(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】画像データを管理するための方法、および車両照明システム
(51)【国際特許分類】
G06T 9/00 20060101AFI20241121BHJP
【FI】
G06T9/00 100
(21)【出願番号】P 2022564403
(86)(22)【出願日】2021-04-22
(86)【国際出願番号】 EP2021060612
(87)【国際公開番号】W WO2021214266
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-12-14
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】ヤセール、アルメイオ
(72)【発明者】
【氏名】コンスタンタン、プラット
【審査官】田部井 和彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/053718(WO,A2)
【文献】米国特許第06061475(US,A)
【文献】特表2021-530853(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0016256(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0052465(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車照明システム(SYS)において画像データを管理するための方法であって、前記
自動車照明システムは、光ビームを投影することが意図される少なくとも1つの照明モジュール(HL[z])を含み、前記光ビームは、少なくとも1つの画像(I[x])の選択に関するデータから生成され、各画像(I[x])は、画素(P[i])の複数の縦または横の列R[k]を含む行列M[x]によってそれぞれ規定され、各画素(P[i])は、前記画素(P[i])の光強度に関連した数値(V[i])によって特徴付けられ、前記方法
は、
- 投影されることが意図される少なくとも1つの画像(I[x])を有効化するための命令を受信するステップ(100)
と、
- 前記行列(M[x])の第1の列(R[1])から最後の列(R[D])
までの各列(R[k])の第1の画素(P[1])から最後の画素(P[F])に対して以下のサブステップ、すなわち
-
(S1)分析下の画素(P[i])
の数値(V[i])および前記
分析下の画素に隣接する画素(P[i+1])
の数値(V[i+1])に基づいて勾配値(G[i])を計算する
サブステップ
と、
-
(S2)次式「E_Max_V[i]=E_Max+G[i]*G_Err」に基づいて分析下の画素(P[i])の値と圧縮画素PIS[i]の値V[i]との間の最大許容差を定義するE_Max_V[i](但しE_MaxおよびG_Errは適用される測光および/または照明機能に応じて予め決定されている数値である)を求めるサブステップと、
- (S3)当該列(R[k])の第1の画素(P[1])を第1の圧縮画素PIS[1]と決定するサブステップと、
- (S4)当該列(R[k])の最も直近に決定された圧縮画素PIS[i]を出発画素(P[i])として、次式「(V[i+a]-V[i])/a」の値(この値は出発画素とそのa個先の画素とを結んだ直線の傾斜に対応する)が、G[i]-E_Max_V[i]とG[i]+E_Max_V[i]との間にあるという条件を満たす最大のaを求めるサブステップと、
- (S5)画素P[i+a](但し「a」は上記ステップ(S4)で求めた最大のaである)を次の圧縮画素PIS[i+1]と決定するとともに、当該次の圧縮画素PIS[i+1]とその直前に決定された圧縮画素PIS[i]とのとの間にある画素は、圧縮画素のリストには含めないようにするサブステップと、
- (S6)上記ステップ(S4)における出発画素(P[i])を上記ステップ(S5)で決定した次の圧縮画素PIS[i+1]に置き替えて、上記ステップ(S4)および上記ステップ(S5)を行うサブステップと、
- (S7)上記ステップ(S6)を繰り返し行い、これにより決定された圧縮画素を伝送されるべきリスト(LPIS[i])内に保存するサブステップと、
を実行するステップと、
- 前記行列(M[x])の前記圧縮画素のリスト(LPIS[i])を、結果として生じる画像(IR[x])を投影することができるように、少なくとも1つの照明モジュール(HL[z])に伝送
するステップと、
を備えた方法。
【請求項2】
元の画像(I[x])は、
- LB、および/またはHB、および/またはOFF、および/またはDBL
である測光、
- ADB、および/またはTSAG、および/またはRW、および/またはLA、および/またはLA_Center
である照明機能
のセットの中から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各画素(P[i])の数値(V[i])は、グレースケールレベルに対応し、およびより詳細には、各画素(P[i])の光強度は、0~255のスケールで数によって特徴付けられることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記照明モジュール(HL[z])において受信される前記圧縮画素(PIS[i])のリスト(LPIS[i])を復元するステップをさらに含み、そのような復元ステップは、
- 前記行列(M[x])の各列R[k]によって形成される曲線の重要な変曲点
としての前記圧縮画素(PIS[i])の間のサブインターバルの線形補間として、または
- 前記行列(M[x])の各列R[k]によって形成される曲線の重要な変曲点
としての前記圧縮画素(PIS[i])の間のサブインターバルの多項式補間として、または
- 前記行列(M[x])の各列R[k]によって形成される曲線の重要な変曲点
としての前記圧縮画素(PIS[i])の間のサブインターバルの、ベジエ曲線法を使用した補間として、または
- 前記行列(M[x])の各列R[k]によって形成される曲線の重要な変曲点
としての前記圧縮画素(PIS[i])の間のサブインターバルの、パラメトリック適合法を使用した補間として、または
- 前記行列(M[x])の各列R[k]によって形成される曲線の重要な変曲点
としての前記圧縮画素(PIS[i])の間のサブインターバルの、最小二乗法を使用した補間として、または
- 前記行列(M[x])の各列R[k]によって形成される曲線の重要な変曲点
としての前記圧縮画素(PIS[i])の間のサブインターバルの、指数関数モデリング法を使用した補間として、または
- 前記行列(M[x])の各列R[k]によって形成される曲線の重要な変曲点
としての前記圧縮画素(PIS[i])の間のサブインターバルの、フーリエ級数法を使用した補間として、または
- 前記行列(M[x])の各列R[k]によって形成される曲線の重要な変曲点
としての前記圧縮画素(PIS[i])の間のサブインターバルの、ガウスモデリング法を使用した補間として、または
- 前記行列(M[x])の各列R[k]によって形成される曲線の重要な変曲点
としての前記圧縮画素(PIS[i])の間のサブインターバルの、べき級数法を使用した補間として、または
- 前記行列(M[x])の各列R[k]によって形成される曲線の重要な変曲点
としての前記圧縮画素(PIS[i])の間のサブインターバルの、正弦の和モデル法を使用した補間として、または
- 前記行列(M[x])の各列R[k]によって形成される曲線の重要な変曲点
としての前記圧縮画素(PIS[i])の間のサブインターバルの、ワイブル分布法を使用した補間として、または
- 前記行列(M[x])の各列R[k]によって形成される曲線の重要な変曲点
としての前記圧縮画素(PIS[i])の間のサブインターバルの、パーソナライズされたモデル法を使用した補間として
実施されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記圧縮画素(P[i])は、前記画像(I[x])の特定の部分にのみ結び付けられることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
自動車両照明システム(SYS)であって、
- 圧縮データ(PIS[i])から少なくとも1つの測光および/または照明機能を投影することができる複数の光源を含む少なくとも1つの照明モジュール(HL[z])、
- 圧縮データ(PIS[x])を少なくとも1つの照明モジュール(HL[z])に伝送するための多重化バス(CAN)、
- 請求項1~5のいずれか一項に記載の方法のステップのすべてを実施するように構成される制御装置(PCM)
を含む、自動車照明システム(SYS)。
【請求項7】
前記照明モジュール(HL[z])は、圧縮画素(PIS[i])のリスト(LPIS[i])を復元することができるように構成される制御装置(UC[z])をさらに含む、請求項6に記載の自動車照明システム(SYS)。
【請求項8】
各照明モジュール(HL)の前記制御装置(UC[z])は、少なくとも1つのWelcomeおよび/または1つのGoodbyeシナリオを記憶するメモリを含むことを特徴とする、請求項7に記載の自動車照明システム(SYS)。
【請求項9】
前記光源
は、半導体光源である、請求項6~8のいずれか一項に記載の自動車照明システム(SYS)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両照明システムの分野、およびより詳細には、車両の光源を制御するために画像データを管理することに関する。
【背景技術】
【0002】
現代の照明システムは、特に、高解像度光ビームを投影することを今では可能にする光源を含む。高解像度光の所望の投影は、光源を介して、および画像または画像パターンから獲得され得、光源は、これらの画像または画像パターンを表示するためにそれらを受信し、こうして所与の光ビームを投影する。これらの画像または画像パターンは、特に、使用される光源の分解能に応じて、今では超高分解能を達成することができる。例として、光源は、少なくとも4000~30000画素を有し得、故に、このレベルの分解能を有する画像から光ビームを生成することを可能にする。
【0003】
そのような高解像度光ビームを生成することに成功するため、複数の光源が使用され得るか、または組み合わされ得、これは、うまく制御された、多様な、および適応的な照明機能性を提供するために、これらの光源を制御してそれらを精密に同期させることを必要とする。
【0004】
したがって、車両は、さらに重い高解像度画像データを使用する多くの数の光源をさらに送信し、このことは、車両制御装置によって管理され、制御装置と1つまたは複数の光源との間の伝送手段を介して通信されなければならない大量のデータを伴う。これを行うため、例えば、CANプロトコルデータバスが、制御装置と光源との間でそのようなデータを転送するためにしばしば使用される。しかしながら、これらのデータ伝送手段は、限られた帯域幅を有するという欠点を有し、例えば、一般には2~5Mbpsのビットレートを超えることを可能にしない。その結果、これらの限られたネットワークを通じて上記高解像度画像に必要とされる大量のデータを伝送することにおいて困難が生じる。加えて、これらのネットワークは、他の車両データの通信のためにも使用され、このことは、高解像度画像データに利用可能な帯域幅が、例えば、データ伝送ネットワークを通じて可能な最大ビットレートの70~90%の範囲に限定されて、さらに低くなり得ることを意味する。
【0005】
例として、20000画素の分解能を有する照明機能の投影のために高解像度画像データを通信するには、CAN-FD伝送ネットワークを通じて必要とされるビットレートは、一般的に、10~12Mbpsである。しかしながら、そのようなCAN-FDネットワークは、現在のところ、実際には5Mbps(または、大半の場合は2Mbps)に限られている。したがって、これらのネットワークを通じて伝送されるデータを最適化すること、および特に、この同じネットワークのビットレートおよび帯域幅制約を観察しながら、1つまたは複数の関連付けられた照明機能を確実にするのに十分である高解像度画像データのストリームを伝送するために通信されるデータを圧縮することが必要とされている。
【0006】
既知の圧縮方法は、この問題を克服することを企図していたが、それらはすべて、ハイビーム特異性に対して不十分であり、以て、自動車製造業者によって要求されるような帯域幅の十分な低減を妨げることが証明されている。
【0007】
これを達成するため、所望の帯域幅を満たすことに成功するまで、複数のレベルまたは繰り返しのデータ圧縮が実行されることが定められ得る。依然として、そのような手法は、各圧縮が実施されるたびに表示品質が影響を受ける、つまりそれが低減されるため、投影照明機能の表示品質に対して非常に大きな影響を及ぼす。
【0008】
しかしながら、特定の照明機能、例えば、アダプティブドライビングビーム(Adaptive Driving Beam:ADB)およびロードライティング(Road Writing:RW)では、表示品質は、過剰に劣化されることはできないが、それは、さもなければ、光ビームによって投影される光情報が不明瞭、不十分、または判読不能にさえされて、ユーザ体験が著しく損なわれることになるためである。
【0009】
したがって、上述の欠点を克服するために技術的な解決策が必要とされている。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、自動車照明システムにおいて画像データを管理するための方法として上で強調される技術的問題に対する少なくとも部分的な解決策を提供し、上記照明システムは、光ビームを投影することが意図される少なくとも1つの照明モジュールを含み、上記光ビームは、少なくとも1つの元画像の選択に関するデータから生成され、各元画像は、画素の複数の縦または横の列を含む行列によってそれぞれ規定され、各画素は、上記画素の光強度に関連した数値Vによって特徴付けられ、上記方法は、以下のステップ:
- 投影されることが意図される少なくとも1つの元画像を有効化するための命令を受信するステップ、
- 行列の第1の列から最後の列まで、以下のステップを分析下の列の第1の画素から最後の画素まで順に実行するステップであって、
- 分析下の画素の数値V[i]および隣接する画素の数値V[i+1]に基づいて勾配値を計算するステップ、
- 元画素と圧縮画素との間の強度における差E_Maxに基づいて、および元画素と圧縮画素との間の空間的差異G_Errに基づいて、分析下の画素が分析下の列に関する曲線の重要な変曲点であるかどうかを決定するステップ、を含み、
- 分析下の画素が重要な変曲点であると見なされる場合、分析下の画素は、伝送されるべきリスト内に圧縮画素として保存されることになり、さもなければ分析下の画素は、このリスト内に保存されず、
- 先のステップは、行列の最後の列の最後の画素まで何度も繰り返され、
行列の圧縮画素のリストは、結果として生じる画像を投影することができるように、少なくとも1つの照明モジュールに伝送される。
【0011】
1つの実施形態によると、元画像は、
- LB、および/もしくはHB、および/もしくはOFF、および/もしくはDBLなどの測光、ならびに/または
- ADB、および/もしくはTSAG、および/もしくはRW、および/もしくはLA、および/もしくはLA_Centerなどの照明機能のセットの中から選択される。
【0012】
有利には、別の実施形態において、各画素の数値V[i]は、グレースケールレベルに対応し、およびより詳細には、各画素の光強度は、0~255の範囲に及ぶスケールで数によって特徴付けられる。
【0013】
1つの実施形態によると、照明モジュールにおいて受信される圧縮画素のリストを復元するステップは、
- 行列の各列によって形成される曲線の重要な変曲点の間のサブインターバルの線形補間として、または
- 行列の各列によって形成される曲線の重要な変曲点の間のサブインターバルの多項式補間として、または
- 行列の各列によって形成される曲線の重要な変曲点の間のサブインターバルの、ベジエ曲線法を使用した補間として、または
- 行列の各列によって形成される曲線の重要な変曲点の間のサブインターバルの、パラメトリック適合法を使用した補間として、または
- 行列の各列によって形成される曲線の重要な変曲点の間のサブインターバルの、最小二乗法を使用した補間として、または
- 行列の各列によって形成される曲線の重要な変曲点の間のサブインターバルの、指数関数モデリング法を使用した補間として、または
- 行列の各列によって形成される曲線の重要な変曲点の間のサブインターバルの、フーリエ級数法を使用した補間として、または
- 行列の各列によって形成される曲線の重要な変曲点の間のサブインターバルの、ガウスモデリング法を使用した補間として、または
- 行列の各列によって形成される曲線の重要な変曲点の間のサブインターバルの、べき級数法を使用した補間として、または
- 行列の各列によって形成される曲線の重要な変曲点の間のサブインターバルの、正弦の和モデル法を使用した補間、または
- 行列の各列によって形成される曲線の重要な変曲点の間のサブインターバルの、ワイブル分布法を使用した補間、または
- 行列の各列によって形成される曲線の重要な変曲点の間のサブインターバルの、パーソナライズされたモデル法を使用した補間として、実施される。
【0014】
別の実施形態において、圧縮画素は、元画像の特定の部分にのみ結び付けられる。
【0015】
本発明の第2の態様によると、本発明は、自動車照明システムであって、
- 圧縮データから少なくとも1つの測光および/または照明機能照明機能を投影することができる複数の光源を含む少なくとも1つの照明モジュール、
- 圧縮データを少なくとも1つの照明モジュールに伝送するための多重化バス、
- 先の特徴のいずれか1つに記載の方法のステップのすべてを実施するように構成される制御装置
を含む、自動車照明システムに関する。
【0016】
1つの実施形態において、照明モジュールは、圧縮画素のリストを復元することができるように構成される制御装置をさらに含む。
【0017】
別の実施形態において、各照明モジュールの制御装置は、少なくとも1つのWelcomeおよび/または1つのGoodbyeシナリオを記憶するメモリを含む。
【0018】
別の有利な実施形態によると、少なくとも1つの照明モジュールは、LED、および特に、画素化したLED源など、少なくとも1つの半導体光源を含む。
【0019】
蛍光灯照明と比較して、半導体照明は、より低い熱産生および低いエネルギー消散で可視光を生成する。半導体電子照明デバイスの概して低い重量は、壊れやすいガラス管/電球および長く薄いフィラメント線よりも、衝撃および振動に対するより大きい耐性をもたらす。それらは、フィラメント蒸発にも供されず、これにより照明デバイスの耐用年数を増大させ得る。これらのタイプの照明のいくつかの例としては、電気フィラメント、プラズマ、またはガスの代わりの光源として、半導体発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、または高分子発光ダイオード(PLED)が挙げられる。
【0020】
別途規定のない限り、本明細書に使用されるすべての用語(技術および科学用語を含む)は、専門業の標準的な慣行に従って解釈されるべきである。一般的に使用される用語は、関連分野における慣例として解釈されるものとし、理想化された、または過度に形式張った意味では、本明細書内でそのように明示的に規定のない限りは解釈されないものとする。
【0021】
説明を補足するため、および本発明のより良い理解を可能にするため、図のセットが提供される。これらの図は、本説明の一体部分を形成するものであり、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではなく、単に、本発明がどのように実行され得るかの例として解釈されるべきである本発明の1つの実施形態を例証するものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の1つの実施形態による、ハイビーム測光に関する画像の概略図である。
【
図2】本発明の1つの実施形態による、
図1に記載の測光の画素の部分行列を例証する図である。
【
図3】本発明の1つの実施形態による、
図1に記載の画像の列のうちの1を表す曲線を例証する図である。
【
図4a】本発明による方法による、
図3に記載の曲線の重要な変曲点を決定するステップに関する概略図である。
【
図4b】本発明による方法による、
図3に記載の曲線の重要な変曲点を決定するステップに関する概略図である。
【
図5】本発明の1つの実施形態による、復元ステップの結果を例証する図である。
【
図6】本発明による自動車照明システムを例証する図である。
【
図7】本発明による、パラメータE_maxおよびG_Errの構成に対して測光および/または照明機能の圧縮率をまとめた表である。
【
図8】本発明による、LBに関する測光の概略図である。
【
図9】本発明による、LA照明機能を伴うLBに関する測光の概略図である。
【
図10】本発明による、ADB照明機能を伴うHBに関する測光の概略図である。
【
図11】本発明による、ADBおよびLA照明機能が有効化された状態のHBに関する測光の概略図である。
【
図12】本発明による、TSAGおよびADB照明機能が有効化された状態のHBに関する測光の概略図である。
【
図13】本発明による、TSAG、ADB、およびLA照明機能が有効化された状態のHBに関する測光の概略図である。
【
図14】本発明による、TSAG、ADB、およびLA_Center照明機能が有効化された状態のHBに関する測光の概略図である。
【
図15】本発明による、TSAG、ADB、およびLA照明機能が有効化された状態のHBおよびDBLに関する測光の概略図である。
【0023】
本説明の残りにおいて、略語、参照記号、および/または数字のセットが使用されており、それらの定義は、図のより良い理解のため下部に列挙されているが、特定の参照記号は、図を軽くするために例証されないが、当業者には知られている。
【0024】
SYS:少なくとも1つの照明モジュールHL[z]、多重化バスCAN、および制御装置PCMを含む、自動車照明システム。
HL[z]:照明モジュール、同じ分解能の光ビームの投影のための必須構成要素、zはモジュールの数に対応する。
I[x]:タイプLB、HB、OFF、DBL、ADB、TSAG、RW、LA、LA_Centerの非包括的な測光または照明機能のセットに関する元画像。
M[x]:画像I[x]に相当する行列に対応する。
LB:(Low Beam)ロービームを表す測光。
HB:(High Beam)ハイビームを表す測光。
OFF:画像I[x]の画素P[i]のすべての数値V[i]が0にあるか、またはオフである測光。
DBL:(Dynamic Bending Light)動的な指向性照明を可能にする測光、言い換えると、自動車のハンドルの回転の角度に応じたLBまたはHB測光の最大強度の水平変位。
ADB:(Adaptive Driving Beam)他の道路使用者を眩しくさせることを回避しながらハイビーム測光での照明を可能にする機能。
TSAG:(Traffic Sign Anti-Glare)自動車からの光ビームの投影の後に道路上の交通標識を眩しくさせることを回避することを可能にする照明機能。
RW:(Road Writing)運転者および/または道路使用者の目に見えるパターンの、道路上への投影を可能にする照明機能。
LA:(Line Assist)特に、自動車が走る道路の一部分を区切るため、または障害物回避戦略を提示するために、道路上への線タイプのパターンの投影を可能にする照明機能。
LA_Center:LAの変異形であるが、ただしそれは、特に、車両の方向を示すために、道路の中央に投影される。
P[i]:画像の画素、iは、初期値1から最終値Fの範囲で可変である。
V[i]:画素P[i]の数値、iは、初期値1から最終値Fの範囲で可変である。
G[i]:P[i]の勾配の値。
R[k]:画像I[x]または行列M[x]の第k列、kは、初期値1から最終値Dの範囲の変数である。
C_R[k]:第k列R[k]に関する曲線。
PIS[i]:曲線C_R[k]の重要な変曲点、曲線C_R[k]の凹面における変化が起こる点、PIS[i]は、圧縮されることが意図される画素であると見なされ、iは、初期値1から最終値Fの範囲の変数である。
E_Max:(ErrorMax)元画素P[i]と圧縮画素PIS[i]との間の強度における差異。
E_Max_V[i]:(現在のErrorMax)元画像I[x]の画素P[i]の値V[i]と圧縮画素PIS[i]の値との間の最大許容差。
G_Err:(Gradient Error)元画素P[i]と圧縮画素PIS[i]との間の空間的差異。
PCM:(Pixel Controller Module)、制御装置UC[z]を介して照明モジュールの画素のセットを駆動することが意図される制御装置。
UC[z]:照明モジュールを制御することが意図される制御装置、ドライバとも呼ばれる。各制御装置UC[z]は、「マスタ」であると見なされる制御装置PCMに対して「スレーブ」として相互作用する。
【0025】
例示的な実施形態は、当業者が以下に説明されるシステムおよびプロセスを実装することができるようにするために十分に詳細に説明される。実施形態はいくつかの代替的な形態で提供され得、以下に提示される例に限定されるものと解釈されるべきではないということを理解することが重要である。
【0026】
結果的に、実施形態は、様々なやり方で修正され得、様々な代替的な形態を取り得るが、その特定の実施形態が、例として、図に示され、以下に詳細に説明される。開示される特定の形態への限定は意図されない。むしろ、添付の特許請求の範囲内に入るすべての修正形態、等価物、および代替形態が含まれるものとする。
【0027】
図1は、自動車照明デバイスHLのHB(ハイビーム)測光に関する、元画像と称される画像I[x]の概略図を例証する。
【0028】
本発明によると、各画像I[x]は、画素P[i]の行列M[x]の形態で、その等価物を有し、各画素P[i]は、黒に対応する0から、最大で、白に対応する255の範囲に及ぶスケールで光強度に結び付けられる数値V[i]によって特徴付けられる。
図2は、
図1に記載のハイビームHBに対応する測光を有する画素P[i]の部分行列M[x]に関する1つの実施形態を例証する。
【0029】
今日では、現代的な自動車は、制御装置UC[z]により照明モジュールHL[z]の画素のセットを駆動することが意図される、一般にPCM(Pixcel Controller Module)と呼ばれる制御装置を有し、1からnの範囲の変数zは、照明モジュールHL[z]に割り当てられる数字に対応する。制御装置PCMおよび各制御装置UC[z]は、それぞれ、および非包括的な様式で、本発明による自動車照明システムHLから光ビームの投影を駆動するための方法の実施を可能にするように構成される、少なくとも1つのマイクロプロセッサおよびメモリ(言及されない)を含む。
【0030】
制御装置PCMは、自動車内に分散されるセンサのセットから収集されるデータ、および上記車両が動いている環境的状況に応じて、上記制御装置PCMが、完全に自律して、もしくは運転者の衝動の下で、または道路上での上記運転者の挙動に対して、少なくとも1つの規制のための測光および/または照明機能を有効化または無効化することを決定することができるように構成される。本発明の文脈において、測光および照明機能の2つの概念は全く異なる。実際には、非包括的なリストにおいて、測光という用語は、画像I[x]を包含すると考えられ、xは1~4の範囲におよび、
- I[1]は、ハイビーム HBに対応する等価の行列M[1]を含み、
- I[2]は、ロービーム LBに対応する等価の行列M[2]を含み、
- I[3]は、画素のすべてが0の数値V[i]を有する、言い換えると、画素P[i]のすべてがオフである、等価の行列M[3]を含み、iは1~Fの範囲におよび、
- I[4]は、動的曲げ光DBLに対応する等価の行列M[4]を含む。
【0031】
同様に、非包括的なリストにおいて、照明機能という用語は、画像I[x]を包含すると考えられ、xは5~9の範囲におよび、
- I[5]は、他の道路使用者を眩しくすることを回避しながら、LB、HB、またはDBL測光を用いた照明を可能にするADB(Adaptive Driving Beam)機能に対応する等価の行列M[5]を含み、
- I[6]は、自動車からの光ビームの投影の後に道路上の交通標識を眩しくさせることを回避することを可能にするTSAG(Traffic Sign Anti-Glare)機能に対応する等価の行列M[6]を含み、
- I[7]は、運転者および/または道路使用者の目に見えるパターンの、道路上への投影を可能にするRW(Road Writing)機能に対応する等価の行列M[7]を含み、
- I[8]は、自動車が走る道路の一部分を区切るように、または障害物回避戦略を投影するように、スクロールする線の感覚ありまたはなしで道路上への線タイプのパターンの投影を可能にするLA(Line Assist)機能に対応する等価の行列M[8]を含み、
- I[9]は、LA機能の変異形であるが、ただしそれは、特に、車両の方向を示すために、道路の中央に投影される、LA_Center機能に対応する等価の行列M[9]を含む。
【0032】
本発明は、上で述べた測光および照明機能だけにいかようにも限定されず、Welcome/Goodbyeシナリオに関する画像、または世界の国もしくは地域の規制に特有の他の測光/照明機能が、追加または更新され得ることは言うまでもない。
【0033】
本発明によると、特にそれぞれの規制に応じて、道路上で可能な測光および照明機能の行列M[x]のセットを含むデータベースは、制御装置PCMメモリに記録される。
【0034】
制御装置PCMは、運転者からの指示の受信に続いて、または自動車の環境的状況に対して自主的に、画像I[x]の投影を有効化し、対応する行列M[x]が、次いで、制御装置PCMのメモリ内に保存されるデータベースから選択される。
【0035】
特に
図4aおよび
図4bに例証される、本発明の第1の実施形態において、
図2に記載の行列M[x]の各列R[k]について、kは第1の列k=1から最後の列k=Dの範囲におよび、これが、
図3に記載の曲線C_R[k]をもたらす。
【0036】
制御装置PCMは、次いで、列R[k]の第1の画素P[1]から最後の画素P[F]まで、曲線C_R[k]の各々について以下のステップを順に実行する:
- 分析下の画素P[i]の数値V[i]および隣接する画素P[i+1]の数値V[i+1]に基づいて勾配値G[i]を計算するステップ。勾配G[i]のそのような計算は、以下:G[i]= V[i+1]- V[i]、の通りに実施され、iは、1~Fの範囲に及ぶ;
- 分析下の画素P[i]が列R[k]に関する曲線C_R[k]の重要な変曲点PIS[i]であるかどうかを決定するステップ。
重要な変曲点PIS[i]を獲得するため、制御装置PCMは、
- 元画像I[x]の分析下の画素P[i]の値V[i]と圧縮画素PIS[i]の値V[i]との間の最大許容差に対応する値E_Max_V[i]を決定する。E_Max_V[i]のそのような計算は、以下のように実施され、E_Max_V[i]=E_Max+G[i]*G_Err、式中、E_MaxおよびG_Errは、所望の圧縮戦略に応じて定数または変数であり得るパラメータである。E_maxは、元画素P[i]と圧縮画素PIS[x]との間の強度における差異に対応し得、G_Errは、元画素P[i]と圧縮画素PIS[x]との間の空間的差異に対応し、
- 分析下の画素P[i]に近い勾配G[i]のリストを決定する。ベクトルまたは勾配G[i]のこのリストは、値G[i]-E_Max_V[i]と値G[i]+E_Max_V[i]との間であり、
- ベクトルまたは勾配G[i]のリストが0よりも大きい限り、リストの各々のベクトルまたは勾配G[i]について、以下の条件||V[i-a]+G[i-a]*(P[i-a]-P[i])-V[i]||>E_Max_V[i]が満たされる場合、すべてのベクトルまたは勾配G[i]は、無効であると見なされることになり、勾配のリストから除去され、さもなければそれは、有効であると見なされることになる。このステップは、勾配G[i]のリストが0よりも大きい限り何度も繰り返され、さもなければ画素P[i]は、圧縮されるべき画素であると見なされることになり、伝送されるべき圧縮画素PIS[i]のリストLPIS[i]内に保存されることになる。「a」の値は、1~Mの範囲におよび、条件が真である画素の数に対応する、ということに留意されたい。条件が偽になるとすぐに、aの値は、隣接する画素P[i+1]の分析に移るために1にリセットされる。
【0037】
図7は、本発明の1つの実施形態による、パラメータE_maxおよびG_Errの構成に対して測光および/または照明機能の圧縮率をまとめた表を例証する。これらの値は、実験データから生じる。本発明によると、値E_MaxおよびG_Errがそれぞれ定数であるとき、所望の圧縮率は、少なくとも1つの測光および/または照明機能の有効化に応じて達成されるように見える。
【0038】
故に、1つの実施形態において、値E_Maxが3に設定されるとき、および/または値G_Errが16/255に設定されるとき、圧縮率は、有効化される測光および/または機能に対して+/-5%のマージンを伴って85%の平均値で相対的に変動する。
【0039】
別の実施形態において、ロービームLBに関する測光が有効化されるとき、E_Maxの値は、3に設定され、
- ADB、TSAG、RW、LA、LA_Centerなどの有効化された照明機能がない場合、G_Errの値は、16/255に設定されるか、または
- RW、LA、LA_Center照明機能のうちの1つが有効化される場合、G_Errの値は、32/255に設定されるか、または
- DBL測光が有効化される場合、G_Errの値は、16/255に設定される。
【0040】
別の実施形態において、ハイビームHBに関する測光が有効化されるとき、
- 有効化されたADB、TSAG、RW、LA、LA_Center照明機能がない場合、またはDBL測光が有効化されるとき、値E_Maxは、4に設定され、値G_Errは、16/255に設定され、
- ADB、またはTSAG、またはRW、またはLA、またはLA_Center照明機能が有効されるとき、値E_Maxは、5に設定され、値G_Errは、32/255に設定され、
- 以下の照明機能が有効化されるとき、
- LA_Centerと組み合わせたADB、または
- LA_Centerと組み合わせたTSAG、または
- DBLありまたはなしで、TSAGと組み合わせたADB、
値E_Maxは、5に設定され、値G_Errは、64/255に設定され、
- 以下の照明機能が有効化されるとき、
- 独自に、またはTSAGおよびLA_Centerと組み合わせた、ADB
- RWまたはLAと組み合わせたTSAG、
値E_Maxは、6に設定され、値G_Errは、64/255に設定され、
- LAと組み合わされた照明機能ADBが有効化されるとき、値E_Maxは、6に設定され、G_Errは、96/255に設定され、
- RWまたはLAと組み合わされた照明機能ADBおよびTSAGが有効化されるとき、値E_Maxは、7に設定され、値G_Errは、DBLありまたはなしの測光のために96/255に設定される。
【0041】
別の実施形態において、OFF測光が有効化されるとき、言い換えると、元画像I[x]の画素P[i]のすべての数値V[i]が、0またはオフであるとき、および照明機能RW、またはLA、またはLA_Centerが有効化されるとき、値E_Maxは、3に設定され、値G_Errは、16/255に設定される。
【0042】
図6は、本発明による自動車照明システムSYSであって、
- 圧縮データLPIS[i]から測光および/または照明機能を投影することができる、LEDなどの複数の光源を含む少なくとも1つの照明モジュールHL[z]、
- 圧縮データLPIS[i]を少なくとも1つの照明モジュールHL[z]に伝送するための、多重化CAN、CAN-FDバス、または同様のもの、
- 圧縮データPIS[i]を生成するように、上述した圧縮ステップのすべてを実施することが意図される制御装置PCM、
- 圧縮データを復元するように構成される制御装置UC[z]であって、この制御装置UC[z]は、照明モジュールHL[z]内に位置する、制御装置UC[z]
を含む、自動車照明システムSYSを示す。
【0043】
照明モジュールHL[z]においてCANを介して受信される圧縮画素PIS[i]のリストLPIS[i]を復元するそのようなステップは、
- 圧縮画素のリストによって形成される曲線C_PIS[i]の重要な変曲点の間のサブインターバルの線形補間、または
- 圧縮画素のリストによって形成される曲線C_PIS[i]の重要な変曲点の間のサブインターバルの多項式補間、または
- 圧縮画素のリストによって形成される曲線C_PIS[i]の重要な変曲点の間のサブインターバルの、ベジエ曲線法を使用した補間、または
- 圧縮画素のリストによって形成される曲線C_PIS[i]の重要な変曲点の間のサブインターバルの、パラメトリック適合法を使用した補間、または
- 圧縮画素のリストによって形成される曲線C_PIS[i]の重要な変曲点の間のサブインターバルの、最小二乗法を使用した補間、または
- 圧縮画素のリストによって形成される曲線C_PIS[i]の重要な変曲点の間のサブインターバルの、指数関数モデリング法を使用した補間、または
- 圧縮画素のリストによって形成される曲線C_PIS[i]の重要な変曲点の間のサブインターバルの、フーリエ級数法を使用した補間、または
- 圧縮画素のリストによって形成される曲線C_PIS[i]の重要な変曲点の間のサブインターバルの、ガウスモデリング法を使用した補間、または
- 圧縮画素のリストによって形成される曲線C_PIS[i]の重要な変曲点の間のサブインターバルの、べき級数法を使用した補間、または
- 圧縮画素のリストによって形成される曲線C_PIS[i]の重要な変曲点の間のサブインターバルの、正弦の和モデル法を使用した補間、または
- 圧縮画素のリストによって形成される曲線C_PIS[i]の重要な変曲点の間のサブインターバルの、ワイブル分布法を使用した補間、または
- 圧縮画素のリストによって形成される曲線C_PIS[i]の重要な変曲点の間のサブインターバルの、パーソナライズされたモデル法を使用した補間として、実施される。
【0044】
各照明モジュールHL[z]は、採用される戦略に応じて、ハイビームの投影を、または、85%に近い、もしくはそれより大きい圧縮率を可能にする方法が使用されて、元画像I[x]と実質的に同一の品質の結果として生じる画像IR[x]を、獲得することを可能にする。