(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】バルブメンテナンス警報装置
(51)【国際特許分類】
F16K 37/00 20060101AFI20241122BHJP
【FI】
F16K37/00 F
(21)【出願番号】P 2024074661
(22)【出願日】2024-05-02
【審査請求日】2024-05-20
(32)【優先日】2023-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518309954
【氏名又は名称】微程式資訊股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】MICROPROGRAM INFORMATION CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】6F.-2, No. 402, Shizheng Rd., Xitun Dist., Taichung City 407, Taiwan
(73)【特許権者】
【識別番号】523421052
【氏名又は名称】緯凡金屬股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】弁理士法人服部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼騰▲彦▼
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-211063(JP,A)
【文献】特開2008-039126(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブに着装されるバルブメンテナンス警報装置であって、
前記バルブは、弁体、弁座及び弁棒を含み、
前記バルブメンテナンス警報装置は、
前記弁体に接続された台座と、
軸本体及び第1の検知素子を有する中心軸であって、前記軸本体は、前記台座に可動的に設けられ、一端が前記弁棒に接続され、駆動されることで前記弁棒を連れて回転し、前記第1の検知素子は、前記軸本体に設けられ、前記軸本体と同期して回転し、前記軸本体に直交する断面を横断面と定義すると、前記中心軸が前記第1の検知素子を通過した横断面の輪郭は、少なくとも1つの径方向に沿って非対称となっている、中心軸と、
第2の検知素子を有する検知モジュールであって、前記第2の検知素子は、前記台座に設けられて前記第1の検知素子に対応し、前記第1の検知素子の位置変化を検知することで検知信号を生じる、検知モジュールと、
前記台座に設けられて前記検知モジュールに電気的に接続され、受信ユニット及び計算ユニットを有する制御モジュールであって、前記受信ユニットは、前記検知モジュールで生じた前記検知信号を受信し、前記計算ユニットは、前記検知信号に基づいて回転情報を算出する、制御モジュールと、
前記台座に設けられて前記制御モジュールと通信し、前記計算ユニットの前記回転情報に基づいて警報信号を発する、警報モジュールと、
を含
み、
前記第1の検知素子は、検知回路基板及び金属層を有し、前記検知回路基板は、前記軸本体を囲繞し、前記金属層は、前記検知回路基板の片側に設けられて前記検知回路基板の少なくとも一部を被覆し、
前記第2の検知素子は、誘導コイルを有し、前記誘導コイルは、前記軸本体を囲繞して前記検知回路基板の前記金属層に対応する側から所定の距離を離れているバルブメンテナンス警報装置。
【請求項2】
前記中心軸の前記第1の検知素子を通過した前記横断面は、前記径方向に沿って一方の部分及び他方の部分の2つに分けられ、前記金属層の前記一方の部分の面積は、前記金属層の前記他方の部分の面積と異なる請求項
1に記載のバルブメンテナンス警報装置。
【請求項3】
バルブに着装されるバルブメンテナンス警報装置であって、
前記バルブは、弁体、弁座及び弁棒を含み、
前記バルブメンテナンス警報装置は、
前記弁体に接続された台座と、
軸本体及び第1の検知素子を有する中心軸であって、前記軸本体は、前記台座に可動的に設けられ、一端が前記弁棒に接続され、駆動されることで前記弁棒を連れて回転し、前記第1の検知素子は、前記軸本体に設けられ、前記軸本体と同期して回転し、前記軸本体に直交する断面を横断面と定義すると、前記中心軸が前記第1の検知素子を通過した横断面の輪郭は、少なくとも1つの径方向に沿って非対称となっている、中心軸と、
第2の検知素子を有する検知モジュールであって、前記第2の検知素子は、前記台座に設けられて前記第1の検知素子に対応し、前記第1の検知素子の位置変化を検知することで検知信号を生じる、検知モジュールと、
前記台座に設けられて前記検知モジュールに電気的に接続され、受信ユニット及び計算ユニットを有する制御モジュールであって、前記受信ユニットは、前記検知モジュールで生じた前記検知信号を受信し、前記計算ユニットは、前記検知信号に基づいて回転情報を算出する、制御モジュールと、
前記台座に設けられて前記制御モジュールと通信し、前記計算ユニットの前記回転情報に基づいて警報信号を発する、警報モジュールと、
を含
み、
前記台座は、座体及び筐体を有し、前記筐体は、前記座体の外側に設けられ、且つ前記台座は、前記筐体と前記座体の間に位置する第3の収容空間を有し、
前記警報モジュールは、LED回路基板及びLEDユニットを有し、前記LED回路基板は、前記台座の前記第3の収容空間に設けられて前記制御モジュールと通信し、前記LEDユニットは、前記筐体の表面に設けられ、前記LED回路基板に電気的に接続され、前記制御モジュールに制御されて警報光を発するバルブメンテナンス警報装置。
【請求項4】
バルブに着装されるバルブメンテナンス警報装置であって、
前記バルブは、弁体、弁座及び弁棒を含み、
前記バルブメンテナンス警報装置は、
前記弁体に接続された台座と、
軸本体及び第1の検知素子を有する中心軸であって、前記軸本体は、前記台座に可動的に設けられ、一端が前記弁棒に接続され、駆動されることで前記弁棒を連れて回転し、前記第1の検知素子は、前記軸本体に設けられ、前記軸本体と同期して回転し、前記軸本体に直交する断面を横断面と定義すると、前記中心軸が前記第1の検知素子を通過した横断面の輪郭は、少なくとも1つの径方向に沿って非対称となっている、中心軸と、
第2の検知素子を有する検知モジュールであって、前記第2の検知素子は、前記台座に設けられて前記第1の検知素子に対応し、前記第1の検知素子の位置変化を検知することで検知信号を生じる、検知モジュールと、
前記台座に設けられて前記検知モジュールに電気的に接続され、受信ユニット及び計算ユニットを有する制御モジュールであって、前記受信ユニットは、前記検知モジュールで生じた前記検知信号を受信し、前記計算ユニットは、前記検知信号に基づいて回転情報を算出する、制御モジュールと、
前記台座に設けられて前記制御モジュールと通信し、前記計算ユニットの前記回転情報に基づいて警報信号を発する、警報モジュールと、
を含
み、
前記軸本体は、環状の金属製の外周面を有し、
前記第1の検知素子は、前記軸本体の前記外周面において前記軸本体の径方向に沿って内へ延びる切断面であり、
前記第2の検知素子は、前記第1の検知素子に対応する誘導コイルであり、前記誘導コイルは、前記軸本体の周囲を囲繞して前記軸本体と所定の距離を離れ、
少なくとも一部の前記第1の検知素子と前記第2の検知素子との間の距離が、前記軸本体の前記外周面と前記第2の検知素子との間の距離よりも大きいバルブメンテナンス警報装置。
【請求項5】
バルブに着装されるバルブメンテナンス警報装置であって、
前記バルブは、弁体、弁座及び弁棒を含み、
前記バルブメンテナンス警報装置は、
前記弁体に接続された台座と、
軸本体及び第1の検知素子を有する中心軸であって、前記軸本体は、前記台座に可動的に設けられ、一端が前記弁棒に接続され、駆動されることで前記弁棒を連れて回転し、前記第1の検知素子は、前記軸本体に設けられ、前記軸本体と同期して回転し、前記軸本体に直交する断面を横断面と定義すると、前記中心軸が前記第1の検知素子を通過した横断面の輪郭は、少なくとも1つの径方向に沿って非対称となっている、中心軸と、
第2の検知素子を有する検知モジュールであって、前記第2の検知素子は、前記台座に設けられて前記第1の検知素子に対応し、前記第1の検知素子の位置変化を検知することで検知信号を生じる、検知モジュールと、
前記台座に設けられて前記検知モジュールに電気的に接続され、受信ユニット及び計算ユニットを有する制御モジュールであって、前記受信ユニットは、前記検知モジュールで生じた前記検知信号を受信し、前記計算ユニットは、前記検知信号に基づいて回転情報を算出する、制御モジュールと、
前記台座に設けられて前記制御モジュールと通信し、前記計算ユニットの前記回転情報に基づいて警報信号を発する、警報モジュールと、
を含
み、
前記軸本体は、環状の金属製の外周面を有し、
前記第1の検知素子は、前記軸本体の前記外周面において前記軸本体の径方向に沿って外へ延びる凸面であり、
前記第2の検知素子は、前記第1の検知素子に対応する誘導コイルであり、前記誘導コイルは、前記軸本体の周囲を囲繞して前記軸本体と所定の距離を離れ、
少なくとも一部の前記第1の検知素子と前記第2の検知素子との間の距離が、前記軸本体の前記外周面と前記第2の検知素子との間の距離よりも小さいバルブメンテナンス警報装置。
【請求項6】
前記台座の内部は、第1の収容空間及び第1の開口を有し、前記第1の開口は、前記第1の収容空間に連通され、
前記第1の検知素子と前記第2の検知素子は、前記第1の収容空間に設けられ、且つ前記第2の検知素子の一端は、前記第1の開口から前記第1の収容空間へ突き出て、前記制御モジュールに電気的に接続されている請求項1
~5のいずれか一項に記載のバルブメンテナンス警報装置。
【請求項7】
前記検知モジュールは更に、トルク検知素子を含み、
前記トルク検知素子は、一端が前記軸本体に接続され、他端が前記制御モジュールに電気的に接続され、前記トルク検知素子は、前記軸本体の回転に応じて抵抗値の変化が生じることで抵抗値信号を生じ、前記制御モジュールは、前記トルク検知素子で生じた前記抵抗値信号を受信した後に、前記抵抗値信号に基づいて対応する前記軸本体のトルク変化値を算出する請求項1
~5のいずれか一項に記載のバルブメンテナンス警報装置。
【請求項8】
前記軸本体の周方向には、トルク検知面が設けられ、
前記トルク検知素子は、前記トルク検知面に貼り付けされ、前記軸本体の軸方向に対して所定の角度で傾斜する請求項
7に記載のバルブメンテナンス警報装置。
【請求項9】
前記台座は、第2の収容空間及び第2の開口を有し、前記第2の収容空間は、前記弁体の中口に連通され、前記弁棒が前記中口から前記第2の収容空間へ突き出るようにし、前記第2の開口は、前記第2の収容空間に連通され、
前記検知モジュールは更に、圧力検知素子を含み、前記圧力検知素子は、一端が前記制御モジュールに電気的に接続され、他端が前記第2の開口を通じて前記第2の収容空間へ突き出て、前記第2の収容空間の圧力変化を検知することで、圧力信号を生じ、前記制御モジュールは、前記圧力検知素子で生じた前記圧力信号を受信した後に、前記圧力信号に基づいて対応する圧力値を算出する請求項1
~5のいずれか一項に記載のバルブメンテナンス警報装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブに関し、特には、バルブの使用状態を自動的に検知してメンテナンス警報を事前に提供するバルブメンテナンス警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バルブは、流体輸送システムにおいてよく用いられる調節機構であり、通常、パイプライン中の流体の開閉、流量又は流れ方向の制御に用いられる。そのうち、ボールバルブは非常によく見かけるバルブ類の1つであり、以前の栓バルブを改良して設計された構造であり、球体で過去の伝統的な柱体を代替したものである。一般的には、ボールバルブは、弁体、弁座及び弁棒を含む。弁体は、パイプラインの間に接続され、内部には、流体通路を有する。弁座は、円球状をなし、弁体の流体通路に設けられ、且つ弁座には、流体通路に対応する貫通孔が設けられている。弁棒の一端は弁座に接続され、他端には通常、制御レバーが設けられ、使用者が制御レバーを操作することで弁棒を制御して回転させ、更には弁座を連れて回転するようにする。そこで、弁座の貫通孔が弁座の回転に伴って、流体通路に連通する状態と流体通路に連通しない状態との間で転換するため、これによって流路の開閉を制御する。ボールバルブの利点は、密封性が高く、直線流路の抵抗が比較的小さく、且つ口径が需要に応じて調整可能であり、適用範囲が広いことにある。
【0003】
しかし、他の機械部品と同じように、ボールバルブは回転する度に多少なりとも各部品に摩耗が生じ、長期に亘って使用した後、弁体、弁座及び弁棒のいずれも損傷する可能性があり、ひいては、弁棒が回転し難くなり、弁座が弁棒とともに回転できなくなるか、或いは、流体の通過を阻止できなくなり、中口が完全に密封できなくなるといった問題が生じてしまう。したがって、上述した問題を避けるために、最も簡単な方法は、ボールバルブの回転回数を記録して、記録によってボールバルブの現在の使用状態を予測し、更にはどのタイミングでボールバルブをメンテナンス・手入れすべきかを判断するものである。現在、人手によって記録するのは一般的であるが、人手による記録の問題は、効率が低すぎて、所要する人件費が高すぎることにあるため、バルブに不具合が生じてからメンテナンス又は交換する場合がほとんどであり、メンテナンス費用が相対的に向上した。ボールバルブのみならず、他の種類のバルブにも同様の問題が生じ得る。したがって、バルブの使用状態を自動的に検知して予定の回転回数が経過した後に保守員に警報で知らせることは、関連分野の業者と生産者が強く解決したい課題の1つである。
【発明の概要】
【0004】
本発明の主な目的は、バルブの変化を自動的に検知し、更にはバルブの使用状態を予測することができる、バルブメンテナンス警報装置を提供することにある。
【0005】
上述した目的を達成するために、本発明によるバルブメンテナンス警報装置は、バルブに着装され、バルブは、弁体、弁座及び弁棒を含む。
バルブメンテナンス警報装置は以下を含む。
弁体に接続された台座。
軸本体及び第1の検知素子を有する中心軸。軸本体は、台座に可動的に設けられ、一端が弁棒に接続され、駆動されることで弁棒を連れて回転する。第1の検知素子は、軸本体に設けられ、軸本体と同期して回転する。軸本体に直交する断面を横断面と定義すると、中心軸が第1の検知素子を通過した横断面の輪郭は、少なくとも1つの径方向に沿って非対称となっている。
第2の検知素子を有する検知モジュール。第2の検知素子は、台座に設けられて第1の検知素子に対応し、第1の検知素子の位置変化を検知することで検知信号を生じる。
台座に設けられて検知モジュールに電気的に接続され、受信ユニット及び計算ユニットを有する制御モジュール。受信ユニットは、検知モジュールで生じた検知信号を受信し、計算ユニットは、検知信号に基づいて回転情報を算出する。
台座に設けられて制御モジュールと通信し、計算ユニットの回転情報に基づいて警報信号を発する警報モジュール。
【0006】
一実施例において、第1の検知素子は、検知回路基板及び金属層を有する。検知回路基板は、軸本体を囲繞し、金属層は、検知回路基板の片側に設けられて検知回路基板の少なくとも一部を被覆している。
第2の検知素子は、誘導コイルを有し、誘導コイルは、軸本体を囲繞して検知回路基板の金属層に対応する側から所定の距離を離れている。
【0007】
一実施例において、中心軸の第1の検知素子を通過した横断面は、径方向に沿って一方の部分及び他方の部分の2つに分けられる。金属層の一方の部分の面積は、金属層の他方の部分の面積と異なる。
【0008】
一実施例において、台座は、第1の収容空間及び第1の開口を有する。第1の開口は、第1の収容空間に連通されている。
第1の検知素子と第2の検知素子は、第1の収容空間に設けられ、且つ第2の検知素子の一端は、第1の開口から第1の収容空間へ突き出て、制御モジュールに電気的に接続されている。
【0009】
一実施例において、検知モジュールは更に、トルク検知素子を含む。
トルク検知素子は、一端が軸本体に接続され、他端が制御モジュールに電気的に接続されている。トルク検知素子は、軸本体の回転に伴って抵抗値の変化が生じることで、抵抗値信号を生じ、制御モジュールは、トルク検知素子で生じた抵抗値信号を受信した後に、抵抗値信号に基づいて対応する軸本体のトルク変化値を算出する。
【0010】
一実施例において、軸本体の周方向には、トルク検知面が設けられている。
トルク検知素子は、トルク検知面に貼り付けされ、軸本体の軸方向に対して所定の角度で傾斜する。
【0011】
一実施例において、台座は、第2の収容空間及び第2の開口を有する。第2の収容空間は、弁体の中口に連通され、弁棒が中口から第2の収容空間へ突き出るようにし、第2の開口は、第2の収容空間に連通されている。
検知モジュールは更に、圧力検知素子を有する。圧力検知素子は、一端が制御モジュールに電気的に接続され、他端が第2の開口から第2の収容空間へ突き出ている。圧力検知素子は、第2の収容空間の圧力変化を検知することで、圧力信号を生じる。制御モジュールは、圧力検知素子で生じた圧力信号を受信した後に、圧力信号に基づいて対応する圧力値を算出する。
【0012】
一実施例において、台座は、座体及び筐体を有し、筐体は、座体の外側に設けられ、且つ台座は、筐体と座体との間に位置する第3の収容空間を有する。
警報モジュールは、LED回路基板及びLEDユニットを有する。LED回路基板は、台座の第3の収容空間に設けられて制御モジュールと通信する。LEDユニットは、筐体の表面に設けられ、LED回路基板に電気的に接続され、制御モジュールに制御されて警報光を発する。
【0013】
一実施例において、軸本体は、環状の金属製の外周面を有する。
第1の検知素子は、軸本体の外周面において軸本体の径方向に沿って内へ延びる切断面である。
第2の検知素子は、第1の検知素子に対応する誘導コイルである。誘導コイルは、軸本体の周囲を囲繞して軸本体から所定の距離を離れている。
少なくとも一部の第1の検知素子と第2の検知素子との間の距離が、軸本体の外周面と第2の検知素子との間の距離よりも大きい。
【0014】
一実施例において、軸本体は、環状の金属製の外周面を有する。
第1の検知素子は、軸本体の外周面において軸本体の径方向に沿って外へ延びる凸面である。
第2の検知素子は、第1の検知素子に対応する誘導コイルである。誘導コイルは、軸本体の周囲を囲繞して軸本体から所定の距離を離れている。
少なくとも一部の第1の検知素子と第2の検知素子との間の距離が、軸本体の外周面と第2の検知素子との間の距離よりも小さい。
【0015】
以下、本発明に記載された目的、効果及び構造構成について、好適な実施例を挙げて、図面を参照して詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1の好適な実施例のバルブと組み合わせた斜視図である。
【
図2】本発明の第1の好適な実施例の内部の部分斜視図である。
【
図3】本発明の第1の好適な実施例の縦方向断面模式図である。
【
図4】本発明の第1の好適な実施例の横方向断面模式図であり、中心軸が第1の検知素子を通過した横断面の輪郭を示す。
【
図5】本発明の第1の好適な実施例のブロック図である。
【
図6】本発明の第2の好適な実施例の縦方向断面模式図である。
【
図7】本発明の第2の好適な実施例の
図6の7-7切断線に沿った横方向断面模式図であり、中心軸が第1の検知素子を通過した横断面の輪郭を示す。
【
図8】本発明の第3の好適な実施例の横方向断面模式図であり、中心軸が第1の検知素子を通過した横断面の輪郭を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1~
図5を参照されるように、本発明の第1の好適な実施例は、バルブ2に着装されるバルブメンテナンス警報装置1を提供する。本実施例において、バルブ2は、ボールバルブ構造であり、弁体、弁座及び弁棒を含む。弁体の内部には、流体通路を有し、且つ弁体の両側のそれぞれには、流体通路に連通された、外部のパイプラインに接続するための開口を有する。弁座は、球状をなし、弁体内の流体通路に設けられ、そのうち、弁座は、流体通路の方向に対応する貫通孔を有する。弁棒は、弁体に可動的に設けられ、一端が弁座に接続され、他端が弁体の中口に沿って弁体から突き出て、駆動されることで弁座を連れて回転することによって、流体通路の開閉を制御する。上述したことは慣用のバルブ構造と同様であり、ここではその詳細を省略する。別の実施例おいて、バルブは、ボールバルブ、ゲートバルブ、バタフライバルブ、又はその他の種類のバルブであってもよい。本発明の構成は下記のとおりである。
【0018】
本発明の一好適な実施例によるバルブメンテナンス警報装置1は主に、台座10、中心軸20、検知モジュール30、制御モジュール40、及び警報モジュール50を含む。
【0019】
台座10は、座体11及び筐体12を有する。座体11は、工字形の中空部材であり、一端が弁体に脱着可能に固定されている。座体11の軸方向の内部には、連通された第1の収容空間111と第2の収容空間112を有し、第2の収容空間112は、弁体の中口に連通され、弁棒が台座10へ突き出るようにする。座体11の径方向は別途、第1の開口111a及び第2の開口112aを有し、第1の開口111aは、第1の収容空間111に連通され、第2の開口112aは、第2の収容空間112に連通されている。本実施例において、筐体12は、2つの筐部120を組み合わせて形成された箱状部材であり、座体11の周方向の外側に設けられて座体11を包んでいる。台座10は更に、座体11と筐体12との間に位置する、2つの筐部120がともに囲んだ第3の収容空間13を有する。
【0020】
中心軸20は、台座10の座体11の内部に設けられ、第1の収容空間111と第2の収容空間112を貫通する。中心軸20は、軸本体21及び第1の検知素子22を有する。軸本体21の一端が弁棒に接続され、他端が座体11の外側へ突き出て、駆動装置を接続するためのものである(図示せず)。これによって、駆動装置は、軸本体21を駆動し回転させ、更に弁棒を連れて弁座と同期して回転することができる。そのうち、軸本体21の第1の収容空間111に位置する周方向には、トルク検知面210を有し、トルク検知面210は、軸本体21の軸方向に平行する平面である。軸本体21には更に、固定リング211、Oリング212及び密封リング213が外挿されている。固定リング211は、C字形の環構造であり、第1の収容空間111に位置し、Oリング212は、第1の収容空間111と第2の収容空間112との接続箇所に位置する。密封リング213は、第2の収容空間112に位置し、第1の収容空間111と第2の収容空間112とを区画して、第2の収容空間112がその下の弁体の中口と密閉空間を形成するためのものである。第1の検知素子22は、軸本体21に設けられて第1の収容空間111に位置し、軸本体21と同期して回転する。そのうち、軸本体に直交する断面を横断面と定義すると、中心軸20が第1の検知素子22を通過した横断面の輪郭は、少なくとも1つの径方向に沿って非対称となっている。具体的には、軸本体21は、略円柱状をなし、第1の検知素子22は、環状の検知回路基板220及び金属層221を有する。検知回路基板220は、軸本体21の外周面を囲繞し、固定リング211によって軸本体21に固定されることで、軸本体21と同期して回転する。金属層221は、検知回路基板220の少なくとも一部を被覆し、且つ金属層221の面積が検知回路基板220の面積よりも小さいことで、金属層221は検知回路基板220を完全には被覆していない。径方向に沿って中心軸20の横断面を2つの部分に分けた時、金属層221の一方の部分の面積が、金属層221の他方の部分の面積と異なることで、中心軸20の横断面の輪郭は径方向に沿って非対称となっている。例えば、
図4に示されたように、中心軸20が第1の検知素子22を通過した横断面から見れば、金属層221の面積は検知回路基板220の面積の半分だけである。金属層221の両端境界に平行する径方向に沿って観察した時、金属層221の一方の部分の面積は金属層の100%面積であり、金属層221の他方の部分の面積が金属層の0%面積であるのとは明らかに異なる。そのため、中心軸20が第1の検知素子22を通過した横断面の輪郭は、径方向に沿って明らかに非対称となっている。別の実施例おいて、金属層の検知回路基板を被覆する面積は必要に応じて増加又は減少してもよく、他の任意の中心軸の横断面を非対称とする形状であってもよい。
【0021】
検知モジュール30は、第2の検知素子31、トルク検知素子32及び圧力検知素子33を有する。第2の検知素子31は、台座10の第1の検知素子22に対応する位置に固定され、第1の検知素子22の位置変化を検知することで検知信号を生じるためのものである。本実施例において、第2の検知素子31は、誘導コイルを有し、誘導コイルは、軸本体21の外周面を囲繞し、軸本体21と接続されていない。誘導コイルは、第1の検知素子22の検知回路基板220の金属層221に対応する側に位置し、検知回路基板220から所定の距離を離れ、検知回路基板220に平行する。誘導コイルの一端は、座体11の第1の開口111aから突き出て、制御モジュール40に電気的に接続されている。そのうち、座体11は更に、積載座113を有し、積載座113は、第1の収容空間111に設けられ、一端が第1の収容空間111の底面に当接し、誘導コイルをその上に載置するためのものである。誘導コイルは、検知回路基板220上の金属層221が軸本体21とともに回転することで、金属層221の誘導コイルに対応する位置が変化するため、検知されたインダクタンス量が変化し、インダクタンス量の変化を回路によって電圧値の変化に変換することができる。検知信号は、電圧値信号である。
【0022】
トルク検知素子32は、軸本体21のトルク検知面210に設けられ、制御モジュール40に電気的に接続され、軸本体21のトルク変化を検知するためのものである。本実施例において、トルク検知素子32は、ハーフブリッジひずみゲージであり、略矩形をなし、軸本体21の軸方向に対して所定の角度で傾斜して切断面に貼り付けられ、軸本体21の回転に伴って抵抗値の変化が生じることで、抵抗値信号を生じる。所定の角度は、一般的に、0度~90度の間にあり、より好ましくは、45度である。別の実施例おいて、トルク検知素子は、フルブリッジひずみゲージであってもよい。
【0023】
圧力検知素子33は、台座10に設けられ、一端が制御モジュール40に電気的に接続され、他端が座体11の第2の開口112aから第2の収容空間112へ突き出る。圧力検知素子33は、第2の収容空間112と中口とで形成された密閉空間で生じた圧力変化を検知することで、圧力信号を生じるためのものである。本実施例において、圧力検知素子33は、微小電気機械圧力センサー(Microelectromechanical Systems Pressure Sensor、MEMS Pressure Sensor)である。
【0024】
制御モジュール40は、台座10内に設けられ、制御回路基板41及び電源42を有する。制御回路基板41は、台座10の第3の収容空間13に設けられ、第2の検知素子31、トルク検知素子32及び圧力検知素子33のそれぞれに電気的に接続されている。そのうち、制御回路基板41は、受信ユニット411、計算ユニット412及び伝送ユニット413を有する。受信ユニット411は、第2の検知素子31で生じた検知信号、トルク検知素子32で生じた抵抗値信号、及び圧力検知素子33で生じた圧力信号を受信するためのものである。本実施例において、計算ユニット412は、検知信号の電圧値変化に基づいて変換を経て中心軸20の回転情報を算出することができ、回転情報は、回転で生じた角度の変化、回転角速度及び回転回数の少なくとも1つを含むが、これらに限られない。計算ユニット412は、抵抗値信号の抵抗値変化に基づいて変換を経て軸本体21のトルク変化値を算出すること、及び圧力信号の圧力値変化に基づいて変換を経て中口が密閉状態にあるか否かを算出することができる。計算ユニット412が計算完了した後に、これらの情報を、伝送ユニット413を通じて、警報モジュール50及び/又は外界の遠隔装置(例えば、保守員の携帯電話、コンピューター、タブレット、ウェアラブルデジタルデバイス、又はネットワークステーション)に伝送して、必要な時に警報モジュール50を制御して作動させる。伝送ユニット413は、有線又は無線の方法でデータと信号を伝送してもよく、無線伝送の方法は、ブルートゥース(登録商標)、赤外線、Wi-Fi(登録商標)、LPWAN(Low-Power Wide-Area Network、低電力広域ネットワーク)、RFIDなどを含むが、これらに限られない。電源42は、制御回路基板41及び警報モジュール50に電気的に接続され、制御回路基板41、第2の検知素子31、トルク検知素子32、圧力検知素子33、及び警報モジュール50の必要電力を供するためのものである。
【0025】
警報モジュール50は、台座10の筐体12の表面に設けられて制御モジュール40と通信し、制御モジュール40に制御されて警報信号を発する。本実施例において、警報モジュール50は、台座10の第3の収容空間13に設けられた少なくとも1つのLED回路基板51、及び筐体12の表面に設けられてLED回路基板51に電気的に接続された少なくとも1つのLEDユニット52を含む。LEDユニット52は、LED回路基板51に制御されて警報信号を発することができ、そのうち、警報信号は、警報光であり、バルブ2の回転状態、トルク状態及び圧力状態に対応した連続光、点滅光、又は時間とともに色が変わる光である。別の実施例おいて、LEDユニットは、計算ユニットで算出された関連情報を受信して表示するためのものであってもよく、関連情報は、回転回数、トルク数値及び圧力数値を含むが、これらに限られない。これによって、保守員は、警報モジュール50に表示された警報光を検視することで現在のバルブ2の回転状態、トルク状態及び圧力状態を判断し、更にはメンテナンス又は手入れすべきか否かを判断することができる。なお、別の実施例において、警報モジュールは、音声ユニット(例えば、ブザー)を含み、警報信号が音声信号を含んでもよく、或いは、振動ユニットを含み、警報信号が振動信号を含んでもよく、或いは、他の任意の保守員に警報を知らせるための同等な装置であってもよい。
【0026】
図6及び
図7に示されたように、本発明の第2の好適な実施例は構造が第1の好適な実施例と類似するが、本実施例において、軸本体21は、環状の金属製の外周面を有する。第1の検知素子22は、軸本体21に一体化して成形された、軸本体21の径方向に沿って内へ延びる切断面であり、第2の収容空間112に位置して軸本体21と同期して回転する。第1の検知素子22から中心軸20の円心までの距離範囲は、0~0.167Rの間であり、ただし、Rは、軸本体21の第1の検知素子22を通過した横断面の半径である。これによって、中心軸20が第1の検知素子22を通過した横断面から見れば、径方向に沿って中心軸20の横断面を2つの部分に分けた時、2つの部分の占める面積が異なることで、中心軸20の横断面の輪郭は、径方向に沿って非対称となっている。第2の検知素子31は、略環状をなす誘導コイルであり、誘導コイルは、座体11の第2の収容空間112の内壁面に貼り付けられ、軸本体21上の第1の検知素子22に対応する。ただし、誘導コイルは、軸本体21から所定の距離を離れることで、軸本体21とともに回転することはない。これによって、軸本体21が回転する時、第1の検知素子22はそれとともに回転する。そのうち、少なくとも一部の第1の検知素子22と第2の検知素子31との間の距離が、軸本体21の外周面と第2の検知素子31との間の距離よりも大きいため、第2の検知素子31は、検知されたインダクタンス量が変化し、インダクタンス量の変化は回路によって電圧値の変化に変換される。これによって軸本体21が回転した回転回数、角度の変化及び回転角速度の少なくとも1つを算出する。
【0027】
図8に示されたように、本発明による第3の好適な実施例は構造が第2の好適な実施例と類似するが、本実施例において軸本体21は、環状の金属製の外周面を有する。第1の検知素子22は、軸本体21に一体化して成形された、軸本体21の径方向に沿って外へ延びる凸面であり、第2の収容空間112に位置して軸本体21と同期して回転する。そのうち、第1の検知素子22の最も外側から中心軸20の円心までの距離範囲は、軸本体21が第1の検知素子22を通過した横断面の半径よりも大きい。これによって、中心軸20が第1の検知素子22を通過した横断面から見れば、径方向に沿って中心軸20の横断面を2つの部分に分けた時、2つの部分の占める面積が異なることで、中心軸20の横断面の輪郭は、径方向に沿って非対称となっている。第2の検知素子31は、略環状をなす誘導コイルであり、誘導コイルは、座体11の第2の収容空間112の内壁面に貼り付けられ、軸本体21上の第1の検知素子22に対応する。ただし、誘導コイルは、軸本体21から所定の距離を離れることで、軸本体21とともに回転することはない。これによって、軸本体21が回転する時、第1の検知素子22はそれとともに回転する。そのうち、少なくとも一部の第1の検知素子22と第2の検知素子31との間の距離が、軸本体21の外周面と第2の検知素子31との間の距離よりも小さいため、第2の検知素子31は、検知されたインダクタンス量が変化し、インダクタンス量の変化は回路によって電圧値の変化に変換される。これによって軸本体21が回転した回転回数、角度変化及び回転角速度の少なくとも1つを算出する。
【0028】
上述したように、本発明によるバルブメンテナンス警報装置は、第2の検知素子31によって中心軸20の横断面の輪郭が非対称となっている第1の検知素子22の対応動作の変化を検知する。これによって弁棒のねじれ角度の変化を検知してバルブの回転回数を自動的に判断し、更にはバルブの耐用期間を予測して、メンテナンスの要否を判断する。トルク検知素子32によって弁棒の回転時のトルクの大きさを検知して弁棒の作動状態を測定することができ、圧力検知素子33によって中口の圧力変化を検知して、圧力変化値から中口が密着に着装されているか、或いは既に破損して漏れているかを検知することができる。一方、本発明は、警報モジュール50によれば、保守員が外部からバルブ2内部の関連情報を簡単に知り、そしてバルブ2の状態異常時に自動的に保守員に警報を知らせ、リアルタイムでバルブ2をメンテナンス又は手入れすることができる。本発明は、バルブが長期に亘る使用又は回転回数が多すぎることで破損する問題を効果的に解決した。
【0029】
上述した実施例は、本発明の技術及びその効果を例示的に説明するものに過ぎず、本発明を制限するものではない。当業者であれば、本発明の技術的原理及び構想に背くことなく、上述した実施例を変更・変化させることができるため、本発明の技術的範囲は請求の範囲に準じる。
【符号の説明】
【0030】
1 バルブメンテナンス警報装置
2 バルブ
10 台座
11 座体
111 第1の収容空間
111a 第1の開口
112 第2の収容空間
112a 第2の開口
113 積載座
12 筐体
120 筐部
13 第3の収容空間
20 中心軸
21 軸本体
210 トルク検知面
211 固定リング
212 Oリング
213 密封リング
22 第1の検知素子
220 検知回路基板
221 金属層
30 検知モジュール
31 第2の検知素子
32 トルク検知素子
33 圧力検知素子
40 制御モジュール
41 制御回路基板
411 受信ユニット
412 計算ユニット
413 伝送ユニット
42 電源
50 警報モジュール
51 LED回路基板
52 LEDユニット