IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

特許7591744制御方法、プログラム、及び、制御システム
<>
  • 特許-制御方法、プログラム、及び、制御システム 図1
  • 特許-制御方法、プログラム、及び、制御システム 図2
  • 特許-制御方法、プログラム、及び、制御システム 図3
  • 特許-制御方法、プログラム、及び、制御システム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】制御方法、プログラム、及び、制御システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/63 20180101AFI20241122BHJP
   F24F 11/89 20180101ALI20241122BHJP
   F24F 11/46 20180101ALI20241122BHJP
   G01J 5/48 20220101ALI20241122BHJP
   G01V 8/12 20060101ALI20241122BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20241122BHJP
   F24F 120/00 20180101ALN20241122BHJP
【FI】
F24F11/63
F24F11/89
F24F11/46
G01J5/48 C
G01V8/12 J
G06T7/00 350B
F24F120:00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023545485
(86)(22)【出願日】2022-08-24
(86)【国際出願番号】 JP2022031812
(87)【国際公開番号】W WO2023032771
(87)【国際公開日】2023-03-09
【審査請求日】2023-10-04
(31)【優先権主張番号】P 2021141878
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】浦 千人
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 仁
(72)【発明者】
【氏名】古賀 達雄
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-203576(JP,A)
【文献】特開2015-052435(JP,A)
【文献】特開2018-185108(JP,A)
【文献】特開2013-124833(JP,A)
【文献】特開2016-208408(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/63
F24F 11/89
F24F 11/46
G01J 5/48
G01V 8/12
G06T 7/00
F24F 120/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータにより実行される空気調和機の制御方法であって、
前記コンピュータは、
空調対象空間の天井に設置されたセンサにより検出された前記空調対象空間の温度分布を示す熱画像を取得し、
取得された前記熱画像に基づいて前記空調対象空間に存在する人の輪郭を検出し、
検出された前記人の輪郭で囲まれた領域である人体領域を、前記熱画像内において特定し、
特定された前記人体領域内の温度分布に基づいて前記人の着衣の温度を含む人体温度を算出し、
前記熱画像内における前記人体領域以外の領域の周囲温度を算出し、
前記人体温度と前記周囲温度との差分値に基づいて前記人の放熱量を算出し、
算出された前記放熱量に基づいて前記人の温冷感を推定し、
推定された前記温冷感に基づいて前記空気調和機を制御し、
学習済みの機械学習モデルを用いて前記熱画像から前記人の輪郭を検出し、
前記機械学習モデルは、教師データを用いて学習され、
前記教師データは、入力データとして前記熱画像と、出力データとして前記人の輪郭とを有し、
前記機械学習モデルは、第一機械学習モデル及び第二機械学習モデルから構成されており、
前記第一機械学習モデルは、前記教師データの前記入力データと、前記入力データの超解像熱画像との組を含む第一教師データを用いて学習され、
前記第二機械学習モデルは、前記超解像熱画像と、前記教師データの前記出力データとの組を含む第二教師データを用いて学習される
制御方法。
【請求項2】
前記コンピュータは、
前記放熱量が閾値よりも大きい場合に、前記人が寒いと感じていると推定し、推定された前記温冷感に基づいて前記周囲温度を上げるように前記空気調和機を制御し、
前記放熱量が前記閾値よりも小さい場合に、前記人が暑いと感じていると推定し、推定された前記温冷感に基づいて前記周囲温度を下げるように前記空気調和機を制御する、
請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記コンピュータは、前記人の輪郭の検出において、
前記熱画像内の少なくとも一部において同じ特徴を有し、かつ、隣接する複数の画素を1つの温度分布領域として2つ以上の温度分布領域に分割し、
分割された前記2つ以上の温度分布領域に基づいて前記人の着衣を含む前記人の輪郭を検出する、
請求項1又は2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記コンピュータは、
前記熱画像内の複数の画素に対して隣接する画素間に少なくとも1つの画素を補間することにより、前記熱画像よりも高い解像度を有する超解像熱画像を生成し、
前記超解像熱画像に基づいて前記人の輪郭を検出する、
請求項1又は2に記載の制御方法。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の制御方法をコンピュータに実行させるための
プログラム。
【請求項6】
空調対象空間の天井に設置されたセンサにより検出された前記空調対象空間の温度分布を示す熱画像を取得する取得部と、
取得された前記熱画像に基づいて前記空調対象空間に存在する人の輪郭を検出する検出部と、
検出された前記人の輪郭で囲まれた領域である人体領域を、前記熱画像内において特定する特定部と、
特定された前記人体領域内の温度分布に基づいて前記人の着衣の温度を含む人体温度を算出し、前記熱画像内における前記人体領域以外の領域の周囲温度を算出し、前記人体温度と前記周囲温度との差分値に基づいて前記人の放熱量を算出する算出部と、
算出された前記放熱量に基づいて前記人の温冷感を推定する推定部と、
推定された前記温冷感に基づいて前記空調対象空間に設置された空気調和機を制御する制御部と、
を備え、
前記検出部は、学習済みの機械学習モデルを用いて前記熱画像から前記人の輪郭を検出し、
前記機械学習モデルは、教師データを用いて学習され、
前記教師データは、入力データとして前記熱画像と、出力データとして前記人の輪郭とを有し、
前記機械学習モデルは、第一機械学習モデル及び第二機械学習モデルから構成されており、
前記第一機械学習モデルは、前記教師データの前記入力データと、前記入力データの超解像熱画像との組を含む第一教師データを用いて学習され、
前記第二機械学習モデルは、前記超解像熱画像と、前記教師データの前記出力データとの組を含む第二教師データを用いて学習される
制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機の制御方法、プログラム、及び、制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
乗員の鼻の温度と、頬及び/又は額の周りとの温度差を測定し、温度差に基づいて乗員の感覚や快適性(以下、温冷感)などの乗員の熱状態を測定し、乗員が快適であると感じるように乗り物に搭載された空調装置を制御する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-197195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、人の顔周りの温度だけで人の温冷感を推定しており、人の温冷感を推定して快適な環境温度を実現できているとは言い難い。
【0005】
そこで、本発明は、人の温冷感を推定して快適な環境温度を実現する、空気調和機の制御方法、プログラム、及び、制御システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る制御方法は、コンピュータにより実行される空気調和機の制御方法であって、前記コンピュータは、空調対象空間の天井に設置されたセンサにより検出された前記空調対象空間の温度分布を示す熱画像を取得し、取得された前記熱画像に基づいて前記空調対象空間に存在する人の輪郭を検出し、検出された前記人の輪郭で囲まれた領域である人体領域を、前記熱画像内において特定し、特定された前記人体領域内の温度分布に基づいて前記人の着衣の温度を含む人体温度を算出し、前記熱画像内における前記人体領域以外の領域の周囲温度を算出し、前記人体温度と前記周囲温度との差分値に基づいて前記人の放熱量を算出し、算出された前記放熱量に基づいて前記人の温冷感を推定し、推定された前記温冷感に基づいて前記空気調和機を制御する。
【0007】
本発明の一態様に係るプログラムは、前記制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0008】
本発明の一態様に係る制御システムは、空調対象空間の天井に設置されたセンサにより検出された前記空調対象空間の温度分布を示す熱画像を取得する取得部と、取得された前記熱画像に基づいて前記空調対象空間に存在する人の輪郭を検出する検出部と、検出された前記人の輪郭で囲まれた領域である人体領域を、前記熱画像内において特定する特定部と、特定された前記人体領域内の温度分布に基づいて前記人の着衣の温度を含む人体温度を算出し、前記熱画像内における前記人体領域以外の領域の周囲温度を算出し、前記人体温度と前記周囲温度との差分値に基づいて前記人の放熱量を算出する算出部と、算出された前記放熱量に基づいて前記人の温冷感を推定する推定部と、推定された前記温冷感に基づいて前記空調対象空間に設置された空気調和機を制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、人の温冷感を推定して快適な環境温度を実現することができる空気調和機の制御方法及びプログラムが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態に係る制御システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、実施の形態に係る動作システムが適用される空調対象空間を示す図である。
図3図3は、熱画像を説明するための図である。
図4図4は、実施の形態に係る制御システムの動作例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0012】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0013】
(実施の形態)
[構成]
まず、実施の形態に係る制御システムの構成について説明する。図1は、実施の形態に係る制御システムの機能構成の一例を示すブロック図である。図2は、実施の形態に係る制御システムが適用される空調対象空間を示す図である。
【0014】
制御システム10は、空調対象空間の温度分布を示す熱画像に基づいて空調対象空間に存在する人1の輪郭を抽出し、抽出された人1の輪郭で囲まれた人体領域を特定し、特定された人体領域及びそれ以外の領域における温度の差分値を算出し、算出された差分値に基づいて人1の放熱量を算出する。そして、制御システム10は、算出された人1の放熱量に基づいて人1の温冷感を推定し、推定された温冷感に基づいて空気調和機30を制御する。空調対象空間は、例えば、建物内の室内空間である。建物は、例えば、オフィス、商業施設、公共施設、教育施設、又は、住宅であってもよい。図1に示されるように、制御システム10は、センサ20と、空気調和機30と、サーバ装置40とを備える。なお、制御システム10は、センサ20を複数備えてもよい。
【0015】
[センサ]
センサ20は、例えば、空調対象空間の天井に設置され、空調対象空間を天井側(言い換えると、上方)から見たときの温度分布を示す熱画像を生成する。
【0016】
例えば、図2に示されるように、センサ20は、空調対象空間の天井に直接設置されてもよいし、天井に設置された照明装置(不図示)又は火災報知器(不図示)が有する給電端子に着脱自在に接続されてもよい。後者の場合、センサ20は、照明装置又は火災報知器から給電を受けて動作する。給電端子は、例えば、USB(Universal Serial Bus)端子である。
【0017】
センサ20は、例えば、赤外線センサである。赤外線センサは、例えば、8×8個の赤外線検出素子のアレイによって構成される赤外線アレイセンサ(言い換えると、熱画像センサ)である。言い換えれば、赤外線センサによって生成される熱画像は、8×8個の画素を有する。熱画像は、赤外線センサのセンシング範囲における温度分布を8×8の分解能で示す。図3は、熱画像を説明するための図である。図3の(a)は、センサ20によって検出される空調対象空間(より詳細には、空調対象空間におけるセンサ20のセンシング範囲)をカメラで撮影した画像を模式的に示す図である。図3の(b)は、センサ20によって検出された熱画像を模式的に示す図である。図3の(a)の8×8個の小領域のそれぞれは画像に含まれる画素を意味し、図3の(b)の8×8個の小領域のそれぞれは熱画像100に含まれる画素を意味する。図3の(b)に示される画素中の数値は画素値であり、具体的には温度を示している。図3の(b)の太線で囲まれた領域は、人体領域100aであり、熱画像100において人体領域100a以外の領域は、周囲領域100bである。以下の実施の形態では、説明の簡略化のため、画素値=温度値として説明が行われる。
【0018】
なお、センサ20は、壁などに設置されることにより、空調対象空間を壁側(言い換えると、側方)から見たときの温度分布を示す熱画像を生成してもよい。この場合、制御システム10は、空調対象空間を上方及び側方から見たときの温度分布を示す複数の熱画像を取得してもよい。
【0019】
[空気調和機]
空気調和機30は、空調対象空間に存在する人1の温冷感に基づいて、空調対象空間における人1の周囲の温度(環境温度ともいう)を制御する。図1に示されるように、空気調和機30は、例えば、通信部31と、制御部32と、記憶部33と、ルーバ36と、コンプレッサ37と、ファン38とを備える。
【0020】
通信部31は、空気調和機30がセンサ20及びサーバ装置40と通信を行うための通信回路(通信モジュール)である。通信部31は、広域通信ネットワーク5を介して通信を行うための通信回路(通信モジュール)と、局所通信ネットワーク(不図示)を介して通信を行うための通信回路(通信モジュール)とを備えてもよい。通信部31は、例えば、無線通信を行う無線通信回路であるが、有線通信を行う有線通信回路であってもよい。なお、通信部31が行う通信の通信規格については特に限定されない。
【0021】
制御部32は、センサ20から取得された熱画像に基づいて各種情報処理を行い、空気調和機30の動作を制御する。具体的には、制御部32は、推定部32eによって推定された人1の温冷感に基づいて、ルーバ36、コンプレッサ37及びファン38を制御する。例えば、制御部32は、人1が暑いと感じていると推定された場合、ルーバ36を人1の方向に向け、コンプレッサ37及びファン38を動作させて冷風を発生させる制御を行う。
【0022】
制御部32は、具体的には、通信部31によって受信された熱画像を取得する取得部32aと、熱画像内の人1の肌1aと着衣1bとを含む人1の輪郭を検出する検出部32bと、人1の輪郭で囲まれた領域である人体領域100a(図3の(b)参照)を特定する特定部32cと、人体温度と周囲温度との差分値に基づいて人1の放熱量を算出する算出部32dと、放熱量に基づいて人1の温冷感を推定する推定部32eと、人1の温冷感の推定結果又は推定結果に基づいて決定された制御条件を出力する出力部32fとを備える。取得部32a、検出部32b、特定部32c、算出部32d、推定部32e、及び、出力部32fの機能は、制御部32を構成するプロセッサ又はマイクロコンピュータが記憶部33に記憶されたコンピュータプログラムを実行することによって実現される。取得部32a、検出部32b、特定部32c、算出部32d、推定部32e、及び、出力部32fの機能の詳細については、動作例にて後述される。
【0023】
記憶部33は、制御部32が実行するための専用のアプリケーションプログラムなどが記憶される記憶装置である。記憶部33には、学習済みの機械学習モデル(以下、学習済みモデルともいう)とデータベース35とが格納されてもよい。機械学習モデルは、サーバ装置40の学習部44で学習される。制御部32は、サーバ装置40から送信された学習済みの機械学習モデルを記憶部33に格納することで、記憶部33内の学習済みの機械学習モデルが更新される。記憶部33は、例えば、半導体メモリによって実現される。
【0024】
機械学習モデルは、畳み込み層を有するものであればよく、例えば、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)であってもよいが、これに限定されない。また、例えば、図1に示されるように、機械学習モデルは、第一機械学習モデル(例えば、学習済みモデル34a)及び第二機械学習モデル(例えば、学習済みモデル34b)から構成されてもよい。この場合、第一機械学習モデル(例えば、学習済みモデル34a)は、空調対象空間の温度分布を示す熱画像を入力として超解像熱画像を出力し、第二機械学習モデル(例えば、学習済みモデル34b)は、第一機械学習モデル(例えば、学習済みモデル34a)から出力された超解像熱画像を入力として当該空調対象空間に存在する人の輪郭を出力してもよい。図1の例では、記憶部33には、2つの学習済みモデル34a、34bが格納されているが、学習済みモデル34a及び学習済みモデル34bが連結された1つの学習済みモデルが記憶部33に格納されてもよい。
【0025】
データベース35には、例えば、冷房運転時、及び、暖房運転時における人の放熱量に対応する温冷感と、当該温冷感に対応する空気調和機30の制御条件とが対応付けられて格納されてもよい。
【0026】
[サーバ装置]
サーバ装置40は、機械学習モデルの学習を行い、学習済みモデル34a、34bを更新する。図1の例では、サーバ装置40は、空調対象空間を有する建物外に設けられたクラウドコンピュータであるが、当該建物内に設けられたエッジコンピュータであってもよい。サーバ装置40は、通信部41と、制御部42と、記憶部43と、学習部44とを備える。
【0027】
通信部41は、サーバ装置40が空気調和機30と通信するための通信モジュール(通信回路)である。通信部41は、例えば、学習済みモデル45a、45bを空気調和機30へ送信する。図1の例では、通信部41は、広域通信ネットワーク5を介して通信を行うための通信回路(通信モジュール)であるが、局所通信ネットワーク(不図示)を介して通信を行うための通信回路(通信モジュール)を備えてもよい。通信部41によって行われる通信は、無線通信であってもよいし、有線通信であってもよい。通信に用いられる通信規格についても特に限定されない。
【0028】
制御部42は、サーバ装置40における各種情報処理を行う。制御部42は、具体的には、プロセッサまたはマイクロコンピュータによって実現される。
【0029】
記憶部43は、学習部44によって学習された機械学習モデル(学習済みモデル45a、45b)、学習に使用される教師データ46、及び、制御部42が実行するコンピュータプログラムなどが記憶される記憶装置である。記憶部43は、具体的には、半導体メモリまたはHDD(Hard Disk Drive)などによって実現される。
【0030】
学習部44は、教師データ46を用いて機械学習する。学習部44は、機械学習により、空調対象空間の温度分布を示す熱画像を入力とし、当該空調対象空間に存在する人の輪郭を出力する機械学習モデル(いわゆる、学習済みモデル)を生成する。上述したように、機械学習モデルは、例えばCNNであり、第一機械学習モデル及び第二機械学習モデルから構成されてもよい。この場合、学習部44は、機械学習により、空調対象空間の温度分布を示す熱画像を入力して超解像熱画像を出力する第一機械学習モデル(例えば、学習済みモデル45a)、及び、当該超解像熱画像を入力して当該空調対象空間に存在する人の輪郭を出力する第二機械学習モデル(例えば、学習済みモデル45b)を生成してもよい。学習済みモデル45a、45bは、機械学習により調整された学習済みパラメータを含む。生成された学習済みモデル45a、45bは、例えば、記憶部43に格納されるとともに、通信部41を介して空気調和機30へ送信される。これにより、空気調和機30は、取得した学習済みモデル45aを用いて記憶部33内の学習済みモデル34aを更新し、学習済みモデル45bを用いて学習済みモデル34bを更新する。学習部44は、例えば、プロセッサが記憶部43に格納されているプログラムを実行することで実現される。
【0031】
教師データ46は、入力データとして空調対象空間の温度分布を示す熱画像と、出力データとして当該空調対象空間に存在する人の輪郭とを有する。具体的には、教師データ46は、入力データとして熱画像と、出力データとして人の輪郭との組を含むデータセットであってもよいし、複数のデータセット(例えば、第一教師データ及び第二教師データ)を含んでもよい。例えば、第一教師データは、第一機械学習モデル(例えば、学習済みモデル45a)の学習に使用される教師データであり、例えば、入力データとして教師データ46の入力データ(つまり、熱画像)と、出力データとして当該熱画像を超解像度化した超解像熱画像との組を含むデータセットである。例えば、第二教師データは、第二機械学習モデル(例えば、学習済みモデル45b)の学習に使用される教師データであり、入力データとして超解像熱画像と、出力データとして教師データ46の出力データ(つまり、人の輪郭)との組を含むデータセットである。
【0032】
なお、図1では、サーバ装置40で学習済みの機械学習モデルを生成し、生成された学習済みの機械学習モデルを空気調和機30へ送信して機械学習モデルの更新を行う例を説明したが、この例に限られない。例えば、空気調和機30がサーバ装置40の構成を備えてもよい。また、例えば、サーバ装置40がセンサ20によって検出された熱画像を取得して人1の温冷感を推定し、人1の温冷感の推定結果を空気調和機30の制御へ出力してもよい。
【0033】
[動作例]
次に、制御システム10の動作例について説明する。図4は、制御システム10の動作例のフローチャートである。
【0034】
空気調和機30の制御部32は、センサ20によって検出された空調対象空間(より詳細には、空調対象空間におけるセンサ20のセンシング範囲の空間)の温度分布を示す熱画像100(例えば、図3の(b))を取得する(S11)。より具体的には、空気調和機30の取得部32aは、通信部31を介してセンサ20から熱画像100を取得する。このとき、取得部32aは、取得した熱画像100を記憶部33に格納してもよい。
【0035】
次に、検出部32bは、ステップS11で取得部32aにより取得された熱画像100に基づいて、空調対象空間に存在する人1の輪郭を検出する(S12)。例えば、検出部32bは、熱画像100内の少なくとも一部において同じ特徴を有し、かつ、隣接する複数の画素を1つの温度分布領域として2つ以上の温度分布領域に分割し、分割された2つ以上の温度分布領域に基づいて、人1の着衣1b(図2参照)を含む人1の輪郭を検出する。例えば、検出部32bは、熱画像100に対して機械学習モデルを用いてセグメンテーションを行うことにより、熱画像100を人1が映っている領域と人1が映っていない領域とに分割してもよい。上述したように、機械学習モデルは、畳み込み層を有するものであればよく、例えば、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)であってもよいが、これに限定されない。なお、機械学習モデル(例えば、図1の学習済みモデル34b)は、熱画像100を超解像度化した超解像熱画像に対して適用されてもよい。
【0036】
検出部32bは、熱画像100内の複数の画素に対して隣接する画素間に少なくとも1つの画素を補間することにより、熱画像100よりも高い解像度を有する超解像熱画像を生成し、生成された超解像熱画像に基づいて人1の輪郭を検出してもよい。例えば、検出部32bは、超解像熱画像の生成において、熱画像100内の互いに隣接する画素の画素値(つまり、温度値)の平均値を求めることで、隣接する画素間に当該平均値に相当する画素値を有する新たな画素を挿入する方法を用いて、熱画像100を超解像度化してもよい。また、例えば、検出部32bは、学習済みの機械学習モデル(例えば、図1の学習済みモデル34a)を用いて、熱画像100を超解像度化してもよい。学習済みモデル34aは、例えば、SRGAN(Generative Adversarial Network for Super-Resolurion)であってもよいが、これに限定されない。
【0037】
ステップS12では、検出部32bは、例えば、記憶部33に格納された学習済みの機械学習モデル(例えば、図1の学習済みモデル34a、34b)を用いて熱画像100から人1の輪郭を検出してもよい。
【0038】
次に、特定部32cは、ステップS12で検出部32bにより検出された人1の輪郭で囲まれた領域である人体領域100a(図3の(b)参照)を、熱画像100内において特定する(S13)。
【0039】
次に、算出部32dは、ステップS13で特定部32cにより特定された人体領域100a内の温度分布に基づいて人1の着衣1bの温度を含む人体温度を算出する(S14)。具体的には、ステップS14では、算出部32dは、人1の肌1a(図2参照)の表面温度と、人1の着衣1bの表面温度との平均値を人体温度として算出する。例えば、算出部32dは、人体領域100aの画素値(つまり、温度値)の平均値を人体温度として算出してもよい。
【0040】
次に、算出部32dは、人体領域100a以外の領域(いわゆる、周囲領域100b)内の温度分布に基づいて人1の周囲温度を算出する(S15)。例えば、ステップS15では、算出部32dは、周囲領域100bの画素値の平均値(つまり、温度値)を周囲温度として算出してもよい。なお、ステップS14及びステップS15は、並行して行われてもよい。
【0041】
次に、算出部32dは、人体温度と周囲温度との差分値に基づいて人1の放熱量を算出する(S16)。具体的には、算出部32dは、ステップS14及びステップS15で算出された人体温度と周囲温度との差分値を算出し、算出された差分値に基づいて人1の放熱量を算出する。
【0042】
次に、推定部32eは、ステップS16で算出部32dにより算出された人1の放熱量に基づいて人1の温冷感を推定する(S17)。例えば、推定部32eは、放熱量が閾値よりも大きい場合、人1が寒いと感じていると推定し、放熱量が閾値よりも小さい場合、人1が暑いと感じていると推定する。なお、閾値は、冷房運転時の閾値と、暖房運転時の閾値とを含んでもよい。人1の温冷感は、人1の放熱量に対応するが、同じ放熱量であっても季節によって人1の温冷感は異なる場合がある。そのため、冷房運転時の閾値と暖房運転時の閾値とを用いて人1の温冷感を推定することにより、人1の温冷感をより正確に推定することができる。
【0043】
次に、制御部32は、ステップS17で推定部32eにより推定された人1の温冷感に基づいて空気調和機30を制御する(S18)。例えば、制御部32は、ステップS17で推定部32eにより人1が寒いと感じていると推定された場合、周囲温度を上げるように空気調和機30を制御し、推定部32eにより人1が暑いと感じていると推定された場合、周囲温度を下げるように空気調和機30を制御する。制御部32は、データベース35に基づいて人1の温冷感に対応する冷房又は暖房運転時の制御条件を決定し、決定された制御条件に基づいてルーバ36、コンプレッサ37及びファン38の動作を制御してもよい。データベース35については上述したため、ここでの説明を省略する。
【0044】
このとき、制御部32は、人体領域100aの位置及び人1の温冷感に基づいて空気調和機30を制御してもよい。具体的には、算出部32dは、熱画像における人体領域の位置に基づいて、空調対象空間における人1の位置を算出する。例えば、記憶部33には、熱画像内の画素の位置と、空調対象空間における座標との対応関係を示すテーブル情報が記憶されており、算出部32dは、テーブル情報を用いて、熱画像100内で人1が検出された位置(画素の位置)から空調対象空間における人1の位置(具体的には、座標)を算出してもよい。
【0045】
なお、本実施の形態のように熱画像が空調対象空間を上方(つまり、天井側)から見たときの空調対象空間の温度分布を示している場合には、算出部32dによって算出される人1の座標は、空調対象空間を上方から見たときの二次元座標となる。
【0046】
以上説明したように、制御システム10は、空調対象空間内に存在する人1の温冷感を推定し、推定された温冷感に基づいて空気調和機30を制御することができる。そのため、制御システム10は、人1の温冷感を推定して快適な環境温度を実現することができる。
【0047】
[変形例]
制御部32は、推定部32eにより推定された推定結果(人1の温冷感)に基づいて空気調和機30を制御するが、推定結果を出力してもよい。出力部32fは、推定部32eにより推定された結果を人1が所持する情報端末(不図示)へ出力してもよい。これにより、人1は、情報端末の表示部に表示された推定結果を確認することができるため、人1が実際に感じている温冷感(以下、実際の温冷感という)と推定結果とが異なる場合に、人1は情報端末に実際の温冷感を入力して推定結果を修正することができる。なお、推定結果及び修正後の推定結果は、いずれも記憶部33に記憶される。
【0048】
なお、検出部32bは、機械学習モデルを使用しない、ルールベースのアルゴリズムに基づく情報処理を熱画像に対して行ってもよい。例えば、検出部32bは、熱画像に含まれる複数の画素のうち、画素値が極大値となる画素を検出する処理を行ってもよい。ここで、画素値が極大値となる画素とは、画素の二次元配置において画素値が極大値となる画素を意味する。画素値が極大値となる画素は、言い換えれば、画素の二次元配置において同一時刻における画素値を比較した場合に周囲の画素に比べて画素値が高い画素を意味する。画素値が極大値となる画素は1つの熱画像内に複数存在する場合がある。
【0049】
ここで、空調対象空間に人よりも温度の高い熱源が存在しないと仮定すると、画素値が極大値となる画素であっても所定の値よりも画素値が小さい(つまり、温度が低い)場合には、当該画素に対応する位置に人は存在しないと考えられる。そこで、検出部32bは、画素値が極大値となる画素であって、画素値が所定の値以上(例えば、30℃以上)である画素を検出した場合に、空調対象空間に人1が存在すると推定し、検出された画素に基づいて人1の輪郭を検出してもよい。
【0050】
また、算出部32dは、画素値が極大値となる画素であって、画素値が所定値以上(例えば、30℃以上)である画素の位置に上述のテーブル情報を適用することにより、空調対象空間における人1の位置(つまり、座標)を算出することができる。
【0051】
また、ルールベースのアルゴリズムに基づく情報処理の別の例として、熱画像に含まれる複数の画素それぞれの画素値(温度)の経時変化を検出する処理が挙げられる。空調対象空間に人以外の熱源が無いと仮定した場合で、かつ、空調対象空間に人がいない場合には、熱画像に含まれる複数の画素それぞれの画素値(温度)の経時変化はゆるやかである。この状態で、空調対象空間に人1が入ると、熱画像のうち人1が映っている部分の画素の画素値は急激に変化(上昇)する。検出部32bは、複数の画素それぞれの画素値の経時変化を検出することにより、例えば、急激に画素値が上昇したときに空調対象空間に人1が存在すると推定し、人1の輪郭の検出処理を行ってもよい。
【0052】
[効果等]
以上説明したように、制御方法は、制御システム10などのコンピュータによって実行される空気調和機30の制御方法であって、コンピュータは、空調対象空間の天井に設置されたセンサ20により検出された空調対象空間の温度分布を示す熱画像100を取得し(図4のステップS11)、取得された熱画像100に基づいて空調対象空間に存在する人1の輪郭を検出し(ステップS12)、検出された人1の輪郭で囲まれた領域である人体領域100aを、熱画像100内において特定し(ステップS13)、特定された人体領域100a内の温度分布に基づいて人1の着衣1bの温度を含む人体温度を算出し(ステップS14)、熱画像100内における人体領域100a以外の領域(周囲領域100b)の周囲温度を算出し(ステップS15)、人体温度と周囲温度との差分値に基づいて人1の放熱量を算出し(ステップS16)、算出された放熱量に基づいて人1の温冷感を推定し(ステップS17)、推定された温冷感に基づいて空気調和機30を制御する(ステップS18)。
【0053】
このような制御方法は、空調対象空間に存在する人1の温冷感を推定することにより、人1が快適に感じる環境温度を実現することができる。
【0054】
また、例えば、上記コンピュータは、放熱量が閾値よりも大きい場合に、人1が寒いと感じていると推定し、推定された温冷感に基づいて周囲温度を上げるように空気調和機30を制御し、放熱量が閾値よりも小さい場合に、人1が暑いと感じていると推定し、推定された温冷感に基づいて周囲温度を下げるように空気調和機30を制御する。
【0055】
このような制御方法は、閾値に基づいて人1の放熱量から人1の温冷感を推定することができる。
【0056】
また、例えば、上記コンピュータは、人1の輪郭の検出において、熱画像100内の少なくとも一部において同じ特徴を有し、かつ、隣接する複数の画素を1つの温度分布領域として2つ以上の温度分布領域(例えば、人体領域100a及び周囲領域100b)に分割し、分割された2つ以上の温度分布領域に基づいて人1の着衣1bを含む人1の輪郭を検出する。
【0057】
このような制御方法は、熱画像内の少なくとも一部において同じ特徴を有し、かつ、隣接する複数の画素を1つの温度分布領域として分割することにより、熱画像を人1に対応する領域(人体領域100a)と人1以外に対応する領域(周囲領域100b)とに区分することができる。これにより、制御方法は、人1に対応する領域に含まれる複数の画素の画素値に基づいて人1の輪郭を検出することができる。
【0058】
また、例えば、上記コンピュータは、熱画像100内の複数の画素に対して隣接する画素間に少なくとも1つの画素を補間することにより、熱画像100よりも高い解像度を有する超解像熱画像を生成し、超解像熱画像に基づいて人1の輪郭を検出する。
【0059】
このような制御方法は、熱画像100よりもより細かい分解能で人1の輪郭を検出するため、人1の輪郭をより精度よく検出することができる。
【0060】
また、例えば、上記コンピュータは、学習済みの機械学習モデル(例えば、学習済みモデル34a、34b)を用いて熱画像100から人1の輪郭を検出する。
【0061】
このような制御方法は、機械学習モデルを用いることにより、熱画像100から人1の輪郭を迅速に、かつ、精度よく検出することができる。
【0062】
また、例えば、上記機械学習モデルは、教師データ46を用いて学習され、教師データ46は、入力データとして熱画像と、出力データとして人の輪郭とを有する。
【0063】
このような制御方法は、熱画像100を学習済みの機械学習モデルに入力することにより、人1の輪郭を検出することができる。
【0064】
また、例えば、上記機械学習モデルは、第一機械学習モデル(例えば、学習済みモデル34a)及び第二機械学習モデル(例えば、学習済みモデル34b)から構成されており、第一機械学習モデルは、入力データとして上記教師データ46の入力データと、出力データとして当該入力データの超解像熱画像との組を含む第一教師データを用いて学習され、第二機械学習モデルは、入力データとして上記超解像熱画像と、出力データとして上記教師データ46の出力データとの組を含む第二教師データを用いて学習される。
【0065】
このような制御方法は、熱画像100を入力として熱画像100の超解像熱画像を出力する第一機械学習モデル(例えば、学習済みモデル34a)と、超解像熱画像を入力として人の輪郭を出力する第二機械学習モデル(例えば、学習済みモデル34b)とを用いて、熱画像100から人1の輪郭を検出することができる。したがって、制御方法は、熱画像100よりも細かい分解能を有する超解像熱画像から人1の輪郭を検出することができるため、人1の輪郭をより精度よく検出することができる。
【0066】
また、プログラムは、上記のいずれかの制御方法を上記コンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0067】
このようなプログラムは、空調対象空間に存在する人1の温冷感を推定することにより、人1が快適に感じる環境温度を実現することができる。
【0068】
また、制御システム10は、空調対象空間の天井に設置されたセンサ20により検出された空調対象空間の温度分布を示す熱画像100を取得する取得部32aと、取得された熱画像100に基づいて空調対象空間に存在する人1の輪郭を検出する検出部32bと、検出された人1の輪郭で囲まれた領域である人体領域100aを、熱画像100内において特定する特定部32cと、特定された人体領域100a内の温度分布に基づいて人1の着衣1bの温度を含む人体温度を算出し、熱画像100内における人体領域100a以外の領域(いわゆる、周囲領域100b)の周囲温度を算出し、人体温度と周囲温度との差分値に基づいて人1の放熱量を算出する算出部32dと、算出された放熱量に基づいて人1の温冷感を推定する推定部32eと、推定された温冷感に基づいて空調対象空間に設置された空気調和機30を制御する制御部32と、を備える。
【0069】
このような制御システム10は、空調対象空間に存在する人1の温冷感を推定することにより、人1が快適に感じる環境温度を実現することができる。
【0070】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態に係る制御システム、及び、制御方法について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0071】
また、上記実施の形態では、制御システムは、複数の装置によって実現されたが、単一の装置として実現されてもよい。例えば、制御システムは、サーバ装置に相当する単一の装置として実現されてもよい。制御システムが複数の装置によって実現される場合、制御システムが備える各構成要素は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。
【0072】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0073】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0074】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(または集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0075】
また、本発明の全般的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。例えば、本発明は、制御システムなどのコンピュータによって実行される制御方法として実現されてもよい。また、本発明は、制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよいし、このようなプログラムが記憶された、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0076】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【0077】
(付記)
以下、本明細書の開示内容から得られる発明を例示し、当該発明から得られる効果等について説明する。
【0078】
[発明1]
コンピュータにより実行される空気調和機の制御方法であって、
前記コンピュータは、
空調対象空間の天井に設置されたセンサにより検出された前記空調対象空間の温度分布を示す熱画像を取得し、
取得された前記熱画像に基づいて前記空調対象空間に存在する人の輪郭を検出し、
検出された前記人の輪郭で囲まれた領域である人体領域を、前記熱画像内において特定し、
特定された前記人体領域内の温度分布に基づいて前記人の着衣の温度を含む人体温度を算出し、
前記熱画像内における前記人体領域以外の領域の周囲温度を算出し、
前記人体温度と前記周囲温度との差分値に基づいて前記人の放熱量を算出し、
算出された前記放熱量に基づいて前記人の温冷感を推定し、
推定された前記温冷感に基づいて前記空気調和機を制御する、
制御方法。
【0079】
[発明1の効果]
このような制御方法は、空調対象空間に存在する人の温冷感を推定することにより、人が快適に感じる環境温度を実現することができる。
【0080】
[発明2]
前記コンピュータは、
前記放熱量が閾値よりも大きい場合に、前記人が寒いと感じていると推定し、推定された前記温冷感に基づいて前記周囲温度を上げるように前記空気調和機を制御し、
前記放熱量が前記閾値よりも小さい場合に、前記人が暑いと感じていると推定し、推定された前記温冷感に基づいて前記周囲温度を下げるように前記空気調和機を制御する、
発明1に記載の制御方法。
【0081】
[発明2の効果]
このような制御方法は、閾値に基づいて人の放熱量から人の温冷感を推定することができる。
【0082】
[発明3]
前記コンピュータは、前記人の輪郭の検出において、
前記熱画像内の少なくとも一部において同じ特徴を有し、かつ、隣接する複数の画素を1つの温度分布領域として2つ以上の温度分布領域に分割し、
分割された前記2つ以上の温度分布領域に基づいて前記人の着衣を含む前記人の輪郭を検出する、
発明1又は2に記載の制御方法。
【0083】
[発明3の効果]
このような制御方法は、熱画像内の少なくとも一部において同じ特徴を有し、かつ、隣接する複数の画素を1つの温度分布領域として分割することにより、熱画像を人に対応する領域(いわゆる、人体領域)と人1以外に対応する領域(いわゆる、周囲領域)とに区分することができる。これにより、制御方法は、人に対応する領域に含まれる複数の画素の画素値に基づいて人の輪郭を検出することができる。
【0084】
[発明4]
前記コンピュータは、
前記熱画像内の複数の画素に対して隣接する画素間に少なくとも1つの画素を補間することにより、前記熱画像よりも高い解像度を有する超解像熱画像を生成し、
前記超解像熱画像に基づいて前記人の輪郭を検出する、
発明1~3のいずれかに記載の制御方法。
【0085】
[発明4の効果]
このような制御方法は、熱画像よりもより細かい分解能で人の輪郭を検出するため、人の輪郭をより精度よく検出することができる。
【0086】
[発明5]
前記コンピュータは、学習済みの機械学習モデルを用いて前記熱画像から前記人の輪郭を検出する、
発明1~4のいずれかに記載の制御方法。
【0087】
[発明5の効果]
このような制御方法は、機械学習モデルを用いることにより、熱画像から人の輪郭を迅速に、かつ、精度よく検出することができる。
【0088】
[発明6]
前記機械学習モデルは、教師データを用いて学習され、
前記教師データは、入力データとして前記熱画像と、出力データとして前記人の輪郭とを有する、
発明5に記載の制御方法。
【0089】
[発明6の効果]
このような制御方法は、熱画像を学習済みの機械学習モデルに入力することにより、人の輪郭を検出することができる。
【0090】
[発明7]
前記機械学習モデルは、第一機械学習モデル及び第二機械学習モデルから構成されており、
前記第一機械学習モデルは、前記教師データの前記入力データと、前記入力データの超解像熱画像との組を含む第一教師データを用いて学習され、
前記第二機械学習モデルは、前記超解像熱画像と、前記教師データの前記出力データとの組を含む第二教師データを用いて学習される、
発明6に記載の制御方法。
【0091】
[発明7の効果]
このような制御方法は、熱画像を入力として熱画像の超解像熱画像を出力する第一機械学習モデルと、超解像熱画像を入力として人の輪郭を出力する第二機械学習モデルとを用いて、熱画像から人の輪郭を検出することができる。したがって、制御方法は、熱画像よりも細かい分解能を有する超解像熱画像から人の輪郭を検出することができるため、人の輪郭をより精度よく検出することができる。
【0092】
[発明8]
発明1~7のいずれかに記載の制御方法をコンピュータに実行させるための
プログラム。
【0093】
[発明8の効果]
このようなプログラムは、空調対象空間に存在する人の温冷感を推定することにより、人が快適に感じる環境温度を実現することができる。
【0094】
[発明9]
空調対象空間の天井に設置されたセンサにより検出された前記空調対象空間の温度分布を示す熱画像を取得する取得部と、
取得された前記熱画像に基づいて前記空調対象空間に存在する人の輪郭を検出する検出部と、
検出された前記人の輪郭で囲まれた領域である人体領域を、前記熱画像内において特定する特定部と、
特定された前記人体領域内の温度分布に基づいて前記人の着衣の温度を含む人体温度を算出し、前記熱画像内における前記人体領域以外の領域の周囲温度を算出し、前記人体温度と前記周囲温度との差分値に基づいて前記人の放熱量を算出する算出部と、
算出された前記放熱量に基づいて前記人の温冷感を推定する推定部と、
推定された前記温冷感に基づいて前記空調対象空間に設置された空気調和機を制御する制御部と、
を備える、
制御システム。
【0095】
[発明9の効果]
このような制御システムは、空調対象空間に存在する人の温冷感を推定することにより、人が快適に感じる環境温度を実現することができる。
【符号の説明】
【0096】
1 人
1b 着衣
10 制御システム
20 センサ
30 空気調和機
32 制御部
32a 取得部
32b 検出部
32c 特定部
32d 算出部
32e 推定部
34a 学習済みモデル
34b 学習済みモデル
45a 学習済みモデル
45b 学習済みモデル
46 教師データ
100 熱画像
100a 人体領域
100b 周囲領域
図1
図2
図3
図4