(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】投影装置、及び、投影システム
(51)【国際特許分類】
G09F 19/18 20060101AFI20241122BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
G09F19/18 J
H04N5/74 Z
G09F19/18 F
(21)【出願番号】P 2021017334
(22)【出願日】2021-02-05
【審査請求日】2023-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【氏名又は名称】森 太士
(74)【代理人】
【識別番号】100141449
【氏名又は名称】松本 隆芳
(74)【代理人】
【識別番号】100142446
【氏名又は名称】細川 覚
(72)【発明者】
【氏名】松井 俊成
(72)【発明者】
【氏名】小森 梓司
(72)【発明者】
【氏名】西保 和磨
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-081097(JP,A)
【文献】特開2012-216132(JP,A)
【文献】特開2011-235993(JP,A)
【文献】実開平04-079345(JP,U)
【文献】特開2018-128622(JP,A)
【文献】特開2006-243338(JP,A)
【文献】特開2015-179131(JP,A)
【文献】特開2016-046711(JP,A)
【文献】特開2013-239037(JP,A)
【文献】実開平02-044731(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 19/18
H04N 5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間に形成される投影対象を生成する投影対象生成部を制御する投影対象制御部と、
前記投影対象に投影情報を投影する情報投影部を制御する投影情報制御部と、を備え、
前記投影対象制御部および前記投影情報制御部は、ユーザの通行路を照明する灯具を備える街路灯に取り付けられ
、
前記投影情報制御部は、前記街路灯または前記街路灯に隣接する他の街路灯のいずれか一方または両方が生成した投影対象に投影情報を照射するように前記情報投影部を制御する投影装置。
【請求項2】
前記投影対象制御部は、前記投影情報が前記投影対象に投影されない場合に、前記投影対象生成部に、前記投影対象を生成する液体を放出させない、または、前記投影対象を生成する固体を収容させるように制御が可能である請求項1に記載の投影装置。
【請求項3】
前記投影対象は、霧状の液体、滝状の液体、及び、気泡状の液体の少なくとも1つによって形成され、霧状の液体、滝状の液体、または、気泡状の液体を形成する液体の少なくとも一部を備蓄する備蓄部をさらに備える請求項1または2に記載の投影装置。
【請求項4】
前記霧状の液体、前記滝状の液体、または、前記気泡状の液体を形成する液体は前記街路灯の外部から供給可能である請求項3に記載の投影装置。
【請求項5】
空間に形成される投影対象を生成する投影対象生成部を制御する投影対象制御部と、
前記投影対象に投影情報を投影する情報投影部を制御する投影情報制御部と、を備え、
前記投影対象制御部および前記投影情報制御部は、ユーザの通行路を照明する灯具を備える街路灯に取り付けられ、
前記投影対象は、布、及び、複数のパイプ状の固体の少なくとも1方によって形成され、前記投影情報が前記投影対象に投影されない場合に、前記布、及び、前記複数のパイプ状の固体は前記投影対象生成部に収容され
る投影装置。
【請求項6】
前記投影対象が布の場合には、布が垂れることを防ぐ支持部が前記布に取り付けられ、前記投影情報が前記投影対象に投影されない場合に、前記支持部および前記布は前記投影対象生成部に収容される請求項5に記載の投影装置。
【請求項7】
前記投影対象が複数のパイプ状の固体の場合には、前記投影対象制御部は、前記投影対象生成部を、一本のパイプ状の固体と前記街路灯とのなす角度が相互に異なるように展開させるように制御する請求項5に記載の投影装置。
【請求項8】
前記投影対象が、霧状の液体、滝状の液体、気泡状の液体、または、布の場合には、前記投影対象が形成される位置を調整する位置調整部をさらに備える請求項1から7のいずれか一項に記載の投影装置。
【請求項9】
前記位置調整部は、前記投影対象に風を当て、前記投影対象の位置を調整する送風部を備える請求項8に記載の投影装置。
【請求項10】
前記街路灯または前記街路灯の周囲に関する情報を取得する情報取得部と、
取得した前記情報が前記街路灯または前記街路灯の周囲に危険が発生していることを示す危険情報であるか否かを判定し、危険情報である場合には、危険情報を前記投影対象制御部及び前記投影情報制御部に出力する情報解析部と、をさらに備える請求項1から9のいずれか一項に記載の投影装置。
【請求項11】
前記危険情報は、前記街路灯または前記街路灯の周囲に災害が発生していることを示す情報である請求項10に記載の投影装置。
【請求項12】
前記危険情報は、街路灯が傾いているという情報、街路灯が振動しているという情報、街路灯の周囲に火災が発生しているという情報、街路灯の周囲に倒壊物が存在するという情報、街路灯の周囲に地割れが発生しているという情報、街路灯の周囲に落石があるという情報、街路灯の周囲が浸水しているという情報、及び、街路灯の周囲に津波が押し寄せているという情報の少なくともいずれか1つを含む情報である請求項10または11に記載の投影装置。
【請求項13】
前記投影情報制御部は、前記危険情報が入力されると、前記投影対象に投影情報を照射するように情報投影部を制御する請求項10から12のいずれか一項に記載の投影装置。
【請求項14】
空間に形成される投影対象を生成する投影対象生成部を制御する投影対象制御部と、
前記投影対象に投影情報を投影する情報投影部を制御する投影情報制御部と、を備え、
前記投影対象制御部および前記投影情報制御部は、ユーザの通行路を照明する灯具を備える街路灯に取り付けられ、
前記街路灯には、支柱が2本以上あり、前記投影対象は、前記支柱の間に生成され
る投影装置。
【請求項15】
前記投影対象は複数個生成され、それぞれの前記投影対象には同一または異なる投影情報が投影される請求項14に記載の投影装置。
【請求項16】
他の街路灯に設置された他の投影装置からの危険情報を受信し、前記街路灯に設置された投影装置の危険情報を送信する送受信部をさらに備える請求項
1から4のいずれか一項に記載の投影装置。
【請求項17】
前記送受信部が前記他の投影装置からの危険情報を受信し、前記他の投影装置が取り付けられている前記他の街路灯が、通行路の進行方向の先方に位置している場合には、前記投影情報制御部は、前記他の投影装置が生成した投影対象に投影情報を投影するように制御する請求項
16に記載の投影装置。
【請求項18】
空間に形成される投影対象を生成する投影対象生成部を制御する投影対象制御部と、
前記投影対象に投影情報を投影する情報投影部を制御する投影情報制御部と、を備え、
前記投影対象制御部および前記投影情報制御部は、ユーザの通行路を照明する灯具を備える街路灯に取り付けられ、
前記投影対象制御部は、前記投影対象が通行路を挟んで配置される街路灯の間に生成されるように前記投影対象生成部を制御す
る投影装置。
【請求項19】
空間に形成される投影対象を生成する投影対象生成部を制御する投影対象制御部と、
前記投影対象に投影情報を投影する情報投影部を制御する投影情報制御部と、を備え、
前記投影対象制御部および前記投影情報制御部は、ユーザの通行路を照明する灯具を備える街路灯に取り付けられ、
前記投影対象制御部は、前記投影対象生成部に、前記街路灯と対向する通行路に対して交差する方向に前記投影対象を生成するように制御す
る投影装置。
【請求項20】
請求項1から
19のいずれかに記載の投影装置と、
前記投影対象生成部と、
前記情報投影部と、を備える投影システム。
【請求項21】
前記投影対象生成部は、前記街路灯の上下方向に移動可能である請求項
20に記載の投影システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影装置、及び、投影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建造物等の壁面や道路の路面に画像情報等の情報を投影するプロジェクションマッピングなどの技術が知られている。また、当該情報には、交通標識が含まれる場合がある。
【0003】
例えば、特許文献1の交通標識投影システムは、レーザを照射して標識パターンを投影する標識投影部と、赤色スポットライト及び緑色スポットライトの光を照射して背景パターンを標識パターンに重ね合わせて投影する背景投影部とを具備する。また、当該交通標識投影システムは、標識パターンの標識データ及び背景パターンの背景データを複数の交通標識に対応させて記憶したデータ記憶部を具備する。さらに、当該交通標識投影システムは、標識データを標識投影部に送信すると共に及び背景データを背景投影部に送信するデータ送信部を有するシステム制御部と、を具備することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の交通標識投影システムでは、標識パターン及び背景パターンが投影される「投影面」としては、道路面、不透光性の板材の正面、透光性を有する板材の背面、建築物や塀・橋脚など構造体の壁面が例示されている。しかし、当該投影面が、壁面や路面である場合には、壁面や路面の反射率が低い等の理由から、投影面に投影される投影情報の視認性が良好ではないという課題があった。特に、自然災害の発生時において、住人または通行者が避難路を探している場合には、投影される投影情報の視認性を向上させる投影面を提供し、投影情報を住人または通行者に迅速に認識させ、迅速に避難路を確保するという必要性がある。
【0006】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明の目的は、通行路に異常がある場合などに、簡易な構成によって、迅速に住人または通行者に投影情報の視認性を向上させる投影面を提供し、迅速に避難路を確保することが可能になる投影装置及び投影システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の第一の態様に係る投影装置は、空間に形成される投影対象を生成する投影対象生成部を制御する投影対象制御部と、投影対象に投影情報を投影する情報投影部を制御する投影情報制御部と、を備え、投影対象制御部および投影情報制御部は、ユーザの通行路を照明する灯具を備える街路灯に取り付けられることが好ましい。
【0008】
本開示の第二の態様に係る投影システムは、第一の態様に係る投影装置と、投影対象生成部と、情報投影部と、を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、通行路に異常がある場合などに、簡易な構成によって、迅速に住人または通行者に投影情報の視認性を向上させる投影面を提供し、迅速に避難路を確保することが可能になる投影装置及び投影システムを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係わる投影システムの概要の一例を示す模式図である。
【
図2】本実施形態に係わる投影装置の一例を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態に係わる投影装置の投影対象がシャボン玉で構成される状況の一例を示す模式図である。
【
図4】本実施形態に係わる投影装置の投影対象が滝状の流れで構成される状況の一例を示す模式図である。
【
図5】本実施形態に係わる投影装置の投影対象が布で構成される状況の一例を示す模式図である。
【
図6】本実施形態に係わる投影装置の投影対象が複数の固体状のパイプで構成される状況の一例を示す模式図である。
【
図7】本実施形態に係わる投影装置を備える街路灯が2本の支柱を含む場合の一例を示す模式図である。
【
図8】本実施形態に係わる投影装置の投影対象が対向する街路灯間に構成される状況の一例を示す模式図である。
【
図9】本実施形態に係わる投影システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施形態に係わる投影装置及び投影システムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態は、包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示に限定する主旨ではない。また、以下の実施形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。さらに、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0012】
(投影装置を含む投影システムの概要)
本実施形態に係わる投影システムは、通行路に異常がある場合などに、通行路の通行者に当該通行路の異常を知らせるための投影対象を提供し、当該投影対象に当該通行路の異常情報等の情報を投影し、通行者に迅速に迂回すべきことを知らせる構成を有する。通行路に異常がある場合とは、自然災害や自然災害などによって引き起こされる火災などの災害または人的災害によって、通行路の通行が困難になっている場合が想定される。また、当該投影対象は、通行路に異常がない場合には通行に支障がない状態になるように構成されることが好ましい。例えば、当該投影対象には、霧状の液体であるミスト等、滝状の液体である水の流れ、及び、気泡状の液体であるシャボン玉等が挙げられる。これらの液体は、必要がある場合に放出され、必要がない場合には放出されない構成とすることが可能である。また、当該投影対象の他の例には、布や複数のパイプ状の固体などが挙げられ、これらは、必要のない場合には収容される構成とすることが可能である。これらの投影対象は、通行路の真上を含む空間に垂直方向に構成されることによって、通行者が容易に投影対象に投影される投影情報を正面から認識することが可能である。また、投影対象が布や複数のパイプ状の固体などの場合には、物理的に、通行者は通行が阻害されていることに気が付くことによって、さらに、通行情報に対する注目が高まることが想定される。このように、投影面を空間上の適切な場所に、適切な質を持って配置することによって、投影情報を効果的に見やすく投影することが可能になる。
【0013】
また、投影装置には災害を検知するための少なくとも1種類以上のセンサまたは撮像装置等が取り付けられ、災害の発生を感知することが可能な構成となっている。災害の例には、暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火等の自然災害、及び、人的災害も含み得る。また、投影装置が街路灯に取り付けられている場合には、センサ等が検知可能な情報には以下の情報が挙げられる。例えば、センサ等が検知可能な情報には、街路灯が傾いているという情報、街路灯が振動しているという情報、街路灯の周囲に火災が発生しているという情報、街路灯の周囲に倒壊物が存在するという情報が挙げられる。また、センサ等が検知可能な情報には、街路灯の周囲に地割れが発生しているという情報、街路灯の周囲に落石があるという情報、街路灯の周囲が浸水しているという情報、及び、街路灯の周囲に津波が押し寄せているという情報が挙げられる。これらの情報は、各種センサやCCDカメラ、赤外線カメラ等の撮像装置によって検知可能である。このように、災害情報を適切に検知することによって、投影面及び通行者に必要な投影情報を迅速に提供することが可能になる。
【0014】
また、投影システムには以下の構成が含まれてもよい。すなわち、投影装置が街路灯に取り付けられている場合に、当該街路灯に無線送受信装置が設置され、街路灯間または街路灯と他の電子装置の間で、災害情報等の危険情報が送受信されることも可能である。この構成によれば、災害が発生している街路灯または街路灯の周囲よりも進行方向の手前にある街路灯によって、事前に通行者に適切に危険情報を提供することが可能となる。また、連携すべき街路灯間に投影面を形成し、通行者に適切に危険情報を提供することも可能となる。以下に、投影装置及び投影システムについて具体的な実施形態を参照して説明する。
【0015】
(投影システムの構成例)
図1は、本実施形態に係わる投影システム1000の構成概要の一例を示す模式図である。投影システム1000は、投影装置100、投影面等の投影対象を生成する投影対象生成部200、及び、投影対象に投影情報を投影する情報投影部300を含む。また、投影装置100、投影対象生成部200及び情報投影部300は、通行路700の周囲を照明するLED照明灯等の灯具400を備える街路灯500に取り付けられる。
【0016】
図1の投影対象生成部200は、ミストを道路等の通行路700の上方向に放出し、ミストによる投影対象210を形成する。投影装置100には
図2に図示する位置調整部150が含まれ、ミストによる投影対象210の位置及び密度を調整可能になっている。例えば、位置調整部150に送風部が含まれ、ミストによる投影対象210の位置及び密度を調整することが可能になる。また、投影装置100には、風の大きさ及び風の方向が検知可能な図示しない風向風速計が含まれ、風向風速に対してミストによる投影対象210を一定位置に維持するように位置調整部150が機能することも可能である。情報投影部300は、上記のように位置が維持される投影対象210に対して必要な情報を投影情報として投影する。
図1では、情報投影部300は、同一の街路灯500に設置された投影対象生成部200が形成した投影対象210に投影情報を投影しているが、隣接する他の街路灯500の投影対象生成部200が形成した投影対象210に投影情報を投影することも可能である。
【0017】
図1の投影装置100には
図2に図示するセンサや撮像装置を含むことが可能な情報取得部110が備えられ、災害による危険が発生しているか否かを検知可能となっている。情報取得部110によって検知された情報が災害等による危険情報である場合に、投影対象生成部200が始動して投影対象210を形成し、投影情報が投影される。
【0018】
また、街路灯500には液体等の備蓄部600が備えられる場合もある。災害等によって街路灯500に水等の液体が供給されない場合には、備蓄部600から投影対象生成部200にミスト等を生成するための液体が供給される。また、備蓄部600の備蓄されている液体は、反射率が高くなるように白色系の色相の液体が備えられていてもよい。また、白色系の色相の塗料等の物体が備蓄部600に備えられ、外部から供給される液体の反射率が高くなるように、塗料等の物体が外部から供給される液体に混合される構成とすることも可能である。
【0019】
投影情報は、テキスト等の文字情報およびイメージ等の画像情報の一方または両方であってもよい。特に災害が発生している場合には、「この先に災害発生」、「災害により行き止まり」等の文字情報や、「×」等の画像情報、または、赤色等の画像情報であってもよい。
【0020】
(投影システムの詳細)
図2は、投影システム1000に含まれる機能を、ブロック図を用いて説明した図である。投影システム1000には、投影装置100、投影面等の投影対象を生成する投影対象生成部200、及び、投影対象に投影情報を投影する情報投影部300を含む。
【0021】
投影装置100は、災害情報などを取得する情報取得部110、投影装置100を制御する制御部120、記憶部130、投影対象210の位置を調整する位置調整部150を備える。また、投影装置100にはオプションとして、他の街路灯からの危険情報等や外部の電子装置の情報を受信し、街路灯500に関する危険情報等の情報を他の街路灯や外部の電子装置に送信する送受信部140が具備される場合もある。
【0022】
情報取得部110は、上述したように、災害を検知するための少なくとも1種類以上のセンサまたは撮像装置等が取り付けられ、災害の発生を感知することが可能な構成となっている。災害の例には、暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火等の自然災害、及び、人的災害も含み得る。また、投影装置100が街路灯に取り付けられている場合には、センサ等が検知可能な情報には以下の情報が挙げられる。例えば、センサ等が検知可能な情報には、街路灯が傾いているという情報、街路灯が振動しているという情報、街路灯の周囲に火災が発生しているという情報、街路灯の周囲に倒壊物が存在するという情報が挙げられる。また、センサ等が検知可能な情報には、街路灯の周囲に地割れが発生しているという情報、街路灯の周囲に落石があるという情報、街路灯の周囲が浸水しているという情報、及び、街路灯の周囲に津波が押し寄せているという情報が挙げられる。これらの情報は、各種センサやCCDカメラ、赤外線カメラ等の撮像装置によって検知可能である。このように、災害情報を適切に検知することによって、投影面及び通行者に必要な投影情報を迅速に提供することが可能になる。
【0023】
制御部120は、CPU(Central Processing Unit)等を備えるマイクロコンピュータを用いて実現可能である。マイクロコンピュータを制御部120として機能させるためのコンピュータプログラム(自己診断プログラム)を、マイクロコンピュータにインストールして実行する。これにより、マイクロコンピュータは、制御部120が備える複数の情報処理部として機能する。なお、本明細書では、ソフトウェアによって制御部120を実現する例を示すが、もちろん、各情報処理を実行するための専用のハードウェアを用意して、制御部120を構成することも可能である。専用のハードウェアには、実施形態に記載された機能を実行するようにアレンジされた特定用途向け集積回路(ASIC)や従来型の回路部品のような装置を含む。また、制御部120に含まれる複数の情報処理部を個別のハードウェアにより構成してもよい。
【0024】
制御部120は、複数の情報処理部として、情報解析部122、投影情報制御部121及び投影対象制御部123とを備える。
【0025】
情報解析部122は、情報取得部110が取得した情報または送受信部140が受信した情報の解析動作を実行する。例えば、暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火等の自然災害及び人的災害に関する情報を情報取得部110が取得した場合には、情報解析部122は、それらに関する情報を危険情報として解析する。そして、情報解析部122は、危険情報を、投影情報制御部121及び投影対象制御部123に出力する。また、送受信部140が受信した情報が危険情報である場合には、危険が生じている他の街路灯の識別情報を危険情報に含めて、情報解析部122は、当該危険情報を投影情報制御部121及び投影対象制御部123に出力する。
【0026】
投影情報制御部121は、危険情報を受信すると、記憶部130を参照して危険情報の種類に対応する投影情報を検索し、記憶部130から当該投影情報を読み出す。投影情報310は、上述したように、テキスト等の文字情報およびイメージ等の画像情報の一方または両方であってもよい。特に災害が発生している場合には、「この先に災害発生」、「この先で火災発生」、「この先で地割れ発生」、「次の街路灯に災害発生」、「災害により行き止まり」等の文字情報や、「×」等の画像情報、または、赤色等の画像情報であってもよい。また、投影情報制御部121は、当該投影情報310を投影するように、情報投影部300を制御する。投影対象210はあらかじめ定められた位置に配置されてもよいし、投影対象制御部123から投影対象制御部123が制御した投影対象210の位置情報が投影情報制御部121に入力されてもよい。投影対象210の位置情報は、情報取得部110の図示しない撮像装置から投影対象制御部123に供給され、投影対象制御部123から投影情報制御部121に入力されてもよい。また、投影対象制御部123または投影対象生成部200に投影対象210の位置を検知可能なセンサや撮像装置が組み込まれていてもよい。
【0027】
また、危険が隣接する他の街路灯に発生している場合には、他の街路灯が形成する投影対象に投影情報310を投影するように、投影情報制御部121は情報投影部300を制御することも可能である。この場合には、他の街路灯からの危険情報および投影対象210の位置情報を後述する送受信部140が受信し、投影情報制御部121が危険情報に対応する投影情報を、他の街路灯の投影対象に投影するように制御する。自身の街路灯に形成される投影対象210には、他の街路灯からの投影情報が投影されてもよい。また、投影情報制御部121は、自身の街路灯に形成される投影対象と、他の街路灯に形成される投影対象に時分割で投影情報を投影することも可能である。また、投影情報はそれぞれの街路灯に対する危険情報に対応する情報であって、異なる投影情報が時分割で、それぞれの街路灯に対して形成される投影対象に投影されることが可能である。
【0028】
投影対象制御部123は、危険情報を受信すると、投影対象生成部200を制御して、投影対象210を生成するように指示する。上述したように投影対象210には投影情報310が投影され、通行者等が投影情報310の指示内容を認識するようになる。上述したように、投影対象210は、通行路に異常がない場合には通行に支障がない状態になるように構成されることが好ましい。例えば、投影対象210には、既に説明した霧状の液体であるミスト等、滝状の液体である水の流れ、及び、気泡状の液体であるシャボン玉等が挙げられる。これらの液体は、必要がある場合に放出され、必要がない場合には放出されない構成とすることが可能である。また、当該投影対象の他の例には、布や複数のパイプ状の固体などが挙げられ、これらは、危険情報がない場合には収容される構成とすることが可能である。これらの投影対象210は、通行路700の真上を含む空間に垂直方向に構成されることによって、通行者が容易に投影対象210に投影される投影情報310を正面から認識することが可能であるように構成される。
【0029】
位置調整部150は、ミスト等による投影対象210の位置及び密度を調整可能になっている。例えば、位置調整部150に送風部が含まれ、ミストによる投影対象210の位置及び密度を調整することが可能になる。また、投影装置100には、風の大きさ及び風の方向が検知可能な図示しない風向風速計が含まれ、風向風速に対してミストによる投影対象210を一定位置に維持するように位置調整部150が機能することも可能である。なお、位置調整部150は投影対象制御部123に含まれることも可能である。
【0030】
記憶部130は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。例えば、記憶部130は、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)であり得る。また、記憶部130は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスク等であり得る。記憶部130は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)等と呼ばれてもよい。記憶部130は、本開示の一実施の形態に係る自己診断を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール等を保存することができる。
【0031】
なお、記憶部130には、上述したように、危険情報の種類に対応する投影情報、街路灯の識別情報、街路灯の設置位置と通行路との対応関係を含むマップ情報、隣接する街路灯の識別情報、自身の街路灯の識別情報等の情報が記憶されていてもよい。
【0032】
送受信部140は、他の街路灯からの危険情報等や外部の電子装置の情報を受信し、自身の街路灯500に関する危険情報等の情報を他の街路灯や外部の電子装置に送信する動作を実行可能である。他の街路灯からの危険情報および投影対象の位置情報を受信し、他の街路灯が形成する投影対象に投影情報を投影させるように、投影情報制御部121を動作させることが可能である。また、他の街路灯からの危険情報および投影対象の位置情報を受信し、自身の街路灯の投影対象制御部123に当該他の街路灯の方向に投影対象を形成させることが可能である。さらに、外部の電子装置の情報を受信し、当該情報に対応する投影情報を投影対象に投影するように投影情報制御部121を制御することが可能である。
【0033】
投影対象生成部200は、投影対象制御部123から投影対象210を生成するように指示されると、投影対象210を生成するように動作する。投影対象210が、既に説明した霧状の液体であるミスト等である場合には、投影対象生成部200は、ミストを噴霧するミスト噴霧器である。また、投影対象210が、既に説明した気泡状の液体であるシャボン玉等である場合には、投影対象生成部200は、シャボン玉を噴霧するシャボン玉噴霧器である。さらに、投影対象210が、既に説明した滝状の液体である水の流れである場合には、投影対象生成部200は、水を流すパイプ状の固体棒を通行路の方向に展開し、固体棒に設けられた開口部から水を滝状に流す。固体棒は樹脂や金属等の固体で形成されることができ、水を滝状に流さない場合には、投影対象生成部200に収容されるように構成されることが可能である。さらに、投影対象210が、既に説明した布等である場合には、投影対象生成部200は、布を垂直方向に垂らすための支持部が布の上部に設けられ、布と支持部が通行路の方向に展開し、布に投影情報が投影される。また、危険情報が無い場合には、布と支持部は投影対象生成部200に収容されるように構成されることが可能である。さらに、投影対象210が、既に説明した複数のパイプ状の固体等である場合には、投影対象生成部200は、一本のパイプ状の固体と街路灯とのなす角度が相互に異なるように展開させることが可能である。また、パイプ状の固体と街路灯とのなす角度の程度に応じては、パイプ状の固体の内部に伸縮用のパイプ状の固体が入れ子状に組み込まれ、パイプ状の固体の長さが長くなる構成とすることが可能である。なお、危険情報が無い場合には、パイプ状の固体も投影対象生成部200に収容されるように構成されることが可能である。なお、投影対象生成部200は、1種類の投影対象を生成するばかりではなく、複数の投影対象を一度に形成することも可能である。また、投影情報310に遠近感等の立体感を持たせるために、投影対象生成部200は、通行路700の前後に、異なる種類または同一の種類の投影対象210を複数形成することも可能である。また、複数の投影対象210の投影される投影情報310は同一であっても、異なっていてもよい。
【0034】
情報投影部300は、投影情報制御部121から投影情報を取得し、投影情報310を投影対象210に投影する。情報投影部300の一例には、プロジェクタ等の投影装置が挙げられる。また、情報投影部300は、街路灯500の上部に備えられることが好ましい。さらに、投影情報の輝度、彩度等の照明パラメータは、あらかじめ設定されていてもよい。しかし、情報取得部110に設けられたセンサを含む撮像装置等の撮影情報に関する情報を情報解析部122が解析し、通行者に識別しやすい投影情報とするためのフィードバック情報が投影情報制御部121から情報投影部300に入力されてもよい。このような構成によれば、投影情報の輝度、彩度等の照明パラメータが状況に応じて適切に変更されるので、通行者に識別しやすい投影情報となり、迅速な非難が可能となる場合がある。
【0035】
上記の構成によれば、通行路に異常がある場合などに、簡易な構成によって、迅速に住人または通行者に投影情報の視認性を向上させる投影面を提供し、迅速に避難路を確保することが可能になる投影装置及び投影システムを提供することが可能になる。
【0036】
(投影対象が気泡状の液体である場合の一例)
図3は、投影対象が気泡状の液体であるシャボン玉等である場合の一例を示す模式図である。投影対象生成部200は、シャボン玉を噴霧するシャボン玉噴霧器等である。投影装置100に含まれる位置調整部150によって、シャボン玉の位置が調整され、通行路700の上を覆うような形状で投影対象が形成される。また、シャボン玉による投影対象は、隣接する他の街路灯の方向に形成されることも可能である。さらに、自身の街路灯と隣接する他の街路灯の間を結ぶ線に沿ってシャボン玉による投影対象が形成されることが可能である。投影情報は、自身の街路灯または当該隣接する他の街路灯の危険情報に対応する投影情報が、隣接する他の街路灯または自身の街路灯の情報投影部から投影対象に投影されることも可能である。
【0037】
(投影対象が滝状の液体である場合の一例)
図4は、投影対象が滝状の液体である水の流れ等である場合の一例を示す模式図である。投影対象生成部200は、水の流れを形成するように、水を流すパイプ状の固体棒を通行路の方向に展開し、固体棒に設けられた開口部から水を滝状に流す。パイプ状の固体棒は投影対象生成部200に収容された状態から、通行路700の上方に、通行路700を横断するように展開される。前述したように、固体棒は樹脂や金属等の固体で形成されることができ、水を滝状に流さない場合には、投影対象生成部200に収容されるように構成されることが可能である。投影情報は、自身の街路灯または隣接する他の街路灯の危険情報に対応する投影情報が、隣接する他の街路灯または自身の街路灯の情報投影部から投影対象に投影されることが可能である。また、水の流れの横幅は開口部の大きさによって適切な長さに調整されることが可能である。さらに、水の流量は投影対象生成部200によって調整され、通行者にとって映像情報が見やすい流量に調整されることが可能である。投影情報は、自身の街路灯または当該隣接する他の街路灯の危険情報に対応する投影情報が、隣接する他の街路灯または自身の街路灯の情報投影部から投影対象に投影されることも可能である。
【0038】
(投影対象が布である場合の一例)
図5は、投影対象が布である場合の一例を示す模式図である。投影対象210が、既に説明した布等である場合には、投影対象生成部200は、布を垂直方向に垂らすための支持部が布の上部に設けられ、布と支持部が通行路の方向に展開し、布に投影情報が投影される。また、危険情報が無い場合には、布と支持部は投影対象生成部200に収容されるように構成されることが可能である。支持部は、水平方向に垂れ下がらない強度を持ち、屈曲性を持つ任意に材料から形成することが可能である。また、支持部がない場合には、投影装置100に含まれる位置調整部150の送風部から風を布に当て、布が鉛直方向に折り畳まれた状態にならないように調整する。投影情報は、自身の街路灯または当該隣接する他の街路灯の危険情報に対応する投影情報が、隣接する他の街路灯または自身の街路灯の情報投影部から投影対象に投影されることも可能である。
【0039】
(投影対象が複数のパイプ状の固体である場合の一例)
図6は、投影対象が複数のパイプ状の固体である場合の一例を示す模式図である。投影対象が複数のパイプ状の固体などの場合には、物理的に、通行者は通行が阻害されていることに気が付くことによって、さらに、投影情報に対する注目が高まることが想定される。このように、投影面を空間上の適切な場所に、適切な質を持って配置することによって、投影情報を効果的に見やすく投影することが可能になる。なお、投影対象210が、既に説明した複数のパイプ状の固体等である場合には、投影対象生成部200は、一本のパイプ状の固体と街路灯とのなす角度が相互に異なるように展開させることが可能である。また、パイプ状の固体と街路灯とのなす角度の程度に応じては、パイプ状の固体の内部に伸縮用のパイプ状の固体が入れ子状に組み込まれ、パイプ状の固体の長さが長くなる構成とすることが可能である。投影情報は、自身の街路灯または当該隣接する他の街路灯の危険情報に対応する投影情報が、隣接する他の街路灯または自身の街路灯の情報投影部から投影対象に投影されることも可能である。
【0040】
(投影対象が霧状の液体である場合のその他の一例)
図8は、投影対象が霧状の液体であるミスト等である場合のその他の一例を示す模式図である。投影対象が霧状の液体であるミスト等である場合については、
図1において既に説明しているが、
図8は、1つの投影対象が複数の街路灯のそれぞれに設けられた投影対象生成部200によって形成される場合を示している。複数の街路灯は通行路700を間にして、お互いに対向するように設置されていてもよい。
図8では、対向する2本の街路灯が、2本の街路灯の間の通行路700の通行を遮るように、1つの投影対象であるミストによる投影面を形成する。この投影対象は、通行路700の真上を含む空間に垂直方向に構成されることによって、通行者が容易に投影対象に投影される投影情報を正面から認識することが可能であるように構成される。この場合には、心理的に、通行者は通行が阻害されていることに気が付くことによって、さらに、投影情報に対する注目が高まることが想定される。このように、投影面を空間上の適切な場所に、適切な質を持って配置することによって、投影情報を効果的に見やすく投影することが可能になる。
【0041】
(街路灯が2本以上の支柱を備える場合の一例)
上記の説明においては、街路灯が1本のポール等の支柱によって形成される場合を説明したが、本実施形態は支柱が1本の場合に限定されない。本実施形態は支柱が2本以上の場合にも適用され得る。
図7において、支柱が2本の場合の本実施形態について説明する。
【0042】
図7においては、街路灯は、第1の支柱P1及び第2の支柱を含んで構成される。第1の支柱P1と第2の支柱の間の空間に投影対象を形成するために第1の支柱P1に設けられた第1の投影対象生成部200aと第2の支柱P2に設けられた第2の投影対象生成部200bが対向して設けられる。第1の投影対象生成部200aと第2の投影対象生成部200bとからミストが噴霧され、第1の支柱P1と第2の支柱の間の空間に投影対象が形成される。投影情報を投影する第1の情報投影部300aは、第1の投影対象生成部200aと第2の投影対象生成部200bの上方に配置され、ミストに対する防水効果を向上させる。なお、第1の情報投影部300aは、第1の支柱P1または第2の支柱の側面に配置されてもよい。また、第1の投影対象生成部200aと第2の投影対象生成部200bによって形成されるミストの下方から投影情報を投影するように第1の情報投影部300aが配置されてもよい。
【0043】
また、第1の支柱P1と第2の支柱の間に形成され得る投影対象は1か所に限定されるわけではなく、複数の投影対象が第1の支柱P1と第2の支柱の間に形成されてもよい。
図7においては、第1の支柱P1と第2の支柱の間に形成され得る投影対象が2か所ある場合を図示している。第1の投影対象生成部200aの下方に第3の投影対象生成部200cが配置され、第2の投影対象生成部200bの下方に第4の投影対象生成部200dが配置されてもよい。対向する第3の投影対象生成部200cと第4の投影対象生成部200dによって他の投影対象が形成され、第2の情報投影部300bが当該他の投影対象に投影情報を投影する。第2の情報投影部300bは、上記投影対象と上記他の投影対象との間の仕切り部の下面に配置されてもよい。しかし、第2の情報投影部300bも第1の支柱P1または第2の支柱の側面に配置されてもよい。また、第3の投影対象生成部200cと第4の投影対象生成部200dによって形成されるミストの下方から投影情報を投影するように第2の情報投影部300bが配置されてもよい。
【0044】
(投影装置を含む投影システム1000の動作例)
図9は、投影システム1000の動作の一例を示すフローチャートである。
【0045】
ステップS901において、投影装置100は情報取得部110または送受信部140から情報を取得または受信したか否かを判定する。投影装置100が情報を取得または受信した場合(ステップS901:YES)には、投影装置100はステップS902に進む。投影装置100が情報を取得または受信していない場合(ステップS901:NO)には、投影装置100はステップS901を繰り返す。
【0046】
ステップS902において、情報解析部122は、取得または受信した情報に災害等に関する危険情報が含まれているか否かを判定する。取得または受信した情報に災害等に関する危険情報が含まれている場合(ステップS902:YES)には、投影装置100はステップS903に進む。取得または受信した情報に災害等に関する危険情報が含まれていない場合(ステップS903:NO)には、投影装置100はステップS901に戻る。
【0047】
ステップS903において、危険情報を受信した投影対象制御部123は、投影対象210を形成するように投影対象生成部200を制御する。投影対象210には、上述したように、霧状の液体であるミスト等、滝状の液体である水の流れ、及び、気泡状の液体であるシャボン玉等が挙げられる。危険情報がある場合に放出され、危険情報がない場合には放出されない構成とすることが可能である。また、投影対象210の他の例には、上述したように、布や複数のパイプ状の固体などが挙げられ、これらは、危険情報のない場合には収容される構成とすることが可能である。これらの投影対象210は、通行路の真上を含む空間に垂直方向に構成されることによって、通行者が容易に投影対象に投影される投影情報を正面から認識することが可能である場合がある。また、複数の支柱Pを街路灯が備える場合には、支柱Pの間に投影対象210が形成される場合もある。次に、投影装置100はステップS904に進む。
【0048】
ステップS904において、危険情報を受信した投影情報制御部121は、投影情報310を投影対象210に投影するように情報投影部300を制御する。投影情報310は、危険情報の種類に応じて記憶部130に記憶されているので、投影情報制御部121が危険情報の種類に応じた投影情報310を読み出し、当該投影情報310を投影するように情報投影部300を制御する。投影情報310は、自身の街路灯に設置された投影対象生成部200が形成した投影対象に投影される場合、隣接する他の街路灯に設置された投影対象生成部200が形成した投影対象に投影される場合、または、その両方の場合があり得る。例えば、情報取得部110が自身の街路灯または自身の街路灯の周辺に危険が発生している場合に、情報解析部122が自身の投影情報制御部121に危険情報の種類に応じた投影情報を自身の投影対象に投影するように制御することが可能である。また、当該投影情報を進行方向の先方にある他の街路灯に投影することも可能である。この場合には、進行方向の先方にある他の街路灯の投影装置100の送受信部140に、当該投影情報を投影することを示す情報を送信することが必要になる場合がある。また、進行方向の先方にある他の街路灯から危険情報を送受信部140が受信した場合にも、進行方向の手前にある街路灯の情報投影部300からの投影情報を、進行方向の先方にある当該他の街路灯が形成した投影対象に投影することも可能である。このような構成によれば、通行者にいち早く、しかも見やすく、危険情報の種類に応じた投影情報を提供可能になる。次に、投影装置100はステップS905に進む。
【0049】
ステップS905において、危険が発生した街路灯は送受信部140から危険情報を他の街路灯に向けて送信する。この場合に、送受信部140は街路灯の識別情報または投影装置100の識別情報を、危険情報に対応付けて送信することも可能である。次に、投影装置100はステップS906に進む。
【0050】
ステップS906において、情報解析部122は、危険が消滅したか否かを判定する。危険が消滅した場合(ステップS906:YES)には、投影装置100はステップS907に進む。危険が消滅しない場合(ステップS906:NO)には、投影装置100はステップS906を繰り返す。なお、危険情報の種類が変わる可能性がある場合には、投影装置100はステップS901に進み、ステップS903を省略する処理フローになる場合もある。
【0051】
ステップS907において、投影対象生成部200は投影対象210の生成を停止し、必要な部材を投影対象生成部200に収容し、情報投影部300は消灯する。次に、投影装置100はステップS908に進む。
【0052】
ステップS908において、送受信部140は危険が消滅したことを示す情報を他の街路灯および外部の電子装置に向けて送信し、処理を終了する。
【0053】
上記の構成によれば、通行路に異常がある場合などに、簡易な構成によって、迅速に住人または通行者に投影情報の視認性を向上させる投影面を提供し、迅速に避難路を確保することが可能になる投影装置及び投影システムを提供することが可能になる。
【0054】
(実施形態による特徴及び効果)
以下に、本実施形態に係わる投影装置100および投影システム1000の特徴及び効果について記載する。
【0055】
本開示の第1の態様に係る投影装置100は、空間に形成される投影対象を生成する投影対象生成部200を制御する投影対象制御部123と、投影対象に投影情報を投影する情報投影部300を制御する投影情報制御部121と、を備えることが好ましい。投影対象制御部123および投影情報制御部121は、ユーザの通行路を照明する灯具を備える街路灯500に取り付けられることが好ましい。
【0056】
本開示によれば、通行路に異常がある場合などに、簡易な構成によって、迅速に住人または通行者に投影情報の視認性を向上させる投影面を提供し、迅速に避難路を確保することが可能になる。
【0057】
本開示の第2の態様に係る投影装置100の投影対象制御部123は、投影情報が投影対象に投影されない場合に、投影対象生成部200に、投影対象を生成する液体を放出させない、または、投影対象を生成する固体を収容させるように制御することが好ましい。
【0058】
本開示によれば、通行路に異常がない場合などには、投影面を提供可能な投影対象生成部200に投影面の提供を停止させることによって、通行者が快適に通行路を通行することが可能になる。
【0059】
本開示の第3の態様に係る投影装置100の投影対象は、霧状の液体、滝状の液体及び気泡状の液体の少なくとも1つによって形成され、霧状の液体、滝状の液体、または、気泡状の液体を形成する液体の少なくとも一部を備蓄する備蓄部を備えることが好ましい。
【0060】
本開示によれば、通行路に異常がある場合などに、住人または通行者に投影情報の視認性を向上させる投影面を少なくとも緊急性がある間は提供可能とし、迅速に避難路を確保することを可能とする。
【0061】
本開示の第4の態様に係る投影装置100は、霧状の液体、滝状の液体、または、気泡状の液体を形成する液体を街路灯500の外部から供給可能であることが好ましい。
【0062】
本開示によれば、通行路に異常がある場合などに、住人または通行者に投影情報の視認性を向上させる投影面を少なくとも水道管等のライフラインが維持される間は提供可能とし、迅速に避難路を確保することを可能とする。
【0063】
本開示の第5の態様に係る投影装置100の投影対象は、布、及び、複数のパイプ状の固体の少なくとも1方によって形成され、投影情報が投影対象に投影されない場合に、布、及び、複数のパイプ状の固体は投影対象生成部200に収容されることが好ましい。
【0064】
本開示によれば、通行路に異常がある場合などに、通行路に物理的に視認性を向上させる投影面を提供可能になり、必要がある場合には通行路の通行を停止させる機能を持たせることも可能となる。
【0065】
本開示の第6の態様に係る投影装置100の投影対象生成部200は、投影対象が布の場合には、布が垂れることを防ぐ支持部が布に取り付けられ、投影情報が投影対象に投影されない場合に、支持部および布を収容することが好ましい。
【0066】
本開示によれば、通行路に異常がある場合などに、通行路に物理的に視認性を向上させる投影面を提供可能になり、通行路に異常がない場合には、投影面を提供可能な投影対象生成部200に投影面の提供を停止させることが可能になる。したがって、通行者が快適に通行路を利用することが可能になる。
【0067】
本開示の第7の態様に係る投影装置100の投影対象制御部123は、投影対象が複数のパイプ状の固体の場合には、投影対象生成部200を、一本のパイプ状の固体と街路灯500とのなす角度が相互に異なるように展開させるように制御することが好ましい。
【0068】
本開示によれば、通行路に異常がある場合などに、通行路に物理的に視認性を向上させる投影面を提供可能になり、必要がある場合には通行路の通行を停止させる機能を持たせることも可能となる。
【0069】
本開示の第8の態様に係る投影装置100は、投影対象が、霧状の液体、滝状の液体、気泡状の液体、または、布の場合には、投影対象が形成される位置を調整する位置調整部150をさらに備えることが好ましい。
【0070】
本開示によれば、通行路に異常がある場合であって、投影面が空中に浮遊等する場合には、浮遊物の位置を、迅速に住人または通行者に投影情報を視認させるように調整可能となり、迅速に避難路を確保することが可能になる。
【0071】
本開示の第9の態様に係る投影装置100の位置調整部150は、投影対象に風を当て、投影対象の位置を調整する送風部を備えることが好ましい。
【0072】
本開示によれば、通行路に異常がある場合であって、投影面が空中に浮遊等する場合には、浮遊物の位置を風によって調整することによって、迅速に住人または通行者に投影情報を視認させ、迅速に避難路を確保することが可能になる。
【0073】
本開示の第10の態様に係る投影装置100は、街路灯または街路灯の周囲に関する情報を取得する情報取得部110を備えることが好ましい。また、投影装置100は、取得した情報が街路灯または街路灯の周囲に危険が発生していることを示す危険情報であるか否かを判定する情報解析部122をさらに備えることが好ましい。情報解析部122は、取得した情報が危険情報である場合には、危険情報を投影対象制御部123及び投影情報制御部121に出力することが好ましい。
【0074】
本開示によれば、通行路に異常があることを検知することが可能となり、通行路の危険性を迅速に住人または通行者に通知することによって、迅速に適切な避難路を探索することが可能になる。
【0075】
本開示の第11の態様に係る投影装置100の危険情報は、街路灯または街路灯の周囲に災害が発生していることを示す情報であることが好ましい。
【0076】
本開示によれば、通行路に異常がある場合に、通行路の危険性を迅速に住人または通行者に通知することよって、住人または通行者に当該通行路を通行すべきではないことを通知可能になる。
【0077】
本開示の第12の態様に係る投影装置100の危険情報は、街路灯が傾いているという情報、街路灯が振動しているという情報、周囲に火災が発生しているという情報、周囲に倒壊物が存在するという情報の少なくともいずれか1つを含む情報である場合がある。また、危険情報は、街路灯の周囲に地割れが発生しているという情報、街路灯の周囲に落石があるという情報、街路灯の周囲が浸水しているという情報、街路灯の周囲に津波が押し寄せているという情報の少なくともいずれか1つを含む情報である場合がある。
【0078】
本開示によれば、通行路に異常がある場合などに、通行路の具体的な危険性を迅速に住人または通行者に通知することよって、住人または通行者に当該通行路を通行すべきではないことを理解させることが可能になる。
【0079】
本開示の第13の態様に係る投影装置100の投影情報制御部121は、危険情報が入力されると、投影対象に投影情報を照射するように情報投影部300を制御することが好ましい。
【0080】
本開示によれば、通行路に異常がある場合などに、簡易な構成によって、迅速に住人または通行者に投影情報の視認性を向上させる投影面に投影情報を提供し、迅速に避難路を確保することが可能になる。
【0081】
本開示の第14の態様に係る投影装置100の街路灯には、支柱Pが2本以上あり、投影対象は、支柱Pの間に生成されることが好ましい。
【0082】
本開示によれば、通行路に異常がある場合などに、通行路の上方に投影面を提供することが困難な状況であっても、街路灯の支柱間に投影面を提供するので、迅速に通行者等に情報を提供することが可能になる。
【0083】
本開示の第15の態様に係る投影装置100の投影対象は複数個生成され、それぞれの投影対象には同一または異なる投影情報が投影されることが好ましい。
【0084】
本開示によれば、複数個の投影対象によって、投影対象を大きくまたは3次元的に形成することが可能になり、通行者に対して投影情報の視認性を向上させることが可能になる。
【0085】
本開示の第16の態様に係る投影装置100の投影情報制御部121は、街路灯または街路灯に隣接する他の街路灯のいずれか一方または両方が生成した投影対象に投影情報を照射するように情報投影部300を制御することが好ましい。
【0086】
本開示によれば、通行路に異常がある場合などに、街路灯間で投影情報を照射することによって、通行者等に視認性を向上させた投影情報を提供し、迅速に避難路を確保することを可能とする。
【0087】
本開示の第17の態様に係る投影装置100は、他の街路灯に設置された他の投影装置からの危険情報を受信し、街路灯に設置された投影装置の危険情報を送信する送受信部140をさらに備えることが好ましい。
【0088】
本開示によれば、通行路に異常がある場合などに、街路灯間で危険情報を共有することによって、迅速に通行者等に適切な投影情報を提供し、避難路を確保させることが可能になる。
【0089】
本開示の第18の態様に係る投影装置100は、送受信部140が他の投影装置からの危険情報を受信し、他の投影装置が取り付けられている他の街路灯が、通行路の進行方向の先方に位置している場合には、以下の処理を実行することが好ましい。すなわち、投影情報制御部121が、他の投影装置が生成した投影対象に投影情報を投影するように制御することが好ましい。
【0090】
本開示によれば、通行路の後方の街路灯から通行路の前方の街路灯に投影情報を投影するので、通行路を通行する通行者等に視認性が向上した投影情報を提供することが可能になる。
【0091】
本開示の第19の態様に係る投影装置100の投影対象制御部123は、投影対象210が通行路を挟んで配置される街路灯の間に生成されるように投影対象生成部200を制御することが好ましい。
【0092】
本開示によれば、通行路に異常がある場合などに、通行路の上方に投影面を提供することが可能になるので、通行者等は迅速に投影情報を確認することが可能になる。
【0093】
本開示の第20の態様に係る投影装置100の投影対象制御部123は、投影対象生成部200に、街路灯500と対向する通行路に対して交差する方向に投影対象210を生成するように制御することが好ましい。
【0094】
本開示によれば、通行路に異常がある場合などに、通行路の上方であって、通行方向と交差する方向に投影面を提供することが可能になるので、通行者等は迅速に投影情報を確認することが可能になる。
【0095】
本開示の第21の態様に係る投影システム1000は、第1の態様から第20の態様のいずれかの投影装置100と、投影対象生成部200と、情報投影部300と、を備えることが好ましい。
【0096】
本開示によれば、通行路に異常がある場合などに、簡易な構成によって、迅速に住人または通行者に投影情報の視認性を向上させる投影面を提供し、迅速に避難路を確保することが可能になる。
【0097】
本開示の第22の態様に係る投影システム1000の投影対象生成部200は、街路灯500の上下方向に移動可能であることが好ましい。
【0098】
本開示によれば、通行路に異常がある場合などに、投影面が上下に移動可能な構成をとることが可能になるので、通行者にとって、投影情報の視認性を向上させる投影面を提供することが可能になる。
【0099】
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とするものであり、本開示に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0100】
100 投影装置
110 情報取得部
120 制御部
130 記憶部
140 送受信部
200 投影対象生成部
300 情報投影部
1000 投影システム