(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】植物における真菌病原体の成長の防止または低減のための微生物組成物
(51)【国際特許分類】
A01N 63/20 20200101AFI20241121BHJP
A01N 63/32 20200101ALI20241121BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20241121BHJP
C12N 1/16 20060101ALI20241121BHJP
C12N 1/20 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
A01N63/20
A01N63/32
A01P3/00
C12N1/16 Z
C12N1/20 E ZNA
(21)【出願番号】P 2022508823
(86)(22)【出願日】2020-08-13
(86)【国際出願番号】 US2020046165
(87)【国際公開番号】W WO2021030577
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2023-08-14
(32)【優先日】2019-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000232623
【氏名又は名称】日本農薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア, ベロニカ
(72)【発明者】
【氏名】アンドリコプロス, ソフィア
(72)【発明者】
【氏名】フローランド, ジェンシナ
(72)【発明者】
【氏名】トリニダード, ケリー
(72)【発明者】
【氏名】ピアモンテ, クリスティ
(72)【発明者】
【氏名】ピアース, ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】バッカー, ジェイミー
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー, ナサニエル ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ヴィラーグ, アレクサンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ベデカー, アムルタ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】マリニッチ, エリザベス エー.
【審査官】鳥居 福代
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0059387(US,A1)
【文献】Postharvest Biology and Technology,2015年,Vol.100,pp.160-167
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
C12N
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2種の微生物を含む生物防除組成物であって、前記少なくとも2種の微生物が、
(a)Gluconobacter cerinus、および
(b)Hanseniaspora uvarum
を含み、
前記少なくとも2種の微生物が、共培養したものであり、前記
Gluconobacter cerinusと前記Hanseniaspora uvarumの産物比
が、約1:100~100:1の間である、生物防除組成物。
【請求項2】
前記Gluconobacter cerinusと前記Hanseniaspora uvarumの産物比が、約1:10~10:1の間である、請求項1に記載の生物防除組成物。
【請求項3】
前記Gluconobacter cerinusと前記Hanseniaspora uvarumの産物比が、約1:5~5:1の間である、請求項1に記載の生物防除組成物。
【請求項4】
前記Gluconobacter cerinusと前記Hanseniaspora uvarumの産物比が、約1:3~3:1の間である、請求項1に記載の生物防除組成物。
【請求項5】
前記Gluconobacter cerinusと前記Hanseniaspora uvarumの産物比が、約1:2~2:1の間である、請求項1に記載の生物防除組成物。
【請求項6】
(i)個別に培養した前記少なくとも2種の微生物のうちの1種もしくは複数種、または(ii)別々に培養して前記生物防除組成物のものとほぼ同じである生存細胞計数値および産物比で併せた前記少なくとも2種の微生物、からなる群より選択される任意の組成物を含む参照組成物と比較して、真菌病発生率を10%またはそれより大きく阻害することが可能である、請求項1から
5のいずれかに記載の生物防除組成物。
【請求項7】
所与の発酵培地、供給組成物およびプロセスを使用して成長させた、前記共培養した少なくとも2種の微生物の発酵終了時の生存細胞計数値が、等価な発酵プロセスの終了時の前記少なくとも2種の微生物の前記生存細胞計数値の合計の5倍、3倍または2倍を超える、請求項1から
6に記載の生物防除組成物。
【請求項8】
貯蔵条件に供された後の前記少なくとも2種の微生物の生存細胞計数値が、等価な発酵プロセスにおいて前記貯蔵条件下で単独で成長させた前記少なくとも2種の微生物の生存細胞計数値の合計より多い、請求項1から
7に記載の生物防除組成物。
【請求項9】
前記貯蔵条件が、4℃~25℃の間の温度での貯蔵を含む、請求項
8に記載の生物防除組成物。
【請求項10】
前記貯蔵条件が、少なくとも7日の貯蔵時間を含む、請求項
8または
9に記載の生物防除組成物。
【請求項11】
栄養細胞または胞子を含む、請求項1から
10のいずれか一項に記載の生物防除組成物。
【請求項12】
担体をさらに含む、請求項1から
11のいずれか一項に記載の生物防除組成物。
【請求項13】
前記担体が、油、水、ロウ、樹脂、カオリナイト粘土、珪藻土または穀粉からなる群より選択され、したがって、前記生物防除組成物が、液体形態、固体形態または粉末形態に製剤化される、請求項1から
12のいずれか一項に記載の生物防除組成物。
【請求項14】
前記Gluconobacter cerinusが、配列番号1の16S rRNA配列と90%を超えて同一である16S rRNA配列を含み、または前記Hanseniaspora uvarumが、配列番号2の内部転写スペーサー(ITS)配列と90%を超えて同一であるITS配列を含む、請求項1から
13のいずれか一項に記載の生物防除組成物。
【請求項15】
請求項
1から14のいずれか一項に記載の生物防除組成物のいずれかを生成する方法であって、
前記少なくとも2種の微生物のうちの第1の微生物が、Gluconobacter cerinusおよびHanseniaspora uvarumのうちのいずれか一方であり、第2の微生物が残りの一方であり、
(a)前
記第1の微生物を第1の培養培地に導入する ステップ;
(b)前
記第2の微生物を第2の培養培地に導入するステップであって、前記第2の培養培地が、前記第1の培養培地もしくはその派生物、前記第1の微生物、またはそれらの組合せを含
む、ステップ;および
(c)前記第1の微生物および前記第2の微生物を、細胞増殖を可能にする条件に供することによって、前記生物防除組成物を生成するステップ
を含む方法。
【請求項16】
前記第2の培養培地が、前記第1の微生物による馴化後の前記第1の培養培地である、請求項
15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の微生物が、Gluconobacter cerinusであり、前記第2の微生物が、Hanseniaspora uvarumである、請求項
15に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の微生物が、Hanseniaspora uvarumであり、前記第2の微生物が、Gluconobacter cerinusである、請求項
15に記載の方法。
【請求項19】
植物、種子、花またはその農産物における病原体の成長を低減、阻害または防止する方法であって、(i)植物、種子、花もしくはその農産物に、または(ii)農産物を輸送もしくは貯蔵するために使用されるパッケージング材料に、請求項1から
14のいずれか一項に記載の生物防除組成物、または請求項15から18のいずれか一項に記載の
方法により得られる生物防除組成
物を付与するステップを含む、方法。
【請求項20】
前記植物、種子、花、またはその農産物が、アルファルファ、アーモンド、アプリコット、リンゴ、アーティチョーク、バナナ、オオムギ、ビーツ、ブラックベリー、ブルーベリー、ブロッコリー、芽キャベツ、キャベツ、アサ、セイヨウアブラナ、トウガラシ、ニンジン、セロリー、フダンソウ、サクランボ、柑橘、トウモロコシ、ワタ、ウリ、ナツメヤシ、イチジク、アマ、ニンニク、ブドウ、薬草、香辛料、ケール、レタス、ミント、アブラヤシ、オリーブ、タマネギ、エンドウ、ナシ、モモ、落花生、パパイヤ、パースニップ、ペカン、カキ、プラム、ザクロ、ジャガイモ、マルメロ、ラディッシュ、ラズベリー、バラ、コメ、スピノサスモモ、モロコシ、ダイズ、ホウレンソウ、イチゴ、サツマイモ、タバコ、トマト、カブの葉、クルミ、およびコムギからなる群より選択される、請求項
19に記載の方法。
【請求項21】
前記病原体が、Albugo candida、Albugo occidentalis、Alternaria alternata、Alternaria cucumerina、Alternaria dauci、Alternaria solani Alternaria tenuis、Alternaria tenuissima、Alternaria tomatophila、Aphanomyces euteiches、Aphanomyces raphani、Armillaria mellea Aspergillus flavus、Aspergillus parasiticus、Botrydia theobromae、Botrytis cinerea、Botrytinia fuckeliana、Bremia lactuca、Cercospora beticola、Cercosporella rubi、Cladosporium herbarum、Colletotrichum acutatum、Colletotrichum gloeosporioides、Colletotrichum lindemuthianum、Colletotrichum musae、Colletotrichum spaethanium、Cordana musae、Corynespora cassiicola、Daktulosphaira vitifoliae、Didymella bryoniae、Elsinoe ampelina、Elsinoe mangiferae、Elsinoe veneta、Erysiphe cichoracearum、Erysiphe necator、Eutypa lata、Fusarium germinareum、Fusarium oxysporum、Fusarium solani、Fusarium virguliforme、Gaeumannomyces graminis、Ganoderma boninense、Geotrichum candidum、Guignardia bidwellii、Gymnoconia peckiana、Helminthosporium solani、Leptosphaeria coniothyrium、Leptosphaeria maculans、Leveillula taurica、Macrophomina phaseolina、Microsphaera alni、Monilinia fructicola、Monilinia vaccinii-corymbosi、Mycosphaerella angulate、Mycosphaerella brassicicola、Mycosphaerella fragariae、Mycosphaerella fijiensis、Oidopsis taurica、Passalora fulva、Penicillium expansum、Peronospora sparse、Peronospora farinosa、Pestalotiopsis clavispora、Phoma exigua、Phomopsis obscurans、Phomopsis vaccinia、Phomopsis viticola、Phytophthora capsica、Phytophthora erythroseptica、Phytophthora infestans、Phytophthora parasitica、Phytophthora ramorum、Plasmopara viticola、Plasmodiophora brassicae、Podosphaera macularis、Polyscytalum pustulans、Pseudocercospora vitis、Puccinia allii、Puccinia sorghi、Pucciniastrum vaccinia、 Pythium aphanidermatum、Pythium debaryanum、Pythium sulcatum、Pythium ultimum、Ralstonia solanacearum、Ramularia tulasneii、Rhizoctonia solani、Rhizopus arrhizus、Rhizopus stoloniferz、Sclerotinia minor、Sclerotinia homeocarpa、Sclerotium cepivorum、Sclerotium rolfsii、Sclerotinia minor、Sclerotinia sclerotiorum、Septoria apiicola、Septoria lactucae、Septoria lycopersici、Septoria petroelini、Sphaceloma perseae、Sphaerotheca macularis、Spongospora subterrannea、Stemphylium vesicarium、Synchytrium endobioticum、Thielaviopsis basicola、Uncinula necator、Uromyces appendiculatus、Uromyces betae、Verticillium albo-atrum、Verticillium dahliae、Verticillium theobromae、およびその任意の組合せからなる群より選択される、請求項
19に記載の方法。
【請求項22】
前記病原体が、Botrytis cinereaである、請求項
19に記載の方法。
【請求項23】
真菌病原体の成長を少なくとも1日間低減、阻害または防止する、請求項
19に記載の方法。
【請求項24】
Botrytis cinereaの成長を低減、阻害または防止する方法であって、生物防除組成物をイチゴに付与するステップを含み、前記生物防除組成物が、少なくとも2種の微生物を含み、前記少なくとも2種の微生物が、
(a)Gluconobacter cerinus、および
(b)Hanseniaspora uvarum
を含み、
前記少なくとも2種の微生物が、共培養したものであり、前記少なくとも2種の微生物が、ある産物比で共培養したものである、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2019年8月14日に出願した米国仮出願第62/886,883号に基づく優先権を主張しており、前記仮出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
真菌病原体は、有意な農業上の損失を引き起こし、作物損失、食品廃棄、および経済的損失をもたらす。抗真菌特性を有する微生物は、これらの真菌病原体による作物損失および食品の品質低下の両方を低減させるための生物防除剤として開発されている。市販の製品は、所望の植物または真菌特異性または有効性を示すことができない。さらに、農産物、特に有機農産物の収穫後保護のための選択肢は限られている。真菌の成長を防止するための生物防除組成物は、現在利用可能な製品の代替物を提供することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
要旨
本明細書において、植物における真菌病原体の成長を防止もしくは低減させるためのまたは真菌病原体感染を防止もしくは軽減するための生物防除組成物、ならびにこれを作製および使用する方法を提供する。
【0004】
ある態様では、本開示は、少なくとも2種の微生物を含む生物防除組成物であって、少なくとも2種の微生物が、Gluconobacter cerinus、およびHanseniaspora uvarumを含み、少なくとも2種の微生物が、共培養したものであり、少なくとも2種の微生物が、ある産物比で共培養したものである、生物防除組成物を提供する。一部の実施形態では、Gluconobacter cerinusとHanseniaspora uvarumの産物比は、約1:100~100:1の間である。一部の実施形態では、Gluconobacter cerinusとHanseniaspora uvarumの産物比は、約1:10~10:1の間である。一部の実施形態では、Gluconobacter cerinusとHanseniaspora uvarumの産物比は、約1:5~5:1の間である。一部の実施形態では、Gluconobacter cerinusとHanseniaspora uvarumの産物比は、約1:3~3:1の間である。一部の実施形態では、Gluconobacter cerinusとHanseniaspora uvarumの産物比は、約1:2~2:1の間である。
【0005】
一部の実施形態では、生物防除組成物は、(i)個別に培養した少なくとも2種の微生物のうちの1種もしくは複数種、または(ii)別々に培養して生物防除組成物のものとほぼ同じである生存細胞計数値および産物比で併せた少なくとも2種の微生物、からなる群より選択される任意の組成物を含む参照組成物と比較して、真菌病発生率を10%またはそれより大きく阻害することが可能である。一部の実施形態では、所与の発酵培地、供給組成物およびプロセスを使用して成長させた、共培養した少なくとも2種の微生物の発酵終了時の生存細胞計数値は、等価な発酵プロセスにおいて単独で成長させた少なくとも2種の微生物の生存細胞計数値の合計の5倍を超える。一部の実施形態では、所与の発酵培地、供給組成物およびプロセスを使用して成長させた、共培養した少なくとも2種の微生物の発酵終了時の生存細胞計数値は、等価な発酵プロセスの終了時の少なくとも2種の微生物の生存細胞計数値の合計の3倍を超える。一部の実施形態では、所与の発酵培地、供給組成物およびプロセスを使用して成長させた、共培養した少なくとも2種の微生物の発酵終了時の生存細胞計数値は、等価な発酵プロセスの終了時の少なくとも2種の微生物の生存細胞計数値の合計の2倍を超える。一部の実施形態では、貯蔵条件に供された後の少なくとも2種の微生物の生存細胞計数値は、等価な発酵プロセスにおいて貯蔵条件下で単独で成長させた少なくとも2種の微生物の生存細胞計数値の合計より多い。一部の実施形態では、貯蔵条件は、4℃~25℃の間の温度での貯蔵を含む。一部の実施形態では、貯蔵条件は、少なくとも7日の貯蔵時間を含む。
【0006】
別の態様では、本開示は、生物防除組成物を生成するための方法であって、(a)少なくとも2種の微生物のうちの第1の微生物を第1の培養培地に導入するステップ;(b)少なくとも2種の微生物のうちの第2の微生物を第2の培養培地に導入するステップであって、第2の培養培地が、第1の培養培地もしくはその派生物、第1の微生物、またはそれらの組合せを含み、第2の微生物が第1の微生物とは異なる、ステップ;および(c)第1の微生物および第2の微生物を、細胞増殖を可能にする条件に供することによって、生物防除組成物を生成するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、第2の培養培地は、第1の微生物による馴化後の第1の培養培地である。一部の実施形態では、第1の微生物は、Gluconobacter cerinusであり、第2の微生物は、Hanseniaspora uvarumである。一部の実施形態では、第1の微生物は、Hanseniaspora uvarumであり、第2の微生物は、Gluconobacter cerinusである。
【0007】
別の態様では、本開示は、植物、種子、花またはその農産物における病原体の成長を低減または防止する方法であって、植物、種子、花またはその農産物に生物防除組成物のいずれかを付与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、植物、種子、花、またはその農産物は、アルファルファ、アーモンド、アプリコット、リンゴ、アーティチョーク、バナナ、オオムギ、ビーツ、ブラックベリー、ブルーベリー、ブロッコリー、芽キャベツ、キャベツ、アサ、セイヨウアブラナ、トウガラシ、ニンジン、セロリー、フダンソウ、サクランボ、柑橘、トウモロコシ、ワタ、ウリ、ナツメヤシ、イチジク、アマ、ニンニク、ブドウ、薬草、香辛料、ケール、レタス、ミント、アブラヤシ、オリーブ、タマネギ、エンドウ、ナシ、モモ、落花生、パパイヤ、パースニップ、ペカン、カキ、プラム、ザクロ、ジャガイモ、マルメロ、ラディッシュ、ラズベリー、バラ、コメ、スピノサスモモ、モロコシ、ダイズ、ホウレンソウ、イチゴ、サツマイモ、タバコ、トマト、カブの葉、クルミ、およびコムギからなる群より選択される。一部の実施形態では、植物、種子、花、またはその農産物は、イチゴを含む。
【0008】
別の態様では、本開示は、農産物における病原体の成長を低減または防止する方法であって、農産物を輸送または貯蔵するために使用されるパッケージング材料に生物防除組成物を付与するステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、農産物は、アルファルファ、アーモンド、アプリコット、リンゴ、アーティチョーク、バナナ、オオムギ、ビーツ、ブラックベリー、ブルーベリー、ブロッコリー、芽キャベツ、キャベツ、アサ、セイヨウアブラナ、トウガラシ、ニンジン、セロリー、フダンソウ、サクランボ、柑橘、トウモロコシ、ワタ、ウリ、ナツメヤシ、イチジク、アマ、ニンニク、ブドウ、薬草、香辛料、ケール、レタス、ミント、アブラヤシ、オリーブ、タマネギ、エンドウ、ナシ、モモ、落花生、パパイヤ、パースニップ、ペカン、カキ、プラム、ザクロ、ジャガイモ、マルメロ、ラディッシュ、ラズベリー、バラ、コメ、スピノサスモモ、モロコシ、ダイズ、ホウレンソウ、イチゴ、サツマイモ、タバコ、トマト、カブの葉、クルミ、およびコムギからなる群より選択される。一部の実施形態では、農産物は、イチゴである。
【0009】
別の態様では、本開示は、イチゴ果実における病原体の成長を低減または防止する方法であって、イチゴ果実を輸送または貯蔵するために使用されるパッケージング材料に生物防除組成物を付与するステップを含む方法を提供する。
【0010】
様々な態様では、病原体は、Albugo candida、Albugo occidentalis、Alternaria alternata、Alternaria cucumerina、Alternaria dauci、Alternaria solani Alternaria tenuis、Alternaria tenuissima、Alternaria tomatophila、Aphanomyces euteiches、Aphanomyces raphani、Armillaria mellea、Aspergillus flavus、Aspergillus parasiticus、Botrydia theobromae、Botrytis cinerea、Botrytinia fuckeliana、Bremia lactuca、Cercospora beticola、Cercosporella rubi、Cladosporium herbarum、Colletotrichum acutatum、Colletotrichum gloeosporioides、Colletotrichum lindemuthianum、Colletotrichum musae、Colletotrichum spaethanium、Cordana musae、Corynespora cassiicola、Daktulosphaira vitifoliae、Didymella bryoniae、Elsinoe ampelina、Elsinoe mangiferae、Elsinoe veneta、Erysiphe cichoracearum、Erysiphe necator、Eutypa lata、Fusarium germinareum、Fusarium oxysporum、Fusarium solani、Fusarium virguliforme、Gaeumannomyces graminis、Ganoderma boninense、Geotrichum candidum、Guignardia bidwellii、Gymnoconia peckiana、Helminthosporium solani、Leptosphaeria coniothyrium、Leptosphaeria maculans、Leveillula taurica、Macrophomina phaseolina、Microsphaera alni、Monilinia fructicola、Monilinia vaccinii-corymbosi、Mycosphaerella angulate、Mycosphaerella brassicicola、Mycosphaerella fragariae、Mycosphaerella fijiensis、Oidopsis taurica、Passalora fulva、Peronospora sparse、Peronospora farinosa、Pestalotiopsis clavispora、Phoma exigua、Phomopsis obscurans、Phomopsis vaccinia、Phomopsis viticola、Phytophthora capsica、Phytophthora erythroseptica、Phytophthora infestans、Phytophthora parasitica、Phytophthora ramorum、Plasmopara viticola、Plasmodiophora brassicae、Podosphaera macularis、Polyscytalum pustulans、Pseudocercospora vitis、Puccinia allii、Puccinia sorghi、Pucciniastrum vaccinia、Pythium aphanidermatum、Pythium debaryanum、Pythium sulcatum、Pythium ultimum、Ralstonia solanacearum、Ramularia tulasneii、Rhizoctonia solani、Rhizopus arrhizus、Rhizopus stoloniferz、Sclerotinia minor、Sclerotinia homeocarpa、Sclerotium cepivorum、Sclerotium rolfsii、Sclerotinia minor、Sclerotinia sclerotiorum、Septoria apiicola、Septoria lactucae、Septoria lycopersici、Septoria petroelini、Sphaceloma perseae、Sphaerotheca macularis、Spongospora subterrannea、Stemphylium vesicarium、Synchytrium endobioticum、Thielaviopsis basicola、Uncinula necator、Uromyces appendiculatus、Uromyces betae、Verticillium albo-atrum、Verticillium dahliae、Verticillium theobromae、およびその任意の組合せからなる群より選択される。一部の実施形態では、病原体は、Botrytis cinereaである。
【0011】
本開示の別の態様は、1台または複数のコンピュータプロセッサーによる実行時に本明細書の上記または他所における方法のいずれかをインプリメンテーションするマシン実行可能コードを含む、非一過性コンピュータ可読媒体を提供する。
【0012】
本開示の別の態様は、1台または複数のコンピュータプロセッサーとそれに結合されたコンピュータメモリーとを含むシステムを提供する。コンピュータメモリーは、1台または複数のコンピュータプロセッサーによる実行時に本明細書の上記または他所における方法のいずれかをインプリメンテーションするマシン実行可能コードを含む。
【0013】
本開示のさらなる態様および利点は、本開示の単に実例となる実施形態が示され、説明される、以下の詳細な説明から、当業者には容易に明らかになる。気づかれるであろうが、本開示は、他のおよび種々の実施形態が可能であり、そのいくつかの詳細は、全て本開示から逸脱することなく、様々な明らかな点で変更が可能である。したがって、図面および説明は、実際は実例となるものと見なすべきであり、制限的なものと見なすべきではない。
参照による組み入れ
【0014】
本明細書で言及される全ての刊行物、特許および特許出願は、個々の刊行物、特許または特許出願各々が参照により組み込まれると具体的かつ個々に示されている場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる刊行物および特許または特許出願が、本明細書に収載される本開示と相反する場合は、本明細書は、一切のそのような相反する物質に取って代わるおよび/または優先するように意図されている。
【0015】
本発明の新規特色は、添付の特許請求の範囲において詳しく記載する。本特許または出願ファイルは、カラーで作成した少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を伴う本特許または特許出願公報のコピーは、請求して必要料金を支払うと、米国特許商標庁によって提供されるであろう。本発明の特色および利点のよりよい理解は、本発明の原理を利用する実例となる実施形態を記載する以下の詳細な説明、および添付の図面を参照することによって得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、イチゴ果実における「LBDI」(局部的Botrytis病発生率)により測定した、BotrytisのBC18による阻害を説明する。低いLBDIは、処置によるBotrytisの阻害を表す。BC18BおよびBC18Yは、BC18の単離された細菌および酵母成分をそれぞれ指す。滅菌したイチゴを、実験前に処置するが、滅菌していないイチゴは、Botrytisのベースライン感染を含む。「C」および「R」は、共発酵させたものおよび組換えたものをそれぞれ説明し、1:1および3:1は、BC18の細菌成分:酵母成分の比である。
【0017】
【
図2】
図2A~2Fは、イチゴにおけるBC18 LBDIを示す。
図2Aは、3:1共培養BC18の有効性を示す。
図2Bは、併せた3:1 BC18の有効性を示す。
図2Cは、1:1共培養BC18の有効性を示す。
図2Dは、併せた1:1 BC18の有効性を示す。
図2Eは、個別に培養した酵母の有効性を示す。
図2Fは、BC18植菌を施していないイチゴのLBDIについての参照画像を示す。
【0018】
【
図3】
図3A~3Fは、真菌病発生率(FDI)を定量するために使用した健康スコア尺度の視覚表示を示す。高いFDIは、処置の保護効果を示す。
図3Aは、明らかな真菌病のない、4点のイチゴ果実を示す。
図3Bは、3点のイチゴ果実を示す。
図3Cは、2点のイチゴを示す。
図3Dは、1点のイチゴを示す。
図3Eは、別の1点のイチゴを示す。
図3Fは、は、0点のイチゴを示す。
【0019】
【
図4】
図4は、イチゴにおける真菌病発生率(FDI)に対するBC18の有効性を示す。
【0020】
【
図5】
図5は、微生物細胞集団のフローサイトメトリーでの分布分析を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
詳細な説明
本発明の様々な実施形態が本明細書において示し、説明してきたが、そのような実施形態が単に例として提供されていることは、当業者には明らかであろう。本発明からの逸脱のない、多数の変更、変化、および置換が当業者の心に浮かぶ可能性がある。本明細書に記載の本発明の実施形態の様々な代替物を用いることができることは理解されるはずである。
【0022】
多数の真菌病原体が、農業上重要な植物に感染し、植物が圃場に存在する間の、または収穫後の食品腐敗および食品の品質低下をもたらし得る。例えば、真菌病原体Botrytis cinereaによって引き起こされる灰色カビ病は、圃場および食料品店の両方において、しばしばイチゴおよびラズベリーなどの果実に見出され得る。真菌病原体によって引き起こされる損失を低減させる方法を発見することは、食品生産および消費に関係する人にとって非常に望ましく、化学および生物学に基づく防除戦略がこれまでに開発されている。しかし、食品作物における化学および生物学に基づく殺真菌剤の使用は、有効ではあるが、消費者の立場から望ましくないことに加えて、意図しない副作用(例えば、毒性)をもたらし得る。
【0023】
特に、優れた抗真菌有効性があり、培養終了時の生存細胞計数値および周囲条件または冷蔵条件で長期貯蔵後の液体または乾燥製剤における生存細胞計数値が高い、生物防除組成物が、必要である。
【0024】
本明細書において、組成物およびその使用方法を開示し、この組成物は、少なくとも1種の微生物(すなわち、微生物株)、および担体を含む。多くの場合、圃場栽培中の作物、植物、果実もしくは他の植物部位における真菌病原体の適切な有効な防除を単独でもたらす単一の微生物株も、農産物の収穫後保護のための単一の微生物株も、存在し得ない。多くの場合、単一の微生物株は、実験培養では、例えば、ポテトデキストロース寒天(PDA)プレートなどの寒天プレートにおいて成長させた真菌病原体の培養物との突き合わせでは、真菌病原体を強力に防除する証拠を示し得るが、圃場でまたは収穫後に植物、果実または他の植物部位において成長する同じ病原体の適切な有効な防除をもたらすことができない。同様に、単一の微生物株が有効な生物防除を示す場合であっても、単一の微生物株は、それを発酵プロセスにおいて生存細胞の商業的に魅力的な高い濃度に、例えば、少なくとも1×109、1×1010または1×1011CFU/mLに、培養することが実行可能でないかも知れないため、実際のまたは商業的応用には不適切であり得る。
【0025】
単一の微生物株は、上述の目的のいずれかまたは全てを果たすために適切でないかも知れないため、本明細書において、単一の微生物株より多くの微生物株を含む生物防除組成物を開示する。本明細書において、別々に培養した各々の株の性能、または別々に培養し、その後、異なる比で併せた、2種の株のブレンドの性能と比較して、いくつかの著しく有利な技術的効果を提供する、細菌株Gluconobacter cerinus(16S 配列番号1)を酵母株Hanseniaspora uvarum(ITS 配列番号2)と一緒に共培養することに関する方法およびそれによって生成される組成物を開示する。これらの驚くべき利点は、別々に培養した各々の株についての任意の過去の知見またはその後の実験証明に基づいて予測され得なかった。
【0026】
あるいは、または加えて、単一の微生物株は、液体懸濁物でまたは乾燥形態、造粒形態、カプセル化形態もしくは他の固体形態で製剤化した単一の微生物株が、周囲条件または冷蔵条件で少なくとも7日、少なくとも28日または少なくとも90日間の貯蔵中に、発酵プロセスにおける生存細胞の商業的に魅力的な高い絶対濃度を、例えば、少なくとも1×109CFU/mLもしくはそれより高く、少なくとも1×1010CFU/mLもしくはそれより高く、少なくとも1×1011CFU/mLもしくはそれより高く、または少なくとも1×1012CFU/mLもしくはそれより高く、保持しないため、あるいは単一の微生物株が、液体懸濁物でのまたは乾燥形態、造粒形態、カプセル化形態もしくは他の固体形態での製剤後に、製剤の直前に測定された生存細胞の初期濃度の少なくとも50%を保持しないため、実際のまたは商業的応用には不適切であり得る。
【0027】
本明細書に記載の生物防除組成物は、農業上重要な真菌に対する抗真菌活性を有することができ、生産プロセスの様々な時点で使用するために製剤化することができる。例えば、これらの生物防除組成物は、例えば、組成物を灌漑ライン、葉面散布システム、根浸漬、または肥料との併用投与に組み入れることなどの、収穫前の使用のために、ならびに例えば、収穫した農産物に組成物を噴霧すること、または農産物を貯蔵もしくは出荷するために使用されるパッケージング材料に組成物を付与することなどの、収穫後の農産物の加工、パッケージング、輸送、貯蔵、および商業的な陳列中の使用のために、製剤化することができる。さらに、これらの生物防除組成物は、市販の生物防除組成物と比較して改善された有効性を示すことができる。
【0028】
本明細書で使用される場合、用語「共培養する」、「共培養した」または「共培養すること」は、2種の微生物を培養培地において一緒に成長させること、または1つの微生物を他の微生物によって馴化された培地において成長させることを、一般に指す。馴化培地は、細胞を含むこともあり、または含まないこともある。
【0029】
本明細書で使用される場合、「生存細胞計数値」は、標準的な希釈平板培養法により測定された微生物の単位体積当たりのコロニー形成単位(「CFU」)、例えば、CFU/mLを指す。
【0030】
本明細書で使用される場合、「総細胞計数値」は、例えば血球計数器によって、計数された細胞の数を、生存度に関係なく、指す。
【0031】
本明細書で使用される場合、「培養すること」または「発酵」は、成長培地において微生物を成長させることを指し、これらの用語は、本明細書では同義で使用される。
【0032】
本明細書で使用される場合、用語「微生物(microbe)」および「微生物(microorganism)」は、同義で使用される。
【0033】
本明細書で使用される場合、「発酵比」は、共培養した組成物における発酵終了時の2種の微生物の総細胞計数値の比を指す。
【0034】
本明細書で使用される場合、「産物比」は、共培養した組成物における、予め選択された期間貯蔵後の、2種の微生物の総細胞計数値の比を指す。発酵比は、予め選択された時間が、発酵の終わりであった場合、産物比と同じである。
【0035】
本明細書で使用される場合、用語「併せられた」は、別々に成長させて成長後に混合する、2種またはそれより多くの微生物の混合を一般に指す。これらの微生物は、同じタイプまたは異なるタイプの培養装置、成長培地または発酵プロセスにおいて成長させることができる。微生物は、微生物を併せる前に、培養培地中に放置され得るかまたは新鮮培養培地もしくは異なる培養培地に再懸濁され得る。
【0036】
本明細書で使用される場合、用語「イチゴ果実」は、ベリーを含むイチゴの果実全体、および収穫後に残存する任意の付随する葉または茎を指す。
【0037】
本明細書で使用される場合、用語「真菌病発生率」は、本明細書ではFDIと略記され、果実における真菌の成長の出現を指す。
【0038】
本明細書で使用される場合、用語「局部的Botrytis病発生率」は、本明細書ではLBDIと略記され、果実におけるBotrytisが植菌された部位でのまたはその付近でのBotrytisの出現を指す。
【0039】
本明細書で使用される場合、用語「培養装置」は、微生物を成長させるために使用され得る容器を一般に指す。例えば、培養装置は、これらに限定されないが、振盪フラスコ、プレート、発酵タンク、発酵槽またはバイオリアクターであり得る。
【0040】
作物損失および食品の品質低下の防止または低減のための組成物
本明細書において、植物、種子、またはその農産物における真菌病原体の成長を防止または低減させることができる生物防除組成物を開示する。用語「農産物」は、本明細書において、植物の食用部分、例えば葉、茎、種子、根、花または果実などを指すために使用することができる。用語「植物」は、本明細書において、植物の任意の部分、例えば葉、茎、種子、根、または果実などを指すために使用することができる。植物、種子、またはその農産物における真菌病原体の成長を防止または低減させることは、植物から農産物を収穫する前、間、または後に作物損失および食品の品質低下の量を低減させることができる。生物防除組成物は、少なくとも1種の微生物を含み得る。表1は、表2に収載される微生物株の識別子、推定の微生物属または種、および対応する配列番号を説明する。少なくとも1種の微生物は、表1に収載される微生物であり得る。
【表1】
【表2】
【0041】
少なくとも1種の微生物は、少なくとも2種の微生物であってもよい。少なくとも2種の微生物は、Gluconobacter種である第1の微生物、およびHanseniaspora種である第2の微生物を含み得る。少なくとも2種の微生物は、Gluconobacter cerinusである第1の微生物、およびHanseniaspora uvarumである第2の微生物を含み得る。
【0042】
少なくとも2種の微生物は、配列番号1と90%を超えて同一である16S配列を有する第1の微生物、および配列番号2と90%を超えて同一であるITS配列を有する第2の微生物を含み得る。少なくとも2種の微生物は、配列番号1と95%を超えて同一である16S配列を有する第1の微生物、および配列番号1と95%を超えて同一であるITS配列を有する第2の微生物を含み得る。少なくとも2種の微生物は、配列番号1と98%を超えて同一である16S配列を有する第1の微生物、および配列番号2と98%を超えて同一であるITS配列を有する第2の微生物を含み得る。
【0043】
一実施形態では、少なくとも1種の微生物は、Gluconobacter種からのrRNA配列と少なくとも約85%、87%、90%、92%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、または100%の配列同一性を有する少なくとも1種の微生物を含む。Gluconobacter種は、Gluconobacter cerinusであり得る。rRNA配列は、16S配列であり得る。一実施形態では、少なくとも1種の微生物は、配列番号1と少なくとも約85%、87%、90%、92%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、または100%の配列同一性を有する少なくとも1種の微生物を含む。
【0044】
一実施形態では、少なくとも1種の微生物は、Hanseniaspora種からのrRNA配列と少なくとも約85%、87%、90%、92%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、または100%の配列同一性を有する少なくとも1種の微生物を含む。Hanseniaspora種は、Hanseniaspora uvarumであり得る。rRNA配列は、ITS配列であり得る。一実施形態では、少なくとも1種の微生物は、配列番号2と少なくとも約85%、87%、90%、92%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、または100%の配列同一性を有する少なくとも1種の微生物を含む。一実施形態では、少なくとも1種の微生物は、配列番号2と少なくとも90%の配列同一性を有する少なくとも1種の微生物を含む。一実施形態では、少なくとも1種の微生物は、配列番号2と少なくとも95%の配列同一性を有する少なくとも1種の微生物を含む。一実施形態では、少なくとも1種の微生物は、配列番号2と少なくとも99%の配列同一性を有する少なくとも1種の微生物を含む。
【0045】
少なくとも1種の微生物は、培養において成長させることができる。少なくとも1種の微生物は、培養物から単離および精製することができる。培養物から精製された少なくとも1種の微生物は、少なくとも1種の微生物の栄養細胞または胞子を含み得る。培養物は、固体または半固体培地であり得る。培養物は液体培地であり得る。
【0046】
培養物は、培養装置において成長させることができる。培養装置は、バイオリアクターであり得る。任意の適したバイオリアクターを使用することができる。バイオリアクターの例としては、フラスコ、連続撹拌タンクバイオリアクター(CSTR)、バブルレスバイオリアクター、エアリフト反応器、およびメンブレンバイオリアクターが挙げられるがこれらに限定されない。培養装置は、任意の範囲の規模での発酵を助長するための特定のサイズまたは容積であり得る。例えば、培養装置は、3リットル培養装置であり得る。別の例では、培養装置は、14リットル装置であり得る。培養装置は、容積が0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.7、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000、20000、30000、40000、50000、60000、70000、80000、90000、100000、500000もしくは1000000リットルより大きいまたはそれを超えるリットル数であり得る。培養装置は、容積が0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.7、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000、20000、30000、40000、50000、60000、70000、80000、90000、100000、500000もしくは1000000リットル以下であり得る。
【0047】
培養物を特定のサイズまたは容積の培養装置において高濃度の細胞に成長させることができる。例えば、生存細胞の濃度は、特定のサイズまたは容積の培養装置において少なくとも1×109、1×1010、または1×1011であり得る。
【0048】
一部の例では、培養物の上清は、少なくとも1つの微生物の二次代謝物を含む。少なくとも1つの微生物の二次代謝物は、上清から単離および精製することができる。一部の場合では、上清を、本明細書の他所で説明される生物防除組成物として適用することができる。
【0049】
生物防除組成物は、少なくとも1種の微生物の1種または複数種の二次代謝物を含み得る。1種または複数種の二次代謝物は、少なくとも1種の微生物とは別に、単独で抗真菌特性を有することができる。1種または複数種の二次代謝物は、生物防除組成物中の他の微生物と共に、抗真菌特性を有することもある。1種または複数種の二次代謝物を少なくとも1種の微生物の培養物の上清から単離することができる。1種または複数種の二次代謝物は、リポペプチド、ジペプチド、アミノポリオール、ポリペプチド、タンパク質、シデロフォア、フェナジン化合物、ポリケチド、またはそれらの組合せを含み得る。
【0050】
1種または複数種の二次代謝物は、リポペプチドを含み得る。リポペプチドは、線状のリポペプチドまたは環状のリポペプチド(CLP)であり得る。リポペプチドの例としては、サーファクチン、フェンギシン、イツリン、マセトリド、アムフィシン、アルスロファクチン、トラシン、シリンゴペプチド、シリンゴマイシン、プチソルビン、バシロマイシン、バシロペプチン、バシトラシン、ポリミキシン、ダプトマイシン、ミコサブチリン、クルスタキン、テンシン、プリパスタチン、ビスコシン、およびエキノキャンディンが挙げられるがこれらに限定されない。エキノキャンディンは、エキノキャンディンB(echinocandib B)(ECB)であり得る。一部の例では、二次代謝物は、サーファクチン(surfatin)、フェンギシン、イツリン、またはそれらの組合せである。
【0051】
1種または複数種の二次代謝物は、ジペプチドを含み得る。ジペプチドは、バシリシンまたはクロロテタインであり得る。ポリケチドは、デフィシジン、マクロラクチン、バシラエン、ブチロラクトールA、ソラフェンA、ヒッポラクニンA、またはホラゾリンAであり得る。二次代謝物は、アミノポリオールであり得る。アミノポリオールは、ツヴィッターマイシンAであり得る。二次代謝物はタンパク質であり得る。タンパク質は、バシスビン、サブチリシン、またはフンギシンであり得る。
【0052】
1種または複数種の二次代謝物は、シデロフォアを含み得る。シデロフォアは、ピオベルジン、チオキノロバクチン、またはピオケリンであり得る。
【0053】
1種または複数種の二次代謝物は、フェナジンを含み得る。フェナジン化合物は、フェンジン-1-カルボン酸、1-ヒドロキシフェナジン、またはフェナジン-1-カルボキサミドであり得る。
【0054】
二次代謝物は、キチナーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、またはグルカナーゼであり得る。二次代謝物は、揮発性抗真菌化合物であり得る。二次代謝物は、有機揮発性抗真菌化合物であり得る。
【0055】
本明細書で開示されるように、本開示の生物防除組成物は、液体製剤または乾燥製剤として製剤化することができる。液体製剤は、流動性または水性懸濁物であり得る。液体製剤は、水、油、またはこれらの混合物(乳剤)に懸濁した少なくとも1種の微生物またはその二次代謝物を含み得る。生物防除組成物は、液体製剤が沈殿または相分離を含まないように製剤化することができる。乾燥製剤は、水和剤、ドライフレーク、ダスト、または顆粒であり得る。水和剤は、植物、種子、花、またはその農産物に懸濁剤として付与することができる。ダストは、植物、種子、またはその農産物に、例えば種子または葉に、乾燥状態で付与することができる。顆粒は、乾燥状態で付与することができるか、または水と混合して懸濁物を生成することまたは溶解して溶液を生成することができる。少なくとも1種の微生物またはその二次代謝物は、マイクロカプセル化として製剤化することができ、少なくとも1種の微生物またはその二次代謝物は保護内層を有する。保護内層は、任意の適したポリマーを含み得る。
【0056】
生物防除組成物はさらに、追加の化合物を含み得る。追加の化合物は、担体、界面活性剤、湿潤剤、浸透剤、乳化剤、展着剤(spreader)、粘着剤(sticker)、安定化剤、栄養、結合剤、乾燥剤、増粘剤、分散剤、UV保護剤、またはその組合せであり得る。担体は、液体担体、無機担体、または有機担体であり得る。液体担体の例には、植物油または水が挙げられるがこれらに限定されない。無機担体の例には、カオリナイト粘土または珪藻土が挙げられるがこれらに限定されない。有機担体の例には、穀粉が挙げられるがこれに限定されない。界面活性剤は、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、または非イオン界面活性剤であり得る。界面活性剤は、Tween(登録商標)20またはTween(登録商標)80であり得る。湿潤剤は、ポリオキシエチレンエステル、エトキシサルフェート、またはその誘導体を含み得る。一部の場合では、湿潤剤を、非イオン界面活性剤と混合する。浸透剤は、炭化水素を含み得る。展着剤は、脂肪酸、ラテックス、脂肪族アルコール、作物油(crop oil)(例えば、綿実)、または無機油を含み得る。粘着剤は、乳化ポリエチレン、重合化樹脂、脂肪酸、石油蒸留物、またはアルファ化コーンフラワーを含み得る。油は、ココナツ油、ヤシ油、ヒマシ油、またはラノリンであり得る。安定化剤は、ラクトースまたは安息香酸ナトリウムであり得る。栄養は、糖蜜またはペプトンであり得る。結合剤は、アラビアゴムまたはカルボキシメチルセルロースであり得る。乾燥剤は、シリカゲルまたは無水塩であり得る。増粘剤は、ポリアクリルアミド、ポリエチレンポリマー、多糖類、キサンタンガム、または植物油を含み得る。分散剤は、微結晶セルロースであり得る。UV保護剤は、オキシベンゾン、blankophor BBH、またはリグニンであり得る。
【0057】
生物防除組成物はさらに、ジピコリン酸を含み得る。
【0058】
少なくとも1つの微生物は、液体培養物から単離および精製された単離および精製微生物の有効量を含み得る。液体培養物からの少なくとも1つの微生物を、風乾、フリーズドライ、噴霧乾燥、または流動層乾燥させて、乾燥製剤を産生することができる。乾燥製剤を液体中で再溶解して、液体製剤を産生することができる。
【0059】
生物防除組成物は、少なくとも1つの微生物が、それらが標的生息地(例えば、土壌、植物、種子、および/または農産物)に適用/または送達されると複製することができるように製剤化することができる。
【0060】
生物防除組成物は、少なくとも1週間、1ヶ月、6ヶ月、少なくとも1年、少なくとも2年、少なくとも3年、少なくとも4年、または少なくとも5年の貯蔵寿命を有し得る。貯蔵寿命は、生物防除組成物が、その抗真菌特性の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%、または100%を維持する期間の長さを示し得る。生物防除組成物は、室温で、10℃もしくはそれ未満で、4℃もしくはそれ未満で、0℃もしくはそれ未満で、または-20℃もしくはそれ未満で貯蔵することができる。生物防除組成物は、少なくとも1種の微生物の生存度を保持するように製剤化することができる。生物防除組成物は、ある期間の貯蔵後にcfu/ml(ミリリットル当りのコロニー形成単位)が大幅に低減されないように製剤化することができる。これは、製剤化していない生物防除組成物と比較して、または本明細書で開示されるように共培養していない(例えば、単独で培養し、その後、個別に併せた)生物防除組成物と比較して、であり得る。例えば、製剤化した生物防除組成物のcfu/mlは、4週間、25℃で貯蔵した後、10分の1(例えば1log)以上低減され得ない。例えば、製剤化した生物防除組成物のcfu/mlは、4週間、25℃で貯蔵した後、2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、6分の1、7分の1、8分の1、9分の1、10分の1、11分の1、12分の1、13分の1、14分の1、15分の1、16分の1、17分の1、18分の1、19分の1、20分の1、25分の1、30分の1、35分の1、40分の1、45分の1、50分の1、100分の1、または1000分の1以上、低減され得ない。
【0061】
生物防除組成物は、様々な温度で貯蔵したとき、少なくとも1種の微生物の生存度を保持し得る。例えば、生物防除組成物のcfu/mlは、0℃で貯蔵した後4週間目に、10分の1(例えば1log)以上低減され得ない。例えば、生物防除組成物のcfu/mlは、4℃で貯蔵した後4週間目に、10分の1以上低減され得ない。例えば、生物防除組成物のcfu/mlは、10℃で貯蔵した後4週間目に、10分の1以上低減され得ない。例えば、生物防除組成物のcfu/mlは、-20℃で貯蔵した後4週間目に、10分の1以上低減され得ない。例えば、生物防除組成物のcfu/mlは、-80℃で貯蔵した後4週間目に、10分の1以上低減され得ない。
【0062】
生物防除組成物は、所与の期間にわたっての貯蔵後に生存度を保持し得る。例えば、生物防除組成物のcfu/mlは、所与の温度で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100週間、またはそれを超える週数の貯蔵後、10分の1以上低減され得ない。
【0063】
生物防除組成物は、ある期間の貯蔵後に抗病原活性を保持するように製剤化することができる。貯蔵した製剤のそのような病原活性は、新鮮な生物防除組成物と実質的に同等であり得る。老化していないまたは新鮮な生物防除組成物は、貯蔵条件に供されることなく発酵装置から得られた共培養物を含み得る。
【0064】
生物防除組成物は、ある期間の貯蔵後に抗病原活性が大幅に低下されないように製剤化することができる。例えば、生物防除組成物は、付与される貯蔵した生物防除組成物の投薬量が新鮮な(老化していない)生物防除組成物の投薬量の10倍以下であるように製剤化することができる。例えば、生物防除組成物は、貯蔵後に付与される貯蔵した生物防除組成物の投薬量が新鮮な(老化していない)生物防除組成物の投薬量の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20倍以下であるように製剤化することができる。
【0065】
本開示の貯蔵した生物防除組成物を、付与または使用前にバイオスティミュラント組成物と併せることができる。バイオスティミュラント組成物は、植物が、バイオスティミュラント組成物なしの同等の植物よりも速い速度で成長することを可能にし得る。バイオスティミュラント組成物は、例えば、栄養の取込み、栄養利用効率を増加させることができ、非生物的ストレスに対する回復もしくは回復力、またはそれらの組合せを改善することができる。バイオスティミュラントの例としては、窒素固定を増加させることもしくは根量を増加させることができるAzospirillum、例えば、TAZO(登録商標)-B微生物バイオスティミュラント、または窒素、リン酸塩もしくはカリウムの利用能もしくは取込みを増加させることができる、Bacillus amyloliquefaciensおよびTrichoderma virensに基づくバイオスティミュラント、例えば、NovozymesのQuickRoots(登録商標)が挙げられる。貯蔵後、生物防除組成物は、保持された生存度を有することができ、したがって、その生存微生物数(cfu/mL)によって十分な抗真菌活性度が(例えば、Botrytis cinereaに対して)提供される。
【0066】
本明細書の他所に記載するように、生物防除組成物は、様々な異なる温度および期間で貯蔵することができ、少なくとも1種の微生物の生存度をなお維持することができる。同様に、抗病原活性または抗真菌活性は、貯蔵後に維持(または少しだけ低下)され得る。例えば、4週間、25℃での貯蔵後、真菌成長を阻害するために使用される投薬量は、新鮮な(老化していない)生物防除組成物の投薬量の10倍以下であり得る。例えば、真菌成長を阻害するために使用される投薬量は、25℃での貯蔵後最大4週間目に新鮮な(老化していない)生物防除組成物の投薬量の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、100または1000倍以下であり得る。生物防除組成物は、様々な温度で貯蔵したとき、抗病原活性または抗真菌活性を保持し得る。例えば、真菌成長を阻害するために使用される投薬量は、最大4週間、0℃での貯蔵後、新鮮な(老化していない)生物防除組成物の投薬量の10倍以下であり得る。別の例では、真菌成長を阻害するために使用される投薬量は、4℃で4週間後、新鮮な(老化していない)生物防除組成物の投薬量の10倍以下であり得る。真菌成長を阻害するために使用される投薬量は、10℃で4週間後、新鮮な(老化していない)生物防除組成物の投薬量の10倍以下であり得る。真菌成長を阻害するために使用される投薬量は、-20℃で4週間後、新鮮な(老化していない)生物防除組成物の投薬量の10倍以下であり得る。例えば、真菌成長を阻害するために使用される投薬量は、-80℃で4週間後、新鮮な(老化していない)生物防除組成物の投薬量の10倍以下であり得る。
【0067】
生物防除組成物は、所与の期間にわたっての貯蔵後に、抗病原活性または抗真菌活性を保持し得る。例えば、真菌成長を阻害するために使用される投薬量は、所与の温度で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50週間、またはそれを超える週数の貯蔵後、新鮮な(老化していない)生物防除組成物の投薬量の10倍以下であり得る。
【0068】
生物防除組成物は、胞子を含み得る。胞子含有組成物は、本明細書に記載の方法によって適用することができる。胞子含有組成物は、生物防除組成物の貯蔵寿命を延長させることができる。胞子含有組成物は、標的生息地の低いpHまたは低温を生存することができる。例えば、胞子含有組成物は、より低温(例えば、10℃未満)で土壌に適用することができ、より高温(例えば、20℃)で植え付けられた種子に関して抗真菌特性を有し得る。胞子は、栄養細胞となることができ、それらに栄養細胞の任意の利点を与える。
【0069】
生物防除組成物は、栄養細胞を含み得る。栄養細胞含有組成物を、本明細書に記載の方法によって適用することができる。栄養細胞は増殖して、組成物の有効性を増加し得る。例えば、生物防除組成物中の栄養細胞は、適用後に増殖して、生物防除組成物に曝露される植物の表面積を増加させ得る。別の例では、生物防除組成物における栄養細胞は、適用後に増殖して、生物防除組成物が生存する時間の量を増加させ、このように生物防除組成物が有効性を有する期間を延長させ得る。栄養細胞は、増殖し、真菌病原体と栄養について競合し得る。栄養細胞は、抗真菌特性を有する1つまたは複数の二次代謝物を活発に産生し得る。栄養細胞は、胞子となることができ、それらに胞子の任意の利点を与える。
【0070】
生物防除組成物は、抗真菌活性、例えば、植物、種子、またはその農産物における真菌病原体の成長の防止または真菌病原体の成長の低減を有し得る。生物防除組成物は、植物、種子、またはその農産物における真菌病原体の成長を少なくとも1日間、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、または少なくとも5日間防止することができる。生物防除組成物は、植物、種子、またはその農産物における真菌病原体の成長を少なくとも1日間、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、または少なくとも10日間防止することができる。生物防除組成物は、植物、種子、またはその農産物における真菌病原体の成長を10日間より長く防止することができる。
【0071】
生物防除組成物は、生物防除組成物に曝露されていない植物、種子、花、またはその農産物である対照における真菌病原体の成長と比較して、植物、種子、またはその農産物における真菌病原体の成長を低減させることができる。対照は、抗真菌剤が適用されていない植物、種子、もしくはその農産物であり得るか、または市販の抗真菌剤が適用されている植物、種子、花、もしくはその農産物であり得る。市販の抗真菌剤の例には、Bacillus subtilis株QST713(Serenade(登録商標))、Bacillus subtilis株GB02(Kodiak(登録商標))、Bacillus subtilis株MBI 600(Subtilex(登録商標))、Bacillus pumilus株GB34(YieldShield)、Bacillus licheniformis株SB3086(EcoGuard(登録商標))が挙げられるがこれらに限定されない。生物防除組成物は、植物、種子、またはその農産物における真菌病原体の成長を、少なくとも1日間、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、または少なくとも5日間低減させることができる。生物防除組成物は、植物、種子、またはその農産物における真菌病原体の成長を少なくとも1日間、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、または少なくとも10日間低減させることができる。生物防除組成物は、植物、種子、またはその農産物における真菌病原体の成長を10日間より長く低減させることができる。生物防除組成物は、対照における真菌病原体の成長と比較して真菌病原体の成長を少なくとも25%低減することができる。生物防除組成物は、対照における真菌病原体の成長と比較して真菌病原体の成長を少なくとも60%低減させることができる。生物防除組成物は、対照における真菌病原体の成長と比較して真菌病原体の成長を少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、またはそれより大きく低減させることができる。
【0072】
真菌病原体は、Albugo、Alternaria、Aphanomyces、Armillaria、Aspergillus、Botrytis、Botrydiplodia、Botrytinia、Bremia、Cercospora、Cercosporella、Cladosporium、Colletotrichum、Cordana、Corynespora、Cylindrocarpon、Daktulosphaira、Didymella、Elsinoe、Erysiphe、Eutypa、Fusarium、Gaeumannomyce、Ganoderma、Geotrichum、Guignardia、Gymnoconia、Helminthosporium、Leptosphaeria、Leveillula、Macrophomina、Microsphaera、Monolinia、Mycosphaerella、Oidopsis、Passalora、Penicillium、Peronospora、Phomopsis、Phytophthora、Peronospora、Pestalotiopsis、Phoma、Plasmodiophora、Plasmopara、Podosphaera、Polyscytalum、Pseudocercospora、Puccinia、Pucciniastrum、Pythium、Ralstonia、Ramularia、Rhizoctonia、Rhizopus、Septoria、Sclerotinia、Sclerotium、Sphaerotheca、Sphaceloma、Spongospora、Stemphylium、Synchytrium、Thielaviopsis、Uncinula、Uromyces、またはVerticillium属の真菌病原体であり得る。真菌病原体は、Albugo candida、Albugo occidentalis、Alternaria alternata、Alternaria cucumerina、Alternaria dauci、Alternaria solani Alternaria tenuis、Alternaria tenuissima、Alternaria tomatophila、Aphanomyces euteiches、Aphanomyces raphani、Armillaria mellea Aspergillus flavus、Aspergillus parasiticus、Botrydia theobromae、Botrytis cinerea、Botrytinia fuckeliana、Bremia lactuca、Cercospora beticola、Cercosporella rubi、Cladosporium herbarum、Colletotrichum acutatum、Colletotrichum gloeosporioides、Colletotrichum lindemuthianum、Colletotrichum musae、Colletotrichum spaethanium、Cordana musae、Corynespora cassiicola、Daktulosphaira vitifoliae、Didymella bryoniae、Elsinoe ampelina、Elsinoe mangiferae、Elsinoe veneta、Erysiphe cichoracearum、Erysiphe necator、Eutypa lata、Fusarium germinareum、Fusarium oxysporum、Fusarium solani、Fusarium virguliforme、Gaeumannomyces graminis、Ganoderma boninense、Geotrichum candidum、Guignardia bidwellii、Gymnoconia peckiana、Helminthosporium solani、Leptosphaeria coniothyrium、Leptosphaeria maculans、Leveillula taurica、Macrophomina phaseolina、Microsphaera alni、Monilinia fructicola、Monilinia vaccinii-corymbosi、Mycosphaerella angulate、Mycosphaerella brassicicola、Mycosphaerella fragariae、Mycosphaerella fijiensis、Oidopsis taurica、Passalora fulva、Penicillium expansum、Peronospora sparse、Peronospora farinosa、Pestalotiopsis clavispora、Phoma exigua、Phomopsis obscurans、Phomopsis vaccinia、Phomopsis viticola、Phytophthora capsica、Phytophthora erythroseptica、Phytophthora infestans、Phytophthora parasitica、Phytophthora ramorum、Plasmopara viticola、Plasmodiophora brassicae、Podosphaera macularis、Polyscytalum pustulans、Pseudocercospora vitis、Puccinia allii、Puccinia sorghi、Pucciniastrum vaccinia、 Pythium aphanidermatum、Pythium debaryanum、Pythium sulcatum、Pythium ultimum、Ralstonia solanacearum、Ramularia tulasneii、Rhizoctonia solani、Rhizopus arrhizus、Rhizopus stoloniferz、Sclerotinia minor、Sclerotinia homeocarpa、Sclerotium cepivorum、Sclerotium rolfsii、Sclerotinia minor、Sclerotinia sclerotiorum、Septoria apiicola、Septoria lactucae、Septoria lycopersici、Septoria petroelini、Sphaceloma perseae、Sphaerotheca macularis、Spongospora subterrannea、Stemphylium vesicarium、Synchytrium endobioticum、Thielaviopsis basicola、Uncinula necator、Uromyces appendiculatus、Uromyces betae、Verticillium albo-atrum、Verticillium dahliae、Verticillium theobromae、またはそれらの組合せであり得る。真菌病原体は、Fusarium oxysporumまたはVerticillium dahliaeであり得る。真菌病原体は、Botrytis cinereaであり得る。真菌病原体は、Colletotrichum spaethaniumであり得る。真菌病原体は、Erysiphe necatorであり得る。真菌病原体は、Peronospora farinosaであり得る。真菌病原体は、Podosphaera maculariであり得る。真菌病原体は、Monilinia vaccinii-corymbosiであり得る。真菌病原体は、Puccinia sorghiであり得る。真菌病原体は、Penicillium expansumであり得る。真菌病原体は、うどんこ病を引き起こす真菌病原体であり得る。真菌病原体は、べと病を引き起こす真菌病原体であり得る。真菌病原体は、マミーベリー病(mummy berry)を引き起こす真菌病原体であり得る。真菌病原体は、トウモロコシサビ病を引き起こす真菌病原体であり得る。
【0073】
植物、花、種子、またはその農産物は、アーモンド、アプリコット、リンゴ、アーティチョーク、バナナ、オオムギ、ビーツ、ブラックベリー、ブルーベリー、ブロッコリー、芽キャベツ、キャベツ、アサ、セイヨウアブラナ、トウガラシ、ニンジン、セロリー、フダンソウ、サクランボ、柑橘、トウモロコシ、ワタ、ウリ、ナツメヤシ、イチジク、アマ、ニンニク、ブドウ、薬草、香辛料、ケール、レタス、ミント、アブラヤシ、オリーブ、タマネギ、エンドウ、ナシ、モモ、落花生、パパイヤ、パースニップ、ペカン、カキ、プラム、ザクロ、ジャガイモ、マルメロ、ラディッシュ、ラズベリー、バラ、コメ、スピノサスモモ、モロコシ、ダイズ、ホウレンソウ、イチゴ、サツマイモ、タバコ、トマト、カブの葉、クルミ、またはコムギのものであり得る。植物、種子、花、またはその農産物は、Rosaceae科に由来し得る植物またはその農産物であり得る。Rosaceae科の植物、花、種子、またはその農産物は、Rubus属、例えばラズベリーまたはブラックベリー、Fragaria属、例えばイチゴ、Pyrus属、例えばナシ、Cydonia属、例えばマルメロ、Prunus属、例えばアーモンド、モモ、プラム、アプリコット、サクランボ、もしくはスピノサスモモ、Rosa属、例えばバラ、またはMalus属、例えばリンゴに由来し得る。植物、種子、花、またはその農産物は、Ericaceae科の植物またはその農産物であり得る。Ericaceae科の植物、種子、花、またはその農産物は、Vaccinium属、例えばブルーベリーに由来し得る。植物、種子、花、またはその農産物は、Ericaceae科の植物またはその農産物であり得る。Ericaceae科の植物、種子、花、またはその農産物は、Vaccinium属、例えばブルーベリーに由来し得る。植物、種子、花、またはその農産物は、Vitaceae科の植物またはその農産物であり得る。Vitaceae科の植物、種子、花、またはその農産物は、Vitis属、例えばブドウに由来し得る。
【0074】
生物防除組成物を同定および単離する方法
生物防除組成物を同定および/または選択する方法は、少なくとも1種の微生物を、単独で、または複数の他の微生物および/もしくは真菌病原体と共に、培養するステップを含み得る。例えば、少なくとも1種の微生物を真菌病原体と共に培養して、少なくとも1種の微生物が真菌病原体の成長を阻害する有効性を同定することができる。少なくとも1種の微生物が真菌病原体の成長を阻害する有効性は、真菌病原体の成長パラメーターを観察することによって決定することができる。例えば、半固体または固体成長培地において少なくとも1種の微生物の近くに生存している真菌病原体が存在しないことを使用して、高い阻害有効性を決定することができる。少なくとも1種の微生物および真菌病原体を含有する液体培地の光学濃度を使用して、少なくとも1種の微生物の有効性を同定することができる。
【0075】
少なくとも1種の微生物を多様な方法によって同定することができる。少なくとも1種の微生物をシークエンシング反応に供することができる。シークエンシング反応は、16S rRNA、12S rRNA、18S rRNA、28S rRNA、13S rRNAおよび23S rRNA、内部転写スペーサー(ITS)、ITS1、ITS2、シトクロムオキシダーゼI(COI)、シトクロムb、またはその任意の組合せの配列を同定することができる。シークエンシング反応は、16S rRNA配列、ITS配列、またはそれらの組合せを同定することができる。シークエンシング反応およびそこから生成されるシークエンシングリードを使用して、少なくとも1種の微生物の種または株を同定することができる。シークエンシング反応から生成されるシークエンシングリードを1種または複数種の参照配列に対して処理して、少なくとも1種の微生物の同定を助長することができる。
【0076】
少なくとも1種の微生物は、他の微生物による影響を受け得る。微生物は、共に培養した場合、相乗的に挙動することができ、したがって、別々に培養した場合と比較して共に培養した場合のほうが、抗真菌特性が改善される。例えば、少なくとも1種の微生物は、別の微生物と共に培養した場合、生存度が増加され得る。少なくとも1種の微生物は、別の微生物と培養した場合、増殖が増加され得る。少なくとも1種の微生物は、別の微生物によって産生された化学物質または代謝物を使用し得る。少なくとも1種の微生物は、別の微生物と直接相互作用し得る。例えば、少なくとも1種の微生物および別の微生物は、バイオフィルムまたは多細胞構造を形成し得る。少なくとも1種の微生物は、別の微生物と共に培養した場合、増加された量の二次代謝物を産生および/または分泌し得る。例えば、少なくとも1種の微生物は、中間代謝物を産生することができ、この中間代謝物が次に別の微生物によってプロセシングされ、その結果、二次代謝物が生じる。本明細書の他所で開示する方法を使用して、別の微生物との培養から恩恵を受け得る微生物を同定することができ、ならびに第2の微生物が第1の微生物と同一ではない第1の微生物および第2の微生物を含む生物防除組成物を同定することができる。
【0077】
微生物の共培養は、複数の微生物が互いに総合作用または成長することを可能にする様々な方法で行なうことができる。例えば、第1の微生物を培養してもよく、そしてその後、第2の微生物を第1の微生物培養物と併せることができ、または逆に第2の微生物を培養してもよく、そしてその後、第1の微生物を第2の微生物培養物と併せることができる。Gluconobacter cerinusが第1の微生物であってもよく、Hanseniaspora uvarumが第2の微生物であってもよい。あるいは、Hanseniaspora uvarumが第1の微生物であってもよく、Gluconobacter cerinusが第2の微生物であってもよい。別の非限定的な例では、第1の微生物を第1の培養装置で培養することができ、第2の微生物を第2の培養装置で培養した後、第1の微生物と第2の微生物を併せることができる。その場合、第1の微生物を第1の培養装置から第2の培養装置に移動させることによって、単一の培養装置において第1の微生物と第2の微生物を併せることができる。一部の場合では、第1の微生物の第2の培養装置への移動を、遠心分離および再懸濁によって助長することができる。例えば、第1の微生物を、遠心分離機を使用してペレット化し、新しい液体に再懸濁させ、次いで第2の装置に添加することができる。一部の場合では、第1の微生物を含有する培地を、第2の培養装置に直接注入することができる。第2の微生物を遠心分離に供することもあり得、第1の微生物を含有する培地を第2の培養装置に添加することができる。第1および第2の微生物を単一の培養装置において直接植菌することもあり得る。第1の微生物を、第2の微生物を既に含有する培養物に直接植菌することができる。2種の微生物を共培養物に任意の順序で導入することができる。例えば、第1の微生物を培養物に導入し、続いて第2の微生物を導入することができ、または第2の微生物を培養物に導入し、続いて第1の微生物を導入することができる。第1および第2の微生物を同時にまたは実質的に同時に培養物に導入することができる。共培養は、他方の微生物によって馴化された培地において一方の微生物を成長させることを含み得る。馴化培地は、細胞を含むこともあり、または含まないこともある。例えば、第1の微生物を第1の培地において成長させることができ、次いで、第1の培地から除去することができる。次いで、第2の微生物を第1の培地に導入し、増殖させることができる。
【0078】
上記のように、共培養を培養装置において行なうことができる。培養装置に加えて、共培養物を、植物、花、種子、またはその農作物上で直接生成することができる。共培養物を、植物、花、種子、またはその農作物がパッケージングされるかまたは別の方法で貯蔵されるパッケージング上で直接生成することができる。本明細書の他所で開示されるように、共培養物中の各微生物を植物、花、種子、もしくはその農産物、またはパッケージングに、様々な順序および量で付与して、共培養物を生成することができる。
【0079】
生物防除組成物は、少なくとも2種の微生物を各微生物の量の特定の産物比で含み得る。例えば、第1および第2の微生物は、1:1の産物比であり得る。第1および第2の微生物は、1:3の産物比であり得る。第1および第2の微生物は、3:1の産物比であり得る。第1および第2の微生物は、第1の微生物の第2の微生物と比較した量が、少なくとも、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:11、1:12、1:13、1:14、1:15、1:16、1:17、1:18、1:19、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:50、1:60、1:70、1:80、1:90もしくは1:100であるかまたはそれを超える、産物比であり得る。第1および第2の微生物は、第1の微生物の第2の微生物と比較した量が少なくとも1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1、25:1、30:1、35:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1、90:1もしくは100:1であるかまたはそれを超える、産物比であり得る。第1および第2の微生物は、1:1~1:100または1:1~1:10の範囲の産物比で存在し得る。第1および第2の微生物は、1:1~100:1または1:1~10:1の範囲の産物比で存在し得る。第1および第2の微生物は、100:1~1:100または10:1~1:10の範囲の産物比で存在し得る。第1および第2の微生物は、第1の微生物の第2の微生物と比較した量が、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:11、1:12、1:13、1:14、1:15、1:16、1:17、1:18、1:19、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:50、1:60、1:70、1:80、1:90もしくは1:100以下であるかまたはそれ未満である、産物比であり得る。第1および第2の微生物は、第1の微生物の第2の微生物と比較した量が、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1、25:1、30:1、35:1、40:1、50:1、60:1、70:1、80:1、90:1もしくは100:1以下であるかまたはそれ未満である、産物比であり得る。非限定的な例では、第1の微生物は、Gluconobacter cerinusであり得、第2の微生物は、Hanseniaspora uvarumであり得、Gluconobacter cerinusとHanseniaspora uvarumの産物比は、約1:100~100:1の間であり得る。さらなる非限定的な例では、第1の微生物は、Gluconobacter cerinusであり得、第2の微生物は、Hanseniaspora uvarumであり得、Gluconobacter cerinusとHanseniaspora uvarumの産物比は、約1:10~10:1の間であり得る。例えば、第1の微生物は、Gluconobacter cerinusであり得、第2の微生物は、Hanseniaspora uvarumであり得、Gluconobacter cerinusとHanseniaspora uvarumの産物比は、約100:1、50:1、20:1、10:1、5:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:5、1:10、1:20、1:50または1:100であり得る。
【0080】
共培養したGluconobacter cerinusおよびHanseniaspora uvarumを含む組成物では、共培養した微生物は、単独で個別に培養したかまたは単独で培養した後に併せた個々の微生物と比較して、病原体成長を低減または防止する改善された活性を有し得る。例えば、共培養したGluconobacter cerinusおよびHanseniaspora uvarumの組成物は、個別に培養したGluconobacter cerinusおよびHanseniaspora uvarumのどちらかを含む参照組成物と比較して、または共培養した組成物のものとほぼ同じ細胞密度および細胞比で併せた2種の微生物と比較して、真菌微生物の成長を10%またはそれより大きく阻害することが可能であり得る。共培養したGluconobacter cerinusおよびHanseniaspora uvarumの組成物は、個別に培養した少なくとも2種の微生物のどちらかを含む組成物と比較して、または組成物のものとほぼ同じ細胞密度および細胞比で併せた2種の微生物と比較して、真菌微生物の成長を少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、またはさらには100%阻害することが可能であり得る。例えば、共培養したGluconobacter cerinusおよびHanseniaspora uvarumの組成物は、個別に培養した2種の微生物のどちらかを含む参照組成物と比較して、または組成物のものとほぼ同じ細胞密度および細胞比で併せた2種の微生物と比較して、真菌微生物の真菌病発生率を10%またはそれより大きく抑制することが可能であり得る。共培養したGluconobacter cerinusおよびHanseniaspora uvarumの組成物は、個別に培養した2種の微生物のどちらかを含む組成物と比較して、または組成物のものとほぼ同じ細胞密度および細胞比で併せた2種の微生物と比較して、真菌病発生率(FDI)を少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれより大きく改善することが可能であり得る。
【0081】
例えば、少なくとも2種の微生物の組成物は、個別に培養した少なくとも2種の微生物のどちらかを含む参照組成物と比較して、または組成物のものと同じ細胞密度および細胞比で併せた2種の微生物と比較して、真菌病原体による真菌病の程度を10%またはそれより大きく低下させることが可能であり得る。少なくとも2種の微生物の組成物は、個別に培養した少なくとも2種の微生物のどちらかを含む組成物と比較して、または組成物のものと同じ細胞密度および細胞比で併せた2種の微生物と比較して、真菌病の程度を少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、またはそれより大きく抑制することが可能であり得る。
【0082】
共培養したGluconobacter cerinusおよびHanseniaspora uvarumを含む組成物において、微生物のこの組合せは、個別に培養した個々の微生物と比較して、または共培養した組成物のものとほぼ同じ細胞密度および細胞比で併せた2種の微生物と比較して、改善された生存度を有し得る。微生物の組合せまたは共培養物は、所与の発酵培地、供給組成物および発酵プロセスを使用して成長させる共培養した微生物の発酵の終了時に、等価な発酵培地、供給組成物および発酵プロセスを使用して単独で成長させた個々の微生物の生存細胞計数値の合計の5倍を超える生存細胞計数値を有し得る。共培養したGluconobacter cerinusおよびHanseniaspora uvarumは、所与の発酵培地、供給組成物および供給プロセスを使用して成長させる発酵の終了時に、等価な発酵培地、供給組成物および発酵プロセスにおいて単独で成長させた個々の微生物の生存細胞計数値の合計の1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14,15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90もしくは100倍であるかまたはそれを超える、より高い生存細胞計数値を有し得る。発酵後の共培養したGluconobacter cerinusおよびHanseniaspora uvarumは、同じ発酵プロセスにおいて単独で成長させた個々の微生物の細胞密度より10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%高いまたはそれを超える細胞密度を有し得る。例えば、共培養した微生物の生存細胞計数値または細胞密度は、109CFU/mL、1010CFU/mL、1011CFU/mL、1012CFU/mLまたはそれを超えるほどもの高さであり得る。
【0083】
共培養したGluconobacter cerinusおよびHanseniaspora uvarumを含む組成物において、微生物のこの組合せは、微生物の貯蔵時であっても、単独での個々の微生物のものと比較して増加した生存度を有し得る。例えば、共培養したGluconobacter cerinusおよびHanseniaspora uvarumの、4℃~25℃の間の一定温度で少なくとも7日間の貯蔵後の生存細胞計数値は、等価な発酵プロセスにおいて単独で成長させて等価な貯蔵条件に供した微生物の生存細胞計数値の合計より高い。例えば、4℃~25℃の間の一定温度で少なくとも7日間の貯蔵後の組成物の生存細胞計数値は、等価な発酵プロセスにおいて単独で成長させて等価な貯蔵条件に供した微生物の生存細胞計数値の合計より少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%またはそれを超えて高い。4℃~25℃の間の一定温度で少なくとも7日間の貯蔵後の、共培養したGluconobacter cerinusおよびHanseniaspora uvarumを含む組成物は、同じ発酵プロセスにおいて単独で成長させて等価な貯蔵条件に供したそれぞれの微生物の細胞密度より10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%またはそれを超えて高い細胞密度を有し得る。例えば、細胞密度は、109CFU/mL、1010CFU/mL、または1011CFU/mL、1012CFU/mLまたはそれを超えるほどの高さであり得る。
【0084】
一部の場合では、共培養したGluconobacter cerinusおよびHanseniaspora uvarumは、環境条件による影響を受け得る。共培養したGluconobacter cerinusおよびHanseniaspora uvarumは、特定のpHで成長することまたは二次代謝物を産生することができる。例えば、共培養したGluconobacter cerinusおよびHanseniaspora uvarumを成長させるpHは、3.0、4.0、5.0、6.0、6.2、6.4、6.6、6.8、7.0、7.2、7.4、7.6、7.8、8.0、9.0、10.0のまたはそれより高いpHであり得る。例えば、共培養したGluconobacter cerinusおよびHanseniaspora uvarumを成長させるpHは、3.0、4.0、5.0、6.0、6.2、6.4、6.6、6.8、7.0、7.2、7.4、7.6、7.8、8.0、9.0、10.0またはそれより低いpHであり得る。共培養したGluconobacter cerinusおよびHanseniaspora uvarumは、塩の存在下で成長することまたは二次代謝物を産生することができる。塩は、緩衝塩であり得る。共培養したGluconobacter cerinusおよびHanseniaspora uvarumは、糖または炭水化物の存在下で成長することまたは二次代謝物を産生することができる。糖または炭水化物は、グルコースまたはグリセロールであり得る。
【0085】
生物防除組成物を、様々な培地または基質を使用して培養することができる。共培養したGluconobacter cerinusおよびHanseniaspora uvarumは、寒天皿上の培養物であり得る。共培養したGluconobacter cerinusおよびHanseniaspora uvarumを、半固体寒天皿において培養することができる。共培養したGluconobacter cerinusおよびHanseniaspora uvarumを、液体培地において培養することができる。
【0086】
食品腐敗および食品の品質低下を防止するまたは低減させるための方法
収穫前の生物防除組成物による植物、種子、花、またはその農産物の処置
植物、種子、またはその農産物における真菌病原体の成長を防止または低減させる方法は、収穫される前の植物、種子、花、または農産物に、本明細書に記載の少なくとも1つの微生物または1つもしくは複数のその二次代謝物および担体を含む生物防除組成物を適用するステップを含み得る。農産物の収穫は、植物の食用部分を植物の残りから採取することを指し得る、または植物全体を採取した後、食用部分を後に採取することを指し得る。
【0087】
生物防除組成物を収穫前に付与するステップは、植物、種子、またはその農産物に生物防除組成物を振りかける、注入する、噴霧する、または刷毛塗りすることを含み得る。生物防除組成物を付与するステップは、生物防除組成物を滴下線、灌漑システム、薬液灌漑システム、噴霧剤、例えば葉面散布剤、または浸漬剤、例えば根浸漬剤、に添加することを含み得る。一部の場合では、生物防除組成物は、植物の根、植物の種子、植物の葉、植物周辺の土壌、または本明細書において植物の農産物とも呼ばれる植物の食用部分に付与される。
【0088】
方法は、さらに、植物に、肥料、除草剤、殺有害生物剤、他の生物防除剤、またはそれらの組合せを付与するステップを含み得る。一部の例では、肥料、除草剤、殺有害生物剤、他の生物防除剤またはそれらの組合せは、生物防除組成物の前、生物防除組成物の後、または生物防除組成物と同時に付与される。
【0089】
真菌病原体の成長を防止または低減させる方法は、本明細書に記載の少なくとも1つの微生物またはその二次代謝物および担体を含む生物防除組成物を種子に適用するステップを含み得る。生物防除組成物を植物の種子に適用するステップは、植え付け前、植え付け時または植え付け後で発芽前に起こり得る。例えば、生物防除組成物を、植え付け前の種子の表面に適用することができる。一部の場合では、植え付け前に起こる種子の処置は、着色剤または色素、担体、結合剤、粘着剤、消泡剤、潤滑剤、栄養、またはその組合せを生物防除組成物に添加するステップを含み得る。
【0090】
真菌病原体の成長を防止または低減させる方法は、本明細書に記載の少なくとも1つの微生物またはその二次代謝物および担体を含む生物防除組成物を土壌に適用するステップを含み得る。生物防除組成物は、土壌に種子を植え付ける前、後、もしくは間に、または植物を新しい場所に移植する前に適用することができる。一例では、土壌改良剤を、植え付けの前に土壌に添加し、土壌改良剤は、植物の成長の改善をもたらし、土壌改良剤は、生物防除組成物を含む。一部の場合では、土壌改良剤はさらに肥料を含む。
【0091】
真菌病原体の成長を防止または低減させる方法は、本明細書に記載の少なくとも1つの微生物またはその二次代謝物および担体を含む生物防除組成物を、根に適用するステップを含み得る。生物防除組成物は、根に直接適用することができる。植物の根への直接適用の一例は、生物防除組成物を含む溶液に根を浸漬することを含み得る。生物防除組成物は、根に間接的に適用することができる。植物の根への間接的適用の一例は、植物の基部付近に生物防除組成物を噴霧することを含み得、生物防除組成物は土壌に浸透して根に到達する。
【0092】
収穫後にその農産物を生物防除組成物によって処置する
農産物における真菌病原体の成長を防止または低減させる方法は、収穫前または収穫後の農産物に、本明細書に記載の少なくとも1つの微生物またはその二次代謝物および担体を含む生物防除組成物を適用するステップを含み得る。
【0093】
収穫前または収穫後に生物防除組成物を適用するステップは、植物の農産物に生物防除組成物を振りかける、浸漬する、延ばす、注入する、擦りつける、噴霧する、または刷毛塗りするステップを含み得る。生物防除組成物は、収穫直前、または収穫直後、または収穫後1日、2日、3日、4日、5日、6日、もしくは1週間以内に農産物に適用することができる。一部の場合では、生物防除組成物は、収穫直前または収穫直後に農産物を処置するプロセスにおいて収穫を行う実体によって、農産物をパッケージングする実体によって、農産物を輸送する実体によって、または農産物を販売もしくは消費者のために商業的に陳列する実体によって、適用される。
【0094】
収穫後に生物防除組成物を付与するステップは、さらに、収穫後の農産物を処置するプロセスに生物防除組成物を組み込むことを含むことができる。農産物を、収穫直後に、例えば1回または複数回の洗浄で、処置することができる。1回または複数回の洗浄は、水の使用、あるいは漂白剤(塩素)および/もしくは重炭酸ナトリウムが添加された水、またはオゾン添加水の使用を含み得る。農産物を、油、樹脂、または構造もしくは化学マトリクスによって処置することもできる。生物防除組成物を、付与のために、油、樹脂、または構造もしくは化学マトリクスと混合することができる。農産物は、農産物を乾燥する前または後に処置することができる。例えば、生物防除組成物を、ロウ、アラビアゴム、または農産物をコーティングするために使用される他のコーティング剤に添加することができる。生物防除組成物を、プロセスにおける任意の時点で添加することができ、新しい洗浄液の一部として洗浄液の1つに含めることができ、またはロウ、アラビアゴム、もしくは農産物の他のコーティング剤と混合することができる。
【0095】
生物防除組成物によるパッケージング材料の処置
農産物における真菌病原体の成長を防止または低減させる方法は、農産物を輸送または貯蔵するために使用されるパッケージング材料に、本明細書に記載の少なくとも1種の微生物またはその二次代謝物と担体とを含む生物防除組成物を、付与するステップを含み得る。
【0096】
パッケージング材料は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、成形繊維、配向ポリスチレン(OPS)、ポリスチレン(PS)フォーム、ポリプロピレン(PP)、またはそれらの組合せを含み得る。パッケージング材料は、厚紙、堅い板、スタイロフォーム(登録商標)、または成形パルプを含み得る。パッケージング材料は、基材、例えばセルロースを含み得る。パッケージング材料は、水平流(HFFS)パッケージ、垂直流(VFFS)パッケージ、熱成形パッケージ、密封トレイ、または伸縮フィルムであり得る。熱成形パッケージは、クラムシェルパッケージであり得る。パッケージング材料は、かご、トレイ、バスケット、またはクラムシェルであり得る。
【0097】
生物防除組成物によって処置するパッケージング材料は、インサートであり得る。インサートは、パッド、シート、またはブランケットであり得る。インサートは、かご、トレイ、バスケット、またはクラムシェルの中またはその上に配置することができる。インサートは、セルロースまたはセルロース誘導体を含み得る。インサートは、少なくとも1層の微孔質ポリマー、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレン、および少なくとも1層の高吸水性ポリマーを含み得る。一部の場合では、インサートは、外層および内層を含む。内層は吸水層であり得る。内層は、カルボキシメチルセルロース、セルロースエーテル、ポリビニルピロリドン、デンプン、デキストロース、ゼラチン、ペクチン、またはそれらの組合せを含み得る。外層は、水透過層であり得る。
【0098】
生物防除組成物をパッケージング材料に付与するステップは、生物防除組成物によってパッケージング材料を洗浄、噴霧、または含浸することを含み得る。
【0099】
本明細書で使用される用語は、特定の事例を説明することを目的としたものに過ぎず、限定することを意図したものではない。下記の用語は、当業者によるこれらの用語の理解に加えて、本明細書で使用される用語の意味を説明するために論じられる。本明細書においておよび添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その」は、文脈がそれ以外であることを明らかに示していない限り、複数の指示物指示対象を含む。特許請求の範囲は、任意の必要に応じた要素を除外するように立案することができることにさらに注意されたい。したがって、この声明記載は、特許請求の範囲の要素の列挙に関する「唯一」、「のみ」などのような排他的用語の使用についてのまたは「負の」限定の使用についての先行する基礎としての役目を果たすことが意図される。
【0100】
ある特定の範囲を、用語「約」の後に続く数値として本明細書において表す。用語「約」は、本明細書においてその後に続く正確な数ならびにその用語の後に続く数に近いまたは近似する数に関する文字通りの根拠を提供するために使用される。数が具体的に列挙された数に近いまたは近似するか否かを決定する場合、近いまたは近似する列挙されていない数は、それが提示される文脈において、具体的に列挙された数の実質的な同等物を提供する数であり得る。値の範囲が提供される場合、その範囲の上限および下限の間の、文脈が明らかにそれ以外であることを示していない限りその下限の単位の10分の1までの各々の介在する値、およびその明記された範囲内の他の任意の明記されたまたは介在する値が、本明細書に記載の方法および組成物に包含されると理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、独立してより小さい範囲に含まれてもよく、明記された範囲内の任意の具体的に除外された限界を条件として、本明細書に記載の方法および組成物内にも包含される。明記された範囲が限界の1つまたは両方を含む場合、それらの含まれる限界のいずれかまたは両方を除外する範囲もまた、本明細書に記載の方法および組成物に含まれる。
【0101】
特に定義していない限り、本明細書で使用される全ての科学技術用語は、本明細書に記載の方法および組成物が属する分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載の方法および材料と類似または同等の任意の方法および材料もまた、本明細書に記載の方法および組成物の実践または試験において使用することができるが、代表的な例示的な方法および材料を以下に記載する。
【0102】
以下の実施例は、本発明の様々な実施形態を説明することを目的として与えるものであり、いかなる形にせよ本発明を限定することを意図したものではない。本実施例は、本明細書に記載の方法と共に、好ましい実施形態を現時点で代表するものであり、例示的なものであり、本発明の範囲を限定することを目的とするものではない。特許請求の範囲に記載の範囲により定義される本発明の趣旨に包含される本実施例における変化および他の使用を当業者は思い付くであろう。
【実施例】
【0103】
(実施例1)
共培養したBC18は、共同体に併せられた場合、B.cinereaに対してBC18より有効である。
微生物共同体BC18(Gluconobacter cerinusおよびHanseniaspora uvarumから構成される)を、収穫後のイチゴ果実におけるBotrytis cinereaの成長を防止する能力について試験した。BC18の微生物成分を、単独で培養したか、共に共培養したか、または単独で培養した後に併せた。共培養したBC18は、単離体として培養したまたは共同体に併せたBC18微生物成分と比較して、イチゴ果実全体における真菌病発生率の低下をもたらした(
図1および
図2A~F)。
【0104】
実験設定
微生物成長条件
BC18微生物成分を、50mlのポテトデキストロースブロスが入っている250ml培養フラスコにおいて150rpmで振盪しながら72時間、28℃で成長させた。72時間後、30mlのそのような振盪フラスコブロスを3500rpmで10分間、22℃で遠心分離した。細胞をリン酸緩衝食塩水(PBS;100mMリン酸緩衝液pH7.0)に、血球計数器とオリンパス株式会社製Bx顕微鏡を用いて計数して1×108細胞/mlの濃度になるように再懸濁させた。この実験に使用したBC18微生物成分は、個別に培養したGluconobacter cerinus、個別に培養したHanseniaspora uvarum、ならびにG.cerinusおよびH.uvarumの2種の共培養物からなった。発酵終了時の各共培養物におけるG.cerinusおよびH.uvarumの産物比は、血球計数器によって計数してそれぞれ約1:1および3:1であった。個別に培養したG.cerinusおよび個別に培養したH.uvarumを、PBS中、1×108細胞/mLになるように再懸濁させた後、比率3:1および1:1(G.cerinus:H.uvarum)で併せた。
【0105】
B.cinereaを、100mm×15mmペトリプレートの中のイチゴ寒天(500gのブレンドされたイチゴ果実、500gの水および20gの寒天を含む)において8日間、25℃で培養した。15mLのPBSを2つのそのようなプレートに添加し、使い捨ての滅菌L形スプレッダーを用いてプレートから擦り落とすことにより、胞子を回収した。得られた胞子懸濁物を、40μmセルストレーナーに通して50ml遠心分離管にデカントした。胞子懸濁物を3500rpmおよび22℃で10分間、遠心分離し、滅菌PBSに再懸濁させて、血球計数器で計数してmL当り胞子1×106個の最終胞子濃度を獲得した。
【0106】
イチゴ果実植菌およびインキュベーション
Bella Vista Organicイチゴ果実をSprouts Farmers Market(30 San Antonio Rd、Mountain View、CA 94040)で商業的に購入した。イチゴ果実を滅菌せずに放置した(この場合は、購入後にイチゴ果実に変更を加えなかった)か、または滅菌した(この場合は、イチゴ果実の全表面を除菌シート(Good and Clean Inc.)で20~30秒間拭いた)。滅菌していないおよび滅菌したイチゴ果実に、各々、次の処置(N=10)のうちの1つを用いて植菌した:滅菌PBS、陰性対照;滅菌PBS、陽性対照;BC18Bと呼ばれるG.cerinus;BC18Yと呼ばれるH.uvarum;C1:1と呼ばれる、比率1:1で共培養したG.cerinus:H.uvarum;C3:1と呼ばれる、比率3:1で共培養したG.cerinus:H.uvarum;R3:1と呼ばれる、比率3:1で併せたG.cerinus:H.uvarum;R1:1比と呼ばれる、比率1:1で併せたG.cerinus:H.uvarum。
【0107】
植菌は、イチゴ果実の長さの下3分の2にシャーピーマーカーで植菌マークをつけることによって果たした。10μlのピペッターを使用して、ピペットチップをイチゴ果実にその長さの2分の1以下挿入することにより植菌マークの右側5mm以内に10μlの微生物候補懸濁物または滅菌PBSを挿入した。これによって、イチゴ果実の内側にも、イチゴ果実の外側にも植菌することができ、イチゴ果実の外側には植菌後に残留微生物懸濁物または滅菌PBSがあった。
【0108】
イチゴ果実間の夾雑を防止するために丈夫なスズ箔で包んだ滅菌100mm×15mmペトリプレートの片側にイチゴ果実を入れた。植菌したイチゴ果実を、イチゴ果実に対する微生物コロニー形成を可能にするために、24時間、25℃で、暗所においてインキュベートした。24時間後、B.cinerea胞子懸濁物を、イチゴ果実の、微生物懸濁物または滅菌PBSを前に植菌したのと同じ場所に、上記の通り植菌した。PBS陰性対照にはB.cinerea植菌を施さなかった。
【0109】
実験分析
イチゴ果実の画像を、B.cinerea植菌の3および6日後(それぞれ、T3およびT6)にiPhone(登録商標) 7で撮影した。T3では、陽性対照(滅菌PBSおよびB.cinereaの植菌のみを施した)のいずれも、B.cinerea成長の徴候を示さなかった。しかし、複数のイチゴ果実は、他の自然に発生する真菌病原体で覆われており、したがって、B.cinereaが成長する機会を得る前に植菌部位が覆われていた。これらのイチゴは、分析から外した(表3)。T6で、イチゴ果実を植菌部位におけるB.cinerea成長の存在または非存在について評価した。B.cinereaの存在または非存在を判定することができなかった、すなわち、はっきり見えない植菌部位に起因して、できなかった場合には、そのイチゴ果実を分析から除外した(表3)。B.cinerea成長の証拠があった各処置におけるイチゴ果実の数を、処置ごとに、残存するイチゴ果実の総数で割って、局部的B.cinerea真菌病発生率(LBDI)のパーセンテージを計算した。
【表3】
【0110】
滅菌したイチゴ果実と滅菌していないイチゴ果実の両方について、共培養したBC18は、個別に培養した単離体としての2つの個々のBC18微生物成分(BC18BおよびBC18Y)の各々、および2種の個別に培養した単離体を併せたものよりも優れていた。BC18Bは、陽性対照と比較してLBDIのわずかな低下を示したが、BC18Yは、滅菌したイチゴ果実においても、滅菌していないイチゴ果実においても、LBDI低下を示さなかった。滅菌していないイチゴ果実については、C3:1は、0%LBDIを有し、その対応物であるR3:1は、14%LBDIを有した。C1:1は、33%LBDIを有したが、R1:1処置は、75%LBDIを有した。同様に、滅菌したイチゴ果実に関して、C3:1は、R3:1より67%低いLBDIを有し、C1:1は、R1:1より60%低いLBDIを有した(
図1および
図2A~F)。
図2A~2Fは、組換えBC18対応物と比較して共培養したBC18で植菌したイチゴ果実についてのB.cinerea植菌の6日後からのそれぞれの画像を示す。具体的には、
図2Aは、C3:1を示し、
図2Bは、C1:1を示し、
図2Cは、R3:1を示し、
図2Dは、R1:1を示し、
図2Eは、BC18Yを示し、
図2Fは、B.cinereaのみの対照を示す。
【0111】
各BC18共培養物は、併せた対応物と比較して増加した有効性を有したが、C3:1は、非滅菌イチゴ果実において増加した有効性を有し、C1:1は、滅菌イチゴ果実において最高の有効性を有したことに、注目されたい。理論により限定されるものではないが、これは、滅菌中の天然イチゴ果実表面マイクロバイオームの破壊に関連付けることができ、BC18共培養物の比がイチゴ果実表面でのその活性に影響を及ぼすことを示す。自然に発生する真菌病原体の存在は、BC18共同体による局部的な植菌が、イチゴ果実全体を、他の真菌病、最も顕著にはRhizopusから、いかによく保護するかを観察する機会を与えた。これらの観察を、真菌病発生率(FDI)および植菌部位へのFDI近接度に基づいて各イチゴに健康スコアを割り当てることによって定量した(
図3A~F)。
図3Aは、明らかな真菌病のない4点のイチゴ果実を示す。
図3Bは、イチゴ果実上に存在する真菌病を有するが植菌部位付近には有さない、3点のイチゴ果実を示す。
図3Cは、真菌病を植菌部位の推定5mm以内に有する、2点のイチゴを示す。
図3Dは、植菌部位の縁にある真菌病を有する、1点のイチゴを示す。
図3Eは、植菌部位の縁に存在しない真菌病を有するが、植菌部位が不健康である、1点のイチゴを示す。
図3Fは、植菌部位に関係なくイチゴ果実を覆っている真菌病を有する、0点のイチゴを示す。
図4は、各イチゴ果実についての処置ごとの健康スコアの総和を示す。T3で分析から排除したイチゴ果実は、0の健康スコアを有すると仮定した。C3:1で植菌したイチゴ果実は、最高の健康スコアを有し(
図4)、R3:1で植菌したイチゴ果実よりはるかに優れていた。これらの結果から、共培養条件と、共培養物中のG.cerinusのH.uvarumに対する最終的な比率の両方が、イチゴ果実におけるFDIに対するBC18の有効性に影響を及ぼし得る。
【0112】
(実施例2)
Hanseniaspora uvarumおよびGluconobacter cerinusの共培養物の発酵は、個別に発酵させたどちらかの微生物よりも多い生存生物量をもたらした。
3つの共培養発酵実験(条件:共培養対照、供給オフでの共培養、供給オフおよび温度急上昇での共培養)、および単独でのHanseniaspora uvarumの1つの発酵実験(条件:単独でのH.uvarum)を、2リットル(2L)ベンチトップDASGIP発酵槽で行なった。消泡剤(1g/kg)と共に、酵母抽出物(5~10g/kg)、硫酸マグネシウム六水和物(1~3g/kg)、リン酸二水素カリウム(0.5~2g/kg)、硫酸アンモニウム(0.5~1.5g/kg)、TeknovaからのModified Trace Metal Solutionに類似した微量元素溶液およびビタミン溶液(各々2mL/kg)からなる培地を、全ての発酵に使用した。パントテン酸(2~4g/L)、チアミンHCl(1~6g/L)、リボフラビン(0.25~2.25g/L)、ピリドキシンHCl(0.25~2.25g/L)およびビオチン(0.25~2.25g/L)からなるビタミン溶液を作製し、箔で覆い、4℃の冷蔵庫内に貯蔵した。塩化カルシウム二水和物(2~4g/L)およびグルコース(50g/L)を滅菌後に添加した。酵母発酵槽のpHおよび温度は、それぞれ4.8および29℃であったが、その一方で、共培養発酵槽は、pH5.2および温度30℃で運転した。pH制御は、アンモニア水を使用して行なった。50% w/wグルコース溶液からなる供給物を、20時間で開始して68時間での運転終了まで、7.4mL/時の速度で供給した。3台の共培養発酵槽は、3台のうちの2台の発酵槽に異なる発酵処置終了を設定したことを除いて、運転を通して同一の方法で運転した。1つの発酵(条件:供給オフでの共培養)については、67時間で、供給を遮断した。最後の共培養発酵(条件:供給オフおよび温度急上昇での共培養)は、67時間で、供給を遮断し、温度を32℃に上昇させた。
【0113】
単独でのGluconobacter cerinusの1つの発酵実験(条件:単独でのG.cerinus)を15LのSIP/CIP発酵槽で行なった。発酵培地は、消泡剤(1g/kg)と共に、-酵母抽出物(5~10g/kg)、ダイズかす(5~10g/kg)、硫酸マグネシウム六水和物(1~3g/kg)、リン酸二水素カリウム(0.5~2g/kg)、硫酸アンモニウム(0.5~1.5g/kg)、TeknovaからのModified Trace Metal Solutionに類似した微量元素溶液(2mL/kg)からなった。塩化カルシウム二水和物(2~4g/L)およびグルコース(50g/L)を滅菌後に添加した。pHを5.5に制御し、温度は、30℃であった。pH制御は、アンモニア水を使用して行なった。60% w/wグルコース溶液からなる供給物を、30時間で開始して運転終了(72時間)まで、0.95g/分の速度で供給した。
【0114】
単独でのG.cerinusの発酵は、大量の泡立ちを経験し、発酵プロセス中に有意な量の消泡剤添加を必要としたが、その一方で、共培養発酵は、泡立ちを一切経験せず、それによって共培養発酵をより拡張性のあるプロセスにした。
【0115】
各々の発酵終了試料の生存度を、ポテトデキストロース寒天への連続希釈平板培養によって測定した。CFU(コロニー形成単位)平板培養は、ポテトデキストロースブロスを使用して96ウェルプレートにおいて各試料の副試料を連続希釈すること、およびある特定の時点でポテトデキストロース寒天上に計数可能なコロニーを生成する可能性が高い希釈範囲の20μlを平板培養することによって行なった。プレートを2日間、室温でインキュベートした。コロニーを手作業で計数し、希釈倍数50をかけて、CFU/mL(コロニー形成単位/ミリリットル)を決定した。最高計数可能希釈のみをCFU/mLの最終計算に使用する。
【0116】
2種の微生物の共培養は、発酵プロセスの終了時に生存生物量の2log増加をもたらす。表5は、様々な条件および微生物についての発酵終了時のCFU/mL(コロニー形成単位/ミリリットル)を実証する。表5に示すように、共培養は、単独でのH.uvarumおよびG.cerinusから得た総生存細胞計数値と比較して少なくとも1logの増加をもたらした。
【表5】
【0117】
(実施例3)
Hanseniaspora uvarumおよびGluconobacter cerinusの共培養物は、単独での微生物どちらかと比較して安定性の向上を実証した
実施例2からの発酵終了試料を4℃の冷蔵庫内に貯蔵した。実施例2に記載したのと同じ連続希釈平板培養法を使用して、単独での細菌を含有する試料については33日目および50日目に、酵母および共培養物については31日目および46日目に、生存度を測定した。31日目に、希釈物10-6、10-7、および10-8を平板培養した。33日目に、希釈物10-4、10-5、および10-6を平板培養した。46日目に、単独での酵母の試料の希釈物10-4、10-5、および10-6を平板培養し、共培養物の希釈物10-7、および10-8を平板培養した。50日目に、希釈物10-7、および10-8を平板培養した。
【0118】
4℃で1ヶ月にわたって貯蔵した単独でのH.uvarumの発酵試料は、希釈物プレートにおいて成長を一切示さなかったが、その一方で、個別に発酵させたときのH.uvarumおよびG.cerinusの両方は、試料を50日間貯蔵した後に希釈物プレートにおいて成長を一切示さなかった。共培養物は、最大50日間の4℃条件での長期貯蔵中に生存度計数値の1.5log以下の低下を示した。
【0119】
発酵処置終了の差異にかかわらず、全ての共培養試料は、個々の微生物の発酵試料と比較して優れた安定性を有する。下記の表6は、各時点での各場合からの生存細胞計数値を示す。
【表6】
【0120】
全ての共培養発酵試料についてのH.uvarumのG.cerinusに対する比を、発酵終了時に、および使用済み発酵ブロス中、4℃で46日貯蔵後に測定した。発酵終了比は、Stratedigm S100を使用してフローサイトメトリーによって計算した。試料を3500rpmで10分間、22℃で遠心分離した。次いで、ペレット化した固体を等体積の滅菌PBSに再懸濁させた。懸濁物を重力で20μmメッシュフィルターに通し、100μlの濾液を1mLのPBSに添加した。H.uvarumは、G.cerinusより大きくもあり、内部がより複雑でもあるので、前方および側方散乱パラメーターを使用して各細胞集団の明確な分離を確認した(
図5)。貯蔵中46日後のH.uvarumのG.cerinusに対する比を、手作業での計数を併用した顕微鏡法により計算した。Leica DM5500 B光学顕微鏡を用いて、位相差で、倍率40Xで湿式マウントスライドを撮像した。試料ごとに3つのそのような画像におけるH.uvarumおよびG.cerinusの数を手作業で計数して、各試料における微生物成分の比率を決定した。表7は、4℃で貯蔵後の共培養物における微生物の比率を示す。注目すべきは、全ての場合にG.cerinusがH.uvarumよりもはるかに高い濃度で存在することである。しかし、G.cerinusが共培養物の多数派を占めたとしても、共培養物の生存度は、個別に培養したどちらかの生物の生存度と比較して勝っている。
【表7】
【0121】
(実施例4)
圃場でのおよび収穫後のイチゴにおける共培養したBC18
共培養したBC18をイチゴ圃場でBotrytis cinereaに対する有効性について評価する。共培養したBC18を、108cfu/エーカー未満の投薬量で、1ヶ月に4回未満の付与で、区画に付与する。加えて、共培養したBC18の貯蔵後の有効性を試験するために、一連の共培養したBC18を4週間、25℃で貯蔵した後、異なる投薬量で付与して貯蔵に起因する活性の喪失について試験する。新鮮な(老化していない)共培養したBC18と4週間貯蔵したBC18の両方をイチゴの区画に付与する。各実験条件の複数回の反復を行なう。対照の区画は、無処置で放置するか、または別の化合物(生物学的ベンチマークとして)で処置する。加えて、別の区画では、イチゴに対して使用するいずれの組成物に関しても、適合性を判定するためにおよび一切のそのような組成物に関するあらゆる有害効果を観察するために総合的有害生物管理に一般に使用される肥料、殺真菌剤および/または殺虫剤の標準スケジュールと連動して、共培養したBC18を付与する。付与することができる他の殺真菌剤の例としては、フルオピラム、トリス(ホスホン酸O-エチル)アルミニウム、アゾキシストロビン、ボスカリド、キャプタン、フェンヘキサミド、水酸化銅、オキシ塩化銅、硫酸銅、酸化第一銅、シプロジニル、フルジオキソニル、フェンヘキサミド、フルオキサストロビン、イプロジオン、メフェノキサム、メタラキシル、ミクロブタニル、ホスファイト(亜リン酸塩)、プロピコナゾール、ピラクロストロビン、ピリメタニル、キノキシフェン、硫黄、チオファネートメチル、トリフルオキシストロビン、またはトリフルミゾールが挙げられるが、これらに限定されない。殺虫剤の例としては、アセタミプリド、ビフェントリン(benifenthrin)、フェンプロパトリン、エンドスルファン、ノバルロン、またはカルバリルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0122】
イチゴを、圃場でおよび収穫後に観察して、Botrytis cinereaの阻害を判定する。圃場でおよび収穫後にイチゴの写真を撮り、スコアを付けてイチゴの健康を判定する。阻害を競合的ベンチマークと比較して、共培養したBC18についてのベンチマークと比べて改善された有効性を判定する。
【0123】
本発明の好ましい実施形態を本明細書で示し、説明したが、このような実施形態を単なる例として提供することは、当業者には明らかであろう。本発明からの逸脱のない、多数の変更、変化、および置換がすぐに当業者の心に浮かぶことであろう。本明細書に記載の本発明の実施形態の様々な代替物を、本発明を実施する際に使用することができることは、理解されるはずである。下記の請求項が本発明の範囲を定義すること、およびこれらの請求項の範囲内の方法および構造ならびにそれらの均等物が、これらの請求項に包含されることを意図している。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
少なくとも2種の微生物を含む生物防除組成物であって、前記少なくとも2種の微生物が、
(a)Gluconobacter cerinus、および
(b)Hanseniaspora uvarum
を含み、
前記少なくとも2種の微生物が、共培養したものであり、前記少なくとも2種の微生物が、ある産物比で共培養したものである、生物防除組成物。
(項目2)
前記Gluconobacter cerinusと前記Hanseniaspora uvarumの産物比が、約1:100~100:1の間である、項目1に記載の生物防除組成物。
(項目3)
前記Gluconobacter cerinusと前記Hanseniaspora uvarumの産物比が、約1:10~10:1の間である、項目1に記載の生物防除組成物。
(項目4)
前記Gluconobacter cerinusと前記Hanseniaspora uvarumの産物比が、約1:5~5:1の間である、項目1に記載の生物防除組成物。
(項目5)
前記Gluconobacter cerinusと前記Hanseniaspora uvarumの産物比が、約1:3~3:1の間である、項目1に記載の生物防除組成物。
(項目6)
前記Gluconobacter cerinusと前記Hanseniaspora uvarumの産物比が、約1:2~2:1の間である、項目1に記載の生物防除組成物。
(項目7)
(i)個別に培養した前記少なくとも2種の微生物のうちの1種もしくは複数種、または(ii)別々に培養して前記生物防除組成物のものとほぼ同じである生存細胞計数値および産物比で併せた前記少なくとも2種の微生物、からなる群より選択される任意の組成物を含む参照組成物と比較して、真菌病発生率を10%またはそれより大きく阻害することが可能である、項目1から6のいずれかに記載の生物防除組成物。
(項目8)
所与の発酵培地、供給組成物およびプロセスを使用して成長させた、前記共培養した少なくとも2種の微生物の発酵終了時の生存細胞計数値が、等価な発酵プロセスの終了時の前記少なくとも2種の微生物の前記生存細胞計数値の合計の5倍を超える、項目1から7に記載の生物防除組成物。
(項目9)
所与の発酵培地、供給組成物およびプロセスを使用して成長させた、前記共培養した少なくとも2種の微生物の発酵終了時の生存細胞計数値が、等価な発酵プロセスの終了時の前記少なくとも2種の微生物の前記生存細胞計数値の合計の3倍を超える、項目1から7に記載の生物防除組成物。
(項目10)
所与の発酵培地、供給組成物およびプロセスを使用して成長させた、前記共培養した少なくとも2種の微生物の発酵終了時の生存細胞計数値が、等価な発酵プロセスの終了時の前記少なくとも2種の微生物の前記生存細胞計数値の合計の2倍を超える、項目1から7に記載の生物防除組成物。
(項目11)
貯蔵条件に供された後の前記少なくとも2種の微生物の生存細胞計数値が、等価な発酵プロセスにおいて前記貯蔵条件下で単独で成長させた前記少なくとも2種の微生物の生存細胞計数値の合計より多い、項目1から10に記載の生物防除組成物。
(項目12)
前記貯蔵条件が、4℃~25℃の間の温度での貯蔵を含む、項目11に記載の生物防除組成物。
(項目13)
前記貯蔵条件が、少なくとも7日の貯蔵時間を含む、項目11または12のいずれか一項に記載の生物防除組成物。
(項目14)
先行する項目に記載の生物防除組成物のいずれかを生成する方法であって、
(a)前記少なくとも2種の微生物のうちの第1の微生物を第1の培養培地に導入するステップ;
(b)前記少なくとも2種の微生物のうちの第2の微生物を第2の培養培地に導入するステップであって、前記第2の培養培地が、前記第1の培養培地もしくはその派生物、前記第1の微生物、またはそれらの組合せを含み、前記第2の微生物が前記第1の微生物とは異なる、ステップ;および
(c)前記第1の微生物および前記第2の微生物を、細胞増殖を可能にする条件に供することによって、前記生物防除組成物を生成するステップ
を含む方法。
(項目15)
前記第2の培養培地が、前記第1の微生物による馴化後の前記第1の培養培地である、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記第1の微生物が、Gluconobacter cerinusであり、前記第2の微生物が、Hanseniaspora uvarumである、項目14または15のいずれかに記載の方法。
(項目17)
前記第1の微生物が、Hanseniaspora uvarumであり、前記第2の微生物が、Gluconobacter cerinusである、項目14または15のいずれかに記載の方法。
(項目18)
植物、種子、花またはその農産物における病原体の成長を低減または防止する方法であって、植物、種子、花またはその農産物に、項目1から13に記載の生物防除組成物のいずれかを付与するステップを含む、方法。
(項目19)
前記植物、種子、花、またはその農産物が、アルファルファ、アーモンド、アプリコット、リンゴ、アーティチョーク、バナナ、オオムギ、ビーツ、ブラックベリー、ブルーベリー、ブロッコリー、芽キャベツ、キャベツ、アサ、セイヨウアブラナ、トウガラシ、ニンジン、セロリー、フダンソウ、サクランボ、柑橘、トウモロコシ、ワタ、ウリ、ナツメヤシ、イチジク、アマ、ニンニク、ブドウ、薬草、香辛料、ケール、レタス、ミント、アブラヤシ、オリーブ、タマネギ、エンドウ、ナシ、モモ、落花生、パパイヤ、パースニップ、ペカン、カキ、プラム、ザクロ、ジャガイモ、マルメロ、ラディッシュ、ラズベリー、バラ、コメ、スピノサスモモ、モロコシ、ダイズ、ホウレンソウ、イチゴ、サツマイモ、タバコ、トマト、カブの葉、クルミ、およびコムギからなる群より選択される、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記植物、種子、花、またはその農産物が、イチゴを含む、項目19に記載の方法。
(項目21)
農産物における病原体の成長を低減または防止する方法であって、農産物を輸送または貯蔵するために使用されるパッケージング材料に、項目1から13に記載の生物防除組成物のいずれかを付与するステップを含む、方法。
(項目22)
前記農産物が、アルファルファ、アーモンド、アプリコット、リンゴ、アーティチョーク、バナナ、オオムギ、ビーツ、ブラックベリー、ブルーベリー、ブロッコリー、芽キャベツ、キャベツ、アサ、セイヨウアブラナ、トウガラシ、ニンジン、セロリー、フダンソウ、サクランボ、柑橘、トウモロコシ、ワタ、ウリ、ナツメヤシ、イチジク、アマ、ニンニク、ブドウ、薬草、香辛料、ケール、レタス、ミント、アブラヤシ、オリーブ、タマネギ、エンドウ、ナシ、モモ、落花生、パパイヤ、パースニップ、ペカン、カキ、プラム、ザクロ、ジャガイモ、マルメロ、ラディッシュ、ラズベリー、バラ、コメ、スピノサスモモ、モロコシ、ダイズ、ホウレンソウ、イチゴ、サツマイモ、タバコ、トマト、カブの葉、クルミ、およびコムギからなる群より選択される、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記農産物がイチゴである、項目21に記載の方法。
(項目24)
農産物における病原体の成長を低減または防止する方法であって、イチゴ果実またはその成分に、項目1から13に記載の生物防除組成物のいずれかを付与するステップを含む、方法。
(項目25)
イチゴ果実における病原体の成長を低減または防止する方法であって、前記イチゴを輸送または貯蔵するために使用されるパッケージング材料に、項目1から13に記載の生物防除組成物のいずれかを付与するステップを含む、方法。
(項目26)
前記病原体が、Albugo candida、Albugo occidentalis、Alternaria alternata、Alternaria cucumerina、Alternaria dauci、Alternaria solani Alternaria tenuis、Alternaria tenuissima、Alternaria tomatophila、Aphanomyces euteiches、Aphanomyces raphani、Armillaria mellea Aspergillus flavus、Aspergillus parasiticus、Botrydia theobromae、Botrytis cinerea、Botrytinia fuckeliana、Bremia lactuca、Cercospora beticola、Cercosporella rubi、Cladosporium herbarum、Colletotrichum acutatum、Colletotrichum gloeosporioides、Colletotrichum lindemuthianum、Colletotrichum musae、Colletotrichum spaethanium、Cordana musae、Corynespora cassiicola、Daktulosphaira vitifoliae、Didymella bryoniae、Elsinoe ampelina、Elsinoe mangiferae、Elsinoe veneta、Erysiphe cichoracearum、Erysiphe necator、Eutypa lata、Fusarium germinareum、Fusarium oxysporum、Fusarium solani、Fusarium virguliforme、Gaeumannomyces graminis、Ganoderma boninense、Geotrichum candidum、Guignardia bidwellii、Gymnoconia peckiana、Helminthosporium solani、Leptosphaeria coniothyrium、Leptosphaeria maculans、Leveillula taurica、Macrophomina phaseolina、Microsphaera alni、Monilinia fructicola、Monilinia vaccinii-corymbosi、Mycosphaerella angulate、Mycosphaerella brassicicola、Mycosphaerella fragariae、Mycosphaerella fijiensis、Oidopsis taurica、Passalora fulva、Penicillium expansum、Peronospora sparse、Peronospora farinosa、Pestalotiopsis clavispora、Phoma exigua、Phomopsis obscurans、Phomopsis vaccinia、Phomopsis viticola、Phytophthora capsica、Phytophthora erythroseptica、Phytophthora infestans、Phytophthora parasitica、Phytophthora ramorum、Plasmopara viticola、Plasmodiophora brassicae、Podosphaera macularis、Polyscytalum pustulans、Pseudocercospora vitis、Puccinia allii、Puccinia sorghi、Pucciniastrum vaccinia、 Pythium aphanidermatum、Pythium debaryanum、Pythium sulcatum、Pythium ultimum、Ralstonia solanacearum、Ramularia tulasneii、Rhizoctonia solani、Rhizopus arrhizus、Rhizopus stoloniferz、Sclerotinia minor、Sclerotinia homeocarpa、Sclerotium cepivorum、Sclerotium rolfsii、Sclerotinia minor、Sclerotinia sclerotiorum、Septoria apiicola、Septoria lactucae、Septoria lycopersici、Septoria petroelini、Sphaceloma perseae、Sphaerotheca macularis、Spongospora subterrannea、Stemphylium vesicarium、Synchytrium endobioticum、Thielaviopsis basicola、Uncinula necator、Uromyces appendiculatus、Uromyces betae、Verticillium albo-atrum、Verticillium dahliae、Verticillium theobromae、およびその任意の組合せからなる群より選択される、項目18から25のいずれかに記載の方法。
(項目27)
前記病原体が、Botrytis cinereaである、項目18から26のいずれかに記載の方法。
【配列表】