(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】水位センサ
(51)【国際特許分類】
G01F 23/263 20220101AFI20241122BHJP
【FI】
G01F23/263
(21)【出願番号】P 2021021886
(22)【出願日】2021-02-15
【審査請求日】2023-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 健二
(72)【発明者】
【氏名】山村 暁宏
(72)【発明者】
【氏名】荒木 公太
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-251722(JP,A)
【文献】特開2008-230227(JP,A)
【文献】登録実用新案第3162032(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2020/0271504(US,A1)
【文献】中国実用新案第208307559(CN,U)
【文献】特開2013-167651(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0047683(US,A1)
【文献】特開2019-168338(JP,A)
【文献】特開平09-043187(JP,A)
【文献】特表2018-511425(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102010030362(DE,A1)
【文献】特開2019-018555(JP,A)
【文献】特開2003-156569(JP,A)
【文献】特表2009-529999(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0104965(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 23/26-23/263
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体容器の水位を測定するための水位センサであって、
少なくとも1つの基材と、
前記基材に設けられ、前記液体容器の高さ方向に沿って延びる静電容量方式のセンサ電極と、
前記基材に設けられ、前記液体容器の高さ方向に沿って延びかつ前記基材が前記液体容器の外面に貼り付けられた状態で前記センサ電極の近傍に位置する少なくとも1つのグランド電極と、を備え
、
前記基材は、可撓性を有する少なくとも1つのフィルム基材からなり、
前記グランド電極は、一対の第1グランド電極および第2グランド電極を含み、
前記一対の第1グランド電極は、前記液体容器の周方向において前記センサ電極の両隣に位置し、かつ、前記センサ電極と前記液体容器の周方向に間隔をあけて配置されており、
前記第2グランド電極は、前記センサ電極に対して前記液体容器の反対側に配置され、かつ、前記フィルム基材を介して前記センサ電極と重なっており、
前記一対の第1グランド電極および前記第2グランド電極は、周方向における各々の端部同士が、前記フィルム基材を介して前記フィルム基材の厚み方向に重なるように配置されている、水位センサ。
【請求項2】
請求項
1に記載の水位センサにおいて、
前記液体容器の外面は、横断面視で曲面状の外周面であり
、
前記一対の第1グランド電極は、前記液体容器における外周面の周方向において前記センサ電極の両隣に位置し、かつ、前記センサ電極と前記液体容器における外周面の周方向に間隔をあけて配置されている、水位センサ。
【請求項3】
請求項
1に記載の水位センサにおいて
、
前記第2グランド電極は、前記センサ電極に対して前記液体容器の反対側に配置され、かつ、前記フィルム基材を介して前記センサ電極と重なっている、水位センサ。
【請求項4】
請求項
1に記載の水位センサにおいて、
前記フィルム基材は、1つだけ設けられており、
前記フィルム基材は、
前記液体容器の外周面と対向する位置に配置される第1面と、
前記第1面の反対側に位置する第2面と、を有し、
前記センサ電極は、前記第1面に配置され、
前記
一対の第1グランド電極は
、前記第1面に配置さ
れ、
前記第2グランド電極は、前記第2面に配置さ
れ、
前記一対の第1グランド電極は、前記液体容器の周方向において前記センサ電極の両隣に位置し、かつ、前記センサ電極と前記液体容器の周方向に間隔をあけて配置されており、
前記第2グランド電極は、前記フィルム基材を介して前記センサ電極と重なっている、水位センサ。
【請求項5】
請求項
1に記載の水位センサにおいて、
前記フィルム基材は、第1基材および前記第1基材の外側に配置される第2基材により構成されており、
前記第1および第2基材の各々は、
前記液体容器の外周面と対向する位置に配置される第1面と、
前記第1面の反対側に位置する第2面と、を有し、
前記センサ電極は、前記第1基材の前記第1面に配置され、
前記
一対の第1グランド電極は
、前記第1基材の前記第1面に配置さ
れ、
前記第2グランド電極は、前記第2基材の前記第1面に配置さ
れ、
前記一対の第1グランド電極は、前記液体容器の周方向において前記センサ電極の両隣に位置し、かつ、前記センサ電極と前記液体容器の周方向に間隔をあけて配置されており、
前記第2グランド電極は、前記第1基材を介して前記センサ電極と重なっている、水位センサ。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか1項に記載の水位センサにおいて、
前記センサ電極は、送信電極および受信電極により構成されており、
前記送信電極は、
前記液体容器の周方向に間隔をあけて配置され、前記液体容器の高さ方向に沿って延びる一対の第1電極部と、
前記液体容器の周方向に延び、前記一対の第1電極部の端部同士と連続する第2電極部と、を有し、
前記受信電極は、前記一対の第1電極部および前記第2電極部により囲われている、水位センサ。
【請求項7】
上面視で円形に折り曲げた可撓性のフィルムであり、上面視で前記円形の内側に位置する第1面と、上面視で前記円形の外側に位置する第2面と、を有する、基材と、
前記基材の前記第1面に位置し、上下方向に延びる、送信電極と、
前記基材の前記第1面に位置し、上下方向に延びる、受信電極と、
前記基材の前記第1面に位置する一対の第1グランド電極と、前記基材の前記第2面に位置する第2グランド電極と、を有し、上下方向に延びる、グランド電極と、
を備え、
前記第2グランド電極は、前記円形の外側から見て、前記受信電極と重なり、
前記一対の第1グランド電極の周方向における端部は、前記円形の外側から見て、前記第2グランド電極の端部と重なる、水位センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は水位センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体層の水位を検出するための水位センサとして、例えば特許文献1に示されるような水位検出装置が知られている。
【0003】
具体的に、特許文献1には、棒状の本体部と、本体部の側面に設けられ、液体層を検出可能な静電容量方式の複数の検出電極と、本体部の側面に設けられた複数のグランド電極と、を備えた水位検出装置が開示されている。
【0004】
上記複数の検出電極は、本体部の長手方向に沿って間隔をあけて配置され、かつ、本体部において互いに表裏関係にある第1の側面および第2の側面に対し交互に配置されている。また、複数のグランド電極は、本体部の長手方向に沿って間隔をあけて配置され、かつ、各検出電極が位置する第1側面の反対側および第2側面の反対側に配置されている。すなわち、各検出電極および各グランド電極は、本体部の長さ方向に沿って交互に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の水位検出装置を用いて水槽やトイレの洗浄用タンクなどの容器に貯留された水の水位を検知する場合には、当該水位検出装置を、容器の内部(すなわち、水中)に設置した状態で使用することが前提となる。このため、例えば、水槽やトイレの洗浄用タンクなどの容器に上記水位検出装置を用いた場合には、水槽や洗浄用タンクを洗浄する度に、水位検出装置を洗浄用タンクから出し入れしなければならない。また、水位検出装置をメンテナンスする際には、水位検出装置を水槽や洗浄用タンクから一旦取り出さなければならない。このように、特許文献1の水位検出装置を用いて容器に貯留された水の水位を検知する場合に、容器の洗浄および水位検出装置のメンテナンスという観点から、水位検出装置の取り扱いが容易ではなかった。
【0007】
また、上記水位検出装置では、各検出電極および各グランド電極が本体部の長手方向に沿って交互に配置されていることから、水位検出装置の全体的な構成が必然的に複雑となる。そのような複雑な構造を有するにもかかわらず、本体部の長手方向における検出電極同士の間隙では検出電極が存在しないため、当該間隙の位置で容器の水位を正確に検出することができなかった。このように、特許文献1の水位検出装置では、複雑な構造を有するにもかかわらず、容器の水位を精度良く検出することができなかった。
【0008】
本開示は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、扱いやすくかつ簡易的な構造で、液体容器の水位を精度良く検出することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本開示の一実施形態は、液体容器の水位を測定するための水位センサであって、少なくとも1つの基材と、基材に設けられ、液体容器の高さ方向に沿って延びる静電容量方式のセンサ電極と、基材に設けられ、液体容器の高さ方向に沿って延びかつ基材が液体容器の外面に貼り付けられた状態でセンサ電極の近傍に位置する少なくとも1つのグランド電極と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によると、扱いやすくかつ簡易的な構造で、液体容器の水位を精度良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る水位センサを、液面容器の外周面に貼り付けた状態を概略的に示した全体斜視図である。
【
図2】
図2は、水位センサをフィルム基材の第1面から見たときの展開図である。
【
図3】
図3は、水位センサをフィルム基材の第2面から見たときの展開図である。
【
図6】
図6は、変形例1の水位センサの横断面状態を示した
図5相当図である。
【
図7】
図7は、変形例2の水位センサの横断面状態を示した
図5相当図である。
【
図8】
図8は、変形例3の水位センサを、フィルム基材の第1面から見たときの展開状態を示した
図2相当図である。
【
図9】
図9は、変形例3の水位センサの横断面状態を示した
図5相当図である。
【
図12】
図12は、変形例6の水位センサを、フィルム基材の第1面から見たときの展開状態を示した
図2相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0013】
図1は、本開示の実施形態に係る水位センサ1を示している。この水位センサ1は、静電容量方式のセンサ体である。水位センサ1は、液体容器100の外周面(外面)に貼り付けられた状態(巻き付けられた状態)で、液体容器100に貯留される水などの液体の水位(例えば
図1および
図4に示した水位WL)を測定可能に構成されている。
【0014】
ここで、水位センサ1を貼り付ける対象である液体容器100としては、例えば、水槽、トイレの洗浄用タンクが挙げられる。この実施形態では、液体容器100として略円柱状の容器を例示する。すなわち、この実施形態では、横断面視で曲面状の外周面(外面)を有する液体容器100を用いた場合を例示している。しかしながら、液体容器100の形状および大きさに関しては、この実施形態で例示する形状および大きさに限定されない。また、以下の説明では、液体容器100に貯留された液体における液面の位置を「水位」という用語で表すものとする。なお、この実施形態では、所定量の水が液体容器100に貯留された状態を例示する。
【0015】
(フィルム基材)
図1~
図5に示すように、水位センサ1は、1つのフィルム基材2(基材)を備えている。
【0016】
図4および
図5に示すように、フィルム基材2は、粘着層3により液体容器100の外周面に貼り付ける(巻き付ける)ことが可能となっている。粘着層3は、例えば光透過性を有する光学用粘着剤(OCA:Optica Cear Adhesive)からなる。なお、
図4および
図5では、フィルム基材2、センサ電極4(後述)、およびグランド電極7(後述)を強調して示すために、粘着層3の外形を仮想線(二点鎖線)で示すとともに、粘着層3の断面部分におけるハッチングの図示を省略している。
【0017】
フィルム基材2は、可撓性を有する樹脂材からなる。この可撓性により、フィルム基材2は、複雑な外形を有する液体容器100に対して貼り付け可能(巻き付け可能)となる。なお、フィルム基材2の厚みは、例えば10μm~300μmである。
【0018】
フィルム基材2に用いられる樹脂材としては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、COP(シクロオレフィンポリマー)、COC(シクロオレフィンコポリマー)のような樹脂材が挙げられる。なお、フィルム基材2は、透明性を有していてもよい。
【0019】
図2および
図3に示すように、この実施形態のフィルム基材2は、液体容器100に貼り付ける(巻き付ける)前の展開状態において、矩形状を有している。フィルム基材2は、液体容器100の外周面に貼り付けた状態(巻き付けた状態)において、液体容器100の外周面の略全体を覆うことが可能な大きさに形成されている。なお、展開状態におけるフィルム基材2の形状および大きさに関しては、この実施形態で例示した形状および大きさに限らず、種々の形状および大きさを採用することが可能である。
【0020】
図2および
図3に示すように、フィルム基材2は、第1面2aおよび第2面2bを有する。具体的に、
図4および
図5に示すように、第1面2aは、フィルム基材2を液体容器100の外周面に貼り付けた状態(巻き付けた状態)において、液体容器100の外周面と対向する面である。第2面2bは、第1面2aの反対側に位置する面である。
【0021】
(センサ電極)
図2~
図5に示すように、水位センサ1は、センサ電極4を備えている。センサ電極4は、フィルム基材2に設けられている。センサ電極4は、長手方向が液体容器100の高さ方向Hに沿って延びるように構成されている。
【0022】
センサ電極4は、静電容量方式による送信電極5および受信電極6により構成されている。送信電極5および受信電極6は、例えば、酸化インジウム錫(ITO:Indium Tin Oxide)や酸化錫等の光透過性を有する透明材からなる透明導電膜、または、フィルム基材2の第1面2aにおいて銅などの導電金属からなる細線を所定パターンに配置した構成からなる。
【0023】
上記所定パターンは、図示しないが、例えば、複数の細線をメッシュ状に配置した第1のパターン、複数の細線を梯子状に配置した第2のパターン、および、複数の細線をメッシュ状および梯子状以外の形状に配置した第3のパターンを含む。また、上記細線は、例えば数μmの線幅を有する。なお、上記細線の材料としては、上記導電金属に限られず、導電樹脂材であってもよい。
【0024】
図2に示すように、送信電極5は、フィルム基材2の第1面2aに配置されている。送信電極5は、フレキシブル配線板(図示せず)を介して制御回路(図示せず)に設けられた駆動回路(図示せず)に接続されている。送信電極5は、この駆動回路により周囲に電界を放射するように構成されている。
【0025】
この実施形態の送信電極5は、一対の第1電極部5aおよび第2電極部5bを有している。
【0026】
一対の第1電極部5aは、液体容器100の周方向Cに間隔をあけて配置されている。各第1電極部5aは、液体容器100の高さ方向Hに沿って延びている。具体的に、各第1電極部5aは、
図2の紙面下側に位置するフィルム基材2の下辺近傍から、
図2の紙面上側に位置するフィルム基材2の上辺近傍に亘って略帯状に延びている。すなわち、各第1電極部5aは、フィルム基材2が液体容器100の外周面に貼り付けられたときに、下端部が液体容器100の底部付近に位置しかつ上端部が液体容器100の開口部付近に位置するように構成されている。
【0027】
第2電極部5bは、液体容器100の周方向Cに沿って略帯状に延びている。そして、第2電極部5bは、一対の第1電極部5aと連続している。具体的に、第2電極部5bは、両端部が第1電極部5a,5aの上端部同士と連続するように形成されている。
【0028】
受信電極6は、フィルム基材2の第1面2aに配置されている。受信電極6は、送信電極5から放射された電界を受信するように構成されている。受信電極6は、上記フレキシブル配線板を介して上記制御回路に設けられた検出回路(図示せず)に接続されている。
【0029】
受信電極6は、フィルム基材2の第1面2aの、
図2の紙面左右方向の略中央に位置している。受信電極6は、液体容器100の高さ方向Hに沿って延びている。具体的に、受信電極6は、
図2の紙面下側に位置するフィルム基材2の下辺近傍から、第2電極部5bの近傍に亘って略帯状に延びている。そして、受信電極6は、一対の第1電極部5aおよび第2電極部5bにより囲われた状態となっている。
【0030】
次に、
図4を参照しながら、センサ電極4による液体容器100の水位の検出態様を説明する。
【0031】
図4に例示するように、液体容器100には、液体容器100の高さ方向HにおいてS1の範囲に水が貯留されている。一方、
図4に例示したS2は、液体容器100の高さ方向Hにおいて水が貯留されていない範囲である。そして、水位センサ1が液体容器100の外周面に貼り付けられた(巻き付けられた)ときには、液体容器100に貯留された水が、S1の範囲において送信電極5および受信電極6と近接した状態となる。
【0032】
かかる状態において、送信電極5に対し上記駆動回路から駆動信号が供給されると、送信電極5と受信電極6との間に容量結合による電磁界が形成される。このとき、S1の範囲では、上記電磁界の一部が、液体容器100に貯留された水を通ってグランド電位である後述のグランド電極7へ移動するようになる。その結果、S1の範囲において送信電極5と受信電極6との間の静電容量が変化する。具体的に、上記静電容量が相対的に減少するようになる。上記静電容量の変化に基づいて、センサ電極4により、液体容器100に水が貯留された範囲(
図4に示したS1)と、液体容器100に水が貯留されていない範囲(
図4に示したS2)とが特定される。このようにして、センサ電極4により液体容器100の水位WLが検出される。
【0033】
(グランド電極)
図2~
図5に示すように、水位センサ1は、複数のグランド電極7を備えている。複数のグランド電極7は、フィルム基材2に設けられている。各グランド電極7は、液体容器100の高さ方向Hに沿って延びている。複数のグランド電極7は、フィルム基材2が液体容器100の外周面に貼り付けられた状態(巻き付けられた状態)で、センサ電極4の近傍に位置するように構成されている。複数のグランド電極7は、フレキシブル配線板(図示せず)を介してグランド電位に接続可能となっている。なお、
図4および
図5では、グランド電極7を他の構成要素(センサ電極4など)と区別して示すために、ドットによるハッチングをグランド電極7の断面部分に付している。
【0034】
グランド電極7は、送信電極5および受信電極6と同様に、例えば、酸化インジウム錫(ITO:Indium Tin Oxide)や酸化錫等の光透過性を有する透明材からなる透明導電膜、または、フィルム基材2において銅などの導電金属からなる細線を所定パターン(上記第1~第3パターン)に配置した構成からなる。なお、液体容器100のような曲面状の外周面に水位センサ1を巻き付ける場合には、曲げやすさという観点から、グランド電極7として、上記透明導電膜よりも、上記導電金属からなる細線を所定パターンに配置した構成を適用するのがよい。
【0035】
グランド電極7は、一対の第1グランド電極8および第2グランド電極9を含む。
【0036】
(第1グランド電極)
図2に示すように、一対の第1グランド電極8は、フィルム基材2の第1面2aに配置されている。一対の第1グランド電極8は、周方向Cにおいてセンサ電極4の両隣に配置されている。各第1グランド電極8は、各送信電極5と周方向Cにおいて間隔をあけて配置されている。この実施形態において、一対の第1グランド電極8は、展開状態におけるフィルム基材2の第1面2aから見たときに、第1面2aにおける
図2の紙面左右両側に配置されている。
【0037】
各第1グランド電極8は、展開状態におけるフィルム基材2の第1面2aから見たときに、長辺が高さ方向Hに沿って延びる長方形状を有している。各第1グランド電極8は、長辺の長さが各第1電極部5aの高さ方向Hの長さと略同じになるように構成されている。
【0038】
図5に示すように、一対の第1グランド電極8は、フィルム基材2が液体容器100の外周面に貼り付けられた(巻き付けられた)ときに、液体容器100の外周面の、センサ電極4が位置しない部分の略全体を覆うように構成される。
【0039】
(第2グランド電極)
図3に示すように、第2グランド電極9は、フィルム基材2の第2面2bに配置されている。具体的に、第2グランド電極9は、展開状態におけるフィルム基材2の第2面2bから見たときに、周方向Cにおいて第1グランド電極8,8同士の間に位置している。
【0040】
第2グランド電極9は、展開状態におけるフィルム基材2の第2面2bから見たときに、長辺が高さ方向Hに沿って延びる長方形状を有している。第2グランド電極9は、長辺の長さが、各第1グランド電極8の長辺の長さと略同じになるように構成されている。
【0041】
図4および
図5に示すように、第2グランド電極9は、フィルム基材2が液体容器100の外周面に貼り付けられた(巻き付けられた)ときに、センサ電極4に対して液体容器100の反対側に位置している。そして、第2グランド電極9は、フィルム基材2を介してセンサ電極4(送信電極5および受信電極6)の全体と重なるように構成される。なお、水位センサ1の外周側には、第2グランド電極9を保護するための保護フィルム(図示せず)が、図示しない粘着層を介してフィルム基材2の第2面2b側に積層配置されている。
【0042】
図3および
図5に示すように、この実施形態において、各第1グランド電極8および第2グランド電極9は、周方向Cの端部同士が周方向Cに間隔をあけた状態となるように配置されている。
【0043】
[実施形態の作用効果]
上述のように、水位センサ1では、フィルム基材2(基材)に設けられ、液体容器100の高さ方向Hに沿って延びる静電容量方式のセンサ電極4(送信電極5および受信電極6)を備えている。このセンサ電極4により、液体容器100内において連続的に変化する水位WLを精度良く検出することができる。
【0044】
そして、水位センサ1は、液体容器100の高さ方向Hに沿って延びかつフィルム基材2が液体容器100の外周面に貼り付けられた状態でセンサ電極4の近傍に位置するグランド電極7を備えている。このように、グランド電極7は簡易な構成であって、このグランド電極7により、高さ方向Hに沿って延びるセンサ電極4の容量変化を、高さ方向Hに沿って一様に増大させることが可能となる。すなわち、センサ電極4によるセンサ感度が全体的に向上する。その結果、液体容器100における水位の検出精度が向上する。さらに、グランド電極7がセンサ電極4の近傍に位置することから、センサ電極4に対する、水位センサ1の外部で発生したノイズなどの影響が抑制される。すなわち、グランド電極7によりシールド効果が発揮される。その結果、液体容器100における水位の検出精度が担保される。
【0045】
以上のように、本開示の実施形態に係る水位センサ1によれば、扱いやすくかつ簡易的な構造で、液体容器100の水位を精度良く検出することができる。
【0046】
また、水位センサ1の基材は、可撓性を有するフィルム基材2により構成されている。この可撓性により、フィルム基材2を、液体容器100の外周面(曲面)に対して貼り付ける(巻き付ける)ことが容易となる。すなわち、水位センサ1を液体容器100の内部(すなわち、水中)に設置する必要がない。そして、水位センサ1を液体容器100の外周面に貼り付けた状態(巻き付けた状態)で使用することにより、上述したような従来型の水位検出装置が有する問題が生じない。したがって、例えば水槽やトイレの洗浄用タンクなどの容器に対して水位センサ1を用いた場合には、水槽やトイレの洗浄用タンクなどの洗浄が行いやすくなるとともに、水位センサ1のメンテナンスも行いやすくなる。
【0047】
また、一対の第1グランド電極8は、周方向Cにおいてセンサ電極4の両隣に位置し、かつ、センサ電極4と周方向Cに間隔をあけて配置されている。この一対の第1グランド電極8により、周方向Cにおいてセンサ電極4の近傍に位置する液体容器100の外周面がグランド電位となる。これにより、センサ電極4の容量変化が増大し、センサ電極4によるセンサ感度が向上する。その結果、液体容器100における水位の検出精度が向上する。さらに、センサ電極4の近傍に位置する液体容器100の外周面において、シールド効果が発揮されることから、水位の検出精度が担保される。したがって、水位センサ1では、液体容器100の水位を精度良く検出することができる。
【0048】
また、第2グランド電極9は、センサ電極4に対して液体容器100の反対側に配置され、かつ、フィルム基材2を介してセンサ電極4と重なっている。この第2グランド電極9により、センサ電極4に対して液体容器100の反対側の位置がグランド電位となる。これにより、センサ電極4の容量変化が増大し、センサ電極4によるセンサ感度が向上する。その結果、液体容器100における水位の検出精度が向上する。さらに、センサ電極4に対して液体容器100の反対側の位置において、シールド効果が発揮されることから、水位の検出精度が担保される。したがって、水位センサ1では、液体容器100の水位を精度良く検出することができる。
【0049】
また、この実施形態のグランド電極7は、一対の第1グランド電極8および第2グランド電極9を含む。これにより、水位センサ1においてグランド電位となる領域が相対的に増えるとともに、一対の第1グランド電極8および第2グランド電極9の双方により得られる上記センサ感度および上記シールド効果を同時に得ることができる。その結果、水位の検出精度をより一層高めることができる。
【0050】
また、この実施形態に係る水位センサ1では、1つのフィルム基材2の第1面2aにセンサ電極4および一対の第1グランド電極8が配置される一方、フィルム基材2の第2面2bに第2グランド電極9が配置されている。このように、1つのフィルム基材2を用いて水位センサ1の全体構造を簡素化できるとともに、水位の検出精度をより一層高めることができる。
【0051】
また、受信電極6が、送信電極5を構成する一対の第1電極部5aおよび第2電極部5bにより囲われた状態となっている。これにより、受信電極6の、送信電極5から放射された電界の受信状態が安定しやすくなる。その結果、液体容器100の水位を精度良く検出することができる。
【0052】
[実施形態の変形例1]
上記実施形態では、周方向Cにおける第1グランド電極8の端部と、周方向Cにおける第2グランド電極9の端部とが、周方向Cに互いに間隔をあけて配置された形態を示したが、この形態に限られない。例えば、
図6に示した変形例1のように構成してもよい。
【0053】
具体的に、
図6に示すように、第1グランド電極8および第2グランド電極9は、周方向Cにおける各々の端部同士が、フィルム基材2を介してフィルム基材2の厚み方向に重なるように配置されていてもよい。すなわち、この変形例の水位センサ1には、2つの重なり部分10が設けられている。この2つの重なり部分10により、周方向Cにおける液体容器100の外周面全体に対する、第1グランド電極8および第2グランド電極9の双方の上記シールド効果を高めることができる。
【0054】
また、変形例1の更なる変形例として、図示しないスルーホールを、フィルム基材2において重なり部分10に対応する位置に設けてもよい。上記スルーホールは、例えば銅箔などの導体金属からなり、フィルム基材2の厚み方向に貫通している。このスルーホールにより、各重なり部分10において、第1グランド電極8と第2グランド電極9とが互いに電気的に導通した状態となる。これにより、上記フレキシブル配線板(図示せず)を第1グランド電極8および第2グランド電極9のいずれか一方に対して電気的に接続すれば、第1グランド電極8および第2グランド電極9の双方をグランド電位にすることができる。すなわち、水位センサ1の全体構造が簡素化される。
【0055】
[実施形態の変形例2]
上記実施形態では、一対の第1グランド電極8をフィルム基材2の第1面2aに配置した形態を示したが、この形態に限られない。例えば、
図7に示した変形例2のように、一対の第1グランド電極8をフィルム基材2の第2面2bに配置してもよい。このような変形例であっても、上記実施形態で説明した第1グランド電極8による作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【0056】
[実施形態の変形例3]
上記実施形態では、一対の第1グランド電極8が、展開状態におけるフィルム基材2の第1面2aから見たときに、第1面2aの左右両側に配置された形態を示したが、この形態に限られない。
【0057】
例えば、
図8に示した変形例3のように、一対の第1グランド電極8は、展開状態におけるフィルム基材2の第1面2aから見たときに、第1面2aにおける
図8の紙面中央および右側に配置されていてもよい。そして、この変形例では、センサ電極4(送信電極5および受信電極6)が、第1面2aにおける
図8の紙面左側に配置されている。なお、図示しないが、第2グランド電極9は、展開状態におけるフィルム基材2の第2面2bから見たときに、第2面2bの右側に配置される。
【0058】
このような変形例であっても、
図9に示すように、水位センサ1を液体容器100の外周面に貼り付けた状態(巻き付けた状態)では、一対の第1グランド電極8が、周方向Cにおいてセンサ電極4の両隣に配置される。したがって、この変形例であっても、上記実施形態と同様に、一対の第1グランド電極8による上述の作用効果を得ることができる。なお、変形例3の更なる変形例としては、図示しないが、
図8および
図9に示した一対の第1グランド電極8,8を一体化した構成を適用してもよい。
【0059】
[実施形態の変形例4,5]
上記実施形態では、水位センサ1が一つのフィルム基材2を備えた形態を示したが、この形態に限られない。例えば、
図10に示した変形例4のように、水位センサ1が複数のフィルム基材2を備えた形態であってもよい。
【0060】
図10に示すように、上記複数のフィルム基材2は、第1基材11および第2基材12により構成されている。第1基材11は、液体容器100の外周面の近傍に配置されている。具体的に、第1基材11は、第1面11aが液体容器100の外周面と対向し、かつ、第2面11bが第1面11aの反対側に位置するように配置されている。また、第2基材12は、第1基材11の外側に配置されている。具体的に、第2基材12は、第1面12aが第1基材11の第2面11bと対向し、かつ、第2面12bが第1面12aの反対側に位置するように配置されている。第1基材11および第2基材12は、例えば粘着層3により互いに積層配置されている。
【0061】
この変形例において、センサ電極4および一対の第1グランド電極8は、第1基材11の第1面11aに配置されている。一方、第2グランド電極9は、第2基材12の第1面12aに配置されている。センサ電極4、一対の第1グランド電極8、および第2グランド電極9における相互の位置関係は、上記実施形態における位置関係と実質的に同じである。このような変形例であっても、上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。さらに、この変形例の水位センサ1では、第2基材12が第2グランド電極9よりも外側に位置することから、第2基材12を、第2グランド電極9を保護するための保護フィルムとして機能させることができる。
【0062】
なお、上記変形例4では、センサ電極4および一対の第1グランド電極8が第1基材11の第1面11aに配置されているが、
図11に示した変形例5のように、センサ電極4および一対の第1グランド電極8が第1基材11の第2面11bに配置されていてもよい。
【0063】
[実施形態の変形例6]
上記実施形態およびその変形例1~5では、送信電極5が一対の第1電極部5aおよび第2電極部5bにより構成され、かつ、受信電極6が一対の第1電極部5aおよび第2電極部5bにより囲われた形態を示したが、この形態に限られない。例えば、
図12に示した変形例6のように、送信電極5は、一対の第1電極部5aおよび第2電極部5bを含まず、受信電極6と同様に形成されていてもよい。
【0064】
具体的に、
図12に示すように、送信電極5は、受信電極6と同様に、液体容器100の高さ方向Hに沿って略帯状に延びている。そして、送信電極5および受信電極6は、周方向Cに間隔をあけて配置されている。このように、送信電極5をより簡素化した変形例であっても、上記実施形態と同様に、液体容器100の水位を精度良く検出することができる。
【0065】
[その他の実施形態]
上記実施形態およびその変形例1~6では、水位センサ1が、液体容器100における曲面状の外周面に貼り付けられた(巻き付けられた)形態を例示したが、この形態に限られない。すなわち、水位センサ1は、曲面以外の外面(例えば、平面状の外面)を有する液体容器(図示せず)において、当該外面に貼り付けることが可能である。
【0066】
上記実施形態およびその変形例1~6では、基材が、可撓性を有するフィルム基材2からなる形態を示したが、この形態に限られない。すなわち、基材は、可撓性を有しない材料により構成されていてもよい。また、基材は、フィルム状に形成されていなくてもよい。例えば、基材が剛性を有する材料(例えばガラス材)からなりかつ略板状に形成されていたとしても、当該基材にセンサ電極4およびグランド電極7が設けられていれば、水位センサ1の上記効果(すなわち、扱いやすくかつ簡易的な構造で、液体容器100の水位を精度良く検出することができるとの効果)を得ることができる。
【0067】
上記実施形態およびその変形例1~6では、グランド電極7が、一対の第1グランド電極8および第2グランド電極9の双方を含む形態を示したが、この形態に限られない。例えば、グランド電極7は、一対の第1グランド電極8のみで構成されていてもよい(図示せず)。あるいは、グランド電極7は、一対の第1グランド電極8のいずれか一方のみで構成されていてもよい(図示せず)。あるいは、グランド電極7は、第2グランド電極9のみで構成されていてもよい(図示せず)。すなわち、水位センサ1として、少なくとも1つのグランド電極7が、フィルム基材2が液体容器100の外周面に貼り付けられた状態(巻き付けられた状態)でセンサ電極4の近傍に位置していれば、上記センサ感度および上記シールド効果を十分に得ることができる。
【0068】
本開示の水位センサ1の概念には、多数の水位センサ1を量産する過程に用いられる、複数のフィルム基材2が個々に形成される前の状態となる長尺状の母材(例えば、図示しない長尺のフープ状部材)において、上述した作用効果を奏し得るセンサ電極4およびグランド電極7が当該母材に形成された構成も含まれる。
【0069】
以上、本開示についての実施形態を説明したが、本開示は上述の実施形態のみに限定されず、本開示の範囲内で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本開示は、液体容器の外周面に貼り付けられた状態で液体容器の水位を測定可能な水位センサとして産業上の利用が可能である。
【符号の説明】
【0071】
1:水位センサ
2:フィルム基材(基材)
3:粘着層
4:センサ電極
5:送信電極
5a:第1電極部
5b:第2電極部
6:受信電極
7:グランド電極
8:第1グランド電極
9:第2グランド電極
10:重なり部分
11:第1基材
12:第2基材
100:液体容器