(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】労働負荷推定システム、労働負荷管理システム、労働負荷推定方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0639 20230101AFI20241122BHJP
【FI】
G06Q10/0639
(21)【出願番号】P 2023564843
(86)(22)【出願日】2022-11-10
(86)【国際出願番号】 JP2022041974
(87)【国際公開番号】W WO2023100616
(87)【国際公開日】2023-06-08
【審査請求日】2024-05-15
(31)【優先権主張番号】P 2021194842
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】入江 健一
(72)【発明者】
【氏名】阿部 賢吾
(72)【発明者】
【氏名】山田 知典
(72)【発明者】
【氏名】西田 龍樹
(72)【発明者】
【氏名】白井 拓磨
【審査官】樋口 龍弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-144718(JP,A)
【文献】特開2020-190939(JP,A)
【文献】特開2019-195417(JP,A)
【文献】特開2020-038542(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
労働による人の負担の程度である労働負荷の状態を推定する労働負荷推定システムであって、
前記人が行った業務の履歴に関する業務データ、及び前記人の人事に関する人事データの少なくとも一方に基づいて前記労働負荷の状態を推定する労働負荷推定部と、
前記労働負荷の状態の推定結果を含む推定データを出力するデータ出力部と、を備え
、
前記労働負荷推定部は、
前記業務データ及び前記人事データの少なくとも一方に基づいて、数値で表される指標を求め、
前記指標の時系列データに生じる変曲点に基づいて、前記労働負荷の状態を推定する
労働負荷推定システム。
【請求項2】
前記業務データは、前記人が操作した情報端末の操作に関する端末操作情報、前記人の生体情報、前記人の位置情報、及び前記人が発した音声に関する音声情報の少なくとも1つを含む
請求項1の労働負荷推定システム。
【請求項3】
前記端末操作情報は、前記情報端末が有するキーボードの操作、前記情報端末が有するマウスの操作、前記情報端末が有するマイクロホンへの音声入力、前記情報端末が有するカメラの動作、前記情報端末が実行するアプリケーションの起動、前記アプリケーションの動作、アクティブウィンドウで実行されている前記アプリケーションの種類、起動中の前記アプリケーションの種類、起動中の前記アプリケーションの数、及び前記アプリケーションの実行にともなって生成されているウィンドウの数の少なくとも1つに関する情報である
請求項2の労働負荷推定システム。
【請求項4】
前記生体情報は、前記人の心拍数、前記人の体温、及び前記人の動作に伴う部位の加速度の少なくとも1つに関する情報である
請求項2の労働負荷推定システム。
【請求項5】
前記人事データは、前記人の職務履歴に関する職務情報、前記人の研修受講履歴に関する研修情報、前記人の考課履歴に関する考課情報、前記人の勤怠に関する勤怠情報、及び前記人が属する部署に関する部署情報の少なくとも1つを含む
請求項1の労働負荷推定システム。
【請求項6】
前記労働負荷推定部は、
前記業務データ及び前記人事データの少なくとも一方に基づいて、数値で表される指標を求め、
評価期間における前記指標に基づいて評価値を求め、
前記評価期間以前の期間を含む基準期間における前記指標に基づいて基準値を求め、
前記評価値と前記基準値とを比較することで、前記労働負荷の状態を推定する
請求項1の労働負荷推定システム。
【請求項7】
前記評価値は、前記評価期間における前記指標の最大値、最小値、中央値、ばらつき、平均値、又は移動平均値であり、
前記基準値は、前記基準期間における前記指標の最大値、最小値、中央値、ばらつき、平均値、又は移動平均値である
請求項6の労働負荷推定システム。
【請求項8】
前記労働は、単位期間毎に区切られ、
前記評価期間は、前記複数の単位期間のうち最新の単位期間を含む
請求項6の労働負荷推定システム。
【請求項9】
前記労働は、単位期間毎に区切られ、
前記評価期間は、前記複数の単位期間のうち最新の単位期間を含まない
請求項6の労働負荷推定システム。
【請求項10】
前記単位期間は、前記人の平日に対して設定され、前記人の休日に対して設定されない
請求項8の労働負荷推定システム。
【請求項11】
前記労働負荷推定部は、
前記評価値が前記基準値を含む基準範囲に収まっていれば、前記労働負荷は変化していないと推定し、
前記評価値が前記基準範囲に収まっていなければ、前記労働負荷は変化したと推定する
請求項6の労働負荷推定システム。
【請求項12】
前記労働負荷推定部は、前記評価値が前記基準値を含む基準範囲に収まっている状態の発生頻度、及び前記評価値が前記基準範囲に収まっていない状態の発生頻度の少なくとも一方に基づいて、前記労働負荷の状態を推定する
請求項6の労働負荷推定システム。
【請求項13】
前記労働負荷推定部は、前記変曲点が生じた後、前記指標が増加し続ける時間又は減少し続ける時間が時間閾値以上であれば、前記労働負荷が変化したと推定する
請求項1の労働負荷推定システム。
【請求項14】
複数の前記人のそれぞれの前記推定結果を記憶する推定結果記憶部を更に備え、
前記データ出力部は、前記複数の推定結果のうち前記推定データに含めることができる少なくとも1つの推定結果を、前記推定データの出力先毎に予め決めている
請求項1の労働負荷推定システム。
【請求項15】
前記労働負荷推定部、及び前記データ出力部は、サーバ装置に設けられている
請求項14の労働負荷推定システム。
【請求項16】
前記労働負荷推定部は、前記業務データ及び前記人事データの少なくとも一方と、質問に対する前記人の回答に関する回答データと、に基づいて前記労働負荷の状態を推定する
請求項1の労働負荷推定システム。
【請求項17】
前記労働負荷推定部は、機械学習によって構築された学習モデルに前記業務データ及び前記人事データの少なくとも一方を入力し、前記学習モデルから前記推定結果を取得する
請求項1の労働負荷推定システム。
【請求項18】
前記業務データ、及び前記人事データの少なくとも一方を保存するデータ管理部を更に備える
請求項1の労働負荷推定システム。
【請求項19】
請求項1の労働負荷推定システムと、
前記推定データを表示する表示装置と、を備える
労働負荷管理システム。
【請求項20】
労働負荷推定システムによって実行され、労働による人の負担の程度である労働負荷の状態を推定する労働負荷推定方法であって、
前記人が行った業務の履歴に関する業務データ、及び前記人の人事に関する人事データの少なくとも一方に基づいて前記労働負荷の状態を推定する労働負荷推定ステップと、
前記労働負荷の状態の推定結果を含む推定データを出力するデータ出力ステップと、を含み、
前記労働負荷推定ステップでは、
前記業務データ及び前記人事データの少なくとも一方に基づいて、数値で表される指標を求め、
前記指標の時系列データに生じる変曲点に基づいて、前記労働負荷の状態を推定する
労働負荷推定方法。
【請求項21】
コンピュータシステムに、請求項20記載の労働負荷推定方法を実行させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、労働負荷推定システム、労働負荷管理システム、労働負荷推定方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、アンケートを必須とすることなく、エンゲージメントの推定を可能とするエンゲージメント推定装置を開示している。
【0003】
エンゲージメント推定装置は、データベースと通信回線網を介して接続して、データベースから種々の情報を取得する。データベースは、グループ単位のグループ情報を記憶している。グループ情報は、グループ単位の属性情報、ネットワーク情報、及びエンゲージメント情報を含む。
【0004】
そして、エンゲージメント推定装置は、対象グループのエンゲージメントを以下のように推定する。
【0005】
エンゲージメント推定装置は、データベースから取得した各グループのグループ情報に基づいて、対象グループのネットワーク情報の特徴量と類似する特徴量のネットワーク情報を示すグループを選択する。エンゲージメント推定装置は、当該選択したグループのエンゲージメント情報を第1エンゲージメント情報として抽出する。
【0006】
また、エンゲージメント推定装置は、データベースから取得した各グループのグループ情報に基づいて、対象グループの属性情報と類似する属性情報を示すグループを選択する。エンゲージメント推定装置は、当該選択したグループのエンゲージメント情報を第2エンゲージメント情報として抽出する。
【0007】
そして、エンゲージメント算出部は、第1エンゲージメント情報と第2エンゲージメント情報とに基づいて、エンゲージメント値の平均を算出し、平均値を対象グループのエンゲージメント値と推定する。
【0008】
上述の特許文献1の技術は、アンケート(サーベイ)を必須とすることなく、対象グループのエンゲージメントを推定できるが、労働負荷の状態を人毎に推定することはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【0010】
本開示の目的は、サーベイを必須とすることなく、労働負荷の状態を人毎に推定することができる労働負荷推定システム、労働負荷管理システム、労働負荷推定方法、及びプログラムを提供することにある。
【0011】
本開示の一態様に係る労働負荷推定システムは、労働による人の負担の程度である労働負荷の状態を推定する。前記労働負荷推定システムは、労働負荷推定部と、データ出力部と、を備える。前記労働負荷推定部は、前記人が行った業務の履歴に関する業務データ、及び前記人の人事に関する人事データの少なくとも一方に基づいて前記労働負荷の状態を推定する。前記データ出力部は、前記労働負荷の状態の推定結果を含む推定データを出力する。前記労働負荷推定部は、前記業務データ及び前記人事データの少なくとも一方に基づいて、数値で表される指標を求める。前記労働負荷推定部は、前記指標の時系列データに生じる変曲点に基づいて、前記労働負荷の状態を推定する。
【0012】
本開示の一態様に係る労働負荷管理システムは、上述の労働負荷推定システムと、前記推定データを表示する表示装置と、を備える。
【0013】
本開示の一態様に係る労働負荷推定方法は、労働負荷推定システムによって実行され、労働による人の負担の程度である労働負荷の状態を推定する。前記労働負荷推定方法は、労働負荷推定ステップと、データ出力ステップと、を含む。前記労働負荷推定ステップは、前記人が行った業務の履歴に関する業務データ、及び前記人の人事に関する人事データの少なくとも一方に基づいて前記労働負荷の状態を推定する。前記データ出力ステップは、前記労働負荷の状態の推定結果を含む推定データを出力する。前記労働負荷推定ステップでは、前記業務データ及び前記人事データの少なくとも一方に基づいて、数値で表される指標を求める。前記労働負荷推定ステップでは、前記指標の時系列データに生じる変曲点に基づいて、前記労働負荷の状態を推定する。
【0014】
本開示の一態様に係るプログラムは、コンピュータシステムに、上述の労働負荷推定方法を実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、実施形態の労働負荷推定システムを備える労働負荷管理システムを示すブロック図である。
【
図2】
図2は、同上の労働負荷推定システムが推定対象とする従業員が属する会社の概略を示す図である。
【
図3】
図3は、同上の労働負荷推定システムが推定対象とする従業員を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、同上の労働負荷推定システムにおける指標の時系列データを示すグラフである。
【
図5】
図5は、同上の労働負荷推定システムにおける情報端末の利用総時間の時系列データを示すグラフである。
【
図6】
図6は、同上の労働負荷推定システムにおける推定処理を説明するための図である。
【
図7】
図7は、同上の第1変形例における推定処理を説明するための図である。
【
図8】
図8は、同上の第2変形例における推定処理を説明するための図である。
【
図9】
図9は、同上の第3変形例における推定処理を説明するための図である。
【
図10】
図10は、同上の第4変形例の労働負荷推定システムを備える労働負荷管理システムを示すブロック図である。
【
図11】
図11は、同上の第5変形例における指標の時系列データを示すグラフである。
【
図12】
図12は、同上の第9変形例における労働負荷推定方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の実施形態は、一般に労働負荷推定システム、労働負荷管理システム、労働負荷推定方法、及びプログラムに関する。より詳細には、以下の実施形態は、人の労働負荷の状態を推定する労働負荷推定システム、労働負荷管理システム、労働負荷推定方法、及びプログラムに関する。なお、以下に説明する実施形態は、本開示の実施形態の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0017】
(1)労働負荷管理システムの概要
図1に示す労働負荷管理システム1は、労働負荷推定システム2、及び表示装置3を備える。
【0018】
労働負荷推定システム2は、労働による人の負担の程度である労働負荷の状態を推定する。労働負荷推定システム2は、労働負荷推定部22と、データ出力部23と、を備える。労働負荷推定部22は、人が行った業務の履歴に関する業務データ、及び人の人事に関する人事データの少なくとも一方に基づいて労働負荷の状態を推定する。データ出力部23は、労働負荷の状態の推定結果を含む推定データを出力する。
【0019】
表示装置3は、推定データを表示する。
【0020】
上述の構成を備える労働負荷管理システム1、及び労働負荷推定システム2は、サーベイを必須とすることなく、労働負荷の状態を人毎に推定することができる。
【0021】
(2)労働負荷管理システムの詳細
図1は労働負荷管理システム1の具体構成の一例を示し、労働負荷管理システム1は、労働負荷推定システム2、及び表示装置3を備える。労働負荷管理システム1は、業務データ収集システム4を更に備えることが好ましい。労働負荷推定システム2、表示装置3、及び業務データ収集システム4は、インターネットなどを含むネットワークNT1に接続して、ネットワークNT1を介した通信を可能に構成されている。
【0022】
そして、労働負荷管理システム1は、組織に属する人の労働負荷の状態を管理する。組織は、例えば会社、法人、企業、及び団体などであり、複数の人が組織に属している。組織に属している各人は、組織から要求又は依頼される労働を行う。
【0023】
複数の人が労働を行う組織においては、近年、エンゲージメントの向上が求められている。例えば、組織に属する人が働きやすさ、やりがい、及び共感を感じるほど、エンゲージメントは向上する。そこで、労働負荷管理システム1は、組織におけるエンゲージメント向上のために、組織に属する人の労働負荷の状態を管理する。以降、組織を会社、組織に属する人を従業員、として説明する。
【0024】
(2.1)業務データ収集システム
業務データ収集システム4は、
図2に示す会社C1に属する複数の従業員H0のそれぞれの業務データを収集する。複数の従業員H0を区別する場合、従業員H1、H2、H3、H4、………と称す。会社C1を構成する複数の部署は、第1部署C11、第2部署C12、及び第3部署C13を含む。第1部署C11には、従業員H1、H2が属している。第2部署C12には、従業員H3が属している。第3部署C13には、従業員H4が属している。
【0025】
業務データは、端末操作情報、生体情報、位置情報、及び音声情報の少なくとも1つを含むことが好ましい。本実施形態では、業務データは、端末操作情報、生体情報、位置情報、及び音声情報を含む。
【0026】
業務データ収集システム4は、情報収集アプリケーション41、生体センサ42、位置センサ43、及びマイクロホン44を備える。
【0027】
端末操作情報は、従業員H0が操作した情報端末の操作に関する情報である。会社C1では、従業員H0は、労働の際に、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、又はスマートフォンなどの情報端末9(
図3参照)を操作することで、書類作成、データ入力、データ閲覧、リモート会議、及び連絡などの各作業を行う。情報端末9には、情報端末9毎の識別情報である第1識別情報が予め割り当てられている。さらに、情報端末9には、情報収集アプリケーション41がインストールされている。そして、情報収集アプリケーション41は、情報端末9に施された操作に応じた端末操作情報を収集し、収集した端末操作情報を第1識別情報とともに、労働負荷推定システム2に間欠的(周期的)に送信する。
【0028】
端末操作情報は、例えば情報端末9が有するキーボードの操作、情報端末9が有するマウスの操作、情報端末9が有するマイクロホンへの音声入力、情報端末9が有するカメラの動作、情報端末9が実行するアプリケーションの起動、アプリケーションの動作、アクティブウィンドウで実行されているアプリケーションの種類、起動中のアプリケーションの種類、起動中のアプリケーションの数、及びアプリケーションの実行にともなって生成されているウィンドウの数の少なくとも1つに関する情報である。本実施形態では、端末操作情報は、キーボードの操作、マウスの操作、マイクロホンへの音声入力、カメラの動作、アプリケーションの起動、アプリケーションの動作、アクティブウィンドウで実行されているアプリケーションの種類、起動中のアプリケーションの種類、起動中のアプリケーションの数、及びアプリケーションの実行にともなって生成されているウィンドウの数を含む。
【0029】
生体情報は、従業員H0の心拍数、従業員H0の体温、及び従業員H0の動作に伴う部位の加速度の少なくとも1つを含む。本実施形態では、生体情報は、従業員H0の心拍数、従業員H0の体温、及び従業員H0の動作に伴う部位の加速度を含む。従業員H0の動作に伴う部位の加速度は、例えば歩行及び走行時の脚の加速度、振り回された腕又は手首の加速度、又は身体の移動に伴う加速度などである。また、生体情報は、上述の各項目以外に、呼吸速度(呼吸周期又は単位時間当たりの呼吸数)、体脂肪率、基礎代謝量、活動量、及び血中酸素などを更に含むことが好ましい。
【0030】
位置情報は、従業員H0の位置を表す情報である。音声情報は、従業員H0が発した音声の情報である。
【0031】
生体センサ42、位置センサ43、及びマイクロホン44は、従業員H0が装着しているスマートウオッチなどのウェアラブル端末8(
図3参照)に設けられており、ウェアラブル端末8には、ウェアラブル端末8毎の識別情報である第2識別情報が予め割り当てられている。そして、生体センサ42は、従業員H0の心拍数、体温、動作に伴う部位の加速度、呼吸速度(呼吸周期又は単位時間当たりの呼吸数)、体脂肪率、基礎代謝量、活動量、及び血中酸素などを測定し、測定結果を生体情報として、第2識別情報とともに労働負荷推定システム2に間欠的(周期的)に送信する。位置センサ43は、GPS(Global Positioning System)、又はビーコン若しくはWi-Fi(登録商標)などの電波情報を用いた測位技術を用いて従業員H0の位置を検出し、検出結果を位置情報として、第2識別情報とともに労働負荷推定システム2に間欠的(周期的)に送信する。マイクロホン44は、従業員H0が発した音声を集音し、集音結果を音声情報として、第2識別情報とともに労働負荷推定システム2に送信する。
【0032】
なお、業務データ収集システム4は、会社C1が入っているビル、事務所、又はテナントなどの建物に設置された撮像装置を備えてもよい。この場合、業務データ収集システム4は、建物に設置された撮像装置の撮像画像に画像認識処理を施すことで、撮像画像から複数の従業員H0のそれぞれの生体情報、及び位置情報を取得することができる。
【0033】
また、業務データ収集システム4は、会社C1が入っているビル、事務所、又はテナントなどの建物に設置された固定マイクロホンを備えてもよい。この場合、業務データ収集システム4は、建物に設置された固定マイクロホンの出力に音声認識処理を施すことで、複数の従業員H0のそれぞれの音声情報を取得することができる。
【0034】
(2.2)労働負荷推定システム
労働負荷推定システム2は、労働負荷推定部22、及びデータ出力部23を備える。労働負荷推定システム2は、データ管理部21を更に備えることが好ましい。
【0035】
労働負荷推定システム2は、コンピュータシステムを備えていることが好ましい。コンピュータシステムがプログラムを実行することによって、労働負荷推定システム2の一部又は全部の機能が実現される。コンピュータシステムは、プログラムに従って動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(Integrated Circuit)、又はLSI(Large Scale Integration)を含む一つ又は複数の電子回路で構成される。ここでは、ICやLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)若しくはULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるものであってもよい。LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成又はLSI内部の回路区画のセットアップができる再構成可能な論理デバイスも同じ目的で使うことができる。複数の電子回路は、一つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは一つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記録媒体に記録される。プログラムは、記録媒体に予め格納されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されていてもよい。
【0036】
なお、労働負荷推定システム2は、1台のコンピュータ装置、及び互いに連携した複数台のコンピュータ装置のいずれで実現されていてもよい。また、労働負荷推定システム2は、クラウドコンピューティングシステムとして構築されていてもよい。
【0037】
例えば、労働負荷推定システム2は、コンピュータシステムを備えたサーバ装置SV1であることが好ましい。すなわち、データ管理部21、労働負荷推定部22、及びデータ出力部23は、サーバ装置SV1に設けられている。この場合、労働負荷推定システム2は、労働負荷の状態を処理するためのリソースを容易に確保できる。
【0038】
(2.2.1)データ管理部
データ管理部21は、上述の第1識別情報及び第2識別情報と、複数の従業員H0の識別情報と、を対応付けて記憶している。そして、データ管理部21は、受け取った業務データ及び人事データに付加されている第1識別情報及び第2識別情報に基づいて、複数の従業員H0のそれぞれの識別情報に、対応する業務データ及び人事データを紐付けることができる。
【0039】
すなわち、データ管理部21は、従業員H0毎の業務データ及び人事データを保存している。
【0040】
(業務データ)
データ管理部21が記憶している業務データは、業務データ収集システム4から受け取った端末操作情報、生体情報、位置情報、及び音声情報である。
【0041】
(人事データ)
データ管理部21が記憶している人事データは、会社C1の人事部門が労働負荷推定システム2に送信したデータである。人事データは、職務情報、研修情報、考課情報、勤怠情報、及び部署情報の少なくとも1つを含む。本実施形態では、人事データは、職務情報、研修情報、考課情報、勤怠情報、及び部署情報を含む。
【0042】
職務情報は、従業員H0の職務履歴に関する情報であり、例えば従業員H0の担当業務の履歴などの職務経験に関する情報である。
【0043】
研修情報は、従業員H0の研修受講履歴に関する情報であり、例えば従業員H0が有しているスキルに関する情報である。
【0044】
考課情報は、従業員H0の考課履歴に関する情報であり、例えば上司が従業員H0の労働を評価した結果に関する情報である。
【0045】
勤怠情報は、従業員H0の勤怠履歴に関する情報であり、例えば従業員H0の年次有給休暇及び欠勤などの休み、並びに出勤時間及び退勤時間などの勤務時間に関する情報である。
【0046】
部署情報は、従業員H0が現在属する会社C1の部署に関する情報であり、例えば従業員H0が属する部署の人員に関する情報である。部署情報は、例えば組織図に示される、上司-部下の関係、及び同僚などの情報などである。
【0047】
(2.2.2)労働負荷推定部
労働負荷推定部22は、業務データ及び人事データの少なくとも一方に基づいて人H0の労働負荷の状態を推定する。なお、推定対象となる従業員H0を従業員H1とする。
【0048】
具体的に、労働負荷推定部22は、従業員H1の業務データ及び人事データの少なくとも一方に基づいて、数値で表される指標Y0(
図4参照)を間欠的(周期的)に求め、指標Y0の時系列データを作成する。そして、
図4に示すように、労働負荷推定部22は、評価期間T1における指標Y0に基づいて評価値Yaを求める。労働負荷推定部22は、評価期間T1以前の期間を含む基準期間T2における指標Y0に基づいて基準値Ybを求める。労働負荷推定部22は、評価値Yaと基準値Ybとを比較することで、従業員H1の労働負荷の状態を推定する。
【0049】
このように、労働負荷推定部22は、サーベイを必須とすることなく、業務データ及び人事データの少なくとも一方を用いて、労働負荷の状態を従業員H0毎に推定することができる。
【0050】
(業務データに基づく指標)
以下、労働負荷推定部22が業務データに基づいて指標Y0を求める処理について説明する。労働負荷推定部22は、業務データに基づいて、数値で表される指標Y0(
図4参照)を求める。業務データは、端末操作情報、生体情報、位置情報、及び音声情報を含む。
【0051】
(端末操作情報に基づく指標)
労働負荷推定部22は、業務データとして、従業員H1が使用する情報端末9の端末操作情報を用いることができる。端末操作情報は、情報端末9が有するキーボードの操作、情報端末9が有するマウスの操作、情報端末9が有するマイクロホンへの音声入力、情報端末9が有するカメラの動作、情報端末9が実行するアプリケーションの起動、アプリケーションの動作、アクティブウィンドウで実行されているアプリケーションの種類、起動中のアプリケーションの種類、起動中のアプリケーションの数、及びアプリケーションの実行にともなって生成されているウィンドウの数の少なくとも1つに関する情報である。労働負荷推定部22は、端末操作情報に基づいて、従業員H1によって情報端末9が利用されている日毎の総時間である総利用時間を求めることができる。すなわち、労働負荷推定部22は、総利用時間の時系列データを取得して、総利用時間の数値を指標Y0として利用することができる。
【0052】
図5は、指標Y0の一例として、従業員H1が使用する情報端末9の総利用時間Y1の時系列データを表している。
図5の横軸は日を表しており、E1は平日の期間、E2は休日(土曜日、日曜日、及び祝日)の期間である。
図5の縦軸は総利用時間Y1を表している。
【0053】
(生体情報に基づく指標)
労働負荷推定部22は、業務データとして従業員H1の生体情報を用いることができる。生体情報は、従業員H1の心拍数、従業員H1の体温、及び従業員H1の動作に伴う部位の加速度を含む。そこで、労働負荷推定部22は、生体情報に基づいて、従業員H1の心拍数、体温、及び加速度などの時系列データを取得して、心拍数、体温、及び加速度などの数値を指標Y0として利用することができる。
【0054】
また、労働負荷推定部22は、心拍数及び加速度の少なくとも一方に基づいて、従業員H1が動作していない安静状態であるか否かを判定できる。そして、労働負荷推定部22は、安静状態であるときの心拍数を指標Y0として利用してもよい。さらに、労働負荷推定部22は、従業員H1が動作状態から安静状態に遷移した直後の心拍数のデータを指標Y0から除外してもよい。
【0055】
(位置情報に基づく指標)
労働負荷推定部22は、業務データとして従業員H1の位置情報を用いることができる。位置情報は、従業員H1の位置を表す情報である。そこで、労働負荷推定部22は、位置情報に基づいて、従業員H1の移動距離、及び移動速度などの時系列データを取得して、移動距離、及び移動速度などの数値を指標Y0として利用することができる。
【0056】
また、労働負荷推定部22は、位置情報に基づいて、従業員H1が動作していない安静状態であるか否かを判定できる。そして、労働負荷推定部22は、安静状態であるときの心拍数を指標Y0として利用してもよい。さらに、労働負荷推定部22は、従業員H1が動作状態から安静状態に遷移した直後の心拍数のデータを指標Y0から除外してもよい。
【0057】
(音声情報に基づく指標)
また、労働負荷推定部22は、業務データとして人H1の音声情報を用いることができる。音声情報は、従業員H1が発した音声の情報である。そこで、労働負荷推定部22は、音声情報に基づいて、従業員H1の発話量、発話回数などの時系列データを取得して、発話量、発話回数などの数値を指標Y0として利用することができる。
【0058】
(端末操作情報、生体情報、位置情報、及び音声情報に基づく推定)
また、労働負荷推定部22は、業務データとして人H1の端末操作情報、生体情報、位置情報、及び音声情報の少なくとも2つを組み合わせて用いて、指標Y0を求めてもよい。
【0059】
(人事データに基づく指標)
以下、労働負荷推定部22が人事データに基づいて指標Y0を求める処理について説明する。労働負荷推定部22は、人事データに基づいて、数値で表される指標Y0(
図4参照)を求める。人事データは、職務情報、研修情報、考課情報、勤怠情報、及び部署情報を含む。
【0060】
(職務情報に基づく指標)
労働負荷推定部22は、人事データとして、従業員H1の職務情報を用いることができる。職務情報は、従業員H1の職務履歴に関する情報である。労働負荷推定部22は、職務情報に基づいて、従業員H1の現在の業務と職務履歴とを比較することで、現在の業務に対する従業員H1の業務適正度を求めることができる。すなわち、労働負荷推定部22は、業務適正度の数値を指標Y0として利用することができる。
【0061】
(研修情報に基づく指標)
労働負荷推定部22は、人事データとして、従業員H1の研修情報を用いることができる。研修情報は、従業員H1の研修受講履歴に関する情報である。労働負荷推定部22は、研修情報に基づいて、従業員H1の現在の業務と研修受講履歴とを比較することで、現在の業務に対する従業員H1の業務適正度を求めることができる。すなわち、労働負荷推定部22は、業務適正度の数値を指標Y0として利用することができる。
【0062】
(考課情報に基づく指標)
労働負荷推定部22は、人事データとして、従業員H1の考課情報を用いることができる。考課情報は、従業員H1の考課履歴に関する情報である。労働負荷推定部22は、考課情報に基づいて、従業員H1の現在の業務と考課履歴とを比較することで、現在の業務に対する従業員H1の業務適正度を求めることができる。すなわち、労働負荷推定部22は、業務適正度の数値を指標Y0として利用することができる。
【0063】
(勤怠情報に基づく指標)
労働負荷推定部22は、人事データとして、従業員H1の勤怠情報を用いることができる。勤怠情報は、従業員H1の勤怠履歴に関する情報である。
【0064】
労働負荷推定部22は、勤怠情報に基づく従業員H1の勤務時間から、従業員H1の業務負荷量を求めることができる。すなわち、労働負荷推定部22は、業務負荷量の数値を指標Y0として利用することができる。
【0065】
また、労働負荷推定部22は、勤怠情報に基づく従業員H1の勤務時間から、従業員H1の業務に対する他の従業員(H2-H4)のサポート度合を求めることができる。すなわち、労働負荷推定部22は、他の従業員のサポート度合の数値を指標Y0として利用することができる。
【0066】
また、労働負荷推定部22は、勤怠情報に基づいて、従業員H1の退社時間と次の出社時間の間隔を把握できる。そして、労働負荷推定部22は、従業員H1の退社時間と次の出社時間の間隔から、従業員H1の業務負荷量又は他の従業員のサポート度合を求めることができる。すなわち、労働負荷推定部22は、業務負荷量又は他の従業員のサポート度合の数値を指標Y0として利用することができる。
【0067】
また、労働負荷推定部22は、勤怠情報に基づいて、従業員H1の年次有給休暇の取得率を把握できる。そして、労働負荷推定部22は、年次有給休暇の取得率から、従業員H1の業務負荷量又は他の従業員のサポート度合を求めることができる。すなわち、労働負荷推定部22は、業務負荷量又は他の従業員のサポート度合の数値を指標Y0として利用することができる。
【0068】
(部署情報に基づく指標)
労働負荷推定部22は、人事データとして、従業員H1の部署情報を用いることができる。部署情報は、従業員H0が属する会社C1の部署である第1部署C11に関する情報である。労働負荷推定部22は、部署情報に基づいて、従業員H1が属している第1部署C11の構成人数を把握できる。すなわち、労働負荷推定部22は、第1部署C11の構成人数の数値を指標Y0として利用することができる。
【0069】
(職務情報、研修情報、考課情報、勤怠情報、及び部署情報に基づく指標)
また、労働負荷推定部22は、人事データとして人H1の職務情報、研修情報、考課情報、勤怠情報、及び部署情報の少なくとも2つを組み合わせて用いて、指標Y0を求めてもよい。
【0070】
(業務データ及び人事データに基づく指標)
労働負荷推定部22は、業務データと人事データとの組み合わせに基づいて指標Y0を求めてもよい。
【0071】
例えば、労働負荷推定部22は、業務データとして従業員H1-H4のそれぞれの位置情報及び音声情報を用い、人事データとして従業員H1-H4のそれぞれの部署情報を用いる。この場合、労働負荷推定部22は、従業員H1-H4のそれぞれの位置情報に基づいて、従業員H1-H4が互いに接近した時間の長さ(接近時間)、及び従業員H1-H4が互いに接近した回数(接近回数)を判定できる。また、労働負荷推定部22は、従業員H1-H4のそれぞれの音声情報に基づいて、従業員H1-H4が互いに接近しているときの相互コミュニケーションの有無を判定できる。また、労働負荷推定部22は、従業員H1-H4のそれぞれの職務情報及び部署情報に基づいて、従業員H1-H4の相互関係(上司と部下の関係の有無、及び同じ業務を担当しているか否かなど)を判定できる。そして、労働負荷推定部22は、上述の各判定結果に基づいて、従業員H1-H4の相互のコミュニケーションの回数又は量(業務連携度合)を指標Y0として求めることができる。
【0072】
(労働負荷の状態推定)
労働負荷推定部22は、指標Y0を用いて従業員H1の労働負荷の状態を推定する。
【0073】
具体的に、
図4に示すように、労働負荷推定部22は、評価期間T1における指標Y0に基づいて評価値Yaを求める。労働負荷推定部22は、評価期間T1以前の期間を含む基準期間T2における指標Y0に基づいて基準値Ybを求める。労働負荷推定部22は、評価値Yaと基準値Ybとを比較することで、従業員H1の労働負荷の状態を推定する。
【0074】
ここで、労働負荷推定部22は、労働を、0時から24時までの単位期間D1(1日)毎に区切る。
図4では、単位期間D1として前々日D11、前日D12、今日D13を例示し、前々日D11、前日D12、今日D13の3日間における指標Y0の時系列データを表している。
【0075】
そして、労働負荷推定部22は、評価期間T1として、前々日D11、前日D12、今日D13のうち今日D13を設定する。この評価期間T1は、複数の単位期間D1である前々日D11、前日D12、今日D13のうち、最新の単位期間D1である今日D13を含む。
図4では、評価期間T1を今日D13としている。すなわち、労働負荷推定部22は、評価期間T1を最新の単位期間D1である今日D13とすることで、現在又は今日の従業員H1の労働負荷を推定するリアルタイム推定を行う。
【0076】
次に、労働負荷推定部22は、評価期間T1(今日D13)における指標Y0に基づいて評価値Yaを求める。評価値Yaは、評価期間T1における指標Y0の最大値、最小値、中央値、ばらつき、平均値、又は移動平均値であることが好ましい。例えば、評価期間T1における指標Y0の最大値を評価値Yaとする場合、評価値YaはYa1(
図4参照)となる。また、評価期間T1における指標Y0の最小値を評価値Yaとする場合、評価値YaはYa2(
図4参照)となる。したがって、労働負荷推定部22は、指標Y0から評価値Yaを容易に求めることができる。
【0077】
また、労働負荷推定部22は、基準期間T2として、前々日D11、前日D12、今日D13のうち前々日D11、前日D12を設定する。この基準期間T2は、評価期間T1以前の期間を含む。そして、労働負荷推定部22は、基準期間T2(前々日D11、前日D12)における指標Y0に基づいて基準値Ybを求める。基準値Ybは、基準期間T2における指標Y0の最大値、最小値、中央値、ばらつき、平均値、又は移動平均値であることが好ましい。例えば、基準期間T2における指標Y0の最大値を基準値Ybとする場合、基準値YbはYb1(
図4参照)となる。また、基準期間T2における指標Y0の最小値を基準値Ybとする場合、基準値YbはYb2(
図4参照)となる。したがって、労働負荷推定部22は、指標Y0から基準値Ybを容易に求めることができる。
【0078】
そして、労働負荷推定部22は、評価値Yaと基準値Ybとを比較することで、労働負荷の状態を推定する。
【0079】
具体的に
図6に示すように、労働負荷推定部22は、評価値Yaが基準範囲W1に収まっていれば、労働負荷は変化していないと推定する。また、労働負荷推定部22は、評価値Yaが基準範囲W1に収まっていなければ、労働負荷は変化したと推定する。基準範囲W1は、基準値Ybを含む範囲である。例えば、基準範囲W1は、基準値Ybを中心として±W11となる範囲である。なお、基準範囲W1は、基準値Ybを含む範囲であればよく、例えば基準値Yb以上の所定範囲、又は基準値Yb以下の所定範囲であってもよい。
【0080】
そして、労働負荷推定部22は、評価値Yaが基準範囲W1の上限値V1より大きい評価値Ya11であれば、従業員H1の労働負荷は高負荷側に変化した(労働負荷が増加した)と推定する。また、労働負荷推定部22は、評価値Yaが基準範囲W1の下限値V2より小さい評価値Ya13であれば、従業員H1の労働負荷は低負荷側に変化した(労働負荷が減少した)と推定する。また、労働負荷推定部22は、評価値Yaが基準範囲W1に収まる評価値Ya12であれば、従業員H1の労働負荷は変化していないと推定する。
【0081】
上述のように、労働負荷推定部22は、評価値Yaと基準値Ybとを比較することで、従業員H1の労働負荷の変化の有無を容易に判定できる。
【0082】
(2.2.3)データ出力部
データ出力部23は、労働負荷推定部22による労働負荷の状態の推定結果を含む推定データを表示装置3へ出力する。データ出力部23は、推定データを画像データとして生成する。データ出力部23は、推定データに音声データを更に含めてもよい。
【0083】
(2.3)表示装置
表示装置3は、従業員H0が利用するタブレット端末、スマートフォン、液晶ディスプレイ装置、又は有機ELディスプレイ装置などであり、画像を表示する画面を備える。そして、表示装置3は、データ出力部23から受け取った推定データを画面に表示する。また、表示装置3は、推定データに音声データが含まれていれば、スピーカ装置から音声を出力する。
【0084】
(3)第1変形例
本変形例において、労働負荷推定部22は、新たな単位期間D1(最新の単位期間D1)が追加される毎に、新たな単位期間D1の評価値Yaと基準範囲W1との比較処理を行う。そして、労働負荷推定部22は、単位期間D1毎の比較結果を
図7のように記憶しておく。
図7では、単位期間D1の評価値Yaが基準範囲W1に収まっていれば、比較結果は「変化なし」で表す。また、評価値Yaが基準範囲W1の上限値より大きければ、比較結果は「変化あり(高負荷)」で表す。また、評価値Yaが基準範囲W1の上限値より小さければ、比較結果は「変化あり(低負荷)」で表す。なお、複数の単位期間D1のそれぞれにおける比較処理で用いられる基準範囲W1は、単位期間D1のそれぞれに対応する基準期間T2から求められた範囲であり、全ての単位期間D1で共通ではない。
【0085】
そして、労働負荷推定部22は、比較結果「変化なし」の発生頻度、比較結果「変化あり(高負荷)」及び「変化あり(低負荷)」)の発生頻度の少なくとも一方に基づいて、労働負荷の状態を推定することが好ましい。すなわち、労働負荷推定部22は、評価値Yaが基準範囲W1に収まっている状態の発生頻度、及び評価値Yaが基準範囲W1に収まっていない状態の発生頻度の少なくとも一方に基づいて、労働負荷の状態を推定することが好ましい。
【0086】
本変形例では、労働負荷推定部22は、比較結果「変化なし」の発生頻度、比較結果「変化あり(高負荷)」の発生頻度、及び「変化あり(低負荷)」)の発生頻度に基づいて、労働負荷の状態を推定する。
【0087】
具体的に、労働負荷推定部22は、同じ比較結果の連続発生回数が回数閾値「2回」以上になれば、推定結果を更新する。
図7では、単位期間D21、D22において、比較結果「変化あり(高負荷)」が2回連続している。すなわち、単位期間D21、D22では、評価値Yaが基準範囲W1の上限値V1より大きい状態の連続発生回数が、回数閾値「2回」以上になっている。したがって、労働負荷推定部22は、単位期間D22直後のタイミングt1において、労働負荷は高負荷状態であると推定する。
【0088】
また、
図7では、単位期間D31、D32において、比較結果「変化なし」が2回連続している。すなわち、単位期間D31、D32では、評価値Yaが基準範囲W1に収まっている状態の連続発生回数が、回数閾値「2回」以上になっている。したがって、労働負荷推定部22は、単位期間D32直後のタイミングt2において、労働負荷は定常状態であると推定する。
【0089】
本変形例の労働負荷推定部22は、従業員H0の労働負荷の状態を容易に推定できる。
【0090】
(4)第2変形例
本変形例において、労働負荷推定部22は、新たな単位期間D1(最新の単位期間D1)が追加される毎に、新たな単位期間D1の評価値Yaと基準範囲W1との比較処理を行う。そして、労働負荷推定部22は、単位期間D1毎の比較結果を
図8のように記憶しておく。
図8では、単位期間D1の評価値Yaが基準範囲W1に収まっていれば、比較結果は「変化なし」で表す。また、評価値Yaが基準範囲W1の上限値より大きければ、比較結果は「変化あり(高負荷)」で表す。また、評価値Yaが基準範囲W1の上限値より小さければ、比較結果は「変化あり(低負荷)」で表す。なお、複数の単位期間D1のそれぞれにおける比較処理で用いられる基準範囲W1は、単位期間D1のそれぞれに対応する基準期間T2から求められた範囲であり、全ての単位期間D1で共通ではない。
【0091】
そして、労働負荷推定部22は、比較結果「変化なし」の発生頻度、比較結果「変化あり(高負荷)」及び「変化あり(低負荷)」)の発生頻度の少なくとも一方に基づいて、労働負荷の状態を推定することが好ましい。すなわち、労働負荷推定部22は、評価値Yaが基準範囲W1に収まっている状態の発生頻度、及び評価値Yaが基準範囲W1に収まっていない状態の発生頻度の少なくとも一方に基づいて、労働負荷の状態を推定することが好ましい。
【0092】
本変形例では、労働負荷推定部22は、比較結果「変化なし」の発生頻度、比較結果「変化あり(高負荷)」の発生頻度、及び「変化あり(低負荷)」)の発生頻度に基づいて、労働負荷の状態を推定する。
【0093】
具体的に、労働負荷推定部22は、連続する3つの単位期間D1で構成されるグループを作成し、グループ毎に3つの単位期間D1の各比較結果の統計処理を行う。
図8では、連続する3つの単位期間D1で構成されるグループG1、G2のそれぞれにおいて、統計処理を行う。
【0094】
グループG1では、3つの単位期間D1の各比較結果は、「変化あり(低負荷)」、「変化あり(高負荷)」、「変化あり(高負荷)」であり、「変化あり(高負荷)」の発生確率が最も高い。したがって、労働負荷推定部22は、グループG1の直後のタイミングt11において、労働負荷は高負荷状態であると推定する。
【0095】
グループG2では、3つの単位期間D1の各比較結果は、「変化なし」、「変化あり(低負荷)」、「変化なし」であり、「変化なし」の発生確率が最も高い。したがって、労働負荷推定部22は、グループG2の直後のタイミングt12において、労働負荷は定常状態であると推定する。
【0096】
本変形例の労働負荷推定部22は、従業員H0の労働負荷の状態を容易に推定できる。
【0097】
(5)第3変形例
本変形例では、労働負荷推定部22は、指標Y0の時系列データに生じる変曲点に基づいて、労働負荷の状態を推定する。
【0098】
具体的に、労働負荷推定部22は、
図9に示すように、従業員H1の指標Y0の時系列データから変曲点P1を抽出する。そして、労働負荷推定部22は、
図9に示すように、指標Y0が変曲点P1の発生タイミングt21から時間閾値L1に亘って減少し続ければ、従業員H1の労働負荷は低負荷側に変化した(労働負荷が減少した)と推定する。また、労働負荷推定部22は、指標Y0が変曲点P1の発生タイミングt21から時間閾値L1に亘って増加し続ければ、従業員H1の労働負荷は高負荷側に変化した(労働負荷が増加した)と推定する。
【0099】
本変形例の労働負荷推定部22は、従業員H0の労働負荷の状態を容易に推定できる。
【0100】
(6)第4変形例
図10に示す労働負荷推定システム2は、推定結果記憶部24を更に備える。推定結果記憶部24は、複数の従業員H0のそれぞれの労働負荷の状態の推定結果を記憶する。データ出力部23は、複数の従業員H0のそれぞれの労働負荷の状態の推定結果のうち推定データに含めることができる少なくとも1つの推定結果を、推定データの出力先毎に予め決めている。
【0101】
具体的に、労働負荷推定部22は、複数の従業員H0のそれぞれについて、上述の従業員H1と同様に労働負荷の状態を推定する。労働負荷推定部22は、複数の従業員H0のそれぞれの推定結果を推定結果記憶部24に保存する。
【0102】
例えば、従業員H2は第1部署C11の部長(又は課長)であり、第1部署C11には、従業員H2の部下として、従業員H1を含む複数の従業員H0が属している。この場合、データ出力部23は、推定データの出力先となる表示装置3が従業員H2によって使用される表示装置3であれば、従業員H2に対する推定結果だけでなく、第1部署C11に属する複数の従業員H0のそれぞれに対する推定結果を推定データに含めることができる。また、データ出力部23は、推定データの出力先となる表示装置3が従業員H1によって使用される表示装置3であれば、従業員H1に対する労働負荷の推定結果を推定データに含めることができるが、従業員H1以外の従業員H0に対する労働負荷の推定結果を推定データに含めることができない。
【0103】
また、第1部署C11に属する全ての従業員H0(従業員H1、H2を含む)のそれぞれの労働負荷の推定結果の平均を、第1部署C11の労働負荷の状態の推定結果とする。この場合、データ出力部23は、推定データの出力先となる表示装置3が第1部署C11に属する従業員H0によって使用される表示装置3であれば、第1部署C11に対する推定結果を推定データに含めることができる。
【0104】
本変形例の労働負荷推定システム2は、出力可能な推定結果を推定データの出力先毎に予め決めていることで、従業員H0の個人的な情報を保護することができる。
【0105】
(7)第5変形例
労働負荷推定部22は、上述の評価期間T1を過去の期間とすることで、現在又は今日の従業員H1の労働負荷の状態を推定するリアルタイム推定ではなく、過去又は前日以前の従業員H1の労働負荷の状態を推定する過去推定を行うことができる。
【0106】
具体的に、
図11に示すように、労働負荷推定部22は、0時から24時までを単位期間D1(1日)とする。
図11では、単位期間D1として前々々日D10、前々日D11、前日D12、今日D13を例示し、前々々日D10、前々日D11、前日D12、今日D13の4日間における指標Y0の時系列データを表している。
【0107】
そして、労働負荷推定部22は、評価期間T1として、前々々日D10、前々日D11、前日D12、今日D13のうち前日D12を設定する。この評価期間T1は、複数の単位期間D1である前々々日D10、前々日D11、前日D12、今日D13のうち、最新の単位期間D1である今日D13を含まない。すなわち、労働負荷推定部22は、評価期間T1に最新の単位期間D1である今日D13を含めないことで、過去又は前日以前の従業員H1の労働負荷を推定する過去推定を行う。
【0108】
そして、労働負荷推定部22は、評価期間T1(前日D12)における指標Y0に基づいて評価値Yaを求める。評価値Yaは、評価期間T1における指標Y0の最大値、最小値、中央値、ばらつき、平均値、又は移動平均値であることが好ましい。
【0109】
また、労働負荷推定部22は、基準期間T2として、前々々日D10、前々日D11、前日D12、今日D13のうち前々々日D10、前々日D11を設定する。この基準期間T2は、評価期間T1以前の期間を含む。そして、労働負荷推定部22は、基準期間T2(前々々日D10、前々日D11)における指標Y0に基づいて基準値Ybを求める。基準値Ybは、基準期間T2における指標Y0の最大値、最小値、中央値、ばらつき、平均値、又は移動平均値であることが好ましい。
【0110】
そして、労働負荷推定部22は、評価値Yaと基準値Ybとを比較することで、労働負荷の状態を推定する。
【0111】
(8)第6変形例
単位期間D1は、従業員H0の平日に対して設定され、従業員H0の休日に対して設定されないことが好ましい。
【0112】
具体的に、労働負荷推定部22は、指標Y0として
図5に示す総利用時間Y1を用いる場合、平日の期間E1の総利用時間Y1を抽出し、休日(土曜日、日曜日、祝日、及び年次有給休暇(半日年休、及び時間年休を含む)E2の総利用時間Y1を抽出しない。そして、労働負荷推定部22は、平日の期間E1の総利用時間Y1に基づいて、労働負荷の状態を推定する。例えば、労働負荷推定部22は、平日の期間E1の総利用時間Y1の時系列データに対して、上述の評価期間T1及び基準期間T2を設定して、評価値Ya及び基準値Ybを求める。また、労働負荷推定部22は、平日の期間E1の総利用時間Y1の時系列データから変曲点を抽出してもよい。
【0113】
本変形例の労働負荷推定部22は、平日における労働負荷の状態を推定できる。
【0114】
(9)第7変形例
労働負荷推定システム2は、上述の業務データ及び人事データに加えて、回答データを更に用いて、労働負荷の状態を推定することが好ましい。
【0115】
回答データは、労働状況に対する従業員H0の思いを把握するために従業員H0に対して行われたサーベイ(アンケートなどを含む)のデータである。すなわち、回答データは、サーベイの質問に対する従業員H0の回答のデータである。
【0116】
そして、データ管理部21は、業務データ及び人事データに加えて、回答データを更に保存する。労働負荷推定部22は、業務データ及び人事データの少なくとも一方と、回答データと、に基づいて労働負荷の状態を推定する。
【0117】
例えば、業務データ及び人事データの少なくとも一方に基づく推定結果において労働負荷が増加しているときに、従業員H0本人にサーベイによって労働状況を確認し、その回答データをデータ管理部21に保存する。そして、労働負荷推定部22は、回答データに基づいて従業員H0本人の楽観性及びレジリエンス(resilience)を判定し、楽観性及びレジリエンス(resilience)を考慮した上で労働負荷の状態を再推定する。
【0118】
本変形例の労働負荷推定部22は、業務データ及び人事データに加えて、回答データを更に用いることで、従業員H0の労働負荷の状態を更に精度よく推定できる。
【0119】
(10)第8変形例
労働負荷推定部22は、機械学習によって構築された学習モデルに業務データ及び人事データの少なくとも一方を入力し、学習モデルから労働負荷の状態の推定結果を取得することが好ましい。
【0120】
具体的に、従業員H0は、上述の評価期間T1の労働負荷に対する自分の評価を自己評価データとして作成する。そして、評価期間T1の労働負荷に対する労働負荷推定部22の推定結果を含む推定データと、従業員H0の自己評価データと、を教師データとして、学習モデル生成システムに入力する。学習モデル生成システムは、労働負荷推定部22が用いる学習モデルを記憶しており、教師データを用いた学習によって、学習モデルのアルゴリズムを構築又は再構築する学習処理を行う。すなわち、学習モデル生成システムは、機械学習によって学習モデルを生成し、かつ、学習モデルを改善する。学習モデル生成システムが生成、改善した学習モデルは、適宜、労働負荷推定部22に実装される。
【0121】
学習モデルは、ニューラルネットワークを用いたディープラーニングなどの機械学習によって構築されることが好ましいが、特定のモデルに限定されない。
【0122】
労働負荷推定部22は、学習モデルを用いることで、労働負荷の状態の推定精度を向上させることができる。
【0123】
(11)第9変形例
上述の労働負荷推定システム2が実行する労働負荷推定方法をまとめると、
図12のフローチャートで表される。
【0124】
労働負荷推定方法は、データ取得ステップS1、労働負荷推定ステップS2、及びデータ出力ステップS3を含む。
【0125】
データ取得ステップS1では、データ管理部21は、業務データ及び人事データの少なくとも一方(必要であれば回答データ)を取得する。
【0126】
労働負荷推定ステップS2では、労働負荷推定部22は、業務データ及び人事データの少なくとも一方に基づいて労働負荷の状態を推定する(必要であれば回答データも併せて用いる)。
【0127】
データ出力ステップS3では、データ出力部23は、労働負荷の状態の推定結果を含む推定データを表示装置3へ出力する。
【0128】
上述の労働負荷推定方法は、サーベイを必須とすることなく、業務データ及び人事データの少なくとも一方を用いて、労働負荷の状態を従業員H0毎に推定することができる。
【0129】
(12)第10変形例
労働負荷推定システム2は、業務データと人事データとの両方を用いる必要はなく、業務データと人事データとの少なくとも一方を用いて労働負荷の状態を推定すればよい。
【0130】
業務データは、端末操作情報、生体情報、位置情報、及び音声情報以外の情報を含んでいてもよい。生体情報は、従業員H0の心拍数、体温、及び動作に伴う部位の加速度以外の情報を含んでいてもよい。
【0131】
人事データは、職務情報、研修情報、考課情報、勤怠情報、及び部署情報以外の情報を含んでいてもよい。
【0132】
評価期間T1は、複数の単位期間D1を含んでいてもよい。
【0133】
基準期間T2は、最新の単位期間D1である今日D13を含んでいてもよい。
【0134】
データ管理部21は、労働負荷推定システム2とは別のシステム又は装置に設けられてもよい。
【0135】
(13)まとめ
上述の実施形態に係る第1の態様の労働負荷推定システム(2)は、労働による人(H0)の負担の程度である労働負荷の状態を推定する。前記労働負荷推定システム(2)は、労働負荷推定部(22)と、データ出力部(23)と、を備える。労働負荷推定部(22)は、人(H0)が行った業務の履歴に関する業務データ、及び人(H0)の人事に関する人事データの少なくとも一方に基づいて労働負荷の状態を推定する。データ出力部(23)は、労働負荷の状態の推定結果を含む推定データを出力する。
【0136】
上述の労働負荷推定システム(2)は、サーベイを必須とすることなく、労働負荷の状態を人(H0)毎に推定することができる。
【0137】
上述の実施形態に係る第2の態様の労働負荷推定システム(2)では、第1の態様において、業務データは、人(H0)が操作した情報端末(9)の操作に関する端末操作情報、人(H0)の生体情報、人(H0)の位置情報、及び人(H0)が発した音声に関する音声情報の少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0138】
上述の労働負荷推定システム(2)は、労働負荷の状態を推定することを可能にする業務データを用いることができる。
【0139】
上述の実施形態に係る第3の態様の労働負荷推定システム(2)では、第2の態様において、端末操作情報は、情報端末(9)が有するキーボードの操作、情報端末(9)が有するマウスの操作、情報端末(9)が有するマイクロホンへの音声入力、情報端末(9)が有するカメラの動作、情報端末(9)が実行するアプリケーションの起動、アプリケーションの動作、アクティブウィンドウで実行されているアプリケーションの種類、起動中のアプリケーションの種類、起動中のアプリケーションの数、及びアプリケーションの実行にともなって生成されているウィンドウの数の少なくとも1つに関する情報であることが好ましい。
【0140】
上述の労働負荷推定システム(2)は、労働負荷の状態を推定することを可能にする端末操作情報を用いることができる。
【0141】
上述の実施形態に係る第4の態様の労働負荷推定システム(2)では、第2又は第3の態様において、生体情報は、人(H0)の心拍数、人(H0)の体温、及び人(H0)の動作に伴う部位の加速度の少なくとも1つに関する情報であることが好ましい。
【0142】
上述の労働負荷推定システム(2)は、労働負荷の状態を推定することを可能にする生体情報を用いることができる。
【0143】
上述の実施形態に係る第5の態様の労働負荷推定システム(2)では、第1乃至第4の態様のいずれか1つにおいて、人事データは、人(H0)の職務履歴に関する職務情報、人(H0)の研修受講履歴に関する研修情報、人(H0)の考課履歴に関する考課情報、人(H0)の勤怠に関する勤怠情報、及び人(H0)が属する部署に関する部署情報の少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0144】
上述の労働負荷推定システム(2)は、労働負荷の状態を推定することを可能にする人事データを用いることができる。
【0145】
上述の実施形態に係る第6の態様の労働負荷推定システム(2)では、第1乃至第5の態様のいずれか1つにおいて、労働負荷推定部(22)は、業務データ及び人事データの少なくとも一方に基づいて、数値で表される指標(Y0)を求めることが好ましい。そして、労働負荷推定部(22)は、評価期間(T1)における指標(Y0)に基づいて評価値(Ya)を求め、評価期間(T1)以前の期間を含む基準期間(T2)における指標(Y0)に基づいて基準値(Yb)を求める。労働負荷推定部(22)は、評価値(Ya)と基準値(Yb)とを比較することで、労働負荷の状態を推定する。
【0146】
上述の労働負荷推定システム(2)は、サーベイを必須とすることなく、業務データ及び人事データの少なくとも一方を用いて、労働負荷の状態を従業員(H0)毎に推定することができる。
【0147】
上述の実施形態に係る第7の態様の労働負荷推定システム(2)では、第6の態様において、評価値(Ya)は、評価期間(T1)における指標(Y0)の最大値(Ya1)、最小値(Ya2)、中央値、ばらつき、平均値、又は移動平均値であることが好ましい。基準値(Yb)は、基準期間(T2)における指標(Y0)の最大値(Yb1)、最小値(Yb2)、中央値、ばらつき、平均値、又は移動平均値であることが好ましい。
【0148】
上述の労働負荷推定システム(2)は、指標(Y0)から評価値(Ya)を容易に求めることができる。
【0149】
上述の実施形態に係る第8の態様の労働負荷推定システム(2)では、第6又は第7の態様において、労働は、単位期間(D1)毎に区切られ、評価期間(T1)は、複数の単位期間(D1)のうち最新の単位期間(D13)を含むことが好ましい。
【0150】
上述の労働負荷推定システム(2)は、現在又は今日の人(H0)の労働負荷を推定するリアルタイム推定を行うことができる。
【0151】
上述の実施形態に係る第9の態様の労働負荷推定システム(2)では、第6又は第7の態様において、労働は、単位期間(D1)毎に区切られ、評価期間(T1)は、複数の単位期間(D1)のうち最新の単位期間(D13)を含まないことが好ましい。
【0152】
上述の労働負荷推定システム(2)は、過去又は前日以前の人(H0)の労働負荷を推定する過去推定を行うことができる。
【0153】
上述の実施形態に係る第10の態様の労働負荷推定システム(2)では、第8又は第9の態様において、単位期間(D1)は、人(H0)の平日(E1)に対して設定され、人(H0)の休日(E2)に対して設定されないことが好ましい。
【0154】
上述の労働負荷推定システム(2)は、平日における労働負荷の状態を推定できる。
【0155】
上述の実施形態に係る第11の態様の労働負荷推定システム(2)では、第6乃至第10の態様のいずれか1つにおいて、労働負荷推定部(22)は、評価値(Ya)が基準値(Yb)を含む基準範囲(W1)に収まっていれば、労働負荷は変化していないと推定することが好ましい。労働負荷推定部(22)は、評価値(Ya)が基準範囲(W1)に収まっていなければ、労働負荷は変化したと推定することが好ましい。
【0156】
上述の労働負荷推定システム(2)は、人(H0)の労働負荷の変化の有無を容易に判定できる。
【0157】
上述の実施形態に係る第12の態様の労働負荷推定システム(2)では、第6乃至第10の態様のいずれか1つにおいて、労働負荷推定部(22)は、評価値(Ya)が基準値(Yb)を含む基準範囲(W1)に収まっている状態の発生頻度、及び評価値(Ya)が基準範囲(W1)に収まっていない状態の発生頻度の少なくとも一方に基づいて、労働負荷の状態を推定することが好ましい。
【0158】
上述の労働負荷推定システム(2)は、人(H0)の労働負荷の状態を容易に推定できる。
【0159】
上述の実施形態に係る第13の態様の労働負荷推定システム(2)では、第1乃至第5の態様のいずれか1つにおいて、労働負荷推定部(22)は、業務データ及び人事データの少なくとも一方に基づいて、数値で表される指標(Y0)を求めることが好ましい。労働負荷推定部(22)は、指標(Y0)の時系列データに生じる変曲点(P1)に基づいて、労働負荷の状態を推定する。
【0160】
上述の労働負荷推定システム(2)は、人(H0)の労働負荷の状態を容易に推定できる。
【0161】
上述の実施形態に係る第14の態様の労働負荷推定システム(2)では、第13の態様において、労働負荷推定部(22)は、変曲点(P1)が生じた後、指標(Y0)が増加し続ける時間又は減少し続ける時間が時間閾値(L1)以上であれば、労働負荷が変化したと推定することが好ましい。
【0162】
上述の労働負荷推定システム(2)は、人(H0)の労働負荷の状態を容易に推定できる。
【0163】
上述の実施形態に係る第15の態様の労働負荷推定システム(2)は、第1乃至第14の態様のいずれか1つにおいて、複数の人(H0)のそれぞれの推定結果を記憶する推定結果記憶部(24)を更に備えることが好ましい。データ出力部(23)は、複数の推定結果のうち推定データに含めることができる少なくとも1つの推定結果を、推定データの出力先毎に予め決めている。
【0164】
上述の労働負荷推定システム(2)は、人(H0)の個人的な情報を保護することができる。
【0165】
上述の実施形態に係る第16の態様の労働負荷推定システム(2)では、第15の態様において、労働負荷推定部(22)、及びデータ出力部(23)は、サーバ装置(SV1)に設けられていることが好ましい。
【0166】
上述の労働負荷推定システム(2)は、労働負荷の状態を処理するためのリソースを容易に確保できる。
【0167】
上述の実施形態に係る第17の態様の労働負荷推定システム(2)では、第1乃至第16の態様のいずれか1つにおいて、労働負荷推定部(22)は、業務データ及び人事データの少なくとも一方と、質問に対する人(H0)の回答に関する回答データと、に基づいて労働負荷の状態を推定する。
【0168】
上述の労働負荷推定システム(2)は、業務データ及び人事データに加えて、回答データを更に用いることで、労働負荷の状態を更に精度よく推定できる。
【0169】
上述の実施形態に係る第18の態様の労働負荷推定システム(2)では、第1乃至第17の態様のいずれか1つにおいて、労働負荷推定部(22)は、機械学習によって構築された学習モデルに業務データ及び人事データの少なくとも一方を入力し、学習モデルから推定結果を取得することが好ましい。
【0170】
上述の労働負荷推定システム(2)は、学習モデルを用いることで、労働負荷の状態の推定精度を向上させることができる。
【0171】
上述の実施形態に係る第19の態様の労働負荷推定システム(2)は、第1乃至第18の態様のいずれか1つにおいて、業務データ、及び人事データの少なくとも一方を保存するデータ管理部(21)を更に備えることが好ましい。
【0172】
上述の労働負荷推定システム(2)は、業務データ、及び人事データの少なくとも一方を管理することができる。
【0173】
上述の実施形態に係る第20の態様の労働負荷管理システム(1)は、第1乃至第19の態様のいずれか1つの労働負荷推定システム(2)と、推定データを表示する表示装置(3)と、を備える。
【0174】
上述の労働負荷管理システム(1)は、サーベイを必須とすることなく、労働負荷の状態を人(H0)毎に推定することができる。
【0175】
上述の実施形態に係る第21の態様の労働負荷推定方法は、労働負荷推定システム(2)によって実行され、労働による人(H0)の負担の程度である労働負荷の状態を推定する。労働負荷推定方法は、労働負荷推定ステップ(S2)と、データ出力ステップ(S3)と、を含む。労働負荷推定ステップ(S2)は、人(H0)が行った業務の履歴に関する業務データ、及び人(H0)の人事に関する人事データの少なくとも一方に基づいて労働負荷の状態を推定する。データ出力ステップ(S3)は、労働負荷の状態の推定結果を含む推定データを出力する。
【0176】
上述の労働負荷推定方法は、サーベイを必須とすることなく、労働負荷の状態を人(H0)毎に推定することができる。
【0177】
上述の実施形態に係る第22の態様のプログラムは、コンピュータシステムに、第21の態様の労働負荷推定方法を実行させる。
【0178】
上述のプログラムは、サーベイを必須とすることなく、労働負荷の状態を人(H0)毎に推定することができる。
【符号の説明】
【0179】
1 労働負荷管理システム
2 労働負荷推定システム
21 データ管理部
22 労働負荷推定部
23 データ出力部
24 推定結果記憶部
3 表示装置
9 情報端末
H0(H1、H2、…) 従業員(人)
SV1 サーバ装置
Y0 指標
Ya 評価値
Ya1 指標の最大値
Ya2 指標の最小値
Yb 基準値
Yb1 指標の最大値
Yb2 指標の最小値
T1 評価期間
T2 基準期間
D1 単位期間
D13 今日(最新の単位期間)
E1 平日の期間
E2 休日の期間
W1 基準範囲
P1 変曲点
L1 時間閾値
S2 労働負荷推定ステップ
S3 データ出力ステップ