(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】フリッカーノイズが低減されたバンドギャップリファレンス回路
(51)【国際特許分類】
H03F 1/26 20060101AFI20241122BHJP
H03F 3/34 20060101ALI20241122BHJP
G05F 3/26 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
H03F1/26
H03F3/34
G05F3/26
(21)【出願番号】P 2022535491
(86)(22)【出願日】2021-01-06
(86)【国際出願番号】 JP2021000203
(87)【国際公開番号】W WO2021153172
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2023-08-31
(32)【優先日】2020-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100151378
【氏名又は名称】宮村 憲浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157484
【氏名又は名称】廣田 智之
(72)【発明者】
【氏名】エフゲニー イワノフ
【審査官】及川 尚人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0257113(US,A1)
【文献】特開2007-299294(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0095491(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0127987(US,A1)
【文献】米国特許第8330445(US,B2)
【文献】再公表特許第2012/141123(JP,A1)
【文献】特開2015-069349(JP,A)
【文献】特開2017-191518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 1/00-3/72
G05F 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接続されたゲートと、電源電圧に接続されたソースとを共に有する第1の金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)および第2のMOSFETのペアを含む第1のカレントミラーと、
前記第1のカレントミラー
の前記第1のMOSFETと前記第2のMOSFETとのゲートに接続されたゲートと、電源電圧に接続されたソースとを共に有する第3のMOSFET
と第4のMOSFETとを備え、前記第3のMOSFETのドレインにおいて基準電圧を提供するように構成される第2のカレントミラーと、
前記第1のカレントミラーに電気的に接続される
エミッタを有する第1のバイポーラ接合トランジスタと、
第1の抵抗を介して前記第1のカレントミラーに電気的に接続される
エミッタを有する第2のバイポーラ接合トランジスタと、
第2の抵抗を介して前記第3のMOSFETに電気的に接続される
エミッタを有する第3のバイポーラ接合トランジスタと、
前記第1のカレントミラーおよび前記第2のカレントミラーの出力に対してチョッピング動作を実行するように構成される
第1のスイッチと第2のスイッチと第3のスイッチと第4のスイッチと第5のスイッチと第6のスイッチと第7のスイッチと第8のスイッチとを含む複数のチョッピングスイッチと、
を備え、
前記第2のカレントミラーの前記第4のMOSFETは、前記第1のカレントミラーおよび前記第2の抵抗に電気的に接続されており、
前記第1のスイッチは、前記第1のMOSFETのドレインおよび前記第2のMOSFETのドレインを択一的に前記第5のスイッチと前記第7のスイッチとの双方に接続するように構成されており、
前記第2のスイッチは、前記第1のMOSFETのドレインおよび前記第2のMOSFETのドレインを択一的に前記第6のスイッチと前記第8のスイッチとの双方に接続するように構成されており、
前記第1のスイッチが前記第1のMOSFETのドレインを接続するときに前記第2のスイッチは前記第2のMOSFETのドレインを接続し、前記第1のスイッチが前記第2のMOSFETのドレインを接続するときに前記第2のスイッチは前記第1のMOSFETのドレインを接続し、
前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチは、第1の周波数で動作し、
前記第3のスイッチは、前記第3のMOSFETのドレインおよび前記第4のMOSFETのドレインを択一的に前記第5のスイッチと前記第7のスイッチとの双方に接続するように構成されており、
前記第4のスイッチは、前記第3のMOSFETのドレインおよび前記第4のMOSFETのドレインを択一的に前記第6のスイッチと前記第8のスイッチとの双方に接続するように構成されており、
前記第3のスイッチが前記第3のMOSFETのドレインを接続するときに前記第4のスイッチは前記第4のMOSFETのドレインを接続し、前記第3のスイッチが前記第4のMOSFETのドレインを接続するときに前記第4のスイッチは前記第3のMOSFETのドレインを接続し、
前記第3のスイッチおよび前記第4のスイッチは、前記第1の周波数で動作し、
前記第5のスイッチは、前記第1のスイッチおよび前記第3のスイッチを択一的に前記第1のバイポーラ接合トランジスタのエミッタに択一的に接続するように構成されており、
前記第6のスイッチは、前記第2のスイッチおよび前記第4のスイッチを択一的に前記第1の抵抗を介して前記第2のバイポーラ接合トランジスタのエミッタに接続するように構成されており、
前記第7のスイッチは、前記第1のスイッチおよび前記第3のスイッチを択一的に前記第2の抵抗を介して前記第3のバイポーラ接合トランジスタのエミッタに接続するように構成されており、
前記第8のスイッチは、前記第2のスイッチおよび前記第4のスイッチを択一的に前記第2の抵抗を介して前記第3のバイポーラ接合トランジスタのエミッタに接続するように構成されており、
前記第5のスイッチが前記第1のスイッチを接続するときに前記第7のスイッチは前記第3のスイッチを接続し、前記第5のスイッチが前記第3のスイッチを接続するときに前記第7のスイッチは前記第1のスイッチを接続し、
前記第6のスイッチが前記第2のスイッチを接続するときに前記第8のスイッチは前記第4のスイッチを接続し、前記第6のスイッチが前記第4のスイッチを接続するときに前記第8のスイッチは前記第2のスイッチを接続し、
前記第5、第6、第7および第8のスイッチは、第2の周波数で動作するように構成される、
バンドギャップリファレンス回路。
【請求項2】
第1および第2の入力と、出力とを有するオペアンプであって、
前記第1の入力は前記第1のバイポーラ接合トランジスタのエミッタに接続され、前記第2の入力は前記第1の抵抗を介して前記第2のバイポーラ接合トランジスタのエミッタに接続され、前記出力は前記第1のMOSFET、前記第2のMOSFET、および前記第3のMOSFETのゲートにそれぞれ接続される、前記オペアンプ
をさらに備え、
前記オペアンプへの前記第1および第2の入力は、
第3の周波数でチョッピングされる、
請求項1に記載のバンドギャップリファレンス回路。
【請求項3】
前記第1、第2、および第3のバイポーラ接合トランジスタのコレクタは電気的に結合されて接地される、請求項1に記載のバンドギャップリファレンス回路。
【請求項4】
前記
第1の周波数の値は、前記
第2の周波数の値の2のべき乗倍に等しくすることができる、
請求項
1に記載のバンドギャップリファレンス回路。
【請求項5】
互いに接続されたゲートを共に有する第5のMOSFETおよび第6のMOSFETを備える第3のカレントミラー
と、
前記第5のMOSFETのゲートに接続されたゲートを共に有する第7のMOSFETおよび第8のMOSFETを備える第4のカレントミラー
と、
をさらに備え、
前記第5のMOSFETのソースが前記第1のMOSFETのドレインに接続されてかつ前記第5のMOSFETのドレインが前記第1のスイッチに接続されるように前記第1のMOSFETは前記第5のMOSFETを介して前記第1のスイッチに接続されており、
前記第6のMOSFETのソースが前記第2のMOSFETのドレインに接続されてかつ前記第6のMOSFETのドレインが前記第2のスイッチに接続されるように前記第2のMOSFETは前記第6のMOSFETを介して前記第2のスイッチに接続されており、
前記第7のMOSFETのソースが前記第3のMOSFETのドレインに接続されてかつ前記第7のMOSFETのドレインが前記第3のスイッチに接続されるように前記第3のMOSFETは前記第7のMOSFETを介して前記第3のスイッチに接続されており、
前記第8のMOSFETのソースが前記第4のMOSFETのドレインに接続されてかつ前記第8のMOSFETのドレインが前記第4のスイッチに接続されるように前記第4のMOSFETは前記第8のMOSFETを介して前記第4のスイッチに接続されており、
前記第1のスイッチは、前記第5のMOSFETおよび前記第6のMOSFETをそれぞれ介して前記第1のMOSFETのドレインおよび前記第2のMOSFETのドレインを択一的に前記第5のスイッチと前記第7のスイッチとの双方に接続するように構成されており、
前記第2のスイッチは、前記第5のMOSFETおよび前記第6のMOSFETをそれぞれ介して前記第1のMOSFETのドレインおよび前記第2のMOSFETのドレインを択一的に前記第6のスイッチと前記第8のスイッチとの双方に接続するように構成されており、
前記第3のスイッチは、前記第7のMOSFETおよび前記第8のMOSFETをそれぞれ介して前記第3のMOSFETのドレインおよび前記第4のMOSFETのドレインを択一的に前記第5のスイッチと前記第7のスイッチとの双方に接続するように構成されており、
前記第4のスイッチは、前記第7のMOSFETおよび前記第8のMOSFETをそれぞれ介して前記第3のMOSFETのドレインおよび前記第4のMOSFETのドレインを択一的に前記第6のスイッチと前記第8のスイッチとの双方に接続するように構成されている、
請求項1に記載のバンドギャップリファレンス回路。
【請求項6】
ゲートが前記第1のMOSFET、前記第2のMOSFET、前記第3のMOSFET、および前記第4のMOSFETのゲートに電気的に接続される
ゲートと、前記電源電圧に接続されたソースとを有する第5のMOSFETであって、前記
第5のMOSFET
のドレインは、出力基準絶対温度比例(PTAT)電流を生成するように構成される、前記
第5のMOSFET
をさらに備える、請求項1に記載のバンドギャップリファレンス回路。
【請求項7】
互いに接続されたゲートと、電源電圧に接続されたソースとを共に有する第1の金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)および第2のMOSFETのペアを含む第1のカレントミラーと、
前記第1のカレントミラーの前記第1のMOSFETと前記第2のMOSFETとのゲートに接続されたゲートと、電源電圧に接続されたソースとを共に有する第3のMOSFETと第4のMOSFETとを備え、前記第3のMOSFETのドレインにおいて基準電圧を提供するように構成される第2のカレントミラーと、
前記第1のカレントミラーに電気的に接続されるエミッタを有する第1のバイポーラ接合トランジスタと、
第1の抵抗を介して前記第1のカレントミラーに電気的に接続されるエミッタを有する第2のバイポーラ接合トランジスタと、
第2の抵抗を介して前記第3のMOSFETに電気的に接続されるエミッタを有する第3のバイポーラ接合トランジスタと、
前記第1のカレントミラーおよび前記第2のカレントミラーの出力に対してチョッピング動作を実行するように構成される第1のスイッチと第2のスイッチと第3のスイッチと第4のスイッチと第5のスイッチと第6のスイッチとを含む複数のチョッピングスイッチと、
を備え、
前記第2のカレントミラーの前記第4のMOSFETは、前記第1のカレントミラーおよび前記第2の抵抗に電気的に接続されており、
前記第1のスイッチは、前記第1のMOSFET
のドレインおよび前記第3のMOSFET
のドレインを択一的に
前記第5のスイッチと前記第6のスイッチの双方に接続するように構成され
ており、
前記第2のスイッチは、前記第2のMOSFET
のドレインおよび前記第4のMOSFET
のドレインを択一的に
前記第5のスイッチと前記第6のスイッチの双方に接続するように構成され
ており、
前記第3のスイッチは、前記第1のMOSFET
のドレインおよび前記第3のMOSFET
のドレインを択一的に
前記第2の抵抗を介して前記第2のバイポーラ接合トランジスタのエミッタに接続するように構成され
ており、
前記第4のスイッチは、前記第2のMOSFET
のドレインおよび前記第4のMOSFET
のドレインを択一的に
前記第2の抵抗を介して前記第2のバイポーラ接合トランジスタのエミッタに接続するように構成され
ており、
前記第1のスイッチが前記第1のMOSFET
のドレインを接続するときに前記第3のスイッチは前記第3のMOSFET
のドレインを接続し、前記第1のスイッチが前記第3のMOSFET
のドレインを接続するときに前記第3のスイッチは前記第1のMOSFET
のドレインを接続し、
前記第2のスイッチが前記第2のMOSFET
のドレインを接続するときに前記第4のスイッチは前記第4のMOSFET
のドレインを接続し、前記第2のスイッチが前記第4のMOSFET
のドレインを接続するときに前記第4のスイッチは前記第2のMOSFET
のドレインを接続し、
前記第1、第2、第3および第4のスイッチは
第1の周波数で動作
し、
前記第5のスイッチは、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチを択一的に前記第1のバイポーラ接合トランジスタのエミッタに接続するように構成されており、
前記第6のスイッチは、前記第1のスイッチおよび前記第2のスイッチを択一的に前記第1の抵抗を介して前記第2のバイポーラ接合トランジスタのエミッタに接続するように構成されており、
前記第5のスイッチが前記第1のスイッチを接続するときに前記第6のスイッチは前記第2のスイッチを接続し、前記第5のスイッチが前記第2のスイッチを接続するときに前記第6のスイッチは前記第1のスイッチを接続し、
前記第5および第6のスイッチは第2の周波数で動作する、
バンドギャップリファレンス回路。
【請求項8】
第1および第2の入力と、出力とを有するオペアンプであって、前記第1の入力は前記第1のバイポーラ接合トランジスタのエミッタに接続され、前記第2の入力は前記第1の抵抗を介して前記第2のバイポーラ接合トランジスタのエミッタに接続され、前記出力は前記第1のMOSFET、前記第2のMOSFET、および前記第3のMOSFETのゲートにそれぞれ接続される、前記オペアンプ
をさらに備え、
前記オペアンプへの前記第1および第2の入力は、第3の周波数でチョッピングされる、
請求項7に記載のバンドギャップリファレンス回路。
【請求項9】
前記第1、第2、および第3のバイポーラ接合トランジスタのコレクタは電気的に結合されて接地される、請求項7に記載のバンドギャップリファレンス回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フリッカーノイズが低減されたバンドギャップリファレンス回路に関する。より詳細には、本開示は、カレントミラー回路に対してマルチレベルのチョッピング動作を行うバンドギャップリファレンス回路に関する。
【背景技術】
【0002】
バンドギャップリファレンス回路は、正確な基準電圧および電流を生成するために一般的に使用されている電気回路である。バンドギャップリファレンス回路は、VbeおよびΔVbeを特定の係数と組み合わせて温度ドリフトをキャンセルすることにより、温度に対して安定した基準電圧を実現し、ここで、Vbeは、順方向バイアスされたバイポーラ接合トランジスタのベース-エミッタ間電圧、または順方向バイアスされたダイオードのアノード-カソード間電圧であり、ΔVbeは、サイズが等しくない順方向バイアスされたバイポーラ接合トランジスタのベース-エミッタ間電圧同士の差、またはサイズが等しくない順方向バイアスされたバイポーラダイオードのアノード-カソード間電圧同士の差である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、カレントミラーにチョッピング動作を適用することによって、電流モードバンドギャップリファレンス回路におけるフリッカーノイズを大幅に低減するための装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態では、バンドギャップリファレンス回路は、互いに接続されたゲートと、電源電圧に接続されたソースとを共に有する第1の金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)および第2のMOSFETのペアを含む第1のカレントミラーと、第1のカレントミラーの第1のMOSFETと第2のMOSFETとのゲートに接続されたゲートと、電源電圧に接続されたソースとを共に有する第3のMOSFETと第4のMOSFETとを備え、第3のMOSFETのドレインにおいて基準電圧を提供するように構成される第2のカレントミラーと、第1のカレントミラーに電気的に接続されるエミッタを有する第1のバイポーラ接合トランジスタと、第1の抵抗を介して第1のカレントミラーに電気的に接続されるエミッタを有する第2のバイポーラ接合トランジスタと、第2の抵抗を介して第3のMOSFETに電気的に接続されるエミッタを有する第3のバイポーラ接合トランジスタと、第1のカレントミラーおよび第2のカレントミラーの出力に対してチョッピング動作を実行するように構成される第1のスイッチと第2のスイッチと第3のスイッチと第4のスイッチと第5のスイッチと第6のスイッチと第7のスイッチと第8のスイッチとを含む複数のチョッピングスイッチとを備える。第2のカレントミラーの第4のMOSFETは、第1のカレントミラーおよび第2の抵抗に電気的に接続されている。第1のスイッチは、第1のMOSFETのドレインおよび第2のMOSFETのドレインを択一的に第5のスイッチと第7のスイッチとの双方に接続するように構成されている。第2のスイッチは、第1のMOSFETのドレインおよび第2のMOSFETのドレインを択一的に第6のスイッチと第8のスイッチとの双方に接続するように構成されている。第1のスイッチが第1のMOSFETのドレインを接続するときに第2のスイッチは第2のMOSFETのドレインを接続し、第1のスイッチが第2のMOSFETのドレインを接続するときに第2のスイッチは第1のMOSFETのドレインを接続する。第1のスイッチおよび第2のスイッチは、第1の周波数で動作する。第3のスイッチは、第3のMOSFETのドレインおよび第4のMOSFETのドレインを択一的に第5のスイッチと第7のスイッチとの双方に接続するように構成されている。第4のスイッチは、第3のMOSFETのドレインおよび第4のMOSFETのドレインを択一的に第6のスイッチと第8のスイッチとの双方に接続するように構成されている。第3のスイッチが第3のMOSFETのドレインを接続するときに第4のスイッチは第4のMOSFETのドレインを接続し、第3のスイッチが第4のMOSFETのドレインを接続するときに第4のスイッチは第3のMOSFETのドレインを接続する。第3のスイッチおよび第4のスイッチは、
第1の周波数で動作する。第5のスイッチは、第1のスイッチおよび第3のスイッチを択一的に第1のバイポーラ接合トランジスタのエミッタに択一的に接続するように構成されている。第6のスイッチは、第2のスイッチおよび第4のスイッチを択一的に第1の抵抗を介して第2のバイポーラ接合トランジスタのエミッタに接続するように構成されている。第7のスイッチは、第1のスイッチおよび第3のスイッチを択一的に第2の抵抗を介して第3のバイポーラ接合トランジスタのエミッタに接続するように構成されている。第8のスイッチは、第2のスイッチおよび第4のスイッチを択一的に第2の抵抗を介して第3のバイポーラ接合トランジスタのエミッタに接続するように構成されている。第5のスイッチが第1のスイッチを接続するときに第7のスイッチは第3のスイッチを接続し、第5のスイッチが第3のスイッチを接続するときに第7のスイッチは第1のスイッチを接続する。第6のスイッチが第2のスイッチを接続するときに第8のスイッチは第4のスイッチを接続し、第6のスイッチが第4のスイッチを接続するときに第8のスイッチは第2のスイッチを接続する。第5、第6、第7および第8のスイッチは、第2の周波数で動作するように構成されている。
【0005】
別の実施形態では、バンドギャップリファレンス回路は、互いに接続されたゲートと、電源電圧に接続されたソースとを共に有する第1の金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)および第2のMOSFETのペアを含む第1のカレントミラーと、第1のカレントミラーの第1のMOSFETと第2のMOSFETとのゲートに接続されたゲートと、電源電圧に接続されたソースとを共に有する第3のMOSFETと第4のMOSFETとを備え、第3のMOSFETのドレインにおいて基準電圧を提供するように構成される第2のカレントミラーと、第1のカレントミラーに電気的に接続されるエミッタを有する第1のバイポーラ接合トランジスタと、第1の抵抗を介して第1のカレントミラーに電気的に接続されるエミッタを有する第2のバイポーラ接合トランジスタと、第2の抵抗を介して第3のMOSFETに電気的に接続されるエミッタを有する第3のバイポーラ接合トランジスタと、第1のカレントミラーおよび第2のカレントミラーの出力に対してチョッピング動作を実行するように構成される第1のスイッチと第2のスイッチと第3のスイッチと第4のスイッチと第5のスイッチと第6のスイッチとを含む複数のチョッピングスイッチとを備える。第2のカレントミラーの第4のMOSFETは、第1のカレントミラーおよび第2の抵抗に電気的に接続されている。第1のスイッチは、第1のMOSFETのドレインおよび第3のMOSFETのドレインを択一的に第5のスイッチと第6のスイッチの双方に接続するように構成されている。第2のスイッチは、第2のMOSFETのドレインおよび第4のMOSFETのドレインを択一的に第5のスイッチと第6のスイッチの双方に接続するように構成されている。第3のスイッチは、第1のMOSFETのドレインおよび第3のMOSFETのドレインを択一的に第2の抵抗を介して第2のバイポーラ接合トランジスタのエミッタに接続するように構成されている。第4のスイッチは、第2のMOSFETのドレインおよび第4のMOSFETのドレインを択一的に第2の抵抗を介して第2のバイポーラ接合トランジスタのエミッタに接続するように構成されている。第1のスイッチが第1のMOSFETのドレインを接続するときに第3のスイッチは第3のMOSFETのドレインを接続し、第1のスイッチが第3のMOSFETのドレインを接続するときに第3のスイッチは第1のMOSFETのドレインを接続する。第2のスイッチが第2のMOSFETのドレインを接続するときに第4のスイッチは第4のMOSFETのドレインを接続し、第2のスイッチが第4のMOSFETのドレインを接続するときに第4のスイッチは第2のMOSFETのドレインを接続する。第1、第2、第3および第4のスイッチは第1の周波数で動作する。第5のスイッチは、第1のスイ
ッチおよび第2のスイッチを択一的に第1のバイポーラ接合トランジスタのエミッタに接続するように構成されている。第6のスイッチは、第1のスイッチおよび第2のスイッチを択一的に第1の抵抗を介して第2のバイポーラ接合トランジスタのエミッタに接続するように構成されている。第5のスイッチが第1のスイッチを接続するときに第6のスイッチは第2のスイッチを接続し、第5のスイッチが第2のスイッチを接続するときに第6のスイッチは第1のスイッチを接続する。第5および第6のスイッチは第2の周波数で動作する。
【0007】
本開示の他の態様、利点、および顕著な特徴は、添付の図面と併せて本開示の例示的な実施形態を開示する以下の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。
【0008】
以下の詳細な説明を始める前に、本特許文書全体で使用する特定の語句の定義を記載することが有利であり得、「含む」および「備える」という用語ならびにそれらの派生語は限定のない包含を意味し、「または」という用語は包括的であり、および/またはを意味し、「~に関連する」および「それに関連する」という句、ならびにそれらの派生形は、含む、~に含まれる、~と相互接続する、含む、~に含まれる、~にまたは~と接続する、~にまたは~と結合する、~と通信可能である、~と協働する、インターリーブする、並置する、~に近接する、~にまたは~と結び付けられる、有する、~の性質を有するなどを意味し得、「コントローラ」という用語は、少なくとも1つの動作を制御する任意のデバイス、システム、またはその一部を意味し、そのようなデバイスは、ハードウェア、ファームウェア、もしくはソフトウェア、またはそれらのうちの少なくとも2つの組み合わせで実装され得る。任意の特定のコントローラに関連する機能は、ローカルかリモートかを問わず、集中化または分散化され得ることに留意されたい。特定の語句の定義は、本特許文書全般にわたって提供しており、ほとんどの場合ではないにしても多くの場合、そのような定義が、そのような定義した語句の以前の使用ならびに将来の使用に適用されることを当業者は理解すべきである。
【0009】
本開示およびその利点をより完全に理解するために、添付の図面と併せて以下の説明をここで参照し、添付の図面では同様の参照番号は同様の部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】電圧モードバンドギャップリファレンス回路の例を示す図である。
【
図2】電流モードバンドギャップリファレンス回路の例を示す図である。
【
図3】電圧モードバンドギャップリファレンス回路の別の例を示す図である。
【
図4】本開示の一実施形態による電流モードバンドギャップリファレンス回路の別の例を示す図である。
【
図5】本開示の一実施形態による電流モードバンドギャップリファレンス回路の別の例を示す図である。
【
図6】本開示の一実施形態による電流モードバンドギャップリファレンス回路の別の例を示す図である。
【
図7】本開示の一実施形態による電流モードバンドギャップリファレンス回路の別の例を示す図である。
【
図8A】バイポーラ接合トランジスタの異なるダイオード構成を示す図である。
【
図8B】バイポーラ接合トランジスタの異なるダイオード構成を示す図である。
【
図8C】バイポーラ接合トランジスタの異なるダイオード構成を示す図である。
【
図8D】バイポーラ接合トランジスタの異なるダイオード構成を示す図である。
【
図8E】本開示の実施形態によるバイポーラトランジスタのいずれかを置き換えるためのダイオードを示す図である。
【
図9】本開示の実施形態によるチョッピング回路の性能を検証するためのシミュレートされたノイズPSDプロットの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面全体を通して、同一または類似の要素、特徴、および構造を表すために同様の参照番号を使用していることに留意されたい。
【0012】
以下で論じる
図1~
図9、および本特許文書において本開示の原理を説明するために使用する様々な実施形態は例示にすぎず、いかなる形でも本開示の範囲を限定するように解釈されるべきではない。本開示の原理が任意の適切に構成されたシステムおよび方法で実施され得ることを当業者は理解するであろう。添付の図面を参照する以下の説明は、特許請求の範囲およびその均等物によって定義される本開示の様々な実施形態の包括的な理解を助けるために提供している。その理解を助けるために様々な特定の詳細が含まれているが、これらは単なる例と見なされるべきである。したがって、本開示の範囲および思想から逸脱することなく、本明細書に記載の様々な実施形態の様々な変更および修正を行うことができるということを当業者は認識するであろう。さらに、明確かつ簡潔にするために、よく知られている機能および構造の説明を省略する場合がある。
【0013】
本開示の様々な実施形態の以下の説明は、例示のみを目的として提供しており、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義されるように本開示を限定することを目的として提供していないことは当業者には明らかなはずである。
【0014】
様々な構成要素を説明するために「第1」、「第2」などの序数を使用するが、それらの構成要素は本明細書では限定されない。これらの用語は、ある構成要素を別の構成要素と区別するためにのみ使用する。本発明の概念の教示から逸脱することなく、たとえば、第1の構成要素を第2の構成要素と呼ぶ場合があり、同様に、第2の構成要素を第1の構成要素と呼ぶ場合もある。
【0015】
本明細書で使用する用語は、様々な実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図するものではない。本明細書で使用する場合、文脈が明らかに他のことを示していない限り、単数形は複数形も含むものとする。本明細書で使用する場合、「備える(comprises)」および/または「有する(has)」という用語は、記載した特徴、数、ステップ、動作、構成要素、要素、またはそれらの組み合わせの存在を示すが、1つまたは複数の他の特徴、数、ステップ、動作、構成要素、要素、またはそれらの組み合わせの存在または追加を排除するものではないことがさらに理解されよう。
【0016】
バンドギャップリファレンス回路は、電圧モードバンドギャップリファレンス回路と電流モードバンドギャップリファレンス回路との2つのタイプに分けることができる。
【0017】
図1は、電圧モードバンドギャップリファレンス回路100の例を示している。バンドギャップリファレンス回路100は、第1および第2の入力と、出力とを有するオペアンプA1を含む。オペアンプA1の第1および第2の入力は、それぞれトランジスタMB1、MB2のペアに結合されている。オペアンプA1は、その出力において電圧基準を提供する。
【0018】
トランジスタのペアは、第1のバイポーラ接合トランジスタMB1および第2のバイポーラ接合トランジスタMB2を含むことができる。第1および第2のトランジスタMB1、MB2は、そのベースおよびコレクタが共通に結合されたダイオード構成で設けられている。第1および第2のトランジスタMB1、MB2のベースは結合されており、接地されている。
【0019】
第1のトランジスタMB1は、そのエミッタノードでアンプ入力A1に結合され、抵抗R2を介してアンプ出力A1に結合されている。第2のトランジスタMB2は、そのエミッタノードで抵抗R1を介してアンプ入力A1に結合され、抵抗R3を介してアンプA1の出力に結合されている。第1および第2のトランジスタMB1およびMB2の共通に結合されたコレクタは結合されており、接地されている。
【0020】
バンドギャップリファレンス回路100において、オペアンプA1は、抵抗R1、R2、R3、ならびに第1および第2のバイポーラ接合トランジスタMB1、MB2を含むバンドギャップコア回路に印加される電圧を制御する。
【0021】
図2は、電流モードバンドギャップリファレンス回路200の例を示している。バンドギャップリファレンス回路200は、カレントミラー回路205と、バンドギャップコア回路210とを含む。
【0022】
カレントミラー回路205は、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)M1およびM2のペアと、もう1つのMOSFET M3とを含む。3つのトランジスタM1、M2、およびM3の各々は、それぞれのソースノードを介して電源電圧VDDに接続されている。3つのトランジスタM1、M2、およびM3の各々は、それぞれのドレインノードにおいてミラー電流を出力する。トランジスタM3は、そのドレインノードにおいて電圧基準を提供する。
【0023】
バンドギャップコア回路210は、オペアンプA1と、バイポーラ接合トランジスタMB1~MB3と、抵抗R1およびR2とを含む。オペアンプA1の第1および第2の入力は、バイポーラ接合トランジスタMB1およびMB2のペアに結合されている。オペアンプA1の出力は、2つのトランジスタM1およびM2のペアのそれぞれのゲートと、トランジスタM3のゲートとに提供される。
【0024】
トランジスタMB1は、そのエミッタノードでトランジスタM1のドレインノードに結合され、トランジスタMB2は、そのエミッタノードで抵抗R1を介してトランジスタM2のドレインノードに結合されている。トランジスタMB3は、そのエミッタノードで抵抗R2を介してトランジスタM3のドレインノードに結合されている。
【0025】
3つのバイポーラ接合トランジスタMB1、MB2、およびMB3は、それらのベースおよびコレクタが共通に結合されたダイオード構成で設けられている。また、3つのバイポーラ接合トランジスタMB1、MB2、およびMB3のベースは互いに結合されている。3つのトランジスタMB1、MB2、およびMB3の共通に結合されたコレクタはグランドに結合されている。
【0026】
電流モードバンドギャップリファレンス回路200において、オペアンプA1は、電流源トランジスタM1、M2のゲートを制御することによって、抵抗R1およびトランジスタMB1、MB2を含むバンドギャップコア回路210に印加される電流を制御する。
【0027】
トランジスタM3を流れる電流は、絶対温度に比例する(PTAT)。基準電圧Vrefは、PTAT電流が抵抗R2およびバイポーラ接合トランジスタMB3を流れる別の電流分岐に形成され、MB3はPTAT電流の温度係数とは反対の温度係数を有する。
【0028】
バンドギャップリファレンス回路が低ノイズ回路で使用される場合、低レベルのフリッカー(1/f)ノイズを含めて、それらの出力基準電圧のノイズも低くする必要があることが多い。
【0029】
フリッカーノイズを低減するための1つの可能性のある技術は、チョッピングである。チョッピング技術とは、2つの同一かつ対称的に配置された選択された部品のグループを回路内の正および負の信号経路間で周期的に入れ替えることによって、信号誤差およびノイズへのそれらの影響が、周期的な符号の変化によって、時間平均後にキャンセルされるようにすることを指す。チョッピング技術は、本開示で説明するように、特定の周波数で動作するチョッピングスイッチによって実装することができる。
【0030】
図3は、電圧モードバンドギャップリファレンス回路300の別の例を示している。
図3に示す電圧モードバンドギャップリファレンス回路300は、チョッピング回路がオペアンプへの入力に設けられていることを除いて、
図1の回路と同様である。そのため、その繰り返しの説明は省略する。
【0031】
図3のバンドギャップリファレンス回路300では、チョッピング回路がオペアンプA1に含まれており、オペアンプA1への入力信号は第1の設定周波数でチョッピングされる。その結果、電圧モードバンドギャップリファレンス回路におけるフリッカーノイズのキャンセルを実現することができる。
【0032】
電流モードバンドギャップリファレンス回路では、電流モードバンドギャップフリッカーノイズのかなりの部分がカレントミラー回路によって引き起こされるので、オペアンプにチョッピングを適用することは、フリッカーノイズを低減するのに不十分であり得る。
【0033】
ダイナミックエレメントマッチング(DEM)技術を3つの電流源トランジスタM1、M2、M3に適用して、回路の電流分岐へのそれらの接続を周期的にローテーションさせることによって(たとえば、M1、M2、M3→M3、M1、M2→M2、M3、M1)、電流モードバンドギャップリファレンス回路のフリッカーノイズを低下させる方法がいくつかある。
【0034】
しかしながら、DEM技術は、切り替えられる部品のフリッカーノイズの平均化のみを実行するが、ノイズを十分にキャンセルしない。そのため、3つの部品M1、M2、M3からのノイズのDEM平均化により、実際に出力でのフリッカーノイズは低減したが、低減はわずか√3分の1である。
【0035】
図4は、本開示の一実施形態による電流モードバンドギャップリファレンス回路400の別の例を示している。
図4に示すバンドギャップリファレンス回路400は、チョッピングスイッチが回路400に追加されていることを除いて、
図2のバンドギャップリファレンス回路200と基本的に同様である。その繰り返しの説明は省略する。
【0036】
バンドギャップリファレンス回路400は、カレントミラー回路405と、オペアンプA1と、マルチレベルチョッピング回路とを含む。
【0037】
カレントミラー回路405は、MOSFET M1およびM2の第1のペアと、MOSFET M3.1およびM3.2の第2のペアとを含む。4つのトランジスタM1、M2ならびにM3.1およびM3.2の各々は、それぞれのソースノードを介して電源電圧VDDに接続されている。トランジスタM1、M2ならびにM3.1およびM3.2の各々は、それぞれのドレインノードにおいてミラー電流を出力する。トランジスタM1、M2ならびにM3.1およびM3.2のドレインノードからのミラー電流は同じであり得る。また、トランジスタM3.2は、そのドレインノードにおいて電圧基準を提供する。
【0038】
オペアンプA1の出力は、トランジスタM1およびM2の第1のペアのそれぞれのゲートと、トランジスタM3.1およびM3.2の第2のペアのゲートとに提供される。オペアンプA1の第1および第2の入力は、バイポーラ接合トランジスタMB1およびMB2のペアに結合されている。
【0039】
バンドギャップリファレンス回路400では、M1、M2、およびM3の回路の各分岐が、バンドギャップの出力基準電圧におけるフリッカーノイズに影響する。M1、M2、およびM3の回路の分岐のフリッカーノイズの影響をキャンセルするには、3つの分岐全てにチョッピングを適用する必要がある。本開示では、一度に全ての回路または全ての回路グループに適用可能な以下のチョッピング方式を提供する。
【0040】
回路図をチョッピング適用可能にするために、トランジスタM1およびM2は等しいサイズである必要がある。さらに、(出力基準電圧を生成している)出力分岐のカレントミラーM3は、2つの等しいサイズのトランジスタM3.1およびM3.2を含み、これらはカレントミラートランジスタM1、M2のトランジスタとも等しいサイズである。
【0041】
バンドギャップリファレンス回路400は、3レベルのチョッピング動作を実行する。第1のレベルのチョッピングは、オペアンプA1に含まれるチョッピング回路によって実行される。オペアンプA1のチョッピング回路は、非反転入力信号および反転入力信号用の2つのスイッチを含むことができ、オペアンプA1への入力信号は、2つのスイッチによって第1の設定周波数でチョッピングされる。第2のレベルのチョッピングは4つのチョッピングスイッチS1~S4によって実行され、2つのチョッピングスイッチS1、S2はMOSFET M1およびM2の2つのドレインノードを切り替え、別の2つのチョッピングスイッチS3、S4はMOSFET M3.1およびM3.2の2つのドレインノードを切り替える。チョッピングスイッチS1およびS2は互いに異なるMOSFETを選択し、チョッピングスイッチS3およびS4は互いに異なるMOSFETを選択する。換言すれば、S1がM1に切り替わると、S2はM2に切り替わり、S1がM2に切り替わると、S2はM1に切り替わる。S3がM3.1に切り替わると、S4はM3.2に切り替わり、S3がM3.2に切り替わると、S4はM3.1に切り替わる。チョッピングスイッチS1~S4は同じ第2の周波数で動作する。
【0042】
この第2のレベルのチョッピングの動作は、バンドギャップコア回路の左側(MB1のライン)ならびに右側(MB2およびR1のライン)の分岐間でMOSFET M1およびM2を周期的に相互接続することである。第2のレベルのチョッピングは、MOSFET M1およびM2に起因するフリッカーノイズをキャンセルする。
【0043】
第3のレベルのチョッピングは、相互接続されたスイッチS5~S8の2つの追加のペアを配置することにより、4つのチョッピングスイッチS5~S8によって実行することができる。具体的には、スイッチS5はスイッチS1およびスイッチS3の出力を択一的に切り替え、スイッチS6はスイッチS2およびスイッチS4の出力を択一的に切り替え、スイッチS7はスイッチS1およびスイッチS3の出力を択一的に切り替え、スイッチS8はスイッチS2およびスイッチS4の出力を択一的に切り替える。
【0044】
チョッピングスイッチS5およびスイッチS7は互いに異なるMOSFETを選択し、チョッピングスイッチS6およびスイッチS8は互いに異なるMOSFETを選択する。換言すれば、S5がS1に切り替わると、S7はS3に切り替わり、S5がS3に切り替わると、S7はS1に切り替わる。S6がS2に切り替わると、S8はS4に切り替わり、S8がS4に切り替わると、S8はS2に切り替わる。
【0045】
基準回路400は、スイッチS5~S8の制御入力に第3のチョッピング周波数F3を適用することができる。
【0046】
第3のレベルのチョッピングは、カレントミラートランジスタの2つのペア、すなわち、MOSFET M1~M2の第1のペア、およびMOSFET M3.1~M3.2の第2のペアにチョッピング周波数F3で適用される。
【0047】
この第3のレベルのチョッピングの動作は、バンドギャップコア回路の2つの分岐(MB1の分岐ならびにMB2およびR1の分岐)と、出力基準電圧を生成する出力電流分岐MB3、R2との間でトランジスタM1~M2およびM3.1~M3.2のペアを周期的に入れ替えることである。
【0048】
第3のレベルのチョッピングは、M3.1~M3.2トランジスタからのフリッカーノイズの影響をキャンセルする。しかしながら、第3のレベルのチョッピングが機能するには、スイッチS3~S4の追加のペアをM3.1~M3.2トランジスタのドレインに接続して、M3.1~M3.2トランジスタがバンドギャップコア回路に接続されているときにそれらをチョッピングできるようにする必要がある。
【0049】
M1およびM2のペアとM3.1およびM3.2のペアとの間のチョッピングが起こる前に、M1、M2トランジスタの少なくとも1つの完全なチョッピングサイクルの完了を確実にするために、第3のチョッピング周波数F3は、第2のチョッピング周波数F2の少なくとも半分以下にしなければならない。典型的には、第2のチョッピング周波数F2の値は、第2のチョッピング周波数F3の値の2のべき乗倍に等しくすることができ、F2=F3*2
N
となる。
【0050】
本開示の他の実施形態では、さらなる性能改善のための追加のデバイスを含み得る。
【0051】
図5は、本開示の一実施形態による電流モードバンドギャップリファレンス回路の別の例を示している。
図5に示す
電流モードバンドギャップリファレンス回路500は、カスコード回路が電圧モードバンドギャップリファレンス回路500に追加されていることを除いて、
図4の電流モードバンドギャップリファレンス回路400と同様である。その繰り返しの説明は省略する。
【0052】
この実施形態では、電源電圧に対する出力基準電圧および基準電流の感度を低下させるために、カスコード回路がカレントミラー回路に追加されている。
【0053】
カスコード回路は、MOSFET M4、M5、M6、およびM7を含むことができる。トランジスタM4はそのエミッタノードでトランジスタM1のドレインノードに結合され、トランジスタM5はそのエミッタノードでトランジスタM2のドレインノードに結合され、トランジスタM6はそのエミッタノードでトランジスタM3.1のドレインノードに結合され、トランジスタM7はそのエミッタノードでトランジスタM3.2のドレインノードに結合されている。一実施形態では、4つのトランジスタM4、M5、M6、およびM7のペアのそれぞれのゲートにオペアンプA1の出力を提供することができる。
【0054】
チョッピングスイッチS1~S8は、電流源のドレインに結合することができる。この実施形態では、チョッピングスイッチS1~S4の各々は、トランジスタM4~M7のそれぞれのドレインにそれぞれ結合されている。この実施形態では、2つのチョッピングスイッチS1、S2は、MOSFET M1およびM2の2つのドレインノードを切り替え、別の2つのチョッピングスイッチS3、S4は、MOSFET M6およびM7の2つのドレインノードを切り替える。チョッピングスイッチS1およびS2は互いに異なるMOSFETを選択し、チョッピングスイッチS3およびS4は互いに異なるMOSFETを選択する。換言すれば、S1がM1に切り替わると、S2はM2に切り替わり、S1がM2に切り替わると、S2はM1に切り替わる。S3がM6に切り替わると、S4はM7に切り替わり、S3がM7に切り替わると、S4はM6に切り替わる。チョッピングスイッチS1~S4は同じ第2の周波数で動作する。
【0055】
第3のレベルのチョッピング動作として、スイッチS5はスイッチS1およびスイッチS3の出力を択一的に切り替え、スイッチS6はスイッチS2およびスイッチS4の出力を択一的に切り替え、スイッチS7はスイッチS1およびスイッチS3の出力を択一的に切り替え、スイッチS8はスイッチS2およびスイッチS4の出力を択一的に切り替える。
【0056】
チョッピングスイッチS5およびスイッチS7は互いに異なるMOSFETを選択し、チョッピングスイッチS6およびスイッチS8は互いに異なるMOSFETを選択する。換言すれば、S5がS1に切り替わると、S7はS3に切り替わり、S5がS3に切り替わると、S7はS1に切り替わる。S6がS2に切り替わると、S8はS4に切り替わり、S8がS4に切り替わると、S8はS2に切り替わる。
【0057】
代替的には、チョッピングスイッチS1~S8は、カレントミラートランジスタM1~M3.2と、カスコードトランジスタM4~M7との間に配置することができる。たとえば、チョッピングスイッチS1~S4の各々は、トランジスタM1~M3.2のそれぞれのドレインに接続することができ、チョッピングスイッチS5~S8の各々は、トランジスタM4~M7のそれぞれのソースに接続することができる。
【0058】
図6は、本開示の一実施形態による電流モードバンドギャップリファレンス回路600の別の例を示している。
図6に示すバンドギャップリファレンス回路600は、回路600のカレントミラー回路に1つの追加のカレントミラートランジスタが設けられていることを除いて、
図4の電流モードバンドギャップリファレンス回路400と同様である。そのため、その繰り返しの説明は省略する。
【0059】
この実施形態では、出力基準PTAT電流Irefを生成するために、1つまたは複数のカレントミラートランジスタを、そのゲートが他のカレントミラートランジスタのゲートに接続された状態で、追加することができる。
【0060】
図6に示すように、MOSFET M8は、そのゲートが他のカレントミラートランジスタM1~M3.2のゲートに接続された状態で追加される。追加のカレントミラートランジスタM8は、そのドレインにおいて基準PTAT電流Irefを生成する。
【0061】
電流モードバンドギャップリファレンス回路600の利点の1つは、安定した基準電圧およびPTAT電流の2つの出力信号を提供できることである。PTAT電流は、回路内の他の電子ブロックにバイアスをかけるために使用されることがよくある。また、PTAT電流の利点の1つは、温度に対するMOSトランジスタの相互コンダクタンスの減少を追跡してキャンセルし、温度に対して安定した相互コンダクタンスおよび帯域幅を有するMOS能動回路およびアンプの設計を可能にすることである。
【0062】
図7は、本開示の一実施形態による電流モードバンドギャップリファレンス回路700の別の例を示している。
図7に示すバンドギャップリファレンス回路700は、チョッピングスイッチが回路700内に異なって配置されていることを除いて、
図4の電流モードバンドギャップリファレンス回路400と同様である。その繰り返しの説明は省略する。
【0063】
バンドギャップリファレンス回路700は、6つのチョッピングスイッチを含むことができる。スイッチS5はM1およびM3.1を択一的に切り替えるように構成され、スイッチS6はM2およびM3.2を択一的に切り替えるように構成され、スイッチS7はM1およびM3.1を択一的に切り替えるように構成され、スイッチS8はM2およびM3.2を択一的に切り替えるように構成される。スイッチS5およびスイッチS6は互いに異なるMOSFETを選択し、スイッチS7およびスイッチS8は互いに異なるMOSFETを選択する。S5がM1に切り替わると、S7はM2に切り替わり、S5がM2に切り替わると、S7はM1に切り替わる。S6がM3.1に切り替わるとS8はM3.2に切り替わり、S6がM3.2に切り替わるとS8はM3.1に切り替わる。スイッチS5~S8は全て周波数F3で動作する。
【0064】
バンドギャップリファレンス回路700は、スイッチS5またはスイッチS6のいずれかをバイポーラ接合トランジスタMB1に電気的に接続するように構成されるスイッチS1と、スイッチS5またはスイッチS6のいずれかをバイポーラ接合トランジスタMB2に電気的に接続するように構成されるスイッチS2と、をさらに含むことができる。スイッチS1およびスイッチS2は、互いに異なるMOSFETを選択する。換言すれば、S1がS5に切り替わると、S2はS6に切り替わり、S1がS6に切り替わると、S2はS5に切り替わる。
【0065】
チョッピングスイッチS1およびS2は周波数F2で動作する。この実施形態では、
図4に示すスイッチ構成と比較して、2つのチョッピングスイッチS3、S4を省略することができる。
【0066】
上記の実施形態では、トランジスタM1~M3.2およびM4~M8は、MOSFETによって実装されている。しかしながら、トランジスタM1~M3.2およびM4~M8は、接合ゲート電界効果トランジスタ(JFET)またはバイポーラ接合トランジスタ(BJT)などの他のタイプのトランジスタによって実装することができる。
【0067】
上記の実施形態では、トランジスタMB1、MB2、およびMB3のそれぞれは、
図8Aに示すように、そのベースおよびコレクタを結合することによって、ダイオード構成で設けられている。トランジスタMB1、MB2、およびMB3は、ダイオードを形成するために複数の方法で構成することができ、
図8Bに示すように、エミッタおよびベースが結合および接地され、
図8Cに示すように、エミッタおよびベースが結合され、コレクタが接地され、
図8Dに示すように、コレクタおよびベースが結合され、エミッタが接地される。あるいは、
図8Eに示すように、トランジスタMB1、MB2、およびMB3の代わりにダイオードを使用することができる。
【0068】
図9は、本開示の実施形態によるチョッピング回路の性能を検証するためのシミュレートされたノイズPSDプロットの例を示している。
【0069】
図5に示すバンドギャップリファレンス回路500の実装のノイズ性能をシミュレートし、結果を、チョッピング動作なしの電流モードバンドギャップリファレンス回路200、およびチョッピングをオペアンプA1にのみ適用した
図2の電流モードバンドギャップ回路200のノイズ性能と比較した。
【0070】
シミュレーション結果に示すように、オペアンプをチョッピングすることにより、1mHzでのノイズPSDが120uV/rtHzから13.7uV/rtHzへと約1桁減少している。
図5に示すバンドギャップリファレンス回路500によるカレントミラーの追加のチョッピングによりさらに、1mHzでのノイズPSDは13.7uV/rtHzから3.14uV/rtHzへとさらに約5分の1に減少した。
【0071】
例示的な実施形態を用いて本開示を説明してきたが、様々な変更および修正が当業者に示唆され得る。本開示は、添付の特許請求の範囲に含まれるそのような変更および修正を包含するものとする。
【符号の説明】
【0072】
100,300 電圧モードバンドギャップリファレンス回路
200,400,500,600,700 電流モードバンドギャップリファレンス回路
A1 オペアンプ
F2 第2のチョッピング周波数
F3 第3のチョッピング周波数
M1,M2,M3,M3.1,M3.2,M4,M5,M6,M7,M8 金属酸化物半導体電界効果トランジスタ,MOSFET,トランジスタ
MB1,MB2,MB3 バイポーラ接合トランジスタ
R1,R2,R3 抵抗
S1,S2,S3,S4,S5,S6,S7,S8 チョッピングスイッチ,スイッチ