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特許7591581多環芳香族誘導体化合物を用いた有機発光素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】多環芳香族誘導体化合物を用いた有機発光素子
(51)【国際特許分類】
   H10K 85/60 20230101AFI20241121BHJP
   C07D 209/88 20060101ALI20241121BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20241121BHJP
   H10K 50/12 20230101ALI20241121BHJP
   H10K 50/15 20230101ALI20241121BHJP
   H10K 50/16 20230101ALI20241121BHJP
   H10K 50/17 20230101ALI20241121BHJP
   H10K 50/18 20230101ALI20241121BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20241121BHJP
   H10K 71/12 20230101ALI20241121BHJP
   H10K 71/16 20230101ALI20241121BHJP
   H10K 85/30 20230101ALI20241121BHJP
【FI】
H10K85/60
C07D209/88
C09K11/06 660
C09K11/06 690
H10K50/12
H10K50/15
H10K50/16
H10K50/17
H10K50/18
H10K59/10
H10K71/12
H10K71/16
H10K85/30
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022556274
(86)(22)【出願日】2021-03-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-16
(86)【国際出願番号】 KR2021003379
(87)【国際公開番号】W WO2021187924
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2022-09-16
(31)【優先権主張番号】10-2020-0033291
(32)【優先日】2020-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】507074834
【氏名又は名称】エスエフシー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 武史
(72)【発明者】
【氏名】シム, ソ-ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ユ, セ-ジン
(72)【発明者】
【氏名】チョ, ジン-フィ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, ヨン-ウン
【審査官】岩井 好子
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-532753(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0140421(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-2053569(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0299856(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0006199(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0213969(US,A1)
【文献】特開2005-290000(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 85/60
C07D 209/88
C09K 11/06
H10K 50/12
H10K 50/15
H10K 50/16
H10K 50/17
H10K 50/18
H10K 71/12
H10K 71/16
H10K 85/30
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極、該第1電極に対向している第2電極、前記第1電極と前記第2電極との間に介在している正孔注入層又は正孔輸送層及び発光層を含み、
(i)前記正孔注入層又は前記正孔輸送層は、下記[化学式A]で表示される化合物を1種以上含み、
(ii)前記発光層は、下記[化学式1]、[化学式33]及び[化学式95]のいずれか一つで表示される化合物を含むことを特徴とする有機発光素子:
[化学式A]
上記[化学式A]において、
Lは、単一結合であり、
nは、1であり、
Arは、置換又は非置換された炭素数5~50のアリール基及び置換又は非置換された炭素数2~50のヘテロアリール基から選ばれるいずれか一つであり、
~Rは、互いに同一であるか又は異なり、それぞれ独立に、水素、重水素、置換又は非置換された炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換された炭素数6~50のアリール基、置換又は非置換された炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換された炭素数2~50のヘテロアリール基、置換又は非置換された炭素数1~30のアルコキシ基、置換又は非置換された炭素数6~30のアリールオキシ基、置換又は非置換された炭素数1~30のアルキルチオキシ基、置換又は非置換された炭素数5~30のアリールチオキシ基、置換又は非置換された炭素数1~30のアルキルアミン基、置換又は非置換された炭素数5~30のアリールアミン基、置換又は非置換された炭素数1~30のアルキルシリル基、置換又は非置換された炭素数5~30のアリールシリル基、ニトロ基、シアノ基及びハロゲン基から選ばれるいずれか一つであり、
前記RとRは、それぞれ互いに連結されて脂環族又は芳香族の単環又は多環リングをさらに形成可能である。
[化学式1]
[化学式33]
[化学式95]
【請求項2】
上記[化学式A]で表示される前記化合物は、下記化学式で表示される化合物から選ばれるいずれか一つの化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の有機発光素子。









【請求項3】
前記第1電極と第2電極との間には、前記正孔注入層、前記正孔輸送層及び前記発光層の他に、電子注入層、電子輸送層、電子遮断層、正孔遮断層及び正孔補助層から選ばれるいずれか1層以上をさらに含む、請求項1に記載の有機発光素子。
【請求項4】
それぞれの前記層から選ばれる1以上の層は、蒸着工程又は溶液工程によって形成されることを特徴とする、請求項に記載の有機発光素子。
【請求項5】
前記有機発光素子は、平板ディスプレイ装置;フレキシブルディスプレイ装置;単色又は白色の平板照明用装置;及び、単色又は白色のフレキシブル照明用装置;から選ばれるいずれか一つに用いられることを特徴とする、請求項1に記載の有機発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多環芳香族誘導体化合物を素子内有機層に採用して発光効率が顕著に向上した高効率の有機発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光素子は、電子注入電極(カソード電極)から注入された電子(electron)と正孔注入電極(アノード電極)から注入された正孔(hole)とが発光層で結合してエキシトン(exiton)を形成し、そのエキシトンがエネルギーを放出しながら発光する自発光型素子であり、このような有機発光素子は、低い駆動電圧、高い輝度、広い視野角及び速い応答速度を有し、フルカラー平板発光ディスプレイに適用可能であるとの利点から、次世代光源として脚光を浴びている。
【0003】
かかる有機発光素子が上記のような特徴を発揮するためには、素子内の有機層の構造を最適化し、各有機層をなす物質である正孔注入物質、正孔輸送物質、発光物質、電子輸送物質、電子注入物質、電子阻止物質などを安定且つ効率的な材料によってサポートすることが先行される必要があるが、依然として、安定且つ効率的な有機発光素子用の有機層の構造及び各材料の開発が必要な現状である。
【0004】
このように、有機発光素子の発光特性を改善できる素子の構造とこれをサポートする新しい材料の開発が望まれつつある実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明は、素子の発光層に採用される化合物と正孔輸送層又は正孔注入層に採用される化合物を素子内に構成することにより、低電圧駆動が可能であり、外部量子効率に優れた高効率の有機発光素子を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、第1電極、該第1電極に対向している第2電極、前記第1電極と第2電極との間に介在している正孔注入層又は正孔輸送層及び発光層を含む有機発光素子を提供する。
【0007】
本発明に係る有機発光素子は、(i)前記正孔注入層又は正孔輸送層に、下記[化学式A]で表示される化合物を1種以上含み、(ii)前記発光層に、下記[化学式B]、[化学式C]又は[化学式D]で表示される化合物を含むことを特徴とする。
【0008】
[化学式A]
【0009】
【0010】
[化学式B]
【0011】
【0012】
[化学式C]
【0013】
【0014】
[化学式D]
【0015】
【0016】
上記[化学式A]~[化学式D]の構造及びこれによって具現される具体的な化合物及び各置換基に関する説明は後述する。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る有機発光素子は、正孔注入層又は正孔輸送層及び発光層に特徴的構造を有する化合物をそれぞれ正孔輸送材料及びドーパント材料として採用することにより、低電圧駆動が可能であり、外部量子効率に優れた高効率の発光特性を具現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0019】
本発明は、第1電極、該第1電極に対向している第2電極、前記第1電極と第2電極との間に介在している正孔注入層又は正孔輸送層及び発光層を含む有機発光素子に関し、(i)前記正孔注入層又は正孔輸送層は、下記[化学式A]で表示される化合物を1種以上含み、(ii)前記発光層は、下記[化学式B]~[化学式D]で表示される化合物を含むことを特徴とし、これにより、本発明に係る有機発光素子は高効率の有機発光素子を具現できることを特徴とする。
【0020】
まず、本発明に係る有機発光素子において、正孔注入層又は正孔輸送層に採用される[化学式A]で表示される化合物について説明すれば、次の通りである。
【0021】
[化学式A]
【0022】
【0023】
上記[化学式A]において、
【0024】
Lは、単一結合である、置換又は非置換された炭素数6~50の芳香族炭化水素環である、又は置換又は非置換された炭素数2~50の芳香族ヘテロ環であり、nは1~3の整数であり、前記nが2以上の場合に、複数のLは互いに同一であるか又は異なる。
【0025】
本発明の一実施例によれば、上記[化学式A]において、Lは単一結合であるか、或いは置換又は非置換された炭素数6~50の芳香族炭化水素環であってよく、また、前記置換又は非置換された炭素数6~50の芳香族炭化水素環は、置換又は非置換されたフェニル基、置換又は非置換されたビフェニル基、置換又は非置換されたナフチル基、置換又は非置換されたフェナントリル基、若しくは置換又は非置換されたフルオレニル基であってよい。
【0026】
Arは、置換又は非置換された炭素数5~50のアリール基及び置換又は非置換された炭素数2~50のヘテロアリール基から選ばれるいずれか一つである。
【0027】
Ra~Rcは互いに同一であるか又は異なり、それぞれ独立に、水素、重水素、置換又は非置換された炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換された炭素数6~50のアリール基、置換又は非置換された炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換された炭素数2~50のヘテロアリール基、置換又は非置換された炭素数1~30のアルコキシ基、置換又は非置換された炭素数6~30のアリールオキシ基、置換又は非置換された炭素数1~30のアルキルチオキシ基、置換又は非置換された炭素数5~30のアリールチオキシ基、置換又は非置換された炭素数1~30のアルキルアミン基、置換又は非置換された炭素数5~30のアリールアミン基、置換又は非置換された炭素数1~30のアルキルシリル基、置換又は非置換された炭素数5~30のアリールシリル基、ニトロ基、シアノ基及びハロゲン基から選ばれるいずれか一つである。
【0028】
また、前記RbとRcはそれぞれ互いに連結され、脂環族、又は芳香族の単環又は多環リングをさらに形成できる。
【0029】
次に、本発明に係る有機発光素子において、発光層に採用される下記[化学式B]~[化学式D]で表示される化合物について説明すれば、次の通りである。
【0030】
[化学式B]
【0031】
【0032】
[化学式C]
【0033】
【0034】
[化学式D]
【0035】
【0036】
上記[化学式B]~[化学式D]において、
【0037】
Q1~Q3は互いに同一であるか又は異なり、それぞれ独立に、置換又は非置換された炭素数6~50の芳香族炭化水素環、又は置換又は非置換された炭素数2~50の芳香族ヘテロ環である。
【0038】
Yは、N-R1、CR2R3、O、S、Se及びSiR4R5から選ばれるいずれか一つであり、複数のYは互いに同一であるか又は異なる。
【0039】
本発明の一実施例によれば、上記[化学式B]~[化学式D]におけるYは、NR1であってよい。
【0040】
Xは、B、P及びP=Oから選ばれるいずれか一つであり、本発明の好ましい実施例によれば、Bであってよく、構造的にボロン(B)を含む多環芳香族誘導体化合物を素子の発光層内にドーパント化合物として採用して高効率の有機発光素子を具現できることを特徴とする。
【0041】
前記R1~R5は互いに同一であるか又は異なり、それぞれ独立に、水素、重水素、置換又は非置換された炭素数1~30のアルキル基、置換又は非置換された炭素数6~50のアリール基、置換又は非置換された炭素数3~30のシクロアルキル基、置換又は非置換された炭素数2~50のヘテロアリール基、置換又は非置換された炭素数1~30のアルコキシ基、置換又は非置換された炭素数6~30のアリールオキシ基、置換又は非置換された炭素数1~30のアルキルチオキシ基、置換又は非置換された炭素数5~30のアリールチオキシ基、置換又は非置換された炭素数1~30のアルキルアミン基、置換又は非置換された炭素数5~30のアリールアミン基、置換又は非置換された炭素数1~30のアルキルシリル基、置換又は非置換された炭素数5~30のアリールシリル基、ニトロ基、シアノ基及びハロゲン基から選ばれるいずれか一つである。
【0042】
前記R1~R5はそれぞれ、前記Q1~Q3環と結合して脂環族又は芳香族の単環又は多環リングをさらに形成でき、前記R2とR3及びR4とR5はそれぞれ互いに連結されて脂環族又は芳香族の単環又は多環リングをさらに形成できる。
【0043】
また、上記[化学式B]~[化学式D]において、Cy1、Cy2、Cy3は、環を形成することを表すものであり、次の通りである。
【0044】
Cy1は、隣接した窒素(N)原子及び隣接したQ1環内の芳香族炭素原子とそれぞれ連結され、窒素(N)原子;前記窒素(N)原子が結合するQ1環内の芳香族炭素原子;及び、前記Cy1が結合するQ1環内の芳香族炭素原子;を含んで縮合環を形成する。
【0045】
また、前記Cy1によって形成される縮合環は、窒素(N)原子;前記窒素(N)原子が結合するQ1環内の芳香族炭素原子;及び、前記Cy1が結合するQ1環内の芳香族炭素原子;を除けば、置換又は非置換された炭素数2~5のアルキレン基である。
【0046】
Cy2は、前記Cy1に付加されて飽和炭化水素環を形成する。
【0047】
また、前記Cy2によって形成される環は、Cy1に含まれる炭素原子;を除けば、置換又は非置換された炭素数2~5のアルキレン基である。
【0048】
Cy3は、隣接したCy1内の窒素原子と結合した炭素原子及びQ3環内の芳香族炭素原子とそれぞれ連結され、前記Cy3が結合するQ3環内の芳香族炭素原子;窒素(N)原子;前記窒素(N)原子と結合したCy1内の炭素原子;を含んで縮合環を形成する。
【0049】
また、前記Cy3によって形成される縮合環は、前記Cy3が結合するQ3環内の芳香族炭素原子;窒素(N)原子;及び、前記窒素(N)原子と結合したCy1内の炭素原子;を除けば、置換又は非置換された炭素数1~4のアルキレン基である。
【0050】
上記[化学式B]~[化学式D]で表示される化合物は、前記のような各置換基の定義によって様々な多環芳香族骨格構造を形成でき、その具体的な構造は、後述する具体的な化合物からその構造が明確に確認でき、これを用いて有機発光素子の発光層採用化合物の特性を満たし、高効率の有機発光素子を具現することができる。
【0051】
一方、本発明において「置換又は非置換された」という用語は、[化学式A]~[化学式D]に記載された様々な置換基などがそれぞれ、重水素、シアノ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、ニトロ基、炭素数1~24のアルキル基、炭素数3~24のシクロアルキル基、炭素数1~24のハロゲン化されたアルキル基、炭素数1~24のアルケニル基、炭素数1~24のアルキニル基、炭素数1~24のヘテロアルキル基、炭素数1~24のヘテロシクロアルキル基、炭素数6~24のアリール基、炭素数6~24のアリールアルキル基、炭素数2~24のヘテロアリール基、炭素数2~24のヘテロアリールアルキル基、炭素数1~24のアルコキシ基、炭素数1~24のアルキルアミノ基、炭素数1~24のアリールアミノ基、炭素数1~24のヘテロアリールアミノ基、炭素数1~24のアルキルシリル基、炭素数1~24のアリールシリル基、炭素数1~24のアリールオキシ基からなる群から選ばれる1又は2以上の置換基で置換される、前記置換基のうち2以上の置換基が連結された置換基で置換される、又はいかなる置換基も有しないことを意味する。
【0052】
また、前記「置換又は非置換された炭素数1~10のアルキル基」、「置換又は非置換された炭素数6~30のアリール基」などにおける前記アルキル基又はアリール基の炭素数の範囲は、前記置換基が置換された部分を考慮しないで非置換されたものと見なした時のアルキル部分又はアリール部分を構成する全体炭素数を意味する。例えば、パラ位置にブチル基が置換されたフェニル基は、炭素数4のブチル基で置換された炭素数6のアリール基に該当するものを意味する。
【0053】
また、本発明において、「隣接する基と互いに結合して環を形成する」との意味は、隣接する基と互いに結合して置換又は非置換された脂環族、芳香族環を形成できることを意味し、「隣接する置換基」は、当該置換基が置換された原子と直接連結された原子に置換された置換基、当該置換基と立体構造的に最も近くに位置した置換基、又は当該置換基が置換された原子に置換された他の置換基を意味できる。例えば、ベンゼン環においてオルト(ortho)位置に置換された2個の置換基及び脂肪族環において同一炭素に置換された2個の置換基は、互いに「隣接する置換基」と解釈されてよい。
【0054】
本発明において、アルキル基は直鎖又は分枝鎖であってよく、炭素数は、特に限定されないが、1~20であることが好ましい。具体的な例には、メチル基、エチル基、プロピル基、n-プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、1-メチル-ブチル基、1-エチル-ブチル基、ペンチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、ヘキシル基、n-ヘキシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、4-メチル-2-ペンチル基、3,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、へプチル基、n-へプチル基、1-メチルヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、オクチル基、n-オクチル基、tert-オクチル基、1-メチルへプチル基、2-エチルヘキシル基、2-プロピルペンチル基、n-ノニル、2,2-ジメチルへプチル基、1-エチル-プロピル基、1,1-ジメチル-プロピル基、イソヘキシル基、2-メチルペンチル基、4-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基などがあるが、これらに限定されない。
【0055】
本発明において、アルケニル基は、直鎖又は分枝鎖を含み、他の置換基によってさらに置換されてよく、具体的には、ビニル基、1-プロフェニル基、イソプロフェニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、3-メチル-1-ブテニル基、1,3-ブタジエニル基、アリル基、1-フェニルビニル-1-イル基、2-フェニルビニル-1-イル基、2,2-ジフェニルビニル-1-イル基、2-フェニル-2-(ナフチル-1-イル)ビニル-1-イル基、2,2-ビス(ジフェニル-1-イル)ビニル-1-イル基、スチルベニル基、スチレニル基などがあるが、これらに限定されない。
【0056】
本発明において、アルキニル基も同様、直鎖又は分枝鎖を含み、他の置換基によってさらに置換されてよく、エチニル(ethynyl)、2-プロピニル(2-propynyl)などを挙げることができるが、これに限定されない。
【0057】
本発明において、シクロアルキル基は、単環又は多環を含み、他の置換基によってさらに置換されてよく、多環とは、シクロアルキル基が他の環基と直接連結される又は縮合された基を意味するものであり、他の環基とは、シクロアルキル基であってもよいが、他の種類の環基、例えば、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などであってもよい。具体的に、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、3-メチルシクロペンチル基、2,3-ジメチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、3-メチルシクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、2,3-ジメチルシクロヘキシル基、3,4,5-トリメチルシクロヘキシル基、4-tert-ブチルシクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基などがあるが、これに限定されない。
【0058】
本発明において、ヘテロシクロアルキル基は、O、S、Se、N又はSiなどの異種原子を含むものであり、同様に、単環又は多環を含み、他の置換基によってさらに置換されてよく、多環とは、ヘテロシクロアルキル基が他の環基と直接連結される又は縮合された基を意味するものであり、他の環基はヘテロシクロアルキル基であってもよいが、他の種類の環基、例えば、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基などであってもよい。
【0059】
本発明において、アリール基は単環式又は多環式であってよく、単環式アリール基の例には、フェニル基、ビフェニル基、テルフェニル基、スチルベン基などがあり、多環式アリール基の例には、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ピレニル基、ぺリレニル基、テトラセニル基、クライセニル基、フルオレニル基、アセナフタセンニル基、トリフェニレン基、フルオランテン基などがあるが、本発明の範囲がこれらの例に限定されるものではない。
【0060】
本発明において、ヘテロアリール基は、異種原子を含むヘテロ環基であり、その例には、チオフェン基、フラン基、ピロール基、イミダゾール基、チアゾール基、ジオキサゾール基、オキサジアゾール基、トリアゾール基、ピリジル基、ビピリジル基、ピリミジル基、トリアジン基、トリアゾール基、アクリジル基、ピリダジン基、ピラジニル基、キノリニル基、キナゾリン基、キノキサリニル基、フタラジニル基、ピリドピリミジル基、ピリドピラジニル基、ピラジノピラジニル基、イソキノリン基、インドール基、カルバゾール基、ベンゾジオキサゾール基、ベンゾイミダゾール基、ベンゾチアゾール基、ベンゾカルバゾール基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、ベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基、フェナントロリン基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、フェノチアジニル基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0061】
本発明において、アルコキシ基は、具体的には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソブチルオキシ、sec-ブチルオキシ、ペンチルオキシ、iso-アミルオキシ、ヘキシルオキシなどであってよいが、これらに限定されるものではない。
【0062】
本発明において、シリル基は、アルキルで置換されたシリル基又はアリールで置換されたシリル基を意味し、シリル基の具体的な例には、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリル、トリメトキシシリル、ジメトキシフェニルシリル、ジフェニルメチルシリル、ジフェニルビニルシリル、メチルシクロブチルシリル、ジメチルフリルシリルなどを挙げることができる。
【0063】
本発明において、アミン基は、-NH2、アルキルアミン基、アリールアミン基などであってよく、アリールアミン基は、アリールで置換されたアミンを意味し、アルキルアミン基は、アルキルで置換されたアミンを意味し、アリールアミン基の例には、置換又は非置換されたモノアリールアミン基、置換又は非置換されたジアリールアミン基、又は置換又は非置換されたトリアリールアミン基があり、前記アリールアミン基中のアリール基は、単環式アリール基であってよく、多環式アリール基であってよく、前記アリール基が2以上を含むアリールアミン基は、単環式アリール基、多環式アリール基、又は単環式アリール基と多環式アリール基を同時に含むことができる。また、前記アリールアミン基中のアリール基は、前述したアリール基の例示の中から選ばれてよい。
【0064】
本発明において、アリールオキシ基、アリールチオキシ基中のアリール基は、前述したアリール基の例示の通りであり、具体的に、アリールオキシ基としては、フェノキシ基、p-トリルオキシ基、m-トリルオキシ基、3,5-ジメチル-フェノキシ基、2,4,6-トリメチルフェノキシ基、p-tert-ブチルフェノキシ基、3-ビフェニルオキシ基、4-ビフェニルオキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基、4-メチル-1-ナフチルオキシ基、5-メチル-2-ナフチルオキシ基、1-アントリルオキシ基、2-アントリルオキシ基、9-アントリルオキシ基、1-フェナントリルオキシ基、3-フェナントリルオキシ基、9-フェナントリルオキシ基などがあり、アリールチオキシ基としては、フェニルチオキシ基、2-メチルフェニルチオキシ基、4-tert-ブチルフェニルチオキシ基などがあるが、これに限定されるものではない。
【0065】
本発明において、ハロゲン基の例には、フッ素、塩素、ブロム又はヨードがある。
【0066】
より具体的に、本発明に係る[化学式A]で表示される化合物は、下記化学式で表示される化合物1から選ばれるいずれか一つであってよく、これにより具体的な置換基が明確に確認でき、ただし、これによって本発明に係る[化学式A]の範囲が限定されるものではない。
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
また、より具体的に、本発明に係る[化学式B]~[化学式D]で表示される発光層ドーパントとして採用される多環芳香族誘導体化合物は、下記化合物から選ばれるいずれか一つであってよく、これにより具体的な置換基が明確に確認でき、ただし、これによって本発明に係る[化学式B]~[化学式D]の範囲が限定されるものではない。
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
【0095】
【0096】
前記具体的な化合物から確認できるように、B、P、P=Oを含みながら多環芳香族構造を形成し、そこに置換基を導入してその置換基の固有特性を有する有機発光材料を合成でき、特に、発光層に採用されるドーパント物質を製造でき、本発明に係る[化学式A]で表示される化合物と共に素子に採用して高効率の有機発光素子を具現することができる。
【0097】
本発明の一実施例に係る有機発光素子は、第1電極、第2電極、それらの間に配置された正孔注入層及び/又は正孔輸送層及び発光層を含む有機物層を含む構造を有することができ、本発明に係る[化学式A]の化合物を正孔注入層、正孔輸送層、又は正孔注入と正孔輸送の機能を同時に有する機能層内に、本発明に係る[化学式B]~[化学式D]で表示される化合物を発光層内のドーパントとして使用し、通常の素子の製造方法及び材料によって製造されてよい。
【0098】
本発明に係る有機発光素子は、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、正孔注入機能及び正孔輸送機能を同時に有する機能層の他に、電子輸送層、電子注入層、電子阻止層、正孔阻止層なども含むことができ、それぞれの層に必要な材料を採用できる。
【0099】
具体的に、本発明に係る有機発光素子は、下記アントラセン誘導体化合物などを発光層ホスト化合物として採用できる。
【0100】
【0101】
【0102】
【0103】
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
【0114】
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
【0121】
【0122】
【0123】
【0124】
本発明に係る好ましい有機発光素子の有機物層構造などについては、後述する実施例においてより詳細に説明する。
【0125】
一方、本発明の一実施例に係る有機発光素子の具体的な構造、その製造方法及び各有機層材料について説明すると、次の通りである。
【0126】
まず、基板の上部にアノード電極用物質をコートしてアノードを形成する。ここで、基板としては、通常の有機発光素子で用いられる基板を使用するが、透明性、表面平滑性、取り扱いのしやすさ及び防水性に優れた有機基板又は透明プラスチック基板が好ましい。そして、アノード電極用物質としては、透明で、伝導性に優れた酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)などを使用する。
【0127】
前記アノード電極の上部に正孔注入層物質を真空熱蒸着又はスピンコートして正孔注入層を形成し、その後、前記正孔注入層の上部に正孔輸送層物質を真空熱蒸着又はスピンコートして正孔輸送層を形成する。
【0128】
前記正孔注入層材料は、本発明に係る化合物、及び必要によって当業界で一般に使用されるものであれば、特に制限されることなく使用可能であり、具体的な例示として、2-TNATA[4,4’,4’’-tris(2-naphthylphenyl-phenylamino)-triphenylamine]、NPD[N,N’-di(1-naphthyl)-N,N’-diphenylbenzidine)]、TPD[N,N’-diphenyl-N,N’-bis(3-methylphenyl)-1,1’-biphenyl-4,4’-diamine]、DNTPD[N,N’-diphenyl-N,N’-bis-[4-(phenyl-m-tolyl-amino)-phenyl]-biphenyl-4,4’-diamine]、HATCN(Hexaazatriphenylenehexacarbonitrile)などを使用することができる。
【0129】
また、前記正孔輸送層材料も同様、本発明に係る化合物、及び必要によって当業界で一般に用いられるものであれば、特に限定されず、例えば、N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-N,N’-ジフェニル-[1,1-ビフェニル]-4,4’-ジアミン(TPD)又はN,N’-ジ(ナフタレン-1-イル)-N,N’-ジフェニルベンジジン(α-NPD)などを使用することができる。
【0130】
次いで、前記正孔輸送層の上部に正孔補助層及び発光層を続いて積層し、前記発光層の上部に選択的に、正孔阻止層を真空蒸着方法又はスピンコーティング方法によって薄膜を形成できる。前記正孔阻止層は、正孔が有機発光層を通過してカソードに流入する場合には素子の寿命と効率が減少する問題から、HOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)レベルの非常に低い物質を使用することによって当該問題を防止する役割を担う。このとき、使用される正孔阻止物質は、特に限定されないが、電子輸送能力を有すると共に発光化合物に比べて高いイオン化ポテンシャルを有する必要があり、代表的には、BAlq、BCP、TPBIなどが使用されてよい。
【0131】
前記正孔阻止層に用いられる物質として、BAlq、BCP、Bphen、TPBI、NTAZ、BeBq2、OXD-7、Liqなどがあり、これに限定されるものではない。
【0132】
このような正孔阻止層上に電子輸送層を真空蒸着方法又はスピンコーティング方法によって蒸着した後に電子注入層を形成し、前記電子注入層の上部にカソード形成用金属を真空熱蒸着してカソード電極を形成することで、本発明の一実施例に係る有機発光素子が完成する。
【0133】
ここで、カソード形成用金属としては、リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、アルミニウム-リチウム(Al-Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム-インジウム(Mg-In)、マグネシウム-銀(Mg-Ag)などを使用することができ、前面発光素子を得るためには、ITO、IZOを使用した透過型カソードを用いればよい。
【0134】
前記電子輸送層材料としては、カソードから注入された電子を安定して輸送する働きをするものであり、公知の電子輸送物質を使用することができる。公知の電子輸送物質の例としては、キノリン誘導体、特に、トリス(8-キノリノラート)アルミニウム(Alq3)、TAZ、BAlq、ベリリウムビス(ベンゾキノリ-10-ノラート)(beryllium bis(benzoquinolin-10-olate:Bebq2)、オキサジアゾール誘導体であるPBD、BMD、BNDなどのような材料を使用することもできる。
【0135】
また、前記有機層のそれぞれは、単分子蒸着方式又は溶液工程によって形成されてよく、ここで、前記蒸着方式は、前記それぞれの層を形成するための材料として使用される物質を真空又は低圧状態で加熱などによって蒸発させて薄膜を形成する方法を意味し、前記溶液工程は、前記それぞれの層を形成するための材料として使用される物質を溶媒と混合し、それをインクジェット印刷、ロールツーロールコーティング、スクリーン印刷、スプレーコーティング、ディップコーティング、スピンコーティングなどのような方法によって薄膜として形成する方法を意味する。
【0136】
また、本発明に係る有機発光素子は、平板ディスプレイ装置、フレキシブルディスプレイ装置、単色又は白色の平板照明用装置及び単色又は白色のフレキシブル照明用装置から選ばれるいずれかの装置に用いられてよい。
【実施例
【0137】
以下、好ましい実施例を挙げて本発明をより詳細に説明する。ただし、これらの実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲がそれらによって限定されないということは、当業界における通常の知識を有する者に明らかであろう。
【0138】
<[化学式A]合成例>
【0139】
合成例1.化合物12の合成
【0140】
合成例1-1.<中間体12-a>の合成
【0141】
【0142】
<中間体12-a>
【0143】
丸底フラスコに2-ブロモ-9-フェニル-9H-カルバゾール(11.3g、0.035mol)、4-アミノビフェニル(6.6g、0.039mol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.65g、0.0007mol)、ナトリウムtert-ブトキシド(6.79g、0.0706mol)、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフタレン(0.44g、0.0007mol)トルエン100mLを入れて3時間還流撹拌した。反応完了後に常温冷却し、酢酸エチルと水で抽出した。有機層は分離して硫酸マグネシウムで無水処理後に減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィーで分離して<中間体12-a>12.2gを得た。(収率85%)
【0144】
合成例1-2.<化合物12>の合成
【0145】
【0146】
<化合物12>
【0147】
丸底フラスコに2-ブロモ-9,9-ジメチルフルオレン(2.4g、0.009mol)、<中間体12-a>(5.3g、0.013mol)、酢酸パラジウム(II)(0.08g、0.4mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド(3.4g、0.035mol)、トリ-tert-ブチルホスフィン(0.07g、0.4mmol)、トルエン60mLを入れて2時間還流撹拌した。反応完了後に常温冷却した。反応溶液は、ジクロロメタンと水で抽出した。有機層は分離して硫酸マグネシウムで無水処理後に減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィーで分離精製後にジクロロメタンとアセトンで再結晶し、<化合物12>2.6gを得た。(収率48%)
【0148】
MS(MALDI-TOF):m/z 602.27[M+]
【0149】
合成例2.化合物30の合成
【0150】
合成例2-1:化合物30の合成
【0151】
前記合成例1-1で使用した4-アミノビフェニルに代えて1-ナフチルアミンを使用し、前記合成例1-2で使用した2-ブロモ-9,9-ジメチルフルオレンに代えて3-ブロモ-9,9-ジメチルフルオレンを使用する以外は、合成例1と同じ方法で合成して<化合物30>を得た。(収率45%)
【0152】
MS(MALDI-TOF):m/z 830.29[M+]
【0153】
合成例3.化合物44の合成
【0154】
合成例3-1:化合物44の合成
【0155】
前記合成例1-1で使用した4-アミノビフェニルに代えてアニリン-2,3,4,5,6-d5を使用し、前記合成例1-2で使用した2-ブロモ-9,9-ジメチルフルオレンに代えて2-ブロモ-9,9’-スピロビフルオレンを使用する以外は、合成例1と同じ方法で合成して<化合物44>を得た。(収率46%)
【0156】
MS(MALDI-TOF):m/z 653.29[M+]
【0157】
合成例4.化合物78の合成
【0158】
合成例4-1:化合物78の合成
【0159】
前記合成例1-2で使用した2-ブロモ-9,9-ジメチルフルオレンに代えて2-ブロモ-9,9-ジフェニルフルオレンを使用する以外は、合成例1と同じ方法で合成して<化合物78>を得た。(収率46%)
【0160】
MS(MALDI-TOF):m/z 726.30[M+]
【0161】
合成例5.化合物102の合成
【0162】
合成例5-1:化合物102の合成
【0163】
前記合成例1-1で使用した4-アミノビフェニルに代えて2-ナフチルアミンを使用し、前記合成例1-2で使用した2-ブロモ-9,9-ジメチルフルオレンに代えて2-(4-ブロモフェニル)-9,9-ジフェニル-9H-フルオレンを使用する以外は、合成例1と同じ方法で合成して<化合物102>を得た。(収率45%)
【0164】
MS(MALDI-TOF):m/z 776.32[M+]
【0165】
合成例6.化合物174の合成
【0166】
合成例6-1:化合物174の合成
【0167】
前記合成例1-1で使用した2-ブロモ-9-フェニル-9H-カルバゾールに代えて3-ブロモ-9-フェニル-9H-カルバゾールを使用し、4-アミノビフェニルに代えて4-(1-ナフチル)アニリンを使用する以外は、合成例1と同じ方法で合成して<化合物174>を得た。(収率47%)
【0168】
MS(MALDI-TOF):m/z 652.29[M+]
【0169】
合成例7.化合物195の合成
【0170】
合成例7-1:化合物195の合成
【0171】
前記合成例1-1で使用した2-ブロモ-9-フェニル-9H-カルバゾールに代えて3-ブロモ-9-フェニル-9H-カルバゾールを使用し、4-アミノビフェニルに代えて3-アミノビフェニルを使用し、前記合成例1-2で使用した2-ブロモ-9,9-ジメチルフルオレンに代えて(1-(4-ブロモフェニル)-9,9-ジメチル-9H-フルオレン)を使用する以外は、合成例1と同じ方法で合成して<化合物195>を得た。(収率45%)
【0172】
MS(MALDI-TOF):m/z 678.30[M+]
【0173】
<[化学式B]~[化学式D]合成例>
【0174】
合成例1.化学式1の合成
【0175】
合成例1-1.中間体1-aの合成
【0176】
【0177】
<中間体1-a>
【0178】
丸底フラスコにフェニルヒドラジン100g(0.924mol)、酢酸500mLを撹拌させた後、60℃で加熱した。2-メチルシクロヘキサノン103.6g(0.924mol)を徐々に滴加した後、8時間還流させた。反応完了後に、水と酢酸エチルで抽出した後に濃縮し、カラムクロマトグラフィーで分離して<中間体1-a>130gを得た。(収率76%)
【0179】
合成例1-2.<中間体1-b>の合成
【0180】
【0181】
<中間体1-b>
【0182】
窒素雰囲気下に、トルエン750mLが入っている丸底フラスコに<中間体1-a>75g(405mmol)を入れて零下10℃に冷却させた後、1.6Mメチルリチウム380mL(608mmol)を徐々に滴加し、-10℃で3時間程度撹拌させた。反応完了後に、水と酢酸エチルで抽出後に濃縮し、カラムクロマトグラフィーで分離して<中間体1-b>50.5gを得た。(収率62%)
【0183】
合成例1-3.<中間体1-c>の合成
【0184】
【0185】
<中間体1-c>
【0186】
窒素雰囲気で、丸底フラスコに<中間体1-b>50g(251mmol)、1-ブロモ-2,3-ジクロロベンゼン56.7g(251mmol)、トリスジベンジリデンアセトンパラジウム4.5g(5mmol)、トリ-tert-ブチルホスフィン2g(10mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド35.8g(373mmol)、トルエン500mLを投入して24時間還流させた。反応終結後に有機層を減圧濃縮し、カラムクロマトグラフィーで分離して<中間体1-c>35.6gを得た。(収率41%)
【0187】
合成例1-4.<中間体1-d>の合成
【0188】
【0189】
<中間体1-d>
【0190】
合成例1-3で使用した<中間体1-b>に代えてダイフェニルアミンを使用し、1-ブロモ-2,3-ジクロロベンゼンに代えて<中間体1-c>を使用する以外は同一の方法で合成して<中間体1-d>を得た。(収率73%)
【0191】
合成例1-5.<化合物1>の合成
【0192】
【0193】
<化合物1>
【0194】
窒素雰囲気下に、tert-ブチルベンゼン200mLが入っている丸底フラスコに<中間体1-d>20g(42mmol)を入れて-30℃に冷却させた後、1.7M tert-ブチリチウムペンタン溶液49.1mL(84mmol)を徐々に滴加した。滴加終了後に、60℃まで昇温して3時間撹拌した後、ペンタンを蒸留除去した。-50℃まで冷却し、三ブローム化ホウ素20.8g(84mmol)を滴加し、室温まで昇温後に1時間撹拌した。再び0℃に冷却し、N,N-ジイソプロピルエチルアミン10.7g(84mmol)を加えた後、120℃で3時間撹拌した。反応完了後に減圧蒸留してtert-ブチルベンゼンを除去し、水と酢酸エチルで抽出後に濃縮し、カラムクロマトグラフィーで分離して<化合物1>5.3gを得た。(収率28%)
【0195】
MS(MALDI-TOF):m/z 452.24[M+]
【0196】
合成例2.化合物33の合成
【0197】
合成例2-1.<中間体2-a>の合成
【0198】
【0199】
<中間体2-a>
【0200】
合成例1-3で使用した<中間体1-b>に代えて2,3-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インドールを使用する以外は同一の方法で合成して<中間体2-a>を得た。(収率52%)
【0201】
合成例2-2.<中間体2-b>の合成
【0202】
【0203】
<中間体2-b>
【0204】
合成例1-3で使用した[中間体1-b]に代えてN1,N2,N3-トリフェニルベンゼン-1,3,-ジアミンを使用し、1-ブロモ-2,3-ジクロロベンゼンに代えて<中間体2-a>を使用する以外は同一の方法で合成して<中間体2-b>を得た。(収率55%)
【0205】
合成例2-3.<化学式33>の合成
【0206】
【0207】
<化学式33>
【0208】
合成例1-5で使用した<中間体1-d>に代えて<中間体2-b>を使用する以外は同一の方法で合成して<化学式33>を得た。(収率68%)
【0209】
合成例3.化学式95の合成
【0210】
合成例3-1.<化学式95>の合成
【0211】
合成例1-4で使用したダイフェニルアミンに代えてN1,N2,N3-トリフェニル-1,3-ベンゼンジアミンを使用した以外は、合成例1-1~1-5と同じ方法で合成して<化学式95>を得た。(収率17%)
【0212】
MS(MALDI-TOF):m/z 619.32[M+]
【0213】
実施例1~15:有機発光ダイオードの製造
【0214】
ITOグラスの発光面積が2mm×2mm大きさになるようにパターニングHAN後洗浄した。前記ITOグラスを真空チャンバーに装着した後、2-TNATA(400Å)、下記[表1]に記載された本発明に係る正孔輸送層材料を(200Å)成膜した。次いで、発光層のホストとして[BH]、及びドーパントとして下記[表1]に記載された本発明に係る化合物を3%を混合して成膜(250Å)した後、電子輸送層として[化学式E-1](300Å)を、電子注入層としてLiq(10Å)を順に成膜し、陰極であるAl(1000Å)を成膜して有機発光素子を製造した。前記有機発光素子の特性は、10mA/cm2で測定した。
【0215】
[2-TNATA] [BH] [化学式E-1]
【0216】
【0217】
比較例1~8
【0218】
前記実施例1~15において正孔輸送層材料及びドーパント化合物として使用された化合物に代えて[HT]及び[BD1]を使用した以外は同一にして有機発光素子を製作し、前記有機発光素子の発光特性は10mA/cm2で測定した。前記[HT]及び[BD1]の構造は、次の通りである。
【0219】
[HT] [BD1]
【0220】
【0221】
[表1]
【0222】
前記[表1]から確認できるように、本発明に係る正孔輸送材料(化学式A)を正孔輸送層に採用し、本発明に係るドーパント材料(化学式B/C/D)を発光層に採用した素子では、従来HTで表示される化合物を採用した素子、従来BD1で表示される化合物を採用した素子、及び本発明のように材料を組み合わせていない素子に比べて、より低電圧駆動が可能であり、外部量子効率が顕著に改善され、発光特性が向上していることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0223】
本発明に係る有機発光素子は、正孔注入層又は正孔輸送層及び発光層に特徴的構造を有する化合物をそれぞれ正孔輸送材料及びドーパント材料として採用することにより、低電圧駆動が可能であり、外部量子効率に優れた高効率の発光特性を具現でき、平板ディスプレイ装置、フレキシブルディスプレイ装置、単色又は白色の平板照明用装置、単色又は白色のフレキシブル照明用装置などに産業的に有用に活用できる。