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特許7591568デューティサイクルの光学検出を使用したパルスレーザ出力の測定
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  • 特許-デューティサイクルの光学検出を使用したパルスレーザ出力の測定 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】デューティサイクルの光学検出を使用したパルスレーザ出力の測定
(51)【国際特許分類】
   G01J 1/42 20060101AFI20241121BHJP
   G01J 11/00 20060101ALI20241121BHJP
   A61F 9/008 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
G01J1/42 D
G01J11/00
A61F9/008 120D
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022522881
(86)(22)【出願日】2020-10-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(86)【国際出願番号】 IB2020060173
(87)【国際公開番号】W WO2021090127
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2023-10-19
(31)【優先権主張番号】62/930,263
(32)【優先日】2019-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド デイビッド バチャー
(72)【発明者】
【氏名】デレク チェン
(72)【発明者】
【氏名】コンラッド サウィック
(72)【発明者】
【氏名】ダン テオドレスク
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】実開平3-091938(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0366275(US,A1)
【文献】特表2013-545094(JP,A)
【文献】米国特許第5071249(US,A)
【文献】特開2006-080896(JP,A)
【文献】特開平9-162931(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 1/00-1/60
G01J 11/00
A61F 9/008
A61B 18/22
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Science Direct
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルスレーザ出力を測定するシステムであって、
出力をパルスで放射するように構成されたレーザと、
前記レーザから出力を検知するように位置決めされ、その出力を電気信号に変換するように構成された少なくとも1つのセンサと、
前記少なくとも1つのセンサから電気信号を受信し、前記レーザからの複数の前記パルスの少なくとも立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジをそれらの電気信号から検出するように構成されたエッジ検出器と、
前記少なくとも1つのセンサから電気信号を受信し、それらの電気信号を、レーザ電力出力を示すデジタル信号に変換するように構成されたアナログ/デジタル変換器と、
コントローラと、
を備え、
前記エッジ検出器による前記レーザからの複数の前記パルス検出された前記立ち上がりエッジ及び検出された前記立ち下がりエッジの検出に基づいて、前記コントローラは、前記レーザからの複数の前記パルス各前記パルスの検出された前記立ち上がりエッジと検出された前記立ち下がりエッジとの間のレーザ電力出力の複数のサンプルを前記アナログ/デジタル変換器から取得するように構成され、
前記エッジ検出器による検出された前記立ち下がりエッジの検出に基づいて、前記コントローラは、前記レーザからの前記パルスの間のレーザ電力出力をサンプリングするように構成され、
前記パルスの間のサンプリングレートは、検出された前記立ち上がりエッジと検出された前記立ち下がりエッジとの間のレーザ電力出力のサンプリングレートよりも低くなるように設定される、システム。
【請求項2】
前記エッジ検出器による、前記レーザからの複数の前記パルス検出された前記立ち上がりエッジ及び検出された前記立ち下がりエッジ検出に基づいて、前記コントローラは、前記アナログ/デジタル変換器から、前記レーザからの複数の前記パルスの間における、レーザ電力出力の前記複数のサンプルを取得するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記レーザからの前記パルス間のレーザ電力出力のサンプリングを避けるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記システムは、前記レーザからの複数の前記パルスの各前記パルスの間におけるレーザ電力出力の前記複数のサンプルをフィードバックループにおいて使用して、レーザ電力を所望のレベルに自動的に調整するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記レーザは、1マイクロ秒から100マイクロ秒の持続時間の範囲の前記パルスで出力を放射するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記レーザはキャビティ内倍周波数ダイオード励起固体レーザである、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記レーザからの出力を検知するように位置決めされ、その出力を電気信号に変換するように構成された少なくとも1つのセンサは、電気信号を少なくとも前記エッジ検出器に送信するように構成された第1のセンサと、電気信号を少なくとも前記アナログ/デジタル変換器に送信するように構成された第2のセンサとを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記レーザからの出力を検知するように位置決めされ、その出力を電気信号に変換するように構成された少なくとも1つのセンサは、電気信号を前記エッジ検出器及び前記アナログ/デジタル変換器に送信するように構成された単一のセンサを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記レーザからの出力を検知するように位置決めされ、その出力を電気信号に変換するように構成された少なくとも1つのセンサは、少なくとも1つのフォトダイオードセンサを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記システムは、前記レーザを駆動するように構成され、前記コントローラによって制御されるように構成された駆動回路を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記システムは、前記システムの1つ又は複数の構成要素間で時間を追跡できるようにするよう構成された同期タイマを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
パルスレーザ出力を測定するシステムであって、
出力をパルスで放射するように構成されたレーザと、
前記レーザから出力を検知するように位置決めされ、その出力を電気信号に変換するように構成された少なくとも1つのセンサと、
前記少なくとも1つのセンサから電気信号を受信し、前記レーザからの複数の前記パルスの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジをそれらの電気信号から検出するように構成されたエッジ検出器と、
前記少なくとも1つのセンサから電気信号を受信し、それらの電気信号を、レーザ電力出力を示すデジタル信号に変換するように構成されたアナログ/デジタル変換器と、
コントローラと、
を備え、
前記エッジ検出器による前記レーザからの複数の前記パルスの各前記パルス検出された前記立ち上がりエッジ及び検出された前記立ち下がりエッジの検出に基づいて、前記コントローラは、前記レーザからの複数の前記パルスの各前記パルスの間において、前記アナログ/デジタル変換器からレーザ電力出力の複数のサンプルを取得するように構成され、
前記エッジ検出器による検出された前記立ち下がりエッジの検出に基づいて、前記コントローラは、前記レーザからの前記パルスの間のレーザ電力出力をサンプリングするように構成され、
前記パルスの間のサンプリングレートは、検出された前記立ち上がりエッジと検出された前記立ち下がりエッジとの間のレーザ電力出力のサンプリングレートよりも低くなるように設定され、
前記システムは、前記レーザからの複数の前記パルスの各前記パルスの検出された前記立ち上がりエッジと検出された前記立ち下がりエッジとの間のレーザ電力出力の前記複数のサンプルをフィードバックループに使用して、レーザ電力を所望のレベルに自動的に調整するように構成される、システム。
【請求項13】
パルスレーザ出力を測定する方法であって、
レーザを操作して、出力をパルスで放射させることと、
前記レーザから前記出力を検知し、前記出力を電気信号に変換することと、
前記電気信号から前記レーザの複数の前記パルスの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジを検出することと、
複数の前記パルスの検出された前記立ち上がりエッジ検出に基づいて、前記レーザからの複数の前記パルスの各前記パルス検出された前記立ち上がりエッジと検出された前記立ち下がりエッジとの間のレーザ電力出力の複数のサンプルを取得することと、
複数の前記パルスの検出された前記立ち下がりエッジの検出に基づいて、検出された前記立ち上がりエッジと検出された前記立ち下がりエッジとの間のレーザ電力出力のサンプリングレートよりも低くなるように、前記レーザからの前記パルスの間のサンプリングレートを低減すること、
を含む方法。
【請求項14】
前記レーザからの複数の前記パルスの各前記パルスの間におけるレーザ電力出力の複数のサンプルを取得するステップは、複数の前記パルスの各前記パルスの検出された前記立ち上がりエッジ及び検出された前記立ち下がりエッジ検出に基づいて実行される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記レーザからの複数の前記パルスの間におけるレーザ電力出力の複数のサンプルを取得するステップは、第1のサンプリングレートで実行され、第2のサンプリングレートで前記レーザからの前記パルス間のレーザ電力出力の1つ又は複数のサンプルを取得することを更に含み、前記第2のサンプリングレートは前記第1のサンプリングレートよりも低い、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記レーザからの前記パルス間のレーザ電力出力のサンプリングを避けることを更に含む請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記レーザからの複数の前記パルスの各前記パルスの間におけるレーザ電力出力の前記複数のサンプルをフィードバックループにおいて使用して、レーザ電力を所望のレベルに自動的に調整することを更に含む請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、眼科処置で使用されるパルスレーザ等のパルスレーザの出力の測定に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザは、多くの異なる眼科処置を含む多くの異なる医療処置に使用されている。例えば、治療用レーザは、網膜裂孔などの事象及び糖尿病性網膜症の影響を治療するための、網膜組織の光凝固に使用されている。そのような処置の一例では、レーザプローブの遠位端は、トロカールカニューレを通して眼球に導入される。レーザシステムが作動され、赤色などの第1の色であり得る低出力照準レーザビームが照射され、レーザプローブがどこに向けられているかを示すことができる。術者(例えば、眼科外科医)が照準レーザビームを目的のスポットに向けると、次いで、術者はレーザシステムを作動させて、緑色などの第2の色であり得る治療用レーザビームを目的のスポット又は目的のスポットの周囲の領域に照射し、治療(例えば、光凝固)を行うことができる。
【0003】
幾つかのレーザ用途では、パルスレーザを使用することが望ましいことがある。パルスレーザでは、レーザ出力は連続波ではなく一連の短いパルスで生じる。パルスレーザは、例えば網膜組織の光凝固のために眼科処置で使用されるものなどの治療用レーザに有用であることができる。
【0004】
レーザシステムでは、多くの場合、所望量の出力が行われているか否かを突き止め、それに従ってレーザ出力を調整するために、レーザの電力又はエネルギー出力を特定することが望ましい。幾つかのシステムでは、レーザ出力は、レーザの駆動に使用される電気信号に基づいて特定されてきた。しかしながら、レーザの可視出力は供給電流にそのまま従わないことがある。この欠点は、特定のタイプのレーザで悪化し得る。例えば、ポンプレーザダイオードに供給される電流を変調することにより、キャビティ内倍周波数ダイオード励起固体(DPSS)レーザの出力をオンオフ切り替える場合、レーザ出力の生成に使用される種々のプロセスの物理学に起因して、出力は、立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジで供給電流を遅らせ得る。これは、レーザのデューティサイクルを電気信号から直接測定するのを難しくする。加えて、立ち上がりエッジオーバーシュート及び種々の他の振動などのアーチファクトが、レーザ出力中に生じ得、レーザ出力を電気信号から直接測定するのを更に難しくする。
【0005】
他のシステムでは、レーザ出力は、フォトダイオードなどのセンサを使用してレーザ出力を連続サンプリングし、それにより連続モニタすることによって特定されてきた。この方法は、高帯域幅電子回路を必要とし得、それにより処理要件を複雑にし得る非常に高いサンプリングレートを必要とし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
眼科処置で使用されるパルスレーザなどのパルスレーザの出力を測定する改良されたシステム及び方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、眼科処置で使用されるパルスレーザなどのパルスレーザの出力を測定する改良されたシステム及び方法に関する。
【0008】
幾つかの実施形態では、パルスレーザ出力を測定するシステムは、出力をパルスで放射するように構成されたレーザと、レーザから出力を検知するように位置決めされ、その出力を電気信号に変換するように構成された少なくとも1つのセンサと、少なくとも1つのセンサから電気信号を受信し、レーザからの複数のパルスの少なくとも立ち上がりエッジをそれらの電気信号から検出するように構成されたエッジ検出器と、少なくとも1つのセンサから電気信号を受信し、それらの電気信号を、レーザ電力出力を示すデジタル信号に変換するように構成されたアナログ/デジタル変換器と、コントローラとを備え、レーザからの複数のパルスの少なくとも立ち上がりエッジのエッジ検出器による検出に基づいて、コントローラは、レーザからの複数のパルス中、アナログ/デジタル変換器からレーザ電力出力の複数のサンプルを取得するように構成される。
【0009】
幾つかの実施形態では、エッジ検出器は、レーザからの複数のパルスの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジを検出するように構成し得る。コントローラは、レーザからの複数のパルスの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジのエッジ検出器による検出に基づいて、アナログ/デジタル変換器から、レーザからの複数のパルス中、レーザ電力出力の複数のサンプルを取得するように構成し得る。
【0010】
幾つかの実施形態では、コントローラは、レーザからのパルス間のレーザ電力出力のサンプリングを避けるように構成し得る。幾つかの実施形態では、コントローラは、パルス中のレーザ電力出力のサンプリングレートと比較して、パルス間のより低いサンプリングレートでレーザからパルス間のレーザ電力出力をサンプリングするように構成し得る。
【0011】
幾つかの実施形態では、本システムは、レーザからの複数のパルス中のレーザ電力出力の複数のサンプルをフィードバックループにおいて使用して、レーザ電力を所望のレベルに自動的に調整するように構成し得る。
【0012】
幾つかの実施形態では、レーザは、1マイクロ秒~100マイクロ秒の持続時間の範囲のパルスで出力を放射するように構成される。いくつかの実施形態では、レーザはキャビティ内倍周波数ダイオード励起固体レーザである。
【0013】
幾つかの実施形態では、レーザからの出力を検知するように位置決めされ、その出力を電気信号に変換するように構成された少なくとも1つのセンサは、電気信号を少なくともエッジ検出器に送信するように構成された第1のセンサと、電気信号を少なくともアナログ/デジタル変換器に送信するように構成された第2のセンサとを備える。幾つかの実施形態では、レーザからの出力を検知するように位置決めされ、その出力を電気信号に変換するように構成された少なくとも1つのセンサは、電気信号をエッジ検出器及びアナログ/デジタル変換器に送信するように構成された単一のセンサを備える。幾つかの実施形態では、レーザからの出力を検知するように位置決めされ、その出力を電気信号に変換するように構成された少なくとも1つのセンサは、少なくとも1つのフォトダイオードセンサを含む。
【0014】
幾つかの実施形態では、本システムは、レーザを駆動するように構成され、コントローラによって制御されるように構成された駆動回路を更に備える。幾つかの実施形態では、本システムは、本システムの1つ又は複数の構成要素間で時間を追跡できるようにするよう構成された同期タイマを更に備える。
【0015】
幾つかの実施形態では、パルスレーザ出力を測定する方法は、レーザを操作して、出力をパルスで放射させることと、レーザから出力を検知し、その出力を電気信号に変換することと、電気信号からレーザからの複数のパルスの立ち上がりエッジを検出することと、少なくとも複数のパルスの立ち上がりエッジの検出に基づいて、レーザからの複数のパルス中のレーザ電力出力の複数のサンプルを取得することとを含む。
【0016】
幾つかの実施形態では、本方法は、電気信号からレーザからの複数のパルスの立ち下がりエッジを検出することを更に含み得る。幾つかの実施形態では、レーザからの複数のパルス中のレーザ電力出力の複数のサンプルを取得するステップは、複数のパルスの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジの検出に基づいて実行される。
【0017】
幾つかの実施形態では、レーザからの複数のパルス中のレーザ電力出力の複数のサンプルを取得するステップは、第1のサンプリングレートで実行され、第2のサンプリングレートでレーザからのパルス間のレーザ電力出力の1つ又は複数のサンプルを取得することを更に含み、第2のサンプリングレートは第1のサンプリングレートよりも低い。幾つかの実施形態では、本方法は、レーザからのパルス間のレーザ電力出力のサンプリングを避けることを更に含む。
【0018】
幾つかの実施形態では、本方法は、レーザからの複数のパルス中のレーザ電力出力の複数のサンプルをフィードバックループにおいて使用して、レーザ電力を所望のレベルに自動的に調整することを更に含む。
【0019】
これらの実施形態及びその他の実施形態並びにそれらの利点は、当業者であれば、本明細書の記載及び添付の図面に鑑みて認識及び理解するであろう。
【0020】
添付図面は、本明細書中に開示する装置及び方法の実装形態を例示し、明細書と共に、本開示の原理を説明する目的を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、パルスレーザの出力を測定するシステムの一例の概略図を示す。
図2図2は、パルスレーザの出力を測定する方法の一例のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の詳細な説明を参照することにより、添付の図面がよりよく理解され得る。
【0023】
本開示の原理の理解を促すことを目的として、図面に示す実装形態を以下で参照し、特定の文言を用いてこれらの実装形態を記述する。但し、本開示の範囲を一切限定するものではないことを理解されたい。説明するシステム、装置、機器、又は方法に対するあらゆる変更形態及び更なる修正形態、並びに本開示の原理の任意の更なる応用は、本開示に関連する当業者であれば通常想起されるものと十分に考えられる。特に、ある実装形態に関して説明される特徴、構成要素、及び/又はステップは、本開示の他の実装形態に関して説明される特徴、構成要素、及び/又はステップと組み合わせてもよい。簡略化のために、場合によっては、全図面を通じて同じ参照番号を用いて同一又は類似部品を参照する。
【0024】
図1は、パルスレーザの出力を測定する一例のシステム50の概略図を示す。図1のシステム50などのパルスレーザの出力を測定するシステムは、網膜組織の光凝固などの眼科処置用のレーザシステムで実施し得る。システム50は、独立型レーザシステム又は眼科処置に使用される眼科システムのレーザモジュールであり得る全体レーザシステムの一部として実施し得る。例えば、図1のシステム50などのパルスレーザの出力を測定するシステムは、Fort Worth,Texasに本社があるAlconのPUREPOINT(登録商標)Vision Systemに類似するレーザシステムに組み込まれてもよく、このレーザシステムは、同じくAlconのCENTURION(登録商標)Vision Systemの制御コンソールなどの制御コンソールのための独立型レーザシステム又はレーザモジュールとして使用され得る。
【0025】
図1に示す一例のシステム50は、パルスレーザとして動作し得るレーザ18を含み、即ち、レーザ出力が連続波ではなく一連の短いパルスで生じるように動作し得る。一例として、レーザ18は、ポンプレーザダイオードに供給される電流を変調することによってパルスレーザとして動作するキャビティ内倍周波数ダイオード励起固体(DPSS)レーザであり得る。この例でのレーザ18は、眼科処置で網膜組織を光凝固するのに有用な出力を放射する。放射された出力は例えば、例えば520nm~560nmの範囲の緑色スペクトル範囲の可視光であり得る。一例として、レーザ18から放射される出力は、532nm又はその前後の波長を有する緑色可視光であり得る。他の種類のレーザ及び異なる波長のレーザ出力を使用することもできる。
【0026】
幾つかの実施形態では、レーザ18のパルス化は短いパルスで行われ得、各パルスは1~100マイクロ秒以下の範囲である。他の実施形態では、レーザ18のパルス化はより長いパルスで行われ得、各パルスは100マイクロ秒よりも長く、例えば100マイクロ秒~30ミリ秒の範囲であり、又は30ミリ秒超である。幾つかの適用形態では、短パルスを有するレーザの動作は治療又は臨床的利点を有し得る。
【0027】
レーザ18は、レーザ18を駆動する駆動回路14を制御するコントローラ10によって動作し得る。コントローラ10は、通信パス12によって示されるように駆動回路14と通信する。駆動回路14は、通信パス16によって示されるようにレーザ18と通信する。
【0028】
図1は、レーザ18から一連の短いパルスで放射されるレーザ出力20を示す。図1に示すように、システム50は、第1のセンサ22及び第2のセンサ28等の1つ又は複数のセンサを含む。いくつかの実施形態では、システム50は第1のセンサ22のみを含み得、第2のセンサ28は省き得る。
【0029】
第1のセンサ22及び第2のセンサ28(使用される場合)などの各センサは、レーザ18の出力を測定することが可能なセンサである。例えば、センサ22、28の各々は、光を電気信号に変換する半導体フォトダイオードセンサなどの適した光学センサであり得る。例えば、センサ22、28の各々は、レーザ電力に比例する電気信号を生成する半導体フォトダイオードセンサであり得る。レーザ電力への電気信号の変換は、センサが検知されたレーザ電力を反映した出力を提供することができるようにシステム50が製造される場合、較正することができる。
【0030】
幾つかの実施形態では、光をレーザ18から第1のセンサ22及び第2のセンサ28(使用される場合)に向けるために、ビームスプリッタ(図示せず)を出力パスに配置して、レーザ出力の一部をセンサに向け得る。例えば、第1のビームスプリッタを使用して、レーザ出力の約1パーセント以下を第1のセンサ22に向け得、第2のビームスプリッタを使用して、レーザ出力の約1パーセント以下を第2のセンサ28(使用される場合)に向け得、残りのレーザ出力を意図されるターゲットに向けるのに残す。
【0031】
一実施形態例では、システム50は第1のセンサ22のみを含み、第2のセンサ28を含まない。この例では、第1のセンサ22は、出力をエッジ検出器32及びアナログ/デジタル変換器(ADC)34に提供する。第1のセンサ22は、通信パス24により示されるようにエッジ検出器32と通信する。第1のセンサ22は、通信パス26により示されるようにアナログ/デジタル変換器34と通信する。
【0032】
他の実施形態例では、システム50は第1のセンサ22及び第2のセンサ28を含み得る。そのような例では、第1又は第2のセンサ22、28の一方は、出力をエッジ検出器32に提供し、第1又は第2のセンサ22、28の他方は出力をアナログ/デジタル変換器34に提供する。例えば、第1のセンサ22は、通信パス24に沿って出力をエッジ検出器32に提供し得、第2のセンサ28は、別の通信パス(図示せず)に沿って出力をアナログ/デジタル変換器34に提供し得る。そのような一例では、図1に示される通信パス26及び30は省き得る。別の例として、第2のセンサ28は、通信パス30に沿って出力をエッジ検出器32に提供し得、第1のセンサ22は、通信パス26に沿って出力をアナログ/デジタル変換器34に提供し得る。そのような一例では、図1に示される通信パス24は省き得る。別の例では、第1及び第2のセンサ22、28は両方とも、エッジ検出器32及びアナログ/デジタル変換器34の両方と通信し得、出力を提供し得る。
【0033】
センサに関して本明細書で使用される「第1」及び「第2」という呼称は、センサのいかなる特定の位置又は他の特性も示す又は暗示することが意図されない。むしろ、センサに関して本明細書で「第1」及び「第2」という呼称が使用される場合、一方のセンサを他方のセンサから区別するためだけに使用される。例えば、第1のセンサ又は第2のセンサは、レーザ出力の近くに位置し得、第1のセンサ及び/又は第2のセンサは出力をエッジ検出器に提供し得、第1のセンサ及び/又は第2のセンサは出力をアナログ/デジタル変換器に提供し得る。
【0034】
エッジ検出器32は、接続されたセンサから受信した信号からレーザパルスのエッジを検出することができる構成要素である。レーザ出力は、レーザが電磁放射(例えば光)を放射している時間期間を表すデューティサイクルを有する。エッジ検出器32は、接続されたセンサから受信した信号を閾値量と比較するコンパレータを含み得る。閾値を超えた場合、コンパレータは論理を変更する。例えば、レーザ出力がオンになる、即ちパルスを開始するとき、エッジ検出器32に接続されたセンサからの信号は閾値未満から閾値超になり、コンパレータは、出力の存在又は高出力を示すように論理を変更し、エッジ検出器32はパルスの立ち上がりエッジを検出する。レーザ出力がオフになる、即ちパルスを終えるとき、エッジ検出器32に接続されたセンサからの信号は閾値超から閾値未満になり、コンパレータは、出力がないこと又は低出力を示すように論理を変更し、エッジ検出器32はパルスの立ち下がりエッジを検出する。閾値量は、用途に応じて所望の量に調整することができる。エッジ検出器32は、通信パス36により示されるように出力をコントローラ10に提供することができる。代替の実施形態では、エッジ検出器32はコントローラ10の一部として実施し得る。
【0035】
アナログ/デジタル変換器34は、接続されたセンサから受信した電気信号を、レーザ電力を表す又は示すデジタル信号に変換することができる構成要素である。接続されたセンサはアナログ/デジタル変換器34に連続して出力し得、したがって、アナログ/デジタル変換器34は、任意の所望の瞬間に読み取り値をコントローラ10に提供することができる。アナログ/デジタル変換器は、通信パス38により示されるように出力をコントローラ10に提供することができる。代替の実施形態では、アナログ/デジタル変換器34はコントローラ10の一部として実施し得る。
【0036】
図1に示すように、システム50は、システム50の構成要素の1つ又は複数間で時間を追跡できるようにする同期タイマ40を更に含む。図1に示すように、信号は、通信パス42に沿って同期タイマ40とエッジ検出器32との間で通信し得、信号は、通信パス44に沿って同期タイマ40とアナログ/デジタル変換器34との間で通信し得、信号は、通信パス46に沿って同期タイマ40とコントローラ10との間で通信し得、且つ/又は信号は通信パス48に沿って同期タイマ40と駆動回路14との間で通信し得る。
【0037】
一実施形態例では、同期タイマ40は共通時間情報を指定された構成要素の1つ又は複数に提供する。このようにして、例えば、コントローラ10は、パルスの立ち上がりエッジ又はパルスの立ち下がりエッジなどのエッジ検出器32からの信号を、同期タイマ40によって保持される特定の瞬間と関連付けることができる。同様に、コントローラ10は、同期タイマ40によって保持される特定の瞬間、例えば、エッジ検出器32がパルスの立ち上がりエッジを検出した後の特定の時間期間に、アナログ/デジタル変換器34からのサンプル読み取りを要求することができる。各構成要素は、同期タイマ40からのタイミング情報に基づいてイベント又は信号にタイムスタンプを付与する能力を有し得る。
【0038】
図2は、図1の一例のシステムを使用してパルスレーザの出力を測定する一例の方法のフローチャートを示す。図2に示される一例の方法ステップは一実施形態のみを表し、本開示の範囲内で他の変形も可能である。
【0039】
ステップ60において、コントローラ10は、レーザ18がパルス出力を放射するようにレーザ18を操作するよう駆動回路14に指示する。コントローラ10は、所望の時間間隔でのレーザ18の所望の瞬間電力レベル出力に従ってレーザ18を操作するよう駆動回路14に指示し得る。
【0040】
ステップ62において、センサ22及び/又は28はレーザ出力を検知し、そのレーザ出力を電気信号に変換し、その出力を反映したそれらの電気信号をエッジ検出器32に送信する。幾つかの実施形態では、センサ22及び/又は28はレーザ出力を連続して検知し、その出力を反映した電気信号をエッジ検出器32に連続して送信する。
【0041】
ステップ64において、エッジ検出器32は、複数のレーザパルスの少なくとも立ち上がりエッジを検出し、そのような検出を示す信号をコントローラ10に送信する。信号は、同期タイマ40によって示されたレーザパルスの立ち上がりエッジの時間を含み得、且つ/又はコントローラ10は、同期タイマ40によって示されたレーザパルスの立ち上がりエッジの時間を記録し得る。
【0042】
ステップ66において、少なくとも立ち上がりエッジの検出に基づいて、コントローラ10は、同期タイマ40によって保持された特定の瞬間における、レーザパルス中のレーザ電力を表す一連のサンプルをアナログ/デジタル変換器34から取得する。例えば、パルス長15マイクロ秒を有する一実施形態では、コントローラ10は、各パルス中、アナログ/デジタル変換器34から5~15のサンプル読み取りを取得し得る。コントローラ10は、各パルス中、アナログ/デジタル変換器34から複数のサンプル読み取りを取得し得、複数のパルスのそのようなサンプル読み取りを取得し得る。一例では、コントローラ10は、特定の時間に、関連付けられたセンサ22又は28からのアナログ信号からそれらの時間におけるレーザ出力を示すデジタル信号への一連の変換を実行する1つ又は複数のコマンドをアナログ/デジタル変換器34に送信することにより、アナログ/デジタル変換器34からサンプル信号を取得する。幾つかの実施形態では、コントローラ10は、エッジ検出器32によって示されるパルスの立ち上がりエッジの時間に基づいて、アナログ/デジタル変換器34からの変換を要求し得る。例えば、コントローラ10は、パルスの立ち上がりエッジの時間から特定数の時間サイクル又はタイマ増分において、アナログ/デジタル変換器34からの変換を要求し得る。
【0043】
パルスレーザ方法の出力を測定する方法は、図2に示すステップ又は上述したステップに加えて他のステップを含み得る。例えば、エッジ検出器32はまた、レーザパルスの立ち下がりエッジを検出し、そのような検出を示す信号をコントローラ10に送信することもできる。信号は、同期タイマ40によって示されるレーザパルスの立ち下がりエッジの時間を含み得、且つ/又はコントローラ10は、同期タイマ40によって示されるレーザパルスの立ち下がりエッジの時間を記録し得る。
【0044】
幾つかの実施形態では、コントローラ10は、パルス間でのアナログ/デジタル変換器34からの変換の要求を避け得、即ち、パルス間のレーザ電力のサンプリングレートはゼロであり得る。幾つかの実施形態では、コントローラ10は、パルス中のサンプリングレートと比較して、パルス間では大幅に低下したサンプリングレートでアナログ/デジタル変換器34からの変換を要求し得る。
【0045】
所望であれば、コントローラ10は、パルス間の時間期間中、レーザが出力されないことを確認するために、その時間中、アナログ/デジタル変換器34からレーザ電力を表す1つ又は複数の信号を取得し得る。コントローラ10は、パルス間の1つ又は複数の特定の時間において、関連付けられたセンサ22又は28からのアナログ信号から所望の時間におけるレーザ電力を示すデジタル信号への1つ又は複数の変換を実行するコマンドをアナログ/デジタル変換器34に送信することにより、アナログ/デジタル変換器34から信号を取得し得る。
【0046】
幾つかの実施形態では、コントローラ10は、立ち下がりエッジ情報を利用して、次のパルスまで、アナログ/デジタル変換器34からの変換の要求を控え得、又は次のパルスまでアナログ/デジタル変換器34からの変換レートを下げ得る。幾つかの実施形態では、コントローラ10は、立ち上がりエッジ情報及び既知の又は予期されるパルス持続時間を利用して、次のパルスまで、アナログ/デジタル変換器34からの変換の要求を控え得、又は次のパルスまでアナログ/デジタル変換器34からの変換レートを下げ得る。
【0047】
レーザが動作しているとき、連続読み取りを取得するために、上述したステップ又はそのようなステップのサブセットは、レーザの動作中、繰り返し得る。例えば、エッジ検出器32に接続されたセンサ22及び/又は28はレーザ出力を連続して検出し得、その出力を反映した信号をエッジ検出器32に連続して送信し得る。エッジ検出器32は、複数のレーザパルスにおける各レーザパルスの立ち上がりエッジ又は立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジを検出し得、そのような検出を示す信号をコントローラ10に送信し得る。幾つかの実施形態では、エッジ検出器32は、動作中、各レーザパルスの立ち上がりエッジ又は立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジを連続して検出するように動作し得、そのような検出を示す信号をコントローラ10に送信し得る。上述したように、エッジ検出器32からの信号は、同期タイマ40によって示されたレーザパルスの立ち上がりエッジ又は立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジの時間を含み得、且つ/又はコントローラ10は、同期タイマ40によって示されたレーザパルスの立ち上がりエッジ又は立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジの時間を記録し得る。
【0048】
加えて、アナログ/デジタル変換器34に接続されたセンサ22及び/又は28は、レーザ出力を連続して検出し得、その出力を反映した信号をアナログ/デジタル変換器34に連続して送信し得る。エッジ検出器32によって検出された各パルスについて、コントローラ10は、同期タイマ40によって保持された特定の瞬間における、そのパルス中のレーザ電力を表す一連の信号をアナログ/デジタル変換器34から取得し得る。一例として、コントローラ10は、各パルス中、アナログ/デジタル変換器34から5~15のサンプル読み取りを取得し得る。
【0049】
幾つかの実施形態では、システム50は、電力読み取りをフィードバックループで使用して、レーザ電力を所望のレベルに自動的に調整し得る。例えば、レーザ18が所望量の電力未満を出力していることを電力読み取りが示している場合、コントローラ10は、例えばレーザ18への電流量を上げることにより、レーザ18をより高電力で動作させるよう駆動回路14に指示し得る。同様に、レーザ18が所望量の電力を超える電力を出力していることを電力読み取りが示している場合、コントローラ10は、例えばレーザ18への電流量を減らすことにより、レーザ18をより低電力で動作させるよう駆動回路14に指示し得る。調整は、連続して又は間隔を置いて、例えば数パルスごと、又は1ミリ秒ごと、又は別の時間間隔で行い得る。
【0050】
幾つかの実施形態では、システム50は、電力読み取りを使用して、情報を別のシステム又は、例えばディスプレイ上でシステムのオペレータに出力し得る。例えば、システム50は電力読み取りを使用して、レーザの電力又はエネルギーに関する情報を出力し得る。
【0051】
幾つかの実施形態では、システム50は電力読み取りを使用してパルスエネルギーを計算し得る。パルス持続時間及びパルス中の平均電力の両方を測定することにより、システムを制御するためにパルスエネルギーを特定し得る。これは例えば、200ミリワット(200mW)~1ワット(1W)のピーク電力レベル又は他の適したピーク電力レベルでのマイクロパルス動作中、使用し得る。
【0052】
幾つかの実施形態では、レーザが動作中であるが、治療に使用されていない間、電力調整を行い得る。例えば、システム50は、センサ22及び/又は28の下流にレーザ出力と並んで1つ又は複数のシャッタを含み得る。シャッタは、レーザがシステムから出ない(患者の網膜に到達しない)ようにレーザ出力をブロックすることができる。上述のシャッタが閉じた状態では、システム50は、レーザを治療で使用するためにシャッタを開く前、レーザ電力をモニタし、所望のレベルに調整するのに使用され得る。
【0053】
当業者ならば理解するように、本明細書に開示されるシステム及び方法は、従来のシステム及び方法よりも優れた利点を有する。例えば、幾つかの従来のシステム及び方法では、レーザ出力は、レーザの駆動に使用される電気信号に基づいて特定され、これは、レーザの可視出力が供給電流にそのまま従わない場合、大きな欠点を有する恐れがある。本明細書に記載のシステム及び方法は、レーザ出力を検出する1つ又は複数のセンサを使用することによってレーザ出力を直接測定することができ、電気入力に基づいてレーザ出力を特定するシステム及び方法と比較してより正確な情報を提供する。
【0054】
他の従来のシステム及び方法では、レーザ出力は、非常に高いサンプリングレートを必要とすることがあり、且つプロセッサの活動に高い要求を課し得るレーザ出力を連続してサンプリングするセンサを使用することによって特定されてきた。本明細書に記載のシステム及び方法は、光学パルスへのデータ収集の正確な同期を提供する。本明細書に記載のシステム及び方法は、レーザ出力がオンになる時間又はオンオフされる時間を直接測定するように構成され、レーザのデューティサイクルを連続して高精度でモニタできるようにし、そしてシステム及び方法が、複数のパルスにおける各パルス中、幾つかの選択されたポイントで平均電力をサンプリングできるようにする。このサンプリングから、複数のパルスにおける各パルスに含まれる総エネルギーを特定することができる。複数のパルスにおける各パルス中の選択されたサンプリング時間にレーザ出力を測定する、本明細書に記載のシステム及び方法は、連続とは対照的に、処理活動にかける要求をはるかに少なくしながら、正確な情報を提供する。
【0055】
加えて、非常に短いレーザパルス、例えばオーダ又はマイクロ秒であり得るサブミリ秒パルスを有する高速パルスレーザを用いて、レーザ出力を連続してモニタするシステムは、非常に重荷になる要求を処理活動にかける。パルス中、選択されたサンプリング時間においてレーザ出力を測定する本明細書に記載のシステム及び方法は、大幅に低下したサンプリングレート及びそれに対応して大きく低下した処理要件で高速パルスレーザをモニタできるようにする。
【0056】
本明細書に記載のシステム及び方法は、様々な電力レベルで機能することができ、パルスの形状が経時変化する場合であっても機能することができる。サンプル情報はフィードバックループで使用して、パルスエネルギーを安全な動作に必要とされる許容差内又は所望の範囲内に維持することができる。
【0057】
用途に応じて、本開示に鑑みて当業者には理解されるように、本明細書に記載の構成要素は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又は組合せで実施し得る。通信パスは物理的な接続であってもよく、又は無線接続であってもよい。一例として、アナログ/デジタル変換器は、コントローラを実装するマイクロコントローラに存在してもよく、又は独立型集積回路若しくは他の構成要素として実装されてもよい。別の例として、エッジ検出器は、コントローラを実装するマイクロコントローラに存在してもよく、又はコントローラを実装するプログラマブル論理の一部であってもよく、又は独立型構成要素であってもよい。
【0058】
当業者であれば、本開示に包含される実装形態が、上述した特定の例示的な実装形態に限定されないことを理解するであろう。この点に関して、例示的な実装形態を図示及び説明してきたが、前述した本開示に対する広範囲の修正形態、変更形態及び置換形態が考えられる。本開示の範囲から逸脱しない限り、前述のものに対するこのような変形形態がなされ得ることが理解される。したがって、添付の特許請求の範囲は、広く且つ本開示と整合するように解釈されることが適切である。
態様(1)によれば、パルスレーザ出力を測定するシステムであって、
出力をパルスで放射するように構成されたレーザと、
前記レーザから出力を検知するように位置決めされ、その出力を電気信号に変換するように構成された少なくとも1つのセンサと、
前記少なくとも1つのセンサから電気信号を受信し、前記レーザからの複数のパルスの少なくとも立ち上がりエッジをそれらの電気信号から検出するように構成されたエッジ検出器と、
前記少なくとも1つのセンサから電気信号を受信し、それらの電気信号を、レーザ電力出力を示すデジタル信号に変換するように構成されたアナログ/デジタル変換器と、
コントローラと、
を備え、
前記レーザからの前記複数のパルスの前記立ち上がりエッジの前記エッジ検出器による前記検出に基づいて、前記コントローラは、前記レーザからの前記複数のパルス中、前記アナログ/デジタル変換器からレーザ電力出力の複数のサンプルを取得するように構成される、システムである。
態様(2)によれば、前記エッジ検出器は、前記レーザからの前記複数のパルスの前記立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジを検出するように構成される。
態様(3)によれば、前記レーザからの前記複数のパルスの前記立ち上がりエッジ及び前記立ち下がりエッジの前記エッジ検出器による前記検出に基づいて、前記コントローラは、前記アナログ/デジタル変換器から、前記レーザからの前記複数のパルス中、レーザ電力出力の前記複数のサンプルを取得するように構成される。
態様(4)によれば、前記コントローラは、前記レーザからのパルス間のレーザ電力出力のサンプリングを避けるように構成される。
態様(5)によれば、前記コントローラは、パルス中のレーザ電力出力のサンプリングレートと比較して、パルス間、より低いサンプリングレートで前記レーザからパルス間のレーザ電力出力をサンプリングするように構成される。
態様(6)によれば、前記システムは、前記レーザからの前記複数のパルス中のレーザ電力出力の前記複数のサンプルをフィードバックループにおいて使用して、レーザ電力を所望のレベルに自動的に調整するように構成される。
態様(7)によれば、前記レーザは、1マイクロ秒から100マイクロ秒の持続時間の範囲のパルスで出力を放射するように構成される。
態様(8)によれば、前記レーザはキャビティ内倍周波数ダイオード励起固体レーザである。
態様(9)によれば、前記レーザからの出力を検知するように位置決めされ、その出力を電気信号に変換するように構成された少なくとも1つのセンサは、電気信号を少なくとも前記エッジ検出器に送信するように構成された第1のセンサと、電気信号を少なくとも前記アナログ/デジタル変換器に送信するように構成された第2のセンサとを備える。
態様(10)によれば、前記レーザからの出力を検知するように位置決めされ、その出力を電気信号に変換するように構成された少なくとも1つのセンサは、電気信号を前記エッジ検出器及び前記アナログ/デジタル変換器に送信するように構成された単一のセンサを備える。
態様(11)によれば、前記レーザからの出力を検知するように位置決めされ、その出力を電気信号に変換するように構成された少なくとも1つのセンサは、少なくとも1つのフォトダイオードセンサを含む。
態様(12)によれば、前記システムは、前記レーザを駆動するように構成され、前記コントローラによって制御されるように構成された駆動回路を更に備える。
態様(13)によれば、前記システムは、前記システムの1つ又は複数の構成要素間で時間を追跡できるようにするよう構成された同期タイマを更に備える。
態様(14)によれば、パルスレーザ出力を測定するシステムであって、
出力をパルスで放射するように構成されたレーザと、
前記レーザから出力を検知するように位置決めされ、その出力を電気信号に変換するように構成された少なくとも1つのセンサと、
前記少なくとも1つのセンサから電気信号を受信し、前記レーザからの複数のパルスの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジをそれらの電気信号から検出するように構成されたエッジ検出器と、
前記少なくとも1つのセンサから電気信号を受信し、それらの電気信号を、レーザ電力出力を示すデジタル信号に変換するように構成されたアナログ/デジタル変換器と、
コントローラと、
を備え、
前記レーザからの前記複数のパルスの前記立ち上がりエッジ及び前記立ち下がりエッジの前記エッジ検出器による前記検出に基づいて、前記コントローラは、前記レーザからの前記複数のパルス中、前記アナログ/デジタル変換器からレーザ電力出力の複数のサンプルを取得するように構成され、
前記システムは、前記レーザからの前記複数のパルスの各パルス中のレーザ電力出力の前記複数のサンプルをフィードバックループに使用して、レーザ電力を所望のレベルに自動的に調整するように構成される、システムである。
態様(15)によれば、パルスレーザ出力を測定する方法であって、
レーザを操作して、出力をパルスで放射させることと、
前記レーザから前記出力を検知し、その出力を電気信号に変換することと、
前記電気信号から前記レーザの複数のパルスの立ち上がりエッジを検出することと、
少なくとも前記複数のパルスの前記立ち上がりエッジの前記検出に基づいて、前記レーザからの前記複数のパルス中のレーザ電力出力の複数のサンプルを取得することと、
を含む方法である。
態様(16)によれば、前記電気信号から前記レーザからの前記複数のパルスの前記立ち下がりエッジを検出することを更に含む。
態様(17)によれば、前記レーザからの前記複数のパルス中のレーザ電力出力の複数のサンプルを取得するステップは、前記複数のパルスの前記立ち上がりエッジ及び前記立ち下がりエッジの前記検出に基づいて実行される。
態様(18)によれば、前記レーザからの前記複数のパルス中のレーザ電力出力の複数のサンプルを取得するステップは、第1のサンプリングレートで実行され、第2のサンプリングレートで前記レーザからのパルス間のレーザ電力出力の1つ又は複数のサンプルを取得することを更に含み、前記第2のサンプリングレートは前記第1のサンプリングレートよりも低い。
態様(19)によれば、前記レーザからのパルス間のレーザ電力出力のサンプリングを避けることを更に含む。
態様(20)によれば、前記レーザからの前記複数のパルス中のレーザ電力出力の前記複数のサンプルをフィードバックループにおいて使用して、レーザ電力を所望のレベルに自動的に調整することを更に含む。
図1
図2