(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】段曲げ加工方法及び段曲げ加工における反り矯正方法
(51)【国際特許分類】
B21D 1/05 20060101AFI20241121BHJP
B21D 5/01 20060101ALI20241121BHJP
B21D 22/20 20060101ALI20241121BHJP
B21D 22/26 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
B21D1/05
B21D5/01 M
B21D5/01 E
B21D22/20 Z
B21D22/26 C
(21)【出願番号】P 2023137355
(22)【出願日】2023-08-25
【審査請求日】2024-07-29
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 諭
(72)【発明者】
【氏名】花岡 裕紀
【審査官】程塚 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-300424(JP,A)
【文献】特開2000-246357(JP,A)
【文献】特開2015-90805(JP,A)
【文献】特開2017-148846(JP,A)
【文献】特開2019-162638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 1/05
B21D 5/01
B21D 22/20-22/22
B21D 22/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状のワークに対し段曲げローラ金型で段曲げ部を形成する段曲げ加工と、
前記段曲げ加工の後に前記段曲げ部を矯正する矯正加工と、を含み、
前記段曲げ加工によって平板部に対し突出した前記段曲げ部を形成し、
前記矯正加工を、前記平板部の下面は支持し、かつ前記段曲げ部の下方は空間を形成して不支持とした状態で、前記段曲げ部をローラ金型によって下方に押し付ける加工とした段曲げ加工方法。
【請求項2】
前記段曲げ加工において、前記ワークをクランパで把持し前記段曲げ部を段曲げローラ金型で形成し、
前記矯正加工を、前記クランパによる前記ワークの把持を維持したまま実行する請求項1記載の段曲げ加工方法。
【請求項3】
前記段曲げ加工と前記段曲げ加工の後に実行する矯正加工とを加工組としたときに、1回以上の加工組を実行する請求項2記載の段曲げ加工方法。
【請求項4】
前記段曲げ加工は、前記段曲げローラ金型によって同じ段曲げ位置を複数回段曲げ加工する請求項3記載の段曲げ加工方法。
【請求項5】
平板部と、前記平板部に対し突出した段曲げ部とを有する段曲げ加工されたワークに対し、前記平板部の下面は支持し、かつ前記段曲げ部の下方は空間を形成して不支持とした状態で、前記段曲げ部をローラ金型によって下方に押し付ける矯正加工を実行する、段曲げ加工における反り矯正方法。
【請求項6】
前記ワークをクランパで把持し前記段曲げ部を段曲げローラ金型で形成し、前記クランパによる前記ワークの把持を維持したまま、前記矯正加工を実行する請求項5記載の段曲げ加工における反り矯正方法。
【請求項7】
前記段曲げ加工と前記段曲げ加工の後に実行する矯正加工とを加工組としたときに、複数の加工組を実行する請求項6記載の段曲げ加工における反り矯正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段曲げ加工方法及び段曲げ加工における反り矯正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、段付きローラを備えた上金型及び下金型によってワークを挟み込み、そのワークを上下の金型に対して相対的に移動させることによって、ワークに直線状又は曲線状の段曲げ加工を行う技術が記載されている。段曲げ加工は板金に段差を形成する加工であり、オフセット加工とも称される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたような、段付きローラによる段曲げ加工では、ワークに少なからず反りが生じる。この反りは、段曲げ加工における段曲げ高さを大きくするほど大きくなるため、例えば、次加工のパンチング加工で反ったワークが加工機側の部材と接触して加工が困難となる、或いは、段曲げ加工とは別の工程で矯正が必要になるという不具合が生じ得る。そのため、段付きローラによる段曲げ加工において、反りに起因する不具合を生じにくくする段曲げ加工方法及び段曲げ加工における反り矯正方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明の段曲げ加工方法の一態様は次の構成を有する。すなわち、平板状のワークに対し段曲げローラ金型で段曲げ部を形成する段曲げ加工と、前記段曲げ加工の後に前記段曲げ部を矯正する矯正加工と、を含み、前記段曲げ加工によって平板部に対し突出した前記段曲げ部を形成し、前記矯正加工を、前記平板部の下面は支持し、かつ前記段曲げ部の下方は空間を形成して不支持とした状態で、前記段曲げ部をローラ金型によって下方に押し付ける加工とした段曲げ加工方法である。
【0006】
また、本発明の段曲げ加工方法における反り矯正方法の一態様は次の構成を有する。すなわち、平板部と、前記平板部に対し突出した段曲げ部とを有する段曲げ加工されたワークに対し、前記平板部の下面は支持し、かつ前記段曲げ部の下方は空間を形成して不支持とした状態で、前記段曲げ部をローラ金型によって下方に押し付ける矯正加工を実行する、段曲げ加工における反り矯正方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の段曲げ加工方法及び段曲げ加工における反り矯正方法の一態様によれば、段付きローラによる段曲げ加工において、反りに起因する不具合が生じにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の段曲げ加工方法の一態様において、段付きローラを備えた段曲げローラ金型KでワークWに段付き加工を施す状態を示す部分断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の段曲げ加工における矯正加工で用いる第1矯正金型K34を示す正面図である。
【
図3】
図3は、第2矯正金型K56を示す正面図である。
【
図4A】
図4Aは、段付き曲げ加工を実施したワークWを示す平面図である。
【
図4C】
図4Cは、段付き曲げ加工を実施したワークWの反りを示す
図4AにおけるS4C-S4C位置での断面図である。
【
図5A】
図5Aは、第1矯正金型K34による反り矯正方法を説明するための第1の図である。
【
図5B】
図5Bは、第1矯正金型K34による反り矯正方法を説明するための第2の図である。
【
図6】
図6は、第2矯正金型K56による反り矯正方法を説明するための図である。
【
図7A】
図7Aは、第1矯正金型K34を用いた第1の加工手順を示す表である。
【
図7B】
図7Bは、第1の加工手順で段曲げ加工したワークWの反り分布図である。
【
図7C】
図7Cは、矯正加工を含まない段曲げ加工でのワークWの反り分布図である。
【
図8A】
図8Aは、第2矯正金型K56を用いた第2の加工手順を示す表である。
【
図8B】
図8Bは、第2の加工手順で段曲げしたワークWの反り分布図である。
【
図9A】
図9Aは、第1矯正金型K34を用いた第3の加工手順を示す表である。
【
図9B】
図9Bは、第2矯正金型K56を用いた第4の加工手順を示す表である。
【
図10】
図10は、第1矯正金型K34の変形例である第3矯正金型K78を示す部分断面した正面図である。
【
図11】
図11は、本発明の段曲げ加工方法の一態様を実行するパンチプレスのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の段曲げ加工方法の一態様は、金属平板のワークに対し、段曲げローラ金型K(
図1参照)(以下、単に段曲げ金型Kとも称する)によって段曲げ加工を施した後、ローラ金型である第1矯正金型K34(
図2参照)及び第2矯正金型K56(
図3参照)のうちのいずれかを用いて反り矯正加工を行う。
【0010】
段曲げ金型K,第1矯正金型K34,及び第2矯正金型K56は、上金型及び下金型を有する。上金型及び下金型は、それぞれパンチプレスの上部タレット及び下部タレットに着脱自在に装着され、パンチプレスの制御部7(
図11参照)の制御の下、金型駆動部71(
図11参照)によって上金型の上下移動、及び上下方向に延びるホルダ軸線CL1V~CL6V(
図1~
図3参照)まわりの同期回動が行われる。上部タレット及び下部タレットには、装着された金型をその軸線まわりに回転させるオートインデックス装置(以下AI装置)が搭載されており、金型駆動部71は、AI装置の動作を制御するAI駆動部711(
図11参照)を有する。すなわち、上金型及び下金型の、ホルダ軸線CL1V~CL6Vまわりの同期回動は、AI駆動部711の制御によるAI装置の駆動によって実行される。まず、段曲げ金型K,第1矯正金型K34,及び第2矯正金型K56の構成について、
図1~
図3を参照して説明する。
【0011】
図1は、本発明の段曲げ加工方法の一態様において、段付きローラを備えた段曲げ金型KでワークWに段付き加工を施す状態を示す部分断面図である。
図2は、本発明の段曲げ加工における反り矯正加工で用いる第1矯正金型K34を示す正面図である。
図3は、第2矯正金型K56を示す正面図である。
【0012】
(段曲げ金型K:
図1参照)
段曲げ金型Kは、下金型K1と上金型K2とを備えている。下金型K1は、略円盤形状であって、装着ベース82を介してパンチプレスの下部タレット(不図示)に着脱自在に装着される。上金型K2は、長尺の略円柱形状であって、
図1における上側の部位がパンチプレスの上部タレット(不図示)に着脱自在に装着される。
【0013】
段曲げ金型Kは、パンチプレスのタレットに装着された状態で、下金型K1において上下方向に延びるホルダ軸線CL1Vと、上金型K2において上下方向に延びるホルダ軸線CL2Vとが同芯となる位置に割り出される。また、段曲げ金型Kは、同芯とされたホルダ軸線CL1V及びホルダ軸線CL2Vまわりに、水平方向に延びるローラ軸線CL1とローラ軸線CL2とが平行となる姿勢で同期回動するようパンチプレスの制御部7のAI駆動部711によって制御される。
【0014】
下金型K1は、ホルダK11と段付きローラK12とを有する。段付きローラK12は、軸方向に連接した大径部121及び小径部122と、ローラ軸線CL1上に外方に延出する一対の軸部123とを有する。大径部121は、段付きローラK12の軸方向の一方の端部側に形成され、小径部122は大径部121に連接して他方の端部側に形成されている。一対の軸部123は、一本の軸部材の両端部であって、外側に突出し露出している部位である。
【0015】
ホルダK11は、一対の軸部123を回転自在に支持しており、これにより段付きローラK12はローラ軸線CL1まわりに回転可能となっている。段付きローラK12の上部において、大径部121及び小径部122の周面は、ホルダK11の上端よりも上方に突出している。
【0016】
上金型K2は、ホルダK21と段付きローラK22とを有する。段付きローラK22は、軸方向に連接した大径部221及び小径部222と、ローラ軸線CL2上に外方に延出する一対の軸部223とを有する。大径部221は、段付きローラK22の軸方向の一方の端部側に形成され、小径部222は大径部221に連接して他方の端部側に形成されている。一対の軸部223は、一本の軸部材の両端部であって、外側に突出し露出している部位である。
【0017】
ホルダK21は、一対の軸部223を回転自在に支持しており、これにより段付きローラK22はローラ軸線CL2まわりに回転可能となっている。段付きローラK22の下部において、大径部221及び小径部222の周面は、ホルダK21の下端よりも下方に突出している。
【0018】
この例において、大径部121,221の軸方向の幅は、小径部122,222の軸方向の幅の概ね半分であるが、この比率は限定されない。
【0019】
(第1矯正金型K34:
図2参照)
第1矯正金型K34は、下金型K3と上金型K4とを備えたローラ金型である。下金型K3は、略円盤形状であって、装着ベース82を介してパンチプレスの下部タレット(不図示)に着脱自在に装着される。上金型K4は、長尺の略円柱形状であって、
図2における上側の部位がパンチプレスの上部タレット(不図示)に着脱自在に装着される。
【0020】
第1矯正金型K34は、パンチプレスのタレットに装着された状態で、上下方向に延びる下金型K3のホルダ軸線CL3Vと上金型K4のホルダ軸線CL4Vとが同芯となる位置に割り出される。また、第1矯正金型K34は、同芯とされたホルダ軸線CL3V及びホルダ軸線CL4Vまわりに、水平方向に延びるローラ軸線CL3とローラ軸線CL4とが平行となる姿勢で同期回動するようパンチプレスの制御部7のAI駆動部711によって制御される。
【0021】
下金型K3は、ホルダK31と段なしローラK32とを有する。段なしローラK32は、一定の外径を有する円柱状のローラ321と、ローラ軸線CL3上に外方に延出する一対の軸部323とを有する。一対の軸部323は、一本の軸部材の両端部であって、外側に突出し露出している部位である。
【0022】
ホルダK31は、一対の軸部323を回転自在に支持しており、これにより段なしローラK32はローラ軸線CL3まわりに回転可能となっている。段なしローラK32の上部において、ローラ321の周面は、ホルダK31の上端よりも上方に突出している。
【0023】
上金型K4は、ホルダK41と段付きローラK42とを有する。段付きローラK42は、軸方向に連接した大径部421と小径部422と、ローラ軸線CL4上に外方に延出する一対の軸部423とを有する。大径部421は、段付きローラK42の軸方向の一方の端部側に形成され、小径部422は大径部421に連接して他方の端部側に形成されている。一対の軸部423は、一本の軸部材の両端部であって、外側に突出し露出している部位である。
【0024】
ホルダK41は、一対の軸部423を回転自在に支持しており、これにより段付きローラK42はローラ軸線CL4まわりに回転可能となっている。段付きローラK42の下部において、大径部421及び小径部422の下部の周面は、ホルダK41の下端よりも下方に突出している。
【0025】
この例において、大径部421の軸方向の幅は、小径部422の軸方向の幅の概ね半分であるが、この比率は限定されない。
【0026】
(第2矯正金型K56:
図3参照)
第2矯正金型K56は、下金型K5と上金型K6とを備えたローラ金型である。下金型K5は、略円盤形状であって、装着ベース82を介してパンチプレスの下部タレット(不図示)に着脱自在に装着される。上金型K6は、長尺の略円柱形状であって、
図3における上側の部位がパンチプレスの上部タレット(不図示)に着脱自在に装着される。
【0027】
第2矯正金型K56は、パンチプレスのタレットに装着された状態で、上下方向に延びる下金型K5のホルダ軸線CL5Vと上金型K6のホルダ軸線CL6Vとが同芯となる位置に割り出される。また、第2矯正金型K56は、同芯とされたホルダ軸線CL5V及びホルダ軸線CL6Vまわりに、水平方向に延びるローラ軸線CL5とローラ軸線CL6とが平行となる姿勢で同期回動するようパンチプレスの制御部7のAI駆動部711によって制御される。
【0028】
下金型K5は、ホルダK51と段なしローラK52とを有する。段なしローラK52は、一定の外径を有する円柱状のローラ521と、ローラ軸線CL5上に外方に延出する一対の軸部523とを有する。一対の軸部523は、一本の軸部材の両端部であって、外側に突出し露出している部位である。
【0029】
ホルダK51は、一対の軸部523を回転自在に支持しており、これにより段なしローラK52はローラ軸線CL5まわりに回転可能となっている。段なしローラK52の上部において、ローラ521の周面は、ホルダK51の上端よりも上方に突出している。
【0030】
上金型K6は、ホルダK61とセンターローラK62とを有する。センターローラK62は、軸方向の中央部に形成された大径部621と、大径部621の軸方向両側に連接して形成された、大径部621よりも小径の一対の小径部622(622a,622b)と、ローラ軸線CL6上に外方に延出する一対の軸部623とを有する。一対の軸部623は、一本の軸部材の両端部であって、外側に突出し露出している部位である。
【0031】
ホルダK61は、一対の軸部623を回転自在に支持しており、これによりセンターローラK62はローラ軸線CL6まわりに回転可能となっている。センターローラK62の下部において、大径部621の周面は、ホルダK61の下端よりも下方に突出している。
【0032】
この例において、大径部621の軸方向の幅は、センターローラK62の軸方向の全長の概ね1/3であるが、この比率は限定されない。
【0033】
上述の第1矯正金型K34の下金型K3と、第2矯正金型K56の下金型K5とは、同じものであってもよい。
【0034】
段曲げ加工において、パンチプレスのテーブルに載置された金属平板のワークWは、一縁部がパンチプレスに備えられた複数のクランパ81(
図5A参照)の上下のクランプジョー811,812によって挟持される。クランパ81のワークWを把持する動作は、制御部7の制御によってクランパ駆動部72(
図11参照)によって実行される。クランパ81は、不図示のキャリッジにより水平に設定された互いに直交するX軸及びY軸に沿って移動するように支持されている。キャリッジは、制御部7の指示により、キャリッジ駆動部73(
図11参照)の動作によって、ワークWを下タレットと上タレットとの間の、XY平面上の所定位置に移動させる。これにより、タレットに装着された各金型によって、ワークWの任意の位置に加工を行うことができる。
【0035】
図4Aは、段付き曲げ加工を実施したワークWを示す平面図であり、
図4Bは、
図4AにおけるS4B-S4B位置での断面図である。
図4Cは、段付き曲げ加工を実施したワークWの反りを示す
図4Aにおける
図4C-
図4C位置での断面図である。
【0036】
段曲げ金型Kを用いた段曲げ加工は、従来と同様であって、まず、下金型K1に対し上金型K2を上方に移動して離隔させた状態とし、ワークWを、段曲げを施す部位がホルダ軸線CL1V(CL2V)と合致する位置に移動し、下金型K1及び上金型K2の回動姿勢を段曲げ方向に応じた姿勢とする。そして、金型駆動部71の駆動による不図示のストライカの動作によって、上金型K2を下金型K1に向け下降させる(
図1の矢印DR1参照)。これにより、ワークWには段付きローラK12,K22の食い違いの挟持作用によって段部Wd1が形成される。その後、制御部7は、
図4Aに示されるように、段部Wd1を形成する方向に応じてホルダ軸線CL1Vまわりの回動姿勢をAI駆動部711が制御しながら段曲げ金型Kを段部Wd1の形状に沿って移動させる(矢印DR2参照)。
【0037】
図4A及び
図4Bには、長方形のワークWに対し、段曲げ金型Kを周回させる段曲げ加工を行って、平面視で長方形の、段曲げ高さHdの段曲げ部Wdを形成した例が示されている。以下、段曲げ加工を施したワークWの平面視領域を次のように呼称分類する。すなわち、段曲げされていない周縁の平板部を第1領域WR1とし、段曲げ加工により傾斜した立ち上げ部位を第2領域WR2とし、段曲げ加工により持ち上げられた平板状の段曲げ部を第3領域WR3と称する。第2領域WR2は、段部Wd1に相当する。
【0038】
平板状のワークWに対し、段曲げ金型Kによって段曲げ加工を施すと、例えば、
図4Cに示されるような、段曲げ加工前のワークWの延在面に交わる方向の反りが生じる場合がある。例えば、第3領域WR3が、中央部が凹となる曲面状に湾曲する反りである。この場合、
図4Cにおける第1領域WR1の左右一方の部位を水平に維持すると、第2領域を経た第3領域WR3は、断面形状で水平にならず上方に向かって湾曲傾斜した状態となる。
【0039】
段曲げ部Wdに対し、第1矯正金型K34及び第2矯正金型K56による矯正加工を施すことで、この反りを効果的に小さくすることができる。まず、第1矯正金型K34の矯正動作について
図5A及び
図5Bを参照して説明する。第1矯正金型K34の矯正動作は、制御部7の制御の下、金型駆動部71及びキャリッジ駆動部73の動作によって実行される。
【0040】
(矯正A)(第1矯正金型K34:
図5A及び
図5B参照)
まず、第1矯正金型K34を用いた矯正動作である矯正Aを説明する。
図5Aは、第1矯正金型K34による反り矯正方法を説明するための第1の図である。
図5Bは、第1矯正金型K34による反り矯正方法を説明するための第2の図である。
【0041】
第1矯正金型K34は、大径部421と小径部422の半径差Rd4(
図2参照)を、段曲げ金型Kにおける上金型K2の大径部221と小径部222との半径差Rd2(
図1参照)と等しく、或いはわずかに小さくしておく。
【0042】
まず、パンチプレスにおいて、第1矯正金型K34を、上下方向に延びる下金型K3のホルダ軸線CL3Vと上金型K4のホルダ軸線CL4Vとが同芯となる位置に割り出す。次いで、クランパ81をワークWを把持したまま移動して、ホルダ軸線CL3VがワークWの段部Wd1における矯正を開始する位置(例えば
図4Aにおける位置PM1)に位置決めする。第1矯正金型K34は、同芯とされたホルダ軸線CL3V及びホルダ軸線CL4Vまわりに、ローラ軸線CL1とローラ軸線CL2とが平行となり矯正する段部Wd1に対応した姿勢(段部Wd1の延在方向と直交する姿勢)となる回動位置に位置決めされる。
【0043】
図5Aに示されるように、上金型K4を上昇させて下金型K3に対し離隔させた後、段曲げ加工からクランパ81で把持したままのワークWを挿入して位置決めする。位置決めは、例えば、
図5Aに示されるように、大径部421の小径部422側の縁部となる位置J1が、ワークWにおける第1領域WR1と第2領域WR2との境界の位置J2に対応するようにする。ワークWは、クランパ81の把持によって第1領域WR1を概ね水平姿勢で保持されたおり、この状態で、第3領域WR3はクランパ81から離れるほど上方に向かうように反っている。
【0044】
次いで、
図5Bに示されるように、上金型K4を下降させ(矢印DR4参照)、大径部421とローラ321によって第1領域WR1を挟持し、小径部422により第3領域WR3の第2領域WR2に近い部位P2が下方に押し付けられる。すなわち、大径部421は、第1領域WR1における第2領域WR2側の部位P1を力F1でローラ321に押し付け、小径部422は、第3領域WR3の部位P2を力F2で下方に押し付ける。
【0045】
ここで、半径差Rd4は半径差Rd2と等しいかわずかに小さく設定されており、小径部422によって下方に押し付けられる第3領域WR3の下側には、下金型K3の段なしのローラ321との間に隙間としての空間Vaが形成される。そのため、ワークWの第3領域WR3は、下方から不支持とされた状態で小径部422によって下方に押さえつけられることで容易に下方に変形する(矢印DR5参照)、すなわち矯正される。
【0046】
パンチプレスの制御部7は、第1矯正金型K34のX-Y平面上の位置を、段部Wd1の延在方向に沿って移動させると共に、ローラ軸線CL3,CL4が段部Wd1の現在いる位置における接線に対し常に直交するようにホルダ軸線CL3V,CL4Vまわりの回動姿勢を制御する。
【0047】
このようにして、下金型K3の段なしローラK32と上金型K4の段付きローラK42とは、ローラ軸線CL3,CL4まわりに回転しつつトラック状の段部Wd1を矯正しながら一周又は複数周し、矯正加工を終了する。
【0048】
(矯正B)(第2矯正金型K56:
図6参照)
次に第2矯正金型K56を用いた矯正動作である矯正Bを説明する。
図6は、第2矯正金型K56による反り矯正方法を説明するための図である。第2矯正金型K56の矯正動作は、制御部7の制御の下、金型駆動部71及びキャリッジ駆動部73の動作によって実行される。
【0049】
第1矯正金型K34の場合と同様に、上金型K6を上昇させて下金型K5に対し離隔させた後、クランパ81で把持した段曲げ加工を施したワークWを挿入して位置決めする。詳しくは、上金型K6のセンターローラK62の大径部621を、ワークWの第3領域WR3における第2領域WR2側の縁部近傍に位置させる。
【0050】
次いで、上金型K6を所定位置まで下降させ(矢印DR6参照)、センターローラK62の大径部621によって、第3領域WR3における第2領域WR2側の縁部近傍の部位P4を力F3で下方に押し付ける。これにより第1領域WR1の第2領域WR2側の部位P3が、下金型K5の段なしローラK52に当接して下方から支持される。また、第3領域WR3の部位P4は、下金型K5の段なしローラK52のローラ521との間に隙間としての空間Vbが形成されているので、ワークWの第3領域WR3は、下方から不支持とされた状態で大径部621により下方に押し付けられることで容易に下方に変形する(矢印DR7参照)、すなわち矯正される。
【0051】
上金型K6の下降する位置は、最適な矯正が行われるように、ワークWの材質、板厚、段曲げ高さHdなどに応じて予め設定される。
【0052】
パンチプレスの制御部7は、第2矯正金型K56のX-Y平面上の位置を、段部Wd1に延在方向に沿って移動させると共に、ローラ軸線CL5,CL6が段部Wd1の現在いる位置における接線に対し直交するようにホルダ軸線CL5V,CL6Vまわりの回動姿勢を制御する。
【0053】
(矯正加工手順例)
次に、上述の矯正A及び矯正Bのいずれかを含む段曲げ加工の加工手順例を説明する。この加工手順を含む、パンチプレスで行う加工動作の手順は、制御部7に備えられた記憶部702(
図11参照)に予め記憶されており、制御部7に備えられた中央処理装置であるCPU701(
図11参照)が、次に実行する加工を、記憶部702に記憶された加工動作の手順の中から選択し、それに基づいて実行する。
【0054】
(矯正Aを含む加工手順例)
段曲げ金型Kによって段曲げ部Wdが形成されたワークWに第1矯正金型K34による矯正Aを施す例である第1の加工手順を、
図7A~
図7Cを参照して説明する。
図7Aは、第1矯正金型K34を用いた第1の加工手順を示す表である。
図7Bは、第1の加工手順で段曲げ加工したワークWの反り分布図である。
図7Cは、矯正加工を含まない段曲げ加工によるワークWの反り分布図である。
【0055】
第1の加工手順は、4つの加工を加工番号順に実行する。加工番号1~3は、段曲げ金型Kを用いた3回の段曲げ加工であり、1回の加工で持ち上げる段曲げ高さHdを板厚未満に抑制し、複数回の段曲げ加工を実行することで最終的に板厚以上の段曲げ高さHdの段曲げ部Wdを形成する。この例では3回(3周)の段曲げ加工を実行する。加工番号1~3の段曲げ加工の後に、加工番号4の矯正Aを実行する。
【0056】
第1の加工手順で行う加工に用いたワークWの仕様は次のとおりである。この仕様を、以下、仕様αとする。
(仕様α)
材質:SGCC(溶融亜鉛めっき鋼板)
外形寸法:200mm×100mm
板厚:0.5mm
形成する段曲げ部Wdの平面視形状:150mm×60mm R25
このワークWに対し、第1の加工手順によって最終の段曲げ高さが約1.0mmとなるように、矯正加工を含む段曲げ加工を行った。
【0057】
段曲げ高さは、ワークWに対し段曲げ加工を施し、加工後のワークWを三次元測定器のステージに載せて測定した。用いた三次元測定器は、3Dスキャナ型三次元測定器VL-500(株式会社キーエンス製)である。
段曲げ加工後の段曲げ高さHdは、第3領域WR3における第2領域WR2側の縁部を例えば3点測定した平均値としている。
【0058】
図7Aに示されるように、加工番号1~3の段曲げ加工で、加工後の段曲げ高さHdは、それぞれ0.3mm,0.7mm,1.2mmとなった。加工番号3の段曲げ加工の後に、加工番号4の矯正Aの加工(
図5B参照)を実行した結果、段曲げ高さHdを、1.0mmにできた。このように、段曲げ加工の後に連続して矯正Aを実行する第1の加工手順により、ワークWに対し、その板厚の約2倍の段曲げ高さHdの段曲げ部Wdを形成できることが明らかになった。
【0059】
次に、第1の加工手順による反りの矯正について
図7B及び
図7Cを参照して説明する。
図7Cは、第1の加工手順における加工番号4を実行する前の状態での反り分布図である。
図7Cに示されるワークWでは、顕著な反りが生じており、その反りの分布を反りの程度に応じて3つの分布領域M2~M4で示している。
図7B,7Cには、ワークWを測定器のステージに載置したときのステージ接地部位LNpが一点鎖線で示されている。
【0060】
図7Cに示されるように、矯正加工を行わない状態では、分布領域M2~M4で示される広い領域に顕著な反りが生じており、分布領域M4において最大7.7mmであった。これに対し、加工番号4の矯正Aの矯正加工を実行すると、分
図7Bにおける分布領域M1で示される少ない領域となり、反りは最大2.8mmまで低減した。
【0061】
上述のように、本発明の段曲げ加工の一態様は、段曲げ金型Kによる段曲げ加工の後に連続して、第1矯正金型K34を用いた矯正加工を行う手順を有する。これにより、段曲げ高さHdが板厚の約2倍の大きさの段曲げ部Wdを、小さい反りで形成できる。また、段曲げ加工と矯正加工とをクランパ81で把持したままでの同一工程で実行できるので、クランパ81によるワークの再把持や再位置決めなどの手間が不要となり、生産効率が向上する。
【0062】
(第2矯正金型K56を用いた矯正加工例)
段曲げ金型Kによって段曲げ部Wdが形成されたワークWに第2矯正金型K56によって矯正加工を施した例である第2の加工手順を、
図8A及び
図8Bを参照して説明する。
図8Aは、第2矯正金型K56を用いた第2の加工手順を示す表である。
図8Bは、第2の加工手順で段曲げしたワークWの反り分布図である。
【0063】
第2の加工手順は、第1の加工手順に対し、加工番号4の矯正加工を、第1矯正金型K34ではなく第2矯正金型K56で行う矯正Bとするものである。すなわち、加工番号1~3は、段曲げ金型Kを用いた段曲げ加工であり、1回の加工で持ち上げる段曲げ高さHdを板厚未満に抑制し、複数回の段曲げ加工を実行することで最終的に板厚以上の段曲げ高さHdの段曲げ部Wdを形成する。この例では3回(3周分)の段曲げ加工を実行する。加工番号1~3の段曲げ加工の後に加工番号4として矯正Bを実行する。ワークWの仕様は、上述の仕様αであり、ワークWに対し最終の段曲げ高さが約1.0mmとなるように矯正加工を含む段曲げ加工を行った。段曲げ高さの測定方法及び測定器も第1の加工手順と同じである。
【0064】
図8Aに示されるように、加工番号1~3の段曲げ加工で、加工後の段曲げ高さはそれぞれ0.3mm,0.7mm,1.2mmとなった。加工番号3の段曲げ加工の後に、加工番号4の第2矯正金型K56を用いた矯正Bの加工(
図8B参照)を実行した結果、段曲げ高さHdを、1.1mmにできた。このように、段曲げ加工の後に連続して矯正Bを実行する第2の加工手順により、ワークWに対し、その板厚の約2倍の段曲げ高さHdの段曲げ部Wdを形成できることが明らかになった。また、
図8Bに示されるように、反りを分布領域M5で示される少ない範囲の最大3.0mmに低減できた。
【0065】
(他の矯正加工例)
上述のように、段部Wd1を1回又は複数回トレースする段曲げ加工後に、連続して第1矯正金型K34又は第2矯正金型K56を用いた矯正加工を実行することで、板厚の約2倍の段曲げ高さHdの段曲げ部Wdを小さい反りで形成できる。そこで、段曲げ加工とその後の矯正加工との組み合わせ加工の組を繰り返す加工を、第1矯正金型K34及び第2矯正金型K56それぞれについて第3の加工手順及び第4の加工手順として実行した結果を、
図9A及び
図9Bを参照して説明する。
図9Aは、第1矯正金型K34を用いた第3の加工手順を示す表である。
図9Bは、第2矯正金型K56を用いた第4の加工手順を示す表である。
【0066】
(第3及び第4の加工手順)
ワークWの仕様は、上述の仕様αである。
図9Aに示されるように、第3の加工手順では、第1の加工手順である加工番号1~4の後に、矯正Aを含む加工番号5~8の加工を実施し、第4の加工手順では、第2の加工手順である加工番号1~4の後に、矯正Bを含む加工番号5~8の加工を実施する。
【0067】
第3及び第4の加工手順において、加工番号5~8は、段曲げ加工と矯正加工とをこの順でそれぞれ一回ずつ実行する加工組を連続して2回実行する。これにより、全体として段曲げ加工は5回(5周分)、矯正加工は3回(3周分)実行される。第3の加工手順においては、加工番号4,6,8の矯正Aにより、それぞれ0.2mm,0.1mm,0.1mmずつ段曲げ高さHdが抑制され、第4の加工手順においては、加工番号4,6,8の矯正Bにより、それぞれ0.1mmずつ段曲げ高さHdが抑制されている。第3及び第4の加工手順は、いずれも最終的に段曲げ高さHdが2.1mmの段曲げ部Wdが得られている。
【0068】
すなわち、第3及び第4の加工手順により、それぞれ最終の段曲げ高さHdが2.1mm、という板厚の4倍以上の大きな値で得られる。このように、本発明の段曲げ加工方法の一態様によれば、段曲げ高さHdの高い段曲げ部Wdが得られる。
【0069】
本発明の一態様は、上述した構成及び手順に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変形例としてもよい。
【0070】
第1矯正金型K34及び第2矯正金型K56の替わりに、
図10に示される、変形例としての第3矯正金型K78を用いてもよい。
図10は、第1矯正金型K34の変形例である第3矯正金型K78を示す部分断面した正面図である。
図10では、ホルダ類は不図示としてローラについて記載されている。
【0071】
下金型K7は、段なしローラK72を有する。段なしローラK72は、一定の外径を有する円柱状のローラ721と、ローラ軸線CL7上に延出する一対の軸部723とを有する。一対の軸部723は、一本の軸部材の両端部であって、外側に突出し露出している部位である。
【0072】
上金型K8は、センターローラK82と、リング状の第1カラー822及び第2カラー823とを有する。センターローラK82は、軸方向の中央位置に鍔状に形成された最大外径となる大径部821を有する。大径部821に対し軸方向の両側に連接して小径部825,826が形成されている。一方の小径部825には第1の厚さt822のリングである第1カラー822が外挿で交換可能に装着され、他方の小径部826には第2の厚さt823のリングである第2カラー823が外挿で交換可能に装着されている。大径部821と第1カラー822との外径差は段差d3であり、大径部821と第2カラー823との外径差は段差d4である。
【0073】
第3矯正金型K78は、第1カラー822及び第2カラー823を、選択的に段曲げ高さHdに対応したものとすることで、第1矯正金型K34と同様の使い方で第1及び第3の加工手順に適用することができる。また、大径部821を、第2矯正金型K56の上金型K6における大径部621とみなして、第2及び第4の加工手順に適用することができる。すなわち、第3矯正金型K78は、第1矯正金型K34及び第2矯正金型K56の2種類の金型の機能を有する。
ワークWに形成する段曲げ部Wdの形状は、上面視で閉じたトラック状となるものに限定されず自由に設定できる。段曲げ部Wdは曲線部を含む直線状であってもよい。
【0074】
以上、詳述したように、本発明の段曲げ加工方法の一態様は、平板状のワークWに対し段曲げローラ金型Kで段曲げ部Wdを形成する段曲げ加工と、段曲げ加工の後に段曲げ部Wdを矯正する矯正加工と、を含み、段曲げ加工によって平板部WR1に対し突出した段曲げ部WR3を形成し、矯正加工を、平板部WR1の下面は支持し、かつ段曲げ部Wdの下方は空間Vaを形成して不支持とした状態で、段曲げ部Wdをローラ金型K34によって下方に押し付ける加工としたものである。
【0075】
この一態様は段曲げ部Wdの下方に空間Vaが形成されていることにより段曲げ部Wdは下方に容易に曲がり良好に矯正される。
【0076】
また、この一態様において、ワークWをクランパ81で把持し段曲げ部Wdを段曲げローラ金型Kで形成し、矯正加工を、クランパ81によるワークWの把持を維持したまま実行するようにしてもよい。
【0077】
これにより、クランパ81によるワークWの再把持などが不要なので、矯正加工を効率よく実行することができる。
【0078】
さらに、段曲げ加工と段曲げ加工の後に実行する矯正加工とを加工組としたときに、1回以上の加工組を実行するようにしてもよい。
【0079】
これにより、段曲げ高さHdを大きくすることができる。
【0080】
さらに、段曲げ加工は、段曲げローラ金型Kによって同じ段曲げ位置を複数回段曲げ加工するようにしてもよい。
【0081】
これにより、段曲げ高さHdをより大きくすることができる。
【0082】
また、本発明の段曲げ加工方法における反り矯正方法の一態様は、平板部WR1と、平板部WR1に対し突出した段曲げ部Wdとを有する段曲げ加工されたワークWに対し、平板部WR1の下面は支持し、かつ段曲げ部Wdの下方は空間Vaを形成して不支持とした状態で、段曲げ部Wdをローラ金型K34によって下方に押し付ける矯正加工を実行するものである。
【0083】
この一態様は段曲げ部Wdの下方に空間Vaが形成されていることにより段曲げ部Wdは下方に容易に曲がり良好に矯正される。
【0084】
また、この一態様において、ワークWをクランパ81で把持し段曲げ部Wdを段曲げローラ金型Kで形成し、クランパ81によるワークWの把持を維持したまま、矯正加工を実行するようにしてもよい。
【0085】
これにより、クランパ81によるワークWの再把持などが不要なので、矯正加工を効率よく実行することができる。
【0086】
さらに、段曲げ加工と段曲げ加工の後に実行する矯正加工とを加工組としたときに、複数の加工組を実行するようにしてもよい。
【0087】
これにより、段曲げ高さHdを大きくすることができる。
【符号の説明】
【0088】
7 制御部
701 CPU(中央処理装置)
702 記憶部
71 金型駆動部
711 AI駆動部
72 クランパ駆動部
73 キャリッジ駆動部
81 クランパ
811,812 クランプジョー
82 装着ベース
CL1~CL8 ローラ軸線
CL1V~CL6V ホルダ軸線
d3,d4 段差
F1~F3 力
Hd 段曲げ高さ
J1,J2 位置
K 段曲げ金型(段曲げローラ金型)
K1 下金型
K11 ホルダ
K12 段付きローラ
121 大径部
122 小径部
123 軸部
K2 上金型
K21 ホルダ
K22 段付きローラ
221 大径部
222 小径部
223 軸部
K34 第1矯正金型(ローラ金型)
K3 下金型
K31 ホルダ
K32 段なしローラ
321 ローラ
323 軸部
K4 上金型
K41 ホルダ
K42 段付きローラ
421 大径部
422 小径部
423 軸部
K56 第2矯正金型(ローラ金型)
K5 下金型
K51 ホルダ
K52 段なしローラ
521 ローラ
523 軸部
K6 上金型
K61 ホルダ
K62 センターローラ
621 大径部
622,622a,622b 小径部
623 軸部
K78 第3矯正金型
K7 下金型
K72 段なしローラ
721 ローラ
723 軸部
K8 上金型
K82 センターローラ
821 大径部
822 第1カラー
823 第2カラー
825,826 小径部
M1~M5 分布領域
LNp ステージ接地部位
PM1 位置
P1~P4 部位
Rd2,Rd4 半径差
t822 第1の厚さ
t823 第2の厚さ
Va,Vb 空間
W ワーク
Wd 段曲げ部
Wd1 段部
WR1 第1領域(平板部)
WR2 第2領域(立ち上げ部位)
WR3 第3領域(段曲げ部)
【要約】
【課題】段付きローラによる段曲げ加工において、反りに起因する不具合が生じにくい段曲げ加工方法を提供する。
【解決手段】段曲げ加工方法を、平板状のワークWに対し段曲げローラ金型Kで段曲げ部Wdを形成する段曲げ加工と、段曲げ加工の後に段曲げ部Wdを矯正する矯正加工と、を含み、段曲げ加工によって平板部WR1に対し突出した段曲げ部WR3を形成し、矯正加工を、平板部WR1の下面は支持し、かつ段曲げ部Wdの下方は空間Vaを形成して不支持とした状態で、段曲げ部Wdをローラ金型K34によって下方に押し付ける加工とした。
【選択図】
図5B