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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】段取り決定装置および段取り決定方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20241122BHJP
【FI】
H05K13/02 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020189524
(22)【出願日】2020-11-13
(65)【公開番号】P2022078672
(43)【公開日】2022-05-25
【審査請求日】2023-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】生田 直史
(72)【発明者】
【氏名】竹原 裕起
(72)【発明者】
【氏名】相良 博喜
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-116990(JP,A)
【文献】特開2007-318091(JP,A)
【文献】特開2017-050362(JP,A)
【文献】特開2006-012946(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00 - 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の基板の生産に用いる部品供給物を配置可能な複数のスロットを有する部品供給台車が着脱自在な部品実装装置との間で通信可能な段取り決定装置であって、
前記複数種類の基板を、前記部品供給台車が前記部品実装装置に接続されていない状態で前記複数のスロットの少なくとも1つのスロットに部品供給物を配置する外段取りを異なる種類の基板の生産間で行う複数の外段取りグループを作成する外段取りグループ作成部と、
前記複数の外段取りグループのうち少なくとも1つの外段取りグループに属する前記複数種類の基板を用いて、前記部品供給台車が前記部品実装装置に接続された状態で前記複数のスロットの少なくとも1つのスロットの部品供給物を入れ替える内段取りを前記1つの外段取りグループに対応付けて少なくとも1つの内段取りグループを作成する内段取りグループ作成部と、を備え
前記外段取りグループ作成部は、前記部品供給台車のスロット数を拡張した拡張台車データに前記複数種類の基板のそれぞれの生産に必要な部品供給物を配置した前記複数の外段取りグループを作成し、
前記内段取りグループ作成部は、前記拡張台車データから前記部品供給台車のスロット数に戻して、前記少なくとも1つの外段取りグループに対応付けられた前記複数種類の基板を生産に用いる前記部品供給物を前記部品供給台車のスロット数に収めた前記少なくとも1つの内段取りグループを作成する、
段取り決定装置。
【請求項2】
前記拡張台車データの拡張スロット数を変更する拡張スロット変更部、を更に備え、
前記外段取りグループ作成部と前記内段取りグループ作成部とは、前記拡張スロット変更部により設定された前記複数種類の拡張台車データのそれぞれを用いて前記複数の外段取りグループおよび内段取りグループの候補を作成する、
請求項に記載の段取り決定装置。
【請求項3】
前記複数の外段取りグループおよび内段取りグループの候補のそれぞれの総生産時間を算出する総生産時間算出部と、
前記総生産時間算出部により算出された前記複数の外段取りグループおよび内段取りグループの候補のそれぞれのうち前記総生産時間が最小となる複数の外段取りグループおよび内段取りグループの候補を抽出して出力する最小生産時間候補抽出部と、を更に備える、
請求項に記載の段取り決定装置。
【請求項4】
複数種類の基板の生産に用いる部品供給物を配置可能な複数のスロットを有する部品供給台車が着脱自在な部品実装装置との間で通信可能な段取り決定装置であって、
前記複数種類の基板を、前記部品供給台車が前記部品実装装置に接続されていない状態で前記複数のスロットの少なくとも1つのスロットに部品供給物を配置する外段取りを異なる種類の基板の生産間で行う複数の外段取りグループを作成する外段取りグループ作成部と、
前記複数の外段取りグループのうち少なくとも1つの外段取りグループに属する前記複数種類の基板を用いて、前記部品供給台車が前記部品実装装置に接続された状態で前記複数のスロットの少なくとも1つのスロットの部品供給物を入れ替える内段取りを前記1つの外段取りグループに対応付けて少なくとも1つの内段取りグループを作成する内段取りグループ作成部と、を備え、
前記内段取りグループ作成部は、前記内段取りグループの作成数が事前に設定された所定数以上であると判定した場合、前記内段取りグループを作成不可である旨を通知するエラー通知を作成して出力する
取り決定装置。
【請求項5】
部品供給物を配置可能な複数のスロットを有する部品供給台車が着脱自在な部品実装装置によって行われる複数種類の基板の生産における段取りを支援する段取り決定装置の段取り決定方法であって、
前記複数種類の基板を、前記部品供給台車が前記部品実装装置に接続されていない状態で前記複数のスロットの少なくとも1つのスロットに部品供給物を配置する外段取りを異なる種類の基板の生産間で行う複数の外段取りグループを作成する工程と
前記複数の外段取りグループのうち少なくとも1つの外段取りグループに属する前記複数種類の基板を用いて、前記部品供給台車が前記部品実装装置に接続された状態で前記複数のスロットの少なくとも1つのスロットの部品供給物を入れ替える内段取りを前記1つの外段取りグループに対応付けて少なくとも1つの内段取りグループを作成する工程とを有し、
前記複数の外段取りグループを作成する工程では、前記部品供給台車のスロット数を拡張した拡張台車データに前記複数種類の基板のそれぞれの生産に必要な部品供給物を配置した前記複数の外段取りグループを作成し、
前記少なくとも1つの内段取りグループを作成する工程では、前記拡張台車データから前記部品供給台車のスロット数に戻して、前記少なくとも1つの外段取りグループに対応付けられた前記複数種類の基板を生産に用いる前記部品供給物を前記部品供給台車のスロット数に収めた前記少なくとも1つの内段取りグループを作成する、
段取り決定方法。
【請求項6】
部品供給物を配置可能な複数のスロットを有する部品供給台車が着脱自在な部品実装装置によって行われる複数種類の基板の生産における段取りを支援する段取り決定装置の段取り決定方法であって、
前記複数種類の基板を、前記部品供給台車が前記部品実装装置に接続されていない状態で前記複数のスロットの少なくとも1つのスロットに部品供給物を配置する外段取りを異なる種類の基板の生産間で行う複数の外段取りグループを作成する工程と、
前記複数の外段取りグループのうち少なくとも1つの外段取りグループに属する前記複数種類の基板を用いて、前記部品供給台車が前記部品実装装置に接続された状態で前記複数のスロットの少なくとも1つのスロットの部品供給物を入れ替える内段取りを前記1つの外段取りグループに対応付けて少なくとも1つの内段取りグループを作成する工程と、を有し、
前記少なくとも1つの内段取りグループを作成する工程では、前記内段取りグループの作成数が事前に設定された所定数以上であると判定した場合、前記内段取りグループを作成不可である旨を通知するエラー通知を作成して出力する、
段取り決定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、段取り決定装置および段取り決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、回路基板の搬送経路に沿って配列した複数の部品実装機で回路基板に部品を実装する部品実装ラインの段取り替え支援システムが開示されている。段取り替え支援システムでは、部品を供給する複数のフィーダまたは部品を吸着して回路基板に実装する複数のノズルを一括交換する一括交換ユニットが複数の部品実装機の各々にセットされている。また、セットされた一括交換ユニットと交換可能な複数の一括交換ユニットが準備される。さらに、段取り替え支援システムは、この交換可能な複数の一括交換ユニットについて各一括交換ユニットが保有するフィーダまたはノズルの情報をセットアップ情報として記憶し、段取り替え前の生産で使用した一括交換ユニットが保有するフィーダまたはノズルの情報と記憶されたセットアップ情報とに基づいて、準備された複数の一括交換ユニットの中から段取り替え後の生産で使用するフィーダまたはノズルが全て含まれる一括交換ユニットの組み合わせを決定して作業者に知らせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2016/084143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、作業者による段取り替えの工程に要する時間を削減したり、一括交換ユニットの組み合わせが複数ある場合には生産のサイクルタイムが最短となる組み合わせを選択したりすることで、一括交換ユニットを用いた生産のサイクルタイムの削減が可能である。しかし、段取り替え後の生産で使用するフィーダが全て含まれる一括交換ユニットの組み合わせがない場合は、段取り替えを支援できない可能性があった。
【0005】
ここで、段取り替えの工数(以降、「段取り工数」と表記)について説明する。段取り替えは、1つのキャリヤテープ(部品)の交換に対して、ベテラン作業者であっても1~2分の段取り工数を要する。特に、基板の生産間で部品実装装置に未接続状態の台車に対して行われる外段取りは、複数の部品実装装置のそれぞれに接続される台車(例えば、10台、20台等)に複数の異なる種類の基板を含む基板グループの生産で必要なキャリヤテープ(部品)の多くを搭載する段取り替えであるため、基板の生産ラインを一時的に停止して部品実装装置に接続状態の台車に対して行われる内段取りよりも大幅に段取り工数が多かった。また、外段取りは、他の基板の生産中に行われることが多いが、少ない作業者で外段取りを行う場合には、他の基板グループの生産が完了するまでに外段取りが終わらないことがあるため、外段取りの回数が増加すると生産ラインが停止している時間が長くなり、例えば工場全体、フロア全体における基板の生産効率の低下に大きく影響することがあった。
【0006】
また、作業者は、従来の段取り替えにおいて、段取り工数を削減するため、部品の実装位置または部品の種類が類似する複数の異なる種類の基板のそれぞれをグルーピングした基板グループを入力することで、例えば部品実装ラインの段取り替え支援システムによる外段取りの段取り工数を削減可能な段取り替えの支援を受けることができた。しかし、従来の方法により行われる基板の生産は、作業者により入力された基板グループごとに外段取りが必要であったため、基板グループ数が多くなると外段取りに使用する台車の台数が不足して段取り替えに待ち時間が発生することがあった。
【0007】
本開示は、上述した従来の事情に鑑みて案出され、複数種類の基板の生産における外段取りの回数を減らし、基板の生産効率を向上できる段取り決定装置および段取り決定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、複数種類の基板の生産に用いる部品供給物を配置可能な複数のスロットを有する部品供給台車が着脱自在な部品実装装置との間で通信可能な段取り決定装置であって、前記複数種類の基板を、前記部品供給台車が前記部品実装装置に接続されていない状態で前記複数のスロットの少なくとも1つのスロットに部品供給物を配置する外段取りを異なる種類の基板の生産間で行う複数の外段取りグループを作成する外段取りグループ作成部と、前記複数の外段取りグループのうち少なくとも1つの外段取りグループに属する前記複数種類の基板を用いて、前記部品供給台車が前記部品実装装置に接続された状態で前記複数のスロットの少なくとも1つのスロットの部品供給物を入れ替える内段取りを前記1つの外段取りグループに対応付けて少なくとも1つの内段取りグループを作成する内段取りグループ作成部と、を備え、前記外段取りグループ作成部は、前記部品供給台車のスロット数を拡張した拡張台車データに前記複数種類の基板のそれぞれの生産に必要な部品供給物を配置した前記複数の外段取りグループを作成し、前記内段取りグループ作成部は、前記拡張台車データから前記部品供給台車のスロット数に戻して、前記少なくとも1つの外段取りグループに対応付けられた前記複数種類の基板を生産に用いる前記部品供給物を前記部品供給台車のスロット数に収めた前記少なくとも1つの内段取りグループを作成する、段取り決定装置を提供する。
また、本開示は、複数種類の基板の生産に用いる部品供給物を配置可能な複数のスロットを有する部品供給台車が着脱自在な部品実装装置との間で通信可能な段取り決定装置であって、前記複数種類の基板を、前記部品供給台車が前記部品実装装置に接続されていない状態で前記複数のスロットの少なくとも1つのスロットに部品供給物を配置する外段取りを異なる種類の基板の生産間で行う複数の外段取りグループを作成する外段取りグループ作成部と、前記複数の外段取りグループのうち少なくとも1つの外段取りグループに属する前記複数種類の基板を用いて、前記部品供給台車が前記部品実装装置に接続された状態で前記複数のスロットの少なくとも1つのスロットの部品供給物を入れ替える内段取りを前記1つの外段取りグループに対応付けて少なくとも1つの内段取りグループを作成する内段取りグループ作成部と、を備え、前記内段取りグループ作成部は、前記内段取りグループの作成数が事前に設定された所定数以上であると判定した場合、前記内段取りグループを作成不可である旨を通知するエラー通知を作成して出力する、段取り決定装置を提供する。
【0009】
また、本開示は、部品供給物を配置可能な複数のスロットを有する部品供給台車が着脱自在な部品実装装置によって行われる複数種類の基板の生産における段取りを支援する段取り決定装置の段取り決定方法であって、前記複数種類の基板を、前記部品供給台車が前記部品実装装置に接続されていない状態で前記複数のスロットの少なくとも1つのスロットに部品供給物を配置する外段取りを異なる種類の基板の生産間で行う複数の外段取りグループを作成し、前記複数の外段取りグループのうち少なくとも1つの外段取りグループに属する前記複数種類の基板を用いて、前記部品供給台車が前記部品実装装置に接続された状態で前記複数のスロットの少なくとも1つのスロットの部品供給物を入れ替える内段取りを前記1つの外段取りグループに対応付けて少なくとも1つの内段取りグループを作成する、段取り決定方法を提供する。
また、本開示は、部品供給物を配置可能な複数のスロットを有する部品供給台車が着脱自在な部品実装装置によって行われる複数種類の基板の生産における段取りを支援する段取り決定装置の段取り決定方法であって、前記複数種類の基板を、前記部品供給台車が前記部品実装装置に接続されていない状態で前記複数のスロットの少なくとも1つのスロットに部品供給物を配置する外段取りを異なる種類の基板の生産間で行う複数の外段取りグループを作成する工程と、前記複数の外段取りグループのうち少なくとも1つの外段取りグループに属する前記複数種類の基板を用いて、前記部品供給台車が前記部品実装装置に接続された状態で前記複数のスロットの少なくとも1つのスロットの部品供給物を入れ替える内段取りを前記1つの外段取りグループに対応付けて少なくとも1つの内段取りグループを作成する工程と、を有し、前記少なくとも1つの内段取りグループ作成する工程では、前記内段取りグループの作成数が事前に設定された所定数以上であると判定した場合、前記内段取りグループを作成不可である旨を通知するエラー通知を作成して出力する、段取り決定方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、複数種類の基板の生産における外段取りの回数を減らし、基板の生産効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1に係る部品実装システムが配置されたフロア内部を上から見た図
図2】実施の形態1に係る部品実装ラインを説明する図
図3】実施の形態1に係る部品実装装置を上から見た図
図4図3に示す部品実装装置のA-A断面線における基台から部品供給部までの断面を示した図
図5】実施の形態1に係る管理コンピュータの内部構成例を示す図
図6A】実施の形態1に係る段取りテーブルを説明する図
図6B】実施の形態1に係る外段取りグループおよび内段取りグループを説明する図
図7A】実施の形態1に係る1番目の外段取りグループの部品配置テーブルと1番目の内段取りグループの部品配置テーブルとの関係性を説明する図
図7B】実施の形態1に係る1番目の内段取りグループの部品配置テーブルと4番目の内段取りグループの部品配置テーブルとの関係性を説明する図
図7C】実施の形態1に係る1番目の外段取りグループの部品配置テーブルと2番目の外段取りグループの部品配置テーブルとの関係性を説明する図
図8】実施の形態1に係る管理コンピュータの動作手順(ステップ10)例を説明する図
図9】実施の形態1に係る管理コンピュータの動作手順(ステップ11)例を説明する図
図10】実施の形態1に係る管理コンピュータの動作手順(ステップ12)例を説明する図
図11】実施の形態1に係る管理コンピュータの動作手順(ステップ14)例を説明する図
図12】実施の形態1に係る管理コンピュータの動作手順(ステップ20)例を説明する図
図13】実施の形態1に係る管理コンピュータの動作手順例を示すフローチャート
図14】実施の形態1に係る管理コンピュータの内段取りグループの作成手順例を示すフローチャート
図15】従来の段取りテーブルと実施の形態1における段取りテーブルとの違いを説明する図
図16】実施の形態1の変形例1に係る管理コンピュータの動作手順(ステップ30)例を説明する図
図17】実施の形態1に係る管理コンピュータの動作手順(ステップ33,ステップ100)例を説明する図
図18】実施の形態1に係る管理コンピュータの動作手順(ステップ32)例を説明する図
図19】実施の形態1の変形例1に係る管理コンピュータの動作手順例を示すフローチャート
図20】実施の形態1の変形例2に係る管理コンピュータの動作手順例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係る段取り決定装置および段取り決定方法を具体的に開示した各実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。尚、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであり、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0013】
ここで、以下の説明で使用される用語は、例示であり、限定を意図していない。例えば、「キャリヤテープ」の用語は、このキャリヤテープに収納され、供給可能な部品を含む。
【0014】
また、以下の説明で使用される「外段取り」の用語は、部品実装装置に未接続状態の台車に行われる段取りであって、台車が有する複数のスロットのそれぞれに1つ以上のキャリヤテープが配置あるいは交換される段取りである。「内段取り」の用語は、部品実装装置に接続状態の台車に行われる段取りであって、台車が有する複数のスロットのそれぞれに1つ以上のキャリヤテープが配置あるいは交換される段取りである。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る部品実装システム1が配置されたフロアF内部を上から見た図である。実施の形態1に係る部品実装システム1は、基板上に半田を印刷する半田印刷工程と、基板に印刷された半田の印刷不良を検査する印刷検査工程と、半田印刷後の基板に部品を実装する部品実装工程と、基板に実装された部品を検査する実装検査工程と、基板に印刷された半田をリフローするリフロー工程とを実行するシステムである。
【0016】
実施の形態1に係る部品実装システム1は、複数の部品実装ラインL1,L2,L3と、通信ネットワーク2と、管理コンピュータ3と、段取り作業支援装置4と、複数の台車S1,S2,S3,S4,…のそれぞれ(部品供給台車の一例)と、を含んで構成される。なお、図1では部品実装ラインが3本の例を示すが、1本、2本または4本以上であってよい。
【0017】
通信ネットワーク2は、管理コンピュータ3と、複数の部品実装ラインL1~L3のそれぞれと、段取り作業支援装置4との間をデータ通信可能に接続する。なお、図1の例において通信ネットワーク2は、有線通信可能に接続される例を示すが、無線通信可能であってもよい。ここでいう無線通信は、例えば無線LAN(Local Area NetWork)、Bluetooth(登録商標)またはWi-Fi(登録商標)等の無線通信規格に準じて提供される通信方式である。
【0018】
段取り決定装置の一例としての管理コンピュータ3は、例えばPC(Personal Computer)、タブレット等であって、通信ネットワーク2を介して複数の部品実装ラインL1~L3のそれぞれ(つまり、複数の部品実装ラインL1~L3のそれぞれを構成する各部品実装用装置のそれぞれ)、および段取り作業支援装置4との間で通信可能に接続される。また、管理コンピュータ3は、ユーザ操作を受け付け可能なユーザインターフェース(例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、タッチパッド、ポインティングデバイス等)を備え、ユーザ操作に基づく入力を制御信号に変換する。
【0019】
管理コンピュータ3は、複数の部品実装ラインL1~L3のそれぞれを構成する各部品実装用装置により実行される半田印刷工程と、印刷検査工程と、部品実装工程と、を含む生産工程を統括して制御する。例えば、管理コンピュータ3は、作業者により予め入力あるいは設定された生産工程に関する生産情報と、生産工程を実行させる実行指令を生成して、これらの生産工程を実行する部品実装ラインに送信する。
【0020】
また、管理コンピュータ3は、作業者により予め入力あるいは設定された複数種類の基板を生産するための生産データに基づいて、これらの基板を生産するための段取り(つまり、外段取りおよび内段取りを含むすべての段取り)に用いられる複数の台車のそれぞれの段取りテーブルG0(図6A参照)を作成する。具体的に、管理コンピュータ3は、段取り作業支援装置4にデータ通信可能に接続された複数の台車S1,…のそれぞれの台車情報(例えば、台車の識別情報、台車が有するスロット数、台車の部品配置テーブル等)を取得し、取得された台車情報と作業者により予め入力あるいは設定された生産データとに基づいて、段取りテーブルG0を作成する。なお、管理コンピュータ3は、段取りテーブルG0の作成にあたって、管理記憶部32(図5参照)に記憶された台車S1,…のそれぞれの部品配置テーブルを参照してもよいし、段取り作業支援装置4から送信された台車S1,…のそれぞれの部品配置テーブルを参照してもよい。管理コンピュータ3は、作成された段取りテーブルG0を表示部34(図5参照)等に出力するとともに、管理記憶部32(図5参照)に記録する。
【0021】
なお、ここでいう段取りテーブルG0は、すべての種類の基板のそれぞれの生産にあたって行われる外段取りおよび内段取りを含むすべての段取り計画である。具体的に、段取りテーブルG0は、各外段取りに関する情報を示す外段取りグループOG1,OG2,OG3(図6A参照)の情報と、各外段取りにより段取りされた複数の台車S1,…のそれぞれに対する各内段取りグループIG11,IG12,IG13,IG14,IG21,IG22,IG23,IG24,IG31,IG32,IG33,IG34(図6A参照)の情報と、を含んで作成される。なお、段取りテーブルG0は、内段取りを行う必要がない場合、内段取りグループの情報を含まなくてもよい。
【0022】
また、ここでいう生産データは、部品実装装置による部品実装工程の実行に用いられる情報であり、管理コンピュータ3により生成されて管理記憶部32に記録される。生産データは、例えば基板のサイズ、基板認識マークの位置、部品の大きさ、ノズル吸着時間、実装位置、基板(実装)高さ、吸着ノズルの情報、基板の生産枚数等を含む。なお、生産データは、上述した項目のデータに限定されなくてよい。
【0023】
段取り作業支援装置4は、外段取りエリアApに配置され、通信ネットワーク2を介して管理コンピュータ3および複数の台車S1,…のそれぞれとの間でデータ通信可能に接続される。なお、段取り作業支援装置4は、管理コンピュータ3に含まれ、一体に形成されてもよい。段取り作業支援装置4は、複数の台車S1,…のそれぞれから部品配置テーブルを取得し、管理コンピュータ3に送信する。
【0024】
複数の台車S1,…のそれぞれは、外段取りエリアApに配置され、段取り作業支援装置4との間でデータ通信可能に接続される。複数の台車S1,…のそれぞれは、部品実装装置に着脱可能であって、所定の部品実装装置によって実行される部品実装工程で基板に実装される1以上の部品を供給するテープフィーダ(スロット)を備える。複数の台車S1,…のそれぞれは、少なくとも台車の識別情報と、テープフィーダ(スロット)ごとに配置された部品(キャリヤテープ)の情報を含む部品配置テーブルと、を段取り作業支援装置4に送信する。
【0025】
次に、図2を参照して、部品実装ラインL1を構成する各部品実装用装置について説明する。図2は、実施の形態1に係る部品実装ラインL1を説明する図である。なお、複数の部品実装ラインL1~L3のそれぞれは、同様の構成を有し、図2では部品実装ラインL1により実行される基板Bの生産について説明する。
【0026】
部品実装ラインL1は、各部品実装用装置としての半田印刷装置M1と、印刷検査装置M2と、複数の部品実装装置M3~M6のそれぞれと、実装検査装置M7と、リフロー装置M8と、を含んで構成される。部品実装ラインL1を構成するこれらの各部品実装装置は、通信ネットワーク2を介して管理コンピュータ3との間でデータ通信可能に接続され、管理コンピュータ3から送信された生産工程の実行指令に基づく制御を実行する。
【0027】
なお、実施の形態1に係る部品実装システム1における部品実装ラインL1は、半田印刷装置M1と、印刷検査装置M2と、複数の部品実装装置M3~M6のそれぞれと、実装検査装置M7と、リフロー装置M8と、を含んで構成される例を示すが、少なくとも1つの部品実装装置を含んで構成されていればよい。つまり、部品実装ラインL1は、少なくとも1つの部品実装装置と、実装検査装置M7とを含んで構成されてもよい。
【0028】
半田印刷装置M1は、管理コンピュータ3から送信された基板Bの半田のデータ(例えば、半田の印刷パターン等)に基づいて、部品実装ラインL1の上流側(図2に示す半田印刷装置M1の左側)から搬入された基板Bにマスクを介して半田を印刷する半田印刷工程を実行する。半田印刷装置M1は、半田印刷後の基板Bを印刷検査装置M2に搬出する。
【0029】
印刷検査装置M2は、管理コンピュータ3から送信された基板Bの半田のデータ(例えば、半田の印刷パターン等)に基づいて、半田印刷装置M1から搬入された基板Bに印刷された半田の状態を検査する印刷検査工程を実行する。印刷検査装置M2は、搬入された基板Bを撮像するカメラを備え、カメラによって撮像された撮像画像を用いて半田の状態(つまり、半田の印刷不良の有無)を検査する。印刷検査装置M2は、印刷検査装置M2におけるメモリ(不図示)に基板Bの半田の印刷検査結果を記録するとともに、検査に合格した基板Bを部品実装装置M3に搬出する。
【0030】
複数の部品実装装置M3~M6のそれぞれは、管理コンピュータ3から送信された実行指令に基づいて、印刷検査装置M2から搬入された基板Bに1以上の部品を実装する部品実装工程を実行する。なお、部品実装ラインL1は、部品実装装置M3~M6が4台の構成に限定されず、例えば部品実装装置M3~M6が1~3台であっても5台以上であってもよい。
【0031】
複数の部品実装装置M3~M6のそれぞれは、管理コンピュータ3から送信された基板Bの生産データに基づいて、吸着ノズルを制御し、部品実装装置に取り付けられた台車に配置されたテープフィーダから部品を吸着して取り出す。複数の部品実装装置M3~M6のそれぞれは、吸着ノズルにより吸着された部品を基板B上の所定位置に搬送して、実装する。複数の部品実装装置M3~M5のそれぞれは、連結された次の部品実装装置に部品実装後の基板Bを搬出する。また、部品実装装置M6は、部品実装後の基板Bを実装検査装置M7に搬出する。
【0032】
実装検査装置M7は、管理コンピュータ3から送信された基板Bの生産データに基づいて、部品実装装置M6から搬入された基板Bに実装された部品の状態(例えば、部品の実装位置不良の有無等)を検査する実装検査工程を実行する。実装検査装置M7は、搬入された基板Bを撮像するカメラを備え、カメラによって撮像された撮像画像を用いて実装された部品の状態を検査する。実装検査装置M7は、実装検査装置M7におけるメモリ(不図示)に基板Bの部品実装検査結果を記録するとともに、検査に合格した基板Bをリフロー装置M8に搬出する。
【0033】
リフロー装置M8は、管理コンピュータ3から送信された基板Bのリフローデータ(例えば、基板Bを搬送するコンベアの搬送速度、加熱温度等)に基づいて、実装検査装置M7から搬入された基板Bの電極部分と実装された1以上の部品とを接合するリフロー工程を実行する。リフロー装置M8は、装置内に搬入された基板Bをベルトコンベアで搬送しながら加熱し、基板B上の半田を硬化させ、基板Bの電極部分と実装された1以上の部品とを接合する。リフロー装置M8は、部品実装ラインL1の下流側(図2に示すリフロー装置M8の右側)にリフロー後の基板Bを搬出する。
【0034】
次に、図3および図4を参照して、部品実装装置M3~M6の構成について説明する。なお、複数の部品実装装置M3~M6のそれぞれは、同様の構成を有し、ここでは部品実装装置M3について説明する。図3は、実施の形態1に係る部品実装装置M3を上から見た図である。また、図4は、図3に示す部品実装装置M3のA-A断面線における基台6から部品供給部SRAまでの断面を示した図である。なお、実施の形態1に係る部品実装装置M3~M6のそれぞれは、基板Bを搬送する一対の基板搬送機構7の両側方(Y方向、-Y方向)のそれぞれに複数の部品供給部SRA,SRBのそれぞれを備えるが、部品供給部は片側のみに備えてもよい。さらに、実施の形態1に係る部品実装装置M3~M6のそれぞれは、シングルレーン(つまり、1つの基板Bを搬送可能な一対の基板搬送機構7)の構成を有する例を示すが、複数の基板のそれぞれに同時に部品を実装可能なデュアルレーンの構成を有してもよい。
【0035】
図3に示す部品実装装置M3は、基台6と、基板搬送機構7と、複数の部品供給部SRA,SRBのそれぞれと、Y軸ビーム10と、X軸ビーム11と、実装ヘッド12と、部品認識カメラ13と、基板認識カメラ14と、1以上のキャリヤテープ15と、複数のリール16のそれぞれと、を含んで構成される。
【0036】
基台6は、基台6の中央位置に基板Bを搬送するための基板搬送機構7が設けられる。基板搬送機構7は、連接された印刷検査装置M2(部品実装装置M4~M6の場合は、連接された部品実装装置)から搬入された基板Bを、基台6の中央位置における所定の部品実装位置まで搬送し、保持する。また、基板搬送機構7は、連接された次の部品実装装置M4(部品実装装置M6の場合は、連接された実装検査装置M7)に部品実装後の基板Bを搬出する。
【0037】
複数の部品供給部SRA,SRBのそれぞれは、基板Bに実装される部品を供給する複数のテープフィーダのそれぞれを並設して備える。なお、実施の形態1に係る部品実装装置M3において、テープフィーダは、2つのキャリヤテープを装着可能なダブルフィーダである例を説明するが、1つのキャリヤテープを装着可能なシングルフィーダであってもよい。つまり、部品実装装置M3は、シングルフィーダとダブルフィーダとを任意に装着可能な部品供給部により構成されてよい。
【0038】
なお、図3における複数の部品供給部SRA,SRBのそれぞれは、テープフィーダに基板Bへの実装対象となる部品を収納したキャリヤテープを取り付け、吸着ノズル12bによる部品取り出し位置までこのキャリヤテープに収納された部品をピッチ送りする機能を有する例を示す。複数の部品供給部SRA,SRBのそれぞれは、所定のテープ送り方向に向かって部品を収納したキャリヤテープのそれぞれをピッチ送りすることにより、以下に説明する実装ヘッド12によって部品取り出し位置に部品のそれぞれを供給する。
【0039】
部品供給部SRAは、複数のテープフィーダSRA1,SRA2,…,SRAKのそれぞれを備える。複数のテープフィーダSRA1,SRA2,…,SRAKのそれぞれは、キャリヤテープ(部品)を取り付け可能なテープフィーダのそれぞれの位置を特定するためのテープフィーダアドレスが設定される。
【0040】
部品供給部SRBは、複数のテープフィーダSRB1,SRB2,…,SRBKのそれぞれを備える。複数のテープフィーダSRB1,SRB2,…,SRBKのそれぞれは、キャリヤテープ(部品)を取り付け可能なテープフィーダのそれぞれの位置を特定するためのテープフィーダアドレスが設定される。
【0041】
管理コンピュータ3は、部品供給部SRAにおける複数のテープフィーダSRA1,SRA2,…,SRAKのそれぞれのテープフィーダアドレスとキャリヤテープ(部品)の情報とを対応付けて作成された部品配置テーブルのデータを管理記憶部32(図5参照)に記憶する。また、同様に、管理コンピュータ3は、部品供給部SRBにおける複数のテープフィーダSRB1,SRB2,…,SRBKのそれぞれのテープフィーダアドレスとキャリヤテープ(部品)の情報とを対応付けて作成された部品配置テーブルを管理記憶部32(図5参照)に記憶する。
【0042】
基台6の上面においてX方向の一端側の端部には、リニア駆動機構を備えたY軸ビーム10がY方向に沿って配設されている。Y軸ビーム10には、同様にリニア駆動機構を備えた2基のX軸ビーム11のそれぞれが、Y方向,-Y方向に移動自在に結合される。2基のX軸ビーム11のそれぞれは、X方向に沿って配設される。2基のX軸ビーム11のそれぞれには、プレート11aが備えられる。プレート11aは、X軸ビーム11と一体に駆動する実装ヘッド12および基板認識カメラ14をX軸ビーム11に取り付ける。
【0043】
実装ヘッド12は、X軸ビーム11により基板認識カメラ14と一体に駆動(移動)され、複数のテープフィーダSRA1,…,SRAK,SRB1,…,SRBKのそれぞれに取り付けられたキャリヤテープに収納された部品Dを吸着保持し、基板Bの実装位置に搬送して実装する。実装ヘッド12は、吸着ユニット12aと、吸着ノズル12bとを含んで構成される。吸着ユニット12aは、部品Dを吸着する吸着制御を実行する。また、吸着ユニット12aの先端には、吸着ノズル12bが設けられる。吸着ノズル12bは、吸着ユニット12aの吸着制御の実行に基づいて、部品Dを吸着保持、または吸着を解除して基板B上に実装する。
【0044】
基板認識カメラ14は、X軸ビーム11により実装ヘッド12と一体に駆動(移動)され、基板搬送機構7に位置決めされた基板Bの上方から基板B上の所定の位置に設けられた基板マーク(不図示)を撮像する。基板認識カメラ14は、撮像された撮像画像を、部品実装装置M3における管理制御部31(図5参照)に送信する。
【0045】
複数の部品認識カメラ13は、基台6上の部品供給部SRAと基板搬送機構7との間、および基台6上の部品供給部SRBと基板搬送機構7との間のそれぞれに備えられる。複数の部品認識カメラ13のそれぞれは、部品供給部SRA,SRBにおけるキャリヤテープ15に収納された部品を取り出した実装ヘッド12が部品認識カメラ13の上方を移動する際に、部品認識カメラ13は実装ヘッド12に保持された状態の部品Dを撮像する。複数の部品認識カメラ13のそれぞれは、撮像された撮像画像に基づいて、部品Dの保持姿勢を認識する。複数の部品認識カメラ13のそれぞれは、撮像された撮像画像を、部品実装装置M3における管理制御部31(図5参照)に送信する。
【0046】
部品実装装置M3は、部品認識カメラ13から送信された部品Dの撮像画像を画像処理し、吸着ノズル12bに吸着保持された部品Dの保持姿勢を取得する。また、部品実装装置M3は、基板認識カメラ14から送信された基板Bの撮像画像を画像処理し、生産データに記録された基板Bの基板認識マークの位置情報に基づく基板Bの位置ずれ量、基板B上に設けられた電極(不図示)の位置ずれ量等を算出する。部品実装装置M3は、算出された基板Bの位置ずれ量または電極の位置ずれ量と、取得された部品Dの保持姿勢とに基づいて、部品Dの実装位置あるいは角度の補正を行う。
【0047】
台車S0は、基台6に着脱自在に構成され、基台6に取り付けられると、台車S0における制御部(不図示)と部品実装装置M3における制御部(不図示)とが電気的に接続される。台車S0は、テープフィーダSRAL(テープフィーダSRALは、テープフィーダSRA1~SRAKのうちいずれか任意のテープフィーダを示す)に取り付けられたキャリヤテープ15のそれぞれを巻回状態で収納するリール16を有する。テープフィーダSRALに取り付けられたキャリヤテープ15のそれぞれを巻回状態で収納するリール16を有する。
【0048】
部品供給物の一例としてのキャリヤテープ15は、リール16から引き出され、一端側がテープフィーダSRALに取り付けられる。テープフィーダSRALは、吸着ノズル12bによる部品取り出し位置までキャリヤテープ15をピッチ送りする。
【0049】
次に、図5を参照して、実施の形態1に係る管理コンピュータ3の内部構成について説明する。図5は、実施の形態1に係る管理コンピュータの内部構成例を示す図である。なお、実施の形態1に係る管理コンピュータ3は、管理制御部31における段取り工数算出部31b、生産時間算出部31c、および総生産時間算出部31dと、管理記憶部32における段取りテーブル情報32dのそれぞれが必須の構成でないため、これらの構成を含んで構成されなくてもよい。
【0050】
管理コンピュータ3は、段取り作業支援装置4と、複数の部品実装ラインL1~L3のそれぞれと、の間でデータ通信可能に接続される。なお、図5では説明を分かり易くするために、複数の部品実装ラインL1~L3のそれぞれに含まれる構成として複数の部品実装装置M3~M6のそれぞれのみを示す。管理コンピュータ3は、管理制御部31と、管理記憶部32と、入力部33と、表示部34と、通信部35と、を含んで構成される。
【0051】
管理制御部31は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いて構成され、管理記憶部32と協働して、各種の処理および制御を行う。具体的には、管理制御部31は管理記憶部32に保持されたプログラムおよびデータを参照し、そのプログラムを実行することにより、各部の機能を実現する。ここでいう各部は、例えば段取りテーブル作成部31a(外段取りグループ作成部、内段取りグループ作成部、および拡張スロット変更部の一例)、段取り工数算出部31b、生産時間算出部31c、総生産時間算出部31d、および段取りテーブル決定部31e等である。管理制御部31は、これら各部により、すべての基板の生産に必要な段取りテーブルの作成および決定に必要な各機能を実行する。
【0052】
また、管理制御部31は、入力部33により受け付けられた作業者による入力操作に基づいて、基板あるいは部品ごとの生産データ、部品実装装置に着脱される台車S1,…ごとの部品配置テーブル等を作成して、管理記憶部32に出力して記憶する。管理制御部31は、作業者により入力されたすべての基板のそれぞれの生産するためのすべての段取り計画を含む段取りテーブルG0を作成して出力する。さらに、管理制御部31は、各部品実装用装置に各生産工程を実行させる実行指令を生成し、通信部35に出力して送信する。
【0053】
ここで、図6Aを参照して、本実施の形態1における段取りテーブルG0について説明する。図6Aは、実施の形態1に係る段取りテーブルG0を説明する図である。図6Bは、実施の形態1に係る外段取りグループOG1および内段取りグループIG11,IG12,IG13,IG14を説明する図である。なお、図6Aでは、一例として、すべての基板のそれぞれの生産に用いる3つの外段取りグループOG1~OG3のそれぞれ(つまり、外段取りの回数が3回)と、各外段取りグループOG1~OG3において4つの内段取りグループIG11~IG34のそれぞれ(つまり、各外段取りの後に行われる内段取りの回数が4回ずつ)と、を含む段取りテーブルG0が作成された例を示すが、これに限定されないことは言うまでもない。また、図6Bでは、一例として外段取りグループOG1および内段取りグループIG11,IG12,IG13,IG14は、4台の台車SZ1,SZ2,SZ3,SZ4のそれぞれの段取りが行われる例を示す。
【0054】
図6Aに示す複数の外段取りグループOG1~OG3のそれぞれは、すべての基板のそれぞれのうち5種類以上の基板のそれぞれを生産するための外段取り計画であり、生産される基板グループの情報と、これらの基板の生産に用いられる複数の台車のそれぞれの情報と、これらの台車のそれぞれの部品配置テーブルの情報とを含んで作成される。なお、図6Aに示す複数の外段取りグループOG1~OG3のそれぞれにより生産される基板の種類の数は、一例であってこれに限定されないことは言うまでもない。各外段取りグループおよび各内段取りグループが示す部品配置テーブルを用いて生産される基板の種類の数は、少なくとも1種類以上であればよい。
【0055】
外段取りグループOG1は、複数の内段取りグループIG11~IG14のそれぞれを含んで作成される。内段取りグループIG11は、外段取りグループOG1が示す外段取り計画により段取りされた複数の台車SZ1~SZ4のそれぞれの部品配置テーブルTBZ11,TBZ12,TBZ13,TBZ14に対していずれか1つ以上のキャリヤテープ(部品)の配置が変更された部品配置テーブルTBZ21,TBZ22,TBZ23,TBZ24の情報と、この内段取りにより生産が行われる基板の情報とを含んで作成される。内段取りグループIG12は、内段取りグループIG11が示す内段取り計画により段取りされた複数の台車SZ1~SZ4のそれぞれの部品配置テーブルに対していずれか1つ以上のキャリヤテープ(部品)の配置が変更された部品配置テーブルの情報と、この内段取りにより生産が行われる基板の情報とを含んで作成される。内段取りグループIG13は、1つ前の内段取りグループIG12が示す内段取り計画により段取りされた複数の台車SZ1~SZ4のそれぞれの部品配置テーブルに対していずれか1つ以上のキャリヤテープ(部品)の配置が変更された部品配置テーブルの情報と、この内段取りにより生産が行われる基板の情報とを含んで作成される。内段取りグループIG14は、1つ前の内段取りグループIG13が示す内段取り計画により段取りされた複数の台車SZ1~SZ4のそれぞれの部品配置テーブルに対していずれか1つ以上のキャリヤテープ(部品)の配置が変更された部品配置テーブルTBZ31,TBZ32,TBZ33,TBZ34の情報と、この内段取りにより生産が行われる基板の情報とを含んで作成される。
【0056】
外段取りグループOG2は、複数の内段取りグループIG21~IG24のそれぞれを含んで作成される。内段取りグループIG21は、外段取りグループOG2が示す外段取り計画により段取りされた複数の台車のそれぞれの部品配置テーブルに対していずれか1つ以上のキャリヤテープ(部品)の配置が変更された部品配置テーブルの情報と、この内段取りにより生産が行われる基板の情報とを含んで作成される。内段取りグループIG22は、内段取りグループIG21が示す内段取り計画により段取りされた複数の台車のそれぞれの部品配置テーブルに対していずれか1つ以上のキャリヤテープ(部品)の配置が変更された部品配置テーブルの情報と、この内段取りにより生産が行われる基板の情報とを含んで作成される。内段取りグループIG23,IG24のそれぞれは、1つ前の内段取りグループが示す内段取り計画により段取りされた複数の台車のそれぞれの部品配置テーブルに対していずれか1つ以上のキャリヤテープ(部品)の配置が変更された部品配置テーブルの情報と、この内段取りにより生産が行われる基板の情報とを含んで作成される。
【0057】
外段取りグループOG3は、複数の内段取りグループIG31~IG34のそれぞれを含んで作成される。内段取りグループIG31は、外段取りグループOG3が示す外段取り計画により段取りされた複数の台車のそれぞれの部品配置テーブルに対していずれか1つ以上のキャリヤテープ(部品)の配置が変更された部品配置テーブルの情報と、この内段取りにより生産が行われる基板の情報とを含んで作成される。内段取りグループIG32は、内段取りグループIG31が示す内段取り計画により段取りされた複数の台車のそれぞれの部品配置テーブルに対していずれか1つ以上のキャリヤテープ(部品)の配置が変更された部品配置テーブルの情報と、この内段取りにより生産が行われる基板の情報とを含んで作成される。内段取りグループIG33,IG34のそれぞれは、1つ前の内段取りグループが示す内段取り計画により段取りされた複数の台車のそれぞれの部品配置テーブルに対していずれか1つ以上のキャリヤテープ(部品)の配置が変更された部品配置テーブルの情報と、この内段取りにより生産が行われる基板の情報とを含んで作成される。
【0058】
(外段取りグループの作成処理)
段取りテーブル作成部31aは、管理記憶部32における生産データ32aを参照し、作業者により入力された生産対象であるすべての基板(つまり、複数種類の基板)のそれぞれの生産データに基づいて、これらの基板の生産で使用されるすべての部品のリストを取得する。段取りテーブル作成部31aは、すべての基板のそれぞれで共通して使用される共通部品の数あるいは割合等に基づいて、すべての基板のそれぞれのうち各外段取りグループ(つまり、1回の外段取り、あるいは1回の外段取りおよび1回以上の内段取り)により生産される複数種類の基板を含む基板グループを作成する。なお、基板グループは、作業者により入力または設定されてもよい。以下、1つの基板グループを生産するための外段取りグループの作成について説明する。
【0059】
段取りテーブル作成部31aは、部品実装装置に未接続状態である台車S1,…のそれぞれの部品配置テーブルを取得し、段取りテーブルが示す各台車S1,…のそれぞれが有するスロット数を所定数(例えば、N(N:1以上の整数)スロット)拡張した部品配置テーブルを有する複数の拡張台車データのそれぞれを作成する。なお、段取りテーブル作成部31aは、基板グループに含まれる基板で使用される部品のリストと複数の拡張台車データのそれぞれが有する部品配置テーブルとを比較し、基板グループの生産に不要な部品をすべて削除して空きスロットを作成してもよい。
【0060】
段取りテーブル作成部31aは、作成された複数の拡張台車データのそれぞれが有する部品配置テーブルにおいて部品が未割り当ての空きスロットおよび拡張されたスロットのそれぞれに、いずれか1つの基板グループで使用されるすべての部品を割り当てる。ここで、段取りテーブル作成部31aは、この基板グループの生産のために行われる外段取りの段取り工数が最小となるように、複数の拡張台車データのそれぞれが有する部品配置テーブルに部品を割り当てる。
【0061】
例えば、段取りテーブル作成部31aは、この基板グループで使用される部品のリストと一致度あるいは類似度が高い部品配置テーブルを有する台車の空きスロットまたは拡張スロットに、未割り当ての部品、あるいは使用頻度が高い部品等を優先的に割り当てたり、他の基板グループを含むすべての基板において使用頻度が高い、あるいは複数の基板グループで共通して使用される部品を優先的に割り当てたりする。さらに、段取りテーブル作成部31aは、各基板グループの生産順番が決まっている場合、生産順番がより高い基板グループで使用頻度が高い部品、あるいは共通して使用される部品等を優先的に割り当ててもよいし、生産順番によらず生産頻度が高い基板で使用される部品を優先的に割り当ててもよい。
【0062】
段取りテーブル作成部31aは、上述した拡張台車データの作成処理と、作成された拡張台車データのそれぞれの部品配置テーブルへの部品の割り当て処理とを基板グループごとに実行し、生産対象となる基板グループの情報と、基板グループの生産に使用される複数の台車のそれぞれ(つまり、拡張台車データの作成元となる台車)の情報と、複数の拡張台車データのそれぞれの部品配置テーブルと、を含む複数の外段取りグループのそれぞれ(例えば、図6Aに示す外段取りグループOG1~OG3のそれぞれ)を作成する。また、段取りテーブル作成部31aは、作成された複数の外段取りグループのそれぞれを含む段取りテーブル(例えば、図6Aに示す段取りテーブルG0)を作成する。なお、段取りテーブル作成部31aは、事前に作業者により作成可能な外段取りグループの数について上限値が設定されている場合(つまり、すべての基板の生産のために行われる外段取りの上限回数)には、この上限値以下の数の外段取りグループを作成し、これらの外段取りグループのそれぞれを含む段取りテーブルを作成してもよい。また、段取りテーブル作成部31aは、事前に設定された外段取りグループの数の上限値以下で段取りテーブルを作成できないと判定した場合、段取りテーブルを作成できない旨を通知するエラー通知を作成して、表示部34に出力してもよい。
【0063】
段取りテーブル作成部31aは、作成された複数の外段取りグループのそれぞれに含まれる複数の拡張台車データのそれぞれが有する部品配置テーブルのスロット数を拡張前のスロット数に戻す処理を実行する。なお、ここで段取りテーブル作成部31aは、部品配置テーブルのスロット数を拡張前のスロット数に戻した後、スロットに割り当て切れなくなった部品があり、かつ、他の部品配置テーブルに空きスロットがある場合には、段取り工数が最小となるように、割り当て切れなくなった部品を空きスロットに割り当ててもよい。
【0064】
段取りテーブル作成部31aは、拡張前のスロット数に戻した後、すべての外段取りグループにおける複数の台車のそれぞれの部品配置テーブルにおいて、各外段取りグループで生産される基板グループの生産に用いられるすべての部品が割り当て(搭載)済みであるか否かを判定する。段取りテーブル作成部31aは、すべての外段取りグループで基板グループの生産に必要な部品が割り当て(搭載)済みであると判定した場合、基板グループごとの外段取りグループの情報を含む段取りテーブルを作成して、段取りテーブル決定部31eに出力する。
【0065】
(内段取りグループの作成処理)
一方、段取りテーブル作成部31aは、すべての外段取りグループで基板グループの生産に必要な部品が割り当て(搭載)済みでないと判定した場合、部品が割り当て済みでないと判定されたいずれか1つの外段取りグループを選択し、選択された外段取りグループに対して1つ以上の内段取りグループの作成処理を実行する。以下、1つの外段取りグループに対する内段取りグループの作成処理について説明する。なお、内段取りグループは、拡張前の複数の台車のそれぞれが有するスロット数で割り当て切れない部品(キャリヤテープ)を内段取りにより入れ替えることで、基板グループに含まれるいずれか1種類の基板を生産可能にするための段取り計画である。また、内段取りグループに含まれる部品配置テーブルは、内段取りによる部品(キャリヤテープ)交換後の複数の台車のそれぞれの部品配置を示す。
【0066】
段取りテーブル作成部31aは、選択された外段取りグループにおいて割り当てきれていない部品(つまり、いずれかの種類の基板の生産に必要な部品であって、外段取りグループにおける部品配置テーブルに未割り当ての部品)を抽出する。段取りテーブル作成部31aは、この外段取りグループにおける内段取りグループの数を初期化(つまり、内段取りグループの数を0(ゼロ)個に初期化)する。段取りテーブル作成部31aは、この外段取りグループにおける内段取りグループの数をインクリメントするとともに、インクリメント後の内段取りグループの数が事前に設定された内段取りグループの数の上限値以上であるか否かを判定する。なお、この内段取りグループの数の上限値は、作業者により設定されて、管理記憶部32における段取り上限回数情報32cに記憶される。また、ここでいう内段取りグループの数は、1つの基板グループの生産中に作業者により行われる内段取りの回数である。
【0067】
段取りテーブル作成部31aは、インクリメント後の内段取りグループの数が事前に設定された内段取りグループの数の上限値以上であると判定した場合、段取りテーブルが作成不可である旨を通知するエラー通知を生成して、表示部34に出力する。
【0068】
一方、段取りテーブル作成部31aは、インクリメント後の内段取りグループの数が事前に設定された内段取りグループの数の上限値以上でないと判定した場合、現在設定されている内段取りグループの数(つまり、内段取りの回数)で基板グループに含まれるいずれか1種類の基板を生産可能となるように複数の台車のそれぞれの部品配置テーブルを作成する。段取りテーブル作成部31aは、作成されたすべての内段取りグループにおける複数の台車のそれぞれの部品配置テーブルが、未割り当ての部品をすべて割り当て(搭載)済みであるか否かを判定する。
【0069】
段取りテーブル作成部31aは、作成されたすべての内段取りグループにおける複数の台車のそれぞれの部品配置テーブルが、未割り当ての部品をすべて割り当て(搭載)済みであると判定した場合、作成された1つ以上の内段取りグループを作成し、作成された1つ以上の内段取りグループの情報を含む外段取りグループを作成する。なお、ここで2つ以上の内段取りグループが作成された場合、段取りテーブル作成部31aは、これらの内段取りグループが示す内段取りが行われる順番情報と、これらの内段取りグループが示す内段取りにより生産される基板の情報と、を各内段取りグループに対応付けた外段取りグループを作成する。これにより、作業者は、内段取りの順番と、外段取りグループにより生産される基板グループに含まれる複数の種類の基板のそれぞれの生産順番とを確認できる。段取りテーブル作成部31aは、すべての外段取りグループにおける複数の台車のそれぞれの段取りテーブルにおいて、各外段取りグループで生産される基板グループの生産に用いられるすべての部品が割り当て(搭載)済みであるか否かを再判定する。
【0070】
段取りテーブル作成部31aは、再判定の結果、作成されたすべての外段取りグループで基板グループを生産するために必要な部品をすべて割り当て(搭載)済みであると判定した場合、作成されたすべての外段取りグループのそれぞれの情報を含む段取りテーブルを作成して段取り工数算出部31bおよび生産時間算出部31c、または段取りテーブル決定部31eに出力する。
【0071】
段取りテーブル作成部31aは、再判定の結果、すべての外段取りグループのそれぞれに属する複数種類の基板の生産に用いられるすべての部品が割り当て(搭載)済みでないと判定した場合、すべての部品が割り当て(搭載)済みでないいずれか1つの外段取りグループにおける内段取りグループの作成処理に移行する。
【0072】
段取り工数算出部31bは、段取りテーブル作成部31aにより作成された段取りテーブルに基づいて、各外段取りグループが示す外段取りに要する外段取り工数(時間)のそれぞれと、各内段取りグループが示す内段取りに要する内段取り工数(時間)のそれぞれとを算出する。なお、段取り工数算出部31bは、外段取り工数または内段取り工数の算出にあたって、事前に作業者により段取り工数に関する情報(例えば、外段取りで1つの部品(キャリヤテープ)を配置する場合の工数、あるいは入れ替える場合の工数、または内段取りで1つの部品(キャリヤテープ)を交換する場合の工数等)が設定されている場合、この段取り工数に関する情報を参照して算出を行ってよい。また、段取り工数算出部31bは、事前に作業者により各外段取りまたは各内段取りを行う作業者の人数が設定されている場合には、作業者の人数に基づいて、段取り工数(時間)を算出してもよい。さらに、段取り工数算出部31bは、作業者の人数が設定されていない場合には、段取り工数(時間)を作業者の人数ごと(例えば、作業者が1人、2人、3人、あるいは4人の場合の段取り工数等)に算出してもよい。段取り工数算出部31bは、段取りテーブル作成部31a、総生産時間算出部31d、または段取りテーブル決定部31eのいずれかに算出された各外段取りグループの外段取り工数のそれぞれ、および各内段取りグループの内段取り工数のそれぞれを出力する。
【0073】
生産時間算出部31cは、段取りテーブル作成部31aにより作成された段取りテーブル(具体的に、各外段取りグループおよび各内段取りグループにおける各部品配置テーブル)に基づいて、各基板の1枚当たりの部品の実装時間(サイクルタイム)と、各種の基板の生産枚数とに基づいて、各基板の生産(つまり、複数の部品実装装置M3~M6のそれぞれにより実行される部品の実装工程)に要する生産時間を算出する。生産時間算出部31cは、算出された各基板の生産時間を総生産時間算出部31dに出力する。
【0074】
総生産時間算出部31dは、段取り工数算出部31bにより算出された各外段取りグループの外段取り工数のそれぞれ、および各内段取りグループの内段取り工数のそれぞれと、生産時間算出部31cにより算出された各基板の生産時間とに基づいて、各基板の生産に要する総生産時間(つまり、外段取りを開始してから各部品実装装置M3~M6のそれぞれがすべての基板に部品の実装が完了するまでの合計時間)を算出する。総生産時間算出部31dは、段取りテーブルまたは段取りテーブル候補ごとに算出された各基板の生産に要する総生産時間を段取りテーブル決定部31eに出力する。
【0075】
最小生産時間候補抽出部の一例としての段取りテーブル決定部31eは、段取りテーブル候補ごとに算出された総生産時間に基づいて、総生産時間が最小となるいずれか1つの段取りテーブル候補を選定し、管理記憶部32における段取りテーブル情報32dに出力して記憶させるとともに、表示部34に出力させる。また、段取りテーブル決定部31eは、事前に作業者により総生産時間に対して所定の上限時間が設定されている場合には、総生産時間算出部31dから出力された段取りテーブルの総生産時間が所定の上限時間以下であるか否かを判定し、総生産時間が所定の上限時間以下であると判定した場合に、管理記憶部32における段取りテーブル情報32dにこの段取りテーブルを出力して記憶させるとともに、表示部34に出力させてもよい。
【0076】
また、実施の形態1における段取りテーブル決定部31eは、段取りテーブル作成部31aから出力された段取りテーブルを段取りテーブル情報32dに出力して記憶させるとともに、表示部34に出力させてよい。
【0077】
なお、実施の形態1における段取りテーブル決定部31eは、実施の形態1の変形例2における段取りテーブル決定部31eと同様に、段取りテーブル作成部31aから出力された段取りテーブルに基づいて、段取り工数算出部31bによる各外段取りグループの外段取り工数のそれぞれ、および各内段取りグループの内段取り工数のそれぞれの算出処理、生産時間算出部31cによる各基板の生産時間の算出処理、および総生産時間算出部31dによる各基板の総生産時間の算出処理を実行してもよい。
【0078】
管理記憶部32は、例えば管理制御部31の各処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAM(Random Access Memory)と、管理制御部31の動作を規定したプログラムおよびデータを格納するROM(Read Only Memory)とを有する。RAMには、管理制御部31により生成あるいは取得されたデータもしくは情報が一時的に保存される。ROMには、管理制御部31の動作を規定するプログラムが書き込まれている。管理記憶部32は、生産データ32aと、グループ情報32bと、段取り上限回数情報32cと、段取りテーブル情報32dとを記憶する。
【0079】
生産データ32aは、基板ごとに生成され、基板を生産するための生産データを記憶する。グループ情報32bは、作業者により入力された1つの部品実装ラインにより生産される生産対象であるすべての基板のそれぞれをグルーピングした基板グループの情報を記憶する。
【0080】
段取り上限回数情報32cは、作業者により入力されたすべての基板のそれぞれの生産における外段取りの上限回数(つまり、外段取りグループの数の上限値)、内段取りの上限回数(つまり、内段取りグループの数の上限値)等を記憶する。
【0081】
段取りテーブル情報32dは、作業者により入力された1つの部品実装ラインにより生産されるすべての基板のそれぞれについて、段取りテーブル決定部31eにより選定されたいずれか1つの段取りテーブル、または拡張グループごとに選定されたいずれか1つの段取りテーブル候補を記憶する。
【0082】
入力部33は、作業者による入力操作を受け付けるユーザインターフェースであって、例えばマウス、キーボード、タッチパネル、タッチパッド、ポインティングデバイス等を用いて構成される。入力部33は、作業者による入力操作に基づく信号を管理制御部31に出力する。
【0083】
表示部34は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)または有機EL(Electroluminescence)等のディスプレイを用いて構成される。表示部34は、管理制御部31によって作成された段取りテーブル、あるいはエラー通知等を表示する。
【0084】
通信部35は、通信ネットワーク2を介して、段取り作業支援装置4および複数の部品実装装置M3~M6のそれぞれとの間で、データ通信可能に接続される。通信部35は、入力部33により受け付けられた作業者による入力操作に基づく制御指令を部品実装装置M3~M6のそれぞれに送信する。
【0085】
ここで、図7A図7Cを参照して、実施の形態1に係る管理コンピュータ3により作成される各部品配置テーブルの一例について説明する。具体的に、図7A図7Cは、管理コンピュータ3により作成される外段取りグループOG1,OG2のそれぞれ、および内段取りグループIG11,IG14のそれぞれに含まれる各台車SZ1~SZ4のそれぞれの部品配置テーブルについて説明するため図である。
【0086】
図7Aは、実施の形態1に係る1番目の外段取りグループOG1の部品配置テーブルTBZ11~TBZ14と1番目の内段取りグループIG11の部品配置テーブルTBZ21~TBZ24との関係性を説明する図である。図7Bは、実施の形態1に係る1番目の内段取りグループIG11の部品配置テーブルTBZ21~TBZ24と4番目の内段取りグループIG14の部品配置テーブルTBZ31~TBZ34との関係性を説明する図である。図7Cは、実施の形態1に係る1番目の外段取りグループOG1の部品配置テーブルTBZ11~TBZ14と2番目の外段取りグループOG2部品配置テーブルTBZ41~TBZ44との関係性を説明する図である。なお、図7A図7Cに示す各「部品1」~「部品114」のそれぞれは、生産に使用される部品の部品名、部品に割り当てられた識別番号等を示す。
【0087】
なお、図7A図7Cのそれぞれに示す外段取りグループOG1,OG2のそれぞれ、および内段取りグループIG11,IG14のそれぞれは、図6Aおよび図6Bで例示した外段取りグループOG1,OG2のそれぞれ、および内段取りグループIG11,IG14のそれぞれに対応する。図7A図7Cのそれぞれに示す各台車、および各部品配置テーブルは一例であってこれに限定されないことは言うまでもない。また、図7A図7Cの説明では、内段取りグループ数の上限値が4以下(つまり、内段取りの上限回数が4回)である例を示し、1番目の外段取りグループOG1において4つの内段取りグループIG11~IG14が作成される例について説明する。
【0088】
まず、図7Aを参照して、管理コンピュータ3により作成される1番目の外段取りグループOG1の部品配置テーブルTBZ11~TBZ14と1番目の内段取りグループIG11の部品配置テーブルTBZ21~TBZ24について説明する。
【0089】
管理コンピュータ3は、1番目の外段取りグループOG1で生産される基板グループで使用される部品を4台の台車SZ1~SZ4のそれぞれのスロットに割り当てて、部品配置テーブルTBZ11~TBZ14を作成する。
【0090】
台車SZ1用の部品配置テーブルTBZ11は、12個の部品(キャリヤテープ)を搭載可能であって、「部品1」~「部品12」で示される12個の部品(キャリヤテープ)のそれぞれが割り当てられて作成される。台車SZ2用の部品配置テーブルTBZ12は、12個の部品(キャリヤテープ)を搭載可能であって、「部品13」~「部品24」で示される12個の部品(キャリヤテープ)のそれぞれが割り当てられて作成される。台車SZ3用の部品配置テーブルTBZ13は、12個の部品(キャリヤテープ)を搭載可能であって、「部品25」~「部品36」で示される12個の部品(キャリヤテープ)のそれぞれが割り当てられて作成される。台車SZ4用の部品配置テーブルTBZ14は、12個の部品(キャリヤテープ)を搭載可能であって、「部品37」~「部品48」で示される12個の部品(キャリヤテープ)のそれぞれが割り当てられて作成される。
【0091】
管理コンピュータ3は、1番目の外段取りグループOG1で生産される基板グループで使用されるすべての部品のうち部品配置テーブルTBZ11~TBZ14に割り当て切れなかった部品があると判定した場合、基板グループに含まれるいずれか1種類の基板を生産可能となるように4台の台車SZ1~SZ4のそれぞれの部品配置テーブルTBZ21~TBZ24を含む1番目の内段取りグループIG11を作成する。なお、図7Aに示す例において管理コンピュータ3は、基板グループに含まれるいずれか1種類の基板を生産可能となる8つの「部品49」~「部品56」のそれぞれが管理コンピュータ3により割り当てられた4台の台車SZ1~SZ4のそれぞれの部品配置テーブルTBZ21~TBZ24を含む内段取りグループIG11を作成する。
【0092】
ここで、図7Aに示す1番目の内段取りグループIG11に含まれる4台の台車SZ1~SZ4のそれぞれの部品配置テーブルTBZ21~TBZ24について説明する。台車SZ1用の部品配置テーブルTBZ21は、1番目の外段取り時の部品配置テーブルTBZ11の部品配置と同じ部品配置で作成される。台車SZ2用の部品配置テーブルTBZ22は、1番目の外段取り時の部品配置テーブルTBZ12のうち「部品13」の位置に「部品49」、「部品22」の位置に「部品50」、「部品24」の位置に「部品51」がそれぞれ割り当てられて作成される。台車SZ3用の部品配置テーブルTBZ23は、1番目の外段取り時の部品配置テーブルTBZ13のうち「部品25」の位置に「部品52」、「部品27」の位置に「部品53」、「部品31」の位置に「部品54」がそれぞれ割り当てられて作成される。台車SZ4用の部品配置テーブルTBZ24は、1番目の外段取り時の部品配置テーブルTBZ14のうち「部品46」の位置に「部品55」、「部品47」の位置に「部品56」がそれぞれ割り当てられて作成される。
【0093】
以上のように、実施の形態1に係る管理コンピュータ3は、外段取りグループOG1に対応する部品配置テーブルTBZ11に示される部品の配置を少数変更した内段取りグループIG11を作成する。これにより、管理コンピュータ3は、外段取りの回数を減らした段取りテーブルG0を作成できる。作業者は、外段取りで段取りされた台車の部品配置を利用して一部の部品配置を変更する内段取りを行うことで、実装ラインを構成する各種装置の停止時間をより短くしたり、実装ラインの稼働率を向上させたりすることができる。
【0094】
次に、図7Bを参照して、管理コンピュータ3により作成される1番目の内段取りグループIG11の部品配置テーブルTBZ21~TBZ24と4番目の内段取りグループIG14の部品配置テーブルTBZ31~TBZ34とを比較する。なお、2番目の内段取りグループIG12および3番目の内段取りグループIG13のそれぞれの部品配置テーブル例の図示および説明を省略する。
【0095】
管理コンピュータ3は、3番目の内段取りグループを作成した後、1番目の外段取りグループOG1で生産される基板グループで使用されるすべての部品のうち割り当て切れていない部品があると判定した場合、いずれか1種類の基板を生産可能となる4台の台車SZ1~SZ4のそれぞれの部品配置テーブルTBZ31~TBZ34を含む4番目の内段取りグループIG14を作成する。
【0096】
ここで、図7Bに示す4番目の内段取りグループIG14に含まれる4台の台車SZ1~SZ4のそれぞれの部品配置テーブルTBZ31~TBZ34について説明する。台車SZ1用の部品配置テーブルTBZ31は、1番目の外段取り時の部品配置テーブルTBZ11の部品配置と同じ部品配置で作成される。台車SZ2用の部品配置テーブルTBZ32は、1番目の内段取り時の部品配置テーブルTBZ12から部品の配置が3箇所変更されており、新たに複数の部品「部品59」~「部品61」のそれぞれが割り当てられて作成される。台車SZ3用の部品配置テーブルTBZ33は、1番目の内段取り時の部品配置テーブルTBZ13から部品の配置が3箇所変更されており、新たに複数の部品「部品62」~「部品64」のそれぞれが割り当てられて作成される。台車SZ4用の部品配置テーブルTBZ34は、1番目の内段取り時の部品配置テーブルTBZ14から部品の配置が5箇所変更されており、新たに複数の部品「部品65」~「部品69」のそれぞれが割り当てられて作成される。なお、上述した部品「部品59」~「部品69」のそれぞれは、2番目の内段取りグループIG12、3番目の内段取りグループIG13、4番目の内段取りグループIG14のいずれかで部品配置テーブルに割り当てられていればよい。
【0097】
以上のように、実施の形態1に係る管理コンピュータ3は、作業者により設定された内段取りグループ数の上限値に基づいて、外段取りグループに対応する部品配置テーブルTBZ11に示される部品の配置を少数ずつ変更した複数の内段取りグループのそれぞれを作成する。これにより、管理コンピュータ3は、外段取りの回数を減らした段取りテーブルG0を作成できる。作業者は、外段取りで段取りされた台車の部品配置を利用して一部の部品配置を変更する内段取りを複数回行うことで、実装ラインを構成する各種装置の停止時間をより短くしたり、実装ラインの稼働率を向上させたりすることができる。
【0098】
なお、管理コンピュータ3は、内段取りグループの作成時に部品配置を変更する台車数を減らした部品配置テーブルを作成してもよい。管理コンピュータ3は、例えば1番目の内段取りグループIG11の部品配置テーブルTBZ21と、4番目の内段取りグループIG14の部品配置テーブルTBZ31とに示すように、複数回の内段取りにおいていずれか1台以上の台車の部品配置が変わらないように部品配置テーブルを作成してもよい。これにより、作業者は、内段取りをより効率的に行うことができる。
【0099】
次に、図7Cを参照して、管理コンピュータ3により作成される1番目の外段取りグループOG1の部品配置テーブルTBZ11~TBZ14と2番目の外段取りグループOG2の部品配置テーブルTBZ41~TBZ44とを比較する。なお、図7Cに示す例において2番目の外段取りグループOG2に含まれる台車の台数および各台車が有するスロット数は、1番目の外段取りグループOG1に含まれる台車の台数および各台車が有するスロット数と同一である例を示すが、これに限定されないことは言うまでもない。
【0100】
管理コンピュータ3は、2番目の外段取りグループOG2で生産される基板グループで使用されるすべての部品を4台の台車SZ1~SZ4のそれぞれのスロットに割り当てて、部品配置テーブルTBZ41~TBZ44を作成する。図7Cに示すように、各外段取りで作業員により段取りされる各台車は、搭載される部品の種類および配置が大きく異なる。
【0101】
台車SZ1用の部品配置テーブルTBZ41は、12個の部品(キャリヤテープ)を搭載可能であって、1番目の外段取りグループOG1の4番目の内段取りグループIG14に含まれる部品配置テーブルTBZ31において「部品12」で示される1個の部品と、「部品70」~「部品80」で示される11個の部品(キャリヤテープ)のそれぞれとが割り当てられて作成される。台車SZ2用の部品配置テーブルTBZ42は、12個の部品(キャリヤテープ)を搭載可能であって、1番目の外段取りグループOG1の4番目の内段取りグループIG14に含まれる部品配置テーブルTBZ32において「部品17」、「部品61」で示される2個の部品と、「部品81」~「部品90」で示される10個の部品(キャリヤテープ)のそれぞれとが割り当てられて作成される。台車SZ3用の部品配置テーブルTBZ43は、12個の部品(キャリヤテープ)を搭載可能であって、「部品91」~「部品102」で示される12個の部品(キャリヤテープ)のそれぞれが割り当てられて作成される。台車SZ4用の部品配置テーブルTBZ44は、12個の部品(キャリヤテープ)を搭載可能であって、「部品103」~「部品114」で示される12個の部品(キャリヤテープ)のそれぞれが割り当てられて作成される。
【0102】
本実施の形態1に係る管理コンピュータ3は、複数種類の基板のそれぞれの生産に用いられ、外段取りおよび内段取りを含むすべての段取りの段取り工数をまとめて最適化するとともに、外段取りの回数の増加を抑制した段取りテーブル(例えば、図6Aに示す段取りテーブルG0)を自動作成できる。また、本実施の形態1に係る管理コンピュータ3は、外段取りグループに対応する部品配置テーブルに示される部品の配置を少数変更した1以上の内段取りグループのそれぞれを作成できる。これにより、管理コンピュータ3は、外段取りの回数を減らした段取りテーブルG0を作成できる。したがって、作業者は、外段取りで段取りされた台車の部品配置を利用して一部の部品配置を変更する内段取りを行うことで、実装ラインを構成する各種装置の停止時間をより短くしたり、実装ラインの稼働率を向上させたりすることができる。
【0103】
次に、図13および図14に示す実施の形態1に係る管理コンピュータ3の動作手順例について、図8図12に示す管理コンピュータ3の各処理を説明する図を参照して説明する。図13は、実施の形態1に係る管理コンピュータ3の動作手順例を示すフローチャートである。図14は、実施の形態1に係る管理コンピュータ3の内段取りグループの作成手順例を示すフローチャートである。
【0104】
管理コンピュータ3は、例えば段取りエリアApまたは他のフロア等に配置されて、部品実装装置に未接続状態である台車S1,…のそれぞれの部品配置テーブルTB1,…を取得し、部品配置テーブルTB1,…のスロット数を所定数i(i:1以上の整数)拡張した部品配置テーブルTBA1,…を有する複数の拡張台車データのそれぞれを作成する(St10)。
【0105】
ここで、図8を参照して、ステップSt10における部品配置テーブルTB1,…の拡張処理について説明する。図8は、実施の形態1に係る管理コンピュータ3の動作手順(ステップSt10)例を説明する図である。なお、図8では、一例として複数の台車S1,…のそれぞれが同じK(K:1以上の整数)個のスロットを備える例を示すが、スロット数は台車ごとに異なってもよいことは言うまでもない。
【0106】
台車S1,…のそれぞれは、K個のスロットSR1,SR2,…,SRKのそれぞれを有する部品配置テーブルTB1,…を有する。管理コンピュータ3は、台車S1,…のそれぞれの部品配置テーブルTB1,…にi個のスロットを拡張した複数の拡張台車データのそれぞれを作成する。拡張後の複数の拡張台車データのそれぞれが有する部品配置テーブルTBA1,…のそれぞれは、(K+i)個のスロットSR1,SR2,…,SRK,SR(K+1),…,SR(K+i)のそれぞれを有する。なお、ステップSt10において管理コンピュータ3は、拡張されたスロットのそれぞれに部品の割り当てを実行しない。
【0107】
管理コンピュータ3は、作成された複数の拡張台車データのそれぞれが有する部品配置テーブルTBA1,…において部品が未割り当ての空きスロットおよび拡張されたスロットのそれぞれに、いずれか1つの基板グループの生産に用いられるすべての部品を割り当てる。ここで、管理コンピュータ3は、この基板グループの生産のために行われる外段取りの段取り工数が最小となるように、複数の拡張台車データのそれぞれが有する部品配置テーブルTBA1,…に部品を割り当てた部品配置テーブルTBA1,…のそれぞれを決定する(St11)。管理コンピュータ3は、部品の割り当て処理後の複数の拡張台車データのそれぞれが有する部品配置テーブルTBA1,…に基づいて、この基板グループの生産に用いる複数の拡張台車データのそれぞれを含む複数の外段取りグループGR11,…,GRN1のそれぞれを作成する(St11)。
【0108】
なお、管理コンピュータ3は、基板グループごとに上述した外段取りグループの作成を実行し、作業者操作により入力されたすべての基板のそれぞれを生産可能な複数の外段取りグループのそれぞれを作成する。また、段取りテーブル作成部31aは、事前に作業者により外段取りグループの数の上限値(つまり、外段取りの上限回数)が設定されている場合には、この上限値以下の数の外段取りグループを作成してもよい。さらに、管理コンピュータ3は、基板グループの生産を行う複数の部品実装装置M3~M6のそれぞれが備える実装ヘッド12に関する情報(吸着ノズルの数、吸着可能な部品の大きさおよび重さ、吸着速度等)を取得し、各部品実装装置M3~M6による各基板への部品実装時間(つまり、サイクルタイム)が最短となるように部品配置テーブルTBA1,…を作成してもよい。
【0109】
ここで、図9を参照して、ステップSt11における複数の外段取りグループGR11,…,GRN1のそれぞれの決定処理について説明する。図9は、実施の形態1に係る管理コンピュータ3の動作手順(ステップSt11)例を説明する図である。なお、図9の説明において、基板グループの数は一例としてN(N:1以上の整数)個である例を示す。また、各外段取りグループGR1,…のそれぞれが示す外段取りで使用される台車の台数は、一例として6台である例を示す。
【0110】
管理コンピュータ3は、各基板グループの生産を行うためにN個の外段取りグループGR11,…,GRN1のそれぞれを作成する。例えば、グループ「1」で示される1番目の外段取りグループGR11は、6台の拡張台車データのそれぞれの部品配置テーブルTBA11,TBA12,TBA13,TBB11,TBB12,TBB13のそれぞれを含んで作成される。なお、外段取りグループは、さらに基板グループの情報(図示略)と、6台の拡張台車データのそれぞれに対応する6台の台車のそれぞれの情報とを含んで作成されるが、ここでは説明をわかりやすくするために図示を省略している。6つの部品配置テーブルTBA11~TBA13,TBB11~TBB13のそれぞれは、各台車の部品配置を示す。グループ「N」で示されるN番目の外段取りグループGRN1は、6台の拡張台車データのそれぞれの部品配置テーブルTBAN1,TBAN2,TBAN3,TBBN1,TBBN2,TBBN3のそれぞれを含む。6つの部品配置テーブルTBAN1~TBAN3,TBBN1~TBBN3のそれぞれは、各台車の部品配置を示す。
【0111】
管理コンピュータ3は、作成された複数の外段取りグループGR11~GRN1のそれぞれに含まれる複数の拡張台車データのそれぞれが有する部品配置テーブルのスロット数を拡張前のスロット数に戻す(つまり、(K+i)個からK個に戻す)処理を実行する(St12)。
【0112】
ここで、図10を参照して、ステップSt12における複数の拡張台車データにおける部品配置テーブルTBA1,…のスロット数を拡張前のスロット数に戻す処理について説明する。図10は、実施の形態1に係る管理コンピュータ3の動作手順(ステップSt12)例を説明する図である。なお、図10ではステップSt12の処理により部品配置テーブルに割り当て切れない(つまり、台車に搭載し切れない)部品が発生した例について説明するが、これに限定されないことは言うまでもない。
【0113】
図10に示すグループ「1」で示される1番目の外段取りグループGR12は、各部品配置テーブルTBA11~TBA13,TBB11~TBB13のそれぞれのスロット数((K+i)個)が拡張前のスロット数(K個)に戻された状態を示す。1番目の外段取りグループGR12は、ステップSt12の処理により、拡張されたスロットに割り当てられていた複数の部品P11,P12,…,P16,…,PG1,…,PG6のそれぞれがスロットに割り当て切れなくなる。また、グループ「N」で示される1番目の外段取りグループGRN2は、各部品配置テーブルTBAN1~TBAN3,TBBN1~TBBN3のそれぞれのスロット数((K+i)個)が拡張前のスロット数(K個)に戻された状態を示す。N番目の外段取りグループGRN2は、ステップSt12の処理により、拡張されたスロットに割り当てられていた複数の部品PN1,…のそれぞれがスロットに割り当て切れなくなる。
【0114】
なお、ここで管理コンピュータ3は、部品配置テーブルのスロット数を拡張前のスロット数に戻した後、スロットに割り当て切れなくなった部品があり、かつ、他の部品配置テーブルに空きスロットがある場合には、段取り工数が最小となるように、割り当て切れなくなった部品を空きスロットに割り当ててもよい。
【0115】
管理コンピュータ3は、作成されたすべての外段取りグループGR12,…,GRN2における複数の台車のそれぞれの部品配置テーブルにおいて、各外段取りグループに属する複数種類の基板の生産に用いられるすべての部品が割り当て(搭載)済みであるか否かを判定する(St13)。
【0116】
管理コンピュータ3は、各外段取りグループに属する複数種類の基板の生産に用いられるすべての部品が割り当て(搭載)済みであると判定した場合(St13,YES)、基板グループごとの外段取りグループの情報を含む段取りテーブルを作成し、表示部34に出力する。
【0117】
一方、管理コンピュータ3は、各外段取りグループに属する複数種類の基板の生産に用いられるすべての部品が割り当て(搭載)済みでないと判定した場合(St13,NO)、すべての部品が割り当て済みでないと判定されたいずれか1つの外段取りグループ(例えば、図11に示す外段取りグループGR12)を選択する(St14)。ここで、図11を参照して、すべての部品が割り当て済みでないと判定された外段取りグループGR12について説明する。図11は、実施の形態1に係る管理コンピュータ3の動作手順(ステップSt14)例を説明する図である。
【0118】
管理コンピュータ3は、ステップSt14の処理において、基板グループの生産に用いられるすべての部品が割り当て済みでないいずれか1つの外段取りグループとしてグループ「1」で示される1番目の外段取りグループGR12を選択する。外段取りグループGR12において、拡張されたスロットのそれぞれに搭載されていた部品P11,P12,…P16,…PG1,…PG6のそれぞれは、複数の部品配置テーブルTBA11~TBA13,TBB11~TBB13に未割り当ての状態である。
【0119】
管理コンピュータ3は、選択された外段取りグループGR12に対して1つ以上の内段取りグループを作成する内段取りグループ作成処理に移行する(St15)。なお、以下に示す説明は、一例として、図11に示す外段取りグループGR12に対して作成される内段取りグループの作成処理について説明する。
【0120】
管理コンピュータ3は、この外段取りグループGR12の内段取りグループの数を初期化(つまり、内段取りグループの数を0(ゼロ)個に初期化)する(St16)。
【0121】
管理コンピュータ3は、この外段取りグループGR12の内段取りグループの数をインクリメントし(St17)、インクリメント後の内段取りグループの数が事前に設定された内段取りグループの数の上限値以上であるか否かを判定する(St18)。なお、この内段取りグループの数の上限値は、作業者により設定されて、管理記憶部32における段取り上限回数情報32cに記憶される。作業者は、内段取り回数の上限値を設定することにより、内段取りの回数が増加することによる段取り工数の増加を抑制できるとともに、内段取りを行う作業者の人数、配置等を調整しやすくなる。
【0122】
管理コンピュータ3は、ステップSt18の処理において、インクリメント後の内段取りグループの数が事前に設定された内段取りグループの数の上限値以上であると判定した場合(St18,YES)、段取りテーブルが作成不可である旨を通知するエラー通知を作成して、表示部34に出力する(St19)。
【0123】
一方、管理コンピュータ3は、ステップSt18の処理において、インクリメント後の内段取りグループの数が事前に設定された内段取りグループの数の上限値以上でないと判定した場合(St18,NO)、現在設定されている内段取りグループの数(つまり、内段取りの回数)で基板グループに含まれるいずれか1種類の基板を生産可能となるように複数の台車のそれぞれの内段取りグループGR131,…,GR13Gを作成する(St20)。
【0124】
ここで、図12を参照して、ステップSt20の処理で作成される内段取りグループについて説明する。図12は、実施の形態1に係る管理コンピュータ3の動作手順(ステップSt20)例を説明する図である。なお、ここではG個(g:1以上の整数)の内段取りグループが作成される例について説明する。また、以下に示す部品P11,P12,P13,P14,P15,P16,PG1,PG2,PG3,PG4,PG5,PG6のそれぞれは、異なる種類の部品(キャリヤテープ)を示す。
【0125】
管理コンピュータ3は、G回の内段取りによる1つ以上の部品(キャリヤテープ)の交換により基板グループに含まれるすべての基板の生産を実行可能にするために、G個の内段取りグループGR131,…,GR13Gのそれぞれを作成する。例えばグループ「1-1」で示される1回目の内段取りグループGR131は、部品配置テーブルTBA11に部品P11、部品配置テーブルTBA12に部品P12、部品配置テーブルTBA13に部品P13、部品配置テーブルTBB11に部品P14、部品配置テーブルTBB12に部品P15、部品配置テーブルTBB13に部品P16がそれぞれ割り当てられて作成される。また、グループ「1-G」で示されるG回目の内段取りグループGR13Gは、部品配置テーブルTBAG1に部品PG1、部品配置テーブルTBAG2に部品PG2、部品配置テーブルTBAG3に部品PG3、部品配置テーブルTBBG1に部品PG4、部品配置テーブルTBBG2に部品PG5、部品配置テーブルTBBG3に部品PG6がそれぞれ割り当てられて作成される。
【0126】
管理コンピュータ3は、ステップSt20の処理で作成されたすべての内段取りグループGR131,…,GR13Gのそれぞれの複数の台車の部品配置テーブルに基づいて、基板グループ(例えば、外段取りグループGR12により生産される基板グループ)に含まれるすべての基板の生産に用いられるすべての部品を搭載しているか否かを判定する(St21)。
【0127】
管理コンピュータ3は、ステップSt21の処理で基板グループに含まれるすべての基板の生産に用いられるすべての部品を搭載していると判定した場合(St21,YES)、作成された内段取りグループGR131,…,GR13Gのそれぞれの情報を含む外段取りグループGR12を作成する。管理コンピュータ3は、ステップSt13の処理に移行し、作成されたすべての外段取りグループGR12,…,GRN2における複数の台車のそれぞれの部品配置テーブルに基づいて、各外段取りグループGR12,…,GRN2にすべての基板の生産に用いられるすべての部品が割り当て(搭載)済みであるか否かを再定する。
【0128】
一方、管理コンピュータ3は、ステップSt21の処理で基板グループの生産に用いられるすべての部品を搭載していないと判定した場合(St21,NO)、ステップSt17の処理に移行し、現在設定されている内段取りグループの数をインクリメントして、再度内段取りグループの作成処理を実行する。
【0129】
ここで、図15を参照して、従来作成されていた段取りテーブルと実施の形態1に係る管理コンピュータ3により作成された段取りテーブルG0との違いについて説明する。図15は、従来の段取りテーブルと実施の形態1における段取りテーブルG0との違いを説明する図である。
【0130】
作業者は、生産に用いられる部品リスト、あるいは部品配置等が類似する複数種類の基板のそれぞれを含む複数の基板グループの情報を管理コンピュータ等に入力していた。従来、管理コンピュータは、作業者により入力された複数の基板グループの情報に基づいて、基板グループのそれぞれに対応する外段取り用の段取りテーブルとして複数の外段取りグループOGA1,OGA2,OGA3,OGA4,OGA5,OGA6のそれぞれを作成して出力する。
【0131】
一方、本実施の形態1に係る管理コンピュータ3は、上述したように作業者により入力されたすべての基板の生産データあるいは複数の台車S1,…のそれぞれの部品配置テーブルに基づいて、外段取り工数が最小となるように複数の外段取りグループOG1~OG3のそれぞれを作成し、作成された複数の外段取りグループOG1~OG3のそれぞれに対応する複数の内段取りグループを作成する。例えば、図15に示す例において、管理コンピュータ3は、外段取りグループOG1に対して4つの内段取りグループIG11~IG14のそれぞれを作成し、外段取りグループOG2に対して4つの内段取りグループIG21~IG24のそれぞれを作成し、外段取りグループOG3に対して4つの内段取りグループIG31~IG34のそれぞれを作成する。管理コンピュータ3は、作成された複数の外段取りグループOG1~OG3のそれぞれと、複数の外段取りグループOG1~OG3のそれぞれに対応する1つ以上の内段取りグループとを含む段取りテーブルG0を作成して出力する。なお、図15に示す例では、各外段取りグループOG1~OG3のそれぞれに対して4つの内段取りグループを作成する例を示しているが、各外段取りグループに対して作成される内段取りグループの数はそれぞれ異なってよい。例えば、管理コンピュータ3は、外段取りグループOG1に対して3つの内段取りグループを作成し、外段取りグループOG2に対して2つの内段取りグループを作成し、外段取りグループOG1に対して4つの内段取りグループを作成してもよい。
【0132】
以上により、実施の形態1に係る管理コンピュータ3は、複数種類の基板のそれぞれの生産に用いられ、外段取りおよび内段取りを含むすべての段取りの段取り工数をまとめて最適化した段取りテーブルを自動作成できる。したがって、実施の形態1に係る管理コンピュータ3により作成された段取りテーブルG0を用いて行われる場合の段取り工数T1は、従来の方法により作成された段取りテーブル(つまり、複数の外段取りグループOGA1~OGA6のそれぞれ)を用いて行われる段取り工数T2よりも短くなり、段取り工数を削減できる。
【0133】
さらに、実施の形態1に係る管理コンピュータ3により作成された段取りテーブルG0は、外段取りおよび内段取りを含むすべての段取りの段取り工数がまとめて最適化されるため、実装ラインを構成する各種装置の設備停止時間を短くできる。また、作業者は、事前に内段取りの上限回数をより少なく設定した場合には、一度に行う外段取り作業量を増やして他の作業(業務)に割り当て可能な作業時間を確保できる。一方、作業者は、段取り作業を行う作業員が少ない場合等に事前に内段取りの上限回数をより多く設定し、一度に行う外段取り作業量を減らして、細かな内段取り作業を行って各部品実装装置の設備停止時間を短くできる。
【0134】
また、管理コンピュータ3は、作業者により事前に内段取りの上限回数が設定されている場合には、この上限回数以下の内段取りグループを含む各外段取りグループを作成することで、内段取りの回数の増加を抑制して段取りテーブルを作成できる。つまり、管理コンピュータ3は、複数種類の基板のそれぞれを生産する実装ラインの稼働率を向上させることができるとともに、段取り工数の削減による基板の生産性を向上させることができる。したがって、作業者は、生産対象であるすべての基板の生産に用いられる部品リストを照合したり、部品リストに含まれる共通部品を洗い出して基板グループを作成したりする段取りテーブルの作成に要する手間を削減できる。また、作業者は、作成された段取りテーブルに基づいて、段取り作業を行う作業者の選定、各作業者が担当する段取り作業の振り分け等をより行いやすくなる。
【0135】
(実施の形態1の変形例1)
上述した実施の形態1に係る管理コンピュータ3は、作業者により入力された複数種類の基板に対して、1つの段取りテーブル(例えば、図6Aに示す段取りテーブルG0)を作成する例を示した。実施の形態1の変形例1に係る管理コンピュータ3は、作業者により入力された複数種類の基板に対して、拡張されるスロット数が異なる2つ以上の段取りテーブル候補(例えば、図18に示す複数の段取りテーブル候補G1,…,GMのそれぞれ)を作成する例について説明する。
【0136】
実施の形態1の変形例1に係る管理コンピュータ3は、作業者により事前に拡張されるスロット数について複数の拡張パターン(例えば1個、3個、5個、7個の4パターン等)が設定されている。管理コンピュータ3は、設定された複数の拡張パターンに基づいて、複数の台車のそれぞれの部品配置テーブルが有するスロット数を拡張した拡張台車データのそれぞれを作成する。具体的に、管理コンピュータ3は、複数の拡張パターンとして例えば1個、3個、5個、7個の4パターンが設定されている場合、拡張されたスロット数がそれぞれ異なる4種類の拡張台車データ(つまり、複数の台車のそれぞれの部品配置テーブルが有するスロット数を1個ずつ拡張した複数の拡張台車データのそれぞれと、スロット数を3個ずつ拡張した複数の拡張台車データのそれぞれと、スロット数を5個ずつ拡張した複数の拡張台車データのそれぞれと、スロット数を7個ずつ拡張した複数の拡張台車データのそれぞれ)を作成する。管理コンピュータ3は、上述した異なる拡張パターンごとの段取りテーブル候補を作成して出力する。
【0137】
なお、実施の形態1の変形例1に係る管理コンピュータ3の内部構成は、実施の形態1に係る管理コンピュータ3と同様であるため、説明を省略する。
【0138】
図19に示す実施の形態1の変形例1に係る管理コンピュータ3の動作手順例について、図16図18に示す管理コンピュータ3の各処理を説明する図を参照して説明する。図19は、実施の形態1の変形例1に係る管理コンピュータ3の動作手順例を示すフローチャートである。
【0139】
管理コンピュータ3は、例えば段取りエリアApまたは他のフロア等に配置されて、部品実装装置に未接続状態である台車S1,…のそれぞれの部品配置テーブルTB1,…を取得し、部品配置テーブルTB1,…が示す各台車S1,…のそれぞれが有するスロット数を、事前に設定された各拡張パターン(例えば、図16に示す拡張パターン「1-1」,…,拡張パターン「1-M」等)のそれぞれに基づいて拡張された複数の部品配置テーブルTBC1,…,TBD1,…を有する複数の拡張台車データEX11,…,EXM1のそれぞれを作成する(St30)。
【0140】
ここで、図16を参照して、ステップSt30の処理で実行される拡張処理について説明する。図16は、実施の形態1の変形例1に係る管理コンピュータ3の動作手順(ステップSt30)例を説明する図である。なお、ここではM(M:1以上の整数)個の拡張パターンが設定されており、M種類の拡張台車データを作成する例について説明する。なお、図16では、複数の台車S1,…のそれぞれが同じK個のスロットを備える例を示すが、スロット数は台車ごとに異なってもよい。
【0141】
拡張パターン「1-1」で示される1種類目の拡張台車データEX11は、複数の台車S1,…のそれぞれの部品配置テーブルのスロット数をi(i:1以上の整数)個拡張した部品配置テーブルTBC1,…のそれぞれを有して作成される。作成された拡張台車データEX11における複数の部品配置テーブルTBC1,…のそれぞれは、合計(K+i)個のスロットを有する。また、拡張パターン「1-M」で示されるM種類目の拡張台車データEXM1は、複数の台車S1,…のそれぞれの部品配置テーブルのスロット数をh(h:2以上の整数であって、i<h)個拡張した部品配置テーブルTBC1,…のそれぞれを有して作成される。作成された拡張台車データEXM1における複数の部品配置テーブルTBD1,…のそれぞれは、合計(K+h)個のスロットを有する。
【0142】
管理コンピュータ3は、すべての拡張パターンのそれぞれに対応する拡張台車データEX11,…,EXM1で段取りテーブル候補(つまり、拡張パターンごとの段取りテーブル)を作成済みであるか否かを判定する(St31)。
【0143】
管理コンピュータ3は、ステップSt31の処理において、すべての拡張パターンのそれぞれに対応する拡張台車データEX11,…,EXM1で段取りテーブル候補を作成済みであると判定した場合(St31,YES)、作成されたすべての拡張台車パターンのそれぞれ(つまり、すべての拡張台車データEX11,…,EXM1のそれぞれ)で段取りテーブル候補を管理記憶部32に記憶するとともに、表示部34に出力する(St32)。
【0144】
一方、管理コンピュータ3は、ステップSt31の処理において、すべての拡張台車パターンのそれぞれ(つまり、すべての拡張台車データEX11,…,EXM1のそれぞれ)で段取りテーブル候補を作成済みでないと判定した場合(St31,NO)、すべての拡張パターンのそれぞれのうち段取りテーブル候補が未作成であるいずれか1つの拡張パターン(つまり、拡張台車データ)を選択する(St33)。
【0145】
管理コンピュータ3は、選択された拡張パターンで作成された拡張台車データのそれぞれに基づいて、この拡張台車パターンにおいて段取り作業の工数が最小となる段取りテーブル候補の作成(つまり、すべての基板のそれぞれを生産するための段取り作業の工数が最小となる外段取りグループおよび内段取りグループの作成)を実行する(St100)。なお、ここでいうステップSt100の処理は、実施の形態1で説明したステップSt11~ステップSt21の処理のそれぞれである。
【0146】
ここで、図17を参照して、ステップSt33およびステップSt100の処理で実行される処理について説明する。図17は、実施の形態1に係る管理コンピュータ3の動作手順(ステップ33,ステップSt100)例を説明する図である。なお、図17に示すステップSt33の処理は、一例として図16にパターン拡張パターン「1-1」で示される1種類目の拡張台車データEX11が選択された例を示す。
【0147】
管理コンピュータ3は、選択された拡張台車データEX11に基づいて、ステップSt100の処理を実行し、スロットの拡張数がi個の場合の段取りテーブル候補G1を作成する。なお、図17に示す外段取りグループの数、各外段取りグループに対して作成される内段取りグループの数は一例であってこれに限定されないことは言うまでもない。また、各外段取りグループに対して作成される内段取りグループの数は、作業者により設定された内段取りグループの上限値以下であればよく、同数でなくてよい。
【0148】
段取りテーブル候補G1は、3つの外段取りグループOG11,OG12,OG13のそれぞれを含み、外段取りグループOG11に対して作成された4つの内段取りグループIG111,IG112,IG113,IG114のそれぞれと、外段取りグループOG12に対して作成された4つの内段取りグループIG121,IG122,IG123,IG124のそれぞれと、外段取りグループOG13に対して作成された4つの内段取りグループIG131,IG132,IG133,IG134のそれぞれとの情報を含んで作成される。
【0149】
また、図18を参照して、ステップSt32の処理で実行される処理について説明する。図18は、実施の形態1に係る管理コンピュータ3の動作手順(ステップSt33)例を説明する図である。
【0150】
管理コンピュータ3は、ステップSt32の処理において、ステップSt33およびステップSt100の処理により作成されたすべての拡張パターンに対応する拡張台車データEX11,…,EXM1のそれぞれの段取りテーブル候補G1,…,GMを作成して、出力する。
【0151】
以上により、実施の形態1の変形例1に係る管理コンピュータ3は、事前に設定された各拡張パターンに対応する複数の段取りテーブル候補のそれぞれを作成する。これにより、作業者は、作成された複数の段取りテーブル候補のそれぞれを比較したり、例えば、段取り可能な作業者の人数等の現場の状況にあった段取りテーブルを選択したりできる。
【0152】
(実施の形態1の変形例2)
上述した実施の形態1の変形例1に係る管理コンピュータ3は、各拡張パターンに対応する2つ以上の段取りテーブル候補を作成して出力する例を示した。実施の形態1の変形例2に係る管理コンピュータ3は、作成された各拡張パターンに対応する2つ以上の段取りテーブル候補のうちすべての基板のそれぞれの生産に要する総生産時間が最小となるいずれか1つの段取りテーブル候補を決定して出力する例について説明する。
【0153】
なお、実施の形態1の変形例2に係る管理コンピュータ3の内部構成は、図5に示す段取り工数算出部31b、生産時間算出部31c、総生産時間算出部31d、および段取りテーブル決定部31eが必須の構成となる。
【0154】
図20を参照して、実施の形態1の変形例2に係る管理コンピュータ3の動作手順例について説明する。図20は、実施の形態1の変形例2に係る管理コンピュータ3の動作手順例を示すフローチャートである。なお、図20に示すステップSt200の処理は、図19に示す実施の形態1の変形例1に係る管理コンピュータ3の動作手順により実行される2つ以上の段取りテーブル候補の作成処理であるため、詳細な説明を省略する。
【0155】
管理コンピュータ3は、作成された各拡張パターンに対応する複数の段取りテーブル候補G1,…,GMのそれぞれに基づいて、段取りテーブル候補G1,…,GMごとに外段取り工数(時間)と内段取り工数(時間)とを算出する(St41)。例えば、管理コンピュータ3は、各段取りテーブル候補G1,…,GMのそれぞれに含まれる外段取りグループのそれぞれの外段取り工数と、各外段取りグループに含まれる内段取りグループのそれぞれの内段取り工数とを算出する。
【0156】
管理コンピュータ3は、各基板の1枚当たりの部品の実装時間(サイクルタイム)と、各種の基板の生産枚数とに基づいて、各基板の生産(つまり、複数の部品実装装置M3~M6のそれぞれにより実行される部品の実装工程)に要する生産時間を算出する(St42)。
【0157】
管理コンピュータ3は、段取りテーブル候補G1,…,GMのそれぞれの各外段取りグループにおける外段取り工数のそれぞれ、および各内段取りグループの内段取り工数のそれぞれと、各基板の生産時間とに基づいて、各基板の生産に要する総生産時間(つまり、外段取りを開始してから各部品実装装置M3~M6のそれぞれがすべての基板に部品の実装が完了するまでの合計時間)を算出する(St43)。
【0158】
管理コンピュータ3は、段取りテーブル候補G1,…,GMごとに算出された総生産時間に基づいて、総生産時間が最小となるいずれか1つの段取りテーブル候補を決定して、出力する(St44)。
【0159】
以上により、実施の形態1の変形例2に係る管理コンピュータ3は、作成された各拡張パターンに対応する複数の段取りテーブル候補のそれぞれのうちすべての基板を生産に要する総生産時間が最小となるいずれか1つの段取りテーブル候補を出力できる。これにより、作業者は、総生産時間が最小となる段取りテーブルを容易に取得できる。
【0160】
なお、作業者により外段取り工数(時間)と内段取り工数(時間)との総段取り工数が設定されている場合、管理コンピュータ3は、設定された総段取り工数(時間)以下、かつ、算出された生産時間が最小となる1つの段取りテーブル候補を決定して出力してもよい。これにより、実施の形態1の変形例2に係る管理コンピュータ3は、作業者の段取り作業に要する時間の上限として設定された総段取り工数(時間)を満たす段取りテーブル候補を作成できる。また、作業者は、総段取り工数(時間)以下の段取りテーブル候補を取得できるため、段取り作業以外の各種作業(例えば、フロアF内のいずれかの設備で異常が発生した場合等の作業等)に対応する時間を確保することができる。したがって、実施の形態1の変形例2に係る管理コンピュータ3は、作業者により行われる段取り作業以外の各種作業に対応する時間の確保を支援できる。
【0161】
以上により、実施の形態1、実施の形態1の変形例1および変形例2に係る管理コンピュータ3は、複数種類の基板の生産に用いるキャリヤテープ15(つまり、部品)を配置可能な複数のスロットSR1,…を有する台車S1,…が着脱自在な部品実装装置M3~M6との間で通信可能である。管理コンピュータ3における段取りテーブル作成部31a(外段取りグループ作成部および内段取りグループ作成部の一例)は、複数種類の基板を、台車S1,…が部品実装装置M3~M6に接続されていない状態で複数のスロットSR1,…の少なくとも1つのスロットにキャリヤテープ(部品)を配置する外段取りを異なる種類の基板の生産間で行う複数の外段取りグループOG1,…を作成し、複数の外段取りグループOG1,…のうち少なくとも1つの外段取りグループに属する複数種類の基板を用いて、台車が部品実装装置に接続された状態で複数のスロットSR1,…の少なくとも1つのスロットのキャリヤテープ15(部品)を入れ替える内段取りを1つの外段取りグループに対応付けて少なくとも1つの内段取りグループ(例えば、図6Aに示す1つの外段取りグループOG1に対応する4つの内段取りグループIG11~IG14のそれぞれ)を作成する。
【0162】
これにより、実施の形態1、実施の形態1の変形例1および変形例2に係る管理コンピュータ3は、複数種類の基板のそれぞれの生産に用いられ、外段取りおよび内段取りを含むすべての段取りの段取り工数をまとめて最適化するとともに、外段取りの回数の増加を抑制した段取りテーブル(例えば、図6Aに示す段取りテーブルG0)を自動作成できる。したがって、作業者は、管理コンピュータ3により作成された段取りテーブルを用いることで、基板を生産するための各種装置の設備停止時間をより削減できる。したがって、管理コンピュータ3は、実装ラインを構成する各種装置の稼働率をより向上させて、実装ラインによる基板の生産効率をより向上させることができる。
【0163】
また、以上により、実施の形態1、実施の形態1の変形例1および変形例2に係る管理コンピュータ3は、台車のスロット数を拡張した拡張台車データ(例えば、図8に示すi個のスロットが拡大された部品配置テーブルTBA1,…を有する拡張台車データ)に複数種類の基板のそれぞれの生産に必要なキャリヤテープ15(部品)を配置した複数の外段取りグループを作成し、拡張台車データから台車のスロット数に戻して、少なくとも1つの外段取りグループに対応付けられた複数種類の基板を生産に用いるキャリヤテープ15(部品)を台車のスロット数に収めた少なくとも1つの内段取りグループを作成する。これにより、実施の形態1、実施の形態1の変形例1および変形例2に係る管理コンピュータ3は、外段取りグループに属する複数種類の基板の生産に用いられるキャリヤテープ15(部品)を漏れなく内段取り可能な段取りテーブルを自動作成できる。
【0164】
また、以上により、実施の形態1の変形例1に係る管理コンピュータ3における段取りテーブル作成部31a(拡張スロット変更部の一例)は、拡張台車データの拡張スロット数を変更する。管理コンピュータ3は、設定された複数種類の拡張台車データのそれぞれ(例えば、図16に示す各拡張パターンに対応する拡張台車データEX11,…,EXM1のそれぞれ)を用いて複数の外段取りグループおよび内段取りグループの候補(例えば、図18に示す各拡張パターンに対応する複数の段取りテーブル候補G1,…,GMのそれぞれ)を作成する。これにより、実施の形態1の変形例1に係る管理コンピュータ3は、設定された拡張パターンに基づいて、複数の段取りテーブル候補のそれぞれを作成できる。したがって、作業者は、作成された複数の段取りテーブル候補のそれぞれを比較して、すべての基板の生産を行う現場に適した段取りテーブルを選択できる。
【0165】
また、以上により、実施の形態1の変形例2に係る管理コンピュータ3は、複数の外段取りグループおよび内段取りグループの候補のそれぞれ(例えば、図18に示す各拡張パターンに対応する複数の段取りテーブル候補G1,…,GMのそれぞれ)の総生産時間を算出する総生産時間算出部31dと、総生産時間算出部により算出された複数の外段取りグループおよび内段取りグループの候補のそれぞれのうち総生産時間が最小となる複数の外段取りグループおよび内段取りグループの候補を抽出して出力する段取りテーブル決定部31e(最小生産時間候補抽出部の一例)と、を更に備える。これにより、実施の形態1の変形例2に係る管理コンピュータ3は、作成された各拡張パターンに対応する複数の段取りテーブル候補のそれぞれのうちすべての基板を生産に要する総生産時間が最小となるいずれか1つの段取りテーブル候補を出力できる。
【0166】
以上により、実施の形態1および実施の形態1の変形例1に係る管理コンピュータ3は、内段取りグループの作成数が事前に設定された所定数以上であると判定した場合、内段取りグループを作成不可である旨を通知するエラー通知を作成して出力する。これにより、実施の形態1および実施の形態1の変形例1に係る管理コンピュータ3は、作業者により事前に内段取りの上限回数が設定されている場合には、この上限回数以下の内段取りグループを含む各外段取りグループを作成することで、内段取りの回数の増加を抑制して段取りテーブルを作成できる。つまり、管理コンピュータ3は、外段取りだけでなく内段取りを最適化した段取りテーブルを作成できるため、複数種類の基板のそれぞれを生産する実装ラインの稼働率を向上させることができるとともに、段取り工数の削減による基板の生産性を向上させることができる。
【0167】
以上、添付図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0168】
本開示は、複数種類の基板の生産における外段取りの回数を減らし、基板の生産効率を向上できる段取り決定装置および段取り決定方法として有用である。
【符号の説明】
【0169】
1 部品実装システム
3 管理コンピュータ
31 管理制御部
31a 段取りテーブル作成部
31b 段取り工数算出部
31c 生産時間算出部
31d 総生産時間算出部
31e 段取りテーブル決定部
32 管理記憶部
32a 生産データ
32b グループ情報
32c 段取り上限回数情報
32d 段取りテーブル情報
33 入力部
34 表示部
35 通信部
M3,M4,M5,M6 部品実装装置
G0 段取りテーブル
G1,GM 段取りテーブル候補
S0,S1,S2,S3,S4 台車
SRA,SRB 部品供給部
SRA1,SRA2,SRAK,SRB1,SRB2,SRBK テープフィーダ
SR1,SR2,SRK,SR(K+1),SR(K+i),SR(K+h) スロット
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20