(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】冷却装置およびそれを備えるプロジェクタ
(51)【国際特許分類】
H05K 7/20 20060101AFI20241122BHJP
F28F 9/26 20060101ALI20241122BHJP
G03B 21/16 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
H05K7/20 M
F28F9/26
G03B21/16
(21)【出願番号】P 2020129615
(22)【出願日】2020-07-30
【審査請求日】2023-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】近藤 信幸
(72)【発明者】
【氏名】近山 学
【審査官】吉川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-016681(JP,A)
【文献】特開2010-156467(JP,A)
【文献】特開2009-027901(JP,A)
【文献】特開2019-211175(JP,A)
【文献】特開2020-100190(JP,A)
【文献】国際公開第2015/107899(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0338226(US,A1)
【文献】特開2019-074695(JP,A)
【文献】特開2016-207928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
F28F 9/26
G03B 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に第1の吸気口、および他端に排気口が形成されたダクトと、
前記ダクトの内部に配置された第1のラジエタと、
前記ダクトの内部において前記第1のラジエタよりも前記排気口側に配置された第2のラジエタと、
前記ダクトの内部において、前記第2のラジエタより
も前記排気口側に配置された排気ファンと、
を備え、
前記ダクトには、前記第1のラジエタと前記第2のラジエタとの間に第2の吸気口が形成され、
前記第1のラジエタは、前記第1の吸気口から
前記排気ファンによって吸気された空気により内部を流れる冷媒を冷却し、
前記第2のラジエタは、前記第1のラジエタを通過した空気と、前記第2の吸気口から
前記排気ファンによって吸気された空気とを混合した空気により内部を流れる冷媒を冷却
する、
冷却装置。
【請求項2】
平面視における前記第2のラジエタの大きさは、前記ダクトにより画定される空気流路の断面の大きさに合致する、
請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記第2のラジエタから外部に流出する冷媒の温度は、前記第1のラジエタから外部に流出する冷媒の温度よりも高い、
請求項1または2に記載の冷却装置。
【請求項4】
さらに、
前記第1のラジエタから流出した冷媒が前記第2のラジエタに流入する第1流路と、
前記第2のラジエタから流出した冷媒が前記第1のラジエタに流入する第2流路と、
前記第1流路に配置された第1受熱部と、
を備える、
請求項1
から3のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項5】
さらに、
前記第2流路に配置された第2受熱部、
を備える、
請求項
4に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記第1流路において前記第1受熱部を通過した冷媒の温度は、前記第2流路において前記第2受熱部を通過した冷媒の温度よりも高い、
請求項
5に記載の冷却装置。
【請求項7】
さらに、
前記第1のラジエタから流出した冷媒が前記第1のラジエタに再び流入する第3流路と、
前記第3流路に配置された第3受熱部と、
前記第2のラジエタから流出した冷媒が前記第2のラジエタに再び流入する第4流路と、
前記第4流路に配置された第4受熱部と、
をさらに備える、
請求項1
から3のいずれかに記載の冷却装置。
【請求項8】
前記第3流路において前記第3受熱部を通過した冷媒の温度は、前記第4流路において前記第4受熱部を通過した冷媒の温度よりも高い、
請求項
7に記載の冷却装置。
【請求項9】
前記第2の吸気口からの空気の吸気量は、前記第1の吸気口からの空気の吸気量よりも小さい、
請求項1から
8のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項10】
前記第1のラジエタと前記第2のラジエタとは、平面視において同じ大きさであり、かつ、前記ダクトにより画定される空気流路の断面に合致する大きさである、
請求項1
から9のいずれか1項に記載の冷却装置。
【請求項11】
請求項1から
10のいずれか1項に記載の冷却装置を備える、
プロジェクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷却装置およびそれを備えるプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、LED光源から発生した熱を、受熱用ジャケットにより冷却水に伝熱し、冷却水に伝熱された熱をラジエータにより放熱することによりLED光源を冷却することができる車両用前照灯が開示されている。冷却水は、ファンの発生する空気流によりラジエータを冷却することにより冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、省スペース化と冷却性能の向上との両立という点において、改善の余地がある。
【0005】
そこで、本開示は、省スペース化と冷却性能の向上とを両立させた冷却装置、およびそれを備えるプロジェクタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様にかかる冷却装置は、一端に第1の吸気口、および他端に排気口が形成されたダクトと、ダクトの内部に配置された第1のラジエタと、ダクトの内部において第1のラジエタよりも排気口側に配置された第2のラジエタと、ダクトの内部において、第2のラジエタよりもの排気口側に配置された排気ファンと、を備え、ダクトには、第1のラジエタと第2のラジエタとの間に第2の吸気口が形成され、第1のラジエタは、第1の吸気口から吸気された空気により内部を流れる冷媒を冷却し、第2のラジエタは、第1のラジエタを通過した空気と、第2の吸気口から吸気された空気とを混合した空気により内部を流れる冷媒を冷却し、第2のラジエタから外部に流出する冷媒の温度は、第1のラジエタから外部に流出する冷媒の温度よりも高い。
【0007】
本開示の一態様にかかるプロジェクタは、上述の冷却装置を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によると、省スペース化と冷却性能とを両立させた冷却装置、およびそれを備えるプロジェクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3A】実施の形態1の変形例1にかかる冷却装置の一部を示す斜視図
【
図4A】実施の形態1の変形例2にかかる冷却装置の一部を示す斜視図
【
図5A】実施の形態1の冷却装置の第2の吸気口14を示す模式図
【
図5B】実施の形態1の変形例3にかかる冷却装置の第2の吸気口を示す模式図
【
図5C】実施の形態1の変形例4にかかる冷却装置の第2の吸気口を示す模式図
【
図5D】実施の形態1の変形例5にかかる冷却装置の第2の吸気口を示す模式図
【
図6A】実施の形態2にかかる冷却装置の一部を示す斜視図
【
図7A】実施の形態2の変形例にかかる冷却装置の一部を示す斜視図
【
図10】実施の形態4にかかる冷却装置を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本開示に至った経緯)
投射型映像表示装置(プロジェクタ)等において、レーザー光源などの発熱部品を冷却するために、冷却装置が使用される。
【0011】
冷却装置における冷却方法としては、ファンで光源を直接冷却する方法、または放熱フィンを有するヒートシンクを発熱体に接触させ、ヒートシンクをファンで冷却する方法などが知られている。さらに、発熱体に熱接続される受熱部とラジエタとをヒートパイプを用いてヒートシンクモジュールを構成し、ラジエタをファンで冷却する方法が知られている。
【0012】
さらに、冷却装置には、液体の冷媒を循環させて冷却をするものがある。冷媒を循環させる冷却装置では、熱伝導性の高い冷媒をポンプにより強制的に循環させて、受熱部からの熱をラジエタで放熱する。さらに、ラジエタをファンにより冷却することで、冷却性能の向上を図るものもある。
【0013】
例えば、特許文献1には、1つのファンとダクトを用いて、1つのラジエタを冷却する構成が開示されている。このような構成の冷却装置において冷却性能を向上させるために、複数のラジエタを配置することが検討されている。
【0014】
しかし、1つのラジエタにつき1つのファンで冷却する構成の場合、ラジエタの数が増えると、ファンの数も増えるため、冷却装置の設置スペースが大きくなり、小型化が困難であるという課題がある。
【0015】
例えば、プロジェクタ等に使用される冷却装置の場合、発熱密度の増大に伴い冷却性能の向上が求められている。一方で、プロジェクタ等の小型化により、それに使用される冷却装置の省スペース化も求められている。
【0016】
そこで、本発明者らは省スペース化と冷却性能の向上とを両立させた冷却装置を検討し、以下の発明に至った。
【0017】
本開示の一態様にかかる冷却装置は、一端に第1の吸気口、および他端に排気口が形成されたダクトと、ダクトの内部に配置された第1のラジエタと、ダクトの内部において第1のラジエタよりも排気口側に配置された第2のラジエタと、ダクトの内部において、第2のラジエタよりもの排気口側に配置された排気ファンと、を備え、ダクトには、第1のラジエタと第2のラジエタとの間に第2の吸気口が形成され、第1のラジエタは、第1の吸気口から吸気された空気により内部を流れる冷媒を冷却し、第2のラジエタは、第1のラジエタを通過した空気と、第2の吸気口から吸気された空気とを混合した空気により内部を流れる冷媒を冷却し、第2のラジエタから外部に流出する冷媒の温度は、第1のラジエタから外部に流出する冷媒の温度よりも高い。
【0018】
このような構成により、省スペースかと冷却性能の向上とを両立させた冷却装置を提供することができる。
【0019】
さらに、第1のラジエタから流出した冷媒が第2のラジエタに流入する第1流路と、第2のラジエタから流出した冷媒が第1のラジエタに流入する第2流路と、第1流路に配置された第1受熱部と、を備えてもよい。
【0020】
このような構成により、2つのラジエタの間で冷媒を循環させることができ、冷却性能を向上することができる。また、1つの排気ファンにより第1のラジエタおよび第2のラジエタの両方を冷却することができるため、さらなる省スペースかが可能になる。
【0021】
さらに、第2流路に配置された第2受熱部、を備えてもよい。
【0022】
このような構成により、2つ以上の熱源を1つの冷却装置で冷却することができる。
【0023】
第1流路において第1受熱部を通過した冷媒の温度は、第2流路において第2受熱部を通過した冷媒の温度よりも高くてもよい。
【0024】
このような構成により、より冷却性能を向上することができる。
【0025】
さらに、第1のラジエタから流出した冷媒が第1のラジエタに再び流入する第3流路と、第3流路に配置された第3受熱部と、第2のラジエタから流出した冷媒が第2のラジエタに再び流入する第4流路と、第4流路に配置された第4受熱部と、をさらに備えてもよい。
【0026】
このような構成により、2つのラジエタのそれぞれにおいて、冷媒の循環する流路を設けることができる。
【0027】
第3流路において第3受熱部を通過した冷媒の温度は、第4流路において第4受熱部を通過した冷媒の温度よりも高くてもよい。
【0028】
このような構成により、より冷却性能を向上することができる。
【0029】
第2の吸気口からの空気の吸気量は、第1の吸気口からの空気の吸気量よりも小さくてもよい。
【0030】
このような構成により、1つの排気ファンを用いて、1つのダクト内で2つのラジエタを冷却することができる。
【0031】
第1のラジエタと第2のラジエタとは、平面視において同じ大きさであり、かつ、ダクトにより画定される空気流路の断面に合致する大きさであってもよい。
【0032】
このような構成により、より省スペースな冷却装置を提供することができる。
【0033】
本開示の一態様にかかるプロジェクタは、上述のいずれかの冷却装置を備える。
【0034】
このような構成により、小型で冷却性能の向上したプロジェクタを提供することができる。
【0035】
以下、実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0036】
(実施の形態1)
[全体構成]
図1は、実施の形態1にかかる冷却装置100を示す模式図である。
図2Aは、
図1の冷却装置100の斜視図である。
図2Bは、
図2Aの冷却装置100のダクト4を省略した図である。
図2Cは、
図2Aの冷却装置100のダクト4の構造を示す斜視図である。
図2Dは、
図2Cの冷却装置100を別の方向から見た斜視図である。なお、以下の説明において、各図におけるX方向を縦方向、Y方向を高さ方向、Z方向を横方向と称することがある。
【0037】
冷却装置100は、例えばプロジェクタ等に配置されて光源の冷却を行うものである。
図1および
図2Aに示すように、冷却装置100は、ダクト4と、第1のラジエタ1と、第2のラジエタ2と、排気ファン3と、を備える。
【0038】
また、冷却装置100は、第1流路7と、第2流路8と、を備える。第1流路7には、第1受熱部10が配置されている。
【0039】
<ダクト>
ダクト4には、第1の吸気口13、第2の吸気口14、および排気口15が形成されている。ダクト4は、樹脂成型品、または鉄系またはSUS計の金属財投で形成することができる。ダクト4は、第1の吸気口13から排気口15へと至る空気の流路を画定するものである。ダクト4の一端に第1の吸気口13、他端に排気口15が形成されている。また、第2の吸気口14は、第1の吸気口13と排気口15とを繋ぐダクト4の側面に形成されている。排気ファン3を駆動することにより、第1の吸気口13および第2の吸気口14からダクト4内に空気を取り込み、ダクト4内を通過した空気が排気口15から排出される。
【0040】
ダクト4は、
図2Aに示すように、中空の角柱状に形成されている。第1の吸気口13は、
図2Cに示すように、第1のラジエタ1が露出するよう矩形状に形成されている。排気口は、
図2Dに示すように、排気ファン3の形状に合わせて円形状に形成されている。また、第2の吸気口は、
図2Cに示すように、ダクト4のZ方向に対向する側面のそれぞれに1つずつ矩形状に形成されている。
【0041】
ダクト4の内部には、第1の吸気口13から排気口15に向かって、第1のラジエタ1と、第2のラジエタ2と、排気ファン3と、がこの順に配置されている。ダクト4の第1の吸気口13から吸気された空気16が第1のラジエタ1を通過する。第1のラジエタ1を通過した空気18は、第2の吸気口14から吸気された空気17と混合されて第2のラジエタ2を通過し、排気口15から排出される。
【0042】
ダクト4は、
図1および
図2Aに示すように、第1ダクト4a、第2ダクト4b、および第3ダクト4cを含む。ダクト4は、第1ダクト4a、第2ダクト4b、および第3ダクト4cが一体的に形成されていてもよい。または、ダクト4は、別個に形成された第1ダクト4a、第2ダクト4b、および第3ダクト4cを組み合わせたものであってもよい。第1ダクト4aには、第1の吸気口13および第2の吸気口14が形成されている。第1ダクト4aに形成された第2の吸気口14への空気を整流するように、第2ダクト4bが形成されている。第3ダクト4cには、排気口15が形成されている。第3ダクト4cと第1ダクト4aとが接合されて、第1の吸気口13から排気口15への空気の流路を画定する。
【0043】
本実施の形態では、
図2Aおよび
図2Cに示すように、ダクト4の側面のうち、横方向(X方向)に対向する側面のそれぞれに2つの第2の吸気口14が矩形状に形成されている。
【0044】
<ラジエタ>
第1のラジエタ1および第2のラジエタ2は、内部に冷媒を流して周囲の空気に冷媒中の熱を放熱するものである。第1のラジエタ1および第2のラジエタ2は、ダクト4の内部に配置され、内部を流れる冷媒とダクト4を通過する空気との間で熱交換を行う。冷媒としては、エチレングリコール水溶液またはプロピレングリコール水溶液等の不凍液を使用することができる。
【0045】
第1のラジエタ1および第2のラジエタ2は、ダクト4の内部に配置される。第2のラジエタ2は、ダクト4の内部において、第1のラジエタ1よりも排気口15側に配置されている。このとき、ダクト4の内部において、第1のラジエタ1と第2のラジエタ2との間に第2の吸気口14が位置するよう、それぞれのラジエタ1、2が配置される。
【0046】
第1のラジエタ1と第2のラジエタ2とを1つのダクト4の内部に配置することにより、1つの排気ファン3でまとめて排気することができる。すなわち、複数のラジエタ1、2を1つの排気ファン3で冷却することができる。このため、冷却装置100の設置スペースを節約することができる。
【0047】
図2Bに示すように、第1のラジエタ1と第2のラジエタ2とは、X方向から見た平面視において同じ大きさであり、かつ、ダクト4により画定される空気流路の断面に合致する大きさである。第1のラジエタ1と第2のラジエタ2とが平面視において同じ大きさであることにより、1つのダクト4内に第1のラジエタ1および第2のラジエタ2の両方を配置することができるため、省スペース化に寄与する。また、第1のラジエタ1と第2のラジエタ2とが、ダクト4の空気流路の断面に合致する大きさであることにより、空気に触れる面積が大きくなるため、冷却効率を向上することができる。
【0048】
<排気ファン>
排気ファン3は、ダクト4の第1の吸気口13および第2の吸気口14から空気を取り込み、ダクト4の排気口15から空気を排出するための送風機である。排気ファン3は、第2のラジエタ2よりも、ダクト4の排気口15側に配置されている。
【0049】
<冷媒の流路>
本実施の形態では、第1のラジエタ1と第2のラジエタ2とが、第1流路7および第2流路8により接続されている。このため、第1のラジエタ1から第1流路7を経由して第2のラジエタ2に流入し、第2のラジエタ2から第2流路8を経由して第1のラジエタ1に戻る冷媒の循環流路が形成されている。
図1に示すポンプ12により、冷媒を循環させることができる。第1流路7および第2流路8は、配管またはチューブ等により形成することができる。
【0050】
第1のラジエタ1および第2のラジエタ2には、冷媒の入口と出口が設けられている。第1のラジエタ1の冷媒の出口が第1流路7の一端に接続され、第2のラジエタ2の冷媒の入口が第1流路7の他端に接続される。さらに、第2のラジエタ2の冷媒の出口が第2流路8の一端に接続され、第1のラジエタ1の冷媒の入口が第2流路8の他端に接続される。したがって、第1のラジエタ1の出口から第1流路7に流れ第2のラジエタ2の入口から第2のラジエタ2に流入し、第2のラジエタ2の出口から第2流路8に流れ第1のラジエタ1の入口から第1のラジエタ1に流入するという、冷媒の循環流路が形成される。
【0051】
図1に示すように、第1のラジエタ1において、第1の吸気口13からの空気16で冷却された冷媒が第1流路7に流出する。第1のラジエタ1から流出した冷媒は、第1流路7を通過し、第1受熱部10において外部の熱源からの熱を奪い、第2のラジエタ2に流入する。第2のラジエタ2では、第2の吸気口14からの空気17と第1のラジエタを冷却した空気18とを混合した空気により冷媒が冷却される。第1のラジエタ1および第2のラジエタ2を冷却した空気は、排気ファン3によりダクト4の外部に排出される(
図1の空気19)。
【0052】
上述のように、第1のラジエタ1は、第1の吸気口13から吸気された空気により内部を流れる冷媒を冷却する。第2のラジエタ2は、第1のラジエタ1を通過した空気18と、第2の吸気口14から吸気された空気17を混合した空気により、内部を流れる冷媒を冷却する。
図2Cに示すように、第1の吸気口13の開口の大きさは、それぞれの第2の吸気口14の大きさよりも大きい。第1の吸気口13は、ダクト4により画定される空気流路の断面に近い大きさで矩形状に形成されている。これに対して、それぞれの第2の吸気口14は、第1の吸気口13の1/6~1/4程度の大きさで形成されているとよい。
【0053】
また、
図2Dに示すように、排気口15は、排気ファン3の形状に合わせて、円形の開口を有するよう形成されている。
【0054】
第1のラジエタ1を通過した空気18は、ダクト4の外部から吸気される空気(空気16、空気17)よりも温度が高くなる。このため、第2の吸気口14を形成して、外部から空気17を取り込み、空気18と空気17とを混合して第2のラジエタ2を通過させることにより、ダクト4内に2つのラジエタ1、2を配置する場合でも、高い冷却性能を実現することができる。
【0055】
図2Cおよび
図2Dに示すように、本実施の形態では、ダクト4に第2の吸気口14を覆うように第2ダクト4bが設けられている。第2ダクト4bを設けることにより、第2の吸気口14に吸気される空気の流れを整えることができる。
【0056】
第2の吸気口14からの空気の吸気量は、第1の吸気口13からの空気の吸気量よりも小さい。この場合、第1の吸気口13から空気の吸気量を下げることなく、第2の吸気口14から空気を吸気することができる。その結果、第2のラジエタ2を流れる冷媒を、第1のラジエタ1を通過した空気18と、第2の吸気口14からの空気17とを混合した空気で冷却することができる。
【0057】
図2Bに示すように、冷却装置100は、第1のラジエタ1から流出した冷媒が第2のラジエタ2に流入する第1流路7と、第2のラジエタ2から流出した冷媒が第1のラジエタ1に流入する第2流路8と、を備える。第1流路7には、第1受熱部10が配置されている。
【0058】
第1流路7および第2流路8がこのように配置されることにより、第1のラジエタ1から流出した冷媒が、第1流路7を通過して第2のラジエタ2に流入する。さらに、第2のラジエタ2から流出した冷媒が、第2流路8を通過して第1のラジエタ1に再び流入する。第1のラジエタ1と第2のラジエタ2とが2つの流路7、8で接続されているため、第1のラジエタ1と第2のラジエタ2との間で冷媒を循環させる循環流路が形成されている。
【0059】
本実施の形態では、
図1に示すように、第1流路7にポンプ12が配置されている。ポンプ12により冷媒を圧送することで、第1のラジエタ1と第2のラジエタ2との間で冷媒を循環させることができる。なお、ポンプ12は、第2流路8に配置されていてもよい。
【0060】
本実施の形態では、
図2Aおよび
図2Bに示すように、第1流路7にリザーブタンク20が配置されている。リザーブタンク20は、冷媒中の気泡を取り除く気液分離機能を有する。なお、リザーブタンク20は必須の構成ではなく、冷却装置100に含まれていなくてもよい。
【0061】
第1受熱部10は、例えばプロジェクタのLED光源、または光学部品等の熱源に熱接続される。第1受熱部10において、第1受熱部10の中を流れる冷媒により、熱源から受熱する。
【0062】
[動作]
図1を参照して、以上のように構成された冷却装置100の動作を説明する。
【0063】
(1)排気ファン3を動かすことにより、ダクト4の第1の吸気口13および第2の吸気口14から空気が吸気され、吸気された空気は排気口15から排出される。排気ファン3の動作中は、継続的に吸気口13、14からダクト4に空気が吸気され、排気口15からダクト4の外部に空気が排出される。
【0064】
(2)第1の吸気口13から吸気された空気16により、第1のラジエタ1の内部を流れる冷媒が冷却される。
【0065】
(3)第1のラジエタ1の内部で冷却された冷媒が第1のラジエタ1から流出し、第1流路7を通過して第1受熱部10に流入する。このとき、冷媒は、第1受熱部10に熱接続された熱源からの熱を受熱する。
【0066】
(4)第1受熱部10から流出した冷媒は、第1流路7を通過して第2のラジエタ2に流入する。
【0067】
(5)第1のラジエタ1を通過した空気18と、第2の吸気口14から吸気された空気17とを混合した空気により、第2のラジエタ2の内部を流れる冷媒が冷却される。
【0068】
(6)第2のラジエタ2の内部で冷却された冷媒が第2のラジエタ2から流出し、第2流路8を通過して第1のラジエタ1に再び流入する。
【0069】
ポンプ12の動作中は、(2)~(6)が繰り返されて、冷媒が第1のラジエタ1と第2のラジエタ2との間を循環する。
【0070】
ここで、第2のラジエタ2に流入する冷媒の温度は、第1のラジエタ1に流入する冷媒の温度よりも高い。(6)において第2のラジエタ2から外部に流出する冷媒の温度は、(3)において第1のラジエタ1から外部に流出する冷媒の温度よりも高い。
【0071】
本実施の形態では、第2のラジエタ2で冷却された冷媒が第1のラジエタ1に流入し、第1のラジエタ1において、第1の吸気口13から吸気された空気16により冷却される。一方、第2のラジエタ2には、第1受熱部10で受熱した冷媒が流入し、第2のラジエタ2においては、第1のラジエタ1を通過した空気18と、第2の吸気口14から吸気された空気17とを混合した空気により冷媒が冷却される。
【0072】
第1のラジエタ1を通過した空気18は、第1の吸気口13からの空気16および第2の吸気口からの空気17よりも温度が高い。このため、第1受熱部10で受熱した冷媒を、第2のラジエタ2において、第1のラジエタ1を通過した空気18と第2の吸気口14からの空気17とを混合した空気により冷却する。さらに、第2のラジエタ2で冷却された冷媒を、第1のラジエタ1において、空気17と空気18とを混合した空気よりも温度の低い第1の吸気口からの空気16で冷却することにより、冷媒の冷却性能を向上することができる。
【0073】
[効果]
上述した実施の形態によると、省スペース化と冷却性能とを両立させた冷却装置、およびそれを備えるプロジェクタを提供することができる。
【0074】
ダクト4内に2つのラジエタ1、2を配置することにより、設置スペースを節約しつつ冷却性能を向上させることができる。また、1つの排気ファン3で2つのラジエタ1、2を冷却することができるため、冷却装置100の部品点数を削減することができる。
【0075】
また、冷却装置100をプロジェクタに搭載することにより、小型で冷却効率を向上させたプロジェクタを提供することができる。
【0076】
[変形例]
なお、実施の形態1では、2つの第2の吸気口14が形成されている例について説明したが、第2の吸気口14の数は2つでなくてもよい。
【0077】
また、実施の形態1では、ダクト4が角柱状である例について説明したが、ダクト4の形状はこれに限定されず、空気の流路を画定できる形状であればよい。同様に、ダクト4に形成されている第1の吸気口13、および排気口15の形状も、上述のものに限定されない。
【0078】
また、実施の形態1では、第2の吸気口14を覆うように、第2ダクト4bが設けられる例について説明したが、第2ダクト4bは必須の構成ではない。
【0079】
図3Aは、実施の形態1の変形例1にかかる冷却装置100aの一部を示す斜視図である。
図3Bは、
図3Aの冷却装置100aを別の角度から見た斜視図である。
【0080】
変形例1にかかる冷却装置100aは、
図3Aおよび
図3Bに示すように、ダクト4の横方向において対向する側面に第2の吸気口14aが形成されているが、第2ダクト4bが設けられていない。冷却装置100aの設置される場所等によっては、第2ダクト4bが設けられていなくても、同等の効果を奏することができる。
【0081】
また、実施の形態1では、ダクト4の横方向(X方向)において対向する側面のそれぞれに第2の吸気口14が形成される例について説明したが、第2の吸気口14の形成される位置は、ダクトの横方向において対向する側面に限定されない。
【0082】
図4Aは、実施の形態1の変形例2にかかる冷却装置100bの一部を示す斜視図である。
図4Bは、
図4Aの冷却装置100bを別の角度から見た斜視図である。
【0083】
変形例2にかかる冷却装置100bでは、
図4Aおよび
図4Bに示すように、
ダクト4の高さ方向(Y方向)において対向する側面のそれぞれに、2つの第2の吸気口14bが形成されている。冷却装置100bの配置される場所により、効率よく吸気できる位置に第2の吸気口14を形成するとよい。
【0084】
また、実施の形態1では、第2の吸気口14が矩形状に形成されている例について説明したが、第2の吸気口14の形状はこれに限定されない。
【0085】
図5Aは、実施の形態1の冷却装置100の第2の吸気口14を示す模式図である。
図5Bは、実施の形態1の変形例3にかかる冷却装置の第2の吸気口14cを示す模式図である。
図5Cは、実施の形態1の変形例4にかかる冷却装置の第2の吸気口14dを示す模式図である。
図5Dは、実施の形態1の変形例5にかかる冷却装置の第2の吸気口14eを示す模式図である。
【0086】
図5Aに示すように、実施の形態1の冷却装置100では、矩形状の第2の吸気口14が形成されているが、
図5Bに示す変形例3にかかる冷却装置の第2の吸気口14は、3つの矩形状の開口を組み合わせて、第2の吸気口14cが形成されている。
【0087】
また、
図5Cに示すように、複数の円形の小さな開口を一列に並べて第2の吸気口14dを形成してもよいし、
図5Dに示すように、複数の円形の小さな開口を2列に並べて第2の吸気口14eを形成してもよい。
【0088】
(実施の形態2)
本開示の実施の形態2にかかる冷却装置110について説明する。
【0089】
実施の形態2では、主に実施の形態1と異なる点について説明する。実施の形態2においては、実施の形態1と同一または同等の構成については同じ符号を付して説明する。また、実施の形態2では、実施の形態1と重複する記載は省略する。
【0090】
図6Aは、実施の形態2にかかる冷却装置110の一部を示す斜視図である。
図6Bは、
図6Aの冷却装置110の一部の平面図である。
【0091】
実施の形態2では、
図6Aおよび
図6Bに示すように、ダクト40の形状が実施の形態1と異なる。ダクト40は、吸気ダクト40aと排気ダクト40cとを含む。
【0092】
冷却装置100では、ダクト40の吸気ダクト40aが、Y方向からの平面視で台形状に形成されている。また、第1の吸気口13は、Z方向に向かって形成され、排気口15は、X方向に向かって形成されている。第2の吸気口114は、ダクト40の高さ方向(Y方向)に対向する2つの面にそれぞれ形成されている。なお、
図6Aおよび6Bにおいて、2つの第2の吸気口14のうち1つの第2の吸気口114が図示省略されている。
【0093】
図6Bに示すように、第1のラジエタ1は、第1の吸気口13に対向するよう配置される。第2のラジエタ2は、排気口15に対向するように配置される。
【0094】
このため、ダクト40にZ方向に吸気された空気が、吸気ダクト40aを通過して、排気口15からX方向に排出される。ダクト40をこのような形状にすることにより、ダクト40への吸気と、ダクト40からの排気とで、方向を変えることができる。吸気と排気とで方向を変えることができるため、例えば、プロジェクタ内部において、角部に冷却装置110を配置したり、冷却装置110の配置位置のバリエーションを増やしたりすることができる。
【0095】
また、吸気ダクト40aが平面視において台形状に形成されているため、ダクトの容積を小さくすることができる。このため、さらに設置スペースを節約することができる。
【0096】
[効果]
上述した実施の形態によると、冷却性能を向上させつつ、さらに省スペース化を図ることができる。
【0097】
[変形例]
図7Aは、実施の形態2の変形例にかかる冷却装置110aの一部を示す斜視図である。
図7Bは、
図7Aの冷却装置110aの一部の平面図である。
【0098】
図7Aおよび
図7Bに示すように、冷却装置110aには、第2ダクト40bが設けられていてもよい。第2ダクト40bが設けられていることにより、第2の吸気口114から吸気される空気の流れを整えることができる。
【0099】
(実施の形態3)
本開示の実施の形態3にかかる冷却装置200について説明する。
【0100】
実施の形態3では、主に実施の形態1と異なる点について説明する。実施の形態3においては、実施の形態1と同一または同等の構成については同じ符号を付して説明する。また、実施の形態3では、実施の形態1と重複する記載は省略する。
【0101】
図8は、実施の形態3にかかる冷却装置200を示す模式図である。
図9Aは、
図8の冷却装置200の斜視図である。
図9Bは、
図9Aの冷却装置200のダクト4を省略した図である。
【0102】
実施の形態3では、
図8、
図9A、および
図9Bに示すように、第2流路208に第2受熱部11が配置されている点で実施の形態1と異なる。すなわち、実施の形態3の冷却装置200においては、第1受熱部10および第2受熱部11の2つの受熱部が配置されている。
【0103】
第1のラジエタ1において、第1の吸気口13からの空気16で冷却された冷媒が、第1流路7を通過して第1受熱部10で熱源の熱を回収する。熱を回収した冷媒は第2のラジエタ2に流入する。第2のラジエタ2において、冷媒は、第1のラジエタ1を通過した空気18と第2の吸気口14から吸気された空気17とを混合した空気により冷却される。第2のラジエタ2において冷却された冷媒は、第2流路208に流出し、第2受熱部11において熱源の熱を回収し、第1のラジエタ1に再び流入する。
【0104】
第1のラジエタ1においては、冷媒は第1の吸気口13から吸気された空気16、すなわち、ダクト4の外部の空気16のみで冷却される。一方、第2のラジエタ2においては、第1のラジエタ1を通過して温度が上昇した空気18と、第2の吸気口14から吸気された空気17、すなわちダクト4の外部の空気17とを混合した空気で冷却される。
【0105】
このため、第1受熱部10に接続された熱源の温度が、第2受熱部11に接続された熱源の温度よりも高いとよい。すなわち、第1流路7において第1受熱部10を通過した冷媒の温度は、第2流路208において第2受熱部11を通過した冷媒の温度よりも高いとよい。この場合、熱源に対する冷却効率を向上させることができる。
【0106】
[効果]
上述の実施の形態によると、複数の受熱部10、11を配置する場合にも、省スペース化および冷却性能の向上を両立させた冷却装置200を提供することができる。
【0107】
(実施の形態4)
本開示の実施の形態4にかかる冷却装置300について説明する。
【0108】
図10は、実施の形態4にかかる冷却装置300を示す模式図である。
図11Aは、
図10の冷却装置300の斜視図である。
図11Bは、
図11Aの冷却装置100のダクト4を省略した図である。なお、
図11Aにおいては、排気ダクトが省略されている。
【0109】
実施の形態4では、主に実施の形態1と異なる点について説明する。実施の形態4おいては、実施の形態1と同一または同等の構成については同じ符号を付して説明する。また、実施の形態4では、実施の形態1と重複する記載は省略する。
【0110】
実施の形態4では、第1のラジエタ1から流出した冷媒が第1のラジエタ1に再び流入する第3流路27と、第2のラジエタ2から流出した冷媒が第2のラジエタ2に再び流入する第4流路28と、を有する点で実施の形態1と異なる。第3流路27には、第3受熱部30が配置され、第4流路28には第4受熱部31が配置されている。
【0111】
図10、
図11A、および
図11Bに示すように、第3流路27および第4流路28にはそれぞれポンプ21、22が配置されている。このため、第1のラジエタ1から第3流路27に流出した冷媒は、第3受熱部30を通過して再び第1のラジエタ1に流入する。同様に、第2のラジエタ2から第4流路28に流出した冷媒は、第4受熱部31を通過して再び第2のラジエタ2に流入する。すなわち、第1のラジエタ1と第2のラジエタ2とで、別個の循環流路が形成され、第1のラジエタ1に対して第3受熱部30、第2のラジエタ2に対して第4受熱部31が対応する構成となっている。
【0112】
第1のラジエタ1においては、冷媒は第1の吸気口13から吸気された空気16、すなわち、ダクト4の外部の空気16のみで冷却される。一方、第2のラジエタ2においては、第1のラジエタ1を通過して温度が上昇した空気18と、第2の吸気口14から吸気された空気17、すなわちダクト4の外部の空気17とを混合した空気で冷却される。
【0113】
このため、第4受熱部31に接続された熱源の温度が、第3受熱部30に接続された熱源の温度よりも高いとよい。すなわち、第4流路28において第4受熱部31を通過した冷媒の温度は、第3流路27において第3受熱部30を通過した冷媒の温度よりも高いとよい。この場合、熱源に対する冷却効率を向上させることができる。
【0114】
[効果]
上述した実施の形態によると、第1のラジエタ1と第2のラジエタ2とにおいて、それぞれ別の冷媒の循環流路が形成される。このため、省スペース化を図りつつ冷却性能を向上させることができる。
【0115】
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した特許請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本開示は、ラジエタを備える冷却装置に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0117】
1 第1のラジエタ
2 第2のラジエタ
3 排気ファン
4、40 ダクト
7 第1流路
8、208 第2流路
10 第1受熱部
11 第2受熱部
13 第1の吸気口
14、14a、14b、14c、14d、14e、114 第2の吸気口
27 第3流路
28 第4流路
30 第3受熱部
31 第4受熱部
100、100a、100b、110、110a、200、300 冷却装置