(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】マルチング材の施工方法
(51)【国際特許分類】
A01G 13/02 20060101AFI20241121BHJP
A01G 13/00 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
A01G13/02 D
A01G13/00 302Z
(21)【出願番号】P 2023081823
(22)【出願日】2023-05-17
【審査請求日】2024-02-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】角石 真弥
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-149999(JP,A)
【文献】特開2019-058091(JP,A)
【文献】特開2017-158472(JP,A)
【文献】特開2008-260905(JP,A)
【文献】特開2007-166923(JP,A)
【文献】特開2006-257777(JP,A)
【文献】特開2004-143123(JP,A)
【文献】特開2001-037350(JP,A)
【文献】特開平11-343602(JP,A)
【文献】特許第6568633(JP,B1)
【文献】特開2019-189742(JP,A)
【文献】特開2006-177022(JP,A)
【文献】特開2004-154071(JP,A)
【文献】特開2004-089183(JP,A)
【文献】国産材から生まれた土壌改良材 DWファイバー,パンフレット,日本,大建工業株式会社 ,2017年,第1―2頁,https://www.shizensaiseigijutsu.org/img/products/ebook/01012/files/assets/common/downloads/publication.pdf
【文献】淡路産竹資源活用プロジェクトに関する包括連携協定を締結しました,プロジェクト紹介,日本,淡路景観園芸学校,2020年10月01日,第1―3頁,https://www.awaji.ac.jp/project
【文献】竹の土系舗装への活用法,新技術説明会,日本,福岡大学,2018年05月15日,第7-9頁,https://www.sanchi.fukuoka-u.ac.jp/sangakukan/event/2018/0515fusingijyutu/2tc_satoh.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 13/02
A01G 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
土壌の表面に木質繊維を含む繊維状の木質繊維材を敷き込んだ後に該木質繊維材を厚さ方向に圧縮してマルチング材を敷設する敷設工程と、
上記マルチング材の表面に水を撒く散水工程とを備え、
上記敷設工程では、
上記土壌の表面に上記焼石膏を敷き込んだ後に上記木質繊維材を敷き込むことにより、上記木質繊維材の繊維間に焼石膏を介在させて上記マルチング材を敷設
し、
上記木質繊維材は、木材チップを爆砕処理し、フルボ酸又はフミン酸を添加した上記木質繊維により構成されていることを特徴とするマルチング材の施工方法。
【請求項2】
土壌の表面に木質繊維を含む繊維状の木質繊維材を敷き込んだ後に該木質繊維材を厚さ方向に圧縮してマルチング材を敷設する敷設工程と、
上記マルチング材の表面に水を撒く散水工程とを備え、
上記敷設工程では、上記土壌の表面に上記焼石膏を敷き込んだ後に上記木質繊維材を敷き込むことにより、上記木質繊維材の繊維間に焼石膏を介在させて上記マルチング材を敷設し、
上記木質繊維材は、木材チップを爆砕処理し、フルボ酸又はフミン酸を添加した上記木質繊維に竹繊維を配合して構成されていることを特徴とするマルチング材の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチング材の施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ビニールフィルム、腐葉土、ワラ、バークチップ、ウッドチップ等のマルチング材は、例えば、植物の根元の土壌表面を覆うことにより、土壌の乾燥、土壌の急激な温度変化、土壌における雑草の発芽や繁茂、土壌の硬化、土壌の流出等を抑制することができるので、従来より広く用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、樹皮若しくは材木を最大径50mm以下に破断した被覆材を植栽木の周囲に10mm~100mm程度の厚さに敷設し、この敷設と同時又は敷設後に液状の接着剤を散布することにより、被覆材を固化させる、植栽木被覆材の施工方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に開示された植栽木被覆材の施工方法では、被覆材を固化させるために、例えば、エマルジョンの液状の接着剤を水で薄めて散布する必要があり、施工作業が煩わしくなるので、改善の余地がある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、作業性に優れたマルチング材の施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るマルチング材の施工方法は、土壌の表面に木質繊維を含む繊維状の木質繊維材を敷き込んだ後に該木質繊維材を厚さ方向に圧縮してマルチング材を敷設する敷設工程と、上記マルチング材の表面に水を撒く散水工程とを備え、上記敷設工程では、上記土壌の表面に上記焼石膏を敷き込んだ後に上記木質繊維材を敷き込むことにより、上記木質繊維材の繊維間に焼石膏を介在させて上記マルチング材を敷設し、上記木質繊維材は、木材チップを爆砕処理し、フルボ酸又はフミン酸を添加した上記木質繊維により構成されていることを特徴とする。
【0008】
上記の方法によれば、散水工程において、敷設工程で土壌の表面に敷き込んで圧縮した木質繊維材からなり、繊維間に焼石膏を介在させたマルチング材の表面に水を撒くことにより、繊維間に介在させた焼石膏(CaSO4・1/2H2O)が水和反応により2水塩の石膏(CaSO4・2H2O)となり硬化する。これにより、マルチング材を構成する木質繊維材の繊維同士が固定化されるので、マルチング材を全体的に固めることができる。ここで、マルチング材を固めるには、マルチング材を構成する木質繊維材の繊維間に焼石膏を介在させてマルチング材の表面に水を撒くだけでよく、例えば、液状の接着剤等を調製する必要がないので、施工作業を容易にすることができる。したがって、作業性に優れたマルチング材の施工方法を提供することができる。また、石膏によりマルチング材が全体的に固められているので、土壌中の雑草が土壌の表面に生えてくることを抑制することができる。また、石膏によりマルチング材が全体的に固められているので、空中を飛んできた雑草の種が土壌の表面に定着することを抑制することができる。また、マルチング材に全体的に石膏が含まれているので、土壌中のアルカリ性を高めずに、土壌中にカルシウムを補給することができる。
【0009】
上記の方法によれば、敷設工程において、土壌の表面に焼石膏を敷き込んだ後に、木質繊維材を敷き込んで圧縮してマルチング材を敷設するので、マルチング材の土壌の表面側に石膏がリッチな層を形成すると共に、マルチング材を全体的に固めることができる。そして、マルチング材の土壌の表面側に形成された石膏の豊富な層により、土壌中の雑草を遮断することができる。
【0010】
上記の方法によれば、例えば、針葉樹等の木材チップを爆砕処理し、フルボ酸又はフミン酸を添加した(3次元的に枝分かれした)木質繊維により木質繊維材が構成されているので、木質繊維の分解が進み難いため、マルチング材としての一般的な効果(土壌の乾燥、土壌の急激な温度変化、土壌における雑草の発芽や繁茂、土壌の硬化、土壌の流出等)を持続させることができる。
【0011】
また、本発明に係るマルチング材の施工方法は、土壌の表面に木質繊維を含む繊維状の木質繊維材を敷き込んだ後に該木質繊維材を厚さ方向に圧縮してマルチング材を敷設する敷設工程と、上記マルチング材の表面に水を撒く散水工程とを備え、上記敷設工程では、上記土壌の表面に上記焼石膏を敷き込んだ後に上記木質繊維材を敷き込むことにより、上記木質繊維材の繊維間に焼石膏を介在させて上記マルチング材を敷設し、上記木質繊維材は、木材チップを爆砕処理し、フルボ酸又はフミン酸を添加した上記木質繊維に竹繊維を配合して構成されていることを特徴とする。
【0012】
上記の方法によれば、散水工程において、敷設工程で土壌の表面に敷き込んで圧縮した木質繊維材からなり、繊維間に焼石膏を介在させたマルチング材の表面に水を撒くことにより、繊維間に介在させた焼石膏(CaSO
4
・1/2H
2
O)が水和反応により2水塩の石膏(CaSO
4
・2H
2
O)となり硬化する。これにより、マルチング材を構成する木質繊維材の繊維同士が固定化されるので、マルチング材を全体的に固めることができる。ここで、マルチング材を固めるには、マルチング材を構成する木質繊維材の繊維間に焼石膏を介在させてマルチング材の表面に水を撒くだけでよく、例えば、液状の接着剤等を調製する必要がないので、施工作業を容易にすることができる。したがって、作業性に優れたマルチング材の施工方法を提供することができる。また、石膏によりマルチング材が全体的に固められているので、土壌中の雑草が土壌の表面に生えてくることを抑制することができる。また、石膏によりマルチング材が全体的に固められているので、空中を飛んできた雑草の種が土壌の表面に定着することを抑制することができる。また、マルチング材に全体的に石膏が含まれているので、土壌中のアルカリ性を高めずに、土壌中にカルシウムを補給することができる。
【0013】
上記の方法によれば、敷設工程において、土壌の表面に焼石膏を敷き込んだ後に、木質繊維材を敷き込んで圧縮してマルチング材を敷設するので、マルチング材の土壌の表面側に石膏がリッチな層を形成すると共に、マルチング材を全体的に固めることができる。そして、マルチング材の土壌の表面側に形成された石膏の豊富な層により、土壌中の雑草を遮断することができる。
【0014】
上記の方法によれば、例えば、針葉樹等の木材チップを爆砕処理し、フルボ酸又はフミン酸を添加した(3次元的に枝分かれした)木質繊維に竹繊維を配合して木質繊維材が構成されているので、木質繊維の分解が進み難いため、マルチング材としての一般的な効果(土壌の乾燥、土壌の急激な温度変化、土壌における雑草の発芽や繁茂、土壌の硬化、土壌の流出等)を持続させることができると共に、自然界に豊富に存在する竹を有効利用することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、木質繊維材の繊維間に焼石膏を介在させてマルチング材を敷設するので、作業性に優れたマルチング材の施工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るマルチング材の施工方法を示す断面図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態に係るマルチング材の施工方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の各実施形態に限定されるものではない。
【0018】
《第1の実施形態》
図1は、本発明に係るマルチング材の施工方法の第1の実施形態を示している。ここで、
図1は、本実施形態のマルチング材20aの施工方法を示す断面図である。
【0019】
マルチング材20aは、
図1に示すように、土壌10の表面に敷き込んで厚さ方向に圧縮された木質繊維材20により構成されている。ここで、マルチング材20aを構成する木質繊維材20は、
図1に示すように、その中に含まれる焼石膏(15)を硬化させた石膏15により、繊維同士が固定化されている。
【0020】
木質繊維材20は、木材チップを爆砕処理し、フルボ酸又はフミン酸を添加した木質繊維により構成されている。ここで、木材チップとしては、針葉樹、広葉樹若しくは木化する草本類、又は、それらの落葉落枝若しくは根系を含み、例えば、林業で発生する間伐材や林地残材、建設業、木材・木製品製造業、家具の製造業、パルプ製造業、輸入木材の卸売業及び物品賃貸業から生ずる木材片、おがくず等の産業廃棄物や、その他植木の剪定枝等の木材の一般廃棄物等の木材廃棄物である。なお、木材チップの樹種は、制限されないが、例えば、ケヤキ、スギ、タモ、ナラ、ヒノキ、アカマツ等が挙げられる。また、爆砕処理は、例えば、特開2006-239729号公報に開示されている2軸スクリュー押出機のような連続式の爆砕装置や、バッチ式の圧力釜装置等に投入して行われる。また、フルボ酸又はフミン酸は、例えば、木、草、野菜屑及び落葉落枝の群から選ばれる少なくとも1種の未分解の有機物を、炭の製造過程で産出される極強酸性の有機酸である木酢液若しくは竹酢液に適量漬け込み、600時間以上の長期間養生することで製造されたもの、腐植土から抽出したもの、又は水域の底部の堆積土から抽出したものにより構成されている。
【0021】
なお、木質繊維材20としては、例えば、針葉樹のバージンチップ100%を用いた大建工業株式会社製のDWファイバー(登録商標)、又はそのDWファイバー(登録商標)に竹材(竹繊維)を(50体積%程度)配合したものが好適に用いられる。
【0022】
次に、マルチング材20aの施工方法について、説明する。なお、本実施形態のマルチング材20aの施工方法は、敷設工程及び散水工程を備える。
【0023】
<敷設工程>
まず、木質繊維材20に焼石膏(15)を混合する。なお、焼石膏(15)及び木質繊維材20の総量に対する焼石膏(15)の混合比率は、例えば、5体積%~30体積%である。
【0024】
続いて、土壌10の表面に焼石膏(15)を混合した木質繊維材20を、例えば、70L/m
2~100L/m
2程度に敷き込んだ後に、その木質繊維材20を厚さ方向に2/3~1/2程度に圧縮して、
図1に示すように、マルチング材20aを敷設する。
【0025】
<散水工程>
上記敷設工程で敷設されたマルチング材20aの表面に水を撒くことにより、焼石膏(CaSO4・1/2H2O)(15)を2水塩の石膏(CaSO4・2H2O)15に変成させ、マルチング材20aを全体的に固化させる。ここで、焼石膏を水和させるために必要な散水量は、使用した焼石膏1Lに対して、0.15L~0.20L程度であるものの、木質繊維材20の飛散を防止するために、それ以上に水を撒いて、マルチング材20aの表面全体が湿る程度に散水するのが好ましい。
【0026】
以上のようにして、本実施形態のマルチング材20aを施工することができる。
【0027】
以上説明したように、本実施形態のマルチング材20aの施工方法によれば、散水工程において、敷設工程で土壌10の表面に敷き込んで圧縮した木質繊維材20からなり、繊維間に焼石膏(15)を介在させたマルチング材20aの表面に水を撒くことにより、繊維間に介在させた焼石膏(CaSO4・1/2H2O)(15)が水和反応により2水塩の石膏(CaSO4・2H2O)15となり硬化する。これにより、マルチング材20aを構成する木質繊維材20の繊維同士が固定化されるので、マルチング材20aを全体的に固めることができる。ここで、マルチング材20aを固めるには、マルチング材20aを構成する木質繊維材20の繊維間に焼石膏(15)を介在させてマルチング材20aの表面に水を撒くだけでよく、例えば、液状の接着剤等を調製する必要がないので、施工作業を容易にすることができる。したがって、作業性に優れたマルチング材20aの施工方法を提供することができる。また、石膏15によりマルチング材20aが全体的に固められているので、土壌10中の雑草が土壌10の表面に生えてくることを抑制することができる。また、石膏15によりマルチング材20aが全体的に固められているので、空中を飛んできた雑草の種が土壌10の表面に定着することを抑制することができる。また、マルチング材20aに全体的に石膏15が含まれているので、土壌10中のアルカリ性を高めずに、土壌10中にカルシウムを補給することができる。
【0028】
また、本実施形態のマルチング材20aの施工方法によれば、敷設工程において、木質繊維材20に焼石膏(15)を混合した後に、その木質繊維材20を土壌の表面に敷き込んで厚さ方向に圧縮してマルチング材20aを敷設するので、木質繊維材20の繊維同士の隙間を残しながら、マルチング材20aを全体的に固めることができる。
【0029】
また、本実施形態のマルチング材20aの施工方法によれば、例えば、針葉樹等の木材チップを爆砕処理し、フルボ酸又はフミン酸を添加した(3次元的に枝分かれした)木質繊維により木質繊維材20が構成されているので、木質繊維の分解が進み難いため、マルチング材20aとしての一般的な効果(土壌の乾燥、土壌の急激な温度変化、土壌における雑草の発芽や繁茂、土壌の硬化、土壌の流出等)を持続させることができる。
【0030】
また、本実施形態のマルチング材20aの施工方法によれば、マルチング材20aを構成する木質繊維に竹繊維が配合されている場合には、自然界に豊富に存在する竹を有効利用することができる。
【0031】
《第2の実施形態》
図2は、本発明に係るマルチング材の施工方法の第2の実施形態を示している。ここで、
図2は、本実施形態のマルチング材20bの施工方法を示す断面図である。なお、以下の各実施形態において、
図1と同じ部分については同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0032】
マルチング材20bは、
図2に示すように、土壌10の表面に敷き込んで厚さ方向に圧縮された木質繊維材20により構成されている。ここで、マルチング材20bを構成する木質繊維材20は、
図2に示すように、その土壌10の表面側に含まれる焼石膏(15)を硬化させた石膏15がリッチな石膏層15bにより、繊維同士が固定化されている。なお、マルチング材20bにおいて、石膏層15bよりも
図2中の上側の木質繊維材20にも焼石膏(15)を硬化させた石膏15が含まれているので、マルチング材20bを全体的に固めることができる。
【0033】
木質繊維材20は、上記第1の実施形態と同様に、木材チップを爆砕処理し、フルボ酸又はフミン酸を添加した木質繊維により構成されている。
【0034】
次に、マルチング材20bの施工方法について、説明する。なお、本実施形態のマルチング材20bの施工方法は、敷設工程及び散水工程を備える。
【0035】
<敷設工程>
まず、土壌10の表面に焼石膏(15)を、例えば、4L/m2~27L/m2程度に敷き込む。なお、焼石膏(15)及び後に敷き込む木質繊維材20の総量に対する焼石膏(15)の比率は、例えば、5体積%~30体積%である。
【0036】
続いて、敷き込まれた焼石膏(15)の表面に木質繊維材を、例えば、40L/m
2~100L/m
2程度、好ましくは70L/m
2~100L/m
2程度に敷き込んだ後に、その木質繊維材を厚さ方向に2/3~1/2程度に圧縮して、
図2に示すように、マルチング材20bを敷設する。
【0037】
<散水工程>
上記敷設工程で敷設されたマルチング材20bの表面に水を撒くことにより、焼石膏(CaSO4・1/2H2O)を2水塩の石膏(CaSO4・2H2O)15に変成させ、マルチング材20bを全体的に固化させる。ここで、焼石膏を水和させるために必要な散水量は、使用した焼石膏1Lに対して、0.15L~0.20L程度であるものの、木質繊維材20の飛散を防止するために、それ以上に水を撒いて、マルチング材20bの表面全体が湿る程度に散水するのが好ましい。
【0038】
以上のようにして、本実施形態のマルチング材20bを施工することができる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態のマルチング材20bの施工方法によれば、散水工程において、敷設工程で土壌10の表面に敷き込んで圧縮した木質繊維材20からなり、繊維間に焼石膏(15)を介在させたマルチング材20bの表面に水を撒くことにより、繊維間に介在させた焼石膏(CaSO4・1/2H2O)(15)が水和反応により2水塩の石膏(CaSO4・2H2O)15となり硬化する。これにより、マルチング材20bを構成する木質繊維材20の繊維同士が固定化されるので、マルチング材20bを全体的に固めることができる。ここで、マルチング材20bを固めるには、マルチング材20bを構成する木質繊維材20の繊維間に焼石膏(15)を介在させてマルチング材20bの表面に水を撒くだけでよく、例えば、液状の接着剤等を調製する必要がないので、施工作業を容易にすることができる。したがって、作業性に優れたマルチング材20bの施工方法を提供することができる。また、石膏15によりマルチング材20bが全体的に固められているので、土壌10中の雑草が土壌10の表面に生えてくることを抑制することができる。また、石膏15によりマルチング材20bが全体的に固められているので、空中を飛んできた雑草の種が土壌10の表面に定着することを抑制することができる。
【0040】
また、本実施形態のマルチング材20bの施工方法によれば、敷設工程において、土壌10の表面に焼石膏(15)を敷き込んだ後に、木質繊維材20を敷き込んで圧縮してマルチング材20bを敷設するので、マルチング材20bの土壌10の表面側に石膏15がリッチな石膏層15bを形成すると共に、マルチング材20bを全体的に固めることができる。そして、マルチング材20bの土壌10の表面側に形成された石膏15のリッチな石膏層15bにより、土壌10中の雑草を遮断することができる。また、マルチング材20bの土壌10の表面側に石膏15がリッチに含まれているので、土壌10中のアルカリ性を高めずに、土壌10中にカルシウムを補給することができる。
【0041】
また、本実施形態のマルチング材20bの施工方法によれば、例えば、針葉樹等の木材チップを爆砕処理し、フルボ酸又はフミン酸を添加した(3次元的に枝分かれした)木質繊維により木質繊維材20が構成されているので、木質繊維の分解が進み難いため、マルチング材20bとしての一般的な効果(土壌の乾燥、土壌の急激な温度変化、土壌における雑草の発芽や繁茂、土壌の硬化、土壌の流出等)を持続させることができる。
【0042】
また、本実施形態のマルチング材20bの施工方法によれば、マルチング材20bを構成する木質繊維に竹繊維が配合されている場合には、自然界に豊富に存在する竹を有効利用することができる。
【0043】
《その他の実施形態》
上記各実施形態では、木材チップを爆砕処理し、フルボ酸又はフミン酸を添加した木質繊維により構成されたマルチング材を例示したが、本発明は、例えば、木材チップを通常のパルプ化する機械で解繊処理した木質繊維により構成されたマルチング材等にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上説明したように、本発明は、作業性に優れたマルチング材の施工方法を提供することができるので、極めて有用である。
【符号の説明】
【0045】
10 土壌
15 石膏(焼石膏)
20 木質繊維材
20a,20b マルチング材
【要約】
【課題】作業性に優れたマルチング材の施工方法を提供する。
【解決手段】土壌10の表面に木質繊維材20を敷き込んだ後にその木質繊維材20を厚さ方向に圧縮してマルチング材20aを敷設する敷設工程と、マルチング材20aの表面に水を撒く散水工程とを備え、敷設工程では、マルチング材20aを構成する木質繊維材20の繊維間に焼石膏を介在させてマルチング材20aを敷設する。
【選択図】
図1