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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-21
(45)【発行日】2024-11-29
(54)【発明の名称】頭部撮影システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/00 20230101AFI20241122BHJP
   H04N 23/66 20230101ALI20241122BHJP
   H04N 23/90 20230101ALI20241122BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20241122BHJP
   G03B 35/08 20210101ALI20241122BHJP
【FI】
H04N23/00
H04N23/66
H04N23/90
G03B15/00 D
G03B35/08
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020096231
(22)【出願日】2020-06-02
(65)【公開番号】P2021190918
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-05-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000108672
【氏名又は名称】タカラベルモント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】福間 彩加
(72)【発明者】
【氏名】大西 重範
(72)【発明者】
【氏名】水谷 元
【審査官】辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0011261(KR,A)
【文献】特表2016-524363(JP,A)
【文献】特開2014-238434(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0066760(KR,A)
【文献】特開2017-029186(JP,A)
【文献】特開2017-204265(JP,A)
【文献】韓国公開実用新案第20-2009-0003178(KR,U)
【文献】特開2010-191831(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0120343(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0037275(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0000189(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/00
H04N 23/66
H04N 23/90
G03B 15/00
G03B 35/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
理美容室において、鉛直軸心周りに回転可能な椅子に着座した人の頭部を撮影するための頭部撮影システムであって、
前記椅子に対して所定の位置に固定された撮像装置から前記椅子に着座した被撮影者の顔面を含む頭部の画像を取得する画像取得部を備え、
前記画像取得部は、前記被撮影者が着座した状態の前記椅子を前記鉛直軸心周りに回転させたときに、前記撮像装置によって撮影された異なる複数方向からの前記被撮影者の前記頭部の撮影画像の取得が可能となるように構成されており、
前記複数方向のそれぞれにおいて、前記撮像装置が撮影した前記椅子の画像が予め記憶された椅子画像記憶部と、
前記撮像装置において撮影前に前記撮像装置の撮像素子によって撮像された画像を取得する撮影前画像取得部と、
前記撮像装置に前記被撮影者の前記頭部の撮影を指示する撮影指示部と、をさらに備え、
前記画像取得部は、前記被撮影者が着座した状態で前記椅子を前記鉛直軸心周りに回転させて前記撮影前画像取得部が取得した前記画像の前記椅子の向きが前記椅子画像記憶部に記憶された前記椅子の画像と一致したときに、前記撮影画像を取得する頭部撮影システム。
【請求項2】
前記撮像装置は、前記被撮影者の頭部及び前記椅子を前記鉛直軸心に垂直な水平方向から撮影する第1撮像装置と、前記被撮影者の頭部及び前記椅子を前記鉛直軸心に平行な上方向から撮影する第2撮像装置と、によって構成され、
前記椅子は、着座した前記被撮影者の足部を載置可能なステップを有し、
前記画像取得部は、前記撮影前画像取得部が取得した前記画像のうち前記第2撮像装置による画像における前記椅子の前記ステップの向きが、前記椅子画像記憶部に記憶された前記椅子の前記ステップの画像と一致したときに、前記撮影画像を取得する請求項に記載の頭部撮影システム。
【請求項3】
理美容室において、鉛直軸心周りに回転可能な椅子に着座した人の頭部を撮影するための頭部撮影システムであって、
前記椅子に対して所定の位置に固定された撮像装置から前記椅子に着座した被撮影者の顔面を含む頭部の画像を取得する画像取得部を備え、
前記画像取得部は、前記被撮影者が着座した状態の前記椅子を前記鉛直軸心周りに回転させたときに、前記撮像装置によって撮影された異なる複数方向からの前記被撮影者の前記頭部の撮影画像の取得が可能となるように構成されており、
前記椅子の前記鉛直軸心周りの所定位置に付与されて前記椅子の前記複数方向のそれぞれの位置の認識が可能な識別マークと、
前記撮像装置において撮影前に前記撮像装置の撮像素子によって撮像された画像を取得する撮影前画像取得部と、
前記撮像装置に前記被撮影者の前記頭部の撮影を指示する撮影指示部と、をさらに備え、
前記画像取得部は、前記被撮影者が着座した状態で前記椅子を前記鉛直軸心周りに回転させて前記撮影前画像取得部が取得した前記画像の所定位置に前記識別マークがあるときに、前記撮影画像を取得する頭部撮影システム。
【請求項4】
前記撮像装置は、前記被撮影者の頭部及び前記椅子を前記鉛直軸心に垂直な水平方向から撮影する第1撮像装置と、前記被撮影者の頭部及び前記椅子を前記鉛直軸心に平行な上方向から撮影する第2撮像装置と、によって構成され、
前記椅子は、着座した前記被撮影者の足部を載置可能なステップを有し、
前記識別マークが前記ステップに付与されており、
前記画像取得部は、前記撮影前画像取得部が取得した前記画像のうち、前記第2撮像装置による画像の所定位置に前記ステップに付与された前記識別マークがあるときに、前記撮影画像を取得する請求項に記載の頭部撮影システム。
【請求項5】
理美容室において、鉛直軸心周りに回転可能な椅子に着座した人の頭部を撮影するための頭部撮影システムであって、
前記椅子に対して所定の位置に固定された撮像装置から前記椅子に着座した被撮影者の顔面を含む頭部の画像を取得する画像取得部を備え、
前記画像取得部は、前記被撮影者が着座した状態の前記椅子を前記鉛直軸心周りに回転させたときに、前記撮像装置によって撮影された異なる複数方向からの前記被撮影者の前記頭部の撮影画像の取得が可能となるように構成されており、
前記撮像装置がステレオカメラによって構成され、
前記ステレオカメラにおいて撮影前に前記ステレオカメラが有する複数の撮像素子によって撮像された夫々の画像を取得する撮影前画像取得部と、
前記撮影前画像取得部が取得した夫々の前記画像に基づいて前記ステレオカメラから前記被撮影者の頭部までの距離を計測する距離計測部と、
前記撮像装置に前記被撮影者の前記頭部の撮影を指示する撮影指示部と、をさらに備え、
前記画像取得部は、前記被撮影者が着座した状態で前記椅子を前記鉛直軸心周りに回転させて前記撮影前画像取得部が取得した夫々の前記画像に基づく前記距離が所定距離になったときに、前記複数の撮像素子によって撮像された夫々の画像に基づいて前記撮影画像を取得する頭部撮影システム。
【請求項6】
理美容室において、鉛直軸心周りに回転可能な椅子に着座した人の頭部を撮影するための頭部撮影システムであって、
前記椅子に対して所定の位置に固定された撮像装置から前記椅子に着座した被撮影者の顔面を含む頭部の画像を取得する画像取得部を備え、
前記画像取得部は、前記被撮影者が着座した状態の前記椅子を前記鉛直軸心周りに回転させたときに、前記撮像装置によって撮影された異なる複数方向からの前記被撮影者の前記頭部の撮影画像の取得が可能となるように構成されており、
前記画像取得部は、前記撮像装置によって撮影された動画を取得可能であり、
前記被撮影者が着座した状態の前記椅子を前記鉛直軸心周りに回転させたときに前記画像取得部が取得した前記動画から、前記複数方向のそれぞれにおける前記被撮影者の前記頭部の静止画像を前記撮影画像として抽出する静止画像抽出部と、を備えており、
前記複数方向のそれぞれにおいて、前記撮像装置が撮影した前記椅子の画像が予め記憶された椅子画像記憶部をさらに備え、
前記静止画像抽出部は、前記画像取得部が取得した前記動画において、前記椅子の向きが前記椅子画像記憶部に記憶された前記椅子の画像と一致したときの前記静止画像を前記撮影画像として抽出する頭部撮影システム。
【請求項7】
前記撮像装置は、前記被撮影者の頭部及び前記椅子を前記鉛直軸心に垂直な水平方向から撮影する第1撮像装置と、前記被撮影者の頭部及び前記椅子を前記鉛直軸心に平行な上方向から撮影する第2撮像装置と、によって構成され、
前記椅子は、着座した前記被撮影者の足部を載置可能なステップを有し、
前記静止画像抽出部は、前記画像取得部が取得した前記動画のうち、前記第2撮像装置による動画における前記椅子の前記ステップの向きが前記椅子画像記憶部に記憶された前記椅子の前記ステップの画像と一致したときの前記静止画像を前記撮影画像として抽出する請求項に記載の頭部撮影システム。
【請求項8】
理美容室において、鉛直軸心周りに回転可能な椅子に着座した人の頭部を撮影するための頭部撮影システムであって、
前記椅子に対して所定の位置に固定された撮像装置から前記椅子に着座した被撮影者の顔面を含む頭部の画像を取得する画像取得部を備え、
前記画像取得部は、前記被撮影者が着座した状態の前記椅子を前記鉛直軸心周りに回転させたときに、前記撮像装置によって撮影された異なる複数方向からの前記被撮影者の前記頭部の撮影画像の取得が可能となるように構成されており、
前記画像取得部は、前記撮像装置によって撮影された動画を取得可能であり、
前記被撮影者が着座した状態の前記椅子を前記鉛直軸心周りに回転させたときに前記画像取得部が取得した前記動画から、前記複数方向のそれぞれにおける前記被撮影者の前記頭部の静止画像を前記撮影画像として抽出する静止画像抽出部と、を備えており、
前記椅子の前記鉛直軸心周りの所定位置に付与されて前記椅子の前記複数方向のそれぞれの位置の認識が可能な識別マークをさらに備え、
前記静止画像抽出部は、前記画像取得部が取得した前記動画において、撮影範囲の所定位置に前記識別マークがあるときの前記静止画像を前記撮影画像として抽出する頭部撮影システム。
【請求項9】
前記撮像装置は、前記被撮影者の頭部及び前記椅子を前記鉛直軸心に垂直な水平方向から撮影する第1撮像装置と、前記被撮影者の頭部及び前記椅子を前記鉛直軸心に平行な上方向から撮影する第2撮像装置と、によって構成され、
前記椅子は、着座した前記被撮影者の足部を載置可能なステップを有し、
前記識別マークが前記ステップに付与されており、
前記静止画像抽出部は、前記画像取得部が取得した前記動画のうち、前記第2撮像装置による動画の所定位置に前記ステップに付与された前記識別マークがあるときの前記静止画像を前記撮影画像として抽出する請求項に記載の頭部撮影システム。
【請求項10】
理美容室において、鉛直軸心周りに回転可能な椅子に着座した人の頭部を撮影するための頭部撮影システムであって、
前記椅子に対して所定の位置に固定された撮像装置から前記椅子に着座した被撮影者の顔面を含む頭部の画像を取得する画像取得部を備え、
前記画像取得部は、前記被撮影者が着座した状態の前記椅子を前記鉛直軸心周りに回転させたときに、前記撮像装置によって撮影された異なる複数方向からの前記被撮影者の前記頭部の撮影画像の取得が可能となるように構成されており、
前記画像取得部は、前記撮像装置によって撮影された動画を取得可能であり、
前記被撮影者が着座した状態の前記椅子を前記鉛直軸心周りに回転させたときに前記画像取得部が取得した前記動画から、前記複数方向のそれぞれにおける前記被撮影者の前記頭部の静止画像を前記撮影画像として抽出する静止画像抽出部と、を備えており、
前記撮像装置がステレオカメラによって構成され、
前記画像取得部は、前記ステレオカメラにおいて前記ステレオカメラが有する複数の撮像素子によって撮影された夫々の動画を取得可能であり、
前記画像取得部が取得した夫々の前記動画に基づいて前記ステレオカメラから前記被撮影者の頭部までの距離を計測する距離計測部をさらに備え、
前記静止画像抽出部は、前記距離が所定距離になったときに前記画像取得部が取得した夫々の前記動画の前記静止画像に基づいて前記撮影画像を取得する頭部撮影システム。
【請求項11】
前記撮影画像における前記被撮影者の頭部の位置を移動させる画像補正部をさらに備える請求項1から10のいずれか一項に記載の頭部撮影システム。
【請求項12】
前記撮影画像の一部又は全部を表示可能な表示装置をさらに備えた請求項1から11のいずれか一項に記載の頭部撮影システム。
【請求項13】
前記表示装置は、前記椅子に対向して配置されるミラーディスプレイであり、
前記撮像装置は、前記ミラーディスプレイに内蔵されている請求項12に記載の頭部撮影システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、理美容室において人の頭部を撮影するための頭部撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
理美容室において、利用者にヘアスタイルの要望を確認する場面では、例えば雑誌等の書籍に掲載された写真やヘアカタログ等が用いられる。近年、例えば特許文献1に記載されるように、データベース化したヘアカタログに掲載された画像を利用して理美容室の利用者の顔画像にデジタル処理を施し、ミラーの代用としてのミラーディスプレイにおいてシミュレーション画像として提供するシステムが存在する。こうしたシステムを利用することで、理美容室の利用者は、好みのヘアスタイルの画像を選択して容易にヘアスタイルのイメージを体感することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-204265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ヘアカタログに掲載される画像は、図23に示される画像200A,200Bのように、撮影角度、照明度合、サイズ、服装、背景、モデルの表情、ポージング等によって大きく異なることがある。そのため、理美容室の利用者の顔画像に対し、ヘアカタログの画像を違和感なく適合させることは容易ではない。
【0005】
また、理美容室では、利用者が「かわいい」「清楚」「すっきり」「軽め重め」のような抽象的な表現でヘアスタイルの要望を伝えることも多い。このため、ヘアカタログを基にデータベース化された画像からは、「毛量」「毛髪カラー」「丸顔」「たれ目」等の物理的特徴による区別は可能であっても、抽象的な表現から利用者が所望するヘアスタイル画像を抽出することは困難であった。そこで、利用者の抽象的な表現による要望にも対応できるようにするには、最新の画像解析技術を用いて定量的に特徴分析を行ったうえで、正規化された頭部画像であることが望ましい。ここで、正規化された頭部画像とは、図24に示される画像201,202,203のように、撮影距離、被写体姿勢、明るさ、背景等が均一に設定されて撮影された顔を含む頭部の画像のことであり、異なる複数の方向から撮影した複数の画像のセットがより好ましい。
【0006】
上記実情に鑑み、理美容室において所定の基準に基づいて正規化された頭部画像を適正に取得できる頭部撮影システムが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る頭部撮影システムの特徴構成は、理美容室において、鉛直軸心周りに回転可能な椅子に着座した人の頭部を撮影するための頭部撮影システムであって、前記椅子に対して所定の位置に固定された撮像装置から前記椅子に着座した被撮影者の顔面を含む頭部の画像を取得する画像取得部を備え、前記画像取得部は、前記被撮影者が着座した状態の前記椅子を前記鉛直軸心周りに回転させたときに、前記撮像装置によって撮影された異なる複数方向からの前記被撮影者の前記頭部の撮影画像の取得が可能となるように構成されている点にある。
【0008】
本構成によれば、頭部撮影システムは、椅子に対して所定の位置に固定された撮像装置から椅子に着座した被撮影者の顔面を含む頭部の画像を取得する画像取得部を備える。これにより、撮像装置から椅子に着座した被撮影者の頭部までの距離はほぼ一定になるので、画像取得部によって撮像装置が所定の撮影距離で撮影した被撮影者の顔面を含む頭部の画像を取得することができる。さらに、画像取得部は、被撮影者が着座した状態の椅子を鉛直軸心周りに回転させたときに、撮像装置によって撮影された異なる複数方向からの被撮影者の頭部の撮影画像の取得が可能であるので、撮像装置が鉛直軸心周りの複数方向から所定の撮影距離で撮影した被撮影者の顔面を含む頭部の複数の撮影画像を取得することができる。その結果、理美容室において人の頭部を撮影する際に、正規化された頭部画像、すなわち、撮影距離や撮影方向等の共通の基準によって撮影された頭部画像を適正に取得できる。
【0009】
他の特徴構成は、前記椅子を前記鉛直軸心周りに回転させたときに前記複数方向のそれぞれを向く状態に前記椅子を保持可能な方向保持部をさらに備える点にある。
【0010】
本構成によれば、方向保持部によって椅子が鉛直軸心周りの複数方向のそれぞれを向く状態に椅子を保持できる。これにより、椅子を鉛直軸心周りに回転させて方向保持部によって椅子が保持される度に撮像装置による撮影を行うことで、画像取得部は、鉛直軸心周りの複数方向から所定の撮影距離で撮影した被撮影者の頭部の撮影画像を容易に取得することができる。
【0011】
他の特徴構成は、前記椅子を前記鉛直軸心周りに回転させたときの基点からの回転角度を検出する角度検出部と、前記撮像装置に前記被撮影者の前記頭部の撮影を指示する撮影指示部と、をさらに備え、前記撮影指示部は、前記角度検出部によって検出される前記回転角度が前記複数方向のそれぞれと一致したときに、前記撮像装置に撮影を指示し、前記画像取得部は、前記撮像装置から前記撮影画像を取得する点にある。
【0012】
本構成によれば、撮影指示部は、角度検出部によって検出される椅子の基点からの回転角度が複数方向のそれぞれと一致したときに、撮像装置に撮影を指示し、画像取得部は、撮像装置から撮影画像を取得する。鉛直軸心周りの複数方向のそれぞれにおける、椅子の基点からの回転角度(撮影角度)は、角度検出部によって検出することができる。したがって、頭部撮影システムは、撮像装置を手動操作することなく、椅子を鉛直軸心周りに回転させるだけで、撮像装置によって所定の撮影角度毎に撮影された被撮影者の頭部の撮影画像を取得することができる。その結果、頭部撮影システムは、鉛直軸心周りの複数方向から被撮影者の頭部の撮影画像を取得する際の操作性が向上する。
【0013】
他の特徴構成は、前記複数方向のそれぞれにおいて、前記撮像装置が撮影した前記椅子の画像が予め記憶された椅子画像記憶部と、前記撮像装置において撮影前に前記撮像装置の撮像素子によって撮像された画像を取得する撮影前画像取得部と、前記撮像装置に前記被撮影者の前記頭部の撮影を指示する撮影指示部と、をさらに備え、前記画像取得部は、前記被撮影者が着座した状態で前記椅子を前記鉛直軸心周りに回転させて前記撮影前画像取得部が取得した前記画像の前記椅子の向きが前記椅子画像記憶部に記憶された前記椅子の画像と一致したときに、前記撮影画像を取得する点にある。
【0014】
撮像装置の撮像素子によって撮影前に撮像された画像において、入力される椅子の向きは椅子が鉛直軸心周りに回転する際に変化する。したがって、撮像装置が撮影した椅子の画像が予め記憶される椅子画像記憶部を備えて、鉛直軸心周りの複数方向のそれぞれにおける、椅子の基点からの回転角度(撮影角度)と、複数方向のそれぞれから撮影された椅子の画像とを対応付けることで、当該撮影角度を椅子画像記憶部において推認することができる。そこで、本構成は、撮像装置の撮像素子から継続的に撮影前画像取得部が取得する撮影前の撮像された画像における椅子の画像(椅子の向き)が、椅子画像記憶部に予め記憶された椅子の画像と一致したときに、画像取得部は撮影画像を取得する。すなわち、頭部撮影システムは、撮像装置を手動操作することなく、椅子を鉛直軸心周りに継続して回転させた状態で、撮像装置によって所定の撮影角度毎に撮影された被撮影者の頭部の撮影画像を取得することができる。その結果、頭部撮影システムは、複数方向から被撮影者の頭部の撮影画像を取得する際の操作性が向上する。
【0015】
他の特徴構成は、前記撮像装置は、前記被撮影者の頭部及び前記椅子を前記鉛直軸心に垂直な水平方向から撮影する第1撮像装置と、前記被撮影者の頭部及び前記椅子を前記鉛直軸心に平行な上方向から撮影する第2撮像装置と、によって構成され、前記椅子は、着座した前記被撮影者の足部を載置可能なステップを有し、前記画像取得部は、前記撮影前画像取得部が取得した前記画像のうち前記第2撮像装置による画像における前記椅子の前記ステップの向きが、前記椅子画像記憶部に記憶された前記椅子の前記ステップの画像と一致したときに、前記撮影画像を取得する点にある。
【0016】
頭部撮影システムにおいて、撮像装置を用いて椅子に着座した被撮影者の顔面を含む頭部の画像を取得するためには、通常、椅子の鉛直軸心に垂直な水平方向から撮影する撮像装置を用いることとなる。ここで、椅子に着座した被撮影者は、理美容室においてカット後の頭髪を受け止める理髪用エプロンを羽織ることがある。被撮影者が理髪用エプロンを羽織った状態では、椅子についても理髪用エプロンによって座部や背もたれ部が覆われる場合がある。このため、水平方向から撮影する撮像装置では、撮影画像から椅子の形状が適正に把握できないことがある。そこで、本構成では、撮像装置を、椅子の鉛直軸心に垂直な水平方向から撮影する第1撮像装置と、椅子の鉛直軸心に平行な上方向から撮影する第2撮像装置とによって構成する。加えて、前記第2撮像装置によって撮影された画像における椅子のステップの向きに基づいて椅子の基点からの回転角度(撮影角度)を推認し、撮影画像を取得する。椅子のステップは、被撮影者が理髪用エプロンを羽織った状態であっても露出する部分であり、椅子の上方向に位置する第2撮像装置によって確実に撮影することができる。したがって、本構成であれば、被撮影者が理髪用エプロンを羽織った状態であっても、椅子を鉛直軸心周りに継続して回転させた状態で、撮像装置によって所定の撮影角度毎に撮影された被撮影者の頭部の撮影画像を取得することができる。
【0017】
他の特徴構成は、前記椅子の前記鉛直軸心周りの所定位置に付与されて前記椅子の前記複数方向のそれぞれの位置の認識が可能な識別マークと、前記撮像装置において撮影前に前記撮像装置の撮像素子によって撮像された画像を取得する撮影前画像取得部と、前記撮像装置に前記被撮影者の前記頭部の撮影を指示する撮影指示部と、をさらに備え、前記画像取得部は、前記被撮影者が着座した状態で前記椅子を前記鉛直軸心周りに回転させて前記撮影前画像取得部が取得した前記画像の所定位置に前記識別マークがあるときに、前記撮影画像を取得する点にある。
【0018】
本構成では、椅子の鉛直軸心周りの所定位置に付与されて椅子の複数方向のそれぞれの位置の認識が可能な識別マークを備える。撮像装置が撮影前に撮像装置の撮像素子によって撮像された画像において、識別マークの位置は椅子が鉛直軸心周りに回転する際に変化する。したがって、鉛直軸心周りの複数方向のそれぞれにおける、椅子の基点からの回転角度(撮影角度)は、複数方向のそれぞれから入力される画像における識別マークの位置に対応付けることで推認することができる。そこで、本構成は、撮像装置によって継続的に取得される撮影前の画像の所定位置に識別マークがあるときに、画像取得部は撮影画像を取得する。すなわち、頭部撮影システムは、撮像装置を手動操作することなく、椅子を鉛直軸心周りに回転させた状態で、撮像装置によって所定の撮影角度毎に撮影された被撮影者の頭部の撮影画像を取得することができる。その結果、頭部撮影システムは、鉛直軸心周りの複数方向から被撮影者の頭部の撮影画像を取得する際の操作性が向上する。
【0019】
他の特徴構成は、前記撮像装置は、前記被撮影者の頭部及び前記椅子を前記鉛直軸心に垂直な水平方向から撮影する第1撮像装置と、前記被撮影者の頭部及び前記椅子を前記鉛直軸心に平行な上方向から撮影する第2撮像装置と、によって構成され、前記椅子は、着座した前記被撮影者の足部を載置可能なステップを有し、前記識別マークが前記ステップに付与されており、前記画像取得部は、前記撮影前画像取得部が取得した前記画像のうち、前記第2撮像装置による画像の所定位置に前記ステップに付与された前記識別マークがあるときに、前記撮影画像を取得する点にある。
【0020】
本構成では、撮像装置を、椅子を鉛直軸心に垂直な水平方向から撮影する第1撮像装置と、椅子を鉛直軸心に平行な上方向から撮影する第2撮像装置とによって構成する。加えて、前記第2撮像装置によって撮影された画像における椅子のステップに付与された識別マークに基づいて椅子の基点からの回転角度(撮影角度)を推認し、撮影画像を取得する。したがって、本構成であれば、被撮影者が理髪用エプロンを羽織った状態であっても、椅子を鉛直軸心周りに継続して回転させた状態で、撮像装置によって所定の撮影角度毎に撮影された被撮影者の頭部の撮影画像を取得することができる。
【0021】
他の特徴構成は、前記撮像装置がステレオカメラによって構成され、前記ステレオカメラにおいて撮影前に前記ステレオカメラが有する複数の撮像素子によって撮像された夫々の画像を取得する撮影前画像取得部と、前記撮影前画像取得部が取得した夫々の前記画像に基づいて前記ステレオカメラから前記被撮影者の頭部までの距離を計測する距離計測部と、前記撮像装置に前記被撮影者の前記頭部の撮影を指示する撮影指示部と、をさらに備え、前記画像取得部は、前記被撮影者が着座した状態で前記椅子を前記鉛直軸心周りに回転させて前記撮影前画像取得部が取得した夫々の前記画像に基づく前記距離が所定距離になったときに、前記複数の撮像素子によって撮像された夫々の画像に基づいて前記撮影画像を取得する点にある。
【0022】
撮像装置としてステレオカメラを用いることで、ステレオカメラによって撮像された夫々の画像からステレオカメラと椅子に着座した被撮影者の頭部との距離を計測することができる。ここで、ステレオカメラから椅子に着座した被撮影者の頭部までの距離は、椅子が鉛直軸心周りに回転する際に変化する。したがって、椅子の基点からの回転角度(撮影角度)は、ステレオカメラによって撮像された夫々の画像に基づいて計測可能なステレオカメラと被撮影者の頭部との距離に対応付けることで推認することができる。そこで、本構成では、被撮影者が着座した状態で椅子を鉛直軸心周りに回転させて撮影前画像取得部が取得したステレオカメラの複数の撮像素子による夫々の画像に基づくステレオカメラから被撮影者の頭部までの距離が所定距離になったときに、画像取得部は複数の撮像素子によって撮像された夫々の画像に基づいて撮影画像を取得する。これにより、頭部撮影システムは、撮像装置を手動操作することなく、椅子を鉛直軸心周りに回転させた状態で、撮像装置によって所定の撮影角度毎に撮影された被撮影者の頭部の撮影画像を取得することができる。その結果、頭部撮影システムは、鉛直軸心周りの複数方向から被撮影者の頭部の撮影画像を取得する際の操作性が向上する。画像取得部がステレオカメラの複数の撮像素子による夫々の画像に基づいて撮影画像を取得する場合には、何れか一つの撮像素子による画像を撮影画像として取得してもよいし、公知の画像処理技術を用いて、夫々の画像に基づいて生成された被撮影者の頭部の立体画像を撮影画像として取得してもよい。被撮影者の頭部の撮影画像を立体画像にすることで、被撮影者の頭部の視認性をより向上させることができる。
【0023】
他の特徴構成は、前記画像取得部は、前記撮像装置によって撮影された動画を取得可能であり、前記被撮影者が着座した状態の前記椅子を前記鉛直軸心周りに回転させたときに前記画像取得部が取得した前記動画から、前記複数方向のそれぞれにおける前記被撮影者の前記頭部の静止画像を前記撮影画像として抽出する静止画像抽出部と、を備える点にある。
【0024】
本構成によれば、頭部撮影システムは、静止画像抽出部によって、撮像装置によって撮影された動画から複数方向のそれぞれにおける被撮影者の頭部の静止画像を撮影画像として抽出することができる。これにより、頭部撮影システムは、被撮影者に対して複数方向のそれぞれからその都度撮影することなく、被撮影者の頭部の撮影画像を取得することができる。その結果、頭部撮影システムは、鉛直軸心周りの複数方向から被撮影者の頭部の撮影画像を取得する際の操作性が向上する。
【0025】
他の特徴構成は、前記椅子を前記鉛直軸心周りに回転させたときの基点からの回転角度を検出する角度検出部をさらに備え、前記静止画像抽出部は、前記画像取得部が取得した前記動画において、前記角度検出部によって検出される前記回転角度が前記複数方向のそれぞれと一致したときの前記静止画像を前記撮影画像として抽出する点にある。
【0026】
本構成によれば、静止画像抽出部は、画像取得部が取得した撮像装置の動画から、角度検出部によって検出される回転角度に基づいて、複数方向のそれぞれ予め設定された所定の撮影角度からの静止画像を撮影画像として抽出することができる。これにより、頭部撮影システムは、鉛直軸心周りの複数方向から被撮影者の頭部の撮影画像を確実に取得することができる。
【0027】
他の特徴構成は、前記複数方向のそれぞれにおいて、前記撮像装置が撮影した前記椅子の画像が予め記憶された椅子画像記憶部をさらに備え、前記静止画像抽出部は、前記画像取得部が取得した前記動画において、前記椅子の向きが前記椅子画像記憶部に記憶された前記椅子の画像と一致したときの前記静止画像を前記撮影画像として抽出する点にある。
【0028】
本構成によれば、静止画像抽出部は、画像取得部が取得した撮像装置の動画から、椅子画像記憶部に予め記憶された椅子の画像に基づいて静止画像を撮影画像として抽出することができる。これにより、頭部撮影システムは、鉛直軸心周りの複数方向から被撮影者の頭部の撮影画像を確実に取得することができる。
できる。
【0029】
他の特徴構成は、前記撮像装置は、前記被撮影者の頭部及び前記椅子を前記鉛直軸心に垂直な水平方向から撮影する第1撮像装置と、前記被撮影者の頭部及び前記椅子を前記鉛直軸心に平行な上方向から撮影する第2撮像装置と、によって構成され、前記椅子は、着座した前記被撮影者の足部を載置可能なステップを有し、前記静止画像抽出部は、前記画像取得部が取得した前記動画のうち、前記第2撮像装置による動画における前記椅子の前記ステップの向きが前記椅子画像記憶部に記憶された前記椅子の前記ステップの画像と一致したときの前記静止画像を前記撮影画像として抽出する点にある。
【0030】
本構成では、撮像装置を、椅子を鉛直軸心に垂直な水平方向から撮影する第1撮像装置と、椅子を鉛直軸心に平行な上方向から撮影する第2撮像装置とによって構成する。加えて、第2撮像装置によって撮影された動画における椅子のステップの向きに基づいて椅子の基点からの回転角度(撮影角度)を推認し、撮影画像を取得する。したがって、本構成であれば、被撮影者が理髪用エプロンを羽織った状態であっても、椅子を鉛直軸心周りに継続して回転させた状態で、撮像装置によって所定の撮影角度毎に撮影された被撮影者の頭部の撮影画像を取得することができる。
【0031】
他の特徴構成は、前記椅子の前記鉛直軸心周りの所定位置に付与されて前記椅子の前記複数方向のそれぞれの位置の認識が可能な識別マークをさらに備え、前記静止画像抽出部は、前記画像取得部が取得した前記動画において、撮影範囲の所定位置に前記識別マークがあるときの前記静止画像を前記撮影画像として抽出する点にある。
【0032】
本構成によれば、静止画像抽出部は、画像取得部が取得した撮像装置の動画から、撮影範囲の識別マークの位置に基づいて静止画像を撮影画像として抽出することができる。これにより、頭部撮影システムは、鉛直軸心周りの複数方向から被撮影者の頭部の撮影画像を確実に取得することができる。
【0033】
他の特徴構成は、前記撮像装置は、前記被撮影者の頭部及び前記椅子を前記鉛直軸心に垂直な水平方向から撮影する第1撮像装置と、前記被撮影者の頭部及び前記椅子を前記鉛直軸心に平行な上方向から撮影する第2撮像装置と、によって構成され、前記椅子は、着座した前記被撮影者の足部を載置可能なステップを有し、前記識別マークが前記ステップに付与されており、前記静止画像抽出部は、前記画像取得部が取得した前記動画のうち、前記第2撮像装置による動画の所定位置に前記ステップに付与された前記識別マークがあるときの前記静止画像を前記撮影画像として抽出する点にある。
【0034】
本構成では、撮像装置を、椅子を鉛直軸心に垂直な水平方向から撮影する第1撮像装置と、椅子を鉛直軸心に平行な上方向から撮影する第2撮像装置とによって構成する。加えて、第2撮像装置によって撮影された動画における椅子のステップに付与された識別マークに基づいて椅子の基点からの回転角度(撮影角度)を推認し、撮影画像を取得する。したがって、本構成であれば、被撮影者が理髪用エプロンを羽織った状態であっても、椅子を鉛直軸心周りに継続して回転させた状態で、撮像装置によって所定の撮影角度毎に撮影された被撮影者の頭部の撮影画像を取得することができる。
【0035】
他の特徴構成は、前記撮像装置がステレオカメラによって構成され、前記画像取得部は、前記ステレオカメラにおいて前記ステレオカメラが有する複数の撮像素子によって撮影された夫々の動画を取得可能であり、前記画像取得部が取得した夫々の前記動画に基づいて前記ステレオカメラから前記被撮影者の頭部までの距離を計測する距離計測部をさらに備え、前記静止画像抽出部は、前記距離が所定距離になったときに前記画像取得部が取得した夫々の前記動画の前記静止画像に基づいて前記撮影画像を取得する点にある。
【0036】
撮像装置としてステレオカメラを用いることで、ステレオカメラによって撮像された夫々の動画に基づいてステレオカメラから椅子に着座した被撮影者の頭部までの距離を計測することができる。ここで、ステレオカメラから被撮影者の頭部までの距離は、椅子が鉛直軸心周りに回転する際に変化する。したがって、椅子の基点からの回転角度(撮影角度)は、ステレオカメラによって撮影された夫々の動画に基づいて計測可能なステレオカメラから被撮影者の頭部までの距離に対応付けることで推認することができる。そこで、本構成では、静止画像抽出部は、ステレオカメラから被撮影者の頭部までの距離が所定距離になったときに画像取得部が取得した夫々の動画の静止画像に基づいて撮影画像を取得する。これにより、頭部撮影システムは、鉛直軸心周りの複数方向から被撮影者の頭部の撮影画像を確実に取得することができる。静止画像抽出部がステレオカメラの複数の撮像素子による夫々の動画の静止画像に基づいて撮影画像を取得する場合には、何れか一つの撮像素子による動画の静止画像を撮影画像として取得してもよいし、公知の画像処理技術を用いて、夫々の静止画像に基づいて生成された被撮影者の頭部の立体画像を撮影画像として取得してもよい。被撮影者の頭部の撮影画像を立体画像にすることで、被撮影者の頭部の視認性をより向上させることができる。
【0037】
他の特徴構成は、前記撮影画像における前記被撮影者の頭部の位置を移動させる画像補正部をさらに備える点にある。
【0038】
頭部撮影システムにおいて、画像取得部が取得する、撮像装置によって撮影された異なる複数方向からの被撮影者の頭部の撮影画像には、被撮影者の姿勢や椅子や撮像装置の位置等により頭部の位置が上下方向または左右方向において中央からいずれか一方向に偏った画像が含まれることがある。そうなると、複数の撮影画像において頭部の位置にばらつきが生じることになり、複数の撮影画像の比較が行い難くなる。そこで、本構成では、撮影画像における被撮影者の頭部の位置を移動させる画像補正部をさらに備えることにより、例えば、被撮影者の頭部が撮影画像の上下左右方向の中央に位置するように頭部の位置を移動させることができる。これにより、頭部撮影システムにおいて、撮影画像における頭部の上下左右方向の位置ずれを容易に補正することができる。
【0039】
他の特徴構成は、前記撮影画像の一部又は全部を表示可能な表示装置をさらに備えた点にある。
【0040】
本構成によれば、撮像装置によって撮影された撮影画像の一部又は全部が表示装置に表示できるので、表示装置を用いて被撮影者の頭部の撮影画像を容易に確認することができる。また、撮像装置によって撮影された被撮影者の頭部の撮影画像が適正な画像であるか否かを表示装置で確認することもできる。
【0041】
他の特徴構成は、前記表示装置は、前記椅子に対向して配置されるミラーディスプレイであり、前記撮像装置は、前記ミラーディスプレイに内蔵されている点にある。
【0042】
本構成によれば、ミラーディスプレイに表示された撮影画像を参照することで、撮像装置によって撮影する際の被撮影者が着座する椅子の高さや被撮影者の姿勢を適宜調整することができる。また、撮像装置がミラーディスプレイに内蔵されているので、撮像装置を椅子に対する所定の位置に容易に固定することができる。また、ミラーディスプレイに内蔵される撮像装置は被撮影者から容易に視認されない状態で撮影することもできる。これにより、被撮影者が撮像装置を意識しないリラックスした状態で撮像装置による頭部撮影を行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】頭部撮影システムを用いたヘアスタイル提供システムの構成を示す概略図である。
図2】頭部撮影システムによる利用者の撮影状態を示す側面図である。
図3】第1実施形態の頭部撮影システムのブロック図である。
図4】椅子の要部側面図である。
図5】椅子中心線Sbが基準中心線Saに重なった状態の椅子とミラーディスプレイとの位置関係を示す平面図である。
図6】椅子に設けられた方向保持部の平断面図である。
図7】椅子が基準中心線Sa上の基点から回転した状態を示す平面図である。
図8】第2実施形態の椅子の回転角度の検出する角度検出部を示す斜視図である。
図9】第2実施形態の頭部撮影システムのブロック図である。
図10】第3実施形態の頭部撮影システムのブロック図である。
図11】第3実施形態の変形例の頭部撮影システムによる利用者の撮影状態を示す側面図である。
図12】第4実施形態の頭部撮影システムの識別マークの位置を示す平面図である。
図13】第4実施形態の椅子の斜視図である。
図14】第4実施形態の頭部撮影システムのブロック図である。
図15】第4実施形態の変形例の頭部撮影システムの識別マークの位置を示す平面図である。
図16】第4実施形態の変形例の椅子の斜視図である。
図17】第5実施形態の平面図である。
図18】第5実施形態の頭部撮影システムのブロック図である。
図19】第6実施形態の頭部撮影システムのブロック図である。
図20】第7実施形態の頭部撮影システムのブロック図である。
図21】第8実施形態の頭部撮影システムのブロック図である。
図22】第9実施形態の頭部撮影システムのブロック図である。
図23】非正規化画像の一例を示す図である。
図24】正規化画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明に係る実施形態を、図面に基づいて説明する。以下において、共通する部分には同一の符号を付しており、同一符号の部分に対して重複した説明を省略する。
【0045】
[第1実施形態]
本発明に係る頭部撮影システムは、理美容室において椅子に着座した人の頭部を撮影するために用いられる。頭部撮影システムによって撮影されて取得された頭部の画像(以下、「撮影画像」ともいう。)は、例えば、理美容室の利用者がヘアスタイルのサンプル画像(以下、単に「ヘアスタイル画像」という。)として閲覧するために用いられることができる。なお、撮影画像には、利用者の頭部のみが写った画像だけではなく、利用者の頭部を含む上半身又は全身が写った画像も含まれる。
【0046】
理美容室の利用者にヘアスタイル画像を提供するヘアスタイル提供システムとして、例えば図1に示すように、複数の理美容室のそれぞれに配置された頭部撮影システム10と、頭部撮影システム10に接続されたインターネット回線90と、頭部撮影システム10で撮影されインターネット回線90を介してアップロードされた撮影画像をヘアスタイル画像として格納したサーバ100と、からなるシステムが考えられる。図1に示すヘアスタイル提供システムを利用することで、各理美容室の利用者は、複数の理美容室の頭部撮影システム10からアップロードされてサーバ100に格納された多数のヘアスタイル画像を自由にダウンロードしてミラーディスプレイ30に表示させることができ、表示させたヘアスタイル画像に基づいて理美容室のスタッフにヘアスタイルの要望を容易に伝えることができる。そのため、理美容室のスタッフも、利用者から従前「かわいい」「清楚」「すっきり」「軽め重め」のような抽象的な表現で伝えられてきたヘアスタイルの要望を、ヘアスタイル画像に基づいて具体的に理解することができるので、利用者の要望に合ったヘアスタイルを容易に実現することができる。なお、ヘアスタイル提供システムは、図1に示すように複数の理美容室の頭部撮影システム10をインターネット回線90を介してサーバ100に接続する構成でなくてもよい。単一の理美容室において、LAN(Local Area Network)などのイントラネットを介して単数又は複数の頭部撮影システム10をサーバ100に接続する構成であってもよい。
【0047】
頭部撮影システム10は、図3に示すように、図1に示すヘアスタイル提供システムにおいて、例えばサーバ100やミラーディスプレイ30(表示装置の一例)に対して撮影画像のデータを出力可能に構成されており、理美容室において椅子20(図2参照)に着座した利用者(被撮影者H)の頭部を撮影する際に用いられる。
【0048】
図2に示すように、理美容室には、頭部撮影システム10(図3参照)とともに用いられる、鉛直軸心Lの周りに回転可能な椅子20と、ミラーディスプレイ30とが備えられている。椅子20は、図2及び図4に示すように、椅子本体21と、椅子本体21を昇降可能かつ鉛直軸心Lの周りに回転可能に下方から支持する基台部22と、を備えている。椅子本体21は、座部23と背もたれ部24と肘掛け部25と着座した被撮影者Hの足を載置するステップ26と、を備えている。椅子20の基台部22は、床面Gに載置される基盤部材27と、基盤部材27の鉛直軸心Lと同軸心に配置された筒部28と、を備えている。椅子本体21は筒部28の収容されたロッド29を介して油圧等によって昇降可能に構成されている。椅子20は、例えば筒部28に設けられた操作部28aによって昇降操作を行うことができる。椅子本体21は、座部23の裏面に固定された円筒部35がロッド29に対して回転可能に取付けられている。椅子本体21の鉛直軸心L周りの回転(以下、単に回転と呼ぶ場合もある)は、散髪や毛染め等を行う美容師や理容師等の椅子操作者によって手動にて行われる。ただし、椅子本体21は、モータ等の駆動源を用いて、鉛直軸心L周りに回転するように構成されていてもよい。
【0049】
ミラーディスプレイ30は、ミラー台31、ミラー枠32、ディスプレイ部33を備えている。椅子20は、ミラーディスプレイ30のディスプレイ部33に対向した位置に回転可能に設置されている。頭部撮影システム10は、理美容室において固定されたカメラ34(撮像装置の一例)を用いて人の頭部を撮影する。本実施形態では、カメラ34は、ミラーディスプレイ30のミラー枠32に内蔵された第1カメラ34A(第1撮像装置の一例)によって構成される。第1カメラ34Aは、光軸が鉛直軸心Lに垂直になるように配置されており、椅子20の椅子本体21が一回転(図5の回転軌跡R)するときに椅子20に着座した被撮影者Hの頭部及び椅子20を鉛直軸心Lに垂直な水平方向から撮影する。なお、第1カメラ34Aの光軸は鉛直軸心Lに完全に垂直である必要はなく、目的とする撮影画像が取得可能な範囲で若干傾いていてもよい。
【0050】
図3に示すように、本実施形態に係る頭部撮影システム10は、画像取得部51、撮影画像記憶部52、画像補正部53、表示画像生成部54を備える。頭部撮影システム10は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置を備えると共にメモリ等の周辺回路を備え、これらのハードウェアと、演算処理装置等のハードウェア上で実行されるプログラムとの協働により、頭部撮影システム10の各機能が実現される。
【0051】
画像取得部51は、椅子20に対して所定の距離だけ離間した第1カメラ34Aから、椅子20に着座した被撮影者Hの顔面を含む頭部の画像(撮影画像)を取得する。このように、第1カメラ34Aが所定位置に固定されることで、第1カメラ34Aと椅子20に着座した被撮影者Hの頭部との距離はほぼ一定になる。したがって、画像取得部51は、第1カメラ34Aによって所定の撮影距離で撮影された被撮影者Hの顔面を含む頭部の画像を取得することができる。なお、画像取得部51は、いずれの理美容室の頭部撮影システム10においても、同じ撮影範囲で被撮影者Hの頭部の画像(頭部のみ、上半身、全身等)を取得するように設定されていることが好ましい。
【0052】
撮影画像記憶部52は、画像取得部51によって取得された撮影画像を記憶する。画像補正部53は、例えば、撮影画像記憶部52に記憶された撮影画像における被撮影者Hの頭部の位置を認識して頭部が撮影画像の中心からずれている場合に、被撮影者Hの頭部が撮影画像の上下左右方向の中央に位置するように補正する。これにより、頭部撮影システム10において、撮影画像における頭部の上下左右方向の位置ずれを容易に補正して、頭部が撮影画像の中心に位置するようにできる。画像補正部53は、撮影画像の中央だけでなく、他の場所に頭部を移動させるように構成されていてもよい。表示画像生成部54は、撮影画像記憶部52に記憶された撮影画像、又は画像補正部53によって補正された撮影画像をミラーディスプレイ30のディスプレイ部33に表示するための画像(表示画像)を生成する。表示画像生成部54の処理によって、画像取得部51によって取得された撮影画像の一部又は全部が、椅子20に対向して配置されるミラーディスプレイ30に表示される。これにより、第1カメラ34Aによって撮影されて画像取得部51が取得した被撮影者Hの頭部の撮影画像が適正な画像であるか否かをミラーディスプレイ30によって確認することができる。また、ミラーディスプレイ30に表示された表示画像を参照することで、第1カメラ34Aによって撮影する際の被撮影者Hが着座する椅子20の高さや被撮影者Hの姿勢を適宜調整することもできる。
【0053】
図5に基づいて、鉛直軸心Lを通る基盤部材27の左右幅方向の中心線を基準中心線Saとし、鉛直軸心Lを通る椅子本体21の左右幅方向の中心線を椅子中心線Sbとする。椅子本体21が基盤部材27に対して回転すると、基準中心線Saは動かずに、椅子中心線Sbは椅子本体21の回転に応じて回転する。このときの、鉛直軸心Lを中心として基準中心線Saと椅子中心線Sbの間に形成される角度を回転角度θ(図7参照)として椅子本体21の向きを説明する。例えば、図5に示す椅子20の状態は、椅子20がディスプレイ部33に対向した状態であるので、画像取得部51は、第1カメラ34Aから被撮影者Hの正面の撮影画像を取得する。図7に示す椅子20は、基準中心線Saから右回りで45度回転した状態である。このとき、画像取得部51は、第1カメラ34Aから被撮影者Hの左斜め前方の撮影画像を取得する。
【0054】
図5図7に示すように、頭部撮影システム10は、椅子20を鉛直軸心L周りに回転させたときに複数方向のそれぞれ(所定の撮影角度)を向く状態に椅子20を保持可能な方向保持部40を有する。方向保持部40は、椅子20を鉛直軸心L周りに回転させたときの基点Aからの所定の回転角度(撮影角度)毎に椅子本体21を保持することができる。基点Aは基準中心線Sa上に位置する。本実施形態では、方向保持部40は、ロッド29(図4参照)に延設されて円筒部35に収容される軸心部41の外周に均等に形成された複数の凹状の被当接部42と、円筒部35の内周側に設けられ被当接部42に当接可能な凸状の当接部43とによって構成されている。本実施形態では、図6に示すように、被当接部42は軸心部41の周方向に沿って45度毎に設けられている。当接部43は、ばね44により径方向内側に向かって付勢されており、径方向に移動可能に構成されている。
【0055】
上述したように、椅子本体21が鉛直軸心L周りに回転すると、当接部43(円筒部35)は椅子本体21と一体となって回転する一方、被当接部42(軸心部41)は回転しない。椅子本体21が回転し当接部43と被当接部42とが対向していないときは、当接部43はばね44の付勢力により軸心部41の外周面に当接している。このとき、当接部43と軸心部41との間には動摩擦が作用しているが、椅子本体21の回転は継続される。そして、当接部43といずれかの被当接部42とが対向すると、当接部43はばね44の付勢力により被当接部42に入り込んで、強制的に椅子本体21の回転を停止させる(図6及び図7参照)。したがって、椅子本体21を回転させると、45度毎に当接部43が被当接部42に入り込むので、椅子本体21を45度毎に停止させ、保持することができる。すなわち、方向保持部40は、椅子20が鉛直軸心Lの周りの複数方向のそれぞれを向く状態に椅子20を保持できる。当接部43が被当接部42に入り込んだ状態から、椅子本体21に鉛直軸心Lの周りの回転力をさらに印加すると、当接部43はばね44の付勢力に抗して被当接部42から退避し、再び椅子本体21の回転が可能になる。
【0056】
椅子20を鉛直軸心Lの周りに一回転させた際に方向保持部40によって椅子20が保持される度に、第1カメラ34Aで被撮影者Hの頭部の撮影を行う。これにより、画像取得部51は、第1カメラ34Aによって撮影された異なる複数方向からの被撮影者Hの頭部の撮影画像(例えば図24に示す画像201,202、203等)を取得することができる。すなわち、画像取得部51は、被撮影者Hが着座した状態の椅子20を鉛直軸心Lの周りに回転させたときに、第1カメラ34Aによって撮影された異なる複数方向からの被撮影者Hの頭部の撮影画像の取得が可能となるように構成される。その結果、理美容室において人の頭部を撮影する際に、正規化された頭部画像、すなわち、例えば図24に示す画像201,202、203のように、撮影距離や撮影方向等の共通の基準によって撮影された頭部画像を適正に取得できる。なお、本実施形態では、円筒部35が椅子本体21と一体となって回転する例を示したが、円筒部35を回転させずに、軸心部41が椅子本体21と一体となって回転する構成にしてもよい。
【0057】
頭部撮影システム10は、サーバ100に対してインターネット回線90を介してアクセス可能に構成されることで、画像取得部51によって取得された撮影画像をサーバ100にアップロードすることができる。サーバ100にアップロードされる撮影画像は、撮影画像記憶部52に記憶された後の撮影画像でもよいし、画像補正部53によって補正された後の撮影画像でもよい。
【0058】
[第2実施形態]
第2実施形態では、図8に示すように、頭部撮影システム10が角度検出部45を備える。角度検出部45は、椅子20を鉛直軸心L周りに回転させたときの基点Aからの角度を検出する。椅子20には、椅子本体21を回転駆動するモータ(不図示)が設けられている。図8に示す例では、椅子20において、中央に貫通孔を有する円板部47が鉛直軸心L周りに椅子本体21と一体となって回転可能に配置されている。円板部47は、例えば椅子20の円筒部35の外周に、又は、円筒部35に替えて配置される。円板部47の外周には周方向において所定の間隔毎(本実施形態では45度毎)に凸部48が形成されている。角度検出部45は、例えばマイクロスイッチで構成されている。角度検出部45は、椅子本体21が回転しても回転しない。角度検出部45は、凸部48に対向する位置に設けられて凸部48によって押圧されるスイッチ部46を備える。スイッチ部46が押圧されると、角度検出部45はオンになり、オン信号を出力する。スイッチ部46が元に戻ると、角度検出部45はオフになる。
【0059】
椅子20は、不図示のスイッチ操作等によりモータを用いて回転駆動可能に構成されている。図9に示すように、頭部撮影システム10は、第1実施形態において図3に示す画像取得部51等に加えて、角度検出部45、判断部55、及び撮影指示部56を備える。本実施形態に係る頭部撮影システム10では、角度検出部45が円板部47の回転に基づいて椅子20の基点Aからの回転角度θを検出し、判断部55に検出した回転角度θを出力する。具体的には、以下のとおりである。まず、円板部47の凸部48が角度検出部45と対向していないときには、スイッチ部46は押圧されていないので角度検出部45はオフである。そして、椅子本体21と円板部47が回転し、円板部47の凸部48が角度検出部45と対向すると、凸部48はスイッチ部46を押圧して角度検出部45はオン信号を出力する。すなわち、角度検出部45は椅子本体21が45度回転する毎にオン信号を出力する。角度検出部45からのオン信号は判断部55に入力される。判断部55は、角度検出部45からオン信号が入力されると回転角度θが所定の撮影角度(45度毎の角度)であると判断し、撮影指示部56が第1カメラ34Aに撮影指示を出力する。この撮影指示によって第1カメラ34Aは撮影を実行し、画像取得部51は第1カメラ34Aから撮影画像を取得する。図8に示す例では、角度検出部45のスイッチ部46によるオン出力に、撮影指示部56からの撮影指示の出力を同期させることができる。なお、角度検出部45は、非接触式エンコーダによって構成してもよい。
【0060】
本実施形態は、撮影指示部56は、角度検出部45によって検出される椅子20の基点Aからの回転角度θが複数方向のそれぞれ(所定の撮影角度)であるときに、第1カメラ34Aに撮影を指示し、画像取得部51は、第1カメラ34Aから撮影画像を取得する。鉛直軸心L周りの複数方向のそれぞれにおける、椅子20の基点A(基準中心線Sa)からの回転角度θは、角度検出部45によって検出することができる。したがって、頭部撮影システム10は、第1カメラ34Aを手動操作することなく、椅子20を鉛直軸心L周りに回転させるだけで、第1カメラ34Aによって所定の撮影角度毎に撮影された被撮影者Hの頭部の撮影画像を取得することができる。その結果、頭部撮影システム10は、鉛直軸心L周りの複数方向から被撮影者Hの頭部の撮影画像を取得する際の操作性が向上する。
【0061】
[第3実施形態]
第3実施形態では、図10に示すように、頭部撮影システム10は、第1実施形態において図3に示す画像取得部51等に加えて、椅子画像記憶部57、撮影前画像取得部58、画像一時記憶部59、比較判定部61、及び撮影指示部56を備える。椅子画像記憶部57には、複数方向のそれぞれ(所定の撮影角度毎)において、被撮影者Hが着座していない状態で、第1カメラ34Aが撮影した椅子20の画像が予め記憶されている。撮影前画像取得部58は、第1カメラ34Aに備えられた不図示の撮像素子によって撮像された撮影前の画像を取得することができる。画像一時記憶部59には、撮影前画像取得部58によって取得された第1カメラ34Aの撮影前の画像が一時記憶される。
【0062】
本実施形態においては、第1カメラ34Aを撮影可能な状態にすると(起動させると)、第1カメラ34Aの撮像素子によって撮像された撮影前の画像は第1カメラ34Aから撮影前画像取得部58を介して画像一時記憶部59に一時的に記憶される。画像一時記憶部59に記憶された画像は、順次、比較判定部61に出力される。比較判定部61に出力された画像は、所定時間経過後に、画像一時記憶部59から消去される。本実施形態においては、第2実施形態と同様、椅子20はモータにより回転駆動可能に構成されている。被撮影者Hが着座した状態で椅子20を鉛直軸心Lの周りに回転駆動させると、比較判定部61は、椅子画像記憶部57に記憶された椅子20の画像を読み込み、画像一時記憶部59から出力された画像と椅子画像記憶部57に記憶された所定の撮影角度からの椅子20の画像とを比較する。撮影指示部56は、比較判定部61から、画像一時記憶部59から出力された画像における椅子20の向き(画像全体のうちの椅子20の部分の画像)が椅子画像記憶部57に記憶された椅子20の画像と一致したとの判定結果を受けると、第1カメラ34Aに撮影を指示する。つまり、画像一時記憶部59から出力された画像における椅子20の画像と椅子画像記憶部57に記憶された椅子20の画像とが一致していれば、椅子本体21は回転により所定の撮影角度に到達していることになる。この撮影指示を受けて第1カメラ34Aは撮影を実行し、画像取得部51は第1カメラ34Aから撮影画像を取得する。椅子20を鉛直軸心L周りに一回転させるときに、上記の処理が継続されることで、画像取得部51は、第1カメラ34Aによって撮影された異なる複数方向からの被撮影者Hの頭部の撮影画像の取得をすることができる。
【0063】
撮影前に第1カメラ34Aの撮像素子によって撮像された画像(画像一時記憶部59に一時記憶される画像)において、椅子20の画像における椅子20(椅子本体21)の向きは椅子20が鉛直軸心L周りに回転する際に変化する。したがって、第1カメラ34Aが撮影した椅子20の画像が予め記憶される椅子画像記憶部57を備えて、鉛直軸心L周りの複数方向のそれぞれにおける、椅子20の基点Aからの回転角度(撮影角度)と、複数方向のそれぞれから撮影された椅子20の画像とを対応付けることで、当該撮影角度を推認することができる。これにより、第1カメラ34Aの撮像素子によって撮像されて継続的に撮影前画像取得部58に取得され、画像一時記憶部59を経由して比較判定部61に出力される撮影前の画像において、椅子20の画像(椅子20(椅子本体21)の向き)が、椅子画像記憶部57に予め記憶された椅子20の画像と一致したときに、撮影指示部56が第1カメラ34Aに撮影を指示することで、画像取得部51は第1カメラ34Aから撮影画像を取得することができる。すなわち、頭部撮影システム10は、椅子20の回転を停止させて第1カメラ34Aを操作することなく、椅子20を鉛直軸心L周りに継続して回転させた状態で、第1カメラ34Aによって所定の撮影角度毎に撮影された被撮影者Hの頭部の撮影画像を取得することができる。その結果、頭部撮影システム10は、複数方向から被撮影者Hの頭部の撮影画像を取得する際の操作性が向上する。なお、画像取得部51は、撮影指示部56からの指示により第1カメラ34Aが撮影した撮影画像ではなく、椅子画像記憶部57に予め記憶された椅子20の画像と一致した、比較判定部61に出力された撮影前の画像を撮影画像として取得してもよい。
【0064】
[第3実施形態の変形例]
本変形例に係る頭部撮影システム10におけるカメラ34は、図11に示すように、第1カメラ34Aだけでなく、椅子20の上方(例えば天井C)に配置された第2カメラ34B(第2撮像装置の一例)を有して構成される。第2カメラ34Bは、光軸が鉛直軸心Lに平行になるように配置されており、被撮影者Hの頭頂部を含む頭部及び椅子20を鉛直軸心Lに平行な椅子20の上方向から撮影する。以下では、第1カメラ34A及び第2カメラ34Bの両方をまとめて説明する際にはカメラ34と表記し、個別のカメラ34の説明をする際には第1カメラ34A、第2カメラ34Bと表記する。したがって、本変形例では、図10に示される頭部撮影システム10のカメラ34には、第1カメラ34A及び第2カメラ34Bが含まれている。なお、第2カメラ34Bの光軸は鉛直軸心Lに完全に平行である必要はなく、目的とする撮影画像が取得可能な範囲で若干傾いていてもよい。
【0065】
頭部撮影システム10において、第1カメラ34Aは、椅子20に着座した被撮影者Hの顔面を含む頭部を鉛直軸心Lに垂直な水平方向から撮影する。ここで、椅子20に着座した被撮影者Hは、通常、理美容室において理髪行為を受ける際に、カットされた頭髪を受け止める理髪用エプロンを羽織る。被撮影者Hが理髪用エプロンを羽織った状態では、椅子20においても理髪用エプロンによって座部23や背もたれ部24が覆われる場合がある。このため、理髪用エプロンを羽織った被撮影者Hを第1カメラ34Aによって撮影する場合には、第1カメラ34Aの撮影画像では椅子20の形状が適正に把握できないことがある。そこで、第3実施形態の変形例では、椅子20の上方向から撮影する第2カメラ34Bの撮影画像における椅子20のステップ26の向きに基づいて椅子20の基点Aからの回転角度(撮影角度)を推認し、撮影画像を取得する。
【0066】
具体的には、椅子画像記憶部57には、複数方向のそれぞれ(所定の撮影角度毎)において、被撮影者Hが着座していない状態で、第2カメラ34Bが撮影した椅子20の画像が予め記憶されている。被撮影者Hが着座した状態で椅子20を鉛直軸心Lの周りに回転駆動させると、比較判定部61は、椅子画像記憶部57に記憶された椅子20の画像を読み込み、画像一時記憶部59から出力された第2カメラ34Bによる画像と椅子画像記憶部57に記憶された所定の撮影角度(回転角度)における椅子20の画像とを比較する。撮影指示部56は、比較判定部61から、画像一時記憶部59から出力された画像における椅子20のステップ26の向きが椅子画像記憶部57に記憶された椅子20のステップ26の画像と一致したとの判定結果を受けると、第1カメラ34Aに撮影を指示する。つまり、画像一時記憶部59から出力された画像における第2カメラ34Bによる椅子20の画像と椅子画像記憶部57に記憶された椅子20の画像とが一致していれば、椅子本体21は回転により所定の撮影角度に到達していることになる。この撮影指示を受けて第1カメラ34Aは撮影を実行し、画像取得部51は第1カメラ34Aから撮影画像を取得する。椅子20を鉛直軸心L周りに一回転させるときに、上記の処理が継続されることで、画像取得部51は、第1カメラ34Aによって撮影された異なる複数方向からの被撮影者Hの頭部の撮影画像の取得をすることができる。
【0067】
ここで、椅子20のステップ26は、被撮影者Hが理髪用エプロンを羽織った状態であっても露出する部分であり、椅子20の上方に位置する第2カメラ34Bによって確実に撮影することができる。したがって、本実施形態であれば、被撮影者Hが理髪用エプロンを羽織った状態であっても、椅子20を鉛直軸心周りに継続して回転させた状態で、第1カメラ34Aによって所定の撮影角度毎に撮影された被撮影者Hの頭部の撮影画像を取得することができる。
【0068】
[第4実施形態]
第4実施形態では、カメラ34は、第1カメラ34Aのみを有して構成される。本実施形態では、図12及び図13に示すように、頭部撮影システム10は、椅子20の鉛直軸心Lの周りの所定位置に付与(貼付)された識別マーク49を備える。本実施形態では、識別マーク49は椅子本体21に付与されている。識別マーク49は、鉛直軸心L周りのうち鉛直軸心Lを挟んで基準中心線Saの前方を除く7か所に配置されている。さらに、頭部撮影システム10は、図14に示されるように、第1実施形態において図3に示す画像取得部51等に加えて、撮影前画像取得部58、画像一時記憶部59、マーク認識部62、判定部63、及び撮影指示部56を備える。
【0069】
撮影前画像取得部58は、第1カメラ34Aの撮像素子によって撮像された撮影前の画像を第1カメラ34Aから取得することができる。画像一時記憶部59には、撮影前画像取得部58によって取得された第1カメラ34Aの撮影前の画像が一時記憶される。画像一時記憶部59に記憶された画像は、順次、マーク認識部62に出力される。マーク認識部62は、画像一時記憶部59に記憶された画像において識別マーク49の位置を認識し、識別マーク49の位置を判定部63に出力する。判定部63には、第1カメラ34Aにより撮影を行う所定の撮影角度と、椅子本体21がその撮影角度に到達したときの識別マーク49の位置(所定位置)との関係(例えば、テーブル)が記憶されている。判定部63は、画像一時記憶部59の画像で認識された識別マーク49が所定位置にあるか否かを判定する。撮影指示部56は、判定部63から、所定位置に識別マーク49があるとの判定結果を受けると、第1カメラ34Aに撮影を指示する。この撮影指示を受けて第1カメラ34Aは撮影を実行し、画像取得部51は第1カメラ34Aから撮影画像を取得する。椅子20を鉛直軸心L周りに一回転させるときに、上記の処理が継続されることで、画像取得部51は、第1カメラ34Aによって撮影された異なる複数方向からの被撮影者Hの頭部の撮影画像の取得をすることができる。
【0070】
撮影可能な状態にある第1カメラ34Aの撮像素子に撮影前に撮像された画像において、識別マーク49の位置は椅子20が鉛直軸心L周りに回転する際に変化する。したがって、鉛直軸心L周りの複数方向のそれぞれにおける、椅子20の基点Aからの回転角度(撮影角度)は、複数方向のそれぞれから入力される画像における識別マーク49の位置に対応付けることで推認することができる。本実施形態においては、図12に示すように、識別マーク49が、椅子本体21の正面を除く椅子本体21の周囲7か所に鉛直軸心Lを中心として45度ずつずれた位置に付与されているので、椅子本体21を一方向に回転させたときに、識別マーク49が画像の中央に位置する毎に、椅子本体21は45度回転したことになる。これにより、第1カメラ34Aによって継続的に取得される撮影前の画像の所定位置に識別マーク49があるときに、撮影指示部56が第1カメラ34Aに撮影を指示することで、画像取得部51は第1カメラ34Aから撮影画像を取得することができる。すなわち、頭部撮影システム10は、椅子20の回転を停止して第1カメラ34Aを操作することなく、椅子20を鉛直軸心L周りに回転させた状態で、第1カメラ34Aによって所定の撮影角度毎に撮影された被撮影者Hの頭部の撮影画像を取得することができる。その結果、頭部撮影システム10は、鉛直軸心L周りの複数方向から被撮影者Hの頭部の撮影画像を取得する際の操作性が向上する。なお、本実施形態においても、第3実施形態と同様、画像取得部51は、撮影指示部56からの指示により第1カメラ34Aが撮影した撮影画像ではなく、画像一時記憶部59の画像に基づいて認識された識別マーク49が所定位置にあると判定部63が判定した、撮影前の画像を撮影画像として取得してもよい。
【0071】
[第4実施形態の変形例]
第4実施形態の変形例では、第3実施形態の変形例と同様、カメラ34は、第1カメラ34Aと第2カメラ34Bを有して構成される。したがって、本変形例では、図14に示される頭部撮影システム10のカメラ34には、第1カメラ34A及び第2カメラ34Bが含まれている。本変形例では、椅子20の上方向から撮影する第2カメラ34Bによって撮影された画像における椅子20のステップ26に付与された識別マーク49に基づいて椅子20の基点Aからの回転角度(撮影角度)を推認し、撮影画像を取得する。本変形例では、図15及び図16に示すように、識別マーク49は、ステップ26の左右両端の前側2か所に配置されている。
【0072】
撮影前画像取得部58は、第2カメラ34Bの撮像素子によって撮像された撮影前の画像を第2カメラ34Bから取得することができる。画像一時記憶部59には、撮影前画像取得部58によって取得された第2カメラ34Bの撮影前の画像が一時記憶される。画像一時記憶部59に記憶された画像は、順次、マーク認識部62に出力される。マーク認識部62は、画像一時記憶部59に記憶された第2カメラ34Bによる画像において椅子20のステップ26に付与された識別マーク49の位置を認識し、識別マーク49の位置を判定部63に出力する。判定部63には、第2カメラ34Bにより撮影を行う所定の撮影角度と、ステップ26がその撮影角度に到達したときの識別マーク49の位置(所定位置)との関係(例えば、テーブル)が記憶されている。判定部63は、画像一時記憶部59の画像で認識された識別マーク49が所定位置にあるか否かを判定する。撮影指示部56は、判定部63から、所定位置に識別マーク49があるとの判定結果を受けると、第1カメラ34Aに撮影を指示する。この撮影指示を受けて第1カメラ34Aは撮影を実行し、画像取得部51は第1カメラ34Aから撮影画像を取得する。椅子20を鉛直軸心L周りに一回転させるときに、上記の処理が継続されることで、画像取得部51は、第1カメラ34Aによって撮影された異なる複数方向からの被撮影者Hの頭部の撮影画像の取得をすることができる。
【0073】
[第5実施形態]
本実施形態では、カメラ34は、第1カメラ34Aのみを有して構成される。本実施形態では、図17に示すように、第1カメラ34Aが、ステレオカメラによって構成されている。すなわち、第1カメラ34Aは、所定の距離だけ離間した第1撮像部34A1と第2撮像部34A2とを備えている。ステレオカメラの構成は公知であるため、詳細な説明を省略する。さらに、頭部撮影システム10は、図18に示されるように、第1実施形態において図3に示す画像取得部51等に加えて、撮影前画像取得部58、画像一時記憶部59、距離計測部60、判定部63、及び撮影指示部56を備える。
【0074】
撮影前画像取得部58は、第1カメラ34Aの第1撮像部34A1の撮像素子及び第2撮像部34A2の撮像素子によって撮像された撮影前の夫々の画像を第1カメラ34Aから取得することができる。画像一時記憶部59には、撮影前画像取得部58によって取得された第1カメラ34Aの撮影前の夫々の画像が一時記憶される。画像一時記憶部59に記憶された夫々の画像は、順次、距離計測部60に出力される。距離計測部60は、画像一時記憶部59に記憶された夫々の画像に基づいて第1カメラ34Aから被撮影者Hの頭部までの距離を計測し、当該距離のデータを判定部63に出力する。判定部63には、第1カメラ34Aにより撮影を行う所定の撮影角度と、椅子本体21がその撮影角度に到達したときの第1カメラ34Aから被撮影者Hの頭部までの距離(例えば平均値)との関係(例えば、テーブル)が記憶されている。判定部63は、距離計測部60によって計測された距離が所定距離であるか否かを判定する。撮影指示部56は、判定部63から、距離計測部60によって計測された距離が所定距離であるとの判定結果を受けると、第1カメラ34Aに撮影を指示する。この撮影指示を受けて第1カメラ34Aは撮影を実行し、画像取得部51は、第1カメラ34Aの第1撮像部34A1によって撮影された画像を撮影画像として取得する。椅子20を鉛直軸心L周りに一回転させるときに、上記の処理が継続されることで、画像取得部51は、第1カメラ34Aによって撮影された異なる複数方向からの被撮影者Hの頭部の撮影画像の取得をすることができる。
【0075】
撮影可能な状態にある第1カメラ34A(ステレオカメラ)の撮像素子によって撮影前に撮像されたステレオ画像に基づく第1カメラ34Aから被撮影者Hの頭部までの距離は、椅子20が鉛直軸心L周りに回転する際に変化する。したがって、鉛直軸心L周りの複数方向のそれぞれにおける、椅子20の基点Aからの回転角度(撮影角度)は、第1カメラ34Aから被撮影者Hの頭部までの距離に対応付けることで推認することができる。すなわち、頭部撮影システム10は、椅子20の回転を停止して第1カメラ34Aを操作することなく、椅子20を鉛直軸心L周りに回転させた状態で、第1カメラ34Aによって所定の撮影角度毎に撮影された被撮影者Hの頭部の撮影画像を取得することができる。その結果、頭部撮影システム10は、鉛直軸心L周りの複数方向から被撮影者Hの頭部の撮影画像を取得する際の操作性が向上する。なお、画像取得部51が、第1撮像部34A1による画像ではなく、第2撮像部34A2による画像により撮影画像を取得する構成でもよい。
【0076】
また、本実施形態では、第1撮像部34A1及び第2撮像部34A2の画像の何れかの画像により撮影画像を取得する構成ではなく、画像取得部51が取得した、第1撮像部34A1及び第2撮像部34A2による夫々の画像に基づいて、被撮影者Hの頭部の立体画像を生成して撮影画像として取得可能に構成されていてもよい。立体画像は、例えば、表示画像生成部54において公知の画像処理技術を用いることで生成可能である。立体画像は、立体表示対応のミラーディスプレイ30を用いることで表示可能である。被撮影者Hの頭部の撮影画像を立体画像にすることで、被撮影者Hの頭部の視認性をより向上させることができる。
【0077】
[第6実施形態]
本実施形態では、動画撮影が可能なカメラ34に対応した頭部撮影システム10である。本実施形態では、カメラ34は、第1カメラ34Aのみを有して構成される。図19に示すように、頭部撮影システム10は、第1実施形態において図3に示す画像取得部51等に加えて、角度検出部45、動画撮影指示部64、動画記憶部65、判断部66、静止画像抽出部67を備える。本実施形態では、画像取得部51は、第1カメラ34Aによって撮影された動画の取得が可能に構成されている。
【0078】
動画撮影指示部64は、第1カメラ34Aに動画撮影の実行を指示する。これにより、第1カメラ34Aによる動画撮影が開始され、画像取得部51は第1カメラ34Aによって撮影された動画を取得する。動画記憶部65は、画像取得部51から出力された第1カメラ34Aの動画を記憶する。静止画像抽出部67は、被撮影者Hが着座した状態の椅子20を鉛直軸心L周りに回転させたときに画像取得部51によって取得された動画から、複数方向のそれぞれにおける被撮影者Hの頭部の静止画像を撮影画像として抽出する。本実施形態では、静止画像抽出部67は、画像取得部51によって取得された動画において、上記第2実施形態で説明した角度検出部45によって検出される回転角度θが複数方向のそれぞれ(所定の撮影角度)と一致したときの静止画像を撮影画像として抽出する。具体的には、判断部66は、画像取得部51によって取得された動画において、例えば、所定の撮影角度(例えば45度毎の角度)において角度検出部45からオン信号が入力されたときに、静止画像抽出部67がそのときの静止画像を撮影画像として抽出する。その後、角度データとして90度、135度等の45度刻みの角度が入力される度に、静止画像を撮影画像として抽出する。
【0079】
本実施形態によれば、静止画像抽出部67は、画像取得部51が取得した第1カメラ34Aの動画において、角度検出部45からオン信号が出力されたときに、当該動画から撮影画像としての静止画像を抽出することができる。このように、第1カメラ34Aの動画から撮影画像を取得する場合には、第1カメラ34Aは撮影時に手動操作が不要であるので、所期のタイミングから遅れることなく撮影することができる。したがって、頭部撮影システム10は、鉛直軸心L周りの複数方向から被撮影者Hの頭部の撮影画像をより確実に取得することができる。
【0080】
[第7実施形態]
第7実施形態は、第6実施形態と同じく、動画撮影が可能な第1カメラ34Aに対応した頭部撮影システム10である。図20に示すように、第7実施形態では、頭部撮影システム10は、第6実施形態における、角度検出部45及び判断部66に代えて、第3実施形態で説明した椅子画像記憶部57及び比較判定部69を備える。
【0081】
静止画像抽出部67は、画像取得部51によって取得された第1カメラ34Aの動画における椅子20の画像が椅子画像記憶部57に記憶された椅子20の画像と一致したときの静止画像を撮影画像として抽出する。具体的には、比較判定部69は、第1カメラ34Aの動画(連続した複数の画像)と椅子画像記憶部57の椅子20の画像とを比較する。比較判定部69が、動画記憶部65に記憶された動画における椅子20の画像が椅子画像記憶部57に記憶された椅子20の画像と一致したと判定すると、静止画像抽出部67は、そのときの静止画像を撮影画像として抽出する。その後も、第1カメラ34Aの動画における椅子20の画像と、椅子画像記憶部57に記憶された所定の撮影角度(例えば45度毎)の椅子20の画像とを比較し続け、両者が一致する度に、静止画像を撮影画像として抽出する。このように、本実施形態では、静止画像抽出部67は、画像取得部51が取得した第1カメラ34Aの動画における椅子20の画像と、椅子画像記憶部57に記憶された椅子20の画像とを参照することで、カメラ34の動画から撮影画像としての静止画像を抽出することができる。
【0082】
[第7実施形態の変形例]
第7実施形態の変形例では、第3実施形態の変形例と同様、カメラ34は、第1カメラ34Aと第2カメラ34Bを有して構成される。したがって、本変形例では、図20に示される頭部撮影システム10のカメラ34には、第1カメラ34A及び第2カメラ34Bが含まれている。ただし、本変形例では、第1カメラ34Aと第2カメラ34Bは、いずれも動画撮影が可能なカメラである。本変形例では、第3実施形態の変形例と同様、椅子20の上方向から撮影する第2カメラ34Bによって撮影された画像における椅子20のステップ26の向きに基づいて椅子20の基点Aからの回転角度(撮影角度)を推認し、撮影画像を取得する。本実施形態では、画像取得部51は、第2カメラ34Bによって撮影された動画の取得が可能に構成されている。
【0083】
椅子画像記憶部57には、複数方向のそれぞれ(所定の撮影角度毎)において、被撮影者Hが着座していない状態で、第2カメラ34Bが撮影した椅子20の画像が予め記憶されている。静止画像抽出部67は、画像取得部51が取得した動画のうち、第2カメラ34Bによる動画における椅子20のステップ26の向きが椅子画像記憶部57に記憶された椅子20のステップ26の画像と一致したときの静止画像を撮影画像として抽出する。具体的には、比較判定部69は、第2カメラ34Bの動画(連続した複数の画像)と椅子画像記憶部57の椅子20の画像とを比較する。比較判定部69が、動画記憶部65に記憶された動画における椅子20のステップ26の向きが椅子画像記憶部57に記憶された椅子20のステップ26の画像と一致したと判定すると、静止画像抽出部67は、そのときの第1カメラ34Aによる動画から静止画像を撮影画像として抽出する。その後も、第2カメラ34Bの動画における椅子20のステップ26の向きと、椅子画像記憶部57に記憶された所定の撮影角度(例えば45度毎)の椅子20のステップ26の画像とを比較し続け、両者が一致する度に、第1カメラ34Aによる動画から静止画像を撮影画像として抽出する。このように、変形例では、静止画像抽出部67は、画像取得部51が取得した第2カメラ34Bの動画における椅子20のステップ26の向きと、椅子画像記憶部57に記憶された椅子20のステップ26の画像とを参照することで、第1カメラ34Aの動画から撮影画像としての静止画像を抽出することができる。
【0084】
[第8実施形態]
第8実施形態は、第6実施形態と同じく、動画撮影が可能な第1カメラ34Aに対応した頭部撮影システム10である。図12及び図13に示す第4実施形態で説明したように、頭部撮影システム10は、椅子20の鉛直軸心Lの周りの所定位置に付与されて椅子20の複数方向のそれぞれの位置の認識が可能な識別マーク49を備える。本実施形態の識別マーク49は、第4実施形態と同じ個所に付与されている。さらに、図21に示すように、頭部撮影システム10は、第6実施形態における、角度検出部45及び判断部66に代えて、マーク認識部71及び判定部72を備える。マーク認識部71は、動画記憶部65に記憶された動画において識別マーク49の位置を認識する。判定部63は、動画記憶部65の動画の所定位置に識別マーク49があるか否かを判定する。
【0085】
静止画像抽出部67は、画像取得部51によって取得された第1カメラ34Aの動画において、撮影範囲の所定位置に識別マーク49があるときの静止画像を撮影画像として抽出する。具体的には、判定部72が、動画記憶部65に記憶された第1カメラ34Aの動画における識別マーク49が椅子20の回転角度θが撮影角度(例えば45度毎)であるときの所定の位置と判定すると、静止画像抽出部67は、そのときの静止画像を撮影画像として抽出する。その後の第1カメラ34Aの動画において識別マーク49が椅子20の回転角度θが撮影角度(例えば45度毎)であるときの所定の位置と判定される度に、静止画像を撮影画像として抽出する。このように、本実施形態では、静止画像抽出部67は、画像取得部51が取得した第1カメラ34Aの動画における識別マーク49の位置に基づいて、第1カメラ34Aの動画から撮影画像としての静止画像を抽出することができる。
【0086】
[第8実施形態の変形例]
第8実施形態の変形例では、第7実施形態の変形例と同様、カメラ34は、動画撮影が可能な第1カメラ34Aと第2カメラ34Bを有して構成される。したがって、本変形例では、図21に示される頭部撮影システム10のカメラ34には、第1カメラ34A及び第2カメラ34Bが含まれている。本変形例では、第4実施形態の変形例と同様、椅子20の上方向から撮影する第2カメラ34Bによって撮影された画像における椅子20のステップ26に付与された識別マーク49に基づいて椅子20の基点Aからの回転角度(撮影角度)を推認し、撮影画像を取得する。本変形例において、識別マーク49は、第4実施形態の変形例と同様、ステップ26の左右両端の前側2か所に配置されている。
【0087】
静止画像抽出部67は、画像取得部51が取得した動画のうち、第2カメラ34Bによる動画の所定位置にステップ26に付与された識別マーク49があるときの静止画像を撮影画像として抽出する。具体的には、判定部72が、動画記憶部65に記憶された第2カメラ34Bの動画におけるステップ26の識別マーク49が椅子20の回転角度θが撮影角度(例えば45度毎)であるときの所定の位置と判定すると、静止画像抽出部67は、そのときの第1カメラ34Aによる動画から静止画像を撮影画像として抽出する。その後の第2カメラ34Bの動画においてステップ26の識別マーク49が椅子20の回転角度θが撮影角度(例えば45度毎)であるときの所定の位置と判定される度に、第1カメラ34Aによる動画から静止画像を撮影画像として抽出する。このように、本変形例では、静止画像抽出部67は、画像取得部51が取得した第2カメラ34Bの動画におけるステップ26の識別マーク49の位置に基づいて、第1カメラ34Aの動画から撮影画像としての静止画像を抽出することができる。
【0088】
[第9実施形態]
第9実施形態は、第6実施形態と同じく、動画撮影が可能な第1カメラ34Aに対応した頭部撮影システム10である。図17に示す第5実施形態で説明したように、第1カメラ34Aが、ステレオカメラによって構成されている。また、第1カメラ34Aは、第1撮像部34A1と第2撮像部34A2とを備えている。さらに、図22に示すように、頭部撮影システム10は、第6実施形態における、角度検出部45及び判断部66に代えて、距離計測部70及び判定部72を備える。
【0089】
画像取得部51は、第1カメラ34Aの第1撮像部34A1の撮像素子及び第2撮像部34A2の撮像素子によって撮影された夫々の動画を第1カメラ34Aから取得することができる。動画記憶部65には、画像取得部51によって取得された第1カメラ34Aの夫々の動画が記憶される。動画記憶部65に記憶された動画は、順次、距離計測部70に出力される。距離計測部70は、動画記憶部65に記憶された夫々の動画に基づいて第1カメラ34Aから被撮影者Hの頭部までの距離を計測し、当該距離のデータを判定部72に出力する。判定部72には、第1カメラ34Aにより撮影を行う所定の撮影角度と、椅子本体21がその撮影角度に到達したときの第1カメラ34Aから被撮影者Hの頭部までの距離(例えば平均値)との関係(例えば、テーブル)が記憶されている。
【0090】
静止画像抽出部67は、第1カメラ34Aから被撮影者Hの頭部までの距離が所定距離になったときに画像取得部51が取得した第1カメラ34Aによる動画の静止画像に基づいて撮影画像を取得する。具体的には、判定部72は、距離計測部70によって計測された距離が所定距離であると判定すると、静止画像抽出部67は、そのときの第1カメラ34Aの第1撮像部34A1による動画から撮影画像として静止画像を抽出する。その後、第1カメラ34Aから被撮影者Hの頭部までの距離が椅子20の回転角度θが撮影角度(例えば45度毎)であるときの所定距離と判定される度に、第1カメラ34Aの第1撮像部34A1による動画から、そのときの静止画像を撮影画像として抽出する。なお、静止画像抽出部67は、第1カメラ34Aから被撮影者Hの頭部までの距離に基づいて、第2撮像部34A2による動画から、撮影画像として静止画像を抽出してもよい。
【0091】
本実施形態では、静止画像抽出部67は、第1カメラ34Aから被撮影者Hの頭部までの距離が所定距離になったときに、そのときの第1撮像部34A1による動画と第2撮像部34A2による動画から抽出した夫々の静止画像に基づいて、被撮影者Hの頭部の立体画像を生成して撮影画像として取得可能に構成されていてもよい。立体画像は、例えば、表示画像生成部54において公知の画像処理技術を用いることで生成可能である。立体画像は、立体表示対応のミラーディスプレイ30を用いることで表示可能である。被撮影者Hの頭部の撮影画像を立体画像にすることで、被撮影者Hの頭部の視認性をより向上させることができる。
【0092】
〔他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、カメラ34がミラーディスプレイ30に内蔵されている例を示したが、カメラ34はミラーディスプレイ30とは独立して設けられてもよい。その場合、カメラ34は、例えばミラーディスプレイ30に平行な理美容室の壁部に配置してもよく、理美容室の床面Gに載置される三脚等の上方に配置してもよい。
【0093】
(2)上記の実施形態では、表示装置としてミラーディスプレイ30を用いる例を示したが、表示装置として、携帯用ディスプレイ(スマートフォンやタブレット等)やパソコンのディスプレイ等、他の表示装置を用いてもよい。
【0094】
(3)第2実施形態から第5実施形態では、椅子20をモータ等の駆動力を用いて回転させる例を示したが、椅子20は手動で回転させてもよい。また、第2実施形態から第5実施形態では、カメラ34が撮影指示部56からの撮影指示により自動で撮影する例を示したが、カメラ34は手動で撮影してもよい。ただし、カメラ34を手動で撮影する場合には、椅子20に回転停止機構を設ける必要がある。
【0095】
(4)上記の実施形態では、椅子20の鉛直軸心L周りにおけるカメラ34の撮影のための回転角度(撮影角度)を45度毎に設定する例を示したが、カメラ34の撮影角度は特に限定されず例えば60度毎や90度毎等に設定してもよい。
【0096】
(5)上記の第4実施形態、第8実施形態では、識別マーク49を椅子20において回転方向の7か所に設ける例を示したが、識別マーク49はこれに限られず、例えば、4か所でもよい。この場合、椅子本体21の回転角度を45度毎に設定するときは、複数の識別マーク49の位置に基づいて椅子本体21の角度を認識する。また、第4実施形態、第8実施形態及びこれらの変形例において、識別マーク49は、ARマーカーによって構成してもよい。ARマーカーは視覚情報を超えた情報を提供することができる。このため、識別マーク49にARマーカーを用いると、椅子20に付与する識別マーク49の数を少なくすることができる。また、椅子20に複数配置される識別マーク49は、全てまたは一部が異なる形状や異なる絵柄等で構成してもよい。こうすると、カメラ34の撮影範囲において、識別マーク49の形状や絵柄に基づいて所定の撮影角度を容易に推認することができる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、理美容室において顔部を含むヘアスタイルを複数方向から撮影するための頭部撮影システムとして広く用いることができる。
【符号の説明】
【0098】
10 :頭部撮影システム
20 :椅子
30 :ミラーディスプレイ(表示装置)
33 :ディスプレイ部
34 :カメラ(撮像装置)
34A :第1カメラ(第1撮像装置)
34B :第2カメラ(第2撮像装置)
35 :円筒部
40 :方向保持部
41 :軸心部
42 :被当接部
43 :当接部
45 :角度検出部
46 :スイッチ部
47 :円板部
48 :凸部
49 :識別マーク
51 :画像取得部
52 :撮影画像記憶部
53 :画像補正部
54 :表示画像生成部
55 :判断部
56 :撮影指示部
57 :椅子画像記憶部
58 :撮影前画像取得部
59 :画像一時記憶部
60 :距離計測部
61 :比較判定部
62 :マーク認識部
63 :判定部
64 :動画撮影指示部
65 :動画記憶部
66 :判断部
67 :静止画像抽出部
69 :比較判定部
70 :距離計測部
71 :マーク認識部
72 :判定部
A :基点
H :被撮影者
L :鉛直軸心
R :回転軌跡
Sa :基準中心線
Sb :椅子中心線
θ :回転角度
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