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特許7591667マルチコアファイバ、光デバイス、及び、マルチコアファイバの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】マルチコアファイバ、光デバイス、及び、マルチコアファイバの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/02 20060101AFI20241121BHJP
   G02B 6/38 20060101ALI20241121BHJP
【FI】
G02B6/02 461
G02B6/02 421
G02B6/38
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023553074
(86)(22)【出願日】2023-05-30
(86)【国際出願番号】 JP2023020030
(87)【国際公開番号】W WO2024034233
(87)【国際公開日】2024-02-15
【審査請求日】2023-08-31
(31)【優先権主張番号】P 2022126585
(32)【優先日】2022-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】小田 拓弥
【審査官】山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/084677(WO,A1)
【文献】特開2014-197094(JP,A)
【文献】国際公開第2022/118985(WO,A1)
【文献】特開2022-039849(JP,A)
【文献】国際公開第2017/130627(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第113075763(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0016922(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/02-6/036
G02B 6/26-6/27
G02B 6/30-6/34
G02B 6/36-6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラッド、前記クラッド内に形成された複数のコア、前記クラッド内に形成された前記複数のコアの外径より小さい外径を有し、前記複数のコアのコア番号を識別するための少なくとも1つのマーカ、及び、前記複数のコアの延在方向と直交しないように傾斜した端面を有しており、
前記端面において、前記複数のコアが、前記端面の傾斜方向と直交する仮想軸に対して線対称状に配置されており、
前記仮想軸によって前記端面を第1の領域と第2の領域とに仮想的に二分割したときに、前記複数のコアのうち前記第1の領域に設けられたコアのなかで前記仮想軸から最も遠いコアを第1のコアとし、前記複数のコアのうち前記第2の領域に設けられたコアのなかで前記仮想軸から最も遠いコアを第2のコアとして、前記端面において、前記マーカの中心が、前記第1のコア又は前記第1のコアのモードフィールドを通り、前記仮想軸に平行な直線と、前記第2のコア又は前記第2のコアのモードフィールドを通り、前記仮想軸に平行な直線と、の間の領域に含まれ、
前記モードフィールドは、波長850nmから1700nmまでのいずれかの波長におけるモードフィールドである
ことを特徴とするマルチコアファイバ。
【請求項2】
前記端面において、(1)前記複数のコアのうち、前記マーカに最も近いコアと前記マーカに2番目に近いコアとが、前記仮想軸を挟んで配置されているか、(2)前記複数のコアのうち、前記マーカに最も近いコアが、前記仮想軸上に配置されているか、又は、(3)前記複数のコアのうち、前記マーカに二番目に近いコアが、前記仮想軸上に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチコアファイバ。
【請求項3】
前記端面において、前記マーカの中心は、前記マーカに最も近いコアの中心を通り、前記仮想軸に平行な直線と、前記マーカに2番目に近いコアの中心を通り、前記仮想軸に平行な直線とに挟まれた領域内に配置されている、
ことを特徴とする請求項2に記載のマルチコアファイバ。
【請求項4】
前記仮想軸は、前記複数のコアの何れとも交わらない、
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載のマルチコアファイバ。
【請求項5】
前記複数のコアの延在方向と直交しないように傾斜した他の端面を有しており、
前記他の端面において、前記複数のコアが、前記端面の傾斜方向と直交する仮想軸に対して線対称状に配置されており、(1)前記複数のコアのうち、前記マーカに最も近いコアと前記マーカに2番目に近いコアとが、前記仮想軸を挟んで配置されているか、(2)前記複数のコアのうち、前記マーカに最も近いコアが、前記仮想軸上に配置されているか、又は、(3)前記複数のコアのうち、前記マーカに二番目に近いコアが、前記仮想軸上に配置されている、
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載のマルチコアファイバ。
【請求項6】
請求項1~3の何れか一項に記載のマルチコアファイバである第1マルチコアファイバと、請求項1~3の何れか一項に記載のマルチコアファイバである第2マルチコアファイバと、を備え、
前記第1マルチコアファイバの前記複数のコアの各々が前記第2マルチコアファイバの前記複数のコアの何れかと少なくとも部分的に重なり合うように、前記第1マルチコアファイバの前記端面と第2マルチコアファイバの前記端面とが接続されている、
ことを特徴とするマルチコアファイバ。
【請求項7】
前記第1マルチコアファイバの前記複数のコアのうち、前記第1マルチコアファイバの前記端面において前記第1マルチコアファイバの前記マーカに最も近いコアと、前記第2マルチコアファイバの前記複数のコアのうち、前記第2マルチコアファイバの前記端面において前記第2マルチコアファイバの前記マーカに最も近いコアとが少なくとも部分的に重なり合い、
前記第1マルチコアファイバの前記複数のコアのうち、前記第1マルチコアファイバの前記端面において前記第1マルチコアファイバの前記マーカに2番目に近いコアと、前記第2マルチコアファイバの前記複数のコアのうち、前記第2マルチコアファイバの前記端面において前記第2マルチコアファイバの前記マーカに2番目に近いコアとが少なくとも部分的に重なり合う、
ことを特徴とする請求項6に記載のマルチコアファイバ。
【請求項8】
前記第1マルチコアファイバの前記複数のコアのうち、前記第1マルチコアファイバの前記端面において前記第1マルチコアファイバの前記マーカに最も近いコアと、前記第2マルチコアファイバの前記複数のコアのうち、前記第2マルチコアファイバの前記端面において前記第2マルチコアファイバの前記マーカに2番目に近いコアとが少なくとも部分的に重なり合い、
前記第1マルチコアファイバの前記複数のコアのうち、前記第1マルチコアファイバの前記端面において前記第1マルチコアファイバの前記マーカに2番目に近いコアと、前記第2マルチコアファイバの前記複数のコアのうち、前記第2マルチコアファイバの前記端面において前記第2マルチコアファイバの前記マーカに最も近いコアとが少なくとも部分的に重なり合う、
ことを特徴とする請求項6に記載のマルチコアファイバ。
【請求項9】
請求項1~3の何れか一項に記載のマルチコアファイバと、前記マルチコアファイバの一方又は両方の端部に設けられた単芯コネクタと、を備えている、
ことを特徴とする光デバイス。
【請求項10】
請求項1~3の何れか一項に記載のマルチコアファイバからなるマルチコアファイバ束と、前記マルチコアファイバ束の一方又は両方の端部に設けられた多芯コネクタ又は一体化された単芯コネクタ群と、を備えている、
ことを特徴とする光デバイス。
【請求項11】
前記マルチコアファイバ束が、前記多芯コネクタにおいて前記仮想軸が同一直線上に位置するように配置された複数のマルチコアファイバを含むか、又は、前記単芯コネクタ群が、前記仮想軸が同一直線上に位置するように配置された複数の単芯コネクタを含む、
ことを特徴とする請求項10に記載の光デバイス。
【請求項12】
請求項6に記載のマルチコアファイバの製造方法であって、
前記第1マルチコアファイバの前記複数のコアの各々が前記第2マルチコアファイバの前記複数のコアの何れかと少なくとも部分的に重なり合うように、前記第1マルチコアファイバの前記端面と第2マルチコアファイバの前記端面とを接続する、
ことを特徴とするマルチコアファイバの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチコアファイバ、又は、マルチコアファイバを含む光デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
光通信の分野においては、複数のコアを備えたマルチコアファイバが広く利用されている。マルチコアファイバを開示した文献としては、例えば、特許文献1が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国特開2019-152866号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光ファイバにおいては、端面における反射を低減するために、コアの延在方向と直交しないように端面を傾斜させることが広く行われている。しかしながら、コアを識別するためのマーカがクラッド内に形成されたマルチコアファイバの端面を傾斜させる場合、例えば、以下のような問題を生じ得る。
【0005】
すなわち、マルチコアファイバの品質評価のために、或いは、マルチコアファイバの回転調心のために、マルチコアファイバの複数のコア及びマーカの位置を測定することがある。この測定は、例えば、顕微鏡などを用いて、マルチコアファイバの端面を観察することによって行われる。この際、端面が傾斜していると、複数のコア及びマーカに同時にフォーカスを合わせることが困難となり得る。測定光学系の対物レンズの光軸は、マルチコアファイバの中心軸と一致するように配置されている場合があり、その場合、対物レンズのレンズ面とマルチコアファイバの端面とが正対しないためである。その結果、マーカの位置を測定することが困難になり得る。
【0006】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、マーカの位置を容易に測定することが可能となり得るマルチコアファイバ、そのようなマルチコアファイバを備えた光デバイス、又は、そのようなマルチコアファイバの製造方法を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るマルチコアファイバにおいては、クラッド、前記クラッド内に形成された複数のコア、前記クラッド内に形成された少なくとも1つのマーカ、及び、前記複数のコアの延在方向と直交しないように傾斜した端面を有しており、前記端面において、前記複数のコアが、前記端面の傾斜方向と直交する仮想軸に対して線対称状に配置されており、前記仮想軸によって前記端面を第1の領域と第2の領域とに仮想的に二分割したときに、前記複数のコアのうち前記第1の領域に設けられたコアのなかで前記仮想軸から最も遠いコアを第1のコアとし、前記複数のコアのうち前記第2の領域に設けられたコアのなかで前記仮想軸から最も遠いコアを第2のコアとして、前記端面において、前記マーカの中心が、前記第1のコア又は前記第1のコアのモードフィールドを通り、前記仮想軸に平行な直線と、前記第2のコア又は前記第2のコアのモードフィールドを通り、前記仮想軸に平行な直線と、の間の領域に含まれている、という構成が採用されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、マーカの位置を容易に測定することが可能なマルチコアファイバ、そのようなマルチコアファイバを備えた光デバイス、又は、そのようなマルチコアファイバの製造方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態に係るマルチコアファイバの構成を示す図である。(a)は、そのマルチコアファイバの側面図であり、(b)は、そのマルチコアファイバの一方の端面の正面図であり、(c)は、そのマルチコアファイバの他方の端面の正面図であり、(d)は、そのマルチコアファイバの斜視図である。
図2】(a)~(c)は、図1に示すマルチコアファイバの第1の変形例を示す図である。(a)は、そのマルチコアファイバの側面図であり、(b)は、そのマルチコアファイバの一方の端面の正面図であり、(c)は、そのマルチコアファイバの他方の端面の正面図である。(d)~(f)は、図1に示すマルチコアファイバの第2の変形例を示す図である。(d)は、そのマルチコアファイバの側面図であり、(e)は、そのマルチコアファイバの一方の端面の正面図であり、(f)は、そのマルチコアファイバの他方の端面の正面図である。
図3】本発明の第2の実施形態に係るマルチコアファイバの構成を示す図である。(a)は、そのマルチコアファイバの側面図であり、(b)は、そのマルチコアファイバの一方の端面の正面図であり、(c)は、そのマルチコアファイバの他方の端面の正面図であり、(d)は、そのマルチコアファイバの斜視図である。
図4図3に示すマルチコアファイバの変形例を示す図である。(a)は、そのマルチコアファイバの側面図であり、(b)は、そのマルチコアファイバの一方の端面の正面図であり、(c)は、そのマルチコアファイバの他方の端面の正面図であり、(d)は、そのマルチコアファイバの斜視図である。
図5】本発明の第3の実施形態に係る光デバイスの構成を示す図である。(a)は、その光デバイスの側面図であり、(b)は、その光デバイスの一歩の端面の正面図であり、(c)は、その光デバイスの他方の端面の正面図である。
図6】本発明の第4の実施形態に係る光デバイスの構成を示す図である。(a)は、その光デバイスの側面図であり、(b)は、その光デバイスの一歩の端面の正面図であり、(c)は、その光デバイスの他方の端面の正面図である。
図7図6に示す光デバイスの変形例を示す図である。(a)は、第1の変形例に係る光デバイスの一方の端面の正面図であり、(b)は、第2の変形例に係る光デバイスの一方の端面の正面図である。
図8】本発明の第5の実施形態に係るマルチコアファイバの構成を示す図である。(a)は、そのマルチコアファイバの側面図であり、(b)は、そのマルチコアファイバファイバの斜視図であり、(c)は、そのマルチコアファイバの変形例を示す側面図である。
図9】本発明の第6の実施形態に係るマルチコアファイバの構成を示す図である。(a)は、そのマルチコアファイバの側面図であり、(b)は、そのマルチコアファイバファイバの斜視図であり、(c)は、そのマルチコアファイバの変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
マルチコアファイバの品質評価のために、或いは、マルチコアファイバの回転調心のために、マルチコアファイバの複数のコア及びマーカの位置を測定することがある。この測定は、例えば顕微鏡などを用いて、マルチコアファイバの端面を観察することによって行われる。この際、端面が傾斜していると、複数のコア及びマーカに同時にフォーカスを合わせることが困難になる。測定光学系の対物レンズの光軸は、通常、マルチコアファイバの中心軸と一致するように配置されているので、対物レンズのレンズ面とマルチコアファイバの端面とが正対せず、その結果、複数のコア及びマーカを同時に被写界深度の範囲内に収めることが困難だからである。なお、対物レンズのレンズ面とマルチコアファイバの端面とが正対するように測定光学系又はマルチコアファイバの向きを調整すれば、このような問題が発生することを回避することができる。しかしながら、そうすると、測定光学系又はマルチコアファイバの向きを調整するための機構が必要になり、観察装置の大型化及び複雑化という別の問題を招来する。また、複数のコア及びマーカの各々に対して順にフォーカスを合わせていけば、このような問題を回避することができる。しかしながら、そうすると、観察時間の長大化という別の問題を招来する。
【0011】
上述した観察の困難性は、特に、マーカに対して顕著である。マーカは、コアよりもサイズが小さかったり、コアとは屈折率が異なっていたり、コアよりも外側に形成されていたりする場合があり、デフォーカスの影響がコアよりも大きいからである。以下に説明する実施形態は、このような問題に鑑みて考案されたものであり、その目的は、マーカの観察が容易なマルチコアファイバを実現することにある。
【0012】
〔第1の実施形態〕
(マルチコアファイバの構成)
本発明の第1の実施形態に係るマルチコアファイバMFの構成について、図1を参照して説明する。図1において、(a)は、マルチコアファイバMFの側面図である。また、(b)は、マルチコアファイバMFの一方の端面(以下、「第1端面」と記載する)σ1を視線E1方向から見た正面図である。また、(c)は、マルチコアファイバMFの他方の端面(以下、「第2端面」と記載する)σ2を視線E2方向から見た正面図である。また、(d)は、第1端面σ1と第2端面σ2とを突き合せた状態のマルチコアファイバMFの斜視図である。
【0013】
マルチコアファイバMFは、n個のコアa1~anと、クラッドbと、を備えている。ここで、nは、2以上の任意の自然数である(図1においては、n=4の場合を例示)。クラッドbは、円柱状の部材である。クラッドbは、例えば、石英ガラスにより構成される。各コアai(iは1以上n以下の自然数)は、クラッドbの内部に設けられた、クラッドbよりも屈折率の高い、クラッドbと同一方向に延在する円柱状の領域である。各コアaiは、例えば、ゲルマニウムなどのアップドーパントが添加された石英ガラスにより構成さる。なお、クラッドbは、柱状であればよく、その断面形状は、任意である。クラッドbの断面形状は、例えば、四角形や六角形などの多角形状であってもよい。なお、マルチコアファイバMFは、本実施形態において注目するn個のコアa1~an以外のコアを更に備えていてもよい。例えば、注目するn個のコアa1~an以外のコアとして、クラッドbの中心に設けられたコアを備えていてもよい。注目するn個のコアa1~anは、例えば、通信に用いるコアであり、この場合、ITUTにより定められた規格を満たすコアであることが好ましい。注目するn個のコアa1~an以外のコアは、通信に用いるコアであってもよいし、通信に用いないコア(ダミーコア)であってもよく、後者の場合、ITUTにより定められた規格を満たさないコアであってもよい。
【0014】
マルチコアファイバMFは、コアa1~anのコア番号1~nを識別するためのマーカcを更に備えている。マーカcは、クラッドbの内部に設けられた、クラッドbとは屈折率の異なる、クラッドbと同一方向に延在する柱状の領域である。マーカcの断面形状は任意であり、例えば、円形状、三角形状、四角形状などである。マーカcは、例えば、フッ素やホウ素などのダウンドーパントが添加された石英ガラスにより構成される。この場合、マーカcの屈折率は、クラッドbの屈折率よりも低くなる。マーカcは、或いは、ゲルマニウム、アルミニウム、リン、塩素などのアップドーパントが添加された石英ガラスにより構成される。この場合、マーカcの屈折率は、クラッドbの屈折率よりも高くなる。マーカcの形成には、例えば、孔開法やスタック&ドロー法などを用いればよい。マーカcの外径は、通常、コアaiの外径よりも小さい。なお、マーカcは、空孔であってもよい。この場合、マーカcの屈折率は、クラッドbの屈折率よりも低くなる。また、マルチコアファイバMFは、本実施形態において注目するマーカc以外のマーカを更に備えていてもよい。
【0015】
コアa1~anのコア番号1~nは、マーカcからの距離に基づいて識別することが可能である。例えば、コアa1~anが円周上に配置されている場合、コアa1~anのコア番号1~nを、以下のように識別することが可能である。まず、マーカcに最も近いコアa1のコア番号を「1」とする。次に、マーカcに2番目に近いコアa2のコア番号を「2」とする。そして、コアa1及びコアa2をこの順に通るように上記の円周をトレースしたときに、3番目に通るコアa3のコア番号を「3」とし、4番目に通るコアa4のコア番号を「4」とし、…、n番目に通るコアanのコア番号を「n」とする。
【0016】
マルチコアファイバMFにおいて、第1端面σ1は、コアa1~anの延在方向と直交しないように傾斜している。以下、コアa1~anの延在方向と直交する平面を水平面と見做したときに、第1端面σ1の下り勾配が最大になる方向を第1端面σ1の傾斜方向v1と記載し、第1端面σ1の下り勾配の最大値を第1端面σ1の傾斜角θ1と記載する。第1端面σ1の傾斜角θ1は、2°以上88°以下であることが好ましく、4°以上12°度以下であることが更に好ましく、7°以上9°以下が更に好ましく、7.8°以上8.2°以下が更に好ましい。第1端面σ1の傾斜角θ1は、例えば、8°、或いは、6°である。
【0017】
本実施形態に係るマルチコアファイバMFでは、第1端面σ1において、コアa1~anは、傾斜方向v1と直交する仮想軸L1に対して線対称状(実質的に線対称)に配置されている。ここで、コアa1~anが仮想軸L1に対して線対称状に配置されているとは、仮想軸L1に対して第1端面σ1を反転させた場合、コアa1~anの各々がコアa1~anの何れかと少なくとも部分的に重なり合うことを指す。なお、本段落冒頭の「第1端面σ1において」という記載から明らかなように、仮想軸L1は、第1端面σ1内の直線である。なお、本実施形態においては、仮想軸L1が第1端面σ1の中心(クラッドの中心)を通っている。ただし、仮想軸L1は、傾斜方向v1と直交していればよく、第1端面σ1の中心を通ることを要さない。
【0018】
これにより、2本のマルチコアファイバMFについて、一方のマルチコアファイバMFの第1端面σ1と他方のマルチコアファイバMFの第1端面σ1とを、これら2本のマルチコアファイバMFができるだけ一直線上に配置されるように接続した場合、これら2本のマルチコアファイバMFのコアa1~anを光学的に結合させることが可能になる。
【0019】
なお、第1端面σ1において、コアa1~anは、傾斜方向v1と直交する仮想軸L1に対して線対称(完全に線対称)に配置されていることが更に好ましい。ここで、コアa1~anが仮想軸L1に対して線対称に配置されているとは、仮想軸L1に対して第1端面σ1を反転させた場合、コアa1~anの各々がコアa1~anの何れかと互いに過不足なく重なり合うことを指す。
【0020】
これにより、2本のマルチコアファイバMFについて、一方のマルチコアファイバMFの第1端面σ1と他方のマルチコアファイバMFの第1端面σ1とを、これら2本のマルチコアファイバMFができるだけ一直線上に配置されるように接続した場合、これら2本のマルチコアファイバMFのコアa1~anの結合効率を更に向上させることができる。
【0021】
また、本実施形態に係るマルチコアファイバMFでは、第1端面σ1において、上述した仮想軸L1がコアa1~anの何れとも交わらない。
【0022】
このため、2本のマルチコアファイバMFについて、一方のマルチコアファイバMFの第1端面σ1と他方のマルチコアファイバMFの第1端面σ1とを、これら2本のマルチコアファイバMFができるだけ一直線上に配置されるように接続した場合、コア番号の異なるコア同士が接続される。図1に示した例では、一方のマルチコアファイバMFのコアa1と他方のマルチコアファイバMFのコアa2とが接続され、一方のマルチコアファイバMFのコアa3と他方のマルチコアファイバMFのコアa4とが接続される。
【0023】
本実施形態に係るマルチコアファイバMFにおいて特筆するべき第1の点は、第1端面σ1において、マーカcに最も近いコアa1とマーカcに2番目に近いコアa2とが仮想軸L1を挟むように配置されている点である。これにより、マーカcが仮想軸L1に近い位置に配置されることになる。その結果、顕微鏡などを用いて、マルチコアファイバMFの第1端面σ1を正面から観察する場合、コアa1~anと共にマーカcを観察することが容易になる。何故なら、特にコアa1~anの傾斜方向におけるデフォーカスの度合いの差を低減すべく、対物レンズの焦点を仮想軸L1上や仮想軸L1近傍に設定した場合、マーカcのデフォーカスを小さく抑えることができ得るからである。
【0024】
特に、図1に示すマルチコアファイバMFでは、第1端面σ1において、マーカcが、マーカcに最も近いコアa1の中心を通り、仮想軸L1に平行な直線Pと、マーカcに2番目に近いコアa2の中心を通り、仮想軸L1に平行な直線Qとに挟まれた領域内に配置されている。これにより、マーカcが仮想軸L1に更に近い位置に配置されることになる。その結果、顕微鏡などを用いて、マルチコアファイバMFの第1端面σ1を正面から観察する場合、コアa1~anと共にマーカcを観察することが更に容易になる。何故なら、特にコアa1~anの傾斜方向におけるデフォーカスの度合いの差を低減すべく、対物レンズの焦点を仮想軸L1上や仮想軸L1近傍に設定した場合、マーカcのデフォーカスを更に小さく抑えることができるからである。
【0025】
また、マルチコアファイバMFにおいて、第2端面σ2は、コアa1~anの延在方向と直交しないように傾斜している。以下、コアa1~anの延在方向と直交する平面を水平面と見做したときに、第2端面σ2の下り勾配が最大になる方向を第2端面σ2の傾斜方向v2と記載し、第2端面σ2の下り勾配の最大値を第2端面σ2の傾斜角θ2と記載する。第2端面σ2の傾斜角θ2は、2°以上88°以下であることが好ましく、4°以上12°度以下であることが更に好ましく、7°以上9°以下が更に好ましく、7.8°以上8.2°以下が更に好ましい。第2端面σ2の傾斜角θ2は、例えば、8°、或いは、6°である。
【0026】
本実施形態に係るマルチコアファイバMFでは、第2端面σ2において、コアa1~anは、傾斜方向v2と直交する仮想軸L2に対して線対称状(実質的に線対称)に配置されている。ここで、コアa1~anが仮想軸L2に対して線対称状に配置されているとは、仮想軸L2に対して第2端面σ2を反転させた場合、コアa1~anの各々がコアa1~anの何れかと少なくとも部分的に重なり合うことを指す。なお、本段落冒頭の「第2端面σ2において」という記載から明らかなように、仮想軸L2は、第2端面σ2内の直線である。なお、本実施形態においては、仮想軸L2が第2端面σ2の中心(クラッドの中心)を通っている。ただし、仮想軸L2は、傾斜方向v2と直交していればよく、第2端面σ2の中心を通ることを要さない。
【0027】
これにより、2本のマルチコアファイバMFについて、一方のマルチコアファイバMFの第2端面σ2と他方のマルチコアファイバMFの第2端面σ2とを、これら2本のマルチコアファイバMFができるだけ一直線上に配置されるように接続した場合、これら2本のマルチコアファイバMFのコアa1~anを光学的に結合させることが可能になる。
【0028】
なお、第2端面σ2において、コアa1~anは、傾斜方向v2と直交する仮想軸L2に対して線対称(完全に線対称)に配置されていることが更に好ましい。ここで、コアa1~anが仮想軸L2に対して線対称に配置されているとは、仮想軸L2に対して第2端面σ2を反転させた場合、コアa1~anの各々がコアa1~anの何れかと互いに過不足なく重なり合うことを指す。
【0029】
これにより、2本のマルチコアファイバMFについて、一方のマルチコアファイバMFの第2端面σ2と他方のマルチコアファイバMFの第2端面σ2とを、これら2本のマルチコアファイバMFができるだけ一直線上に配置されるように接続した場合、これら2本のマルチコアファイバMFのコアa1~anの結合効率を更に向上させることができる。
【0030】
また、本実施形態に係るマルチコアファイバMFでは、第2端面σ2において、上述した仮想軸L2がコアa1~anの何れとも交わらない。
【0031】
このため、2本のマルチコアファイバMFについて、一方のマルチコアファイバMFの第2端面σ2と他方のマルチコアファイバMFの第2端面σ2とを、これら2本のマルチコアファイバMFができるだけ一直線上に配置されるように接続した場合、コア番号の異なるコア同士が接続される。図1に示した例では、一方のマルチコアファイバMFのコアa1と他方のマルチコアファイバMFのコアa2とが接続され、一方のマルチコアファイバMFのコアa3と他方のマルチコアファイバMFのコアa4とが接続される。
【0032】
本実施形態に係るマルチコアファイバMFにおいて特筆するべき第2の点は、第2端面σ2において、マーカcに最も近いコアa1とマーカcに2番目に近いコアa2とが仮想軸L2を挟むように配置されている点である。これにより、マーカcが仮想軸L2に近い位置に配置されることになる。その結果、顕微鏡などを用いて、マルチコアファイバMFの第2端面σ2を正面から観察する場合、コアa1~anと共にマーカcを観察することが容易になる。何故なら、特にコアa1~anの傾斜方向におけるデフォーカスの度合いの差を低減すべく、対物レンズの焦点を仮想軸L2上や仮想軸L2近傍に設定した場合、マーカcのデフォーカスを小さく抑えることができるからである。
【0033】
特に、図1に示すマルチコアファイバMFでは、第2端面σ2において、マーカcが、マーカcに最も近いコアa1の中心を通り、仮想軸L2に平行な直線Rと、マーカcに2番目に近いコアa2の中心を通り、仮想軸L2に平行な直線Sとに挟まれた領域内に配置されている。これにより、マーカcが仮想軸L2に更に近い位置に配置されることになる。その結果、顕微鏡などを用いて、マルチコアファイバMFの第2端面σ2を正面から観察する場合、コアa1~anと共にマーカcを観察することが更に容易になる。何故なら、特にコアa1~anの傾斜方向におけるデフォーカスの度合いの差を低減すべく、対物レンズの焦点を仮想軸L2上や仮想軸L2近傍に設定した場合、マーカcのデフォーカスを更に小さく抑えることができるからである。
【0034】
本実施形態に係るマルチコアファイバMFでは、第1端面σ1の傾斜方向v1及び第2端面σ2の傾斜方向v2が、下記の条件1を満たすように決められている。
【0035】
条件1:第1端面σ1におけるコアa1~anの延在方向と第2端面σ2におけるコアa1~anの延在方向との成す角を最小化するように第1端面σ1と第2端面σ2とを面接触させた場合、第1端面σ1におけるコアa1~anの各々が第2端面σ2におけるコアa1~anの何れかと少なくとも部分的に重なり合う。
【0036】
なお、2つのコアが少なくとも部分的に重なる態様には、一方のコアの一部のみが他方のコアの一部のみと重なり合う態様、一方のコアの一部のみが他方のコアの全部と重なり合う態様、及び、一方のコアの全部が他方のコアの全部と重なり合う態様(すなわち、2つのコアが互いに過不足なく重なり合う態様)が含まれる。
【0037】
これにより、2本のマルチコアファイバMFについて、一方のマルチコアファイバMFの第1端面σ1と他方のマルチコアファイバMFの第2端面σ2とを、2本のマルチコアファイバMFができるだけ一直線上に配置されるように接続した場合に、これら2本のマルチコアファイバMFのコアa1~anを光学的に結合させることが可能になる。ここで、「2本のマルチコアファイバMFができるだけ一直線上に配置されるように」第1端面σ1と第2端面σ2とを接続するとは、「一方のマルチコアファイバMFのコアa1~anの延在方向と他方のマルチコアファイバMFのコアa1~anのコアの延在方向との成す角が最小になるように」第1端面σ1と第2端面σ2とを接続することを指す。
【0038】
なお、第1端面σ1の傾斜角θ1と第2端面σ2の傾斜角θ2とは、一致していてもよいし、一致していなくてもよい。ただし、第1端面σ1の傾斜角θ1と第2端面σ2の傾斜角θ2とは、同等である(実質的に一致している)ことが好ましく、一致している(完全に一致している)ことが更に好ましい。ここで、第1端面σ1の傾斜角θ1と第2端面σ2の傾斜角θ2と同等である(実質的に一致している)とは、例えば、差|θ1-θ2|が2°以下であること、又は、0.4°以下であることを指す。
【0039】
第1端面σ1の傾斜角θ1と第2端面σ2の傾斜角θ2とが一致している場合、第1端面σ1におけるコアa1~anの延在方向と第2端面σ2におけるコアa1~anの延在方向との成す角の最小値は0°である。すなわち、第1端面σ1におけるコアa1~anの延在方向と第2端面σ2におけるコアa1~anの延在方向との成す角を最小化することは、第1端面σ1におけるコアa1~anの延在方向と第2端面σ2におけるコアa1~anの延在方向とを一致させることと等価である。したがって、上記の条件1は、下記の条件1’と等価である。
【0040】
条件1’:第1端面σ1におけるコアa1~anの延在方向と第2端面σ2におけるコアa1~anの延在方向とが一致するように第1端面σ1と第2端面σ2とを面接触させた場合、第1端面σ1におけるコアa1~anの各々が第2端面σ2におけるコアa1~anの何れかと少なくとも部分的に重なり合う。
【0041】
これにより、2本のマルチコアファイバMFについて、一方のマルチコアファイバMFの第1端面σ1と他方のマルチコアファイバMFの第2端面σ2とを、これら2本のマルチコアファイバMFが一直線上に配置されるよう接続した場合に、これら2本のマルチコアファイバMFのコアa1~anを光学的に結合させることが可能になる。ここで、「2本のマルチコアファイバMFが一直線上に配置されるように」第1端面σ1と第2端面σ2とを接続するとは、「一方のマルチコアファイバMFのコアa1~anの延在方向と他方のマルチコアファイバMFのコアa1~anのコアの延在方向とが一致するように」第1端面σ1と第2端面σ2とを接続することを指す。なお、第1端面σ1の傾斜角θ1と第2端面σ2の傾斜角θ2とが厳密に一致していなくても、第1端面σ1の傾斜角θ1と第2端面σ2の傾斜角θ2とが同等であれば(実質的に一致していれば)、これと同等の効果が得られる。
【0042】
本実施形態に係るマルチコアファイバMFでは、第1端面σ1の傾斜方向v1と第2端面σ2の傾斜方向v2とが、光軸L0に直交する平面への射影が互いに反対方向になるように決められている。このため、本実施形態に係るマルチコアファイバMFは、上記の条件1に加えて、下記の条件2を満たす。
【0043】
条件2:第1端面σ1におけるコアa1~anの延在方向と第2端面σ2におけるコアa1~anの延在方向との成す角を最小化するように第1端面σ1と第2端面σ2とを面接触させた場合、少なくとも部分的に重なり合うコアのコア番号が一致する。
【0044】
図1に示した例において、少なくとも部分的に重なり合うコアのペアは、(1)第1端面σ1におけるコアa1と第2端面σ2におけるコアa1とのペア、(2)第1端面σ1におけるコアa2と第2端面σ2におけるコアa2とのペア、(3)第1端面σ1におけるコアa3と第2端面σ2におけるコアa3とのペア、(4)第1端面σ1におけるコアa4と第2端面σ2におけるコアa4とのペアである。これら4つのペアの何れかについても、ペアを構成する2つのコアのコア番号が一致する。
【0045】
これにより、2本のマルチコアファイバMFについて、一方のマルチコアファイバMFの第1端面σ1と他方のマルチコアファイバMFの第2端面σ2とを、これら2本のマルチコアファイバMFができるだけ一直線上に配置されるように接続した場合に、コア番号が一致するコア同士を光学的に結合させることが可能になる。
【0046】
なお、マルチコアファイバMFにおいては、第1端面σ1の傾斜方向v1と第2端面σ2の傾斜方向v2とが、上述した関係を満たさなくてもよい。例えば、第1端面σ1の傾斜方向v1と第2端面σ2の傾斜方向v2とが、光軸L0に直交する平面への射影が互いに反対方向になるように決められていてもよいし、光軸L0に直交する平面への射影が互いに直交するように決められていてもよい。この場合、本実施形態に係るマルチコアファイバMFは、上記の条件2の代わりに、下記の条件3を満たす。
【0047】
条件3:第1端面σ1におけるコアa1~anの延在方向と第2端面σ2におけるコアa1~anの延在方向との成す角を最小化するように第1端面σ1と第2端面σ2とを面接触させた場合、少なくとも部分的に重なり合うコアのコア番号が相違する。
【0048】
また、マルチコアファイバMFにおいては、第1端面σ1及び第2端面σ2の一方のみが傾斜してもよい。例えば、第1端面σ1が上述したように傾斜している場合、第2端面σ2は、傾斜していてもよいし、傾斜していなくてもよい。或いは、第2端面σ2が上述したように傾斜している場合、第1端面σ1は、傾斜していてもよいし、傾斜していなくてもよい。
【0049】
(マルチコアファイバの変形例)
マルチコアファイバMFの2つの変形例について、図2を参照して説明する。図2において、(a)は、第1の変形例に係るマルチコアファイバMFの側面図である。また、(b)は、第1の変形例に係るマルチコアファイバMFの一方の端面(以下、「第1端面」と記載する)σ1を視線E1方向から見た正面図である。また、(c)は、第1の変形例に係るマルチコアファイバMFの他方の端面(以下、「第2端面」と記載する)σ2を視線E2方向から見た正面図である。また、(d)は、第2の変形例に係るマルチコアファイバMFの側面図である。また、(e)は、第2の変形例に係るマルチコアファイバMFの一方の端面(以下、「第1端面」と記載する)σ1を視線E1方向から見た正面図である。また、(f)は、第2の変形例に係るマルチコアファイバMFの他方の端面(以下、「第2端面」と記載する)σ2を視線E2方向から見た正面図である。
【0050】
図1に示すマルチコアファイバMFでは、(1)第1端面σ1において、マーカcに最も近いコアa1とマーカcに2番目に近いコアa2とが仮想軸L1を挟むように配置されており、(2)第2端面σ2において、マーカcに最も近いコアa1とマーカcに2番目に近いコアa2とが仮想軸L2を挟むように配置されている。これに対して、図2の(a)~(c)に示す第1の変形例に係るマルチコアファイバMFでは、(1)第1端面σ1において、マーカcに最も近いコアa1が仮想軸L1上に配置されており、(2)第2端面σ2において、マーカcに最も近いコアa1が仮想軸L2上に配置されている。
【0051】
これにより、第1端面σ1において、マーカcが仮想軸L1に近い位置に配置されることになる。その結果、顕微鏡などを用いて、マルチコアファイバMFの第1端面σ1を正面から観察する場合、コアa1~anと共にマーカcを観察することが容易になる。また、第2端面σ2において、マーカcが仮想軸L2に近い位置に配置されることになる。その結果、顕微鏡などを用いて、マルチコアファイバMFの第2端面σ2を正面から観察する場合、コアa1~anと共にマーカcを観察することが容易になる。
【0052】
図1に示すマルチコアファイバMFでは、(1)第1端面σ1において、マーカcに最も近いコアa1とマーカcに2番目に近いコアa2とが仮想軸L1を挟むように配置されており、(2)第2端面σ2において、マーカcに最も近いコアa1とマーカcに2番目に近いコアa2とが仮想軸L2を挟むように配置されている。これに対して、図2の(d)~(f)に示す第2の変形例に係るマルチコアファイバMFでは、(1)第1端面σ1において、マーカcに二番目に近いコアa2が仮想軸L1上に配置されており、(2)第2端面σ2において、マーカcに二番目にコアa2が仮想軸L2上に配置されている。
【0053】
これにより、第1端面σ1において、マーカcが仮想軸L1に近い位置に配置されることになる。その結果、顕微鏡などを用いて、マルチコアファイバMFの第1端面σ1を正面から観察する場合、コアa1~anと共にマーカcを観察することが容易になる。また、第2端面σ2において、マーカcが仮想軸L2に近い位置に配置されることになる。その結果、顕微鏡などを用いて、マルチコアファイバMFの第2端面σ2を正面から観察する場合、コアa1~anと共にマーカcを観察することが容易になる。
【0054】
(共通の特徴)
図1及び図2の各々に示すマルチコアファイバMFに共通の特徴として、「第1端面σ1及び第2端面σ2の各々において、マーカcの中心が、仮想軸L1と、コアa1~anのうち仮想軸L1から最も遠いコアの中心を通り仮想軸L1に平行な直線との間の領域に含まれる」という点が挙げられる。このため、マーカcが上記の領域に含まれない場合と比べて、顕微鏡などを用いてマルチコアファイバMFの第2端面σ2を正面から観察する場合、コアa1~anと共にマーカcを観察することが容易になる。なお、後述する図3及び図4の各々に示すマルチコアファイバMFついても、この特徴を有している。以下、この点について、もう少し詳しく説明する。
【0055】
まず、図1に示すマルチコアファイバMFの第1端面σ1について、以下のことが言える。第1端面σ1を仮想軸L1によって第1領域(図1において仮想軸L1よりも上の領域)と第2領域(図1において仮想軸L1よりも下の領域)とに二分割することを考える。第1領域に設けられたコアa1,a4のうち、仮想軸L1から最も遠いコアは、コアa1,a4であり、第2領域に設けられたコアa2,a3のうち、仮想軸L1から最も遠いコアは、コアa2,a3である。このとき、マーカcは、コアa1,a4を通り、仮想軸L1と平行な直線(図1においては上述した直線Pと一致)と、コアa2,a3を通り、仮想軸L1と平行な直線(図1において上述した直線Qと一致)と、の間に挟まれた領域に設けられている。したがって、マーカcは、第1領域に設けられたコアa1,a4のうち、仮想軸L1から最も遠いコアa1,a4を通り、仮想軸L1と平行な直線と、第2領域設けられたコアa2,a3のうち、仮想軸L1から最も遠いコアa2,a3を通り、仮想軸L1と平行な直線と、の間に挟まれた領域に形成されていると言える。なお、コアa1,a4を通り、仮想軸L1と平行な直線は、(1)コアa1,a4に含まれる点のうち、仮想軸L1に最も近い点を通る直線であってもよいし、(2)コアa1,a4の中心を通る直線であってもよいし、(3)コアa1,a4に含まれる点のうち、仮想軸L1から最も遠い点を通る直線であってもよい。同様に、コアa2,a3を通り、仮想軸L1と平行な直線は、(1)コアa2,a3に含まれる点のうち、仮想軸L1に最も近い点を通る直線であってもよいし、(2)コアa2,a3の中心を通る直線であってもよいし、(3)コアa2,a3に含まれる点のうち、仮想軸L1から最も遠い点を通る直線であってもよい。図1に示すマルチコアファイバMFの第2端面σ2についても、同様のことが言える。
【0056】
また、図2の(a)~(c)に示すマルチコアファイバMFの第1端面σ1について、以下のことが言える。第1端面σ1を仮想軸L1によって第1領域(図2において仮想軸L1よりも上の領域)と第2領域(図2において仮想軸L1よりも下の領域)とに二分割することを考える。第1領域に設けられたコアa1,a2,a3のうち、仮想軸L1から最も遠いコアは、コアa2であり、第2領域に設けられたコアa3,a4,a1のうち、仮想軸L1から最も遠いコアは、コアa4である。このとき、マーカcは、コアa2を通り、仮想軸L1と平行な直線と、コアa4を通り、仮想軸L1と平行な直線と、の間に挟まれた領域に設けられている。したがって、マーカcは、第1領域に設けられたコアa1,a2,a3のうち、仮想軸L1から最も遠いコアa2を通り、仮想軸L1と平行な直線と、第2領域設けられたコアa3,a4,a1のうち、仮想軸L1から最も遠いコアa4を通り、仮想軸L1と平行な直線と、の間に挟まれた領域に形成されていると言える。なお、コアa2を通り、仮想軸L1と平行な直線は、(1)コアa2に含まれる点のうち、仮想軸L1に最も近い点を通る直線であってもよいし、(2)コアa2の中心を通る直線であってもよいし、(3)コアa2に含まれる点のうち、仮想軸L1から最も遠い点を通る直線であってもよい。同様に、コアa4を通り、仮想軸L1と平行な直線は、(1)コアa4に含まれる点のうち、仮想軸L1に最も近い点を通る直線であってもよいし、(2)コアa4の中心を通る直線であってもよいし、(3)コアa4に含まれる点のうち、仮想軸L1から最も遠い点を通る直線であってもよい。図2の(a)~(c)に示すマルチコアファイバMFの第2端面σ2についても、同様のことが言える。
【0057】
また、図2の(d)~(f)に示すマルチコアファイバMFの第1端面σ1について、以下のことが言える。第1端面σ1を仮想軸L1によって第1領域(図2において仮想軸L1よりも上の領域)と第2領域(図2において仮想軸L1よりも下の領域)とに二分割することを考える。第1領域に設けられたコアa4,a1,a2のうち、仮想軸L1から最も遠いコアは、コアa1であり、第2領域に設けられたコアa2,a3,a4のうち、仮想軸L1から最も遠いコアは、コアa3である。このとき、マーカcは、コアa1を通り、仮想軸L1と平行な直線と、コアa3を通り、仮想軸L1と平行な直線と、の間に挟まれた領域に設けられている。したがって、マーカcは、第1領域に設けられたコアa4,a1,a2のうち、仮想軸L1から最も遠いコアa1を通り、仮想軸L1と平行な直線と、第2領域設けられたコアa2,a3,a4のうち、仮想軸L1から最も遠いコアa3を通り、仮想軸L1と平行な直線と、の間に挟まれた領域に形成されていると言える。なお、コアa1を通り、仮想軸L1と平行な直線は、(1)コアa1に含まれる点のうち、仮想軸L1に最も近い点を通る直線であってもよいし、(2)コアa1の中心を通る直線であってもよいし、(3)コアa1に含まれる点のうち、仮想軸L1から最も遠い点を通る直線であってもよい。同様に、コアa3を通り、仮想軸L1と平行な直線は、(1)コアa3に含まれる点のうち、仮想軸L1に最も近い点を通る直線であってもよいし、(2)コアa3の中心を通る直線であってもよいし、(3)コアa3に含まれる点のうち、仮想軸L1から最も遠い点を通る直線であってもよい。図2の(d)~(f)に示すマルチコアファイバMFの第2端面σ2についても、同様のことが言える。
【0058】
以上のように、本実施形態に係るマルチファイバMFは、下記の特徴1,2を有しているとも言える。
【0059】
特徴1:第1端面σ1を仮想軸L1によって第1領域と第2領域とに二分割した場合、マーカcが、コアa1~anのうち第1領域に設けられたコアのなかで仮想軸L1から最も遠いコアを通り、仮想軸L1と平行な直線と、コアa1~anのうち第2領域に設けられたコアのなかで仮想軸L1から最も遠いコアを通り、仮想軸L1と平行な直線と、の間に挟まれた領域に形成されている。
【0060】
特徴2:第2端面σ2を仮想軸L1によって第1領域と第2領域とに二分割した場合、マーカcが、コアa1~anのうち第1領域に設けられたコアのなかで仮想軸L1から最も遠いコアを通り、仮想軸L1と平行な直線と、コアa1~anのうち第2領域に設けられたコアのなかで仮想軸L1から最も遠いコアを通り、仮想軸L1と平行な直線と、の間に挟まれた領域に形成されている。
【0061】
なお、上記の特徴1,2を下記の特徴1’,2’に置き換え、マーカcが形成され得る範囲を少し広げても、上記の特徴1,2を有する場合と同等の効果を期待することができる。なお、下記の特徴1’,2’において、コアのモードフィールドとは、動作波長においてそのコアを導波する基本モードの光の強度分布に関し、光電力の86.5%が集中する領域のことを指す。
【0062】
特徴1’:第1端面σ1を仮想軸L1によって第1領域と第2領域とに二分割した場合、マーカcが、コアa1~anのうち第1領域に設けられたコアのなかで仮想軸L1から最も遠いコアのモードフィールドを通り、仮想軸L1と平行な直線と、コアa1~anのうち第2領域に設けられたコアのなかで仮想軸L1から最も遠いコアのモードフィールドを通り、仮想軸L1と平行な直線と、の間に挟まれた領域に形成されている。
【0063】
特徴2;:第2端面σ2を仮想軸L1によって第1領域と第2領域とに二分割した場合、マーカcが、コアa1~anのうち第1領域に設けられたコアのなかで仮想軸L1から最も遠いコアのモードフィールドを通り、仮想軸L1と平行な直線と、コアa1~anのうち第2領域に設けられたコアのなかで仮想軸L1から最も遠いコアのモードフィールドを通り、仮想軸L1と平行な直線と、の間に挟まれた領域に形成されている。
【0064】
〔第2の実施形態〕
(マルチコアファイバの構成)
本発明の第2の実施形態に係るマルチコアファイバMFの構成について、図3を参照して説明する。図3において、(a)は、マルチコアファイバMFの側面図である。また、(b)は、マルチコアファイバMFの一方の端面(以下、「第1端面」と記載する)σ1を視線E1方向から見た正面図である。また、(c)は、マルチコアファイバMFの他方の端面(以下、「第2端面」と記載する)σ2を視線E2方向から見た正面図である。また、(d)は、第1端面σ1と第2端面σ2とを突き合せた状態のマルチコアファイバMFの斜視図である。
【0065】
第1の実施形態に係るマルチコアファイバMFは、4個のコアa1~a4を備えている。これに対して、第2の実施形態に係るマルチコアファイバMFは、8個のコアa1~a8を備えている。
【0066】
第2の実施形態に係るマルチコアファイバMFにおいて特筆するべき第1の点は、第1の実施形態に係るマルチコアファイバMFと同様、第1端面σ1において、マーカcに最も近いコアa1とマーカcに2番目に近いコアa2とが仮想軸L1を挟むように配置されている点である。これにより、マーカcが仮想軸L1に近い位置に配置されることになる。その結果、顕微鏡などを用いて、マルチコアファイバMFの第1端面σ1を正面から観察する場合、コアa1~anと共にマーカcを観察することが容易になる。何故なら、特にコアa1~anの傾斜方向におけるデフォーカスの度合いの差を低減すべく、対物レンズの焦点を仮想軸L1上や仮想軸L2近傍に設定した場合、マーカcのデフォーカスを小さく抑えることができるからである。
【0067】
特に、図3に示すマルチコアファイバMFでは、第1端面σ1において、マーカcが、マーカcに最も近いコアa1の中心を通り、仮想軸L1に平行な直線Pと、マーカcに2番目に近いコアa2の中心を通り、仮想軸L1に平行な直線Qとに挟まれた領域内に配置されている。これにより、マーカcが仮想軸L1に更に近い位置に配置されることになる。その結果、顕微鏡などを用いて、マルチコアファイバMFの第1端面σ1を正面から観察する場合、コアa1~anと共にマーカcを観察することが更に容易になる。何故なら、特にコアa1~anの傾斜方向におけるデフォーカスの度合いの差を低減すべく、対物レンズの焦点を仮想軸L1上や仮想軸L2近傍に設定した場合、マーカcのデフォーカスを更に小さく抑えることができるからである。
【0068】
第2の実施形態に係るマルチコアファイバMFにおいて特筆するべき第2の点は、第1の実施形態に係るマルチコアファイバMFと同様、第2端面σ2において、マーカcに最も近いコアa1とマーカcに2番目に近いコアa2とが仮想軸L2を挟むように配置されている点である。これにより、マーカcが仮想軸L2に近い位置に配置されることになる。その結果、顕微鏡などを用いて、マルチコアファイバMFの第2端面σ2を正面から観察する場合、コアa1~anと共にマーカcを観察することが容易になる。何故なら、特にコアa1~anの傾斜方向におけるデフォーカスの度合いの差を低減すべく、対物レンズの焦点を仮想軸L2上や仮想軸L2近傍に設定した場合、マーカcのデフォーカスを小さく抑えることができるからである。
【0069】
特に、図3に示すマルチコアファイバMFでは、第2端面σ2において、マーカcが、マーカcに最も近いコアa1の中心を通り、仮想軸L2に平行な直線Rと、マーカcに2番目に近いコアa2の中心を通り、仮想軸L2に平行な直線Sとに挟まれた領域内に配置されている。これにより、マーカcが仮想軸L2に更に近い位置に配置されることになる。その結果、顕微鏡などを用いて、マルチコアファイバMFの第2端面σ2を正面から観察する場合、コアa1~anと共にマーカcを観察することが更に容易になる。何故なら、特にコアa1~anの傾斜方向におけるデフォーカスの度合いの差を低減すべく、対物レンズの焦点を仮想軸L2上や仮想軸L2近傍に設定した場合、マーカcのデフォーカスを更に小さく抑えることができるからである。
【0070】
(マルチコアファイバの変形例)
マルチコアファイバMFの変形例について、図4を参照して説明する。図4において、(a)は、マルチコアファイバMFの側面図である。また、(b)は、マルチコアファイバMFの一方の端面(以下、「第1端面」と記載する)σ1を視線E1方向から見た正面図である。また、(c)は、マルチコアファイバMFの他方の端面(以下、「第2端面」と記載する)σ2を視線E2方向から見た正面図である。また、(d)は、第1端面σ1と第2端面σ2とを突き合せた状態のマルチコアファイバMFの斜視図である。
【0071】
図3に示すマルチコアファイバMFでは、(1)第1端面σ1において、マーカcに最も近いコアa1とマーカcに2番目に近いコアa2とが仮想軸L1を挟むように配置されており、(2)第2端面σ2において、マーカcに最も近いコアa1とマーカcに2番目に近いコアa2とが仮想軸L2を挟むように配置されている。これに対して、本変形例に係るマルチコアファイバMFでは、(1)第1端面σ1において、マーカcに最も近いコアa1が仮想軸L1上に配置されており、(2)第2端面σ2において、マーカcに最も近いコアa1が仮想軸L2上に配置されている。
【0072】
これにより、第1端面σ1において、マーカcが仮想軸L1に近い位置に配置されることになる。その結果、顕微鏡などを用いて、マルチコアファイバMFの第1端面σ1を正面から観察する場合、コアa1~anと共にマーカcを観察することが容易になる。また、第2端面σ2において、マーカcが仮想軸L2に近い位置に配置されることになる。その結果、顕微鏡などを用いて、マルチコアファイバMFの第2端面σ2を正面から観察する場合、コアa1~anと共にマーカcを観察することが容易になる。
【0073】
(共通の特徴)
まず、図3の(b)に示すマルチコアファイバMFの第1端面σ1について、以下のことが言える。第1端面σ1を仮想軸L1によって第1領域(図3において仮想軸L1よりも上の領域)と第2領域(図3において仮想軸L1よりも下の領域)とに二分割することを考える。第1領域に設けられたコアa6,a7,a8,a1のうち、仮想軸L1から最も遠いコアは、コアa7,a8であり、第2領域に設けられたコアa2,a3,a4,a5のうち、仮想軸L1から最も遠いコアは、コアa3,a4である。このとき、マーカcの中心は、コアa7,a8を通り、仮想軸L1と平行な直線と、コアa3,a4を通り、仮想軸L1と平行な直線と、の間に挟まれた領域に設けられている。したがって、マーカcの中心は、第1領域に設けられたコアa6,a7,a8,a1のうち、仮想軸L1から最も遠いコアa7,a8を通り、仮想軸L1と平行な直線と、第2領域設けられたコアa2,a3,a4,a5のうち、仮想軸L1から最も遠いコアa3,a4を通り、仮想軸L1と平行な直線と、の間に挟まれた領域に形成されていると言える。なお、コアa7,a8を通り、仮想軸L1と平行な直線は、(1)コアa7,a8に含まれる点のうち、仮想軸L1に最も近い点を通る直線であってもよいし、(2)コアa7,a8の中心を通る直線であってもよいし、(3)コアa7,a8に含まれる点のうち、仮想軸L1から最も遠い点を通る直線であってもよい。同様に、コアa3,a4を通り、仮想軸L1と平行な直線は、(1)コアa3,a4に含まれる点のうち、仮想軸L1に最も近い点を通る直線であってもよいし、(2)コアa3,a4の中心を通る直線であってもよいし、(3)コアa3,a4に含まれる点のうち、仮想軸L1から最も遠い点を通る直線であってもよい。図3の(c)に示すマルチコアファイバMFの第2端面σ2についても、同様のことが言える。
【0074】
また、図4の(c)に示すマルチコアファイバMFの第1端面σ1について、以下のことが言える。第1端面σ1を仮想軸L1によって第1領域(図4において仮想軸L1よりも上の領域)と第2領域(図4において仮想軸L1よりも下の領域)とに二分割することを考える。第1領域に設けられたコアa1,a2,a3,4,5のうち、仮想軸L1から最も遠いコアは、コアa3であり、第2領域に設けられたコアa5,a6,a7,a8,a1のうち、仮想軸L1から最も遠いコアは、コアa7である。このとき、マーカcの中心は、コアa3を通り、仮想軸L1と平行な直線と、コアa7を通り、仮想軸L1と平行な直線と、の間に挟まれた領域に設けられている。したがって、マーカcの中心は、第1領域に設けられたコアa1,a2,a3,a4,a5のうち、仮想軸L1から最も遠いコアa3を通り、仮想軸L1と平行な直線と、第2領域設けられたコアa5,a6,a7,a8,a1のうち、仮想軸L1から最も遠いコアa7を通り、仮想軸L1と平行な直線と、の間に挟まれた領域に形成されていると言える。なお、コアa3を通り、仮想軸L1と平行な直線は、(1)コアa3に含まれる点のうち、仮想軸L1に最も近い点を通る直線であってもよいし、(2)コアa3の中心を通る直線であってもよいし、(3)コアa3に含まれる点のうち、仮想軸L1から最も遠い点を通る直線であってもよい。同様に、コアa7を通り、仮想軸L1と平行な直線は、(1)コアa7に含まれる点のうち、仮想軸L1に最も近い点を通る直線であってもよいし、(2)コアa7の中心を通る直線であってもよいし、(3)コアa7に含まれる点のうち、仮想軸L1から最も遠い点を通る直線であってもよい。図4の(c)に示すマルチコアファイバMFの第2端面σ2についても、同様のことが言える。
【0075】
以上のように、本実施形態に係るマルチファイバMFは、第1の実施形態に係るマルチコアファイバMFと同様、下記の特徴1,2を有しているとも言える。
【0076】
特徴1:第1端面σ1を仮想軸L1によって第1領域と第2領域とに二分割した場合、マーカcの中心が、コアa1~anのうち第1領域に設けられたコアのなかで仮想軸L1から最も遠いコアを通り、仮想軸L1と平行な直線と、コアa1~anのうち第2領域に設けられたコアのなかで仮想軸L1から最も遠いコアを通り、仮想軸L1と平行な直線と、の間に挟まれた領域に形成されている。
【0077】
特徴2:第2端面σ2を仮想軸L1によって第1領域と第2領域とに二分割した場合、マーカcの中心が、コアa1~anのうち第1領域に設けられたコアのなかで仮想軸L1から最も遠いコアを通り、仮想軸L1と平行な直線と、コアa1~anのうち第2領域に設けられたコアのなかで仮想軸L1から最も遠いコアを通り、仮想軸L1と平行な直線と、の間に挟まれた領域に形成されている。
【0078】
なお、上記の特徴1,2を下記の特徴1’,2’に置き換え、マーカcが形成され得る範囲を少し広げても、上記の特徴1,2を有する場合と同等の効果を期待することができる。なお、下記の特徴1’,2’において、コアのモードフィールドとは、動作波長においてそのコアを導波する基本モードの光の強度分布に関し、光電力の86.5%が集中する領域のことを指す。
【0079】
特徴1’:第1端面σ1を仮想軸L1によって第1領域と第2領域とに二分割した場合、マーカcの中心が、コアa1~anのうち第1領域に設けられたコアのなかで仮想軸L1から最も遠いコアのモードフィールドを通り、仮想軸L1と平行な直線と、コアa1~anのうち第2領域に設けられたコアのなかで仮想軸L1から最も遠いコアのモードフィールドを通り、仮想軸L1と平行な直線と、の間に挟まれた領域に形成されている。
【0080】
特徴2’:第2端面σ2を仮想軸L1によって第1領域と第2領域とに二分割した場合、マーカcの中心が、コアa1~anのうち第1領域に設けられたコアのなかで仮想軸L1から最も遠いコアのモードフィールドを通り、仮想軸L1と平行な直線と、コアa1~anのうち第2領域に設けられたコアのなかで仮想軸L1から最も遠いコアのモードフィールドを通り、仮想軸L1と平行な直線と、の間に挟まれた領域に形成されている。
【0081】
〔第3の実施形態〕
(光デバイスの構成)
本発明の第3の実施形態に係る光デバイスOD1の構成について、図5を参照して説明する。図5において、(a)は、光デバイスOD1の側面図である。また、(b)は、光デバイスOD1の一方の端面を視線E1方向から見た正面図である。また、(c)は、光デバイスOD1の他方の端面を視線E2方向から見た正面図である。
【0082】
光デバイスOD1は、マルチコアファイバMFと、マルチコアファイバMFの両端に設けられた単芯コネクタC1,C2と、を備えている。
【0083】
マルチコアファイバMFは、図1図4に示したマルチコアファイバMFの何れであってもよい。図5においては、マルチコアファイバMFとして、図1に示すマルチコアファイバMFを例示している。
【0084】
第1単芯コネクタC1は、マルチコアファイバMFの一方の端部に設けられている。第1単芯コネクタC1の端面は、マルチコアファイバMFの第1端面σ1と面一になるように傾斜している。また、第1単芯コネクタC1の4つの側面のうち、第1端面σ1の傾斜方向v1の先にある側面には、キーK1が設けられている。キーK1は、例えば、第1単芯コネクタC1の側面から突出する直方体状の凸部である。
【0085】
第2単芯コネクタC2は、マルチコアファイバMFの他方の端部に設けられている。第2単芯コネクタC2の端面は、マルチコアファイバMFの第2端面σ2と面一になるように傾斜している。また、第2単芯コネクタC2の4つの側面のうち、第2端面σ2の傾斜方向v2の先にある側面には、キーK2が設けられている。キーK2は、例えば、第2単芯コネクタC2の側面から突出する直方体状の凸部である。
【0086】
これにより、2本の光デバイスOD1について、一方の光デバイスOD1の第1単芯コネクタC1と他方の光デバイスOD1の第2単芯コネクタC2とを、キーK1とキーK2との位置が反対になるように接続した場合に、これら2本の光デバイスOD1に含まれるマルチコアファイバMFのコアa1~anを光学的に結合させることが可能になる。
【0087】
なお、ここでは、マルチコアファイバMFの両端に単芯コネクタを設ける構成について説明したが、本発明は、これに限定されない。すなわち、マルチコアファイバMFの一端に単芯コネクタを設ける構成についても、本発明の範疇に含まれる。すなわち、図5に示す光デバイスOD1から第1単芯コネクタC1又は第2単芯コネクタC2の何れか一方を省略した構成についても、本発明の範疇に含まれる。この場合、マルチコアファイバMFの単芯コネクタが設けられない方の端面については、傾斜していてもよいし、傾斜していなくてもよい。
【0088】
〔第4の実施形態〕
(光デバイスの構成)
本発明の第4の実施形態に係る光デバイスOD2の構成について、図6を参照して説明する。図6において、(a)は、光デバイスOD2の側面図である。また、(b)は、光デバイスOD2の一方の端面を視線E1方向から見た正面図である。また、(c)は、光デバイスOD2の他方の端面を視線E2方向から見た正面図である。
【0089】
光デバイスOD2は、複数のマルチコアファイバMFからなるマルチコアファイバ束MFBと、マルチコアファイバ束MFBの両端に設けられた多芯コネクタC3,C4と、を備えている。
【0090】
マルチコアファイバ束MFBを構成するマルチコアファイバMFは、図1図4に示したマルチコアファイバMFの何れであってもよい。図6においては、マルチコアファイバMFBを構成するマルチコアファイバMFとして、図1に示すマルチコアファイバMFを示している。
【0091】
第1多芯コネクタC3は、マルチコアファイバ束MFBの一方の端部に設けられている。マルチコアファイバ束MFBを構成する各マルチコアファイバMFは、第1多芯コネクタC3側の端面(図示した例では第1端面σ1)の傾斜方向(図示した例では傾斜方向v1)が特定の方向に揃うように、且つ、これらの端面が面一になるように第1多芯コネクタC3に固定されている。換言すると、マルチコアファイバ束MFBを構成する各マルチコアファイバMFは、上述した仮想軸L1が同一直線上に配置されるように、第1多芯コネクタC3に固定されている。
【0092】
また、第1多芯コネクタC3の4つの側面のうち、マルチコアファイバ束MFBを構成する各マルチコアファイバMFの第1多芯コネクタC3側の端面(図示した例では第1端面σ1)の傾斜方向(図示した例では傾斜方向v1)の先にある側面には、キーK3が設けられている。キーK3は、例えば、第1多芯コネクタC3の側面から突出する直方体状の凸部である。
【0093】
第2多芯コネクタC4は、マルチコアファイバ束MFBの他方の端部に設けられている。マルチコアファイバ束MFBを構成する各マルチコアファイバMFは、第2多芯コネクタC4側の端面(図示した例では第2端面σ2)の傾斜方向(図示した例では傾斜方向v2)が特定の方向に揃うように、且つ、これらの端面が面一になるように第2多芯コネクタC4に固定されている。換言すると、マルチコアファイバ束MFBを構成する各マルチコアファイバMFは、上述した仮想軸L2が同一直線上に配置されるように、第2多芯コネクタC4に固定されている。
【0094】
また、第2多芯コネクタC4の4つの側面のうち、マルチコアファイバ束MFBを構成する各マルチコアファイバMFの第2多芯コネクタC4側の端面(図示した例では第1端面σ1)の傾斜方向(図示した例では傾斜方向v2)の先にある側面には、キーK4が設けられている。キーK4は、例えば、第2多芯コネクタC4の側面から突出する直方体状の凸部である。
【0095】
これにより、2本の光デバイスOD2について、一方の光デバイスOD2の第1多芯コネクタC3と他方の光デバイスOD2の第2多芯コネクタC4とを、キーK3とキーK4との位置が反対になるように接続した場合に、これら2本の光デバイスOD2に含まれる各マルチコアファイバMFのコアa1~anを光学的に結合させることが可能になる。
【0096】
なお、第1多芯コネクタC3の代わりに、各マルチコアファイバMFの一方の端部に単芯コネクタを設け、これらの単芯コネクタを一体化する構成を採用してもよい。この場合、これらの単芯コネクタは、マルチコアファイバ束MFBを構成する各マルチコアファイバMFに関する仮想軸L1が同一直線上に配置されるように一体化される。同様に、第2多芯コネクタC4の代わりに、各マルチコアファイバMFの他方の端部に単芯コネクタを設け、これらの単芯コネクタを一体化する構成を採用してもよい。この場合、これらの単芯コネクタは、マルチコアファイバ束MFBを構成する各マルチコアファイバMFに関する仮想軸L2が同一直線上に配置されるように一体化される。
【0097】
また、ここでは、マルチコアファイバ束MFBの両端に多芯コネクタを設ける構成について説明したが、本発明は、これに限定されない。すなわち、マルチコアファイバ束MFBの一端に多芯コネクタを設ける構成についても、本発明の範疇に含まれる。すなわち、図6に示す光デバイスOD2から第1多芯コネクタC3又は第2多芯コネクタC4の何れか一方を省略した構成についても、本発明の範疇に含まれる。この場合、各マルチコアファイバMFの多芯コネクタが設けられない方の端面については、傾斜していてもよいし、傾斜していなくてもよい。
【0098】
(光デバイスの変形例)
光デバイスOD2の変形例について、図7を参照して説明する。図7において、(a)は、第1の変形例に係る光デバイスOD2の正面図であり、(b)は、第2の変形例に係る光デバイスOD2の正面図である。
【0099】
第1の変形例に係る光デバイスOD2においては、図7の(a)に示すように、マルチコアファイバ束MFBに、第1多芯コネクタC3側の端面を並進及び反転した場合にコア番号が一致するコア同士が少なくとも部分的に重なり合う少なくとも2つのマルチコアファイバMFが含まれている。図7の(a)においては、一番左のマルチコアファイバMFと左から二番目のマルチコアファイバMFとがこの関係を満たすことを図示している。これにより、マーカcに最も近いコアa1とマーカcに2番目に近いコアa2とが仮想軸L1,L2を挟むように配置されるという条件、マーカcに最も近いコアa1が仮想軸L1に配置されるという条件、又は、マーカcに二番目に近いコアa2が仮想軸上に配置されるという条件を、上記少なくとも2つのマルチコアファイバMFにおいて満たすことができる。図7の(a)に図示した例においては、一番左のマルチコアファイバMFと左から二番目のマルチコアファイバMFにおいて、マーカcに最も近いコアa1とマーカcに2番目に近いコアa2とが仮想軸L1,L2を挟むように配置されるという条件を満たすことができる。また、第1多芯コネクタC3同士を接続する場合、上記少なくとも2つのマルチコアファイバMFにおいて、同じコア番号の入れ替えを生じさせることができる。図7の(a)に図示した例においては、一番左のマルチコアファイバMFと左から二番目のマルチコアファイバMFにおいて、コアa1とコアa2とが接続され(コア番号1とコア番号2との入れ替えが生じ)、コアa3とコアa4とが接続される(コア番号3とコア番号4との入れ替えが生じる)。
【0100】
なお、上述した反転としては、各マルチコアファイバMFの傾斜方向に平行な軸に対する反転と、各マルチコアファイバMFの傾斜方向に垂直な軸に対する反転とが考えられる。何れの場合であっても、上記の効果を奏する。また、上述した平行移動としては、第1多芯コネクタC3の端面の傾斜方向に平行な方向への平行移動と、第1多芯コネクタC3の端面の傾斜方向に垂直な方向への平行移動とが考えられる。前者の場合、上述した少なくとも2つのマルチコアファイバMFは、第1多芯コネクタC3の端面の傾斜方向と平行に並ぶ。一方、後者の場合、上述した少なくとも2つのマルチコアファイバMFは、第1多芯コネクタC3の端面の傾斜方向と垂直に並ぶ。何れの場合であっても、上記の効果を奏する。また、後者の場合は特に、第1多芯コネクタC3の端面の傾斜方向に垂直な仮想軸から上述した少なくとも2つのマルチコアファイバMFのマーカcの中心までの距離は等しくなる。その結果、顕微鏡などを用いて多芯コネクタC3の端面を正面から観察する場合、フォーカスをこの仮想軸上に合わせることで、上述した少なくとも2つのマルチコアファイバMFのマーカcを同時に観察することが容易になる。
【0101】
なお、マルチコアファイバ束MFBを構成する全てのマルチコアファイバMFが、上述した並進・反転の関係を満たすことが好ましい。これにより、マルチコアファイバ束MFBを構成する全てのマルチコアファイバMFにおいて、同じコア番号の入れ替えを生じさせることが可能になる。特に、上述した平行移動が第1多芯コネクタC3の端面の傾斜方向に垂直な方向への平行移動とである場合には、マルチコアファイバ束MFBを構成する全てのマルチコアファイバMFのマーカcを同時に観察することが容易になる。
【0102】
第2の変形例に係る光デバイスOD2においては、図7の(b)に示すように、マルチコアファイバ束MFBに、第1多芯コネクタC3側の端面を並進及び回転した場合にコア番号が一致するコア同士が少なくとも部分的に重なり合う少なくとも2つのマルチコアファイバMFが含まれている。図7の(b)においては、一番左のマルチコアファイバMFと左から二番目のマルチコアファイバMFとがこの関係を満たすことを図示している。これにより、第1多芯コネクタC3同士を接続する場合、上記少なくとも2つのマルチコアファイバMFにおいて、異なるコア番号の入れ替えを生じさせることができる。図7の(b)に図示した例においては、一番左のマルチコアファイバMFにおいては、コアa1とコアa2とが接続され(コア番号1とコア番号2との入れ替えが生じ)、コアa3とコアa4とが接続される(コア番号3とコア番号4との入れ替えが生じる)。一方、左から二番目のマルチコアファイバMFにおいては、コアa1とコアa4とが接続され(コア番号1とコア番号4との入れ替えが生じ)、コアa2とコアa3とが接続される(コア番号2とコア番号3との入れ替えが生じる)。これにより、光デバイスOD2を用いてネットワークを構築する際の配線自由度を向上させることができる。
【0103】
なお、上述した回転としては、マルチコアファイバMFのコアa1~anの配置がn回対称性を有している場合、m×360°/n(mは1以上n-1以下の自然数)の回転が考えられる。本実施形態においては、180°の回転を採用する。これにより、マーカcに最も近いコアa1とマーカcに2番目に近いコアa2とが仮想軸L1,L2を挟むように配置されるという条件、又は、マーカcに最も近いコアa1が仮想軸L1に配置されるという条件を、両方のマルチコアファイバMFにおいて満たすことが可能になる。
【0104】
〔第5の実施形態〕
本発明の第5の実施形態に係るマルチコアファイバMFについて、図8を参照して説明する。図8において、(a)は、マルチコアファイバMFの側面図であり、(b)は、マルチコアファイバMFの斜視図である。
【0105】
マルチコアファイバMFは、第1マルチコアファイバMF1と、第2マルチコアファイバMF2と、を備えている。第1マルチコアファイバMF1と第2マルチコアファイバMF2とは、接続(例えばコネクタ接続、或いは融着接続)されている。
【0106】
第1マルチコアファイバMF1は、図1に示すマルチコアファイバMFと同様に構成されている。ただし、第1マルチコアファイバMF1においては、第1端面σ1が傾斜していることは必須であるものの、第2端面σ2が傾斜していることは必須でない。以下、第1マルチコアファイバMF1の傾斜していることが必須である方の端面、すなわち、図1に示すマルチコアファイバMFの第1端面σ1に相当する端面を、第1端面Σ1と呼ぶ。第1マルチコアファイバMF1の第1端面Σ1は、後述する第2マルチコアファイバMF2の第2端面Σ2に接続される。
【0107】
第2マルチコアファイバMF2は、図1に示すマルチコアファイバMFと同様に構成されている。ただし、第2マルチコアファイバMF2においては、第2端面σ2が傾斜していることは必須であるものの、第1端面σ1が傾斜していることは必須でない。以下、第2マルチコアファイバMF2の傾斜していることが必須である方の端面、すなわち、図1に示すマルチコアファイバMFの第2端面σ2に相当する端面を、第2端面Σ2と呼ぶ。第2マルチコアファイバMF2の第2端面Σ2は、前述した第1マルチコアファイバMF1の第1端面Σ1に接続される。
【0108】
第1端面Σ1の傾斜方向v1及び第2端面Σ2の傾斜方向v2は、下記の条件1を満たすように決められている。
【0109】
条件1:第1端面Σ1におけるコアa1~anの延在方向と第2端面Σ2におけるコアa1~anの延在方向との成す角を最小化するように第1端面Σ1と第2端面Σ2とを面接触させた場合、第1端面Σ1におけるコアa1~anの各々が第2端面Σ2におけるコアa1~anの何れかと少なくとも部分的に重なり合う。
【0110】
これにより、第1マルチコアファイバMF1の第1端面Σ1と第2マルチコアファイバMF2の第2端面Σ2とを、第1マルチコアファイバMF1と第2マルチコアファイバMF2とができるだけ一直線上に配置されるように接続した場合に、第1マルチコアファイバMF1のコアa1~anと第2マルチコアファイバMF2のコアa1~anとを、光学的に結合させることが可能になる。ここで、「第1マルチコアファイバMF1と第2マルチコアファイバMF2とができるだけ一直線上に配置されるように」第1端面Σ1と第2端面Σ2とを接続するとは、「第1マルチコアファイバMF1のコアa1~anの延在方向と第2マルチコアファイバMF2のコアa1~anのコアの延在方向との成す角が最小になるように」第1端面Σ1と第2端面Σ2とを接続することを指す。
【0111】
なお、第1端面Σ1の傾斜角θ1と第2端面Σ2の傾斜角θ2とは、一致していてもよいし、一致していなくてもよい。ただし、第1端面Σ1の傾斜角θ1と第2端面Σ2の傾斜角θ2とは、同等である(実質的に一致している)ことが好ましく、一致している(完全に一致している)ことが更に好ましい。ここで、第1端面Σ1の傾斜角θ1と第2端面Σ2の傾斜角θ2とが同等である(実質的に一致している)とは、例えば、差|θ1-θ2|が、例えば、2°以下であること、或いは、0.4°以下であることを指す。
【0112】
第1端面Σ1の傾斜角θ1と第2端面Σ2の傾斜角θ2とが一致している場合、第1端面Σ1におけるコアa1~anの延在方向と第2端面Σ2におけるコアa1~anの延在方向との成す角の最小値は0°である。すなわち、第1端面Σ1におけるコアa1~anの延在方向と第2端面Σ2におけるコアa1~anの延在方向との成す角を最小化することは、第1端面Σ1におけるコアa1~anの延在方向と第2端面Σ2におけるコアa1~anの延在方向とを一致させることと等価である。したがって、上記の条件1は、下記の条件1’と等価である。
【0113】
条件1’:第1端面Σ1におけるコアa1~anの延在方向と第2端面Σ2におけるコアa1~anの延在方向とが一致するように第1端面Σ1と第2端面Σ2とを面接触させた場合、第1端面Σ1におけるコアa1~anの各々が第2端面Σ2におけるコアa1~anの何れかと少なくとも部分的に重なり合う。
【0114】
これにより、第1マルチコアファイバMF1の第1端面Σ1と第2マルチコアファイバMF2の第2端面Σ2とを、第1マルチコアファイバMF1と第2マルチコアファイバMF2とが一直線上に配置されるように接続した場合に、第1マルチコアファイバMF1のコアa1~anと第2マルチコアファイバMF2のコアa1~anとを、光学的に結合させることが可能になる。ここで、「第1マルチコアファイバMF1と第2マルチコアファイバMF2とが一直線上に配置されるように」第1端面Σ1と第2端面Σ2とを接続するとは、「第1マルチコアファイバMF1のコアa1~anの延在方向と第2マルチコアファイバMF2のコアa1~anのコアの延在方向とが一致するように」第1端面Σ1と第2端面Σ2とを接続することを指す。なお、第1端面Σ1の傾斜角θ1と第2端面Σ2の傾斜角θ2とが厳密に一致していなくても、第1端面Σ1の傾斜角θ1と第2端面Σ2の傾斜角θ2とが同等であれば(実質的に一致していれば)、これと同等の効果が得られる。
【0115】
本実施形態に係るマルチコアファイバMFでは、第1マルチコアファイバMF1の第1端面Σ1の傾斜方向v1と第2マルチコアファイバMF2の第2端面Σ2の傾斜方向v2とが、上記の条件1に加えて、下記の条件2を満たすように決められている。
【0116】
条件2:第1端面Σ1におけるコアa1~anの延在方向と第2端面Σ2におけるコアa1~anの延在方向との成す角を最小化するように第1端面Σ1と第2端面Σ2とを面接触させた場合、少なくとも部分的に重なり合うコアのコア番号が一致する。
【0117】
図8に示した例において、少なくとも部分的に重なり合うコアのペアは、(1)第1端面Σ1におけるコアa1と第2端面Σ2におけるコアa1とのペア、(2)第1端面Σ1におけるコアa2と第2端面Σ2におけるコアa2とのペア、(3)第1端面Σ1におけるコアa3と第2端面Σ2におけるコアa3とのペア、(4)第1端面Σ1におけるコアa4と第2端面Σ2におけるコアa4とのペアである。これら4つのペアの何れかについても、ペアを構成する2つのコアのコア番号が一致する。すなわち、図8に示す接続形態は、(1)第1マルチコアファイバMF1においてマーカcに最も近いコアa1と第2マルチコアファイバMF2においてマーカcに最も近いコアa1とが少なくとも部分的に重なり合い、(2)第1マルチコアファイバMF1においてマーカcに2番目に近いコアa2と第2マルチコアファイバMF2においてマーカcに2番目に近いコアa2とが少なくとも部分的に重なり合う接続形態といえる。
【0118】
これにより、第1マルチコアファイバMF1の第1端面Σ1と第2マルチコアファイバMF2の第2端面Σ2とを、第1マルチコアファイバMF1と第2マルチコアファイバMF2とができるだけ一直線上に配置されるように接続した場合に、コア番号が一致するコア同士を光学的に結合させることが可能になる。
【0119】
なお、第1マルチコアファイバMF1の第1端面Σ1側の端部には、図8の(c)に示すように、第1単芯コネクタC1が設けられていてもよい。同様に、第2マルチコアファイバMF2の第2端面Σ2側の端部には、図8の(c)に示すように、第2単芯コネクタC2が設けられていてもよい。第1単芯コネクタC1及び第2単芯コネクタC2の構成等については、図5を参照して説明したとおりであるため、ここでは、その説明を繰り返さない。
【0120】
なお、本実施形態においては、第1マルチコアファイバMF1として、傾斜方向v1が第1端面Σ1の中心からコアa4とコアa1との中点に向かうマルチコアファイバを用いたが、第1マルチコアファイバMF1は、これに限定されない。(1)傾斜方向v1が第1端面Σ1の中心からコアa1とコアa2との中点に向かうマルチコアファイバ、(2)傾斜方向v1が第1端面Σ1の中心からコアa2とコアa3との中点に向かうマルチコアファイバ、(3)傾斜方向v1が第1端面Σ1の中心からコアa3とコアa4との中点に向かうマルチコアファイバについても、第1マルチコアファイバMF1として利用することができる。また、(1)傾斜方向v1が第1端面Σ1の中心からコアa1に向かうマルチコアファイバ、(2)傾斜方向v1が第1端面Σ1の中心からコアa2に向かうマルチコアファイバ、(3)傾斜方向v1が第1端面Σ1の中心からコアa3に向かうマルチコアファイバ、(4)傾斜方向v1が第1端面Σ1の中心からコアa4に向かうマルチコアファイバについても、第1マルチコアファイバMF1として利用することができる。第2マルチコアファイバMF2についても、同様のことが言える。
【0121】
〔第6の実施形態〕
本発明の第6の実施形態に係るマルチコアファイバMFについて、図9を参照して説明する。図9において、(a)は、マルチコアファイバMFの側面図であり、(b)は、マルチコアファイバMFの斜視図である。
【0122】
マルチコアファイバMFは、第1マルチコアファイバMF1と、第2マルチコアファイバMF2と、を備えている。第1マルチコアファイバMF1と第2マルチコアファイバMF2とは、接続(例えば、融着接続)されている。
【0123】
第1マルチコアファイバMF1は、図1に示すマルチコアファイバMFと同様に構成されている。ただし、第1マルチコアファイバMF1においては、第1端面σ1が傾斜していることは必須であるものの、第2端面σ2が傾斜していることは必須でない。第1マルチコアファイバMF1の傾斜していることが必須である方の端面、すなわち、図1に示すマルチコアファイバMFの第1端面σ1に相当する端面を、第1端面Σ1と呼ぶ。
【0124】
第2マルチコアファイバMF2は、図1に示すマルチコアファイバMFと同様に構成されている。ただし、第2マルチコアファイバMF2においては、第1端面σ1が傾斜していることは必須であるものの、第2端面σ2が傾斜していることは必須でない。第2マルチコアファイバMF2の傾斜していることが必須である方の端面、すなわち、図1に示すマルチコアファイバMFの第1端面σ1に相当する端面を、第2端面Σ2と呼ぶ。
【0125】
第5の実施形態に係るマルチコアファイバMFにおいて、第1端面Σ1の傾斜方向v1及び第2端面Σ2の傾斜方向v2は、上記の条件1に加えて、上記の条件2を満たすように決められている。これに対して、第6の実施形態に係るマルチコアファイバMFにおいて、第1端面Σ1の傾斜方向v1及び第2端面Σ2の傾斜方向v2は、上記の条件1に加えて、下記の条件3を満たすように決められている。
【0126】
条件3:第1端面Σ1におけるコアa1~anの延在方向と第2端面Σ2におけるコアa1~anの延在方向との成す角を最小化するように第1端面Σ1と第2端面Σ2とを面接触させた場合、少なくとも部分的に重なり合うコアのコア番号が相違する。
【0127】
図9に示した例において、少なくとも部分的に重なり合うコアのペアは、(1)第1端面Σ1におけるコアa1と第2端面Σ2におけるコアa2とのペア、(2)第1端面Σ1におけるコアa2と第2端面Σ2におけるコアa1とのペア、(3)第1端面Σ1におけるコアa3と第2端面Σ2におけるコアa4とのペア、(4)第1端面Σ1におけるコアa4と第2端面Σ2におけるコアa3とのペアである。これら4つのペアの何れかについても、ペアを構成する2つのコアのコア番号が相違する。すなわち、図9に示す接続形態は、(1)第1マルチコアファイバMF1においてマーカcに最も近いコアa1と第2マルチコアファイバMF2においてマーカcに2番目に近いコアa2とが少なくとも部分的に重なり合い、(2)第1マルチコアファイバMF1においてマーカcに2番目に近いコアa2と第2マルチコアファイバMF2においてマーカcに最も近いコアa1とが少なくとも部分的に重なり合う接続形態といえる。
【0128】
これにより、第1マルチコアファイバMF1の第1端面Σ1と第2マルチコアファイバMF2の第2端面Σ2とを、第1マルチコアファイバMF1と第2マルチコアファイバMF2とができるだけ一直線上に配置されるように接続した場合に、コア番号が相違するコア同士を光学的に結合させることが可能になる。
【0129】
なお、第1マルチコアファイバMF1の第1端面Σ1側の端部には、図9の(c)に示すように、第1単芯コネクタC1が設けられていてもよい。同様に、第2マルチコアファイバMF2の第2端面Σ2側の端部には、図9の(c)に示すように、第2単芯コネクタC2が設けられていてもよい。第1単芯コネクタC1及び第2単芯コネクタC2の構成等については、図5を参照して説明したとおりであるため、ここでは、その説明を繰り返さない。
【0130】
なお、本実施形態においては、第1マルチコアファイバMF1として、傾斜方向v1が第1端面Σ1の中心からコアa4とコアa1との中点に向かうマルチコアファイバを用いたが、第1マルチコアファイバMF1は、これに限定されない。(1)傾斜方向v1が第1端面Σ1の中心からコアa1とコアa2との中点に向かうマルチコアファイバ、(2)傾斜方向v1が第1端面Σ1の中心からコアa2とコアa3との中点に向かうマルチコアファイバ、(3)傾斜方向v1が第1端面Σ1の中心からコアa3とコアa4との中点に向かうマルチコアファイバについても、第1マルチコアファイバMF1として利用することができる。また、(1)傾斜方向v1が第1端面Σ1の中心からコアa1に向かうマルチコアファイバ、(2)傾斜方向v1が第1端面Σ1の中心からコアa2に向かうマルチコアファイバ、(3)傾斜方向v1が第1端面Σ1の中心からコアa3に向かうマルチコアファイバ、(4)傾斜方向v1が第1端面Σ1の中心からコアa4に向かうマルチコアファイバについても、第1マルチコアファイバMF1として利用することができる。第2マルチコアファイバMF2についても、同様のことが言える。
【0131】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るマルチコアファイバにおいては、クラッド、前記クラッド内に形成された複数のコア、前記クラッド内に形成された少なくとも1つのマーカ、及び、前記複数のコアの延在方向と直交しないように傾斜した端面を有しており、前記端面において、前記複数のコアが、前記端面の傾斜方向と直交し前記クラッドの中心を通る仮想軸に対して線対称状に配置されており、前記マーカの中心が、前記複数のコアのうち前記仮想軸から最も遠いコアまたは当該コアを導波する光のモードフィールドのうち前記仮想軸から最も遠い領域を通り前記仮想軸と平行な直線と前記仮想軸から最も遠いコアが設けられている側とは反対側のコアであって前記仮想軸から最も遠いコアまたは当該コアを導波する光のモードフィールドのうち前記仮想軸から最も遠い領域を通り前記仮想軸と平行な直線との間の領域に含まれる、という構成が採用されている。
【0132】
本発明の態様2に係るマルチコアファイバにおいては、態様1の構成に加えて、前記端面において、(1)前記複数のコアのうち、前記マーカに最も近いコアと前記マーカに2番目に近いコアとが、前記仮想軸を挟んで配置されているか、(2)前記複数のコアのうち、前記マーカに最も近いコアが、前記仮想軸上に配置されているか、又は、(3)前記複数のコアのうち、前記マーカに二番目に近いコアが、前記仮想軸上に配置されている、という構成が採用されている。
【0133】
本発明の態様3に係るマルチコアファイバにおいては、態様2の構成に加えて、前記端面において、前記マーカの中心は、前記マーカに最も近いコアの中心を通り、前記軸に平行な直線と、前記マーカに2番目に近いコアの中心を通り、前記仮想軸に平行な直線とに挟まれた領域内に配置されている、という構成が採用されている。
【0134】
本発明の態様4に係るマルチコアファイバにおいては、態様1~3の何れかの構成に加えて、前記仮想軸は、前記複数のコアの何れとも交わらない、という構成が採用されている。
【0135】
本発明の態様5に係るマルチコアファイバにおいては、態様1~4の何れかの構成に加えて、前記複数のコアの延在方向と直交しないように傾斜した他の端面を有しており、前記他の端面において、前記複数のコアが、前記端面の傾斜方向と直交する仮想軸に対して線対称状に配置されており、(1)前記複数のコアのうち、前記マーカに最も近いコアと前記マーカに2番目に近いコアとが、前記仮想軸を挟んで配置されているか、又は、(2)前記複数のコアのうち、前記マーカに最も近いコアが、前記仮想軸上に配置されている、という構成が採用されている。
【0136】
本発明の態様6に係るマルチコアファイバにおいては、態様1~5の何れかに係るマルチコアファイバである第1マルチコアファイバと、態様1~5の何れかに係るマルチコアファイバである第2マルチコアファイバと、を備え、前記第1マルチコアファイバの前記複数のコアの各々が前記第2マルチコアファイバの前記複数のコアの何れかと少なくとも部分的に重なり合うように、前記第1マルチコアファイバの前記端面と第2マルチコアファイバの前記端面とが接続されている、という構成が採用されている。
【0137】
本発明の態様7に係るマルチコアファイバにおいては、態様6に係るマルチコアファイバにおいて、前記第1マルチコアファイバの前記複数のコアのうち、前記第1マルチコアファイバの前記端面において前記第1マルチコアファイバの前記マーカに最も近いコアと、前記第2マルチコアファイバの前記複数のコアのうち、前記第2マルチコアファイバの前記端面において前記第2マルチコアファイバの前記マーカに最も近いコアとが少なくとも部分的に重なり合い、前記第1マルチコアファイバの前記複数のコアのうち、前記第1マルチコアファイバの前記端面において前記第1マルチコアファイバの前記マーカに2番目に近いコアと、前記第2マルチコアファイバの前記複数のコアのうち、前記第2マルチコアファイバの前記端面において前記第2マルチコアファイバの前記マーカに2番目に近いコアとが少なくとも部分的に重なり合う、という構成が採用されている。
【0138】
本発明の態様8に係るマルチコアファイバにおいては、態様6の構成に加えて、前記第1マルチコアファイバの前記複数のコアのうち、前記第1マルチコアファイバの前記端面において前記第1マルチコアファイバの前記マーカに最も近いコアと、前記第2マルチコアファイバの前記複数のコアのうち、前記第2マルチコアファイバの前記端面において前記第2マルチコアファイバの前記マーカに2番目に近いコアとが少なくとも部分的に重なり合い、前記第1マルチコアファイバの前記複数のコアのうち、前記第1マルチコアファイバの前記端面において前記第1マルチコアファイバの前記マーカに2番目に近いコアと、前記第2マルチコアファイバの前記複数のコアのうち、前記第2マルチコアファイバの前記端面において前記第2マルチコアファイバの前記マーカに最も近いコアとが少なくとも部分的に重なり合う、という構成が採用されている。
【0139】
本発明の態様9に係る光デバイスにおいては、態様1~8の何れかに係るマルチコアファイバと、前記マルチコアファイバの一方又は両方の端部に設けられた単芯コネクタと、を備えている、という構成が採用されている。
【0140】
本発明の態様10に係る光デバイスにおいては、態様1~8の何れかに係るマルチコアファイバからなるマルチコアファイバ束と、前記マルチコアファイバ束の一方又は両方の端部に設けられた多芯コネクタ又は一体化された単芯コネクタ群と、を備えている、という構成が採用されている。
【0141】
本発明の態様11に係る光デバイスにおいては、態様10の構成に加えて、前記マルチコアファイバ束が、前記多芯コネクタにおいて前記仮想軸が同一直線上に位置するように配置された複数のマルチコアファイバを含むか、又は、前記単芯コネクタ群が、前記仮想軸が同一直線上に位置するように配置された複数の単芯コネクタを含む、という構成が採用されている。
【0142】
本発明の態様12に係るマルチコアファイバの製造方法においては、態様6~8の何れかに係るマルチコアファイバの製造方法であって、前記第1マルチコアファイバの前記複数のコアの各々が前記第2マルチコアファイバの前記複数のコアの何れかと少なくとも部分的に重なり合うように、前記第1マルチコアファイバの前記端面と第2マルチコアファイバの前記端面とを接続する、という構成が採用されている。
【0143】
〔付記事項〕
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、上述した実施形態に開示された各技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。例えば、マルチコアファイバは、捩れていてもよい。捩れているかに否かに依らず、請求項に記載した条件を満たすマルチコアファイバは、本発明の技術的範囲に含まれる。また、コネクタの形状は、任意である。例えば、ファイバ穴にマルチコアファイバが挿入・固定されるタイプのコネクタを備えた光デバイスも、或いは、V溝にマルチコアファイバが収容・固定されるタイプのコネクタを備えた光デバイスも、本発明の技術的範疇に含まれる。また、マルチコアファイバの端面は、平坦面であってもよいし、平坦面により近似可能な曲面(例えば凸球面、或いは凹球面)であってもよい。
【0144】
また、上述したマルチコアファイバは、前記端面において、前記複数のコアが、前記端面の傾斜方向と直交する仮想軸に対して線対称状に配置されており、前記マーカの中心が、前記仮想軸と、前記複数のコアのうち前記仮想軸から最も遠いコアの中心を通り前記仮想軸と平行な直線との間の領域に含まれる構成を備えている事を説明した。しかし、上述したマルチコアファイバは、前記端面において、前記複数のコアが、前記端面の傾斜方向と直交する仮想軸に対して線対称状に配置されており、前記マーカの中心が、前記複数のコアのうち前記仮想軸から最も遠いコアまたは当該コアを導波する光のモードフィールドのうち前記仮想軸から最も遠い領域を通り前記仮想軸と平行な直線と、前記仮想軸から最も遠いコアが設けられている側とは反対側のコアであって前記仮想軸から最も遠いコアまたは当該コアを導波する光のモードフィールドのうち前記仮想軸から最も遠い領域を通り前記仮想軸と平行な直線との間の領域に含まれる構成であってもよい。ここで、上述したモードフィールドとは、クラッドの外側よりも内側の領域であって、850nmから1700nmまでのいずれかの波長における光がコアを導波する場合におけるモードフィールド径で定義される領域を指す。
【符号の説明】
【0145】
MF マルチコアファイバ
a1~an コア
b クラッド
c マーカ
σ1 第1端面
σ2 第2端面
v1,v2 傾斜方向
θ1,θ2 傾斜角
OD1,OD2 光デバイス
C1,C2 単芯コネクタ
C3,C4 多芯コネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9