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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】工作機械
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/08 20060101AFI20241121BHJP
   B23Q 7/04 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
B23Q11/08 Z
B23Q7/04 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023111897
(22)【出願日】2023-07-07
【審査請求日】2024-06-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100185719
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 悠樹
(74)【代理人】
【識別番号】100150072
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 賢司
(72)【発明者】
【氏名】栗谷 龍彦
(72)【発明者】
【氏名】小森田 光亮
(72)【発明者】
【氏名】落合 隆文
【審査官】小川 真
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-092753(JP,U)
【文献】特表2011-523594(JP,A)
【文献】特開2004-114258(JP,A)
【文献】特開2010-253648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 11/08
B23Q 7/04
B23B 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを加工することが可能な加工システムであって、
工作機械を備え、
前記工作機械は、前記ワークの加工エリアを区画形成するカバー体を含み、前記カバー体の天井には、ガントリーローダーが前記加工エリアに前記ワークを搬送するための第1開口が形成されており、前記第1開口は、水平面上における前記ガントリーローダーの搬送方向と平行な長手方向に延在しており、
前記工作機械は、さらに、前記第1開口を覆うように前記カバー体に設けられている蓋体を含み、前記蓋体は、前記カバー体に対して脱着可能に構成されており
前記カバー体は、前記蓋体の代わりに、自動扉を脱着可能に構成されており、
前記自動扉は、閉状態において前記第1開口を覆う第1扉を含み、
前記工作機械は、さらに、前記第1扉を開閉駆動するための駆動部を含み、
前記ガントリーローダーが前記加工システムに設けられていない状態では、前記蓋体が前記カバー体に装着され、
前記ガントリーローダーが前記加工システムに設けられている状態では、前記蓋体の代わりに前記自動扉が前記カバー体に装着される、加工システム
【請求項2】
前記第1開口の長手方向における前記蓋体の幅は、当該長手方向における前記カバー体の幅と同じ、または当該長手方向における前記カバー体の幅よりも大きい、請求項1に記載の加工システム
【請求項3】
前記カバー体の側面には、第2開口が形成されており、
前記工作機械は、さらに、前記第2開口を覆うように設けられている第2扉を含み
前記第2開口の上端は、前記長手方向と平行である、請求項に記載の加工システム
【請求項4】
前記加工エリア側における前記蓋体の面は、前記第2扉から前記加工エリアを視た正面視において、奥側に進むほど低くなるように傾斜している、請求項に記載の加工システム
【請求項5】
前記工作機械は、さらに、前記長手方向に沿って、前記第1開口の短手方向における前記蓋体の両端を支持するための第1,第2支持部を含み
前記第1支持部は、前記第2扉から前記加工エリアを視た正面視において前記第2支持部よりも手前側に位置しており、
前記第1支持部は、さらに、前記蓋体とは反対側において前記第2扉を支持するように構成されている、請求項またはに記載の加工システム
【請求項6】
前記カバー体の天井には、安全柵を装着するためのインターフェイス部が設けられており、
前記インターフェイス部は、前記第2扉から前記加工エリアを視た正面視において、当該第2扉よりも奥側に位置し、かつ前記第1開口よりも手前側に位置し、かつ前記長手方向に延在している、請求項またはに記載の加工システム
【請求項7】
前記蓋体は、複数の蓋で構成されている、請求項1~のいずれか1項に記載の加工システム
【請求項8】
前記複数の蓋は、開閉可能に構成されている第1蓋と、開閉不可能な第2蓋とを含む、請求項7に記載の加工システム
【請求項9】
前記工作機械は、さらに、
制御部と、
前記第1蓋の開閉状態を検出するためのセンサとを含み
前記制御部は、前記第1蓋が開状態である場合に、前記工作機械による前記ワークの加工を禁止する処理を実行する、請求項8に記載の加工システム
【請求項10】
前記工作機械は、さらに、前記ワークを回転駆動するためのワーク主軸を含み
前記第1蓋は、上面視において、前記ワーク主軸と重なっている、請求項8に記載の加工システム
【請求項11】
前記カバー体には、前記蓋体を装着するためのインターフェイス部が設けられており、
前記インターフェイス部は、前記蓋体の代わりに、前記自動扉を装着可能に構成されており、
前記工作機械は、さらに前記駆動部を制御することが可能な制御部を含み
前記制御部は、
前記ガントリーローダーが前記加工エリアに前記ワークを搬入する前に前記自動扉を開く処理と、
前記ガントリーローダーが前記加工エリアに前記ワークを搬入した後において前記自動扉を閉じる処理とを実行する、請求項1~3のいずれか1項に記載の加工システム
【請求項12】
前記カバー体には、第1,第2切り欠き部が形成されており、
前記長手方向の一方側から視た場合に、前記第1切り欠き部は、前記蓋体と重なっており、
前記長手方向の一方側から視た場合に、前記第2切り欠き部は、前記蓋体と重なっており、
前記工作機械は、さらに、
前記第1切り欠き部を覆うように前記カバー体に設けられている第1保護カバーと、
前記第2切り欠き部を覆うように前記カバー体に設けられている第2保護カバーとを含み、前記第1保護カバーおよび前記第2保護カバーは、前記カバー体に対して脱着可能に構成されている、請求項またはに記載の加工システム
【請求項13】
前記第1保護カバーおよび前記第2保護カバーは、前記カバー体と同じ材質で構成されている、請求項12に記載の加工システム
【請求項14】
ワークを加工することが可能な工作機械であって、
前記ワークの加工エリアを区画形成するカバー体を備え、前記カバー体の天井には、ガントリーローダーが前記加工エリアに前記ワークを搬送するための第1開口が形成されており、前記第1開口は、水平面上における前記ガントリーローダーの搬送方向と平行な長手方向に延在しており、
前記第1開口を覆うように前記カバー体に設けられている蓋体を備え、前記蓋体は、前記カバー体に対して脱着可能に構成されており、
前記カバー体の側面には、第2開口が形成されており、
前記第2開口を覆うように設けられている扉を備え、
前記第2開口の上端は、前記長手方向と平行であり、
前記加工エリア側における前記蓋体の面は、前記扉から前記加工エリアを視た正面視において、奥側に進むほど低くなるように傾斜している、工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2021-30318号公報(特許文献1)は、用途に応じて多関節ロボットを容易に交換することができる工作機械を開示している。当該工作機械のカバーの側面には開口部が設けられおり、多関節ロボットは、当該開口部から加工空間に挿入可能に構成されている。また、多関節ロボットには、開口部を塞ぐための蓋が設けられている。すなわち、多関節ロボットが開口部に挿入された状態で、当該蓋は、当該開口部を塞ぐ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-30318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
より重いワークを工作機械に搬送する場合、多関節ロボットではなく、ガントリーローダーが用いられる。このガントリーローダーを工作機械に対して後付けしたいという顧客ニーズがある。この点に鑑み、工作機械に対してガントリーローダーを容易に後付けするための技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一例では、ワークを加工することが可能な工作機械が提供される。上記工作機械は、上記ワークの加工エリアを区画形成するカバー体を備える。上記カバー体の天井には、ガントリーローダーが上記加工エリアに上記ワークを搬送するための第1開口が形成されている。上記第1開口は、水平面上における上記ガントリーローダーの搬送方向と平行な長手方向に延在している。上記工作機械は、上記第1開口を覆うように上記カバー体に設けられている蓋体を備える。上記蓋体は、上記カバー体に対して脱着可能に構成されている。
【0006】
本開示の一例では、上記第1開口の長手方向における上記蓋体の幅は、当該長手方向における上記カバー体の幅と同じ、または当該長手方向における上記カバー体の幅よりも大きい。
【0007】
本開示の一例では、上記カバー体の側面には、第2開口が形成されている。上記工作機械は、さらに、上記第2開口を覆うように設けられている扉を備える。上記第2開口の上端は、上記長手方向と平行である。
【0008】
本開示の一例では、上記加工エリア側における上記蓋体の面は、上記扉から上記加工エリアを視た正面視において、奥側に進むほど低くなるように傾斜している。
【0009】
本開示の一例では、上記工作機械は、さらに、上記長手方向に沿って、上記第1開口の短手方向における上記蓋体の両端を支持するための第1,第2支持部を備える。上記第1支持部は、上記扉から上記加工エリアを視た正面視において上記第2支持部よりも手前側に位置している。上記第1支持部は、さらに、上記蓋体とは反対側において上記扉を支持するように構成されている。
【0010】
本開示の一例では、上記カバー体の天井には、安全柵を装着するためのインターフェイス部が設けられている。上記インターフェイス部は、上記扉から上記加工エリアを視た正面視において、当該扉よりも奥側に位置し、かつ上記第1開口よりも手前側に位置し、かつ上記長手方向に延在している。
【0011】
本開示の一例では、上記蓋体は、複数の蓋で構成されている。
【0012】
本開示の一例では、上記複数の蓋は、開閉可能に構成されている第1蓋と、開閉不可能な第2蓋とを含む。
【0013】
本開示の一例では、上記工作機械は、さらに、制御部と、上記第1蓋の開閉状態を検出するためのセンサとを備える。上記制御部は、上記第1蓋が開状態である場合に、上記工作機械による上記ワークの加工を禁止する処理を実行する。
【0014】
本開示の一例では、上記工作機械は、さらに、上記ワークを回転駆動するためのワーク主軸を備える。上記第1蓋は、上面視において、上記ワーク主軸と重なっている。
【0015】
本開示の一例では、上記カバー体には、上記蓋体を装着するためのインターフェイス部が設けられている。上記インターフェイス部は、上記蓋体の代わりに、扉を装着可能に構成されている。上記工作機械は、さらに、上記扉を開閉駆動するための駆動部と、上記駆動部を制御することが可能な制御部とを備える。上記制御部は、上記ガントリーローダーが上記加工エリアに上記ワークを搬入する前に上記扉を開く処理と、上記ガントリーローダーが上記加工エリアに上記ワークを搬入した後において上記扉を閉じる処理とを実行する。
【0016】
本開示の一例では、上記カバー体には、第1,第2切り欠き部が形成されている。上記長手方向の一方側から視た場合に、上記第1切り欠き部は、上記蓋体と重なっている。上記長手方向の一方側から視た場合に、上記第2切り欠き部は、上記蓋体と重なっている。上記工作機械は、さらに、上記第1切り欠き部を覆うように上記カバー体に設けられている第1保護カバーと、上記第2切り欠き部を覆うように上記カバー体に設けられている第2保護カバーとを備える。上記第1保護カバーおよび上記第2保護カバーは、上記カバー体に対して脱着可能に構成されている。
【0017】
本開示の一例では、上記第1保護カバーおよび上記第2保護カバーは、上記カバー体と同じ材質で構成されている。
【0018】
本発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解される本発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】工作機械の外観を示す図である。
図2】工作機械の装置構成の一例を示す図である。
図3】加工システムの装置構成の一例を示す図である。
図4】上方向から工作機械を表わす図である。
図5】関連技術に従う工作機械を示す図である。
図6】上方向から蓋体を表わす図である。
図7図6に示されるVII-VII線に沿う断面図である。
図8】上方向から自動扉を表わす図である。
図9図8に示されるIX-IX線に沿う断面図である。
図10】工作機械の手前側から斜め下方向に見下ろした状態の工作機械を表わす図である。
図11】蓋体が取り外された工作機械を上方向から示す図である。
図12】安全柵が取り付けられた工作機械を正面側から示す図である。
図13】Z軸方向の一方側から工作機械を示す図である。
図14】Z軸方向の他方側から工作機械を示す図である。
図15】工作機械の駆動機構の一例を示す図である。
図16】オプションユニットの駆動機構の一例を示す図である。
図17】制御部のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明に従う各実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される各実施の形態および各変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0021】
<A.工作機械100の外観>
まず、図1を参照して、実施の形態に従う工作機械100について説明する。図1は、工作機械100の外観を示す図である。
【0022】
本明細書でいう「工作機械」とは、ワークを加工する機能を備えた種々の装置を包含する概念である。一例として、工作機械100は、横形のマシニングセンタであってもよいし、立形のマシニングセンタであってもよい。あるいは、工作機械100は、旋盤であってもよいし、付加加工機であってもよいし、その他の切削機械や研削機械であってもよい。さらに、工作機械100は、これらを複合した複合加工機であってもよい。
【0023】
図1に示されるように、工作機械100は、カバー体130を含む。カバー体130は、スプラッシュガードとも呼ばれ、工作機械100の外観を成すとともに、ワークの加工エリアAR(図2参照)を区画形成している。
【0024】
カバー体130の天井には、脱着可能に構成される蓋体CVが設けられている。蓋体CVの詳細については後述する。
【0025】
カバー体130の前面には、前扉DR1が設けられている。前扉DR1は、たとえば、スライド式のドアである。前扉DR1は、モータなどの駆動源により開閉可能に構成されてもよいし、手動で開閉可能に構成されてもよい。作業者は、前扉DR1を開いた状態で加工対象のワークを加工エリアに設置する。作業者は、ワークの設置が完了すると前扉DR1を閉じる。その後、ワークの加工が開始される。なお、ワークの設置、ドアの開閉等の作業については自律走行ロボット(AMR(Autonomous Mobile Robot))を用いて自動化してもよい。
【0026】
<B.方向の定義>
説明の便宜のために、以下では、前扉DR1から工作機械100の内部(加工エリア)に向かう水平方向をX軸方向とも称する。また、X軸方向に直交する水平方向をZ軸方向とも称する。X軸方向およびY軸方向の両方に直交する重力方向をY軸方向とも称する。
【0027】
<C.工作機械100の装置構成>
次に、図2を参照して、工作機械100の装置構成について説明する。図2は、工作機械100の装置構成の一例を示す図である。
【0028】
工作機械100は、ベッド11と、第1ワーク主軸22と、第2ワーク主軸27と、工具主軸30とを備える。
【0029】
ベッド11は、工作機械100内に設けられている各種装置を支持するためのベース部材である。図2の例では、ベッド11は、第1ワーク主軸22と、第2ワーク主軸27と、工具主軸30とを支持している。ベッド11は、工場などの床面に設置される。ベッド11は、鋳鉄などの金属から形成されている。
【0030】
第1ワーク主軸22は、ワークWを保持しながら回転可能に構成されている。より具体的には、第1ワーク主軸22には、第1チャック機構23が設けられている。第1チャック機構23は、第1ワーク主軸22に対してワークWを固定するための機構である。また、第1ワーク主軸22は、第1ワーク主軸22の軸方向(すなわち、Z軸方向)に沿う軸AX1を中心として回転可能に構成されている。
【0031】
第2ワーク主軸27は、第1ワーク主軸22とは反対側からワークWを支持しながらワークWを回転する。より具体的には、第2ワーク主軸27は、モータなどの各種駆動機構によってZ軸方向に移動可能に構成され、第1ワーク主軸22とは反対側からワークWを支持することができる。また、第2ワーク主軸27には、第2チャック機構28が設けられている。第2チャック機構28は、第2ワーク主軸27に対してワークWを固定するための機構である。さらに、第2ワーク主軸27は、第2ワーク主軸27の軸方向(すなわち、Z軸方向)に沿う軸AX2を中心として回転可能に構成されている。典型的には、軸AX2は、軸AX1と同軸上にある。
【0032】
工具主軸30は、第1ワーク主軸22および第2ワーク主軸27よりも高い位置に設けられている。また、工具主軸30は、上述の前扉DR1から加工エリアARを視た正面視において、第1ワーク主軸22および第2ワーク主軸27よりも奥側に設けられている。
【0033】
工具主軸30は、工具Tを保持しながら回転可能に構成されている。工具主軸30は、モータなどの各種駆動機構によって、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の各方向に移動可能に構成されている。工具主軸30は、たとえば、第1ワーク主軸22に固定されているワークWに対して、回転中の工具Tを接触させることでミーリング加工を行う。
【0034】
<D.加工システム10>
次に、実施の形態に従う加工システム10について説明する。図3は、加工システム10の装置構成の一例を示す図である。
【0035】
上述の図1で説明した工作機械100には、様々な装置がオプションとして後付けされ得る。後付け可能な装置の一例としては、ワークステーション180と、ガントリーローダー200とが挙げられる。図3の例では、工作機械100と、ガントリーローダー200と、ワークステーション180とを含むシステムが加工システム10として示されている。
【0036】
ワークステーション180は、加工前のワークや、加工後のワークなどを仮置きするための場所である。ガントリーローダー200は、ワークステーション180に置かれている加工前のワークを工作機械100に搬入したり、工作機械100内の加工後のワークをワークステーション180に搬出したりする。
【0037】
一例として、ガントリーローダー200は、支柱252A,252Bと、レール機構253と、搬送体260とで構成されている。
【0038】
支柱252A,252Bは、工作機械100を間に挟むようにZ軸方向に並べて配置され、レール機構253を支持する。
【0039】
レール機構253は、Z軸方向において直線状に延在しており、搬送体260をZ軸方向に移動するためのリニアガイドとして機能する。
【0040】
搬送体260は、スライダ261と、昇降ロッド262とで構成されている。スライダ261は、レール機構253に取り付けられている。スライダ261は、モータなどの駆動機構によりZ軸方向にスライド移動可能に構成されている。
【0041】
昇降ロッド262は、スライダ261に取り付けられている。また、昇降ロッド262は、モータなどの駆動機構によりY軸方向にスライド移動可能に構成されている。昇降ロッド262の下端には、ワークを把持するための把持機構が設けられている。当該把持機構は、たとえば、ワークを把持可能に構成されるアーム形状を有する。
【0042】
ガントリーローダー200は、ワークステーション180から工作機械100へのワークの搬入を行う。より具体的には、まず、ガントリーローダー200は、Z軸方向にスライダ261を駆動し、スライダ261をワークステーション180上に移動する。次に、ガントリーローダー200は、Y軸方向に昇降ロッド262を駆動し、ワークステーション180に設置されている加工前のワークをピックアップする。その後、ガントリーローダー200は、Z軸方向にスライダ261を駆動し、スライダ261を工作機械100上に移動する。その後、ガントリーローダー200は、Y軸方向に昇降ロッド262を駆動し、加工前のワークを工作機械100に搬入する。搬入されたワークは、たとえば、上述の第1ワーク主軸22に装着される。
【0043】
また、ガントリーローダー200は、工作機械100からワークステーション180へのワークの搬出を行う。より具体的には、まず、ガントリーローダー200は、Z軸方向に昇降ロッド262を駆動し、スライダ261を工作機械100上に移動する。次に、ガントリーローダー200は、Y軸方向に昇降ロッド262を駆動し、工作機械100内のワークをピックアップする。その後、ガントリーローダー200は、Z軸方向にスライダ261を駆動し、スライダ261をワークステーション180上に移動する。その後、ガントリーローダー200は、Y軸方向に昇降ロッド262を駆動し、ワークステーション180にワークを置く。
【0044】
<E.概要>
次に、図4および図5を参照して、上述の蓋体CV(図1参照)について説明する。図4は、上方向から工作機械100を表わす図である。
【0045】
顧客によっては、工作機械100の発注後にガントリーローダー200を後付けする。一例として、顧客は、工作機械100を工場に据え付ける段階でガントリーローダー200を工作機械100に取り付けたり、ワークの生産計画などに応じてガントリーローダー200を工作機械100に取り付けたりする。実施の形態に従う工作機械100は、ガントリーローダー200を後付けしやすいように構成されている。
【0046】
より具体的には、カバー体130の天井には、ガントリーローダー200が加工エリアARにワークWを搬送するための開口P1(第1開口)が形成されている。開口P1は、ガントリーローダー200が加工エリアARにワークWを搬入する際、または、ガントリーローダー200が加工エリアARからワークWを搬出する際に、ワークWが通過する搬出入口である。開口P1は、帯状の形状を有し、水平面上におけるガントリーローダー200の搬送方向(すなわち、Z軸方向)と平行な長手方向に延在している。異なる言い方をすれば、開口P1は、ガントリーローダー200のレール機構253と平行になるように延在している。
【0047】
このような開口P1を覆うように、カバー体130には蓋体CVが設けられている。異なる言い方をすれば、長手方向(すなわち、Z軸方向)における蓋体CVの幅は、同方向における開口P1の幅よりも大きい。また、短手方向(すなわち、X軸方向)における蓋体CVの幅は、同方向における開口P1の幅よりも大きい。
【0048】
蓋体CVは、帯状の形状を有する。より具体的には、長手方向(すなわち、Z軸方向)における蓋体CVの幅は、同方向におけるカバー体130の幅と同じである。あるいは、長手方向における蓋体CVの幅は、同方向におけるカバー体130の幅よりも大きくてもよい。また、短手方向(すなわち、X軸方向)における蓋体CVの幅は、同方向におけるカバー体130の幅よりも小さい。
【0049】
蓋体CVは、カバー体130に対して脱着可能に構成されている。蓋体CVをカバー体130に固定するための機構には、任意の機構が採用される。一例として、蓋体CVは、カバー体130に対してネジ止めされ得る。
【0050】
図5を参照して、蓋体CVの利点について説明する。図5は、関連技術に従う工作機械100Xを示す図である。工作機械100Xは、カバー体130Xを含む。カバー体130Xの側面には、前扉DR1Xが設けられている。
【0051】
前扉DR1Xは、カバー体130Xの側面だけでなく、カバー体130Xの天井にも延在している。顧客は、このような工作機械100Xに対してガントリーローダー200を後付けする場合には、前扉DR1Xを取り外し、ガントリーローダー200に対応したドアに変える必要がある。例えば前扉DRXのようにカバー体130Xの天井に延在している部分が小さい、または、存在しないガントリーローダー仕様の前扉に交換される。また、顧客は、カバー体130Xも、ガントリーローダー200に対応したカバー体に変える必要がある。すなわち、ガントリーローダー200やガントリーローダー仕様に適合する別のカバー体に変更する必要がある。このように、図5に示される工作機械100Xにガントリーローダー200を後付けする場合には、大幅な改修作業が必要となる。
【0052】
一方で、図4に示される工作機械100においては、ガントリーローダー200の搬送経路に関連する箇所(すなわち、蓋体CV)のみが脱着可能に構成されている。そのため、顧客は、ガントリーローダー200を工作機械100に後付けする際に、蓋体CV以外の部分(たとえば、前扉DR1やカバー体130)については改修する必要が無い。これにより、顧客は、費用および時間を削減することができ、工作機械100に対してガントリーローダー200を後付けしやすくなる。
【0053】
<F.蓋体CV>
次に、図6および図7を参照して、図4に示されるガントリーローダー200が使用されない場合に開口P1を塞ぐために用いられる蓋体CVについてさらに詳細に説明する。すなわち、図1に記載されているようにデフォルトの状態の工作機械100の状態が前提となる。図6は、上方向から蓋体CVを表わす図である。図7は、図6に示されるVII-VII線に沿う断面図である。
【0054】
図7に示されるように、加工エリアAR側における蓋体CVの下面SF1(すなわち、裏面)は、工作機械100の前扉DR1(図1参照)から加工エリアARを視た正面視において、奥側に進むほど低くなるように傾斜している。言い換えると、カバー体130に形成されている帯状をなす開口P1の縁部は、工作機械100の手前側のほうが奥側よりも高い位置に配置されている。ワークの加工時には加工エリアARにクーラントが吐出され、当該クーラントは、蒸発する。蒸発したクーラントは、天井において液化する。このとき、蓋体CVの下面SF1は、奥側に進むほど低くなるように傾斜しているため、天井で液化したクーラントは、前扉DR1から離れる方向に流れることになる。これにより、天井で液化したクーラントやワーク等で跳ねて下面SF1に付着したクーラントが、前扉DR1を開けた作業者に落下することを防ぐことができる。
【0055】
好ましくは、蓋体CVは、複数の蓋で構成されている。図6の例では、蓋体CVは、4つの蓋CV1~CV4で構成されている。蓋CV1~CV4は、Z軸に沿って配列されている。蓋体CVが複数の蓋CV1~CV4に分離されることで、作業者は、工作機械100に蓋体CVを取り付けやすくなる。
【0056】
さらに好ましくは、蓋体CVは、開閉可能に構成されている蓋CV2(第1蓋)と、開閉不可能な蓋CV1,CV3,CV4(第2蓋)とを含む。蓋CV2は、フレームFRと、天井扉DR2とで構成されている。
【0057】
天井扉DR2は、手動で開閉可能に構成される。より具体的には、加工エリアAR側とは反対側における天井扉DR2の面には、取っ手Hが設けられている。また、取っ手Hは、Z軸方向の一方側における天井扉DR2の端部に設けられている。さらに、フレームFRには、ヒンジなどを介して安全板(図示しない)取り付けられている。当該安全板は、ヒンジの装着側とは反対側において、フレームFRに固定可能に構成されている。安全板およびフレームFRは、たとえば、ボルトなどを介して固定される。作業者は、天井扉DR2を閉じる際には、当該安全板をボルトでフレームFRに固定する。一方で、作業者は、天井扉DR2を開く際には、当該安全板からボルトを外す。そして、作業者は、取っ手Hに手をかけ、Z軸方向に天井扉DR2をスライドさせる。これにより、天井扉DR2が開かれる。
【0058】
顧客は、加工対象のワークが軽い場合には、工作機械100の前扉DR1(図1参照)から当該ワークを加工エリアARにセットする。一方で、加工対象のワークが重い場合には、顧客は、クレーンなどを用いて当該ワークを吊り上げ、当該ワークを天井の天井扉DR2から加工エリアARに搬入する。このように、顧客は、搬入対象のワークの重さに応じて、前扉DR1と天井扉DR2とを使い分けることができる。
【0059】
好ましくは、開閉可能に構成されている蓋CV2には、開閉センサCが設けられている。開閉センサCは、たとえば、取っ手Hの付近に設けられており、蓋CV2の開閉状態を検出する。開閉センサCは、磁気センサであってもよいし、光学センサであってもよいし、超音波センサであってもよい。
【0060】
開閉センサCが蓋CV2の開状態を検出している場合には、工作機械100は、ワークの加工を禁止する。一方で、開閉センサCが蓋CV2の閉状態を検出している場合には、工作機械100は、ワークの加工を許可する。これにより、工作機械100は、蓋CV2が開かれている状態でワークの加工を開始することを防止することができる。
【0061】
好ましくは、開閉可能な蓋CV2は、上面視において、上述の第1ワーク主軸22の少なくとも一部と重なっている。これにより、作業者がクレーンなどを用いて天井の蓋CV2からワークを搬入する場合に、ワークを第1ワーク主軸22に装着しやすくなる。
【0062】
また、開閉可能な蓋CV2は、上面視において、上述の第2ワーク主軸27と重なっている。これにより、作業者がクレーンなどを用いて天井の蓋CV2からワークを搬入する場合に、ワークを第2ワーク主軸27に装着しやすくなる。
【0063】
<G.自動扉DR3>
次に、図8および図9を参照して、蓋体CVの代わりに工作機械100に取り付けられ得る自動扉DR3について説明する。すなわち、図3に示されるように工作機械100に対してガントリーローダー200が使用される場合が前提となる。図8は、上方向から自動扉DR3を表わす図である。図9は、図8に示されるIX-IX線に沿う断面図である。
【0064】
工作機械100にガントリーローダー200を後付けする際には、上述の蓋体CV(図4参照)がカバー体130から取り外され、代わりに自動扉DR3がカバー体130の開口P1の一部または全部を覆うように装着され得る。自動扉DR3の形状は、帯状であり、Z軸方向に延在している。自動扉DR3は、エアシリンダーACL,ACRなどの駆動部により駆動される。
【0065】
工作機械100は、ガントリーローダー200によるワークの搬入に連動して自動扉DR3の開閉を制御する。一例として、工作機械100は、ガントリーローダー200が加工エリアARにワークを搬入する前に自動扉DR3を開く。ガントリーローダー200は、開状態の自動扉DR3を通じて、加工エリアARにワークを搬入する。その後、工作機械100は、自動扉DR3を閉じる。これにより、工作機械100へのワークの搬入が自動で行われる。
【0066】
また、工作機械100は、ガントリーローダー200によるワークの搬出に連動して自動扉DR3の開閉を制御する。一例として、工作機械100は、ガントリーローダー200が加工エリアARからワークを搬出する前に自動扉DR3を開く。ガントリーローダー200は、開状態の自動扉DR3を通じて、加工エリアARからワークを搬出する。その後、工作機械100は、自動扉DR3を閉じる。これにより、工作機械100からのワークの搬出が自動で行われる。
【0067】
自動扉DR3は、たとえば、リニアガイドGLと、リニアガイドGRと、左扉SDLと、右扉SDRとで構成されている。
【0068】
リニアガイドGLは、Z軸方向に移動可能なように左扉SDLを案内するための機構である。典型的には、工作機械100は、自動扉DR3を開く際には、リニアガイドGLに沿って左扉SDLをZ軸方向の正側に移動する。一方で、工作機械100は、自動扉DR3を閉じる際には、リニアガイドGLに沿って左扉SDLをZ軸方向の負側に移動する。
【0069】
リニアガイドGRは、Z軸方向に移動可能なように右扉SDRを案内するための機構である。典型的には、工作機械100は、自動扉DR3を開く際には、リニアガイドGRに沿って右扉SDRをZ軸方向の負側に移動する。一方で、工作機械100は、自動扉DR3を閉じる際には、リニアガイドGRに沿って右扉SDRをZ軸方向の正側に移動する。
【0070】
図9に示されるように、自動扉DR3は、その上面SF2が上述の蓋体CVの上面よりも低くなるように構成される。より具体的には、自動扉DR3の手前側には上面SF2から上側に立設させて設けられた立壁部WLを有している。さらに言い換えると、自動扉DR3の手前側の横断面形状は概略L字状をなしている。この立壁部WLの上端部がカバー体130に取り付けられて、上面SF2が下側へ吊り下げられた状態となり、上面SF2は蓋体CVよりも低い位置に配置される。これにより、ガントリーローダー200の各種機構(レール機構253や搬送体260など)をより低く配置することができ、上下方向におけるワークの搬送距離を短くすることができる。その結果、ガントリーローダー200によるワークの搬送効率が改善する。なお、図9に示されるように自動扉DR3の下面についても奥側が手前側よりも低くなるように若干傾斜させてある。また、自動扉の上面SF2の位置を低くしているので、その傾斜角は図4の蓋体CVの傾斜角と比較して小さい。
【0071】
<H.支持部B1,B2>
次に、図10を参照して、上述の蓋体CVを支持するための支持部B1,B2について説明する。図10は、工作機械100の手前側から斜め下方向に見下ろした状態の工作機械100を表わす図である。なお、蓋体CV及び自動扉DR3については取り外された状態となる。
【0072】
図10の例では、上述の図1に示される工作機械100から、蓋体CVと、前扉DR1とが取り外されている。また、図10の例では、蓋体CVに覆われていた開口P1と、前扉DR1に覆われていた開口P2とがハッチングで示されている。図10に示されるように、開口P2の上端は、開口P1の長手方向と平行である。
【0073】
工作機械100のカバー体130には、蓋体CVを支持するための支持部B1,B2が設けられている。支持部B1,B2の各々は、開口P1の長手方向に延在しており、互いに平行に配置されている。支持部B1,B2は、たとえば、バー形状を有する。支持部B1は、前扉DR1から加工エリアARを視た正面視において支持部B2よりも手前側に位置している。
【0074】
支持部B1,B2は、開口P1の短手方向における蓋体CVの両端を支持するように構成されている。蓋体CVを支持部B1,B2に固定するための機構には、任意の機構が採用される。一例として、蓋体CVは、支持部B1,B2に対してネジ止めされ得る。
【0075】
支持部B1は、蓋体CVを支持するだけでなく、蓋体CVとは反対側において前扉DR1を支持するように構成されている。すなわち、蓋体CVおよび前扉DR1は、支持部B1を共有するように構成されている。支持部B1は、Z軸方向に移動可能なように前扉DR1を案内する。
【0076】
<I.安全柵FE>
次に、図11および図12を参照して、安全柵FEについて説明する。図11は、蓋体CVが取り外された工作機械100を上方向から示す図である。図12は、安全柵FEが取り付けられた工作機械100を正面側から示す図である。
【0077】
ガントリーローダー200が工作機械100に取り付けられた場合において、工作機械100の高さが低いときには、作業者は、ガントリーローダー200に触れる可能性がある。そこで、作業者がガントリーローダー200に触れられないように、工作機械100は、カバー体130の天井に安全柵FEを装着可能に構成される。
【0078】
カバー体130の天井には、安全柵FEを装着するためのインターフェイス部IFが形成されている。インターフェイス部IFは、前扉DR1から加工エリアARを視た正面視において、前扉DR1よりも奥側に位置し、かつ開口P1よりも手前側に位置している。また、インターフェイス部IFは、開口P1の長手方向に延在している。加えて、インターフェイス部IFの上面部は、例えばガントリーローダー200等を設置する場合に適用される安全規格に規定されている安全高さよりも低い位置に配置されている。また、ガントリーローダー200を使用しない場合には、インターフェイス部IFの上面部は、各種安全規格等を満たす高さとなる。つまり、インターフェイス部IFに安全柵FEを設置することで、ガントリーローダー200を使用する場合の安全規格を満たしつつ、デフォルトでは工作機械100全体の高さを抑えてコンパクトに構成できるようにしてある。
【0079】
安全柵FEは、たとえば、板状をなし、インターフェイス部IFに対して立設させて取り付けられる。安全柵FEの下面がインターフェイス部IFに固定される。安全柵FEをインターフェイス部IFに固定するための機構には、任意の機構が採用される。一例として、インターフェイス部IFは、ネジ穴である。この場合、安全柵FEに形成されている貫通孔を通じてインターフェイス部IFのネジ穴にネジを嵌めることで、安全柵FEは、カバー体130に固定される。
【0080】
<J.保護カバー>
次に、図13および図14を参照して、保護カバーPC1,PC2について説明する。図13は、Z軸方向の一方側から工作機械100を示す図である。図14は、Z軸方向の他方側から工作機械100を示す図である。
【0081】
工作機械100のカバー体130には、切り欠き部NT1,NT2が形成されている。
【0082】
切り欠き部NT1は、工作機械100をZ軸方向の負側から視た側面視において、蓋体CVと重なるようにカバー体130に形成されている。また、切り欠き部NT1には、保護カバーPC1が装着され得る。保護カバーPC1は、切り欠き部NT1を覆うように構成されている。また、保護カバーPC1は、カバー体130に対して脱着可能に構成されている。
【0083】
保護カバーPC1をカバー体130の切り欠き部NT1に固定するための機構には、任意の機構が採用される。一例として、保護カバーPC1は、カバー体130の切り欠き部NT1に対してネジ止めされ得る。
【0084】
切り欠き部NT2は、工作機械100をZ軸方向の正側から視た側面視において、蓋体CVと重なるようにカバー体130に形成されている。また、切り欠き部NT2には、保護カバーPC2が装着され得る。保護カバーPC2は、切り欠き部NT2を覆うように構成されている。また、保護カバーPC2は、カバー体130に対して脱着可能に構成されている。
【0085】
保護カバーPC2をカバー体130の切り欠き部NT2に固定するための機構には、任意の機構が採用される。一例として、保護カバーPC2は、カバー体130の切り欠き部NT2に対してネジ止めされ得る。
【0086】
保護カバーPC1,PC2および切り欠き部NT1,NT2により、様々な加工ニーズに対応することができる。
【0087】
一例として、工作機械100の一方側にのみ上述のワークステーション180が置かれる場合、ガントリーローダー200は、ワークステーション180から加工前のワークを搬出し、同一のワークステーション180に加工後のワークを搬入することになる。すなわち、ワークの搬出入は、Z軸方向における工作機械100の一方側から行われることになる。この場合、保護カバーPC1,PC2の内の、ワークステーション180と隣接している一方側の保護カバーのみがカバー体130から取り外される。これにより、ガントリーローダー200の搬送体260は、切り欠き部NT1,NT2の一方側を通過できるようになる。その結果、ワークステーション180から加工前のワークを搬出し、同じワークステーション180に加工後のワークを搬送するような加工ニーズに対応することができる。
【0088】
他の例として、Z軸方向における工作機械100の両側に上述のワークステーション180が置かれる場合、ガントリーローダー200は、一方側のワークステーション180から加工前のワークを搬出し、他方側のワークステーション180に加工後のワークを搬入することになる。この場合、保護カバーPC1,PC2の両方がカバー体130から取り外される。これにより、ガントリーローダー200の搬送体260は、切り欠き部NT1,NT2の両方を通過できるようになる。その結果、一方側のワークステーション180から加工前のワークを搬出し、他方側のワークステーション180に加工後のワークを搬入するような加工ニーズに対応することができる。
【0089】
さらに他の例として、複数の工作機械100がZ軸方向に一列に並べられて実現される加工ニーズにも対応することができる。この場合、工作機械100の各々の保護カバーPC1,PC2の内、Z軸方向の両端以外の保護カバーが取り外される。また、ワークステーション180と隣接している側の保護カバーもカバー体130から取り外される。これにより、ガントリーローダー200の搬送体260は、任意の工作機械100にワークを搬送することができる。
【0090】
好ましくは、保護カバーPC1は、カバー体130の装着部分と同じ素材で構成されている。また、保護カバーPC1は、Z軸方向の負側における蓋体CVの側面とは異なる素材で構成されている。同様に、保護カバーPC2は、カバー体130の装着部分と同じ素材で構成されている。また、保護カバーPC2は、Z軸方向の正側における蓋体CVの側面とは異なる素材で構成されている。保護カバーPC1,PC2がカバー体130と同じ素材で構成されることで、工作機械100のデザイン性が損なわれない。
【0091】
<K.工作機械100に係る駆動機構>
次に、図15を参照して、工作機械100における駆動機構について説明する。図15は、工作機械100の駆動機構の一例を示す図である。
【0092】
図15に示されるように、工作機械100は、上述の第1ワーク主軸22と、上述の第2ワーク主軸27と、上述の工具主軸30と、制御部50と、駆動部210,220,230A,230Bとを含む。
【0093】
制御部50は、加工システム10を構成する各種装置(たとえば、工作機械100)を制御する。制御部50の装置構成は、任意である。制御部50は、単体の制御ユニットで構成されてもよいし、複数の制御ユニットで構成されてもよい。一例として、制御部50は、CNC(Computer Numerical Control)と、PLC(Programmable Logic Controller)との少なくとも一方を含む。
【0094】
駆動部210は、第1ワーク主軸22を回転駆動するための駆動機構である。駆動部210は、単体の駆動ユニットで構成されてもよいし、複数の駆動ユニットで構成されてもよい。図15の例では、駆動部210は、モータドライバ211Cと、モータ212Cとで構成されている。
【0095】
モータドライバ211Cは、第1ワーク主軸22の目標回転角度または目標回転速度の入力を制御部50から逐次的に受け、当該目標回転角度または当該目標回転速度に応じた電流をモータ212Cに出力する。これにより、第1ワーク主軸22に保持されているワークは、Z軸方向を回転中心として回転する。モータ212Cは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0096】
駆動部220は、第2ワーク主軸27を駆動するための駆動機構である。駆動部220は、単体の駆動ユニットで構成されてもよいし、複数の駆動ユニットで構成されてもよい。図15の例では、駆動部220は、モータドライバ221Zと、モータ222Zとで構成されている。
【0097】
モータドライバ221Zは、第1ワーク主軸22に関する目標位置の入力を制御部50から逐次的に受け、当該目標位置に応じた電流をモータ222Zに出力する。これにより、モータ222Zは、Z軸方向の任意の位置に第2ワーク主軸27を移動する。モータ222Zは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0098】
駆動部230Aは、工具主軸30を移動するための駆動機構である。駆動部230Aは、単体の駆動ユニットで構成されてもよいし、複数の駆動ユニットで構成されてもよい。図15の例では、駆動部230Aは、モータドライバ231X~231Zと、モータ232X~232Zとで構成されている。
【0099】
モータドライバ231Xは、X軸方向における工具主軸30の目標位置の入力を制御部50から逐次的に受け、当該目標位置に応じた電流をモータ232Xに出力する。これにより、モータ232Xは、X軸方向の任意の位置に工具主軸30を駆動する。モータ232Xは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0100】
モータドライバ231Yは、Y軸方向における工具主軸30の目標位置の入力を制御部50から逐次的に受け、当該目標位置に応じた電流をモータ232Yに出力する。これにより、モータ232Yは、Y軸方向の任意の位置に工具主軸30を駆動する。モータ232Yは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0101】
モータドライバ231Zは、Z軸方向における工具主軸30の目標位置の入力を制御部50から逐次的に受け、当該目標位置に応じた電流をモータ232Zに出力する。これにより、モータ232Zは、Z軸方向の任意の位置に工具主軸30を移動する。モータ232Zは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0102】
駆動部230Bは、工具主軸30を回転駆動するための駆動機構である。駆動部230Bは、単体の駆動ユニットで構成されてもよいし、複数の駆動ユニットで構成されてもよい。図15の例では、駆動部230Bは、モータドライバ231A,231Bと、モータ232A,232Bとで構成されている。
【0103】
モータドライバ231Aは、X軸方向を中心とした工具主軸30の目標回転角度または目標回転速度の入力を制御部50から逐次的に受け、当該目標回転角度または当該目標回転速度に応じた電流をモータ232Aに出力する。モータ232Aは、X軸方向を中心として工具主軸30を旋回駆動する。モータ232Aは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0104】
モータドライバ231Bは、工具主軸30の軸方向を回転中心とした工具主軸30の目標回転角度または目標回転速度の入力を制御部50から逐次的に受け、当該目標回転角度または当該目標回転速度に応じた電流をモータ232Bに出力する。モータ232Bは、工具主軸30の軸方向を回転中心として工具主軸30を回転駆動する。モータ232Bは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0105】
<L.オプションユニットに係る駆動機構>
次に、図16を参照して、工作機械100に後付け可能なオプションユニットに係る駆動機構について説明する。図16は、オプションユニットの駆動機構の一例を示す図である。図16には、オプションユニットの一例として、ガントリーローダー200の搬送体260と、自動扉DR3とが示されている。
【0106】
図16に示されるように、加工システム10は、上述のガントリーローダー200と、上述の自動扉DR3と、上述の制御部50と、駆動部240,250とを含む。
【0107】
駆動部240は、ガントリーローダー200の搬送体260を移動するための駆動機構である。駆動部240は、単体の駆動ユニットで構成されてもよいし、複数の駆動ユニットで構成されてもよい。図16の例では、駆動部240は、モータドライバ241X~241Zと、モータ242X~242Zとで構成されている。
【0108】
モータドライバ241Xは、X軸方向における搬送体260の目標位置の入力を制御部50から逐次的に受け、当該目標位置に応じた電流をモータ242Xに出力する。これにより、モータ242Xは、X軸方向の任意の位置に搬送体260を駆動する。モータ242Xは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0109】
モータドライバ241Yは、Y軸方向における搬送体260の目標位置の入力を制御部50から逐次的に受け、当該目標位置に応じた電流をモータ242Yに出力する。これにより、モータ242Yは、Y軸方向の任意の位置に搬送体260を駆動する。モータ242Yは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0110】
モータドライバ241Zは、Z軸方向における搬送体260の目標位置の入力を制御部50から逐次的に受け、当該目標位置に応じた電流をモータ242Zに出力する。これにより、モータ242Zは、Z軸方向の任意の位置に搬送体260を移動する。モータ242Zは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0111】
駆動部250は、自動扉DR3を開閉するための駆動機構である。駆動部250は、単体の駆動ユニットで構成されてもよいし、複数の駆動ユニットで構成されてもよい。図16の例では、駆動部250は、エアシリンダーACLと、エアシリンダーACRとで構成されている。なお、駆動部250は、サーボモータなどの駆動モータで構成されてもよい。
【0112】
エアシリンダーACLは、制御部50からの制御指令に応じて、Z軸方向において左扉SDLを駆動する。エアシリンダーACRは、制御部50からの制御指令に応じて、Z軸方向において右扉SDRを駆動する。
【0113】
<M.制御部50のハードウェア構成>
次に、図17を参照して、上述の図15図16に示される制御部50のハードウェア構成について説明する。図17は、制御部50のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0114】
制御部50は、制御回路101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、通信インターフェイス104と、補助記憶装置120とを含む。これらのコンポーネントは、内部バス109に接続される。
【0115】
制御回路101は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのGPU(Graphics Processing Unit)、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはそれらの組み合わせなどによって構成され得る。
【0116】
制御回路101は、制御プログラム122などの各種プログラムを実行することで制御部50の動作を制御する。制御回路101は、制御プログラム122の実行命令を受け付けたことに基づいて、補助記憶装置120またはROM102からRAM103に制御プログラム122を読み出す。RAM103は、ワーキングメモリとして機能し、制御プログラム122の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0117】
通信インターフェイス104は、フィールドネットワークを用いて外部機器と定周期通信を行なうためのインターフェイスである。フィールドネットワークとしては、たとえば、EtherCAT(登録商標)、EtherNet/IP(登録商標)、CC-Link(登録商標)、またはCompoNet(登録商標)などが採用される。
【0118】
補助記憶装置120は、たとえば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。補助記憶装置120は、制御プログラム122などを格納する。なお、制御プログラム122の格納場所は、補助記憶装置120に限定されず、制御回路101の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリ)、ROM102、RAM103、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
【0119】
また、制御プログラム122は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、本実施の形態に従う各種の処理は、任意のプログラムと協働して実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従う制御プログラム122の趣旨を逸脱するものではない。さらに、制御プログラム122によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。さらに、少なくとも1つのサーバーが制御プログラム122の処理の一部を実行する所謂クラウドサービスのような形態で制御部50が構成されてもよい。
【0120】
<O.変形例>
上述の図4には、長方形の開口P1が示されているが、開口P1の形状には、水平面上におけるガントリーローダー200の搬送方向と平行な長手方向に延在している任意の形状が採用され得る。一例として、開口P1の形状は、長方形であってもよいし、X軸方向における長さがZ軸方向における位置によって異なっていてもよい。
【0121】
また、上述の図4には、長方形の蓋体CVが示されているが、蓋体CVの形状には、開口P1を覆うことが可能な任意の形状が採用され得る。一例として、蓋体CVの形状は、正方形や六角形などの多角形状であってもよい。
【0122】
さらに、上述の図6の例では、蓋体CVに天井扉DRが設けられている例について説明を行ったが、必ずしも蓋体CVに扉が設けられる必要はない。一例として、蓋体CVは、開口P1を覆うだけの板であってもよい。
【0123】
さらに、上述の図7の例では、蓋体CVをX軸方向において傾斜させた状態でカバー体130に設けられる例について説明したが、蓋体CVは、必ずしも傾斜させなくてもよい。一例として、蓋体CVは、水平面と平行にカバー体130に設けられてもよい。他の例として、蓋体CVは、Z軸方向において傾斜させた状態でカバー体130に設けられてもよい。
【0124】
さらに、上述の図8および図9の例では、ガントリーローダー200がワークWを工作機械100に搬出入する際にのみ、自動扉DR3が開かれる例について説明を行ったが、自動扉DR3の開閉制御の態様は、これに限定されない。一例として、工作機械100がクーラントを使用せずにワークを加工する場合などには、自動扉DR3は、常に開かれていてもよい。
【0125】
さらに、上述の図12の例では、安全規格に準拠した高さとなるように安全柵FEがインターフェイス部IFに後付けされる例について説明を行ったが、安全柵FEを後付けしなくても安全規格が満たされる場合には、安全柵FEは、工作機械100のカバー体130に後付けされなくてもよい。また、インターフェイス部IFもカバー体130に設けられなくてもよい。
【0126】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0127】
10 加工システム、11 ベッド、22 第1ワーク主軸、23 第1チャック機構、27 第2ワーク主軸、28 第2チャック機構、30 工具主軸、50 制御部、100 工作機械、100X 工作機械、101 制御回路、102 ROM、103 RAM、104 通信インターフェイス、109 内部バス、120 補助記憶装置、122 制御プログラム、130 カバー体、130X カバー体、180 ワークステーション、200 ガントリーローダー、210 駆動部、211C モータドライバ、212C モータ、220 駆動部、221Z モータドライバ、222Z モータ、230A 駆動部、230B 駆動部、231A モータドライバ、231B モータドライバ、231X モータドライバ、231Y モータドライバ、231Z モータドライバ、232A モータ、232B モータ、232X モータ、232Y モータ、232Z モータ、240 駆動部、241X モータドライバ、241Y モータドライバ、241Z モータドライバ、242X モータ、242Y モータ、242Z モータ、250 駆動部、252A 支柱、252B 支柱、253 レール機構、260 搬送体、261 スライダ、262 昇降ロッド、ACL エアシリンダー、ACR エアシリンダー、AR 加工エリア、AX1 軸、AX2 軸、B1 支持部、B2 支持部、C 開閉センサ、CV 蓋体、CV1 蓋、CV2 蓋、CV3 蓋、CV4 蓋、DR1 前扉、DR2 天井扉、DR3 自動扉、DRX 前扉、FE 安全柵、FR フレーム、GL リニアガイド、GR リニアガイド、H 取っ手、IF インターフェイス部、NT1 切り欠き部、NT2 切り欠き部、P1 開口、P2 開口、PC1 保護カバー、PC2 保護カバー、SDL 左扉、SDR 右扉、SF1 下面、SF2 上面、T 工具、W ワーク、WL 立壁部。
【要約】
【課題】工作機械に対してガントリーローダーを容易に後付けするための技術を提供する。
【解決手段】ワークを加工することが可能な工作機械は、ワークの加工エリアを区画形成するカバー体を備える。カバー体の天井には、ガントリーローダーが加工エリアにワークを搬送するための第1開口が形成されている。第1開口は、水平面上におけるガントリーローダーの搬送方向と平行な長手方向に延在している。工作機械は、第1開口を覆うようにカバー体に設けられている蓋体を備える。蓋体は、カバー体に対して脱着可能に構成されている。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
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