(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】エアロゾル発生装置及びその加熱モジュール
(51)【国際特許分類】
A24F 40/46 20200101AFI20241121BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20241121BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20241121BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/40
A24F40/20
(21)【出願番号】P 2023079601
(22)【出願日】2023-05-12
【審査請求日】2023-06-23
(31)【優先権主張番号】202210696658.5
(32)【優先日】2022-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517419906
【氏名又は名称】深▲せん▼麦克韋爾科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN SMOORE TECHNOLOGY LIMITED
【住所又は居所原語表記】16#, Dongcai Industrial Park, Gushu Town, Xixiang Street, Baoan District, Shenzhen, Guangdong, China
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】文治華
(72)【発明者】
【氏名】張大志
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特表2022-502061(JP,A)
【文献】中国実用新案第211910552(CN,U)
【文献】国際公開第2021/171741(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第113729286(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱モジュールであって、
前記加熱モジュール(10)内にはエアロゾル発生基質(70)を収容するための加熱室(120)が形成されており、前記加熱室(120)の横断面の輪郭は、前記加熱室(120)の中心軸線に向かう少なくとも1つの凹形輪郭(121)を含み、前記少なくとも1つの凹形輪郭(121)は、前記エアロゾル発生基質(70)を押圧するために配置され
ており、
前記加熱室(120)の横断面の輪郭は、更に、前記少なくとも1つの凹形輪郭(121)に接続される少なくとも1つの接続輪郭(122)を含み、前記少なくとも1つの接続輪郭(122)と前記加熱室(120)の中心軸線との間の最遠距離は前記エアロゾル発生基質(70)の半径よりも大きく、
前記凹型輪郭(121)は前記加熱室(120)に向かって窪む円弧状をなしており、
前記接続輪郭(122)は前記加熱室(120)の外側に向かって突出する円弧状をなしており、
前記凹形輪郭(121)の曲率半径は、前記接続輪郭(122)の曲率半径よりも大きいことを特徴とする加熱モジュール。
【請求項2】
前記少なくとも1つの凹形輪郭(121)、前記少なくとも1つの接続輪郭(122)はいずれもなだらかな曲線状をなしており、且つ、前記少なくとも1つの凹形輪郭(121)は前記少なくとも1つの接続輪郭(122)になだらかに接続されることを特徴とする請求項
1に記載の加熱モジュール。
【請求項3】
前記少なくとも1つの凹形輪郭(121)は複数の凹形輪郭(121)を含み、前記複数の凹形輪郭(121)は前記加熱室(120)の周方向に沿って均一に間隔を置いて分布し、前記少なくとも1つの接続輪郭(122)は複数の接続輪郭(122)を含み、前記複数の接続輪郭(122)は前記加熱室(120)の周方向に沿って均一に間隔を置いて分布することを特徴とする請求項
1に記載の加熱モジュール。
【請求項4】
前記少なくとも1つの凹形輪郭(121)は2つの凹形輪郭(121)を含み、前記2つの凹形輪郭(121)は前記加熱室(120)の周方向において対向するよう設置され、前記少なくとも1つの接続輪郭(122)は2つの接続輪郭(122)を含み、前記2つの接続輪郭(122)は前記加熱室(120)の周方向において対向するよう設置され、前記2つの凹形輪郭(121)と前記2つの接続輪郭(122)はいずれも円弧状の輪郭をなしていることを特徴とする請求項
1に記載の加熱モジュール。
【請求項5】
前記加熱室(120)に前記エアロゾル発生基質(70)が収容された状態で、前記少なくとも1つの接続輪郭(122)と前記エアロゾル発生基質(70)の外表面との間には少なくとも1つの気流経路(1220)が規定されることを特徴とする請求項
1に記載の加熱モジュール。
【請求項6】
前記加熱モジュール(10)は、加熱管(12)、及び前記加熱管(12)に設置される発熱層(14)を含み、前記加熱管(12)は管状をなしており、前記加熱管(12)の内壁面は前記加熱室(120)を規定することを特徴とする請求項
1に記載の加熱モジュール。
【請求項7】
前記発熱層(14)は、前記少なくとも1つの凹形輪郭(121)に対応して設置される発熱部(141)と、前記少なくとも1つの接続輪郭(122)に対応して設置される導電部(142)を含み、前記発熱部(141)の電気抵抗率は前記導電部(142)の電気抵抗率よりも大きいことを特徴とする請求項
6に記載の加熱モジュール。
【請求項8】
前記発熱層(14)は少なくとも2つの並列の加熱軌道(140)を含み、少なくとも2つの前記加熱軌道(140)は前記加熱管(12)の軸方向及び/又は周方向に沿って分布することを特徴とする請求項
6に記載の加熱モジュール。
【請求項9】
前記加熱モジュール(10)は、更に、前記加熱管(12)に設置される赤外線層(15)を含むことを特徴とする請求項
6に記載の加熱モジュール。
【請求項10】
前記加熱モジュール(10)は、更に、前記加熱管(12)に設置される均熱層(17)を含むことを特徴とする請求項
9に記載の加熱モジュール。
【請求項11】
前記赤外線層(15)は前記加熱管(12)の内側に設置され、前記均熱層(17)は前記加熱管(12)の外側に設置され、前記発熱層(14)は前記均熱層(17)の外側に設置され、
前記加熱モジュール(10)は、更に、前記均熱層(17)と前記発熱層(14)の間に設置される誘電体層(18)を含むことを特徴とする請求項
10に記載の加熱モジュール。
【請求項12】
前記加熱モジュール(10)内には導入室(110)が更に形成されており、前記導入室(110)は、前記加熱室(120)と連通しており、前記エアロゾル発生基質(70)を導入するために用いられることを特徴とする請求項
1に記載の加熱モジュール。
【請求項13】
前記導入室(110)は、前記加熱室(120)から離間する第1端(111)と、前記加熱室(120)に近接する第2端(112)を有し、前記導入室(110)の前記第1端(111)における横断面の輪郭と、前記導入室(110)の中心軸線との間の最近距離は、前記エアロゾル発生基質(70)の半径以上であることを特徴とする請求項
12に記載の加熱モジュール。
【請求項14】
前記導入室(110)の前記第1端(111)における横断面の面積は、前記第2端(112)における横断面の面積よりも大きいことを特徴とする請求項
13に記載の加熱モジュール。
【請求項15】
前記導入室(110)の横断面の輪郭は、前記第1端(111)から前記第2端(112)まで徐々に変化しつつ連なっていることを特徴とする請求項
14に記載の加熱モジュール。
【請求項16】
前記加熱モジュール(10)は、更に、前記加熱室(120)の一端に設置されて前記エアロゾル発生基質(70)を支持するための支持壁(13)を含むことを特徴とする請求項
1に記載の加熱モジュール。
【請求項17】
前記支持壁(13)は、端壁(131)と、前記端壁(131)から前記加熱室(120)に向かって突出する少なくとも1つのボス(132)を含むことを特徴とする請求項
16に記載の加熱モジュール。
【請求項18】
請求項1~
17のいずれか1項に記載の加熱モジュール(10)を含むことを特徴とするエアロゾル発生装置。
【請求項19】
加熱モジュールであって、
前記加熱モジュール(10)内にはエアロゾル発生基質(70)を収容するための加熱室(120)が形成されており、前記加熱室(120)の横断面の輪郭は、前記加熱室(120)の中心軸線に向かう少なくとも1つの凹形輪郭(121)を含み、前記少なくとも1つの凹形輪郭(121)は、前記エアロゾル発生基質(70)を押圧するために配置される
ており、
前記加熱室(120)の横断面の輪郭は、更に、前記少なくとも1つの凹形輪郭(121)に接続される少なくとも1つの接続輪郭(122)を含み、前記少なくとも1つの接続輪郭(122)と前記加熱室(120)の中心軸線との間の最遠距離は前記エアロゾル発生基質(70)の半径よりも大きく、
前記少なくとも1つの凹形輪郭(121)は2つの凹形輪郭(121)を含み、前記2つの凹形輪郭(121)は前記加熱室(120)の周方向において対向するよう設置され、前記少なくとも1つの接続輪郭(122)は2つの接続輪郭(122)を含み、前記2つの接続輪郭(122)は前記加熱室(120)の周方向において対向するよう設置され、前記2つの凹形輪郭(121)と前記2つの接続輪郭(122)はいずれも円弧状の輪郭をなしており、
前記2つの凹形輪郭(121)の曲率半径は、前記2つの接続輪郭(122)の曲率半径よりも大きいことを特徴とする加熱モジュール。
【請求項20】
加熱モジュールであって、
前記加熱モジュール(10)内にはエアロゾル発生基質(70)を収容するための加熱室(120)が形成されており、前記加熱室(120)の横断面の輪郭は、前記加熱室(120)の中心軸線に向かう少なくとも1つの凹形輪郭(121)を含み、前記少なくとも1つの凹形輪郭(121)は、前記エアロゾル発生基質(70)を押圧するために配置される
ており、
前記加熱室(120)の横断面の輪郭は、更に、前記少なくとも1つの凹形輪郭(121)に接続される少なくとも1つの接続輪郭(122)を含み、前記少なくとも1つの接続輪郭(122)と前記加熱室(120)の中心軸線との間の最遠距離は前記エアロゾル発生基質(70)の半径よりも大きく、
前記加熱モジュール(10)は、加熱管(12)、及び前記加熱管(12)に設置される発熱層(14)を含み、前記加熱管(12)は管状をなしており、前記加熱管(12)の内壁面は前記加熱室(120)を規定しており、
前記発熱層(14)は、前記少なくとも1つの凹形輪郭(121)に対応して設置される発熱部(141)と、前記少なくとも1つの接続輪郭(122)に対応して設置される導電部(142)を含み、前記発熱部(141)の電気抵抗率は前記導電部(142)の電気抵抗率よりも大きいことを特徴とする加熱モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、霧化の分野に関し、より具体的には、エアロゾル発生装置及びその加熱モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
非燃焼・加熱式の霧化装置とは、低温の非燃焼・加熱方式でエアロゾル発生基質を加熱してエアロゾルを生成するエアロゾル発生装置のことである。現在のところ、通常、非燃焼・加熱式の霧化装置には、パイプ式の外周加熱か中心嵌入加熱が採用されている。このうち、パイプ式の外周加熱とは、加熱モジュールでエアロゾル発生基質の外側を包囲するものを指す。従来のパイプ式の外周加熱方式を採用するエアロゾル発生装置では、通常、加熱モジュールが中空の円管状に設計されており、エアロゾル発生基質を挿入すると、エアロゾル発生基質の横断面の輪郭線が存在する円と、加熱モジュールの内壁が接触して重なり合うか、互いに接することで、エアロゾル発生基質が当該加熱モジュールにより加熱されてエアロゾルを発生させる。しかし、当該構造は少なくとも以下の欠点を有する。即ち、熱が加熱モジュールからエアロゾル発生基質の中心まで伝わる際の熱伝導経路が長く、熱効率が低いため、エアロゾル発生基質の表面と中心との温度差が大きくなる。また、エアロゾル発生基質は内部の空気含有量が高いため、これによっても、熱伝導効率が低く、予熱時間が長くなり、ベイパーの発生速度が遅くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする技術的課題は、従来技術における上記の欠点に対し、改良した加熱モジュール及び当該加熱モジュールを有するエアロゾル発生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明が技術的課題を解決するために採用する技術方案は以下の通りである。
【0005】
加熱モジュールを構成する。前記加熱モジュール内にはエアロゾル発生基質を収容するための加熱室が形成されている。前記加熱室の横断面の輪郭は、前記加熱室の中心軸線に向かう少なくとも1つの凹形輪郭を含む。前記少なくとも1つの凹形輪郭は、前記エアロゾル発生基質を押圧するために配置される。
【0006】
いくつかの実施例において、前記加熱室の横断面の輪郭は、更に、前記少なくとも1つの凹形輪郭に接続される少なくとも1つの接続輪郭を含み、前記少なくとも1つの接続輪郭と前記加熱室の中心軸線との間の最遠距離は前記エアロゾル発生基質の半径よりも大きい。
【0007】
いくつかの実施例において、前記少なくとも1つの凹形輪郭、前記少なくとも1つの接続輪郭はいずれもなだらかな曲線状をなしており、且つ、前記少なくとも1つの凹形輪郭は前記少なくとも1つの接続輪郭になだらかに接続される。
【0008】
いくつかの実施例において、前記少なくとも1つの凹形輪郭は複数の凹形輪郭を含み、前記複数の凹形輪郭は前記加熱室の周方向に沿って均一に間隔を置いて分布する。前記少なくとも1つの接続輪郭は複数の接続輪郭を含み、前記複数の接続輪郭は前記加熱室の周方向に沿って均一に間隔を置いて分布する。
【0009】
いくつかの実施例において、前記少なくとも1つの凹形輪郭は2つの凹形輪郭を含み、前記2つの凹形輪郭は前記加熱室の周方向において対向するよう設置される。前記少なくとも1つの接続輪郭は2つの接続輪郭を含み、前記2つの接続輪郭は前記加熱室の周方向において対向するよう設置される。前記2つの凹形輪郭と前記2つの接続輪郭はいずれも円弧状の輪郭をなしている。
【0010】
いくつかの実施例において、前記2つの凹形輪郭の曲率半径は、前記2つの接続輪郭の曲率半径よりも大きい。
【0011】
いくつかの実施例において、前記加熱室に前記エアロゾル発生基質が収容された状態で、前記少なくとも1つの接続輪郭と前記エアロゾル発生基質の外表面との間には少なくとも1つの気流経路が規定される。
【0012】
いくつかの実施例において、前記加熱モジュールは、加熱管、及び前記加熱管に設置される発熱層を含む。前記加熱管は管状をなしており、前記加熱管の内壁面は前記加熱室を規定する。
【0013】
いくつかの実施例において、前記発熱層は、前記少なくとも1つの凹形輪郭に対応して設置される発熱部と、前記少なくとも1つの接続輪郭に対応して設置される導電部を含み、前記発熱部の電気抵抗率は前記導電部の電気抵抗率よりも大きい。
【0014】
いくつかの実施例において、前記発熱層は少なくとも2つの並列の加熱軌道を含み、少なくとも2つの前記加熱軌道は前記加熱管の軸方向及び/又は周方向に沿って分布する。
【0015】
いくつかの実施例において、前記加熱モジュールは、更に、前記加熱管に設置される赤外線層を含む。
【0016】
いくつかの実施例において、前記加熱モジュールは、更に、前記加熱管に設置される均熱層を含む。
【0017】
いくつかの実施例において、前記赤外線層は前記加熱管の内側に設置され、前記均熱層は前記加熱管の外側に設置され、前記発熱層は前記均熱層の外側に設置される。前記加熱モジュールは、更に、前記均熱層と前記発熱層の間に設置される誘電体層を含む。
【0018】
いくつかの実施例において、前記加熱モジュール内には導入室が更に形成されている。前記導入室は、前記加熱室と連通しており、前記エアロゾル発生基質を導入するために用いられる。
【0019】
いくつかの実施例において、前記導入室は、前記加熱室から離間する第1端と、前記加熱室に近接する第2端を有し、前記導入室の前記第1端における横断面の輪郭と、前記導入室の中心軸線との間の最近距離は、前記エアロゾル発生基質の半径以上である。
【0020】
いくつかの実施例において、前記導入室の前記第1端における横断面の面積は、前記第2端における横断面の面積よりも大きい。
【0021】
いくつかの実施例において、前記導入室の横断面の輪郭は、前記第1端から前記第2端まで徐々に変化しつつ連なっている。
【0022】
いくつかの実施例において、前記加熱モジュールは、更に、前記加熱室の一端に設置されて前記エアロゾル発生基質を支持するための支持壁を含む。
【0023】
いくつかの実施例において、前記支持壁は、端壁と、前記端壁から前記加熱室に向かって突出する少なくとも1つのボスを含む。
【0024】
本発明は、更に、上記いずれかで述べた加熱モジュールを含むエアロゾル発生装置を提供する。
【発明の効果】
【0025】
本発明を実施することで、少なくとも以下の有益な効果を有する。即ち、エアロゾル発生基質は、加熱モジュール内に挿入される際に凹形輪郭の存在する室壁面により押圧されるため、エアロゾル発生基質内部の空気が押し出されて熱伝導効率が向上するとともに、エアロゾル発生基質の外表面から中心までの熱伝導距離が小さくなる。これにより、エアロゾル発生基質の表面と中心との温度差が大きいとの問題や、熱伝導効率が低いとの問題、予熱時間が長いとの問題が改善される。
【0026】
以下に、図面と実施例を組み合わせて、本発明につき更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、本発明のいくつかの実施例におけるエアロゾル発生装置にエアロゾル発生基質を挿入した場合の立体構造の概略図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すエアロゾル発生装置にエアロゾル発生基質を挿入した場合の縦方向断面の概略図である。
【
図3】
図3は、
図2における加熱モジュールの立体構造の概略図である。
【
図5】
図5は、
図3に示す加熱モジュールのA-A縦方向断面の概略図である。
【
図6】
図6は、
図3に示す加熱モジュールにエアロゾル発生基質を挿入した場合のB-B横方向断面の概略図である。
【
図7】
図7は、本発明の第1の代替方案における加熱モジュールの縦方向断面の概略図である。
【
図8】
図8は、本発明の第2の代替方案における加熱モジュールの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の技術的特徴、目的及び効果がより明瞭に理解されるよう、図面を参照して本発明の具体的実施形態につき詳細に説明する。以下の記載では、本発明が十分に理解されるよう、多くの具体的詳細事項について説明する。ただし、本発明は、ここで記載するものとは異なるその他の多くの方式で実施可能であり、当業者は、本発明の内容を逸脱しなければ、類似の改良を行うことが可能である。よって、本発明は以下で開示する具体的実施例に制限されない。
【0029】
本発明の記載において、理解すべき点として、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「天井」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」等の用語で示される方向又は位置関係は、図示に基づく方向又は位置関係、或いは、本発明の製品を使用する際の慣習的な配置の方向又は位置関係であって、本発明の記載の便宜上及び記載の簡略化のためのものにすぎず、対象となる装置又は部材が特定の方向を有し、特定の方向で構成及び操作されねばならないことを明示又は暗示するものではない。よって、本発明を制限するものと理解すべきではない。
【0030】
また、「第1」、「第2」との用語は記載の便宜上のものにすぎず、相対的な重要性を明示又は暗示するものと解釈すべきでも、対象となる技術的特徴の数を示唆するものと解釈すべきでもない。そのため、「第1」、「第2」で限定される特徴は、明示的又は暗示的に少なくとも1つの当該特徴を含み得る。また、本発明の記載において、別途明確且つ具体的に限定している場合を除き、「複数」とは少なくとも2つの意味であり、例えば、2つ、3つ等である。
【0031】
本発明では、別途明確に規定及び限定している場合を除き、「装着する」、「連なる」、「接続する」、「固定する」等の用語は広義に解釈すべきである。例えば、別途明確に限定している場合を除き、固定的な接続であってもよいし、取り外し可能な接続であってもよいし、一体をなしていてもよい。また、機械的な接続であってもよいし、電気的な接続であってもよい。また、直接的な連なりであってもよいし、中間媒体を介した間接的な連なりであってもよいし、2つの部材内部の連通であってもよいし、2つの部材の相互作用関係であってもよい。当業者は、具体的状況に応じて、本発明における上記用語の具体的意味を解釈可能である。
【0032】
本発明では、別途明確に規定及び限定している場合を除き、第1の特徴が第2の特徴の「上」又は「下」にあるとは、第1及び第2の特徴が直接的に接触していてもよいし、第1及び第2の特徴が中間媒体を介して間接的に接触していてもよい。且つ、第1の特徴が第2の特徴の「上」、「上方」及び「上面」にあるとは、第1の特徴が第2の特徴の真上又は斜め上方にあってもよいし、単に第1の特徴の水平高さが第2の特徴よりも高いことを表していてもよい。また、第1の特徴が第2の特徴の「下」、「下方」及び「下面」にあるとは、第1の特徴が第2の特徴の真下又は斜め下方にあってもよいし、単に第1の特徴の水平高さが第2の特徴よりも低いことを表していてもよい。
【0033】
説明すべき点として、部材が別の部材に「固定される」或いは「設置される」とは、部材が別の部材上に直接存在してもよいし、介在する部材が存在してもよい。また、一方の部材が他方の部材に「接続される」とみなされる場合には、他方の部材に直接接続してもよいし、介在部材が同時に存在してもよい。また、本文中で使用する「垂直の」、「水平の」、「上」、「下」、「左」、「右」との用語及び類似の表現は説明の便宜上のものにすぎず、唯一の実施形態を表すものではない。
【0034】
図1~
図2は、本発明のいくつかの実施例におけるエアロゾル発生装置100を示す。当該エアロゾル発生装置100は、非燃焼状態でエアロゾル発生基質70内の有効物質を放出させて、エアロゾルを形成するために、通電後に、内部に収容されたエアロゾル発生基質70を低温でベーキング加熱可能である。当該エアロゾル発生装置100は、略四角柱状をなし得る。理解し得るように、その他の実施例において、当該エアロゾル発生装置100は、四角柱状に限らず、円柱状、楕円柱状等のその他の形状をなしてもよい。
【0035】
前記エアロゾル発生基質70は、円柱状をなし得るとともに、霧化基質区間71を含む。当該霧化基質区間71は、糸状、シート状、顆粒状、粉末状、ペースト状等の固形のベイパー発生基材のうちの1種類又は複数種類を含み得る。当該固形のベイパー発生基材は、加熱されると内部のエアロゾル抽出物を放出可能となる。前記エアロゾル発生基質70の直径は、5~9mmとすればよく、例えば7mmとする。更に、前記エアロゾル発生基質70は、濾過区間72、降温区間73、マウスピース区間74及び外包層75を含んでもよい。霧化基質区間71、濾過区間72、降温区間73、マウスピース区間74は、エアロゾル発生基質70の軸方向に沿って順に設置される。また、外包層75は、霧化基質区間71、濾過区間72、降温区間73及びマウスピース区間74の外側を包む。濾過区間72は、エアロゾルを濾過することで、エアロゾルの純度を向上させるとの利得効果を達成するために用いられる。降温区間73は、霧化基質区間71で発生したエアロゾルを降温させてからマウスピース区間74に送出することで、マウスピース区間74から送出されるエアロゾルが適切な温度となるよう保証するために用いられる。理解し得るように、その他の実施例において、前記エアロゾル発生基質70の構造は制限されない。例えば、前記エアロゾル発生基質70は楕円柱状等のその他の形状をなしてもよい。更に、例えば、前記エアロゾル発生基質70には、濾過区間72及び/又は降温区間73及び/又はマウスピース区間74を設置しなくてもよい。
【0036】
前記エアロゾル発生装置100は、加熱モジュール10、ケーシング20、バッテリ30及び回路基板40を含み得る。加熱モジュール10、バッテリ30、回路基板40は、いずれもケーシング20内に収容される。加熱モジュール10は管状をなしており、エアロゾル発生基質70を収容するとともに、通電後に加熱するために用いられる。ケーシング20の天井部には挿入口21が設けられており、エアロゾル発生基質70は、当該挿入口21を経由して加熱モジュール10内に挿入可能である。加熱モジュール10は、通電後にエアロゾル発生基質70を加熱する。バッテリ30は、加熱モジュール10及び回路基板40にそれぞれ電気的に接続されて、加熱モジュール10及び回路基板40に電気を供給するために用いられる。回路基板40は、関連の制御回路を配置するために用いられる。
【0037】
いくつかの実施例において、前記エアロゾル発生装置100は、更に、挿入口21を遮蔽又は露出させる防塵カバー50を含み得る。エアロゾル発生装置100を使用する必要のない場合には、防塵カバー50を押し動かして挿入口21を遮蔽することで、エアロゾル発生装置100への埃の進入を防止可能となる。また、使用したい場合には、エアロゾル発生基質70を挿入口21から挿入できるよう、防塵カバー50を押し動かして挿入口21を露出させる。
【0038】
図3~
図6に示すように、加熱モジュール10は加熱管12を含む。加熱管12は、内部が中空の管状をなしている。加熱管12の内壁面は加熱室120を規定している。当該加熱室120は、エアロゾル発生基質70を収容して加熱するために用いられる。加熱室120の横断面は、非円形且つ一部が内側に窪んだ形状をなしている。加熱室120の横断面の輪郭は、加熱室120の中心軸線に向かって窪む少なくとも1つの凹形輪郭121を有する。当該少なくとも1つの凹形輪郭121は、エアロゾル発生基質70を極限まで押圧可能なため、熱伝導にいっそう有利である。凹形輪郭121と加熱室120の中心軸線との間の最近距離Rは、R<D/2を満たす。なお、Dはエアロゾル発生基質70の直径である。いくつかの実施例において、D-2R=0.2~3.5mmとし、更には、D-2R=0.2~2mmとする。これにより、エアロゾル発生基質70が適切な圧縮量を有するよう保証可能となる。
【0039】
加熱室120の横断面の輪郭は、更に、少なくとも1つの凹形輪郭121に接続される少なくとも1つの接続輪郭122を含む。当該少なくとも1つの接続輪郭122及び少なくとも1つの凹形輪郭121により包囲されて、閉じられた、或いは、閉じられていない加熱室120の横断面の輪郭が形成される。接続輪郭122と加熱室120の中心軸線との間の最近距離は、エアロゾル発生基質70の半径以上であり、接続輪郭122と加熱室120の中心軸線との間の最遠距離Lはエアロゾル発生基質70の半径D/2よりも大きい。例えば、2L-D=0.2~3mmである。エアロゾル発生基質70が加熱室120内に収容される際には、エアロゾル発生基質70の外表面と加熱室120の室壁面との間に、更に、気流を通過させる少なくとも1つの気流経路1220が形成され得るため、吸入時における気流の流動の円滑性を保証可能となる。当該少なくとも1つの気流経路1220と少なくとも1つの接続輪郭122は、加熱室120の周方向において対応して設置される。また、当該少なくとも1つの気流経路1220は、加熱室120の軸方向に沿って延伸し得る。
【0040】
いくつかの実施例において、加熱室120の横断面の輪郭は、軸対称形状をなすとともに、複数の凹形輪郭121及び複数の接続輪郭122を有する。また、隣り合う2つの凹形輪郭121の間ごとに1つの接続輪郭122が接続され、隣り合う2つの接続輪郭122の間ごとに1つの凹形輪郭121が接続される。当該複数の凹形輪郭121は、周方向において均一にエアロゾル発生基質70を押圧するよう、加熱室120の周方向に沿って均一に間隔を置いて配置される。
【0041】
具体的に、本実施例において、加熱室120の横断面の輪郭は、略蝶形をなしており、2つの凹形輪郭121及び2つの接続輪郭122を含む。2つの凹形輪郭121は対向するよう設置される。また、2つの接続輪郭122は対向するよう設置され、1つの接続輪郭122の両端が2つの凹形輪郭121の一端にそれぞれ接続される。また、2つの接続輪郭122とエアロゾル発生基質70の外表面との間に2つの気流経路1220が形成される。更に、凹形輪郭121は加熱室120に向かって窪む円弧状をなしており、接続輪郭122は加熱室120の外側に向かって突出する円弧状をなしている。且つ、凹形輪郭121の曲率半径は接続輪郭122の曲率半径よりも大きい。これにより、加熱管12とエアロゾル発生基質70との接触面積及び熱伝導面積を大きくできる。更に、凹形輪郭121と接続輪郭122の間は、R面取り等の方式でなだらかに接続すればよい。また、凹形輪郭121と加熱室120の中心軸線との間の最近距離Rは2.5mmよりも大きくすればよい。理解し得るように、その他の実施例において、加熱室120の横断面の輪郭は蝶形状に限らず、例えば、凹形輪郭121、接続輪郭122の数を3つ又は3つ以上としてもよい。
【0042】
エアロゾル発生基質70は、加熱室120内に挿入されるとき、加熱室120の室壁面に押圧されて、加熱室120の横断面形状と類似する蝶形状となり得る。
図6は、円柱状をなすエアロゾル発生基質70を加熱室120内に収容する場合の横断面図を示しており、図中の点線は、エアロゾル発生基質70が押圧される前の横断面の外輪郭線を示す。凹形輪郭121は、エアロゾル発生基質70を極限まで押圧可能であり、霧化基質区間71内部の空気を押し出すことで、霧化基質区間71の熱伝導効率を向上させるほか、熱がエアロゾル発生基質70の外表面から中心まで伝わる際の熱伝導距離を小さくする。これにより、エアロゾル発生基質70の表面と中心との温度差が大きいとの問題や、熱伝導効率が低いとの問題、予熱時間が長いとの問題等が改善される。本実施例の加熱モジュール10によれば、最初の2口の吸入ベイパー量と全体のベイパー量がいずれも顕著に増加するため、エアロゾルの有効物質の放出がより完全となり、ユーザエクスペリエンスが良好となる。
【0043】
本実施例において、加熱管12の横断面の外輪郭形状は、加熱室120の横断面の輪郭形状に対応している。また、加熱管12は、軸方向及び周方向のいずれにおいても均一な壁厚を有している。なお、その他の実施例において、加熱管12の横断面の外輪郭形状は加熱室120の横断面の輪郭形状と異なっていてもよい。また、加熱管12は、軸方向及び/又は周方向において非均一の壁厚を有していてもよい。
【0044】
更に、前記加熱モジュール10は、案内管11及び支持壁13も含む。案内管11及び支持壁13は、加熱管12の軸方向における対向する両端にそれぞれ設置される。支持壁13は、加熱管12の下端を塞いでおり、エアロゾル発生基質70を支持することで、加熱室120内におけるエアロゾル発生基質70の支持及び位置規制を実現可能である。支持壁13は、加熱管12と一体的に成形してもよいし、加熱管12と別々に成形したあと組み付けてもよい。
【0045】
いくつかの実施例において、支持壁13は、平板状の端壁131と、端壁131から加熱室120内に向かって突出する少なくとも1つのボス132を含む。エアロゾル発生基質70が加熱室120内に収容されるとき、エアロゾル発生基質70の底面は当該少なくとも1つのボス132に当接可能であり、エアロゾル発生基質70の底面と端壁131の間に気流を通過させる気流隙間が形成される。本実施例では、ボス132を1つ有し、且つ、当該1つのボス132が端壁131の中心に位置する。また、その他の実施例では、ボス132を複数有してもよい。
【0046】
案内管11は、加熱管12の上端に設置され、加熱管12と一体的に成形してもよいし、加熱管12と別々に成形したあと組み付けてもよい。案内管11は管状をなしており、内壁面がエアロゾル発生基質70を導入するための導入室110を規定している。当該導入室110は、加熱室120から離間する第1端111と、加熱室120に近接する第2端112を有する。当該導入室110は、第1端111の横断面積がエアロゾル発生基質70の押圧前の横断面積以上となっている。或いは、導入室110の第1端111における横断面の輪郭と、導入室110の中心軸線との間の最近距離は、エアロゾル発生基質70の半径以上となっている。このことは、エアロゾル発生基質70を導入するのに都合がよい。
【0047】
前記導入室110の第1端111における横断面の形状は、エアロゾル発生基質70の横断面の形状及び加熱室120の横断面の形状のいずれとも異なる形状を有し得る。本実施例において、前記導入室110の第1端111における横断面の形状は略トラック(track)形をなしており、且つ、長軸方向及び短軸方向がそれぞれ加熱室120の長軸方向及び短軸方向と重なっている。また、その他の実施例において、前記導入室110の第1端111における横断面の形状は、エアロゾル発生基質70の横断面の形状又は加熱室120の横断面の形状に対応していてもよい。例えば、当該導入室110の第1端111における横断面の形状は円形又は蝶形であってもよい。
【0048】
前記導入室110の第2端112における横断面の面積は、第1端111における横断面の面積よりも小さい。且つ、導入室110の第2端112における横断面の形状は加熱室120の横断面の形状と同一である。本実施例において、導入室110の第2端112は加熱室120の上端に直接接続される。また、導入室110の第2端112における横断面のサイズは加熱室120の横断面のサイズと同じである。導入室110は、第1端111から第2端112までなだらかに徐々に変化しつつ連なっているため、エアロゾル発生基質70を加熱管12内に円滑に挿入可能である。具体的に、本実施例において、導入室110の横断面の形状は、第1端111のトラック形から第2端112の蝶形まで徐々に変化し、第2端112において加熱管12に接続される。
【0049】
本実施例において、案内管11の横断面の外輪郭形状は、導入室110の横断面の輪郭形状に対応している。また、案内管11は、軸方向及び周方向のいずれにおいても均一な壁厚を有している。なお、その他の実施例において、導入管11の横断面の外輪郭形状は導入室110の横断面の輪郭形状と異なっていてもよい。また、導入管11は、軸方向及び/又は周方向において非均一の壁厚を有していてもよい。
【0050】
更に、案内管11における加熱管12から離間する上端の外壁面は、外側に延伸してフランジ113を形成してもよい。当該フランジ113は、ケーシング20内における加熱モジュール10の装着及び位置決めに使用可能である。
【0051】
いくつかの実施例において、加熱モジュール10には、更に、加熱室120及び/又は導入室110と連通するいくつかの貫通孔を開設してもよい。当該いくつかの貫通孔は、必要に応じて加熱モジュール10の任意の位置に開設すればよく、例えば、案内管11及び/又は加熱管12及び/又は支持壁13に開設すればよい。当該貫通孔の形状、サイズ及び数についてはいずれも制限しない。
【0052】
加熱モジュール10の加熱形式については制限せず、例えば、抵抗伝導加熱、赤外線放射加熱、電磁誘導加熱又は複合加熱等の各種の加熱形式とすることができる。加熱モジュール10は、更に、加熱管12の内表面及び/又は外表面に設置される発熱層14を含む。当該発熱層14は、通電後に発熱可能な発熱フィルム、発熱線、発熱シート又は発熱メッシュを含み得る。
【0053】
本実施例において、発熱層14は発熱フィルムであり、加熱管12の外表面に設置される。発熱層14は、通電後に熱を産生し、産生した熱を加熱管12の外表面から加熱管12内に収容されたエアロゾル発生基質70に伝えることで、エアロゾル発生基質70を加熱する。加熱管12は、高熱伝導率を有する金属又は非金属材料を用いて製造可能である。このことは、熱の迅速な伝導に都合がよく、且つ、迅速な昇温によって加熱管12の温度場の均一性が良好となる。上記の高熱伝導率の金属材料には、ステンレス、アルミニウム又はアルミ合金が含まれ得る。また、上記の高熱伝導率の非金属材料には、セラミックス(例えば、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等のセラミックス)が含まれ得る。更に、加熱管12の内表面及び/又は外表面に均熱層を設置してもよい。当該均熱層は、エアロゾル発生基質70に対する加熱の均一性を更に向上させられるよう、加熱管12よりも高い熱伝導率を有する。
【0054】
いくつかの実施例において、発熱層14は、発熱部141及び導電部142を含み得る。発熱部141及び導電部142は、それぞれ、凹形輪郭121及び接続輪郭122に対応して設置される。導電部142の電気抵抗率は、発熱部141の電気抵抗率よりも小さいため、通電時に、導電部142の発熱量は発熱部141の発熱量よりも小さくなる。例えば、導電部142の発熱量は発熱部141の発熱量の1/2以下である。発熱部141は主に発熱に用いられ、導電部142は主に発熱部141の電気的導通を実現するために用いられる。凹形輪郭121はエアロゾル発生基質70にしっかりと接触し、接続輪郭122の大部分はエアロゾル発生基質70と接触しないため、発熱部141の発熱量を導電部142の発熱量よりも大きくなるよう設計することで、エネルギーの利用率を大幅に向上させられる。
【0055】
図7は、本発明の第1の代替方案における加熱モジュール10を示す。本方案と上記実施例との主な違いは以下の通りである。即ち、本実施例の加熱モジュール10は赤外線加熱方式を採用する。また、これに対応して、当該加熱モジュール10は、加熱管12の表面に設置される赤外線層15を更に含む。本実施例は、赤外線の透過性を利用してエアロゾル発生基質70を加熱し、立体的な加熱場を形成するのに有利であり、エアロゾル発生基質70の香りをいっそう際立たせられる。また、熱の利用率がより良好となり、エネルギー消費を低下させられる。
【0056】
具体的に、本実施例において、赤外線層15は、加熱管12の内表面に設置されて、赤外線熱放射を発生させるために用いられる。また、加熱管12は、外部への熱伝導を減少させて熱損失を減らすために、低熱伝導率の金属又は非金属材料を用いて製造可能である。理解し得るように、その他の実施例において、赤外線層15は加熱管12の外表面に設置してもよい。この場合、加熱管12は、高赤外線透過率の石英等の材料を用いて製造すればよい。
【0057】
更に、前記加熱モジュール10は、加熱管12の内表面に設置される保護層16を含んでもよい。保護層16は、赤外線層15の内側に設置されるとともに、ガラス釉層又はセラミックコーティング層を含み得る。加熱管12及び赤外線層15は、保護層16を介してエアロゾル発生基質70と接触する。保護層16は高い表面平滑度を有しているため、エアロゾル発生基質70の挿抜に有利である。且つ、加熱後にエアロゾル発生基質70が保護層16に粘着しにくい。
【0058】
更に、本実施例において、前記加熱モジュール10は、加熱管12の外表面に設置される均熱層17、及び均熱層17と発熱層14の間に設置される誘電体層18も含む。均熱層17、誘電体層18、発熱層14は内側から外側に向かって順に加熱管12の外表面に設置される。均熱層17には均熱材料が用いられ、温度場を均一にするために使用される。いくつかの実施例において、均熱層17は、銅又は銀等の高熱伝導材料を用いて製造可能である。誘電体層18は、発熱層14を積載するために用いられ、発熱層14の構造の安定性を強化し、発熱層14の離脱を防止するために用いられる。
【0059】
図8は、本発明の第2の代替方案における加熱モジュール10を示す。本方案と上記実施例との主な違いは以下の通りである。即ち、本実施例における発熱層14は少なくとも2つの加熱軌道140を含む。当該少なくとも2つの加熱軌道140は並列に設置され、それぞれ回路基板40に接続されるとともに、回路基板40の制御によって単独又は同時に動作可能である。当該少なくとも2つの加熱軌道140は、加熱管12の軸方向及び/又は周方向において分割加熱を実現するために、加熱管12の軸方向及び/又は周方向に沿って分布可能である。
【0060】
理解し得るように、上記の各技術的特徴は、制限なく任意に組み合わせて使用することが可能である。
【0061】
以上の実施例は本発明の具体的実施形態を示したにすぎず、比較的具体的且つ詳細に記載したが、これにより本発明の権利範囲が制限されると解釈すべきではない。指摘すべき点として、当業者であれば、本発明の構想を逸脱しないことを前提に、上記の技術的特性を自由に組み合わせることも、若干の変形及び改良を行うことも可能であり、これらはいずれも本発明の保護の範囲に属する。従って、本発明の請求項の範囲で行われる等価の変形及び補足は、いずれも本発明の請求項がカバーする範囲に属するものとする。