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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-20
(45)【発行日】2024-11-28
(54)【発明の名称】バッテリー用緩衝材
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/658 20140101AFI20241121BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20241121BHJP
【FI】
H01M10/658
H01M10/625
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024524243
(86)(22)【出願日】2023-04-25
(86)【国際出願番号】 JP2023016308
(87)【国際公開番号】W WO2023233874
(87)【国際公開日】2023-12-07
【審査請求日】2024-07-29
(31)【優先権主張番号】P 2022090743
(32)【優先日】2022-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(74)【代理人】
【識別番号】100132403
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 儀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100217102
【弁理士】
【氏名又は名称】冨永 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100189289
【弁理士】
【氏名又は名称】北尾 拓洋
(72)【発明者】
【氏名】山崎 俊二
(72)【発明者】
【氏名】大山 貴之
(72)【発明者】
【氏名】許 方満
(72)【発明者】
【氏名】輕部 翔太郎
【審査官】三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/262081(WO,A1)
【文献】特開2021-140968(JP,A)
【文献】特開2006-134853(JP,A)
【文献】特開2021-99940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/52-10/667
H01M 50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凸部を有する弾性部材と、
貫通孔が形成された板状の構造体である断熱部材と、を備え、
前記断熱部材が、前記弾性部材の一方の面側及び他方の面側にそれぞれ配置され、前記断熱部材の前記貫通孔から前記弾性部材の前記凸部が突出しており、
前記弾性部材と前記断熱部材との間には、前記弾性部材の圧縮変形を可能にする隙間が形成されている、バッテリー用緩衝材。
【請求項2】
前記弾性部材の前記凸部が、頂点部に向かって先細りする突起状である、請求項に記載のバッテリー用緩衝材。
【請求項3】
前記弾性部材は、その厚さ方向の断面における形状が、凹凸を繰り返す波型である、請求項に記載のバッテリー用緩衝材。
【請求項4】
前記弾性部材の前記凸部が、柱状である、請求項に記載のバッテリー用緩衝材。
【請求項5】
前記弾性部材と前記断熱部材とが別体である、請求項2または4に記載のバッテリー用緩衝材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリー用緩衝材に関する。更に詳しくは、電気自動車などに用いられる二次電池などのバッテリーに使用されるバッテリー用緩衝材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車などのエネルギー源としてバッテリー(二次電池)が広く利用されている。このバッテリーは、複数の電池セルと緩衝材(バッテリー用緩衝材)などを備えている。この電池セルの構成としては、正極、負極、及びセパレータを積層させた電極組立体を有し、この電極組立体を収納ケースに収容したものなどが知られている。
【0003】
このバッテリーは、リチウムイオン電池などがある。そして、バッテリーは、このバッテリーを構成する電極組立体が収容された複数の収納ケース(電池セル)を積層させて、その積層方向に拘束する拘束部を備えている。この拘束部は、収納ケースの外側に配置され、収納ケースを外側から拘束するものである。
【0004】
そして、このようなバッテリーは、複数の収納ケース(電池セル)が上記拘束部に拘束された状態で配置され、充放電時に生じる発熱によって膨張したり収縮したりする。
【0005】
バッテリーは、上記充放電に伴う膨張と収縮による体積の変化に起因して電極(電極粒子)の破砕が生じることがあり、その場合、バッテリーの寿命が短くなる傾向がある。また、バッテリー内部の特定の電池セルが発熱し、この電池セルが発熱したことを契機に他の電池セルの発熱を引き起こすことで、バッテリー温度の上昇が続き、バッテリーが熱暴走したり火災を発生させたりする懸念もある。
【0006】
このようなことから、バッテリーは、その使用時における電池セルの膨張及び収縮の抑制と熱暴走時における電池セル間の断熱が重要である。そこで、隣り合う電池セルの間には、耐熱性を有する弾性体と断熱性を確保するための断熱材とを備える緩衝材(バッテリー用緩衝材)を配置することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2021-140968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の電池用断熱材の図1Aに示すように断熱部と緩衝部とが積層された積層構造体(緩衝材)である場合、電池セルの膨張によって断熱部もその厚さ方向の外力を受けて圧縮される。そして、このように外力を受けて圧縮されると、断熱部は、その断熱性能が低下する懸念がある。
【0009】
特に、バッテリーを構成するセル同士の間隔(即ち、バッテリー用緩衝材の配置スペース)は非常に狭く、一のセルが発熱すると、その隣のセルにもその熱が伝わり易い状況にあるため、僅かな断熱性能の低下も抑制することが望ましい。そこで、断熱性能を有するバッテリー用緩衝材において、厚さ方向の外力を受けて圧縮された場合にも断熱性能を低下させ難いバッテリー用緩衝材の開発が望まれていた。
【0010】
本発明は、このような従来技術に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、断熱部材を備えることによって断熱性能を有するバッテリー用緩衝材において、その厚さ方向に外力を受けて圧縮された場合にも断熱性能が低下し難いバッテリー用緩衝材を開発することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、以下に示す、バッテリー用緩衝材が提供される。
【0012】
[1] 凸部を有する弾性部材と、
貫通孔が形成された板状の構造体である断熱部材と、を備え、
前記断熱部材が、前記弾性部材の一方の面側及び他方の面側にそれぞれ配置され、前記断熱部材の前記貫通孔から前記弾性部材の前記凸部が突出している、バッテリー用緩衝材。
【0013】
[2] 前記弾性部材と前記断熱部材との間には、前記弾性部材の圧縮変形を可能にする隙間が形成されている、前記[1]に記載のバッテリー用緩衝材。
【0014】
[3] 前記弾性部材の前記凸部が、頂点部に向かって先細りする突起状である、前記[2]に記載のバッテリー用緩衝材。
【0015】
[4] 前記弾性部材は、その厚さ方向の断面における形状が、凹凸を繰り返す波型である、前記[3]に記載のバッテリー用緩衝材。
【0016】
[5] 前記弾性部材の前記凸部が、柱状である、前記[2]に記載のバッテリー用緩衝材。
【0017】
[6] 少なくとも一方の物品が膨張及び収縮する2つの物品の間に配置され、
膨張及び収縮する前記物品の膨張による外力を受けて圧縮変形する弾性部材と、
前記弾性部材が圧縮変形した際にも前記物品からの外力を受けずに圧縮変形しない断熱部材と、を備える、バッテリー用緩衝材。
【0018】
[7] 前記弾性部材と前記断熱部材とが別体である、前記[3]、[5]、または[6]に記載のバッテリー用緩衝材。
【発明の効果】
【0019】
本発明のバッテリー用緩衝材は、断熱部材を備えることによって断熱性能を有するバッテリー用緩衝材であって、その厚さ方向に外力を受けて圧縮された場合にも断熱性能が低下し難いという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明のバッテリー用緩衝材の一の実施形態を模式的に示す斜視図である。
図2】本発明のバッテリー用緩衝材の一の実施形態を模式的に示す平面図である。
図3図2に示すバッテリー用緩衝材のA-A断面を模式的に示す断面図である。
図4A】本発明のバッテリー用緩衝材における凸部の一の実施形態を模式的に示す斜視図である。
図4B】本発明のバッテリー用緩衝材における凸部の他の実施形態を模式的に示す斜視図である。
図4C】本発明のバッテリー用緩衝材における凸部の更に他の実施形態を模式的に示す斜視図である。
図4D】本発明のバッテリー用緩衝材における凸部の更に他の実施形態を模式的に示す斜視図である。
図4E】本発明のバッテリー用緩衝材における凸部の更に他の実施形態を模式的に示す斜視図である。
図4F】本発明のバッテリー用緩衝材における凸部の更に他の実施形態を模式的に示す斜視図である。
図4G】本発明のバッテリー用緩衝材における凸部の更に他の実施形態を模式的に示す斜視図である。
図5】本発明のバッテリー用緩衝材の他の実施形態を模式的に示す平面図である。
図6】本発明のバッテリー用緩衝材の更に他の実施形態を模式的に示す平面図である。
図7図6に示すバッテリー用緩衝材のB-B断面を模式的に示す断面図である。
図8図7に示すバッテリー用緩衝材における圧縮変形時の状態を模式的に示す説明図である。
図9】本発明のバッテリー用緩衝材の更に他の実施形態を模式的に示す平面図である。
図10図9に示すバッテリー用緩衝材のC-C断面を模式的に示す断面図である。
図11】本発明のバッテリー用緩衝材の更に他の実施形態を模式的に示す斜視図である。
図12図11に示すバッテリー用緩衝材の厚さ方向の断面を模式的に示す断面図である。
図13】本発明のバッテリー用緩衝材の更に他の実施形態における図12に対応する断面図である。
図14】本発明のバッテリー用緩衝材の更に他の実施形態を模式的に示す平面図である。
図15図14に示すバッテリー用緩衝材のD-D断面を模式的に示す断面図である。
図16図15に示すバッテリー用緩衝材における圧縮変形時の状態を模式的に示す説明図である。
図17】本発明のバッテリー用緩衝材の一の実施形態の使用状態を模式的に示す断面図である。
図18】本発明のバッテリー用緩衝材の一の実施形態の他の使用状態を模式的に示す断面図である。
図19】従来のバッテリー用緩衝材を模式的に示す斜視図である。
図20】従来のバッテリー用緩衝材が外圧を受けた状態を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
【0022】
(1)バッテリー用緩衝材:
本発明のバッテリー用緩衝材は、少なくとも一方の物品が膨張及び収縮する2つの物品の間に配置され、膨張及び収縮する物品の膨張による外力を受けて圧縮変形する弾性部材と、弾性部材が圧縮変形した際にも物品からの外力を受けずに圧縮変形しない断熱部材と、を備えている。
【0023】
このようなバッテリー用緩衝材は、断熱部材を備えることによって断熱性能を有するバッテリー用緩衝材であって、その厚さ方向に外力を受けて圧縮された場合にも断熱性能が低下し難いものである。
【0024】
ここで、図19は、従来のバッテリー用緩衝材110を示している。従来のバッテリー用緩衝材110は、弾性部材120と断熱部材130とが積層された構造を有しており、例えば電池セル210(図17参照)が膨張したとき、図20に示すようにその厚さ方向に圧縮される。そして、バッテリー用緩衝材110は、その断熱部材130が圧縮されると、この断熱部材130の断熱性能が低下するという懸念がある。特に、バッテリーを構成する電池セル同士の間隔(即ち、バッテリー用緩衝材の配置スペース)は非常に狭く、一の電池セルが発熱すると、その隣の電池セルにもその熱が伝わり易い状況にある。そのため、バッテリー(電池セル)では、僅かな断熱性能の低下も抑制することが重要となる。
【0025】
図1図3には、本発明のバッテリー用緩衝材の一の実施形態であるバッテリー用緩衝材100を示している。このバッテリー用緩衝材100は、少なくとも一方の物品が膨張及び収縮する2つの物品である電池セル210、210(図17参照)などの間に配置され、膨張及び収縮する物品の膨張による外力を受けて圧縮変形する弾性部材20と、この弾性部材20が圧縮変形した際にも電池セル210、210からの外力を受けずに圧縮変形しない断熱部材30と、を備えている。バッテリー用緩衝材100は、その弾性部材20が、凸部22を有するもの(板状の構造体)である。更に、断熱部材30は、貫通孔31が形成された板状の構造体であって、この断熱部材30が、弾性部材20の一方の面20a側及び他方の面20b側にそれぞれ配置され、断熱部材30の貫通孔31から弾性部材20の凸部22が突出している。
【0026】
弾性部材20は、その材質について特に制限はないが、例えば、ゴム、発泡体、樹脂系エラストマーなどを挙げることができる。
【0027】
弾性部材20の凸部22を有することによって、バッテリー用緩衝材と電池セルなどの物品との接触面積が小さくなり、当該物品との接触面から伝わる熱量を減少させることができる。更に、この凸部22によって物品の膨張による圧縮荷重を支えると、断熱部材に直接負荷がかかることを防止でき、その結果、断熱部材が圧縮されることを良好に防止することができる。
【0028】
凸部22は、その形状について特に制限はなく、図1に示すバッテリー用緩衝材100の弾性部材20の凸部22のように柱状(具体的には、円柱状)であってもよいし、例えば、円筒、中軸、球状、六角柱状、四角柱状、三角柱状、円錐状などの形状を挙げることができる。図4Aには、円筒の凸部22aを示し、図4Bには、中軸の凸部22bを示し、図4Cには、球状の凸部22cを示し、図4Dには、六角柱状の凸部22dを示し、図4Eには、四角柱状の凸部22eを示し、図4Fには、三角柱状の凸部22fを示し、図4Gには、円錐状の凸部22gを示している。
【0029】
なお、円錐状の凸部22gとしては、図15に示すように、頂点部24に向かって先細りする突起状であることでもよい。このようにすると、弾性部材20と電池セルなどの物品との間に空気層が形成され、この空気層により断熱効果が更に向上する。
【0030】
弾性部材20の凸部22の数や配置状態については、特に制限はなく、例えば、図2に示すように同じ数(図2では、4つ)の凸部22を平行に複数列(図2では、3列)配置してもよいし、図5に示すバッテリー用緩衝材101のように配置してもよい。図5に示すバッテリー用緩衝材101では、隣り合う列の間にずらして凸部22を更に配置している。
【0031】
弾性部材20は、その形状について特に制限はないが、例えば、図3に示すように、平面状部21と、この平面状部21から突出する凸部22と、を有するものとすることができる。また、図9図10に示すバッテリー用緩衝材103のように、弾性体貫通孔23が形成された板状部25を有するものとすることができる。更に、図11図13に示すバッテリー用緩衝材104のように、弾性体凹部27が形成された板状部29を有するものとすることができる。
【0032】
更には、弾性部材20は、図14図15に示すバッテリー用緩衝材106のように、その厚さ方向の断面において凹凸を繰り返す波型(波板状)とすることができる。
【0033】
次に、断熱部材30は、上述したように、弾性部材20が圧縮変形した際にも上記物品である電池セル210、210(図17参照)などからの外力を受けずに圧縮変形しないものである。
【0034】
断熱部材30は、断熱性能を有する従来公知断熱材を適宜使用することができ、その材質は、例えば、繊維系(グラスウール、ロックウール等)、多孔質系(シリカエアロゲル等)などを挙げることができる。このような材質の断熱部材は、圧縮されると、その断熱性能が低下する傾向がある。
【0035】
断熱部材30は、その形状について特に制限はないが、図1図3図14図15に示すバッテリー用緩衝材100,106のように、貫通孔31が形成された板状とすることができる。また、図9に示すバッテリー用緩衝材103のように、弾性体貫通孔23に配置される板状とすることができる。また、図12図13に示すバッテリー用緩衝材104,105のように、板状部29の弾性体凹部27内に配置される板状とすることができる。
【0036】
次に、本発明のバッテリー用緩衝材は、弾性部材(特に、弾性部材の凸部)と断熱部材との間において、弾性部材の圧縮変形を可能にする隙間、即ち、弾性部材が圧縮変形した際に弾性部材(特に、弾性部材の凸部)と断熱部材とが互いに接触して干渉しないようにするための隙間が形成されていることが好ましい。このように隙間が形成されていることによって、電池セル等が膨張した際に断熱部材30に加わる荷重を更に回避することができる。
【0037】
図6図8には、弾性部材20と断熱部材30との間に、弾性部材20の圧縮変形を可能にする隙間40が形成されているバッテリー用緩衝材102を示している。このバッテリー用緩衝材102は、断熱部材30と弾性部材20の凸部22との間に隙間40が形成されており、図8に示すようにバッテリー用緩衝材100が圧縮されると、特に弾性部材20の凸部22が潰れるように変形する。このとき、隙間40が形成されていることによって、バッテリー用緩衝材100の圧縮時においても、断熱部材30が弾性部材20(特にその凸部22)によって加圧されることを回避することができる。つまり、断熱部材30と弾性部材20の間には、弾性部材20(凸部22)の変形量分だけ間隔が設けられており、弾性部材20が変形した際にも弾性部材20が断熱部材30に干渉し難くなる。
【0038】
また、図13では、弾性部材20と断熱部材30との間に、弾性部材20の圧縮変形を可能にする隙間40が形成されているバッテリー用緩衝材105を示している。このバッテリー用緩衝材105は、断熱部材30と弾性部材20の凸部22との間に隙間40が形成されている。そして、この隙間40が形成されていることによって、バッテリー用緩衝材105の圧縮時においても、断熱部材30が弾性部材20によって加圧されることを回避することができる。
【0039】
更に、図14図16では、弾性部材20と断熱部材30との間に、弾性部材20の圧縮変形を可能にする隙間40が形成されているバッテリー用緩衝材106を示している。このバッテリー用緩衝材106は、断熱部材30と弾性部材20の凸部22gとの間に隙間40が形成されており、図16に示すようにバッテリー用緩衝材106が圧縮されると、特に弾性部材20の凸部22gが潰れるように変形する。このとき、隙間40が形成されていることによって、バッテリー用緩衝材106の圧縮時においても、断熱部材30が弾性部材20(特にその凸部22g)によって加圧されることを回避することができる。つまり、断熱部材30と弾性部材20の間には、弾性部材20(凸部22g)の変形量分だけ間隔が設けられており、弾性部材20が変形した際にも弾性部材20が断熱部材30に干渉し難くなる。
【0040】
そして、本発明のバッテリー用緩衝材の更に他の実施形態としては、図14図15に示すバッテリー用緩衝材106を示すことができる。このバッテリー用緩衝材106は、その弾性部材20が、凸部22gを有するものである。更に、断熱部材30は、貫通孔31が形成された板状の構造体であって、断熱部材30が、弾性部材20の一方の面20a側及び他方の面20b側にそれぞれ配置され、断熱部材30の貫通孔31から弾性部材20の凸部22gが突出している。弾性部材20は、その厚さ方向の断面において凹凸を繰り返す波型である。
【0041】
本発明のバッテリー用緩衝材は、弾性部材と断熱部材とが別体であることが好ましい。これらの弾性部材と断熱部材とが別体であると、弾性部材20が変形した際にも弾性部材20が断熱部材30に更に干渉し難くなる。
【0042】
(2)本発明のバッテリー用緩衝材の使用:
本発明のバッテリー用緩衝材は、少なくとも一方の物品が膨張及び収縮する2つの物品の間に配置され、この物品としては、例えば図17に示すように電池セル210を挙げることができ、図17に示すバッテリー200のように隣り合う電池セル210の間に配置することができる。また、図18に示すバッテリー201のように、複数の電池セル210からなる積層体と拘束部230との間に配置することもできる。
【0043】
なお、本発明のバッテリー用緩衝材は、1つに限らず複数使用することもできる。この場合、複数のバッテリー用緩衝材を積層させて使用してもよいし、平面上に複数配置するように使用してもよく、これらを組み合わせてもよい。バッテリーとしては、全固体電池に限らず液状電解質の電池であってもよい。
【0044】
このように配置することで、本発明のバッテリー用緩衝材は、電池セル(バッテリー)の膨張時に生じる膨張力を吸収したり、バッテリーが外力から衝撃を受けた際の緩衝材として機能したりする。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明のバッテリー用緩衝材は、電気自動車などに用いられるリチウム電池などのバッテリー用の緩衝材として採用することができる。
【符号の説明】
【0046】
20:弾性部材
20a:一方の面
20b:他方の面
21:平面状部
22,22a,22b,22c,22d,22e,22f,22g:凸部
23:弾性体貫通孔
24:頂点部
25:板状部
27:弾性体凹部
29:板状部
30:断熱部材
31:貫通孔
40:隙間
100,101,102,103,104,105,106,110:バッテリー用緩衝材
200,201:バッテリー
210:電池セル
230:拘束部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20