(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】情報端末、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 4/021 20180101AFI20241121BHJP
H04W 64/00 20090101ALI20241121BHJP
G01S 5/02 20100101ALI20241121BHJP
【FI】
H04W4/021
H04W64/00 130
H04W64/00 171
G01S5/02 A
(21)【出願番号】P 2024091427
(22)【出願日】2024-06-05
【審査請求日】2024-07-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 勝弘
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 充治
【審査官】久松 和之
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-223436(JP,A)
【文献】特開2006-217508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
G01S 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報端末であって、
複数の測位デバイスそれぞれが設置されている位置を示す情報を取得する取得部と、
前記複数の測位デバイスのうち第1測位デバイスと前記情報端末との距離を測定する測距部と、
前記第1測位デバイスと前記情報端末との距離に応じて、前記第1測位デバイスの位置と前記複数の測位デバイスのうち前記第1測位デバイスとは異なる複数の第2測位デバイスの位置とを用いて前記情報端末の位置を特定する第1測位処理と、前記第2測位デバイスの位置を用いることなく前記第1測位デバイスの位置を用いて前記情報端末の位置を特定する第2測位処理と、を切り替えて実行する測位部と、
を有する、情報端末。
【請求項2】
前記第2測位処理は、前記第1測位デバイスの位置を前記情報端末の位置として特定する処理である、
請求項1に記載の情報端末。
【請求項3】
前記第1測位処理は、前記第1測位デバイス及び複数の前記第2測位デバイスそれぞれの位置と、前記第1測位デバイス及び複数の前記第2測位デバイスそれぞれと前記情報端末との距離と、を用いて、前記情報端末の位置を特定する処理である、
請求項1に記載の情報端末。
【請求項4】
前記測位部は、前記第1測位デバイスと前記情報端末との距離が基準距離以上である場合に前記第1測位処理を実行し、前記第1測位デバイスと前記情報端末との距離が前記基準距離未満である場合に前記第2測位処理を実行する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報端末。
【請求項5】
前記測位部は、前記第1測位処理を用いて前記情報端末の位置を特定している場合と、前記第2測位処理を用いて前記情報端末の位置を特定している場合とで、異なる前記基準距離を用いて、前記第1測位処理と前記第2測位処理とを切り替える、
請求項4に記載の情報端末。
【請求項6】
前記測位部が特定した前記情報端末の位置が前記複数の測位デバイスそれぞれを基準とした領域のいずれかに含まれていることを条件として、前記情報端末に所定のコンテンツを再生させる再生制御部をさらに有する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報端末。
【請求項7】
前記再生制御部は、前記複数の測位デバイスそれぞれに予め関連付けられた前記コンテンツのうち、前記情報端末の位置が含まれている前記領域に対応する前記測位デバイスに関連付けられた前記コンテンツを前記情報端末に再生させる、
請求項6に記載の情報端末。
【請求項8】
前記再生制御部は、前記情報端末の位置が含まれている前記領域に対応する前記測位デバイスと前記情報端末との距離が基準距離以上であるか否かに応じて異なる前記コンテンツを前記情報端末に再生させる、
請求項6に記載の情報端末。
【請求項9】
前記測位部は、前記第1測位デバイスと前記情報端末との距離が前記基準距離以上である場合に前記第1測位処理を実行し、前記第1測位デバイスと前記情報端末との距離が前記基準距離未満である場合に前記第2測位処理を実行する、
請求項8に記載の情報端末。
【請求項10】
前記再生制御部は、前記情報端末の位置が含まれている前記領域が替わったことを条件として、前記コンテンツの再生を終了させる、
請求項6に記載の情報端末。
【請求項11】
前記取得部は、前記情報端末の向きを示す情報を取得し、
前記再生制御部は、前記情報端末の向きが、前記情報端末の位置が含まれている前記領域に対応する前記測位デバイスを向いていないことを条件として、前記コンテンツの再生を終了させる、
請求項6に記載の情報端末。
【請求項12】
前記再生制御部は、所定の基準値以上の時間の間、前記情報端末の位置が前記複数の測位デバイスそれぞれに対応する前記領域に含まれていないことを条件として、前記コンテンツとは異なるコンテンツを前記情報端末に再生させる、
請求項6に記載の情報端末。
【請求項13】
前記測位部は、前記第1測位デバイスと前記情報端末との距離に応じて、前記第1測位デバイスとの間で測位に用いる信号を送受信する頻度を変更する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報端末。
【請求項14】
情報端末が実行する、
複数の測位デバイスそれぞれが設置されている位置を示す情報を取得するステップと、
前記複数の測位デバイスのうちいずれかの測位デバイスと前記情報端末との距離を測定するステップと、
前記複数の測位デバイスのうち第1測位デバイスと前記情報端末との距離に応じて、前記第1測位デバイスの位置と前記複数の測位デバイスのうち前記第1測位デバイスとは異なる複数の第2測位デバイスの位置とを用いて前記情報端末の位置を特定する第1測位処理と、前記第2測位デバイスの位置を用いることなく前記第1測位デバイスの位置を用いて前記情報端末の位置を特定する第2測位処理と、を切り替えて実行するステップと、
を有する、情報処理方法。
【請求項15】
情報端末に、
複数の測位デバイスそれぞれが設置されている位置を示す情報を取得するステップと、
前記複数の測位デバイスのうちいずれかの測位デバイスと前記情報端末との距離を測定するステップと、
前記複数の測位デバイスのうち第1測位デバイスと前記情報端末との距離に応じて、前記第1測位デバイスの位置と前記複数の測位デバイスのうち前記第1測位デバイスとは異なる複数の第2測位デバイスの位置とを用いて前記情報端末の位置を特定する第1測位処理と、前記第2測位デバイスの位置を用いることなく前記第1測位デバイスの位置を用いて前記情報端末の位置を特定する第2測位処理と、を切り替えて実行するステップと、
を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測位デバイスと無線接続をすることにより測位を行うための情報端末、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、測位対象の情報端末と測位デバイス(アンカーともいう)との間でUWB(超広帯域)の無線信号を送受信することにより、情報端末の位置を計算するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたシステムでは、情報端末は3個以上の測位デバイスとの間で無線信号を送受信することにより測位を行う。そのため、情報端末は、十分な数の測位デバイスとの間で無線接続をできない状況では測位をできなくなるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、情報端末が測位デバイスと無線接続をすることによる測位を安定して行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報端末は、複数の測位デバイスそれぞれが設置されている位置を示す情報を取得する取得部と、前記複数の測位デバイスのうち第1測位デバイスと前記情報端末との距離を測定する測距部と、前記第1測位デバイスと前記情報端末との距離に応じて、前記第1測位デバイスの位置と前記複数の測位デバイスのうち前記第1測位デバイスとは異なる複数の第2測位デバイスの位置とを用いて前記情報端末の位置を特定する第1測位処理と、前記第2測位デバイスの位置を用いることなく前記第1測位デバイスの位置を用いて前記情報端末の位置を特定する第2測位処理と、を切り替えて実行する測位部と、を有する。
【0007】
前記第2測位処理は、前記第1測位デバイスの位置を前記情報端末の位置として特定する処理であってもよい。
【0008】
前記第1測位処理は、前記第1測位デバイス及び複数の前記第2測位デバイスそれぞれの位置と、前記第1測位デバイス及び複数の前記第2測位デバイスそれぞれと前記情報端末との距離と、を用いて、前記情報端末の位置を特定する処理であってもよい。
【0009】
前記測位部は、前記第1測位デバイスと前記情報端末との距離が基準距離以上である場合に前記第1測位処理を実行し、前記第1測位デバイスと前記情報端末との距離が前記基準距離未満である場合に前記第2測位処理を実行してもよい。
【0010】
前記測位部は、前記第1測位処理を用いて前記情報端末の位置を特定している場合と、前記第2測位処理を用いて前記情報端末の位置を特定している場合とで、異なる前記基準距離を用いて、前記第1測位処理と前記第2測位処理とを切り替えてもよい。
【0011】
前記情報端末は、前記測位部が特定した前記情報端末の位置が前記複数の測位デバイスそれぞれを基準とした領域のいずれかに含まれていることを条件として、前記情報端末に所定のコンテンツを再生させる再生制御部をさらに有してもよい。
【0012】
前記再生制御部は、前記複数の測位デバイスそれぞれに予め関連付けられた前記コンテンツのうち、前記情報端末の位置が含まれている前記領域に対応する前記測位デバイスに関連付けられた前記コンテンツを前記情報端末に再生させてもよい。
【0013】
前記再生制御部は、前記情報端末の位置が含まれている前記領域に対応する前記測位デバイスと前記情報端末との距離が基準距離以上であるか否かに応じて異なる前記コンテンツを前記情報端末に再生させてもよい。
【0014】
前記測位部は、前記第1測位デバイスと前記情報端末との距離が前記基準距離以上である場合に前記第1測位処理を実行し、前記第1測位デバイスと前記情報端末との距離が前記基準距離未満である場合に前記第2測位処理を実行してもよい。
【0015】
前記再生制御部は、前記情報端末の位置が含まれている前記領域が替わったことを条件として、前記コンテンツの再生を終了させてもよい。
【0016】
前記取得部は、前記情報端末の向きを示す情報を取得し、前記再生制御部は、前記情報端末の向きが、前記情報端末の位置が含まれている前記領域に対応する前記測位デバイスを向いていないことを条件として、前記コンテンツの再生を終了させてもよい。
【0017】
前記再生制御部は、所定の基準値以上の時間の間、前記情報端末の位置が前記複数の測位デバイスそれぞれに対応する前記領域に含まれていないことを条件として、前記コンテンツとは異なるコンテンツを前記情報端末に再生させてもよい。
【0018】
前記測位部は、前記第1測位デバイスと前記情報端末との距離に応じて、前記第1測位デバイスとの間で測位に用いる信号を送受信する頻度を変更してもよい。
【0019】
本発明の第2の態様の情報処理方法は、情報端末が実行する、複数の測位デバイスそれぞれが設置されている位置を示す情報を取得するステップと、前記複数の測位デバイスのうちいずれかの測位デバイスと前記情報端末との距離を測定するステップと、前記複数の測位デバイスのうち第1測位デバイスと前記情報端末との距離に応じて、前記第1測位デバイスの位置と前記複数の測位デバイスのうち前記第1測位デバイスとは異なる複数の第2測位デバイスの位置とを用いて前記情報端末の位置を特定する第1測位処理と、前記第2測位デバイスの位置を用いることなく前記第1測位デバイスの位置を用いて前記情報端末の位置を特定する第2測位処理と、を切り替えて実行するステップと、を有する。
【0020】
本発明の第3の態様のプログラムは、情報端末に、複数の測位デバイスそれぞれが設置されている位置を示す情報を取得するステップと、前記複数の測位デバイスのうちいずれかの測位デバイスと前記情報端末との距離を測定するステップと、前記複数の測位デバイスのうち第1測位デバイスと前記情報端末との距離に応じて、前記第1測位デバイスの位置と前記複数の測位デバイスのうち前記第1測位デバイスとは異なる複数の第2測位デバイスの位置とを用いて前記情報端末の位置を特定する第1測位処理と、前記第2測位デバイスの位置を用いることなく前記第1測位デバイスの位置を用いて前記情報端末の位置を特定する第2測位処理と、を切り替えて実行するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、情報端末が測位デバイスと無線接続をすることによる測位を安定して行えるようにすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図3】例示的な複数の測位デバイスの配置を説明するための模式図である。
【
図5】情報端末が測位デバイスと無線接続をする処理を説明するための模式図である。
【
図6】第1測位処理を説明するための模式図である。
【
図7】第2測位処理を説明するための模式図である。
【
図8】情報端末が測位デバイスと再接続を処理を説明するための模式図である。
【
図9】測位デバイスとコンテンツとの関係を説明するための模式図である。
【
図10】再生制御部が情報端末にコンテンツを再生させる方法を説明するための模式図である。
【
図11】再生制御部が情報端末にコンテンツの再生を終了させる方法を説明するための模式図である。
【
図12】情報端末が実行する例示的な情報処理方法のフローチャートを示す図である。
【
図13】情報端末が実行する例示的な情報処理方法のフローチャートを示す図である。
【
図14】情報端末が実行する例示的な情報処理方法のフローチャートを示す図である。
【
図15】情報端末が実行する例示的な情報処理方法のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[情報処理システムSの概要]
図1は、本実施形態に係る情報処理システムSの模式図である。情報処理システムSは、情報端末1と、複数の測位デバイス2と、を含む。情報処理システムSは、その他の端末、サーバ、装置等を含んでもよい。
【0024】
情報端末1は、ユーザが利用するコンピュータである。ユーザは、例えば、情報端末1を保持する人である。情報端末1は、例えば、スマートフォン、タブレット端末等のコンピュータである。情報端末1は、例えば、情報を表示するための液晶ディスプレイ等の表示部と、音を出力するためのスピーカ等の音出力部と、ユーザによる操作を受け付けるためのタッチパネル等の操作部と、を有する。情報端末1は、一又は複数の測位デバイス2と無線接続をすることにより、情報端末1の測位を行う。情報端末1が同時に無線接続をすることが可能な複数の測位デバイス2の数は、通信の仕様上、所定数以下(例えば、6個以下)に限られている。
【0025】
また、情報端末1は、所定のコンテンツを再生する。コンテンツは、例えば、表示部上に表示される文字又は画像と、音出力部から出力される音楽又は音声と、の少なくとも一方を含む。情報端末1は、再生対象のコンテンツを予め記憶していてもよく、情報端末1とは異なる装置から再生対象のコンテンツを受信してもよい。
【0026】
測位デバイス2は、情報端末1との間で無線信号を送受信する装置である。測位デバイス2は、例えば、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信の無線信号と、UWB(Ultra Wide Band:超広帯域)の無線信号と、を送受信するための通信部を有する。
【0027】
本実施形態に係る情報処理システムSが実行する処理の概要を以下に説明する。情報端末1は、情報端末1と無線接続をしている複数の測位デバイス2それぞれが設置されている位置を示す情報を取得する。複数の測位デバイス2のうちいずれかの測位デバイス2を第1測位デバイス2aといい、第1測位デバイスとは異なる測位デバイス2を第2測位デバイス2bという。
【0028】
情報端末1は、第1測位デバイス2aと情報端末1との距離を測定する。情報端末1は、第1測位デバイス2aと情報端末1との距離に応じて、第1測位デバイス2aの位置と複数の第2測位デバイス2bの位置とを用いて情報端末1の位置を特定する第1測位処理と、第2測位デバイス2bの位置を用いることなく第1測位デバイス2aの位置を用いて情報端末1の位置を特定する第2測位処理と、を切り替えて実行する。
【0029】
情報端末1は、特定した情報端末1の位置に応じたコンテンツを、表示部及び音出力部の少なくとも一方を用いて再生する。
【0030】
このように、情報処理システムSにおいて、情報端末1は、情報端末1と測位デバイス2との距離に応じて単一の測位デバイス2の位置を用いる測位処理と複数の測位デバイス2の位置を用いる測位処理とを切り替えて実行する。これにより、情報処理システムSは、情報端末1の測位を安定して行うことができる。
【0031】
[情報処理システムSの構成]
図2は、本実施形態に係る情報処理システムSのブロック図である。
図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、
図2に示したもの以外のデータの流れがあってもよい。
図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、
図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてもよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてもよい。
【0032】
情報端末1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を有する。情報端末1は、2つ以上の物理的に分離した装置が有線又は無線で接続されることにより構成されてもよい。また、情報端末1が有する機能のうち少なくとも一部は、コンピュータ資源の集合であるクラウドによって実行されてもよい。
【0033】
通信部11は、ネットワークを介して情報端末1との間でデータを送受信するための通信コントローラを有する。通信部11は、測位デバイス2から受信した無線信号が示す情報を制御部13に通知する。また、通信部11は、制御部13から出力された情報を示す無線信号を測位デバイス2に送信する。
【0034】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ、SSD(Solid State Drive)等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを予め記憶している。記憶部12は、情報端末1の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部13との間でデータの授受を行ってもよい。また、記憶部12は、表示部上に表示される文字又は画像と、音出力部から出力される音楽又は音声と、の少なくとも一方を含むコンテンツのデータを記憶する。
【0035】
制御部13は、接続部131と、測距部132と、取得部133と、切断部134と、測位部135と、再生制御部136と、を有する。制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、接続部131、測距部132、取得部133、切断部134、測位部135及び再生制御部136として機能する。
【0036】
以下、情報処理システムSが実行する処理について詳細に説明する。まず、本実施形態における複数の測位デバイス2の配置について説明する。
図3は、例示的な複数の測位デバイス2の配置を説明するための模式図である。
【0037】
複数の測位デバイス2は、所定の配置領域(展示場、店舗等)に配置される。情報端末1は、一又は複数の測位デバイス2との間で無線接続をすることにより情報端末1の位置を特定し、特定した位置に応じた情報(展示物の説明、商品の説明等)をユーザに提供する。
【0038】
複数の測位デバイス2は、例えば、配置領域の天井に固定される。情報端末1の記憶部12又はその他の記憶装置は、複数の測位デバイス2それぞれの位置(座標等)を示す情報を予め記憶している。複数の測位デバイス2それぞれの位置を示す情報は、例えば、複数の測位デバイス2を管理する管理者によって予め作成され、情報端末1の記憶部12又はその他の記憶装置に記憶される。
【0039】
また、情報端末1の記憶部12又はその他の記憶装置は、複数の測位デバイス2それぞれに予め関連付けられた複数の測位デバイス2を示すリストを予め記憶している。リストは、例えば、複数の測位デバイス2を管理する管理者によって予め作成され、情報端末1の記憶部12又はその他の記憶装置に記憶される。
【0040】
1つの測位デバイス2に関連付けられた複数の測位デバイス2は、例えば、当該1つの測位デバイス2に近い順に所定数の測位デバイス2である。また、1つの測位デバイス2に関連付けられた複数の測位デバイス2は、例えば、配置領域内を所定の順路に沿って移動するユーザが、当該1つの測位デバイス2に近付いた後に近付く可能性のある所定数の測位デバイス2であってもよい。
図3の例では、1つの測位デバイス2(
図3のc)に関連付けられた複数のデバイス(
図3のd、e、f)を示すリストが予め記憶されている。
【0041】
次に、本実施形態において情報端末1と測位デバイス2との無線接続の可否の判定に用いる基準距離について説明する。
図4(a)、
図4(b)は、基準距離を説明するための模式図である。
【0042】
本実施形態において、基準距離は、例えば、測位処理を切り替える基準とする第1基準距離(測位基準距離ともいう)と、無線接続を切断する基準とする距離である第2基準距離(切断基準距離ともいう)と、を含む。
【0043】
後述の測位部135は、情報端末1との距離が第1基準距離未満である測位デバイス2がある場合(
図4(a)の場合)に、1つの測位デバイス2の位置を用いて測位を行う測位処理を実行する。一方、後述の測位部135は、情報端末1との距離が第1基準距離未満である測位デバイス2がない(
図4(b)の場合)に、複数の測位デバイス2の位置を用いて測位を行う測位処理を実行する。
【0044】
また、後述の切断部134は、情報端末1と測位デバイス2とが無線接続をしている状態において、情報端末1と測位デバイス2との距離が第2基準距離以上である場合に、情報端末1と測位デバイス2との無線接続を切断する。
【0045】
次に、情報端末1が測位デバイス2と無線接続をする処理を説明する。
図5(a)、
図5(b)は、情報端末1が測位デバイス2と無線接続をする処理を説明するための模式図である。
【0046】
複数の測位デバイス2それぞれは、近距離無線通信の無線信号(例えば、アドバタイズ信号)を繰り返し送信する。近距離無線通信の無線信号は、例えば、送信元の測位デバイス2と近距離無線通信の無線接続をするための情報を含む。
【0047】
接続部131は、いずれかの測位デバイス2から、近距離無線通信の無線信号を受信する。接続部131は、複数の測位デバイス2から近距離無線通信の無線信号を受信した場合には、複数の測位デバイス2それぞれに対して以降の処理を行う。
【0048】
接続部131は、近距離無線通信の無線信号を受信した際の受信信号強度(例えば、RSSI(Received Signal Strength Indicator))を特定する。接続部131は、受信信号強度が所定の基準強度以上である場合に、無線信号の送信元の測位デバイス2と近距離無線通信の無線接続をする。一方、接続部131は、受信信号強度が基準強度未満である場合に、無線信号の送信元の測位デバイス2と近距離無線通信の無線接続をせずに処理を終了する。
【0049】
接続部131は、近距離無線通信の無線接続をしている測位デバイス2から、UWBの無線接続をするための接続情報を近距離無線通信によって受信する。接続部131は、受信した接続情報を用いて、近距離無線通信の無線接続をした測位デバイス2とUWBの無線接続をする。UWBの無線接続をするための接続情報を近距離無線通信によって受信する必要がない場合に、接続部131は、測位デバイス2と、近距離無線通信の無線接続をすることなくUWBの無線接続をしてもよい。
【0050】
接続部131が測位デバイス2と無線接続をしている間に、測距部132は、情報端末1と無線接続をしている測位デバイス2との距離を測定する。測距部132は、例えば、測位デバイス2にUWBの無線信号を送信した後、当該測位デバイス2が送信したUWBの無線信号を受信するまでの時間を用いて、情報端末1と当該測位デバイス2との距離を測定する。測距部132は、ここに示した具体的な方法に限られず、その他の方法によって情報端末1と測位デバイス2との距離を測定してもよい。
【0051】
以下、複数の測位デバイス2のうち、接続部131が無線接続をしているいずれか1つの測位デバイス2を第1測位デバイス2aとする。接続部131が複数の測位デバイス2と無線接続をしている場合に、情報端末1は、無線接続をしている複数の測位デバイス2のうちいずれかの測位デバイス2(例えば、測距部132が測定した距離が最も小さい測位デバイス2)を、第1測位デバイス2aとして選択してもよい。情報端末1は、接続部131が無線接続をしている複数の測位デバイス2が替わった場合に、既に選択された第1測位デバイス2aとは異なる測位デバイス2を新たに第1測位デバイス2aとして選択してもよい。
【0052】
接続部131は、測距部132が測定した情報端末1と第1測位デバイス2aとの距離が、所定の第1基準距離未満であるか否かを判定する。第1基準距離は、測位処理を切り替える基準とする所定の距離であり、例えば複数の測位デバイス2を管理する管理者によって予め指定されている。
図5(a)は情報端末1と第1測位デバイス2aとの距離が第1基準距離未満である場合を表しており、
図5(b)は情報端末1と第1測位デバイス2aとの距離が第1基準距離以上である場合を表している。
【0053】
情報端末1と第1測位デバイス2aとの距離が第1基準距離未満である場合に、取得部133は、記憶部12又はその他の記憶装置から、第1測位デバイス2aに予め関連付けられた複数の測位デバイスを示すリストを取得する。リストは、例えば、第1測位デバイス2aに近い順に所定数の測位デバイス2、又はユーザが第1測位デバイス2aに近付いた後に近付く可能性のある所定数の測位デバイス2である。一方、情報端末1と第1測位デバイス2aとの距離が第1基準距離以上である場合に、取得部133はリストを取得しなくてもよい。
【0054】
接続部131は、第1測位デバイス2aと無線接続をしている間に、第1測位デバイス2aとは異なる測位デバイス2である第2測位デバイス2bから、近距離無線通信の無線信号を受信する。
【0055】
接続部131は、情報端末1と第1測位デバイス2aとの距離が第1基準距離未満であるか否か、すなわち第1基準距離未満の第1測位デバイス2aがあるか否かを判定する。情報端末1と第1測位デバイス2aとの距離が第1基準距離未満である場合に、接続部131は、第2測位デバイス2bから受信した近距離無線通信の無線信号の受信信号強度が所定の基準強度以上であり、かつ取得部133が取得したリストに第2測位デバイス2bが含まれることを条件として、第2測位デバイス2bと近距離無線通信の無線接続をする。
【0056】
一方、情報端末1と第1測位デバイス2aとの距離が第1基準距離以上である場合に、接続部131は、第2測位デバイス2bから受信した近距離無線通信の無線信号の受信信号強度が基準強度以上であることを条件として、第2測位デバイス2bと近距離無線通信の無線接続をする。
【0057】
接続部131は、近距離無線通信の無線接続をしている第2測位デバイス2bから、UWBの無線接続をするための接続情報を近距離無線通信によって受信する。接続部131は、受信した接続情報を用いて、近距離無線通信の無線接続をした第2測位デバイス2bとUWBの無線接続をする。
【0058】
すなわち、接続部131は、情報端末1と第1測位デバイス2aとの距離が第1基準距離未満である場合に第2測位デバイス2bがリストに含まれることを条件として無線接続をし、情報端末1と第1測位デバイス2aとの距離が第1基準距離以上である場合に第2測位デバイス2bがリストに含まれるか否かによらず無線接続をする。
【0059】
なお、UWBの無線接続をするための接続情報を近距離無線通信によって受信する必要がない場合に、接続部131は、第2測位デバイス2bと、近距離無線通信の無線接続をすることなくUWBの無線接続をしてもよい。
【0060】
このように、接続部131は、第1測位デバイス2aと無線接続をした後、第1測位デバイス2aに予め関連付けられた複数の測位デバイス2のリストに含まれる第2測位デバイス2bと無線接続をする。これにより、情報処理システムSは、情報端末1が第1測位デバイス2aに近い第2測位デバイス2bやユーザの順路に沿った第2測位デバイス2bと無線接続することを促進し、測位に貢献しない測位デバイス2と無線接続をすることを抑制できる。
【0061】
切断部134は、接続部131が測位デバイス2と無線接続をする処理と平行して、所定の切断条件を満たす測位デバイス2との無線接続を切断(終了)する。切断部134は、例えば、情報端末1と測位デバイス2とがUWBの無線接続をしていない場合に近距離無線通信の無線接続のみを切断し、情報端末1と測位デバイス2とがUWBの無線接続をしている場合に近距離無線通信及びUWBの無線接続を切断する。
【0062】
切断部134は、例えば、情報端末1との距離が第2基準距離以上である測位デバイス2との無線接続を切断し、情報端末1との距離が第2基準距離未満の測位デバイス2との無線接続を維持する。第2基準距離は、無線接続を切断する基準とする第1基準距離(例えば、3.5m)より大きい所定の距離(例えば、12m)であり、例えば複数の測位デバイス2を管理する管理者によって予め指定されている。
【0063】
また、切断部134は、情報端末1と第1測位デバイス2aとの距離が第1基準距離未満であるか否か、すなわち第1基準距離未満の第1測位デバイス2aがあるか否かを判定する。切断部134は、情報端末1と第1測位デバイス2aとの距離が第1基準距離未満である場合に、取得部133が取得したリストに含まれていない測位デバイス2との無線接続を切断し、取得部133が取得したリストに含まれている測位デバイス2との無線接続を維持する。
【0064】
また、切断部134は、接続部131が無線接続をしている複数の測位デバイス2の数と所定の基準台数との関係に応じて、無線接続を切断するか否かを切り替えてもよい。基準台数は、無線接続を切断する基準とする測位デバイス2の数であって、情報端末1が同時に無線接続をすることが可能な測位デバイス2の最大数よりも小さい数である。
【0065】
切断部134は、例えば、情報端末1と第1測位デバイス2aとの距離が第1基準距離以上であり、かつ接続部131が無線接続をしている複数の測位デバイス2の数が基準台数以上であることを条件として、接続部131が無線接続をしている複数の測位デバイス2の台数が基準台数未満となるように、測距部132が測定した情報端末1との距離が大きい順に一又は複数の測位デバイス2との無線接続を切断する。これにより、情報処理システムSは、情報端末1が無線接続をしている複数の測位デバイス2の数が最大数に達しないように制御し、情報端末1が新たな測位デバイス2と無線接続をすることができる状態を維持することができる。
【0066】
また、接続部131は、情報端末1と第1測位デバイス2aとの距離が第1基準距離未満である場合に、接続部131が無線接続をしている測位デバイス2の数が基準台数未満であることを条件として、リストに含まれていない第2測位デバイス2bと無線接続をしてもよい。すなわち、接続部131は、第2測位デバイス2bがリストに含まれていない場合であっても、接続部131が無線接続をしている測位デバイス2の数が基準台数に満たない場合には第2測位デバイス2bと無線接続をしてもよい。これにより、情報処理システムSは、情報端末1が無線接続をしている測位デバイス2の数が少ない状況では情報端末1に測位デバイス2と柔軟に無線接続をさせることができる。
【0067】
次に、情報端末1が測位をする処理を説明する。取得部133は、記憶部12又はその他の記憶装置から、複数の測位デバイス2それぞれの位置(座標等)を示す情報を取得する。取得部133は、複数の測位デバイス2全ての位置を示す情報を取得してもよく、情報端末1と無線接続をしている一又は複数の測位デバイス2のみの位置を示す情報を取得してもよい。測距部132は、複数の測位デバイス2のうち第1測位デバイス2aと情報端末1との距離を測定する。
【0068】
測位部135は、情報端末1と第1測位デバイス2aとの距離に応じて、第1測位処理と第2測位処理とを切り替えて実行する。測位部135は、情報端末1と第1測位デバイス2aとの距離が第1基準距離未満であるか否か、すなわち第1基準距離未満の第1測位デバイス2aがあるか否かを判定する。測位部135は、例えば、情報端末1と第1測位デバイス2aとの距離が第1基準距離以上である場合に第1測位処理を実行し、情報端末1と第1測位デバイス2aとの距離が第1基準距離未満である場合に第2測位処理を実行する。
【0069】
図6は、第1測位処理を説明するための模式図である。測位部135は、情報端末1と第1測位デバイス2aとの距離が第1基準距離以上である場合に、第1測位処理として、第1測位デバイス2a及び第2測位デバイス2bを含む複数の測位デバイス2それぞれの位置と、情報端末1と第1測位デバイス2a及び第2測位デバイス2bを含む複数の測位デバイス2それぞれとの距離と、を用いて、情報端末1の位置を特定する。
【0070】
本実施形態では、測位部135は、第1測位デバイス2a及び複数の第2測位デバイス2bを含む4個の測位デバイス2の位置及び距離を用いて情報端末1の位置を算出するが、複数の測位デバイスが同じ高さに設置されている場合等においては3個の測位デバイス2の位置及び距離を用いて情報端末1の位置を算出してもよい。
【0071】
測位部135は、取得部133が取得した情報が示す位置と、測距部132が測定した距離と、を用いて、情報端末1の位置を算出する。測位部135は、例えば、既知の三点測量法及び逐次計算法(ニュートン法)等を用いて、情報端末1の位置を算出する。
【0072】
このように、情報処理システムSは、複数の測位デバイス2と情報端末1との間で無線信号を送受信することにより測定した距離を用いて情報端末1の位置を特定するため、高い精度で情報端末1の位置を測定することができる。
【0073】
図7は、第2測位処理を説明するための模式図である。測位部135は、情報端末1と第1測位デバイス2aとの距離が第1基準距離未満である場合に、第2測位処理として、第2測位デバイス2bの位置を用いることなく第1測位デバイス2aの位置を用いて情報端末1の位置を特定する。測位部135は、取得部133が取得した情報が示す第1測位デバイス2aの位置を、情報端末1の位置として特定する。
【0074】
図7の例は、第1基準距離が3.5mであり、第1測位デバイス2aの設置高が4.4mであり、情報端末1が地上から1.0mの位置にある状況を表している。このような状況において、地面に水平な面における情報端末1の位置の誤差は約0.83mと低い値になるため、第1測位デバイス2aの位置を情報端末1の位置とみなすことができる。このように、情報処理システムSは、情報端末1と第1測位デバイス2aとが十分に近い場合には第1測位デバイス2aの位置を情報端末1の位置として特定するため、情報端末1が3個以上の測位デバイス2と無線接続をしていない状況であっても速やかに情報端末1の位置を測定することができる。
【0075】
測位部135は、第1測位処理を用いて情報端末1の位置を特定している場合と、第2測位処理を用いて情報端末1の位置を特定している場合とで、異なる第1基準距離を用いて、第1測位処理と第2測位処理とを切り替えてもよい。測位部135は、例えば、第1測位処理を用いて情報端末1の位置を特定している場合の第1基準距離(例えば、3.5m)を、第2測位処理を用いて情報端末1の位置を特定している場合の第1基準距離(例えば、4.5m)よりも小さくする。
【0076】
測位部135は、例えば、第1測位処理を実行している情報端末1と測位デバイス2との距離が3.5m未満になると第1測位処理から第2測位処理に切り替え、第2測位処理を実行している情報端末1と測位デバイス2との距離が4.5m以上になると第2測位処理から第1測位処理に切り替える。これにより、情報処理システムSは、情報端末1と測位デバイス2との距離が第1基準距離に近い状態において頻繁に測位処理が切り替わることを抑制し、情報端末1の測位をより安定して行うことができる。
【0077】
次に、情報端末1が測位デバイス2との無線接続を切断した後に再接続をする処理を説明する。
図8(a)、
図8(b)は、情報端末1が測位デバイス2と再接続を処理を説明するための模式図である。
【0078】
図8(a)に示すように、接続部131は、情報端末1と測位デバイス2との無線接続が切断された後に、情報端末1が所定の第3基準距離以上の距離を移動したことを条件として当該測位デバイス2と再び無線接続をしてもよい。第3基準距離は、再接続の基準とする所定の距離であり、例えば複数の測位デバイス2を管理する管理者によって予め指定されている。この場合に、接続部131は、例えば、情報端末1が備える撮像部が撮像した情報端末1周囲の撮像画像、加速度センサによる測定情報等に基づいて、情報端末1が第3基準距離以上の距離を移動したことを特定する。これにより、情報処理システムSは、情報端末1と測位デバイス2との無線接続が切断された場合であっても、情報端末1が移動して測位デバイス2との位置関係が変わった可能性のあるタイミングで、情報端末1に測位デバイス2と再び無線接続をさせることができる。
【0079】
図8(b)に示すように、接続部131は、情報端末1と測位デバイス2との無線接続が切断された後に、情報端末1が所定の基準値以上の時間移動しなかったことを条件として当該測位デバイス2と再び無線接続をしてもよい。時間の基準値は、再接続の基準とする所定の時間であり、例えば複数の測位デバイス2を管理する管理者によって予め指定されている。この場合に、接続部131は、例えば、情報端末1が備える撮像部が撮像した情報端末1周囲の撮像画像、加速度センサによる測定情報等に基づいて、情報端末1が所定の基準値以上の時間移動しなかったことを特定する。これにより、情報処理システムSは、情報端末1と測位デバイス2との無線接続が切断された場合であっても、情報端末1が長時間同じ場所に留まっている場合には、情報端末1に測位デバイス2と再び無線接続をさせることができる。
【0080】
また、接続部131は、切断部134が無線接続を切断する上述の切断条件以外の理由(デバイスエラー等)によって情報端末1と測位デバイス2との無線接続が切断された場合に、当該測位デバイス2と再び無線接続をしなくてもよい。これにより、情報処理システムSは、情報端末1が何らかの異常が発生している測位デバイス2との無線接続を試みることを抑制できる。
【0081】
次に、情報端末1が測位結果に基づいてコンテンツを再生する処理を説明する。コンテンツは、例えば、情報端末1の表示部上に表示される文字又は画像と、情報端末1の音出力部から出力される音楽又は音声と、の少なくとも一方を含む。コンテンツの内容は、例えば、複数の測位デバイス2が配置されている配置領域にある物品(展示品、商品等)に関する情報である。
【0082】
図9は、測位デバイス2とコンテンツとの関係を説明するための模式図である。情報端末1の記憶部12又はその他の記憶装置は、複数の測位デバイス2それぞれと、コンテンツと、を関連付けた情報を予め記憶している。1つのコンテンツには、複数の測位デバイス2が関連付けられてもよい。
【0083】
後述の再生制御部136は、情報端末1の位置が測位デバイス2を基準とした再生領域Rに含まれていることを条件として、当該測位デバイス2に関連付けられたコンテンツを情報端末1に再生させる。再生領域Rは、例えば、測位デバイス2から第2基準距離以内(例えば、12m)の領域である。
図9の例では再生領域Rは測位デバイス2を中心とした円形領域だが、多角形領域等のその他の形状の領域であってもよい。
【0084】
測位デバイス2は、再生領域R内で測位デバイス2と情報端末1との距離が第1基準距離(例えば、3.5m)以上である場合に再生されるコンテンツ(
図9中のコンテンツα)と、第1基準距離未満である場合に再生されるコンテンツ(
図9中のコンテンツβ)と、に関連付けられていてもよい。
【0085】
再生制御部136は、測位部135が特定した情報端末1の位置に基づいて、情報端末1にコンテンツを再生させる。
図10は、再生制御部136が情報端末1にコンテンツを再生させる方法を説明するための模式図である。
【0086】
取得部133は、記憶部12又はその他の記憶装置から、複数の測位デバイス2それぞれの位置(座標等)を示す情報を取得する。取得部133は、複数の測位デバイス2全ての位置を示す情報を取得してもよく、情報端末1と無線接続をしている一又は複数の測位デバイス2のみの位置を示す情報を取得してもよい。測距部132は、情報端末1と無線接続をしている一又は複数の測位デバイス2それぞれと情報端末1との距離を測定する。
【0087】
再生制御部136は、測位部135が特定した情報端末1の位置が、複数の測位デバイス2それぞれを基準とした再生領域Rのいずれかに含まれているか否かを判定する。再生制御部136は、情報端末1の位置がいずれかの再生領域Rに含まれていることを条件として、情報端末1に所定のコンテンツを再生させる。
【0088】
再生制御部136は、情報端末1の位置がいずれかの測位デバイス2に対応するいずれかの再生領域Rに含まれている場合に、情報端末1の記憶部12又はその他の記憶装置に記憶された、複数の測位デバイス2それぞれと、コンテンツと、を関連付けた情報において、当該測位デバイス2に関連付けられたコンテンツを特定する。情報端末1の位置が複数の測位デバイス2に対応する複数の再生領域Rに含まれている場合に、再生制御部136は、複数の測位デバイス2のうち最も近い測位デバイス2を選択し、選択した測位デバイス2に関連付けられたコンテンツを特定してもよい。
【0089】
再生制御部136は、特定したコンテンツを、記憶部12から読み出し、又は情報端末1とは異なる装置から受信する。再生制御部136は、特定したコンテンツの再生を、情報端末1の表示部又は音出力部の少なくとも一方に開始させる。再生制御部136は、例えば、特定したコンテンツである文字又は画像を表示部上に表示し、又はコンテンツである音楽又は音声を音出力部から出力させる。これにより、情報処理システムSは、情報端末1が近付いた測位デバイス2に応じたコンテンツを情報端末1に再生させることができる。
【0090】
また、再生制御部136は、情報端末1の位置が含まれている再生領域Rに対応する測位デバイス2と情報端末1との距離が第1基準距離以上であるか否かに応じて異なるコンテンツを情報端末1に再生させてもよい。この場合に、再生制御部136は、測位デバイス2に関連付けられた2つの異なるコンテンツを特定する。
【0091】
再生制御部136は、例えば、情報端末1の位置が含まれている再生領域Rに対応する測位デバイス2と情報端末1との距離が第1基準距離以上である場合に、第1のコンテンツ(例えば、
図9のコンテンツα)の再生を情報端末1に再生を開始させ、当該測位デバイス2と情報端末1との距離が第1基準距離未満である場合に、第2のコンテンツ(例えば、
図9のコンテンツβ)の再生を情報端末1に開始させる。これにより、情報処理システムSは、情報端末1と測位デバイス2との間の距離に応じて情報端末1に再生させるコンテンツを柔軟に変えることができる。
【0092】
再生制御部136は、所定の基準値以上の時間の間、情報端末1の位置が複数の測位デバイス2それぞれに対応する再生領域Rのいずれにも含まれていないことを条件として、所定のコンテンツを情報端末1に再生させてもよい。情報端末1の位置が再生領域Rに含まれていない場合に再生されるコンテンツは、複数の測位デバイス2それぞれに関連付けられたコンテンツとは異なるコンテンツである。
【0093】
情報端末1の位置が再生領域Rに含まれていない場合に再生されるコンテンツは、例えば、複数の測位デバイス2のうち情報端末1の現在の位置に最も近い測位デバイス2の位置に誘導する情報(地図、経路等)であってもよい。また、情報端末1の位置が再生領域Rに含まれていない場合に再生されるコンテンツは、例えば複数の測位デバイス2のうち、直前に情報端末1の位置が再生領域Rに含まれていた測位デバイス2とは異なる測位デバイス2の位置に誘導する情報(地図、経路等)であってもよい。これにより、情報処理システムSは、例えば、情報端末1がいずれの測位デバイス2にも近付かない場合に、測位デバイス2に近付くように促すことができる。
【0094】
再生制御部136は、所定の終了条件が満たされたことに応じて、情報端末1にコンテンツの再生を終了させる。
図11(a)、
図11(b)は、再生制御部136が情報端末1にコンテンツの再生を終了させる方法を説明するための模式図である。
【0095】
図11(a)に示すように、再生制御部136は、例えば、終了条件として、情報端末1の位置が含まれている再生領域Rが替わったことを条件として、コンテンツの再生を終了させてもよい。情報端末1の位置が含まれている再生領域Rが替わったことは、例えば、情報端末1の位置がある測位デバイス2に対応する再生領域Rから別の測位デバイス2に再生領域Rに含まれるようになったこと、又は情報端末1の位置が複数の測位デバイス2それぞれに対応する再生領域Rのいずれにも含まれなくなったことである。これにより、情報処理システムSは、情報端末1が再生中のコンテンツに対応する測位デバイス2から離れたことに応じて、情報端末1にコンテンツの再生を停止させることができる。
【0096】
図11(b)に示すように、再生制御部136は、例えば、終了条件として、情報端末1の向きが、情報端末1の位置が含まれている再生領域Rに対応する測位デバイス2を向いていないことを条件として、コンテンツの再生を終了させてもよい。この場合に、取得部133は、情報端末1が備えるジャイロセンサ又は磁気センサ等から、情報端末1の向きを示す情報を取得する。再生制御部136は、情報端末1の位置における情報端末1の向きが、測位デバイス2の位置を向いているか否かを判定する。
【0097】
再生制御部136は、情報端末1の向きが測位デバイス2の位置を向いていないと判定したことを条件として、情報端末1にコンテンツの再生を終了させる。一方、再生制御部136は、情報端末1の向きが測位デバイス2の位置を向いていると判定したことを条件として、情報端末1にコンテンツの再生を終了させない。これにより、情報処理システムSは、情報端末1が再生中のコンテンツに対応する測位デバイス2の方を向いていないこと(例えば、ユーザが測位デバイス2から離れようとしていること)に応じて、情報端末1にコンテンツの再生を停止させることができる。
【0098】
また、再生制御部136は、コンテンツの再生が完了したことを条件として、情報端末1にコンテンツの再生を終了させ、又は情報端末1にコンテンツを最初から再生させてもよい。
【0099】
[情報処理方法のフロー]
図12、
図13、
図14及び
図15は、本実施形態に係る情報端末1が実行する例示的な情報処理方法のフローチャートを示す図である。
図12は、情報端末1が測位デバイス2と無線接続を実行する処理を表している。接続部131は、いずれかの測位デバイス2から、近距離無線通信の無線信号を受信する(S11)。接続部131は、近距離無線通信の無線信号を受信した際の受信信号強度を特定する。受信信号強度が基準強度未満である場合に(S12のNO)、接続部131は測位デバイス2と無線接続をせずに処理を終了する。
【0100】
受信信号強度が基準強度以上である場合に(S12のYES)、接続部131は、情報端末1と第1測位デバイス2aとの距離が第1基準距離未満であるか否か、すなわち第1基準距離未満の第1測位デバイス2aがあるか否かを判定する。情報端末1と第1測位デバイス2aとの距離が第1基準距離未満の第1測位デバイス2aがない場合に(S13のNO)、接続部131はステップS15に進む。
【0101】
情報端末1と第1測位デバイス2aとの距離が第1基準距離未満の第1測位デバイス2aがある場合に(S13のYES)、接続部131は、今回無線接続をしようとしている測位デバイス2(第2測位デバイス2b)が、第1測位デバイス2aに予め関連付けられた複数の測位デバイスを示すリストに含まれるか否かを判定する。
【0102】
測位デバイス2がリストに含まれない場合に(S14のNO)、接続部131は、接続部131は測位デバイス2と無線接続をせずに処理を終了する。測位デバイス2がリストに含まれる場合に(S14のYES)、接続部131はステップS15に進む。
【0103】
接続部131は、測位デバイス2と近距離無線通信の無線接続を実行する(S15)。接続部131は、近距離無線通信の無線接続をしている測位デバイス2から、UWBの無線接続をするための接続情報を近距離無線通信によって受信する(S16)。接続部131は、受信した接続情報を用いて、近距離無線通信の無線接続をした測位デバイス2とUWBの無線接続を実行する(S17)。
【0104】
図13は、情報端末1が測位デバイス2との無線接続を切断する処理を表している。接続部131が測位デバイス2と無線接続をしている間に、測距部132は、情報端末1と無線接続をしている測位デバイス2との距離を測定する(S21)。
【0105】
情報端末1と測位デバイス2との距離が第2基準距離以上である場合に(S22のNO)、切断部134は、測位デバイス2との無線接続を切断する(S23)。情報端末1と測位デバイス2との距離が第2基準距離未満である場合に(S22のYES)、切断部134は、情報端末1と第1測位デバイス2aとの距離が第1基準距離未満であるか否か、すなわち第1基準距離未満の第1測位デバイス2aがあるか否かを判定する。
【0106】
情報端末1と第1測位デバイス2aとの距離が第1基準距離未満の第1測位デバイス2aがない場合に(S24のNO)、切断部134は、接続部131が無線接続をしている複数の測位デバイス2の数が基準台数以上であるか否かを判定する。
【0107】
接続部131が無線接続をしている複数の測位デバイス2の数が基準台数未満である場合に(S25のNO)、切断部134は無線接続を維持する(S27)。接続部131が無線接続をしている複数の測位デバイス2の数が基準台数以上である場合に(S25のYES)、接続部131が無線接続をしている複数の測位デバイス2の台数が基準台数未満となるように一又は複数の測位デバイス2との無線接続を切断する(S23)。
【0108】
情報端末1と第1測位デバイス2aとの距離が第1基準距離未満の第1測位デバイス2aがある場合に(S24のYES)、測位デバイス2(第2測位デバイス2b)が、第1測位デバイス2aに予め関連付けられた複数の測位デバイスを示すリストに含まれるか否かを判定する。測位デバイス2がリストに含まれない場合に(S26のNO)、切断部134は、測位デバイス2との無線接続を切断する(S23)。測位デバイス2がリストに含まれる場合に(S26のYES)、切断部134は無線接続を維持する(S27)。
【0109】
図14は、情報端末1が測位をする処理を表している。接続部131が測位デバイス2と無線接続をしている間に、測距部132は、情報端末1と無線接続をしている測位デバイス2との距離を測定する(S31)。ここで測距部132は、ステップS21で測定した距離を用いてもよい。
【0110】
測位部135は、情報端末1と第1測位デバイス2aとの距離が第1基準距離未満であるか否か、すなわち第1基準距離未満の第1測位デバイス2aがあるか否かを判定する。情報端末1と第1測位デバイス2aとの距離が第1基準距離未満の第1測位デバイス2aがない場合に(S32のNO)、測位部135は、第1測位デバイス2a及び第2測位デバイス2bを含む複数の測位デバイス2それぞれの位置と、情報端末1と第1測位デバイス2a及び第2測位デバイス2bを含む複数の測位デバイス2それぞれとの距離と、を用いて、情報端末1の位置を特定する第1測位処理を実行する(S33)。
【0111】
情報端末1と第1測位デバイス2aとの距離が第1基準距離未満の第1測位デバイス2aがある場合に(S32のYES)、測位部135は、第2測位デバイス2bの位置を用いることなく第1測位デバイス2aの位置を用いて情報端末1の位置を特定する第2測位処理を実行する(S34)。
【0112】
図15は、情報端末1がコンテンツを再生する処理を表している。取得部133は、記憶部12又はその他の記憶装置から、複数の測位デバイス2それぞれの位置(座標等)を示す情報を取得する(S41)。測距部132は、情報端末1と無線接続をしている一又は複数の測位デバイス2それぞれと情報端末1との距離を測定する(S42)。ここで測距部132は、ステップS21で測定した距離を用いてもよい。
【0113】
再生制御部136は、測位部135が特定した情報端末1の位置が、複数の測位デバイス2それぞれを基準とした再生領域Rのいずれかに含まれているか否かを判定する。情報端末1の位置が複数の測位デバイス2に対応する複数の再生領域Rのいずれにも含まれていない場合に(S43のNO)。再生制御部136は情報端末1にコンテンツを再生させることなく処理を終了する。
【0114】
情報端末1の位置がいずれかの測位デバイス2に対応するいずれかの再生領域Rに含まれている場合に(S43のYES)。再生制御部136は、例えば、情報端末1の位置が含まれている再生領域Rに対応する測位デバイス2と情報端末1との距離が第1基準距離未満であるか否か(第1基準距離以上であるか否か)を判定する。
【0115】
測位デバイス2と情報端末1との距離が第1基準距離以上である場合に(S44のNO)、再生制御部136は、第1のコンテンツを情報端末1に再生させる(S45)。測位デバイス2と情報端末1との距離が第1基準距離未満である場合に(S44のYES)、再生制御部136は、第1のコンテンツとは異なる第2のコンテンツを情報端末1に再生させる(S46)。
【0116】
再生制御部136は、コンテンツの再生を情報端末1に開始させた後に、所定の終了条件が満たされたか否かを判定する。終了条件が満たされていない場合に(S47のNO)、再生制御部136は、コンテンツの再生を情報端末1に継続させる。終了条件が満たされた場合に(S47のYES)、再生制御部136は、コンテンツの再生を情報端末1に終了させる(S48)。
【0117】
[実施形態の効果]
本実施形態に係る情報処理システムSによれば、情報端末1は、情報端末1は、情報端末1と測位デバイス2との距離に応じて単一の測位デバイス2の位置を用いる測位処理と複数の測位デバイス2の位置を用いる測位処理とを切り替えて実行する。これにより、情報処理システムSは、情報端末1の測位を安定して行うことができる。
【0118】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0119】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0120】
S 情報処理システム
1 情報端末
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 接続部
132 測距部
133 取得部
134 切断部
135 測位部
136 再生制御部
2 測位デバイス
【要約】
【課題】情報端末が測位デバイスと無線接続をすることによる測位を安定して行えるようにする。
【解決手段】情報端末1は、複数の測位デバイスそれぞれが設置されている位置を示す情報を取得する取得部133と、複数の測位デバイスのうち第1測位デバイスと情報端末との距離を測定する測距部132と、第1測位デバイスと情報端末との距離に応じて、第1測位デバイスの位置と複数の測位デバイスのうち第1測位デバイスとは異なる複数の第2測位デバイスの位置とを用いて情報端末の位置を特定する第1測位処理と、第2測位デバイスの位置を用いることなく第1測位デバイスの位置を用いて情報端末の位置を特定する第2測位処理と、を切り替えて実行する測位部135と、を有する。
【選択図】
図2