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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20241122BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20241122BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20241122BHJP
   F21V 5/08 20060101ALI20241122BHJP
   G02B 3/08 20060101ALI20241122BHJP
   G02B 5/00 20060101ALI20241122BHJP
   G02B 13/00 20060101ALI20241122BHJP
   G02B 13/18 20060101ALI20241122BHJP
   F21W 131/105 20060101ALN20241122BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241122BHJP
【FI】
F21S2/00 330
F21V5/00 320
F21V5/00 510
F21V5/04 500
F21V5/04 400
F21V5/08
G02B3/08
G02B5/00 Z
G02B13/00
G02B13/18
F21W131:105
F21Y115:10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023139175
(22)【出願日】2023-08-29
(62)【分割の表示】P 2019173720の分割
【原出願日】2019-09-25
(65)【公開番号】P2023160869
(43)【公開日】2023-11-02
【審査請求日】2023-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒木 要介
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 龍馬
(72)【発明者】
【氏名】高田 和政
(72)【発明者】
【氏名】平井 純
(72)【発明者】
【氏名】海路 博司
(72)【発明者】
【氏名】濱野 博司
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-206600(JP,A)
【文献】特開2012-059575(JP,A)
【文献】特開2013-182717(JP,A)
【文献】国際公開第2010/069101(WO,A1)
【文献】再公表特許第2016/171279(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 5/00
F21V 5/04
F21V 5/08
G02B 3/08
G02B 5/00
G02B 13/00
G02B 13/18
F21W 131/105
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、
前記発光素子から出射された光を受けて、第1出射光を出射する第1レンズと、
前記第1出射光を受けて、第2出射光を出射する第2レンズと
を備え、
前記第1レンズは、
前記第1出射光を出射する第1出射面が、前記発光素子の光軸方向に突出する凸形状に形成されており、
前記第1出射面から当該第1レンズの外側に向けて延びており、当該第1レンズに入射した光を前記第1出射面側に反射させる第2反射面を備えることを特徴する照明装置。
【請求項2】
請求項1記載の照明装置において、
前記第1出射面における頂点は、発光素子の光軸上に配置されていないことを特徴とする照明装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の照明装置において、
前記第2レンズは、
前記第1出射光を受ける第2入射面と、
前記第2入射面と対向する位置に設けられており、前記第2出射光を出射する第2出射面と
を備え、
前記第1レンズおよび前記第2レンズが以下の式(1)~(3)の少なくともいずれか一つを満たすように配置されていることを特徴とする照明装置。
0.7×F≦D≦1.3×F …(1)
0.9×F≦D≦1.1×F …(2)
0.95×F≦D≦1.05×F …(3)
ただし、前記第2入射面の頂点と前記第2出射面の頂点との中点を通り、前記光軸方向と垂直をなす平面を主平面としたとき、Dは前記第1出射面の頂点から前記主平面までの距離であり、Fは前記第2レンズの焦点から前記主平面までの距離とする。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項記載の照明装置において、
前記第1レンズは、以下の式(4)を満たすように形成されていることを特徴とする照明装置。
0.003×L≦T …(4)
ただし、Lは前記第1出射面の上下方向の長さであり、Tは前記光軸方向において前記第1出射面の端から頂点までの距離である。
【請求項5】
請求項記載の照明装置において、
前記第1レンズおよび前記第2レンズが以下の式(5)~(7)の少なくともいずれか一つを満たすように配置されていることを特徴とする照明装置。
T≦0.1×F …(5)
T≦0.05×F …(6)
T≦0.02×F …(7)
ただし、Tは前記光軸方向において前記第1出射面の端から頂点までの距離であり、Fは、前記第2入射面の頂点と前記第2出射面の頂点との中点を通り、前記光軸方向と垂直をなす平面を主平面としたとき、前記第2レンズの焦点から前記主平面までの距離である。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項記載の照明装置において、
前記第1出射面は、前記光軸方向から見たときの上下方向の曲率と、当該上下方向および前記光軸方向と垂直をなす方向の曲率とが異なるように形成されていることを特徴とする照明装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項記載の照明装置において、
前記第2レンズは、前記光軸方向から見たときの上下方向の曲率と、当該上下方向および前記光軸方向と垂直をなす方向の曲率が異なるように形成されているアナモルフィックレンズであることを特徴とする照明装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項記載の照明装置において、
表面がウェーブ状に形成され、かつ、前記第2出射光を受けて、前記第2出射光を拡散する拡散板をさらに備えることを特徴とする照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カットオフ機能を有する照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、カットオフ機能を備える照明装置が存在する。例えば、屋外のグラウンドに用いられる投光器等では、グラウンド周辺部へ光が漏れないように、所定方向に照射される光がカットされている。
【0003】
特許文献1では、第1レンズに形成された第2反射面によって、第1レンズの上部に入射された光を下側に反射させて、第2レンズの上部に入射される光をカットしている。また、第2反射面によって反射された光は、第2反射面によって反射されなかった光と重ね合わせられて、第2レンズの下部に入射される。第2レンズの入光部が凸状に形成されているため、第2レンズの側壁(側面部)に対して入射される光を低減できる。これにより、特許文献1では、迷光や光学効率の低下を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-206600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1における第1レンズの出射面は平面となっているが、第1レンズを成形加工で作成すると、第1レンズの出射面にヒケが発生しやすい。特に、第1レンズの製造時間を短縮するために、第1レンズを急激に冷却すると、第1レンズの出射面が凹状になりやすい。
【0006】
また、第2レンズは、金型成形により作成する場合、出射面の上部に加工Rが付与される。第2レンズを、側面部分と出射面部分とで別々に作成することで、加工Rを抑制することもできるが、金型を複数作成しなければならず、コストが大幅に増加する。
【0007】
第1レンズの出射面が凹状となり、第2レンズの出射面に上部に加工Rが付与された場合、発光素子から第1レンズの出射面に入射された光は、第1レンズの凹レンズ効果により、第1レンズの出射面において上側に屈折され、第2レンズの出射面に形成された加工Rにより、第2レンズの出射面においてさらに上側に屈折される。このため、第2レンズの出射面から上方に向けて光が照射されることとなり、迷光が発生することとなる。
【0008】
本発明は、カットオフ機能を有する照明装置において、コストを抑えつつ、迷光の発生を抑えることができる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の一実施形態に係る照明装置は、発光素子と、前記発光素子から出射された光を受けて、第1出射光を出射する第1レンズと、前記第1出射光を受けて、第2出射光を出射する第2レンズとを備える。前記第1レンズは、前記第1出射光を出射する第1出射面が、前記発光素子の光軸方向に突出する凸形状に形成されており、前記第1出射面から当該第1レンズの外側に向けて延びており、当該第1レンズに入射した光を前記第1出射面側に反射させる第2反射面を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る照明装置の側面図。
図2】本実施形態に係る第2レンズと拡散板との平面図。
図3】従来の照明装置の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0012】
図1は本実施形態に係る照明装置の側面図を示し、図2は本実施形態に係る第2レンズと拡散板との平面図を示す。図1に示すように、本照明装置は、発光素子1と、第1レンズ2と、第2レンズ3と、拡散板4とを備える。なお、以下の説明において、Z方向は発光素子1の光軸が延びる方向、Y方向は上下方向、X方向はY方向およびZ方向と垂直をなす方向をそれぞれ示す。また、第1レンズ2、第2レンズ3および拡散板4は、それぞれ、透明な樹脂を用いて作成される。第1レンズ2、第2レンズ3および拡散板4は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリ塩化ビニール、ABS樹脂、アクリル、ポリアミド、ポリーカーボネード、テフロン(登録商標)等を用いて作成される。
【0013】
発光素子1は、LED等で構成され、Z方向に光軸を有する。
【0014】
第1レンズ2は、発光素子1から出射された光を受けて、第2レンズ3に第1出射光を出射する。具体的に、第1レンズ2は、第1入射口21と、第1出射面22と、第1入射口21と第1出射面22との間に設けられた第1側面部23とを有する。
【0015】
第1入射口21は、第1レンズ2の図面左側に形成されており、発光素子1を囲むように凹状に形成されている。第1入射口21は、発光素子1から出射された光を受ける。
【0016】
第1側面部23は、第1反射面24と、第2反射面25とを含む。
【0017】
第1反射面24は、第1入射口21の開口の上端部から図面右斜め上方およびX方向に広がるように形成されている。第1反射面24は、第1入射口21から第1レンズ2に入射した光を、第1出射面22側または第2反射面25側に反射させる。
【0018】
第2反射面25は、第1出射面22の下端部から図面左斜め下方およびX方向に広がるように形成されている。第2反射面25は、第1入射口21から第1レンズ2に入射した光を、第1出射面22側に反射させる。また、第2反射面25は、第1反射面24によって反射された光を第1出射面22側に反射させる。
【0019】
第1出射面22は、第1レンズ2の図面右側に形成されている。第1出射面22は、発光素子1から出射された光、第1反射面24により反射された光、および、第2反射面25により反射された光を、第1出射光として第2レンズ3に出射する。また、第1出射面22は、X方向における曲率と、Y方向における曲率とが異なるように形成されている。
【0020】
第1レンズ2では、発光素子1から図面下側に向かって出射された光は、第2反射面25によって反射され、第1出射面22から図面上側に向かって出射される。このため、第2反射面25によって、第1出射面22から図面下側に向かって出射される光がカットされる。
【0021】
また、発光素子1から図面上側に向かって出射された光は、第1反射面24によって図面下側に向かって反射され、第2反射面25によって図面上側に向かって反射されるため、第1出射面22から図面上側に向かって出射される。このため、第1反射面24および第2反射面25によって、照明装置の光学効率を高めることができる。
【0022】
第2レンズ3は、第1レンズ2から出射された第1出射光を受けて、第2出射光を出射する。第2レンズ3は、Y方向とX方向とで曲率の異なるアナモルフィックレンズである。
【0023】
具体的に、第2レンズ3は、第2入射面31と、第2出射面32と、第2入射面31と第2出射面32との間に設けられた第2側面部33とを有する。
【0024】
第2入射面31は、第2レンズ3の図面左側に形成されており、Z方向に凸となるように形成されている。第2入射面31は、第1レンズ2の第1出射面22から出射された第1出射光を受ける。
【0025】
第2出射面32は、第2レンズ3の図面右側に形成されており、Z方向に凸となるように形成されている。第2出射面32は、第2レンズ3に入射した光を第2出射光として出射する。
【0026】
また、第2レンズ3の図面下側(第2出射面32の下部)には、レンズ加工部34がある。レンズ加工部34は、第2レンズ3が一体成形により作成された場合、第2出射面32においてRが付与される部分である。第1レンズ2の第1出射面22から出射された光は、レンズ加工部34に入射すると、迷光となる。
【0027】
拡散板4は、X方向およびY方向に延びるように形成された板状の部材である。拡散板4は、第2レンズ3から出射された第2出射光を受け、第2出射光をX軸方向に拡散させる。具体的に、拡散板4は、第2レンズ3側の表面41がウェーブ状になっている。このため、第2出射光は、拡散板4に入射すると、第2レンズ3の表面41によってX方向に拡散される。
【0028】
図3は従来の照明装置の側面図を示す。図3では、第1レンズ2aは、成形加工で作成されているため、第1出射面22aが凹状となっている。また、出射光R1は、第1出射面22aが平面である場合の出射光であり、出射光R2は、実際の出射光である。
【0029】
発光素子1から第1レンズ2aに入射され、第1反射面24によって反射された出射光R2は、第1出射面22aの凹レンズ効果により、第1出射面22aからの出射方向が、出射光R1よりも図面下側となっている。また、出射光R2は、第2レンズ3のレンズ加工部34に入射しているため、出射光R1よりもさらに図面下側に向かって出射される。このため、出射光R2は迷光となる。
【0030】
そこで、図1では、第1レンズ2の第1出射面22が凸状となるように、第1レンズ2が作成されている。
【0031】
図1に示すように、発光素子1から第1レンズ2に入射され、第1レンズ2の第1反射面24によって反射された出射光R3は、第1出射面22から出射される。このとき、第1出射面22は凸状に形成されているため、図3の出射光R2よりも図面上側に向かって屈折される。これにより、出射光R3は、第2レンズ3のレンズ加工部34に入射されないように、第2出射面32に入射される。すなわち、第1出射面22を凸状に形成することで、出射光R3が迷光とならない。したがって、カットオフ機能を有する照明装置において、コストを抑えつつ、迷光の発生を抑えることができる。
【0032】
ここで、第1レンズ2と第2レンズ3との関係を説明する。
【0033】
第1レンズ2と第2レンズ3とは、以下の式(1)~(3)の少なくともいずれか1つを満たすように配置される。
【0034】
0.7×F≦D≦1.3×F …(1)
0.9×F≦D≦1.1×F …(2)
0.95×F≦D≦1.05×F …(3)
ただし、Dは第2レンズ3の主平面Sから第1レンズ2の第1出射面22の頂点p1までの距離であり、Fは第2レンズ3の主平面Sから第2レンズの焦点fまでの距離である。
【0035】
なお、第2レンズ3の主平面Sは、第2レンズ3の第2入射面31の頂点p2と、第2出射面32の頂点p3との中点p4を通って、Z方向(発光素子1の光軸が延びる方向)と垂直をなす平面である。また、頂点p1は、第1出射面22において、第2レンズ3からZ方向に最も近い点である。頂点p2は、第2入射面31において、第1レンズ2からZ方向に最も近い点である。頂点p3は、第2出射面32において、第1レンズ2からZ方向に最も離れた点である。焦点fは、拡散板4側から第2レンズ3に対してZ方向に沿って入射した光が、集まる点である。
【0036】
照明装置により高度な配光性能を備えるためには、式(1)を満たすことが好ましく、式(2)を満たすことがさらに好ましく、式(3)を満たすことがさらに好ましい。
【0037】
また、第1レンズ2は、以下の関係を満たすように作成される。
【0038】
0.003×L≦T …(4)
ただし、Lは、第1出射面22におけるY方向の長さである。また、Tは、第1出射面22の端(第2レンズ3からZ方向に最も離れた点)から頂点p1までのZ方向の距離である。これにより、第1レンズ2の作成時における、第1出射面22の歪みを抑制することができる。
【0039】
また、第1レンズ2および第2レンズ3は、以下の式(5)~式(7)を満たすように、作成および配置される。
【0040】
T≦0.1×F …(5)
T≦0.05×F …(6)
T≦0.02×F …(7)
これにより、照明装置により高度な配光性能を備えることができる。照明装置により高度な配光性能を備えるためには、式(5)を満たすことが好ましく、式(6)を満たすことがさらに好ましく、式(7)を満たすことがさらに好ましい。
【0041】
(その他の実施形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施形態について説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用可能である。
【0042】
なお、上記実施形態において、第1レンズ2は、金型などにより成形する成形工程の後、第1レンズ2を冷却する冷却工程を経て、作成される。ここで、第1レンズ2の第1出射面22は、必ずしも、使用時に凸状に形成されている必要はなく、製造時(特に成形工程時)に凸状に作成されていればよい。これにより、第1レンズ2の第1出射面22が凹状となることを防止することができるため、第2レンズ3のレンズ加工部34に光が入射することを防止することができ、上記の効果を得ることができる。
【0043】
また、上記実施形態において、拡散板4を備えなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の照明装置は、車両用前照灯やグラウンドに設置される投光器など、カットオフ機能を有する照明装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 発光素子
2 第1レンズ
3 第2レンズ
4 拡散板
22 第1出射面
31 第2入射面
32 第2出射面
34 レンズ加工部
図1
図2
図3