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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】電動線材縦裂機
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/12 20060101AFI20241122BHJP
   B26D 3/00 20060101ALI20241122BHJP
   B26D 3/08 20060101ALI20241122BHJP
   B26D 7/18 20060101ALI20241122BHJP
   B26D 1/03 20060101ALI20241122BHJP
   B26D 7/26 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
H02G1/12 060
B26D3/00 603Z
B26D3/08 Z
B26D7/18 E
B26D1/03
B26D7/26
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2024010607
(22)【出願日】2024-01-26
【審査請求日】2024-03-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506104172
【氏名又は名称】株式会社MKエレクトロニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100194869
【弁理士】
【氏名又は名称】榎本 慎一
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 和明
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 誠一
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-052506(JP,A)
【文献】特開2002-157931(JP,A)
【文献】特開2023-078949(JP,A)
【文献】実開平02-103711(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 1/12
B26D 3/00
B26D 3/08
B26D 7/18
B26D 1/03
B26D 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯材を被覆した線材を長手方向において直線状に挟持したうえで回転して前記線材の曲がり癖をただして直線状に矯正しつつ連続移動させる送り機構と、
前記送り機構で挟持された位置の前記線材に、上下方向に配置した上刃と下刃で一部被覆を切断せずに残して前記連続移動に伴って前記被覆にスリットを切り込むスリット機構と、
前記スリット機構の下流で前記被覆の左側と右側を別々に挟持したうえで回転して連続的に引き出しする引張機構とからなり
前記スリット機構が、前記上刃を保持し前記線材の長手方向において直線状に前記線材に当接する上ホルダと、前記下刃を保持し前記線材の長手方向において直線状に前記線材に当接する下ホルダを備えたことを特徴とする電動線材縦裂機。
【請求項2】
前記送り機構が、
前記線材の左側から押圧し回転可能な左ローラを備える左押圧送りユニットと、
前記線材の右側から押圧し回転可能な右ローラを備える右押圧送りユニットとからなり、
前記左ローラと前記右ローラとが、それぞれ複数で且つ対向配置されることを特徴とする請求項1に記載の電動線材縦裂機。
【請求項3】
前記左押圧送りユニット及び前記右押圧送りユニットが、それぞれ一体で移動し、前記線材の太さに応じて挟持幅可変であることを特徴とする請求項に記載の電動線材縦裂機。
【請求項4】
前記上刃と前記下刃とが、それぞれ複数対で且つ前記線材の長手方向に直線状に間隔をあけ対向配置されることを特徴とする請求項1に記載の電動線材縦裂機。
【請求項5】
前記スリット機構が、前記線材の太さに応じて幅可変で、前記上刃が前記上ホルダに、前記下刃が前記下ホルダに挿抜可能で前記被覆の厚さに応じて前記スリットの深さ可変であることを特徴とする請求項1に記載の電動線材縦裂機。
【請求項6】
前記上刃による前記被覆の前記スリットに先端が挟まる先端に向けテーパー状の上クサビと、前記下刃による前記被覆の前記スリットに先端が挟まる先端に向けテーパー状の下クサビを配置したことを特徴とする請求項1に記載の電動線材縦裂機。
【請求項7】
前記引張機構が、
前記被覆の左切断片を挟持しつつ回転により前記左切断片を引き出す第一左ローラ及び第一右ローラを備える左挟持回転ユニットと、
前記被覆の右切断片を挟持しつつ回転により前記右切断片を引き出す第二左ローラ及び第二右ローラを備える右挟持回転ユニットと、
からなることを特徴とする請求項1に記載の電動線材縦裂機。
【請求項8】
前記上刃と前記下刃の、前記線材の送り方向下流側に、前記左挟持回転ユニット及び前記右挟持回転ユニットに前記線材の前記被覆を左右に縦裂きされた左切断片と右切断片を誘導する後ガイドを配置したことを特徴とする請求項7に記載の電動線材縦裂機。
【請求項9】
前記後ガイドは、下流に向かって末広がりのハの字プレートであることを特徴とする請求項に記載の電動線材縦裂機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芯材をキズ付けることなく、線材の被覆を線材長手方向の縦に裂くことができる、電動線材縦裂機に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
ここで、線材とは、1本の金属の芯材をゴム、樹脂で被覆する電線、複数本の芯材、複数本の被覆された芯材(撚線)、それらをシートなどでカバーしたうえでさらにゴム、樹脂で被覆するケーブルなど、金属線をゴム、樹脂などで被覆した線を意味するものである。
【0003】
線材を線材の長手方向の縦に裂く器具として、特許文献1,非特許文献1,2に示すような手動の線材縦裂機が流通している。
【0004】
手動の線材縦裂機では、厚い被覆のカットが容易でないこと、怪我をする危険性があること、効率的でないことなどが問題であった。そして、多数本の処理、また長尺縦裂きには、全く向かない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-60871公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=2OC5JVoNjgI
【文献】https://ja.aliexpress.com/item/32615753879.html?src=google&src=google&albch=shopping&acnt=494-037-6276&slnk=&plac=&mtctp=&albbt=Google_7_shopping&albagn=888888&isSmbAutoCall=false&needSmbHouyi=false&albcp=19213787740&albag=&trgt=&crea=ja32615753879&netw=x&device=c&albpg=&albpd=ja32615753879&gad_source=1&gclid=Cj0KCQiA4Y-sBhC6ARIsAGXF1g4lAmARJr7l12o15INhz-voJka3d4k6D7INsJA-pRhcI-zy7NZQcbIaAoVLEALw_wcB&gclsrc=aw.ds&aff_fcid=b2bf00601c494b1181dd646adcc6e49f-1703219458711-02043-UneMJZVf&aff_fsk=UneMJZVf&aff_platform=aaf&sk=UneMJZVf&aff_trace_key=b2bf00601c494b1181dd646adcc6e49f-1703219458711-02043-UneMJZVf&terminal_id=901820824bbe4fd29ddcfc60db421f50&afSmartRedirect=y
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本願出願は、芯材をキズ付けることなく、線材の被覆を線材長手方向の縦に裂くことができる、電動線材縦裂機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するために、
(1)
芯材を被覆した線材を長手方向において直線状に挟持したうえで回転して前記線材の曲がり癖をただして直線状に矯正しつつ連続移動させる送り機構と、
前記送り機構で挟持された位置の前記線材に、上下方向に配置した上刃と下刃で一部被覆を切断せずに残して前記連続移動に伴って前記被覆にスリットを切り込むスリット機構と、
前記スリット機構の下流で前記被覆の左側と右側を別々に挟持したうえで回転して連続的に引き出しする引張機構とからなり
前記スリット機構が、前記上刃を保持し前記線材の長手方向において直線状に前記線材に当接する上ホルダと、前記下刃を保持し前記線材の長手方向において直線状に前記線材に当接する下ホルダを備えたことを特徴とする電動線材縦裂機。
(2)
前記送り機構が、
前記線材の左側から押圧し回転可能な左ローラを備える左押圧送りユニットと、
前記線材の右側から押圧し回転可能な右ローラを備える右押圧送りユニットとからなり、
前記左ローラと前記右ローラとが、それぞれ複数で且つ対向配置されることを特徴とする(1)に記載の電動線材縦裂機。
(3)
前記左押圧送りユニット及び前記右押圧送りユニットが、それぞれ一体で移動し、前記線材の太さに応じて挟持幅可変であることを特徴とする()に記載の電動線材縦裂機。
(4)
前記上刃と前記下刃とが、それぞれ複数対で且つ前記線材の長手方向に直線状に間隔をあけ対向配置されることを特徴とする(1)に記載の電動線材縦裂機。
(5)
前記スリット機構が、前記線材の太さに応じて幅可変で、前記上刃が前記上ホルダに、前記下刃が前記下ホルダに挿抜可能で前記被覆の厚さに応じて前記スリットの深さ可変であることを特徴とする(1)に記載の電動線材縦裂機。
(6)
前記上刃による前記被覆の前記スリットに先端が挟まる先端に向けテーパー状の上クサビと、前記下刃による前記被覆の前記スリットに先端が挟まる先端に向けテーパー状の下クサビを配置したことを特徴とする(1)に記載の電動線材縦裂機。
(7)
前記引張機構が、
前記被覆の左切断片を挟持しつつ回転により前記左切断片を引き出す第一左ローラ及び第一右ローラを備える左挟持回転ユニットと、
前記被覆の右切断片を挟持しつつ回転により前記右切断片を引き出す第二左ローラ及び第二右ローラを備える右挟持回転ユニットと、
からなることを特徴とする(1)に記載の電動線材縦裂機。
(8)
前記上刃と前記下刃の、前記線材の送り方向下流側に、前記左挟持回転ユニット及び前記右挟持回転ユニットに前記線材の前記被覆を左右に縦裂きされた左切断片と右切断片を誘導する後ガイドを配置したことを特徴とする(7)に記載の電動線材縦裂機。
(9)
前記後ガイドは、下流に向かって末広がりのハの字プレートであることを特徴とする()に記載の電動線材縦裂機。
の構成とした。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、上記構成であるので、以下の効果を奏する。即ち、芯材をキズ付けることなく、線材の被覆を線材長手方向の縦に裂くことができる、電動線材縦裂機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】電動線材縦裂機の斜視図模式図である。
図2】電動線材縦裂機による線材の縦裂き時の平面模式図である。
図3】電動線材縦裂機による線材の縦裂き時のスリット機構の側面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照し、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0012】
図1図3に示すように、本発明である電動線材縦裂機1は、線材11の長手方向上流から下流に向かって次の順番で配置される、電気駆動の送り機構2と、スリット機構5と、電気駆動の引張機構8を備え、線材11を連続的に送りつつ引っ張り出しながら、被覆11aを、スリット機構5で左切断片11b、右切断片11cに縦裂きして、芯材11dにキズつけることなく、被覆11aと芯材11dを線材11の長手方向に連続分離する。
【0013】
送り機構2は、芯材11dを被覆した線材11を挟持したうえで回転して下流に連続移動させる。
【0014】
送り機構2は、より詳しくは、例えば、線材11の左側から押圧し回転可能な左ローラ3bを備える左押圧送りユニット3と、線材11の右側から押圧し回転可能な右ローラ4bを備える右押圧送りユニット4とからなり、左ローラ3bと右ローラ4bとが、それぞれ複数で且つ対向配置されることを特徴とする。複数の左ローラ3b、右ローラ4bにより、線材11の曲がり癖をただして直線状に矯正し、スリット5aが線材11の中心の位置に切り込めるようにする。
【0015】
左押圧送りユニット3は、より詳しくは、例えば、モータ駆動する左駆動ローラ3aと、左駆動ローラ3a及び複数の左ローラ3bに嵌められた左ベルト3cと、左ベルト3cを押圧して、各ローラとベルトが滑らないようにする左テンションローラ3dとからなる。各ローラは溝付きのタイミングプーリーホイール、ベルトは各ローラの溝に嵌まる溝を有するタイミングベルトが、滑らず好適である。各ローラ、ベルトの構成は、右押圧送りユニット4も同様である。
【0016】
右押圧送りユニット4は、より詳しくは、例えば、モータ駆動する右駆動ローラ4aと、右駆動ローラ4a及び複数の右ローラ4bに嵌められた右ベルト4cと、右ベルト4cを押圧して、各ローラとベルトが滑らないようにする右テンションローラ4dとからなる。
【0017】
左押圧送りユニット3及び右押圧送りユニット4は、それぞれ一体で、左右幅方向に移動し、線材11の太さに応じて挟持幅可変である。
【0018】
スリット機構5は、送り機構2で挟持された位置の線材11の上下方向に配置した上刃6bと下刃7bで一部の被覆11aを切断せずに残して送り機構2による線材11の連続移動に伴って被覆11aにスリット5aを切り込む。そして、上刃6bと下刃7bとが、それぞれ一対又は複数対で且つ対向配置され、複数の左ローラ3b及び右ローラ4bとともに、確実に、被覆11aに、スリット5aを切り込むことができる。
【0019】
スリット機構5は、より詳しくは、例えば、
一つ、又は複数の上刃6b、上刃6bを保持する上ホルダ6a、望ましくは上刃6bによる被覆11aの上側のスリット5aに先端が挟まる先端に向けテーパー状の上クサビ6cを配置してなる上カッターユニット6と、
一つ、又は複数の下刃7b、下刃7bを保持する下ホルダ7a、望ましくは下刃7bによる被覆11aの下側のスリット5aに先端が挟まる先端に向けテーパー状の下クサビ7cを配置してなる下カッターユニット7と、からなる。
【0020】
なお、上刃6bの先端と上クサビ6cの底面、下刃7bの先端と下クサビ7cの上面とは、同じ高さ(面位置)でもよいが、上クサビ6cの底面は上刃6bの先端より線材11に対して遠い距離位置(上方)に、下クサビ7cの上面は下刃7bの先端より線材11に対して遠い距離位置(下方)に少し後退していることが望ましい。後退の程度は、被覆11aの切断残り厚さ程度である。被覆11aの切断残りに切り込まないことで、線材11の移動抵抗が低減され、高速縦裂きが可能になる。
【0021】
そして、上ホルダ6aと下ホルダ7aは上下移動することで、線材11の太さに応じて幅可変となり、さらに、上刃6bが上ホルダ6aに、下刃7bが下ホルダ7aに挿抜することで、被覆11aの厚さに応じてスリット5aの深さ可変である。
【0022】
引張機構8は、スリット機構5の下流で被覆11aの左側と右側を別々に挟持したうえで回転して下流に連続的に引き出しする。
【0023】
引張機構8は、より詳しくは、例えば、
被覆11aの左切断片11bを挟持しつつ回転により左切断片11bを引き出す第一左ローラ9a及び第一右ローラ9bを備える左挟持回転ユニット9と、
被覆11aの右切断片11cを挟持しつつ回転により右切断片11cを引き出す第二左ローラ10a及び第二右ローラ10bを備える右挟持回転ユニット10とからなり、
上刃6bと下刃7bの、線材11の送り方向下流側に、左挟持回転ユニット9及び右挟持回転ユニット10に線材11の被覆11aを左右に縦裂きされた左切断片11bと右切断片11cを誘導する後ガイド13を配置した。
【0024】
さらに、或いは又は、上刃6bと下刃7bの、線材11の送り方向下流側に、左挟持回転ユニット9及び右挟持回転ユニット10に線材11の被覆11aを左右に縦裂きされた左切断片11bと右切断片11cを誘導する後ガイド13を配置した。
【0025】
なお、線材11をスリット機構5に誘導する前ガイドと、左切断片11b、右切断片11cを引張機構8に誘導する後ガイドを備えるとよい。前ガイドは、図2に示すように、線材11の送り先に向かってしぼむ、前左ガイド12aと前右ガイド12bのようにハの字型に配置する。癖のある線材11でもスムーズに、スリット機構5に誘導することができる。
【0026】
後ガイドは、左切断片11b、右切断片11cを左右に隔離し、自動で引張機構8に挟持されるよう、進行方向に対して末広がりのハの字に配置される。より具体的には、後ガイド13は、上クサビ6cと下クサビ7cの線材送り方向下流側に固定した、下流に向かって末広がりのハの字プレートが例示できる。
【符号の説明】
【0027】
1 電動線材縦裂機
2 送り機構
3 左押圧送りユニット
3a 左駆動ローラ
3b 左ローラ
3c 左ベルト
3d 左テンションローラ
4 右押圧送りユニット
4a 右駆動ローラ
4b 右ローラ
4c 右ベルト
4d 右テンションローラ
5 スリット機構
5a スリット
6 上カッターユニット
6a 上ホルダ
6b 上刃
6c 上クサビ
7 下カッターユニット
7a 下ホルダ
7b 下刃
7c 下クサビ
8 引張機構
9 左挟持回転ユニット
9a 第一左ローラ
9b 第一右ローラ
10 右挟持回転ユニット
10a 第二左ローラ
10b 第二右ローラ
11 線材
11a 被覆
11b 左切断片
11c 右切断片
11d 芯材
12a 前左ガイド
12b 前右ガイド
13 後ガイド
【要約】
【課題】芯材をキズ付けることなく、線材の被覆を線材長手方向の縦に裂くことができる、電動線材縦裂機を提供する。
【解決手段】芯材を被覆した線材を挟持したうえで回転して連続移動させる送り機構と、
前記送り機構で挟持された位置の前記線材に、上下方向に配置した上刃と下刃で一部被覆を切断せずに残して前記連続移動に伴って前記被覆にスリットを切り込むスリット機構と、
前記スリット機構の下流で前記被覆の左側と右側を別々に挟持したうえで回転して連続的に引き出しする引張機構と、
からなることを特徴とする電動線材縦裂機の構成とした。
【選択図】図1
図1
図2
図3