(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】角度調整装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20241121BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20241121BHJP
G09F 9/40 20060101ALI20241121BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20241121BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20241121BHJP
【FI】
G09F9/00 312
G09F9/30 308Z
G09F9/30 365
G09F9/40 301
H05B33/14 A
H10K59/10
(21)【出願番号】P 2021569599
(86)(22)【出願日】2020-12-24
(86)【国際出願番号】 IB2020062425
(87)【国際公開番号】W WO2021140401
(87)【国際公開日】2021-07-15
【審査請求日】2023-12-13
(31)【優先権主張番号】P 2020002836
(32)【優先日】2020-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】野中 大旗
(72)【発明者】
【氏名】藤田 一彦
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 秋男
(72)【発明者】
【氏名】石川 裕太
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0116944(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0044620(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0208699(US,A1)
【文献】中国実用新案第207195430(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0257289(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0126121(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/133-1/1334
1/1339-1/1341
1/1347
G09F9/00-9/46
H04M1/02-1/23
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
H10K50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基礎部品と、第2の基礎部品と、第1の連結部品と、第2の連結部品と、第1の柱状部品と、第2の柱状部品と、第3の柱状部品と、第4の柱状部品と、を有し、
前記第1の基礎部品および前記第2の基礎部品は、それぞれ第1の領域および第2の領域を有し、
前記第1の連結部品および前記第2の連結部品は、それぞれ同一形状の第1の開口部および同一形状の切り欠き部を有し、
前記第1の開口部および前記切り欠き部は、前記第1の連結部品および前記第2の連結部品のそれぞれの長手方向に並んで設けられ、
前記第1の開口部には、前記第1の柱状部品または前記第3の柱状部品が挿入され、
前記切り欠き部には、前記第2の柱状部品または前記第4の柱状部品が挿入され、
前記第1の基礎部品の前記第1の領域は、前記第1の柱状部品、前記第1の連結部品および前記第4の柱状部品を介して前記第2の基礎部品の前記第2の領域と接続され、
前記第2の基礎部品の前記第1の領域は、前記第3の柱状部品、前記第2の連結部品および前記第2の柱状部品を介して前記第1の基礎部品の前記第2の領域と接続される角度調整装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1の基礎部品および前記第2の基礎部品は、それぞれ第1の面、第2の面、第3の面、第4の面および第5の面を有し、
前記第1の面と前記第2の面は、同一形状であり、
前記第3の面と前記第4の面は、同一形状であり、
前記第1の面は、前記第2の面と平行であり、
前記第3の面は、前記第1の面と隣り合い、
前記第4の面は、前記第2の面と隣り合い、
前記第3の面と前記第1の面が成す角度は180°より大きく、270°以下であり、
前記第4の面と前記第2の面が成す角度は180°より大きく、270°以下であり、
前記第3の面と前記第4の面が成す角度は180°より大きく、360°未満であり、
前記第5の面は、前記第1の面乃至前記第4の面のそれぞれと隣り合い、
前記第1の領域および前記第2の領域は、前記第5の面に設けられている角度調整装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記第1の柱状部品は、前記第1の連結部品の前記第1の開口部に挿入され、
前記第2の柱状部品は、前記第2の連結部品の前記切り欠き部に挿入され、
前記第3の柱状部品は、前記第2の連結部品の前記第1の開口部に挿入され、
前記第4の柱状部品は、前記第1の連結部品の前記切り欠き部に挿入され、
前記第1の柱状部品乃至前記第4の柱状部品のそれぞれの長軸は平行である角度調整装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項において、
前記第1の柱状部品は、前記第1の基礎部品の前記第1の領域に固定され、
前記第2の柱状部品は、前記第1の基礎部品の前記第2の領域に固定され、
前記第3の柱状部品は、前記第2の基礎部品の前記第1の領域に固定され、
前記第4の柱状部品は、前記第2の基礎部品の前記第2の領域に固定されている角度調整装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項において、
前記第1の連結部品および前記第2の連結部品は弾性を有し、
前記切り欠き部の形状を弾性変形させることができる角度調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物、方法、または、製造方法に関する。または、本発明は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関する。特に、本発明の一態様は、半導体装置、発光装置、表示装置、電子機器、照明装置、それらの駆動方法、またはそれらの作製方法に関する。特に、本発明の一態様は、角度調整装置、可撓性部品の支持具、および当該可撓性部品の支持具を有する表示装置に関する。
【0002】
なお、本明細書等において、半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指す。トランジスタ、半導体回路、演算装置、記憶装置等は半導体装置の一態様である。また、発光装置、表示装置、照明装置および電子機器は半導体装置を有している場合がある。
【背景技術】
【0003】
携帯電話、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、ラップトップコンピュータなどの電子機器は、その機能、使いやすさ、デザインおよび携帯性などに応じて適切なサイズに作られている。一方で、機能が重複する複数の電子機器を携帯することは不便である。そのため、複数の電子機器の機能を統合できる形態が望まれている。例えば、特許文献1には、三つ折り型の発光パネルが開示されている。当該発光パネルを用いることにより、複数の電子機器の機能を統合し、サイズが可変である電子機器を作製することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
表示部が折り曲げ可能な表示機器は、可撓性基板上に形成された表示パネルの少なくとも一部が支持具に固定され、当該支持具を曲げることによって折り曲げ動作などを行う。このとき、支持具の設計の意図と逆方向の曲げなどを行うと、表示パネル、および支持具が有するヒンジ部などを破壊する恐れがあるため、容易に逆方向に曲がらない工夫があることが好ましい。
【0006】
また、上記表示機器は、様々な形状に変形させた状態で利用される。例えば、平面に展開した状態、折り曲げた状態または所望の角度に曲げた状態(中間状態)などでの利用が想定される。したがって、支持具は、状態を問わず形状を維持できることが好ましい。
【0007】
したがって、本発明の一態様は、部品間の相対的な角度を調整する角度調整装置を提供することを目的の一つとする。または、部品間の相対的な角度を所望の角度に固定することができる角度調整装置を提供することを目的の一つとする。または、可撓性部品を支持するための支持具を提供することを目的の一つとする。または、可撓性部品の信頼性を損なうことなく曲げ動作を行うための支持具を提供することを目的の一つとする。または、可撓性部品の新規な支持具を提供することを目的の一つとする。または、新規な発光装置を提供することを目的の一つとする。
【0008】
または、携帯性の優れた折り畳み式の表示装置を提供することを目的の一つとする。または、表示の視認性の優れた折り畳み式の表示装置を提供することを目的の一つとする。または、省電力機能を有する折り畳み式の表示装置の提供することを目的の一つとする。または、新規な表示装置を提供することを目的の一つとする。
【0009】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。また、上記以外の課題は、明細書等の記載から自ずと明らかになるものであり、明細書等の記載から上記以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、所望の角度に維持可能な角度調整装置、当該角度調整装置を有する支持具、または当該支持具を有する表示装置に関する。
【0011】
本発明の一態様は、第1の基礎部品と、第2の基礎部品と、第1の連結部品と、第2の連結部品と、第1の柱状部品と、第2の柱状部品と、第3の柱状部品と、第4の柱状部品と、を有し、第1の基礎部品および第2の基礎部品は、それぞれ第1の領域および第2の領域を有し、第1の連結部品および第2の連結部品のそれぞれは、第1の開口部および切り欠き部をそれぞれ有し、第1の開口部および切り欠き部は、第1の連結部品および第2の連結部品のそれぞれの長手方向に並んで設けられ、第1の開口部には、第1の柱状部品または第3の柱状部品が挿入され、切り欠き部には、第2の柱状部品または第4の柱状部品が挿入され、第1の基礎部品の第1の領域は、第1の柱状部品、第1の連結部品および第4の柱状部品を介して第2の基礎部品の第2の領域と接続され、第2の基礎部品の第1の領域は、第3の柱状部品、第2の連結部品および第2の柱状部品を介して第1の基礎部品の第2の領域と接続される角度調整装置である。
【0012】
第1の基礎部品および第2の基礎部品は、それぞれ第1の面、第2の面、第3の面、第4の面および第5の面を有し、第1の面と第2の面は、同一形状であり、第3の面と第4の面は、同一形状であり、第1の面は、第2の面と平行であり、第1の面は、第2の面と対向する位置にあり、第3の面は、第1の面と隣り合い、第4の面は、第2の面と隣り合い、第3の面と第1の面が成す角度は180°より大きく、270°以下であり、第4の面と第2の面が成す角度は180°より大きく、270°以下であり、第3の面と第4の面が成す角度は180°より大きく、360°未満であり、第5の面は、第1の面乃至第4の面のそれぞれと隣り合い、第1の領域および第2の領域は、第5の面に設けることができる。
【0013】
第1の柱状部品は、第1の連結部品の第1の開口部に挿入され、第2の柱状部品は、第2の連結部品の切り欠き部に挿入され、第3の柱状部品は、第2の連結部品の第1の開口部に挿入され、第4の柱状部品は、第1の連結部品の切り欠き部に挿入され、第1の柱状部品乃至第4の柱状部品のそれぞれの長軸は平行にすることができる。
【0014】
第1の柱状部品は、第1の基礎部品の第1の領域に固定され、第2の柱状部品は、第1の基礎部品の第2の領域に固定され、第3の柱状部品は、第2の基礎部品の第1の領域に固定され、第4の柱状部品は、第2の基礎部品の第2の領域に固定することができる。
【0015】
第1の連結部品および第2の連結部品は弾性を有し、切り欠き部の形状を弾性変形させることができる。
【0016】
切り欠き部は、第3の領域、第4の領域および第5の領域を有する。第4の領域は、第3の領域と第5の領域との間にあり、第5の領域は、第3の領域と第1の開口部との間にあり、第3の領域乃至第5の領域の上面形状は、弧を含む形状とすることができる。
【0017】
第2の柱状部品の位置を第2の連結部品の第3の領域または第4の領域の一方から他方へ切り替え、第4の柱状部品の位置を第1の連結部品の第3の領域または第4の領域の一方から他方へ切り替えることで、第1の基礎部品と第2の基礎部品の相対的な角度を切り替えることができる。
【0018】
第2の柱状部品が第2の連結部品の第3の領域にあり、第4の柱状部品が第1の連結部品の第3の領域にあるとき、第1の基礎部品の第1の面は、第2の基礎部品の第2の面と向い合せることができる。
【0019】
第2の柱状部品が第2の連結部品の第3の領域にあり、第4の柱状部品が第1の連結部品の第3の領域にあるとき、第1の基礎部品の第3の面は、第2の基礎部品の第4の面と向い合せることができる。
【0020】
さらに、第3の連結部品、第4の連結部品および第5の柱状部品を有し、第3の連結部品および第4の連結部品は、第2の開口部を有し、第3の連結部品は、第1の基礎部品に固定され、第4の連結部品は、第2の基礎部品に固定され、第3の連結部品の第2の開口部および第4の連結部品の第2の開口部には、第5の柱状部品が挿入され、第5の柱状部品の長軸は、第1の柱状部品乃至第4の柱状部品のそれぞれの長軸と平行であり、第5の柱状部品は、第1の基礎部品と第2の基礎部品が接する領域近傍に位置することができる。
【0021】
上記角度調整装置をヒンジ部に設けることで、可撓性部品の支持具を構成することができる。また、当該支持具に可撓性を有する表示パネルを設けて表示装置を構成することができる。
【0022】
表示パネルは、発光デバイスを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一態様を用いることで、部品間の相対的な角度を調整する角度調整装置を提供することができる。部品間の相対的な角度を所望の角度に固定することができる角度調整装置を提供することができる。または、可撓性部品を支持するための支持具を提供することができる。または、可撓性部品の信頼性を損なうことなく曲げ動作を行うための支持具を提供することができる。または、可撓性部品の新規な支持具を提供することができる。または、新規な発光装置を提供することができる。
【0024】
または、携帯性の優れた折り畳み式の表示装置を提供することができる。または、表示の視認性の優れた折り畳み式の表示装置を提供することができる。または、省電力機能を有する折り畳み式の表示装置の提供することができる。または、持ちやすさの優れた折り畳み式の表示装置を提供することができる。または、新規な表示装置を提供することができる。
【0025】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【発明を実施するための形態】
【0027】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略することがある。なお、図を構成する同じ要素のハッチングは、異なる図面間で適宜省略または変更する場合もある。
【0028】
また、回路図上では単一の要素として図示されている場合であっても、機能的に不都合がなければ、当該要素が複数で構成されてもよい。例えば、スイッチとして動作するトランジスタは、複数が直列または並列に接続されてもよい場合がある。また、キャパシタを分割して複数の位置に配置する場合もある。
【0029】
また、一つの導電体が、配線、電極および端子などの複数の機能を併せ持っている場合があり、本明細書においては、同一の要素に対して複数の呼称を用いる場合がある。また、回路図上で要素間が直接接続されているように図示されている場合であっても、実際には当該要素間が一つまたは複数の導電体を介して接続されている場合があり、本明細書ではこのような構成でも直接接続の範疇に含める。
【0030】
また、本明細書では、可撓性部品として代表的に表示パネルを取り扱うが他の部品であってもよい。例えば、太陽電池、一次電池、二次電池、アンテナ、充電コイル、スピーカ、マイク、ケーブル、照明、各種端子、各種配線、各種センサ、各種回路、およびこれらのいずれかの複合デバイスなどが挙げられる。
【0031】
また、本明細書において表示装置とは、表示を行う機能を有する機器全般を指す。すなわち、表示部を有する電子機器は、表示装置に含まれる。例えば、携帯電話、スマートフォン、スマートウォッチ、タブレット型コンピュータ、テレビジョン装置などの表示部を有する電子機器は、表示装置に含まれる。
【0032】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の角度調整装置、支持具および表示装置について、図面を参照して説明する。
【0033】
本発明の一態様は、第1の基礎部品と第2の基礎部品を有し、それらの相対的な角度を切り替える機構を有する角度調整装置である。また、本発明の他の一態様は、当該角度調整装置を有する支持具である。
【0034】
当該角度調整装置は、第1の基礎部品と第2の基礎部品の相対的な位置を固定して保持することができる。例えば、当該角度調整装置と平板などの部品を組み合わせた支持具では、全体を平面に展開した形状、折り曲げた形状、または所望の角度を維持させた形状などで保持することができる。
【0035】
また、当該角度調整装置では、一方向の曲げ動作を可とし、逆方向の曲げを防止することができる。したがって、当該角度調整装置を有する装置の想定外の曲げ動作を防止することができ、当該装置の破損などを防止することができる。
【0036】
<角度調整装置>
図1Aは、本発明の一態様の角度調整装置100を説明する図である。角度調整装置100は、基礎部品101a、101b、連結部品102a、102b、柱状部品103a、103b、104a、104bを有する。基礎部品101aは、他の部品を介して基礎部品101bと接続されている。柱状部品103a、103b、104a、104bには、円柱状または多角柱状の部品を用いることができ、本実施の形態では円柱状の部品を用いる例を説明する。
【0037】
図2Aは、基礎部品101a、101bの形状を説明する斜視図である。基礎部品101a、101bは同一の形状とすることができ、それぞれ、面111、112、113、114、115を有する。面111および面112は、同一形状とすることができる。また、面113および面114は、同一形状とすることができる。
【0038】
面111および面112は平行であって、互いに対向する位置にある。面113は、面111と隣り合う位置にある。面114は、面112と隣り合う位置にある。面113は、面111に対して180°より大きく、270°以下の角度を成して傾斜する。面114は、面112に対して180°より大きく、270°以下の角度を成して傾斜する。面113は、面114に対して180°より大きく、360°未満の角度を成して傾斜する。面115は、面111乃至面114のそれぞれと隣り合う位置にある。
【0039】
面113および面114の傾斜角度を調整することで、角度調整装置100の動作によって基礎部品101aおよび基礎部品101b間に生じる相対角度を調整することができる。ここで、相対角度とは、角度調整装置が有する機構に応じて基礎部品101aおよび基礎部品101bの位置を変化させたときの同一部位間に生じる角度を意味する。
【0040】
また、面115は、領域151、152を有する。領域151、152には、開口部が設けられていてもよい。なお、本実施の形態では、基礎部品101aの領域151、152を領域151a、152aとする。また、基礎部品101bの領域151、152を領域151b、152bとする。
【0041】
基礎部品101a、101bおよび柱状部品103a、103b、104a、104bは、動作時に変形を伴わないことが好ましく、金属、樹脂、セラミクス、またはそれらのいずれか一つ以上を含む複合体などの硬質材料で形成することが好ましい。
【0042】
図2Bは、連結部品102a、102bの形状を説明する上面図である。連結部品102a、102bは同一の形状とすることができ、それぞれ開口部121、切り欠き部122を有する。
【0043】
上面図において、開口部121の中心は、切り欠き部122の長手方向と平行な直線であって、かつ切り欠き部122の中心を通る当該直線上に設けることができる。連結部品102a、102bの形状は、当該直線を軸として線対称とすることができる。開口部121には、柱状部品103aまたは柱状部品103bを挿入することができる。
【0044】
切り欠き部122は、領域122a、122b、122cを有する。領域122aまたは領域122bには、柱状部品104aまたは柱状部品104bを挿入することができる。領域122aおよび領域122bはつながっており、それぞれの上面形状は二つの弧を有する。
【0045】
ここで、
図2Bに示すように、領域122aの一方の弧が点Aを有し、他方の弧が点Bを有し、領域122bの一方の弧が点Cを有し、他方の弧が点Dを有し、点Aおよび点Bが対向し、点Cおよび点Dが対向しているとする。このとき、点A-点B間および点C-点D間の距離L1は、柱状部品104a、104bの長軸に垂直な断面の直径と略同じか、当該直径よりも小さくすることが好ましい。また、領域122aおよび領域122bがつながる領域には、切り欠き部122の短軸方向の幅がL1より小さいL2となる領域が設けられる。
【0046】
当該2つの弧によって、柱状部品104aまたは柱状部品104bが挟持される状態にできるため、切り欠き部122内に挿入される柱状部品104aまたは柱状部品104bは、簡易的に位置を固定することができる。
【0047】
また、領域122cは、開口部121と領域122bとの間に設けられる。領域122bおよび領域122cはつながっており、領域122cの上面形状は弧を有する。
【0048】
連結部品102a、102bは、金属、樹脂、またはその複合体などの硬質材料であって、かつ弾性を有する材料で形成されることが好ましい。ここで、領域122cの弧が有する点Eと、連結部品102a(または102b)の切り欠き部122を除く外周との最短距離をL4とする。このとき、L4を適切な値とすることで、領域122c近傍を支点として、連結部品102a(または102b)の一部を弾性変形させ、L1およびL2の長さを変化させることができる。
【0049】
例えば、連結部品102aにおいて、
図3Aに示すように、初期状態で領域122bに柱状部品104bが挿入された状態であったとする。次に、
図3Bに示すように、柱状部品104bに領域122aの方向に移動する力が働くと、連結部品102aが領域122c近傍を支点として弾性変形し、一時的にL1がL1’(L1<L1’)に変化する。また、L2がL2’(L2<L2’)に変化する。
【0050】
そして、
図3Cに示すように、さらに柱状部品104bに同一方向に移動する力が働くと、柱状部品104bが領域122aに入ったところで連結部品の弾性変形が元に戻る。したがって、柱状部品104bが領域122aに挿入された状態となる。なお、柱状部品104bに逆の方向に移動する力が働けば、
図3Cに示す状態から
図3Aに示す状態に戻すことができる。領域122a、122bは、切り欠き部122における柱状部品104bの安定位置ということもできる。なお、本実施の形態では、示す切り欠き部122に、領域122cおよび領域122bの二つの安定位置を設けた例を示しているが、安定領域は3つ以上であってもよい。
【0051】
上記弾性変形の度合いは、
図2Bに示すL4の長さで調整することができる。L4の長さが長いほど弾性変形しにくく、L4の長さが短いほど弾性変形しやすくなる。したがって、L4の長さは、用途に応じて調整すればよい。
【0052】
なお、領域122cと領域122bとの間の領域が有する点Fと、連結部品102a(または102b)の切り欠き部122を除く外周との最短距離であるL3の長さを調整することによっても、上記弾性変形の度合いを調整することができる。また、上記弾性変形の度合いを連結部品102a(または102b)の厚さ(
図2Bの奥行方向の長さ)を変えて調整してもよい。
【0053】
図4は、角度調整装置100の分解図である。角度調整装置100の一形態では、基礎部品101aの面111と基礎部品101bの面112が接するように配置される。
【0054】
柱状部品103aの長手方向の端部の一方は、領域151aに接続される。柱状部品104aの長手方向の端部の一方は、領域152aに接続される。また、柱状部品103bの長手方向の端部の一方は、領域151bに接続される。柱状部品104bの長手方向の端部の一方は、領域152bに接続される。
【0055】
このとき、柱状部品103a、103bおよび柱状部品104a、104bのそれぞれの長軸は平行であり、基礎部品101aおよび基礎部品101bの面115に対して垂直とする。また、柱状部品103a、103bおよび柱状部品104a、104bのそれぞれは、基礎部品101aおよび基礎部品101bに固定されてもよい。または、柱状部品103a、103bおよび柱状部品104a、104bのそれぞれは、中心線を軸に回転できる状態としてもよい。または、柱状部品103a、104aおよび基礎部品101aは一つの構造物であってもよい。また、柱状部品103b、104bおよび基礎部品101bは一つの構造物であってもよい。
【0056】
上記状態において、柱状部品103bは連結部品102bの開口部121に挿入され、柱状部品104aは連結部品102bの切り欠き部122の領域122aに挿入される。また、柱状部品103aは連結部品102aの開口部121に挿入され、柱状部品104bは連結部品102aの切り欠き部122の領域122aに挿入される。当該構成とすることで、
図1に示す形状となる。
【0057】
このとき、連結部品102bは、柱状部品103bの中心線を軸として回転できる状態とする。また、連結部品102aは、柱状部品103aの中心線を軸として回転できる状態とする。
【0058】
ここで、
図5Aに示すように、基礎部品101aの面111と面113との間の辺を辺Hとし、辺Hを中心軸として基礎部品101a、101bに回転動作を与え、基礎部品101aの面111と基礎部品101bの面112が接する状態(
図5A)から基礎部品101aの面113と基礎部品101bの面114が接する状態(
図5B)に変化させることを考える。なお、辺Hは、基礎部品101bの面112と面114との間の辺ということもできる。
【0059】
図1に示す本発明の一態様の構成で上記と同じ動作を与えると、
図5C、
図5Dに示すように、連結部品102bは、柱状部品103bの中心線を軸として回転するように動き、切り欠き部122に挿入された柱状部品104aの位置は、領域122aから領域122bに変化する。また、連結部品102aは、柱状部品103aの中心線を軸として回転するように動き、切り欠き部122に挿入された柱状部品104bの位置は、領域122aから領域122bに変化する。
【0060】
また、
図5Cの状態から
図5Dへの状態に変化、またはその逆に変化させるためには、連結部品102a、102bを弾性変形させる力を加える必要がある。したがって、当該力を加えないかぎり、
図5Cの状態または
図5Dの状態を保持することができる。
図5Cの状態から
図5Dの状態への変化、またはその逆の変化は、基礎部品101aと基礎部品101bとの互いの相対的な角度を変化させているといえる。したがって、本発明の一態様を角度調整装置として用いることができる。
【0061】
また、
図6A、
図6Bに示すように、本発明の一態様の角度調整装置に連結部品131a、131bを加え、辺Hの位置に物理的な回転軸(柱状部品105)を設けてもよい。
【0062】
図6Aは、基礎部品101a、101bに連結部品131a、131bを組付けた状態を示す図である。
図6Bは、その分解図である。連結部品131a、131b、柱状部品105を設けることで、角度調整装置100の動作を円滑することができ、さらに機械的な強度を高めることができる。
【0063】
基礎部品101a、101bには、
図5Aに示す辺Hの位置に相当する領域およびその周辺に、柱状部品105が挿入できる切り欠き106が設けられる。なお、切り欠き106は、基礎部品101aに設けられる切り欠き領域と、基礎部品101bに設けられる切り欠き領域に分割される。柱状部品105には、円柱状の部品を用いることができ、少なくとも端部の一方は切り欠き106に挿入される。また、柱状部品105の中心軸は、
図5Aに示す辺Hと重なることが好ましい。
【0064】
連結部品131aは、開口部141a、142aを有し、開口部141aには、柱状部品104aが挿入される。また、連結部品131bは、開口部141b、142bを有し、開口部141bには、柱状部品104bが挿入される。また、連結部品131aの一部と連結部品131bの一部は重なるように位置し、開口部142aおよび開口部142bには、柱状部品105が挿入される。
【0065】
なお、
図6A、
図6Bでは、基礎部品101a、101b側から、連結部品131bが内側、連結部品131aが外側に位置しているため、連結部品131aには、位置を安定させるためのスペーサ132が設けられる。スペーサ132の厚さは、連結部品131bと同じか、連結部品131bの厚さより厚いことが好ましい。なお、基礎部品101a、101b側から、連結部品131bが外側、連結部品131aが内側に位置する場合は、連結部品131bにスペーサ132を設ければよい。
【0066】
ここで、連結部品131aは、基礎部品101aに固定することが好ましい。または、連結部品131aは、基礎部品101aに固定された柱状部品104aに固定されていてもよい。また、連結部品131bは、基礎部品101bに固定することが好ましい。または、連結部品131bは、基礎部品101bに固定された柱状部品104bに固定されていてもよい。または、基礎部品101a、柱状部品104aおよび連結部品131aは、一つの構造物であってもよい。また、基礎部品101b、柱状部品104bおよび連結部品131bは、一つの構造物であってもよい。
【0067】
また、柱状部品105は、連結部品131a、連結部品131bのいずれかに固定されていることが好ましい。または、柱状部品105は、切り欠き106を構成する基礎部品101aに設けられる切り欠き領域、基礎部品101bに設けられる切り欠き領域のいずれかに固定されていてもよい。このような構成とすることで、
図7A、
図7Bに示すように柱状部品105を軸として基礎部品101a、101bの回転動作を行うことができる。
【0068】
なお、
図7Aの状態では、柱状部品105が回転軸であって、基礎部品101aの面111と基礎部品101bの面112が接している状態であるため、逆方向の回転動作を抑制することができる。
【0069】
図7C、
図7Dは、
図6A、
図6Bに示す構成に、さらに前述の柱状部品103a、103b、連結部品102a、102bを加えた構成およびその動作による形状の変化を示している。当該構成とすることで、角度調整装置100の動作の信頼性および強度を高めることができる。
【0070】
なお、これまで、基礎部品101aおよび基礎部品101bを一対とした最小限の構成について説明してきたが、基礎部品101aおよび基礎部品101bの数の合計は3個以上であってもよい。
図8A、
図8Bには、一例として、基礎部品101aおよび基礎部品101bの数の合計が7個である構成を示している。
図8A、
図8Bでは、基礎部品101aおよび基礎部品101bのみを図示している。
【0071】
なお、本実施の形態では、
図8Aの状態から
図8Bの状態に変化させるための動作に「折り曲げ」という表現を用いる。また、
図8Bの状態から
図8Aの状態に変化させるための動作に「展開」という表現を用いる。
【0072】
基礎部品101aおよび基礎部品101bにおける面113および面114の傾斜角度を調整することで、折り曲げによって生じる基礎部品101aおよび基礎部品101b間の相対的な角度を変化させることができる。当該角度は、面113の面114に対する傾き小さいほど小さくなり、面113の面114に対する傾きが大きいほど大きくなる。また、基礎部品101aおよび基礎部品101bの数を調整することで、角度調整装置全体で折り曲げが可能な角度の最大値を調整することができる。
【0073】
図8A、
図8Bの構成では、基礎部品101aと基礎部品101bが交互に並ぶ構成となる。したがって、隣り合う基礎部品101aと基礎部品101bとの間のすべてに切り欠き106が設けられる。
【0074】
【0075】
ここで、連結部品131a、131bには、
図6Bに示した構成と異なる構成が用いられる。
図9Cに示すように、連結部品131aには、開口部141aを中心として開口部142aと対称になるように開口部143aが設けられる。また、連結部品131bには、開口部141bを中心として開口部142bと対称になるように開口部143bが設けられる。
【0076】
図9A、
図9Bに示すように、基礎部品101aには連結部品131aが設けられ、基礎部品101bには連結部品131bが設けられる。また、開口部142aと開口部142bが重なり、両者には柱状部品105が挿入される。また、開口部143aと開口部143bが重なり、両者には柱状部品105が挿入される。
【0077】
【0078】
図10A、
図10Bの構成では、基礎部品101aと基礎部品101bが交互に並ぶ構成となる。したがって、隣り合う基礎部品101aと基礎部品101bのすべてに連結部品102aおよび連結部品102bが設けられる。
【0079】
当該構成にすることによって、複数の折り曲げ形態およびその保持が可能となる。したがって、次に説明する支持具のヒンジとして有効に用いることができる。
【0080】
<支持具>
図11Aは、本発明の一態様の角度調整装置100を備えた支持具200を説明する斜視図である。支持具200は、二つの角度調整装置100(角度調整装置100a、100b)と、平板部161、162と、屈曲部165を有する。
図11Aは、支持具200を展開した状態に相当する。
【0081】
屈曲部165は、複数の柱状体166を有し、柱状体166の長尺方向の端部の一方は、角度調整装置100aの基礎部品101aまたは基礎部品101bと接続される。柱状体166の長尺方向の端部の他方は、角度調整装置100bの基礎部品101aまたは基礎部品101bと接続される。このような屈曲部165と角度調整装置100との組み合わせをヒンジとよぶことができる。平板部161は、ヒンジの一方の端部と接続され、平板部162は、ヒンジの他方の端部と接続される。
【0082】
図11Bは、
図11Aに示す線分A1-A2位置の断面を示した斜視図である。柱状体166は、長軸に垂直な断面が台形または略台形であり、
図11Cに示すように、柱状体166は、側面167a(台形の一方の脚を含む面)と、側面167b(台形の他方の脚を含む面)と、側面167c(台形の下底を含む面)と、側面167d(台形の上底を含む面)を有する。屈曲部165は複数の柱状体166を有し、隣り合う2つの柱状体166において、一方の柱状体166の側面167aと他方の柱状体166の側面167bが隣り合う構成を有する。
【0083】
それぞれの柱状体166は、側面167c(台形の下底を含む面)が連続して実質的な面を成すように連結される。また、ヒンジの一方の端部にある柱状体166の側面167cは、平板部161の第1面と連続するように接続される。また、ヒンジの他方の端部にある柱状体166の側面167cは、平板部162の第1の面と連続するように接続される。なお、それぞれの柱状体166の側面167d(台形の上底を含む面)の形状は、他の柱状体166、および平板部161、162に干渉がない範囲で任意である。したがって、柱状体166の長軸に垂直な断面は、三角形または略三角形であってもよい。
【0084】
上述したように、平板部161、屈曲部165(複数の柱状体166の底面)および平板部162は連続した平面であり、
図11Bに示す平板部162上にある任意の点A3と平板部161上にある任意の点A4間の距離は、屈曲部165の状態にかかわらず一定となる。したがって、可撓性部品などを支持具に取り付ける場合は、当該平面に取り付けることが好ましい。本発明の一態様の支持具では、
図11A、
図11Bに示すような展開した状態においても、形状の保持が可能である。なお、当該平面は、複数の柱状部品105の軸を含む平面よりも下側となるように設計し、複数の柱状部品105の軸を含む平面が可撓性部品の中立面に近づけることがより好ましい。
【0085】
図12Aは、支持具200を展開した状態から折り曲げた状態に変形する場合、またはその逆における過渡状態(中間状態)の一例を示す図である。
図12Bは、
図12Aに示す線分B1-B2位置の断面を示した斜視図である。
【0086】
図12A、
図12Bは、隣り合う2つの柱状体166において、一方の柱状体166の側面167aと他方の柱状体166の側面167bが向かい合って接する領域と、他の隣り合う2つの柱状体166において、一方の柱状体166の側面167aと他方の柱状体の側面167bが接しない領域が混在する形態である。本発明の一態様の支持具では、
図12A、
図12Bに示すような過渡状態においても、形状の保持が可能である。
【0087】
図13Aは、支持具200を折り曲げた状態を示す図である。
図13Bは、
図13Aに示す線分C1-C2位置の断面を示した斜視図である。
【0088】
図13A、
図13Bは、全ての隣り合う2つの柱状体166において、一方の柱状体の側面167aと他方の柱状体の側面167bが向かい合って接した形態である。本発明の一態様の支持具では、
図13A、
図13Bに示すような折り曲げた状態においても、形状の保持が可能である。
【0089】
<表示装置>
支持具200は、可撓性部品の支持に用いることができる。可撓性部品として表示パネルを用いれば、可撓性を有する表示装置を形成することができる。
【0090】
図14A、
図14Bは、二つ折りが可能な表示装置の例を説明する図である。なお、支持具200が有する角度調整装置100a、100bは簡略化して図示している。
図14Aは表示装置を展開した状態を示しており、
図14Bは折り曲げた状態を示している。
【0091】
表示パネル170は可撓性を有し、例えば、薄板状の樹脂またはガラス上に設けられたEL表示装置などを用いることができる。
【0092】
表示パネル170は、
図11Aなどに示す、平板部161、屈曲部165(複数の柱状体166の底面)および平板部162が有する連続した平面部に沿って設けることができる。したがって、
図14Bに示すように、折り曲げた状態では、表示パネルの表示面は凸型の曲面が形成される。
【0093】
なお、
図14A、
図14Bでは、角度調整装置100a、100b、平板部161、平板部162などを示しているが、これらは表示装置の筐体に格納されていてもよい。
【0094】
図15A、
図15Bは、三つ折りが可能な表示装置の例を説明する図である。なお、支持具200が有する角度調整装置100a、100b、100c、100dは簡略化して図示している。
図15Aは表示装置を展開した状態を示しており、
図15Bは折り曲げた状態を示している。
【0095】
三つ折りの表示装置は、支持具に角度調整装置100c、100d、平板部163が設けられる点が二つ折りの表示装置と異なる。平板部163は、角度調整装置100c、100dを介して平板部162と接続される。
【0096】
なお、
図15A、
図15Bでは、角度調整装置100a、100b、100c、100d、平板部161、平板部162および平板部163などを示しているが、これらは表示装置の筐体に格納されていてもよい。
【0097】
ここで、
図15Bに示すように、平板部162および平板部163にかけては、表示パネルの表示面には凹型の曲面が形成されることになる。したがって、角度調整装置100c、100dには、角度調整装置100a、100bとは異なる構成を用いることが好ましい。
【0098】
例えば、角度調整装置100c、100dには、
図16A乃至
図16Cに示す構成を用いることができる。なお、
図16A乃至
図16Cに示す角度調整装置は、
図15A、
図15Bに示した角度調整装置100cおよび角度調整装置100dが連続した構成となっているため、一方の符号のみを記してある。
【0099】
角度調整装置100cは、長軸に垂直な断面を矩形または略矩形とした柱状体181を複数有する。柱状体181は、第1の側面(略矩形の一辺を含む面)と、第2の側面(略矩形の一辺と対向する辺を含む面)を有する。複数の柱状体181において、隣り合う2つの柱状体の一方の柱状体181の第1の側面と他方の柱状体181の第2の側面が隣り合う構成を有する。
【0100】
それぞれの柱状体181は、第3の側面(一辺に略垂直な辺を含む面)が連続して面を成すように連結される。また、角度調整装置100cの一方の端部にある柱状体181の第3の側面は、平板部162の第1面と連続するように接続される。また、角度調整装置100cの他方の端部にある柱状体181の第3の側面は、平板部163の第1の面と連続するように接続される。なお、それぞれの柱状体181の第4の側面(第3の側面と対向する面)の形状は、他の柱状体および筐体に干渉がない範囲で任意である。
【0101】
図16Aに示すように、隣り合う2つの柱状体181において、一方の柱状体181の第1の側面と他方の柱状体181の第2の側面が離れる方向に変形させることで、折り曲げた状態とすることができる。このとき、複数の柱状体181の第3の側面が一定の角度を成して連なるため、全体として断面が略円弧状となる領域が形成される。したがって、可撓性を有する表示パネルは、当該領域と重なる部分で凹型の曲面を形成することができる。
【0102】
図16Aの状態から変形動作(展開動作)を行うと、
図16Bに示すように、隣り合う2つの柱状体181において、一方の柱状体181の第1の側面と他方の柱状体181の第2の側面が近づく方向に動き、上記略円弧の曲率半径が大きくなるように変化する。このとき、表示パネルでも曲面部分の曲率半径が大きくなるように変化する。
【0103】
図16Bの状態からさらに変形動作を行うと、
図16Cに示すように、平板部162の第1の面、それぞれの柱状体181の第3の側面および平板部163の第1の面が平坦になるように連なる。このとき、表示パネルでも曲面部分は平坦に変化し、全体として平坦に展開された状態となる。上記と逆の順序で変形動作を行えば、折り曲げることができる。
【0104】
なお、柱状体181の断面を矩形としているため、平坦に展開したときに隣り合う2つの柱状体181において、一方の柱状体181の第1の側面と他方の柱状体181の第2の側面が接することになる。したがって、角度調整装置100cは、表示パネルに逆方向の曲げを生じさせることがなく、逆曲げを抑制する機構は不要であってもよい。なお、折り曲げ時に筐体間のギャップを維持するためのスペーサを設けてもよい。
【0105】
図17A乃至
図17Cは、角度調整装置100c、100dの別の例を説明する図である。なお、以下では角度調整装置100dについて説明するが、角度調整装置100cも同様の構成である。
【0106】
角度調整装置100dは、歯車186aと歯車186bを有する。歯車186aは、平板部162に固定される。歯車186bは、平板部163に固定される。歯車186aの中心軸は、平板部162の第1の面と重なることが好ましい。また、歯車186bの中心軸は、平板部163の第1の面と重なることが好ましい。
【0107】
図17Aに示すように、折り曲げられた状態のときに特定の位置で歯車186aおよび歯車186bが噛み合わされた状態とする。このとき、歯車186aの中心軸は平板部162の第1面にあり、歯車186bの中心軸は平板部161の第1面にあるため、平板部162と平板部163の間(表示パネルの向かい合う表示面間)にギャップが生じる。したがって、可撓性を有する表示パネルは、当該ギャップの約1/2を曲率半径とする凹型の曲面を形成することができる。
【0108】
図17Aの状態から変形動作(展開動作)を行うと、平板部162および平板部163は、歯車186aおよび歯車186bの噛み合いに応じて同期し、角度調整装置100dを支点として開くように移動する(
図17B参照)。このとき、表示パネルでも曲面部分の曲率半径が大きくなるように変化する。
【0109】
図17Bの状態からさらに変形動作を行うと、
図17Cに示すように、平板部162の第1の面および平板部163の第1の面が平坦になるように連なる。このとき、表示パネルでも曲面部分は平坦に変化し、全体として平坦に展開された状態となる。上記と逆の順序で変形動作を行えば、折り曲げることができる。
【0110】
なお、歯車186aおよび歯車186bの噛み合わせを保持する機構を設けてもよい。また、平坦に展開したときには、平板部162の側面と平板部163の側面が接することになる。したがって、角度調整装置100dは、表示パネルに逆方向の曲げを生じさせることがないため、逆曲げを抑制する機構は不要であってもよい。なお、折り曲げ時に平板部162と平板部163のギャップを維持するためのスペーサを設けてもよい。または、ギャップを維持するための機構を歯車186aおよび歯車186bに設けてもよい。
【0111】
<応用例>
図18は、本実施の形態に示した可撓性を有する表示装置をスマートフォンなどの情報端末として応用する例を示した図である。なお、前述した表示装置と共通する要素には、同一の符号を付してある。
図18Aに示す表示装置250は、表示パネル170、音声の入出力ユニット235a、235b、カメラ236a、236b、センサ237、センサ220を有する。
【0112】
音声の入出力ユニット235a、235bは、一方がマイクとして機能するとき、他方はスピーカとして機能させることができる。したがって、電話機能を利用するときなど、どちらの向きで把持しても不都合なく会話を行うことができる。マイク機能とスピーカ機能は、傾きを検知するセンサ220により切り替えることができる。また、カメラ236a、236bも同様にセンサ220によりいずれかを優先して機能させることができる。
【0113】
入出力ユニット235a、235bは、マイクとして機能するデバイスおよびスピーカとして機能するデバイスの両方を有していてもよいし、両者の機能を有する一つのデバイスを有していてもよい。
【0114】
また、入出力ユニット235a、235bの両方をマイクとして機能させ、ステレオ音響を録音することもできる。また、入出力ユニット235a、235bの両方をスピーカとして機能させ、ステレオ音響を再生することもできる。
【0115】
また、カメラ236a、236bの両方を機能させ、3D画像を撮像することもできる。センサ237は光センサであり、周囲の照度に合わせて視認しやすいように表示の輝度を調整することができる。
【0116】
また、
図18Bに示すように、表示装置250の表示パネル170が設けられた前面とは反対側の後面に表示パネル171が設けられていてもよい。表示パネル171は、表示パネル170と同じ画像を表示できるほか、簡単な情報、絵、模様、写真などを表示するサブディスプレイ、または照明などとして利用することもできる。表示パネル171には発光デバイスまたは液晶デバイスを用いた表示パネルを用いることができるほか、低消費電力の電子ペーパーなどを用いてもよい。表示パネル171には、硬質基板を支持体とした表示パネルも用いることができる。
【0117】
なお、
図19Aに示すように、平板部161に表示パネル171が設けられ、平板部162に表示パネル172が設けられ、平板部163に表示パネル173が設けられていてもよい。表示パネル172、173には、表示パネル171と同等の表示パネルを用いることができる。
【0118】
または、
図19Bに示すように、表示装置250の後面に可撓性を有する表示パネル175を設けてもよい。この場合、表示パネル175は曲げることができるため、前面に設けられた表示パネル170と同様に平板部161乃至163に亘って設けることができる。
【0119】
また、
図19Cに示すように、表示装置250の後面に太陽電池240を設けてもよい。太陽電池240で発電した電力は、表示装置250内のバッテリに充電することができるほか、外部インターフェイス245を介して外部への電力供給することができる。
【0120】
なお、
図19Cでは、硬質の支持体を有する太陽電池の例を示している。当該太陽電池としては、例えば、結晶シリコンを光電変換層としたシリコン太陽電池、またはシリコン太陽電池とペロブスカイト型太陽電池をタンデム構造とした太陽電池などを用いることができる。
【0121】
または、
図19Dに示すように、可撓性基板を支持体とする太陽電池であってもよい。当該太陽電池としては、例えば、非晶質シリコン太陽電池、CIGS(Cu-In-Ga-Se)型太陽電池、有機太陽電池、またはペロブスカイト型太陽電池などの薄膜太陽電池141などを用いることができる。可撓性基板を支持体とする太陽電池は、表示パネル171と同様に、平板部161乃至163に亘って設けることができる。
【0122】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置に適用可能な表示パネルの構成例について説明する。
【0123】
<構成例>
図20に、表示パネル700の上面図を示す。表示パネル700は、可撓性を有する支持基板745が適用され、フレキシブルディスプレイとして用いることができる。また表示パネル700は、可撓性を有する支持基板745上に設けられた画素部702を有する。また支持基板745上にはソースドライバ回路部704、一対のゲートドライバ回路部706、配線710等が設けられる。また画素部702には、複数の表示デバイスが設けられる。
【0124】
また、支持基板745の一部に、FPC716(FPC:Flexible printed circuit)が接続されるFPC端子部708が設けられている。FPC716によって、FPC端子部708および配線710を介して、画素部702、ソースドライバ回路部704、およびゲートドライバ回路部706のそれぞれに各種信号等が供給される。
【0125】
一対のゲートドライバ回路部706は、画素部702を挟んで両側に設けられている。なお、ゲートドライバ回路部706およびソースドライバ回路部704は、それぞれ半導体基板等に別途形成され、パッケージされたICチップの形態であってもよい。当該ICチップは、支持基板745上にCOF(Chip On Film)技術等により実装することができる。
【0126】
画素部702、ソースドライバ回路部704、およびゲートドライバ回路部706が有するトランジスタに、OSトランジスタを適用することが好ましい。
【0127】
画素部702に設けられる表示デバイスには、発光デバイス等を用いることができる。発光デバイスとしては、LED(Light Emitting Diode)、OLED(Organic LED)、QLED(Quantum-dot LED)、半導体レーザなどの、自発光性の発光デバイスが挙げられる。また、表示デバイスとして、透過型の液晶デバイス、反射型の液晶デバイス、半透過型の液晶デバイスなどの液晶デバイスを用いることもできる。また、シャッター方式または光干渉方式のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイス、マイクロカプセル方式、電気泳動方式、エレクトロウェッティング方式、または電子粉流体(登録商標)方式等を適用した表示デバイスなどを用いることもできる。
【0128】
また、
図20では、支持基板745の、FPC端子部708が設けられる部分が突出した形状を有する例を示している。支持基板745のFPC端子部708を含む一部は、
図20中の領域P1で、裏側に折り返すことができる。支持基板745の一部を折り返すことで、FPC716を画素部702の裏側に重ねて配置した状態で、表示パネル700を電子機器等に実装することができ、電子機器等の省スペース化、小型化を図ることができる。
【0129】
また、表示パネル700に接続されるFPC716には、IC717が実装されている。IC717は、例えばソースドライバ回路としての機能を有する。このとき、表示パネル700におけるソースドライバ回路部704は、保護回路、バッファ回路、デマルチプレクサ回路等の少なくとも一を含む構成とすることができる。
【0130】
<断面構成例>
以下では、表示デバイスとして有機ELを用いる構成について、
図21および
図22を用いて説明する。
図21および
図22は、それぞれ
図20で示した表示パネル700の、一点鎖線S-Tにおける断面概略図である。
【0131】
まず、
図21および
図22に示す表示パネルの共通する部分について説明する。
【0132】
図21および
図22には、画素部702と、ゲートドライバ回路部706と、FPC端子部708と、を含む断面を示している。画素部702は、トランジスタ750およびキャパシタ790を有する。ゲートドライバ回路部706は、トランジスタ752を有する。
【0133】
トランジスタ750およびトランジスタ752は、チャネルが形成される半導体層に、酸化物半導体を適用したトランジスタである。なお、これに限られず、半導体層に、シリコン(非晶質シリコン、多結晶シリコン、または単結晶シリコン)、有機半導体を用いたトランジスタを適用することもできる。
【0134】
本実施の形態で用いるトランジスタは、高純度化し、酸素欠損の形成を抑制した酸化物半導体膜を有する。該トランジスタは、オフ電流を著しく低くできる。そのため、このようなトランジスタが適用された画素は、画像信号等の電気信号の保持時間を長くでき、画像信号等の書き込み間隔も長く設定できる。よって、リフレッシュ動作の頻度を少なくできるため、消費電力を低減することができる。
【0135】
また、本実施の形態で用いるトランジスタは、比較的高い電界効果移動度が得られるため、高速駆動が可能である。例えば、このような高速駆動が可能なトランジスタを表示パネルに用いることで、画素部のスイッチングトランジスタと、駆動回路部に使用するドライバトランジスタを同一基板上に形成することができる。すなわち、シリコンウェハ等により形成された駆動回路を適用しない構成も可能であり、表示装置の部品点数を削減することができる。また、画素部においても、高速駆動が可能なトランジスタを用いることで、高画質な画像を提供することができる。
【0136】
キャパシタ790は、トランジスタ750が有する第1のゲート電極と同一の膜を加工して形成される下部電極と、半導体層と同一の金属酸化物膜を加工して形成される上部電極と、を有する。上部電極は、トランジスタ750のソース領域およびドレイン領域と同様に低抵抗化されている。また、下部電極と上部電極との間には、トランジスタ750の第1のゲート絶縁層として機能する絶縁膜の一部が設けられる。すなわち、キャパシタ790は、一対の電極間に誘電体膜として機能する絶縁膜が挟持された積層型の構造を有する。また、上部電極には、トランジスタ750のソース電極およびドレイン電極と同一の膜を加工して得られる配線が接続されている。
【0137】
また、トランジスタ750、トランジスタ752、およびキャパシタ790上には、平坦化膜として機能する絶縁層770が設けられている。
【0138】
画素部702が有するトランジスタ750と、ゲートドライバ回路部706が有するトランジスタ752とは、異なる構造のトランジスタを用いてもよい。例えば、いずれか一方にトップゲート型のトランジスタを適用し、他方にボトムゲート型のトランジスタを適用した構成としてもよい。なお、上記ソースドライバ回路部704についても、ゲートドライバ回路部706と同様である。
【0139】
FPC端子部708は、一部が接続電極として機能する配線760、異方性導電膜780、およびFPC716を有する。配線760は、異方性導電膜780を介してFPC716が有する端子と電気的に接続される。ここでは、配線760は、トランジスタ750等のソース電極およびドレイン電極と同じ導電膜で形成されている。
【0140】
続いて、
図21に示す表示パネル700について説明する。
【0141】
図21に示す表示パネル700は、支持基板745と、支持基板740とを有する。支持基板745および支持基板740としては、例えばガラス基板、またはプラスチック基板等の可撓性を有する基板を用いることができる。
【0142】
トランジスタ750、トランジスタ752、キャパシタ790等は、絶縁層744上に設けられる。支持基板745と絶縁層744とは、接着層742によって貼り合されている。
【0143】
また表示パネル700は、発光デバイス782、着色層736、遮光層738等を有する。
【0144】
発光デバイス782は、導電層772、EL層786、および導電層788を有する。導電層772は、トランジスタ750が有するソース電極またはドレイン電極と電気的に接続される。導電層772は、絶縁層770上に設けられ、画素電極として機能する。また導電層772の端部を覆って絶縁層730が設けられ、絶縁層730および導電層772上にEL層786と導電層788が積層して設けられている。
【0145】
導電層772には、可視光に対して反射性を有する材料を用いることができる。例えば、アルミニウム、銀等を含む材料を用いることができる。また、導電層788には、可視光に対して透光性を有する材料を用いることができる。例えば、インジウム、亜鉛、スズ等を含む酸化物材料を用いるとよい。そのため、発光デバイス782は、被形成面とは反対側(支持基板740側)に光を射出する、トップエミッション型の発光デバイスである。
【0146】
EL層786は、有機化合物、または量子ドットなどの無機化合物を有する。EL層786は、電流が流れた際に青色の光を呈する発光材料を含む。
【0147】
発光材料としては、蛍光材料、燐光材料、熱活性化遅延蛍光(Thermally activated delayed fluorescence:TADF)材料、無機化合物(量子ドット材料など)などを用いることができる。量子ドットに用いることのできる材料としては、コロイド状量子ドット材料、合金型量子ドット材料、コア・シェル型量子ドット材料、コア型量子ドット材料、などが挙げられる。
【0148】
遮光層738と、着色層736は、絶縁層746の一方の面に設けられている。着色層736は、発光デバイス782と重なる位置に設けられている。また、遮光層738は、画素部702において、発光デバイス782と重ならない領域に設けられている。また遮光層738は、ゲートドライバ回路部706等にも重ねて設けられていてもよい。
【0149】
支持基板740は、絶縁層746の他方の面に、接着層747によって貼り合されている。また、支持基板740と支持基板745とは、封止層732によって貼り合されている。
【0150】
ここでは、発光デバイス782が有するEL層786として、白色の発光を呈する発光材料が適用されている。発光デバイス782が発する白色の発光は、着色層736により着色されて外部に射出される。EL層786は、異なる色を呈する画素に亘って設けられる。画素部702には、赤色(R)、緑色(G)、または青色(B)のいずれかを透過する着色層736が設けられた画素をマトリクス状に配置することで、表示パネル700は、フルカラーの表示を行うことができる。
【0151】
また、導電層788として、透過性および反射性を有する導電膜を用いてもよい。このとき、導電層772と導電層788との間で微小共振器(マイクロキャビティ)構造を実現し、特定の波長の光を強めて射出する構成とすることができる。またこのとき、導電層772と導電層788との間に光学距離を調整するための光学調整層を配置し、当該光学調整層の厚さを異なる色の画素間で異ならせることで、それぞれの画素から射出される光の色純度を高める構成としてもよい。
【0152】
なお、EL層786を画素毎に島状または画素列毎に縞状に形成する、すなわち塗り分けにより形成する場合においては、着色層736または上述した光学調整層を設けない構成としてもよい。
【0153】
ここで、絶縁層744と絶縁層746には、それぞれ透湿性の低いバリア膜として機能する無機絶縁膜を用いることが好ましい。このような絶縁層744と絶縁層746との間に、発光デバイス782およびトランジスタ750等が挟持された構成とすることで、これらの劣化が抑制され、信頼性の高い表示パネルを実現できる。
【0154】
図22に示す表示パネル700Aは、
図21で示した接着層742と絶縁層744との間に、樹脂層743が設けられている。また、支持基板740に換えて、保護層749を有する。
【0155】
樹脂層743は、ポリイミドまたはアクリルなどの有機樹脂を含む層である。絶縁層744は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化シリコン等の無機絶縁膜を含む。樹脂層743と支持基板745とは、接着層742によって貼りあわされている。樹脂層743は、支持基板745よりも薄いことが好ましい。
【0156】
保護層749は、封止層732と貼りあわされている。保護層749としては、ガラス基板または樹脂フィルムなどを用いることができる。また、保護層749として、偏光板(円偏光板を含む)、散乱板などの光学部材、タッチセンサパネルなどの入力装置、またはこれらを2つ以上積層した構成を適用してもよい。
【0157】
また、発光デバイス782が有するEL層786は、絶縁層730および導電層772上に島状に設けられている。EL層786を、副画素毎に発光色が異なるように作り分けることで、着色層736を用いずにカラー表示を実現することができる。
【0158】
また、発光デバイス782を覆って、保護層741が設けられている。保護層741は発光デバイス782に水などの不純物が拡散することを防ぐ機能を有する。保護層741は、導電層788側から絶縁層741a、絶縁層741b、および絶縁層741cがこの順で積層された積層構造を有している。このとき、絶縁層741aと絶縁層741cには、水などの不純物に対してバリア性の高い無機絶縁膜を、絶縁層741bには平坦化膜として機能する有機絶縁膜を、それぞれ用いることが好ましい。また、保護層741は、ゲートドライバ回路部706にも延在して設けられていることが好ましい。
【0159】
また、封止層732よりも内側において、トランジスタ750およびトランジスタ752等を覆う有機絶縁膜が島状に形成されることが好ましい。言い換えると、当該有機絶縁膜の端部が、封止層732の内側、または封止層732の端部と重なる領域に位置することが好ましい。
図22では、絶縁層770、絶縁層730、および絶縁層741bが、島状に加工されている例を示している。例えば封止層732と重なる部分では、絶縁層741cおよび絶縁層741aが接して設けられている。このように、トランジスタ750およびトランジスタ752を覆う有機絶縁膜の表面が、封止層732よりも外側に露出しない構成とすることで、外部から当該有機絶縁膜を介してトランジスタ750およびトランジスタ752に水または水素が拡散することを好適に防ぐことができる。これにより、トランジスタの電気特性の変動が抑えられ、極めて信頼性の高い表示装置を実現できる。
【0160】
また、
図22において、折り曲げ可能な領域P1では、支持基板745、接着層742の他、絶縁層744等の無機絶縁膜が設けられていない部分を有する。また領域P1において、配線760が露出することを防ぐために、有機材料を含む絶縁層770が配線760を覆う構成を有している。折り曲げ可能な領域P1に、無機絶縁膜をできるだけ設けず、且つ、金属または合金を含む導電層と、有機材料を含む層のみを積層した構成とすることで、曲げた際にクラックが生じることを防ぐことができる。また領域P1に支持基板745を設けないことで、極めて小さい曲率半径で、表示パネル700Aの一部を曲げることができる。
【0161】
また、
図22において、保護層741上には導電層761が設けられている。導電層761は、配線または電極として用いることができる。
【0162】
また、導電層761は、表示パネル700Aに重ねてタッチセンサが設けられる場合に、画素を駆動する際の電気的なノイズが、当該タッチセンサに伝わることを防ぐための静電遮蔽膜として機能させることができる。このとき、導電層761には所定の定電位が与えられる構成とすればよい。
【0163】
または、導電層761は、例えばタッチセンサの電極として用いることができる。これにより、表示パネル700Aをタッチパネルとして機能させることができる。例えば、導電層761は、静電容量方式のタッチセンサの電極または配線として用いることができる。このとき、導電層761は、検知回路が接続される配線または電極、またはセンサ信号が入力される配線または電極として用いることができる。このように、発光デバイス782上にタッチセンサを作りこむことで、部品点数を削減でき、電子機器等の製造コストを削減することができる。
【0164】
導電層761は、発光デバイス782と重ならない部分に設けられることが好ましい。例えば導電層761は、絶縁層730と重なる位置に設けることができる。これにより、導電層761として、比較的導電性の低い透明導電膜を用いる必要がなく、導電性の高い金属または合金などを用いることができるため、センサの感度を高めることができる。
【0165】
なお、導電層761を用いて構成することのできるタッチセンサの方式としては、静電容量方式に限られず、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、光学方式、感圧方式など様々な方式を用いることができる。または、これら2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
【0166】
<構成要素>
以下では、表示装置に適用可能なトランジスタ等の構成要素について説明する。
【0167】
〔トランジスタ〕
トランジスタは、ゲート電極として機能する導電層と、半導体層と、ソース電極として機能する導電層と、ドレイン電極として機能する導電層と、ゲート絶縁層として機能する絶縁層と、を有する。
【0168】
なお、本発明の一態様の表示装置が有するトランジスタの構造は特に限定されない。例えば、プレーナ型のトランジスタとしてもよいし、スタガ型のトランジスタとしてもよいし、逆スタガ型のトランジスタとしてもよい。また、トップゲート型またはボトムゲート型のいずれのトランジスタ構造としてもよい。または、チャネルの上下にゲート電極が設けられていてもよい。
【0169】
トランジスタに用いる半導体材料の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体、単結晶半導体、または単結晶以外の結晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、または一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。単結晶半導体または結晶性を有する半導体を用いると、トランジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
【0170】
以下では、特に金属酸化物膜をチャネルが形成される半導体層に用いるトランジスタについて説明する。
【0171】
トランジスタに用いる半導体材料としては、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上、より好ましくは3eV以上である金属酸化物を用いることができる。代表的には、インジウムを含む酸化物半導体などであり、例えば、後述するCAAC-OSまたはCAC-OSなどを用いることができる。CAAC-OSは結晶を構成する原子が安定であり、信頼性を重視するトランジスタなどに適する。また、CAC-OSは、高移動度特性を示すため、高速駆動を行うトランジスタなどに適する。
【0172】
OSトランジスタは半導体層のエネルギーギャップが大きいため、数yA/μm(チャネル幅1μmあたりの電流値)という極めて低いオフ電流特性を示すことができる。また、OSトランジスタは、インパクトイオン化、アバランシェ降伏、および短チャネル効果などが生じないなどSiトランジスタとは異なる特徴を有し、信頼性の高い回路を形成することができる。また、Siトランジスタでは問題となる結晶性の不均一性に起因する電気特性のばらつきもOSトランジスタでは生じにくい。
【0173】
半導体層は、例えばインジウム、亜鉛およびM(Mは、アルミニウム、チタン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、セリウム、スズ、ネオジムまたはハフニウム等の金属から選ばれた一つ、または複数)を含むIn-M-Zn系酸化物で表記される膜とすることができる。In-M-Zn系酸化物は、例えば、スパッタリング法、ALD(Atomic layer deposition)法、またはMOCVD(Metal organic chemical vapor deposition)法などを用いて形成することができる。
【0174】
In-M-Zn系酸化物をスパッタリング法で成膜する場合、スパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In≧M、Zn≧Mを満たすことが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M:Zn=3:1:2、In:M:Zn=4:2:3、In:M:Zn=4:2:4.1、In:M:Zn=5:1:6、In:M:Zn=5:1:7、In:M:Zn=5:1:8等が好ましい。なお、成膜される半導体層の原子数比はそれぞれ、上記のスパッタリングターゲットに含まれる金属元素の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。
【0175】
半導体層としては、キャリア密度の低い金属酸化物膜を用いる。例えば、半導体層は、キャリア密度が1×1017/cm3以下、好ましくは1×1015/cm3以下、さらに好ましくは1×1013/cm3以下、より好ましくは1×1011/cm3以下、さらに好ましくは1×1010/cm3未満であり、1×10-9/cm3以上の金属酸化物を用いることができる。そのような金属酸化物を、高純度真性または実質的に高純度真性な金属酸化物と呼ぶ。当該酸化物半導体は欠陥準位密度が低く、安定な特性を有する金属酸化物であるといえる。
【0176】
なお、これらに限られず、必要とするトランジスタの半導体特性および電気特性(電界効果移動度、しきい値電圧等)に応じて適切な組成の酸化物半導体を用いればよい。また、必要とするトランジスタの半導体特性を得るために、半導体層のキャリア密度、不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
【0177】
半導体層を構成する金属酸化物において、第14族元素の一つであるシリコンまたは炭素が含まれると、半導体層において酸素欠損が増加し、n型化してしまう。このため、半導体層におけるシリコンまたは炭素の濃度(二次イオン質量分析法により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下とする。
【0178】
また、アルカリ金属およびアルカリ土類金属は、金属酸化物と結合するとキャリアを生成する場合があり、トランジスタのオフ電流が増大してしまうことがある。このため半導体層における二次イオン質量分析法により得られるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm3以下にする。
【0179】
また、半導体層を構成する金属酸化物に窒素が含まれていると、キャリアである電子が生じ、キャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている金属酸化物を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため半導体層における二次イオン質量分析法により得られる窒素濃度は、5×1018atoms/cm3以下にすることが好ましい。
【0180】
また、半導体層を構成する酸化物半導体に水素が含まれていると、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、酸化物半導体中に酸素欠損を形成する場合がある。酸化物半導体中のチャネル形成領域に酸素欠損が含まれていると、トランジスタはノーマリーオン特性となる場合がある。さらに、酸素欠損に水素が入った欠陥はドナーとして機能し、キャリアである電子が生成されることがある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成する場合がある。したがって、水素が多く含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタは、ノーマリーオン特性となりやすい。
【0181】
酸素欠損に水素が入った欠陥は、酸化物半導体のドナーとして機能しうる。しかしながら、当該欠陥を定量的に評価することは困難である。そこで、酸化物半導体においては、ドナー濃度ではなく、キャリア濃度で評価される場合がある。よって、本明細書等では、酸化物半導体のパラメータとして、ドナー濃度ではなく、電界が印加されない状態を想定したキャリア濃度を用いる場合がある。つまり、本明細書等に記載の「キャリア濃度」は、「ドナー濃度」と言い換えることができる場合がある。
【0182】
よって、酸化物半導体中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、酸化物半導体において、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm3未満、好ましくは1×1019atoms/cm3未満、より好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満とする。水素などの不純物が十分に低減された酸化物半導体をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
【0183】
また、酸化物半導体(金属酸化物)は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、CAAC-OS(C-Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)、多結晶酸化物半導体、nc-OS(nanocrystalline oxide semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-like oxide semiconductor)、および非晶質酸化物半導体などがある。非単結晶構造において、非晶質構造は最も欠陥準位密度が高く、CAAC-OSは最も欠陥準位密度が低い。
【0184】
非晶質構造の酸化物半導体膜は、例えば、原子配列が無秩序であり、結晶成分を有さない。または、非晶質構造の酸化物膜は、例えば、完全な非晶質構造であり、結晶部を有さない。
【0185】
なお、半導体層が、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、CAAC-OSの領域、単結晶構造の領域のうち、二種以上を有する混合膜であってもよい。混合膜は、例えば上述した領域のうち、いずれか二種以上の領域を含む単層構造、または積層構造を有する場合がある。
【0186】
また、本発明の一態様で開示されるトランジスタの半導体層には、CAC-OS(Cloud-Aligned Composite oxide semiconductor)を用いてもよい。
【0187】
なお、本発明の一態様で開示されるトランジスタの半導体層は、上述した非単結晶酸化物半導体またはCAC-OSを好適に用いることができる。また、非単結晶酸化物半導体としては、nc-OSまたはCAAC-OSを好適に用いることができる。
【0188】
なお、本発明の一態様では、トランジスタの半導体層として、CAC-OSを用いると好ましい。CAC-OSを用いることで、トランジスタに高い電気特性または高い信頼性を付与することができる。
【0189】
なお、半導体層がCAAC-OSの領域、多結晶酸化物半導体の領域、nc-OSの領域、擬似非晶質酸化物半導体の領域、および非晶質酸化物半導体の領域のうち、二種以上を有する混合膜であってもよい。混合膜は、例えば上述した領域のうち、いずれか二種以上の領域を含む単層構造、または積層構造を有する場合がある。
【0190】
<CAC-OSの構成>
以下では、本発明の一態様で開示されるトランジスタに用いることができるCAC(Cloud-Aligned Composite)-OSの構成について説明する。
【0191】
CAC-OSとは、例えば、金属酸化物を構成する元素が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上2nm以下、またはその近傍のサイズで偏在した材料の一構成である。なお、以下では、金属酸化物において、一つあるいはそれ以上の金属元素が偏在し、該金属元素を有する領域が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上2nm以下、またはその近傍のサイズで混合した状態をモザイク状、またはパッチ状ともいう。
【0192】
なお、金属酸化物は、少なくともインジウムを含むことが好ましい。特にインジウムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
【0193】
例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OS(CAC-OSの中でもIn-Ga-Zn酸化物を、特にCAC-IGZOと呼称してもよい。)とは、インジウム酸化物(以下、InOX1(X1は0よりも大きい実数)とする。)、またはインジウム亜鉛酸化物(以下、InX2ZnY2OZ2(X2、Y2、およびZ2は0よりも大きい実数)とする。)と、ガリウム酸化物(以下、GaOX3(X3は0よりも大きい実数)とする。)、またはガリウム亜鉛酸化物(以下、GaX4ZnY4OZ4(X4、Y4、およびZ4は0よりも大きい実数)とする。)などと、に材料が分離することでモザイク状となり、モザイク状のInOX1、またはInX2ZnY2OZ2が、膜中に均一に分布した構成(以下、クラウド状ともいう。)である。
【0194】
つまり、CAC-OSは、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域とが、混合している構成を有する複合金属酸化物である。なお、本明細書において、例えば、第1の領域の元素Mに対するInの原子数比が、第2の領域の元素Mに対するInの原子数比よりも大きいことを、第1の領域は、第2の領域と比較して、Inの濃度が高いとする。
【0195】
なお、IGZOは通称であり、In、Ga、Zn、およびOによる1つの化合物をいう場合がある。代表例として、InGaO3(ZnO)m1(m1は自然数)、またはIn(1+x0)Ga(1-x0)O3(ZnO)m0(-1≦x0≦1、m0は任意数)で表される結晶性の化合物が挙げられる。
【0196】
上記結晶性の化合物は、単結晶構造、多結晶構造、またはCAAC構造を有する。なお、CAAC構造とは、複数のIGZOのナノ結晶がc軸配向を有し、かつa-b面においては配向せずに連結した結晶構造である。
【0197】
一方、CAC-OSは、金属酸化物の材料構成に関する。CAC-OSとは、In、Ga、Zn、およびOを含む材料構成において、一部にGaを主成分とするナノ粒子状に観察される領域と、一部にInを主成分とするナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成をいう。したがって、CAC-OSにおいて、結晶構造は副次的な要素である。
【0198】
なお、CAC-OSは、組成の異なる二種類以上の膜の積層構造は含まないものとする。例えば、Inを主成分とする膜と、Gaを主成分とする膜との2層からなる構造は、含まない。
【0199】
なお、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域とは、明確な境界が観察できない場合がある。
【0200】
なお、ガリウムの代わりに、アルミニウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれている場合、CAC-OSは、一部に該金属元素を主成分とするナノ粒子状に観察される領域と、一部にInを主成分とするナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成をいう。
【0201】
CAC-OSは、例えば基板を意図的に加熱しない条件で、スパッタリング法により形成することができる。また、CAC-OSをスパッタリング法で形成する場合、成膜ガスとして、不活性ガス(代表的にはアルゴン)、酸素ガス、および窒素ガスの中から選ばれたいずれか一つまたは複数を用いればよい。また、成膜時の成膜ガスの総流量に対する酸素ガスの流量比は低いほど好ましく、例えば酸素ガスの流量比を0%以上30%未満、好ましくは0%以上10%以下とすることが好ましい。
【0202】
CAC-OSは、X線回折(XRD:X-ray diffraction)測定法のひとつであるOut-of-plane法によるθ/2θスキャンを用いて測定したときに、明確なピークが観察されないという特徴を有する。すなわち、X線回折測定から、測定領域のa-b面方向、およびc軸方向の配向は見られないことが分かる。
【0203】
また、CAC-OSは、プローブ径が1nmの電子線(ナノビーム電子線ともいう。)を照射することで得られる電子線回折パターンにおいて、輝度の高いリング状の領域と、該リング状の領域内に複数の輝点が観測される。したがって、電子線回折パターンから、CAC-OSの結晶構造が、平面方向、および断面方向において、配向性を有さないnc(nano-crystal)構造を有することがわかる。
【0204】
また例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSでは、エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X-ray spectroscopy)を用いて取得したEDXマッピングにより、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域とが、偏在し、混合している構造を有することが確認できる。
【0205】
CAC-OSは、金属元素が均一に分布したIGZO化合物とは異なる構造であり、IGZO化合物と異なる性質を有する。つまり、CAC-OSは、GaOX3などが主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域と、に互いに相分離し、各元素を主成分とする領域がモザイク状である構造を有する。
【0206】
ここで、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域は、GaOX3などが主成分である領域と比較して、導電性が高い領域である。つまり、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域を、キャリアが流れることにより、金属酸化物としての導電性が発現する。したがって、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域が、金属酸化物中にクラウド状に分布することで、高い電界効果移動度(μ)が実現できる。
【0207】
一方、GaOX3などが主成分である領域は、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域と比較して、絶縁性が高い領域である。つまり、GaOX3などが主成分である領域が、金属酸化物中に分布することで、リーク電流を抑制し、良好なスイッチング動作を実現できる。
【0208】
したがって、CAC-OSを半導体素子に用いた場合、GaOX3などに起因する絶縁性と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1に起因する導電性とが、相補的に作用することにより、高いオン電流(Ion)、および高い電界効果移動度(μ)を実現することができる。
【0209】
また、CAC-OSを用いた半導体素子は、信頼性が高い。したがって、CAC-OSは、ディスプレイをはじめとするさまざまな半導体装置に最適である。
【0210】
また、半導体層にCAC-OSを有するトランジスタは電界効果移動度が高く、且つ駆動能力が高いため、該トランジスタを、駆動回路、代表的にはゲート信号を生成する走査線駆動回路に用いることで、額縁幅の狭い(狭額縁ともいう)表示装置を提供することができる。また、該トランジスタを、表示装置が有する信号線駆動回路(とくに、信号線駆動回路が有するシフトレジスタの出力端子に接続されるデマルチプレクサ)に用いることで、表示装置に接続される配線数が少ない表示装置を提供することができる。
【0211】
また、半導体層にCAC-OSを有するトランジスタは低温ポリシリコンを用いたトランジスタのように、レーザ結晶化工程が不要である。これのため、大面積基板を用いた表示装置であっても、製造コストを低減することが可能である。さらに、ウルトラハイビジョン(「4K解像度」、「4K2K」、「4K」)、スーパーハイビジョン(「8K解像度」、「8K4K」、「8K」)のよう高解像度であり、且つ大型の表示装置において、半導体層にCAC-OSを有するトランジスタを駆動回路および表示部に用いることで、短時間での書き込みが可能であり、表示不良を低減することが可能であり好ましい。
【0212】
または、トランジスタのチャネルが形成される半導体にシリコンを用いてもよい。シリコンとしてアモルファスシリコンを用いてもよいが、特に結晶性を有するシリコンを用いることが好ましい。例えば、微結晶シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコンなどを用いることが好ましい。特に、多結晶シリコンは、単結晶シリコンに比べて低温で形成でき、且つアモルファスシリコンに比べて高い電界効果移動度と高い信頼性を備える。
【0213】
<導電層>
トランジスタのゲート、ソースおよびドレインのほか、表示装置を構成する各種配線および電極などの導電層に用いることのできる材料としては、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、またはタングステンなどの金属、またはこれを主成分とする合金などが挙げられる。またこれらの材料を含む膜を単層で、または積層構造として用いることができる。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、チタン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、タングステン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、銅-マグネシウム-アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜上に銅膜を積層する二層構造、タングステン膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜または窒化チタン膜と、その上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜または窒化チタン膜を形成する三層構造、モリブデン膜または窒化モリブデン膜と、その上に重ねてアルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層構造等がある。なお、酸化インジウム、酸化錫または酸化亜鉛等の酸化物を用いてもよい。また、マンガンを含む銅を用いると、エッチングによる形状の制御性が高まるため好ましい。
【0214】
<絶縁層>
各絶縁層に用いることのできる絶縁材料としては、例えば、アクリル、エポキシなどの樹脂、シロキサン結合を有する樹脂の他、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料を用いることもできる。
【0215】
また、発光デバイスは、一対の透水性の低い絶縁膜の間に設けられていることが好ましい。これにより、発光デバイスに水等の不純物が侵入することを抑制でき、装置の信頼性の低下を抑制できる。
【0216】
透水性の低い絶縁膜としては、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜等の窒素と珪素を含む膜、窒化アルミニウム膜等の窒素とアルミニウムを含む膜等が挙げられる。また、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜等を用いてもよい。
【0217】
例えば、透水性の低い絶縁膜の水蒸気透過量は、1×10-5[g/(m2・day)]以下、好ましくは1×10-6[g/(m2・day)]以下、より好ましくは1×10-7[g/(m2・day)]以下、さらに好ましくは1×10-8[g/(m2・day)]以下とする。
【0218】
以上が、構成要素についての説明である。
【0219】
本実施の形態で例示した構成例、およびそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、または図面等と適宜組み合わせて実施することができる。
【0220】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0221】
【0222】
図23Aに示す表示装置は、画素部502と、駆動回路部504と、保護回路506と、端子部507と、を有する。なお、保護回路506は、設けない構成としてもよい。
【0223】
画素部502は、X行Y列(X、Yはそれぞれ独立に2以上の自然数)に配置された複数の表示デバイスを駆動する複数の画素回路501を有する。
【0224】
駆動回路部504は、ゲート線GL_1乃至GL_Xに走査信号を出力するゲートドライバ504a、データ線DL_1乃至DL_Yにデータ信号を供給するソースドライバ504bなどの駆動回路を有する。ゲートドライバ504aは、少なくともシフトレジスタを有する構成とすればよい。またソースドライバ504bは、例えば複数のアナログスイッチなどを用いて構成される。また、シフトレジスタなどを用いてソースドライバ504bを構成してもよい。
【0225】
端子部507は、外部の回路から表示装置に電源、制御信号、および画像信号等を入力するための端子が設けられた部分をいう。
【0226】
保護回路506は、自身が接続する配線に一定の範囲外の電位が与えられたときに、該配線と別の配線とを導通状態にする回路である。
図23Aに示す保護回路506は、例えば、ゲートドライバ504aと画素回路501の間の配線であるゲート線GL、またはソースドライバ504bと画素回路501の間の配線であるデータ線DL等の各種配線に接続される。なお
図23Aでは、保護回路506と画素回路501とを区別するため、保護回路506にハッチングを付している。
【0227】
また、ゲートドライバ504aとソースドライバ504bは、それぞれ画素部502と同じ基板上に設けられていてもよいし、ゲートドライバ回路またはソースドライバ回路が別途形成された基板(例えば、単結晶半導体または多結晶半導体で形成された駆動回路基板)をCOF、TCP(Tape Carrier Package)、COG(Chip On Glass)などによって基板に実装する構成としてもよい。
【0228】
【0229】
図23Bに示す画素回路501は、液晶デバイス570と、トランジスタ550と、キャパシタ560と、を有する。また画素回路501には、データ線DL_n、ゲート線GL_m、電位供給線VL等が接続されている。
【0230】
液晶デバイス570の一対の電極の一方の電位は、画素回路501の仕様に応じて適宜設定される。液晶デバイス570は、書き込まれるデータにより配向状態が設定される。なお、複数の画素回路501のそれぞれが有する液晶デバイス570の一対の電極の一方に共通の電位(コモン電位)を与えてもよい。また、各行の画素回路501の液晶デバイス570の一対の電極の一方に異なる電位を与えてもよい。
【0231】
また、
図23Cに示す画素回路501は、トランジスタ552、554と、キャパシタ562と、発光デバイス572と、を有する。また画素回路501には、データ線DL_n、ゲート線GL_m、電位供給線VL_a、および電位供給線VL_b等が接続されている。
【0232】
なお、電位供給線VL_aおよび電位供給線VL_bの一方には、高電源電位VDDが与えられ、他方には、低電源電位VSSが与えられる。トランジスタ554のゲートに与えられる電位に応じて、発光デバイス572に流れる電流が制御されることにより、発光デバイス572からの発光輝度が制御される。
【0233】
本実施の形態で例示した構成例、およびそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、または図面等と適宜組み合わせて実施することができる。
【0234】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0235】
(実施の形態4)
以下では、画素に表示される階調を補正するためのメモリを備える画素回路と、これを有する表示装置について説明する。
【0236】
<回路構成>
図24Aに、画素回路400の回路図を示す。画素回路400は、トランジスタM1、トランジスタM2、容量C1、および回路401を有する。また画素回路400には、配線S1、配線S2、配線G1、および配線G2が接続される。
【0237】
トランジスタM1は、ゲートが配線G1と、ソースおよびドレインの一方が配線S1と、他方が容量C1の一方の電極と、それぞれ接続する。トランジスタM2は、ゲートが配線G2と、ソースおよびドレインの一方が配線S2と、他方が容量C1の他方の電極、および回路401と、それぞれ接続する。
【0238】
回路401は、少なくとも一の表示デバイスを含む回路である。表示デバイスとしては様々なデバイスを用いることができるが、代表的には有機ELデバイスまたはLEDデバイスなどの発光デバイス、液晶デバイス、またはMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイス等を適用することができる。
【0239】
トランジスタM1と容量C1とを接続するノードをノードN1、トランジスタM2と回路401とを接続するノードをノードN2とする。
【0240】
画素回路400は、トランジスタM1をオフ状態とすることで、ノードN1の電位を保持することができる。また、トランジスタM2をオフ状態とすることで、ノードN2の電位を保持することができる。また、トランジスタM2をオフ状態とした状態で、トランジスタM1を介してノードN1に所定の電位を書き込むことで、容量C1を介した容量結合により、ノードN1の電位の変位に応じてノードN2の電位を変化させることができる。
【0241】
ここで、トランジスタM1、トランジスタM2のうちの一方または両方に、実施の形態2で例示した、酸化物半導体が適用されたトランジスタを適用することができる。そのため極めて低いオフ電流により、ノードN1およびノードN2の電位を長期間に亘って保持することができる。なお、各ノードの電位を保持する期間が短い場合(具体的には、フレーム周波数が30Hz以上である場合等)には、シリコン等の半導体を適用したトランジスタを用いてもよい。
【0242】
<駆動方法例>
続いて、
図24Bを用いて、画素回路400の動作方法の一例を説明する。
図24Bは、画素回路400の動作に係るタイミングチャートである。なおここでは説明を容易にするため、配線抵抗などの各種抵抗、トランジスタまたは配線などの寄生容量、およびトランジスタのしきい値電圧などの影響は考慮しない。
【0243】
図24Bに示す動作では、1フレーム期間を期間T1と期間T2とに分ける。期間T1はノードN2に電位を書き込む期間であり、期間T2はノードN1に電位を書き込む期間である。
【0244】
期間T1では、配線G1と配線G2の両方に、トランジスタをオン状態にする電位を与える。また、配線S1には固定電位である電位Vrefを供給し、配線S2には第1データ電位Vwを供給する。
【0245】
ノードN1には、トランジスタM1を介して配線S1から電位Vrefが与えられる。また、ノードN2には、トランジスタM2を介して配線S2から第1データ電位Vwが与えられる。したがって、容量C1には電位差Vw-Vrefが保持された状態となる。
【0246】
続いて期間T2では、配線G1にはトランジスタM1をオン状態とする電位を与え、配線G2にはトランジスタM2をオフ状態とする電位を与える。また、配線S1には第2データ電位Vdataを供給する。配線S2には所定の定電位を与える、またはフローティング状態としてもよい。
【0247】
ノードN1には、トランジスタM1を介して配線S1から第2データ電位V
dataが与えられる。このとき、容量C1による容量結合により、第2データ電位V
dataに応じてノードN2の電位が電位dVだけ変化する。すなわち、回路401には、第1データ電位V
wと電位dVを足した電位が入力されることとなる。なお、
図24Bでは電位dVが正の値であるように示しているが、負の値であってもよい。すなわち、第2データ電位V
dataが電位V
refより低くてもよい。
【0248】
ここで、電位dVは、容量C1の容量値と、回路401の容量値によって概ね決定される。容量C1の容量値が回路401の容量値よりも十分に大きい場合、電位dVは第2データ電位Vdataに近い電位となる。
【0249】
このように、画素回路400は、2種類のデータ信号を組み合わせて表示デバイスを含む回路401に供給する電位を生成することができるため、画素回路400内で階調の補正を行うことが可能となる。
【0250】
また画素回路400は、配線S1および配線S2に供給可能な最大電位を超える電位を生成することも可能となる。例えば発光デバイスを用いた場合では、ハイダイナミックレンジ(HDR)表示等を行うことができる。また、液晶デバイスを用いた場合では、オーバードライブ駆動等を実現できる。
【0251】
<適用例>
〔液晶デバイスを用いた例〕
図24Cに示す画素回路400LCは、回路401LCを有する。回路401LCは、液晶デバイスLCと、容量C2とを有する。
【0252】
液晶デバイスLCは、一方の電極がノードN2および容量C2の一方の電極と、他方の電極は電位Vcom2が与えられる配線と接続する。容量C2の他方の電極は電位Vcom1が与えられる配線と接続する。
【0253】
容量C2は保持容量として機能する。なお、容量C2は不要であれば省略することができる。
【0254】
画素回路400LCは、液晶デバイスLCに高い電圧を供給することができるため、例えばオーバードライブ駆動により高速な表示を実現すること、駆動電圧の高い液晶材料を適用することなどができる。また、配線S1または配線S2に補正信号を供給することで、使用温度または液晶デバイスLCの劣化状態等に応じて階調を補正することもできる。
【0255】
〔発光デバイスを用いた例〕
図24Dに示す画素回路400ELは、回路401ELを有する。回路401ELは、発光デバイスEL、トランジスタM3、および容量C2を有する。
【0256】
トランジスタM3は、ゲートがノードN2および容量C2の一方の電極と、ソースおよびドレインの一方は電位VHが与えられる配線と、他方は発光デバイスELの一方の電極と、それぞれ接続される。容量C2の他方の電極は、電位Vcomが与えられる配線と接続する。発光デバイスELの他方の電極は、電位VLが与えられる配線と接続する。
【0257】
トランジスタM3は、発光デバイスELに供給する電流を制御する機能を有する。容量C2は保持容量として機能する。容量C2は不要であれば省略することができる。
【0258】
なお、ここでは発光デバイスELのアノード側がトランジスタM3と接続する構成を示しているが、カソード側にトランジスタM3を接続してもよい。そのとき、電位VHと電位VLの値を適宜変更することができる。
【0259】
画素回路400ELは、トランジスタM3のゲートに高い電位を与えることで、発光デバイスELに大きな電流を流すことができるため、例えばHDR表示などを実現することができる。また、配線S1または配線S2に補正信号を供給することで、トランジスタM3や発光デバイスELの電気特性のばらつきの補正を行うこともできる。
【0260】
なお、
図24C、
図24Dで例示した回路に限られず、別途トランジスタおよび容量などを追加した構成としてもよい。
【0261】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0262】
(実施の形態5)
以下では、本発明の一態様の表示パネルの画素の構成例について説明する。
【0263】
【0264】
画素300は、複数の画素301を有する。複数の画素301は、それぞれ、副画素として機能する。それぞれ異なる色を呈する複数の画素301によって1つの画素300が構成されることで、表示部では、フルカラーの表示を行うことができる。
【0265】
図25A、
図25Bに示す画素300は、それぞれ、3つの副画素を有する。
図25Aに示す画素300が有する画素301が呈する色の組み合わせは、赤(R)、緑(G)、および青(B)である。
図25Bに示す画素300が有する画素301が呈する色の組み合わせは、シアン(C)、マゼンタ(M)、黄色(Y)である。
【0266】
図25C乃至
図25Eに示す画素300は、それぞれ、4つの副画素を有する。
図25Cに示す画素300が有する画素301が呈する色の組み合わせは、赤(R)、緑(G)、青(B)、白(W)である。白色を呈する副画素を用いることで、表示部の輝度を高めることができる。
図25Dに示す画素300が有する画素301が呈する色の組み合わせは、赤(R)、緑(G)、青(B)、黄(Y)である。
図25Eに示す画素300が有する画素301が呈する色の組み合わせは、シアン(C)、マゼンタ(M)、黄色(Y)、白(W)である。
【0267】
1つの画素として機能させる副画素の数を増やし、赤、緑、青、シアン、マゼンタ、および黄などの色を呈する副画素を適宜組み合わせることにより、中間調の再現性を高めることができる。よって、表示品位を高めることができる。
【0268】
また、本発明の一態様の表示装置は、さまざまな規格の色域を再現することができる。例えば、テレビ放送で使われるPAL(Phase Alternating Line)規格およびNTSC(National Television System Committee)規格、パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、プリンタなどの電子機器に用いる表示装置で広く使われているsRGB(standard RGB)規格およびAdobe RGB規格、HDTV(High Definition Television、ハイビジョンともいう)で使われるITU-R BT.709(International Telecommunication Union Radiocommunication Sector Broadcasting Service(Television) 709)規格、デジタルシネマ映写で使われるDCI-P3(Digital Cinema Initiatives P3)規格、UHDTV(Ultra High Definition Television、スーパーハイビジョンともいう)で使われるITU-R BT.2020(REC.2020(Recommendation 2020))規格などの色域を再現することができる。
【0269】
また、画素300を1920×1080のマトリクス状に配置すると、いわゆるフルハイビジョン(「2K解像度」、「2K1K」、または「2K」などともいう)の解像度でフルカラー表示可能な表示装置を実現することができる。また、例えば、画素300を3840×2160のマトリクス状に配置すると、いわゆるウルトラハイビジョン(「4K解像度」、「4K2K」、または「4K」などともいう)の解像度でフルカラー表示可能な表示装置を実現することができる。また、例えば、画素300を7680×4320のマトリクス状に配置すると、いわゆるスーパーハイビジョン(「8K解像度」、「8K4K」、または「8K」などともいう)の解像度でフルカラー表示可能な表示装置を実現することができる。画素300を増やすことで、16Kまたは32Kの解像度でフルカラー表示可能な表示装置を実現することも可能である。
【0270】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0271】
100:角度調整装置、100a:角度調整装置、100b:角度調整装置、100c:角度調整装置、100d:角度調整装置、101a:基礎部品、101b:基礎部品、102a:連結部品、102b:連結部品、103a:柱状部品、103b:柱状部品、104a:柱状部品、104b:柱状部品、105:柱状部品、111:面、112:面、113:面、114:面、115:面、121:開口部、122:部、122a:領域、122b:領域、122c:領域、131a:連結部品、131b:連結部品、132:スペーサ、141:薄膜太陽電池、141a:開口部、141b:開口部、142a:開口部、142b:開口部、143a:開口部、143b:開口部、151:領域、151a:領域、151b:領域、152:領域、152a:領域、152b:領域、161:平板部、162:平板部、163:平板部、165:屈曲部、166:柱状体、167a:側面、167b:側面、167c:側面、167d:側面、170:表示パネル、171:表示パネル、172:表示パネル、173:表示パネル、175:表示パネル、181:柱状体、186a:歯車、186b:歯車、200:支持具、220:センサ、235a:入出力ユニット、235b:入出力ユニット、236a:カメラ、236b:カメラ、237:センサ、240:太陽電池、245:外部インターフェイス、250:表示装置、300:画素、301:画素、400:画素回路、400EL:画素回路、400LC:画素回路、401:回路、401EL:回路、401LC:回路、501:画素回路、502:画素部、504:駆動回路部、504a:ゲートドライバ、504b:ソースドライバ、506:保護回路、507:端子部、550:トランジスタ、552:トランジスタ、554:トランジスタ、560:キャパシタ、562:キャパシタ、570:液晶デバイス、572:発光デバイス、700:表示パネル、700A:表示パネル、702:画素部、704:ソースドライバ回路部、706:ゲートドライバ回路部、708:FPC端子部、710:配線、716:FPC、717:IC、730:絶縁層、732:封止層、736:着色層、738:遮光層、740:支持基板、741:保護層、741a:絶縁層、741b:絶縁層、741c:絶縁層、742:接着層、743:樹脂層、744:絶縁層、745:支持基板、746:絶縁層、747:接着層、749:保護層、750:トランジスタ、752:トランジスタ、760:配線、761:導電層、770:絶縁層、772:導電層、780:異方性導電膜、782:発光デバイス、786:EL層、788:導電層、790:キャパシタ