(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】エアロゾル送達デバイス用MEMSベースセンサ
(51)【国際特許分類】
A24F 40/51 20200101AFI20241121BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20241121BHJP
【FI】
A24F40/51
A24F40/40
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022161445
(22)【出願日】2022-10-06
(62)【分割の表示】P 2020177132の分割
【原出願日】2015-11-11
【審査請求日】2022-11-04
(32)【優先日】2014-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516097871
【氏名又は名称】アール・エイ・アイ・ストラテジック・ホールディングス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン・クリストファー・ラム
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック・フィリップ・アンポリーニ・シニア
(72)【発明者】
【氏名】レイモンド・チャールズ・ヘンリー・ジュニア
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0298905(US,A1)
【文献】国際公開第2014/060268(WO,A1)
【文献】特開2005-274175(JP,A)
【文献】特開2012-225925(JP,A)
【文献】特開2013-154465(JP,A)
【文献】国際公開第2013/098396(WO,A2)
【文献】特表2010-526553(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/51
A24F 40/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル送達デバイスであって、
吸い口開口部およびバッテリを有するハウジングと、
前記ハウジング内にある微小電気機械システムベース(MEMSベース)センサであって、前記吸い口開口部での吸引によって引き起こされる前記ハウジングの少なくとも一部を通る空気流によって引き起こされる前記MEMSベースセンサ上の圧力を検出するように構成され、前記圧力を電気信号に変換し、前記電気信号を出力するように構成された、MEMSベースセンサと、
前記MEMSベースセンサから前記電気信号を受信し、それに基づいて前記エアロゾル送達デバイスの少なくとも1つの機能要素の動作を制御するように構成されたマイクロプロセッサと、を備え、
マイクロプロセッサおよびMEMSベースセンサが、直接にMEMSベースセンサが取り付けられた電子回路基板として組み合わされ、電子回路基板が吸い口開口部とバッテリとの間でハウジングの中心軸に長さ方向に平行に位置しており、
前記MEMSベースセンサが、可変キャパシタを形成する背面板と微細加工された圧力感知ダイヤフラムとを有するダイを含むMEMSマイクロホンであるか、あるいは、微細加工された圧力感知ダイヤフラムとダイヤフラム上に配設された1つ以上のピエゾ抵抗器とを有するダイを含むMEMS圧力センサであり、
入力電圧が、前記可変キャパシタまたは前記1つ以上のピエゾ抵抗器に印加された場合、前記圧力が前記ダイヤフラムの動き及びそれによる前記可変キャパシタまたは前記1つ以上のピエゾ抵抗器のそれぞれ抵抗または静電容量の変化を生じさせ、前記静電容量または前記抵抗の前記変化が前記可変キャパシタまたは前記1つ以上のピエゾ抵抗器の両端の出力電圧の変化を引き起こし、前記出力電圧またはそのデジタル表現が、前記MEMS圧力センサによって前記電気信号として出力され、
前記MEMSマイクロホンが、前記ダイに結合され、前記可変キャパシタを前記入力電圧でバイアスするように構成されるバイアス発生器回路を含む、別のダイワイヤをさらに備える、
エアロゾル送達デバイス。
【請求項2】
前記MEMSベースセンサを、前記圧力を変換するように構成することが、前記圧力を、前記MEMSベースセンサ上の周囲圧力に対する前記圧力の対応する変動と共に変動する前記電気信号に変換するように構成することを含み、前記対応する変動は、前記空気流の変動によって引き起こされる、請求項1に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項3】
前記圧力の前記対応する変動は、前記空気流の速度の変動によって引き起こされる、請求項2に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項4】
前記MEMS圧力センサが、前記ダイに結合され、前記1つ以上のピエゾ抵抗器を前記入力電圧でバイアスするように構成されたバイアス発生器回路を含む、別のダイワイヤをさらに備える、請求項1に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項5】
前記マイクロプロセッサを、少なくとも1つの機能要素の前記動作を制御するように構成することが、加熱器、流体送達部材、感覚フィードバック部材、またはそれらの任意の組み合わせの前記動作を制御するように構成することを含む、請求項1に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項6】
前記電子回路基板は、実質的に管状の形状を含む様々な形状に構成することができる、請求項1に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項7】
前記電子回路基板は、その一部または全部を形成するか、積層するか、または、加熱器基板と組み合わせることができるフレキシブル回路基板である、請求項1に記載のエアロゾル送達デバイス。
【請求項8】
微小電気機械システムベース(MEMSベース)センサをそのハウジング内に含むエアロゾル送達デバイスの動作を制御する方法であって、ハウジングは吸い口開口部およびバッテリを有し、当該方法は、
前記吸い口開口部での吸引によって引き起こされる前記ハウジングの少なくとも一部を通る空気流によって引き起こされる前記MEMSベースセンサ上の圧力を検出し、前記MEMSベースセンサが前記圧力を電気信号に変換し、MEMSベースセンサが、直接にMEMSベースセンサが取り付けられた電子回路基板としてマイクロプロセッサと組み合わされ、電子回路基板が吸い口開口部とバッテリとの間でハウジングの中心軸に長さ方向に平行に位置されていることと、
前記電気信号に基づいてマイクロプロセッサで前記エアロゾル送達デバイスの少なくとも1つの機能要素の動作を制御することと、を含み、
前記MEMSベースセンサが、可変キャパシタを形成する背面板と微細加工された圧力感知ダイヤフラムとを有するダイを含むMEMSマイクロホンであるか、または、前記ダイヤフラム上に配設された1つ以上のピエゾ抵抗器と微細加工された圧力感知ダイヤフラムとを含むMEMS圧力センサであり、
入力電圧が前記可変キャパシタまたは前記1つ以上のピエゾ抵抗器に印加された場合、前記圧力がダイヤフラムの動き及びそれによる前記可変キャパシタまたは前記1つ以上のピエゾ抵抗器のそれぞれ静電容量または抵抗の変化を引き起こし、前記静電容量または前記抵抗の前記変化が、前記可変キャパシタまたは前記1つ以上のピエゾ抵抗器の両端の出力電圧の変化を引き起こし、前記MEMSマイクロホンまたは圧力センサが、前記出力電圧またはそのデジタル表現を前記電気信号として出力
し、
前記MEMSマイクロホンが、前記ダイに結合され、前記可変キャパシタを前記入力電圧でバイアスするように構成されるバイアス発生器回路を含む、別のダイワイヤをさらに備える、
方法。
【請求項9】
前記MEMSベースセンサが前記圧力を変換することが、前記圧力を、前記MEMSベースセンサ上の周囲圧力に対する前記圧力の対応する変動と共に変動する前記電気信号に変換することを含み、前記対応する変動は、前記空気流の変動により引き起こされる、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記圧力の前記対応する変動が、前記空気流の速度の変動によって引き起こされる、請求項
9に記載の送達デバイスの方法。
【請求項11】
少なくとも1つの機能要素の前記動作を制御することが、加熱器、流体送達部材、感覚フィードバック部材、またはそれらの任意の組み合わせの前記動作を制御することを含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項12】
前記電子回路基板を、実質的に管状の形状を含む様々な形状に構成することを含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項13】
前記電子回路基板は、フレキシブル回路基板であり、本方法が、フレキシブル回路基板から加熱器基板の一部または全部を形成すること、フレキシブル回路基板を加熱器基板に積層すること、または、フレキシブル回路基板を加熱器基板と組み合わせること、を含む、請求項
8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、喫煙物品のようなエアロゾル送達デバイスに関し、より詳細には、エアロゾルの生成のために電気的に発生した熱を利用し得るエアロゾル送達デバイス(例えば、一般に電子タバコと呼ばれる喫煙物品)に関する。喫煙物品は、タバコから製造され得るもしくはそれに由来し得る材料を組み込むことができるか、または他の方法でタバコを組み込むことができるエアロゾル前駆体を加熱するように構成され得、この前駆体は人間による消費のために吸入可能な物質を形成可能である。
【背景技術】
【0002】
多くの喫煙デバイスが、使用のためにタバコを燃焼させることを必要とする喫煙製品の改良品または代替品として、長年にわたり提案されている。これらのデバイスの多くは、称されるところによれば、タバコの燃焼から生じる相当量の不完全燃焼生成物及び熱分解生成物を送達することなく、紙巻きタバコ、葉巻、またはパイプ喫煙に関連する知覚を提供するように設計されている。そのために、電気エネルギーを利用して揮発性材料を気化または加熱するか、あるいはタバコの著しい程度の燃焼を伴わずに紙巻きタバコ、葉巻、またはパイプ喫煙の知覚を提供することを試みる、数多くの喫煙製品、風味生成器、及び薬用吸入器が提案されている。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Robinsonらへの米国特許第US7,726,320号、Griffith,Jr.らへの米国特許出願公開第US2013/0255702号、及びSearsらへの米国特許出願公開第US2014/0096781号に記載の背景技術に記載されている、種々の代替的な喫煙物品、エアロゾル送達デバイス、及び発熱源を参照されたい。また、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2014年2月3日出願のBlessらへの米国特許出願第US14/170,838号に記載の背景技術に記載されている、種々の喫煙物品、エアロゾル送達デバイス、及び電気的発熱源を参照されたい。
【0003】
電気エネルギーによって生成された熱を用いて紙巻きタバコ、葉巻、またはパイプ喫煙の感覚を提供し、タバコをかなりの程度燃焼または熱分解させることなくこれを行い、燃焼熱源を必要とすることなくこれを行い、かつ、相当量の不完全燃焼及び熱分解生成物を必ずしも送達することなくこれを行う、喫煙物品を提供することが望ましい。さらに、電子喫煙物品の製造に関する進歩が望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第7,726,320号明細書
【文献】米国特許出願公開第2013/0255702号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0096781号明細書
【発明の概要】
【0005】
本開示は、エアロゾル送達デバイス、そのような装置を形成する方法、及びそのような装置の要素に関する。本開示の実装例の一態様により、エアロゾル送達デバイスが提供される。エアロゾル送達デバイスは、ハウジング、微小電気機械システムベース(MEMSベース)センサ、及びマイクロプロセッサを含む。MEMSベースセンサは、ハウジング内にあり、ハウジングの少なくとも一部を通る空気流によって引き起こされるMEMSベースセンサ上の圧力を検出するように構成される。MEMSベースセンサは、圧力を電気信号に変換し、電気信号を出力するように構成される。
【0006】
マイクロプロセッサは、MEMSベースのセンサから電気信号を受信し、それに基づいてエアロゾル送達デバイスの少なくとも1つの機能要素の動作を制御するように構成される。これには、例えば、マイクロプロセッサを、加熱器、流体送達部材、感覚フィードバック部材、またはそれらの任意の組み合わせの動作を制御するように構成することが含まれ得る。
【0007】
いくつかの例では、MEMSベースセンサは、圧力を、MEMSベースセンサ上の周囲圧力に対する圧力における対応する変動と共に変動する電気信号に変換するように構成されてもよい。これらの例では、対応する変動は、空気流の速度の変動のような空気流の変動によって引き起こされる可能性がある。
【0008】
いくつかの例では、MEMSベースセンサは、可変キャパシタを形成する微細加工された圧力感知ダイヤフラムと背面板とを有するダイを含むMEMSマイクロホンであってもよい。これらの例では、入力電圧が可変キャパシタに印加された場合、圧力はダイヤフラムの動き及びそれによる可変キャパシタの静電容量が変化を引き起こす。静電容量の変化は、可変キャパシタの両端の出力電圧の変化を引き起こす。そして、MEMSマイクロホンは、出力電圧またはそのデジタル表現を電気信号として出力するように構成されている。
【0009】
いくつかの例では、MEMSベースセンサは、微細加工された圧力感知ダイヤフラムを有するダイと、ダイヤフラム上に配設された1つ以上のピエゾ抵抗器とを含むMEMS圧力センサであってもよい。これらの例では、入力電圧がピエゾ抵抗器に印加された場合、圧力はダイヤフラムの動き及びそれによるピエゾ抵抗器の抵抗の変化を引き起こす。抵抗の変化は、ピエゾ抵抗器の両端の出力電圧の変化を引き起こす。MEMS圧力センサは、出力電圧またはそのデジタル表現を電気信号として出力するように構成されている。
【0010】
さらなる例では、MEMSマイクロホンまたはMEMS圧力センサは、ダイに結合され、可変キャパシタまたはピエゾ抵抗器(複数含む)を入力電圧でバイアスするように構成されたバイアス発生器回路を含む、別のダイワイヤをさらに備える。例示的な実装例の別の態様では、エアロゾル送達デバイスのハウジング内にMEMSベースセンサを含むエアロゾル送達デバイスの動作を制御する方法が提供される。本明細書で論じる特徴、機能、及び利点は、様々な実装例において独立して達成されてもよく、またはさらなる詳細が以下の説明及び図面を参照して見られるさらなる他の実装例において組み合わされてもよい。
【0011】
したがって、本開示は、限定ではなく、以下の実装例を含む。
【0012】
実装例1:エアロゾル送達デバイスであって、ハウジングと、ハウジング内にある微小電気機械システムベース(MEMSベース)センサであって、ハウジングの少なくとも一部を通る空気流によって引き起こされるMEMSベースセンサ上の圧力を検出するように構成され、圧力を電気信号に変換し、電気信号を出力するように構成された、MEMSベースセンサと、MEMSベースのセンサから電気信号を受信し、それに基づいてエアロゾル送達デバイスの少なくとも1つの機能要素の動作を制御するように構成されたマイクロプロセッサと、を備える、エアロゾル送達デバイス。
【0013】
実装例2:MEMSベースセンサを、圧力を変換するように構成することが、圧力をMEMSベースセンサ上の周囲圧力に対する圧力の対応する変動と共に変化する電気信号に変換するように構成することを含み、対応する変動は、空気流の変動によって引き起こされる、先行するまたは後続の例示的な実施形態のいずれか、またはその組み合わせに記載のエアロゾル送達デバイス。
【0014】
実装例3:対応する圧力の変動が空気流の速度の変動により引き起こされる、先行するもしくは後続の実施形態のいずれか、またはその組み合わせに記載のエアロゾル送達デバイス。
【0015】
実装例4:MEMSベースセンサが、可変キャパシタを形成する微細加工された圧力感知ダイヤフラムと背面板とを有するダイを含むMEMSマイクロホンであり、可変キャパシタに入力電圧が印加された場合、ダイヤフラムの動き及びそれによる可変キャパシタの静電容量の変化を引き起こし、静電容量の変化が、可変キャパシタの両端間の出力電圧の変化を引き起こし、出力電圧またはそのデジタル表現が、電気信号としてMEMSマイクロホンによって出力される、先行するもしくは後続の実施形態のいずれか、またはその組み合わせに記載のエアロゾル送達デバイス。
【0016】
実装例5:MEMSマイクロホンが、ダイに結合され、可変キャパシタを入力電圧でバイアスするように構成されたバイアス発生器回路を含む、別のダイワイヤをさらに備える、先行するもしくは後続の実施形態のいずれか、またはその組み合わせに記載のエアロゾル送達デバイス。
【0017】
実装例6:MEMSベースセンサが、微細加工された圧力感知ダイヤフラムと、ダイヤフラム上に配設された1つ以上のピエゾ抵抗器とを有するダイを含むMEMS圧力センサであり、入力電圧が1つ以上のピエゾ抵抗器に印加された場合、圧力はダイヤフラムの動き及びそれによる1つ以上のピエゾ抵抗器の抵抗の変化を引き起こし、抵抗の変化が、1つ以上のピエゾ抵抗器の両端の出力電圧の変化を引き起こし、出力電圧またはそのデジタル表現が、MEMS圧力センサによって電気信号として出力される、先行するもしくは後続の実施形態のいずれか、またはその組み合わせに記載のエアロゾル送達デバイス。
【0018】
実装例7:MEMS圧力センサが、ダイに結合され、入力電圧で1つ以上のピエゾ抵抗器をバイアスするように構成されたバイアス発生器回路を含む、別のダイワイヤをさらに備える、先行するもしくは後続の実施形態のいずれか、またはその組み合わせに記載のエアロゾル送達デバイス。
【0019】
実装例8:マイクロプロセッサを、少なくとも1つの機能要素の動作を制御するように構成することが、加熱器、流体送達部材、感覚フィードバック部材、またはそれらの任意の組み合わせの動作を制御するように構成することを含む、先行するもしくは後続の実施形態のいずれか、またはその組み合わせに記載のエアロゾル送達デバイス。
【0020】
実装例9:微小電気機械システムベース(MEMSベース)センサをそのハウジング内に含むエアロゾル送達デバイスの動作を制御する方法であって、ハウジングの少なくとも一部を通る空気流によって引き起こされるMEMSベースのセンサ上の圧力を検出し、MEMSベースセンサが圧力を電気信号に変換することと、電気信号に基づいてエアロゾル送達デバイスの少なくとも1つの機能要素の動作を制御することと、を含む、方法。
【0021】
実装例10:MEMSベースセンサが圧力を変換することが、圧力をMEMSベースセンサ上の周囲圧力に対する圧力の対応する変動と共に変動する電気信号に変換することを含み、対応する変動は空気流の変動によって引き起こされる、先行するもしくは後続の実施形態のいずれか、またはその組み合わせに記載の方法。
【0022】
実装例11:対応する圧力の変動が、空気流の速度の変動によって引き起こされる、先行するもしくは後続の実施形態のいずれか、またはその組み合わせに記載の送達デバイスの方法。
【0023】
実装例12:MEMSベースセンサが、可変キャパシタを形成する微細加工された圧力感知ダイヤフラムと背面板とを有するダイを含む、MEMSマイクロホンであり、可変キャパシタに入力電圧が印加された場合、圧力がダイヤフラムの動き及びそれによる可変キャパシタの静電容量の変化を引き起こし、静電容量の変化が可変キャパシタの両端間の出力電圧の変化を引き起こし、MEMSマイクロホンが、出力電圧またはそのデジタル表現を電気信号として出力する、先行するもしくは後続の実施形態のいずれか、またはその組み合わせに記載の方法。
【0024】
実装例13:MEMSベースセンサが、微細加工された圧力感知ダイヤフラムと、ダイヤフラム上に配設された1つ以上のピエゾ抵抗器とを有するダイを含むMEMS圧力センサであり、入力電圧が1つ以上のピエゾ抵抗器に印加された場合、圧力がダイヤフラムの動き及びそれによる1つ以上のピエゾ抵抗器の抵抗の変化を引き起こし、抵抗の変化が、1つ以上のピエゾ抵抗器の両端の出力電圧の変化を引き起こし、MEMS圧力センサが、出力電圧またはそのデジタル表現を電気信号として出力する、先行するもしくは後続の実施形態のいずれか、またはその組み合わせに記載の方法。
【0025】
実装例14:少なくとも1つの機能要素の動作を制御することは、加熱器、流体送達部材、感覚フィードバック部材、またはそれらの任意の組み合わせの動作を制御することを含む、先行するもしくは後続の実施形態のいずれか、またはその組み合わせに記載の方法。
【0026】
本概要は、本開示のいくつかの態様の基本的理解を提供するために、いくつかの例示的な実施形態を要約する目的で提供されるに過ぎない。したがって、上記の例示的な実施形態が例に過ぎず、本開示の範囲または主旨をいかようにも制限するものと解釈されるべきではないことは理解されるであろう。これに関して、本開示のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下で簡単に説明する添付の図面と併せて、以下の詳細な説明を読むことにより明らかになるであろう。本発明は、上記の実施形態の2つ、3つ、4つ、またはそれよりも多くの任意の組み合わせ、ならびに本開示に記載の任意の2つ,3つ,4つ、またはそれよりも多くの特徴または要素の組み合わせを含み、そのような特徴または要素は、本明細書の特定の実施形態の説明において明示的に組み合わせられる。本開示は、その様々な態様及び実施形態のいずれかにおいて、開示された発明の任意の分離可能な特徴または要素が、文脈がそうでないことを明確に指示しない限り、組み合わせ可能と意図されるとみなされるべきであるように全体的に読み取られることが意図される。
【0027】
このように、本開示を前述の概括的な用語で説明したので、これより添付の図面を参照するが、これらは必ずしも縮尺どおりに描かれてはいない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本開示の様々な実装例によるエアロゾル送達デバイスにおいて利用され得る様々な要素を含むカートリッジ及び制御本体を含むエアロゾル送達デバイスの部分切り取り図である。
【
図2】
図2は、実装例によるエアロゾル送達デバイスで使用するためのMEMSベースセンサを概略的に示す図である。
【
図3】
図3は、いくつかの実装例によるMEMSマイクロホン及びMEMS圧力センサの形態のMEMSベースセンサ用の微細加工されたセンサを概略的に示す。
【
図4】
図4は、いくつかの実装例によるMEMSマイクロホン及びMEMS圧力センサの形態のMEMSベースセンサ用の微細加工されたセンサを概略的に示す。
【
図5】
図5は、実装例による、そのハウジング内にMEMSベースセンサを含むエアロゾル送達デバイスの動作を制御する方法における様々な動作を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本開示はこれから、その実装例を参照して、以下により完全に説明される。これらの実装例は、本開示が徹底しておりかつ完全であり、本開示の範囲を当業者に完全に伝えるように記載される。実際、本開示は多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載された実装に限定されるものと解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実装は、本開示が適用される法的要件を満たすように提供される。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「1つの(a)、(an)」、「その(the)」などは、文脈上明確に指示されない限り、複数の指示対象を含む。
【0030】
以下に説明するように、本開示の実装例は、エアロゾル送達システムに関する。本開示によるエアロゾル送達システムは、吸入可能な物質を形成するために材料を加熱、(好ましくは、材料を著しい程度に燃焼させることなく)するために電気エネルギーを使用し、そのようなシステムの構成要素は、最も好ましくは手持ち式デバイスとみなすのに十分にコンパクトな物品の形態を有する。すなわち、好ましいエアロゾル送達システムの構成要素の使用は、エアロゾルが主としてタバコの燃焼または熱分解の副産物から生じるという意味での煙の生成をもたらさないが、むしろそれらの好ましいシステムの使用は、その中に組み込まれた特定の成分の揮発または気化に起因する蒸気の生成をもたらす。いくつかの実装例では、エアロゾル送達システムの構成要素は、電子タバコとして特徴付けることができ、それらの電子タバコは、最も好ましくは、タバコ及び/またはタバコに由来構成要素を組み込み、したがって、エアロゾル形態のタバコ由来構成要素を送達する。
【0031】
特定の好ましいエアロゾル送達システムのエアロゾル生成部品は、その物品またはデバイスのいかなる構成要素も任意の著しい程度に燃焼させることなく、タバコを点けて燃焼させることによって(したがって、タバコの煙を吸い込むことによって)使用される紙巻きタバコ、葉巻、またはパイプを吸うことの多くの知覚(例えば、吸入及び吐出習慣、味または風味の種類、感覚刺激作用、物理的感触、使用習慣、目に見えるエアロゾルによって提供されるものなどの視覚的刺激など)を提供することができる。
例えば、本開示のエアロゾル生成部品のユーザは、喫煙者が伝統的なタイプの喫煙物品を使用するのと同じように、その部品を保持し使用することができ、部品により生成されるエアロゾルの吸入のために部品の一端を吸ったり、選択された時間間隔で吹かしたりすることができる。
【0032】
本開示のエアロゾル送達システムはまた、蒸気生成物品または薬物送達物品であることを特徴としてもよい。したがって、そのような物品またはデバイスは、1つ以上の物質(例えば、風味及び/または薬学的活性成分)を吸入可能な形態または状態で提供するように適合されてよい。例えば、吸入可能な物質は、実質的に蒸気の形態(すなわち、その臨界点未満の温度で気相にある物質)であり得る。代替的に、吸入可能な物質は、エアロゾルの形態(すなわち、ガス中の固体微粒子または液滴の浮遊物)であってもよい。簡潔性を目的として、本明細書で使用される「エアロゾル」という用語は、可視であるか否かにかかわらず、また煙様であると見なされ得る形態のものであるか否かにかかわらず、ヒトによる吸入に好適な形態または種類の蒸気、ガス、及びエアロゾルを含むことが意図される。
【0033】
本開示のエアロゾル送達システムは、一般に、ハウジングと呼ばれることがある外側本体または外郭内に設けられたいくつかの構成要素を含む。外側本体または外郭の全体的な設計は変更可能であり、エアロゾル送達デバイスの全体的なサイズ及び形状を画定することができる外側本体の形式または構成は変更可能である。典型的には、紙巻きタバコまたは葉巻の形状に類似した細長い本体は、単一の集合型ハウジングから形成されてもよく、集合型ハウジングまたは長尺のハウジングは2つ以上の分離可能な本体から形成されてもよい。例えば、エアロゾル送達デバイスは、形状が実質的に管状であり得、従来の紙巻きタバコまたは葉巻の形状に類似し得る長尺の外郭または本体を含むことができる。一例において、エアロゾル送達デバイスの全ての構成要素は、1つのハウジング内に収容される。あるいは、エアロゾル送達デバイスは、結合され、分離可能な2つ以上のハウジングを備えることができる。例えば、エアロゾル送達デバイスは、1つ以上の再使用可能な構成要素(例えば、再充電可能な電池、及び本物品の動作を制御するための種々の電子装置)を含む外側本体または外郭を備える制御体を一端に保有し、もう一端では、使い捨ての部分(例えば、使い捨ての風味含有カートリッジ)を含む外側本体または外郭が、それに取り外し可能に取り付けられ得る。
【0034】
本開示のエアロゾル送達システムは、電源(例えば、電力源)、少なくとも1つの制御要素(例えば、電流その電源を物品の他の構成要素へ制御することなどにより、発熱のために電力を作動させ、制御し、調節し、停止させるための手段、例えばマイクロプロセッサ、個別のまたは一部としてのマイクロコントローラ)、加熱器または発熱構成部材(例えば、単独または1つ以上のさらなる構成要素が「噴霧器」と一般に称され得る電気抵抗加熱要素または他の部品)、エアロゾル前駆体組成物(例えば、一般的には、「スモークジュース(smoke juice)」、「Eリキッド(e-liquid)」、及び「Eジュース(e-juice)」と一般に称される成分など、十分な熱が適用されるとエアロゾルを生むことができる液体)、及びエアロゾル吸入のためにエアロゾル送達デバイスを吸うことを可能にする吸い口領域すなわち先端(例えば、吸われると、生成されたエアロゾルがそこから引き出され得るように、物品を通る画定された気流路)の何らかの組み合わせを備えることが最も好ましい。
【0035】
本開示のエアロゾル送達システム内のより具体的な形式、構成及び構成要素の配置は、以下に提供されるさらなる開示に照らして明らかになるであろう。さらに、種々のエアロゾル送達デバイス構成要素の選択は、本開示の背景技術の節に列挙した代表的な製品など、市販の電子エアロゾル送達デバイスを考慮すれば理解することができる。
【0036】
様々な例において、エアロゾル送達デバイスは、エアロゾル前駆体組成物を保持するように構成された液溜めを含むことができる。液溜めは、特に、多孔質材料(例えば、繊維材料)から形成され得、したがって、多孔性基材(例えば、繊維質基材)と呼ばれ得る。
【0037】
エアロゾル送達デバイスの液溜めとして有用な繊維性基材は、複数の繊維またはフィラメントから形成された織布または不織布材料であってもよく、天然繊維及び合成繊維の一方または両方から形成することができる。例えば、繊維質基材は、ガラス繊維材料を含むことができる。特定の例では、酢酸セルロース材料を使用することができる。他の実装例では、炭素材料を使用することができる。液溜めは、実質的に容器の形態であってもよく、その中に含まれる繊維質材料を含んでもよい。
【0038】
本開示によるエアロゾル送達デバイス100の1つの実装例が、
図1に示されている。その中に示されている切り欠き図に見られるように、エアロゾル送達デバイスは、機能的関係で永久にまたは取り外し可能に配列され得る制御本体102及びカートリッジ104を備えることができる。制御本体とカートリッジとの係合は、(図示の)圧入、ねじ込み、締り嵌め、磁気などであってもよい。特に、本明細書でさらに説明するような接続構成要素を使用することができる。例えば、制御本体は、カートリッジ上のコネクタに係合するように適合されたカプラを含むことができる。
【0039】
特定の実装例では、制御本体102及びカートリッジ104の一方または両方は、使い捨て可能であるか、または再使用可能であると呼ばれてもよい。例えば、制御体は、交換可能な電池または再充電可能な電池を有してもよく、したがって、典型的な電気コンセントへの接続、車の充電器(すなわち、シガーソケットレセプタクル)への接続、及びユニバーサルシリアルバス(USB)ケーブルなどを介したコンピュータへの接続を含む、任意の種類の再充電技術と組み合わされることができる。例えば、一端にUSBコネクタを、そして対向する端部に制御体コネクタを含むアダプタが、Novacらへの米国特許出願公開第US2014/0261495号に開示されており、この特許出願は、その全体において参照により本明細書に組み込まれる。さらに、いくつかの実施例では、Changらへの米国特許出願公開第US2014/0060555号に開示されているように、カートリッジは単回使用カートリッジを含んでもよく、この出願公開は、その全体において参照により本明細書に組み込まれる。
【0040】
図1に示すように、制御本体102は、制御要素108(例えば、マイクロプロセッサ、個別にまたはマイクロコントローラの一部として)、流量センサ110、バッテリ112及び発光ダイオード(LED)114を含む制御本体外郭を形成され得、このような構成要素は可変的に配列され得る。LEDに加えて、またはLEDの代替として、さらなる指標(例えば、触覚フィードバック要素、音響フィードバック要素など)を含めることができる。カートリッジ104は、液溜めハウジング内に貯蔵されたエアロゾル前駆体組成物を加熱器122(ときに加熱素子と呼ばれる)にウイックまたは他の方法で輸送するように適合された液体輸送要素120と流体連通する液溜め118を囲むカートリッジ外郭116で形成することができる。いくつかの例では、弁は、液溜めと加熱器との間に位置し、液溜めから加熱器に送られるかまたは供給されるエアロゾル前駆体組成物の量を制御するように構成される。
【0041】
電流が印加されると熱を生成するように構成された材料の様々な例は、加熱器122を形成するために採用することができる。これらの例における加熱器は、ワイヤコイルなどの抵抗発熱素子であってもよい。ワイヤコイルを形成する材料の例としては、カンタル(FeCrAl)、ニクロム、二ケイ化モリブデン(MoSi
2)、モリブデンシリサイド(MoSi)、アルミニウム(Mo(Si、Al)
2)をドープした二ケイ化モリブデン、グラファイト及びグラファイト系材料(例えば、炭素系発泡体及び糸)及びセラミック(例えば、正または負の温度係数セラミック)を含むが、これらに限定されない。本開示によるエアロゾル送達デバイスに有用な加熱器または加熱部材の実装例をさらに以下に説明し、
図1に示すようなデバイスに組み込むことができる。
【0042】
カートリッジ104から形成されたエアロゾルの排出を可能にするために、開口部124がカートリッジ外郭116(例えば、吸い口)内に存在してもよい。このような構成要素は、カートリッジ内に存在してもよく、本開示によって包含されるカートリッジ構成要素の範囲を限定するよう意図されない。
【0043】
カートリッジ104はまた、集積回路、メモリ構成要素、センサなどを含むことができる1つ以上の電子部品126を含むことができる。電子構成要素は、有線または無線手段によって制御要素108及び/または外部装置と通信するように適合されてもよい。電子構成要素は、カートリッジまたはその基部128内のどこにでも位置され得る。
【0044】
制御要素108及び流量センサ110は別々に図示されているが、制御要素及び流量センサは、直接に空気流センサが取り付けられた電子回路基板として組み合わされてもよいことが理解される。さらに、電子回路基板は、電子回路基板が制御本体の中心軸に長さ方向に平行であることができる
図1の描写に対して水平に配置されてもよい。いくつかの例では、空気流センサは、それ自身が取り付けられ得るそれ自体の回路基板または他のベース要素を備え得る。いくつかの例では、フレキシブル回路基板を利用することができる。フレキシブル回路基板は、実質的に管状の形状を含む様々な形状に構成することができる。いくつかの例では、以下にさらに説明するように、フレキシブル回路基板を加熱器基板と組み合わせるか、積層するか、またはその一部または全部を形成することができる。
【0045】
制御本体102及びカートリッジ104は、それらの間の流体係合を容易にするように適合された構成要素を含むことができる。
図1に示すように、制御本体は、内部にキャビティ132を有するカプラ130を含むことができる。カートリッジの基部128は、カプラに係合するように適合させることができ、キャビティ内に嵌合するように適合された突起134を含むことができる。このような係合は、制御本体とカートリッジとの間の安定した接続を容易にするとともに、制御本体内のバッテリ112と制御部品108及びカートリッジ内の加熱器122との間の電気的接続を確立することができる。さらに、制御本体外郭106は、吸気口136を含むことができ、この吸気口136は、周囲の空気がカプラの周りを通り抜けることを可能にするようにカプラに接続する外郭内の及びカプラのキャビティ132を通り、突出部134を通ってカートリッジ内に入る外郭内へのノッチであってもよい。
【0046】
本開示に従って有用なカプラ及び基部は、Novakらへの米国特許出願公開第US2014/0261495号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。例えば、
図1に示すカプラ130は、
図1の実施形態は、基部128の内周140と嵌合するように構成された外周138を画定することができる。一例では、基部の内周は、カプラの外周の半径と実質的に等しいか、またはそれよりわずかに大きい半径を画定することができる。さらに、カプラは、ベースの内周に画定された1つ以上の凹部144に係合するように構成された1つ以上の突起142を外周に画定することができる。しかし、構造、形状、及び構成要素の様々な他の例を使用して、基部をカプラに結合することができる。いくつかの例では、カートリッジ104の基部と制御本体102のカプラとの間の接続は、実質的に永久的であり得るが、他の例では、例えば、制御本体が、使い捨て及び/または詰め替えが可能な1つ以上の追加のカートリッジにより再使用され得るようにその間の接続は取り外し可能であり得る。
【0047】
エアロゾル送達デバイス100は、いくつかの例では、実質的に棒状または実質的に管状または実質的に円筒形であり得る。他の例では、さらなる形状及び寸法、例えば、長方形または三角形の断面、多面体形状などが包含される。
【0048】
図1に示す液溜め118は、容器とすることができ、または、現在記載されているように、繊維質容器とすることができる。例えば、液溜めは、この例では、カートリッジ外郭116の内部を取り囲むチューブの形状に実質的に形成された不織布繊維の1つ以上の層を含むことができる。エアロゾル前駆体組成物を液溜め内に保持することができる。液体構成要素は、例えば、貯蔵器によって収着可能に保持され得る。液溜めは、液体輸送要素120と流体接続することができる。液体輸送要素は、毛細管作用を介して液溜めに貯蔵されたエアロゾル前駆体組成物を、この例では金属ワイヤコイルの形態の加熱器122に輸送することができる。このように、加熱器は、液体輸送要素と加熱構成にある。本開示によるエアロゾル送達デバイスに有用な液溜め及び輸送要素の実装例を以下にさらに説明し、そのような液溜及びまたは輸送要素を
図1に示すような装置に組み込むことができる。特に、以下にさらに説明する加熱部材と輸送要素との特定の組み合わせを、本明細書に記述したように
図1に示すようなデバイスに組み込むことができる。
【0049】
使用時に、ユーザがエアロゾル送達デバイス100を吸うと、流量センサ110によって空気流が検出され、加熱器122が作動してエアロゾル前駆体組成物の成分を気化させる。エアロゾル送達デバイスの吸い口で吸うことにより、周囲の空気が空気取り入れ口136に入り、カプラ130のキャビティ132及び基部128の突出部134の中央開口部を通過する。カートリッジ104では、吸われた空気が形成された蒸気と結合してエアロゾルを形成する。エアロゾルは、加熱器から吹き飛ばされ、吸い出されるか、さもなければ引き出され、エアロゾル送達デバイスの吸い口の開口124から出る。
【0050】
本開示に従うエアロゾル送達デバイスの種々の構成要素は、当該技術分野において説明され、かつ市販されている構成要素から選択され得る。本開示に従って使用することができる電池の例は、Peckerarらへの米国特許出願公開第US2010/0028766号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0051】
エアロゾル送達デバイス100は、エアロゾル生成が所望されるとき(例えば、使用中に吸引する)、加熱器122への電力の供給を制御するセンサ110または別のセンサまたは検出器を組み込むことができる。このように、例えば、使用中にエアロゾル送達デバイスが吸引されないときに加熱器への電力供給をオフにし、吸引中に加熱器による熱の発生を起動もしくはトリガーさせるために電源をオンにする方式または方法が提供される。検知または検出機構の追加の代表的なタイプ、その構造及び構成、その構成要素、及びその一般的な操作方法は、Sprinkel、Jr.への米国特許第US5,261,424号、McCaffertyらへの米国特許第US5,372,148号、及びFlickのPCT国際公開第WO2010/003480号に記載されており、これらの全ては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0052】
エアロゾル送達デバイス100は、吸引中に加熱器122への電力量を制御するための制御要素108及び別の制御機構を、好ましくは、組み込む。代表的なタイプの電子部品、その構造及び構成、その特徴、及びその一般的な動作方法は、Gerthらへの米国特許第US4,735,217号、Brooksらへの米国特許第US4,947,874号、McCaffertyらへの米国特許第US5,372,148号、Fleischhauerらへの米国特許第US6,040,560号、Nguyenらへの米国特許第US7,040,314号、Panへの米国特許第US8,205,622号、Fernandoらへの米国特許出願公開第US2009/0230117号、Colletらへの米国特許出願公開第US2014/0060554号、Ampoliniらへの米国特許出願公開第US2014/0270727号、2014年3月13日に出願されたHenryらへの米国特許出願第US14/209,191号に記載されており、これらの全てはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0053】
エアロゾル前駆体を支持するための代表的なタイプの基材、液溜めまたは他の構成要素は、Newtonへの米国特許第US8,528,569号、Chapmanらへの米国特許出願公開第US2014/0261487号、2013年8月28日に出願されたDavisらへの米国特許出願第US14/011,992号、2014年2月3日に出願されたBlessらへの米国特許出願第US14/170,838号に記載されており、これらの全ては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。さらに、様々なウィッキング材料、及び特定のタイプの電子タバコの中のウィッキング材料の構成及び動作は、Searsらへの米国特許出願公開第US2014/0209105号に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0054】
蒸気前駆体組成物とも呼ばれるエアロゾル前駆体組成物は、例えば、多価アルコール(例えば、グリセリン、プロピレングリコールまたはその混合物)、ニコチン、タバコ、タバコエキス及び/または風味料を含む多様な構成要素を備えることができる。エアロゾル前駆体組成物に含まれ得る種々の成分は、Robinsonらの米国特許第US7,726,320号に記載されており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。追加の代表的なタイプのエアロゾル前駆体組成物は、Sensabaugh、Jr.らへの米国特許第US4,793,365号、Jakobらへの米国特許第US5,101,839号、Biggsらへの米国特許第US6,779,531号、Zhengらへの米国特許出願公開第2013/0008457号、及び”Chemical and Biological Studies on New Cigarette Prototypes that Heat Instead of Burn Tobacco”、Reynolds Tobacco Company Monograph(1988)、に記載されており、これらは全て、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0055】
視覚的手がかりまたはインジケータをもたらす追加の代表的なタイプの構成要素を、エアロゾル送達デバイス100において、LED及び関連構成要素、振動要素などのようなものに使用することができる。適切なLED構成要素の例、及びそれらの構成ならびに用途は、Sprinkelらへの米国特許第US5,154,192号、Newtonへの米国特許第US8,499,766号、Scatterdayの米国特許第US8,539,959号、及び2014年2月5日に出願されたSearsらへの米国特許出願第US14/173,266号に記載されており、これらの全てはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0056】
本開示のエアロゾル送達デバイスに組み込むことができるさらに他の特徴、制御、または構成要素は、Harrisらの米国特許第US5,967,148号、Watkinsらの米国特許第US5,934,289号、Countsらへの米国特許第US5,954,979号、Fleischhauerらの米国特許第US6,040,560号、Honの米国特許第US8,365,742号、Fernandoらの米国特許第US8,402,976号、Fernandoらへの米国特許出願公開第US2010/0163063号、Tuckerらへの米国特許出願公開第US2013/0192623号、Levenらへの米国特許出願公開第US2013/0298905号、Kimらへの米国特許出願公開第US2013/0180553号、Sebastianらへの米国特許出願公開第US2014/0000638号、Novakらへの米国特許出願公開第US2014/0261495号、及びDePianoらへの米国特許出願公開第US2014/0261408号に記載されており、これらの全ては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0057】
手短に
図1に戻ると、いくつかの例では、流量センサ110を、制御本体102またはカートリッジ104、または制御要素及びカートリッジ構成要素を含む単一のハウジングのようなエアロゾル送達デバイス100のハウジング内のMEMSマイクロホンまたはMEMS圧力センサなどの微小電気機械システムベース(MEMSベース)センサにより実装することができる。MEMSベースのセンサを、ハウジングの少なくとも一部を通る空気流によって引き起こされるMEMSベースセンサ上の圧力を検出し、その圧力を電気信号に変換し、電気信号を出力するように構成することができる。制御要素108(例えば、マイクロプロセッサ)は、MEMSベースセンサから電気信号を受信し、それに基づいてエアロゾル送達デバイスの少なくとも1つの機能要素の動作を制御するように構成することができる。このような制御は、プログラムコード命令を利用する1つ以上の制御アルゴリズムの実装によって達成することができる。適切な制御の例には、マイクロプロセッサを、加熱器、流体送達部材、感覚フィードバック部材またはそれらの任意の組み合わせの動作を制御するように構成することが含まれてもよい。
【0058】
いくつかの例では、MEMSベースセンサは、オン/オフスイッチと同様に機能することができる。これらの例では、MEMSベースセンサによって出力される電気信号は、ゼロレベルの電気信号が「オフ」状態を示し、正の電気信号が「オン」状態を示すバイレベル信号であってもよい。
【0059】
他の例では、MEMSベースセンサは、圧力を、MEMSベースセンサ上の周囲圧力に対する圧力の対応する変動と共に変動する電気信号に変換するように構成されてもよい。これらの例では、対応する変動は、空気流の速度の変動のような空気流の変動によって引き起こされる可能性がある。
【0060】
図2は、いくつかの例において、
図1の流量センサ110のような流量センサに対応し得るMEMSベースセンサ200を示す。図示のように、MEMSベースセンサは、微細加工されたセンサ204を備える(第1の)ダイ202を含むことができる。また図示のように、MEMSベースセンサは、いくつかの例では、第1のダイにワイヤボンディングされ、入力電圧で微細加工されたセンサをバイアスするように構成されたバイアス発生器回路208を含む別の(第2の)ダイ206を含むことができる。これらの例では、入力電圧が微細加工されたセンサに印加された場合、圧力は、ダイヤフラムの動き及びそれによる微細加工されたセンサの電気的特性の変化を引き起こす。電気的特性の変化は、微細加工されたセンサの両端の出力電圧の変化を引き起こす。この出力電圧は、MEMSベースセンサによって電気信号として出力されてもよい。あるいは、いくつかの例では、MEMSベースセンサ(例えば、第2のダイ上の)は、出力電圧をデジタル表現に変換するように構成された適切なアナログ/デジタル変換器(ADC)または他の回路を含むことができ、MEMSベースセンサは、電気信号として出力することができる。
【0061】
いくつかの例では、MEMSベースのセンサ200は、MEMSマイクロホンであってもよい。
図3は、MEMSマイクロホン用の微細加工されたセンサ304を概略的に示しており、いくつかの例では、
図2の微細加工されたセンサ204に対応することができる。図示されているように、MEMSマイクロホンの微細加工されたセンサは、可変キャパシタ306を形成する微細加工された圧力感知ダイヤフラム306a及び背面板306bを含むことができる。これらの例では、入力電圧が可変キャパシタに印加された場合、圧力は、ダイヤフラムの動き及びそれによる可変キャパシタの静電容量の変動を引き起こす。静電容量の変化は、可変キャパシタの両端の出力電圧の変化を引き起こす。次に、MEMSマイクロホンは、出力電圧または出力電圧のデジタル表現を電気信号として出力することができる。
【0062】
理解されるように、MEMSマイクロホンは、携帯電話及び補聴器の音響用途にしばしば使用され、その後の複製及びスピーカによる出力のために音声を取り込む。これらの用途には、通常、音響出力の高い忠実度を望まれ、その結果、MEMSマイクロホンは、より正確な音響をキャプチャして複製するために、より複雑なバイアス発生器回路と、様々な音響グレードのフィルタリング及び増幅ステージなどの追加の回路を含むことが多い。しかしながら、エアロゾル送達デバイスの文脈では、この追加の回路は有用ではないかもしれない。いくつかの例では、MEMSマイクロホンは、これらの構成要素のうちの1つ以上の単純化されたバージョンを含むことができ、もしくはそれらを完全に含まなくてもよい。すなわち、ダイ202,206を含むMEMSベースセンサ200は、より単純化されたバイアス発生器回路、より少ないフィルタリングお及び/またはより単純な非線形増幅を有する集積回路パッケージ210にパッケージングされてもよく、本明細書に記載されるようなエアロゾル送達デバイスの多くの用途に有用であり得る。
【0063】
いくつかの例では、MEMSベースのセンサ200は、MEMS圧力センサであってもよい。
図4は、MEMS圧力センサのための微細加工されたセンサ404を概略的に示しており、いくつかの例では、
図2の微細加工されたセンサ204に対応することができる。図示されているように、MEMS圧力センサの微細加工されたセンサは、微細加工された圧力感知ダイヤフラム406と、ダイヤフラム上に配設された1つ以上のピエゾ抵抗器408とを含むことができる。これらの例では、入力電圧がピエゾ抵抗器(複数含む)に印加された場合、圧力はダイヤフラムの動き及びそれによるピエゾ抵抗器の抵抗の変化を引き起こす。抵抗の変化は、ピエゾ抵抗器の両端の出力電圧の変化を引き起こす。MEMS圧力センサは、次に、出力電圧または出力電圧のデジタル表現を電気信号として出力することができる。
【0064】
再び
図1に戻ると、流量センサ108からの電気信号出力、特にいくつかの例では、MEMSベースセンサ(例えば、MEMSマイクロホン、MEMS圧力センサ)は、デバイスの動作を制御するためにエアロゾル送達デバイスの1つ以上の制御要素によって使用され得る。そのような操作は、加熱器122、流体送達部材、感覚フィードバック部材などの、デバイスの様々な機能要素を包含することができる。
【0065】
例えば、屈伸/屈曲センサからの電気信号は、液溜め118と加熱器122との間の弁の開閉を制御するためにマイクロプロセッサによって使用され得る。例えば、デバイス100の吸引が増加し、センサによって出力された電気信号が対応して変化すると、弁の開口部を大きくして、より大きな量のエアロゾル前駆体組成物を液溜めから加熱器へ通過させることができる。感覚フィードバック部材(例えば、LEDまたは振動素子)が使用されるいくつかの例では、デバイスの増加した吸引は、マイクロプロセッサに信号を送って、LEDによって異なる照明パターンを引き起こすか、または振動要素によって異なる振動パターンを引き起こすことができる。
【0066】
いくつかの例では、流量センサ108からの電気信号出力は、デバイス100の制御電子回路と結合されて、加熱器122などのデバイス内の加熱素子のプロファイルを変更することができる。特に、加熱プロファイルは、デバイス上の吸引の大きさによって引き起こされる空気流量に対してリアルタイムで変化させることができる。
【0067】
図5は、MEMSベースセンサ(例えば、MEMSマイクロホン、MEMS圧力センサ)を含むエアロゾル送達デバイスの動作を制御する方法500における様々な動作を示す。ブロック502に示すように、この方法は、ハウジングの少なくとも一部を通る空気流によって引き起こされるMEMSベースセンサ上の圧力を検出し、MEMSベースセンサが圧力を電気信号に変換することを含むことができる。いくつかの例では、圧力を変換するMEMSベースセンサは、圧力をMEMSベースセンサ上の周囲圧力に対する圧力の対応する変動と共に変動する電気信号に変換することを含み、対応する変動は、空気流の速度の変動などの空気流の変動によって引き起こされる。
【0068】
図3に関して上述したように、いくつかの例では、MEMSベースセンサは、可変キャパシタ306を形成する微細加工された圧力感知ダイヤフラム306a及び背面板306bを有する微細加工されたセンサ304を含むMEMSマイクロホンであってもよい。これらの例では、入力電圧が可変キャパシタに印加された場合、圧力は、ダイヤフラムの動き及びそれによる可変キャパシタの静電容量の変化を引き起こす。静電容量の変化は、可変キャパシタの両端の出力電圧の変化を引き起こす。そして、MEMSマイクロホンは、出力電圧またはそのデジタル表現を電気信号として出力する。
【0069】
図4に関して上述したように、いくつかの例では、MEMSベースセンサは、微細加工された圧力感知ダイヤフラム406と、ダイヤフラム上に配設された1つ以上のピエゾ抵抗器408とを含む微細加工されたセンサ404を含むMEMS圧力センサであってもよい。これらの例では、入力電圧がピエゾ抵抗器に印加された場合、圧力はダイヤフラムの動き及びそれによるピエゾ抵抗器の抵抗の変化を引き起こす。抵抗の変化は、ピエゾ抵抗器(複数含む)の両端の出力電圧の変化を引き起こす。MEMS圧力センサは、出力電圧またはそのデジタル表現を電気信号として出力する。
【0070】
MEMSベースセンサの特定の構成にかかわらず、この方法は、ブロック504に示すように、MEMSベースセンサからの電気信号に基づいてエアロゾル送達デバイスの少なくとも1つの機能要素の動作を制御することを含むことができる。これは、例えば、加熱器、流体送達部材、感覚フィードバック部材またはそれらの任意の組み合わせの動作の制御を含み得る。
【0071】
MEMSベースセンサからの可変電気信号のより具体的な使用例として、エアロゾル送達デバイスを通る空気流の速度を、ユーザによるデバイスの吸引時にMEMSベースセンサで検出することができ、そのような空気流の速度は、吸引の間連続的に検出され得る。MEMSベースのセンサは、空気流の速度に基づいて変動する信号を出力することができる。MEMSベースセンサからの可変信号出力は、マイクロプロセッサによって制御アルゴリズムに入力されることができ、それに基づいて定義された計算が行われ、MEMSベースセンサからの出力信号に対する加熱器に供給される電流の1つ以上の特性に関する必要なパラメータを決定する。次いで、マイクロプロセッサは、デバイスを通るリアルタイムの空気流の速度に基づいて加熱器機能を定義するために必要なパラメータで加熱器に電流を流す。このようにして、加熱器機能は、デバイスを通る空気流の速度に対して必要に応じて連続的に制御及び変更することができる。
【0072】
物品の使用の前述の説明は、本明細書で提供されるさらなる開示に照らして当業者には明らかであり得る、わずかな変更を介して、本明細書に記載される様々な実装例に適用され得る。しかしながら、上記使用の説明は、物品の使用を制限することを意図するものではなく、本開示の開示に必要な全ての要件に従うために提供される。
図1に示す物品に示されている要素のいずれも、または他の方法で上述したものは、本開示によるエアロゾル送達デバイスに含めることができる。
【0073】
本明細書に記載された開示の多くの改変及び他の実装は、これらの開示が、先の説明及び関連する図面に示された教示の利益を有する当業者には思い浮かぶであろう。したがって、開示は、開示された特定の実装に限定されるものではなく、修正及び他の実装が添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されることが理解されるべきである。さらに、前述の説明及び関連する図面は、要素及び/または機能の特定の例の組み合わせの文脈における実装例を説明しているが、要素及び/または機能の異なる組み合わせが、添付の特許請求の範囲の範囲から離れることなく代替の実装によって提供され得ることは理解される。これに関して、例えば、添付の特許請求の範囲のいくつかに記載されているように、上に明示的に記載されたものとは異なる要素及び/または機能の異なる組み合わせも企図される。本明細書では特定の用語を使用しているが、それらは一般的かつ説明的な意味でのみ使用され、限定のためではない。