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特許7591776蒸留酒製造用の熱源システム及びこれを用いた排熱回収・供給方法
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  • 特許-蒸留酒製造用の熱源システム及びこれを用いた排熱回収・供給方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】蒸留酒製造用の熱源システム及びこれを用いた排熱回収・供給方法
(51)【国際特許分類】
   C12H 6/02 20190101AFI20241122BHJP
【FI】
C12H6/02
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2024149030
(22)【出願日】2024-08-30
【審査請求日】2024-08-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】599004704
【氏名又は名称】菱機工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000103921
【氏名又は名称】オリオン機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140394
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 康次
(72)【発明者】
【氏名】北川 雅一朗
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 和也
(72)【発明者】
【氏名】蓮田 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】高野 康夫
(72)【発明者】
【氏名】高牟禮 英治
【審査官】松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111148821(CN,A)
【文献】中国実用新案第213141976(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第106635708(CN,A)
【文献】中国実用新案第212789813(CN,U)
【文献】特開2022-056759(JP,A)
【文献】特開2019-000807(JP,A)
【文献】特開2012-247167(JP,A)
【文献】特開2010-065001(JP,A)
【文献】特開2019-081125(JP,A)
【文献】特表2017-536133(JP,A)
【文献】特開2017-006056(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12G 1/00- 3/08
C12H 6/00- 6/04
B01B 1/00- 1/08
F22D 1/00- 11/06
F28D 1/00- 13/00
C12M 1/00- 3/10
C12P 1/00- 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器及び冷却器が取り付けられたポットスチルと、
加熱蒸気を生成しかつ前記熱交換器に該加熱蒸気の一部を供給する蒸気ボイラと、
蒸留酒製造用の水を貯水しかつ前記加熱蒸気の一部を利用して前記水を加熱する貯湯槽と、
前記熱交換器を通過し凝縮水となった前記加熱蒸気と前記冷却器を通過し温水となった冷媒とを集めて排熱を回収する排熱槽と、
前記排熱槽で回収された前記排熱を受け取るヒートポンプと、
前記貯湯槽で貯水された前記水を前記ヒートポンプに送り、かつ、前記ヒートポンプから前記排熱を受け取ることで加温された前記水を前記貯湯槽に戻す回収排熱返還ラインと、
を備える、
ことを特徴とする蒸留酒製造用の熱源システム。
【請求項2】
前記ヒートポンプと前記排熱槽との間で排熱伝達用熱媒を循環させる排熱伝達用循環ラインが更に設けられ、
前記排熱伝達用循環ラインでは、前記排熱伝達用熱媒の入口温度Tが前記ヒートポンプで運転可能な上限温度Tになるように、該入口温度T自体の温度又は前記排熱伝達用熱媒の流量が調整される、
ことを特徴とする請求項1に記載の蒸留酒製造用の熱源システム。
【請求項3】
前記蒸気ボイラと前記排熱槽との間には、前記貯湯槽内の前記水の加熱に利用された前記加熱蒸気を凝縮水として前記排熱槽に送るボイラ凝縮水再利用ラインが接続されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の蒸留酒製造用の熱源システム。
【請求項4】
前記ポットスチルの上流側に設けられ、かつ、前記ポットスチルへ供給される発酵液又は蒸留液を加温する予熱用熱交換器と、
前記貯湯槽で加温された温水を前記予熱用熱交換器に送り、かつ、前記予熱用熱交換器で熱の授受を行った前記温水を前記貯湯槽に戻す予熱用熱媒循環ラインと、
を更に備える、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の蒸留酒製造用の熱源システム。
【請求項5】
貯湯槽に蒸留酒製造用の水を貯水する工程S1と、
蒸気ボイラを運転して加熱蒸気を生成し、該加熱蒸気を利用して前記貯湯槽内の前記水を設定温度にまで加熱する工程S2と、
前記蒸気ボイラを運転して加熱蒸気を生成し、該加熱蒸気をポットスチルに附属の熱交換器に供給することで、前記ポットスチル内の発酵液又は蒸留液を設定温度にまで加熱する工程S7,S7bと、
ヒートポンプと熱交換可能な排熱槽を用意し、前記熱交換器を通過した前記加熱蒸気の凝縮水を、凝縮水再利用ラインを通して前記排熱槽に送る工程S8,S8bと、
前記発酵液又は前記蒸留液の液温度が設定温度に達した後は前記熱交換器への加熱蒸気量を調整しながら当該液温度を維持する工程S9,S9bと、
前記ポットスチルに附属の冷却器へ冷媒を流すとともに前記貯湯槽へ水を供給する工程S10,S10bと、
前記熱交換器を通過した前記凝縮水を、凝縮水再利用ラインを通して前記排熱槽に送るとともに、前記冷却器を通過して熱を受け取った前記冷媒を、冷却水再利用ラインを通して排熱槽に送る工程S11,S11bと、
前記貯湯槽の前記水が前記ヒートポンプを通過して前記貯湯槽へ戻るように、前記水を回収排熱返還ラインへ流す工程S12と、
前記排熱槽に前記凝縮水及び前記冷媒を含む排温水が設定量まで貯水されたら前記ヒートポンプを作動させ、排熱伝達用循環ラインを介して前記排熱槽の前記排温水から排熱を回収し、前記回収排熱返還ラインの前記水を温めて前記貯湯槽に還す工程S13と、
前記貯湯槽の前記水を前記ヒートポンプが運転可能な温度Tまで加熱したら前記ヒートポンプを一旦停止する工程S15と、
前記蒸気ボイラを運転して前記加熱蒸気を前記貯湯槽に供給し、前記貯湯槽内の前記水を設定温度まで加熱して保温する工程S16と、
を含み、かつ、
前記工程S16の実施後は、前記工程S7,S7bに戻り、前記工程S7,S7b~S16の処理を繰り返す、
ことを特徴とする蒸留酒製造用の熱源システムを用いた排熱回収・供給方法。
【請求項6】
前記工程S13の実施後に、前記排熱伝達用循環ラインの冷却側熱媒の入口温度Tが前記ヒートポンプで運転可能な上限温度Tになるように、該入口温度T自体の温度又は前記冷却側熱媒の流量を調整する工程S14を更に含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の排熱回収・供給方法。
【請求項7】
前記蒸気ボイラと前記排熱槽との間をボイラ凝縮水再利用ラインで予め接続し、かつ、
前記工程S2又は前記工程S16にて前記蒸気ボイラを運転した際に、前記貯湯槽内の前記水の加熱に利用された前記加熱蒸気を凝縮水として前記排熱槽に送る工程を更に含む、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の排熱回収・供給方法。
【請求項8】
前記ポットスチルに供給される前記発酵液又は前記蒸留液を予熱するための予熱用熱交換器を更に設置し、
前記工程S7の実施前に前記貯湯槽内で温められた前記水を前記予熱用熱交換器に供給することにより、前記発酵液又は前記蒸留液を予熱する工程S6,S6bを更に含み、かつ、
前記工程S16の実施後は、前記工程S6,S6bに戻り、前記工程S6,S6b~S16の処理を繰り返す、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の排熱回収・供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はウィスキーなどの蒸留酒を製造する装置の熱源システムに関し、より詳しくは製造時に生じる排熱の有効利用に焦点を当てたものである。
【背景技術】
【0002】
(ポットスチルを用いた蒸留)
蒸留酒(例えば、ウィスキー)は大麦、ライ麦、トウモロコシなどの麦芽を粉砕・糖化し、酵母を加えて発酵させ、蒸留・熟成したものである。発酵液(もろみ)の蒸留に際してはポットスチルと呼ばれた特殊形状の銅製釜が使用されており、ウィスキーの製造には複数のポットスチルを直列に配置する連続式蒸留装置が通常使用されている(特許文献1を参照)。
【0003】
(従来の熱源とその問題点)
この蒸留に必要な熱源は通常、蒸気ボイラで発生させた加熱蒸気であり、これをポットスチルに供給して発酵液を加熱する。しかしながら、目的(発酵液加熱)を果たした後の熱媒(加熱蒸気)は排温水として捨てられており、熱エネルギーを余すところなく利用できているとは言い難い。なお、蒸気ボイラの運転により二酸化炭素などの温室効果ガスも発生してしまうため、運転時間を極力減らすことが要望されている。
【0004】
(省エネルギーを目指した先行技術)
省エネルギーで安価な蒸留酒製造を目指した先行技術として特許文献2に開示の装置が挙げられるが、ポットスチル投入前の発酵液を目的の異なる複数のタンクに分けて収容・加熱し、発酵液の温度やアルコール度数を予め高めたうえで蒸留することで省エネルギーを図ったものであり、ポットスチル蒸留工程で生じた排温水からの熱回収を目的としたものではない。
【0005】
なお、先に述べた特許文献1の蒸留装置はウィスキーの品質維持のためにポットスチルに付属した冷却水回路に置いた分離器で取り出した水蒸気を機械式圧縮機で圧縮し、これをスチーム噴射ポンプで熱交換器へ供給することを特徴とするものであって、特許文献2と同様に、ポットスチル蒸留工程で生じた排温水からの熱回収を目的としたものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特表2017-536133号公報
【文献】特開2017-006056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(本発明の目的)
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、省エネルギーでランニングコストを低減可能な蒸留酒製造用の熱源システムを提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明のもう一つの目的は、蒸留酒製造の分野でカーボンニュートラルの取組みに貢献する熱源システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意検討の末、蒸留装置にヒートポンプを組み込むことにより、ポットスチル蒸留工程で生じた排温水から熱回収を行うことに想到し、回収された熱エネルギーを有効利用すれば、上述の問題点を見事に解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち本発明は、例えば、以下の構成・特徴を備えるものである。
(態様1)
熱交換器及び冷却器が取り付けられたポットスチルと、
加熱蒸気を生成しかつ前記熱交換器に該加熱蒸気の一部を供給する蒸気ボイラと、
蒸留酒製造用の水を貯水しかつ前記加熱蒸気の一部を利用して前記水を加熱する貯湯槽と、
前記熱交換器を通過し凝縮水となった前記加熱蒸気と前記冷却器を通過し温水となった冷媒とを集めて排熱を回収する排熱槽と、
前記排熱槽で回収された前記排熱を受け取るヒートポンプと、
前記貯湯槽で貯水された前記水を前記ヒートポンプに送り、かつ、前記ヒートポンプから前記排熱を受け取ることで加温された前記水を前記貯湯槽に戻す回収排熱返還ラインと、
を備える、
ことを特徴とする蒸留酒製造用の熱源システム。
(態様2)
前記ヒートポンプと前記排熱槽との間で排熱伝達用熱媒を循環させる排熱伝達用循環ラインが更に設けられ、
前記排熱伝達用循環ラインでは、前記排熱伝達用熱媒の入口温度Tが前記ヒートポンプで運転可能な上限温度Tになるように、該入口温度T自体の温度又は前記排熱伝達用熱媒の流量が調整される、
ことを特徴とする態様1に記載の蒸留酒製造用の熱源システム。
(態様3)
前記蒸気ボイラと前記排熱槽との間には、前記貯湯槽内の前記水の加熱に利用された前記加熱蒸気を凝縮水として前記排熱槽に送るボイラ凝縮水再利用ラインが接続されている、
ことを特徴とする態様1又は2に記載の蒸留酒製造用の熱源システム。
(態様4)
前記ポットスチルの上流側に設けられ、かつ、前記ポットスチルへ供給される発酵液又は蒸留液を加温する予熱用熱交換器と、
前記貯湯槽で加温された温水を前記予熱用熱交換器に送り、かつ、前記予熱用熱交換器で熱の授受を行った前記温水を前記貯湯槽に戻す予熱用熱媒循環ラインと、
を更に備える、
ことを特徴とする態様1又は2に記載の蒸留酒製造用の熱源システム。
(態様5)
貯湯槽に蒸留酒製造用の水を貯水する工程S1と、
蒸気ボイラを運転して加熱蒸気を生成し、該加熱蒸気を利用して前記貯湯槽内の前記水を設定温度にまで加熱する工程S2と、
前記蒸気ボイラを運転して加熱蒸気を生成し、該加熱蒸気をポットスチルに附属の熱交換器に供給することで、前記ポットスチル内の発酵液又は蒸留液を設定温度にまで加熱する工程S7,S7bと、
ヒートポンプと熱交換可能な排熱槽を用意し、前記熱交換器を通過した前記加熱蒸気の凝縮水を、凝縮水再利用ラインを通して前記排熱槽に送る工程S8,S8bと、
前記発酵液又は前記蒸留液の液温度が設定温度に達した後は前記熱交換器への加熱蒸気量を調整しながら当該液温度を維持する工程S9,S9bと、
前記ポットスチルに附属の冷却器へ冷媒を流すとともに前記貯湯槽へ水を供給する工程S10,S10bと、
前記熱交換器を通過した前記凝縮水を、凝縮水再利用ラインを通して前記排熱槽に送るとともに、前記冷却器を通過して熱を受け取った前記冷媒を、冷却水再利用ラインを通して排熱槽に送る工程S11,S11bと、
前記貯湯槽の前記水が前記ヒートポンプを通過して前記貯湯槽へ戻るように、前記水を回収排熱返還ラインへ流す工程S12と、
前記排熱槽に前記凝縮水及び前記冷媒を含む排温水が設定量まで貯水されたら前記ヒートポンプを作動させ、排熱伝達用循環ラインを介して前記排熱槽の前記排温水から排熱を回収し、前記回収排熱返還ラインの前記水を温めて前記貯湯槽に還す工程S13と、
前記貯湯槽の前記水を前記ヒートポンプが運転可能な温度Tまで加熱したら前記ヒートポンプを一旦停止する工程S15と、
前記蒸気ボイラを運転して前記加熱蒸気を前記貯湯槽に供給し、前記貯湯槽内の前記水を設定温度まで加熱して保温する工程S16と、
を含み、かつ、
前記工程S16の実施後は、前記工程S7,S7bに戻り、前記工程S7,S7b~S16の処理を繰り返す、
ことを特徴とする蒸留酒製造用の熱源システムを用いた排熱回収・供給方法。
(態様6)
前記工程S13の実施後に、前記排熱伝達用循環ラインの冷却側熱媒の入口温度Tが前記ヒートポンプで運転可能な上限温度Tになるように、該入口温度T自体の温度又は前記冷却側熱媒の流量を調整する工程S14を更に含む、
ことを特徴とする態様5に記載の排熱回収・供給方法。
(態様7)
前記蒸気ボイラと前記排熱槽との間をボイラ凝縮水再利用ラインで予め接続し、かつ、
前記工程S2又は前記工程S16にて前記蒸気ボイラを運転した際に、前記貯湯槽内の前記水の加熱に利用された前記加熱蒸気を凝縮水として前記排熱槽に送る工程を更に含む、
ことを特徴とする態様5又は6に記載の排熱回収・供給方法。
(態様8)
前記ポットスチルに供給される前記発酵液又は前記蒸留液を予熱するための予熱用熱交換器を更に設置し、
前記工程S7の実施前に前記貯湯槽内で温められた前記水を前記予熱用熱交換器に供給することにより、前記発酵液又は前記蒸留液を予熱する工程S6,S6bを更に含み、かつ、
前記工程S16の実施後は、前記工程S6,S6bに戻り、前記工程S6,S6b~S16の処理を繰り返す、
ことを特徴とする態様5又は6に記載の排熱回収・供給方法。
【発明の効果】
【0011】
従来の方法では蒸留酒製造のための熱源を蒸気ボイラだけに頼っていたが、本発明の熱源システムによれば、蒸気ボイラとヒートポンプとを併用することでポットスチルの蒸留時に捨てられていた排熱を回収し再利用できるため、省エネルギーでランニングコストを低減可能にし、カーボンニュートラルの取組みにも貢献可能な蒸留酒製造を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】従来の蒸留酒の製造装置の概略的な構成を示した図である。
図2】従来の蒸留酒の製造方法を示すフローチャートである。
図3】実施例の蒸留酒の製造装置の概略的な構成を示した図である。
図4】実施例の蒸留酒の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付の図面を参照しながら下記の具体的な実施形態に基づき本発明の技術的内容を説明するが、本発明はこれらの実施形態に何等限定されるものではない。
【0014】
(従来の蒸留装置)
上述したように、本発明は、ポットスチル蒸留工程で生じた排温水の熱回収を行うこと(以下、「排熱回収あり」とも呼ぶ。)を特徴としており、この特徴を明確にするため、熱回収を行わない(以下、「排熱回収なし」とも呼ぶ。)従来の蒸留装置及びその熱源システムから説明する。
【0015】
(蒸気ボイラ及び貯湯槽)
図1に従来の蒸留酒の製造装置及びその熱源システム(以下、「従来装置」と呼ぶ。)の概略的な構成を示す。従来装置には、熱源となる蒸気ボイラ1と、地下水ポンプ22によって供給された水を貯水する貯湯槽2とが設けられている。貯湯槽2には熱交換器3が取り付けられており、この熱交換器3に蒸気ボイラ1で生成された加熱蒸気が供給されることで、貯湯槽2内の水を設定温度まで加熱できる。
【0016】
(糖化槽)
従来装置には、マッシュタンとも呼ばれる糖化槽5と、ウォッシュバックとも呼ばれる発酵槽8とが設けられている。糖化槽5には粉砕麦芽(グリスト)と熱湯が投入される。糖化槽5でグリストが撹拌されると澱粉質が多い混合物(マッシュ)が生成され、これを濾過することで麦汁(ウォート)が生成される。なお、熱湯はポンプ4により前述の貯湯槽2から糖化槽5に供給される。
【0017】
(発酵槽)
麦汁はポンプ6を駆動することにより糖化槽5から発酵槽8へ供給されるが、この間に麦汁は熱交換器7を通過するため冷却される。具体的には、地下水ポンプ22から供給された水が熱交換器7にて麦汁の熱を奪い、その後、これが温水として貯湯槽2へ供給されることになる。発酵槽8では酵母を加えて麦汁を発酵させ、アルコール度数7%程度の発酵液(醪、ウォッシュ)が生成される。
【0018】
(蒸留器)
従来装置にはポットスチルと呼ばれる蒸留器11,17が設けられる。従来装置には一つの蒸留器によるもの(単式蒸留器)と、図1に示すように複数の蒸留器11,17を直列に連結して蒸留を行う連続式蒸留器とがある。ここで上流側の蒸留器を第1ポットスチル11と呼び、下流側の蒸留器を第2ポットスチル17と呼ぶ。ポットスチル11,17は、発酵槽8からポンプ9により供給された発酵液(又は蒸留液)を受け入れてこれを加熱・蒸発させる蒸留釜11a,17aと、蒸留釜11a,17aから供給された蒸気(気化した発酵液(蒸留液))を冷却して凝縮させる冷却器(コンデンサ)13,19と、を備える。ポットスチル11,17に取り付けられた熱交換器12,18は、蒸気ボイラ1の運転時に生じる加熱蒸気を熱源として利用し、蒸留釜11a,17a内の発酵液(又は蒸留液)を設定温度まで加熱する。
【0019】
(貯溜タンク)
発酵液は、ポットスチル11,17で蒸発し、冷却器13、19で凝縮すると、アルコール度数がより高い蒸留液(ニューポット)となって貯溜タンク14,20に保管される。通常、最初(初留)の貯溜タンク14に保管された蒸留液のアルコール度数は22~25%程度であり、次(再留)の貯溜タンク20に保管された蒸留液のアルコール度数は70%程度である。再留を終えた蒸留液は貯溜タンク20から樽21に詰められ、熟成された後、蒸留酒として瓶詰される。
【0020】
次に、蒸留酒製造装置に熱を供給する従来方法(排熱回収なし)について説明する。図2にそのフローチャートを示す。
【0021】
(貯湯槽への給水・加熱工程)
地下水ポンプ22を運転し、貯湯槽2に水を貯める(工程S1)。次に、蒸気ボイラ1を運転して加熱蒸気を生成し、この加熱蒸気を貯湯槽2付属の熱交換器3に供給することで、貯湯槽2内の水を設定温度にまで加熱する(工程S2)。
【0022】
(糖化槽への温水供給)
上述の工程S2で用意された貯湯槽2内の温水はポンプ4を駆動することにより、糖化槽5へ供給される(工程S3)。この温水が糖化槽5内で粉砕麦芽とともに撹拌されると、マッシュが生成され、これを濾過することで麦汁(ウォート)が生成される。
【0023】
(発酵槽への麦汁供給)
ポンプ6を駆動することにより、糖化槽5から発酵槽8へ麦汁を供給する(工程S4)。この間に麦汁は熱交換器7を通過し、冷却される。つまり、地下水ポンプ22から供給された水は冷媒として熱交換器7に入り、麦汁の熱を奪って貯湯槽2へ送られる。発酵槽8では酵母を加えて麦汁を発酵させることで発酵液(醪、ウォッシュ)が生成される。
【0024】
(第1ポットスチルへの発酵液の供給及び初留)
ポンプ9を駆動することにより、発酵槽8から第1ポットスチル11へ発酵液を供給する(工程S5)。蒸気ボイラ1を運転して加熱蒸気を生成し、この加熱蒸気を第1ポットスチル11付属の熱交換器12に供給することで、第1ポットスチル11内の発酵液を設定温度にまで加熱する(工程S7)。発酵液の温度が設定温度に達した後は熱交換器12への加熱蒸気量を調整しながら当該温度を維持する(工程S9)。なお、工程S7,S9で熱交換器12を通過し目的を果たした加熱蒸気は通常、図示しない排水溝に捨てられる。工程S9の後、地下水ポンプ22を運転し、冷却器13へ水を流すとともに貯湯槽2へ水を供給する(工程S10)。これらの操作により、発酵液は蒸留釜11a内で蒸気となり、冷却器13で冷却・凝縮され、貯溜タンク14に保管される。
【0025】
(第2ポットスチルに蒸留液供給・再留)
連続式蒸留器の場合には、同様の蒸留工程が再度実施される。ポンプ15を駆動することにより、貯溜タンク14から第2ポットスチル17へ蒸留液を供給する(工程S5b)。蒸気ボイラ1を運転して加熱蒸気を生成し、この加熱蒸気を第2ポットスチル17付属の熱交換器18に供給することで、第2ポットスチル17内の蒸留液を設定温度にまで加熱する(工程S7b)。蒸留液の温度が設定温度に達した後は熱交換器18への加熱蒸気量を調整しながら当該温度を維持する(工程S9b)。その後、地下水ポンプ22を運転し、冷却器19へ水を流すとともに貯湯槽2へ水を供給する(工程S10b)。これらの操作により、蒸留液は蒸留釜17a内で蒸気となり、冷却器19で冷却・凝縮され、貯溜タンク20に保管される。
【0026】
(貯湯槽内の水の加熱・保温工程)
上述の工程S10bまで実行すれば蒸留が一通り完了するが、連続的に行うために貯湯槽2内の水を加熱・保温する必要がある(工程S16)。具体的には、蒸気ボイラ1を運転し、加熱蒸気を貯湯槽2付属の熱交換器3に供給することで、貯湯槽2内の水を設定温度にまで加熱する。そして、蒸気ボイラ1の運転を継続し、貯湯槽2内の温水を設定温度で保温する。
【実施例
【0027】
(本発明の蒸留酒製造用の熱源システム)
次に、「排熱回収あり」の機構を備えた本発明の装置構成について説明する。図3に本発明の蒸留酒製造装置及び熱源システムの概略的な構成を示す。本発明の製造装置は基本的に、上述した従来の製造装置の構成要素(例えば、蒸気ボイラ1、貯湯槽2及びこれに附属の熱交換器3、糖化槽5、麦汁冷却用の熱交換器7、発酵槽8、第1・第2ポットスチル11,17及びこれに附属の熱交換器12,18、冷却器13,19、貯溜タンク14,20、地下水ポンプ22、ポンプ4,6,9,15及び樽21)を含んでおり、これらの構成要素の再度の説明は省略し、追加の構成要素についてのみ詳説する。
【0028】
(予熱用熱交換器)
先ず、本発明の製造装置には夫々のポットスチル11,17の上流側に予熱用熱交換器10,16が設けられることを特徴とする。これらの予熱用熱交換器10,16として、例えば、プレート式熱交換器を利用可能であり、ポンプ4の駆動により貯湯槽2から熱媒(加熱蒸気)を予熱用熱交換器10,16内に通過させ、発酵液(再留の場合は蒸留液)にその熱媒の熱を付与(予熱)して貯湯槽2に戻る予熱用熱媒循環ラインLが設けられている。
【0029】
(ヒートポンプ及び排熱槽)
更に、本発明の製造装置にはヒートポンプ23と排熱槽24とが追設されていることに留意されたい。排熱槽24には凝縮水再利用ラインLが接続され、この凝縮水再利用ラインLを通って夫々のポットスチル11,17の熱交換器12,18を通過した加熱蒸気(通過により凝縮した水)が排熱槽24に送られる。また排熱槽24には冷却水再利用ラインLも接続されており、この冷却水再利用ラインLを通って夫々の冷却器13,19で熱交換(加熱)された冷媒が排熱槽24に送られる。排熱槽24内に収容された凝縮水や冷媒(これらを併せて「排温水」とも呼ぶ。)はヒートポンプ23側に熱(排熱)を付与した後に排熱槽24から図示しない排水溝へ排水される。
【0030】
(回収した排熱の返還)
ヒートポンプ23と排熱槽24との間に、排熱伝達用熱媒が循環する排熱伝達用循環ラインLと、この熱媒を循環させるポンプ25とが設けられる。また、ヒートポンプ23には貯湯槽2とヒートポンプ23との間を連結する回収排熱返還ラインLも接続されている。貯湯槽2に溜められた水(加熱側熱媒)は、この回収排熱返還ラインLを通ってヒートポンプ23内に入り、排熱伝達用循環ラインLから排熱を受け取って、温水となって貯湯槽2に返還される。
【0031】
(回収した排熱の使途(再利用))
このように、ヒートポンプ23と排熱槽24とで排熱が回収されて貯湯槽2内の熱媒に集められるため、回収熱は糖化槽5への温水供給の他、予熱用熱交換器10,16の予熱にも再利用されるのである。
【0032】
なお、本実施例では排熱槽24の外側にヒートポンプ23や排熱伝達用循環ラインLを別途独立に配置した構成を示しているが、この例に限定されず、例えば、排熱槽24の内部にヒートポンプ23や排熱伝達用循環ラインLの各要素を内蔵する構成で実現してもよい。
【0033】
また、図3に示すように蒸気ボイラ1(具体的には貯湯槽2付属の熱交換器3)と排熱槽24との間をボイラ凝縮水再利用ラインL2’で接続してもよく、蒸気ボイラ1で生成され熱交換器3を通過して貯湯槽2内の熱媒(水)を温めた加熱蒸気の凝縮水(排温水)を排熱槽24に回収するようにしてもよい。
【0034】
(本発明の排熱回収手法を用いた蒸留酒製造)
次に、蒸留酒製造装置に熱を供給する本発明の方法(排熱回収有り)について説明する。図4にそのフローチャートを示す。本発明の方法においても、後述する一部の工程(図4中の二重線で囲んだ工程)を除き、前述の従来の方法(排熱回収なし)で行う工程を実施する。
【0035】
(貯湯、糖化、発酵)
すなわち、従来の方法と同様の工程は以下の通りである。地下水ポンプ22を運転し、貯湯槽2に水を貯める(工程S1)。次に、蒸気ボイラ1を運転して加熱蒸気を生成し、この加熱蒸気を貯湯槽2付属の熱交換器3に供給することで、貯湯槽2内の水を設定温度にまで加熱する(工程S2)。上述の工程S2で用意された貯湯槽2内の温水はポンプ4を駆動することにより、糖化槽5へ供給される(工程S3)。ポンプ6を駆動することにより、糖化槽5から発酵槽8へ麦汁を供給する(工程S4)。この間に麦汁は熱交換器7を通過し、冷却される。ポンプ9を駆動することにより、発酵槽8から第1ポットスチル11へ発酵液を供給する(工程S5)。
【0036】
(発酵液(醪)又は蒸留液の予熱)
但し、本発明においてはこの工程S5のタイミングで同時に発酵液が予熱されることに留意されたい。具体的には、ポンプ4を運転し、貯湯槽2内の温水を予熱用熱交換器10へ供給する(工程S6)。予熱用熱交換器10を通過し熱の授受を行った温水は貯湯槽2へ還る。この工程S6により予熱された発酵液が第1ポットスチル11に供給される。なお、第2ポットスチル17の上流側にもこれと同様の予熱用熱交換器16が設置されており、貯溜タンク14から第2ポットスチル17へ蒸留液を供給する際(工程S5b)に、蒸留液を予熱する(工程S6b)。
【0037】
(発酵液(又は蒸留液)の昇温及び排温水の再利用)
予熱に係る工程S6,S6bの後は、従来方法と同様に、蒸気ボイラ1を運転して加熱蒸気を生成し、この加熱蒸気を第1・第2ポットスチル11,17付属の熱交換器12,18に供給することで、第1・第2ポットスチル11,17内の発酵液(又は蒸留液)を設定温度にまで加熱する(工程S7,S7b)。熱交換器12,18を通過した加熱蒸気の凝縮水は凝縮水再利用ラインLを通して排熱槽24に送られる(工程S8,S8b)。
【0038】
(発酵液の蒸留(蒸留液の再留)及び貯湯並びに排温水の再利用)
発酵液(又は蒸留液)の温度が設定温度に達した後は熱交換器12,18への加熱蒸気量を調整しながら当該温度を維持する(工程S9,S9b)。その後、地下水ポンプ22を運転し、冷却器13,19へ水を流すとともに貯湯槽2へ水を供給する(工程S10,S10b)。熱交換器12,18を通過した加熱蒸気の凝縮水は凝縮水再利用ラインLを通して排熱槽24に送られるとともに、冷却器13,19を通過して熱を受け取った冷媒は冷却水再利用ラインLを通して排熱槽24に送られる(工程S11,S11b)。
【0039】
ポンプ4を運転し、貯湯槽2の水がヒートポンプ23を通過して貯湯槽2へ戻るように、この水を回収排熱返還ラインLへ流す(工程S12)。排熱槽24に十分な排温水が貯水されたらヒートポンプ23を作動させ、排熱伝達用循環ラインLを介して排熱槽24から排熱を回収し、回収排熱返還ラインLの水を温めて貯湯槽2に還す(工程S13)。なお、ヒートポンプ23の運転・停止トリガの一つとなる排温水の貯水量は、例えば排熱槽24に水位計を取り付けることで検知可能である。また、本実施例では、工程S12を工程S13の前に実行しているが、工程S13にてヒートポンプ23を作動させる直前に、工程S12を実行させるようにしてもよい。
【0040】
このヒートポンプ23での排熱回収を高効率に行うため、以下の工程S14を実施することが好ましい。すなわち、排熱槽24からヒートポンプ23への(冷却側)熱媒入口温度Tがヒートポンプ23で運転可能な上限温度Tになるよう冷却側熱媒の流量を調整する(工程S14)。なお、冷却側熱媒入口温度Tの制御は、ファンクーラ26などの冷却器をヒートポンプ23の冷却側熱媒入口側に配置して該入口温度T自体の温度を直接制御する方法で行ってもよい。
【0041】
なお、本明細書では「冷却側」とはヒートポンプ23を基点として考慮しており、排熱伝達用循環ラインLが配置された側を「冷却側」と、回収排熱返還ラインLが配置された側を「加熱側」と呼んでいる。
【0042】
工程S14を実施する際は以下の制約があるためヒートポンプ23側で流量調整を行う。
1) 排熱槽24に貯められた排水の温度を制御できない。
2) ヒートポンプ23は、加熱温度と冷却温度との差が小さい程、エネルギー消費効率(COP)の良い運転ができる。
3) ヒートポンプ23には、加熱側熱媒、冷却側熱媒とも入口温度に制限がある。
なお、流量調整は例えばバルブの開度やポンプの回転数などを適宜制御することにより実施できる。
【0043】
貯湯槽2の水をヒートポンプ23が運転可能な温度Tまで加熱したらヒートポンプ23とポンプ4とを一旦停止する(工程S15)。
【0044】
(貯湯槽内の温水の保温)
蒸気ボイラ1を運転して加熱蒸気を貯湯槽2に供給し、貯湯槽2内の水を設定温度まで加熱する。そして蒸気ボイラ1の運転を継続し貯湯槽2内の温水を保温する(工程S16)。この工程S16では、上述の工程S2とは異なり、貯湯槽2内の水は排熱回収により温度T(地下水ポンプ22からの水の温度より高温)にまで加温されており、温度Tから設定温度まで昇温させるだけである。
【0045】
(糖化・発酵・蒸留工程の繰り返し)
この工程S16により、ポットスチル11,17の熱交換器12,18や冷却器13,19で生じた排熱を排熱槽24及びヒートポンプ23により回収して貯湯槽2の水の加熱のためのエネルギーの一部に再利用可能な状態となる。工程S16の実施後は、工程S3に戻り、これまでに述べた工程S3~S16の処理を繰り返す。
【0046】
(蒸気ボイラの加熱蒸気の再利用)
なお、工程S2や工程S16にて蒸気ボイラ1を運転した際に、熱交換器3を通過して貯湯槽2内の熱媒(水)を温めた加熱蒸気の凝縮水(排温水)を、ボイラ凝縮水再利用ラインL2’を通して排熱槽24へ送るようにしてもよい。これにより、貯湯槽2の熱媒加熱に使用された加熱蒸気(凝縮水)も、その他のラインL,Lから送られた排温水とともに排熱槽24内に集めて工程S13にてヒートポンプ23を作動させるための排温水(排熱)に利用することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
従来の方法では蒸留製造のための熱源を蒸気ボイラ1に頼っていたが、本発明の熱源システムによれば、蒸気ボイラ1とヒートポンプ23とを併用することでポットスチル11,17の蒸留時に捨てられていた排熱を回収し再利用できるため、省エネルギーでランニングコストを低減可能にし、カーボンニュートラルの取組みにも貢献可能な蒸留酒製造を実現できる。
【0048】
従って、本発明の蒸留酒製造用の熱源システム及びこれを用いた排熱回収方法は、産業上の利用価値及び利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0049】
1 蒸気ボイラ
2 貯湯槽
3,7 熱交換器
4,6,9,15,25 ポンプ
5 糖化槽
8 発酵槽
10,16 予熱用熱交換器
11,17 第1ポットスチル,第2ポットスチル
12,18 熱交換器
13,19 冷却器
14,20 貯溜タンク
21 樽
22 地下水ポンプ
23 ヒートポンプ
24 排熱槽
26 ファンクーラ
予熱用熱媒循環ライン
凝縮水再利用ライン
2’ ボイラ凝縮水再利用ライン
冷却水再利用ライン
排熱伝達用循環ライン
回収排熱返還ライン
冷却側熱媒入口温度
ヒートポンプで運転可能な温度
ヒートポンプで運転可能な上限温度
【要約】
【課題】省エネルギーでランニングコストを低減可能にし、カーボンニュートラルの取組みにも貢献可能な蒸留酒製造用熱源システムを提供する。
【解決手段】熱源システムは熱交換器12,18及び冷却器13,19が取り付けられたポットスチル11,17と、加熱蒸気を生成しかつ熱交換器12,18に加熱蒸気の一部を供給する蒸気ボイラ1と、蒸留酒製造用の水を貯水しかつ加熱蒸気を利用して水を加熱する貯湯槽2と、熱交換器12,18を通過し凝縮水となった加熱蒸気と冷却器13,19を通過し温水となった冷媒とを集めて排熱を回収する排熱槽24と、排熱槽24で回収された排熱を受け取るヒートポンプ23と、貯湯槽2で貯水された水をヒートポンプ23に送り、かつ、ヒートポンプ23から排熱を受け取ることで加温された水を貯湯槽2に戻す回収排熱返還ラインLを備える。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4