(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/083 20240101AFI20241122BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20241122BHJP
【FI】
G06Q10/083
G01C21/26 A
(21)【出願番号】P 2024032629
(22)【出願日】2024-03-05
【審査請求日】2024-06-19
(31)【優先権主張番号】P 2023086528
(32)【優先日】2023-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023143612
(32)【優先日】2023-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521425652
【氏名又は名称】株式会社ゼロボード
(72)【発明者】
【氏名】高橋 七重
(72)【発明者】
【氏名】坂元 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】金子 雄
(72)【発明者】
【氏名】木名瀬 貴弘
【審査官】永野 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-185398(JP,A)
【文献】特許第7203470(JP,B1)
【文献】中国特許第113485376(CN,B)
【文献】特開2012-068781(JP,A)
【文献】特開2009-156634(JP,A)
【文献】特開2017-126227(JP,A)
【文献】特開2023-000657(JP,A)
【文献】特開2009-176187(JP,A)
【文献】特開2021-032655(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G01C 21/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温室効果ガスの排出主体の
拠点の拠点位置情報を記憶する拠点情報記憶部と、
第1地点から第2地点までの複数の輸送経路を記憶する輸送経路記憶部と、
前記輸送経路の交通量を判断する交通量判断部と、
前記交通量判断部の判断結果に基づき、前記複数の輸送経路の中から一の前記輸送経路を選択する輸送経路選択部と、
前記輸送経路記憶部に記憶された前記複数の輸送経路及び/又は前記輸送経路選択部により選択された前記一の前記輸送経路を所定の利用者が参照可能なように共有する輸送経路共有部と、
前記拠点ごとに前記複数の輸送経路における輸送実績を記憶する輸送実績記憶部と、
ユーザの携帯端末から当該携帯端末の位置情報及び前記輸送実績の入力を受け付ける入力部と、
前記拠点情報記憶部を参照し、前記位置情報に基づいて前記拠点を特定する拠点特定部と、
特定した前記拠点に対応付けて、入力された前記輸送実績を前記輸送実績記憶部に登録する登録部と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
温室効果ガスの排出主体の
拠点の拠点位置情報を拠点情報記憶部に記憶するステップと、
第1地点から第2地点までの複数の輸送経路を輸送経路記憶部に記憶するステップと、
前記輸送経路の交通量を判断するステップと、
前記輸送経路の交通量を判断するステップの判断結果に基づき、前記複数の輸送経路の中から一の前記輸送経路を選択するステップと、
前記輸送経路記憶部に記憶された前記複数の輸送経路及び/又は前記一の前記輸送経路を選択するステップで選択された前記一の前記輸送経路を所定の利用者が参照可能なように共有するステップと、
前記拠点ごとに前記複数の輸送経路における輸送実績を輸送実績記憶部に記憶するステップと、
ユーザの携帯端末から当該携帯端末の位置情報及び前記輸送実績の入力を受け付けるステップと、
前記拠点情報記憶部を参照し、前記位置情報に基づいて前記拠点を特定するステップと、
特定した前記拠点に対応付けて、入力された前記輸送実績を前記輸送実績記憶部に登録するステップと、
をコンピュータが実行することを特徴とする情報処理方法。
【請求項3】
温室効果ガスの排出主体の
拠点の拠点位置情報を拠点情報記憶部に記憶するステップと、
第1地点から第2地点までの複数の輸送経路を輸送経路記憶部に記憶するステップと、
前記輸送経路の交通量を判断するステップと、
前記輸送経路の交通量を判断するステップの判断結果に基づき、前記複数の輸送経路の中から一の前記輸送経路を選択するステップと、
前記輸送経路記憶部に記憶された前記複数の輸送経路及び/又は前記一の前記輸送経路を選択するステップで選択された前記一の前記輸送経路を所定の利用者が参照可能なように共有するステップと、
前記拠点ごとに前記複数の輸送経路における輸送実績を輸送実績記憶部に記憶するステップと、
ユーザの携帯端末から当該携帯端末の位置情報及び前記輸送実績の入力を受け付けるステップと、
前記拠点情報記憶部を参照し、前記位置情報に基づいて前記拠点を特定するステップと、
特定した前記拠点に対応付けて、入力された前記輸送実績を前記輸送実績記憶部に登録するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
温室効果ガスの排出量を算定することが行われている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
排出量の算出に必要なデータをシステムに登録することに手間がかかる。
【0005】
物流業界における人手不足の影響により、輸送能力の低下が危惧されている。輸送能力を低下させないためには、物流の効率化が求められている。しかしながら、一部の輸送業者(輸送中小零細の事業者や個人事業主)においては、データを用いた効率的な輸送(配送)が実施されていない。
【0006】
地球温暖化対策として、物流業界における温室効果ガス排出量の削減が掲げられているため、大手の輸送事業者、中小零細の輸送事業者、個人事業主にかかわらず各輸送事業者が輸送(配送)によって排出される温室効果ガスの排出量を算定し、その算定結果を管理しなければならない。
【0007】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、温室効果ガスの排出量の登録を容易にすることができるようにすること、温室効果ガスの排出量を好適に管理するための情報処理システムを提供すること、効率的な輸送(配送)を実現するための情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、情報処理システムであって、第1地点から第2地点までの複数の輸送経路を記憶する輸送経路記憶部と、前記輸送経路の交通量を判断する交通量判断部と、前記交通量判断部の判断結果に基づき、前記複数の輸送経路の中から一の前記輸送経路を選択する輸送経路選択部と、前記輸送経路記憶部に記憶された前記複数の輸送経路及び/又は前記輸送経路選択部により選択された前記一の前記輸送経路を利用者間で共有する輸送経路共有部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、温室効果ガスの排出量の登録を容易にすることができる。また、本発明によれば、輸送事業者が効率的な輸送(配送)を実現することができる。また、本発明によれば、物流に関わる輸送事業者が温室効果ガスの排出量を好適に管理することができようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態の排出量管理システムの全体構成例を示す図である。
【
図2】管理サーバ2のハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】管理サーバ2のソフトウェア構成例を示す図である。
【
図6】目標排出量を出力する処理を説明する図である。
【
図7】ソリューションにより削減した排出量を出力する処理を説明する図である。
【
図8】拘束時間や労働時間を出力する処理を説明する図である。
【
図9】削減目標を出力する処理を説明する図である。
【
図10】管理サーバ2の動作3を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<システム概要>
以下、本発明の一実施形態に係る情報処理システム(温室効果ガスの排出量管理システム)について説明する。本実施形態の情報処理システム(温室効果ガスの排出量管理システム)は、企業等の排出主体による温室効果ガスの排出量を管理しようとするものである。本実施形態の情報処理システム(温室効果ガス排出量管理システム)では、排出主体又は排出主体のサプライチェーンにおける上流又は下流に位置する他の排出主体の活動量の入力を受け付け、これに排出係数を乗じて排出量を計算する。排出量は、排出主体の拠点ごとに集計される。拠点は、例えば、事業所や工場など、温室効果ガスを排出する活動を行う場所であり、拠点ごとに合計した排出量の報告が求められるものである。また、本実施形態の情報処理システム(温室効果ガスの排出量管理システム)は、交通量を考慮して複数の輸送経路の中から一の輸送経路を選択し、選択した一の輸送経路を輸送業者間で共有しようとするものである。また、本実施形態の情報処理システム(温室効果ガスの排出量管理システム)は、輸送実績に所定情報を付加し、付加した所定情報に基づいて抽出された輸送実績における温室効果ガス排出量を算定する。
【0013】
図1は、本実施形態の情報処理システム(温室効果ガスの排出量管理システムを含み、以下同様とする。)の全体構成例を示す図である。本実施形態の情報処理システムは、管理サーバ2を含んで構成される。管理サーバ2は、ユーザ端末1と通信ネットワーク3を介して通信可能に接続される。通信ネットワーク3は、たとえばインターネットであり、公衆電話回線網や携帯電話回線網、無線通信路、イーサネット(登録商標)などにより構築される。
【0014】
ユーザ端末1は、排出主体の企業等のユーザや輸送業者のユーザが操作するコンピュータである。ユーザ端末1は、例えば、スマートフォンやタブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータなどとすることができる。ユーザは、ユーザ端末1を用いて管理サーバ2にアクセスし、温室効果ガス排出量の計算を行うことができる。また、ユーザは、ユーザ端末1を用いて管理サーバ2にアクセスし、複数の輸送経路の中から一の輸送経路を選択し、選択した輸送経路をユーザ間で共有することができる。
【0015】
管理サーバ2は、温室効果ガスの排出量の計算及び管理を行うコンピュータである。管理サーバ2は、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、あるいはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。
【0016】
<管理サーバ>
図2は、管理サーバ2のハードウェア構成例を示す図である。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。管理サーバ2は、CPU201、メモリ202、記憶装置203、通信インタフェース204、入力装置205、出力装置206を備える。記憶装置203は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。通信インタフェース204は、通信ネットワーク3に接続するためのインタフェースであり、例えばイーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信を行うための無線通信機、シリアル通信のためのUSB(Universal Serial Bus)コネクタやRS232Cコネクタなどである。入力装置205は、データを入力する、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、ボタン、マイクロフォンなどである。出力装置206は、データを出力する、例えばディスプレイやプリンタ、スピーカなどである。なお、後述する管理サーバ2の各機能部はCPU201が記憶装置203に記憶されているプログラムをメモリ202に読み出して実行することにより実現され、管理サーバ2の各記憶部はメモリ202及び記憶装置203が提供する記憶領域の一部として実現される。
【0017】
図3は、管理サーバ2のソフトウェア構成例を示す図である。管理サーバ2は、拠点情報記憶部231と、活動量記憶部232と、排出係数記憶部233と、排出量記憶部234と、ユーザ拠点記憶部235と、活動量入力部211と、拠点特定部212と、登録部213と、排出量算定部214と、輸送経路記憶部(不図示)と、交通量判断部(不図示)と、輸送経路選択部(不図示)と、輸送経路共有部(不図示)と、輸送スケジュール変更提案部(不図示)と、輸送実績記憶部(不図示)と、情報付加部(不図示)と、算定方法指定部(不図示)とを備える。
【0018】
<記憶部>
拠点情報記憶部231は、温室効果ガスの排出主体の拠点に関する情報(以下、拠点情報という。)を記憶する。拠点情報には、排出主体(例えば、企業等)を特定する情報(企業ID)、当該排出主体に係る拠点を特定する情報(拠点ID)、及び当該拠点の位置情報を含めることができる。位置情報は、例えば、緯度経度で表すことができる。位置情報は、例えば、ジオフェンスにより表すようにしてもよい。
【0019】
活動量記憶部232は、排出主体による活動量に関する情報(以下、活動量情報という。)を記憶する。本実施形態では、活動量記憶部232は、拠点ごとの活動量を記憶する。活動量情報には、排出主体を特定する企業ID、拠点を特定する拠点ID、活動が行われた時期を示す情報(時間情報)、活動の種類を特定する情報(種類特定情報)及び、当該排出主体による当該拠点における活動量を含めることができる。活動の時期は、例えば、時間単位であってもよいし、日単位であってもよいし、月単位であってもよい。活動量の単位は問わない。例えば、活動量は金額(円)により表すようにしてもよいし、物理量(トン、キログラム、キロリットルなど)により表すようにしてもよい。
【0020】
排出係数記憶部233は、温室効果ガスの排出量を算出するための排出係数を含む情報(以下、排出係数情報という。)を記憶する。排出係数情報には、排出主体を特定する企業IDと、活動の種類を特定する種類特定情報とに対応付けて排出係数を含めることができる。排出係数情報には、活動の種類を示す種類特定情報に対応付けて排出係数を含めるようにしておよい。排出係数は、一次データ(排出主体自らが収集した、直接的な測定から得た、又は最初の情報源における直接的な測定に基づいた計算から得たデータ)であってもよいし、二次データ(一次データ以外のデータ、例えば、同種の商品を提供する複数の企業の排出量から標準化(統計処理)されたもの)であってもよい。
【0021】
排出量記憶部234は、温室効果ガスの排出量を記憶する。排出量記憶部234は、拠点ごとに排出量を記憶することができる。排出量記憶部234は、排出主体を示す企業IDと、拠点を示す拠点IDと、活動が行われた時期を特定する情報(時間情報)と、スコープと、カテゴリと、排出量とを対応付けて記憶することができる。時間情報は、例えば、年度や年、年月、年月日、日時範囲など任意の期間を設定することができる。スコープ及びカテゴリは、例えば、GHGプロトコルに既定されるものを用いることができる。
【0022】
ユーザ拠点記憶部235は、ユーザに関係する拠点を示す情報(以下、ユーザ拠点情報という。)を記憶する。ユーザ拠点情報には、ユーザを特定する情報(ユーザID)に対応付けて、当該ユーザが所属する排出主体を特定する企業IDと、当該ユーザがデータ入力を行う対象となりうる拠点を特定する情報(拠点ID)とを含めることができる。企業ID及び/又は拠点IDは複数含まれていても良い。
【0023】
輸送経路記憶部(不図示)は、輸送経路に関する情報を受信し、受信した輸送経路に関する情報を記憶(登録)する。なお、輸送経路とは、陸路・海路・空路のうち移動体(貨物自動車(自動二輪車を含む)・貨物鉄道・貨物船舶・貨物航空を指し、以下同意義とする。)が辿る出発地点から目的地点(到着地点)までの経路をいう。なお、輸送経路記憶部は、ユーザ端末1での受信の有無にかかわらず、第1地点(出発地点)と第2地点(到着地点)をつなぐ輸送経路に関する情報を記憶する記憶部であればよい。
【0024】
輸送実績記憶部(不図示)は、ユーザ端末1などから受信した所定の輸送経路における輸送実績の情報を、記録(登録)する。なお、輸送実績とは、移動体の走行距離や運航距離、荷主情報(発荷主名・着荷主名や積込場所・荷下場所)、移動体が実際に走行した道路の種別(一般道、高速自動車国道、一般国道の自動車専用道路、国道、都道府県道、市町村道)、移動体が実際に運航した海路や空路の種別、実際の輸送日時(輸送開始日・開始時刻や輸送終了日・輸送終了時刻)、移動体の種別(貨物自動車の場合は小型トラック、中型トラック、大型トラックをいい、自動二輪車の場合は大型自動二輪車、普通自動二輪車)、燃料の種類(ガソリンや軽油)や燃料の消費量をいう。輸送実績の情報は、ユーザ端末1以外の装置等により受信するようにしてもよいし、直接入力するようにしてもよい。輸送実績記憶部は、輸送実績の情報が記憶されればよい。
【0025】
<機能部>
活動量入力部211は、ユーザの位置とともに活動量の入力を受け付ける。活動量入力部211は、ユーザ端末1が例えばGPS衛星からの信号を処理して求めた位置情報と、ユーザから受け付けた活動量の種類(種類特定情報)及び活動量とをユーザ端末1から受信することができる。
【0026】
拠点特定部212は、拠点情報記憶部231を参照して、ユーザの位置に基づいて入力対象となる拠点を特定する。拠点特定部212は、例えば、拠点情報記憶部231に記憶されている拠点情報のうち、ユーザ端末1から受信した位置情報に最も近い位置情報を含む拠点情報を、入力対象となる拠点に係る拠点情報として特定することができる。また、拠点特定部212は、ユーザ拠点記憶部235及び拠点情報記憶部231を参照して、ユーザに対応する、入力対象となる拠点を特定することもできる。拠点特定部212は、例えば、ユーザ端末1のユーザを特定するユーザIDに対応する企業ID及び拠点IDをユーザ拠点記憶部235から読み出し、拠点情報記憶部231に記憶されている拠点情報のうち、読み出した企業ID及び拠点IDに対応するものの中で、ユーザ端末1から取得した位置情報に最も近い位置情報を含むものを、入力対象の拠点に係る拠点情報として特定することができる。拠点特定部212は、特定した拠点情報に含まれる企業ID及び拠点IDを取得することができる。
【0027】
登録部213は、特定した拠点に対応付けて、入力された活動量を登録することができる。登録部213は、取得した企業ID及び拠点IDと、現在時点を含む時間情報と、受信した種類特定情報及び活動量とを含む活動量情報を作成して活動量記憶部232に登録することができる。
【0028】
排出量算定部214は、活動量記憶部232に記憶されている活動量に基づいて温室効果ガスの排出量を算出することができる。排出量算定部214は、算出対象となる企業ID及び拠点IDの指定を受け付けて、受け付けた企業ID及び拠点IDに対応する活動量情報を活動量記憶部232から読み出し、読み出した活動量情報のそれぞれについて、受け付けた企業IDと、活動量情報に含まれる種類特定情報とに対応する排出係数を排出係数記憶部233から読み出し、読み出した排出係数を活動量情報に含まれる活動量に乗じることにより、排出量を算出することができる。排出量算定部214は、計算した排出量の全てを合計して、当該排出主体による排出量を計算してもよいし、スコープ及びカテゴリ別に排出量を合計するようにしてもよい。また、排出量算定部214は、拠点ごとに排出量を合計するようにしてもよいし、拠点ならびにスコープ及びカテゴリごとに排出量を合計するようにしてもよい。排出量算定部214は、計算した排出量を出力(例えば、ユーザ端末1に送信)することができる。
【0029】
排出量算定部214は、輸送実績記憶部(不図示)に記憶(登録)された輸送実績と算定方法指定部(不図示)で指定された算定方法(燃料法、燃費法、改良トンキロ法、従来トンキロ法)とに基づいて、温室効果ガス排出量を算定する。温室効果ガス排出量の算定方法とは、燃料法、燃費法、改良トンキロ法、従来トンキロ法などの算定手法である。これらの算定方法の詳細については、算定方法指定部(不図示)の説明で後述する。
【0030】
交通量判断部(不図示)は、第1地点(出発地点)と第2地点(到着地点)をつなぐ複数の輸送経路における交通量の多寡を判断する。例えば、複数の輸送経路が陸路の場合における交通量の多寡は、道路管理者が設置している交通量常時観測装置による単位時間あたりの自動車台数や交通量観測地点を通過した単位時間あたりの自動車台数から導き出される。交通量の多寡に関する情報は、例えばVICS(登録商標)を利用して本実施形態の情報処理システムに収集される。なお、交通量判断部(不図示)は、第1地点(出発地点)と第2地点(到着地点)をつなぐ複数の輸送経路における交通量の多寡を1回限り判断するだけではなく、当該複数の輸送経路における交通量の多寡を周期的に判断し続けるようにすることで、常に最新の交通量の多寡を判断するようにしてもよい。
【0031】
交通量判断部(不図示)による交通量の多寡の判断例を示す。第1地点(出発地点)から第2地点(到着地点)をつなぐ陸路の輸送経路として、第1輸送経路、第2輸送経路、第3輸送経路、第4輸送経路、第5輸送経路の5パターンの輸送経路が存在しているケースでは、以下(1)~(3)の何れかで判断する。
(1)第1輸送経路、第2輸送経路、第3輸送経路、第4輸送経路、第5輸送経路の中から交通量が最も少ない経路を判断する。
(2)第1輸送経路、第2輸送経路、第3輸送経路、第4輸送経路、第5輸送経路の中から交通量が所定量以下の輸送経路を判断する。
(3)第1輸送経路、第2輸送経路、第3輸送経路、第4輸送経路、第5輸送経路のうち交通量が少ない上位3つの輸送経路を判断する。
なお、輸送経路のパターン数に応じて交通量が少ない上位の輸送経路の数は適宜変更される。
【0032】
交通量判断部(不図示)は、第1地点(出発地点)と第2地点(到着地点)をつなぐ複数の輸送経路における交通量が少ない時間帯を判断するようにしてもよい。例えば、複数の輸送経路が陸路の場合における交通量が少ない時間帯は、輸送実績記憶部(不図示)に記録されている過去の輸送実績を分析することで導き出す。また、有料道路事業を営む事業者が公表しているデータを基にして判断するようにしてもよいし、輸送実績記憶部(不図示)に記録されている過去の輸送実績と有料道路事業を営む事業者が公表しているデータとを分析して導き出すようにしてもよい。
【0033】
交通量判断部(不図示)による交通量が少ない時間帯の判断例を示す。第1地点(出発地点)から第2地点(到着地点)をつないでいる陸路の輸送経路として、第1輸送経路、第2輸送経路、第3輸送経路、第4輸送経路、第5輸送経路の5パターンの輸送経路が存在しているケースでは、以下(1)~(3)の何れかで判断する。
(1)第1輸送経路、第2輸送経路、第3輸送経路、第4輸送経路、第5輸送経路における交通量が最も少ない時間帯を判断する。
(2)第1輸送経路、第2輸送経路、第3輸送経路、第4輸送経路、第5輸送経路における交通量が所定量以下の時間帯を判断する。
(3)第1輸送経路、第2輸送経路、第3輸送経路、第4輸送経路、第5輸送経路の各輸送経路における交通量が少ない時間帯の中から上位3つの交通量が少ない時間帯を判断する。
また、午前の時間帯と午後の時間帯で区分けして、午前の時間帯(0時~11時)における上位3つの交通量が少ない時間帯を判断し、午後の時間帯(13時~23時)における上位3つの交通量が少ない時間帯を判断するようにしてもよい。なお、輸送経路のパターン数に応じて上位3つの交通量が少ない時間帯の数は適宜変更される。
【0034】
交通量判断部(不図示)による判断例は、前述した交通量の多寡の判断例や交通量判断部(不図示)による交通量が少ない時間帯の判断例に限られない。例えば、第1地点(出発地点)から第2地点(到着地点)をつなぐ陸路の輸送経路として、第1輸送経路、第2輸送経路、第3輸送経路、第4輸送経路、第5輸送経路の5パターンの輸送経路が存在しているケースにおいて、第1輸送経路、第2輸送経路、第3輸送経路、第4輸送経路、第5輸送経路の中から交通量が最も多い経路や、第1輸送経路、第2輸送経路、第3輸送経路、第4輸送経路、第5輸送経路における交通量が最も多い時間帯を判断し、これを輸送経路選択部(不図示)に判断結果として送信するようにしてもよい。交通量が最も多い経路や交通量が最も多い時間帯を避けるようにして、複数存在している輸送経路の中から最適な輸送経路を輸送経路選択部(不図示)に選択させるようにすることができる。
【0035】
輸送経路選択部(不図示)は、交通量判断部(不図示)から送信される判断結果(交通量の多寡や交通量が少ない時間帯)を受信し、この判断結果に基づいて第1地点(出発地点)から第2地点(到着地点)までの複数の輸送経路のうち、最適な輸送経路を選択する。ここでいう最適な輸送経路とは、第1地点(出発地点)から第2地点(到着地点)までの複数の輸送経路が陸路の場合、交通量が少ない輸送経路や移動体の輸送時間が少ない輸送経路(移動体の運行時間が少ない輸送経路、移動体から排出される温室効果ガス排出量が少ない輸送経路等)をいう。ここでいう最適とは、輸送経路における交通量の少ない時間帯、車線数が多い、幅員がNメートル以上、通行料が無料という概念である。なお、輸送経路選択部(不図示)は、交通量判断部(不図示)から送信される判断結果(交通量の多寡や交通量が少ない時間帯)を1回限り受信するだけではなく、周期的に受信するようにして常に最新の判断結果(交通量の多寡や交通量が少ない時間帯)を受信するようにしてもよい。
【0036】
前述したとおり、輸送経路選択部(不図示)は交通量判断部(不図示)から送信される判断結果(交通量の多寡や交通量が少ない時間帯)を受信し、この判断結果に基づいて第1地点(出発地点)から第2地点(到着地点)までの複数の輸送経路の中から最適な輸送経路を選択するが、選択した最適な輸送経路上で事故等が発生したことにより、その経路が最適ではなくなった場合においては、交通量判断部(不図示)から送信される判断結果(交通量の多寡や交通量が少ない時間帯)を周期的に受信することで、最適な輸送経路を再選択するようにしてもよい。
【0037】
輸送経路共有部(不図示)は、本実施形態の情報処理ステムを使用している他のユーザ(他の輸送事業者や荷主等)に対して、輸送経路に関する情報や輸送実績に関する情報を共有する。この場合、共有先である他のユーザ(他の輸送事業者や荷主等)は、自らが使用している端末を用いて本実施形態の情報処理ステムにアクセスし、輸送経路に関する情報や輸送実績に関する情報を参照する。このようにすることで、共有先である他のユーザ(他の輸送事業者や荷主等)が共有されている輸送経路に関する情報や輸送実績に関する情報を参照することで、データを用いた効率的な輸送(配送)を実現することができる。
【0038】
輸送スケジュール変更提案部(不図示)は、交通量判断部(不図示)から送信される判断結果(交通量の多寡や交通量が少ない時間帯)を受信し、この判断結果に基づいて輸送スケジュールの変更をユーザに提案する。例えば、交通量が多い輸送経路を避けるルート(換言すると交通量が少ない輸送経路を優先するルート)に基づく輸送スケジュールを計画し、ユーザに対して当初のスケジュールを変更するように提案する。また、交通量が少ない時間帯に輸送するスケジュールを計画し、ユーザに対して当初のスケジュールを変更するように提案する。また、輸送スケジュール変更提案部(不図示)は、交通量判断部(不図示)から送信される判断結果(交通量の多寡や交通量が少ない時間帯)を周期的に受信するようにし、その周期に合わせて輸送スケジュールの変更をユーザに提案するようにしてもよい。
【0039】
情報付加部(不図示)は、輸送実績記憶部(不図示)に記録(登録)される輸送実績に情報(例えばタグ)を付加する。輸送実績記憶部(不図示)に記憶される複数の輸送実績のデータの中から一の輸送実績のデータを抽出するときに、付加された情報(例えばタグ)を用いることにより、必要な輸送実績のデータを容易に抽出することができる。
【0040】
算定方法指定部(不図示)は、輸送経路における温室効果ガス排出量の算定方法を指定する。輸送経路における温室効果ガス排出量の算定方法の指定をユーザ端末1から受け付け、輸送経路に対応づけて算定方法指定情報記憶部(不図示)に登録する。
【0041】
次に、本実施形態の情報処理システムとして別の実施形態を説明する。背景として、貨物自動車運転者(トラックドライバー)の時間外労働に対する上限規制が適用され、貨物自動車運転者(トラックドライバー)の労働時間が短くなることで輸送能力が不足し、モノが運べなくなる可能性が懸念されている(いわゆる物流の2024年問題)。また、物流業界においては、貨物自動車運転者(トラックドライバー)が長時間労働を余儀なくされることが多い。このような課題を解決するため、本実施形態の情報処理システムの拘束時間管理サーバ2は、拘束時間計算部(不図示)と、運転者拘束時間表示部(不図示)とをさらに備える。
【0042】
拘束時間計算部(不図示)は、輸送実績記憶部(不図示)に記憶された輸送時間を基にして、移動体を操作する者の拘束時間を計算する。拘束時間とは、移動体の種別が貨物自動車の場合、小型トラック、中型トラック又は大型トラックを運転する者が貨物自動車の運転操作を開始してから運転操作を終了するまでの時間や、貨物の積み込みを開始したときから貨物の荷下ろしを終了したときまでの時間を拘束時間としてもよい。
【0043】
運転者拘束時間表示部(不図示)は、拘束時間計算部(不図示)により計算された移動体を操作する者の拘束時間を表示する。移動体の種別が貨物自動車の場合、小型トラック、中型トラック又は大型トラックを運転する者が第1地点(出発地点)から第2地点(到着地点)に到達するまでに拘束された時間を情報処理システム上に表示する。表示の例として、情報処理システムのトップページでダッシュボード表示する方法がある。移動体を操作する者の拘束時間を表示することで、小型トラック、中型トラック又は大型トラックの運転者の拘束時間を可視化して管理することができる。
【0044】
<動作>
図4は、管理サーバ2の動作1を説明する図である。
【0045】
ユーザ端末1はGPS信号などからユーザ端末1の位置を特定するとともに、ユーザから活動量(及び種類特定情報)の入力を受け付け、管理サーバ2は、ユーザ端末1から位置情報と活動量(及び種類特定情報)を受信する(S401)。管理サーバ2は、受信した位置情報に基づいて拠点情報(受信した位置情報からもっとも近い位置情報を含む拠点情報、又はユーザに対応する拠点情報のうち、受信した位置情報からもっとも近い位置情報を含むもの)を特定し(S402)、特定した拠点情報に含まれる拠点ID及び企業IDと、受信した活動量及び種類特定情報とを含む活動量情報を活動量記憶部232に登録する(S403)。なお、ここで時間情報は現在時点を含む所定単位の時間情報(例えば、1時間単位、1日単位、1週間単位、1月単位、1年単位など任意の単位時間により表すことができる。)としてもよいし、ユーザ端末1がユーザから活動量とともに時間情報の入力を受け付けて管理サーバ2に送信するようにしてもよい。管理サーバ2は、登録した活動量情報ごとに、活動量情報に対応する排出係数を特定し、特定した排出係数を活動量に乗じて排出量を算出する(S404)。管理サーバ2は、算出した排出量を拠点ごとに集計して出力(例えば、ユーザ端末1に送信)することができる(S405)。
【0046】
以上のようにして、ユーザの位置に応じて入力対象となる拠点を特定し、当該拠点を指定した活動量の入力を容易に行うことができる。
【0047】
また、衛星データを用いて、各拠点における過去及び将来の地表状態を時系列で分析することができる。本例における拠点は、例えば、事業所や工場など、温室効果ガスを排出する活動を行う場所でもよいし、一又は複数の事業所や工場などを含む温室効果ガスを排出する活動を活動主体が存在する所定の領域でもよい。所定の領域は、予め定められた面積の領域であることが好ましい。衛星データは、GPS衛星から撮影された画像データである。衛星データは、温室効果ガスの排出主体の拠点の画像データであり、予め定められた面積の領域を示す画像データである。衛星データは、取得部215で取得する。分析対象の画像データは、第1の時点(例えば、1年前)で取得した第1の衛星データと第2の時点(例えば、現在)で取得した第2の衛星データであり、これらを比較して分析を行う。第1の衛星データと第2の衛星データは、同じ面積の領域(同じ拠点)を示す画像データである。分析は、分析部216で行う。分析は、画像データにおける緑地面積や森林の面積を比較する。このように衛星データを分析することで、緑地や森林の減少などの土地利用の時系列での変化を分析することができる。また、衛星データを分析することで、拠点における活動量を推定して登録することができる。このような分析により、拠点における活動量を容易に登録することができる。登録は、登録部213で行う。また、この分析により、生物多様性リスク等の分析ができる。特にマテリアリティを特定する際に非常に有効である。
【0048】
【0049】
管理サーバ2は、温室効果ガスの排出主体の拠点の衛星データを取得する(S501)。次に、管理サーバ2は、衛星データを時系列に分析する(S502)。次に、管理サーバ2は、分析結果に基づき、拠点における活動量を登録部に登録する(S503)。続いて、動作1を実行するようにしてもよいし、次のように構成してもよい。管理サーバ2は、衛星データから拠点の位置を特定し、特定した拠点の位置情報を拠点情報記憶部に記憶する。管理サーバ2は、拠点の位置情報及び排出主体による活動量の入力を活動量入力部で受け付ける。管理サーバ2は、拠点情報記憶部を参照して、拠点特定部によって位置情報に基づいて拠点を特定する。管理サーバ2は、分析結果に基づき、拠点における活動量を活動量記憶部に登録する。また、特定した拠点に対応付けて、入力された活動量を活動量記憶部に登録する。
【0050】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0051】
例えば、本実施形態では、ユーザから活動量の入力を受け付けるものとしたが、例えば、拠点ごとに排出係数が変わり得る場合には、排出係数の入力を受け付けるようにし、ユーザ端末1の位置情報に応じて入力対象の拠点を特定し、特定した拠点の排出係数を登録するようにすることができる。
【0052】
図10は、管理サーバ2の動作3を説明する図である。
【0053】
管理サーバ2は、出発地点から到着地点までの複数の輸送経路を輸送経路記憶部に登録(記憶)する(S1001)。次に、管理サーバ2は、輸送経路の交通量を判断する(S1002)。ここでは、第1の判断結果であるか否かを判断する(S1003)例を示す。第1の判断結果は、交通量の多寡である結果を例示するが、他の判断結果でもよい。管理サーバ2は、交通量判断部の判断結果が第1の判断結果の場合(S1003でYES)、複数の輸送経路の中から第1の輸送経路を選択する(S1004)。一方、管理サーバ2は、交通量判断部の判断結果が第1の判断結果ではないと判断した場合(S1003でNO)、例えば、第2の判断結果として交通量が少ない時間帯であるとの判断結果の場合、複数の輸送経路の中から第2の輸送経路を選択する(S1005)。なお、これ以外の判断結果もあり、その場合は判断結果に基づく輸送経路を選択する。次に、管理サーバ2は、選択された一の輸送経路を本情報処理システムの利用者間で共有する(S1006)。共有とは、本情報処理システムと接続されるユーザ端末1を介して、本情報処理システムの利用者であるユーザに視認可能とされることを含む。
【0054】
<開示事項>
なお、本開示には、以下のような構成も含まれる。
[項目1]
温室効果ガスの排出主体の拠点の衛星データを取得する取得部と、前記衛星データを時系列に分析する分析部と、分析結果に基づき、前記拠点における活動量を登録する登録部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。また、項目1は以下のようにしてもよい。温室効果ガスの排出主体の拠点の衛星データを取得する取得部と、前記衛星データを時系列に分析する分析部と、前記拠点の位置を特定する位置情報を記憶する拠点情報記憶部と、拠点の位置情報及び排出主体による活動量の入力を受け付ける活動量入力部と、前記拠点情報記憶部を参照し、前記位置情報に基づいて前記拠点を特定する拠点特定部と、分析結果に基づき、前記拠点における活動量を登録し、特定した前記拠点に対応付けて、入力された前記活動量を前記活動量記憶部に登録する登録部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目2]
温室効果ガスの排出主体の拠点の衛星データを取得するステップと、前記衛星データを時系列に分析するステップと、分析結果に基づき、前記拠点における活動量を登録するステップと、をコンピュータが実行することを特徴とする情報処理方法。
[項目3]
温室効果ガスの排出主体の拠点の衛星データを取得するステップと、前記衛星データを時系列に分析するステップと、分析結果に基づき、前記拠点における活動量を登録するステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラム。
[項目4]
温室効果ガスの排出主体の拠点ごとに前記拠点の位置を特定する情報を記憶する拠点情報記憶部と、前記拠点ごとの前記排出主体による活動量を記憶する活動量記憶部と、ユーザの携帯端末から前記携帯端末の位置情報及び前記活動量の入力を受け付ける活動量入力部と、前記拠点情報記憶部を参照し、前記位置情報に基づいて前記拠点を特定する拠点特定部と、特定した前記拠点に対応付けて、入力された前記活動量を前記活動量記憶部に登録する登録部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目5]
項目4に記載の情報処理システムであって、前記温室効果ガスの排出量を算出するための排出係数を記憶する排出係数記憶部と、前記活動量記憶部に記憶されている前記活動量に前記排出係数を乗じて排出量を算出する排出量算出部と、前記拠点ごとに前記排出量を記憶する排出量記憶部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目6]
項目4に記載の情報処理システムであって、前記ユーザに対応付けて前記拠点を示す情報を記憶するユーザ拠点記憶部を備え、前記拠点特定部は、前記ユーザ拠点記憶部及び前記拠点情報記憶部を参照して、前記ユーザに対応する前記拠点を特定すること、を特徴とする情報処理システム。
[項目7]
温室効果ガスの排出主体の拠点ごとに前記拠点の位置を特定する情報を拠点情報記憶部に記憶するステップと、前記拠点ごとの前記排出主体による活動量を活動量記憶部に記憶するステップと、ユーザの携帯端末から前記携帯端末の位置情報及び前記活動量の入力を受け付けるステップと、前記拠点情報記憶部を参照し、前記位置情報に基づいて前記拠点を特定するステップと、特定した前記拠点に対応付けて、入力された前記活動量を前記活動量記憶部に登録するステップと、をコンピュータが実行することを特徴とする情報処理方法。
[項目8]
温室効果ガスの排出主体の拠点ごとに前記拠点の位置を特定する情報を拠点情報記憶部に記憶するステップと、前記拠点ごとの前記排出主体による活動量を活動量記憶部に記憶するステップと、ユーザの携帯端末から前記携帯端末の位置情報及び前記活動量の入力を受け付けるステップと、前記拠点情報記憶部を参照し、前記位置情報に基づいて前記拠点を特定するステップと、特定した前記拠点に対応付けて、入力された前記活動量を前記活動量記憶部に登録するステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラム。
[項目9]
第1地点から第2地点までの複数の輸送経路を記憶する輸送経路記憶部と、前記輸送経路の交通量を判断する交通量判断部と、前記交通量判断部の判断結果に基づき、前記複数の輸送経路の中から一の前記輸送経路を選択する輸送経路選択部と、前記輸送経路記憶部に記憶された前記複数の輸送経路及び/又は前記輸送経路選択部により選択された前記一の前記輸送経路を利用者間で共有する輸送経路共有部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目10]
項目9に記載の情報処理システムであって、交通量判断部は、前記複数の輸送経路の中から交通量が最も少ない輸送経路を判断すること、を特徴とする情報処理システム。
[項目11]
項目9に記載の情報処理システムであって、前記交通量判断部は、前記複数の輸送経路のうち特定の輸送経路において、交通量が最も少ない時間帯を判断すること、を特徴とする情報処理システム。
[項目12]
項目9に記載の情報処理システムであって、前記交通量判断部の判断結果に基づいて、輸送のスケジュールの変更を提案する輸送スケジュール変更提案部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目13]
項目9に記載の情報処理システムであって、前記複数の輸送経路における輸送実績を記憶する輸送実績記憶部と、前記輸送実績に所定の情報を付加する情報付加部と、前記輸送経路における温室効果ガス排出量の算定方法を指定する算定方法指定部と、前記輸送実績記憶部に記憶された前記輸送実績と前記算定方法指定部で指定された前記算定方法とに基づいて、前記温室効果ガス排出量を算定する排出量算定部と、前記付加情報に基づいて抽出された前記輸送実績に対応する温室効果ガス排出量を出力する排出量出力部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目14]
項目13に記載の情報処理システムであって、前記輸送実績記憶部に記憶された所定の輸送経路における輸送実績を基にして、輸送車両の運転者の拘束時間を計算する拘束時間計算部と、前記付加情報に基づいて抽出された前記輸送実績に対応する運転者の拘束時間を表示する拘束時間表示部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目15]
第1地点から第2地点までの複数の輸送経路を記憶するステップと、前記輸送経路の交通量を判断するステップと、前記交通量判断部の判断結果に基づき、前記複数の輸送経路の中から一の前記輸送経路を選択するステップと、前記輸送経路記憶部に記憶された前記複数の輸送経路及び/又は前記輸送経路選択部により選択された前記一の前記輸送経路を利用者間で共有するステップと、をコンピュータが実行することを特徴とする情報処理方法。
[項目16]
第1地点から第2地点までの複数の輸送経路を記憶するステップと、前記輸送経路の交通量を判断するステップと、前記交通量判断部の判断結果に基づき、前記複数の輸送経路の中から一の前記輸送経路を選択するステップと、前記輸送経路記憶部に記憶された前記複数の輸送経路及び/又は前記輸送経路選択部により選択された前記一の前記輸送経路を利用者間で共有するステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【0055】
<<目標設定機能>>
次に、本実施形態の情報処理システムに搭載される別機能としての目標設定機能を説明する。管理サーバ2は、前述したソフトウェア構成例に加えて、記憶部(排出係数記憶部、排出量記憶部、ソリューション記憶部)と、計算部(排出量計算部、単位削減量計算部、目標排出量計算部)と、入力部と、出力部と、をさらに備える。
【0056】
記憶部を構成する排出係数記憶部は、温室効果ガス排出量を算出するための排出係数を含む情報(以下、排出係数情報という。)を記憶する。排出係数は、一次データ(排出主体自らが収集した、直接的な測定から得た、又は最初の情報源における直接的な測定に基づいた計算から得たデータ)であってもよいし、二次データ(一次データ以外のデータ、例えば、同種の商品やサービスを提供する複数の企業の排出量から標準化(統計処理)されたもの)であってもよい。排出係数記憶部は、活動の種類に対応付けて排出係数を記憶することができる。排出係数記憶部は、事業主体を特定する情報(起業ID)と、活動の種類を示す情報(種類特定情報)とに対応付けて、排出係数を記憶することができる。
【0057】
記憶部を構成する排出量記憶部は、事業主体による温室効果ガスの排出量を記憶する。排出量記憶部は、事業主体による直接的な第1の排出量(スコープ1)、事業主体による間接的な第2の排出量(スコープ2)、及び事業主体のサプライチェーンの上流又は下流に位置する他の事業者による第3の排出量(スコープ3)を記憶することができる。また、排出量記憶部は、他の事業者に係る第3の排出量(スコープ3)に関し、カテゴリ別の第4の排出量を記憶することもできる。本実施形態では、排出量記憶部は、事業主体を示す企業IDと、活動が行われた時期を特定する情報(時間情報)と、スコープと、カテゴリと、排出量とを対応付けて記憶することができる。時間情報は、例えば、年度や年、年月、年月日、日時範囲など任意の期間を設定することができる。スコープ及びカテゴリは、GHGプロトコルに規定されるスコープ及びカテゴリとすることができる。なお、カテゴリは省略されてもよい。
【0058】
記憶部を構成するソリューション記憶部は、排出量の削減を実現するソリューションに関する情報(ソリューション情報という。)を記憶する。ソリューションは、例えば、削減計画の策定や実行などに係るコンサルティングサービス、再エネ電力の調達、Jクレジットなどのオフセット取引など、温室効果ガスの排出量の削減やオフセットに係る各種のサービス及び商品を含むことができる。ソリューション記憶部は、ソリューションを特定する情報(ソリューションID)及び当該ソリューションの採用可能な業種に対応付けて、ソリューションにより削減されうる排出力の削減量を計算するための削減情報を記憶することができる。削減情報は、例えば、排出量に対する割合(パーセント)であってもよいし、活動量に乗じるための排出係数であってもよい。
【0059】
計算部を構成する排出量計算部は、事業主体の排出量(又は第1ないし第4の排出量の少なくともいずれか)を計算することができる。排出量計算部は、例えば、活動量の入力を受け付け、活動量の種類に対応する排出係数を排出係数記憶部から取得し、取得した排出係数を活動量に乗じて活動ごとの排出量を計算し、スコープ及び/又はカテゴリ別に排出量を合計して排出量を計算することができる。なお、排出量計算部は、外部で計算された排出量の入力を受け付けるようにしてもよい。
【0060】
入力部は、事業主体による排出量の削減目標割合、基準時点及び目標時点の入力を受け付ける。基準時点及び目標時点は、例えば、年(年度)である。基準時点の排出量を基準として、削減目標割合だけ削減した目標排出量を目標時点に実現することを目標として設定することができる。入力部は、第1ないし第3の排出量のそれぞれについて、第1ないし第3の削減目標割合を受け付けることができる。入力部は、第3の排出量について、カテゴリ別の第4の削減目標割合を受け付けることもできる。
【0061】
また、入力部は、移動体を操作する者の拘束時間や労働時間の削減目標割合、基準時点及び目標時点の入力を受け付ける。基準時点及び目標時点は、例えば、年(年度)である。基準時点の拘束時間を基準として、削減目標割合だけ削減した目標拘束時間を目標時点に実現することを目標として設定することができる。
【0062】
入力部は、他の事業者から第3の削減目標割合を受け付けることができる。入力部は、例えば、他の事業者(の従業者)が操作するユーザ端末から第3の削減目標割合を受信することができる。入力部は、他の事業者のユーザ端末に対して、第3の削減目標割合の入力を指示するメッセージを送信し、メッセージに応じて他の事業者から入力された第3の削減目標割合を当該ユーザ端末から受信することができる。
【0063】
計算部を構成する単位削減量計算部は、単位時間(単位期間)での排出量の削減量を計算する。単位時間は例えば1年であるが、四半期や月、週などとしてもよい。単位削減量計算部は、基準時点における排出量を排出量記憶部から取得し、取得した排出量に削減目標割合を乗じて、基準時点から目標時点までに削減する削減量を計算する。単位削減量計算部は、計算した削減量を基準時点から目標時点までの単位時間の数(例えば年数)で割って、単位時間(例えば1年)あたりに削減する削減量の目標値(単位削減量)を計算することができる。単位削減量計算部は、第1ないし第3の排出量のそれぞれについて、第1ないし第3の単位削減量を計算することもできる。単位削減量計算部は、第3の排出量について、カテゴリ別の第4の単位削減量を計算することもできる。なお、単位削減量計算部は、単位時間(単位期間)における温室効果ガス排出量の削減量を計算することに限らず、単位時間(単位期間)における移動体を操作する者の拘束時間や労働時間を計算するようにしてもよい。
【0064】
計算部を構成する目標排出量計算部は、単位時間(例えば1年)ごとの排出量の目標値(目標排出量という。)を計算する。目標排出量計算部は、基準時点から単位時間ごとに、基準時点の排出量から累積の単位削減量を減じて目標排出量を計算することができる。目標排出量計算部は、第1ないし第3の排出量のそれぞれについて、単位時間ごとの目標排出量(第1ないし第3の目標排出量)を計算することができる。目標排出量計算部は、第3の排出量について、単位時間ごとのカテゴリ別の第4の目標排出量を計算することができる。なお、目標排出量計算部は、単位時間(例えば1年)ごとの排出量の目標値(目標排出量という。)を計算することに限らず、単位時間(例えば1年)ごとの移動体を操作する者の拘束時間や労働時間の目標値(目標拘束時間、目標労働時間という。)を計算するようにしてもよい。
【0065】
出力部は、単位時間ごとに目標排出量を出力することができる。出力部240は、第1ないし第3の排出量のそれぞれについて、目標排出量を出力することができる。出力部240は、第3の排出量について、カテゴリ別に第4の目標排出量を出力することができる。また、出力部は、単位時間ごとに目標排出量を出力することに限らず、単位時間ごとに目標拘束時間や目標労働時間も出力することができる。
【0066】
出力部は、排出量が登録されている期間については、排出量と目標排出量(合計又は第1ないし第4の排出量及び目標排出量)を対応付けて出力することができる。出力部は、例えば、グラフ形式により排出量と目標排出力とを出力することができる。また、出力部は、移動体を操作する者の拘束時間や労働時間が登録されている期間については、拘束時間や労働時間と目標拘束時間や目標労働時間を対応付けて出力することができる。
【0067】
出力部は、ソリューションを導入した後の排出量(又は削減量)を可視化することもできる。出力部は、例えば、ユーザ端末1からソリューションの指定を受け付け、指定されたソリューションに対応する削減情報をソリューション記憶部から読み出し、読み出した削減情報に基づいて排出量の削減量を計算し、排出量から削減量を減じた値(シミュレーション排出量)を計算し、シミュレーション排出量を出力することができる。出力部は、排出量及び目標排出量とともに、シミュレーション排出量を出力することもできる。
【0068】
出力部は、ソリューションを導入した後の移動体を操作する者の拘束時間や労働時間を可視化することもできる。出力部は、例えば、ユーザ端末1からソリューションの指定を受け付け、指定されたソリューションに対応する削減情報をソリューション記憶部から読み出し、読み出した削減情報に基づいて移動体を操作する者の拘束時間や労働時間の削減量を計算し、移動体を操作する者の拘束時間や労働時間から削減量を減じた値(シミュレーション拘束時間やシミュレーション労働時間)を計算し、シミュレーション拘束時間やシミュレーション労働時間を出力することができる。出力部は、拘束時間や労働時間及び目標拘束時間や目標労働時間とともに、シミュレーション拘束時間やシミュレーション労働時間を出力することもできる。
【0069】
<動作>
図6は、目標排出量を出力する処理(動作1)を説明する図である。
【0070】
管理サーバ2は、自社のユーザが操作するユーザ端末1から基準時点、目標時点、及び削減割合の入力を受け付ける(S601)。管理サーバ2は、サプライチェーンの上流及び/又は下流の他の事業主体のユーザ端末1に対して、基準時点及び目標時点を設定した、削減割合を要求するリクエストを送信する(S602)。他の事業主体のユーザは、リクエストに応じてユーザ端末1に削減割合を入力し、管理サーバ2は、リクエストに応じてユーザ端末1から送信される削減割合を受信する(S603)。なお、他の事業主体において排出量を管理するシステムが削減割合を応答するようにしてもよい。また、管理サーバ2は、自社のユーザから、他の事業主体による削減割合の入力を受け付けるようにしてもよい。
【0071】
管理サーバ2は、基準時点から目標時点までの単位時間(例えば年)ごとの削減量を計算する(S604)。管理サーバ2は、例えば、基準時点の排出量を排出量記憶部から読み出し、読み出した排出量に削減割合を乗じて削減量を計算することができる。管理サーバ2は、スコープ1及び2のそれぞれについて、異なる削減割合を受け付けるようにしてもよい。また、スコープ3については、他の事業主体のユーザ端末1から取得した削減割合は、自社のスコープ1、2に係る削減割合とは異なることがある。管理サーバ2は、自社の企業ID及び基準時点に対応する排出量を排出量記憶部から読み出して、自社のユーザ端末1から受け付けた削減割合を乗じて目標削減量を計算するとともに、他の事業主体を示す企業ID及び基準時点に対応する排出量を排出量記憶部から読み出して他の事業者のユーザ端末1から受信した削減割合を乗じて目標削減量を計算するようにし、スコープ及び/又はカテゴリごとに目標削減量を合計することができる。
【0072】
管理サーバ2は、基準時点から目標時点までの単位時間(例えば年)の数で目標削減量を割ることにより、単位時間ごとの削減量を計算し(S605)、基準時点の排出量から、累積した削減量を減じることにより、単位時間ごとの目標排出量を計算することができる(S605)。
【0073】
管理サーバ2は、排出量が排出量記憶部に登録されている単位時間(年)については、排出量と目標排出量とを対応付けて出力することができる(S606)。管理サーバ2は、排出量が登録されていない単位時間(年)については、目標排出量のみを出力することができる。なお、管理サーバ2は、目標排出量ではなく単位時間ごとの削減量と排出量(登録されていれば)とを出力するようにしてもよい。
【0074】
前述した目標排出量を出力する処理(動作1)を応用し、移動体を操作する者の拘束時間や労働時間の削減目標(目標拘束時間や目標労働時間)を出力できるようにしてもよい。この場合、S601からS606の処理のうちS602とS603を無くし、S601とS604とS605とS606の処理を実行する。S601では、管理サーバ2は、自社のユーザが操作するユーザ端末1から基準時点、目標時点、及び削減割合の入力を受け付ける。S604では、管理サーバ2は、基準時点から目標時点までの単位時間(例えば年)ごとの削減量を計算する。S605では、管理サーバ2は、基準時点から目標時点までの単位時間(例えば年)の数で目標削減量を割ることにより、単位時間ごとの削減量を計算し、基準時点の拘束時間もしくは労働時間から、累積した削減量を減じることにより、単位時間ごとの目標拘束時間もしくは目標労働時間を計算する。S606では、管理サーバ2は、拘束時間もしくは労働時間が記憶部に登録されている単位時間(年)については、拘束時間もしくは労働時間と目標拘束時間もしくは目標労働時間とを対応付けて出力する。
【0075】
図7は、ソリューションにより削減した排出量を出力する処理(動作2)を説明する図である。
【0076】
管理サーバ2は、ソリューションの指定を受け付け(S701)、受け付けたソリューション及び自社の業種に対応する削減情報をソリューション記憶部から読み出し、読み出した削減情報と、基準時点の排出量とに基づいて、ソリューションの導入により期待される削減量(期待削減量)を計算する(S702)。管理サーバ2は、基準時点から目標時点までの単位時間(例えば年)の数で期待削減量を割ることにより、単位時間ごとの期待削減量を計算し(S703)、基準時点の排出量から、累積した単位時間ごとの期待削減量を減じることにより、単位時間ごとのソリューションの導入により期待される排出量(期待排出量)を計算することができる(S704)。管理サーバ2は、排出量が排出量記憶部に登録されている単位時間(年)については、排出量及び目標排出量とともに、期待排出量を対応付けて出力することができる(S705)。管理サーバ2は、排出量が登録されていない単位時間(年)については、目標排出量と期待排出量とを対応付けて出力することができる。なお、管理サーバ2は、期待排出量ではなく単位時間ごとの期待削減量と排出量(登録されていれば)とを出力するようにしてもよい。
【0077】
管理サーバ2の計算部と、入力部と、出力部を自ら学習する人工的な知能を有するシステム(機械的なシステム)が実行するようにしてもよい。
【0078】
前述したリューションにより削減した排出量を出力する処理(動作2)を応用し、ソリューションにより削減した移動体を操作する者の拘束時間や労働時間を
図8に示すように出力できるようにしてもよい。この場合、管理サーバ2は、ソリューションの指定を受け付け(S801)、受け付けたソリューション及び自社の業種に対応する削減情報をソリューション記憶部から読み出し、読み出した削減情報と、基準時点の拘束時間もしくは労働時間とに基づいて、ソリューションの導入により期待される削減時間(期待削減時間)を計算する(S802)。管理サーバ2は、基準時点から目標時点までの単位時間(例えば年)の数で期待削減時間を割ることにより、単位時間ごとの期待削減時間を計算し(S803)、基準時点の拘束時間もしくは労働時間から、累積した単位時間ごとの期待削減時間を減じることにより、単位時間ごとのソリューションの導入により期待される拘束時間もしくは労働時間(期待削減時間)を計算する(S804)。管理サーバ2は、拘束時間もしくは労働時間が記憶部に登録されている単位時間(年)については、拘束時間もしくは労働時間及び目標拘束時間もしくは目標労働時間とともに、期待削減時間を対応付けて出力する(S805)。
【0079】
<開示事項>
目標設定機能には、以下のような構成も含まれる。
[項目A1(P025)]
事業主体による温室効果ガスの排出量を記憶する排出量記憶部と、前記事業主体による前記排出量の削減目標割合、基準時点及び目標時点の入力を受け付ける入力部と、前記基準時点に対応する前記排出量を前記排出量記憶部から取得し、取得した前記排出量に前記削減目標割合を乗じて削減量を計算し、計算した前記削減量を前記基準時点から前記目標時点までの単位時間の数で割った単位削減量を計算する単位削減量計算部と、前記単位時間ごとに、前記基準時点に対応する前記排出量から累積の前記単位削減量を減じた目標排出量を計算する目標排出量計算部と、前記単位時間ごとに前記目標排出量を出力する出力部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目A2]
項目A1に記載の情報処理システムであって、前記排出量記憶部は、前記事業主体による直接的な第1の排出量、前記事業主体による間接的な第2の排出量、及び前記事業主体のサプライチェーンの上流又は下流に位置する他の事業者による第3の排出量を記憶し、前記入力部は、前記第1ないし第3の排出量のそれぞれについて、第1ないし第3の前記削減目標割合を受け付け、前記単位削減量計算部は、前記第1ないし第3の排出量のそれぞれについて、第1ないし第3の前記単位削減量を計算し、前記目標排出量計算部は、前記第1ないし第3の排出量のそれぞれについて、前記単位時間ごとの前記目標排出量を計算し、前記出力部は、前記第1ないし第3の排出量のそれぞれについて、前記目標排出量を出力すること、を特徴とする情報処理システム。
[項目A3]
項目A2に記載の情報処理システムであって、前記排出量記憶部は、前記他の事業者に係る前記第3の排出量に関し、カテゴリ別の第4の排出量を記憶し、前記入力部は、前記第3の排出量について、前記カテゴリ別の第4の前記削減目標割合を受け付け、前記単位削減量計算部は、前記第3の排出量について、前記カテゴリ別の第4の前記単位削減量を計算し、前記目標排出量計算部は、前記第3の排出量について、前記単位時間ごとの前記カテゴリ別の第4の前記目標排出量を計算し、前記出力部は、前記第3の排出量について、前記カテゴリ別に前記第4の目標排出量を出力すること、を特徴とする情報処理システム。
[項目A4]
項目A2に記載の情報処理システムであって、前記入力部は、前記他の事業者から前記第3の削減目標割合を受け付けること、を特徴とする情報処理システム。
[項目A5]
項目A4に記載の情報処理システムであって、前記入力部は、前記他の事業者に対して、前記第3の削減目標割合の入力を指示するメッセージを送信し、前記メッセージに応じて前記他の事業者から入力される前記第3の削減目標割合を受け付けること、を特徴とする情報処理システム。
[項目A6]
項目A1に記載の情報処理システムであって、前記排出量の削減を実現するソリューションを特定する情報及び前記ソリューションにより削減されうる前記排出力の削減量を計算するための削減情報を記憶するソリューション記憶部を備え、前記出力部は、前記ソリューションの指定を受け付け、指定された前記ソリューションに対応する前記削減情報を前記ソリューション記憶部から読み出し、読み出した前記削減情報に基づいて前記排出量の前記削減量を計算し、前記排出量から前記削減量を減じた値を出力すること、を特徴とする情報処理システム。
【0080】
<<目標設定サジェスト機能>>
次に、目標設定機能の実施形態において一部説明したものもあるが、前述した目標設定機能の実施形態にさらに適用可能な構成の一例を目標設定サジェスト機能の実施形態とし、以下に詳述する。目標設定サジェスト機能の実施形態では、GHGプロトコルの特にスコープ3に係る排出量の削減目標を策定する支援を行う。スコープ3に係る排出量は、排出量を算定しようとする事業主体に係るサプライチェーンの上流及び/又は下流を構成する事業主体(以下、サプライヤという。)による温室効果ガスの排出量である。目標設定サジェスト機能を備える情報処理システムでは、サプライヤの削減目標を取り込んで、自社のスコープ3に係る排出量の削減目標の候補として提案する。
【0081】
目標設定サジェスト機能における管理サーバ2のソフトウェア構成例を説明する。管理サーバ2は、記憶部(排出量記憶部、目標記憶部)と、取得部(目標取得部)と、推定部と、計算部(削減率計算部)と、を備える。
【0082】
記憶部を構成する排出量記憶部は、サプライヤごとの温室効果ガスの排出量を特定する情報を記憶する。目標設定サジェストの実施形態では、排出量記憶部は、排出量を特定する情報として、活動量と排出原単位とを記憶するものとするが、排出量そのものを記憶するようにしてもよい。排出量記憶部は、サプライヤを示す企業ID、時間情報、サプライヤによる活動を特定するための情報(活動内容)、当該活動に係る活動量及び排出原単位を記憶することができる。時間情報は、例えば、年であってよい。時間情報として、年月、年月日などとすることもできる。
【0083】
排出量記憶部はさらに、自社による直接的及び間接的な排出量(スコープ1、2に係る排出量)を特定する情報を記憶することができる。排出量記憶部は、自社のスコープ1、2に係る排出量を特定する情報として、排出量そのものを記憶してもよいし、活動量と排出係数とを記憶してもよい。
【0084】
記憶部を構成する目標記憶部は、サプライヤごとに目標削減率を記憶する。目標削減率は、サプライヤが設定した目標であり、基準年のサプライヤの排出量に対する割合である。目標記憶部は、サプライヤを特定する企業ID及びサプライヤによる活動を特定する活動内容に対応付けて、基準時点、目標時点、及び削減率を記憶する。基準時点及び目標時点は、例えば、年によって特定してもよいし、年月や年月日、日時などにより特定するようにしてもよい。
【0085】
取得部を構成する目標取得部は、サプライヤから目標削減率を取得する。目標取得部は、例えば、サプライヤのユーザに対してリクエストを送信し、サプライヤのユーザ端末1から目標削減率を受信するようにすることができる。目標取得部は、目標削減率が管理されているサーバから目標削減率を取得するようにしてもよいし、サプライヤが開示した目標削減率を、例えば、サプライヤのWebページや新聞社のWebページなどから取得するようにしてもよい。目標取得部は、活動内容、基準年、目標年、削減率を取得することができる。目標取得部は、取得した目標削減率を目標記憶部に登録することができる。
【0086】
目標取得部は、自社の排出量に係る目標の削減率(自社削減率)を取得することもできる。目標取得部は、ユーザ端末1から自社削減率を受信することができる。
【0087】
推定部は、サプライヤごとに将来の排出量を推定する。推定部は、基準時点のサプライヤの排出量(活動量に排出原単位を乗じた値)に目標削減率を乗じて、目標時点の排出量を計算することができる。
【0088】
推定部は、目標削減率を取得できなかったサプライヤについて、目標記憶部に記憶されている目標削減率の統計値を当該サプライヤの目標削減率として将来の排出量を推定することができる。推定部は、例えば、全てのサプライヤの目標削減率の平均を、目標削減率を取得できなかったサプライヤの目標削減率とすることができる。
【0089】
計算部の一つである削減率計算部は、スコープ3に係る排出量の目標削減率を計算する。削減率計算部は、サプライヤごとに推定した将来の排出量の第1の合計値と、基準時におけるサプライヤごとの排出量の第2の合計値との比較により、削減率(第1の合計値から第2の合計値を引いた値の第1の合計値に対する割合)を計算することができる。削減率計算部は、スコープ3の各カテゴリについて同様に削減率を計算することができる。
【0090】
また、削減率計算部は、スコープ1ないし3の合計に係る削減率(カーボンフットプリント:CFPの削減率)を計算することもできる。削減率計算部は、自社の排出量と自社削減率に基づいて、自社についての将来の(目標時点での)排出量を計算し、自社及びサプライヤについて目標時点での排出量の第1の合計値と、自社及びサプライヤについての基準時点での排出量の第2の合計値とを算出し、第1及び第2の合計値の差の第2の合計値に対する割合を、スコープ1ないし3に係る削減率として計算することができる。
【0091】
<動作>
図9は、削減目標を出力する処理(動作3)を説明する図である。
【0092】
管理サーバ2は、サプライヤから削減目標(基準時点から目標時点までの削減率)を取得する(S901)。管理サーバ2は、例えば、サプライヤのユーザにリクエストを送信して、サプライヤのユーザのユーザ端末1から削減目標を受信することができる。管理サーバ2は、サプライヤの活動に関する基準時点での排出量を排出量記憶部から取得し、取得した排出量に削減率を乗じて目標時点までの削減目標量を計算する(S902)。管理サーバ2は、各サプライヤについて計算した削減目標量を合計してスコープ3に係る削減目標量を計算する(S903)。なお、管理サーバ2は、削減目標を取得できなかったサプライヤについては、スコープ3の他のサプライヤあるいはスコープ3の同カテゴリの他のサプライヤの削減目標の統計値(削減率の平均値など)を用いて削減目標量を計算することができる。
【0093】
管理サーバ2は、基準時点におけるサプライヤの排出量の合計(すなわち、基準時点におけるスコープ3の排出量)を計算し、スコープ3に係る削減目標量の当該合計値に対する割合を、スコープ3の目標削減率として計算することができる(S904)。
【0094】
管理サーバ2は、自社のスコープ1及び2の削減目標を取得する(S905)。管理サーバ2は、例えば、自社の削減目標を取得して、基準時点における自社の排出量に削減率を乗じて目標時点までの削減目標量を計算することができる。自社の削減目標は、例えば、自社のユーザに対してリクエストを送信し、自社のユーザのユーザ端末1から削減目標を受信することができる。
【0095】
管理サーバ2は、スコープ1-3の削減目標量を合計し(S907)、排出量記憶部から基準時点におけるスコープ1-3に係る排出量の合計を計算し、計算した基準時点におけるスコープ1-3の排出量に対する、スコープ1-3の削減目標量の合計値の割合を、自社の目標削減率として計算する(S908)。
【0096】
管理サーバ2は、スコープ3の削減目標(目標削減率)、スコープ1-3(カーボンフットプリント;CFP)の削減目標(目標削減率)を出力することができる(S909)。
【0097】
以上のようにして、目標設定サジェスト機能の情報処理システムによれば、サプライヤから収集した削減目標に基づいて、自社のスコープ3に係る削減目標及び自社のカーボンフットプリントに係る削減目標を自動計算することができる。
【0098】
管理サーバ2の計算部と、取得部と、推定部を自ら学習する人工的な知能を有するシステム(機械的なシステム)が実行するようにしてもよい。
【0099】
<開示事項>
目標設定サジェスト機能には、以下のような構成も含まれる。
[項目B1(P032)]
サプライチェーンの上流又は下流を構成する複数の事業主体から温室効果ガスの目標削減率を取得する目標取得部と、基準時点における前記事業主体ごとの前記温室効果ガスの排出量を特定する情報を記憶する排出量記憶部と、前記事業主体ごとに、前記排出量に前記目標削減率を乗じて将来の排出量を推定する推定部と、前記事業主体ごとに推定した前記将来の排出量の合計値と、前記基準時における前記事業主体ごとの前記排出量の合計値との比較により、前記事業主体の全体に係る前記排出量の目標削減率を計算する計算部と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目B2]
項目B1に記載の情報処理システムであって、前記排出量記憶部はさらに、前記事業主体による第1の前記排出量を特定する情報とともに、自社による直接的及び間接的な第2の排出量を特定する情報を記憶し、前記目標取得部は、前記第2の排出量に係る自社削減率を取得し、前記計算部は、前記事業主体について前記将来の第3の排出量を推定するともに、前記第2の排出量と前記自社削減率とに基づいて、前記自社についての将来の第4の排出量を計算し、第3及び第4の排出量の合計に応じた値と、前記第1及び第2の排出量の合計に応じた値とに応じて、前記自社に係る目標削減率を計算すること、を特徴とする情報処理システム。
[項目B3]
項目B1に記載の情報処理システムであって、前記事業主体ごとに前記目標削減率を記憶する目標記憶部を備え、前記推定部は、前記目標削減率を取得できなかった前記事業主体について、前記目標記憶部に記憶されている前記目標削減率の統計値を当該事業主体の前記目標削減率として前記将来の排出量を推定すること、を特徴とする情報処理システム。
【符号の説明】
【0100】
1 ユーザ端末
2 管理サーバ
【要約】
【課題】 温室効果ガスの排出量を好適に管理するための情報処理システムを提供すること、効率的な輸送(配送)を実現するための情報処理システムを提供することを目的とする。
【解決手段】 情報処理システムであって、出発地点から到着地点までの複数の輸送経路を記憶する輸送経路記憶部と、輸送経路の交通量を判断する交通量判断部と、交通量判断部の判断結果に基づき、複数の輸送経路の中から一の輸送経路を選択する輸送経路選択部と、輸送経路記憶部に記憶された複数の輸送経路及び/又は輸送経路選択部により選択された一の輸送経路を利用者間で共有する輸送経路共有部と、を備える。
【選択図】
図10