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特許7591753屠殺履歴情報を利用した低炭素製品認証方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】屠殺履歴情報を利用した低炭素製品認証方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/26 20240101AFI20241122BHJP
【FI】
G06Q50/26
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023577615
(86)(22)【出願日】2021-09-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(86)【国際出願番号】 KR2021012455
(87)【国際公開番号】W WO2022265157
(87)【国際公開日】2022-12-22
【審査請求日】2023-12-13
(31)【優先権主張番号】10-2021-0078184
(32)【優先日】2021-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】523470430
【氏名又は名称】インダストリアル コーオペレイション ファウンデーション チョンブク ナショナル ユニバーシティ
(73)【特許権者】
【識別番号】523470441
【氏名又は名称】メリエンス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リ、ハク キョ
(72)【発明者】
【氏名】ホ、ジェ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、キ ドク
(72)【発明者】
【氏名】シン、ドン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ジン ウォン
【審査官】塚田 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-134152(JP,A)
【文献】特開2020-000096(JP,A)
【文献】特開2009-230237(JP,A)
【文献】農林水産省生産局畜産部,温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル (畜産編),2011年07月31日,第1-33頁,インターネット:<URL:https://www.maff.go.jp/j/chikusan/kankyo/taisaku/pdf/ontaihou_manu.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象個体の畜産物に対する認証を遂行するシステムで遂行される方法であって、
対象個体と同一の家畜種類の個体の集団である基準集団の屠殺履歴情報を利用して、基準集団の1日平均炭素排出量に関連した情報である基準炭素排出量情報を獲得する段階;
対象個体の屠殺履歴情報と前記獲得された基準炭素排出量情報を利用して、対象個体の重量当たり炭素排出量に関連した情報である対象炭素排出量情報を導き出す段階;および
対象炭素排出量情報の値が基準値以下に減少する場合、対象個体の畜産物を低炭素認証畜産物として認証する段階;を含む、方法。
【請求項2】
前記獲得する段階は、基準集団の平均屠体重(W1R)または平均精肉量(W2R)と、基準集団の平均屠殺日齢(D)をそれぞれ含む基準集団の屠殺履歴情報を利用する段階を含み、
前記導き出す段階は、対象個体の屠体重(W10)または精肉量(W20)と、対象個体の屠殺日齢(D)をそれぞれ含む対象個体の屠殺履歴情報を利用する段階を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記獲得する段階は、基準集団の平均屠体重(W1R)または平均精肉量(W2R)に比例し、基準集団の平均屠殺日齢(D)に反比例する値を有するように基準炭素排出量情報を計算する段階を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記導き出す段階は、基準炭素排出量情報の値を反映するものの、対象個体の屠体重(W10)または精肉量(W20)により反比例し、対象個体の屠殺日齢(D)により比例する値を有するように対象炭素排出量情報を計算する段階を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記基準値は基準集団の平均重量当たり炭素排出量情報の値より小さい値を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記基準値は基準集団の平均重量当たり炭素排出量情報の値から基準集団の平均重量当たり炭素排出量情報の値に対する特定比率だけの値を差し引いた値を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記基準集団の個体はその畜産物の品質によりn個の等級(nは2以上の自然数)に分けられるものの、前記対象個体はn個の等級のうちいずれか一つに決定され、
前記獲得する段階は、基準集団の個体の中で同一等級の個体が属するn個のグループに分けてグループ別に該当グループ内の個体に対する屠殺履歴情報を利用して、各等級に対する基準炭素排出量情報を獲得し、
前記導き出す段階は、対象個体の屠殺履歴情報と、対象個体が属する等級に対する基準炭素排出量情報を利用して、対象炭素排出量情報を導き出す、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記基準集団の個体はその畜産物の品質によりn個の等級(nは2以上の自然数)に分けられるものの、前記対象個体はn個の等級のうちいずれか一つに決定され、
前記獲得する段階は、基準集団の個体の中で対象個体が属する等級と同じ等級を有するグループの個体に対する屠殺履歴情報を利用して、対象個体が属する等級に対する基準炭素排出量情報を獲得し、
前記導き出す段階は、対象個体の屠殺履歴情報と、対象個体が属する等級に対する基準炭素排出量情報を利用して、対象炭素排出量情報を導き出す、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記認証する段階は対象個体が属する等級により互いに異なる基準値を適用する段階を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記各等級に対する基準値は該当グループの平均重量当たり炭素排出量情報の値から該当グループの平均重量当たり炭素排出量情報の値に対する特定比率だけの値を差し引いた値を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記特定比率は各等級に対して互いに同一の比率値が適用されるか、少なくとも2個の等級に対して互いに異なる比率値が適用される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記低炭素認証畜産物の炭素減縮量に基づいて炭素排出権の取引を遂行する取引システムに前記低炭素認証畜産物に対する認証情報を伝送する段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記認証情報を伝送する段階は、前記低炭素認証畜産物の炭素減縮量情報を計算して前記認証情報とともに伝送する段階を含み、
前記取引システムは前記低炭素認証畜産物の炭素減縮量情報に基づいて炭素排出権の取引を遂行するものの、先物取引を遂行する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
対象個体の屠殺履歴情報と、対象個体と同一の家畜種類の個体の集団である基準集団の屠殺履歴情報を保存したメモリ;および
前記保存された情報を利用して処理する制御部;を含み、
前記制御部は、
基準集団の屠殺履歴情報を利用して、基準集団の1日平均炭素排出量に関連した情報である基準炭素排出量情報を獲得するように制御し、
対象個体の屠殺履歴情報と前記獲得された基準炭素排出量情報を利用して、対象個体の単位重量当たり炭素排出量に関連した情報である対象炭素排出量情報を導き出すように制御し、
対象炭素排出量情報の値が基準値以下に減少する場合、対象個体の畜産物を低炭素認証畜産物として認証するように制御する、システム。
【請求項15】
対象個体の畜産物に対する認証を遂行する認証システム;および
認証システムで認証された畜産物の炭素減縮量に基づいて炭素排出権の取引を遂行する取引システム;を含み、
前記認証システムは、
対象個体と同一の家畜種類の個体の集団である基準集団の屠殺履歴情報を利用して、基準集団の1日平均炭素排出量に関連した情報である基準炭素排出量情報を獲得し、
対象個体の屠殺履歴情報と前記獲得された基準炭素排出量情報を利用して、対象個体の単位重量当たり炭素排出量に関連した情報である対象炭素排出量情報を導き出し、
対象炭素排出量情報の値が基準値以下に減少する場合、対象個体の畜産物を低炭素認証畜産物として認証する、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は温室ガス減縮技術に関し、さらに詳細には、屠殺履歴情報を利用して低炭素製品を認証する方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
産業の発達につれてその排出量が急増している温室ガスは、気候変化に大きな影響を及ぼしている。そこで、世界各国は温室ガス減縮のために努力し続けている。すなわち、世界各国は気候協約を締結して2030年までに炭素排出量を50%減縮することを目標としている。
【0003】
例えば、全地球の人為的な炭素排出量は年間約500億トン以上(二酸化炭素相当量)に達し、その中で畜産分野の炭素排出量は約16.5%を占める。また、畜産分野の炭素排出量のうち肉類関連部門の比重は61%を越える(FAO、2017)。畜産分野の炭素排出量の比重が大きい理由は、家畜の腸内発酵、糞尿、糞尿処理過程中に温室ガス効果の高いメタン(二酸化炭素の約28倍)が多く発生するためである。例えば、2匹の牛が放出する炭素排出量は車両1台に匹敵する(FAO、2020)。
【0004】
一方、炭素排出権の価格は毎年増加している。特に、全地球の畜産分野の炭素排出量は年間約80億トンにのぼる。これを50%減縮すれば、年間約40億トンの炭素排出量を減らすことが出来るため、それにともなう気候変化の減少と新規の炭素排出権市場の形成などの低炭素経済発展に寄与することができる。例えば、畜産分野で炭素排出量を40億トン減縮時、2021年基準、年間約2,000億ドル(220兆ウォン)の炭素排出権が形成されて炭素経済関連の新規雇用創出と低炭素産業生態系を構築することができる。
【0005】
このような畜産分野での炭素排出量減縮のための努力の一環として、特定の飼料を通じて家畜のメタン排出量を低減するための韓国特許出願公開第10-2014-0055882号などの従来技術がある。しかし、このような従来技術の場合、畜産物の生産過程に投入される飼料などの原材料・副資材の量を基準としてのみ炭素排出減少量を計算できるため、技術的、費用的な側面ですべての家畜に適用できない問題点がある。
【0006】
また、低炭素畜産業達成のために、低炭素畜産物に対して認証を付与したりもする。この時、低炭素認証は個別品目別実際の炭素排出量が設定された基準炭素排出量情報より一定以上減少(例えば、3%以上減少)する場合に付与され得る。ただし、工業製品は個別品目別基準炭素排出量と各生産工場で生産される同一品目の炭素排出量を計算して比較することができ、作物(米、豆など)は単位面積当たり同一品目の炭素排出量を計算して比較することができる。しかし、韓牛(または肉牛)等の家畜は同じ農場で同じ生産工程で飼育されても、個体の遺伝形質により生産される肉量が異なるという特性を有し、このような生産効率の差は牛肉1kg精肉生産当たり炭素排出量が変わるようにする。
【0007】
これに伴い、牛肉などのような畜産物に対する理想的な低炭素認証のために、韓牛個体別に炭素排出量を生涯の全周期的に測定し、屠殺時に生産される肉量で割る方式で個体別単位牛肉当たり炭素排出量を計算することができる。国全体の韓牛に対してこのような方法を使って、単位牛肉当たり平均炭素排出量を算定することができ、平均より一定以上減少する場合、低炭素認証を与えるのである。
【0008】
しかし、現在は、屠殺時に生産される肉量は測定できるものの、すべての韓牛(または肉牛)の生涯の全周期的炭素排出量を測定することは技術的、費用的な側面で不可能であるのがな実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】韓国特許出願公開第10-2014-0055882号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記のような従来技術の問題点を解決するために、本発明は畜産物の屠殺履歴情報を利用して個体別炭素排出量を算出し、これに基づいて畜産分野の低炭素製品認証を遂行する技術を提供することにその目的がある。
【0011】
ただし、本発明が解決しようとする課題は以上で言及した課題に制限されず、言及されていないさらに他の課題は下記の記載から本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に明確に理解され得るであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記のような課題を解決するための本発明の一実施例に係る方法は、対象個体の畜産物に対する認証を遂行するシステムで遂行される方法であって、対象個体と同一の家畜種類の個体の集団である基準集団の屠殺履歴情報を利用して、基準集団の1日平均炭素排出量に関連した情報である基準炭素排出量情報を獲得する段階;対象個体の屠殺履歴情報と前記獲得された基準炭素排出量情報を利用して、対象個体の重量当たり炭素排出量に関連した情報である対象炭素排出量情報を導き出す段階;および対象炭素排出量情報の値が基準値以下に減少する場合、対象個体の畜産物を低炭素認証畜産物として認証する段階;を含む。
【0013】
前記獲得する段階は、基準集団の平均屠体重W1Rまたは平均精肉量W2Rと、基準集団の平均屠殺日齢Dをそれぞれ含む基準集団の屠殺履歴情報を利用する段階を含むことができる。
【0014】
前記導き出す段階は、対象個体の屠体重W10または精肉量W20と、対象個体の屠殺日齢Dをそれぞれ含む対象個体の屠殺履歴情報を利用する段階を含むことができる。
【0015】
前記獲得する段階は、基準集団の平均屠体重W1Rまたは平均精肉量W2Rに比例し、基準集団の平均屠殺日齢Dに反比例する値を有するように基準炭素排出量情報を計算する段階を含むことができる。
【0016】
前記導き出す段階は、基準炭素排出量情報の値を反映するものの、対象個体の屠体重W10または精肉量W20により反比例し、対象個体の屠殺日齢Dにより比例する値を有するように対象炭素排出量情報を計算する段階を含むことができる。
【0017】
前記基準値は基準集団の平均重量当たり炭素排出量情報の値より小さい値を有することができる。
【0018】
前記基準値は基準集団の平均重量当たり炭素排出量情報の値から基準集団の平均重量当たり炭素排出量情報の値に対する特定比率だけの値を差し引いた値を有することができる。
【0019】
前記基準集団の個体はその畜産物の品質によりn個の等級(nは2以上の自然数)に分けられるものの、前記対象個体はn個の等級のうちいずれか一つに決定され得る。
【0020】
前記獲得する段階は、基準集団の個体の中で同一等級の個体が属するn個のグループに分けてグループ別に該当グループ内の個体に対する屠殺履歴情報を利用して、各等級に対する基準炭素排出量情報を獲得することができる。
【0021】
前記導き出す段階は、対象個体の屠殺履歴情報と、対象個体が属する等級に対する基準炭素排出量情報を利用して、対象炭素排出量情報を導き出すことができる。
【0022】
前記獲得する段階は、基準集団の個体の中で対象個体が属する等級と同じ等級を有するグループの個体に対する屠殺履歴情報を利用して、対象個体が属する等級に対する基準炭素排出量情報を獲得することができる。
【0023】
前記導き出す段階は、対象個体の屠殺履歴情報と、対象個体が属する等級に対する基準炭素排出量情報を利用して、対象炭素排出量情報を導き出すことができる。
【0024】
前記認証する段階は、対象個体が属する等級により互いに異なる基準値を適用する段階を含むことができる。
【0025】
前記各等級に対する基準値は、該当グループの平均重量当たり炭素排出量情報の値から該当グループの平均重量当たり炭素排出量情報の値に対する特定比率だけの値を差し引いた値を有することができる。
【0026】
前記特定比率は各等級に対して互いに同一の比率値が適用されるか、少なくとも2個の等級に対して互いに異なる比率値が適用され得る。
【0027】
本発明の一実施例に係る方法は、前記低炭素認証畜産物の炭素減縮量に基づいて炭素排出権の取引を遂行する取引システムに前記低炭素認証畜産物に対する認証情報を伝送する段階をさらに含むことができる。
【0028】
前記認証情報を伝送する段階は、前記低炭素認証畜産物の炭素減縮量情報を計算して前記認証情報とともに伝送する段階を含むことができ、前記取引システムは前記低炭素認証畜産物の炭素減縮量情報に基づいて炭素排出権の取引を遂行するものの、先物取引を遂行できる。
【0029】
本発明の一実施例に係るシステムは、対象個体の屠殺履歴情報と、対象個体と同一の家畜種類の個体の集団である基準集団の屠殺履歴情報を保存したメモリ;および前記保存された情報を利用して処理する制御部;を含む。
【0030】
前記制御部は基準集団の屠殺履歴情報を利用して、基準集団の1日平均炭素排出量に関連した情報である基準炭素排出量情報を獲得するように制御することができる。
【0031】
前記制御部は対象個体の屠殺履歴情報と前記獲得された基準炭素排出量情報を利用して、対象個体の単位重量当たり炭素排出量に関連した情報である対象炭素排出量情報を導き出すように制御することができる。
【0032】
前記制御部は対象炭素排出量情報の値が基準値以下に減少する場合、対象個体の畜産物を低炭素認証畜産物として認証するように制御することができる。
【0033】
本発明の他の一実施例に係るシステムは、対象個体の畜産物に対する認証を遂行する認証システム;および認証システムで認証された畜産物の炭素減縮量に基づいて炭素排出権の取引を遂行する取引システム;を含む。
【0034】
前記認証システムは、対象個体と同一の家畜種類の個体の集団である基準集団の屠殺履歴情報を利用して基準集団の1日平均炭素排出量に関連した情報である基準炭素排出量情報を獲得し、対象個体の屠殺履歴情報と前記獲得された基準炭素排出量情報を利用して対象個体の単位重量当たり炭素排出量に関連した情報である対象炭素排出量情報を導き出し、対象炭素排出量情報の値が基準値以下に減少する場合、対象個体の畜産物を低炭素認証畜産物として認証する。
【発明の効果】
【0035】
前記のように構成される本発明は、屠殺履歴情報を利用した個体別炭素排出量算出に基づいて低炭素製品(畜産物)に対する認証を付与する技術を提供するため、畜産分野の温室ガス減縮を具現できる利点がある。
【0036】
すなわち、本発明は屠殺履歴情報だけでも炭素排出量に対する算出および低炭素認証を通じての環境的経済価値を付与することができる。これに伴い、本発明は気候変化対応のための優秀種畜および家畜の選抜を加速化する低炭素ビジネスモデルの提供と国家的、社会的政策および制度樹立および畜産分野の炭素排出権の取引に寄与して全地球的炭素排出量減縮目標達成に寄与できる利点がある。
【0037】
一方、韓国を含んだアメリカ、ヨーロッパなどのOECD加盟国は、安全な畜産物生産のために屠殺履歴情報を国レベルで管理しているため、本発明に適用するための屠殺履歴情報のビッグデータの確保が容易である。開発途上国の場合にも屠殺履歴制が拡大しており、履歴システムの運営費用が安価であるため(10~20ドル/匹)炭素排出権の販売を通じての投資費用の調達が可能である。したがって、本発明は先進国および開発途上国のいずれも技術的および費用的に牛肉を含んだすべての肉類生産分野の低炭素認証に適用できる利点がある。
【0038】
ただし、本発明で得ることができる効果は以上で言及した効果に制限されず、言及していないさらに他の効果は下記の記載から本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に明確に理解され得るであろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の一実施例に係る認証システム100のブロック構成図を示す。
図2】本発明の一実施例に係る認証方法のフローチャートを示す。
図3】対象個体の実際の畜産物に対する炭素排出量の計算および認証方法の第1実施例に対するフローチャートを示す。
図4】基準集団(対象家畜の種類)の屠体重の重量当たり平均炭素排出量Dの値を1に適用した場合において低減基準比率(r)による認証区間設定の例示を示す。
図5】対象個体の実際の畜産物に対する炭素排出量の計算および認証方法の第2実施例に対するフローチャートを示す。
図6】第2実施例により算出された牛肉の品質(肉質)の等級による低炭素牛肉の認証基準を設定する例示を示す。
図7】実際に屠殺された韓牛に対する屠殺履歴情報に基づいて図6に対して適用した一例を示す。
図8】本発明の一実施例に係る総合システム1のブロック構成図を示す。
図9】本発明の一実施例に係る総合システム1に接続する電子装置に対する多様な例を示す。
図10】本発明の一実施例に係る総合システム1に接続する電子装置に対する多様な例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の前記目的と手段およびそれによる効果は、添付された図面と関連した以下の詳細な説明を通じてより明らかになり、それにより本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が本発明の技術的思想を容易に実施できるであろう。また、本発明の説明において本発明に関連した公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を不要に曖昧にさせ得る恐れがあると判断される場合にはその詳細な説明を省略することにする。
【0041】
他の定義がない限り、本明細書で使われるすべての用語は本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に共通して理解され得る意味で使われ得るであろう。また、一般的に使われる辞書に定義されている用語は、明白に特に定義されていない限り理想的にまたは過度に解釈されない。
【0042】
以下、添付された図面を参照して本発明に係る好ましい一実施例を詳細に説明することにする。
【0043】
図1は、本発明の一実施例に係る認証システム100のブロック構成図を示す。
【0044】
畜産分野で従来の場合、屠殺時に生産される肉量は測定できるが、韓牛(または肉牛)等の家畜に対する生涯の全周期的炭素排出量を測定することは技術的、費用的な側面で不可能であるのが実情である。このような諸事情のため、各国は個体別炭素排出量を測定する代わりに、サンプル集団の炭素排出量を測定して肉牛の年齢(または体重)による平均炭素排出係数を算定した後、年齢別飼育頭数をかけて国または地域単位の牛肉生産分野で発生する炭素排出量を計算している。FAOは各国別に推定した肉牛由来炭素排出相当量を牛肉生産量(屠体重基準)に割って、牛肉炭素排出量を表1のように毎年告示している。
【0045】
2017年度基準として、韓国の牛肉1kg当たり炭素排出量は17.6COeq/kg(屠体重基準)と告示されており、屠体重対比韓牛平均精肉率(62%)を算定すると、28.3COeq/kg(精肉基準)と計算することができる。世界平均牛肉1kg当たり炭素排出量は精肉基準として41.4COeq/kgであり(以下、COeq/kg省略)、大陸別にはアフリカ、アメリカ、アジア、オセアニア、ヨーロッパの順で牛肉のカーボンフットプリントが高く、国別にはエチオピア228.2、インド174.7、ブラジル55.8、ベトナム、41.1、フランス32.4、韓国28.3、イギリス26.5、アメリカ19.2、オランダ15.8の順で高い。すなわち、アフリカ、インド、ブラジル、ベトナムなど開発途上国の牛肉カーボンフットプリントが、オランダ、アメリカ、イギリス、韓国、フランスなど先進国より高い方である。
【0046】
すなわち、従来の場合、このように国別牛肉の平均炭素排出量に対する情報は分かるものの、個体に対する認証時に必要な個体別炭素排出量を分からなかった。これに伴い、全世界的に適用可能な牛肉低炭素製品認証方法は技術的、費用的な側面で今現在全くないのが実情であり、これを解決するために認証システム100が提示される。
【0047】
すなわち、認証システム100は畜産分野に適用可能なシステムであって、屠殺された家畜(個体)の家畜情報に基づいてその家畜の畜産物に対する炭素排出量を計算することによって、その家畜の畜産物に対する低炭素認証の有無を決定するシステムである。もちろん、認証システム100は計算された炭素排出量に基づいて認証された畜産物の炭素減縮量を計算することができる。このような認証システム100は多様な電子装置などと多様な有線/無線通信方式を通じて連結されてもよい。
【0048】
この時、家畜情報は家畜に対する情報であって、屠殺履歴情報の他に国連食糧農業機関(Food and Agriculture Organization of the United Nations、FAO)で公開される資料なども含むことができる。
【0049】
屠殺履歴情報は実際の畜産物(牛肉、豚肉、鶏肉など)に対する情報であって、屠殺情報(屠殺量、屠殺日、屠殺日齢、肉質等級など)および履歴情報(家畜ID、生年月日、血統情報など)等を含むことができる。ただし、乳牛および採卵鶏の場合、屠殺情報の代わりに実際の牛乳および卵生産情報(生産量、生産日、品質等級など)等が屠殺履歴情報に含まれてもよい。
【0050】
屠殺情報のうち屠殺日齢は、屠殺された家畜(個体)の屠殺された日の年齢(age)に対する情報である。また、屠殺情報のうち屠殺量は家畜の重量(体重)に対する情報であって、生体重(fresh weight)、屠体重(carcass weight)、精肉量(meat weight)等を含むことができる。
【0051】
すなわち、生体重は家畜が生きていた時の重量情報であり、屠体重は屠殺後に生体重から頭部、内臓足および皮などの不可食部分を除いた重量情報である。精肉量は屠体から脱骨後に得ることができる肉量をいい、一般的に精肉kg当たり炭素排出量を該当畜産物(肉類)の「カーボンフットプリント」と指称する。
【0052】
一方、屠体歩留率は屠体重の生体重に対する百分率であり、精肉率は精肉量の屠体重に対する百分率である。例えば、韓牛の場合、平均屠体歩留率は約56%、平均精肉率は62%である。すなわち、精肉量は各部位別に脱骨後の肉量を合算することによって求める代わりに、肉量情報(屠体重、背部脂肪の厚さ、筋断面積など)から肉量指数(精肉率)を算定することによって求めることができる。このように、精肉量は屠体重の他に他の肉量情報を測定しなければならないので、国レベルで精肉量情報を管理しない国が多く、FAOでは屠体重基準として国別肉類炭素排出量などに対する資料を公開している。したがって、牛肉カーボンフットプリント計算のための精肉量は次の式のように、個体の屠体重に精肉率をかけることによって計算されてもよい。
【0053】
精肉量=個体屠体重×精肉率
【0054】
認証システム100はコンピューティング(computing)が可能な電子装置を含み、該当電子装置がサーバーとして動作し得る。
【0055】
例えば、電子装置はデスクトップPC(desktop personal computer)、ラップトップPC(laptop personal computer)、タブレットPC(tablet personal computer)、ネットブックコンピュータ(netbook computer)、ワークステーション(workstation)、PDA(personal digital assistant)、スマートフォン(smartphone)、スマートパッド(smartpad)、または携帯電話(mobile phone)、などであり得るが、これに限定されるものではない。
【0056】
図1を参照すると、認証システム100は入力部110、通信部120、ディスプレイ130、メモリ140、制御部150等を含むことができる。
【0057】
入力部110は多様な使用者の入力に対応して入力データを発生させ、多様な入力手段を含むことができる。例えば、入力部110はキーボード(key board)、キーパッド(key pad)、ドームスイッチ(dome switch)、タッチパネル(touch panel)、タッチキー(touch key)、タッチパッド(touch pad)、マウス(mouse)、メニューボタン(menu button)等を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0058】
通信部120は他の装置(またはシステム)との通信を遂行する構成である。例えば、通信部120は5G(5th generation communication)、LTE-A(long term evolution-advanced)、LTE(long term evolution)、ブルートゥース(登録商標)、BLE(bluetooth low energe)、NFC(near field communication)、ワイファイ(WiFi)通信などの無線通信を遂行したり、ケーブル通信などの有線通信を遂行できるが、これに限定されるものではない。
【0059】
ディスプレイ130は多様な映像データを画面で表示するものであり、非発光型パネルや発光型パネルで構成され得る。例えば、ディスプレイ130は液晶ディスプレイ(LCD;liquid crystal display)、発光ダイオード(LED;light emitting diode)ディスプレイ、有機発光ダイオード(OLED;organic LED)ディスプレイ、マイクロ電子機械システム(MEMS;micro electro mechanical systems)ディスプレイ、または電子ペーパー(electronic paper)ディスプレイなどを含むことができるが、これに限定されるものではない。また、ディスプレイ130は入力部110と結合されてタッチスクリーン(touch screen)等で具現され得る。
【0060】
メモリ140は認証システム100の動作に必要な各種情報を保存する。例えば、保存情報としては家畜情報、認証情報、計算された畜産物炭素排出量、計算された畜産物炭素減縮量、基準炭素排出量情報、対象炭素排出量情報、対象炭素排出量情報の値に対する基準値、後述する認証方法に関連したプログラム情報などが含まれ得るが、これに限定されるものではない。例えば、メモリ140はその類型によりハードディスクタイプ(hard disk type)、マグネチック媒体タイプ(Magnetic media type)、CD-ROM(compact disc read only memory)、光記録媒体タイプ(Optical Media type)、磁気-光媒体タイプ(Magneto-optical media type)、マルチメディアカードマイクロタイプ(Multimedia card micro type)、フラッシュ保存部タイプ(flash memory type)、ロムタイプ(read only memory type)、またはラムタイプ(random access memory type)等を含むことができるが、これに限定されるものではない。また、メモリ140はその用途/位置によりキャッシュ(cache)、バッファ、主記憶装置、または補助記憶装置や別途に設けられた保存システムであり得るが、これに限定されるものではない。
【0061】
制御部150は認証システム100の多様な制御動作を遂行できる。すなわち、制御部150はメモリ140に保存された情報を利用して後述する認証方法の遂行を制御でき、認証システム100の残りの構成、すなわち入力部110、通信部120、ディスプレイ130、メモリ140等の動作を制御することができる。例えば、制御部150はハードウェアであるプロセッサ(processor)、該当プロセッサで遂行されるソフトウェアであるプロセス(process)等を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0062】
図8は、本発明の一実施例に係る総合システム1のブロック構成図を示す。また、図9および図10は、本発明の一実施例に係る総合システム1に接続する電子装置に対する多様な例を示す。
【0063】
すなわち、総合システム1は畜産分野に適用可能なシステムであって、前述した認証システム100と、低炭素認証を基盤とした炭素排出権の取引の遂行が可能な取引システム200をそれぞれ含むことができる。
【0064】
このような総合システム1による技術は家畜選抜段階から、例えば親(父または母)畜の選抜段階または子畜に対する飼養開始段階から適用が可能である。図8図10を参照すると、総合システム1は認証システム100および取引システム200に連結される多様な電子装置、すなわち端末10、20、30、仲介サーバー40等をさらに含むことができる。この時、認証システム100と取引システム200の間や、システム100、200と各電子装置の間は多様な有線/無線通信方式を通じて連結され得る。
【0065】
一方、第1端末10は畜産農家に訪問するなどを通じての家畜情報の収集のために収集者が使う端末であって、認証システム100に接続可能である。すなわち、収集者は家畜の履歴情報(家畜ID、生年月日、血統情報など)に対する確認情報や、家畜の遺伝体のサンプル(毛根、血液など)採取による確認情報(採取サンプルIDなど)等を第1端末10に入力することができる。第1端末10は入力された情報を認証システム100に伝送することができる。
【0066】
また、第1端末10は低炭素認証家畜の屠殺履歴情報または低炭素認証家畜の子孫の屠殺履歴情報を収集して認証システム100に伝送することもできる。
【0067】
ただし、屠殺履歴情報の伝達は第1端末10の他に該当情報を保存した他の端末またはサーバー等を通じて遂行されてもよい。また、屠殺履歴情報はこれを保存した携帯用メモリ等を通じて認証システム100に伝達されて認証システム100のメモリ140に予め保存されていてもよい。
【0068】
認証システム100は家畜情報をメモリ140に保存管理する(以下、「第1機能」と指称する)。すなわち、認証システム100は第1端末10等を通じて収集/伝達された屠殺履歴情報)等を保存管理することができる。また、認証システム100はFAOの公開資料を保存したサーバーまたは携帯用メモリ等を通じて収集/伝達された該当公開資料を保存管理することができる。
【0069】
また、認証システム100は第1機能の他に、家畜情報(すなわち、屠殺履歴情報またはFAO公開資料など)を利用して該当家畜の畜産物に対する炭素排出量を計算し、その計算された炭素排出量により該当家畜の畜産物に対する認証の有無を決定する(以下、「第2機能」と指称する)。この時、認証された畜産物を「低炭素認証畜産物」と指称する。
【0070】
一方、認証システム100は第2機能を遂行結果として導き出した低炭素認証家畜に対する認証情報を炭素取引を遂行する取引システム200等に伝送することもできる。
【0071】
この時、認証システム100は家畜の屠殺履歴情報を活用して畜産物の炭素排出量(例えば、実際の単位畜産物当たり炭素排出量)と炭素減縮量を計算でき、該当計算値を認証情報とともに取引システム200に伝送することができる。すなわち、認証システム100は計算された畜産物炭素排出量が基準値以下に減少する場合、該当畜産物を低炭素認証畜産物として認証しながら、その畜産物の炭素減縮量などに対する情報を取引システム200に伝送することができる。
【0072】
例えば、基準値は前年度または前月など定められた期間の間生産された家畜の炭素排出量平均値または農家全体家畜の炭素排出量の合計で算定することができるが、これに限定されるものではない。
【0073】
ただし、認証システム100は第1機能を遂行する第1サーバーと、第2機能を遂行する第2サーバーを含んでもよい。この場合、第1サーバーと第2サーバーは有線/無線通信を通じて連結され得る。すなわち、第1サーバーは第1端末などの接続により第1機能(家畜情報を保存管理)を遂行し、第2サーバーに保存された家畜情報を伝送する。以後、第2サーバーは伝送された家畜情報に基づいて第2機能を遂行し、第2機能遂行の結果情報(すなわち、認証情報など)を取引システムに伝送する。この場合、第1サーバーおよび第2サーバーは入力部110、通信部120、ディスプレイ130、メモリ140、制御部150等をそれぞれ別途に含むことができる。
【0074】
一方、取引システム200は低炭素認証畜産物の炭素減縮量に基づいて炭素排出権の取引を遂行するシステムである。すなわち、認証システム100から低炭素認証畜産物の炭素減縮量に対する計算値およびその認証情報を受信する場合、取引システムは該当畜産物炭素減縮量に基づいて炭素排出権の取引を遂行できる。すなわち、基準家畜炭素排出量対比減少した実際の畜産物炭素排出量を炭素排出権市場で取引することができる。
【0075】
例えば、取引システム200は該当炭素減縮量に基づいて炭素排出権の取引を遂行するものの、先物取引を遂行できる。すなわち、基準値対比減少した認証畜産物の炭素排出量を炭素排出権の取引市場で先物取引することができる。
【0076】
図9を参照すると、第2および第3端末20、30は取引システム200に接続して炭素排出権の取引を遂行する当事者の電子装置である。この時、第2端末20は炭素排出権の販売者が使う端末である。すなわち、販売者は低炭素認証畜産物の炭素減縮量により発生した炭素排出権を販売する人を指称する。また、第3端末30は炭素排出権の取引者(需要者)が使う端末であり得る。すなわち、需要者は低炭素認証畜産物の炭素減縮量により発生した炭素排出権を買う人を指称する。
【0077】
その他にも、第2および第3端末20、30は温室ガス排出量認証機関が使う端末であるか、低炭素家畜認証の有無/炭素減縮量を確認する人が使う端末などであり得る。
【0078】
ただし、取引システム200は、図10に図示された通り、仲介サーバー40を通じて第2および第3端末20、30間で炭素排出権の取引がなされるようにすることもできる。この場合、取引システム200は認証システム100から受信した情報を仲介サーバー40に伝送し、仲介サーバー40は該当情報に基づいて前述した取引システム200の動作による炭素排出権の取引を仲介することができる。
【0079】
一方、取引システムに関連して、本発明で使う炭素排出権の取引に対する概念は次の通りである。
【0080】
すなわち、韓国内では「炭素排出権」という単語が非常に一般的に使われているが、実際EU地域などでは割当量(EUA)とクレジット(CER/ERU)を比較的明確に区分し、これに該当する「emission right」があまり使われない。
【0081】
国際的気候変化対応体制の土台を形成した京都議定書(Kyoto protocol)は、義務減縮国の温室ガス低減活動費用の負担を緩和するために市場基盤メカニズムである「京都メカニズム(Kyoto flexible mechanism)」を提示している。京都メカニズムは炭素排出権の取引(ET、Emissions Trading)、清浄開発体制(CDM、Clean Development Mechanism)、共同履行制度(JI、Joint Implementation)からなっており、このうち炭素排出権の取引(Emissions Trading)は温室ガス排出権利である炭素排出権を市場を通じて売買する行為を意味する。
【0082】
ここで「炭素排出権」は割当量(allowance)およびクレジット(credit)を包括する概念であって、割当量は国または地域内で定めた温室ガス排出総量(cap)だけ発電設備や生産設備などの主な温室ガス排出源(emission source)に支給された温室ガス排出権利を意味し、クレジットは外部温室ガス低減プロジェクトに対して基準展望値(BAU、Business-As-Usual)対比温室ガス排出量を減らしたという証書として該当プロジェクトに支給される排出権を意味する。一方、市場の意味は炭素排出権の価格が政策によって固定されるよりは市場内炭素排出権の需要と供給によって決定されることを意味する。これは財貨やサービス生産費用に気候変化誘発による環境的・社会的費用を反映させる一方式であり、政策によって費用の規模が決定される炭素税(carbon tax)とは対比される。
【0083】
本発明で使われる炭素減縮量による認証は「クレジット」に該当する概念であり、外部温室ガス低減プロジェクトに対して基準展望値(BAU、Business-As-Usual)対比温室ガス排出量を減らしたという証書として、該当プロジェクトに支給される炭素排出権を有することを意味し得る。
【0084】
最も代表的なクレジット市場は京都議定書で規定したCDM市場とJI市場である。CDM市場のクレジットをCER(Certified Emission Reduction)、JI市場のクレジットをERU(Emission Reduction Unit)というが、これらはすべてEU ETSのような割当量市場内でEUA(European Union Allowance)のような割当量を一定部分代替することができ、通常EUAよりは低い価格帯を形成しているので温室ガス減縮主体の費用負担を減らすことができる。現在JI事業を通じてのERUよりはCDM事業を通じてのCERの発行および取引量が圧倒的に多く、全世界の各国がCDM事業に参加している。CDM事業は京都議定書減縮義務国(Annex I国)が開発途上国(Non-Annex I国)の温室ガス排出低減事業に投資して開発する形式で進行される。CDM事業から低減される温室ガス排出量をUNが認証した機関から公式に認証を受けた後、該当温室ガス低減量だけ炭素排出権(CER)が発行される。
【0085】
以下、本発明の一実施例に係る認証方法について説明することにする。
【0086】
図2は、本発明の一実施例に係る認証方法のフローチャートを示す。
【0087】
本発明の一実施例に係る方法は、認証システム100で遂行される方法であって、制御部150によりその遂行が制御され得る。すなわち、図2を参照すると、本発明の一実施例に係る方法は、S101~S104を含むことができる。
【0088】
まず、S101で、制御部150は認証システム100が第1機能を遂行するように制御する。すなわち、制御部150は第1端末などから家畜情報を獲得してメモリ140に保存管理することができる。
【0089】
以後、S102で、認証システム100の制御部150はS101で獲得された家畜情報のうち炭素排出量に関連した屠殺履歴情報を抽出するように制御する。
【0090】
以後、S103で、制御部150はS102で抽出された情報に基づいて対象個体(家畜)の畜産物に対する炭素排出量を計算するように制御する。
【0091】
以後、S104で、制御部150はS103で計算された炭素排出量が基準値以下に減少する場合、該当畜産物を低炭素認証畜産物として認証するように制御する。
【0092】
以下、S103およびS104に関連して、対象個体の実際の畜産物に対して炭素排出量を計算した後、計算された炭素排出量に基づいて認証する方法に対する具体的な実施例について説明することにする。
【0093】
図3は、対象個体の実際の畜産物に対する炭素排出量の計算および認証方法の第1実施例に対するフローチャートを示す。
【0094】
図3を参照すると、対象個体の実際の畜産物に対する炭素排出量の計算および認証のための第1実施例はS201~S203を含み、認証システム100の制御部150によりその遂行が制御され得る。
【0095】
S201は基準集団の1日平均炭素排出量に関連した情報である基準炭素排出量情報を獲得する段階である。この時、基準集団は対象個体と同一の家畜の種類(以下、「対象家畜の種類」と指称する)の個体の集団であって、屠殺されてその所属各個体に対する屠殺履歴情報が予め保存された集団である。このような基準集団に対する屠殺履歴情報はS101およびS102で炭素排出量に関連した情報として予め抽出され得る。例えば、対象個体が韓牛である場合、基準集団は対象個体以外の韓牛が含まれた集団であり、前年度などに屠殺された韓牛集団であり得る.すなわち、韓国内で飼育される韓牛などの個体は耳標(バーコード)付着を通じて生産地の情報が国レベルで管理されている。このような個体は屠殺場を経て畜産物等級判定がなされ、屠殺日齢、屠体重、精肉量などに対する屠殺履歴情報が管理される。これに伴い、S201では基準集団の屠殺履歴情報を利用して、基準集団の基準炭素排出量情報を獲得することができる。この時、基準集団の屠殺履歴情報は基準集団の平均屠体重A(または「W1R」とも表示)および平均精肉量B(または「W2R」とも表示)のうち少なくとも一つと、基準集団の平均屠殺日齢Dをそれぞれ含むことができる。
【0096】
基準集団の平均屠体重Aは下記の式(1)により基準集団内個体の屠殺屠体重合計と屠殺頭数(屠殺個体数)を利用することによって計算され得る。また、基準集団の平均精肉量Bは下記の式(2)により基準集団内の個体に対する精肉量合計と屠殺頭数を利用することによって計算され得る。
【0097】
この時、屠殺屠体重合計は基準集団内の各個体の屠体重合計を指称し、屠殺精肉量合計は基準集団内の各個体の精肉量合計を指称する。すなわち、基準集団の平均屠体重Aと平均精肉量Bは基準集団の各個体の屠体重と精肉量に対する屠殺履歴情報から計算された屠殺履歴情報であり得る。ただし、基準集団の対象家畜の種類に対する平均精肉率CがFAOの公開資料等を通じて家畜情報として予め提供(または計算)される場合、基準集団の平均精肉量Bは該当平均精肉率Cと平均屠体重Aをかけることによって計算されてもよい。
【0098】
(1)基準集団の平均屠体重A=屠殺屠体重合計÷屠殺頭数
(2)基準集団の平均精肉量B=屠殺精肉量合計÷屠殺頭数
(3)基準集団(対象家畜の種類)の平均精肉率C(%)=B÷A
(4)基準集団(対象家畜の種類)の屠体重の重量当たり平均炭素排出量D:FAOの最新国別公開資料を利用
(5)基準集団の精肉重量当たり平均炭素排出量E=D÷C=D/C
(6)基準集団の平均屠殺日齢F:出生後屠殺までの平均飼育日数
(7)基準集団の1日平均炭素排出量G=A×D÷F
(7′)基準集団の1日平均炭素排出量G=B×E÷F
【0099】
一方、式(4)で、基準集団の屠体重の重量当たり平均炭素排出量Dは基準集団の畜産物で単位重量(例えば、1kg)の屠体重が発生させる炭素排出量を示す。また、式(5)で、基準集団の精肉重量当たり炭素排出量Dは基準集団の畜産物で単位重量(例えば、1kg)の精肉量が発生させる炭素排出量を示す。このような基準集団の屠体重の重量当たり平均炭素排出量Dまたは精肉重量当たり平均炭素排出量Eは「基準集団の重量当たり炭素排出量情報」と指称され得る。
【0100】
この時、基準集団の重量当たり炭素排出量情報は対象個体と同一家畜の種類(すなわち、基準集団と同一家畜の種類)の畜産物に対するFAOの公開資料から抽出され得る。ただし、屠体重の重量当たり平均炭素排出量DがFAOの公開資料にない場合、屠体重の重量当たり平均炭素排出量Dは式(5)によりFAOの公開資料に含まれた精肉重量当たり平均炭素排出量Eと平均精肉率Cをかけることによって計算されてもよい。
【0101】
例えば、下記の表1はFAOの公開資料に対する一例示であって、大陸別および国別に公開された牛飼育頭数、牛肉生産量、屠体重の重量当たり平均炭素排出量および精肉重量当たり炭素排出量を示す。
【0102】
【表1】
【0103】
式(1)~式(7′)を参照すると、S201では基準集団の平均屠体重Aまたは平均精肉量Bと基準集団の平均屠殺日齢F(または「D」とも表示)をそれぞれ含む基準集団の屠殺履歴情報と、対象個体と同一家畜の種類の畜産物に対するFAOの重量当たり炭素排出量情報を利用して、基準炭素排出量情報を計算することができる。特に、S201で式(7)および式(7′)により導き出される基準炭素排出量情報である1日平均炭素排出量Gは、基準集団内の単位個体当たり一日の間に発生する炭素排出量を示す。すなわち、1日平均炭素排出量Gは基準集団内で平均的な炭素排出量を有する一匹の個体によって一日の間に発生する炭素排出量を示す。このような基準炭素排出量情報は後述するS202で対象個体の炭素排出量情報を導き出すのに使われる.この時、或る個体がはやい成長により一定の屠体重または精肉量によりはやく到達してその屠殺日齢が短いほど該当個体の炭素排出量は減ることになる。また、或る個体の畜産物がその一定の屠殺日齢でより多くの屠体重または精肉量を有するほど該当個体の炭素排出量は減ることになる。
【0104】
このような点を反映するために、S201では基準集団の平均屠体重Aまたは平均精肉量Bを利用して、基準集団の平均屠殺日齢Fを利用して、基準炭素排出量情報を計算する。すなわち、S201では基準炭素排出量情報が基準集団の平均屠体重Aまたは平均精肉量Bに比例し、基準集団の平均屠殺日齢Dに反比例する値を有することができるように、式(7)または式(7′)により基準炭素排出量情報に対する計算を遂行する。
【0105】
以後、S202は対象個体の屠殺履歴情報と、S201で獲得された基準炭素排出量情報をそれぞれ利用して、対象個体の重量当たり炭素排出量に関連した情報である対象炭素排出量情報を導き出す段階である。この時、対象個体に対する屠殺履歴情報はS101およびS102で炭素排出量に関連した情報として予め抽出され得る。
【0106】
この時、対象個体の屠殺履歴情報は対象個体の屠体重I(「W10」とも表示)および精肉量J(「W20」とも表示)のうち少なくとも一つと、対象個体の屠殺日齢H(「D」とも表示)をそれぞれ含むことができる。
【0107】
ただし、対象個体の精肉量Jは対象個体の屠殺履歴情報から抽出されるか、下記の式(8)により対象個体の屠体重Iと対象家畜の種類の平均精肉率Cを利用することによって計算され得る。
【0108】
(8)対象個体の精肉量J=屠体重I×基準集団の平均精肉率C
(9)対象個体の屠体重の重量当たり炭素排出量K=D×(H÷I)×(A÷F)
(9′)対象個体の屠体重の重量当たり炭素排出量K=D×(H/F)×(A/I)
(9″)対象個体の屠体重の重量当たり炭素排出量K=G×H÷I
(10)対象個体の精肉重量当たり炭素排出量L=E×(H÷J)×(B÷F)
(10′)対象個体の精肉重量当たり炭素排出量L=E×(H/F)×(B/J)
(10″)対象個体の精肉重量当たり炭素排出量L=G×(H÷J)
【0109】
式(9)で、対象個体の屠体重の重量当たり炭素排出量Kは対象個体の畜産物で単位重量(例えば、1kg)の屠体重が発生させる炭素排出量を示す。また、式(10)で、対象個体の精肉重量当たり炭素排出量Lは対象個体の畜産物で単位重量(例えば、1kg)の精肉量が発生させる炭素排出量を示す。このような対象個体の屠体重の重量当たり平均炭素排出量Kまたは精肉重量当たり炭素排出量Lは対象個体の重量当たり炭素排出量情報であって、対象炭素排出量情報に該当する。
[0146] 特に、対象個体がはやい成長により基準集団の平均的な個体に比べてその屠殺日齢が短いほどその対象個体の炭素排出量は減ることになる。また、対象個体の畜産物が基準集団の平均的な個体より多くの屠体重または精肉量を有するほどその対象個体の炭素排出量は減ることになる。このような点を反映するために、S202では対象個体の屠殺日齢Hと、対象個体の屠体重Iまたは精肉量Jと、基準集団の平均屠体重Aまたは平均精肉量Bと、基準集団の平均屠殺日齢Fをそれぞれ利用して、対象炭素排出量情報を計算する。
【0110】
すなわち、S202では、対象炭素排出量情報が、基準集団の屠体重の重量当たり平均炭素排出量Dまたは精肉重量当たり平均炭素排出量Eに比例し、対象個体の屠殺日齢Hに比例し、対象個体の屠体重Iまたは精肉量Jに反比例し、基準集団の平均屠体重Aまたは平均精肉量Bに比例し、基準集団の平均屠殺日齢Fに反比例した値を有することができるように、式(9)~式(9″)または式(10)~式(10″)により対象炭素排出量情報に対する計算を遂行する。
【0111】
また、対象個体を基準集団の平均的な個体に対比することによって対象個体の炭素排出量を導き出すことができる。すなわち、S202では対象炭素排出量情報が、対象個体の屠体重Iに対する基準集団の平均屠体重Aの比率であるA/Iや対象個体精肉量Jに対する基準集団の平均精肉量Bの比率であるB/Jを反映しながら、基準集団の平均屠殺日齢Fに対する対象個体の屠殺日齢Hの比率であるH/Fを反映した値を有することができるように、式(9′)または式(10′)により対象炭素排出量情報に対する計算を遂行する。具体的には、対象炭素排出量情報がA/IまたはB/Jに比例し、H/Fに比例した値を有するように計算することができる。
【0112】
特に、式(7)を参照すると、基準集団の屠体重の重量当たり平均炭素排出量Dと基準集団の平均屠体重Aの積(D×A)を基準集団の平均屠殺日齢Fで割ったもの(D×A÷F)と、基準集団の精肉重量当たり平均炭素排出量Eと基準集団の平均屠体重Aの積(E×A)を基準集団の平均屠殺日齢Fで割ったもの(E×A÷F)は、それぞれ基準集団の1日平均炭素排出量Gに該当する。このような基準集団の1日平均炭素排出量Gを利用すれば、式(9)および式(10)は式(9″)および式(10″)にそれぞれ変換され得る。
【0113】
これに伴い、変換された式(9″)または式(10″)を利用すれば、S202では対象炭素排出量情報が、基準炭素排出量情報である基準集団の1日平均炭素排出量Gを反映するものの、対象個体の屠体重Iまたは精肉量Jに反比例し、対象個体の屠殺日齢Hに比例する値を有するように対象炭素排出量情報を計算することができる。
【0114】
その結果、対象炭素排出量情報は基準炭素排出量情報の値に比例する値を有することができ、対象個体の屠体重Iまたは精肉量Jに反比例する値を有することができ、対象個体の屠殺日齢Dに比例する値を有することができる。
【0115】
以後、S203は対象炭素排出量情報の値が基準値以下に減少する場合、対象個体の畜産物を低炭素認証畜産物として認証する段階である。
【0116】
一方、式(7)、式(9)および式(10)等で使われる基準集団の屠体重の重量当たり平均炭素排出量Dは、変数にかけられる係数に該当する。これに伴い、係数であるDの値が変わることにより、基準集団の個体および対象個体に対するカーボンフットプリントの量は変わるが、基準集団の平均的な個体の炭素排出量に対する対象個体の炭素排出量比率と、多数の対象個体の間の炭素排出量比率は変わらない。したがって、本発明は基準集団の個体および対象個体に対する炭素排出量に関連した式で係数Dに対する計算値または測定値がなくても、基準集団の屠殺履歴情報と対象個体の屠殺履歴情報のみを利用して低炭素認証区間を設定することができる。この場合、式(7)、式(9)および式(10)等で、Dの値に1を適用すれば該当比率に対する値が計算され得る。以後、S203は対象炭素排出量情報の値が基準値以下に減少する場合、対象個体の畜産物を低炭素認証畜産物として認証する段階である。
【0117】
この時、基準値Rは基準集団(対象家畜の種類)の重量当たり炭素排出量情報の値より小さい値を有する。すなわち、S203では対象個体の屠体重の重量当たり平均炭素排出量Kが基準集団(対象家畜の種類)の屠体重の重量当たり平均炭素排出量Dより一定値以上だけ減少してこそ、該当対象個体の畜産物に対して低炭素認証を付与する。またはS203では対象個体の精肉重量当たり平均炭素排出量Lが基準集団(対象家畜の種類)の精肉重量当たり平均炭素排出量Eより一定値以上だけ減少してこそ、該当対象個体の畜産物に対して低炭素認証を付与する。もちろん、S203で、低減基準比率(r)は予め設定された値が適用されたり変更設定された値が適用され得る。
【0118】
具体的には、基準値Rは式(11)および式(11′)により、基準集団の重量当たり炭素排出量情報の値から、基準集団(対象家畜の種類)の重量当たり炭素排出量情報の値に対する特定比率(r)(以下、「低減基準比率」と指称する)だけの値を差し引いた値を有することができる。すなわち、基準値Rは式(11)のように屠体重の重量当たり平均炭素排出量Dから、屠体重の重量当たり平均炭素排出量Dの低減基準比率だけの値(D×r)を差し引いた値(D-D×r)であり得る。または基準値Rは式(12)のように精肉重量当たり平均炭素排出量Eからで、精肉重量当たり平均炭素排出量Eの低減基準比率だけの値(E×r)を差し引いた値(E-E×r)であり得る。
【0119】
(11)基準値R=D-(D×r)
(11′)基準値R=E-(E×r)
【0120】
例えば、基準集団(対象家畜の種類)の屠体重の重量当たり平均炭素排出量Dが17.6であり低減基準比率が3.3%に設定された場合、基準値Rは17.6-(17.6×3.3%)の結果である17.0192の値を有する。この場合、屠体重の重量当たり平均炭素排出量Kが17.0192より小さい対象個体の畜産物は低炭素認証畜産物として認証され得る。図4は、基準集団(対象家畜の種類)の屠体重の重量当たり平均炭素排出量Dの値を1に適用した場合において低減基準比率(r)による認証区間設定の例示を示す。
【0121】
図4(a)を参照すると、基準集団(対象家畜の種類)の屠体重の重量当たり平均炭素排出量Dの値を1で適用して低減基準比率(r)を3.3%に設定することができる。この場合、低減基準比率だけの値(D×r)は0.033である。これに伴い、対象個体の屠体重の重量当たり平均炭素排出量Kの値が、D-(D×r)の基準値Rの値である0.967より小さい場合(K<0.964)に、低炭素認証が付与され得る。また、図4(b)を参照すると、基準集団(対象家畜の種類)の屠体重の重量当たり平均炭素排出量Dの値を1で適用して低減基準比率(r)を10%に設定することができる。この場合、低減基準比率だけの値(D×r)は0.1である。これに伴い、対象個体の屠体重の重量当たり平均炭素排出量Kの値がD-(D×r)の基準値Rの値である0.9より小さい場合(K<0.9)に、低炭素認証が付与され得る。
【0122】
このような低減基準比率(r)または基準値Rの具体的な値は、国政策、市場状況などにより細分化して適用することができる。また、Dを1で適用することによって対象炭素排出量情報の値を比率で求めることができるだけでなく、その比率で計算された対象炭素排出量情報の値で、FAOの公開資料による国別係数(D)をかければ、対象個体に対する具体的な牛肉カーボンフットプリントを求めることができる。すなわち、FAOは毎年国別、大陸別に牛肉などの畜産物種類による平均炭素排出量を告示しており、これを利用すれば全世界の各国の牛肉などのすべての畜産物の低炭素認証制施行のための技術をより容易に提供することができる。
【0123】
これに伴い、本発明は対象個体に対する炭素排出量測定および計算が技術的、費用的な側面で困難であった従来の問題点を解決でき、全世界的に使われ得る牛肉などの畜産物に対する低炭素認証制および炭素減縮技術の活性化を促進できる利点がある。
【0124】
一方、韓国内のすべての出荷された牛は屠殺場を経て屠殺され、屠殺された牛の畜産物はその品質(肉質)に対する等級判定がなされ、このような畜産物等級は屠殺履歴情報として保存管理される。個体別等級判定のための肉量情報は屠体重、背部脂肪の厚さ、ロースの断面積であり、肉質情報は筋内脂肪度(1-9段階)等である。このような情報は屠殺後、約2日後に生産者に伝達され(オンラインまたはオフライン)、すべての畜産物は個体単位で流通され、最終消費者は個体識別コードが包装紙に収録された状態で該当牛肉に対する履歴確認が可能である。
【0125】
したがって、本発明に係る認証方法は個体単位で肉の等級情報と連動して認証が可能である。認証情報を管理するプラットフォームと履歴制管理プラットフォームの連動は低炭素認証システムの効果性を最大化することができる。特に、韓国などのように牛肉等級制を実施する国の場合、等級により品質と価格が異なって市場で流通されるので、各等級別に低炭素認証を判断することが低炭素牛肉認証制度が市場に定着するのに効果的であり得る。このような点を反映して、第2実施例は畜産物の等級による低炭素認証技術に関する。
【0126】
図5は、対象個体の実際の畜産物に対する炭素排出量の計算および認証方法の第2実施例に対するフローチャートを示す。
【0127】
図5を参照すると、対象個体の実際の畜産物に対する炭素排出量の計算および認証のための第2実施例はS301~S303を含み、認証システム100の制御部150によりその遂行が制御され得る。
【0128】
このような第2実施例は前述した第1実施例の利用される技術的内容と基本的に同一である。したがって、第2実施例は前述した多様な式を同一に利用することができる。ただし、第2実施例は基準集団および対象個体が属する対象家畜の種類の畜産物がその肉質などにより多様な等級(例えば、肉質等級など)に分かれ、これに伴い、その等級により基準炭素排出量情報および対象炭素排出量情報が計算される点が異なるだけである。
【0129】
すなわち、基準集団の個体はその畜産物の品質によりn個の肉質等級(nは2以上の自然数)に分けられる。もちろん、対象個体もn個の等級のうちいずれか一つに決定される。以下ではこのような差異点を中心に説明し、第1実施例と同じ部分に対しては省略することにする。
【0130】
まず、S301は基準集団の屠殺履歴情報を利用して等級別に等級内基準集団の基準炭素排出量情報を獲得する段階である。すなわち、基準集団の個体の中で同一等級の個体が属するn個のグループ(第1グループ~第nグループ)に分けて、グループ別に該当グループ内の個体に対する屠殺履歴情報を利用して、各等級(すなわち、各グループ)に対する基準炭素排出量情報を獲得する。
【0131】
具体的には、基準集団の全体個体を利用して、S201による基準集団の基準炭素排出量情報を獲得する。すなわち、式(1)~式(7′)等によりS201で詳述した内容を適用することができる。
【0132】
次に、基準集団の個体のうちその品質が第1等級に該当する個体を第1グループに分類する。この時、第1グループに属する基準集団の個体である第1個体の屠殺履歴情報を利用して、各第1個体に対して式(8)~式(10″)等によるS202に詳述した内容により重量当たり炭素排出量情報(第1対象炭素排出量情報)を導き出す。導き出された第1対象炭素排出量情報の平均値を第1等級に対する平均重量当たり炭素排出量情報(D)として抽出する。抽出された第1等級に対する平均重量当たり炭素排出量情報(D)を式(4)~式(7′)等によりS201で詳述した内容を適用することによって、第1等級に対する1日平均炭素排出量に関連した情報である第1基準炭素排出量情報を獲得することができる。
【0133】
同様に、このような方式で残りのグループに対しても該当等級に対する基準炭素排出量情報を獲得する。すなわち、第kグループ(ただし、kは2以上n以下の自然数)に属する基準集団の個体である第k個体の屠殺履歴情報を利用して、各第k個体に対して式(8)~式(10″)等によるS202に詳述した内容により重量当たり炭素排出量情報(第k対象炭素排出量情報)を導き出す。導き出された第k対象炭素排出量情報の平均値を第k等級に対する平均重量当たり炭素排出量情報(D)として抽出する。抽出された第k等級に対する平均重量当たり炭素排出量情報(D)を式(4)~式(7′)等によりS201で詳述した内容を適用することによって、第k等級に対する1日平均炭素排出量に関連した情報である第k基準炭素排出量情報を獲得することができる。
【0134】
以後、S302は対象個体の屠殺履歴情報と、S301で獲得された等級別基準炭素排出量情報のうち対象個体が属する等級に対する基準炭素排出量情報をそれぞれ利用して、対象炭素排出量情報を導き出す段階である。すなわち、式(8)~式(10″)等によりS202で詳述した内容が適用され得る。
【0135】
例えば、対象個体が第k等級に属する場合、対象個体の屠殺履歴情報と、S301で獲得された第k基準炭素排出量情報を利用して、式(8)~式(10″)等による詳述した内容により対象個体の対象炭素排出量情報を導き出すことができる。
【0136】
以後、S303は対象炭素排出量情報の値が対象個体が属する等級の基準値以下に減少する場合、対象個体の畜産物を低炭素認証畜産物として認証する段階である。この時、等級別に互いに基準値が適用され得る。これは各等級に対して同じ低減基準比率(R)を適用しても各等級所属の基準集団の平均重量当たり炭素排出量情報(D)の値が異なるためである。これに伴い、S303では対象個体が属する等級により互いに異なる基準値を適用することができる。
【0137】
すなわち、第k-1等級に対する基準値である第k-1基準値(Rk-1)は第k等級に対する基準値である第k基準値(R)と異なり得る。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、n個の肉質等級のうちに少なくとも2個の肉質等級に対して互いに異なる基準値を適用することができる。
【0138】
一方、一般的に等級が高いほど(すなわち、第1等級に行くほど)、該当等級所属の基準集団の平均重量当たり炭素排出量情報(DまたはE)の値が小さくなり得る。すなわち、第k-1等級に属する第k-1個体の平均重量当たり炭素排出量情報(Dk1またはEk1)の値が第k等級に属する第k個体の平均重量当たり炭素排出量情報(DまたはE)より小さい。これに伴い、第k-1等級の第K-1基準値(Rk1)が第k等級の第K基準値(R)より小さい基準値の値を有することができる。
【0139】
具体的には、各等級に対する基準値は、式(11)および式(11′)により詳述したS203の内容により、該当グループ(等級)の平均重量当たり炭素排出量情報(DまたはE)の値から、該当グループ(等級)の重量当たり炭素排出量情報(DまたはE)の値に対する低減基準比率(r)だけの値(D×rまたはE×r)を差し引いた値(D-D×rまたはE-E×r)を有することができる。
【0140】
すなわち、第i等級(ただし、iはnより小さい自然数)に対する基準値(R)は第iグループ(等級)の平均重量当たり炭素排出量情報(DまたはE)の値から、第iグループ(等級)の重量当たり炭素排出量情報(DまたはE)の値に対する低減基準比率(r)だけの値(D×rまたはE×r)を差し引いた値(D-D×rまたはE-E×r)を有することができる。
【0141】
ただし、低減基準比率(r)は国政策、市場状況などにより多様な値が適用され得る。例えば、低減基準比率(r)は各等級に対して互いに同じ比率値が適用されたり、各等級に対して互いに異なる比率値が適用されたり、少なくとも2個の等級に互いに異なる比率値が適用され得る。
【0142】
一方、前述とは異なり、S301では対象個体が属する等級に対してのみ基準炭素排出量情報を獲得することができる。この場合、他の等級に対する基準炭素排出量情報を計算する必要がない利点がある。
【0143】
<牛肉の等級制基盤の低炭素牛肉認証基準設定例示>
図6は第2実施例により算出された牛肉の品質(肉質)の等級による低炭素牛肉の認証基準を設定する例示を示し、図7は実際に屠殺された韓牛に対する屠殺履歴情報に基づいて図6に対して適用した一例を示す。
【0144】
すなわち、図6および図7に図示された通り、対象家畜の種類である牛の畜産物である牛肉に対して等級を5つに分けて、各等級別に各等級に対する基準炭素排出量情報を獲得することができる。
【0145】
特に、2017~2019年に屠殺された韓牛集団(韓牛去勢牛)18,144頭の標本集団の畜産物等級判定情報を含んだ屠殺履歴情報に基づいて適用した実際のデータは次の通りであり、このような実際のデータに基づいて導き出された内容は図7に図示された通りである。
【0146】
(1)韓牛集団の平均屠体重A=448kg
(2)韓牛集団の平均精肉量B=277.8kg
(3)韓牛集団の平均精肉率C=62%
(4)韓牛集団の平均屠体重の重量当たり(kg当たり)平均炭素排出量D:17.5714(FAO最新韓国資料)
(5)韓牛集団の精肉重量当たり(kg当たり)平均炭素排出量E=17.5714÷62%=28.3409
(6)韓牛集団の平均屠殺日齢F:900日(30ヶ月)
(7)韓牛集団の1日平均炭素排出量G=17.5714×448kg÷900日=8.7466
-韓牛個体の屠殺日齢H:2017-2019年畜産物等級判定成績(18,144頭)
-韓牛個体の屠体重I:2017-2019年畜産水等級判定成績(18,144頭)
(8)韓牛個体の精肉量J:2017~2019年畜産物等級判定成績(18,144頭)
(9)韓牛個体別屠体重の重量当たり(kg当たり)炭素排出量K=17.5714×(H÷I)×(448kg÷900日)
(9′)韓牛個体別屠体重の重量当たり(kg当たり)炭素排出量K=17.5714×(H/900日)×(448kg/I)
(9″)韓牛個体別屠体重の重量当たり(kg当たり)炭素排出量K=8.7466×(H÷I)
10韓牛個体別精肉重量当たり(kg当たり)炭素排出量L=28.3409×(H÷J)×(277.8kg÷900日)
(10′)韓牛個体別精肉重量当たり(kg当たり)炭素排出量L=28.3409×(H/900日)×(277.8kg/J)
(10″)韓牛個体別精肉重量当たり(kg当たり)炭素排出量L=8.7466×(H÷J)
-認証基準:各等級内韓牛個体の屠体重または精肉重量当たり(kg当たり)炭素排出量平均(M)対比低減基準比率(3.3%)以下の数値
-認証基準符合頭数(N)=各等級内認証基準に符合する数値を示す韓牛個体数
【0147】
すなわち、韓牛1++等級の場合、精肉重量当たり(kg当たり)平均炭素排出量が28.14であるので、3.3%低減された27.21(28.14-28.14×3.3%)が低炭素認証基準である。これに伴い、27.21より小さい対象炭素排出量情報の値を有する韓牛個体を低炭素認証個体に決定することができる。
【0148】
また、韓牛1等級の場合、精肉重量当たり(kg当たり)平均炭素排出量が29.48であるので、3.3%低減された28.50(29.48-29.48×3.3%)が低炭素認証基準である。これに伴い、28.50より小さい対象炭素排出量情報の値を有する韓牛個体を低炭素認証個体に決定することができる。その他の韓牛等級の場合も認証基準を前述したような方法を適用することができる。このように、韓牛等級が高いほど精肉重量(kg当たり)平均炭素排出量が減少する原因は、韓牛の改良が品質と肉量を増加させる方向に推進されたためである。
【0149】
一方、S104以後に、取引システム200は低炭素認証畜産物の炭素減縮量に基づいて炭素排出権の取引がなされるように制御することができる。すなわち、制御部150は認証システム100から取引システム200に該当家畜に対する計算された炭素減縮量(または炭素排出量)および認証情報が通信部120を通じて伝送されるように制御する。これに伴い、取引システム200は炭素減縮量(または炭素排出量)および認証情報を受信保存し、その炭素減縮量(または炭素排出量)に基づいて第2および第3端末20、30間の炭素排出権の取引を制御することができる。もちろん、取引システムは仲介サーバー40等に該当情報を伝送して、仲介サーバー40の仲介によって該当炭素排出権の取引がなされるようにすることもできる。
【0150】
ただし、前述した方法は前述したシステム1、100、200の詳細な動作を含むことができる。ただし、このような詳細な動作に対する説明はすでに詳述したので、以下省略することにする。
【0151】
前述した通り、本発明は屠殺された家畜の屠殺履歴情報に基づいて該当家畜の畜産物に対する炭素排出量を具体的に導出できる技術を提示する。これに伴い、本発明は屠殺履歴情報を利用した個体別炭素排出量算出に基づいて低炭素製品(畜産物)に対する認証を付与する技術を提供するため、畜産分野の温室ガス減縮を具現できる利点がある。
【0152】
すなわち、本発明は屠殺履歴情報のみでも炭素排出量に対する算出および低炭素認証を通じての環境的経済価値を付与することができる。これに伴い、本発明は気候変化対応のための優秀種畜および家畜の選抜を加速化する低炭素ビジネスモデルの提供と国家的、社会的政策および制度樹立および畜産分野の炭素排出権の取引に寄与して全地球的炭素排出量減縮目標達成に寄与できる利点がある。
【0153】
一方、韓国を含んだアメリカ、ヨーロッパなどのOECD加盟国は安全な畜産物生産のために屠殺履歴情報を国レベルで管理しているので、本発明に適用するための屠殺履歴情報のビッグデータの確保が容易である。開発途上国の場合にも屠殺履歴制が拡大しており、履歴システムの運営費用が安価であるため(10~20ドル/匹)炭素排出権の販売を通じての投資費用の調達が可能である。したがって、本発明は先進国および開発途上国のいずれも技術的および費用的に牛肉を含んだすべての肉類生産分野の低炭素認証に適用できる利点がある。
【0154】
本発明の詳細な説明では具体的な実施例に関して説明したが、本発明の範囲から逸脱しない限度内で多様な変形が可能であることは言うまでもない。したがって、本発明の範囲は説明された実施例に限定されず、後述される請求の範囲およびこの請求の範囲と均等なものなどによって定められるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本発明は低炭素製品認証方法およびシステムに関し、畜産物の屠殺履歴情報を利用して個体別炭素排出量を算出し、これに基づいて畜産分野の低炭素製品認証を遂行する低炭素製品認証方法およびシステムを提供できるため、産業上の利用可能性がある。
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