特許 7591787 ガス栓へのフランジ板取付構造

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2024-11-21

(45)【発行日】2024-11-29

(54)【発明の名称】ガス栓へのフランジ板取付構造

(51)【国際特許分類】

   F16L 5/00 20060101AFI20241122BHJP

   F16K 27/00 20060101ALI20241122BHJP

【ＦＩ】

F16L5/00 A

F16L5/00 S

F16K27/00 C

【請求項の数】 6

(21)【出願番号】P 2021054980

(22)【出願日】2021-03-29

(65)【公開番号】P2022152273

(43)【公開日】2022-10-12

【審査請求日】2023-12-11

(73)【特許権者】

【識別番号】000151977

【氏名又は名称】株式会社藤井合金製作所

(73)【特許権者】

【識別番号】000000284

【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100111257

【弁理士】

【氏名又は名称】宮崎 栄二

(74)【代理人】

【識別番号】100110504

【弁理士】

【氏名又は名称】原田 智裕

(72)【発明者】

【氏名】玉城 康年

(72)【発明者】

【氏名】湯澤 典之

(72)【発明者】

【氏名】木村 充志

(72)【発明者】

【氏名】植田 陽介

【審査官】井古田 裕昭

(56)【参考文献】

【文献】実開平０１－０７８７８３（ＪＰ，Ｕ）

【文献】特開２０１７－０５７９３６（ＪＰ，Ａ）

【文献】実開平０２－１４５３８４（ＪＰ，Ｕ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｆ１６Ｌ ５／００

Ｆ１６Ｋ ２７／００

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

ガス栓の六角筒状の配管接続部の開放端部にフランジ板を取り付けるガス栓へのフランジ板取付構造において、
前記フランジ板は、１枚の金属板により、
中央孔を有する環状板と、
前記環状板の周縁における複数の所定位置から延設されると共にその基端部でそれぞれ折り曲げられて前記環状板上に重ね合わされる複数の連結帯と、
前記連結帯の先端に連結されていると共に前記中央孔を包囲するように前記環状板上に載置されて前記配管接続部の開放端部が密に嵌入可能な六角嵌合部とを有する形状に構成されており、
前記六角嵌合部を構成している６つの構成壁は、複数の非連続部を介して１つ以上の構成壁からなる複数の分割片に分割されると共に前記分割片の各々は前記連結帯の各々に連結され、
複数の分割片及び／又は連結帯は、非連続部の幅を拡大させる方向に弾性変形可能としたことを特徴とするガス栓へのフランジ板取付構造。

【請求項2】

請求項１に記載のガス栓へのフランジ板取付構造において、
前記六角嵌合部は、対向位置にある２つのコーナ部に設けた非連続部によって、それぞれ連続する３つの構成壁からなる２つの分割片に分割され、
前記連結帯は、前記環状板の周縁の相互に対向する各位置から延設されると共に、前記分割片の中央に位置する構成壁に連結されているガス栓へのフランジ板取付構造。

【請求項3】

請求項１に記載のガス栓へのフランジ板取付構造において、
前記六角嵌合部は、各コーナ部に設けられた６つの非連続部により分割される６つの構成壁を各々分割片とし、
前記連結帯は、前記環状板の周縁の等間隔に位置する３箇所から、前記６つの非連続部のうち、一つ置きに位置する３つの非連続部に向かって延設されると共に、前記３つの非連続部の両側にそれぞれ位置する２つの構成壁の端部に連続するガス栓へのフランジ板取付構造。

【請求項4】

請求項１に記載のガス栓へのフランジ板取付構造において、
前記六角嵌合部を構成する６つの構成壁のうち、１つ置きに位置する３つの構成壁は、中央に設けた非連続部によってそれぞれが一対の構成壁半体に分割された構成とし、
前記六角嵌合部は、前記非連続部が設けられていない他の３つの構成壁の両側に前記構成壁半体が各々連続する形状の３つの分割片に分割され、
前記連結帯は、前記環状板の周縁の等間隔に位置する３箇所から前記３つの分割片の中央に向かって延設されていると共に、前記他の３つの構成壁のそれぞれに連結されているガス栓へのフランジ板取付構造。

【請求項5】

請求項１から４のいずれかに記載のガス栓へのフランジ板取付構造において、
前記連結帯は、前記環状板の周縁から前記六角嵌合部に至る範囲が前記環状板より浮き上がるアーチ形状とし、
前記分割片が外側に押されると、前記連結帯は、前記アーチ形状の頂部の高さが増す方向に弾性変形するように設定されているガス栓へのフランジ板取付構造。

【請求項6】

請求項１から５のいずれかに記載のガス栓へのフランジ板取付構造において、
前記配管接続部にはフレキ配管が継手を介して接続され、
前記継手にはテーパ雄ネジ筒部が形成されていると共に、前記配管接続部には前記テーパ雄ネジ筒部が螺合可能なテーパ雌ネジ部が形成され、
前記テーパ雄ネジ筒部の基端部に、締付方向に弾性を有する弾性筒体を具備させた固定金具が外嵌され、
前記テーパ雄ネジ筒部を前記テーパ雌ネジ部に最終締付状態に達するまで締め付けると、前記フランジ板は、前記固定金具の弾性筒体によってガス栓側へ弾性的に押されるように設定されているガス栓へのフランジ板取付構造。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、 ガス栓にフランジ板を取り付ける取付構造、特に、壁板に添設固定させるフランジ板をガス栓の六角筒状の配管接続部に取り付ける取付構造に関する。

【背景技術】

【0002】

壁板(4)内に収容されているガス管としてのフレキ配管(44)が継手(41)を介して接続されるガス栓(3)を、壁板(4)の表面に固定するために、ガス栓(3)の六角筒状の配管接続部(31)の開放端に、金属製のフランジ板(33)が半径方向外側に張り出すように設けられている（図６参照）。
配管接続部(31)にはテーパ雌ネジ部(32)が形成されてあり、継手(41)にはこれに螺合可能なテーパ雄ネジ筒部(42)が形成されている。

【0003】

実開平２－７４６７９号（特許文献１）のフランジ板は中央孔を有する環状板であり、前記配管接続部の開放端面に前記中央孔の周辺域を直接ネジ止めにより固定する取付構造と、円形の前記中央孔を囲むように突設させた六角嵌合部内に前記六角筒状の配管接続部の開放端部を嵌入させて一体とする構造が開示されている。後者のものでは、図６に示すように、締付けナット(43)を螺合させた状態の継手(41)のテーパ雄ネジ筒部(42)を、六角嵌合部(34)に嵌入させた状態の配管接続部(31)のテーパ雌ネジ部(32)に螺入させ、最終締付位置に達するまで締め付ける。その後、締付けナット(43)を締め付けると、フランジ板(33)の中央孔(30)の周縁部分が、締付けナット(43)によって押されて配管接続部(31)の開放端面に強固に押し付けられることとなり、フランジ板(33)は配管接続部(31)に抜け止め状態に確実に取り付けられる。

【0004】

フランジ板(33)には複数のネジ挿通孔(35)が設けられており、上記要領にてガス栓(3)の配管接続部(31)に取り付けられたフランジ板(33)を壁板(4)の表面に添設させ、取付金具(5)を壁板(4)の裏面に添設させ、フランジ板(33)のネジ挿通孔(35)に挿通させる取付けネジ(51)を取付金具(5)に設けたネジ孔(55)に螺合させて締め付ける。これにより、フランジ板(33)と取付金具(5)とで、壁板(4)の開口(40)の周縁が挟圧された状態となり、ガス栓(3)は壁板(4)の表面に固定されることとなる。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0005】

【文献】実開平２－７４６７９号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0006】

しかしながら、上記従来例のうち、前者のものでは、配管接続部の開放端面にネジ孔が設けられた専用のガス栓を製造しておく必要があり、施工現場で対応することができない上に、コスト面に無駄が生じる。後者のものでは、フランジ板(33)に設けた六角嵌合部(34)に配管接続部(31)を嵌入させた状態のガス栓(3)のテーパ雌ネジ部(32)に、継手(41)のテーパ雄ネジ筒部(42)を螺合させた後に、締付けナット(43)を締め付けることで、通常のガス栓(3)の配管接続部(31)にフランジ板(33)を施工現場で取り付けることができるが、ガス栓(3)に具備させたフランジ板(33)と、配管接続部(31)に螺合させた継手(41)のテーパ雄ネジ筒部(42)の基端部との間の僅かな隙間に設けられた締付けナット(43)を締め付ける作業は行い難く、フランジ板の取付け作業が困難である。また、締付けナット(43)の締め付け力が弱いと、六角嵌合部(34)内で配管接続部(31)ががたつく不都合が生じる。

【0007】

本発明はかかる点に鑑みて成されたもので、ガス栓を壁板の表面に固定するためのフランジ板をガス栓の六角筒状の配管接続部に容易に且つ確実に取付けることができるガス栓へのフランジ板取付構造を提供することを課題とする。

【課題を解決するための手段】

【0008】

上記課題を解決する為の本発明の技術的手段は、『ガス栓の六角筒状の配管接続部の開放端部にフランジ板を取り付けるガス栓へのフランジ板取付構造において、
前記フランジ板は、１枚の金属板により、
中央孔を有する環状板と、
前記環状板の周縁における複数の所定位置から延設されると共にその基端部でそれぞれ折り曲げられて前記環状板上に重ね合わされる複数の連結帯と、
前記連結帯の先端に連結されていると共に前記中央孔を包囲するように前記環状板上に載置されて前記配管接続部の開放端部が密に嵌入可能な六角嵌合部とを有する形状に構成されており、
前記六角嵌合部を構成している６つの構成壁は、複数の非連続部を介して１つ以上の構成壁からなる複数の分割片に分割されると共に前記分割片の各々は前記連結帯の各々に連結され、
複数の分割片及び／又は連結帯は、非連続部の幅を拡大させる方向に弾性変形可能としたことを特徴とする。

【0009】

上記技術的手段は次のように作用する。
フランジ板は、１枚の金属板から構成されており、六角嵌合部を構成する６つの構成壁は、非連続部を介して複数の分割片に分割されていると共に、各分割片は各連結帯にそれぞれ連結されて環状板上に載置されている。複数の分割片及び／又は連結帯は、金属板の弾性によって、非連続部の幅が広がる方向に弾性変形可能であるから、六角嵌合部は弾性的に拡径可能である。この拡径状態を維持しながら六角嵌合部内にガス栓の配管接続部の開放端部を嵌入させると、嵌入完了後には、各分割片及び／又は連結帯の弾性復帰力によって、配管接続部の周面は押圧方向に付勢される。これにより、ガス栓の配管接続部は、六角嵌合部内に密に嵌入され、フランジ板に対してガス栓ががたつくことなく保持される。

【0010】

上記ガス栓へのフランジ板取付構造において、好ましくは、『前記六角嵌合部は、対向位置にある２つのコーナ部に設けた非連続部によって、それぞれ連続する３つの構成壁からなる２つの分割片に分割され、
前記連結帯は、前記環状板の周縁の相互に対向する各位置から延設されると共に、前記分割片の中央に位置する構成壁に連結されている』ことである。

【0011】

六角嵌合部は、６つの構成壁と６つのコーナ部からなり、相互に対向位置にある２つのコーナ部に非連続部を設けることにより、連続する３つの構成壁からなる分割片が２つ設けられることとなる。前記３つの構成壁のうち、中央の構成壁には連結帯が連結しており、その両側に位置する２つの構成壁は、非連続部側にて自由状態にある。よって、六角嵌合部内に、ガス栓の配管接続部の開放端部を嵌入させると、前記両側の２つの構成壁が非連続部の幅を広げる方向に弾性変形することで六角嵌合部は拡径可能となり、配管接続部を六角嵌合部内に容易に嵌入させることができる。そして、前記配管接続部の六角嵌合部内への嵌入完了後には、前記２つの構成壁がその弾性復帰力によってそれらが対応する前記配管接続部の周面を押圧する方向に付勢することにより、配管接続部は六角嵌合部内に密に保持される。

【0012】

上記ガス栓へのフランジ板取付構造において、好ましくは、『前記六角嵌合部は、各コーナ部に設けられた６つの非連続部により分割される６つの構成壁を各々分割片とし、
前記連結帯は、前記環状板の周縁の等間隔に位置する３箇所から、前記６つの非連続部のうち、一つ置きに位置する３つの非連続部に向かって延設されると共に、前記３つの非連続部の両側にそれぞれ位置する２つの構成壁の端部に連続する』ことである。

【0013】

六角嵌合部の各コーナ部に非連続部を設けることにより、六角嵌合部を構成する６つの構成壁はそれぞれが６つの分割片となり、環状板の周縁から延設させた３つの連結帯の各々に、前記構成壁が２つずつ連結されている。この六角嵌合部内に、ガス栓の配管接続部の開放端部を嵌入させると、６つの非連続部の幅が広がる方向に６つの構成壁が弾性変形することから、六角嵌合部は一層容易に且つ大きく拡径可能となり、ガス栓の配管接続部の開放端部は六角嵌合部内に一層嵌入させ易くなる。前記配管接続部の六角嵌合部内への嵌入完了後には、６つの構成壁の弾性復帰力によって、前記配管接続部は六角嵌合部内に確実に保持される。

【0014】

上記ガス栓へのフランジ板取付構造において、好ましくは、『前記六角嵌合部を構成する６つの構成壁のうち、１つ置きに位置する３つの構成壁は、中央に設けた非連続部によってそれぞれが一対の構成壁半体に分割された構成とし、
前記六角嵌合部は、前記非連続部が設けられていない他の３つの構成壁の両側に前記構成壁半体が各々連続する形状の３つの分割片に分割され、
前記連結帯は、前記環状板の周縁の等間隔に位置する３箇所から前記３つの分割片の中央に向かって延設されていると共に、前記他の３つの構成壁のそれぞれに連結されている』ことである。

【0015】

非連続部が設けられていない構成壁の両側に構成壁半体がそれぞれ連続する形状の３つの分割片で六角嵌合部が構成され、その中央の構成壁が連結帯と連結している。
この六角嵌合部内に、ガス栓の配管接続部の開放端部を嵌入させると、各分割片の構成壁半体が非連続部の幅を広げる方向に弾性変形することにより、六角嵌合部は拡径する。そして、前記配管接続部の六角嵌合部内への嵌入完了後には、前記各構成壁半体が、その弾性復帰力によって、六角形状の配管接続部の６つの周面のうち、一つ置きに位置する３つの周面に付勢されることにより、前記配管接続部は六角嵌合部内に確実に保持される。

【0016】

上記ガス栓へのフランジ板取付構造において、好ましくは、『前記連結帯は、前記環状板の周縁から前記六角嵌合部に至る範囲が前記環状板より浮き上がるアーチ形状とし、
前記分割片が外側に押されると、前記連結帯は、前記アーチ形状の頂部の高さが増す方向に弾性変形するように設定されている』ことである。
六角嵌合部に配管接続部の開放端部を嵌入させる際に、六角嵌合部を構成している複数の分割片の各々に外側に押される方向の力が加わると、前記分割片の弾性変形と共に、前記環状板より浮き上がるようにアーチ形状に形成された連結帯が、前記アーチ形状の頂部の高さが増す方向に弾性変形することにより、前記六角嵌合部は一層容易に拡径可能となり、配管接続部を嵌入させ易いものとなる。前記配管接続部の六角嵌合部内への嵌入完了後には、各分割片の弾性復帰力と連結帯の弾性復帰力とが同時に作用することにより、各分割片は、配管接続部の周面を押圧方向に強く付勢することとなり、前記ガス栓の配管接続部は、前記複数の分割片によってより一層強固に保持可能となる。

【0017】

上記ガス栓へのフランジ板取付構造において、好ましくは、『前記配管接続部にはフレキ配管が継手を介して接続され、
前記継手にはテーパ雄ネジ筒部が形成されていると共に、前記配管接続部には前記テーパ雄ネジ筒部が螺合可能なテーパ雌ネジ部が形成され、
前記テーパ雄ネジ筒部の基端部に、締付方向に弾性を有する弾性筒体を具備させた固定金具が外嵌され、
前記テーパ雄ネジ筒部を前記テーパ雌ネジ部に最終締付状態に達するまで締め付けると、前記フランジ板は、前記固定金具の弾性筒体によってガス栓側へ弾性的に押されるように設定されている』ことである。

【0018】

締付方向に弾性を有する弾性筒体を具備させた固定金具を前記継手のテーパ雄ネジ筒部に外嵌させた状態で、前記テーパ雄ネジ筒部を配管接続部のテーパ雌ネジ部に螺合させ、最終締付状態に達するまで締め付ける。すると、その締付力によって、固定金具はフランジ板側へ押されるが、固定金具に具備させた弾性筒体の弾性力によって、その締付度合を調整しながら、前記フランジ板はガス栓に弾性的に押し付けられる。これにより、ガス栓は、配管接続部がフランジ板の六角嵌合部に嵌入された状態でより一層強固にフランジ板に取り付けられる。

【発明の効果】

【0019】

フランジ板は１枚の金属板からなり、六角嵌合部は、環状板に一体的に設けられていない上に、複数の非連続部によって複数の分割片に分割された構成であるから、六角嵌合部は、前記非連続部の幅を弾性的に拡大させながら、その径を拡大させることができ、前記六角嵌合部に、ガス栓の配管接続部を容易に嵌入させることができる。そして、嵌入後には、前記金属板の弾性復帰力により、ガス栓の配管接続部の周面は複数の分割片によって押圧される方向に付勢されることとなり、ガス栓の配管接続部は六角嵌合部内に密嵌状態に保持される。
このように、ガス栓の配管接続部の開放端部を六角嵌合部内に強制的に嵌め込むだけで、金属板の弾性復帰力によって、前記配管接続部を六角嵌合部内に嵌入させた状態で強固に保持させることができるので、ガス栓の配管接続部へのフランジ板の取付作業が容易となる。また、ガス栓の配管接続部は複数の分割片により弾性的に付勢されるから、配管接続部と六角嵌合部との間にガタツキが発生しない。よって、使用者がガス栓を操作する際に、ガタツキによる違和感を感じることなく、安心してガス栓を使用することが出来る。

【図面の簡単な説明】

【0020】

【図1】本願発明の第１番目の実施の形態のガス栓へのフランジ板取付構造に採用したフランジ板の分解斜視図である。

【図2】本願発明の第１番目の実施の形態のガス栓へのフランジ板取付構造に採用したフランジ板を利用してガス栓を取り付ける様子を示す分解斜視図である。

【図3】本願発明の第２番目の実施の形態のガス栓へのフランジ板取付構造に採用したフランジ板の斜視図である。

【図4】本願発明の第３番目の実施の形態のガス栓へのフランジ板取付構造に採用したフランジ板の斜視図である。

【図5】（Ａ）は，本願発明の第１番目の実施の形態に採用したフランジ板における連結帯の他の例を示す斜視図であり、（Ｂ）は、本願発明の第２番目の実施の形態に採用したフランジ板における連結帯の他の例を示す斜視図であり、（Ｃ）は 第３番目の実施の形態のフランジ板における連結帯の他の例を示す斜視図である。

【図6】従来のガス栓へのフランジ板取付構造の説明図である。

【発明を実施するための形態】

【0021】

以下に、本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照しながら説明する。
図１は本発明の第１番目の実施の形態のフランジ板(1)の分解斜視図であり、図２は、フランジ板(1)を使用して、ガス栓を取り付ける様子を示す分解斜視図である。
第１番目の実施の形態のフランジ板(1)は、１枚の金属板を、中央孔(10)を有する環状板(11)と、環状板(11)の周縁の相互に対向する２カ所から延設される一対の第１、第２連結帯(12a)(12b)と、第１、第２連結帯(12a)(12b)の各々の先端から両側方へ延設される第１、第２分割片(13a)(13b)とを有する形状に打ち抜く。

【0022】

その後の曲げ加工により、図１に示すように、第１、第２連結帯(12a)(12b)を環状板(11)との境界部(1a)で二つ折りにすることで、環状板(11)の表面上に重ねる。第１、第２分割片(13a)(13b)は、第１、第２連結帯(12a)(12b)との境界部(1b)で直角に折り曲げて、環状板(11)上に起立させ、それぞれ、３等分する２カ所で約１２０度に折り曲げる。これら一対の第１、第２分割片(13a)(13b)により、環状板(11)の中央孔(10)を囲む六角嵌合部(13)が構成される。

【0023】

第１分割片(13a)は、六角嵌合部(13)を構成する６つの構成壁のうち、連続する３つの第１構成壁(131)～第３構成壁(133)から構成され、第２分割片(13b)は、連続する他の３つの第４構成壁(134)～第６構成壁(136)から構成されている。
そして、第１連結帯(12a)は、第１分割片(13a)の中央に位置する第２構成壁(132)に連結されており、第２連結帯(12b)は、第２分割片(13b)の中央に位置する第５構成壁(135)に連結されている。第２構成壁(132)の両側に位置する第１、第３構成壁(131)(133)の自由端部及び第５構成壁(135)の両側に位置する第４、第６構成壁(134)(136)の自由端部には、それぞれ外側へ屈曲する屈曲片(14)が形成されており、相互に対向する屈曲片(14)間には、それぞれ非連続部(15)が設けられている。これにより、六角嵌合部(13)は、対向する２コーナ部にそれぞれ非連続部(15)が形成された非連続な六角形状に構成される。

【0024】

なお、環状板(11)の表面側に第１、第２分割片(13a)(13b)によって構成された六角嵌合部(13)の底部には、図１に示すように、中央孔(10)と同径の穴が形成された六角形状の環状パッキン(17)が収容されると共に、環状板(11)の裏面側には、その周縁に添った環状の裏パッキン(18)が添設されている。
また、環状板(11)の中央孔(10)に対して対称な位置には、壁板の裏側に位置させる取付金具（図示せず）にネジ止めするための取付けネジ(51)を挿通させるためのネジ挿通孔(19)が貫通している。

【0025】

次に、図２に基づいて、上記したフランジ板(1)をガス栓(3)の配管接続部(31)に取り付ける取付構造について説明する。
ガス栓(3)や、フレキ管(44)の下流端に具備させる継手(41)は、図６に示した上記従来例と同様のものが採用可能とする。

【0026】

まず、ガス栓(3)の上流側に位置する六角筒状の配管接続部(31)を、フランジ板(1)の環状板(11)上に載置されている六角嵌合部(13)内に嵌め込む。
フランジ板(1)は、上記したように、１枚の金属板の打ち抜き加工及び折り曲げ加工により、第１、第２連結帯(12a)(12b)の先端に連結される一対の第１、第２分割片(13a)(13b)で六角嵌合部(13)を構成すると共に、その両端の屈曲片(14)が、非連続部(15)を介して対向するように、環状板(11)上に中央孔(10)を囲むように配設される構成としたから、第１、第２分割片(13a)(13b)からなる六角嵌合部(13)は、金属板の弾性によって、非連続部(15)の幅が拡縮する方向に弾性変形可能である。

【0027】

よって、六角嵌合部(13)内にガス栓(3)の配管接続部(31)を強制的に嵌め込むと、非連続部(15)が拡大し、対向している屈曲片(14)相互が離反する方向に、第１分割片(13a)の第１、第３構成壁(131)(133)と、第２分割片(13b)の第４、第６構成壁(134)(136)とが弾性変形することにより、六角嵌合部(13)は拡径可能となり、配管接続部(31)を六角嵌合部(13)内に容易に嵌入させることができる。

【0028】

そして、配管接続部(31)の開放端面が、六角嵌合部(13)の底部に設けられている環状パッキン(17)に圧接する嵌入完了状態にて、金属板の弾性復帰力によって、第１、第３構成壁(131)(133)と第４、第６構成壁(134)(136)とが配管接続部(31)の周面を押圧する方向に付勢することとなり、配管接続部(31)は第１、第２分割片(13a)(13b)からなる六角嵌合部(13)内に密に嵌入可能となる。よって、フランジ板(1)は、ガス栓(3)にがたつくことなく取り付けることができ、強固に保持される。

【0029】

上記した要領で、フランジ板(1)を具備させたガス栓(3)を壁板へ取り付ける取付け構造について、図２に基づいて説明する。
壁板の裏側に配設されているガス配管としてのフレキ配管(44)には継手(41)が接続されてあり、この継手(41)をフレキ配管(44)と共に、壁板に設けられている開口から室内に引出し、継手(41)のテーパ雄ネジ筒部(42)に固定金具(2)を外嵌させる。
固定金具(2)は、同図に示すように、金属環(21)の内周縁部に、たとえばゴム等の弾性材料製の弾性筒体(20)を嵌め込んで一体としたもので、弾性筒体(20)の上流側開放端縁(22)が、テーパ雄ネジ筒部(42)の基端部側端面(45)に当接するように、テーパ雄ネジ筒部(42)に外嵌させる。

【0030】

上記したように、固定金具(2)を外嵌させたテーパ雄ネジ筒部(42)を、ガス栓(3)の配管接続部(31)のテーパ雌ネジ部(32)に螺合させる。これにより、フレキ配管(44)が継手(41)を介してガス栓(3)に接続される。

【0031】

ガス栓(3)の配管接続部(31)には上記要領にてフランジ板(1)が取り付けられており、また、テーパ雄ネジ筒部(42)には固定金具(2)を外嵌させていることから、テーパ雄ネジ筒部(42)をテーパ雌ネジ部(32)に最終締付状態に達するまで締め付けると、弾性筒体(20)の上流側開放端縁(22)が継手(41)の基端部側端面(45)で押圧されることにより、その弾性力によって、固定金具(2)がフランジ板(1)を裏面側からガス栓(3)側へ押圧する。これにより、配管接続部(31)は、その開放端縁が環状パッキン(17)に押圧されるように六角嵌合部(13)内に嵌入され、その状態で保持され、強固に固定される。

【0032】

上記したように、六角嵌合部(13)を構成している一対の分割片(13a)(13b)による付勢力と、固定金具(2)に具備させた弾性筒体(20)の弾性力によって、フランジ板(1)は、配管接続部(31)の開放端部を六角嵌合部(13)内にがたつくことなく収容させた状態で、ガス栓(3)の配管接続部(31)に確実に取り付けられる。また、固定金具(2)の弾性筒体(20)によって、配管接続部(31)のテーパ雌ネジ部(32)に対する継手(41)のテーパ雄ネジ筒部(42)の締付度合いが調整されるから、継手(41)を締め付け過ぎることもない。

【0033】

フランジ板(1)を、室内側の壁板の開口周囲に、裏環状パッキン(18)を介して添設させると共に、前記壁板の裏側の開口周囲には、図示しないが、取付金具を添設させる。この取付金具とフランジ板(1)とで、壁板を挟み込み、フランジ板(1)の環状板(11)に設けたネジ挿通孔(19)に挿通された取付けネジ(51)を、前記取付金具に設けられているネジ孔に螺合させて締め付けることにより、フランジ板(1)と取付金具とで壁板の開口の周縁を挟圧した状態でガス栓(3)が取り付けられる。

【0034】

壁板の表面側に添設固定させたフランジ板(1)の表面側に、一対の座金半体(52a)(52b)からなる化粧座金(52)を左右から被覆させる。これにより、壁板の表面に化粧座金(52)が添設されその中央から配管接続部(31)が突出する態様でガス栓(3)が壁板に固定される態様となる。

【0035】

図３は、本願発明の第２番目の実施の形態のフランジ板(1)の斜視図である。このものでは、環状板(11)の周囲のうち、等間隔に位置する３箇所に、第１～第３連結帯(12a)(12b)(12c)を設けると共に、六角嵌合部(13)の各コーナ部に非連続部(15a)～(15f)を設けることにより、六角嵌合部(13)を構成している６つの第１構成壁(131)～第６構成壁(136)のそれぞれを分割片としたものである。

【0036】

第１～第３連結帯(12a)(12b)(12c)は、基端部で折り曲げたとき、一つ置きに位置する３つの非連続部(15a)(15c)(15e)に向かう位置に設けられており、第１連結帯(12a)は、非連続部(15a)の両側に位置する第１、第２構成壁(131)(132)各々の一端に、第２連結帯(12b)は、非連続部(15c)の両側に位置する第３、第４構成壁(133)(134)各々の一端に、第３連結帯(12c)は、非連続部(15e)の両側に位置する第５、第６構成壁(135)(136)各々の一端をそれぞれ連結させている。
また、第１～第３連結帯(12a)(12b)(12c)に連結されていない第１構成壁(131)～第６構成壁(136)の自由端には、外側へ屈曲する屈曲片(14)が各非連結部(15)を介して対向するように延設されている。

【0037】

この六角嵌合部(13)内に、上記第１番目の実施の形態にて採用したものと同様なガス栓の配管接続部の開放端部を嵌入させると、６つの非連続部(15a)～(15f)のうち、特に、屈曲片(14)間の非連続部(15)の幅が拡大する方向に、６つの第１構成壁(131)～第６構成壁(136)が弾性変形することにより、六角嵌合部(13)は大きく拡径可能となる。よって、ガス栓の配管接続部の開放端部を六角嵌合部(13)内に一層嵌入させ易いものとなる。前記配管接続部の六角嵌合部(13)内への嵌入完了後には、６つの第１構成壁(131)～第６構成壁(136)がその弾性復帰力によって、前記配管接続部の周面を押圧する方向に付勢することとなり、前記配管接続部を六角嵌合部(13)内にがたつくことなく確実に保持させることにより、ガス栓にフランジ板(1)を取り付けることができる。

【0038】

図４は、本願発明の第３番目の実施の形態のガス栓へのフランジ板取付構造に採用したフランジ板(1)の斜視図である。
この実施の形態の連結帯は、上記第２番目の実施の形態のものと同様に、環状板(11)の周縁のうち、等間隔に位置する３箇所から延設される第１～第３連結帯(12a)(12b)(12c)とすると共に、六角嵌合部(13)を構成する６つの第１構成壁(131)～第６構成壁(136)のうち、一つ置きに位置する第１、第３、第５構成壁(131)(133)(135)に連結させている。

【0039】

他の第２、第４、第６構成壁(132)(134)(136)は、それぞれ、中央に非連続部(15)が設けられて、第２構成壁半体(132a)(132b)、第４構成壁半体(134a)(134b)、第６構成壁半体(136a)(136b)にそれぞれ二分割されており、第１構成壁(131)とその両端にそれぞれ連続する第２構成壁半体(132a)と第６構成壁半体(136b)とで、第１分割片(13a)が構成され、第３構成壁(133)とその両端にそれぞれ連続する第２構成壁半体(132b)と第４構成壁半体(134a)とで、第２分割片(13b)が構成され、第５構成壁(135)とその両端にそれぞれ連続する第４構成壁半体(134b)と第６構成壁半体(136a)とで第３分割片(13c)が構成されている。

【0040】

すなわち、これら３つの第１～第３分割片(13a)(13b)(13c)で六角嵌合部(13)が構成されており、各々の中央に位置する第１、第３、第５構成壁(131)(133)(135)が連結帯(12a)(12b)(12c)に連結されており、これら構成壁の両側に続く各構成壁半体の自由端には、外側へ屈曲する屈曲片(14)が各非連結部(15)を介して対向するように延設されている。

【0041】

この六角嵌合部(13)内に、ガス栓の配管接続部の開放端部を嵌入させると、第２構成壁半体(132a)(132b)、第４構成壁半体(134a)(134b)、第６構成壁半体(136a)(136b)における屈曲片(14)が延設された自由端が、非連続部(15)の幅を広げる方向に弾性変形することにより、六角嵌合部(13)は拡径し、配管接続部の開放端部を六角嵌合部(13)内に容易に嵌入させることができる。そして、六角嵌合部(13)内への嵌入完了後には、前記各構成壁半体の前記自由端が、その弾性復帰力によって、六角形状の配管接続部の６つの周面のうち、一つ置きに位置する３つの周面を押圧する方向に付勢することにより、前記配管接続部は六角嵌合部(13)内に強固に保持される。

【0042】

図５に示すものは、上記した第１～第３番目の実施の形態にて採用したフランジ板(1)における連結帯の変形例の説明図であり、同図の(A）は、第１番目の実施の形態に採用したフランジ板(1)の連結帯を、(B)及び(C)は、第２、第３番目の実施の形態のフランジ板(1)の連結帯を、それぞれ、環状板(11)から浮き上がらせてアーチ形状としたアーチ型連結帯(16)とするものである。

【0043】

この実施の形態の六角嵌合部(13)に配管接続部の開放端部を嵌入させる際に、六角嵌合部(13)を構成している構成壁(131)～(136)が外側に押されると、これらに連結している各アーチ型連結帯(16)が、アーチの頂部の高さを増す方向に弾性変形することで、六角嵌合部(13)は拡径可能となる。前記配管接続部の六角嵌合部(13)内への嵌入完了後には、アーチ型連結帯(16)の弾性復帰力によって各構成壁(131)～(136)が内方へ移動させられ、配管接続部の周面を押圧する方向に付勢する。
このものでは、各構成壁(131)～(136)の弾性変形に加えて、アーチ型連結帯(16)を弾性変形可能としたから、より一層大きな弾性力によって、六角嵌合部(13)の大きさを拡縮することができる。よって、前記ガス栓の配管接続部は六角嵌合部(13)内にさらに嵌入させ易くなり、また、嵌入完了後の配管接続部は、アーチ型連結帯(16)の弾性復帰力と、各構成壁(131)～(136)の弾性復帰力とによって六角嵌合部(13)内に強固に固定されることとなる。

【0044】

上記各実施の形態のフランジ板(1)を採用することにより、フランジ板(1)を構成している金属板の弾性によって、六角嵌合部(13)を拡縮させることができるから、ガス栓(3)の配管接続部(31)は、フランジ板(1)の六角嵌合部(13)内に嵌入させ易く、また、嵌入完了後には、前記金属板の弾性復帰力によって、配管接続部(31)を六角嵌合部(13)内に強固に保持することができる。すなわち、配管接続部(31)は六角嵌合部(13)内にてがたつくことなく、フランジ板(1)を配管接続部(31)に確実に取り付けることができる。また、配管接続部(31)に、継手(41)のテーパ雄ネジ筒部(42)に固定金具(2)を外嵌させておくことにより、テーパ雄ネジ筒部(42)を配管接続部(31)のテーパ雌ネジ部(32)に螺合させる際に、固定金具(2)に具備させた弾性筒体(20)の弾性力によって、フランジ板(1)がガス栓(3)の配管接続部(31)に一層強固に押し付けられるから、使用者はガス栓(3)を使用する際に、がたつき等の違和感を感じることなく安心して操作することができる。

【符号の説明】

【0045】

(1) ・・・・・・・フランジ板
(3) ・・・・・・・ガス栓
(10)・・・・・・・中央孔
(11)・・・・・・・環状板
(12a)(12b)・・・・連結帯
(13)・・・・・・・六角嵌合部
(13a)(13b)・・・・分割片
(15)・・・・・・・非連続部
(31)・・・・・・・配管接続部
(131)～(136)・・・構成壁

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】