロセスが必要とされている。これらの材料は、オゾン破壊係数を有しておらず、地球温暖化係数が低い。
【0004】
参照による組み込み
本明細書において言及する、すべての出版物、特許、及び特許出願については、これら個々の出版物、特許、又は特許出願が参照により組み込まれる旨、具体的且つ個別に示されているのと同一程度に、本明細書中に参照により組み込まれる。矛盾が生じた場合、本明細書中の任意の定義を含め、本出願が優先する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、ヒドロフルオロオレフィンE-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン(E-CFCH=CHCF、E-HFO-1336mzz、E-1336mzz)を生成するためのプロセスを提供する。このプロセスは、フッ素化触媒の存在下において気相中で1,1,2,4,4-ペンタクロロブタ-1,3-ジエン(CCl=CClCH=CCl、HCC-2320az)をフッ化水素(HF)と接触させて、E-CFCH=CHCFを含む生成物混合物を生成する工程を含む。いくつかの実施形態では、生成物混合物は、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-クロロ-2-ブテン(Z-CFCCl=CHCF、Z-HCFO-1326mxz、Z-1326mxz)を更に含む。
【0006】
【化1】
【0007】
いくつかの実施形態では、フッ素化触媒は、クロム系触媒である。クロム触媒は、担持されているか又は担持されていない、オキシフッ化クロム又は酸化クロムであってよい。担持されている場合、オキシフッ化クロム触媒又は酸化クロム触媒は、活性炭、グラファイト、フッ素化グラファイト、又はフッ素化アルミナに担持されていてよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、生成物混合物は、Z-1326mxzを更に含む。いくつかの実施形態では、E-1336mzzは、Z-1336mzzに対して90%超、又は95%超、又は99%超の選択率で生成される。いくつかの実施形態では、生成物は、ガスクロマトグラフ分析に基づいて少なくとも99.5%のE-1336mzzを含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、生成物混合物からE-1336mzzを回収する。いくつかの実施形態では、E-1336mzzを、発泡剤又は伝熱流体などの別の目的のために使用してもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、1,1,2,4,4-ペンタクロロブタ-1,3-ジエン(HCC-2320az、2320az)は、トリクロロエチレン(TCE)の二量体化を含むプロセスに従って生成される。2320azを生成するためのプロセスは、触媒の存在下でTCEを接触させて、2320azを含む生成物混合物を生成する工程を含む。
【0011】
【化2】
【0012】
いくつかの実施形態では、TCEの二量体化は、二量体化プロセスを加速させるペンタクロロエタン(CClCHCl、HCC-120)の存在下で行われる。
【0013】
特定の実施形態では、2320azは、少なくとも80%の選択率で生成され、いくつかの実施形態では、選択率は、90%超、又は95%超、又は99%超、又は99.5%超である。特定の実施形態では、生成物混合物から2320azを回収する。いくつかの実施形態では、未反応のTCEを回収し、再利用する。
【0014】
E-1336mzzを生成するためのプロセスであって、(a)触媒及び任意選択でペンタクロロエタン(CHClCCl)の存在下でトリクロロエチレンを接触させて、2320azを含む生成物混合物を生成する工程と、(b)触媒の存在下において気相中で2320azをフッ化水素と接触させて、E-1336mzzを含む生成物混合物を生成する工程と、を含むプロセスが、本明細書に提供される。
【0015】
Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン(Z-CFCH=CHCF、Z-HFO-1336mzz、Z-1336mzz)を生成するためのプロセスが更に提供される。このプロセスは、(a)触媒及び任意選択でペンタクロロエタンの存在下でトリクロロエチレンを接触させて、2320azを含む生成物混合物を生成する工程と、(b)触媒の存在下において気相中で2320azをフッ化水素と接触させて、E-1336mzzを含む生成物混合物を生成する工程と、(c)E-1336mzzを塩素と接触させて、2,3-ジクロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタン(CFCHClCHClCF、HCFC-336mdd)を含む生成物混合物を生成する工程と、(d)2,3-ジクロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタンを塩基と接触させて、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチン(CFC≡CCF)を含む生成物混合物を生成する工程と、(e)任意選択で触媒の存在下で、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチンを水素と接触させて、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む生成物混合物を生成する工程と、を含む。
【0016】
本開示は、更に、本明細書に開示されるプロセスに従って生成される組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書で使用される際、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」という用語、又はこれらの他の任意の変化形は、非排他的な包含を網羅することを意図する。例えば、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、又は装置は、これらの要素に必ずしも限定されるものではなく、そのようなプロセス、方法、物品、又は装置に対して明示的に記載されていない、又はこれらに固有のものではない、他の要素も含む場合がある。
【0018】
量、濃度、又は他の値若しくはパラメータが、ある範囲、好ましい範囲、又は好ましい上方値及び/若しくは好ましい下方値のリストのいずれかとして与えられている場合に、これらは、範囲が別個に開示されているかに関わらず、任意の範囲上限値又は好ましい上方値及び任意の範囲下限値又は好ましい下方値の任意の対から形成される全ての範囲を、具体的に開示するものとして、理解されるものとする。本明細書に数値範囲が記述されている場合、特に指示しない限り、この範囲は、その端点を包含し、かつその範囲内の全ての整数及び分数を包含することが意図される。
【0019】
「回収する」とは、後続の反応工程の出発材料として、又は、例えば、冷媒若しくは発泡体膨張剤若しくは溶媒若しくは消火剤若しくは電子ガスとして有用なE-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン若しくはZ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを回収する場合、その意図する用途に利用可能になるように、所望の生成物を十分に単離することを意味する。
【0020】
回収工程の詳細は、生成物混合物の、後続の反応工程の反応条件との適合性に依存する。例えば、後続の反応工程とは異なるか又は不適合である反応媒体中で生成物が生成される場合、回収工程は、反応媒体を含む生成物混合物から所望の生成物を分離することを含んでいてよい。この分離は、所望の生成物が反応条件下で揮発性であるとき、接触工程と同時に行ってもよい。所望の生成物の揮発は、所望の生成物の単離及びそれによる回収を構成することができる。蒸気が、所望の生成物から分離することを意図する他の材料を含む場合、例えば、選択的蒸留によって所望の生成物を分離してもよい。
【0021】
所望の生成物を生成物混合物から回収する工程は、好ましくは、所望の生成物を生成するために使用されるか又はプロセスで生成される生成物混合物の触媒又は他の成分から所望の生成物を分離することを含む。
【0022】
本開示は、とりわけ、一段階でE-1336mzzを生成するためのプロセスを提供する。出発物質は、1,1,2,4,4-ペンタクロロブタ-1,3-ジエンを含み、これは、トリクロロエチレンから生成することができ、1つのプロセスは、本明細書に記載の通りである。
【0023】
1,1,2,4,4-ペンタクロロブタ-1,3-ジエン(2320az)の生成
1,1,2,4,4-ペンタクロロブタ-1,3-ジエン(HCC-2320az又は2320az)は、トリクロロエチレン(TCE)の二量体化によって本開示に従って生成され得る。いくつかの実施形態では、2320azを含む生成物混合物を生成するためのプロセスであって、高温でTCEを二量体化触媒と接触させることを含むプロセスが提供される。
【0024】
いくつかの実施形態では、二量体化触媒は、鉄を含む。鉄二量体化触媒は、任意の供給源(供給源の組み合わせを含む)からの金属鉄を含んでいてよく、そして、鉄粉末、鉄線、鉄網、又は鉄削り屑であってもよく、これらを含んでいてもよい。鉄触媒はまた、塩化第二鉄又は塩化第一鉄(それぞれFeCl又はFeCl)などの鉄塩を含んでいてもよい。
【0025】
いくつかの実施形態では、二量体化触媒は、銅を含む。銅二量体化触媒は、任意の供給源(供給源の組み合わせを含む)からの金属銅を含んでいてよく、そして、例えば、銅粉末又は銅線であってもよく、これらを含んでいてもよい。銅触媒はまた、塩化第一銅又は塩化第二銅(それぞれCuCl又はCuCl)などの第一銅塩又は第二銅塩を含んでいてもよい。
【0026】
このプロセスは、好ましくは、無水環境で実施される。例えば、塩化第二鉄を使用する場合、塩化第二鉄は好ましくは無水である。
【0027】
いくつかの実施形態では、二量体化触媒は、使用されるTCE反応物質のモルに対して特定の濃度を有する。したがって、触媒が金属鉄触媒を含むいくつかの実施形態では、Fe線(又はFe粉末)触媒のTCEに対する重量比は、約0.0001~約1である。他の実施形態では、鉄触媒のTCEに対する重量比は、約0.01~1である。
【0028】
いくつかの実施形態では、二量体化触媒は、塩化第二鉄を含み、塩化第二鉄のTCEに対する重量比は、約0.00001~約1である。例えば、塩化第二鉄のTCEに対する重量比は、約0.00001~約0.002であるが、別の例では、重量比は、約0.00005~約0.001である。更に別の例では、塩化第二鉄のTCEに対する重量比は、約0.0001~約1であるが、更なる例では、塩化第二鉄のTCEに対する比は、約0.00015~約1である。
【0029】
いくつかの実施形態では、トリクロロエチレンを二量体化触媒及びペンタクロロエタンと接触させる。ペンタクロロエタン(HCC-120)は、反応を加速させて、2320azを含む生成物混合物を生成する。特定の実施形態では、HCC-120のTCEに対する重量比は、約0.001~約1である。他の実施形態では、HCC-120のTCEに対する重量比は、約0.005~約1である。
【0030】
TCEの二量体化は、高温、例えば、約210~約235℃の範囲の温度で行われる。温度は、200℃超であってもよい。温度は、245℃未満であってもよい。
【0031】
圧力は、典型的には、自己(autogenous)である。
【0032】
接触(滞留)時間は、典型的には、約0.5~10時間である。
【0033】
いくつかの実施形態では、TCEの変換率は、少なくとも15%、又は少なくとも30%、又は少なくとも50%である。いくつかの実施形態では、2320azに対する選択率は、少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%である。
【0034】
二量体化反応における副生成物は、テトラクロロエタン異性体、テトラクロロブタジエン異性体、ヘキサクロロブテン異性体、トリクロロエチレンオリゴマーを含み得る。2320azを含む生成物混合物は、E-1,1,2,3,4-ペンタクロロ-1,3-ブタジエン又はZ-1,1,2,3,4-ペンタクロロ-1,3-ブタジエンを更に含んでいてもよい。したがって、一実施形態では、1,1,2,4,4-ペンタクロロブタ-1,3-ジエン、E-1,1,2,3,4-ペンタクロロブタ-1,3-ジエン、及びZ-1,1,2,3,4-ペンタクロロブタ-1,3-ジエンを含む組成物が存在する。
【0035】
プロセスは、例えば、本明細書に記載の通り、E-1336mzz、HCFC-336mdd、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチン、及びHFO-Z-1336mzzを生成するためのプロセスにおいて、生成物混合物から2320azを回収した後、回収された2320azを出発物質として使用することを更に含んでいてよい。
【0036】
生成物混合物から2320azを回収するためのプロセスは、当該技術分野において既知である蒸留などの精製技術のうちの1つ又は任意の組み合わせを含み得る。生成物混合物から2320azを「回収する」ことによって、少なくとも95%、又は少なくとも97%、又は少なくとも99%の2320azを含む生成物が生成される。
【0037】
特定の実施形態では、2320azを生成するためのプロセスは、生成物混合物からトリクロロエチレンを回収する工程と、回収されたトリクロロエチレンを本明細書に記載の二量体化プロセスに再利用することと、を更に含んでいてもよい。
【0038】
特定の実施形態では、2320azを生成するためのプロセスは、生成物混合物からヘキサクロロブテン異性体を回収する工程と、回収されたヘキサクロロブテン異性体を本明細書に記載の二量体化プロセスに再利用することと、を更に含んでいてもよい。
【0039】
特定の実施形態では、2320azを生成するためのプロセスは、生成物混合物からペンタクロロエタンを回収する工程と、回収されたペンタクロロエタンを本明細書に記載の二量体化プロセスに再利用することと、を更に含んでいてもよい。
【0040】
存在する場合、E-1,1,2,3,4-ペンタクロロ-1,3-ブタジエン及びZ-1,1,2,3,4-ペンタクロロ-1,3-ブタジエンなどの他の生成物も回収され得る。
【0041】
E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの生成
フッ素化触媒の存在下で1,1,2,4,4-ペンタクロロブタ-1,3-ジエン(2320az)をHFと接触させて、E-HFO-1336mzzを含む生成物混合物を提供することを含むフッ素化プロセスが、本明細書に提供される。このプロセスでは、1336mzzのE異性体が、優勢な1336mzz異性体として生成される。
【0042】
本発明の気相反応において使用することができるフッ素化触媒は、炭素;グラファイト;アルミナ;フッ素化アルミナ;フッ化アルミニウム;炭素に担持されたアルミナ;炭素に担持されたフッ化アルミニウム;炭素に担持されたフッ素化アルミナ;フッ化アルミニウムに担持されたフッ化マグネシウム;金属(元素状金属、金属酸化物、金属ハロゲン化物、及び/又は他の金属塩を含む);フッ化アルミニウムに担持された金属;フッ素化アルミナに担持された金属;アルミナに担持された金属;及び炭素に担持された金属;金属の混合物から選択してよい。
【0043】
フッ素化触媒(任意選択で、アルミナ、フッ化アルミニウム、フッ素化アルミナ、又は炭素に担持される)において使用するのに好適な金属としては、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、マンガン、レニウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、チタン、ジルコニウム、及びハフニウム、銅、銀、金、亜鉛、及び/又は58~71の原子番号を有する金属(すなわち、ランタニド金属)が挙げられる。好ましくは、担体上で使用される場合、触媒の総金属含有量は、触媒の総重量に基づいて約0.1~約20重量%であり、典型的には、触媒の総重量に基づいて約0.1~約10重量%である。
【0044】
このプロセスに有用なフッ素化触媒としては、オキシフッ化クロム又は酸化クロムなどのクロム系触媒が挙げられ、当該触媒は、担持されていなくてもよく、又は活性炭、グラファイト、フッ素化グラファイト、若しくはフッ素化アルミナなどの担体に担持されていてもよい。クロム触媒は、単独で使用されてもよく、又はニッケル、コバルト、マンガン、若しくは亜鉛塩から選択される共触媒の存在下で使用されてもよい。いくつかの実施形態では、クロム触媒は、高表面積酸化クロム、又はその生成が欧州特許第486,333号に報告されているフッ化アルミナ上のクロム/ニッケル(Cr/Ni/AlF)である。
【0045】
オキシフッ化クロム触媒は、Cr(酸化クロム)をHF、CClF、又はヒドロフルオロカーボンで処理することによって作製することができる。本発明のいくつかの実施形態では、オキシフッ化クロム触媒は、乾燥CrをCClF又はHFなどのフッ素化剤で処理することによって作製される。この処理は、Crを好適な容器(フッ素化反応を実施するために使用される反応器であってよい)に入れ、その後、好適な温度(例えば、約200℃~450℃)で好適な時間(例えば、約15~300分)、乾燥Cr上にHFを通すことによって達成することができる。
【0046】
本発明の他の実施形態では、オキシフッ化クロム触媒は、高温でCrをヒドロフルオロカーボンで処理することによって作製される。本発明の他の実施形態では、オキシフッ化クロム触媒は、その場で作製される。Crは、Engelhard Corporation(Iselin,NJ)から市販されている。
【0047】
Crはまた、当該技術分野において公知のプロセスで生成されてもよい。
【0048】
クロム触媒は、典型的には、窒素流下である時間にわたって350~400℃の温度にクロム触媒を加熱し、その後、当該触媒をHF及び窒素又はHF及び空気流下で追加の時間にわたって加熱することを含むプロセスによって、使用前に活性化させることが好ましい。
【0049】
いくつかの実施形態では、気相フッ素化は、反応の規模に対して適切なサイズの任意の反応容器を含む反応ゾーンで行うことができる。いくつかの実施形態では、反応ゾーンは、耐腐食性の材料で構成された反応容器である。いくつかの実施形態では、これらの材料は、Hastelloy(登録商標)などのニッケル系合金、商標Inconel(登録商標)でSpecial Metals Corp.から市販されているニッケル-クロム合金(以下、「Inconel(登録商標)」)若しくは商標Monel(登録商標)でSpecial Metals Corp.(New Hartford,New York)から市販されているニッケル-銅合金などの合金、又はフルオロポリマーで内張りされた容器を含む。他の実施形態では、反応容器は、ステンレス鋼、特にオーステナイト型のもの、及び銅覆鋼を含む他の構造材料で作製されていてもよい。
【0050】
HFの2320azに対するモル比は、いくつかの実施形態では、約1~約35である。他の実施形態では、HFの2320azに対するモル比は、約1~約25である。HFは、2320az1モル当たり10~30モルの量で添加してよい。
【0051】
いくつかの実施形態では、フッ素化プロセスは、高温、例えば275~375℃の範囲の温度で実施される。いくつかの実施形態では、温度は、375℃超であってもよい。他の実施形態では、温度は、275℃未満であってもよい。他の実施形態では、温度は、300~350℃の範囲である。
【0052】
いくつかの実施形態では、フッ素化プロセスは、0~200psi(0~1.4MPa)の範囲の圧力で実施される。
【0053】
いくつかの実施形態では、フッ素化プロセスのための接触時間は、約3~約120秒間であってよい。他の実施形態では、フッ素化プロセスのための接触時間は、約20~約100秒間であってよい。他の実施形態では、フッ素化プロセスのための接触時間は、約50~約80秒間であってよい。
【0054】
ある実施形態では、E-1336mzzを含む生成物混合物は、HFC-338mf(1,1,1,2,2,4,4,4-オクタフルオロブタン、CFCHCFCF)、HFC-356mff(1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタン、CFCHCHCF)、及びZ-HCFO-1326mxz(トランス-2-クロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブテン、CFCCl=CH)を更に含む。
【0055】
別の実施形態では、E-1336mzzを含む生成物混合物は、Z-1336mzz(Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン、シス-CFCH=CHCF)、HFC-338mf(1,1,1,2,2,4,4,4-オクタフルオロブタン、CFCHCFCF)、HFC-356mff(1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタン、CFCHCHCF)、Z-HCFO-1326mxz(トランス-2-クロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブテン、CFCCl=CHCF)、HCFO-1335、及びE-HCFO-1326mxz(シス-2-クロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブテン、CFCCl=CHCF)を更に含む。
【0056】
HCFO-1335は、E-及び/又はZ-HCFO-1335mzz(CFCH=CHCFCl)並びにE-及び/又はZ-HCFO-1335mzx(CFCH=CClCFH)のうちの1つ以上である。
【0057】
別の実施形態では、E-1336mzzを含む生成物混合物は、Z-1336mzz(Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン、シス-CFCH=CHCF)、HFC-338mf(1,1,1,2,2,4,4,4-オクタフルオロブタン、CFCHCFCF)、HFC-356mff(1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタン、CFCHCHCF)、Z-HCFO-1326mxz(トランス-2-クロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブテン、CFCCl=CHCF)、HCFO-1335、E-HCFO-1326mxz(シス-2-クロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブテン、CFCCl=CHCF)、1327mz(1,1,1,2,4,4,4-ヘプタフルオロ-1-ブテンのZ及びE異性体)、346mdf、143a(1,1,1-トリフルオロエタン)、236fa(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン)、1233xf(2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン)、1317(クロロヘプタフルオロブテン)、1314(テトラクロロクロロテトラフルオロブテン)、及び1325(ジクロロペンタフルオロブテン)を更に含む。
【0058】
HCFO-1335は、E-及び/又はZ-HCFO-1335mzz(E-及び/又はZ-1-クロロ-1,1,4,4,4-ペンタフルオロブテン、CFCH=CHCFCl)並びにE-及び/又はZ-HCFO-1335mzx、(E-及び/又はZ-2-クロロ-1,1,4,4,4-ペンタフルオロブテン、CFCH=CClCFH)のうちの1つ以上である。
【0059】
一実施形態では、E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン、1,1,1,2,2,4,4,4-オクタフルオロブタン、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタン、及びZ-2-クロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブテンを含む組成物が存在する。
【0060】
一実施形態では、E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン、1,1,1,2,2,4,4,4-オクタフルオロブタン、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタン、Z-2-クロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブテン、E-2-クロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブテン、及びHCFO-1335を含む組成物が存在する。
【0061】
一実施形態では、E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン、1,1,1,2,2,4,4,4-オクタフルオロブタン、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタン、Z-2-クロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブテン、E-2-クロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブテン、HCFO-1335、Z-及びE-1,1,1,2,4,4,4-ヘプタフルオロ-1-ブテン、2-クロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタン、1,1,1-トリフルオロエタン、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、クロロヘプタフルオロブテン、テトラクロロクロロテトラフルオロブテン、及びジクロロペンタフルオロブテンを含む組成物が存在する。
【0062】
いくつかの実施形態では、E-CFCH=CHCF(E-1336mzz)は、Z-1336mzzに対して90%、92%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%を超える選択率で生成される。
【0063】
プロセスは、生成物混合物の他の成分を低減するために、生成物混合物からE-1336mzzを回収する工程を更に含んでいてもよい。E-1336mzzを回収するためのプロセスは、当該技術分野において既知である蒸留などの精製技術のうちの1つ又は任意の組み合わせを含んでいてよい。生成物混合物からE-1336mzzを「回収する」ことによって、少なくとも98.5%、又は少なくとも99、又は少なくとも99.5%のE-1336mzzを含む生成物が生成される。
【0064】
特定の実施形態では、E-1336mzzを生成するためのプロセスは、生成物混合物から2320azを回収する工程と、回収された2320azを本明細書に記載のフッ素化プロセスに再利用することと、を更に含んでいてもよい。
【0065】
特定の実施形態では、E-1336mzzを生成するためのプロセスは、生成物混合物から不完全にフッ素化された生成物を回収する工程と、回収された当該不完全にフッ素化された生成物を本明細書に記載のフッ素化プロセスに再利用することと、を更に含んでいてもよい。不完全にフッ素化された生成物とは、6個未満のフッ素置換基を有するフッ素化ブタン及びブテンを意味する。不完全にフッ素化された生成物の例としては、HCFO-1335(クロロ-ペンタフルオロブテン、CCl)が挙げられる。
【0066】
いくつかの実施形態では、E-1336mzzを生成するためのプロセスは、(a)二量体化触媒の存在下でトリクロロエチレンを接触させて、2320azを含む生成物混合物を生成する工程と、(b)フッ素化触媒の存在下において気相中で、工程(a)において生成された2320azをフッ化水素と接触させて、E-1336mzzを含む生成物混合物を生成する工程と、を含む。任意選択で、工程(a)の後かつ工程(b)の前に、2320azを回収する。
【0067】
いくつかの実施形態では、E-1336mzzを生成するためのプロセスは、(a)二量体化触媒及びペンタクロロエタンの存在下でトリクロロエチレンを接触させて、2320azを含む生成物混合物を生成する工程と、(b)フッ素化触媒の存在下において気相中で、工程(a)において生成された2320azをフッ化水素と接触させて、E-1336mzzを含む生成物混合物を生成する工程と、を含む。任意選択で、工程(a)の後かつ工程(b)の前に、2320azを回収する。
【0068】
工程(a)及び(b)におけるプロセスの要素の変形例は、本明細書において上記に開示されている。2320azの純度は、典型的には、工程(b)に進む前に少なくとも97%である。
【0069】
いくつかの実施形態では、2320azを含む工程(a)の生成物混合物は、工程(b)の前に回収工程を経る。いくつかの実施形態では、工程(a)の生成物混合物から2320azを回収する。生成物混合物から2320azを回収するための技術としては、蒸留、及び当業者に既知の他の技術が挙げられる。
【0070】
いくつかの実施形態では、TCEの変換率は100%未満であり、工程(a)の生成物混合物中には未反応のTCEが存在する。いくつかの実施形態では、プロセスは、工程(a)と工程(b)との間に、工程(a)の生成物混合物から未反応のTCEを回収することを含む工程(a’)と、回収されたTCEを工程(a)に再利用する工程(a”)と、を更に含む。工程(a)の生成物混合物からTCEを回収するための技術としては、蒸留、及び当業者に既知の他の技術が挙げられる。
【0071】
いくつかの実施形態では、プロセスは、(c)E-1336mzzを塩素源と接触させて、2,3-ジクロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタン(CFCHClCHClCF、HCFC-336mdd)を含む生成物混合物を生成する工程と、(d)2,3-ジクロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタンを塩基と接触させて、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチン(CFC≡CCF)を含む生成物混合物を生成する工程と、(e)1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチンを水素と接触させて、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む生成物混合物を生成する工程と、を更に含む。
【0072】
プロセス工程(c)、(d)、及び(e)は、国際公開第2015/142981号に記載の通り実施してよい。
【0073】
HCFC-336mddの生成
2,3-ジクロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタン(CFCHClCHClCF、HCFC-336mdd)を含む生成物混合物を生成するためのE-1336mzzの塩素源との反応は、塩素源とE-1336mzzとを反応させて、所望のHCFC-336mdd生成物を含む生成物混合物を生成する塩素化プロセスである。このプロセスは、各々好ましくは塩素化触媒の存在下で又は光開始を用いて、液体媒体中の液相において又は気相において実施してよい。液体媒体の例は、E-1336mzz反応物質自体である。
【0074】
光開始は、例えば国際公開第2006/069108(A1)号に記載の通り、光源、塩素(Cl)源、及びE-1336mzz(塩素化される材料)を含む好適な光開始装置において実施される。
【0075】
好適な塩素化触媒の例としては、遷移金属塩化物又は塩化アルミニウムなどのルイス酸が挙げられる。
【0076】
液相中のこの塩素化プロセスのための触媒は、塩化第二鉄、塩化クロム、塩化アルミナ、塩化第二銅、及びこれらのうちの2つ以上の組み合わせから選択され得る。気相中のこの塩素化プロセスのための触媒は、炭素に担持されている塩化第二鉄、塩化クロム、塩化アルミナ、塩化第二銅、及びこれらのうちの2つ以上の組み合わせから選択され得る。
【0077】
塩素化プロセスの温度及び圧力条件は、好ましくは、高い選択率でHCFC-336mddを生成するのに有効であるように選択される。E-1336mzzによって供給されるものなどの液相中のプロセスの実施において、プロセスは、好ましくは、内の圧力が液体状態を維持するのに十分な圧力である閉鎖加圧式反応器で実施される。反応器内の圧力は、自己圧又は高圧であってよい。液体媒体中でプロセスを実行するとき、未反応の塩素をパージし、未反応のE-1336mzzを留去することによって、所望の生成物HCFC-336mddを反応器から回収することができる。蒸留前又は蒸留中又は蒸留後に生成物混合物から触媒が析出するのに十分に高い濃度で存在する場合、触媒を濾過することができる。あるいは、触媒は、蒸留容器内残液(distillation heel)に残留してもよい。
【0078】
管状反応器を使用して、蒸気状態(相)でプロセスを実行してもよい。所望の選択率で所望のHCFC-336mdd反応生成物を生成するのに有効な温度及び滞留時間で反応器に同時に供給されるE-1336mzz及び塩素源との有効な接触のために、ルイス酸などの塩素化触媒を反応器内に位置付けてもよい。塩素化プロセスの温度は、反応器に熱を加えることによって維持される。好ましくは、プロセスの温度は、100℃~200℃の範囲である。管状反応器内の圧力は、好ましくは、約0.1~1MPaである。HCFC-336mddを、蒸留によりこの生成物混合物から回収してもよい。
【0079】
塩素源は、塩素、N-クロロスクシンイミド、次亜塩素酸t-ブチル、塩化オキサリル、及び塩化スルフリルから選択され得る。
【0080】
ある実施形態では、E-1336mzzの塩素源との反応は、塩素化触媒の存在下で行われ、塩素源は塩素(Cl)である。ある実施形態では、E-1336mzzの塩素源との反応は、塩素化触媒の非存在下で行われ、塩素源は塩素(Cl)である。
【0081】
ある実施形態では、E-1336mzzの塩素源との反応は、紫外線照射の存在下で光開始を用いて行われ、塩素源は塩素である。
【0082】
ある実施形態では、E-1336mzzの塩素源との反応は、塩素化触媒の非存在下で行われ、塩素源は、N-クロロスクシンイミド、次亜塩素酸t-ブチル、塩化オキサリル、又は塩化スルフリルである。
【0083】
プロセスは、生成物混合物の他の成分を低減するために、生成物混合物からHCFC-336mddを回収する工程を更に含んでいてもよい。HCFC-336mddを回収するためのプロセスは、当該技術分野において既知である蒸留などの精製技術のうちの1つ又は任意の組み合わせを含んでいてよい。生成物混合物からHCFC-336mddを「回収する」ことによって、少なくとも98.5%、又は少なくとも99、又は少なくとも99.5%のHCFC-336mddを含む生成物が生成される。いくつかの実施形態では、E-1336mzzを回収し、プロセスに再利用してもよく、又は別の目的で使用してもよい。
【0084】
E-1336mzzの塩素化は、好ましくは、反応が液相中で実施されるか気相中で実施されるかにかかわらず、少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%のHCFC-336mddに対する選択率を提供する。
【0085】
336mddを含む生成物混合物は、HCFC-336mfa(2,2-ジクロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタン、CFCClCHCF)及びHCFC-326mda(2,3,3-トリクロロ-1,1,1,4,4,4-トリフルオロプロパン、CFCHClCClCF)のうちの1つ以上を更に含んでいてもよく、これらは、生成物混合物から回収され得る。あるいは、HCFC-336mfa及び/又はHCFC-326mdaを生成物混合物中に保持し、ヘキサフルオロ-2-ブチンを生成するための後続の工程に持ち越してもよい。
【0086】
特定の実施形態では、336mddを生成するためのプロセスは、塩素化生成物混合物から未変換のE-1336mzzを回収する工程と、回収されたE-1336mzzを、本明細書に記載の塩素化プロセスに再利用することと、を更に含んでいてもよい。
【0087】
いくつかの実施形態では、生成物混合物から未変換のE-1336mzzを回収する。いくつかの実施形態では、E-1336mzzを、発泡剤又は伝熱流体などの別の目的のために使用してもよい。
【0088】
1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチンの生成
本開示は、更に、脱塩化水素反応においてHCFC-336mddを塩基と接触させて、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチン(CFC≡CCF)を含む生成物混合物を生成する工程を含むプロセスを提供する。塩基は、好ましくは、塩基性水性媒体である。この反応工程は、好ましくは、触媒の存在下で実施される。好ましくは、塩基性水性媒体は、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ金属ハロゲン化物塩又は他の塩基の水溶液を含む。好ましくは、触媒は、相間移動触媒である。本明細書で使用するとき、相間移動触媒は、有機相と水相との間のイオン性化合物の移動を促進する物質を意味することを意図する。この工程では、有機相はHCFC-336mdd反応物質を含み、水相は塩基性水性媒体を含む。相間移動触媒は、これらの類似していない不適合な成分の反応を促進する。
【0089】
様々な相間移動触媒が様々な様式で機能し得るが、その作用機序は、相間移動触媒が脱塩化水素反応を促進する限り、本発明におけるその有用性を限定するものではない。
【0090】
好ましい相間移動触媒は、四級アルキルアンモニウム塩である。いくつかの実施形態では、四級アルキルアンモニウム塩の少なくとも1つのアルキル基は、少なくとも8個の炭素を含有する。3つのアルキル基が少なくとも8個の炭素原子を含有する四級アルキルアンモニウム塩の例としては、塩化トリオクチルメチルアンモニウムが挙げられる。Aliquat(登録商標)336は、塩化トリオクチルメチルアンモニウムを含有する市販の相間移動触媒である。4つのアルキル基が少なくとも8個の炭素原子を含有する四級アルキルアンモニウム塩の例としては、テトラオクチルアンモニウム塩が挙げられる。このような塩のアニオンは、塩化物若しくは臭化物などのハロゲン化物、硫酸水素、又は任意の他の一般的に使用されるアニオンであってよい。具体的な四級アルキルアンモニウム塩としては、塩化テトラオクチルアンモニウム、硫酸水素テトラオクチルアンモニウム、臭化テトラオクチルアンモニウム、塩化メチルトリオクチルアンモニウム、臭化メチルトリオクチルアンモニウム、塩化テトラデシルアンモニウム、臭化テトラデシルアンモニウム、及び塩化テトラドデシルアンモニウムが挙げられる。このような実施形態によれば、相間移動触媒及び反応条件は、好ましくは1時間当たり少なくとも50%のHCFC-336mddの変換率を達成するのに有効である。
【0091】
他の実施形態では、四級アルキルアンモニウム塩のアルキル基は4~10個の炭素原子を含有し、非イオン性界面活性剤が水性塩基性媒体中に存在する。このような実施形態によれば、相間移動触媒及び反応条件は、好ましくは1時間当たり少なくとも20%のHCFC-336mddの変換率を達成するのに有効である。アルキル基が4~10個の炭素原子を含有する四級アルキルアンモニウム塩のアニオンは、塩化物若しくは臭化物などのハロゲン化物、硫酸水素、又は任意の他の一般的に使用されるアニオンであってよい。上記の四級アルキルアンモニウム塩は、これらのアルキル基が4~10個の炭素原子を含有するならば、この実施形態で使用することができる。特定の追加の塩としては、塩化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、及び硫酸水素テトラブチルアンモニウムが挙げられる。
【0092】
好ましい非イオン性界面活性剤としては、エトキシ化ノニルフェノール又はエトキシ化C12~C15直鎖脂肪族アルコールが挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、Stepan Company(Northfield,IL)から入手可能な、本発明において有用なBio-soft(登録商標)N25-9及びMakon(登録商標)10が挙げられる。
【0093】
いくつかの実施形態では、四級アルキルアンモニウム塩は、HCFC-336mddの0.5モルパーセント~2モルパーセントの量で添加される。他の実施形態では、四級アルキルアンモニウム塩は、HCFC-336mddの1モルパーセント~2モルパーセントの量で添加される。更に他の実施形態では、四級アルキルアンモニウム塩は、HCFC-336mddの1モルパーセント~1.5モルパーセントの量で添加される。いくつかの実施形態では、四級アルキルアンモニウム塩は、HCFC-336mddの1モルパーセント~1.5モルパーセントの量で添加され、添加される非イオン性界面活性剤の重量は、四級アルキルアンモニウム塩の重量の1~2倍である。これらの量は、使用される四級アルキルアンモニウム塩の上記の実施形態のそれぞれに適用される。
【0094】
いくつかの実施形態では、反応は、約60~90℃、最も好ましくは70℃の温度で実施される。
【0095】
塩基性水性媒体は、主に7を超えるpHを有する水性液体である液体(溶液、分散液、エマルション、又は懸濁液などのいずれであるかにかかわらず)である。いくつかの実施形態では、塩基性水溶液は、8を超えるpHを有する。いくつかの実施形態では、塩基性水溶液は、10を超えるpHを有する。いくつかの実施形態では、塩基性水溶液は、10~13のpHを有する。幾つかの実施形態では、塩基性水溶液は、水と混和性であっても不混和性であってもよい有機液体を少量含有する。いくつかの実施形態では、塩基性水溶液中の液体は、少なくとも90%水である。いくつかの実施形態では、水は、水道水であり、他の実施形態では、水は、脱イオン水又は蒸留水である。
【0096】
塩基は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、及びこれらの混合物の水酸化物、酸化物、炭酸塩、又はリン酸塩から選択される。いくつかの実施形態では、塩基は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、及びこれらの混合物から選択される。
【0097】
塩基性水性媒体及び塩基のこれらの実施形態は、上記の相転移触媒、量、及び反応条件の全てに適用される。1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチンの形成に対する選択率は、好ましくは少なくとも85%である。
【0098】
いくつかの実施形態では、336mddの1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチンへの脱塩化水素反応は、アルカリ金属ハロゲン化物塩の存在下で実施される。アルカリ金属は、ナトリウム又はカリウムであってよい。ハロゲン化物は、塩化物又は臭化物であってよい。好ましいアルカリ金属ハロゲン化物塩は、塩化ナトリウムである。任意の特定の理論に束縛されるものではないが、アルカリ金属ハロゲン化物塩は、相間移動触媒を安定化すると考えられている。脱塩化水素反応自体がアルカリ金属塩化物、特に、水酸化ナトリウムを塩基として用いる場合は塩化ナトリウムを生成するが、追加の塩化ナトリウムを添加すると、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチンの収量が増加するという更なる効果が得られる。いくつかの実施形態では、アルカリ金属ハロゲン化物は、相間移動触媒1モル当たり約25~約100当量で添加される。他の実施形態では、アルカリ金属ハロゲン化物は、相間移動触媒1モル当たり約30~約75当量で添加される。更に他の実施形態では、アルカリ金属ハロゲン化物は、相間移動触媒1モル当たり約40~約60当量で添加される。これらの量は、上述の四級アルキルアンモニウム塩のそれぞれに適用される。
【0099】
生成物1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチン(沸点-25℃)は、蒸留によって生成物混合物から回収することができ、この場合、ブチンを水性媒体から蒸発させ、次いで、凝縮させることができる。更に、生成物混合物はまた、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-クロロ-2-ブテン(HCFO-1326、Z異性体、E異性体、又はこれらの混合物)を含有していてもよく、これは生成物混合物から分離し、そして、脱塩化水素反応においてHCFC-336mddを塩基と接触させて、CFC≡CCFを含む生成物混合物を生成する工程を含むプロセス工程に再利用することができる。
【0100】
Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの生成
本開示は、更に、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチンを水素と接触させて、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン(Z-1336mzz)を含む生成物混合物を生成する工程を含む水素化プロセスを提供する。このプロセスは、好ましくは、アルキンのアルケンへの触媒の存在下で実施される。
【0101】
いくつかの実施形態では、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチンの水素化は、液相中でバッチプロセスとして実施される。
【0102】
いくつかの実施形態では、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチンの水素化は、気相中で連続プロセスとして実施される。
【0103】
いくつかの実施形態では、アルキンのアルケンへの触媒は、銀及び/又はランタニドでドープされた、酸化アルミニウム又はケイ酸チタン上に分散しているパラジウムなどのパラジウム触媒である。酸化アルミニウム又はケイ酸チタン上に分散しているパラジウムの担持量は、比較的低い。いくつかの実施形態では、パラジウム担持量は、約100ppm~約5000ppmである。他の実施形態では、パラジウム担持量は、約200ppm~約5000ppmである。いくつかの実施形態では、パラジウム触媒に、銀、セリウム、又はランタンのうちの少なくとも1つをドープする。いくつかの実施形態では、セリウム又はランタンのパラジウムに対するモル比は、約2:1~約3:1である。いくつかの実施形態では、銀のパラジウムに対するモル比は、約0.5:1.0である。
【0104】
アルキン→アルカン触媒の他の実施形態は、鉛化合物で不活化又はコンディショニングされている、炭酸カルシウム担体に担持された不均一パラジウム触媒であるリンドラー触媒である。鉛化合物は、酢酸鉛、酸化鉛、又は任意の他の好適な鉛化合物であってよい。いくつかの実施形態では、触媒は、炭酸カルシウムのスラリーの存在下でパラジウム塩を還元し、続いて、鉛化合物を添加することによって生成される。いくつかの実施形態では、塩化パラジウム中のパラジウム塩。
【0105】
他の実施形態では、リンドラー触媒は、更にキノリンで不活化又はコンディショニングされる。担体に担持されたパラジウムの量は、典型的には約5重量%であるが、任意の触媒的に有効な量であってよい。他の実施形態では、リンドラー触媒中の担体に担持されたパラジウムの量は、5重量%超である。更に他の実施形態では、担体に担持されたパラジウムの量は、約5重量%~約1重量%であり得る。
【0106】
いくつかの実施形態では、用いられる触媒の量は、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチンの量の約0.5重量%~約4重量%である。他の実施形態では、用いられる触媒の量は、ブチンの量の約1重量%~約3重量%である。更に他の実施形態では、用いられる触媒の量は、ブチンの量の約1重量%~約2重量%である。
【0107】
いくつかの実施形態では、この反応工程はバッチ反応であり、溶媒の存在下で実施される。このような一実施形態では、溶媒は、アルコールである。典型的なアルコール溶媒としては、エタノール、i-プロパノール、及びn-プロパノールが挙げられる。他の実施形態では、溶媒は、フルオロカーボン又はヒドロフルオロカーボンである。典型的なフルオロカーボン又はヒドロフルオロカーボンとしては、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5-デカフルオロペンタン及び1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンが挙げられる。
【0108】
いくつかの実施形態では、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチンの水素との反応は、好ましくは、水素を少しずつ添加しながら実施され、各添加により容器の圧力は約100psi(0.69MPa)以下しか増加しない。他の実施形態では、水素の添加は、各添加により容器内の圧力が約50psi(0.35MPa)以下しか増加しないように制御される。いくつかの実施形態では、十分な水素が水素化反応で消費されて、ブチンの少なくとも50%がZ-1336mzzに変換された後、反応の残留物に対して、より大きな増分で水素を添加することができる。他の実施形態では、十分な水素が水素化反応で消費されて、ブチンの少なくとも60%が所望のブテンに変換された後、反応の残留物に対して、より大きな増分で水素を添加することができる。更に他の実施形態では、十分な水素が水素化反応で消費されて、ブチンの少なくとも70%が所望のブテンに変換された後、反応の残留物に対して、より大きな増分で水素を添加することができる。いくつかの実施形態では、水素添加のより大きな増分は、300psi(2.07MPa)であってよい。他の実施形態では、水素添加のより大きな増分は、400psi(2.76MPa)であってよい。
【0109】
いくつかの実施形態では、モル比は、約1モルの1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチンに対して約1モルの水素である。他の実施形態では、ブチンに対する水素のモル比は、約0.9モル~約1.3モルである。更に他の実施形態では、添加される水素の量は、ブチン約1.1モルに対して水素約0.95モルである。更に他の実施形態では、添加される水素の量は、ブチン約1.03モルに対して水素約0.95モルである。
【0110】
いくつかの実施形態では、水素化は、周囲温度(15℃~25℃)で実施される。他の実施形態では、水素化は、周囲温度よりも高い温度で実施される。更に他の実施形態では、水素化は、周囲温度よりも低い温度で実施される。更に他の実施形態では、水素化は、約0℃よりも低い温度で実施される。
【0111】
連続プロセスの実施形態では、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチンと水素との混合物を、触媒を含む反応ゾーンに通す。反応容器、例えば金属管を使用し、触媒を充填して反応ゾーンを形成してもよい。いくつかの実施形態では、水素のブチンに対するモル比は、約1:1である。連続プロセスの他の実施形態では、水素のブチンに対するモル比は、1:1未満である。更に他の実施形態では、水素のブチンに対するモル比は、約0.67:1.0である。
【0112】
連続プロセスのいくつかの実施形態では、反応ゾーンを周囲温度で維持する。連続プロセスの別の実施形態では、反応ゾーンを30℃の温度で維持する。連続プロセスの更に別の実施形態では、反応ゾーンを約40℃の温度で維持する。
【0113】
連続プロセスのいくつかの実施形態では、反応ゾーンにおける滞留時間が約30秒間になるように、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチン及び水素の流速を維持する。連続プロセスの他の実施形態では、反応ゾーンにおける滞留時間が約15秒間になるように、ブチン及び水素の流速を維持する。連続プロセスの更に他の実施形態では、反応ゾーンにおける滞留時間が約7秒間になるように、ブチン及び水素の流速を維持する。
【0114】
1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチン及び水素が反応ゾーンに入る流速を増加させることによって反応ゾーンにおける滞留時間が短縮されることが理解される。流速が増加するにつれて、単位時間当たりの水素化されるブチンの量が増加する。水素化は発熱性であるので、反応ゾーンの長さ及び直径、並びにその放熱能に応じて、より高い流速では、反応ゾーンに外部冷却源を設けて所望の温度を維持することが望ましい場合がある。
【0115】
触媒の選択を含む接触工程の条件は、好ましくは、少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%の選択率でZ-1336mzzを生成するように選択される。
【0116】
いくつかの実施形態では、バッチ式又は連続の異性化プロセスの完了時に、例えば分留を含む任意の従来のプロセスを通してZ-1336mzzを回収することができる。未変換のヘキサフルオロ-2-ブチンを回収し、水素化プロセスに再利用してもよい。他の実施形態では、バッチ式又は連続の水素化プロセスの完了時に、Z-1336mzzは、更なる精製工程を必要としないほど十分な純度を有する。
【実施例
【0117】
材料
トリクロロエチレン、塩化第二鉄、塩化クロム、塩化アルミナ、塩化第二銅、塩素、ペンタクロロエタン(HCC-120)、塩化オクチルメチルアンモニウム(Aliquat(登録商標)336)、NaOH、リンドラー触媒、KHPO、及びKHPOは、Sigma Aldrich(St.Louis,MO)から入手可能である。フッ化水素及びE-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンは、Synquest Labs,Inc.(Alachua,FL)から入手可能である。
【0118】
Agilent(登録商標)5975GC、RESTEK Rtx-1カラムを使用して、実施例1~4のGC分析を実施した。
【0119】
実施例1:1,1,2,4,4-ペンタクロロブタ-1,3-ジエン(HCC-2320az)の調製
トリクロロエチレン(100g、0.76mol)を、30mgの無水FeClを入れたシェーカー管に添加した。反応混合物を230℃で2時間加熱した。反応器の内容物を室温まで冷却し、GCによって分析して、変換及び選択率を求めた。結果を表1に提供する。
【0120】
実施例2:1,1,2,4,4-ペンタクロロブタ-1,3-ジエン(HCC-2320az)の調製
トリクロロエチレン(100g、0.76mol)を、1gの鉄線を入れたシェーカー管に添加した。反応混合物を230℃で2時間加熱した。反応器の内容物を室温まで冷却し、GCによって分析して、変換及び選択率を求めた。結果を表1に提供する。
【0121】
実施例3:1,1,2,4,4-ペンタクロロブタ-1,3-ジエン(HCC-2320az)の調製
トリクロロエチレン(100g、0.76mol)を、20mgの無水FeCl及び1gのHCC-120を入れたシェーカー管に添加した。反応混合物を230℃で2時間加熱した。反応器の内容物を室温まで冷却し、GCによって分析して、変換及び選択率を求めた。結果を表1に提供する。
【0122】
実施例4:1,1,2,4,4-ペンタクロロブタ-1,3-ジエン(HCC-2320az)の調製
トリクロロエチレン(100g、0.76mol)を、1gの鉄線及び1gのHCC-120を入れたシェーカー管に添加した。反応混合物を230℃で2時間加熱した。反応器の内容物を室温まで冷却し、GCによって分析して、変換及び選択率を求めた。結果を表1に提供する。
【0123】
【表1】
【0124】
表1から分かるように、FeCl又はFe線触媒を使用したとき、HCC-120の存在は、トリクロロエチレンの2320azへの変換率を増加させる。
【0125】
実施例5:E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの調製
Inconel(登録商標)チューブ(OD 0.5インチ、長さ15インチ、壁厚0.34)に、12cc(16.35g)の酸化クロム触媒を充填した。反応器をリンドバーグ炉内で275℃まで加熱し、2320az(上記実施例に従って調製)を0.09mL/時で供給し、200℃で制御された気化器を通して5.3sccm(標準立方センチメートル/分)でHFガスを供給した。稼働の過程で、温度を325℃まで昇温した。サンプル実験は全て、1~2psig(7~14kPa)で行った。30sccmのヘリウムでパージした、Agilent(登録商標)6890 GC/5973 MS及びRestek(登録商標)PC2618 5% Krytox(登録商標)CBK-D/60/80 6メートル×2mm ID 1/8”ODパックドカラムを使用して、反応器の流出物をオンラインで分析した。稼働条件を表2に提供する。1時間間隔でサンプルを採取した。サンプル分析を表3に提供する。
【0126】
【表2】
【0127】
【表3】
その他は、1327mz(1,1,1,2,4,4,4-ヘプタフルオロ-1-ブテンのZ及びE異性体)、346mdf(1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタン)、143a(1,1,1-トリフルオロエタン)、236fa(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン)、1233xf(2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン)、1317(クロロヘプタフルオロブテン)、1314(テトラクロロクロロテトラフルオロブテン)、及び1325(ジクロロペンタフルオロブテン)を含有する。
【0128】
実施例6:2,3-ジクロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタン(HCFC-336mdd)の液相調製
この実施例では、液相中でE-1336mzzを触媒的熱的に塩素化して、HCFC-336mddを生成する。ルイス酸触媒を使用する。
【0129】
Hastelloy(登録商標)C反応器で液相反応を行った。液体媒体は、E-1336mzz反応物質であった。使用する場合、触媒は、液相中に存在していた。反応器の内容物をシリンダに移し、GCにより分析して、変換及び選択率を求めた。未反応の塩素をパージし、未反応のE-1336mzzを留去し、触媒を濾過することにより、反応からHCFC-336mddを回収した。反応条件及び結果を表4に示す。
【0130】
【表4】
【0131】
実施例6-1~6-6の各々については、E-1336mzz(20g、0.122モル)及び塩素(8.65g、0.122モル)を、指定の時間にわたって、Hastelloy(登録商標)C反応器内において、FeCl、CrCl、AlCl、又はCuCl触媒(0.4g、0.0025mol)の存在下で、指定の温度に加熱した。指定の温度及び指定の時間を表4に提供する。
【0132】
実施例6-7及び6-8については、E-1336mzz(20g、0.122モル)及び塩素(8.65g、0.122モル)を、表2中の指定の温度まで、210mLのHastelloy(登録商標)C反応器内で、2時間かけて表2中の指定の温度まで加熱した。触媒は存在していなかった。
【0133】
実施例6-1~6-8の結果の比較は、触媒の存在下で、並びに少なくとも130℃又は少なくとも150℃の温度で行われる反応の選好を示す。
【0134】
実施例7:2,3-ジクロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタン(HCFC-336mdd)の気相調製
気相反応の手順は以下の通りであった:Inconel(登録商標)チューブ(OD 0.5インチ、長さ15インチ、壁厚0.34インチ)に、酸洗浄されたTakeda(登録商標)炭素上の塩化第二鉄2cc(1.10gm)を充填した。反応器をリンドバーグ炉内で125℃まで加熱し、CFCH=CHCF(E-1336mzz)を2.42~4.83mL/時で供給し、80℃で制御された気化器を通して6.2~13.0sccm(標準立方センチメートル/分)で塩素ガスを供給した。稼働の過程で、温度を175℃まで昇温した。以下の実験は全て、49~51psig(0.34~0.35MPa)で行った。30sccmのヘリウムでパージした、Agilent(登録商標)6890 GC/5973 MS及びRestek(登録商標)PC2618 5% Krytox(登録商標)CBK-D/60/80 6メートル×2mm ID 1/8”ODパックドカラムを使用して、反応器の流出物をオンラインで分析した。HCFC-336mddを蒸留により回収した。
【0135】
データを表5に示す。サンプルは、1時間間隔で採取する。
【0136】
【表5】
【0137】
表5中、236fa(HFC-236fa、1,1,1,3,3.3-ヘキサフルオロプロパン)及び123(HCFC-123、2.2-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロエタン)は、反応器への供給物中の不純物である。
【0138】
175℃の反応器温度で27~29秒の接触時間をもたらす反応条件から、HCFC-336mddの生成において最良の選択率が得られる。
【0139】
実施例8:1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタン(HCFC-336mdd)の調製
この実施例では、反応を光開始させる。
【0140】
50ガロン(190L)の撹拌反応容器は、冷却ジャケット付きのカラム、オーバーヘッド凝縮器、浸漬管、及び石英ライトウェルを備えていた。ライトウェルには、450ワットの水銀アークランプ電球が装着されている。
【0141】
この反応器に、158kgのE-1336mzzを充填し、この液体を0℃に冷却した。攪拌器を100rpmで作動させ、オーバーヘッド凝縮器を約-20℃に冷却し、ライトを点灯させた。この系に、温度及び圧力を制御するための供給速度を用いて、51時間かけて浸漬管を通して69kgの塩素をゆっくりと添加した。液体反応の温度及び圧力は、それぞれ10℃及び1psig(0.07MPa)を超えないようにした。
【0142】
塩素添加が完了してから、ライトを消灯し、溶液を室温まで加温した。この系を、苛性スクラバーを通して周囲に排気し、粗反応混合物を貯蔵容器に脱インベント(de-inventoried)した。得られた粗反応混合物(663Kg/422L)を3バッチ合わせ、次いで、底部排出弁を備えた200ガロン(750L)の撹拌容器に浸漬管を通して粗反応混合物をゆっくりと添加し、80ガロン(300L)の10% KHPO/KHPO水溶液を充填することによって、HCFC-336mddの回収を行った。添加を行った後、この混合物を3時間激しく撹拌し、次いで、撹拌を停止させた。次いで、伝導率測定を使用して相の変化を判定するために、反応器から下相の有機相をデカントした。得られた中和された有機油状物は、水-白色液状物であり、5~6のpHを有していた。油状物をモレキュラーシーブの床に通して乾燥させ、最終精製のために保管した。7バッチにわたる単離された化学物質の収率は98%であった。得られたGCアッセイ(%FID)は、93.5%の2つの336mddジアステレオマーの組み合わせであり、アッセイの残部は、生成物/出発物質のオリゴマーであると推定された重い未知物質が約6%であり、反応の選択率は93.5%であった。蒸留によって最終精製を行った。
【0143】
実施例9.1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチンの調製
表4中の特定の情報に従って実施例7に記載の気相プロセスを用いてHCFC-336mddを生成して、99.4%のHCFC-336mddの選択率を得た。
【0144】
室温で、塩化トリオクチルメチルアンモニウムであるAliquat(登録商標)336(0.53g、0.001325mol)の存在下において、HCFC-336mdd(23.5g、0.1mol)及び水(5.6mL)にNaOH水溶液(22mL、0.22モル)を添加した。添加後、反応温度を70℃に昇温し、ガスクロマトグラフィーを用いて反応をモニタリングした。反応は、2時間後に完了し、14gの1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチン生成物(変換:100%;収率:86%)をドライアイストラップにて回収した。ブチンを蒸留により精製した。
【0145】
実施例10:Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの調製
以下の手順によって、実施例9に従って生成された1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチンを水素と反応させて、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンの所望のZ異性体を生成した:5gのリンドラー(鉛で被毒したCaCOに担持された5%Pd)触媒を1.3Lのロッカーボム(rocker bomb)に充填した。480g(2.96モル)のヘキサフルオロ-2-ブチンをロッカーに投入した。反応器を冷却し(-78℃)、排気した。ボムを室温に加温した後、Δp=50psi(0.35MPa)を超えない増分で、Hをゆっくり添加した。合計3モルのHを反応器に添加した。粗生成物のガスクロマトグラフィー分析は、混合物が、CFC≡CCF(0.236%)、E-CFCH=CHCFのトランス異性体(0.444%)、飽和CFCHCHCF(1.9%)CF=CHCl、出発ブチン由来の不純物(0.628%)、シス異性体Z-CFCH=CHCF(96.748%)からなることを示した。
【0146】
粗生成物の蒸留によって、287g(収率59%)の100%純粋なシスCFCH=CHCF(沸点33.3℃)を得た。MS:164[MI]、145[M-19]、95[CFCH=CH]、69[CF]。NMR H:6.12ppm(マルチプレット)、19F:-60.9ppm(トリプレットJ=0.86Hz)。Z異性体の形成に対するこの反応の選択率は、96.98%であった。Z異性体を蒸留により回収した。
【0147】
他の実施形態
1.いくつかの実施形態では、本開示は、E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エンを生成するためのフッ素化プロセスであって、フッ素化触媒の存在下において気相中の反応ゾーン内で、1,1,2,4,4-ペンタクロロブタ-1,3-ジエンをフッ化水素と接触させて、E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エンを含む生成物混合物を生成する工程を含む、プロセスを提供する。
2.いくつかの実施形態では、フッ素化触媒は、炭素;グラファイト;アルミナ;フッ素化アルミナ;フッ化アルミニウム;炭素に担持されたアルミナ;炭素に担持されたフッ化アルミニウム;炭素に担持されたフッ素化アルミナ;フッ化アルミニウムに担持されたフッ化マグネシウム;金属(元素状金属、金属酸化物、金属ハロゲン化物、及び/又は他の金属塩を含む);フッ化アルミニウムに担持された金属;フッ素化アルミナに担持された金属;アルミナに担持された金属;及び炭素に担持された金属;金属の混合物から選択される。
3.HFが、1,1,2,4,4-ペンタクロロブタ-1,3-ジエン1モル当たり10~30モルの量で添加される、実施形態1又は2に記載のプロセス。
4.300~350℃の範囲の温度で行われる、実施形態1又は2又は3に記載のプロセス。
5.0~200psi(0~1.4MPa)の範囲の圧力で行われる、実施形態1又は2又は3又は4に記載のプロセス。
6.フッ素化触媒が、金属を含む、実施形態1又は2又は3又は4又は5に記載のプロセス。
7.金属が、フッ化アルミニウム、フッ素化アルミナ、又は炭素に担持されている、実施形態6に記載のプロセス。
8.フッ素化触媒が、クロム系触媒である、実施形態1又は2又は3又は4又は5に記載のプロセス。
9.フッ素化触媒が、オキシフッ化クロム又は酸化クロムを含む、実施形態8に記載のプロセス。
10.フッ素化触媒が、担持されている、実施形態9に記載のプロセス。
11.フッ素化触媒が、活性炭、グラファイト、フッ素化グラファイト、及びフッ素化アルミナから選択される担体に担持されている、実施形態9に記載のプロセス。
12.フッ素化触媒が、担持されていない、実施形態9に記載のプロセス。
13.HFが、1,1,2,4,4-ペンタクロロブタ-1,3-ジエン1モル当たり10~30モルの量で添加される、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12に記載のプロセス。
14.300~350℃の範囲の温度で行われる、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は13に記載のプロセス。
15.トリクロロエチレンを、鉄を含む二量体化触媒と接触させて、1,1,2,4,4-ペンタクロロブタ-1,3-ジエンを含む生成物混合物を生成することによって、1,1,2,4,4-ペンタクロロブタ-1,3-ジエンを生成する工程を更に含む、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は13、又は14に記載のプロセス。
16.トリクロロエチレンを、鉄を含む二量体化触媒及びペンタクロロエタンと接触させる、実施形態15に記載のプロセス。
17.いくつかの実施形態では、本開示は、E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを生成するためのプロセスであって、当該プロセスは、
(a)トリクロロエチレンを二量体化触媒と接触させて、1,1,2,4,4-ペンタクロロブタ-1,3-ジエンを含む生成物混合物を生成することによって、1,1,2,4,4-ペンタクロロブタ-1,3-ジエンを生成する工程と、
(b)オキシフッ化クロム触媒の存在下で1,1,2,4,4-ペンタクロロブタ-1,3-ジエンをHFと接触させて、E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エンを含む生成物を生成する工程と、を含み、当該プロセスは気相プロセスである、プロセスを提供する。
18.いくつかの実施形態では、本開示は、E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを生成するためのプロセスであって、当該プロセスは、
(c)トリクロロエチレンを二量体化触媒及びペンタクロロエタンと接触させて、1,1,2,4,4-ペンタクロロブタ-1,3-ジエンを含む生成物混合物を生成することによって、1,1,2,4,4-ペンタクロロブタ-1,3-ジエンを生成する工程と、
(d)オキシフッ化クロム触媒の存在下で1,1,2,4,4-ペンタクロロブタ-1,3-ジエンをHFと接触させて、E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エンを含む生成物を生成する工程と、を含み、当該プロセスは気相プロセスである、プロセスを提供する。
19.工程(a)と工程(b)との間に、工程(a)の生成物混合物から未反応のトリクロロエチレンを回収することを含む工程(a’)を更に含む、実施形態17又は18に記載のプロセス。
20.工程(a)と工程(b)との間に、工程(a)の生成物混合物から未反応のトリクロロエチレンを回収することを含む工程(a’)と、回収されたトリクロロエチレンを工程(a)に再利用する工程(a”)と、を更に含む、実施形態17又は18に記載のプロセス。
21.生成物混合物の他の成分を低減するために、生成物混合物からE-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エンを回収する工程、及び/又はE-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エンを含む生成物混合物を精製する工程、を更に含む、実施形態1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、13、14、15、16、17、18、19、又は20に記載のプロセス。
22.いくつかの実施形態では、本開示は、1,1,2,4,4-ペンタクロロブタ-1,3-ジエンを生成するためのプロセスであって、トリクロロエチレンをペンタクロロエタン、及び鉄を含む二量体触媒と接触させて、1,1,2,4,4-ペンタクロロブタ-1,3-ジエンを含む生成物混合物を生成する工程を含む、プロセスを提供する。
23.いくつかの実施形態では、本開示は、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エンを生成するためのプロセスであって、
(a)トリクロロエチレンを二量体化触媒と接触させて、1,1,2,4,4-ペンタクロロブタ-1,3-ジエンを含む生成物混合物を生成することによって、1,1,2,4,4-ペンタクロロブタ-1,3-ジエンを生成する工程と、
(b)プロセスが気相プロセスである、フッ素化触媒の存在下で1,1,2,4,4-ペンタクロロブタ-1,3-ジエンをHFと接触させて、E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを含む生成物混合物を生成する工程と、
(c)E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを塩素源と接触させて、2,3-ジクロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタンを含む生成物混合物を生成する工程と、
(d)2,3-ジクロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタンを塩基と接触させて、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチンを含む生成物混合物を生成する工程と、
(e)1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチンをHと接触させて、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エンを含む生成物混合物を生成する工程と、を含む、プロセスを提供する。
24.工程(a)の生成物混合物から1,1,2,4,4-ペンタクロロブタ-1,3-ジエンを回収する工程を更に含む、実施形態23に記載のプロセス。
25.工程(a)の生成物混合物からトリクロロエチレンを回収する工程を更に含む、実施形態23又は24に記載のプロセス。
26.工程(b)の生成物混合物からE-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを回収する工程を更に含む、実施形態23、24、又は25に記載のプロセス。
27.工程(c)の生成物混合物から2,3-ジクロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタンを回収する工程を更に含む、実施形態23、24、25、又は26に記載のプロセス。
28.工程(d)の生成物混合物から1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブチンを回収する工程を更に含む、実施形態23、24、25、26、又は27に記載のプロセス。
29.工程(e)の生成物混合物からZ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンを回収する工程を更に含む、実施形態23、24、25、26、27、又は28に記載のプロセス。
30.いくつかの実施形態では、本開示は、E-1336mzzと、Z-1336mzz(シス-CFCH=CHCF)と、HFC-338mf(1,1,1,2,2,4,4,4-オクタフルオロブタン、CFCHCFCF)と、HFC-356mff(1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタン、又はCFCHCHCF)、Z-HCFO-1326mxz(トランス-2-クロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブテン、CFCCl=CHCF)、HCFO-1335、E-HCFO-1326mxz(シス-2-クロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブテン、CFCCl=CHCF)のうちの1つ以上と、を含む生成物混合物を提供する。HCFO-1335は、HCFO-1335mzz(CFCH=CHCFCl)、HCFO-1335mzx、(CFCH=CClCFH)、E-HCFO-1335mzz、Z-HFO1335mzz、E-HCFO-1335mzx、及びZ-HCFO-1335mzxのうちの1つ以上を含んでいてよい。
31.いくつかの実施形態では、本開示は、E-1336mzzと、Z-1336mzz(シス-CFCH=CHCF)と、HFC-338mf(1,1,1,2,2,4,4,4-オクタフルオロブタン、CFCHCFCF)と、HFC-356mff(1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタン、又はCFCHCHCF)、Z-HCFO-1326mxz(トランス-2-クロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブテン、CFCCl=CHCF)、HCFO-1335、E-HCFO-1326mxz(シス-2-クロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブテン、CFCCl=CHCF)のうちの2つ以上と、を含む生成物混合物であって、HCFO-1335が、HCFO-1335mzz(CFCH=CHCFCl)、HCFO-1335mzx、(CFCH=CClCFH)、E-HCFO-1335mzz、Z-HFO1335mzz、E-HCFO-1335mzx、及びZ-HCFO-1335mzxのうちの1つ以上を含む、生成物混合物を提供する。
32.いくつかの実施形態では、本開示は、E-1336mzzと、Z-1336mzz(シス-CFCH=CHCF)と、HFC-338mf(1,1,1,2,2,4,4,4-オクタフルオロブタン、CFCHCFCF)と、HFC-356mff(1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタン、又はCFCHCHCF)、Z-HCFO-1326mxz(トランス-2-クロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブテン、CFCCl=CHCF)、HCFO-1335、E-HCFO-1326mxz(シス-2-クロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブテン、CFCCl=CHCF)のうちの3つ以上と、を含む生成物混合物であって、HCFO-1335が、HCFO-1335mzz(CFCH=CHCFCl)、HCFO-1335mzx、(CFCH=CClCFH)、E-HCFO-1335mzz、Z-HFO1335mzz、E-HCFO-1335mzx、及びZ-HCFO-1335mzxのうちの1つ以上を含む、生成物混合物を提供する。
33.いくつかの実施形態では、本開示は、E-1336mzz、Z-1336mzz(シス-CFCH=CHCF)、HFC-338mf(1,1,1,2,2,4,4,4-オクタフルオロブタン、CFCHCFCF)と、HFC-356mff(1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタン、又はCFCHCHCF)、Z-HCFO-1326mxz(トランス-2-クロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブテン、CFCCl=CHCF)、HCFO-1335、E-HCFO-1326mxz(シス-2-クロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブテン、CFCCl=CHCF)と、を含む生成物混合物であって、HCFO-1335が、HCFO-1335mzz(CFCH=CHCFCl)、HCFO-1335mzx、(CFCH=CClCFH)、E-HCFO-1335mzz、Z-HFO1335mzz、E-HCFO-1335mzx、及びZ-HCFO-1335mzxのうちの1つ以上を含む、生成物混合物を提供する。
34.一実施形態では、E-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン、1,1,1,2,2,4,4,4-オクタフルオロブタン、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタン、及びZ-2-クロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブテンを含む、組成物が存在する。
35.実施形態34は、Z-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン、E-2-クロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブテン、及びHCFO-1335を更に含む。
36.実施形態35は、Z-及びE-1,1,1,2,4,4,4-ヘプタフルオロ-1-ブテン、2-クロロ-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタン、1,1,1-トリフルオロエタン、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン、クロロヘプタフルオロブテン、テトラクロロクロロテトラフルオロブテン、及びジクロロペンタフルオロブテンを含む、組成物を更に含む。
【0148】
本発明をその詳細な説明と併せて説明してきたが、前述の説明は、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲を例示することを意図し、かつ限定するものではないことを理解すべきである。他の態様、利点、及び変更は、以下の特許請求の範囲内である。本発明が、本発明の任意の特定の態様及び/又は実施形態に関して本明細書に記載される特徴のいずれも、本明細書に記載される本発明の任意の他の態様及び/又は実施形態の他の特徴のいずれかのうちの1つ以上と組み合わせることができ、組み合わせの適合性を確実にするために適宜変更することができることが、当業者により理解されるべきである。このような組み合わせは、本開示により企図される本発明の一部であるとみなされる。