(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20241121BHJP
H01M 8/04014 20160101ALI20241121BHJP
H01M 8/04029 20160101ALI20241121BHJP
H01M 8/0606 20160101ALI20241121BHJP
H01M 8/04746 20160101ALI20241121BHJP
H01M 8/0432 20160101ALI20241121BHJP
【FI】
H01M8/04 J
H01M8/04014
H01M8/04029
H01M8/0606
H01M8/04746
H01M8/0432
(21)【出願番号】P 2022180700
(22)【出願日】2022-11-11
【審査請求日】2022-11-11
(31)【優先権主張番号】10-2021-0155853
(32)【優先日】2021-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】502032105
【氏名又は名称】エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】LG ELECTRONICS INC.
【住所又は居所原語表記】128, Yeoui-daero, Yeongdeungpo-gu, 07336 Seoul,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100109841
【氏名又は名称】堅田 健史
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【氏名又は名称】小林 英了
(72)【発明者】
【氏名】ヘジョン ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ドンクン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ヒョンスク ウー
(72)【発明者】
【氏名】ジフン ジュン
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-216810(JP,A)
【文献】特開2004-247084(JP,A)
【文献】特開2007-280638(JP,A)
【文献】特開2010-272343(JP,A)
【文献】特開2011-136867(JP,A)
【文献】国際公開第2015/039673(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00-8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池システムであって、
改質ガスと空気の電気化学反応を通じて電力を生成するスタックと、
前記スタックに供給される前記改質ガスを生成する燃料処理装置と、
前記スタックに供給される水が保存される水供給タンクと、
温水が保存される熱回収タンクと、
前記燃料処理装置に配置され、冷却水と前記燃料処理装置から排出される排気ガスとが熱交換される第1熱交換器と、
前記水供給タンクに保存された水又は熱回収タンクに保存された温水を加熱するように前記第1熱交換器で熱交換された冷却水を前記水供給タンク又は熱回収タンクに供給する熱供給バルブと、を備
え、
前記水供給タンクから排出された冷却水を前記第1熱交換器に供給するか、又は、前記熱供給バルブに供給する熱回収バルブ、を更に備える、燃料電池システム。
【請求項2】
前記熱供給バルブを調節する制御部、を備え、
前記制御部は、
前記燃料処理装置を予熱する予熱モードであるとき、前記第1熱交換器で熱交換された冷却水が前記水供給タンクに供給されるように前記熱供給バルブを前記水供給タンク側に切り換える、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記熱供給バルブと熱回収バルブを調節する制御部、を備え、
前記制御部は、前記燃料処理装置を予熱する予熱モードであるとき、前記水供給タンクから排出された冷却水が前記第1熱交換器に供給されるように前記熱回収バルブを前記第1熱交換器側に切り換える、請求項
1に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記水供給タンクに保存された水の温度を感知する第1温度センサ、を備え、
前記制御部は、前記第1温度センサで感知された水の温度が第1設定温度以上であるとき、前記熱回収バルブを前記熱供給バルブ側に切り換える、請求項
3に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記水供給タンクに保存された水の温度を感知する第1温度センサと、
前記スタックから排出される水の温度を感知する第2温度センサと、
前記熱供給バルブを調節する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記スタックで改質ガスと空気の電気化学反応を通じて電力を生成する発電モード時、
前記第1温度センサで感知された水の温度が第1設定温度以上であり、前記第2温度センサで感知された水の温度が第2設定温度未満であるとき、前記第1熱交換器で排気ガスと熱交換された冷却水が前記水供給タンクに供給されるように前記熱供給バルブを前記水供給タンク側に切り換える、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記制御部は、
前記スタックで改質ガスと空気の電気化学反応を通じて電力を生成する発電モード時、
前記第2温度センサで感知された冷却水の温度が第2設定温度以上であるとき、前記第1熱交換器で排気ガスと熱交換された冷却水が前記熱回収タンクに供給されるように前記熱供給バルブを前記熱回収タンク側に切り換える、請求項
5に記載の燃料電池システム。
【請求項7】
前記第1設定温度は、前記第2設定温度よりも更に高い、請求項
5に記載の燃料電池システム。
【請求項8】
前記燃料処理装置は、水供給タンク、及び熱回収タンクを循環する冷却水の流動を形成する熱供給ポンプ、を更に備える、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項9】
前記水供給タンクと前記スタックとの間に配置され、前記水供給タンクに保存された冷却水を前記スタックに供給する冷却水ポンプ、を更に備える、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項10】
前記冷却水ポンプの作動を調節する制御部、を備え、
前記制御部は、前記スタックで改質ガスと空気の電気化学反応を通じて電力を生成する発電モードであるとき、前記スタックに冷却水が供給されるように前記冷却水ポンプを作動させる、請求項
9に記載の燃料電池システム。
【請求項11】
前記水供給タンクに配置され、前記第1熱交換器で排気ガスと熱交換された冷却水と前記水供給タンクに保存された冷却水とが熱交換される第2熱交換器、及び
前記熱回収タンクに配置され、前記第1熱交換器で排気ガスと熱交換された冷却水と前記熱回収タンクに保存された温水とが熱交換される第3熱交換器、を備える、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項12】
前記燃料処理装置は、前記改質ガスの生成に必要な熱エネルギーを供給するバーナー、を更に備え、
前記第1熱交換器は、燃料の燃焼反応の後に生成された排気ガスが排出される前記バーナーの出口側に近いように配置される、請求項
11に記載の燃料電池システム。
【請求項13】
燃料電池システムの制御方法であって、
前記燃料電池システムは、
改質ガスを生成する燃料処理装置と、
前記改質ガスを用いて電力を生成するスタックと、
冷却水が保存される水供給タンクと、
温水が保存される熱回収タンクと、
前記燃料処理装置の廃熱を、冷却水を介して回収し、前記水供給タンクの冷却水又は熱回収タンクの温水を加熱する廃熱回収部と、を備えてなり、
前記廃熱回収部は、前記廃熱回収部を循環する冷却水の流動方向を切り換える切換バルブを備え、
前記水供給タンクに保存された冷却水の温度に基づいて前記切換バルブを調節し、前記水供給タンクに保存された冷却水を予熱するステップ;を含んで
なり、
前記スタックから排出される冷却水の温度に基づいて前記切換バルブを調節し、前記熱回収タンクに保存された温水を加熱するステップ;を更に
含む、燃料電池システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関し、より詳細には、燃料処理装置から排出される排気ガスの廃熱を回収し、スタックを予熱又は温水を生成する燃料電池システムに関する。
【0002】
〔関連技術〕
本願は、韓国特許出願第10-2021-0155853号(出願日:2021年11月12日:DAS:3E69)に基づくパリ条約4条の優先権主張を伴ったものであり、本願発明は、当該特許出願に開示された内容に基づくものである。参考のために、当該特許出願の明細書、特許請求の範囲及び図面の内容は本願明細書の一部に包摂される。
【背景技術】
【0003】
燃料電池システム(Fuel cell system)は、炭化水素系列の物質、例えば、メタノール、エタノール、天然ガスなどに含まれている水素を、酸素と電気化学的に反応させて電気エネルギーを発生させる発電システムである。
【0004】
一般的な燃料電池システムは、先行技術1(韓国公開特許公報第10-2012-0071288号)と同様に、水素原子を含む燃料を水素ガスに転換改質(reforming)する燃料処理装置と、燃料処理装置から供給される水素ガスを利用して電気エネルギーを発生させるスタック(stack)を備える。また、燃料電池システムは、スタックを冷却し、熱を回収するための熱交換器及び冷却水配管、生産された直流電源を交流電源に変換する電力変換装置等をさらに備えることができる。
【0005】
一方、燃料電池システムの発電運転時、スタックで行われる酸素と水素の電気化学反応の速度はスタックの温度に応じて変わることになり、スタックの種類に応じて適切な温度を維持して発電運転を行うことになる。しかし、燃料電池システムの発電運転の初期時、スタックの温度は低温状態に該当するため、スタックの温度が発電の適切な所定の温度に到達するまで発電が円滑に行われないという問題点がある。また、これに伴って、燃料電池システムの正常発電まで相当の時間がかかるという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】韓国公開特許公報第10-2012-0071288号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、燃料処理装置から排出される排気ガスの廃熱を活用してスタックを予熱する燃料電池システムを提供することである。
【0008】
本発明のまた別の課題は、燃料処理装置から排出される排気ガスの廃熱を活用し、家庭などの温水使用先に供給される温水を加熱する燃料電池システムを提供することである。
【0009】
本発明の課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及されないまた別の課題は、以下の記載から当業者にとって明確に理解できるはずだ。
【課題を解決するための手段】
【0010】
〔本発明の一の態様〕
本発明にあっては、その一の態様として、以下の発明を提案する。
〔1〕
燃料電池システムであって、
改質ガスと空気の電気化学反応を通じて電力を生成するスタックと、
前記スタックに供給される前記改質ガスを生成する燃料処理装置と、
前記スタックに供給される水が保存される水供給タンクと、
温水が保存される熱回収タンクと、
前記燃料処理装置に配置され、冷却水と前記燃料処理装置から排出される排気ガスとが熱交換される第1熱交換器と、
前記水供給タンクに保存された水又は熱回収タンクに保存された温水を加熱するように前記第1熱交換器で熱交換された冷却水を前記水供給タンク又は熱回収タンクに供給する熱供給バルブと、を備える、燃料電池システム。
〔2〕
前記熱供給バルブを調節する制御部、を備え、
前記制御部は、
前記燃料処理装置を予熱する予熱モードであるとき、前記第1熱交換器で熱交換された冷却水が前記水供給タンクに供給されるように前記熱供給バルブを前記水供給タンク側に切り換える、〔1〕に記載の燃料電池システム。
〔3〕
前記水供給タンクから排出された冷却水を前記第1熱交換器に供給するか、又は、前記熱供給バルブに供給する熱回収バルブ、を更に備える、〔1〕に記載の燃料電池システム。
〔4〕
前記熱供給バルブと熱回収バルブを調節する制御部、を備え、
前記制御部は、前記燃料処理装置を予熱する予熱モードであるとき、前記水供給タンクから排出された冷却水が前記第1熱交換器に供給されるように前記熱回収バルブを前記第1熱交換器側に切り換える、〔3〕に記載の燃料電池システム。
〔5〕
前記水供給タンクに保存された水の温度を感知する第1温度センサ、を備え、
前記制御部は、前記第1温度センサで感知された水の温度が第1設定温度以上であるとき、前記熱回収バルブを前記熱供給バルブ側に切り換える、〔4〕に記載の燃料電池システム。
〔6〕
前記水供給タンクに保存された水の温度を感知する第1温度センサと、
前記スタックから排出される水の温度を感知する第2温度センサと、
前記熱供給バルブを調節する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記スタックで改質ガスと空気の電気化学反応を通じて電力を生成する発電モード時、
前記第1温度センサで感知された水の温度が第1設定温度以上であり、前記第2温度センサで感知された水の温度が第2設定温度未満であるとき、前記第1熱交換器で排気ガスと熱交換された冷却水が前記水供給タンクに供給されるように前記熱供給バルブを前記水供給タンク側に切り換える、〔1〕に記載の燃料電池システム。
〔7〕
前記制御部は、
前記スタックで改質ガスと空気の電気化学反応を通じて電力を生成する発電モード時、
前記第2温度センサで感知された冷却水の温度が第2設定温度以上であるとき、前記第1熱交換器で排気ガスと熱交換された冷却水が前記熱回収タンクに供給されるように前記熱供給バルブを前記熱回収タンク側に切り換える、〔6〕に記載の燃料電池システム。
〔8〕
前記第1設定温度は、前記第2設定温度よりも更に高い、〔6〕に記載の燃料電池システム。
〔9〕
前記燃料処理装置は、水供給タンク、及び熱回収タンクを循環する冷却水の流動を形成する熱供給ポンプ、を更に備える、〔1〕に記載の燃料電池システム。
〔10〕
前記水供給タンクと前記スタックとの間に配置され、前記水供給タンクに保存された冷却水を前記スタックに供給する冷却水ポンプ、を更に備える、〔1〕に記載の燃料電池システム。
〔11〕
前記冷却水ポンプの作動を調節する制御部、を備え、
前記制御部は、前記スタックで改質ガスと空気の電気化学反応を通じて電力を生成する発電モードであるとき、前記スタックに冷却水が供給されるように前記冷却水ポンプを作動させる、〔10〕に記載の燃料電池システム。
〔12〕
前記水供給タンクに配置され、前記第1熱交換器で排気ガスと熱交換された冷却水と前記水供給タンクに保存された冷却水とが熱交換される第2熱交換器、及び
前記熱回収タンクに配置され、前記第1熱交換器で排気ガスと熱交換された冷却水と前記熱回収タンクに保存された温水とが熱交換される第3熱交換器、を備える、〔1〕に記載の燃料電池システム。
〔13〕
前記燃料処理装置は、前記改質ガスの生成に必要な熱エネルギーを供給するバーナー、を更に備え、
前記第1熱交換器は、燃料の燃焼反応の後に生成された排気ガスが排出される前記バーナーの出口側に近いように配置される、〔12〕に記載の燃料電池システム。
〔14〕
燃料電池システムの制御方法であって、
前記燃料電池システムは、
改質ガスを生成する燃料処理装置と、
前記改質ガスを用いて電力を生成するスタックと、
冷却水が保存される水供給タンクと、
温水が保存される熱回収タンクと、
前記燃料処理装置の廃熱を、冷却水を介して回収し、前記水供給タンクの冷却水又は熱回収タンクの温水を加熱する廃熱回収部と、を備えてなり、
前記廃熱回収部は、前記廃熱回収部を循環する冷却水の流動方向を切り換える切換バルブを備え、
前記水供給タンクに保存された冷却水の温度に基づいて前記切換バルブを調節し、前記水供給タンクに保存された冷却水を予熱するステップ、を含んでなる、燃料電池システムの制御方法。
〔15〕
前記スタックから排出される冷却水の温度に基づいて前記切換バルブを調節し、前記熱回収タンクに保存された温水を加熱するステップ、を更に含む、〔14〕に記載の燃料電池システムの制御方法。
【0011】
前記課題を達成するための、本発明の一実施形態に係る燃料電池システムは、改質ガスと空気の電気化学反応を通じて電力を生成するスタックと、前記スタックに供給される前記改質ガスを生成する燃料処理装置と、前記スタックに供給される水が保存される水供給タンクと、温水が保存される熱回収タンクと、前記燃料処理装置に配置され、冷却水と前記燃料処理装置から排出される排気ガスとが熱交換される第1熱交換器と、前記水供給タンクに保存された水又は熱回収タンクに保存された水を加熱するように前記第1熱交換器で熱交換された冷却水を前記水供給タンク又は熱回収タンクに供給する熱供給バルブと、を含み、燃料処理装置から排出される排気ガスの廃熱を回収し、水供給タンクに保存された水又は熱回収タンクに保存された温水を加熱することができる。
【0012】
前記熱供給バルブを調節する制御部を含み、前記制御部は、前記燃料処理装置を予熱する予熱モードであるとき、前記第1熱交換器で熱交換された冷却水が前記水供給タンクに供給されるように前記熱供給バルブを前記水供給タンク側切り換えて、予熱モード時、水供給タンクに保存された水を予熱することができる。
【0013】
前記水供給タンクから排出された冷却水を前記第1熱交換器に供給するか、前記熱供給バルブに供給する熱回収バルブをさらに含むことができる。
【0014】
前記熱供給バルブと熱回収バルブを調節する制御部を含み、前記制御部は、前記燃料処理装置を予熱する予熱モードであるとき、前記水供給タンクから排出された冷却水が前記第1熱交換器に供給されるように前記熱回収バルブを前記第1熱交換器側に切り換えて、予熱モード時、燃料処理装置で排気ガスと冷却水とを熱交換することができる。
【0015】
前記水供給タンクに保存された水の温度を感知する第1温度センサを含み、前記制御部は、前記第1温度センサで感知された水の温度が第1設定温度以上であるとき、前記熱回収バルブを前記熱供給バルブ側に切り換えて、水供給タンクに保存された水の余熱が完了したと判断し、燃料処理装置での廃熱の回収を中断することができる。
【0016】
前記水供給タンクに保存された水の温度を感知する第1温度センサと、前記スタックから排出される水の温度を感知する第2温度センサと、前記熱供給バルブを調節する制御部と、を含み、前記制御部は、前記スタックで改質ガスと空気の電気化学反応を通じて電力を生成する発電モード時、前記第1温度センサで感知された水の温度が第1設定温度以上であり、前記第2温度センサで感知された水の温度が第2設定温度未満であるとき、前記第1熱交換器で排気ガスと熱交換された冷却水が前記水供給タンクに供給されるように前記熱供給バルブを前記水供給タンク側に切り換えて、発電モードの初期時、水供給タンクに保存された水を加熱することができる。
【0017】
前記制御部は、前記スタックで改質ガスと空気の電気化学反応を通じて電力を生成する発電モード時、前記第2温度センサで感知された冷却水の温度が第2設定温度以上であるとき、前記第1熱交換器で排気ガスと熱交換された冷却水が前記熱回収タンクに供給されるように前記熱供給バルブを前記熱回収タンク側に切り換えて、発電モードの中期時、熱回収タンクに保存された温水を加熱することができる。
【0018】
前記第1設定温度は、前記第2設定温度よりもさらに高くてもよい。
【0019】
前記燃料処理装置、水供給タンク、及び熱回収タンクを循環する冷却水の流動を形成する熱供給ポンプをさらに含むことができる。
【0020】
前記水供給タンクと前記スタックとの間に配置され、前記水供給タンクに保存された冷却水を前記スタックに供給する冷却水ポンプをさらに含むことができる。
【0021】
前記冷却水ポンプの作動を調節する制御部を含み、前記制御部は、前記スタックで改質ガスと空気の電気化学反応を通じて電力を生成する発電モードであるとき、前記スタックに冷却水が供給されるように前記冷却水ポンプを作動させて、スタックを予熱することができる。
【0022】
前記水供給タンクに配置され、前記第1熱交換器で排気ガスと熱交換された冷却水と前記水供給タンクに保存された冷却水とが熱交換される第2熱交換器、及び前記熱回収タンクに配置され、前記第1熱交換器で排気ガスと熱交換された冷却水と前記熱回収タンクに保存された温水とが熱交換される第3熱交換器を含むことができる。
【0023】
前記燃料処理装置は、前記改質ガスの生成に必要な熱エネルギーを供給するバーナーをさらに含み、前記第1熱交換器は、燃料の燃焼反応の後に生成された排気ガスが排出される前記バーナーの出口側に近いように配置されてもよい。
【0024】
その他の実施形態の具体的な事項は、詳細な説明及び図面に含まれている。
【発明の効果】
【0025】
本発明の多様な実施形態に係ると、燃料処理装置のバーナーから排出される排気ガスの廃熱は、廃熱回収部を循環する冷却水により回収され、スタックに供給される水タンクの冷却水は、前記廃熱回収部の冷却水により加熱された後、スタックに供給されることによって、低温状態のスタックが予熱され、燃料電池システムの発電効率が向上するという効果がある。
【0026】
また、本発明の多様な実施形態に係ると、燃料処理装置のバーナーから排出される排気ガスの廃熱は、廃熱回収部を循環する冷却水により回収され、家庭などの温水使用先に供給される熱回収タンクの温水は前記廃熱回収部の冷却水により加熱され、燃料電池システム内の総エネルギー効率が向上するという効果がある。
【0027】
本発明の効果は、以上で言及した効果に制限されず、言及されないまた別の効果は、請求範囲の記載から当業者にとって明確に理解できるはずだ。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施形態に係る燃料処理装置の構成に対する概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る燃料電池システムに対する構成図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る燃料処理装置、スタック、水供給タンク、熱回収タンク、及び廃熱回収部を示す系統図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る燃料電池システムの余熱モード及び/又は改質モード時、燃料処理装置の廃熱を回収して水供給タンクに保存された冷却水を予熱することを説明するための図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る燃料電池システムの余熱モード及び/又は改質モード時、燃料処理装置の廃熱を回収して水供給タンクに保存された冷却水を予熱することを説明するための図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る燃料電池システムの発電モード時、燃料処理装置の廃熱を回収して熱回収タンクに保存された温水を加熱することを説明するための図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る燃料電池システムの発電モード時、燃料処理装置の廃熱を回収して熱回収タンクに保存された温水を加熱することを説明するための図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る燃料電池システムの制御方法に関するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下では、図面を参照として本発明を詳細に説明する。図面においては、本発明を明確且つ簡略に説明するために説明と関係ない部分の図示を省略しており、明細書全体を通じて同一又は極めて類似する部分については同一の図面参照符号を使用する。
【0030】
以下の説明で使用される構成要素に対する接尾辞「モジュール」及び「部」は、単純に本明細書の作成の容易さのみが考慮されて与えられるものであって、それ自体で特別に重要な意味又は役割を与えるわけではない。従って、前記「モジュール」及び「部」は、互いに混用されて使用されることもある。
【0031】
本出願において、「含む(備える;構成する;構築する;設定する;包接する;包含する;含有する)」又は「有する」等の用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つ又はそれ以上の異なる特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加の可能性を予め排除しないものと理解されなければならない。
【0032】
また、本明細書において、多様な要素を説明するために第1、第2等の用語が用いられ得るが、このような要素は、このような用語により制限されない。このような用語は、ある要素を他の要素から区別するためにのみ用いられ得る。
【0033】
図1は、本発明の一実施形態に係る、燃料処理装置の構成に対する概略図である。
【0034】
図1を参照すると、燃料処理装置10は、脱硫器110、バーナー120、蒸気発生器130、改質器140、第1反応器150及び/又は第2反応器160を含むことができる。燃料処理装置10は、少なくとも1つのミキサー111、112をさらに含むことができる。
【0035】
脱硫器110は、燃料ガスに含まれた硫黄化合物を除去する脱硫工程を行うことができる。例えば、脱硫器110は内部に吸着剤を備えることができる。その際、脱硫器110の内部を通過する燃料ガスに含まれた硫黄化合物が吸着剤に吸着されることができる。
【0036】
吸着剤は、金属酸化物、ゼオライト(Zeolite)、活性炭素(activated carbon)などで構成されることができる。
【0037】
脱硫器110は、燃料ガスに含まれた異物を除去するフィルタをさらに含むことができる。
【0038】
バーナー120は、改質器140における改質反応が促進されるように、改質器140に熱を供給できる。例えば、脱硫器110から吐出された燃料ガスと外部から流入した空気とが第1ミキサー111で混合されて、バーナー120に供給されることができる。その際、バーナー120は、燃料ガスと空気とが混合された混合ガスを燃焼させて、燃焼熱を発生させることができる。その際、バーナー120で供給される熱により、改質器140の内部温度が適正温度(例えば、800℃)に維持されることができる。
【0039】
一方、混合ガスの燃焼によりバーナー120で生成される排気ガスは、燃料処理装置10の外部に排出されることができる。
【0040】
蒸気発生器130は、水を気化させて水蒸気に排出することができる。例えば、蒸気発生器130は、バーナー120で生成される排気ガス、第1反応器150及び/又は第2反応器160から熱を吸収し、水を気化させることができる。
【0041】
蒸気発生器130は、第1反応器150、第2反応器160及び/又はバーナー120から排出される排気ガスが流動する配管に隣接して配置されてもよい。
【0042】
改質器140は、触媒を利用し、硫黄化合物が除去された燃料ガスから水素ガスを生成する改質工程を行うことができる。例えば、脱硫器110から吐出された燃料ガスと蒸気発生器130から吐出された水蒸気とが第2ミキサー112で混合されて、改質器140に供給されることができる。その際、改質器140に供給された燃料ガスと水蒸気が改質器140内で改質反応する場合、水素ガスが生成され得る。
【0043】
第1反応器150は、改質器140から吐出されるガスに含まれた成分のうち、改質反応により生成される一酸化炭素を低減することができる。例えば、改質器140から吐出されるガスに含まれた一酸化炭素が第1反応器150の内部で水蒸気と反応し、二酸化炭素と水素が生成され得る。その際、第1反応器150の内部温度は、改質器140の内部温度より低く、常温より高い温度(例:200℃)であり得る。
【0044】
第1反応器150は、シフト反応器(shift reactor)と名付けられ得る。
【0045】
第2反応器160は、第1反応器150から吐出されるガスに含まれた成分のうち、残存する一酸化炭素を低減することができる。例えば、第1反応器150から吐出されたガスに含まれた一酸化炭素が第2反応器160の内部で酸素と反応する選択的酸化(preferential oxidation、PROX)反応が起こり得る。
【0046】
一方、選択的酸化反応の場合、多量の酸素が必要であるので、空気の追加供給が要求され、追加供給された空気により水素が希釈されて、スタックに供給される水素の濃度が減少するという短所がある。従って、このような短所を克服するために、一酸化炭素と水素が反応する選択的メタン化(selective methanation)反応が活用され得る。
【0047】
一方、改質器140、第1反応器150及び/又は第2反応器160を経て燃料処理装置10から吐出されるガスは、改質ガスと名付けられ得る。
【0048】
スタック20は、燃料処理装置10から供給される改質ガスに電気化学反応を起こして電気エネルギーを生成できる。
【0049】
スタック20は、電気化学反応が起こる単一セルが積層されて構成されることができる。
【0050】
単一セルは、電解質膜を中心に燃料極と空気極が配置された膜-電極接合体(membrane electrode assembly、MEA)、セパレータ(separator)等で構成されることができる。膜-電極接合体の燃料極では、水素が触媒により水素イオンと電子とに分離されて電気が発生し得、膜-電極接合体の空気極では、水素イオンと電子が酸素と結合して水が生成され得る。
【0051】
スタック20は、電気化学反応の過程で発生する熱を防熱するスタック熱交換器(図示せず)をさらに含むことができる。スタック熱交換器は、水を冷媒に使用する熱交換器であり得る。例えば、スタック熱交換器に供給される冷却水が電気化学反応の過程で発生する熱を吸収することができ、吸収された熱により温度の上昇した冷却水がスタック熱交換器の外部に吐出されることができる。
【0052】
図2は、本発明の一実施形態に係る、燃料処理装置を含む燃料電池システムに対する構成図である。
【0053】
図2を参照すると、燃料電池システム1は、燃料処理部I、電力生成部II、冷却水循環部III及び/又は熱回収部IVを含むことができる。燃料電池システム1は、電力生成部IIで生成された直流電源を交流電源に変換する電力変換装置を含む電力変換部(図示せず)をさらに含むことができる。
【0054】
燃料処理部Iは、燃料処理装置10、燃料処理装置10に供給される燃料ガスの流動を調節する燃料バルブ30、空気を燃料処理装置10に流動させる第1ブロワー71等を含むことができる。
【0055】
電力生成部IIは、スタック20a、20b、燃料処理装置10から吐出された改質ガスの熱交換が生じる改質ガス熱交換器21、スタック20a、20bで反応せずに排出されるガスの熱交換が生じるAOG熱交換器22、スタック20a、20bに供給される空気に水分を供給する加湿装置23、空気をスタック20a、20bに流動させる第2ブロワー72等を含むことができる。ここで、スタック20a、20bで反応せずに排出されるガスは、正極排出ガス(anode off gas、AOG)と名付けられ得る。本発明の一実施形態において、燃料電池システム1が2つのスタック20a、20bを備えるものと説明しているが、これに制限されない。
【0056】
冷却水循環部IIIは、燃料電池システム1で生成される水を保存する水供給タンク13、燃料処理装置10に水を流動させる水ポンプ38、燃料処理装置10に供給される水の流動を調節する水供給バルブ39、改質ガス熱交換器21に水を流動させる冷却水ポンプ43などを含むことができる。
【0057】
熱回収部IVは、熱交換に使用される水を保存する熱回収タンク15、熱回収タンク15に保存された水を熱回収タンク15の外部に流動させる温水ポンプ48等を含むことができる。一方、熱回収タンク15に保存される水は、温水と名付けられ得る。また、熱回収タンク15は、家庭などの温水が使用される温水使用先(図示せず)に連結されて、ユーザの要求に応じて温水を供給することができる。
【0058】
また、燃料電池システム1は、燃料処理装置10の廃熱を回収し、水供給タンク13に保存された水又は熱回収タンク15に保存された温水を加熱する廃熱回収部400を含むことができる。廃熱回収部400の構成及び連結関係に対する具体的な説明は後述するようにする。
【0059】
燃料バルブ30は、燃料処理装置10に供給される燃料ガスが流動する燃料供給流路101に配置できる。燃料バルブ30の開度程度に対応し、燃料処理装置10に供給される燃料ガスの流量を調節することができる。例えば、燃料バルブ30は、燃料処理装置10に対する燃料ガスの供給が中断されるように、燃料供給流路101を遮断することができる。
【0060】
燃料供給流路101には、燃料供給流路101内に流動する燃料ガスの流量を検出する第1燃料流量計51を配置することができる。
【0061】
第1ブロワー71は、第1外部空気流入流路201及び燃料側空気供給流路202に連結されることができる。第1ブロワー71は、第1外部空気流入流路201を介して外部から流入する空気を、燃料側空気供給流路202を介して燃料処理装置10に流動させることができる。
【0062】
燃料側空気供給流路202を介して燃料処理装置10に流入する空気は、燃料処理装置10のバーナー120に供給されることができる。例えば、燃料処理装置10に流入する空気は、脱硫器110から吐出された燃料ガスと第1ミキサー111で混合されてバーナー120に供給されることができる。
【0063】
第1外部空気流入流路201には、空気に含まれた埃などの異物を除去する空気フィルタ91及び/又は空気の流動方向を制限する第1空気側チェックバルブ81を配置することができる。
【0064】
燃料処理部Iは、脱硫器110から吐出された燃料ガスが改質器140に流動する第1内部ガス流路102を含むことができる。第1内部ガス流路102には、比例制御バルブ31、改質器140に流入する燃料ガスの流動を調節する内部燃料バルブ32、内部ガス流路102内に流動する燃料ガスの流量を検出する第2燃料流量計52、内部ガス流路102内に流動する燃料ガスの流動方向を制限する燃料側チェックバルブ83、及び/又は硫黄検出装置94を配置することができる。
【0065】
比例制御バルブ31は、脱硫器110から吐出されて改質器140に流動する燃料ガスの流量、圧力等を電気制御方式で内/外部のフィードバックを介して調節できる。
【0066】
硫黄検出装置94は、脱硫器110から吐出された燃料ガスに含まれた硫黄を検出することができる。硫黄検出装置94は、脱硫器110の吸着剤により除去されない硫黄化合物に反応し、色が変わる指示薬を含むことができる。ここで、指示薬は、フェノールフタレイン(phenolphthalein)、モリブデン化合物等を含むことができる。
【0067】
燃料処理部Iは、脱硫器110から吐出された燃料ガスがバーナー120に流動する第2内部ガス流路103を含むことができる。バーナー120は、第2内部ガス流路103を介して流入する燃料ガスを燃焼に使用できる。
【0068】
第1内部ガス流路102と第2内部ガス流路103は、互いに連通され得る。
【0069】
燃料処理装置10は、水供給タンク13から吐出された水が流動する水供給流路303に連結されることができる。水供給流路303には、水ポンプ38、水の流動を調節する水供給バルブ39及び/又は水供給流路303内に流動する水の流量を検出する水流量計54を配置することができる。
【0070】
燃料処理装置10のバーナー120で生成される排気ガスは、排気ガス吐出流路210を介して燃料処理装置10から吐出されることができる。
【0071】
燃料処理装置10は、改質ガス吐出流路104に連結されることができる。燃料処理装置10から吐出された改質ガスは、改質ガス吐出流路104を介して流動できる。
【0072】
改質ガス吐出流路104は、改質ガスの熱交換が生じる改質ガス熱交換器21に連結されることができる。改質ガス吐出流路104には、改質ガス熱交換器21に流入する改質ガスの流動を調節する改質ガスバルブ33を配置することができる。
【0073】
改質ガス吐出流路104は、燃料処理装置10から吐出された改質ガスが燃料処理装置10に流動するバイパス流路105と連通され得る。バイパス流路105は、燃料処理装置10に連結されることができる。バイパス流路105を介して燃料処理装置10に流入する改質ガスは、バーナー120の燃焼のための燃料に使用できる。バイパス流路105には、燃料処理装置10に流入する改質ガスの流動を調節するバイパスバルブ34を配置することができる。
【0074】
改質ガス熱交換器21は、燃料処理装置10から吐出された改質ガスが流動する改質ガス吐出流路104に連結されることができる。改質ガス熱交換器21は、水供給タンク13から吐出された水が流動する冷却水供給流路304に連結されることができる。改質ガス熱交換器21は、改質ガス吐出流路104を介して流入する改質ガスと、冷却水供給流路304を介して供給される水とを熱交換できる。
【0075】
冷却水供給流路304には、水供給タンク13に保存された水を改質ガス熱交換器21に流動させる冷却水ポンプ43、及び/又は冷却水供給流路304内に流動する水の流量を検出する冷却水流量計56を配置することができる。
【0076】
改質ガス熱交換器21は、スタックガス供給流路106に連結されることができる。改質ガス熱交換器21から吐出された改質ガスは、スタックガス供給流路106を介してスタック20a、20bに流動できる。
【0077】
スタックガス供給流路106には、改質ガスに含まれた水分の量を調節する改質ガス水分除去装置61を配置することができる。改質ガス水分除去装置61に流入した改質ガスは、水分が除去された後、改質ガス水分除去装置61から吐出されることができる。
【0078】
改質ガス水分除去装置61で生成された凝縮水は、改質ガス水分除去装置61から吐出され、第1水回収流路309に流動できる。第1水回収流路309には、水の流動を調節する第1水回収バルブ44を配置することができる。
【0079】
スタック20a、20bは、スタックガス供給流路106を介して流入する改質ガスに電気化学反応を起こして電気エネルギーを生成することができる。一実施形態において、燃料電池システム1が複数のスタック20a、20bを備える場合、第1スタック20aで反応せずに吐出される改質ガスは、第2スタック20bでさらに電気化学反応を起こし得る。
【0080】
第2ブロワー72は、第1外部空気流入流路201と連通された第2外部空気流入流路203と、スタック側の空気流入流路204に連結されることができる。第2外部空気流入流路203は、空気フィルタ91の後端に連結されることができる。第2ブロワー72は、第2外部空気流入流路203を介して流入する空気を、スタック側の空気流入流路204を介してスタック20側に流動させることができる。
【0081】
第2外部空気流入流路203には、空気の流動方向を制限する第2空気側のチェックバルブ82を配置することができる。
【0082】
スタック側の空気流入流路204には、スタック側の空気流入流路204内に流動する空気の流量を検出する空気流量計53を配置することができる。
【0083】
加湿装置23は、スタック側の空気流入流路204を介して流入する空気に水分を供給することができ、水分が含まれた空気をスタック側の空気供給流路205を介して吐出できる。
【0084】
スタック側の空気供給流路205には、スタック20に供給される空気の流動を調節するスタック側の空気供給バルブ36を配置することができる。
【0085】
スタック側の空気供給流路205は、スタック20a、20bにそれぞれ対応する個別供給流路206、207に連結されることができる。スタック側の空気供給流路205を介して流動する空気は、個別供給流路206、207を介してスタック20a、20bに供給されることができる。
【0086】
複数のスタック20a、20bは、ガス連結流路107により互いに連結されることができる。第1スタック20aで反応せずに吐出される改質ガスは、ガス連結流路107を介して第2スタック20bに流入できる。
【0087】
ガス連結流路107には、改質ガスが第1スタック20aを通過する間に凝縮して生成された水を除去する追加水分除去装置62を配置することができる。
【0088】
追加水分除去装置62で生成された水は、追加水分除去装置62から吐出され、第2水回収流路310に流動できる。第2水回収流路310には、水の流動を調節する第2水回収バルブ45を配置することができる。第2水回収流路310は、第1水回収流路309に連結されることができる。
【0089】
スタック20a、20bで反応せずに吐出される正極排出ガス(AOG)は、スタックガス吐出流路108を介して流動できる。
【0090】
AOG熱交換器22は、スタック20a、20bから吐出された正極排出ガス(AOG)が流動するスタックガス吐出流路108に連結されることができる。AOG熱交換器22は、熱回収タンク15から吐出された水が流動する温水供給流路313に連結されることができる。AOG熱交換器22は、スタックガス吐出流路108を介して流入する正極排出ガス(AOG)と、温水供給流路313を介して供給される水とを熱交換することができる。
【0091】
温水供給流路313には、熱回収タンク15に保存された水をAOG熱交換器22に流動させる温水ポンプ48及び/又は温水供給流路313内に流動する水の流量を検出する温水流量計55を配置することができる。
【0092】
AOG熱交換器22は、AOG供給流路109に連結されることができ、AOG供給流路109を介して熱交換された正極排出ガス(AOG)を吐出することができる。AOG熱交換器22から吐出された正極排出ガス(AOG)は、AOG供給流路109を介して燃料処理装置10に流動できる。AOG供給流路109を介して燃料処理装置10に供給された正極排出ガス(AOG)は、バーナー120の燃焼のための燃料に使用できる。
【0093】
AOG供給流路109には、正極排出ガス(AOG)に含まれた水分の量を調節するAOG水分除去装置63及び/又は燃料処理装置10に供給される正極排出ガス(AOG)の流動を調節するAOGバルブ35を配置することができる。AOG水分除去装置63に流入した正極排出ガス(AOG)は、水分が除去された後、AOG水分除去装置63から吐出されることができる。
【0094】
AOG水分除去装置63で生成された凝縮水は、AOG水分除去装置63から吐出され、第3水回収流路311を介して流動できる。第3水回収流路311には、水の流動を調節する第3水回収バルブ46を配置することができる。第3水回収流路311は、第1水回収流路309に連結されることができる。
【0095】
スタック側の空気吐出流路211は、スタック20a、20bにそれぞれ対応する個別吐出流路208、209に連結されることができる。スタック20a、20bから吐出された空気は、個別吐出流路208、209を介してスタック側の空気吐出流路211に流動できる。その際、スタック側の空気吐出流路211を介して流動する空気は、スタック20a、20bで生じる電気化学反応により生成される水分を含むことができる。
【0096】
スタック側の空気吐出流路211は、加湿装置23に連結されることができる。加湿装置23は、スタック側の空気吐出流路211を介して供給される空気に含まれた水分を利用し、スタック20に流動する空気に水分を供給することができる。スタック側の空気吐出流路211を介して加湿装置23に供給された空気は、加湿装置23を経て加湿装置吐出流路212に吐出されることができる。
【0097】
スタック側の空気吐出流路211には、スタック20a、20b から吐出されて加湿装置23に流入する空気の流動を調節するスタック側の空気吐出バルブ37を配置することができる。
【0098】
水供給タンク13は、水流入流路301に連結されることができ、水流入流路301を介して供給される水を保存することができる。水流入流路301には、外部から供給される水に含まれた異物を除去する第1液体フィルタ92及び/又は水供給タンク13に流入する水の流動を調節する水流入バルブ41を配置することができる。
【0099】
水供給タンク13は、水排出流路302に連結されることができ、水排出流路302を介して水供給タンク13に保存された水の少なくとも一部を外部に排出できる。水排出流路302には、水供給タンク13から排出される水の流動を調節する水排出バルブ42を配置することができる。
【0100】
水供給タンク13は、水保存流路308に連結されることができ、水保存流路308を介して流動する水を保存することができる。例えば、改質ガス水分除去装置61、追加水分除去装置62、AOG水分除去装置63及び/又は空気水分除去装置64から吐出され、第3水回収流路311を介して流動する水が、水保存流路308を経て水供給タンク13に流入できる。水保存流路308には、水供給タンク13に回収される水に含まれた異物を除去する第2液体フィルタ93を配置することができる。
【0101】
水供給タンク13に保存された水の少なくとも一部は、冷却水ポンプ43により改質ガス熱交換器21に流動でき、改質ガス熱交換器21で改質ガスと熱交換されることができる。改質ガス熱交換器21から吐出された水は、スタック水供給流路305を介してスタック20a、20bに流入できる。
【0102】
スタック水供給流路305を介してスタック20a、20bに流入した水は、スタック20a、20bを冷却することができる。スタック20a、20bに流入した水は、スタック20a、20bに含まれたスタック熱交換器(図示せず)によって流動でき、スタック20a、20bで生じる電気化学反応により発生する熱を吸収することができる。
【0103】
複数のスタック20a、20bは、水連結流路306により連結されることができる。第1スタック20aから吐出される水は、水連結流路306を介して第2スタック20bに流入できる。
【0104】
スタック20a、20bから吐出される水は、スタック水吐出流路307を介して冷却水熱交換器24に流入できる。冷却水熱交換器24は、スタック20a、20bから吐出された水と、熱回収タンク15から吐出された水とを熱交換できる。スタック20a、20bから吐出された水は、冷却水熱交換器24を経て水保存流路308に流動できる。
【0105】
温水ポンプ48により熱回収タンク15から吐出された水は、温水供給流路313を経てAOG熱交換器22に流入できる。AOG熱交換器22で正極排出ガス(AOG)と熱交換された水は、第1温水循環回路314に吐出されることができる。
【0106】
空気熱交換器25は、加湿装置23から吐出された空気が流動する加湿装置吐出流路212に連結されることができる。空気熱交換器25は、AOG熱交換器22から吐出された水が流動する第1温水循環回路314に連結されることができる。空気熱交換器25は、加湿装置吐出流路212を介して流入する空気と第1温水循環回路314を介して流入する水とを熱交換することができる。
【0107】
空気熱交換器25で熱交換された空気は、空気排出流路213を介して空気熱交換器25から吐出されることができる。空気排出流路213は排気ガス吐出流路210と連通されることができ、排気ガス吐出流路210に流動する排気ガスと空気排出流路213に流動する空気が混合できる。
【0108】
空気排出流路213には、空気水分除去装置64を配置することができる。空気水分除去装置64は、外部に排出される空気に含まれた水分の量を調節することができる。空気水分除去装置64に流入した空気は、水分が除去された後、空気水分除去装置64から吐出されることができる。
【0109】
空気水分除去装置64で生成された凝縮水は、空気水分除去装置64から吐出されて第4水回収流路312を介して流動できる。第4水回収流路312には、水の流動を調節する第4水回収バルブ47を配置することができる。第4水回収流路312は、水保存流路308に連結されることができる。
【0110】
空気熱交換器25で熱交換された水は、第2温水循環流路315を介して空気熱交換器25から吐出されることができる。空気熱交換器25から吐出された水は、第2温水循環流路315を介して冷却水熱交換器24に流入できる。
【0111】
冷却水熱交換器24は、スタック水吐出流路307を介して流入する水と、第2温水循環流路315を介して流入する水とを熱交換することができる。
【0112】
排気熱交換器26は、排気ガスが流動する排気ガス吐出流路210に連結されることができる。排気熱交換器26は、冷却水熱交換器24から吐出された水が流動する第3温水循環流路316に連結されることができる。排気熱交換器26は、排気ガス吐出流路210を介して流入する排気ガスと、第3温水循環流路316を介して流入する水とを熱交換することができる。
【0113】
排気熱交換器26で熱交換された排気ガスは、排気流路214に吐出されることができ、排気流路214に流動する排気ガスは外部に排出されることができる。
【0114】
排気熱交換器26で熱交換された水は、温水回収流路317に吐出されることができ、温水回収流路317に流動する水は、熱回収タンク15に流入することができる。
【0115】
燃料電池システム1は、温度を感知する温度計(又は温度センサ)をさらに含むことができる。例えば、燃料電池システム1は、水供給タンクに保存された冷却水の温度を感知する第1温度計472、スタック20a、20bから吐出された水の温度を感知する第2温度計474等を含むことができる。一例として、第1温度計472は、 冷却水供給流路304に配置され、水供給タンク13から排出されて冷却水供給流路304内を流動する水の温度を感知することができる。 別の例として、第1温度計472は、水供給タンク13に配置され、水供給タンク13に保存された水の温度を感知することができる。第2温度計474は、スタック水吐出流路307に配置され、スタック20から排出されてスタック水吐出流路307内を流動する水の温度を感知することができる。
【0116】
また、燃料電池システム1は、少なくとも1つの制御部(図示せず)をさらに含むことができる。制御部は、少なくとも1つのプロセッサを含むことができる。ここで、プロセッサは、CPU(central processing unit)のような一般的なプロセッサであり得る。もちろん、プロセッサはASICのような専用装置(dedicated device)であるか、他のハードウェアベースのプロセッサであり得る。
【0117】
制御部は、燃料電池システム1の動作全般を制御することができる。制御部は、燃料電池システム1に備えられた各構成と連結されることができ、各構成と相互間に信号を送信及び/又は受信することができる。
【0118】
制御部は、燃料電池システム1に備えられた各構成から受信される信号を処理することができ、信号を処理した結果による制御信号を燃料電池システム1に備えられた各構成に送信することができる。例えば、制御部は、燃料電池システム1に備えられた各バルブの開度を調節することができる。また、制御部は、燃料電池システム1に備えられた各バルブを切り換えることができる。
【0119】
図3は、本発明の一実施形態に係る燃料電池システム1において、燃料処理装置10、スタック20、水供給タンク13、熱回収タンク15、及び廃熱回収部400を示す系統図である。
【0120】
以下、
図2及び
図3を参考し、廃熱回収部400に関する構成を説明する。
【0121】
図2及び
図3を参考すると、燃料電池システム1は廃熱回収部400を含むことができる。
【0122】
廃熱回収部400は、冷却水ラインに沿って流動する冷却水を介して燃料処理装置10から排出される排気ガスの廃熱を回収することができる。廃熱回収部400は、燃料処理装置10、水供給タンク13及び熱回収タンク15にそれぞれ連結されることができる。廃熱回収部400は、燃料処理装置10、水供給タンク13及び熱回収タンク15を循環する冷却水ラインを形成することができる。
【0123】
廃熱回収部400は、燃料処理装置10、水供給タンク13及び熱回収タンク15にそれぞれ配置される複数の熱交換器410、412、414を含むことができる。廃熱回収部400は、燃料処理装置10に配置される第1熱交換器410、水供給タンク13に配置される第2熱交換器412、及び第3熱交換器414に配置される第3熱交換器414を含むことができる。
【0124】
第1熱交換器410で、燃料処理装置10から排出される排気ガスと水供給タンク13又は熱回収タンク15で供給された冷却水とを熱交換することができる。具体的に、第1熱交換器410は、バーナー120の排気ガスの排出口側に近いように配置されてもよい。
【0125】
第2熱交換器412で、第1熱交換器410で熱交換された冷却水と水供給タンク13に保存された水とを熱交換することができる。
【0126】
第3熱交換器414で、第1熱交換器410で熱交換された冷却水と熱回収タンク15に保存された温水とを熱交換することができる。
【0127】
廃熱回収部400は、冷却水ラインを形成し、第1熱交換器410と第2熱交換器412とを連結する第1熱回収管422、424、及び第1熱交換器410と第3熱交換器414とを連結する第2熱回収管432、434を含むことができる。
【0128】
第1熱回収管422、424は、第2熱交換器412の吐出端と第1熱交換器410の流入端とを連結する第1-1熱回収管422を含むことができる。第1-1熱回収管422には、水供給タンク13に保存された水と熱交換された冷却水が流動できる。
【0129】
第1熱回収管422、424は、第2熱交換器412の流入端と第2熱交換器410の吐出端とを連結する第1-2熱回収管424を含むことができる。第1-2熱回収管424には、燃料処理装置10の排気ガスと熱交換された冷却水が流動できる。
【0130】
一方、第1-2熱回収管424には、冷却水ラインを循環する冷却水の流動を形成する熱供給ポンプ440を配置することができる。
【0131】
また、廃熱回収部400は、第1熱交換器410をバイパスした冷却水が流動するバイパス管466をさらに含むことができる。バイパス管466は、第1熱交換器410側に配置されてもよい。バイパス管466は、第1熱交換器410の流入端422と第1熱交換器410の吐出端424に連結されることができる。
【0132】
第2熱回収管432、434は、第3熱交換器414の吐出端と第1熱交換器410の流入端とを連結する第2-1熱回収管432を含むことができる。具体的に、第2-1熱回収管432は、第1-1熱回収管422に合流され、第1熱交換器410の流入端と連結されることができる。したがって、第2-1熱回収管432には、熱回収タンク15に保存された温水と熱交換された冷却水が流動できる。
【0133】
第2熱回収管432、434は、第3熱交換器414の流入端と第1熱交換器410の吐出端とを連結する第2-2熱回収管434を含むことができる。具体的に、第2-2熱回収管434は、第1-2熱回収管424から分枝し、第1熱交換器410の吐出端と連結されることができる。したがって、第2-2熱回収管434には、燃料処理装置10の排気ガスと熱交換された冷却水が流動できる。
【0134】
廃熱回収部400は、水供給タンク13又は熱回収タンク15から排出された冷却水を燃料処理装置10に供給する熱回収バルブ452を含むことができる。熱回収バルブ452は、第2熱交換器412から排出された冷却水を第1熱交換器410に供給するか、第1熱交換器410をバイパスするように動作できる。熱回収バルブ452は、第3熱交換器412から排出された冷却水を第1熱交換器410に供給するか、第1熱交換器410をバイパスするように動作できる。
【0135】
熱回収バルブ452は、第1-1熱回収管422に配置されてもよい。熱回収バルブ452は、三方バルブ(3-way valve)で構成されることができる。熱回収バルブ452の流入端は、第1-1熱回収管422の上流と連結されることができる。熱回収バルブ452の第1吐出端は、第1-1熱回収管422の下流と連結されることができる。熱回収バルブ452の第2吐出端は、バイパス管466と連結されることができる。
【0136】
廃熱回収部400は、燃料処理装置10から排出された冷却水を水供給タンク13又は熱回収タンク15に供給する熱供給バルブ462を含むことができる。熱供給バルブ462は、第1熱交換器410から排出された冷却水を第2熱交換器412又は第3熱交換器414に供給するか、第1熱交換器410をバイパスした冷却水を第2熱交換器412又は第3熱交換器414に供給するように動作できる。
【0137】
熱供給バルブ462は、第1-2熱回収管424に配置されてもよい。熱回収バルブ452は、三方バルブ(3-way valve)で構成されることができる。熱供給バルブ462の流入端は、第1-2熱回収管424の上流と連結されることができる。熱供給バルブ462の第1吐出端は、第1-2熱回収管424の下流と連結されることができる。熱供給バルブ462の第2吐出端は、第2-2熱回収管434と連結されることができる。
【0138】
したがって、廃熱回収部400は、冷却水ライン422、424、432、434に沿って流動する冷却水を燃料処理装置10から排出される排気ガスが熱交換させて排気ガスの廃熱を回収することができ、前記熱交換された冷却水を水供給タンク13に供給して水供給タンク13に保存された水を加熱するか、又は熱回収タンク15に供給して熱回収タンク15に保存された温水を加熱することができる。
【0139】
図4及び
図5は、燃料電池システム1の予熱モードWM及び/又は改質モードRM時、廃熱回収部400の作動に関する系統図である。
【0140】
燃料電池システム1は、改質に適した温度に到達するように燃料処理装置10を予熱する、具体的には、燃料処理装置10の改質器140をバーナー120で予熱する予熱モードWMで運転することができる。或いは、燃料電池システム1は、改質ガスの水素及び一酸化炭素の濃度が発電に適した濃度に到達するように改質ガスをバーナーで再循環させて、改質を繰り返す改質モードRMで運転することができる。
【0141】
予熱モードWMで、燃料電池システム1は、改質ガスバルブ33、バイパスバルブ34及びAOGバルブ35をすべて閉鎖することができる。その際、改質器140に対する燃料ガスの供給が遮断されるので、改質器140で改質ガスが生成されない。また、改質ガス吐出流路104、バイパス流路105及びAOG供給流路109で、改質ガスやアノードオフガス(AOG)が流動しない(
図2参考)。
【0142】
改質モードRMで、燃料電池システム1は、改質ガスバルブ33及びAOGバルブ35を閉鎖し、バイパスバルブ34を開放することができる。その際、燃料処理装置10から吐出された改質ガスは、改質ガス吐出流路104及びバイパス流路105を介して燃料処理装置10に再流入することがあり、バーナー120の燃焼のための燃料として使用されることがある(
図2参考)。
【0143】
予熱モードWM及び/又は改質モードRMで、燃料電池システム1は、熱供給ポンプ440を作動させて、冷却水ライン422、424、466を循環する冷却水の流れを形成することができる。
【0144】
以下、燃料処理装置10から排出される排気ガスの廃熱を回収するために、冷却水ラインを循環する冷却水の流れを説明する。
【0145】
図4を参考すると、第2熱交換器412から排出された冷却水は、第1-1熱回収管422の上流に沿って流動し、熱回収バルブ452に供給されることができる。その際、熱回収バルブ452は、第1-1熱回収管422の下流と連結されるように第1熱交換器410側に切り換えられることができ、熱回収バルブ452に供給された冷却水は、第1-1熱回収管422の下流に沿って流動し、第1熱交換器410に供給されることができる。
【0146】
第1熱交換器410に供給された冷却水は、バーナー140の作動によって燃焼の後に排出される排気ガスと熱交換された後に排出され、第1-2熱回収管424の上流に沿って流動し、熱供給ポンプ440を介して熱供給バルブ462に供給されることができる。その際、熱供給バルブ462は第1-2熱回収管424の下流と連結されるように第2熱交換器412側に切り換えられることができ、熱供給バルブ462に供給された冷却水は、第1-2熱回収管424の下流に沿って流動し、第2熱交換器412に供給されることができる。
【0147】
第2熱交換器412に供給された冷却水は、水供給タンク13に保存された水と熱交換された後に排出され、第2熱交換器412から排出された冷却水は、前述した循環サイクルによって冷却水ラインを循環することができる。
【0148】
これによって、予熱モードWM及び/又は改質モードRM時、水供給タンク13に保存された水は、第1熱交換器410を介して排気ガスから捨てられる廃熱を回収した冷却水と第2熱交換器410で熱交換されて加熱されることができる。
【0149】
以下、燃料処理装置10から排出される排気ガスの廃熱の回収が完了した場合、冷却水ラインを循環する冷却水の流れを説明する。
【0150】
図5を参考すると、第2熱交換器412から排出された冷却水は、第1-1熱回収管422の上流に沿って流動し、熱回収バルブ452に供給されることができる。その際、燃料電池システム1は、第1温度計472を介して水供給タンク13に保存された水の温度を感知することができ、第1温度計472で感知された水の温度値が第1設定温度以上である場合、バイパス管466と連結されるように熱回収バルブ452を切り換えることができる。ここで、第1設定温度とは、発電モードPM時、スタック20を十分に予熱するのに適した水の温度であって、制御部のメモリに予め保存された値であり得る。
【0151】
熱回収バルブ452に供給された冷却水は、バイパス管466と第1-2熱回収管424の下流に沿って流動し、熱供給ポンプ440を介して熱供給バルブ462に供給されることができる。その際、熱供給バルブ462は第1-2熱回収管424の下流と連結されるように第2熱交換器412側に切り換えられることができ、熱供給バルブ462に供給された冷却水は、第1-2熱回収管424の下流に沿って流動し、第2熱交換器412に供給されることができる。
【0152】
第2熱交換器412に供給された冷却水は、水供給タンク13に保存された水と熱交換された後に排出され、第2熱交換器412から排出された冷却水は、前述した循環過程を同一繰り返すことができる。
【0153】
これによって、水供給タンク13に保存された水の温度が十分に加熱された場合、燃料処理装置10に供給される冷却水をバイパスさせて燃料処理装置10の廃熱の回収を終了し、水供給タンク13に保存された水の温度を、スタックを予熱するのに適した設定温度に維持できる。
【0154】
図6及び
図7は、燃料電池システム1の発電モードPM時、燃料電池システム1の作動に関する系統図である。
【0155】
燃料電池システム1は、空気と改質ガスの電気化学反応を通じてスタック20a、20bで電気を生成する発電モードPMで運転することができる。
【0156】
発電モードPMで、燃料電池システム1は、燃料処理装置10から排出される改質ガスがスタック20に供給されるように、改質ガスバルブ33を開放し、バイパスバルブ34を閉鎖することができる。燃料電池システム1は、第2ブロワー72を駆動し、電気を発生させる電気化学反応に使用される空気をスタック20に供給できる(
図2参考)。
【0157】
発電モードPMで、燃料電池システム1は、熱供給ポンプ440を作動させて冷却水ライン422、424、432、434を循環する冷却水の流れを形成することができる。
【0158】
発電モードPMで、燃料電池システム1は、冷却水ポンプ43を作動させて水供給タンク13に保存された水をスタック20に供給する水の流れを形成することができる。
【0159】
以下、発電モードPMの初期時、スタック20を予熱するための冷却水の流れを説明する。
【0160】
図6を参考すると、第2熱交換器412から排出された冷却水は、第1-1熱回収管422の上流に沿って流動し、熱回収バルブ452に供給されることができる。その際、熱回収バルブ452は第1-1熱回収管422の下流と連結されるように第1熱交換器410側に切り換えられることができ、熱回収バルブ452に供給された冷却水は、第1-1熱回収管422の下流に沿って流動し、第1熱交換器410に供給されることができる。
【0161】
第1熱交換器410に供給された冷却水は、バーナー140の作動によって燃焼後に排出される排気ガスと熱交換された後に排出され、第1-2熱回収管424の上流に沿って流動し、熱供給ポンプ440を介して熱供給バルブ462に供給されることができる。その際、熱供給バルブ462は第1-2熱回収管424の下流と連結されるように第2熱交換器412側に切り換えられることができ、熱供給バルブ462に供給された冷却水は、第1-2熱回収管424の下流に沿って流動し、第2熱交換器412に供給されることができる。
【0162】
これによって、水供給タンク13に保存された水は、第1熱交換器410を介して排気ガスから捨てられる廃熱を回収した冷却水と第2熱交換器410で熱交換されて加熱されることができ、水供給タンク13に保存された加熱された水は、冷却水ポンプ43の作動によりスタック20に供給され、発電モードPMの初期時、スタック20を発電に適した温度で速く予熱できる。この結果、スタック20の発電効率が向上し得る。
【0163】
発電モードPMで、燃料電池システム1は、第2温度計474を介してスタック20から排出された水の温度を感知することができ、第2温度計474で感知された水の温度値が第2設定温度以上である場合、スタック20の予熱が完了したと判断できる。ここで、第2設定温度とは、発電モードPM時、スタック20の予熱が十分に完了し、正常の発電運転が可能な温度であって、制御部のメモリに予め保存された値であり得る。
【0164】
以下、スタック20の予熱が完了した発電モードPMの中期時、冷却水の流れを説明する。
【0165】
図7を参考すると、第3熱交換器414から排出された冷却水は、第2-1熱回収管432に沿って流動し、熱回収バルブ452に供給されることができる。その際、熱回収バルブ452は第1-1熱回収管422の下流と連結されるように第1熱交換器410側に切り換えられることができ、熱回収バルブ452に供給された冷却水は、第1-1熱回収管422の下流に沿って流動し、第1熱交換器410に供給されることができる。
【0166】
第1熱交換器410に供給された冷却水は、バーナー140の作動によって燃焼後に排出される排気ガスと熱交換された後に排出され、第1-2熱回収管424の上流に沿って流動し、熱供給ポンプ440を介して熱供給バルブ462に供給されることができる。その際、熱供給バルブ462は第2-2熱回収管434と連結されるように第3熱交換器414側に切り換えられることができ、熱供給バルブ462に供給された冷却水は、第2-2熱回収管434に沿って流動し、第3熱交換器414に供給されることができる。
【0167】
これによって、スタック20の予熱が完了した場合、熱回収タンク15に保存された温水は、第1熱交換器410を介して排気ガスから捨てられる廃熱を回収した冷却水と第3熱交換器414で熱交換されて加熱されることができ、熱回収タンク15に保存された温水は、ユーザの要求に応じて、家庭などの温水使用先に供給されることができる。この結果、燃料処理装置10から捨てられる廃熱の回収量が増大し得、燃料電池システム1の総エネルギー効率が向上し得る。
【0168】
また、発電モードPMで、燃料電池システム1は、冷却水熱交換器24を介してスタック20から排出された水と熱回収タンク15を循環する温水とが熱交換されるように温水ポンプ48を作動させることができる。
【0169】
図8は、本発明の一実施形態に係る燃料電池システム1の制御方法に関するフローチャートである。
【0170】
図8を参考すると、制御部は、燃料電池システム1の運転を開始することができる(S100)。燃料電池システム1の運転が開始された後、燃料電池システム1は、予熱運転WM、改質運転RM及び/又は発電運転PMを行うことができる。
【0171】
S100の後、制御部は、燃料電池システム1の現在の運転モードを判断することができる(S110)。
【0172】
現在の燃料電池システム1の運転モードが予熱モードWM又は改質モードRMである場合、制御部は、熱供給ポンプ440を作動させることができる(S210)。これによって、廃熱回収部400の冷却水ラインに沿って循環する冷却水の流動を形成することができる。
【0173】
S210の後、制御部は、第1熱交換器410で排気ガスと熱交換された冷却水が第2熱交換器412に供給されるように熱供給バルブ462を水供給タンク13側に切り換えることができる(S220)。その際、制御部は、第2熱交換器412から排出された冷却水が第1熱交換器410に供給されるように熱回収バルブ452を燃料処理装置10側に切り換えることができる。したがって、冷却水ラインを循環する冷却水が第1熱交換器410で排気ガスの廃熱を回収した後、第2熱交換器412に供給され、第2熱交換器410に供給された冷却水と水供給タンク13に保存された水とが熱交換され、水供給タンク13に保存された水が加熱できる。
【0174】
S220の後、制御部は、水供給タンク13に保存された水の予熱が完了しているか判断できる(S230)。具体的に、制御部は、第1温度計472を介して水供給タンク13に保存された水の温度を感知することができ、第1温度計472で感知された水の温度値が第1設定温度以上である場合、水供給タンク13に保存された水の予熱が完了したと判断できる。ここで、第1設定温度とは、発電モードPM時、スタック20を十分に予熱するのに適した水温度に設定されることができる。
【0175】
水供給タンク13に保存された水の予熱が完了していない場合(S230でNo)、制御部は、第2熱交換器412から排出された冷却水が第1熱交換器410に供給されるように燃料処理装置10の入口端422側に熱回収バルブ452を切り換えることができる(S240)。したがって、水供給タンク13に保存された水の温度が第1設定温度に到達するまで冷却水ラインを循環する冷却水が第1熱交換器410で排気ガスの廃熱を回収することができる。
【0176】
水供給タンク13に保存された水の予熱が完了した場合(S230でYes)、制御部は、第2熱交換器412から排出された冷却水が第1熱交換器410をバイパスするように燃料処理装置10の出口端424側に熱回収バルブ452を切り換えることができる(S250)。したがって、冷却水ラインを循環する冷却水が第1熱交換器410で排気ガスの廃熱をこれ以上回収せずに水供給タンク13に保存された水の温度を維持することができる。
【0177】
S240及びS250の後、制御部はS110に復帰し、燃料電池システム1の現在の運転モードを再度判断することができる。
【0178】
現在の燃料電池システム1の運転モードが発電モードPMである場合、制御部は、発電モードPMが初期状態であるか判断できる(S310)。一例として、制御部は、スタック20の予熱完了可否で発電モードPMが初期状態であるか判断できる。具体的に、制御部は第2温度計474を介してスタック20から排出される水の温度を感知することができ、第2温度計474で感知された水の温度値が第2設定温度以上である場合、スタック20の予熱が完了したと判断し、現在の発電モードPMが中期に該当すると判断できる。ここで、第2設定温度とは、発電モードPM時、スタック20の予熱が十分に完了し、正常の発電運転が可能な温度に設定されることができる。
【0179】
発電モードPMの初期状態である場合(S310でYes)、制御部は、水供給タンク13に保存された水の予熱が完了しているか判断できる(S320)。具体的に、制御部は、第1温度計472を介して水供給タンク13に保存された水の温度を感知することができ、第1温度計472で感知された水の温度値が第1設定温度以上である場合、水供給タンク13に保存された水の予熱が完了したと判断できる。
【0180】
水供給タンク13に保存された水の予熱が完了していない場合(S320でNo)、制御部は、熱供給ポンプ440を作動させることができる(S330)。これによって、廃熱回収部400の冷却水ラインに沿って循環する冷却水の流動を形成することができる。
【0181】
S330の後、制御部は、第1熱交換器410で排気ガスと熱交換された冷却水が第2熱交換器412に供給されるように熱供給バルブ462を水供給タンク13側に切り換えることができる(S340)。その際、制御部は、第2熱交換器412から排出された冷却水が第1熱交換器410に供給されるように熱回収バルブ452を燃料処理装置10側に切り換えることができる。したがって、冷却水ラインを循環する冷却水が第1熱交換器410で排気ガスの廃熱を回収した後、第2熱交換器412に供給され、第2熱交換器412に供給された冷却水と水供給タンク13に保存された水とが熱交換され、水供給タンク13に保存された水が加熱できる。
【0182】
S340の後、制御部は、冷却水ポンプ43を作動させることができる(S350)。また、制御部は、温水ポンプ48の作動を停止するか、停止状態を維持することができる(S350)。したがって、発電モードPMの初期時、スタック20に供給される水供給タンク13の水が十分に加熱されない場合、燃料処理装置10で回収された排気ガスの廃熱を熱回収タンク15側に供給せずに水供給タンク13側に集中的に供給すると同時に、スタック20に水供給タンク13の水を供給してスタック20を予熱することができる。
【0183】
水供給タンク13に保存された水の予熱が完了した場合(S320でYes)、制御部は、後述するS360の動作に移行できる。
【0184】
発電モードPMの中期状態である場合(S310でNo)、制御部は、熱供給ポンプ440を作動させることができる(S360)。これによって、廃熱回収部400の冷却水ラインに沿って循環する冷却水の流動を形成することができる。
【0185】
S360の後、制御部は、第1熱交換器410で排気ガスと熱交換された冷却水が第3熱交換器412に供給されるように熱供給バルブ462を熱回収タンク15側に切り換えることができる(S370)。その際、制御部は、第3熱交換器414から排出された冷却水が第1熱交換器410に供給されるように熱回収バルブ452を燃料処理装置10側に切り換えることができる。したがって、冷却水ラインを循環する冷却水が第1熱交換器410で排気ガスの廃熱を回収した後、第3熱交換器414に供給され、第3熱交換器414に供給された冷却水と熱回収タンク15に保存された温水とが熱交換され、熱回収タンク15に保存された温水が加熱できる。
【0186】
S370の後、制御部は、冷却水ポンプ43を作動させることができる(S380)。また、制御部は、温水ポンプ48を作動させるか、作動状態を維持することができる(S380)。したがって、発電モードPMの中期時、スタック20が十分に予熱された場合、燃料処理装置10で回収された排気ガスの廃熱が熱回収タンク15側に供給されることによって、熱回収タンク15に保存された温水が加熱され、熱回収タンク15に保存された温水はユーザの要求に応じて、家庭などの温水使用先に供給されることができる。
【0187】
添付された図面は、本明細書に開示された実施形態を容易に理解できるようにするためのものであるだけで、添付された図面により本明細書に開示された技術的思想が制限されず、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代換物を含むものと理解されなければならない。
【0188】
同様に、特定の順序で、図面で動作を描写しているが、これは好ましい結果を得るために図示されたその特定の順序や順次の順序通りそのような動作を行わなければならないか、又は全ての図示された動作が行われなければならないものと理解されてはならない。特定の場合、マルチタスキングと並列プロセシングが有利であり得る。
【0189】
また、以上では、本発明の好ましい実施形態について図示して説明しているが、本発明は、前述した特定の実施形態に限定されず、請求範囲で請求する本発明の要旨を外れることなく、当該発明が属する技術分野で通常の知識を有する者により多様な変形実施が可能であるのは勿論であり、このような変形実施は、本発明の技術的思想や展望から個別的に理解されてはならない。
【符号の説明】
【0190】
1 燃料電池システム
10 燃料処理装置
13 水供給タンク
15 熱回収タンク
20 スタック
400 廃熱回収部
410 第1熱交換器
412 第2熱交換器
414 第3熱交換器
422 第1-1熱回収管
424 第1-2熱回収管
432 第2-1熱回収管
434 第2-2熱回収管
440 熱供給ポンプ
452 熱回収バルブ
462 熱供給バルブ
472 第1温度計
474 第2温度計