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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】発光素子駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/50 20220101AFI20241121BHJP
   H05B 47/16 20200101ALI20241121BHJP
   H05B 45/10 20200101ALI20241121BHJP
   H05B 45/345 20200101ALI20241121BHJP
【FI】
H05B45/50
H05B47/16
H05B45/10
H05B45/345
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022575099
(86)(22)【出願日】2021-11-18
(86)【国際出願番号】 JP2021042452
(87)【国際公開番号】W WO2022153668
(87)【国際公開日】2022-07-21
【審査請求日】2024-09-20
(31)【優先権主張番号】P 2021005610
(32)【優先日】2021-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 義和
(72)【発明者】
【氏名】山田 健司
【審査官】土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-174755(JP,A)
【文献】特開2016-109987(JP,A)
【文献】特開2012-204075(JP,A)
【文献】特開2010-182883(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/00
H05B 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の発光素子を有する発光部に接続可能に構成された接続端子を複数チャネル分備え、前記チャネルごとに前記接続端子を介し前記発光部に駆動電流を供給可能に構成された発光素子駆動装置であって、
各発光部への前記駆動電流の非供給期間において、特定異常を検出するための検出処理を実行可能な特定異常検出部を備え、前記特定異常は、複数の接続端子に含まれる互いに隣接した2つの接続端子間の抵抗値の異常であり、
前記特定異常検出部は、前記チャネルごとに、前記接続端子に向けてプルアップ電流を供給可能なプルアップ回路、及び、前記接続端子の電圧を所定の判定電圧と比較するよう構成された比較器を有し、
前記検出処理は、前記2つの接続端子の内、一方の接続端子に向けて前記プルアップ電流を供給したときの他方の接続端子の電圧を前記判定電圧と比較する第1比較処理と、前記2つの接続端子の内、前記他方の接続端子に向けて前記プルアップ電流を供給したときの前記一方の接続端子の電圧を前記判定電圧と比較する第2比較処理と、を含み、
前記特定異常検出部は、前記第1及び第2比較処理の結果に基づき、前記2つの接続端子における前記特定異常の有無を検出する
、発光素子駆動装置。
【請求項2】
前記特定異常検出部は、前記第1比較処理において前記一方の接続端子に向けて前記プルアップ電流を供給したときの前記他方の接続端子の電圧が前記判定電圧より高く、且つ、前記第2比較処理において前記他方の接続端子に向けて前記プルアップ電流を供給したときの前記一方の接続端子の電圧が前記判定電圧より高いとき、前記2つの接続端子に前記特定異常があると検出する
、請求項1に記載の発光素子駆動装置。
【請求項3】
前記一方の接続端子、前記他方の接続端子は、夫々、第1チャネル、第2チャネルにおける接続端子であり、
前記第1比較処理の実行期間において、前記第1チャネルのプルアップ回路が前記一方の接続端子に向けて前記プルアップ電流を供給し、この際、前記第2チャネルのプルアップ回路は前記他方の接続端子に向けた前記プルアップ電流の供給を停止し、
前記第2比較処理の実行期間において、前記第2チャネルのプルアップ回路が前記他方の接続端子に向けて前記プルアップ電流を供給し、この際、前記第1チャネルのプルアップ回路は前記一方の接続端子に向けた前記プルアップ電流の供給を停止する
、請求項1又は2に記載の発光素子駆動装置。
【請求項4】
前記複数の接続端子は第1~第4接続端子を含み、
前記第1~第4接続端子は、この順番で連続して配列され、
前記特定異常検出部は、前記第1比較処理において、前記第1及び第3接続端子の夫々に向けて前記プルアップ電流を供給したときの前記第2及び第4接続端子の電圧を夫々に前記判定電圧と比較し、前記第2比較処理において、前記第2及び第4接続端子の夫々に向けて前記プルアップ電流を供給したときの前記第1及び第3接続端子の電圧を夫々に前記判定電圧と比較し、
前記第1及び第2比較処理の結果に基づき、前記第1及び第2接続端子における前記特定異常の有無、前記第2及び第3接続端子における前記特定異常の有無、並びに、前記第3及び第4接続端子における前記特定異常の有無を、個別に検出する
、請求項1に記載の発光素子駆動装置。
【請求項5】
前記特定異常検出部は、第i接続端子に向けて前記プルアップ電流を供給したときの第(i+1)接続端子の電圧が前記判定電圧より高く、且つ、前記第(i+1)接続端子に向けて前記プルアップ電流を供給したときの前記第i接続端子の電圧が前記判定電圧より高いとき、前記第i及び第(i+1)接続端子に前記特定異常があると検出し、
iは1、2又は3を表す
、請求項4に記載の発光素子駆動装置。
【請求項6】
前記第1~第4接続端子は、夫々、第1~第4チャネルにおける接続端子であり、
前記第1比較処理の実行期間において、前記第1及び第3チャネルのプルアップ回路が前記第1及び第3接続端子に向けて前記プルアップ電流を供給し、この際、前記第2及び第4チャネルのプルアップ回路は前記第2及び第4接続端子に向けた前記プルアップ電流の供給を停止し、
前記第2比較処理の実行期間において、前記第2及び第4チャネルのプルアップ回路が前記第2及び第4接続端子に向けて前記プルアップ電流を供給し、この際、前記第1及び第3チャネルのプルアップ回路は前記第1及び第3接続端子に向けた前記プルアップ電流の供給を停止する
、請求項4又は5に記載の発光素子駆動装置。
【請求項7】
前記特定異常検出部は、前記チャネルごとに、前記接続端子からプルダウン電流を引き込むよう構成されたプルダウン回路を有し、前記プルダウン電流の大きさは前記プルアップ電流の大きさより低く設定される
、請求項1~6の何れかに記載の発光素子駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光素子駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDドライバは発光ダイオード(LED)にて構成された発光部を駆動する。LEDドライバは、典型的には、半導体集積回路を、樹脂にて構成された筐体(パッケージ)内に封入することで形成された電子部品であり、LEDドライバの筐体に複数の外部端子が露出して設けられる。複数の外部端子の中に複数の接続端子(LED接続端子)が含まれ、接続端子ごとに発光部が接続される。そして、発光部ごとに発光輝度を制御することでローカルディミング(局所調光)を実現することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-182883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
LEDドライバが基板に実装されたとき、半田などにより、互いに隣接する2つの接続端子間が意図せず短絡することがある。或いは、短絡とは言えないまでも相応に小さな抵抗成分で2つの接続端子間が接続された状態になることがある。このような異常が生じているとき、期待通りの駆動電流を発光部に供給することができない。異常の有無を正しく検出可能な技術の開発が望まれる。尚、発光部を構成する発光素子としてLEDを例示すると共に発光素子駆動装置としてLEDドライバを例示して、発光素子駆動装置に関わる事情を説明したが、LED以外の発光素子を取り扱う発光素子駆動装置においても同様の事情が存在し得る。
【0005】
本開示は、隣接端子間の異常検出に寄与する発光素子駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る発光素子駆動装置は、1以上の発光素子を有する発光部に接続可能に構成された接続端子を複数チャネル分備え、前記チャネルごとに前記接続端子を介し前記発光部に駆動電流を供給可能に構成された発光素子駆動装置であって、各発光部への前記駆動電流の非供給期間において、特定異常を検出するための検出処理を実行可能な特定異常検出部を備え、前記特定異常は、複数の接続端子に含まれる互いに隣接した2つの接続端子間の抵抗値の異常であり、前記特定異常検出部は、前記チャネルごとに、前記接続端子に向けてプルアップ電流を供給可能なプルアップ回路、及び、前記接続端子の電圧を所定の判定電圧と比較するよう構成された比較器を有し、前記検出処理は、前記2つの接続端子の内、一方の接続端子に向けて前記プルアップ電流を供給したときの他方の接続端子の電圧を前記判定電圧と比較する第1比較処理と、前記2つの接続端子の内、前記他方の接続端子に向けて前記プルアップ電流を供給したときの前記一方の接続端子の電圧を前記判定電圧と比較する第2比較処理と、を含み、前記特定異常検出部は、前記第1及び第2比較処理の結果に基づき、前記2つの接続端子における前記特定異常の有無を検出する構成である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、隣接端子間の異常検出に寄与する発光素子駆動装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の実施形態に係る発光システムの全体構成図である。
図2図2は、本開示の実施形態に係り、発光システムにおける複数のチャネルの説明図である。
図3図3は、本開示の実施形態に係り、発光システムにおける複数のグループの説明図である。
図4図4は、本開示の実施形態に係り、発光システムにて実行可能な8時分割発光動作のタイミングチャートである。
図5図5は、本開示の実施形態に係るLEDドライバの外観斜視図である。
図6図6は、本開示の実施形態に係るLEDドライバの平面図である。
図7図7は、本開示の実施形態に係り、隣接する2つの接続端子間の関係を説明するための図である。
図8図8は、本開示の実施形態に係り、特定異常検出部の構成を示す図である。
図9図9は、本開示の実施形態に係り、特定異常検出処理にて設定される第1及び第2検査期間の説明図である。
図10図10は、本開示の実施形態に属する第1実施例に係り、第1及び第2検査期間における信号波形等を示す図である(ケースCS1)。
図11図11は、本開示の実施形態に属する第1実施例に係り、第1及び第2検査期間における信号波形等を示す図である(ケースCS2)。
図12A図12Aは、本開示の実施形態に属する第1実施例に係り、2つの接続端子における端子電圧及び端子電流の関係を示す図である。
図12B図12Bは、本開示の実施形態に属する第1実施例に係り、2つの接続端子における端子電圧及び端子電流の関係を示す図である。
図13図13は、本開示の実施形態に属する第2実施例に係り、4つの接続端子が連続して配列される様子を示す図である。
図14図14は、本開示の実施形態に属する第2実施例に係り、4つの接続端子が連続して配列される状況でのスイッチ制御の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量、素子又は部位等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量、素子又は部位等の名称を省略又は略記することがある。例えば、後述の“CH[1]”によって参照される接続端子は(図1参照)、接続端子CH[1]と表記されることもあるし、端子CH[1]と略記されることもあり得るが、それらは全て同じものを指す。
【0010】
まず、本開示の実施形態の記述にて用いられる幾つかの用語について説明を設ける。グランドとは、基準となる0V(ゼロボルト)の電位を有する基準導電部を指す又は0Vの電位そのものを指す。基準導電部は金属等の導体にて形成される。0Vの電位をグランド電位と称することもある。本開示の実施形態において、特に基準を設けずに示される電圧は、グランドから見た電位を表す。
【0011】
レベルとは電位のレベルを指し、任意の注目した信号又は電圧についてハイレベルはローレベルよりも高い電位を有する。任意の注目した信号又は電圧について、信号又は電圧がハイレベルにあるとは厳密には信号又は電圧のレベルがハイレベルにあることを意味し、信号又は電圧がローレベルにあるとは厳密には信号又は電圧のレベルがローレベルにあることを意味する。信号についてのレベルは信号レベルと表現されることがあり、電圧についてのレベルは電圧レベルと表現されることがある。
【0012】
MOSFETを含むFET(電界効果トランジスタ)として構成された任意のトランジスタについて、オン状態とは、当該トランジスタのドレイン及びソース間が導通している状態を指し、オフ状態とは、当該トランジスタのドレイン及びソース間が非導通となっている状態(遮断状態)を指す。FETに分類されないトランジスタについても同様である。MOSFETは、特に記述無き限り、エンハンスメント型のMOSFETであると解される。MOSFETは“metal-oxide-semiconductor field-effect transistor”の略称である。
【0013】
任意のスイッチを1以上のFET(電界効果トランジスタ)にて構成することができ、或るスイッチがオン状態のときには当該スイッチの両端間が導通する一方で或るスイッチがオフ状態のときには当該スイッチの両端間が非導通となる。以下、任意のトランジスタ又はスイッチについて、オン状態、オフ状態を、単に、オン、オフと表現することもある。また、任意のトランジスタ又はスイッチについて、トランジスタ又はスイッチがオン状態となっている期間をオン期間と称することがあり、トランジスタ又はスイッチがオフ状態となっている期間をオフ期間と称することがある。任意の回路素子、配線、ノードなど、回路を形成する複数の部位間についての接続とは、特に記述なき限り、電気的な接続を意味する。
【0014】
図1に本開示の実施形態に係る発光システムSYSの全体構成図を示す。発光システムSYSは、発光素子駆動装置の例であるLEDドライバ1と、LEDドライバ1を制御するMPU(Micro Processing Unit)2と、LEDドライバ1により駆動される複数の発光部と、電源電圧VINを出力する電源回路3と、を備える。電源電圧VINは正の直流電圧である。LEDドライバ1は電源電圧VINを受ける端子VINSWを有し、電源電圧VINに基づいて駆動する。尚、配線6、7、8[1]~8[24]並びにプルアップ抵抗RPU及び電流設定抵抗RISETも発光システムSYSの構成要素に含まれる。また、電源回路3はLEDドライバ1の構成要素としてLEDドライバ1に含まれるようにしても良い。この場合、後述の端子FBはLEDドライバ1の内部端子として機能する。
【0015】
発光システムSYSに設けられる複数の発光部を互いに区別しない場合、各発光部を発光部LLと称する。各発光部LLは1以上のLED(発光ダイオード)から成る。例えば、各発光部LLは複数のLEDの直列回路にて構成される。但し、各発光部LLは複数のLEDの並列回路にて構成されていても良いし、複数のLEDの直列回路と複数のLEDの並列回路とが1つの発光部LLに混在していても良い。単一のLEDにて1つの発光部LLが構成されることがあっても良い。各発光部LLは高電位端及び低電位端を有し、発光部LLを形成する各LEDは高電位端から低電位端に向かう方向に順方向を有する。
【0016】
ここでは、複数の発光部LLとして計(24×8)個の発光部LLが発光システムSYSに設けられているものとし、計(24×8)個の発光部LLを記号“LL[1,1]~LL[24,8]”にて表す。発光部LL[1,1]~LL[24,8]の内、任意の1つの発光部LLは、“1≦i≦24”を満たす任意の整数i及び“1≦j≦8”を満たす任意の整数jを用いて、発光部LL[i,j]と表現される。発光システムSYS及びLEDドライバ1においては第1~第24チャネルが設定され、図2に示す如く発光部LL[i,1]~LL[i,8]は第iチャネルに属する(換言すれば第iチャネルに対応する)。また、発光部LL[1,1]~LL[24,8]を第1~第8グループに分類することができ、図3に示す如く発光部LL[1,j]~LL[24,j]は第jグループに属する(換言すれば第jグループに対応する)。
【0017】
LEDドライバ1には、チャネルの総数分の接続端子CH[1]~CH[24]が設けられる。接続端子CH[i]は第iチャネルに属する(換言すれば第iチャネルに対応する)。接続端子CH[i]は第iチャネルに属する発光部LL[i,1]~LL[i,8]が接続されるべき発光部接続端子である。尚、接続端子CH[1]~CH[24]を互いに区別しない場合、各接続端子は接続端子CHと称され得る。
【0018】
発光システムSYSには、グループの総数分のスイッチSW[1]~SW[8]が設けられる。スイッチSW[j]は第jグループに対応するスイッチである。スイッチSW[1]~SW[8]の各一端は、電源回路3の出力端子に接続されて電源回路3の出力電圧(即ち電源電圧VIN)を受ける。スイッチSW[j]の他端は第jグループに属する発光部LL[1,j]~LL[24,j]の各高電位端に共通接続される。そして、第iチャネルに属する発光部LL[i,1]~LL[i,8]の各低電位端は配線8[i]に共通接続される。配線8[i]は接続端子CH[i]に接続される。
【0019】
LEDドライバ1は、ドライバブロック10及び制御ブロック20を備える。ドライバブロック10は電流ドライバDRV[1]~DRV[24]を備える。電流ドライバDRV[i]は第iチャネルに属する(換言すれば第iチャネルに対応する)。即ち、ドライバブロック10にはチャネルごとに電流ドライバが設けられる。チャネルごとに設けられた計24個の電流ドライバを互いに区別しない場合、各電流ドライバは電流ドライバDRVと称され得る。電流ドライバDRV[1]~DRV[24]の構成及び機能は互いに同じである。各チャネルにおいて、電流ドライバDRV[i]は定電流回路を有し、通常発光動作において、制御ブロック20の制御の下、接続端子CH[i]からグランドに向かう向きに駆動電流ILED[i]が流れるよう動作する。接続端子CH[1]を通じて駆動電流ILED[1]が発光部LL[1,j]に流れることで発光部LL[1,j]が発光し、接続端子CH[2]を通じて駆動電流ILED[2]が発光部LL[2,j]に流れることで発光部LL[2,j]が発光する。他の駆動電流及び他の発光部についても同様である。
【0020】
制御ブロック20は、LEDドライバ1内の各構成要素の動作を統括的に制御する。LEDドライバ1にはスイッチSW[1]~SW[8]の制御端子に接続される端子GC[1]~GC[8]が設けられる。制御ブロック20は、端子GC[1]~GC[8]を通じてスイッチSW[1]~SW[8]を個別にオン又はオフすることができる。スイッチSW[1]~SW[8]の夫々として例えばPチャネル型のMOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)を用いることができる。この場合、スイッチSW[1]~SW[8]としての各MOSFETのソースに電源電圧VINを供給し、スイッチSW[j]としてのMOSFETのドレインを発光部LL[1,j]~LL[24,j]の各高電位端に共通接続し、制御ブロック20が端子GC[1]~GC[8]を通じてスイッチSW[1]~SW[8]としての各MOSFETのゲート電位を制御すれば良い。また、制御ブロック20は、通常発光動作において、接続端子CH[1]~CH[24]の電圧に基づき端子FBを通じて電源回路3の出力電圧VINを調整する機能を持つ。
【0021】
LEDドライバ1における端子FAILBは配線6を通じてMPU2に接続される。MPU2は所定の正の直流電圧である電源電圧VCCに基づいて駆動する。端子FAILBとMPU2とを接続する配線6はプルアップ抵抗RPUを介して電源電圧VCCの印加端(電源電圧VCCが印加される端子)に接続される。また、MPU2は通信用配線7を通じてLEDドライバ1の通信用端子である端子COMに接続される。LEDドライバ1及びMPU2は通信用配線4を通じて双方向通信が可能となっている。この双方向通信によりMPU2は任意のコマンドをLEDドライバ1に送信することができ、LEDドライバ1は受信したコマンドに対する応答信号をMPU2に送信することができる。尚、図1では、端子COMが1つしか示されていないが、端子COMは実際には複数の外部端子から成り、これに対応して通信用配線7は複数の配線から成る。LEDドライバ1及びMPU2間の通信方式は任意であり、例えばSPI(Serial Peripheral Interface)に準拠するものであって良い。
【0022】
LEDドライバ1には端子GND及びIISETも設けられる。端子GNDはグランドに接続される。LEDドライバ1の外部において電流設定抵抗RISETが設けられる。電流設定抵抗RISETの一端が端子IISETに接続され、電流設定抵抗RISETの他端はグランドに接続される。制御ブロック20は、電流設定抵抗RISETの値とMPU2からのコマンドに基づいて、駆動電流ILED[1]~ILED[24]の大きさを個別に設定することができる。
【0023】
LEDドライバ1には特徴的な構成要素として特定異常検出部30が設けられている。特定異常検出部30の構成及び機能については後述される。
【0024】
図4を参照し、通常発光動作の一種である8時分割発光動作を説明する。8時分割発光動作では、所定の時間長さを有する単位期間が設定される。単位期間は所定周期で繰り返し設定される。更に、各単位期間が8分割されることで第1分割期間~第8分割期間が設定される。制御ブロック20は、第1分割期間~第8分割期間において、スイッチSW[1]~SW[8]を1つずつオン状態とする。即ち、第j分割期間において、スイッチSW[1]~SW[8]の内、スイッチSW[j]のみがオン状態とされ、他の7つのスイッチはオフ状態とされる。故に、第j分割期間では、第1~第8グループの内、第jグループの発光部LL[1,j]~LL[24,j]の高電位端にのみスイッチSW[j]を介して電源電圧VINが供給され、発光部LL[1,j]~LL[24,j]のみが発光可能となる。
【0025】
制御ブロック20は、第1分割期間~第8分割期間の夫々において、チャネルごとに電流ドライバDRVをPWM駆動する。PWMはパルス幅変調(pulse width modulation)の略称である。各分割期間におけるPWM駆動では、チャネルごとに駆動電流ILED[i]が供給される時間幅(換言すれば時間長さ)が制御される。即ち、駆動電流ILED[1]~ILED[24]が供給される時間幅が個別にPWM制御される。これにより、各分割期間において対応する発光部LLがパルス発光され、上記時間幅の制御を通じ計(24×8)個の発光部LLの平均輝度が個別に調整される。
【0026】
例えば、発光部LL[1,1]~LL[24,8]から成る発光ブロックが液晶表示パネル等の表示パネル(表示画面)の光源として用いられる場合、外部からLEDドライバ1に供給される垂直同期信号に同期して単位期間を設定して良い。この場合、垂直同期信号の周期にて単位期間を繰り返し設定される。そして、表示パネルの全表示領域を複数の分割領域(例えば(24×8)個の分割領域)に分割し、各分割領域に1以上の発光部LLを割り当てる。その上で、各表示領域に表示されるべき映像の明るさ等に応じ、対応する発光部LLの発光輝度を調整すれば分割領域の総数分のローカルディミング(局所調光)が可能となる。
【0027】
尚、通常発光動作の一例として8時分割発光動作を示したが、通常発光動作は任意の1以上の発光部LL[i,j]に駆動電流ILED[i]を供給して当該1以上の発光部LL[i,j]を発光させる動作であれば任意である。例えば、スイッチSW[j]のオン期間において駆動電流ILED[1]~ILED[24]を常時供給するDC駆動が行われても良いし、スイッチSW[1]~SW[8]の内、2以上のスイッチが同時にオンとされることがあっても良い。
【0028】
図5にLEDドライバ1の外観斜視図を示す。LEDドライバ1を形成する各機能ブロック(10、20及び30を含む)は半導体集積回路にて構成される。LEDドライバ1は、上記半導体集積回路を樹脂にて構成された筐体(パッケージ)内に封入することで形成された電子部品である。LEDドライバ1の筐体には、LEDドライバ1の外部に対して露出した外部端子が複数設けられている。上述の端子CH[1]~CH[24]、GC[1]~CH[8]、FB、VINSW、FAILB、COM、ISET及びGNDは、LEDドライバ1に設けられた複数の外部端子に含まれる。他の外部端子もLEDドライバ1に設けられるが、他の外部端子についての説明を省略する。
【0029】
図6は、各外部端子が配列される面を観測したときの、LEDドライバ1の概略平面図である。ここではLEDドライバ1が、QFN(Quad Flat Non-leaded)と称される筐体(パッケージ)を有している例を挙げる。この際、LEDドライバ1は概略直方体形状の筐体を有し、当該筐体の裏面に相当する面の4辺SD1~SD4の夫々に複数の外部端子が配列される(図6は裏面側から見た平面図である)。尚、LEDドライバ1の筐体の形態はQFNに限定されず、DFN(Dual Flatpack No-leaded)やSOP(Small Outline Package)など、任意であって良い。
【0030】
LEDドライバ1の筐体の裏面は長方形(正方形を含む)の形状を有する。当該長方形を形成する4つの辺は、互いに対向する辺SD1及びSD2と、互いに対向する辺SD3及びSD4と、で構成される。LEDドライバ1の各外部端子は、辺SD1~SD4の何れかに配置される。接続端子CH[1]~CH[24]に注目した場合、接続端子CH[1]~CH[24]は、辺SD1~SD4の内、1以上の辺に分散配置される。例えば、接続端子CH[1]~CH[12]を辺SD1に配置し、接続端子CH[13]~CH[24]を辺SD2に配置することができる。
【0031】
任意の2つの接続端子CHが共通の辺(例えばSD1)に配置されて互いに隣り合う場合、当該2つの接続端子CH間が半田や結露等により短絡した状態となることがある、或いは、短絡とは言えないまでも相応に小さな抵抗成分で当該2つの接続端子CH間が接続された状態になることがある。これらの状態を、ここでは、特定異常と称する。図7に示す如く、共通の辺(例えばSD1)に配置されて互いに隣り合う任意の2つの接続端子CHを、接続端子CH及びCHと称する。接続端子CH及びCH間に他の外部端子は存在しない。図7において、記号“REXT”で参照される抵抗は、発光システムSYSにおいて意図的に設けられる抵抗ではなく、LEDドライバ1の外部において意図せず接続端子CH及びCH間に存在することとなった抵抗成分を表す。例えば、LEDドライバ1を基板(不図示)に実装する際に基板上において接続端子CH及びCH間に意図せず残留した半田、結露等により接続端子CH及びCH間に存在し得る水滴、又は、汚れ等により接続端子CH及びCH間に存在し得る不純物が、抵抗REXTを形成する。
【0032】
接続端子CH及びCHにおける特定異常は、接続端子CH及びCH間の抵抗値(抵抗REXTの値)の異常であり、より具体的には、接続端子CH及びCH間の抵抗値(抵抗REXTの値)が所定値以下となる異常である。換言すれば、接続端子CH及びCHにおける特定異常は、接続端子CH及びCH間に電位差があるときに接続端子CH及びCH間で有意な電流が流れうる異常である。接続端子CH及びCHが短絡する状態は、抵抗REXTの値が十分に小さい状態に相当するので、特定異常に属する。
【0033】
特定異常検出部30(図1参照)は、特定異常を検出するための処理である特定異常検出処理を実行する。特定異常検出部30は、接続端子CH及びCHの電圧に基づいて接続端子CH及びCHにおける特定異常の有無を検出する。接続端子CH及びCHに駆動電流が流れているとき(例えば接続端子CH[1]及びCH[2]に駆動電流ILED[1]及びILED[2]が流れているとき)、接続端子CH及びCHの各電圧は、電源電圧VINと対応する発光部LLの電圧降下とで定まる。複数の発光部LL間において発光部LLの電圧降下は同程度であるので、接続端子CH及びCHに駆動電流が流れているときには、特定異常の有無に依らず接続端子CH及びCHの電圧は同程度となる。故に、駆動電流の供給時において特定異常の有無を区別することは容易ではない。これを考慮し、特定異常検出部30は、各発光部LLへの駆動電流の非供給期間において特定異常検出処理を実行する。各発光部LLへの駆動電流の非供給期間は、発光部LL[1,8]~LL[24,8]から成る発光ブロックに対し駆動電流ILED[1]~ILED[24]が供給されていない期間(換言すれば、ドライバブロック10が発光部LL[1,8]~LL[24,8]から成る発光ブロックに対して駆動電流ILED[1]~ILED[24]を供給していない期間)であり、上記通常発光動作が行われる期間以外の任意の期間であって良い。各発光部LLへの駆動電流の非供給期間では、スイッチSW[1]~SW[8]が全てオフとされており、各発光部LLの高電位端は開放状態にある。
【0034】
例えば、LEDドライバ1が起動可能な電源電圧VINがLEDドライバ1に入力開始されることでLEDドライバ1が起動すると、制御ブロック20は、まず所定の起動初期処理を実行し、起動初期処理の実行完了後に通常発光動作を実行可能な通常モードに移行する。起動初期処理の実行期間において通常発光動作は実行されない。制御ブロック20は、起動初期処理作の実行期間において、MPU2からの所定のテスト指令コマンドの受信を受け付け、テスト指令コマンドを受信すると特定異常検出部30に特定異常検出処理を実行させる。特定異常検出処理が実行される場合、特定異常検出処理の実行が完了するまで通常モードへの移行は禁止され、特定異常検出処理の実行完了後に通常モードへの移行が許可される。
【0035】
図8に特定異常検出部30の内部構成を示す。特定異常検出部30はチャネルごとに検出用回路を備える。複数のチャネルに対応する複数の検出用回路を互いに区別しない場合、各検出用回路を検出用回路31と称する。第iチャネルに対応する検出用回路を特に記号“31[i]”にて参照する。特定異常検出部30は検出用回路31[1]~31[24]を備える。特定異常検出部30には更に判定部32が設けられる。各検出用回路31は、制御スイッチと、プルアップ用の定電流回路と、プルダウン用の定電流回路と、比較器と、を備える。検出用回路31[i]における制御スイッチ、プルアップ用の定電流回路、プルダウン用の定電流回路、比較器を、夫々、記号“SWPU[i]”、“CCPU[i]”、“CCPD[i]”、“CMP[i]”にて参照する。接続端子CHにおける電圧を端子電圧と称し、接続端子CH[i]における端子電圧を特に記号“VCH[i]”にて参照する。比較器の出力信号を比較結果信号と称し、比較器CMP[i]の出力信号を特に記号“CMPOUT[i]”にて参照する。
【0036】
検出用回路31[1]~31[24]の構成は互いに同じである。また、検出用回路31と、それに対応する接続端子CHと、の接続関係は、第1~第24チャネル間で共通である。このため、第iチャネルに注目し(“1≦i≦24”)、検出用回路31[i]の構成及び動作、並びに、検出用回路31[i]及び接続端子CH[i]間の接続関係を説明する。
【0037】
検出用回路31[i]において、制御スイッチSWPU[i]の一端は所定の内部電圧VREGの印加端(即ち内部電圧VREGが印加される端子)に接続され、制御スイッチSWPU[i]の他端はプルアップ用の定電流回路CCPU[i]を介して接続端子CH[i]に接続される。また、接続端子CH[i]は、プルダウン用の定電流回路CCPD[i]を介してグランドに接続されると共に、比較器CMP[i]の非反転入力端子に接続される。比較器CMP[i]の反転入力端子には所定の判定電圧VTHが入力される。内部電圧VREG及び判定電圧VTHは、電源電圧VINに基づきLEDドライバ1内の内部電源回路(不図示)で生成される正の直流電圧である。内部電圧VREG(例えば3.3V)は判定電圧VTH(例えば0.15V)よりも高い。
【0038】
制御スイッチSWPU[i]と定電流回路CCPU[i]により、接続端子CH[i]に向けてプルアップ電流IPUを供給可能なプルアップ回路が形成される。具体的には、検出用回路31[i]において、プルアップ用の定電流回路CCPU[i]は、制御スイッチSWPU[i]がオン状態であるときに限り、内部電圧VREGを受けて内部電圧VREGに基づきプルアップ電流IPUを生成し、プルアップ電流IPUを(プルアップ電流IPUによる正の電荷を)内部電圧VREGの印加端から接続端子CH[i]に向けて供給する。制御スイッチSWPU[i]のオン期間において、定電流回路CCPU[i]は、所定の電流値IPU_VALを有するプルアップ電流IPUが接続端子CH[i]に向けて供給されるよう動作するが、端子電圧VCH[i]を内部電圧VREGより高める能力は有さない。このため、制御スイッチSWPU[i]のオン期間において、端子電圧VCH[i]が内部電圧VREGに達するまでは、プルアップ電流IPUの値は電流値IPU_VALと一致するが、端子電圧VCH[i]が実質的に内部電圧VREGに達した状態では、プルアップ電流IPUの値は電流値IPU_VALより小さくなる。制御スイッチSWPU[i]のオフ期間では、定電流回路CCPU[i]にてプルアップ電流IPUは生成されず、定電流回路CCPU[i]及び接続端子CH[i]間に電流は流れない。
【0039】
検出用回路31[i]において、プルダウン用の定電流回路CCPD[i]は、接続端子CH[i]から(換言すれば、プルアップ用の定電流回路CCPU[i]と接続端子CH[i]との接続ノードから)、プルダウン電流IPDを(プルダウン電流IPDによる正の電荷を)グランドへと常時引き込む。定電流回路CCPD[i]は、所定の電流値IPD_VALを有するプルダウン電流IPDが接続端子CH[i]からグランドに向けて引き込まれるよう動作するが、端子電圧VCH[i]を0Vより低くする能力は有さない。このため、端子電圧VCH[i]が0Vより高いときには、プルダウン電流IPDの値は電流値IPD_VALと一致するが、端子電圧VCH[i]が実質的に0Vにまで低下した状態では、プルダウン電流IPDの値は電流値IPD_VALより小さくなる(ゼロである得る)。
【0040】
プルダウン電流IPDの大きさの設定値である電流値IPD_VALは、プルアップ電流IPUの大きさの設定値である電流値IPU_VALより小さい。例えば、電流値IPU_VALは3mA(ミリアンペア)であり、電流値IPD_VALは20μA(マイクロアンペア)である。プルダウン電流IPDは、プルアップ電流IPUの供給により接続端子CH[i]に蓄えられた正の電荷を放電する機能を持つ。このため、プルダウン電流IPDを放電用電流と称することもできるし、プルダウン用の定電流回路CCPD[i]を放電用の定電流回路CCPD[i]と称することもできる。
【0041】
検出用回路31[i]において、比較器CMP[i]は、端子電圧VCH[i]を所定の判定電圧VTHと比較し、その比較結果を示す比較結果信号CMPOUT[i]を出力する。比較結果信号CMPOUT[i]はハイレベル又はローレベルの信号レベルをとる二値化信号である。比較器CMP[i]は、端子電圧VCH[i]が判定電圧VTHより高いときには比較結果信号CMPOUT[i]をハイレベルとし、端子電圧VCH[i]が判定電圧VTHより低いときには比較結果信号CMPOUT[i]をローレベルとする。端子電圧VCH[i]が判定電圧VTHとちょうど一致するとき、比較結果信号CMPOUT[i]はハイレベル又はローレベルとなる。
【0042】
判定部32に対し比較結果信号CMPOUT[1]~CMPOUT[24]が入力される。判定部32は、比較結果信号CMPOUT[1]~CMPOUT[24]に基づいて、接続端子CH[1]~CH[24]の内、接続端子CH及びCH図7参照)の関係にある任意の2つの接続端子CH間の特定異常の有無を判定する。
【0043】
以下、複数の実施例の中で、特定異常検出部30、LEDドライバ1又は発光システムSYSに関する幾つかの具体的な動作例、応用技術、変形技術等を説明する。本実施形態にて上述した事項は、特に記述無き限り且つ矛盾無き限り、以下の各実施例に適用される。各実施例において、上述の事項と矛盾する事項がある場合には、各実施例での記載が優先されて良い。また矛盾無き限り、以下に示す複数の実施例の内、任意の実施例に記載した事項を、他の任意の実施例に適用することもできる(即ち複数の実施例の内の任意の2以上の実施例を組み合わせることも可能である)。
【0044】
<<第1実施例>>
第1実施例を説明する。第1実施例では、図7の接続端子CH及びCHが接続端子CH[1]及びCH[2]に相当することを想定し、接続端子CH[1]及びCH[2]における特定異常の有無の検出方法を説明する。故に、第1実施例で述べられる抵抗REXTは接続端子CH[1]及びCH[2]間の抵抗成分を指し、第1実施例で述べられる特定異常は接続端子CH[1]及びCH[2]における特定異常を指す。
【0045】
特定異常検出部30は、特定異常検出処理において第1検査期間と第2検査期間を設定する。第1及び第2検査期間は互いに重複しない2つの期間であり、第1及び第2検査期間の前後関係は任意であるが、ここでは、第1検査期間の後に第2検査期間が設定されるものとする(後述の他の実施例でも同様)。
【0046】
上述したように各発光部LLへの駆動電流の非供給期間において特定異常検出処理が実行されるため、第1検査期間及び第2検査期間の双方において各発光部LLに駆動電流は供給されていない(即ち、各発光部LLは非発光状態にある)。図9に示す如く、特定異常検出部30は、第1検査期間において制御スイッチSWPU[1]をオン状態に維持する一方で制御スイッチSWPU[2]をオフ状態に維持する。故に、第1検査期間において、第1チャネルのプルアップ回路(SWPU[1]、CCPU[1])は接続端子CH[1]に向けてプルアップ電流IPUを供給する一方、第2チャネルのプルアップ回路(SWPU[2]、CCPU[2])は接続端子CH[2]に向けたプルアップ電流IPUの供給を停止する。逆に、特定異常検出部30は、第2検査期間において制御スイッチSWPU[2]をオン状態に維持する一方で制御スイッチSWPU[1]をオフ状態に維持する。故に、第2検査期間において、第2チャネルのプルアップ回路(SWPU[2]、CCPU[2])は接続端子CH[2]に向けてプルアップ電流IPUを供給する一方、第1チャネルのプルアップ回路(SWPU[1]、CCPU[1])は接続端子CH[1]に向けたプルアップ電流IPUの供給を停止する。尚、第1検査期間の前、及び、第2検査期間の後において、制御スイッチSWPU[1]及びSWPU[2]はオフ状態に維持される。
【0047】
第1検査期間は時刻t1から開始され、時刻t3で終了する。第2検査期間は時刻t3から開始され、時刻t5で終了する。ここでは、第1検査期間の終了時刻と第2検査期間の開始時刻を時刻t3にて一致させているが、第1検査期間の終了時刻と第2検査期間の開始時刻との間に時間差があっても構わない。第1検査期間において、時刻t1から所定時間Δtが経過した時刻を判定時刻t2と称する。判定時刻t2は時刻t3よりも前の時刻である。第2検査期間において、時刻t3から所定時間Δtが経過した時刻を判定時刻t4と称する。判定時刻t4は時刻t5よりも前の時刻である。所定時間Δt及びΔtは、互いに一致するが、互いに異ならせても構わない。
【0048】
図10に、ケースCS1における制御スイッチの状態及び端子電圧等の波形を示す。ケースCS1では、接続端子CH[1]及びCH[2]間が短絡しておらず、接続端子CH[1]及びCH[2]間の抵抗REXTが十分に大きい。
【0049】
ケースCS1において、第1検査期間が開始されると定電流回路CCPU[1]からのプルアップ電流IPUにより端子電圧VCH[1]が初期電圧(例えば0V)から実質的に内部電圧VREGまで急峻に上昇する。以後、判定時刻t2を含む、時刻t3に至るまでの期間において、端子電圧VCH[1]が実質的に内部電圧VREGに維持され、故に比較結果信号CMPOUT[1]はハイレベルに維持される。一方、ケースCS1において、第1検査期間では、定電流回路CCPD[2]の機能により端子電圧VCH[2]が継続して0Vに維持され、故に比較結果信号CMPOUT[2]は継続してローレベルに維持される。
【0050】
ケースCS1において、第2検査期間が開始されると定電流回路CCPU[2]からのプルアップ電流IPUにより端子電圧VCH[2]が初期電圧(例えば0V)から実質的に内部電圧VREGまで急峻に上昇する。以後、判定時刻t4を含む、時刻t5に至るまでの期間において、端子電圧VCH[2]が実質的に内部電圧VREGに維持され、故に比較結果信号CMPOUT[2]はハイレベルに維持される。一方、ケースCS1において、第2検査期間では、定電流回路CCPD[1]の機能により端子電圧VCH[1]が継続して0Vに維持され、故に比較結果信号CMPOUT[1]は継続してローレベルに維持される。
【0051】
図11に、ケースCS2における制御スイッチの状態及び端子電圧等の波形を示す。ケースCS2では、接続端子CH[1]及びCH[2]間が短絡しており、接続端子CH[1]及びCH[2]間の抵抗REXTが十分に小さい。
【0052】
ケースCS2において、第1検査期間が開始されると定電流回路CCPU[1]からのプルアップ電流IPUにより端子電圧VCH[1]が初期電圧(例えば0V)から実質的に内部電圧VREGまで急峻に上昇する。以後、判定時刻t2を含む、時刻t3に至るまでの期間において、端子電圧VCH[1]が実質的に内部電圧VREGに維持され、故に比較結果信号CMPOUT[1]はハイレベルに維持される。また、ケースCS2では、第1検査期間において、定電流回路CCPU[1]からのプルアップ電流IPUが接続端子CH[1]及び抵抗REXTを通じて接続端子CH[2]へと流れ、端子電圧VCH[2]は、端子電圧VCH[1]より抵抗REXTの電圧降下分だけ低い電圧となる。図11では、抵抗REXTが十分に小さいと仮定しており、故に、第1検査期間において端子電圧VCH[2]は実質的に内部電圧VREGと一致する。結果、ケースCS2では、判定時刻t2を含む、時刻t3に至るまでの期間において、端子電圧VCH[1]と同様、端子電圧VCH[2]が実質的に内部電圧VREGに維持され、故に比較結果信号CMPOUT[2]はハイレベルに維持される。
【0053】
ケースCS2では、第2検査期間の開始時刻t3において既に端子電圧VCH[2]が内部電圧VREGと実質的に一致しており、その後においても定電流回路CCPU[2]からのプルアップ電流IPUにより端子電圧VCH[2]が内部電圧VREGに維持される。故に、第2検査期間の全体に亘り比較結果信号CMPOUT[2]はハイレベルに維持される。また、ケースCS2では、第2検査期間において、定電流回路CCPU[2]からのプルアップ電流IPUが接続端子CH[2]及び抵抗REXTを通じて接続端子CH[1]へと流れ、端子電圧VCH[1]は、端子電圧VCH[2]より抵抗REXTの電圧降下分だけ低い電圧となる。図11では、抵抗REXTが十分に小さいと仮定しており、故に、第2検査期間において端子電圧VCH[1]は実質的に内部電圧VREGと一致する。結果、ケースCS2では、第2検査期間の全体に亘り、端子電圧VCH[2]と同様、端子電圧VCH[1]が実質的に内部電圧VREGに維持され、故に比較結果信号CMPOUT[1]はハイレベルに維持される。
【0054】
判定部32は、判定時刻t2における比較結果信号CMPOUT[2]と判定時刻t4における比較結果信号CMPOUT[1]を、第1及び第2評価信号として取り込む。判定部32は、第1及び第2評価信号が共にハイレベルであるとき、接続端子CH[1]及びCH[2]に特定異常が有ると判定する一方、そうでないとき、接続端子CH[1]及びCH[2]に特定異常は無いと判定する(換言すれば特定異常が有ると判定しない)。従って、図10のケースCS1では、接続端子CH[1]及びCH[2]に特定異常は無いと判定され、図11のケースCS2では、接続端子CH[1]及びCH[2]に特定異常が有ると判定される。
【0055】
特定異常検出処理は、第1比較処理と第2比較処理とを含んでいると言える。互いに隣接する2つの接続端子CH[1]及びCH[2]に注目した場合、第1比較処理は、比較器CMP[2]を用いて判定時刻t2の端子電圧VCH[2]を判定電圧VTHと比較する処理に相当し、第1検査期間は第1比較処理の実行期間を含む(即ち第1検査期間にて第1比較処理が実行される)。これに対し、第2比較処理は、比較器CMP[1]を用いて判定時刻t4の端子電圧VCH[1]を判定電圧VTHと比較する処理に相当し、第2検査期間は第2比較処理の実行期間を含む(即ち第2検査期間にて第2比較処理が実行される)。そして、特定異常検出部30(判定部32)は、第1及び第2比較処理の結果に基づき(即ち第1及び第2評価信号に基づき)、接続端子CH[1]及びCH[2]における特定異常の有無を検出する。
【0056】
即ち具体的には、特定異常検出部30(判定部32)は、第1比較処理において一方の接続端子(ここではCH[1])に向けてプルアップ電流IPUを供給したときの他方の接続端子(ここではCH[2])の電圧が判定電圧VTHより高く、且つ、第2比較処理において他方の接続端子(ここではCH[2])に向けてプルアップ電流IPUを供給したときの一方の接続端子(ここではCH[1])の電圧が判定電圧より高いとき、それら2つの接続端子(ここではCH[1]及びCH[2])に特定異常があると検出する。
【0057】
特定異常の有無は抵抗REXTの値の大小により峻別される。図12Aに、第1検査期間における、端子電圧VCH[1]及び端子電流ICH[1]間の関係、並びに、端子電圧VCH[2]及び端子電流ICH[2]間の関係を示す。図12Bに、第2検査期間における、端子電圧VCH[2]及び端子電流ICH[2]間の関係、並びに、端子電圧VCH[1]及び端子電流ICH[1]間の関係を示す。端子電流ICH[i]は接続端子CH[i]に流れる電流を表す。但し、第1検査期間では、LEDドライバ1の内部から接続端子CH[1]を通じLEDドライバ1の外部に向かう向きに端子電流ICH[1]の正をとり、LEDドライバ1の外部から接続端子CH[2]を通じLEDドライバ1の内部に向かう向きに端子電流ICH[2]の正をとる。逆に、第2検査期間では、LEDドライバ1の内部から接続端子CH[2]を通じLEDドライバ1の外部に向かう向きに端子電流ICH[2]の正をとり、LEDドライバ1の外部から接続端子CH[1]を通じLEDドライバ1の内部に向かう向きに端子電流ICH[1]の正をとる。
【0058】
第1検査期間において(図12A参照)、端子電流ICH[1]及びICH[2]がちょうど一致する点が動作点となる。その動作点での端子電圧VCH[2]は、抵抗REXTの値の増大につれて低くなり、抵抗REXTの値の減少につれて高くなる。その動作点での端子電圧VCH[2]が判定電圧VTHより高くなる程度に抵抗REXTの値が低いとき、第1検査期間での比較結果信号CMPOUT[2]がハイレベルとなる。第2検査期間についても同様に考えることができる。抵抗REXTの値が所定値より高いときには特定異常が無いと判定され、抵抗REXTの値が所定値より低いときには特定異常が有ると判定される。この所定値は判定電圧VTHに依存する。
【0059】
第1実施例によれば、2つの接続端子CHにおける特定異常の有無を正しく検出することができる。
【0060】
<<第2実施例>>
第2実施例を説明する。第1実施例では、2つの接続端子CHにのみ注目したが、互いに連続して配列される任意の個数の接続端子CHについて、特定異常の有無を検出することができる。互いに連続して配列される3以上の接続端子CHには、互いに隣接する2つの接続端子CHの組み合わせが複数存在するので、組み合わせごとに2つの接続端子CHを接続端子CH及びCHと捉えて、組み合わせごとに第1実施例に示した方法により特定異常の有無を検出すれば良い。
【0061】
例えば、今、辺SD1~SD4(図6参照)の何れか1つの辺において、図13に示す如く、接続端子CH[1]~CH[4]が連続して配列されているものとする。接続端子CH[1]、CH[2]、CH[3]及びCH[4]は、この順番で、上記1つの辺に沿って並べられている。接続端子CH[1]及びCH[2]間、接続端子CH[2]及びCH[3]間、並びに、接続端子CH[3]及びCH[4]間において、他の外部端子は存在しない。即ち、接続端子CH[1]及びCH[2]は互いに隣接し、且つ、接続端子CH[2]及びCH[3]は互いに隣接し、接続端子CH[3]及びCH[4]は互いに隣接する。
【0062】
第1実施例にて示したように、特定異常検出部30は、特定異常検出処理において第1検査期間と第2検査期間を設定する。第1及び第2検査期間と時刻t1~t5との関係は第1実施例で述べた通りである(図9参照)。
【0063】
図14に示す如く、特定異常検出部30は、第1検査期間において制御スイッチSWPU[1]及びSWPU[3]をオン状態に維持する一方で制御スイッチSWPU[2]及びSWPU[4]をオフ状態に維持する。故に、第1検査期間において、第1チャネルのプルアップ回路(SWPU[1]、CCPU[1])及び第3チャネルのプルアップ回路(SWPU[3]、CCPU[3])は、夫々、接続端子CH[1]及びCH[3]に向けてプルアップ電流IPUを供給する一方、第2チャネルのプルアップ回路(SWPU[2]、CCPU[2])及び第4チャネルのプルアップ回路(SWPU[4]、CCPU[4])は、夫々、接続端子CH[2]及びCH[4]に向けたプルアップ電流IPUの供給を停止する。逆に、特定異常検出部30は、第2検査期間において制御スイッチSWPU[2]及びSWPU[4]をオン状態に維持する一方で制御スイッチSWPU[1]及びSWPU[3]をオフ状態に維持する。故に、第2検査期間において、第2チャネルのプルアップ回路(SWPU[2]、CCPU[2])及び第4チャネルのプルアップ回路(SWPU[4]、CCPU[4])は、夫々、接続端子CH[2]及びCH[4]に向けてプルアップ電流IPUを供給する一方、第1チャネルのプルアップ回路(SWPU[1]、CCPU[1])及び第3チャネルのプルアップ回路(SWPU[3]、CCPU[3])は、夫々、接続端子CH[1]及びCH[3]に向けたプルアップ電流IPUの供給を停止する。尚、第1検査期間の前、及び、第2検査期間の後において、制御スイッチSWPU[1]~SWPU[4]はオフ状態に維持される。
【0064】
判定部32は、隣接する2つの接続端子CHの組み合わせごとに特定異常の有無を検出する。即ち、判定部32は、判定時刻t2における比較結果信号CMPOUT[2]と判定時刻t4における比較結果信号CMPOUT[1]を2つの評価信号として取り込み、その2つの評価信号が共にハイレベルであるとき、接続端子CH[1]及びCH[2]に特定異常が有ると判定する一方、そうでないとき、接続端子CH[1]及びCH[2]に特定異常は無いと判定する(換言すれば特定異常が有ると判定しない)。同様に、判定部32は、判定時刻t2における比較結果信号CMPOUT[2]と判定時刻t4における比較結果信号CMPOUT[3]を2つの評価信号として取り込み、その2つの評価信号が共にハイレベルであるとき、接続端子CH[2]及びCH[3]に特定異常が有ると判定する一方、そうでないとき、接続端子CH[2]及びCH[3]に特定異常は無いと判定する(換言すれば特定異常が有ると判定しない)更に、判定部32は、判定時刻t2における比較結果信号CMPOUT[4]と判定時刻t4における比較結果信号CMPOUT[3]を2つの評価信号として取り込み、その2つの評価信号が共にハイレベルであるとき、接続端子CH[3]及びCH[4]に特定異常が有ると判定する一方、そうでないとき、接続端子CH[3]及びCH[4]に特定異常は無いと判定する(換言すれば特定異常が有ると判定しない)。
【0065】
特定異常検出処理は、第1比較処理と第2比較処理とを含んでいると言える。接続端子CH[1]~CH[4]に注目した場合、第1比較処理は、比較器CMP[2]及びCMP[4]を用いて判定時刻t2の端子電圧VCH[2]及びVCH[4]を夫々に判定電圧VTHと比較する処理に相当し、第1検査期間は第1比較処理の実行期間を含む(即ち第1検査期間にて第1比較処理が実行される)。これに対し、第2比較処理は、比較器CMP[1]及びCMP[3]を用いて判定時刻t4の端子電圧VCH[1]及びVCH[3]を夫々に判定電圧VTHと比較する処理に相当し、第2検査期間は第2比較処理の実行期間を含む(即ち第2検査期間にて第2比較処理が実行される)。そして、特定異常検出部30(判定部32)は、第1及び第2比較処理の結果に基づき、接続端子CH[1]及びCH[2]における特定異常の有無、接続端子CH[2]及びCH[3]における特定異常の有無、並びに、接続端子CH[3]及びCH[4]における特定異常の有無を、個別に検出する。
【0066】
即ち具体的には、iが1、2又は3をとる変数であると考えた場合、特定異常検出部30(判定部32)は、接続端子CH[i]に向けてプルアップ電流IPUを供給したときの接続端子CH[i+1]の電圧が判定電圧VTHより高く、且つ、接続端子CH[i+1]に向けてプルアップ電流IPUを供給したときの接続端子CH[i]の電圧が判定電圧VTHより高いとき、接続端子CH[i]及びCH[i+1]に特定異常があると検出する。
【0067】
説明の具体化のため、4つの接続端子CH[1]~CH[4]に注目したが、辺SD1~SD4(図6参照)の何れか1つの辺において5以上の接続端子CHが連続して配列されている場合も同様である。例えば、任意の自然数pに関して接続端子CH[p]及びCH[p+1]が互いに隣接するように、接続端子CH[1]、CH[2]、CH[3]、・・・及びCH[2×k]が、この順番で、上記1つの辺に沿って並べられている場合(kは3以上の整数)を考える。この場合、第1、第3、・・・及び第(2×k-1)チャネルは奇数チャンネルに分類され、第2、第4、・・・及び第(2×k)チャネルは偶数チャンネルに分類される。
【0068】
特定異常検出部30は、第1検査期間において、奇数チャネルの各制御スイッチSWPU[1]、SWPU[3]・・・及びSWPU[2×k-1]をオン状態に維持する一方で、偶数チャネルの各制御スイッチSWPU[2]、SWPU[4]・・・及びSWPU[2×k]をオフ状態に維持する。故に、第1検査期間において、奇数チャネルの各プルアップ回路は奇数チャネルの各接続端子(CH[1]、CH[3]、・・・CH[2×k-1])に向けてプルアップ電流IPUを供給する一方、偶数チャネルの各プルアップ回路は偶数チャネルの各接続端子(CH[2]、CH[4]、・・・CH[2×k])に向けたプルアップ電流IPUの供給を停止する。逆に、特定異常検出部30は、第2検査期間において、偶数チャネルの各制御スイッチSWPU[2]、SWPU[4]・・・及びSWPU[2×k]をオン状態に維持する一方、奇数チャネルの各制御スイッチSWPU[1]、SWPU[3]・・・及びSWPU[2×k-1]をオフ状態に維持する。故に、第2検査期間において、偶数チャネルの各プルアップ回路は偶数チャネルの各接続端子(CH[2]、CH[4]、・・・CH[2×k])に向けてプルアップ電流IPUを供給する一方、奇数チャネルの各プルアップ回路は奇数チャネルの各接続端子(CH[1]、CH[3]、・・・CH[2×k-1])に向けたプルアップ電流IPUの供給を停止する。尚、第1検査期間の前、及び、第2検査期間の後において、制御スイッチSWPU[1]~SWPU[24]は全てオフ状態に維持される。
【0069】
判定部32は、隣接する2つの接続端子CHの組み合わせごとに特定異常の有無を検出する。即ち、判定部32は、“1≦q≦k”を満たす整数qの全てについて、個別に、判定時刻t2における比較結果信号CMPOUT[2×q]と判定時刻t4における比較結果信号CMPOUT[2×q-1]を2つの評価信号として取り込み、その2つの評価信号が共にハイレベルであるとき、接続端子CH[2×q-1]及びCH[2×q]に特定異常が有ると判定する一方、そうでないとき、接続端子CH[2×q-1]及びCH[2×q]に特定異常は無いと判定する(換言すれば特定異常が有ると判定しない)。同様に、判定部32は、“1≦q≦k-1”を満たす整数qの全てについて、個別に、判定時刻t2における比較結果信号CMPOUT[2×q]と判定時刻t4における比較結果信号CMPOUT[2×q+1]を2つの評価信号として取り込み、その2つの評価信号が共にハイレベルであるとき、接続端子CH[2×q]及びCH[2×q+1]に特定異常が有ると判定する一方、そうでないとき、接続端子CH[2×q]及びCH[2×q+1]に特定異常は無いと判定する(換言すれば特定異常が有ると判定しない)。
【0070】
第2実施例によれば、多数配列される複数の接続端子CHの内、互いに隣接する任意の接続端子間における特定異常の有無を、個別に検出することができる。
【0071】
<<第3実施例>>
第3実施例を説明する。任意の組み合わせの2つの接続端子CHについて特定異常が有ると検出された場合、制御ブロック20は、その旨を示す異常有データと、何れの接続端子CHの組み合わせにおいて特定異常が有ると検出されたのかを示す異常箇所データを、自身が有するレジスタ(不図示)に格納する。また、LEDドライバ1において特定異常を含む何からの異常が有ると検出されたとき、制御ブロック20は、原則はハイレベルとされる配線6の信号レベルをローレベルとし、これによって何らかの異常の発生をMPU2に通知する。MPU2は、配線6の信号レベルがローレベルになったことを認知すると、上記レジスタの格納データを送信すべきことを指示するエラー読み出しコマンドをLEDドライバ1に適宜送信できる。エラー読み出しコマンドがLEDドライバ1にて受信されると、異常有データ及び異常箇所データを含むデータがLEDドライバ1からMPU2に送信され、MPU2は受信データに基づいて異常有データ及び異常箇所データが示す内容を認識できる。
【0072】
MPU2は、異常有データ及び異常箇所データを含む受信データに基づいて所定の異常対応処理を行うことができる。例えば、発光部LL[1,1]~LL[24,8]から成る発光ブロックが液晶表示パネル等の表外パネルの光源として用いられ、且つ、表外パネルの全表示領域が複数の分割領域(例えば(24×8)個の分割領域)に分割され、且つ、各分割領域に1以上の発光部LLが割り当てられている場合において、接続端子CH[1]及びCH[2]に特定異常が有ると検出されたとき、表示パネルに表示すべき映像を、正常表示領域に表示する。ここにおける正常表示領域は、表示パネルの全表示領域の内、第1及び第2チャネルの発光部LL[1,1]~LL[1,8]及びLL[2,1]~LL[2,8]が割り当てられた分割領域以外の表示領域である。
【0073】
<<第4実施例>>
第4実施例を説明する。第4実施例では、上述の各説明事項に対する応用技術、変形技術などを説明する。
【0074】
発光部LL[1,1]~LL[24,8]から成る発光ブロックを様々な機器の光源として用いることができ、例えば上述したような表示パネルの光源として用いることができる。特に例えば、自動車等の車両に発光システムSYSを搭載することができる。この場合、車両の速度やエンジン回転数、燃料残量等を表示するクラスタパネル、カーナビゲーション用の表示パネル、ヘッドアップディスプレイ、センターインフォメーションディスプレイ(Center Information Display)などの光源として、上記発光ブロックを利用できる。
【0075】
上述の構成において、チャネル数は24とされ、グループ数は8とされているが(図1図3参照)、チャネル数は2以上であれば任意であり、グループ数も2以上であれば任意である。
【0076】
グループ数は1とされても良い。即ち、上述の構成では、各接続端子CHにグループ数分の発光部LLが並列接続されているが、各接続端子CHに単一の発光部LLが接続される構成が採用されても良い。例えば、発光部LL[1,1]~LL[24,8]の内、計24個の発光部LL[1,1]、LL[2,2]、LL[3,3]、・・・及びLL[24,24]のみが発光システムSYSに設けられるようにしても良く、この場合には、最大24分割のローカルディミング(局所調光)が可能となる。
【0077】
本開示において、発光部LLは電流供給により発光する1以上の発光素子にて形成されていれば良い。発光素子としてのLEDは、任意の種類の発光ダイオードであって良く、有機EL(有機エレクトロルミネッセンス)を実現する有機LEDでも良い。また、発光素子はLEDに分類されないものでも良く、例えば、レーザダイオードであっても良い。
【0078】
LEDドライバ1は発光部LLを駆動するための発光素子駆動装置の例であり、本実施形態では、発光素子駆動装置に本開示に係る技術(特定異常の検出技術を含む)を適用する例を挙げた。しかしながら、本開示に係る技術は任意に装置に適用可能である。即ち例えば、本開示に係る特定異常の検出技術を、任意の装置に設けられた、互いに隣接する任意の2つの端子間の特定異常の有無検出に用いても良い。
【0079】
任意の信号又は電圧に関して、上述の主旨を損なわない形で、それらのハイレベルとローレベルの関係を逆にしても良い。
【0080】
本開示の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本開示の実施形態の例であって、本開示ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。
【0081】
<<付記>>
上述の実施形態にて具体化された技術的思想について考察する。
【0082】
本開示に係る発光素子駆動装置は、1以上の発光素子を有する発光部に接続可能に構成された接続端子を複数チャネル分備え、前記チャネルごとに前記接続端子を介し前記発光部に駆動電流を供給可能に構成された発光素子駆動装置であって、各発光部への前記駆動電流の非供給期間において、特定異常を検出するための検出処理を実行可能な特定異常検出部を備え、前記特定異常は、複数の接続端子に含まれる互いに隣接した2つの接続端子間の抵抗値の異常であり、前記特定異常検出部は、前記チャネルごとに、前記接続端子に向けてプルアップ電流を供給可能なプルアップ回路、及び、前記接続端子の電圧を所定の判定電圧と比較するよう構成された比較器を有し、前記検出処理は、前記2つの接続端子の内、一方の接続端子に向けて前記プルアップ電流を供給したときの他方の接続端子の電圧を前記判定電圧と比較する第1比較処理と、前記2つの接続端子の内、前記他方の接続端子に向けて前記プルアップ電流を供給したときの前記一方の接続端子の電圧を前記判定電圧と比較する第2比較処理と、を含み、前記特定異常検出部は、前記第1及び第2比較処理の結果に基づき、前記2つの接続端子における前記特定異常の有無を検出する構成(第1の構成)である。
【0083】
上記第1の構成に係る発光素子駆動装置において、前記特定異常検出部は、前記第1比較処理において前記一方の接続端子に向けて前記プルアップ電流を供給したときの前記他方の接続端子の電圧が前記判定電圧より高く、且つ、前記第2比較処理において前記他方の接続端子に向けて前記プルアップ電流を供給したときの前記一方の接続端子の電圧が前記判定電圧より高いとき、前記2つの接続端子に前記特定異常があると検出する構成(第2の構成)であっても良い。
【0084】
上記第1又は第2の構成に係る発光素子駆動装置において、前記一方の接続端子、前記他方の接続端子は、夫々、第1チャネル、第2チャネルにおける接続端子であり、前記第1比較処理の実行期間において、前記第1チャネルのプルアップ回路が前記一方の接続端子に向けて前記プルアップ電流を供給し、この際、前記第2チャネルのプルアップ回路は前記他方の接続端子に向けた前記プルアップ電流の供給を停止し、前記第2比較処理の実行期間において、前記第2チャネルのプルアップ回路が前記他方の接続端子に向けて前記プルアップ電流を供給し、この際、前記第1チャネルのプルアップ回路は前記一方の接続端子に向けた前記プルアップ電流の供給を停止する構成(第3の構成)であっても良い。
【0085】
上記第1の構成に係る発光素子駆動装置において、前記複数の接続端子は第1~第4接続端子を含み、前記第1~第4接続端子は、この順番で連続して配列され、前記特定異常検出部は、前記第1比較処理において、前記第1及び第3接続端子の夫々に向けて前記プルアップ電流を供給したときの前記第2及び第4接続端子の電圧を夫々に前記判定電圧と比較し、前記第2比較処理において、前記第2及び第4接続端子の夫々に向けて前記プルアップ電流を供給したときの前記第1及び第3接続端子の電圧を夫々に前記判定電圧と比較し、前記第1及び第2比較処理の結果に基づき、前記第1及び第2接続端子における前記特定異常の有無、前記第2及び第3接続端子における前記特定異常の有無、並びに、前記第3及び第4接続端子における前記特定異常の有無を、個別に検出する構成(第4の構成)であっても良い。
【0086】
上記第4の構成に係る発光素子駆動装置において、前記特定異常検出部は、第i接続端子に向けて前記プルアップ電流を供給したときの第(i+1)接続端子の電圧が前記判定電圧より高く、且つ、前記第(i+1)接続端子に向けて前記プルアップ電流を供給したときの前記第i接続端子の電圧が前記判定電圧より高いとき、前記第i及び第(i+1)接続端子に前記特定異常があると検出し、iは1、2又は3を表す構成(第5の構成)であっても良い。
【0087】
上記第4又は第5の構成に係る発光素子駆動装置において、前記第1~第4接続端子は、夫々、第1~第4チャネルにおける接続端子であり、前記第1比較処理の実行期間において、前記第1及び第3チャネルのプルアップ回路が前記第1及び第3接続端子に向けて前記プルアップ電流を供給し、この際、前記第2及び第4チャネルのプルアップ回路は前記第2及び第4接続端子に向けた前記プルアップ電流の供給を停止し、前記第2比較処理の実行期間において、前記第2及び第4チャネルのプルアップ回路が前記第2及び第4接続端子に向けて前記プルアップ電流を供給し、この際、前記第1及び第3チャネルのプルアップ回路は前記第1及び第3接続端子に向けた前記プルアップ電流の供給を停止する構成(第6の構成)であっても良い。
【0088】
上記第1~第6の構成の何れかに係る発光素子駆動装置において、前記特定異常検出部は、前記チャネルごとに、前記接続端子からプルダウン電流を引き込むよう構成されたプルダウン回路を有し、前記プルダウン電流の大きさは前記プルアップ電流の大きさより低く設定される構成(第7の構成)であっても良い。
【符号の説明】
【0089】
SYS 発光システム
1 LEDドライバ
2 MPU
3 電源回路
10 ドライバブロック
20 制御ブロック
30 特定異常検出部
LL[1,1]~LL[24,8] 発光部
CH[1]~CH[24] 接続端子
LED[1]~ILED[24] 駆動電流
31[1]~31[24] 検出用回路
32 判定部
PU プルアップ電流
PD プルダウン電流(放電用電流)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14