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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】いきみ検出装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/113 20060101AFI20241122BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20241122BHJP
   A61B 5/08 20060101ALI20241122BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
A61B5/113
A61B5/00 102C
A61B5/08
A61B5/11 100
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021032198
(22)【出願日】2021-03-02
(65)【公開番号】P2022133498
(43)【公開日】2022-09-14
【審査請求日】2023-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】赤穗 莉奈
(72)【発明者】
【氏名】式井 愼一
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 元貴
(72)【発明者】
【氏名】米田 亜旗
【審査官】藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-010072(JP,A)
【文献】特開2005-110910(JP,A)
【文献】特開2016-012175(JP,A)
【文献】特開2009-243218(JP,A)
【文献】特開平08-066400(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0374619(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109620043(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/11-5/113
A61B 5/08
A61B 5/00
A47K 13/24
E03D 9/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの座圧を測定する感圧センサと、
前記感圧センサから得られた情報の時系列変動に基づいて呼吸に関する情報を波形として抽出する呼吸抽出部と、
前記呼吸抽出部で検出された前記波形から得られる呼吸の特徴に基づいていきみ状態を検出するいきみ検出部と、を備えるいきみ検出装置。
【請求項2】
前記いきみ検出部は、前記波形のピーク間隔および変動量のいずれかもしくは両方を用いて前記いきみ状態を検出する請求項1に記載のいきみ検出装置。
【請求項3】
前記いきみ検出部は、前記ピーク間隔のばらつきによっていきみの有無の判別を行う請求項2に記載のいきみ検出装置。
【請求項4】
前記いきみ検出部は、事前登録された前記ユーザのいきみ時の前記波形に関する情報を有し、前記呼吸抽出部で抽出された前記波形と前記事前登録されたいきみ時の前記波形とを比較し、類似度が一定以上であれば、いきみ状態と判断する請求項2又は3の何れか一項に記載のいきみ検出装置。
【請求項5】
前記いきみ検出部は、前記呼吸の回数、連続時間などに関する閾値を有し、
前記呼吸抽出部で抽出された前記波形が、前記閾値以上の前記回数や前記連続時間であれば、いきみ状態と判断する請求項2~4の何れか一項に記載のいきみ検出装置。
【請求項6】
前記いきみ検出部は、前記波形のピーク間隔と前記変動量からいきみ強度およびいきみ時間を推定する請求項2~5のいずれか一項に記載のいきみ検出装置。
【請求項7】
呼吸通知部を更に備え、
前記呼吸通知部は、呼吸が検出出来ているかおよび前記ユーザへの再着座の通知のいずれかもしくは両方を出力し、
前記呼吸通知部は、前記いきみ検出部が前記ユーザの呼吸を検出できない場合にその結果
を示す通知と、
前記ユーザに再着座を促す情報を示す通知のいずれかもしくは両方を出力する請求項1~6のいずれか一項に記載のいきみ検出装置。
【請求項8】
前記ユーザからの反応を受け付けるユーザ反応入力部と、前記ユーザが異常状態であることを他者に通知する異常状態通知部と、を更に備え、
前記異常状態通知部は、前記いきみ検出部で呼吸が検出できない場合、かつ前記ユーザ反応入力部より前記ユーザからの反応がない場合に通知する請求項7に記載のいきみ検出装置。
【請求項9】
いきみ通知部を更に備え、
前記いきみ通知部は、前記いきみ検出部によって、前記いきみ状態が検出された場合に通知を出力し、
前記通知は、前記いきみ検出部が検出した前記いきみ状態に関する情報を含む請求項1~8の何れか一項に記載のいきみ検出装置。
【請求項10】
前記感圧センサは、前記ユーザの着座面に設置され、前記ユーザの座圧の圧力分布を計測する複数の感圧センサからなる請求項1~9の何れか一項に記載のいきみ検出装置。
【請求項11】
前記着座面は、便器において前記ユーザが着座した部分である請求項10に記載のいきみ検出装置。
【請求項12】
前記感圧センサから得られた圧力分布によって前記ユーザの姿勢を推定する姿勢推定部と、
前記姿勢推定部で得られた前記ユーザの姿勢状態を通知する姿勢通知部と、を更に備える請求項1~11の何れか一項に記載のいきみ検出装置。
【請求項13】
前記姿勢推定部は、前記ユーザの姿勢をスコアに換算し、前記スコアが基準値以上になった場合に、
前記姿勢通知部は、前記ユーザへ姿勢の変更を促す指示を通知する請求項12に記載のいきみ検出装置。
【請求項14】
前記ユーザの属性を判定するユーザ判定部を更に備え、
前記ユーザ判定部は、前記感圧センサから得られた圧力分布によってユーザの属性を判定する請求項1~13のいずれかに記載のいきみ検出装置。
【請求項15】
前記ユーザの属性は、前記ユーザの年齢または性別を含む請求項14に記載のいきみ検出装置。
【請求項16】
前記ユーザの属性は個人であることを特徴とし、
前記ユーザの特徴を保持するユーザ特徴記憶部を更に備えた請求項14又は15に記載のいきみ検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はユーザの着座部位の圧力情報を基にしたいきみ検出に関するものである。
【背景技術】
【0002】
排泄時のいきみ検出の従来技術としては、ドップラーセンサを入力として、信号分離手法を用いて取得されたユーザの呼吸、体動およびノイズレベルの変化からいきみ行動や、もぞもぞ行動を検出し、排便を検出する技術が知られていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-12175号公報
【文献】特開平8-66400号公報
【文献】特開2009-240661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の構成では、心拍、呼吸又は体動を検出することが困難であり、いきみ検知は低精度であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ユーザの座圧を測定する感圧センサと、前記感圧センサから得られた情報に基づいて呼吸を抽出する呼吸抽出部と、前記呼吸検出部で検出された前記呼吸からいきみを検出するいきみ検出部と、を備えるいきみ検出装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明のいきみ検出装置によれば、高精度でいきみ検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施の形態1におけるいきみ検出装置1のシステム構成の一例を示す図である。
図2】本発明の実施の形態1におけるいきみ検出装置1の外形の側面の一例を示す図である。
図3】本発明の実施の形態1におけるいきみ検出装置1の外形の平面の一例を示す図である。
図4】本発明の実施の形態1における感圧センサから取得された信号の一例を示す図である。
図5】本発明の実施の形態1におけるいきみ検出装置1のフローチャートの一例を示す図である。
図6】本発明の実施の形態1における呼吸特徴信号の一例を示す図である。
図7】本発明の実施の形態1におけるいきみ検出装置1のフローチャートの一例を示す図である。
図8】本発明の実施の形態2におけるいきみ検出装置2のシステム構成図の一例を示す図である。
図9】本発明の実施の形態2におけるいきみ検出装置2のフローチャートの一例を示す図である。
図10】本発明の実施の形態2における呼吸通知部の再着座指示の一例を示す図である。
図11】本発明の実施の形態2におけるいきみ検出装置2のシステム構成の一例を示す図である。
図12】本発明の実施の形態2におけるいきみ検出装置3のシステム構成の一例を示す図である。
図13】本発明の実施の形態2におけるいきみ検出装置3のフローチャートの一例を示す図である。
図14】本発明の実施の形態2におけるいきみ検出装置3のシステム構成図の一例を示す図である。
図15】本発明の実施の形態2におけるいきみ検出装置3のシステム構成図の一例を示す図である。
図16】本発明の実施の形態2におけるいきみ検出装置4のシステム構成の一例を示す図である。
図17】本発明の実施の形態2におけるいきみ検出装置4のフローチャートの一例を示す図である。
図18】本発明の実施の形態3におけるいきみ検出装置5のシステム構成の一例を示す図である。
図19】本発明の実施の形態3におけるいきみ検出装置5の外形の平面の一例を示す図である。
図20】本発明の実施の形態3におけるいきみ検出装置5のフローチャートの一例を示す図である。
図21】本発明の実施の形態3におけるいきみ検出装置6のシステム構成図の一例を示す図である。
図22】本発明の実施の形態3におけるいきみ検出装置6のフローチャートの一例を示す図である。
図23】本発明の実施の形態3におけるいきみ検出装置7のフローチャートの一例を示す図である。
図24】本発明の実施の形態4におけるいきみ検出装置8のシステム構成図の一例を示す図である。
図25】本発明の実施の形態4における(a)成人、(b)幼児、(c)高齢者の圧力信号分布の一例を示す図である。
図26】本発明の実施の形態4におけるいきみ検出装置9のシステム構成図の一例の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0009】
以下に説明する各実施形態及び変形例は、本開示の一例に過ぎず、本開示は、実施形態及び変形例に限定されない。この実施形態及び変形例以外であっても、本開示の技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。発明の趣旨を逸脱しない範囲で、複数の実施形態における各構成要素を任意に組み合わせても良い。
【0010】
従来のいきみ検出装置は、着座面と、便器と、ドップラーセンサおよび距離センサと、を備える。従来のいきみ検出装置は、ドップラーセンサを入力として、信号分離手法を用いて取得されたユーザの呼吸、体動およびノイズレベルの変化からいきみ行動や、もぞもぞ行動を検出し、排便を検出する技術が知られていた。上記従来の構成では、心拍、呼吸又は体動を検出することが困難であり、いきみ検知は低精度であった。
【0011】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、排泄行為中に、腕及び手が体の前にあった場合にも精度よくいきみ検知が行えるいきみ検出装置を提供することを目的とする。また、前記従来の課題を解決するもので、使用者の手間や位置を気にすることなく設置できるいきみ検出装置を提供することを目的とする。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるいきみ検出装置1の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すいきみ検出装置1は、感圧センサ100、呼吸抽出部101、いきみ検出部102、を備える。
【0013】
図2は、本発明の実施の形態1におけるいきみ検出装置1を、一例として便器104の着座面103に取り付けた場合の外形図の一例である。図3は、いきみ検出装置1の外形を上部から見た図の一例である。図2および図3において図1と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0014】
図1および図2は、実施の形態1におけるいきみ検出装置1の仕組みを説明する図である。図2に示すように、感圧センサ100は、便器104に取り付けられた着座面103の上部に設置され、着座面103に着座するユーザの荷重を圧力信号として一定時間毎に計測する。
【0015】
図4は、感圧センサ100で取得した圧力信号の一例を示す。圧力信号は、ユーザの呼吸や体動、電子ノイズなどの影響により変化する。本実施例では呼吸波形を抽出するため、人間の一般的な呼吸間隔の範囲である時間以上の圧力信号を取得する必要がある。一般的な呼吸間隔は、年齢により異なっており、新生児では30~60回/分、成人では12~18回/分、高齢者では10~30回/分と言われている。高齢者の呼吸間隔に合わせて取得時間を最長に設定した場合は、6秒以上となるが、それより長い時間を設定しても構わないし、反対に対象年齢により取得時間の設定を短く設定しても構わない。また、一回分以上の呼吸波形が取得できれば良いため、図4のように複数回の呼吸を含む時間を設定しても構わない。図4には、一例として5回分の呼吸のデータが含まれている。計測された圧力信号は、感圧センサ100から呼吸抽出部101に送信され、移動平均法や量子化、曲線回帰などを用いて呼吸波形を抽出する。ここで、移動平均法とは、注目フレームの値を、所定時間幅の圧力信号値で平均したものである。量子化は、各フレームの圧力信号値をあらかじめ設定された離散値に変換するものである。曲線回帰は、所定時間幅の圧力信号を任意の曲線式に近似する手法である。なお、移動平均法や量子化、曲線回帰といった方法は呼吸波形の抽出方法のあくまで一例であり、その手法を限定するものではない。
【0016】
呼吸抽出部101で抽出された呼吸波形は、接続されたいきみ検出部102へ送信され、いきみ検出部102は、いきみの検出を行う。いきみ状態中は、呼吸が停止することが分かっているため、呼吸抽出部101から得られた呼吸波形より、パターンマッチングや閾値処理法、機械学習を用いた手法などを用いることで、呼吸波形から得られる呼吸の特徴に着目したいきみの検出を行う。ここで、パターンマッチングとは、呼吸抽出部101で取得された呼吸波形と事前登録されたいきみ時の呼吸波形とを比較し、類似度が一定以上であれば、いきみ状態とする手法である。閾値処理法は、呼吸抽出部101で取得された呼吸波形において、指定の閾値以上である回数や連続時間などが一定以上であれば、いきみ状態とする行う手法である。機械学習を用いた手法は、事前に通常の呼吸波形といきみ状態の呼吸波形を学習済みのモデルを用意しておき、呼吸抽出部101で取得された呼吸波形をモデルに入力して、いきみ状態の検出を行う手法である。なお、前述したパターンマッチングや閾値処理法、機械学習を用いた手法はあくまで一例であり、その手法を限定するものではない。
【0017】
かかる構成によれば、体に接触する領域の圧力変動から検出することで、手の位置や体の前後等の体動の影響を受けることなく、呼吸を検知でき、呼吸情報からいきみ検知することができる。
【0018】
なお、図2および図3では、感圧センサ100と呼吸抽出部101、いきみ検出部102をそれぞれ線で接続した図を示したが、これは一例であり、物理的に接続される必要はなく、無線で接続を行っても構わない。
【0019】
なお、前述では感圧センサ100を着座面103の上部に設置するとしたが、ユーザの着座時の荷重が測定可能であれば、設置位置は問わない。例えば、着座面の下部でも構わないし、感圧センサ100の上に布状やプラスチック等のカバーが付いていても構わないし、着座面103を持たないベッドやマット、ラグなどの上に感圧センサ100が設置されていても構わない。
【0020】
また、感圧センサ100を複数設置し、感圧センサアレイとして扱う場合には、複数センサの平均値や中央値、独立成分分析を用いて分離された信号やユーザの重心位置の変化、などを呼吸波形としても構わない。各センサで取得される圧力信号は、複数の独立信号、例えばユーザの体動起因による信号や呼吸起因による信号、ノイズ起因による信号などが混ざった混合信号である。独立成分分析では、複数の圧力信号に対し、統計的独立性を最大化することにより、前述の独立信号を見つける。複数センサから分離した独立信号の内、呼吸起因による信号と選択された信号を呼吸波形とする。重心位置を算出する手法では、各センサの圧力信号と位置情報を用いて、ユーザの重心がユーザの前後方向および左右方向のどこにあるかを算出し、その時間変化を呼吸波形とする。なお、着座面103、便器104の形状や材質は限定しない。
【0021】
図5は、上述のいきみ検出装置1において、呼吸波形のピークの時間間隔と変動量を呼吸特徴として用い、いきみ検出を行うフローチャートである。
【0022】
いきみ検出装置1は、開始後(S0)感圧センサ100より、圧力信号の取得を行い(S1)、呼吸抽出部101で呼吸波形の抽出を行う(S2)。呼吸波形の抽出方法に関しては、前述した内容と同様のためここでは省略する。呼吸抽出部101で抽出された呼吸波形は、いきみ検出部102へ送信される。呼吸抽出部101は、呼吸特徴の抽出(S3)を行う。いきみ検出部102は、呼吸特徴を用いていきみの検出(S4)を行う。呼吸特徴とは、呼吸波形の時間間隔と変動量のことを指す。
【0023】
図6は、呼吸抽出部101で抽出された呼吸波形の一例を示す。いきみ検出部102の動作に関して、図6に示す呼吸抽出部101で抽出された呼吸波形の一例を用いて説明する。
【0024】
いきみ検出部102は、抽出された呼吸波形にピークの検出を行い、図6のようにピーク値を取得する。ピークの検出には、山登り法や最急降下法を用いる。山登り法とは、入力された信号の探索する解の近傍で最もピークに近い点を近傍解とし、現在の解と近傍解を入れ替えることで、局所解を決定する手法である。最急降下法とは、入力された信号の一次微分を利用し、解を繰り返し更新することで、局所解を決定する手法である。いきみ検出部102は、取得されたピーク間の時間方向の差を時間間隔、変動値方向の差を変動量とし、呼吸特徴として取得する(S3)。
【0025】
いきみ検出部102は、取得された呼吸特徴を、指定した閾値と比較して(S4)、いきみ有り(S5)または無し(S6)の検出結果を出力する。呼吸特徴は、ピークの時間間隔および変動量のどちらか片方を用いても構わないし、両方を用いても構わない。
【0026】
いきみ検出部102は、呼吸波形のピークの時間間隔や変動量を呼吸特徴として用いていきみ検出を行った場合、パターンマッチングと比較して高速に処理できることや、閾値処理法と比較して個人差による誤検出を低減させることが出来る。
【0027】
なお、ピークの時間間隔や変動量は、3つ以上のピークを用いて求めることで、いきみ検出の安定性が高まるため、3つ以上の時間間隔や変動量の平均値や中央値、最小値と最大値の差などを算出し、呼吸特徴としても構わない。
【0028】
図5において、いきみ検出部102は、呼吸波形より呼吸特徴の抽出を行う際に(S3)、3つ以上のピークから取得されるピークの時間間隔と変動量より、ピークの時間間隔と変動量のばらつきを呼吸特徴とし、指定した閾値と比較して(S4)、いきみ有り(S5)または無し(S6)の検出結果を出力しても構わない。ユーザがいきみ行為を行った場合、通常の着座状態と異なり、呼吸間隔が長くなるため、複数のピークの間隔にばらつきが発生する。同様に、ピークの変動量に関しても、通常の着座状態といきみ行為状態で異なり、ばらつきが発生するため、ばらつきが一定以上であれば、いきみ検出部102は、いきみ状態と検出することが可能である。なお、いきみ検出部102は、呼吸特徴としてピークの時間間隔および変動量のばらつきのどちらか片方を用いても構わないし、両方を用いても構わない。
【0029】
いきみ検出部102は、複数回のピークの時間間隔および変動量のばらつきを新たな特徴量として作成して、いきみの検出を行った場合、ユーザの通常状態と比較して、現在どのような状態であるかを特徴とするため、ユーザの個人差を考慮した検出が可能となる。
【0030】
図7は、ピークの時間間隔と変動量からいきみ時間と強度を算出する場合のいきみ検出装置1に関して説明するフローチャートである。
【0031】
いきみ検出装置1は、開始後(S10)感圧センサ100より、圧力信号の取得を行い(S11)、呼吸抽出部101で呼吸波形の抽出を行う(S12)。呼吸波形の抽出方法に関しては、前述した内容と同様のためここでは省略する。呼吸抽出部101で抽出された呼吸波形は、いきみ検出部102へ送信される。いきみ検出部102は、呼吸特徴の抽出(S13)および呼吸特徴を用いていきみの時間と強度の算出(S14)を行う。呼吸特徴とは、呼吸波形の時間間隔と変動量のことを指す。
【0032】
次にいきみ検出部102の動作に関して説明する。いきみ検出部102は、抽出された前記呼吸信号に対し、前述した方法により図6に示されるような信号のピーク検出を行い、取得されるピークの時間間隔と変動量より、いきみの時間や強度の算出を行い、(S14)いきみの時間及び強度が出力される。(S15)いきみ時間の算出は、例えば、一定の閾値を設定し、その閾値を越えたピークの時間間隔をいきみの時間としたり、時間当たりの呼吸波形の変動値が連続で一定値を下回る時間をいきみ時間としたり、他の時間の時間当たりの変動値と比べて大きく変化した時点から次に同じく大きく変化した時点までをいきみ時間とすることなどにより求められる。いきみ強度は、前述した方法で求められたいきみ時間中の最小と最大の差や、いきみ時間中に含まれるピークの変動量、いきみ時間中の時間当たりの平均変化量などにより求められる。
【0033】
いきみ検出部102は、いきみの時間やいきみの強度を検出することにより、いきみの有無判定に加え、いきみの危険性を数値化して段階的に評価することが可能となる。
【0034】
(実施の形態2)
図8は、本発明の実施の形態2におけるいきみ検出装置2の構成の一例を示すブロック図である。実施の形態1との差分は、呼吸通知部203を用いる点である。
【0035】
いきみ検出装置2は、感圧センサ200、呼吸抽出部201、いきみ検出部202、呼吸通知部203を備える。図8において図2と同じ構成要素については、説明を省略する。また、呼吸抽出部201およびいきみ検出部202は、実施の形態1における呼吸抽出部101およびいきみ検出部102と同様に、ユーザの座圧を測定する感圧センサ200で取得された圧力信号から呼吸波形を作成および呼吸波形からいきみを検出する。
【0036】
図9は、前述のいきみ検出装置2を用いた呼吸判定および再着座の通知を含むいきみ検出に関して説明するフローチャートである。
【0037】
いきみ検出装置2は、開始後(S20)感圧センサ200により圧力信号が計測される(S21)。圧力信号は、感圧センサ200から呼吸抽出部201に送信され、呼吸波形が抽出される(S22)。呼吸抽出部201で抽出された呼吸波形は、いきみ検出部202へ送信され、呼吸の有無が判定される(S23)。呼吸の有無判定には、パターンマッチングや閾値処理法、機械学習を用いた手法などを用いる。これらの手法の詳細な説明は、実施例の形態1で述べたため、ここでは省略する。呼吸ありと判定された場合には、いきみ検出部202は、呼吸抽出部201で取得した呼吸波形を用いて、呼吸特徴を抽出し(S24)、いきみの検出を行い、(S25)検出は終了する(S27)。呼吸特徴の抽出およびいきみの検出方法に関しては、実施の形態1で述べたため、ここでは省略する。
【0038】
いきみ検出部202で呼吸なしと判定された場合には、その結果が呼吸通知部203へ送信される。呼吸通知部203は、正しく呼吸が検出できていない内容および呼吸ユーザへ再着座の指示のいずれかもしくは両方の通知を行う(S26)。
【0039】
図10は、呼吸通知部203でのユーザ再着座を促す通知の一例を示す。再度呼吸の検出を試みるために、図10に示すようなピクトグラムを用いて立ち上がりの指示や、他にも文字、音声などを用いてユーザに再着座を促す指示を表示させる。なお、呼吸通知部203において、再着座の通知は、ユーザが再着座する必要があることを認識できる通知が行えれば前述したものに限定しない。
【0040】
呼吸通知部203は、ユーザに再着座を促す通知を行うことで、ユーザに呼吸検出を行える位置に移動させ、呼吸検出の精度およびいきみ検知の精度の向上が可能となる。
【0041】
図11は、いきみ検出装置2の実施の形態2の構成を示すブロック図の一例であり、図8に示したいきみ検出装置2のいきみ検出部202で行っていた呼吸判定の処理を、新しく設けた呼吸判定部204によって行う。図11のいきみ検出装置2において、呼吸判定部204は、呼吸抽出部201と接続され、呼吸波形を入力として呼吸判定を行い、その結果を呼吸通知部203へ送信する。呼吸通知部203は、図8のいきみ検出装置2と同様に、呼吸なしと判定された場合には再着座の指示を通知する。
【0042】
なお、一例として便器104の上に着座面103が含まれるいきみ検出装置2を用いて説明を行ったが、実施の形態1と同様に、ユーザの座圧が測定できる位置に感圧センサ200が設置可能であれば、便器104と着座面103の間に感圧センサ200が設置されていたり、便器でなく椅子やソファに感圧センサ200が設置されていたり、着座面103を持たないベッドやマットの上に感圧センサ200が設置されていても構わない。着座面103を持たない形態である場合、いきみ検出部202で呼吸がなしと判定された場合には、呼吸通知部203は、再着座ではなく感圧センサ200に再び荷重が掛かるような指示を通知する。
【0043】
次に、図12、本発明の実施の形態2におけるいきみ検出装置3の構成の一例を示すブロック図である。
【0044】
いきみ検出装置3は、前述した実施の形態2のいきみ検出装置2の、いきみ検出部202にユーザ反応入力部205および異常状態通知部206を接続している。
【0045】
図13は、実施の形態2におけるいきみ検出装置3の仕組みを説明するフローチャートである。計測された圧力信号からいきみ検出の手順(S30~S35)に関しては、前述した手順(S20~S25)と同様であるため、ここでは省略する。
【0046】
いきみ検出部202で呼吸なしと判定された場合には、ユーザ反応入力部205は、ユーザから接触ボタン、体の移動、音声などを用いて入力を受け付ける(S36)。ユーザ反応入力部205は、ユーザからの反応があった場合には、呼吸通知部203でユーザに再着座の通知を行う(S37)。いきみ検出部202で呼吸なしと判定され、ユーザから反応がなかった場合には、ユーザに何らかの異常があったとして、異常状態通知部206は、ユーザ以外の他者にユーザが異常状態であることを文字や音、LEDランプの点滅などで通知し、検出は終了する、(S39)。
【0047】
異常状態通知部206は、ユーザからの入力がない場合に、ユーザが前記呼吸を行えない異常状態であると判断し、他者に通知することにより、他者がユーザの異常状態を発見するまでの時間を短縮が可能となる。
【0048】
なお、図12に示したいきみ検出装置3は、一例であり、他のいきみ検出装置3の構成を示すブロック図の例を図14および図15に示す。
【0049】
図14の例では、図12の例と異なり、ユーザ反応入力部205は、いきみ検出部202ではなく、呼吸通知部203に接続している。これにより、ユーザ反応入力部205は、呼吸通知部203で呼吸の有無の結果をユーザに通知した上で、ユーザからの反応を受け付ける事が可能となる。
【0050】
図15の例では、図11に示したいきみ検出装置2と同様に、呼吸判定部204を設けており、呼吸抽出部201で取得された呼吸波形を基に呼吸の有無判定を行い、その結果を呼吸通知部203およびユーザ反応入力部205へ送信している。この様に、呼吸が検知できなかった場合に呼吸通知部203にてユーザに知らせてもユーザ反応入力部205から応答がなかった場合に、異常状態通知部206がユーザ以外の他者にユーザが異常状態であることを知らせることができる構成であれば、その接続は限定しない。また、前述であげた構成で、呼吸通知部203、ユーザ反応入力部205、異常状態通知部206は物理的に接続されている必要はなく、無線で接続しても構わない。
【0051】
なお、ユーザ反応入力部205の入力形態および、呼吸通知部203の再着座通知と異常状態通知部206の異常状態の通知は、各役割を果たせば、前述した入力形態および通知方法に限定しない。例えば、振動やエクスクラメーションマークなどの図形表示などでも構わない。
【0052】
図16、実施の形態1で説明したいきみ検出装置1のいきみ検出部102に、さらにいきみ通知部207を接続したいきみ検出装置4の構成の一例を示したブロック図である。
【0053】
次に、図16および図17に示すいきみ検出装置4のフローチャートを用いて、いきみ検出装置4の仕組みの説明を行う。
【0054】
計測された圧力信号からいきみ検出の手順(S40~S43)に関しては、実施の形態1で述べた手順(S1~S3)と同様であるため、ここでは省略する。また、いきみ検出の手法(S44)の詳細に関しても実施の形態1で述べたため省略する。いきみ検出部202で検出されたいきみの有無は、いきみ通知部207へ送信され、検出結果を文字や記号、音声などを用いてユーザへ通知する(S45)。
【0055】
いきみ状態の検出結果を通知することにより、ユーザはいきみ強度やいきみ時間などを認識し、排泄に係わる生活習慣の改善の指標として役立てることが出来る。
【0056】
なお、いきみ通知部での通知は、ユーザが自身のいきみ状態を認識できれば、前述したものに限らない。例えば、LEDランプの点灯および点滅や、苦しそうな顔をデフォルメした絵などが挙げられる。
【0057】
なお、生活習慣の改善指標とするために通知するだけでなく、いきみ状態の検出結果を基に、改善のために必要な行動を示しても構わない。また、いきみ通知部207の通知相手はユーザと述べたが、いきみ通知部207を他者が確認できる場所に設置したり、無線で通信を行って、他空間にある携帯電話や、表示ディスプレイ、LEDランプなどをいきみ通知部207として用い、画面への文字表示や音声、ランプの点滅などで他者に通知を行ったりしても構わない。これにより、他者がユーザのいきみの有無を認識することが出来るため、ユーザの健康管理能力が乏しい場合や、ユーザの排泄状況が好ましくない場合などに、他者が通知を基にしてユーザの健康状態の把握や生活習慣のアドバイスを行うことが出来る。
【0058】
なお、本実施例の一例として便座を挙げているが、他にも椅子やソファ、ベッドなどユーザの座圧が測定できる位置に感圧センサ200が設置可能であれば、用途および設置場所は前記に限定しない。便座以外の場所に本実施例のいきみ検出装置を設置した場合には、いきみ検出部202でいきみがありと判定された場合に、いきみ通知部207で、いきみがあったことや、いきみ行為をその場で行ってはいけないことをユーザおよび他者に通知しても構わない。これにより、ユーザが不適切な場所で排泄行為を行おうとした際に、他社は、通知を受け取ることができる。また、ユーザは、自身がいきんではいけないことを自覚することが出来るかつ、ユーザが排泄行為を完了する前に他者が気付くことが出来るため、排泄行為を中止させることが可能となる。
【0059】
(実施の形態3)
次に、図18の本発明の実施の形態3におけるいきみ検出装置5の構成の一例を示すブロック図を用いて、本発明の実施の形態3におけるいきみ検出装置5の構成の説明を行う。図18において、いきみ検出装置5は感圧センサ100を複数設置した感圧センサアレイ300、呼吸抽出部301、いきみ検出部302備える。
【0060】
図19は、本発明の実施の形態3におけるいきみ検出装置5を一例として着座面103に取り付けた場合の外形図の一例である。
【0061】
いきみ検出装置5は、実施の形態1のいきみ検出装置1と比較して、図19のように着座面103上に複数の感圧センサを設置している点が異なる。いきみ検出部302は、実施の形態1のいきみ検出部102と同様に、呼吸波形を入力とし、呼吸特徴を作成していきみ検出を行う働きを持つ。
【0062】
次に、図20に示す実施の形態3におけるいきみ検出装置5のフローチャートを用いて、前述のいきみ検出装置5の仕組みの説明を行う。いきみ検出装置5は、開始後(S50)、感圧センサアレイ300より取得された複数の圧力信号(S51)が、呼吸抽出部301に送信される。呼吸抽出部301は、複数の圧力信号を用いて、呼吸波形の抽出を行い(S52)、いきみ検出部302に送信される。いきみ検出部302は、呼吸波形より呼吸特徴の抽出を行った後(S53)、いきみ検出を行う(S54)。本実施の形態における呼吸波形の抽出(S52)は、実施の形態1で説明した呼吸波形の抽出(S2)の手法に加え、複数センサの圧力信号から複数センサの加算値や、平均値および各センサの位置と圧力信号よりユーザの重心を算出して時系列変化を呼吸波形として抽出する。なお、呼吸波形の抽出が可能であれば、前述した方法には限らない。呼吸波形の抽出からいきみ検出までの手順(S52~S54)は前述した手順(S42~S44)と同様のであるため、ここでは説明を省略する。
【0063】
かかる構成によれば、感圧センサアレイ300を配置することにより、ユーザの座圧は、センサに掛からない位置に乗ってしまう場合が減るため、ユーザの着座位置による呼吸波形の抽出およびいきみ検出の精度への影響を低減させる事が可能となる。
【0064】
さらに、複数のセンサの圧力信号を使用する事で、一つのセンサにノイズが乗った場合にも、他のセンサの圧力信号の値で補間やノイズ低減の処理が可能となるため、呼吸波形の抽出の精度が向上し、いきみ検出の安定性が可能となる。
【0065】
なお、複数設置する感圧センサは、2つ以上の感圧センサを設置すれば、着座面103の一部に設置しても構わないし、全面に設置しても構わない。また、設置のパターンは、格子状や、一つ飛ばしの市松模様状、一列に並べたライン状などが考えられるが、ここでは限定しない。
【0066】
また、呼吸抽出部301は、感圧センサアレイ300から得られた複数の圧力信号の全てを用いて呼吸波形の抽出を行う必要はなく、呼吸抽出部301で、呼吸波形の抽出に使用する圧力信号を選択し、選択された圧力信号のみを用いて呼吸波形の抽出を行っても構わない。圧力信号の選択には、閾値を用いた手法や、周波数解析に基づく手法、着座位置を考慮した手法などを用いる。ここで、閾値を用いた手法とは、各センサで取得された圧力信号が設定された閾値を越えていた場合に、その圧力信号を使用すると決定する手法である。周波数解析に基づく手法とは、各センサで取得された圧力信号にフーリエ変換などの手法を用いて周波数スペクトルへ変換を行い、設定された周波数において一定のスペクトル値を持つ圧力信号を使用すると決定する手法である。着座位置を考慮した手法とは、各圧力信号の内、高い値を持つセンサの上にユーザの坐骨個所が乗っていると判断し、その周辺に位置するセンサから取得された圧力信号を使用すると決定する手法である。なお、一例として閾値を用いた手法や、周波数解析に基づく手法、着座位置を考慮した手法を説明したが、圧力信号の選択は前述した方法には限定しない。
【0067】
図21の本発明の実施の形態3におけるいきみ検出装置6の構成の一例を示すブロック図を用いて、本発明の実施の形態3におけるいきみ検出装置6の構成の説明を行う。図18に示したいきみ検出装置5とは、姿勢推定部303と姿勢通知部304が含まれる点が異なる。図21において図18と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0068】
次に、図22のフローチャートを用いて、複数の圧力信号よりユーザの姿勢を推定し、推定された姿勢をユーザに通知する前述のいきみ検出装置6の動作の仕組みを説明する。
【0069】
複数の感圧センサアレイ300より取得された圧力信号よりいきみ検出を行う手順(S60~S64)に関しては、前述した手順(S50~S54)と同様であるため、ここでは説明を省略する。圧力信号は、姿勢推定部303へ送信される。姿勢推定部303は、上半身の位置や、足の位置および開き角度、坐骨位置などユーザの着座姿勢に係わる特徴を抽出してユーザの姿勢を推定する(S65)。着座姿勢に係わる特徴の抽出および姿勢の推定には、パターンマッチングや重心位置の算出、各センサの比率などから行う。パターンマッチングは、事前に様々な姿勢状態における各センサの圧力信号を登録しておき、ユーザが着座した際の各センサの圧力信号と比較して、最も近いものをユーザの姿勢であると決定する手法である。重心位置の算出する手法は、各センサの圧力信号と位置情報を用いて、ユーザの重心がユーザの前後方向および左右方向のどこにあるかを算出し、ユーザの姿勢を推定する。各センサの比率を使用する手法では、ユーザの前方に配置したセンサの圧力信号の方が、後方に配置したセンサの圧力信号より大きい値を持つなどの情報を用い、ユーザの姿勢を推定する。推定されたユーザの姿勢は、姿勢通知部304に送信され、文字やピクトグラム、音声によりユーザへ現在の姿勢の通知が行われ、いきみ検出は、(S66)終了する(S67)。
【0070】
なお、姿勢推定部303での着座姿勢に係わる特徴の抽出および姿勢の推定には、パターンマッチングや重心位置の算出、各センサの比率を挙げたが、ユーザの着座姿勢に係わる情報を抽出および姿勢推定が可能な手法であれば、前述したものに限らない。
【0071】
なお、姿勢通知部304でのユーザへの通知は、推定した姿勢がユーザに通知できれば、前述した通知方法に限らない。また、姿勢通知部304では、ユーザの現在の姿勢を表示させても構わないし、ユーザの姿勢に変化があった場合に変化の前後の両方を表示させても構わないし、姿勢が良くなったか悪くなったかなどを表示しても構わない。
【0072】
いきみ状態における姿勢は、いきみによる身体負担と関係がある事が知られている。姿勢推定部303により、ユーザの姿勢が推定され、姿勢通知部304でユーザに通知することで、ユーザが自身の姿勢の状態を把握することができ、ユーザに姿勢による身体負荷の影響を再認識させ、姿勢改善の意識付けをさせることが出来る。
【0073】
次に、図23示すフローチャートを用いて、ユーザの姿勢が一定スコア以上であった場合に通知を行ういきみ検出装置7の仕組みの説明を行う。図21で説明したいきみ検出装置6と構成は同じであるが、姿勢推定部303は、ユーザの姿勢の推定だけでなく、姿勢のスコア換算を行い、基準値との比較を行う。以下に、図23を用いていきみ検出装置7の説明を示す。本いきみ検出装置7の構成は、いきみ検出装置6と同じであるため、構成の説明は省略する。
【0074】
複数の感圧センサアレイ300より取得された圧力信号よりいきみ検出を行う手順およびユーザの姿勢を推定する手順(S70~S75)に関しては、前述した手順(S60~S65)と同様であるため、ここでは説明を省略する。いきみ検出装置7は、開始後(S70)、姿勢推定部303で取得されたユーザの姿勢より、姿勢のスコア換算を行う(S76)。スコアの換算には、理想の姿勢とユーザの姿勢の差を数値化、上半身がどれだけ前方に傾いているかの数値化、便座からの足の位置の数値化などを行う。換算されたスコアは、設定された基準値と比較され(S77)、基準値より大きかった場合に、姿勢通知部304にてユーザに通知される(S78)。換算されたスコアが基準値より小さかった場合に、姿勢通知部304にてユーザに通知されは行われず、いきみ検出は、終了する(S79)。
【0075】
かかる構成によれば、姿勢通知部304は、前記スコアが一定値を越えた場合に通知を行うことにより、姿勢改善が必要な際にのみ通知がされるため、通知の重要性を高めることが出来るかつ、通知をより快適に受け取ることが可能となる。
【0076】
なお、姿勢通知部304での通知は、推定したユーザの姿勢を通知しても構わないし、ユーザの姿勢が排泄に適していない旨を通知しても構わない。さらに、姿勢通知部304は、姿勢が排泄に適していないことを通知した上で、姿勢を改善するような指示を通知しても構わない。また、通知方法は、本実施形態内で前述したように、ユーザに通知できれば、文字や音声、LEDランプの点滅などでも構わない。
【0077】
(実施の形態4)
図24本発明の実施の形態3におけるいきみ検出装置8の構成の一例を示すブロック図を用いて、本発明の実施の形態3におけるいきみ検出装置8の構成の説明を行う。図24において、いきみ検出装置8は、感圧センサアレイ400、呼吸抽出部401、いきみ検出部402、ユーザ判定部403、いきみ通知部404を備える。図18に示したいきみ検出装置5とは、ユーザ判定部403およびいきみ通知部404を含む点が異なる。図24において図18と同じ構成要素については、説明を省略する。
【0078】
次に、図24を用いて実施形態4のいきみ検出装置8の仕組みを説明する。便器104に取り付けられた着座面103の上部に感圧センサアレイ400が取り付けられ、いきみ検出装置8は、着座面103に着座するユーザの荷重を圧力信号として計測する。計測された圧力信号は、感圧センサアレイ400から呼吸抽出部401およびユーザ判定部403に送信される。呼吸抽出部401は、呼吸波形の抽出を行い、いきみ検出部402へ送信される。圧力信号の選択手法や呼吸波形の抽出手法の詳細な説明は実施の形態1および実施の形態3で行ったため、ここでは省略する。ユーザ判定部403は、感圧センサアレイ400で取得された圧力信号の重心位置や各センサの圧力信号の比率や坐骨位置の圧力信号値などから、ユーザの属性を判定する。重心位置は、センサの配置を座標換算し、各センサの圧力信号値を用いて算出する。各センサの圧力信号の比率は、基準センサを事前に選択しておき、全センサを基準センサの値で割ることで求められる。または、各センサの圧力信号の比率は、最大値を持つセンサを基準センサとし、全センサを基準センサの値で割ることで求められる。坐骨位置の圧力信号値は、着座した際に臀部及び太もも領域において坐骨に大きな荷重が掛かることが分かっているため、大きな圧力信号をもつセンサを選択することで、間接的に取得される。または、ユーザ判定部403は、圧力分布に対し、パターンマッチングや機械学習などの方法を用いることで坐骨位置の特定も可能である。その場合、ユーザ判定部403は、事前に圧力分布と坐骨の位置を学習させたモデルを用意しておく必要がある。
【0079】
ユーザの属性は、いきみ検出部402へ送信され、ユーザ属性に適したいきみ検出を行うために、いきみ検出を行う際の補正に用いられる。また、ユーザの属性は、いきみ通知部404へ送信される。いきみ通知部404は、いきみ検出部402でのいきみの検出結果をユーザに通知する。いきみの通知は、文字や音声、LEDランプの点滅などを用いて行う。いきみ通知部404は、いきみの検出結果をユーザに通知する際に、ユーザ属性を基にし、ユーザ属性に適切な通知方法またはユーザ属性が好む通知方法を選択して通知を行う。
【0080】
かかる構成によれば、感圧センサアレイ400を配置することにより、各センサの圧力分布が得られるため、圧力分布を用いて、ユーザ判定部403は、ユーザの属性の判定が可能となる。ユーザ判定部403により得られた前記ユーザ属性をいきみ検出部402へフィードバックすることにより、いきみ検出部402はユーザに適したいきみ検知を行うことが可能となる。また、前記ユーザ属性をいきみ通知部404へフィードバックすることにより、いきみ通知部404はユーザに適した通知方法で通知を行うことが可能となる。
【0081】
次に、いきみ検出装置8のユーザ属性を年齢および性別とした場合に関して説明する。図25(a)、図25(b)、図26(c)は、それぞれ成人、幼児、高齢者の感圧センサアレイ400の圧力信号の一例を図示したものである。感圧センサアレイ400は、図25において一つのみを符号で示したが、その他の図25に示された正方形はすべて感圧センサアレイ400である。ここで、各センサの圧力信号は、色が白に近いほど値が大きいとし、黒に近いほど値が小さいとする。
【0082】
幼児は成人と比較して体重が軽いため、圧力信号の値が図25(a)と比較して、図25(b)のように小さい傾向がある。さらに、幼児は、体が小さいため、前側に座る傾向があり、一定値以上の圧力信号を持つセンサ数が成人に比べて少ない。そのため、ユーザ判定部403は、圧力信号の値の平均値や、着座時の前後方向の重心位置、一定値以上の圧力信号を持つセンサ数などから幼児の判定を行うことが可能である。
【0083】
高齢者は、老化により筋肉が衰え、やせ細っている傾向があり、図25(a)のように臀部及び太もも全体に荷重が掛かるのでなく、図26(c)のように坐骨など骨が存在する場所に大きな荷重が掛かる傾向がある。そのため、ユーザ判定部403は、臀部及び太もも領域の圧力信号から取得した重心位置や、複数の圧力信号の値の分散から荷重の分布特徴、太もも領域の足の細さなどを算出することで、高齢者の判定を行うことが可能である。
【0084】
次に、男性と女性を比較すると、女性は体が小さく、体重が軽い傾向がある。また、女性は、男性より筋肉量が少ない傾向があるため、単位体積に占める重量が低い。そのため、ユーザ判定部403は、幼児の判定と同様に圧力信号の値の平均値や、一定値以上の圧力信号を持つセンサ数、一定値以上の圧力信号を持つセンサ面積と全センサの加算値の比率などを算出することで性別の判定を行うことが可能である。
【0085】
なお、年齢及び性別のユーザ属性の判定を行うことが可能であれば、判定手法は前述したものに限らない。
【0086】
いきみ行為を行うことは、特に高齢者の危険性が高いことが分かっている。そのため、ユーザ判定部403は、高齢者であるか若年者であるかを判定し、判定結果をいきみ検出部402へフィードバックする。よって、例えば、高齢者のいきみに関しては、若年者のいきみより強度が小さい場合でも、いきみ検出部402は、いきみ状態であると検出を行う。これにより、いきみ検出部402は、危険性のより高い高齢者へのいきみ検知の判定を厳しくするなど、各ユーザに適した判定ができる。加えて、いきみ通知部404は、いきみによる危険性の少ない若年者への過剰な通知を減らすことができ、ユーザのストレス原因を作らないことが可能である。また、いきみ通知部404での通知は、ユーザが高齢者と判定された場合は大きな音や大きな文字で通知するなどユーザが認識しやすい通知を行うことが可能となる。
【0087】
いきみ通知部404は、ユーザ属性を性別とした場合には、検出した性別により通知の音声を変更する。これにより、プライベート空間で異性の声がする違和感がなくなるため、いきみ通知部404は、ユーザに安心感を与える。また、加齢による聴覚障害は男性に多いため、いきみ通知部404、男性への通知音声の音量を上げるなどを行うことによりユーザが認識しやすい通知を行うことが可能となる。
【0088】
なお、図23において、ユーザ判定部403といきみ通知部404を接続しているが、これは上述の様にユーザの属性によりいきみの通知の仕方を変える場合に必要であるが、ユーザの属性によりいきみの通知の仕方を変えない場合は、ユーザ判定部403といきみ通知部404を接続する必要がないことは言うまでもない。
【0089】
図26本発明の実施の形態3におけるいきみ検出装置9の構成の一例を示すブロック図を用いて、本発明の実施の形態3におけるいきみ検出装置9の説明を行う。いきみ検出装置9は、いきみ検出装置8におけるユーザ属性が個人を特徴とするものであり、さらにユーザ特徴記憶部405とを備える。
【0090】
図26において図24と同じ構成要素については同じ符号を用い、説明を省略する。
【0091】
いきみ通知部404では、いきみの検出結果をユーザまたは他者に通知を行う。ユーザ特徴記憶部405は、各ユーザの体型や座り方を指すユーザ特徴および、通常の血圧や過去の排泄頻度および排泄中のいきみの有無や強度、性別、年齢、好みの通知方法などに関する情報を含む。
【0092】
体型や着座位置、座り方などは、各ユーザには個人差があるため、ユーザ判定部403は、これをユーザ特徴として扱う。ユーザ判定部403は、ユーザ特徴を数値的に表すためにユーザ特徴量を作成する。ユーザ特徴量とは、圧力信号の値の平均値や、一定値以上の圧力信号を持つセンサ数、着座時の圧力信号の時系列変化および各センサの圧力信号の比率などを指す。ユーザ特徴記憶部405に事前に登録された各ユーザのユーザ特徴量は、ユーザ判定部403に送信され、前述した着座中のユーザのユーザ特徴量との比較を行う。比較には、各特徴量の誤差に基づく手法やコサイン類似度に基づく手法、機械学習に基づく手法、を用いて行い、登録された個人を特徴としたユーザ属性の判別結果または未登録であると出力する。誤差に基づく手法では、着座中のユーザ特徴量と登録された各ユーザのユーザ特徴量の差を平均二乗誤差や平均絶対誤差、相対誤差などから算出し、類似度として扱う手法である。ユーザ判定部403は、類似度が一定値以下であれば、最も誤差が小さい登録されたユーザが着座中のユーザであると決定される。コサイン類似度に基づく手法では、ユーザ判定部403、着座中のユーザとユーザ特徴記憶部405に登録された各ユーザのユーザ特徴量をベクトルとして扱い、二つのベクトルの成す角度を類似度として計算し、1に近いほど類似度が高い。類似度が一定値以上であれば、ユーザ判定部403、最も類似度が高い登録されたユーザが着座中のユーザであると決定される。または、登録されたどのユーザとも類似度が所定の値より低い場合は、未登録と決定される。機械学習に基づく手法では、ユーザ特徴記憶部405に登録されたユーザ特徴量を用いて、ユーザ判定部403は、ユーザ判定を行うモデルの作成を行う。作成されたモデルに着座中のユーザのユーザ特徴量を入力することで、最も近いユーザもしくは未登録という結果が出力される。
【0093】
判定されたユーザおよび、判定されたユーザのユーザ特徴記憶部405に含まれる通常の血圧や過去の排泄、性別、年齢などに関する情報は、いきみ検出部402へ送信され、いきみ検出部402は、通常の血圧、過去の排泄、性別、年齢などを考慮して、いきみ検出を行う。いきみの検出結果とユーザ特徴記憶部405にある判定されたユーザの通知の好みの情報は、各ユーザと共にいきみ通知部404へ送信され、いきみ通知部404は、いきみの有無をユーザの好みの文字や音声や可視化方法を用いて通知する。
【0094】
かかる構成によれば、各ユーザに適したいきみの検出を行うことが可能となる。例えば、血圧が高めのユーザは、いきみ強度が小さくても危険であると判断されるため、いきみ検出の感度を高める。他にも、過去の排泄において排泄中にいきみが多いユーザは、血圧が高まっている回数が多いと判定され、いきみの検出感度を高めるなどが考えられる。さらに、いきみ通知部404は、各ユーザの好みに合わせた通知が可能になるため、ユーザの認識のしやすさを向上させるだけでなく、ユーザがリラックスして通知を受けることが可能となる。例えば、いきみ通知部404は、通知方法を大きな文字で行ったり、音声ではなく音楽に変更したり、キャラクターを用いて通知したりすることで、認識のしやすさが向上することやリラックス度が向上すると考えられる。
【0095】
なお、図26において、いきみ通知部404は、ユーザ判定部403やユーザ特徴記憶部405を接続しているが、これは前述の様にユーザの属性によりいきみの通知の仕方を変える場合に必要であるが、ユーザの属性によりいきみの通知の仕方を変えない場合は、いきみ通知部404とユーザ判定部403やユーザ特徴記憶部405との接続は不要であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本開示は、ユーザの排泄時のいきみを検知し、身体負荷の軽減のためのアドバイス提供システムや日々のモニタリングシステムなどに利用される。
【符号の説明】
【0097】
1、2、3、4、5、6、7、8、9 いきみ検出装置
100、200 感圧センサ
101、201、301、401 呼吸抽出部
102、202、302、402 いきみ検出部
103 着座面
104 便器
203 呼吸通知部
204 呼吸判定部
205 ユーザ反応入力部
206 異常状態通知部
207、404 いきみ通知部
300、400 感圧センサアレイ
303 姿勢推定部
304 姿勢通知部
403 ユーザ判定部
405 ユーザ特徴記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26