IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ グローブライド株式会社の特許一覧

特許7591593疑似餌、及び、疑似餌用スプリットリング
<>
  • 特許-疑似餌、及び、疑似餌用スプリットリング 図1
  • 特許-疑似餌、及び、疑似餌用スプリットリング 図2
  • 特許-疑似餌、及び、疑似餌用スプリットリング 図3
  • 特許-疑似餌、及び、疑似餌用スプリットリング 図4
  • 特許-疑似餌、及び、疑似餌用スプリットリング 図5
  • 特許-疑似餌、及び、疑似餌用スプリットリング 図6
  • 特許-疑似餌、及び、疑似餌用スプリットリング 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】疑似餌、及び、疑似餌用スプリットリング
(51)【国際特許分類】
   A01K 91/04 20060101AFI20241121BHJP
   A01K 91/047 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
A01K91/04 E
A01K91/047 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023004204
(22)【出願日】2023-01-16
(62)【分割の表示】P 2019044637の分割
【原出願日】2019-03-12
(65)【公開番号】P2023029635
(43)【公開日】2023-03-03
【審査請求日】2023-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 亮
(72)【発明者】
【氏名】田井中 佑基
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-18660(JP,A)
【文献】特開2004-135510(JP,A)
【文献】韓国公開実用新案第20-2008-0003875(KR,U)
【文献】登録実用新案第3026752(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2010/0325939(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 91/04
A01K 91/047
A01K 91/053
A01K 95/00
A01K 83/00
A01K 85/00
A01K 93/00
F16B 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環部を有する釣り用の仕掛け構成部品を交換可能なスプリットリングにおいて、
前記スプリットリングは、先端部が中間部を含む平面から湾曲しながら次第に離間する方向に螺旋状に巻き回されており、かつ、前記先端部と前記中間部との間に、前記環部を挿入させる隙間を有し、前記仕掛け構成部品の環部を前記スプリットリングに挿入した状態で、前記挿入された環部が前記スプリットリングの前記先端部の端面または前記先端部付近の内側面に当接して前記仕掛け構成部品の回転移動を規制するように螺旋状に巻き回されていることを特徴とするスプリットリング。
【請求項2】
前記スプリットリングの先端部は、前記中間部を含む平面に対して、10°以上曲げられていることを特徴とする請求項1に記載のスプリットリング。
【請求項3】
前記スプリットリングを構成する線材は、360°よりも巻回量が大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載のスプリットリング。
【請求項4】
環部を有する釣り用の仕掛け構成部品を交換可能なスプリットリングを有する疑似餌において、
前記スプリットリングは、先端部が中間部を含む平面から湾曲しながら次第に離間する方向に螺旋状に巻き回されており、かつ、前記先端部と前記中間部との間に、前記環部を挿入させる隙間を有し、前記仕掛け構成部品の環部を前記スプリットリングに挿入した状態で、前記挿入された環部が前記スプリットリングの前記先端部の端面または前記先端部付近の内側面に当接して前記仕掛け構成部品の回転移動を規制するように螺旋状に巻き回されていることを特徴とする疑似餌。
【請求項5】
前記スプリットリングの先端部は、前記中間部を含む平面に対して、10°以上曲げられていることを特徴とする請求項に記載の疑似餌。
【請求項6】
前記スプリットリングを構成する線材は、360°よりも巻回量が大きいことを特徴とする請求項4又は5に記載の疑似餌。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣りに際して使用されるルアー、ジグヘッドなどの疑似餌に関し、詳細には、フック(釣針)を着脱可能にするスプリットリングに特徴を備えた疑似餌、及び、疑似餌用のスプリットリングに関する。
【背景技術】
【0002】
上記した疑似餌には、必要に応じて異なるタイプのフックが着脱できるようにスプリットリングが装着されている。スプリットリングは、線状の部材を環状に湾曲させて構成されており、例えば、特許文献1に開示されたものが一般的となっている。ここで、特許文献1に開示されているスプリットリングを、図7(A)(B)を参照して説明する。
通常、スプリットリング100は、線材101の両端部101a,101bが中間部102に対して密着するように略二周巻回した構成となっており、いずれかの端部を中間部から強制的に離間させ、この状態でフック110の環部111を線材の端部に嵌め込み、中間部に沿って移動することで、フック110を装着するようにしている。フック110を取り外す際には、同様に、スプリットリングの端部101a(101b)と中間部102を強制的に離間させ、フック110の環部111をその隙間に嵌め込んで、中間部に沿って移動することでフック110を取り外すことができる。
【0003】
また、特許文献1には、線材を略一周巻回して、端部を基端部から僅かに離間させた構成の連結用アイも開示されている。このような連結用アイをフック用の着脱構造として用いると、フックの環部を装着する際、端部を拡げる必要が無いため、容易にフックを着脱することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3021827号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のスプリットリングは、フックの環部を着脱する際に、スプリットリングの端部を中間部から拡げる操作(プライヤー等の工具を使用して拡げる操作)を行なう必要があるため、フックの着脱操作が容易に行なえない。また、フックを取り付けると、その環部がスプリットリング内で自由に回転することができ、水中内でフックが様々な方向を向き易い状態になることから、フッキング性能が悪い。さらに、線材を略一周巻回した形式のものは、フックの着脱操作は比較的容易に行なえるものの、引張強度が弱く、上記した構成と同様、水中内でフックが様々な方向を向き易くフッキング性能が悪い。
【0006】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、フックの着脱操作を容易に行なえ、水中でフックが自由に回転することを抑制し、引張強度の強いスプリットリングを装着した疑似餌、及び、疑似餌に装着されるスプリットリングを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明に係るスプリットリングは、環部を有する仕掛け構成部品が交換可能であり、前記スプリットリングは、先端部が中間部を含む平面から湾曲しながら次第に離間する方向に螺旋状に巻き回されており、かつ、前記先端部と前記中間部との間に、前記環部を挿入させる隙間を有することを特徴とする。
【0008】
上記した構成のスプリットリングには、仕掛け構成部品の環部を差し込んで前記仕掛け構成部品が装着される。先端部が中間部を含む平面から湾曲しながら次第に離間する方向に螺旋状に巻き回されたスプリットリングは、その先端部と前記中間部との間に、前記環部を挿入させる隙間を有するため、従来のように、工具を用いて端部を中間部から離間させるような操作が不要となり、仕掛け構成部品を容易に装着することができる。
【0009】
また、本発明は、上記したようなスプリットリングを有する疑似餌を特徴としており、前記スプリットリングは、その先端部が中間部を含む平面から湾曲しながら次第に離間する方向に螺旋状に巻き回されており、かつ、前記先端部と前記中間部との間に、仕掛け構成部品の環部を挿入させる隙間を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、フックの着脱操作を容易に行なえ、水中でフックが自由に回転することを抑制し、引張強度の強いスプリットリングを装着した疑似餌、及び、疑似餌に装着されるスプリットリングが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る疑似餌の第1の実施形態を示し、(A)は全体構成を示す斜視図、(B)はラバーを除去した状態を示す斜視図。
図2図1に示す疑似餌において、スプリットリング部分を示す図であり、(A)は斜視図、(B)は正面図、(C)は側面図。
図3】(a)から(f)は、順にスプリットリングに対してフックを装着する手順を示す図。
図4】(A)及び(B)は、スプリットリングによって装着されたフックの変動が規制される状態を示す図。
図5】本発明に係る疑似餌の第2の実施形態を示す斜視図。
図6】(A)~(C)は、スプリットリングの端部形状の各種変形例を示す図。
図7】従来のスプリットリングの構成を示しており、(A)はフックが装着された状態を示す斜視図、(B)はフックを外した状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る疑似餌の実施形態について説明する。
図1は、本発明に係る疑似餌の第1の実施形態を示す図である。
図1に示す疑似餌1は、いわゆるジグヘッドと称されるものであり、釣糸が締結されるアイ3aが形成された錘(シンカー)3に多数本のラバー5を垂下するように取着して構成されている。
【0013】
前記錘3には、アイ3aが設けられる位置と反対側に、スプリットリング10が一体的に取り付けられており、このスプリットリング10には、フック20に形成されている環部21が装着される。本実施形態のスプリットリング10は、後述するように、フック20が着脱し易く、かつ、フックの変動が規制できる形状となっている。
【0014】
図2に示すように、スプリットリング10は、金属製の線材11をリング状に湾曲することで形成されている。この場合、線材11は、フック20の環部21の開口径よりも細く、かつ、その条件で、できるだけ太い径のものが用いられる。具体的に、線材11の径は、フック20の環部21の開口径にもよるが、魚が掛かって大きな引張力が作用しても十分な強度が確保できる程度の太さのもの(0.5~2.0mm程度)が用いられる。さらに、線材11は、以下のように、一周以上巻回される(360°よりも大きい巻回量)ことから、フッキングした魚のパワーによって拡がることはない。
【0015】
本実施形態では、線材11の一端部(基端部)11aを錘3のベース3bに一体的に固定しており、そこから先は、リング状に一周以上巻回し、他端部(先端部)11cを、リング状に巻回された状態にある中間部11bの側部に接触させることなく、離間するように巻回している。具体的には、線材11は、フッキングした魚のパワーによって先端部11cが拡がることがないように、約一周半(約540°程度)に亘って巻回されており、線材を巻回するに際しては、中間部11bを含む平面Pと、先端部11cが指向する方向(先端に向けて湾曲しながら離間する方向)との間の角度(湾曲角度)αが一定値以上となるように湾曲形成されている。したがって、先端部11cと中間部11bとの間には、線材11を湾曲させて前記角度αを形成することによって、一定の隙間Gが生じた状態となっている。
【0016】
上記した線材において、角度αが大きくなうように湾曲させると、フック20の環部21を通し易くすることができる。このため、前記角度αについては、中間部に対して多少離間するように、一定角度以上形成されていることが好ましい。具体的には、フック20の環部21がある程度太い構成であっても、そのまま挿入できるように、10°以上となるように形成されていることが好ましく、これにより、フック20の環部21を、工具などを用いることなく、先端部11cからスムースに中間部に向けて挿通させることが可能となる。なお、角度αの上限については、特に特定されることはないが、90°以内で湾曲させておけば良い。
【0017】
ここで、図3(a)~(f)を参照して、上記した構成のスプリットリング10に対して、フック20を装着する手順を説明する。
【0018】
最初にフック20の環部21をスプリットリングの先端部11cに位置付けて挿入する(図(a)~(b)参照)。この操作において、先端部11cは線材の中間部11bから離間して隙間が生じているため、工具を用いることなく容易に挿入することができる。
そして、その後、フック20を摘まんで、線材に沿って回転させる(図(c)~(e)参照)ことで、フック20は、スプリットリング10に対して装着状態となる(図(f)参照)。なお、フック20の取り外しは、フック20を摘まんで上記した手順と逆の操作をすることで容易に行なうことが可能である。
【0019】
上記した手順によって、フック20をスプリットリング10に装着すると、上記した角度αが小さければ、フック20の環部21が先端部11cの端面11c´に当たって、中間部11bに沿ってフック20が大きく回転することが規制される。すなわち、図4(A)で示すように、実線の位置から手前の点線20Aで示す位置への回転移動は可能となるが、実線の位置から奥側の点線20Bで示す位置への回転移動は規制され、結果として、フックは、後方へ回転することなく魚が掛かり易い前方向への回転ができるため、フッキングし易くなる。この場合、上記角度αが多少、大きく湾曲形成されていても、フックの環部21が、先端部11c付近の内側面11c´´(図2(B)参照)部分に当接するため、同様に、奥側への回転が規制され、フックが後方向に回転することが抑制される。
【0020】
また、スプリットリング10の先端部の端面11c´から奥側では、上記した規制により、図4(B)の点線のような左右方向(点線20C,20Dに示すような左右方向)への揺動についても規制されるようになる。
【0021】
したがって、上記した構成のスプリットリング10にフック20を装着すると、線材の先端部11cを境にして、前後方向の回転、及び、左右方向の揺動が規制されるようになり、これにより、水中でフック20の針先20aが上を向いた状態で維持され易くなってフッキング性能が向上するようになる。
【0022】
図5は、疑似餌の第2実施形態を示す図である。
この実施形態の疑似餌1Aは、ルアータイプとして構成されており、本体3Aの下側の2箇所に、上記した構成のスプリットリング10を取り付けて、フック30を装着している。本実施形態の構成においても、フック30の環部31は、スプリットリング10に対して容易に着脱することが可能であり、また、本体3Aのアイ3a´に釣糸を締結し、リールの巻き取り操作をしながらルアーにアクションを加えると、上記したように、フック30の前後方向の回転、及び、左右方向への揺動が規制されるため、ルアーの水中姿勢が安定し、魚が掛かり易くなる(食わせ能力が向上する)。
【0023】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されることはなく、種々、変形することが可能である。
上記した実施形態では、スプリットリング10の線材の一方の端部(基端部)を疑似餌の本体に装着したが、図7に示す構成と同様、スプリットリング10の中間部を疑似餌の本体に装着し、線材の両端部を、中間部11bから離間するように湾曲形成しても良い。このような構成では、フックの着脱操作がより容易に行なえるようになる。また、線材11を湾曲してリング状に形成するに際しては、その巻回数(巻回量)については、図7に示したように、二周にする等、特に限定されることはなく、巻回量については、多くすることで引張強度の向上が図れる。
【0024】
また、本発明では、スプリットリングは、リング状に形成された線材の少なくとも一端部が、中間部に対して離間する方向に湾曲されていれば良く、その離間のさせ方については、種々変形することが可能である。例えば、図6(A)に示すように、先端部11cの端面11c´のみを中間部11bに対して急激に屈曲させて離間させたり、図6(B)に示すように、先端部11cの端面11c´が、上方に向かって中間部11bから離間しながら延びるようにしたり、図6(C)に示すように、先端部11cを略直角状(くの字状)に屈曲させて中間部11bから離間させる等、適宜、変形することが可能である。
【0025】
さらに、本発明は、上記した構成のスプリットリング10そのものであっても良い。このようなスプリットリングについては、ユーザーが仕掛けを作成する際に、フック等、予め環部が形成されている仕掛け構成部品が接続される箇所に設けておけば良く、これにより仕掛けを容易に作成することが可能となる。
【符号の説明】
【0026】
1,1A 疑似餌
10 スプリットリング
11 線材
11a 基端部(端部)
11b 中間部
11c 先端部(端部)
20 ,30フック
21,31 環部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7